説明

濃度検出装置およびそれを備えた画像形成装置

【課題】液体現像剤の濃度が高い場合であっても濃度検出の精度を維持することができる濃度検出装置およびそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】濃度検出装置50は、液体現像剤LD中で回転可能な回転部材55と、回転部材55が取り付けられた回転軸56と、回転部材55の回転速度を検出する回転速度検出手段57と、所定の液位置LVよりも上方かつ回転軸56の近傍の所定位置に配置され、所定位置から変位可能な変位部材58と、変位部材58が変位したことを検知する変位検知手段Dと、液体現像剤LDを温める加温手段61と、加温手段61を制御すると共に、回転速度に基づいて液体現像剤LDの濃度を検出する濃度検出部66とを含み、濃度検出部66は、変位部材58の変位が検知されたとき、まず、加温手段61を制御して液体現像剤LDを温め、次に、液体現像剤LDの濃度を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体現像剤の濃度を検出する濃度検出装置およびそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体現像剤を用いてシート上に画像を形成する画像形成装置は、画像形成に用いられなかった液体現像剤を調整タンクに回収し、回収した液体現像剤を調整タンク内で適正な濃度に調整する。これにより、回収された液体現像剤が再利用可能となる。画像形成装置は、調整中の液体現像剤の濃度を検出する濃度検出装置を含む(例えば特許文献1)。
【0003】
特許文献1の濃度検出装置は、液体現像剤中で回転する攪拌部材と、攪拌部材の回転トルクを計測するトルク計と、回転トルクと液体現像剤の濃度との間の関係を予め求めて作成したデータテーブルとを有し、液体現像剤の濃度検出の際には、テーブルデータを参照して回転トルクを濃度に換算することで濃度を検出する。
【0004】
特許文献1では、濃度検出装置が液体現像剤の濃度を検出している間、回収現像剤貯蔵槽への液体現像剤の搬送が停止されるように制御される。これにより、液体現像剤を回収現像剤貯蔵槽に搬送するポンプの動作に起因する流動ムラの影響を低減している。その結果、液体現像剤の濃度を正確に検知することが図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−219068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の濃度検出装置は、濃度検出のために攪拌部材を用いている。そのため、液体現像剤が高粘度(つまり、高濃度)のとき、液体現像剤が攪拌部材の羽根部や軸部に絡みつく場合がある。その場合、攪拌部材の回転トルクが液体現像剤の濃度とは関係なく低下してしまい、正確な回転トルクが得られない。その結果、液体現像剤の濃度検出の精度が低下する。
【0007】
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、液体現像剤の濃度が高い場合であっても濃度検出の精度を維持することができる濃度検出装置、およびそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る濃度検出装置は、粘度が変化する液体現像剤の濃度を検出するものであって、前記液体現像剤を所定の液位置で貯留する貯留容器と、前記液体現像剤中で回転可能な回転部材と、前記回転部材が取り付けられた回転軸と、前記回転軸を一定の駆動力で回転させる駆動源と、前記回転部材の回転速度を検出する回転速度検出手段と、前記所定の液位置よりも上方かつ前記回転軸の近傍の所定位置に配置され、前記所定位置から変位可能な変位部材と、前記変位部材が変位したことを検知する変位検知手段と、前記液体現像剤を温める加温手段と、前記加温手段を制御すると共に、前記回転速度に基づいて前記液体現像剤の前記濃度を検出する濃度検出部とを含み、前記濃度検出部は、前記変位部材の変位が検知されたとき、まず、前記加温手段を制御して前記液体現像剤を温め、次に、前記液体現像剤の前記濃度を検出する。
【0009】
本発明に係る濃度検出装置は、液体現像剤の粘度が濃度に応じて変化する特性と、回転部材の回転速度が液体現像剤の粘度に応じて変化する特性とを利用して、回転速度に基づいて濃度を検出するものである。そして、濃度検出装置の濃度検出部は、変位部材の変位が検知されたとき、加温手段を制御して液体現像剤を温める。変位部材の変位は、液体現像剤の粘度(つまり、濃度)が高いときに液体現像剤が所定の液位置を越えて回転軸に絡み付き、絡み付いた液体現像剤が変位部材に接触することで起きる。回転軸に液体現像剤が絡み付いた状態では回転速度を正確に検出することはできない。しかしながら、本発明では、粘度が温度に応じて変化する特性を利用し、液体現像剤を温めることで、液体現像剤の粘度を低下させ、液体現像剤の回転軸への絡み付きを解消している。これにより、回転速度が正確に検出される。濃度検出部は、液体現像剤の回転軸への絡み付きを解消した後、回転速度に基づいて液体現像剤の濃度を検出する。このように、本発明に係る濃度検出装置によれば、液体現像剤が回転部材の回転軸に絡み付かないように液体現像剤を常に温める構成と比較して、変位部材の変位が検知されたときだけ加温手段を用いるので、消費電力が小さい。
【0010】
