説明

火災受信機

【課題】火災発報に応じて各中継器に接続されたそれぞれの防排煙機器を連動制御する際に、その制御命令を遮断する設定がなされている状態を容易に確認することができる火災受信機を得る。
【解決手段】火災発報に応じて防排煙機器を連動制御する制御命令を出力する制御部を備え、データベース23は、防排煙機器ごとに制御命令を出力させないためにON設定とする遮断状態データを有し、複数の防排煙機器が2以上の区分け条件によりグループ化されており、制御部21は、遮断状態表示の選択信号入力時には、2以上の区分け条件ごとに各条件の中にON設定されている防排煙機器があるかを識別表示する第1画面を表示させ、第1画面表示中におけるいずれかの区分け条件の選択信号入力時には、グループごとに各グループの中にON設定されている防排煙機器があるかを識別表示する第2画面を切り換え表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下位階層に信号線を介して複数の端末機器が接続された火災受信機において、各端末機器の設定状態に応じて、階層構造の設定状態を適切に表示する火災受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
下位階層に信号線を介して複数の端末機器が接続された従来の火災受信機として、各端末機器の設定状態を知らせるために、その盤面に各種代表表示灯が設けられているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
設定状態の一例として、「遮断状態」について、以下に説明する。ここで、「ある端末機器を遮断状態にする」とは、メンテナンス等の際に、その端末機器を作動させる要因(火災等)が発生した場合においても、その端末機器を作動させるための制御命令を火災受信機が出力しない、つまり制御命令を遮断することを意味している。従って、メンテナンス作業が終わり、実運用状態にする際には、すべての端末機器に対する制御命令を有効とするためには、すべての端末機器の遮断状態を解除しなければならない。
【0004】
代表表示灯の一種である遮断表示灯では、複数の端末機器のいずれかが遮断状態にあることを代表表示する。また、LCD等の表示操作部では、代表表示を種類分けした種類代表スイッチを表示する種類分け表示と、種類分け表示を区分けした遮断スイッチを表示する遮断スイッチ表示と、を階層的に切替表示するものがある。このような階層表示においては、下位階層の遮断スイッチの操作により、遮断スイッチに対応する端末機器の遮断状態を切り替える。
【0005】
火災報知設備のメンテナンス時などにおいて、遮断状態とした端末機器を解除するときに、作業者は、まず、上位階層の種類代表スイッチを操作して、下位階層の画面を表示させる。次に、それぞれの遮断スイッチを操作して、個々に遮断を解除していく。そして、最終的に、遮断表示灯の消灯によって、全ての端末機器の遮断状態が解除されたことがわかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−293186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
上位階層の種類代表スイッチでは、対応する下位階層の遮断スイッチに属する端末機器のいずれかが遮断状態であるか否か(すなわち、遮断状態である端末機器が含まれているか否か)までは表示されていない。このため、端末機器の遮断状態を解除するときに、どの種類代表スイッチを操作して、下位階層の画面を表示すればよいか分からなかった。
【0008】
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、火災発報に応じて各中継器に接続されたそれぞれの防排煙機器を作動させるための制御(連動制御)をする際に、その制御命令を遮断する設定がなされている状態を容易に確認することができる火災受信機を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る火災受信機は、下位階層に設けられた複数の防排煙機器を中位階層に設けられた複数の中継器のいずれかと接続するとともに、中位階層に設けられた少なくとも1以上の感知器または1以上の発信機と複数の中継器とを信号線を介して接続することで階層構造化とし、少なくとも1以上の感知器または1以上の発信機のそれぞれの火災発報と、それぞれの火災発報に連動して動作させるべき防排煙機器との対応関係があらかじめデータベースとして格納された記憶部を有し、少なくとも1以上の感知器または1以上の発信機のいずれかから火災発報を受信した際に、データベースに基づいて、対応する防排煙機器を作動させるための制御命令を必要な中継器に出力する制御部を備えた火災受信機であって、記憶部に格納されたデータベースは、防排煙機器ごとに制御命令を出力させないためにON設定とする遮断状態データを有し、複数の防排煙機器が2以上の区分け条件によりそれぞれグループ化されており、制御部は、遮断状態表示の選択信号が入力された場合には、データベースに基づいて、2以上の区分け条件ごとに各条件の中にON設定されている防排煙機器があるか否かを識別表示する第1画面を表示部に表示させ、第1画面の表示中にいずれかの区分け条件の選択信号が入力された場合には、選択された区分け条件におけるグループごとに各グループの中にON設定されている防排煙機器があるか否かを識別表示する第2画面を表示部に切り換え表示させるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る火災受信機によれば、種別、棟別など、上位のグループごとの遮断設定状態の確認画面、および種別内、棟別内など、下位のグループごとの遮断設定状態の確認画面として、階層ごとに設定状態を確認できる画面を設けることにより、火災発報に応じて各中継器に接続されたそれぞれの防排煙機器を連動制御する際に、その制御命令を遮断する設定がなされている状態を容易に確認することができる火災受信機を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1における火災受信機を含むシステムの全体構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1における火災受信機のデータベースのデータ構成を示す図である。
【図3】火災受信機および防排煙制御用中継器の構成図である。
【図4】本発明の実施の形態1における表示操作部に表示される具体的な画面構成を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1における表示操作部に表示される具体的な画面構成を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態1における表示操作部に表示される具体的な画面構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の火災受信機の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
【0013】
実施の形態1.
