説明

濾材及び濾材用の不織布の製造方法

【課題】構造が簡単で濾過効率を向上させることができるとともに、製造工程を削減して、製造コストを低減することができる濾材及び濾材用の不織布の製造方法を提供する。
【解決手段】不織布22により襞状の濾材21を形成する。不織布22上には、襞23の列設方向へ延びるように厚肉部24を形成する。その厚肉部24により、襞23が密着することを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば空調装置において、空調エア浄化用のエアクリーナのフィルタエレメント等に用いられる濾材、及びその濾材を形成するための不織布の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のフィルタエレメント41用の濾材としては、例えば図12〜図14に示すような構成が知られている。この従来構成のフィルタエレメント41の濾材42は、不織布により襞状に折り曲げ形成されている。濾材42の両端縁には端板43が接着固定され、これらの端板43により濾材42の襞の両端縁が閉塞されている。
【0003】
このように、襞状の濾材42を用いたフィルタエレメント41においては、図13に矢印で示すように、エアが濾材42を通過すると、端板43から離れた襞延長方向の中間部において同図に鎖線で示すように、エアの圧力により濾材42の襞が膨出して襞の側壁同士が相互に密着またはそれに近い状態になるおそれがある。このような状態になると、エアがフィルタエレメント41を通過しにくくなり、濾過効率の低下を招くことにある。ちなみに、フィルタエレメント41を通過するエアはそのほとんどが山部と谷部とを除く側壁を通過するため、側壁同士が密着すると、前述の事態となる。このような不具合に対処するため、図12及び図14に示すように、端板43から濾材42の襞の延長方向の中間部において、襞間には固定層44が充填材のホットメルト等により形成されている。そして、この固定層44の存在により、濾材42の襞が相互に密着しないように保持されている。
【0004】
また、従来の濾材の製造方法としては、例えば特許文献1及び特許文献2に開示されるような方法が提案されている。特許文献1に記載の従来方法においては、図15に示すように、シート状の不織布45を加熱してそれに含まれるバインダを軟化させた状態で、その不織布45上に折り目線46を所定間隔おきに形成している。それとともに、各折り目線46間の不織布45上には、膨出状の突出部47を成形している。そして、不織布45を折り目線46において交互に山形状及び谷形状に折り曲げることにより、全体として襞状の濾材42が形成されている。この状態で、図16に示すように、隣接する突出部47が互いに当接することにより、濾材42の襞の密着が防止されるようになっている。
【0005】
さらに、特許文献2に記載の従来方法においては、図17に示すように、シート状の不織布45上に折り目線46を所定間隔おきに形成し、その後、各折り目線46間の不織布45上に接着剤を間欠的に供給することにより、突片状のスペーサ48を形成している。そして、不織布45を折り目線46において折り曲げることにより、襞状の濾材42が形成されている。この状態で、図18に示すように、隣接するスペーサ48が互いに当接され、この当接により、濾材42の襞の密着が防止されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−220427号公報
【特許文献2】特表2001−524373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、前述した従来の濾材及びその製造方法においては、次のような問題があった。
図12〜図14に示す従来構成においては、濾材42の製造工程において、襞状の濾材42を形成した後、濾材42の襞の谷部内に固定層44を形成する必要がある。このため、濾材42の製造工程が増加して、製造コストが高くなるとともに、固定層44の形成部分においては濾材42の通気性が失われて、濾過効率が低下するという問題があった。また、充実体よりなる固定層44が形成されているため、フィルタエレメント41の重量が増してしまい、フィルタエレメント41を重量管理の厳重な車両に搭載する場合には都合が悪い。
【0008】
また、図15及び図16に示す特許文献1に記載の従来方法では、シート状の不織布45上に小さな突出部47を膨出により形成しているため、その突出部47の角部等が突出部47の成形時に破れやすいという問題があった。このように、不織布45に破れが生じると、フィルタエレメントとしての機能が著しく損なわれる。
【0009】