本発明の好ましい実施形態では、濃度検出装置は、さらに、前記液体現像剤が第1温度の場合における前記回転速度と前記液体現像剤の前記濃度との間の関係を予め求めて作成した第1テーブルと、前記液体現像剤が前記第1温度よりも高い第2温度の場合における前記回転速度と前記濃度との間の関係を予め求めて作成した第2テーブルとを記憶する記憶部を含み、前記濃度検出部は、前記変位部材の変位が検知されないとき、前記第1テーブルを参照して前記回転速度を前記濃度に換算し、一方、前記変位部材の変位が検知されたとき、まず、前記加温手段を制御して前記液体現像剤を前記第2温度に昇温させ、次に、前記第2テーブルを参照して前記回転速度を前記濃度に換算する。
【0011】
この構成によれば、濃度検出部は、液体現像剤が第1温度の場合における回転速度と濃度との間の関係を予め求めて作成した第1テーブルと、液体現像剤が第2温度の場合における、つまり、液体現像剤が回転軸に絡み付かない程度に液体現像剤を昇温させた場合における回転速度と濃度との間の関係を予め求めて作成した第2テーブルとを選択的に参照して、回転速度を濃度に換算する。これにより、液体現像剤の粘度が高い場合であっても濃度検出の精度を維持することができる。
【0012】
本発明に係る画像形成装置は、液体現像剤を用いてシート上に画像を形成する画像形成部と、上記構成の濃度検出装置と、前記濃度検出装置による検出に基づいて前記液体現像剤の濃度を調整する調整部とを含む。
【0013】
本発明に係る画像形成装置は、液体現像剤が高濃度(高粘度)であっても高い検出精度を備えた濃度検出装置を有しているので、液体現像剤の濃度が適正に調整される。これにより、高画質の画像が得られる。
【0014】
本発明の他の好ましい実施形態では、前記液体現像剤は、キャリア液と、前記キャリア液中に分散された顔料と、前記キャリア液中に溶解された溶解樹脂とを含み、前記溶解樹脂は、前記シート上で前記顔料を定着させるために用いられており、前記濃度検出装置は、前記溶解樹脂の濃度を検出するものであり、前記第1テーブルおよび前記第2テーブルはそれぞれ、前記回転部材の回転速度と前記溶解樹脂の前記濃度との関係を予め求めて作成されたものであり、前記調整部は、前記濃度検出装置による検出に基づいて前記溶解樹脂の前記濃度を調整する。
【0015】
この構成によれば、顔料をシート上に定着させるための溶解樹脂の濃度(粘度)が高い場合であっても、濃度検出装置により、溶解樹脂の濃度を精度良く検出することができるの。そのため、調整部は、溶解樹脂の濃度を適正に調整することができる。これにより、顔料の定着状態が良い高画質の画像が得られる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る濃度検出装置は、回転軸に液体現像剤が絡み付いたときのみ加温手段を用いて液体現像剤の濃度を検出するので、消費電力が小さい。そして、本発明に係る画像形成装置は、液体現像剤が高濃度であっても高い検出精度を備えた濃度検出装置を有しているので、液体現像剤の濃度が適正に調整される。これにより、高画質の画像が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る濃度検出装置の構成を模式的に示す図である。
【図2】濃度検出装置の回転機構の回転軸に液体現像剤が絡み付いた状態を示す模式図である。
【図3】濃度検出装置による溶解樹脂の濃度検出の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態に係るカラープリンタの全体概略断面図である。
【図5】液体現像剤循環装置の部分を除いた、カラープリンタの概略断面図である。
【図6】カラープリンタに用いられている現像装置およびその周辺部分の概略断面図である。
【図7】液体現像剤循環装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る濃度検出装置50の構成を模式的に示す図である。濃度検出装置50は、液体現像剤を用いてシート上に画像を形成する湿式の画像形成装置に適用され、液体現像剤の濃度を検出するための装置である。特に、本実施形態で用いられる液体現像剤は、電気絶縁性のキャリア液と、キャリア液中に分散された着色粒子と、キャリア液中に溶解された樹脂(以下、溶解樹脂という)とを含み、濃度検出装置50は、溶解樹脂の濃度を検出することが可能な装置である。溶解樹脂は、着色粒子をシート上に定着させるための重要な要素である。液体現像剤については後で詳述する。
【0019】
濃度検出装置50は、具体的には、後述するように現像装置14から回収された液体現像剤の濃度を調整する現像剤調整部に適用される。濃度検出装置50は、貯留容器51と、回転機構Rと、回転速度検出部57と、変位検知手段Dと、ヒータ61と、温度検出センサ62と、記憶部63と、濃度検出部66とを含む。
【0020】
貯留容器51は、液体現像剤LDを所定の液位置LVで貯留する。所定の液位置LVにより、液体現像剤LDが貯留容器51内で貯留される液範囲LRが規定されている。液範囲LRは、貯留容器51の底部から液位置LVにわたる範囲である。
【0021】
貯留容器51には、供給管52および排出管53が接続されている。供給管52には、供給ポンプ54が配設されている。供給ポンプ54が駆動されると、液体現像剤LDが供給管52を通って貯留容器51内に供給される。供給管52は、図1では液位置LVよりも上方に位置しているが、その位置は特に限定されず、液位置LVよりも下方に位置させてもよい。
