説明

濃縮器及びこれを備えた過酸化水素ガス発生装置

【課題】比較的簡易な構成でありながら濃縮すべき溶液の過剰濃縮を十分確実に防止できる濃縮器及びこれを備えた過酸化水素ガス発生装置を提供すること。
【解決手段】本発明に係る濃縮器20は、濃縮すべき溶液を収容する容器本体23と、容器本体23内の溶液を加熱するヒータ21aと、容器本体23の気相部にガスを吹き込むガス導入口と、容器本体23の気相部に設けられたガス排出口25と、容器本体23の濃縮液を排出するための濃縮液排出手段26と、溶液の濃縮開始時には液相内にあり且つ溶液の濃縮に伴って低下する液面Lが濃縮を停止すべき高さとなったときに液面L上に露出する位置に設けられた温度検出部29aを有する温度センサ29とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濃縮器及びこれを備えた過酸化水素ガス発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
過酸化水素(H)による滅菌処理は、内視鏡、歯科材料、チャンバー内部、配管内部、冷凍乾燥器の滅菌などに適用されている。過酸化水素水溶液を気化させて過酸化水素ガスを滅菌剤として使用する方法が知られている(下記特許文献1〜5を参照)。具体的には、過酸化水素水溶液の液滴を加熱された表面へと供給して又は加熱した気流へと過酸化水素液を噴霧し、気化した過酸化水素を掃気して滅菌対象の表面へと導いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3915598号公報
【特許文献2】特許第3783337号公報
【特許文献3】特許第4088347号公報
【特許文献4】特許第4255637号公報
【特許文献5】特許第4421181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、高濃度の過酸化水素水溶液は輸送上の困難性のため、通常では過酸化水素濃度35質量%の水溶液が滅菌処理の原料として使用される。しかしながら、過酸化水素濃度35質量%の水溶液は、水の含有量が78mol%をも占めるため、これを気化させると多くの水蒸気を含む混合ガスが発生する。この過剰な水蒸気がチャンバー内で結露して水滴となって残り、チャンバー内の被処理物(特に電子機器)の故障を引き起こす問題がある。また、過酸化水素濃度35質量%の水溶液を原料に使用した場合、チャンバー内の過酸化水素ガス濃度を必要な値にまで上げ、この値を維持することが困難であった。
【0005】
すなわち、従来の装置にあっては、チャンバー内の過酸化水素ガス濃度を維持するため、チャンバー内を減圧する真空装置が必要であった。あるいは、過酸化水素ガスをチャンバー内に導入するためのキャリアガスを加熱するエアーヒータが必要であった。また、従来の滅菌方法にあっては、滅菌が完了するまでチャンバー内の過酸化水素ガス濃度を維持するため、チャンバー内の乾燥処理を繰り返し行う必要があった。この乾燥処理によって失われた過酸化水素を補うため、その都度、過酸化水素ガスを追加するという操作が行われる。この場合、追加される過酸化水素ガスにも多量の水蒸気が含まれているため、ガス供給の間は常に乾燥処理を継続的又は断続的に実施する必要がある。
【0006】
他方、過酸化水素濃度35質量%の水溶液を濃縮して使用しようとした場合、高濃度の過酸化水素溶液(例えば、過酸化水素濃度70質量%超)への有機物の混入などをきっかけとして下記の分解反応が加速的に進行するおそれがある。
2H→2HO+O
過酸化水素を濃縮している段階で上記反応が加速的に進行すると、過酸化水素の濃縮器の内圧が急に上昇して濃縮器の部品及びこれに連通するガス発生器の部品などが損傷を受けて装置が故障する可能性がある。このため、過酸化水素水溶液を過剰に濃縮しないように、濃縮の動作を停止すべきタイミングを的確に把握する必要がある。しかし、濃縮液の濃度を都度測定し、その結果を待って濃縮の動作を停止する方法では、時間が掛かってしまって効率的でなく、滅菌に使用する過酸化水素ガスの発生装置としては実用的でない。なお、濃縮液の液面レベルをモニタリングして濃縮状態を確認する方法も考えられる。しかし、過酸化水素溶液の濃縮器は安全性を考慮して耐圧容器とする必要があり、液面をモニタリングするための窓を容器に設けることや、反射光を利用した液面計器などを設けることはその構造が複雑となり濃縮器の形成上困難である。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、比較的簡易な構成でありながら濃縮すべき溶液の過剰濃縮を十分確実に防止できる濃縮器を提供することを目的とする。また、本発明は、上記濃縮器を備えた過酸化水素ガス発生装置であって、過酸化水素濃度35質量%の過酸化水素溶液を原料として使用した場合であっても、チャンバー内を減圧することなく、チャンバー内の過酸化水素濃度を十分高い値に維持できる過酸化水素ガス発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、濃縮すべき溶液を収容する容器本体と、容器本体内の溶液を加熱するヒータと、容器本体の気相部にガスを吹き込むガス導入口と、容器本体の気相部に設けられたガス排出口と、容器本体の濃縮液を排出するための濃縮液排出手段と、溶液の濃縮開始時には液相内にあり且つ溶液の濃縮に伴って低下する液面が濃縮を停止すべき高さとなったときに液面上に露出する位置に設けられた温度検出部を有する温度センサとを備える濃縮器を提供する。