まず始めに、システムの全体像について説明する。
図1は、本発明の実施の形態1における火災受信機を含むシステムの全体構成図である。図1においては、火災受信機20から信号線SGが、複数の建物である棟1〜棟3に敷設されており、かつ、各棟の火災防火設備が同等の構成を有している場合を例示している。そこで、棟1に火災防火設備として設けられた各端末機器を中心に、以下に説明する。
【0014】
棟1内には、光電式アナログ感知器SE11、熱アナログ検知器SE12、アドレッサブル発信機SE13、防排煙制御用中継器D11、D12の各機器が、信号線SGを介して火災受信機20と接続されている。この信号線SGを介して接続されている各機器が中位階層の機器に相当する。
【0015】
また、防排煙制御用中継器D11には、複数の防排煙機器を接続することができ、防火戸D111、排煙機D112、シャッタD113、およびたれ壁D114の各機器が、制御回線を介して接続されている。同様に、防排煙制御用中継器D12には、防火戸D121、排煙機D122、シャッタD123、およびたれ壁D124の各機器が接続されている。このように中継器に接続された各機器が下位階層の機器(端末機器)に相当する。
【0016】
そして、棟1と同様の構成を有する棟2、棟3内に設置された各機器も、図1に示すように、信号線SGを介して火災受信機20に接続されている。このように、火災受信機20は、信号線SGを介して、複数の棟に設けられた、階層構造化された火災防火設備と接続されており、火災の発生を検知した場合には火災警報するとともに、必要に応じて防火戸等の防排煙機器を作動させる制御(連動制御)をすることで延焼を防ぐことができる。
【0017】
次に、図1のようなシステム構成における火災時の動作について説明する。この火災時の動作は、以下の(手順1)〜(手順6)の順番で進む。なお、以下の説明において、「光電式アナログ感知器」あるいは「熱アナログ感知器」に代表される機器の総称として「感知器」という用語を使用する。また、「アドレッサブル発信機」に代表される機器の総称として「発信機」という用語を使用する。また、下位階層に各端末機器が接続された「防排煙制御用中継器」に代表される機器の総称として「中継器」という用語を使用する。
【0018】
(手順1)感知器が火災検出するか、または発信機が押される。
(手順2)感知器または発信機は、自己アドレスを付与した火災信号を、信号線SGを介して火災受信機20に通知する。
(手順3)火災受信機20は、火災警報を行うとともに、内蔵しているデータベースに従い、各防排煙機器が接続されている防排煙制御用中継器に送信する制御命令(連動制御)を準備する。
【0019】
ここで、火災受信機が内蔵しているデータベースについて説明する。図2は、本発明の実施の形態1における火災受信機のデータベースのデータ構成を示す図である。この図2におけるデータベースは、「機器」に対応するデータである、「アドレス」、「通番」、「棟」、「種別」、「連動元アドレス」、「遮断初期値」、「遮断状態」の各データで構成されている。
【0020】
「機器」は、図1に示された感知器、発信機、中継器に相当し、信号線SGを介して火災受信機20と直接通信を行うことのできる各機器のことである。「機器」は、データベースには含まれないが、「アドレス」、「通番」等の各データが、どの機器に割り付けられているかを示すために表示している。
「アドレス」は、火災受信機が信号線SGを介して各機器と通信する際に、通信すべき機器を特定できるように、各機器に付与された一意的な番号に相当する。
【0021】
「通番」は、1台の中継器に対して接続された複数の防排煙機器のいずれを制御するかを特定するために、防排煙機器(が接続される各制御回線)に対応して付与された番号に相当する。図2の例では、例えば、防排煙制御用中継器D11に接続されている防火戸D111、排煙機D112、シャッタD113、およびたれ壁D114のそれぞれについて、1〜4の通番が割り付けられている。
【0022】
「棟」は、感知器、発信機、および中継器に接続されているそれぞれの防排煙機器が、どの棟に設置されているかを示す値に相当する。
「種別」は、感知器、発信機、および中継器に接続されているそれぞれの防排煙機器が属する種別を設定してある。
【0023】
この「棟」および「種別」は、それぞれ2以上の区分条件の1つに相当する。また、「棟」は、複数の防排煙機器の設置場所を特定する設置場所条件に相当する。また、「種別」は、複数の防排煙機器の種別を特定する種別条件に相当し、より具体的には、防火戸、排煙機、シャッタ、たれ壁等の種別を意味している。
【0024】
