説明

火工品類

【課題】 地上に大掛かりな発射筒などを設置せずに花火を十分な高度に達するまで打ち上げて光らせることができ、かつ打ち上げ後は回収できるとともに回収不能となった場合でも環境破壊を防止できる打ち上げ花火体を提供することにある。
【解決手段】 生分解性のプラスチックで形成された筒状の本体10を有し、この本体10には、耐圧容器12を備え当該耐圧容器12内に封入した水Wを圧縮空気の圧力で噴射可能な噴射部11と、星と割火薬とを内蔵した玉殻が生分解性のプラスチック製の花火玉25を収容する花火玉収容部21と、この花火玉25を点火するための点火部41と、花火玉25の破裂後に外方へ開放されるパラシュート室31と、このパラシュート室31内に収容され風圧で開くパラシュート35と、が設けられた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玩具花火、打ち上げ花火、山や海で使う救難信号や鳥獣を威嚇するための花火等の火工品類に関する。
【背景技術】
【0002】
火工品類の一つである打上花火は、打ち上げ筒を大地に固定して、この打ち上げ筒に発射薬、花火の順に装填し、発射薬に点火して花火玉を空中に打ち上げる。そして打ち上げられた花火 玉の割薬が空中で破裂して花火玉 の中の星が光りながら飛び散り、花火として観賞されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−47894号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記した特許文献1に係わる打ち上げ花火では、花火玉を高く打ち上げるには、地上に大掛かりな発射筒などを設置しなければならず、その準備に手間取る。
【0004】
また、特許文献1に係わる打ち上げ花火では、打ち上げられた花火玉は破裂後にバラバラになって地上に落ちてくるが、これを総て回収するのは困難であり、これをそのまま放置したのでは環境破壊の原因となる。
【0005】
本発明の目的は、地上に大掛かりな発射筒などを設置せずに花火を十分な高度に達するまで打ち上げて光らせることができ、かつ打ち上げ後は回収できるとともに回収不能となった場合でも環境破壊を防止できる火工品類を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、生分解性のプラスチックで形成された本体を有し、この本体には、耐圧容器を備え当該耐圧容器内に封入した水を圧縮空気の圧力で噴射可能な噴射部と、星と割火薬とを内蔵した玉殻が生分解性のプラスチック製の花火玉を収容する花火玉収容部と、この花火玉を点火するための点火部と、花火の破裂後に外方へ開放されるパラシュート室と、このパラシュート室内に収容され風圧で開くパラシュートと、が設けられていることを特徴とする火工品類である。
【0007】
上記した構成の発明の場合、例えば、打ち上げには高圧の水の噴射流が使用されるので、従来のような打ち上げ筒を使用しない。打ち上げ場所を任意に選定できる。また、高圧の水の噴射流で本体を十分な高度に達するまで打ち上げて、当該本体の花火玉収容部の花火玉を破裂させて光や音を発生させることができる。なお、花火玉を破裂させるときまでに、高圧水は噴射を止めているので花火玉の破裂には支障は生じない。
【0008】
また、打ち上げ後は、本体をパラシュートでゆっくりと地上に降ろすので回収も簡単である。仮に回収できなかった場合でも、本体および花火玉の玉殻は生分解性のプラスチック製とされているので、そのまま放置しても最後には分解されて自然にかえる。
【0009】
請求項2の発明は、生分解性のプラスチックで形成された本体を有し、この本体には、発射用火薬を収容しかつ当該発射用火薬の発火によって発生する爆風を噴射可能な噴射部と、星と割火薬とを内蔵した玉殻が生分解性のプラスチック製の花火玉を収容する花火玉収容部と、この花火玉を点火するための点火部と、花火の破裂後に外方へ開放されるパラシュート室と、このパラシュート室内に収容され風圧で開くパラシュートと、が設けられていることを特徴とする火工品類である。
【0010】