【0009】
本発明に係る濃縮器によれば、温度センサによって得られるデータに基づいて濃縮の動作を停止すべきタイミングを的確に把握できる。具体的には、上記のとおり温度センサの温度検出部は、濃縮を停止すべき高さに設定されており、液面がこの高さにまで低下したときに液面上に露出する。液相内にあった温度検出部が液面上に露出すると、温度検出部の表面は溶液で濡れているが、ガス導入口から吹き込まれるガスに曝されると表面の溶液はすぐに気化する。気化に伴う温度低下を温度センサに検出させることで、液面が所定の高さにまで低下したことを液面レベルを目視等で確認しなくても判断できる。
【0010】
上記濃縮器の容器本体は上方から下方に延びており上端及び下端が閉じられた円筒状を有するとともに、ガス導入口から容器本体の内壁面に沿うように曲がり且つ溶液の液面に対して斜め上方から空気を吹き付ける位置に先端が設けられたガス吹込み管が容器本体内に延びていることが好ましい。かかる構成の濃縮器を使用することで、濃縮器の気相部に竜巻状の気流を生じさせることができ、これにより原料の過酸化水素水溶液から十分に効率的且つ安定的に濃縮液を得ることができる。
【0011】
上記濃縮器は、濃縮動作を自動化する観点から、温度検出部が液面上に露出した後、温度検出部に付着した溶液の気化に伴う温度低下を温度センサが検知すると自動的に溶液の濃縮(溶液の加温)を停止する制御手段を更に備えることが好ましい。上記温度低下は、15秒以内における4℃以上の温度低下とすることができる。
【0012】
本発明は、チャンバー内において被処理物の滅菌に使用する過酸化水素ガスの発生装置であって、上記濃縮器と、この濃縮器で濃縮された過酸化水素水溶液を気化させて過酸化水素ガス及び水蒸気を含む混合ガスを発生させる気化手段と、キャリアガスとともに混合ガスをチャンバーに供給するガス供給手段とを備える過酸化水素ガス発生装置を提供する。
【0013】
本発明に係る過酸化水素ガス発生装置は、原料の過酸化水素水溶液(以下、場合により「原料液」という。)を濃縮する手段として上記濃縮器を採用している。この濃縮器は比較的簡易な構成でありながら原料液の過剰濃縮を十分確実に防止できる。従って、この過酸化水素ガス発生装置はコンパクトなサイズでありながら、高い安全性を有するものとすることができる。
【0014】
また、上記過酸化水素ガス発生装置によれば、原料液を濃縮し、濃縮液を気化させることで、過酸化水素濃度が高い混合ガスを安定的に発生させることができる。従って、水蒸気濃度が低い滅菌ガス(ドライガス)で滅菌処理をしたい場合に好適である。水蒸気濃度が高い滅菌ガス(ウェットガス)をチャンバーに供給した場合、過剰な水蒸気でチャンバー内に生じた残留水滴が被処理物(特に電子機器)に悪影響を及ぼすおそれがあるが、本発明によればこれを防止できる。なお、被処理物の種類によってはウェットガスを用いて滅菌処理を行う場合があるが、本発明は濃縮液の過酸化水素濃度を調整することでウェットガスを生じさせることもできる。
【0015】
上記ガス供給手段はチャンバーに連通するガス供給路と、ガス供給路に設けられた送風機とを有することが好ましい。送風機によってチャンバー内に混合ガスを供給することで、チャンバーを減圧する必要がない。このため、チャンバーを耐真空構造にする必要がなく低コストでコンパクトな構成とすることができる。更に過酸化水素ガスの濃度が高く水蒸気濃度が低い混合ガスが安定的に得られるため、チャンバーに過酸化水素ガスを供給している間はチャンバー内の除湿を行わなくてもよいという利点がある。
【0016】
上記気化手段はガス供給路の途中に設けられた気化器を有するとともに、濃縮器で濃縮された過酸化水素水溶液(濃縮液)を気化器に移送するポンプを有することが好ましい。濃縮液の移送にポンプを使用することで、単位時間当たり所定量の濃縮液を気化器に直接供給できる。気化器に供給した濃縮液を気化器内で瞬時のうちに気化させる構成を採用することで、濃縮液を容器などに一旦貯留してこれを加熱して気化させる構成を比較し、過酸化水素の加速的な分解反応の発生をより一層確実に防止できる。
【0017】