【0022】
排出管53は、液位置LVに対応した位置に排出口53aを有している。排出口53aは常に開状態となっている。したがって、液体現像剤LDが貯留容器51に供給されると、特別な制御を必要とすることなく、液体現像剤LDは所定の液位置LVに調整される。
【0023】
回転機構Rは、回転部材55と、回転部材55が固定された回転軸56と、駆動源Mとを含む。回転部材55は、所定の液位置LVよりも下方にかつ液範囲LR内に配置されている。回転部材55は、図1では扁平な円柱の形状を有するが、それらの形状は特に限定されず、回転軸56を中心として対称なプロペラの形状を有していてもよいし、平板の形状を有していてもよい。回転軸56には、駆動源Mが接続されている。駆動源Mは、例えばモータであり、一定の駆動力で回転軸56を回転させる。回転軸56の回転により、回転部材55は液範囲LRにおいて液体現像剤LD中で回転する。
【0024】
回転部材55は、回転に伴い、液体現像剤LDの粘度に応じて液体現像剤LDから抵抗を受ける。特に、溶解樹脂の濃度は液体現像剤LDの粘度に大きく影響するため、溶解樹脂の濃度が高いとき、液体現像剤LDの粘度が高くなり、回転部材55が液体現像剤LDから受ける抵抗は大きくなる。これにより、回転部材55の回転速度は低下する。一方、溶解樹脂の濃度が低いとき、液体現像剤LDの粘度が低くなり、前記抵抗は小さくなる。これにより、回転部材55の回転速度が大きくなる。つまり、前記抵抗が大きくなるにつれ、回転部材55の回転速度は小さくなり、前記抵抗が小さくなるにつれ、回転部材55の回転速度は大きくなる。
【0025】
回転速度検出部57(回転速度検出手段)は、回転部材55の回転速度を検出する。回転速度検出部57は、例えば、発光素子と、受光素子と、回転部材55または回転軸56に取り付けられた遮光板とを有し、遮光板が発光素子の光を遮光する回数を分単位で計測することで、回転部材55の回転速度を求める。回転速度検出部57の構成は特に限定されない。
【0026】
変位検知手段Dは、変位部材58と、変位検知部60とを含む。変位部材58は、液体現像剤LDの所定の液位置LVよりも上方の位置かつ回転軸56の近傍の位置であるホーム位置で、回転軸56に対向して配置されている。変位部材58は、ワイヤ59等で支持されており、液体現像剤LDの液面に沿ってホーム位置から変位可能である。変位部材58は、図1では扁平な円柱形状を有しているが、その形状は特に限定されず、平板状であってもよいし、棒状であってもよい。変位検知部60は、変位部材58がホーム位置から変位しているか否かを検知する手段である。変位検知部60は、例えば反射型光センサであり、変位部材58の表面に設けられた反射面に対して光を放射して、反射光を受光するか否かで変位部材58の変位を検知するものである。変位部材58がホーム位置から変位しているとき、反射型光センサは反射光を受光しない。これにより、変位部材58の変位が検知される。変位検知部60の構成は特に限定されない。
【0027】
ヒータ61は、貯留容器51の底部側に配置され、貯留容器51中の液体現像剤LDを温める。ヒータ61の配置位置は、特に限定されず、貯留容器51の液範囲LR内であってもよい。ヒータ61は、本発明の加温手段の一例である。
【0028】
温度検出センサ62は、貯留容器51の液範囲LR内に配置され、液体現像剤LDの温度を検出する。
【0029】
記憶部63は、第1テーブル64および第2テーブル65を記憶する。第1テーブル64は、液体現像剤LDが第1温度に調整されている場合における回転部材55の回転速度と溶解樹脂の濃度との間の関係を予め求めて作成した検量線データである。第1温度は、液体現像剤LDの通常の温度であり、例えば約25℃である。
【0030】
一方、第2テーブル65は、液体現像剤LDが第1温度よりも高い第2温度に調整されている場合における回転部材55の回転速度と溶解樹脂の濃度との間の関係を予め求めて作成した検量線データである。第2温度は第1温度よりも高いので、液体現像剤LDが第2温度のとき、液体現像剤LDの粘度は低下する。
【0031】
なお、濃度検出装置50が溶解樹脂の濃度ではなく液体現像剤LDの濃度を検出するように構成したい場合、第1テーブル64は、液体現像剤LDが第1温度に調整されている場合における回転部材55の回転速度と液体現像剤LDの濃度との間の関係を予め求めて作成した検量線データであり、第2テーブル65は、液体現像剤LDが第2温度に調整されている場合における回転部材55の回転速度と液体現像剤LDの濃度との間の関係を予め求めて作成した検量線データである。
【0032】
濃度検出部66は、液体現像剤LDの粘度が濃度(特に溶解樹脂の濃度)に応じて変化する特性と、回転部材55の回転速度が液体現像剤LDの粘度に応じて変化する特性とを利用して、回転部材55の回転速度に基づいて溶解樹脂の濃度を検出する。
【0033】
具体的には、濃度検出部66は、供給ポンプ54、駆動源Mおよびヒータ61を制御すると共に、変位検知手段Dによる変位部材58の変位検知に基づいて第1テーブル64および第2テーブル65を選択的に参照して、回転部材55の回転速度を溶解樹脂の濃度に換算する。
【0034】