さらに、図17及び図18に示す特許文献2に記載の従来方法では、シート状の不織布45上にスペーサ48のための接着剤を間欠的に供給する必要がある。このため、前述した図12〜図14に示す従来構成の場合と同様に、濾材42の製造工程が増加して、製造コストが高くなるとともに、スペーサ48の形成部分において濾材42の通気性が失われて、濾過効率が低下するという問題があった。さらに、特許文献2の従来技術においては、スペーサ48が粘性を有する接着剤の塗布に形成されるようになっているため、スペーサとして所要の形状を得ることはきわめて困難であり、その形状を得ることが出来ない場合は、襞の密着防止機能を確保できないおそれが多分にある。しかも、この特許文献2の構成は、図12〜図14の従来構成と同様に、充実体よりなるスペーサ48が設けられるため、重量増の問題もあった。
【0010】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。この発明の主な目的は、構造が簡単であるとともに、濾過効率を向上させることができる濾材を提供することにある。この発明の他の目的は、製造工程を削減して、製造コストを低減することができる濾材用の不織布の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、この発明は、不織布により襞状に形成された濾材において、不織布上に厚肉部を形成し、その厚肉部により襞の密着を防止するようにしたことを特徴としている。
【0012】
従って、この発明の濾材においては、不織布上に厚肉部を形成するという簡単な構造により、襞の密着を防止することができる。よって、濾材の襞間に固定層や突出部やスペーサを形成した従来構成に比較して、濾材の構造を簡略化することができるとともに、固定層やスペーサを形成した従来構成とは異なり、濾過効率の低下を招くおそれを抑制することができる。なお、ここで、厚肉部とは、不織布を構成する繊維により不織布の厚肉部以外の部分と一体に形成された構成を指すものとする。
【0013】
前記濾材の構成において、前記厚肉部を襞の列設方向へ延びるように形成するとよい。このように構成した場合には、厚肉部を襞の延長方向の中央部付近において、襞の列設方向へ延びるように形成すれば、襞がその延長方向の中央部付近において互いに密着することを防止できる。
【0014】
前記濾材の構成において、前記厚肉部上に複数の凹部を所定間隔おきに形成し、それらの凹部を襞の山部及び谷部に位置させるように構成するとよい。このように構成した場合には、厚肉部を形成した不織布を山形状及び谷形状に折り曲げて襞状の濾材を形成する際に、厚肉部上の凹部において不織布を容易に折り曲げることができる。
【0015】
前記濾材の構成において、前記厚肉部を襞の谷部に沿って延びるように形成するとよい。このように構成した場合には、襞の各谷部に設けられた厚肉部により、襞が互いに密着することを防止できる。
【0016】
また、この発明は、前記のような構成の濾材となる不織布をメルトブローにより製造する製造方法において、前記厚肉部を、他の部分より大きな径のノズル孔から繊維を噴出させることにより形成することを特徴としている。
【0017】
従って、この発明の製造方法においては、不織布をメルトブローにより製造する際に、不織布上に厚肉部を同時に一体形成することができる。よって、濾材の襞間に固定層を形成したり、不織布上に突出部やスペーサを形成する従来の製造方法に比較して、製造工程を削減することができて、製造コストを低減することができる。
【0018】
前記の不織布の製造方法において、前記厚肉部を所定間隔で圧潰することにより厚肉部に複数の凹部を形成するとよい。このようにした場合には、厚肉部上に複数の凹部を所定間隔おきで容易に形成することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、この発明によれば、濾材の構造が簡単で濾過効率を向上させることができるとともに、製造工程を削減して、製造コストを低減することができるという効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1実施形態の濾材を示す要部斜視図。
【図2】図1の2−2線における部分拡大断面図。
【図3】図1の濾材を形成するための不織布の製造方法を示す斜視図。
【図4】図3の製造方法におけるメルトブロー装置を拡大して示す底面図。
【図5】図3の5−5線における部分拡大断面図。
【図6】第2実施形態の濾材を示す部分断面図。
【図7】図6の濾材を形成するための不織布の製造方法を示す斜視図。
【図8】図7の製造方法により製造された不織布の要部拡大斜視図。