本発明の過酸化水素ガス発生装置は、除湿剤が収容される収容部と、当該収容部及びチャンバーに連通する除湿用循環路とを有する除湿手段を更に備えることが好ましい。チャンバーに過酸化水素ガスを供給するに先立ち、この除湿手段によってチャンバー内を除湿することで、過酸化水素ガスをチャンバーに供給した際、チャンバー内における結露の発生をより確実に防止できるとともに、チャンバー内の過酸化水素ガス濃度をより長時間にわたって高いレベルに維持しやすくなる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、比較的簡易な構成でありながら濃縮すべき溶液の過剰濃縮を十分確実に防止できる濃縮器及びこれを備えた過酸化水素ガス発生装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る過酸化水素ガス発生装置の一実施形態を示す構成図である。
【図2】(a)は濃縮用容器の内部構造を示す一部破断図であり、(b)は濃縮用容器のB−B線断面図である。
【図3】(a)は実施例1において熱電対によって測定された濃縮器内の温度変化を示すグラフであり、(b)は濃縮器のヒータ制御を示すグラフである。
【図4】実施例2において2つの熱電対によって測定された濃縮器内の温度変化を示すグラフである。
【図5】比較例1において熱電対によって測定された濃縮器内の温度変化を示すグラフである。
【図6】参考例1における過酸化水素濃度及び水蒸気濃度の経時変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0021】
(過酸化水素ガス発生装置)
まず、図1を参照しながら、本発明の好適な実施形態について説明する。図1に示す通り、本実施形態に係る過酸化水素ガス発生装置100は、チャンバー110内に収容された被処理物の滅菌処理に使用する過酸化水素ガスを発生させるためのものである。
【0022】
過酸化水素ガス発生装置100は、濃縮器20に原料の過酸化水素水溶液A1を供給するための原料供給手段10と、原料の過酸化水素水溶液A1を濃縮して濃縮液を得るための濃縮器20と、濃縮液を得る過程で生じる排液及び排ガスを処理するための手段(排液処理手段30及び排ガス処理手段40)と、濃縮器20の濃縮動作を自動で停止する制御手段50と、濃縮液を気化させて過酸化水素ガス及び水蒸気を含む混合ガスを得る気化器(気化手段)60と、過酸化水素ガスを含む混合ガスをチャンバー110に供給するガス供給手段70とを備える。
【0023】
更に、過酸化水素ガス発生装置100は、チャンバー110内を事前に除湿するための除湿手段80、除湿剤再生手段85及び残留液の回収手段90を備える。
【0024】
原料供給手段10は、ラインL1を通じて原料の過酸化水素水溶液A1を濃縮器20の容器本体23に供給するためのものである。原料供給手段10は、原料の過酸化水素水溶液A1を収容する容器11、ラインL1、ラインL1の途中に設けられたチェックバルブV3及び供給バルブV2によって構成される。
【0025】
濃縮器20は、容器本体23内の過酸化水素水溶液A1を濃縮して濃縮液を得るためのものである。濃縮器20は、容器本体23、ヒータ21a、ヒータ21aの温度制御用温度センサ(図示せず)、ヒータコントローラ21、バキュームポンプ27及び濃縮動作を停止すべきタイミングを把握するための熱電対(温度センサ)29によって構成される。なお、温度センサとして熱電対の代わりに測温抵抗体等を使用してもよい。
【0026】
濃縮液の濃縮度合い、すなわち過酸化水素濃度及び水蒸気濃度を適宜調整することで、発生させる混合ガスをドライな条件下の滅菌処理に適したもの、あるいはウェットな条件下の滅菌処理に適したものにすることができる。なお、容器本体23は、耐熱性及び耐酸性を有するガラス製か、あるいはステンレスを材料にしたもので更に内表面がテフロン(登録商標)加工されたものが好ましい。またヒータ21aとしては、電気ヒータを使用でき、自己温度制御性ヒータ(PTCヒータ)を使用してもよい。
【0027】
図2は濃縮器20の容器本体23の内部構造を示す一部破断図である。同図に示す通り、容器本体23は、上方から下方に延びており上端23a及び下端23bが閉じられた円筒状を有し、その内壁面23Fに沿うように曲がり且つ容器本体23内の液面Lに対して斜め上方から空気を吹き付ける位置に先端24aが設けられた空気吹込み管(ガス吹込み管)24と、容器本体23の上部(気相部)に設けられたガス排出口25と、容器本体23の濃縮液を排出するための濃縮液排出管(濃縮液排出手段)26とを有する。
【0028】
空気吹込み管24の先端24aから液面に向けて空気を吹き付けることによって、容器本体23の気相部に竜巻状の気流を生じる。この場合、このような気流を生じさせない場合と比較して濃縮に要する時間を1/2〜1/4程度に短縮できる。このような効果が奏される主因は、必ずしも明らかではないが内壁面23Fで結露した水に過酸化水素ガスが溶解し、過酸化水素を高濃度で含む液滴が液相部に流下するためと推察される。また、竜巻状の気流によって容器本体23内の水溶液が攪拌されることも短時間の濃縮に寄与するものと推察される。