「連動元アドレス」は、感知器または発信機が火災信号を送信した際に、火災受信機20が、それに対応して特定の防排煙機器の状態制御を行うために、各防排煙機器について、連動元となる感知器または発信機のアドレスを割り付けたものである。図2の例では、例えば、防排煙制御用中継器D11に接続されている防火戸D111、排煙機D112、および防排煙制御用中継器D12に接続されている排煙機D122は、アドレス1に対応する光電式アナログ感知器SE11が火災信号を送信した際に火災受信機が連動制御することを規定するために、「連動元アドレス」に1が設定されている。
【0025】
「遮断初期値」は、「遮断状態」データの初期値、つまり、各防排煙機器の遮断状態の初期状態を示しており、すべて「OFF」となっている。すなわち、いずれの防排煙機器に対しても、作動させるための制御命令を有効に出力することを意味している。
【0026】
「遮断状態」は、メンテナンス等において、感知器または発信機の動作試験を行う際に、連動制御により防排煙機器を作動させたくない場合に、その防排煙機器を作動させないために、火災受信機20がその防排煙機器に対して制御命令を出力しないように、表示操作部22(後述する)の操作入力等に基づいて「遮断初期値」データを設定変更したデータである。
【0027】
より具体的には、「ON」が設定されている各防排煙機器は、強制的に制御命令が出力されないように設定されていることを意味する。また、「OFF」が設定されている各防排煙機器は、「連動元アドレス」に設定された感知器あるいは発信機からの火災信号に連動して、制御命令がそのまま出力されるように設定されていることを意味する。
【0028】
従って、図2の例では、「OFF」が設定されている防排煙制御用中継器D11に接続されている排煙機D112、シャッタD113、および防排煙制御用中継器D12に接続されている排煙機D122、シャッタD123のみが、連動動作を行うように設定されていることとなる。一方、「ON」が設定されている他の機器には、たとえ、連動元アドレスの機器が火災発報した場合にも、火災受信機20から制御命令が出力されず、連動動作を行わせないこととなる。
【0029】
ここで、手順3の説明に戻ると、火災受信機20は、例えば、アドレスが1である光電式アナログ感知器SE11が火災発報したときに、連動元アドレスに1が設定されている各防排煙機器(すなわち、図2の例では、防排煙制御用中継器D11に接続された防火戸D111、排煙機D112、および防排煙制御用中継器D12に接続された排煙機D122)を動作させる制御命令を準備する。
【0030】
(手順4)火災受信機20は、動作命令を準備した中継器に設定されている遮断状態がON/OFFのいずれかをチェックし、連動動作を行うべきか否かを判断する。図2の例では、光電式アナログ感知器SE11に連動する防排煙機器のうち、防排煙制御用中継器D11に接続された防火戸D111がONに設定されており、強制的に制御命令を出力しないように設定されている。
【0031】
(手順5)火災受信機20は、準備した制御命令のうち、遮断状態がONに設定されている防排煙機器に対する動作命令を削除して制御命令を修正し、修正後の制御命令を対応する防排煙制御用中継器に対して送信する。
(手順6)火災受信機20からの制御命令を受信した各防排煙制御用中継器は、制御命令に含まれる防排煙機器を作動させる。
【0032】
次に、火災受信機20と防排煙制御用中継器D11との通信を例に、上述した手順3〜6の実現方法について説明する。
図3は、火災受信機20および防排煙制御用中継器D11の構成図である。火災受信機20は、制御部21、表示操作部22、記憶部23、および送受信部24を備えて構成される。一方、防排煙制御用中継器D11は、制御部31、送受信部32、および各防排煙機器に対応した起動部33a〜33dを備えて構成される。
【0033】
先の図2に示したデータベースは、記憶部23に格納されている。そして、手順3において、火災受信機20内の制御部21は、データベースに基づいて、火災信号の送信元である感知器または発信機に連動して動作する防排煙機器を特定し、特定した各防排煙機器が接続されている防排煙制御用中継器に送信する制御命令を準備する。
【0034】
一例として、光電式アナログ感知器SE11が火災発報した場合には、制御部21は、図2のデータベースに基づいて、防排煙制御用中継器D11に接続された防火戸D111、排煙機D112、および防排煙制御用中継器D12に接続された排煙機D122を動作させる制御命令を準備する。
【0035】
次に、手順4において、制御部21は、図2のデータベースに基づいて、防排煙制御用中継器D11に接続された防火戸D111の遮断状態がONに設定されていると判断する。さらに、手順5において、制御部21は、手順3で準備した制御命令のうち、防火戸D111に対する動作命令を削除して、制御命令を修正する。
【0036】
そして、修正後の制御命令、すなわち、防排煙制御用中継器D11に接続された排煙機D112、および防排煙制御用中継器D12に接続された排煙機D122を動作させる制御命令を、それぞれの中継器に対して送信する。