【図9】第3実施形態の濾材を形成するための不織布を示す部分断面図。
【図10】第4実施形態の濾材を示す要部斜視図。
【図11】図10の濾材を形成するための不織布の製造方法を示す斜視図。
【図12】従来の濾材を用いたフィルタエレメントを示す斜視図。
【図13】図12の13−13線における部分拡大断面図。
【図14】図12の14−14線における部分拡大断面図。
【図15】特許文献1に記載の従来の濾材の製造方法を示す斜視図。
【図16】図15の16−16線における部分拡大断面図。
【図17】特許文献2に記載の従来の濾材の製造方法を示す斜視図。
【図18】図17の18−18線における部分拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
以下に、この発明を具体化した濾材の第1実施形態を、図1〜図5に従って説明する。
図1及び図2に示すように、この実施形態の濾材21は、熱可塑性繊維よりなる不織布22により構成され、山部23a及び谷部23bが備えられた複数の襞23を有するように折り曲げ形成されている。不織布22上には一対の厚肉部24が、襞23の延長方向の中央部付近においてその延長方向に所定間隔をおくとともに、襞23の列設方向へ連続して延びるように形成されている。そして、この厚肉部24により、濾材21の襞23の剛性が高められている。その結果、この濾材21を用いたフィルタエレメントの使用時において、図2に矢印で示すように、エアが濾材21を通過する際に、そのエアの圧力によって濾材21の襞23が膨出することが防止され、その結果、襞23が互いに密着することが防止される。
【0022】
なお、図示はしないが、この濾材21を空調装置において空調エアの浄化に用いる場合は、濾材21を空調経路のケース内に収容するために、濾材21の襞23の延長方向両端部に図13に示すような端板が接着により固定される。
【0023】
次に、前記のように構成された濾材21の不織布22を製造するための製造方法を、図3〜図5に従って説明する。
さて、この不織布の製造方法においては、水平面上に配置された金網,パンチングメタル等の通気性シートよりなるコンベア31が図3の矢印方向に走行される。そして、この走行中において、メルトブロー装置のヘッド32の下面に列設された複数のノズル孔33からコンベア31上に溶融状態の樹脂繊維が噴出される。このとき、コンベア31を挟んでメルトブローヘッド32の下方に配置された図示しない空気吸引装置により、図5に矢印で示すように、コンベア31を通して空気が下方に吸引される。その結果、コンベア31上にシート状の不織布22が形成される。
【0024】
この場合、図4に示すように、メルトブローヘッド32の下面に列設された複数のノズル孔33のうちで、中央部付近に配置された2つのノズル孔33aの径が、他のノズル孔33bの径よりも大きくなるように形成されている。このため、大径のノズル孔33aから噴出される樹脂繊維量が小径のノズル孔33bから噴出される樹脂繊維量よりも多くなって、不織布22の幅方向の中央部付近に2条の厚肉部24が形成される。なお、前記ノズル孔33は、実際にはもっと数が多く、高い密度で配列されている。
【0025】
そして、大径のノズル孔33aから噴出される大径の繊維は剛性が高いために、繊維噴出とともにヘッド32からブローされるエアの影響を受けにくく、ノズル孔33aの直下に集積されて、山状の厚肉部24となる。しかも、コンベア31を下方に通る吸引流により、コンベア31の上面に接する不織布22の底部側の部分の繊維密度は高くなるが、厚肉部24の繊維は、前記吸引流の影響を受けにくく、高剛性で曲がりにくいことも相まって、比較的低密度となる。従って、不織布22に厚肉部24を形成したことによって、不織布22の通気性が低下するおそれはほとんどない。なお、径の小さなノズル孔33bは、その直径が3〜5μm程度であり、径の大きなノズル孔33aは、その直径が50〜150μm程度である。
【0026】
そして、図3に示すように、シート状の不織布22が厚肉部24の延長方向と直交する方向において、所定間隔おきで交互に山部23a及び谷部23bとが形成されるように加熱雰囲気下で折り曲げられることにより、襞23を有する濾材21が形成される。この状態で、厚肉部24が濾材21の幅方向の中央部付近において、襞23の列設方向へ延びるように配置される。
【0027】
以上のように、この実施形態の濾材においては、襞状の濾材21を構成する不織布22上に、厚肉部24が襞23の列設方向へ延びるように形成され、この厚肉部24により濾材21の襞23,とりわけその襞23の側壁の剛性が高められている。このため、この濾材21を用いたフィルタエレメントの使用時に、エアの圧力によって濾材21の襞23の傾斜している側壁がエアの下流側に向かって膨出することを抑制できる。従って、濾材21の襞23が互いに密着するおそれを防止することができる。