【0029】
図1に示すように、バキュームポンプ27はガス排出口25に連通するラインL2に設けられている。バキュームポンプ27を作動させることで、ガス排出口25から水蒸気を多く含むガスを吸引して排出させ、他方、空気吹込み管24から容器本体23内に空気を供給することができる。このラインL2の容器本体23とバキュームポンプ27の間に2段の水蒸気トラップ28a,28bが設けられている。水蒸気トラップ28bの気相部にはバキュームポンプ27に連通するラインL2が接続されている。ここでは、容器本体23の下流側にバキュームポンプ27を設置する場合を例示したが、これの代わりに容器本体23の上流側に送風機を設置してもよい。
【0030】
熱電対29は、濃縮動作を停止すべきタイミングを把握するためのものである。熱電対29は、図2に示すように、容器本体23の下端23bの中心部から上方に延びており、先端部(温度検出部)29aが溶液の濃縮開始時には液相内であり且つ溶液の濃縮に伴って低下する液面が濃縮を停止すべき高さとなったときに液面上に露出する位置に設けられている。液相内にあった先端部29aが濃縮の進行による液面の低下によって液面上に露出すると、先端部29aの表面は溶液で濡れているが、空気吹込み管24から吹き込まれる空気に曝されると表面の溶液はすぐに気化する。気化に伴う温度低下を熱電対29に検出させることで、液面が所定の高さにまで低下したことを液面レベルを目視等で確認しなくても判断できる。
【0031】
濃縮器20によれば、比較的簡易な構成でありながら過酸化水素水溶液の過剰濃縮を十分確実に防止でき、過酸化水素の加速的な分解反応による圧力上昇を未然に防止できる。なお、濃縮器20の安全性をより一層高めるため、濃縮器20の気相部に連通する箇所に安全弁V24を配設することが好ましい。
【0032】
排液処理手段30は、水蒸気トラップ28a,28bで回収された排液を処理するためのものである。排液処理手段30は、排液処理触媒が収容された容器31及び排液を収容するタンク32によって構成される。排ガス処理手段40は、排ガス処理触媒によって排ガスを処理して大気へと放散するためのものであり、ラインL2のバキュームポンプ27の後段に設けられている。なお、水蒸気トラップ28bから排出されるガスの一部を上流側に返送し、空気吹込み管24を通じて再度、容器本体23に導入できるようにしてもよい。この場合、例えば、ラインL2をバキュームポンプ27と排ガス処理手段40の間で分岐し、この分岐ラインの先端を空気吹込み管24に接続すればよい。
【0033】
制御手段50は、濃縮器20の濃縮動作を自動で停止するためのものであり、コンピュータ51を有する。コンピュータ51は、熱電対29の測定値が入力されるようになっており、熱電対29が所定の条件を満たす温度低下を検知したときに、濃縮器20の加熱を自動で停止できるように構成されている。例えば、15秒以内における4℃以上の温度低下が観測されたときに、濃縮器20の加熱を自動で停止することが好ましい。なお、濃縮動作の停止は必ずしも自動で行う必要はなく、熱電対29の測定値に基づいて手動で行ってもよい。
【0034】
気化器60は、濃縮器20から移送される濃縮液を気化させて過酸化水素ガス及び水蒸気を含む混合ガスを得るためのものである。気化器60はガス循環ライン(ガス供給路)L5の途中に設けられている。ポンプ62は、濃縮器20と気化器60とを連通するラインL3の途中に配設されており、濃縮器20内の濃縮液をラインL3を通じて気化器60に移送できるようになっている。なお、ラインL3の途中にはドレインバルブV30が設けられている。
【0035】
気化器60は、ガス循環ラインL5なす配管の一部L5aと、この配管の周囲に設けられたヒータ62aと、温度センサ(図示せず)と、ヒータコントローラ64とを備える。なお、ヒータ62aとしては、電気ヒータを使用でき、自己温度制御性ヒータ(PTCヒータ)を使用してもよい。
【0036】
濃縮液の移送にポンプ62を使用することで、単位時間当たり所定量の濃縮液を気化器60に直接供給できる。気化器60に供給した濃縮液を瞬時のうちに気化させる構成を採用することで、濃縮液を容器などに一旦貯留してこれを加熱して気化させる構成を比較し、過酸化水素の加速的な分解反応の発生をより一層確実に防止できる。
【0037】