変位部材58の変位は、次のようにして起きる。すなわち、液体現像剤LDの粘度が高いとき、液体現像剤LDは、回転部材55による攪拌に伴い、図2に示すように、貯留容器51の所定の液位置LVを越えて回転軸56に絡み付きやすく、塊ADを形成する。図示は省略しているが、液体現像剤LDは回転部材55にも絡み付いている。このとき、液体現像剤LDの塊ADは変位部材58に接触して、変位部材58を二点差線で示すホーム位置H1から実線で示す変位位置H2に移動させる。このようにして起きた変位部材58の変位は、変位検知手段Dによって検知される。回転軸56に液体現像剤LDが絡み付いた状態では回転部材55の回転速度は正確に検出されない。
【0035】
そこで、本実施形態では、液体現像剤LDの回転軸56への絡み付きに対処するために、濃度検出部66は、変位部材58の変位が検知されたとき(液体現像剤LDが回転軸56に絡み付いているとき)、まず、ヒータ61を制御して液体現像剤LDを温めることにより、液体現像剤LDの温度を第2温度に昇温させ、次に、第2テーブル65を参照して、回転部材55の回転速度を溶解樹脂の濃度に換算する一方、変位部材58の変位が検知されないとき(液体現像剤LDが回転軸56に絡み付いていないとき)、第1テーブル64を参照して、回転部材55の回転速度を溶解樹脂の濃度に換算するように構成されている。
【0036】
濃度検出部66による具体的な検出動作を、図3のフローチャートを参照して説明する。濃度検出部66は、溶解樹脂の濃度検出にあたり、まず、供給ポンプ54を制御して、液体現像剤LDを貯留容器51に供給し、液体現像剤LDを所定の液位置LVに調整する(ステップS1)。次に、濃度検出部66は、駆動源Mを制御して回転部材55を一定の駆動力で回転させる(ステップS2)。そして、濃度検出部66は、変位検知手段Dの検知に基づいて回転部材55の回転速度を溶解樹脂の濃度に換算する。
【0037】
すなわち、変位部材58の変位が検知されなかったとき(ステップS3においてNO)、濃度検出部66は、回転速度検出部57によって検出された回転部材55の回転速度を得た後(ステップS4)、第1テーブル64を参照して、回転部材55の回転速度を溶解樹脂の濃度に換算する(ステップS5)。これにより、溶解樹脂の濃度が得られる。
【0038】
一方、変位部材58の変位が検知されたとき(ステップS3においてYES)、濃度検出手段は、ヒータ61を制御して(ステップS6)、液体現像剤LDを第2温度に昇温させる(ステップS7)。液体現像剤LDの昇温は、温度検出センサ62による液体現像剤LDの温度検出に基づいて行われる。液体現像剤LDが第2温度に達すると、ヒータ61による昇温は停止される。そして、濃度検出部66は、回転速度検出部57によって検出された回転部材55の回転速度を得た後(ステップS8)、第2テーブル65を参照して、回転部材55の回転速度を溶解樹脂の濃度に換算する(ステップS9)。これにより、溶解樹脂の濃度が得られる。
【0039】
以上説明した本実施形態に係る濃度検出装置50によれば、濃度検出部66は、変位部材58の変位が検知されたとき、まず、ヒータ61を制御して液体現像剤LDを第2温度に昇温させる。そのため、粘度が温度に応じて変化する特性に従って液体現像剤LDの粘度は低下するので、液体現像剤LDの塊AD(図2)は崩れ、液体現像剤LDの回転軸56への絡み付きが解消される。これにより、回転部材55の回転速度が正確に検出される。本実施形態では、第2温度は、液体現像剤LDの回転軸56への絡み付きが解消される程度の温度であり、例えば約50℃である。
【0040】
そして、濃度検出部66は、液体現像剤LDの回転軸56への絡み付きを解消した後、第2テーブル65を参照して回転部材55の回転速度を溶解樹脂の濃度に換算する。また、濃度検出部66は、変位部材58の変位が検出されないとき(つまり、液体現像剤LDの回転軸56への絡み付きが発生していないとき)、ヒータ61を制御することなく、第1テーブル64を参照して回転部材55の回転速度を溶解樹脂の濃度に換算する。このように、本実施形態に係る濃度検出装置50によれば、変位部材58の変位が検知されたときだけヒータ61を用いるので、液体現像剤LDが回転部材55の回転軸56に絡み付かないように液体現像剤LDを常に温める構成と比較して消費電力を小さくすることができる。
【0041】
また、本実施形態に係る濃度検出装置50によれば、濃度検出部66は、液体現像剤LDが第1温度の場合における回転部材55の回転速度と溶解樹脂の濃度との間の関係を予め求めて作成した第1テーブル64と、液体現像剤LDが第2温度の場合における、つまり、液体現像剤LDが回転軸56に絡み付かない程度に液体現像剤LDを昇温させた場合における回転部材55の回転速度と溶解樹脂濃度との間の関係を予め求めて作成した第2テーブル65とを選択的に参照して、回転速度を濃度に換算する。これにより、液体現像剤LDの粘度が高い場合であっても溶解樹脂の濃度検出の精度を維持することができる。その結果、濃度検出装置50は、広い粘度レンジで溶解樹脂の濃度を正確に検出することができる。また、画像形成装置の現像剤調整部は、濃度検出装置50が検出した正確な溶解樹脂の濃度に基づいて溶解樹脂の濃度を調整することができるので、着色粒子の定着状態が良い高画質の画像を得ることができる。
【0042】