【0028】
よって、この第1実施形態においては、以下の効果がある。
(1) この実施形態においては、濾材の襞間に固定層や突出部やスペーサを形成した図12〜図18に示す従来構成に比較して、濾材の構造を簡略化することができるとともに、通気性を有しない固定層やスペーサを形成した従来構成とは異なり、濾過効率の低下を招くおそれを抑制することができる。
【0029】
(2) 厚肉部24の部分も不織布の一部を構成するとともに、厚肉部24を構成する繊維が太くてもその部分は繊維密度が低いために、厚肉部24が形成されていても、高い濾過効率を確保できる。
【0030】
(3) 図15及び図16に示す特許文献1の構成とは異なり、密着防止のための厚肉部24が破れるおそれはないため、フィルタエレメントとしての機能が損なわれるおそれはない。
【0031】
(4) 厚肉部24が接着剤等の充実体よりなる密着防止構造ではなく、この厚肉部24もフィルタエレメントの他の部分と同様にメルトブローによって形成されるため、しかも、厚肉部24は繊維密度が低いために、厚肉部24のための重量増加はごくわずかであり、この実施形態の構成は、車両の空調用のフィルタエレメントとして好適である。
【0032】
(5) この実施形態の濾材用の不織布の製造方法においては、不織布22をメルトブローにより製造し、不織布22上の厚肉部24を、他の部分のノズル孔33bよりも大きな径のノズル孔33aから樹脂繊維を噴出させることにより形成している。このため、不織布22をメルトブローにより製造する際に、その不織布22上に厚肉部24を同時に一体形成することができる。よって、濾材の襞間に固定層を形成したり、不織布上に突出部やスペーサを形成したりする従来の製造方法に比較して、製造工程を削減することができて、製造コストを低減することができる。
【0033】
(6) しかも、厚肉部24を形成するために、ノズル孔の径を広げただけであるから、装置部品が増えることはなく、製造装置の複雑化を避けて、簡素化することができる。
(第2実施形態)
次に、この発明を具体化した濾材及び濾材用の不織布の製造方法の第2実施形態を、前記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0034】
さて、この第2実施形態の濾材21においては、図6〜図8に示すように、不織布22の厚肉部24上に複数の凹部25が所定間隔おきに形成されている。そして、それらの凹部25が襞23の山部23a及び谷部23bに位置するように、襞23が折り曲げ形成されている。
【0035】
この第2実施形態の濾材用の不織布22の製造方法においては、図7に示すように、メルトブローヘッド32に隣接して圧潰部材36が上下動可能に配置されている。この圧潰部材36は、ヒータ(図示しない)を内蔵し、不織布繊維の溶融温度以上に加熱される。そして、前記第1実施形態の場合と同様に、メルトブローヘッド32のノズル孔33a,33bからコンベア31上に樹脂繊維が噴出されることにより、シート状の不織布22及びその不織布22上の厚肉部24が形成される。そして、不織布22の搬送にともない圧潰部材36が厚肉部24上に所定時間毎に下降される。この圧潰部材36によって、厚肉部24の上面が加熱されて圧潰され、図7及び図8に示すように、厚肉部24上に複数の凹部25が所定間隔おきに形成される。
【0036】
その後、図7に示すように、シート状の不織布22が厚肉部24の延長方向と直交する方向において、所定間隔おきに折り曲げられることにより、襞23を有する濾材21が形成される。このとき、厚肉部24上に複数の凹部25が形成されているので、それらの凹部25が襞23の山部23a及び谷部23bに位置するように、不織布22の折り曲げ位置が決定される。
【0037】
従って、この第2実施形態においても、前記第1実施形態に記載の効果と同様な効果を得ることができる。また、この第2実施形態においては、以下の効果を得ることができる。
【0038】
(7) 厚肉部24上に複数の凹部25が所定間隔おきに形成されているため、それらの凹部25を襞23の山部23a及び谷部23bに位置させれば、不織布22を容易に折り曲げて襞状の濾材21を形成することができる。そして、襞23の山部23a及び谷部23bはもともと通気性をほとんど持たず、エアのほとんどは山部23aと谷部23bとの間の側壁を通過するので、山部23a及び谷部23bの厚肉部24が圧潰されて、繊維密度が増していても通気上の問題は生じない。
【0039】
(第3実施形態)