ガス供給手段70は、過酸化水素ガスを含む混合ガスを空気(キャリアガス)とともにチャンバー110に供給するためのものである。ガス供給手段70は、気化器60及びチャンバー110に連通するガス循環ラインL5及びガス循環ラインL5に設けられた送風機72によって構成される。なお、ガス循環ラインL5の途中には、バルブV16,V26,V27,V18が設けられている。送風機72によってチャンバー110内に混合ガスを供給するため、本実施形態においてはチャンバー110を減圧する必要がないことから、チャンバー110として耐真空構造でないものを使用できる。
【0038】
除湿手段80は、チャンバー110内の湿度を事前に低くしておき、混合ガスを供給した際、チャンバー110内の水蒸気圧が飽和水蒸気圧より低く維持しやすいようにするためのものである。つまり、除湿手段80による除湿工程を事前に実施することで、チャンバー110内における結露の発生をより一層確実に防止できる。図1に示す通り、除湿手段80は、除湿剤が収容された容器82、この容器82及びチャンバー110に連通する除湿用循環ラインL12によって構成される。
【0039】
除湿剤再生手段85は、滅菌処理の終了後、水分を吸収した除湿剤に熱を加えた状態で窒素ガスを流すことによって除湿剤を再生させるためのものである。除湿剤再生手段85は、窒素源86、除湿剤を加熱するヒータ87a及びヒータコントローラ87等によって構成される。除湿工程を実施する場合、図1に示すバルブV18,V19,V26,V12,V41を閉じ、バルブV39,V21,V27,V8,V10を開ける。
【0040】
なお、水分を吸着した除湿剤を再生させるには除湿剤をヒータ87aで300〜370℃程度に加熱した状態で容器82に窒素ガスを供給すればよい。除湿剤に吸着した水は水蒸気となって窒素ガスとともに水蒸気トラップ28a,28bで回収できるようになっている。他方、水蒸気が分離された窒素ガスは排ガス処理手段40を通過後、大気に排出される。
【0041】
残留液の回収手段90は、滅菌処理の終了後、濃縮器20内に濃縮液が残った場合、窒素源86からの窒素ガスで濃縮器20の気相部を加圧し、残留液を容器11に回収するためのものである。この場合、図1に示すバルブV18,V19,V26,V12,V8を閉じ、バルブV39,V21,V27,V41を開ける。また、滅菌処理の終了後、チャンバー110内に残留する過酸化水素を分解する手段を設けてもよく、図1に示す過酸化水素分解手段89で過酸化水素を水と酸素とに分解し、発生した水を容器82内の除湿剤によって除去してもよい。
【0042】
(滅菌方法)
過酸化水素ガス発生装置100を用いた滅菌方法について詳細に説明する。本実施形態に係る滅菌方法は、原料の過酸化水素水溶液A1を濃縮器20に供給する原料供給工程と、濃縮器20内の過酸化水素水溶液を濃縮して濃縮液を得る濃縮工程と、濃縮液を得る過程で生じる排液及び排ガスを処理する工程(排液処理工程及び排ガス処理工程)と、濃縮液を気化させて混合ガスを得る気化工程と、混合ガスをキャリアガスとともにチャンバー110に供給するガス供給工程とを備える。
【0043】
原料供給工程は、所定量の原料の過酸化水素水溶液A1を濃縮器20の容器本体23に供給する工程である。原料の過酸化水素水溶液A1としては、過酸化水素濃度がなるべく高いものが好ましいが、輸送上の容易性の観点から水溶液A1の過酸化水素濃度は35質量以下が好ましく、20〜35質量%であることがより好ましい。
【0044】
濃縮器20の容器本体23に収容させる水溶液A1の量は、バッチ処理によって滅菌を行う場合、水溶液A1の過酸化水素濃度、チャンバー110の容積、滅菌すべき菌の種類などに応じ、BI(Biological Indicator)テストの結果に基づいて設定することが好ましい。例えば、水溶液A1として過酸化水素濃度35質量%の水溶液を使用し、容器本体23において水溶液A1の液量を1/3に濃縮した濃縮液を得る場合、BIテストを実施した結果、容積1.5mのチャンバーに対して水溶液A1を30mL使用すればよいことが確認された。
【0045】
濃縮工程は、容器本体23に供給された水溶液A1を濃縮して濃縮液を得る工程である。濃縮液の過酸化水素濃度は、濃縮液を気化させて得るべき混合ガス(過酸化水素ガス及び水蒸気を含有)の過酸化水素ガス濃度に応じて設定すればよく、これに基づいて濃縮時間を設定することが好ましい。濃縮液の過酸化水素濃度は、好ましくは45〜85質量%であるが、70質量%を超えて高濃度に濃縮するのを防止することにより45〜70質量%とすることがより好ましい。この濃度が45質量%未満であると、濃縮液に含まれている水が70mol%を超えるため気化させた際、混合ガスの過酸化水素濃度が不安定になりやすく、他方、85質量%を越えると、濃縮液の粘度が高くなり流動性が不十分となりやすい。
【0046】
容器本体23内の水溶液A1の温度が70〜100℃程度になるようにヒータ21aの温度を調節するとともに、バキュームポンプ27を起動させて空気吹込み管24から容器本体23内に空気を導入して濃縮処理を開始する。空気吹込み管24から導入された空気は、容器本体23の気相部において竜巻状に流れ、この気流が水溶液A1の濃縮を促進させる。容器本体23内の水溶液の過酸化水素濃度が所定の値となった時点で加熱、空気の吹き込み等を停止し、濃縮作業を終了する。