なお、本実施形態では、液体現像剤LDを第2温度に昇温させる際の温度変化による粘度の変化量を考慮するために、第2テーブル65を追加した構成につき説明したが、第2テーブル65に代えて、前記粘度の変化量に対応する補正係数を、第1テーブル64である検量線データに加味することで、回転部材55の回転速度を溶解樹脂の濃度に換算してもよい。
【0043】
(湿式画像形成装置)
図4は、上述の濃度検出装置50が組み込まれたカラープリンタ1(湿式画像形成装置)の概略構成図であり、図5は、液体現像剤循環装置の部分を除いたカラープリンタ1の概略断面図である。なお、図4および図5は、画像形成装置としてカラープリンタを例示している。
【0044】
図4に示される如く、カラープリンタ1は、画像形成のための様々なユニットや部品が収納される上側本体部1Aと、この上側本体部1Aの下部に配置され、各色用の液体現像剤循環装置LY、LM、LC、LBが収納される下側本体部1Bとから構成されている。
【0045】
図5に示すように、上側本体部1Aには、画像データに基づいて画像を形成するタンデム式の画像形成部2と、シートを収容するシート収納部3と、画像形成部2で形成された画像をシート上に転写する二次転写部4と、画像が形成されたシートを排紙する排出部6と、シート収納部3から排出部6までシートを搬送するシート搬送部7とが含まれている。
【0046】
画像形成部2は、中間転写ベルト21と、中間転写ベルト21のクリーニング部22と、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の各色にそれぞれ対応した画像形成ユニットFY、FM、FC、及びFBとを備える。
【0047】
中間転写ベルト21は、導電性を有する、幅広の、無端状のベルト部材であり、図1において時計回りに循環駆動される。
【0048】
画像形成ユニットFY、FM、FC、FBは、中間転写ベルト21の下側走行面に沿って並べて配置されている。
【0049】
画像形成ユニットFY、FM、FC、FBは、感光体ドラム10と、帯電装置11と、LED露光装置12と、液体現像装置14と、一次転写ローラ20と、クリーニング装置26と、除電装置13と、キャリア液除去ローラ30とを備える。
【0050】
円柱状の感光体ドラム10の表面(周面)は、帯電(本実施形態ではプラス極性に帯電)された着色粒子で顕像化された画像を担持可能である。図示される感光体ドラム10は、反時計回りに回転可能である。帯電装置11は、感光体ドラム10の表面を一様に帯電させる。
【0051】
LED露光装置12は、LEDを光源として有し、外部の機器から入力された画像データに基づいて、一様に帯電された感光体ドラム10の表面に光を照射する。これにより、感光体ドラム10の表面に、画像データに基づいた静電潜像が形成される。
【0052】
液体現像装置14は、液体現像剤を、感光体ドラム10の表面に形成された静電潜像に対向するように保持する。これにより、帯電された液体現像剤で感光体ドラム10表面の静電潜像が顕像化され、画像として現像される。
【0053】
図6に示されるように、液体現像装置14は、現像容器140、現像ローラ141、供給ローラ142、支持ローラ143、供給ローラブレード144、現像クリーニングブレード145、現像剤回収装置146及び現像ローラ帯電装置147を含む。
【0054】
現像容器140は、その内部に、液体現像剤が供給され、液体現像剤を貯留する。液体現像剤は、濃度調整が予め行われた後、供給ノズル278から現像容器140の内部へ供給される。その場合、液体現像剤は、供給ローラ142と支持ローラ143とのニップ部へ向けて供給され、余剰分は支持ローラ143の下方へ落下し、現像容器140の底部に貯留される。余剰の液体現像剤は回収され、再利用される。
【0055】
支持ローラ143は現像容器140の略中央に配置され、供給ローラ142に下方から当接されてニップ部を形成する。供給ローラ142は、支持ローラ143の直上ではなく、供給ノズル278から離れる方向にずれて配置される。供給ローラ142の周面には液体現像剤を保持するための溝が設けられる。図中に点線矢印で示すように、支持ローラ143は反時計方向に、供給ローラ142は時計方向に回転する。
【0056】
供給ノズル278から供給される液体現像剤は、前記ニップ部で一時的に滞留され、両ローラ142,143の回転に伴って、供給ローラ142の溝に保持された状態で上方へ運ばれる。供給ローラブレード144は、供給ローラ142の周面に圧接され、供給ローラ142の溝に保持される液体現像剤の量が所定量になるように規制する。供給ローラブレード144により掻き落とされた余剰の液体現像剤は、現像容器140の底部に貯留される。
【0057】
現像ローラ141は、現像容器140の上部開口部に、供給ローラ142と接するように配置される。現像ローラ141は供給ローラ142と同方向に回転される。この結果、現像ローラ141と供給ローラ142とが当接するニップ部では、現像ローラ141の表面は供給ローラ142の表面と逆方向に移動する。これにより、現像ローラ141の周面には、供給ローラ142の周面に保持された液体現像剤が受け渡される。供給ローラ142の溝に保持される液体現像剤の量(液体現像剤の薄層の厚み)が所定値に規制されているので、現像ローラ141の表面に担持される液体現像剤の量(液体現像剤の薄層の厚み)もまた所定値に保たれる。
【0058】