次に、この発明を具体化した濾材用の不織布の第3実施形態を、前記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0040】
さて、この第3実施形態においては、図9に示すように、不織布22が、一定厚さの下部不織布層26と、その下部不織布層26上に積層固定された粒状の活性炭27を含むバインダ層28と、そのバインダ層28上に積層固定された上部不織布層29とより構成されている。そして、上部不織布層29の上面に、前記第1実施形態と同様な2条の厚肉部24が形成されている。
【0041】
従って、この第3実施形態においては、前記活性炭27により脱臭機能を備えられている。それ以外の効果は、前記第1実施形態と同様である。ただし、前記活性炭27や、その他の芳香剤等の機能部品を不織布22の全体に漉き込むようにして混入させる場合は、厚肉部24が存在するために、多量の機能部品を混入させることができる。
【0042】
(第4実施形態)
次に、この発明を具体化した濾材及び濾材用の不織布の製造方法の第4実施形態を、前記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0043】
さて、この第4実施形態の濾材21においては、図10及び図11に示すように、厚肉部24が襞23の谷部23bに沿って延びるように形成されている。そして、この厚肉部24により、濾材21の剛性が襞23の谷部23bに沿って高められて、襞23の密着が防止されるようになっている。
【0044】
また、この第4実施形態の濾材用の不織布22の製造方法においては、図11に示すように、メルトブローヘッド32の下面に大径ノズル孔33aが一定ピッチごとに列設されている。そして、これらのノズル孔33a,33bから樹脂繊維が噴出されることにより、シート状の不織布22が形成されるとともに、その不織布22上に複数の厚肉部24が所定間隔おきで一体に形成される。
【0045】
その後、図11に示すように、シート状の不織布22が厚肉部24の延長方向沿って、各厚肉部24を谷部23bに位置させるように折り曲げることにより、襞23を有する濾材21が形成される。この状態で、各厚肉部24が襞23の各谷部23bにおいてその延長方向に沿って配置される。
【0046】
従って、この第4実施形態においても、前記第1実施形態に記載の効果とほぼ同様な効果を得ることができる。
(変更例)
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
【0047】
・ 前記第3実施形態の多層構造の濾材用の不織布22において、上部不織布層29上の厚肉部24に、前記第2実施形態と同様な所定間隔ごとの凹部25を所定間隔おきに形成すること。
【0048】
・ 前記第1〜第3実施形態において、厚肉部24を1条または3条設けること。
【符号の説明】
【0049】
21…濾材、22…不織布、23…襞、23a…山部、23b…谷部、24…厚肉部、25…凹部、32…メルトブロー装置、33…ノズル孔、33a…大径ノズル孔、33b…小径ノズル孔、36…圧潰部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織布により襞状に形成された濾材において、
不織布上に厚肉部を形成し、その厚肉部により襞の密着を防止するようにしたことを特徴とする濾材。
【請求項2】
前記厚肉部を襞の列設方向へ延びるように形成したことを特徴とする請求項1に記載の濾材。
【請求項3】
前記厚肉部上に複数の凹部を所定間隔おきに形成し、それらの凹部を襞の山部及び谷部に位置させたことを特徴とする請求項2に記載の濾材。
【請求項4】
前記厚肉部を襞の谷部に沿って延びるように形成したことを特徴とする請求項1に記載の濾材。
【請求項5】
請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の濾材となる不織布をメルトブローにより製造する製造方法において、前記厚肉部を、他の部分より大きな径のノズル孔から繊維を噴出させることにより形成することを特徴とする不織布の製造方法。
【請求項6】
前記厚肉部を所定間隔で圧潰することにより厚肉部に複数の凹部を形成することを特徴とする請求項5に記載の不織布の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−194489(P2010−194489A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−44557(P2009−44557)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】