【0047】
濃縮作業を終了するタイミングは、熱電対29によって測定される容器本体23内の温度変化によって判定する。例えば、15秒以内における4℃以上の温度低下が観測されたときに、濃縮器20の加熱を自動で停止することが好ましい。
【0048】
気化工程は、濃縮器20で得られた濃縮液をポンプ62で気化器60に供給して濃縮液を気化させて混合ガスを発生させる工程である。気化器60に供給された濃縮液が気化器60で瞬時に気化する程度の量をポンプ62で気化器60に供給することが好ましい。これにより、過酸化水素の加速的な分解反応の発生をより一層確実に防止できる。
【0049】
排液処理工程は、濃縮液を得る過程で生じる排液を処理する工程である。水蒸気トラップ28a,28bに溜まった排水を容器31内の排液処理用触媒に通し、排水に中に含まれている可能性のある過酸化水素を水と酸素に分解する。分解処理後、排水をタンク32に移す。
【0050】
排ガス処理工程は、濃縮液を得る過程で生じる排ガスを処理する工程である。バキュームポンプ27から排出されるガスを排ガス処理用触媒に通し、排ガスに中に含まれている可能性のある過酸化水素を水と酸素に分解する。
【0051】
ガス供給工程は、気化器60で発生した混合ガスをチャンバー110に供給する工程である。ガス循環ラインL5の途中に設けられた送風機72を起動し、ガス循環ラインL5を通じて混合ガスをチャンバー110に供給し、被処理物の滅菌処理を実施する。この場合、ガス循環ラインL5及びチャンバー110内の空気がキャリアガスとなる。
【0052】
チャンバー110に供給されるガスは、過酸化水素濃度が250〜1100体積ppmであることが好ましく、600〜1000体積ppmであることがより好ましい。この濃度が250体積ppm未満であると、チャンバー110内における滅菌効率が不十分となりやすく、他方、1100体積ppmを越えると濃縮液単位量当りガス供給時間が短くなりより多くの原料供給量が必要となるとともに、濃縮工程および気化工程の運転コストもその分増大する傾向となる。また、当該ガスの水蒸気濃度は、1900〜8200体積ppmであることが好ましく、2000〜6000体積ppmであることがより好ましい。この濃度が1900体積ppm未満であるとチャンバー110内における滅菌効率が不十分となりやすく、他方、8200体積ppmを越えるとチャンバー110内の過酸化水素ガス濃度を目的の値にまで上昇させることが困難となりやすい。
【0053】
なお、本実施形態においては、上記の濃縮工程、気化工程及びガス供給工程を順次実施して滅菌をバッチ式によって行ってもよく、下記のように濃縮工程、気化工程及びガス供給工程を連続式によって行ってもよい。すなわち、上記実施形態においては、容器11から濃縮器20への原料の水溶液A1の供給量、及び濃縮器20から気化器60への濃縮液の供給量を制御することにより、混合ガスを連続的に発生させることができ、これを連続的にチャンバー110へ供給することができる。
【0054】
除湿工程は、チャンバー110内の気体を送風機72で送風して除湿剤に通して循環させながら除湿する工程である。除湿剤としては、再生が可能なものが好ましく、例えば吸湿性のある市販のゼオライトが挙げられる。なお、除湿剤は配管中に収容させてもよく、具体的には除湿すべき気体がゼオライト上又はゼオライト間を流通するようにゼオライトを配管に設けてもよい。
【0055】
本実施形態に係る過酸化水素ガス発生装置100は、濃縮の動作を熱電対29によって的確に把握できるので、コンパクトなサイズでありながら、高い安全性を有するものとすることができる。また、過酸化水素ガス発生装置100によれば、過酸化水素濃度35質量%の過酸化水素水溶液を原料として使用した場合であっても、チャンバー110内を減圧することなく、チャンバー110内の過酸化水素濃度を十分高い値に維持できる。このため、過酸化水素ガス発生装置100を用いた滅菌方法によれば、高濃度の過酸化水素ガスによって被処理物を高度に滅菌処理できる。また本実施形態に係る滅菌方法によれば、水蒸気濃度が低いガスがチャンバー110に供給されるため、チャンバー110内における結露の発生を十分に抑制できる。他方、水蒸気濃度が高いガスで滅菌処理を実施したい場合にも濃縮液の濃縮度合いを適宜調整することで対応可能である。
【0056】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、濃縮時間の短縮化の点から特に好ましい例として図2に示す構成の容器本体23を例示したが、これに代えて原料の過酸化水素溶液A1の過酸化水素濃度を高めることができる装置(例えば、蒸留器)などを使用してもよい。