現像ローラ帯電装置147は、液体現像剤の着色粒子の帯電極性と同極性のバイアス電位(本実施形態ではプラス極性のバイアス電位)を現像ローラ141に外表面側から与えること(現像コロナチャージ)により、現像ローラ141の表面に担持された液体現像剤の薄層中の着色粒子を現像ローラ141の表面側に移動させる。この結果、液体現像剤の薄層中の着色粒子が電界的作用により現像ローラ141側に集合・圧縮され(コンパクション処理)、現像ローラ141側に高濃度の着色粒子の層が形成される。この後、感光体ドラム10の表面の静電潜像の電位と現像ローラ141に印加される現像電界との電位差によって、液体現像剤の薄層は、感光体ドラム10に供給されて、感光体ドラム10上の静電潜像が現像される。
【0059】
現像クリーニングブレード145は、現像ローラ141の感光体ドラム10との接触部の回転方向下流側に接触するように配置され、感光体ドラム10への現像動作を終えた現像ローラ141の表面の液体現像剤を除去する。
【0060】
現像剤回収装置146は、現像クリーニングブレード145で除去された液体現像剤を回収して、液体現像剤循環装置の第1パイプ771へ液体現像剤を送り出す。
【0061】
一次転写ローラ20は、中間転写ベルト21と接触している位置で、中間転写ベルト21に着色粒子と逆極性(本実施形態ではマイナス)の電圧を印加する。中間転写ベルト21は導電性を有するので、この印加電圧によって、中間転写ベルト21の表面側及びその周辺に着色粒子が引き付けられる。つまり、感光体ドラム10の表面に現像された画像が中間転写ベルト21に転写される。
【0062】
クリーニング装置26は、感光体ドラム10から中間転写ベルト21に転写されずに残留した液体現像剤をクリーニングするための装置である。クリーニング装置26は、図6に示すように、残留現像剤搬送スクリュー261と、クリーニングブレード262とを備える。残留現像剤搬送スクリュー261は、クリーニングブレード262によって掻き取られ、クリーニング装置26内に収納された残留現像剤をクリーニング装置26の外部に搬送する。
【0063】
除電装置13は、除電用の光源を有し、次の周回による画像形成に備えて、クリーニングブレード262による液体現像剤の除去後、感光体ドラム10の表面を光源からの光によって除電する。
【0064】
略円柱状のキャリア液除去ローラ30は、感光体ドラム10と中間転写ベルト21とが接触する位置よりも二次転写部4が配置されている側に配置されており、中間転写ベルト21の表面からキャリア液を除去する。
【0065】
図5に示されるシート収容部3は、上側本体部1Aの下部に配置されると共に、シートを収容する給紙カセット(図示せず)を含む。
【0066】
二次転写部4は、中間転写ベルト21上に形成された画像をシートに二次転写する。二次転写部4は、中間転写ベルト21を支持する支持ローラ41と、支持ローラ41に対向して配置された二次転写ローラ42とを有する。
【0067】
二次転写部4の上側には、搬送ローラ8,8が備えられている。上側本体部1Aの上面に設けられた排出部6には、画像が転写され、画像の定着が完了したシートが排出される。シート搬送部7は、複数の搬送ローラ対を備え、シート収容部3から、二次転写部4を経て、排出部6までシートを搬送する。
【0068】
本実施形態に係る上側本体部1Aでは、次に説明する液体現像剤を用いることにより、シートに転写された画像を熱や光のエネルギーを用いてシートに定着させる定着工程を経ることなく、シートに転写された画像をシートに定着させることができる。
【0069】
(液体現像剤)
本実施形態に係る液体現像剤は、電気絶縁性のキャリア液と、キャリア液中に分散された着色粒子と、キャリア液中に溶解された溶解樹脂であるセルロースエーテルとを含有する。
【0070】
一般に、電気絶縁性のキャリア液は液体キャリアの役割を果たし、得られる液体現像剤の電気絶縁性を高めることを目的として用いられる。電気絶縁性のキャリア液としては、電気絶縁性を有するものであって、例えば、25℃における体積抵抗が1010Ω・cm以上(換言すれば導電率が100pS/cm以下)の有機溶剤が好ましい。
【0071】
本実施形態で使用し得るキャリア液としては、前記物性に加えて、セルロースエーテルを溶解させることができるもの(セルロースエーテルの溶解度が相対的に高いもの)が好ましい。そのようなキャリア液としては、例えば、植物性の油、動物性の油、鉱物性の油等の油類が挙げられ、これらのうちでも植物性の油が好ましく、さらには植物性の油のうちでも、トール油脂肪酸(主成分:オレイン酸、リノール酸)が好ましい。
【0072】
本実施形態では、着色粒子として、顔料を結着樹脂に分散させたトナーではなく、顔料そのものを用いる。そのような顔料としては、例えば、従来公知の有機顔料や無機顔料を特に限定することなく用いることができる。
【0073】
本実施形態では、液体現像剤は、溶解樹脂であるセルロースエーテルを含有する。セルロースエーテルは、セルロース分子内の水酸基がアルコキシ基に置換された高分子である。置換率は、45〜49.5%が好ましい。また、アルコキシ基のアルキル部分が例えばヒドロキシル基等によって置換されていてもよい。セルロースエーテルによって形成された被膜は、強靭性、熱安定性等に優れている。
【0074】