上記した構成の発明の場合、本体に備え付けられた噴射部から噴射された発射用火薬の爆風によって打ち上げられるので、従来のような打ち上げ筒を使用しない。したがって、地上に大掛かりな発射筒などを設置する必要はない。打ち上げ場所を任意に選定できる。そして、発射用火薬の爆風力によってせずに本体を十分な高度に達するまで打ち上げることができる。そして、花火玉を破裂させて光や音を発生させることができる。また、打ち上げ後は、本体をパラシュートでゆっくりと地上に降ろすので回収も簡単である。仮に回収できなかった場合でも、本体および花火玉の玉殻は生分解性のプラスチック製とされているので、そのまま放置しても最後には分解されて自然にかえる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、打ち上げには高圧の水の噴射流を使用するので、地上に大掛かりな発射筒などを設置せずに花火を十分な高度に達するまで打ち上げて光や音を発生できる。打ち上げ場所を任意に選定できる。なお、花火玉を破裂させるときまでに、高圧水は噴射を止めているので花火玉の破裂には支障は生じない。
【0012】
また、打ち上げ後は、本体をパラシュートでゆっくりと地上に降ろすので回収も簡単である。仮に回収できなかった場合でも、本体および花火玉の玉殻は生分解性のプラスチック製とされているので、そのまま放置しても最後には分解されて自然にかえる。したがって、環境を破壊することはない。
【0013】
請求項2の発明は、本体の噴射部から噴射された発射用火薬の爆風によって打ち上げられるので、地上に大掛かりな発射筒などを設置する必要はない。打ち上げ場所を任意に選定できる。そして、発射用火薬の爆風力によってせずに本体を十分な高度に達するまで打ち上げることができる。そして、花火玉を破裂させて光や音を発生させることができる。また、打ち上げ後は、本体をパラシュートでゆっくりと地上に降ろすので回収も簡単である。仮に回収できなかった場合でも、本体および花火玉の玉殻は生分解性のプラスチック製とされているので、そのまま放置しても最後には分解されて自然にかえる。したがって、環境を破壊することはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0015】
本発明に係る火工品類である打ち上げ花火1は、図1に示すように、生分解性のプラスチックで形成された筒状の本体10を有し、この本体10には、耐圧容器12を備え当該耐圧容器12内に封入した水Wを圧縮空気の圧力で噴射可能な噴射部11と、星と割火薬とを内蔵した玉殻が生分解性のプラスチック製の花火玉25を収容する花火玉収容部21と、この花火玉25を点火するための点火部41と、花火玉25の破裂後に外方へ開放されるパラシュート室31と、このパラシュート室31内に収容され風圧で開くパラシュート35と、が設けられた構成とされている。
【0016】
なお、花火玉収容部21は、花火玉25の破裂による内圧上昇で扉22が外方へ開くものとされている。また、パラシュート室31は、花火玉収容部21と一部連通しており、花火玉25の破裂による爆風で天井板32が支持33を中心に開放する方向に所定角度だけ開放される構成とされている。パラシュート35は、パラシュート室31に折り畳まれて収容されており、天井板32が開放されると風圧で開くものとされている。なお、図1中、41は点火部であり、花火玉25に電気点火可能に形成されている。図2では、点火部41は図示を省略する。この実施形態では、外部からの無線信号の点火指示により電気火花を発し、花火玉25に点火するものと構成されている。
【0017】
上記した構成の本打ち上げ花火1によれば、打ち上げには高圧の水の噴射流が使用されるので、従来のような打ち上げ筒を使用しない。打ち上げ場所を任意に選定できる。また、高圧の水の噴射流で本体を十分な高度に達するまで打ち上げて、当該本体10の花火玉収容部21の花火玉25を破裂させて光や音を発生させることができる。なお、花火玉25を破裂させるときまでに、高圧水は噴射を止めているので花火玉25の破裂には支障は生じない。
【0018】
また、打ち上げ後は、本体10をパラシュート35でゆっくりと地上に降ろすので回収も簡単である。仮に回収できなかった場合でも、本体10および花火玉25の玉殻26は生分解性のプラスチック製とされているので、そのまま放置しても最後には分解されて自然にかえる。以上より、地上に大掛かりな発射筒などを設置せずに花火を十分な高度に達するまで打ち上げて光らせることができ、かつ打ち上げ後は打ち上げ花火1の大部分(本体10および花火玉25の玉殻26)を回収できるとともに、回収不能となった場合でも分解されて自然にかえる。したがって、環境を破壊することはない。
【0019】
(第2の実施形態)
【0020】