【0057】
また、過酸化水素ガス発生装置100は、除湿手段80、除湿剤再生手段85及び残留液の回収手段90を具備するものであるが、これらの構成は必ずしも必須の構成ではない。
【0058】
更に、上記実施形態においては本発明に係る濃縮器を過酸化水素水溶液の濃縮に使用する場合を例示したが、本発明の濃縮器はヒドロキシ基を有する化合物の水溶液や殺菌剤又は消毒薬の水溶液などの濃縮に適用してもよい。
【実施例】
【0059】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0060】
(実施例1)
図1,2に示す濃縮器20と同様の構成の濃縮器を作製した。この濃縮器を使用して熱電対(温度センサ)による自動検知による過剰濃縮防止機能試験を行った。
【0061】
まず、原料の過酸化水素水溶液(過酸化水素濃度35質量%、市販品)が入った試薬瓶を準備し、この試薬瓶と濃縮器とを配管で接続した。濃縮器として、図2に示す容器と同様の構成の円筒状のステンレス製容器(直径43mm、高さ170mm、内壁面:フッ素樹脂によるコーティング加工)を使用した。試薬瓶から濃縮器に原料液を60mL供給した。60mLの原料が濃縮器で濃縮されて濃縮液の濃度が70質量%となる濃縮器内の液面レベルの位置(25mLの液面レベルの位置)に熱電対の温度検知部を設置した。
【0062】
濃縮器の外表面に設けた電気ヒータの温度が130℃となるように調節し、原料液を加温した。濃縮器内の液体を攪拌するとともに、バキュームポンプによってガス排出口からガスを吸引することによって空気吹込み管から濃縮器内の液面に向けて空気を吹き付け、気相部に竜巻状の気流を生じさせた。バキュームポンプの吸引量は25L/分とした。
【0063】
過剰濃縮防止機能により加温ヒータが停止するまで濃縮を実施した。濃縮を開始(ヒータON)してから熱電対の検知温度が60秒間に約4℃低下したときに濃縮器のヒータを自動的に停止(ヒータOFF)させる自動制御を行った。ヒータによる加温を開始してから25分を過ぎて液面が熱電対の温度検出部に近づくにしたがって測定温度がゆっくりと低下しはじめ、その後(加温開始から61分後)、表面張力によって液相に浸かっていた熱電対の温度検出部が液面上に露出したとき、熱電対の測定温度が約4℃下がったものと推察される(図3参照)。停止後に濃縮器内を調べ液面レベルが熱電対の検知部の位置であること及び濃縮液の濃度が70質量%であることを確認した。目的の濃度を超えて例えば70質量%を超えて高濃度に濃縮される過剰濃縮が熱電対を使い液面を自動検知することにより防止できることを確認した。
【0064】
(実施例2)
上記ステンレス製容器(濃縮器)の40mLの液面レベルの位置及び45mLの液面レベルの位置に熱電対の温度検知部を設置した。試薬瓶から濃縮器に原料液を60mL供給した後、濃縮器の外表面に設けた電気ヒータの温度が130℃となるように調節し、原料液を加温した。濃縮器内の液体を攪拌するとともに、バキュームポンプによってガス排出口からガスを吸引することによって空気吹込み管から容器内の液面に向けて空気を吹き付け、気相部に竜巻状の気流を生じさせた。バキュームポンプの吸引量は25L/分とした。図4に2つの熱電対(40mLの液面レベルの位置及び45mLの液面レベルの位置)の測定値を示す。図4に示すとおり、いずれの熱電対の測定温度についても60秒間に約4℃低下する現象が認められた(図4中の矢印)。
【0065】
(比較例1)
上記ステンレス製容器の50mLの液面レベルの位置に熱電対の温度検知部を設置した。この容器に水を60mL入れた後、容器の外表面に設けた電気ヒータの温度が130℃となるように調節し、原料液を加温した。本比較例では、バキュームポンプを運転しなかった。すなわち、空気吹込み管からの空気を吹き付けを実施せず、気相部に竜巻状の気流を生じさせなかった。図5に熱電対の測定値を示す。試験後に容器内を調べ液面レベルが熱電対の検知部よりも下方に位置にあることを確認したが、図5に示すとおり、熱電対の測定値は一定であり、60秒間に約4℃低下する現象が認められなかった。
【0066】
(参考例1)
図1に示す気化器60と同様の構成の気化器を有する過酸化水素ガス発生装置を作製し、この装置を用いて過酸化水素水溶液の濃縮及び濃縮液の気化を実施した。まず、原料の過酸化水素水溶液(過酸化水素濃度35質量%、市販品)が入った試薬瓶を準備し、この試薬瓶と濃縮器とを配管で接続した。なお、濃縮器として、図2に示す容器と同様の構成の円筒状のステンレス製容器(直径43mm、高さ170mm、内壁面:フッ素樹脂によるコーティング加工)を使用した。試薬瓶から濃縮器に原料液を32mL供給した。
【0067】