本実施形態に係る液体現像剤では、セルロースエーテルは、キャリア液に溶解した状態で存在する。その結果、画像のシートへの定着のメカニズムはおよそ次のようなものである。すなわち、液体現像装置14の現像容器140内に貯留されている液体現像剤中のセルロースエーテルは、キャリア液に溶解した状態で存在している。この状態は、現像ローラ141上、感光体ドラム10上、中間転写ベルト21上においても同様である。もっとも、液体現像剤中に占めるキャリア液の比率は次第に低減していくが、液体現像剤中のセルロースエーテルはキャリア液に溶解した状態のままである。そして、二次転写部4により、画像が中間転写ベルト21からシートに転写されると、キャリア液中のセルロースエーテルと着色粒子(顔料)とはシートの表面に残留する一方、キャリア液はシートの内部に吸収される。これに伴い、シートの表面上においてキャリア液中のセルロースエーテルの濃度が高くなり、飽和溶解量を超える。飽和溶解量を超えたセルロースエーテルは、シートの表面上に留まっている顔料を被覆しつつ、シートの表面上に留まって被膜を形成する。このセルロースエーテルの被膜によって顔料がシートに定着されることとなり、熱エネルギーや光エネルギーを消費することなく、顔料つまりシートに転写された画像をシートに定着させることができ、湿式画像形成装置における消費エネルギーの削減が図られる。これは、環境保護の面で極めて有利な作用である。また、本実施形態に係る湿式画像形成装置1は、従来から用いられてきた熱や光のエネルギーを用いた定着部が不要となり、湿式画像形成装置1の簡素化やコストダウンが図られる。
【0075】
液体現像剤中のセルロースエーテルの含有量は1〜6質量%であることが好ましい。より好ましくは、2質量%以上であり、さらに好ましくは、3質量%以上である。また、より好ましくは、5質量%以下であり、さらに好ましくは、4質量%以下である。セルロースエーテルの含有量が1質量%未満であると、シートの表面上に留まるセルロースエーテル被膜の量が少なくなり過ぎ、造膜性ひいては定着性が過度に不足する可能性がある。セルロースエーテルの含有量が6質量%を超えると、シートの表面上に留まるセルロースエーテル被膜の量が多くなり過ぎ、被膜の乾燥性が過度に低下し、被膜の粘着性(タック性)が過度に大きくなり、画像の耐擦過性が過度に低下する可能性がある。また、現像性が不足し、画像濃度が低くなり、かぶりが多くなる可能性もある。
【0076】
(液体現像剤循環装置)
次に、液体現像剤の供給及び回収系統について説明する。図7は、一つの液体現像剤循環装置LYの全体の概略を示すブロック図である。他の液体現像剤循環装置LM、LC、LBも同じ構成である。この液体現像剤循環装置LYは、現像装置14へ液体現像剤を供給すると共に、現像に利用されずに回収された液体現像剤を循環させ、再利用するための装置である。
【0077】
液体現像剤循環装置LYは、回収現像剤タンク71、現像剤調整部72、顔料タンク73、樹脂タンク74、キャリアタンク75、現像剤リザーブタンク76及び複数のポンプP1〜P8を備えている。
【0078】
回収現像剤タンク71は、現像装置14に第1パイプ771を介して接続され、現像装置14側から回収された液体現像剤を収容可能なタンクである。第1パイプ771は、現像剤回収装置146に接続され、第1パイプ771の途中には、第1ポンプP1が配置され、第1ポンプP1の駆動により第1パイプ771を通して現像剤回収装置146によって回収された残存液体現像剤が、回収現像剤タンク71に収集される。また、回収現像剤タンク71には、現像容器140から延びる図略のパイプが接続されている。このパイプにより、現像容器140中に残存している液体現像剤が回収現像剤タンク71に回収される。
【0079】
現像剤調整部72は、濃度が適正に調整された液体現像剤LDを調製すると共に、後述する濃度検出装置723の濃度検出に基づいて液体現像剤LDの濃度を調整する。回収現像剤タンク71に接続された現像剤収容容器720を有する。現像剤収容容器720は、回収された残存液体現像剤LDと、顔料と、樹脂溶液及びキャリア液を加えることで、濃度が適正範囲に調整された液体現像剤LDを調製するための容器である。現像剤収容容器720は回収現像剤タンク71と第2パイプ772を介して接続されており、この第2パイプ772には第2ポンプP2が取り付けられている。回収現像剤タンク71内の液体現像剤LDは、第2ポンプP2の駆動により第3パイプ83を通して現像剤収容容器72に送られる。
【0080】
現像剤収容容器72内には、液体現像剤量LDを検出するために、回転羽根721及び回転羽根721を回転させる駆動軸722を含む液面検出装置が配置されている。回転羽根721は、現像剤収容容器272内における液体現像剤LDの液面高さが所定高さ位置以上となったときに、該液体現像剤LDと接触するように配置されている。駆動軸722はモータ(図略)で回転駆動され、回転羽根721が液体現像剤LDの液面と接触することに伴う前記モータの負荷変化に基づいて、液体現像剤量が検出される。
【0081】
顔料タンク73には、各色の画像形成に寄与する顔料の分散液が貯留されている。結着樹脂タンク74には、セルロースエーテルが絶縁性有機溶剤に溶解された状態で貯留されている。キャリアタンク75には、キャリア液が貯留されている。
【0082】
顔料タンク73と現像剤収容容器72とは第3パイプ773で接続されており、顔料分散液は、第3パイプ773の途中に設けられた第3ポンプP3の駆動によって現像剤収容容器72へ供給される。結着樹脂タンク74と現像剤収容容器72とは第4パイプ774で接続されており、セルロースエーテルは、第4パイプ774の途中に設けられた第4ポンプP4の駆動によって現像剤収容容器72へ供給される。キャリアタンク75と現像剤収容容器72とは第5パイプ775で接続されており、キャリア液は、第5パイプ775の途中に設けられた第5ポンプP5の駆動によって現像剤収容容器72へ供給される。