本発明に係る火工品類である打ち上げ花火1Aは、図3に示すように、生分解性のプラスチックで形成された本体50を有し、この本体50には、発射用火薬52を収容しかつ当該発射用火薬52の発火によって発生する爆風を噴射可能な噴射部51と、星と割火薬とを内蔵した玉殻66が生分解性のプラスチック製の花火玉65を収容する花火玉収容部61と、この花火玉65を点火するための点火部81と、花火玉65の破裂後に外方へ開放されるパラシュート室71と、このパラシュート室71内に収容され風圧で開くパラシュート875と、が設けられた構成である。
【0021】
なお、花火玉収容部61は、花火玉65の破裂による内圧上昇で扉62が外方へ開くものとされている。また、パラシュート室71は、花火玉収容部61と一部連通しており、花火玉65の破裂による爆風で天井板72が支持73を中心に開放する方向に所定角度だけ開放される構成とされている。パラシュート75は、パラシュート室71に折り畳まれて収容されており、天井板72が開放されると風圧で開くものとされている。なお、図3中、81は点火部であり、花火玉65に電気点火可能に形成されている。この実施形態では、外部からの無線信号の点火指示により電気火花を発し、花火玉65に点火するものと構成されている。また、点火部81は、噴射部51に発射用火薬の点火も無線信号により指示するものと構成されている。
【0022】
上記した構成の本打ち上げ花火1Aによれば、本体50の噴射部61から噴射された発射用火薬52の爆風によって打ち上げられるので、従来のような打ち上げ筒を使用しない。したがって、地上に大掛かりな発射筒などを設置する必要はない。打ち上げ場所を任意に選定できる。そして、発射用火薬52の爆風力によってせずに本体50を十分な高度に達するまで打ち上げることができる。そして、花火玉65を破裂させて光や音を発生させることができる。また、打ち上げ後は、本体50をパラシュートでゆっくりと地上に降ろすので回収も簡単である。仮に回収できなかった場合でも、本体50および花火玉65の玉殻66は生分解性のプラスチック製とされているので、そのまま放置しても最後には分解されて自然にかえる。したがって、環境を破壊することはない。
【0023】
なお、上記した第1,第2の実施形態で、高圧の水の噴射流や火薬による爆風噴射を利用して本体50を飛行中にその縦軸線を中心として回転させてもよい。これにより、本体50の飛行姿勢が一段と安定し、到達高度を一層高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る打ち上げ花火を説明するための図である。
【図2】本発明に係る打ち上げ花火のパラシュートが開放された状態を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施形態を説明するための図である。
【符号の説明】
【0025】
1 打ち上げ花火
10 本体
21 花火玉収容部
25 花火玉
26 玉殻
31 パラシュート室
41 点火部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生分解性のプラスチックで形成された本体を有し、この本体には、耐圧容器を備え当該耐圧容器内に封入した水を圧縮ガスの圧力で噴射可能な噴射部と、星と割火薬とを内蔵した玉殻が生分解性のプラスチック製の花火玉を収容する花火玉収容部と、この花火玉を点火するための点火部と、花火の破裂後に外方へ開放されるパラシュート室と、このパラシュート室内に収容され風圧で開くパラシュートと、が設けられていることを特徴とする火工品類。
【請求項2】
生分解性のプラスチックで形成された本体を有し、この本体には、発射用火薬を収容しかつ当該発射用火薬の発火によって発生する爆風を噴射可能な噴射部と、星と割火薬とを内蔵した玉殻が生分解性のプラスチック製の花火玉を収容する花火玉収容部と、この花火玉を点火するための点火部と、花火の破裂後に外方へ開放されるパラシュート室と、このパラシュート室内に収容され風圧で開くパラシュートと、が設けられていることを特徴とする火工品類。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−300402(P2006−300402A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−122111(P2005−122111)
【出願日】平成17年4月20日(2005.4.20)
【出願人】(599074844)
【Fターム(参考)】