濃縮器の外表面に設けた電気ヒータの温度が130℃となるように調節し、原料液を加温した。濃縮に要する時間を短縮するため、容器内の液体を攪拌するとともに、バキュームポンプによってガス排出口からガスを吸引することによって空気吹込み管から容器内の液面に向けて空気を吹き付け、気相部に竜巻状の気流を生じさせた。バキュームポンプの吸引量は25L/分とした。このような濃縮処理を約45分にわたって実施した結果、過酸化水素濃度65質量%の水溶液が18mL得られた。
【0068】
本参考例においては、濃縮器内の濃縮液を気化させて混合ガスを発生させる前に、チャンバー(容積1.5m)内の除湿処理を実施した。除湿剤として吸水性ゼオライトを使用し、チャンバー内の相対湿度を20%にまで低下させた。
【0069】
除湿処理後、気化器から過酸化水素を含む混合ガスをチャンバーに供給できるようにバルブ操作を行った。気化器に供給された濃縮液が瞬時に気化するように、濃縮器内の濃縮液の全量(18mL)を100分間かけて気化器に供給されるように濃縮液を少量ずつ気化器に供給した。加熱用容器の出口においてガスを採取し、NIR近赤外分析計を用いて過酸化水素濃度及び水蒸気濃度を連続的に分析した。図6に過酸化水素濃度及び水蒸気濃度の経時変化を示し、表1に分析結果を示す。なお、滴下開始から100分経過後にポンプを停止して気化器への濃縮液の供給を止めた。
【0070】
【表1】

【符号の説明】
【0071】
20…濃縮器、21a…ヒータ、23…容器本体、23F…内壁面、24…空気吹込み管(ガス導入口)、24a…空気吹込み管の先端、25…ガス排出口、26…濃縮液排出手段、29…熱電対(温度センサ)、29a…熱電対の先端部(温度検出部)、30…排液処理手段、40…排ガス処理手段、50…制御手段、60…気化器、62…濃縮液供給用ポンプ、70…ガス供給手段、72…送風機、80…除湿手段、100…過酸化水素ガス発生装置、110…チャンバー、A1…原料の過酸化水素水溶液、L3…濃縮液供給ライン、L5…ガス循環ライン(ガス供給路)、L12…除湿用循環ライン(除湿用循環路)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
濃縮すべき溶液を収容する容器本体と、
前記容器本体内の溶液を加熱するヒータと、
前記容器本体の気相部にガスを吹き込むガス導入口と、
前記容器本体の気相部に設けられたガス排出口と、
前記容器本体内の濃縮液を排出するための濃縮液排出手段と、
溶液の濃縮開始時には液相内であり且つ溶液の濃縮に伴って低下する液面が濃縮を停止すべき高さとなったときに液面上に露出する位置に設けられた温度検出部を有する温度センサと、
を備える濃縮器。
【請求項2】
前記容器本体は上方から下方に延びており上端及び下端が閉じられた円筒状を有するとともに、前記ガス導入口から前記容器本体の内壁面に沿うように曲がり且つ溶液の液面に対して斜め上方から空気を吹き付ける位置に先端が設けられたガス吹込み管が前記容器本体内に延びている、請求項1に記載の濃縮器。
【請求項3】
前記温度検出部が液面上に露出した後、前記温度検出部に付着した溶液の気化に伴う温度低下を前記温度センサが検知すると自動的に溶液の濃縮を停止する制御手段を更に備える、請求項1又は2に記載の濃縮器。
【請求項4】
前記温度低下は、15秒以内における4℃以上の温度低下である、請求項3に記載の濃縮器。
【請求項5】
チャンバー内において被処理物の滅菌に使用する過酸化水素ガスの発生装置であって、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の濃縮器と、
前記濃縮器で濃縮された過酸化水素水溶液を気化させて過酸化水素ガス及び水蒸気を含む混合ガスを発生させる気化手段と、
キャリアガスとともに前記混合ガスを前記チャンバーに供給するガス供給手段と、
を備える過酸化水素ガス発生装置。
【請求項6】
前記ガス供給手段は前記チャンバーに連通するガス供給路と、前記ガス供給路に設けられた送風機とを有する、請求項5に記載の過酸化水素ガス発生装置。
【請求項7】
前記気化手段は前記ガス供給路の途中に設けられた気化器を有するとともに、前記濃縮器で濃縮された過酸化水素水溶液を前記気化器に移送するポンプを有する、請求項6に記載の過酸化水素ガス発生装置。
【請求項8】
除湿剤が収容される収容部と、当該収容部及び前記チャンバーに連通する除湿用循環路とを有する除湿手段を更に備える、請求項5〜7のいずれか一項に記載の過酸化水素ガス発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−135378(P2012−135378A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288586(P2010−288586)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000226219)日揮ユニバーサル株式会社 (12)
【Fターム(参考)】