【0083】
現像剤リザーブタンク76は、現像装置14に補給する液体現像剤を収納するタンクである。現像剤リザーブタンク76は、現像剤収容容器720と第6パイプ776で接続されており、第6パイプ776の途中に設けられた第6ポンプP6の駆動によって、現像剤収容容器720から液体現像剤LDの供給を受ける。さらに現像剤リザーブタンク76は、現像装置14内に液体現像剤を供給する上述の供給ノズル278と第7パイプ777で接続されており、前記液体現像剤の供給は、第7パイプ777に取り付けられた第7ポンプP7の駆動によって実行される。
【0084】
現像剤収容容器720内の液体現像剤の濃度は、濃度検出装置723による液体現像剤LDの濃度、特に溶解樹脂の濃度の検出結果に基づいて調整される。濃度検出装置723として、図1〜図3を参照して説明した濃度検出装置が用いられる。現像剤収容容器720には、現像剤収容容器720の底部に接続された循環管路778が付設されている。循環管路778には、濃度検出装置723及び第8ポンプP8が配設されている。第8ポンプP8の駆動によって、濃度検出装置723の貯留容器51へ液体現像剤LDが取り入れられ、溶解樹脂の濃度測定後、液体現像剤LDは現像剤収容容器720へ戻される。図略の制御部は、濃度検出装置723の濃度測定結果に基づき、第3〜第5ポンプP3〜P5を適宜駆動させ、液体現像剤の濃度を調整して、液体現像剤を調製する。
【符号の説明】
【0085】
1 画像形成装置
2 画像形成部
50 濃度検出装置
51 貯留容器
55 回転部材
56 回転軸
57 回転速度検出部
58 変位部材
60 変位検知部
63 記憶部
66 濃度検出部
AD 液体現像剤の塊
LD 液体現像剤
LR 所定の液範囲
LV 所定の液位置
M 駆動源
R 回転機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘度が変化する液体現像剤の濃度を検出する濃度検出装置であって、
前記液体現像剤を所定の液位置で貯留する貯留容器と、
前記液体現像剤中で回転可能な回転部材と、
前記回転部材が取り付けられた回転軸と、
前記回転軸を一定の駆動力で回転させる駆動源と、
前記回転部材の回転速度を検出する回転速度検出手段と、
前記所定の液位置よりも上方かつ前記回転軸の近傍の所定位置に配置され、前記所定位置から変位可能な変位部材と、
前記変位部材が変位したことを検知する変位検知手段と、
前記液体現像剤を温める加温手段と、
前記加温手段を制御すると共に、前記回転速度に基づいて前記液体現像剤の前記濃度を検出する濃度検出部と、
を備え、
前記濃度検出部は、前記変位部材の変位が検知されたとき、まず、前記加温手段を制御して前記液体現像剤を温め、次に、前記液体現像剤の前記濃度を検出する濃度検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の濃度検出装置において、
さらに、前記液体現像剤が第1温度の場合における前記回転速度と前記液体現像剤の前記濃度との間の関係を予め求めて作成した第1テーブルと、前記液体現像剤が前記第1温度よりも高い第2温度の場合における前記回転速度と前記濃度との間の関係を予め求めて作成した第2テーブルとを記憶する記憶部を備え、
前記濃度検出部は、
前記変位部材の変位が検知されないとき、前記第1テーブルを参照して前記回転速度を前記濃度に換算し、
一方、前記変位部材の変位が検知されたとき、まず、前記加温手段を制御して前記液体現像剤を前記第2温度に昇温させ、次に、前記第2テーブルを参照して前記回転速度を前記濃度に換算する濃度検出装置。
【請求項3】
液体現像剤を用いてシート上に画像を形成する画像形成部と、
請求項1または2に記載の濃度検出装置と、
前記濃度検出装置による検出に基づいて前記液体現像剤の濃度を調整する調整部と、
を備えた画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置において、
前記液体現像剤は、キャリア液と、前記キャリア液中に分散された顔料と、前記キャリア液中に溶解された溶解樹脂とを含み、
前記溶解樹脂は、前記シート上で前記顔料を定着させるために用いられており、
前記濃度検出装置は、前記溶解樹脂の濃度を検出するものであり、
前記第1テーブルおよび前記第2テーブルはそれぞれ、前記回転部材の回転速度と前記溶解樹脂の前記濃度との関係を予め求めて作成されたものであり、
前記調整部は、前記濃度検出装置による検出に基づいて前記溶解樹脂の前記濃度を調整する画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−128088(P2012−128088A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278199(P2010−278199)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリュ−ションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】