【0037】
次に、手順6において、防排煙制御用中継器D11内の制御部31は、火災受信機20からの制御命令を送受信部32を介して受信する。そして、制御部31は、受信した制御命令に従って、排煙機D112を作動させるため、通番2起動部33bを介して、排煙機D112を作動させる。防排煙制御用中継器D12側の動作も同様である。
【0038】
このようにして、火災受信機20は、感知器あるいは発信機からの火災発報に応じて、各中継器に接続されたそれぞれの防排煙機器を連動制御することができる。ここで、本発明は、先の図2で示したデータベース上の「遮断状態」について、ON/OFFの設定状態の確認および変更を容易にするものである。そして、先の図3における表示操作部22に表示される表示画面を工夫することで、この容易な操作性を実現している。そこで、具体的な表示画面を用いて、操作性の改善を、次に説明する。
【0039】
図4〜図6は、本発明の実施の形態1における表示操作部22に表示される具体的な画面構成を示す図である。なお、図4〜図6の画面において、右側はメニュー表示の固定表示エリア、左側上部は火災感知器などの各機器の状態情報を表示する固定表示エリア、左側下部は常時はブランク表示であるが、メニュー表示における所定のスイッチ操作などによって、所望の画面が表示される可変表示エリアである。図4は、遮断状態を確認したい際に、右側のメニューの中から、遮断状態表示の選択入力に相当する「遮断」スイッチが操作された後に表示される遮断画面(第1画面の相当)を示した図である。これに対して、図5は、図4の遮断画面において、区分け条件の選択入力に相当する「種別遮断」スイッチが操作された場合に遷移する種別連動遮断画面(第2画面に相当)を示した図である。
【0040】
一方、図6は、図4の遮断画面において、区分け条件の選択入力に相当する「棟別遮断」スイッチが操作された場合に遷移する棟別遮断画面(別の第2画面に相当)を示した図である。また、図4〜図6において太枠で囲った部分は、太枠表示する、あるいは表示色が変化するなどにより、作業者が他の表示との識別を可能としていることを意味している。
【0041】
制御部21は、記憶部23に格納されたデータベースに設定されている「遮断状態」のデータに基づいて、図4〜図6のような識別表示を行うための画面(第1画面、複数の第2画面)を操作表示部22に表示させることができる。
【0042】
この「遮断状態」は、種別ごと、あるいは棟別ごと(すなわち、区分け条件ごと)で、まとめてON設定されていることを前提としている。そこで、データベースの「遮断状態」に、先の図2で示したデータが設定されている場合を例に、図4〜図6の表示内容について説明する。この図2のデータベースは、1つの区分け条件である種別として、防火戸およびたれ壁がON設定されているとともに、もう1つの区分け条件である棟別として、棟2がON設定されている場合を例示している。
【0043】
まず、図4〜図6の画面上で共通に固定表示されるメニュー表示において、「遮断」スイッチが太枠表示になっている。この「遮断」スイッチは、図2のデータべースの「遮断状態」に、各防排煙機器のいずれかの遮断状態がON設定されていることを表示する遮断代表表示スイッチである。従って、メニュー表示を見ることにより、作業者は、遮断状態がON設定されている防排煙機器があることを、容易に知ることができる。つぎに、図4の第1画面では、種別として、防火戸およびたれ壁の遮断状態がON設定されているため、「種別遮断」スイッチが太枠表示となっているとともに、棟別として、棟2の遮断状態がON設定されているため、「棟別遮断」スイッチが太枠表示となっている。従って、図4の表示を見ることにより、作業者は、遮断状態がON設定されている種別と棟があることを、容易に知ることができる。すなわち、種別、棟別といった上位のグループとしての遮断状態を、区分け条件ごとに容易に確認することができる。
【0044】
次に、図4の遮断画面において、「種別遮断」スイッチが操作された場合に遷移する図5の第2画面では、種別として、防火戸およびたれ壁の遮断状態がON設定されているため、「防火戸」スイッチおよび「たれ壁」スイッチが太枠表示となっている。従って、図5の表示を見ることにより、作業者は、遮断状態がON設定されている種別が、「防火戸」および「たれ壁」であることを、容易に知ることができる。すなわち、種別の中の下位のグループとしての遮断状態を、区分け条件内のグループごとに容易に確認することができる。
【0045】
ここで、「防火戸」、「たれ壁」などの種別としての個別種別遮断スイッチは、操作によって、対応する種別としての遮断状態のON/OFFの設定を変更操作することができる。メンテナンス作業が終わり、実運用状態にする際には、「防火戸」スイッチおよび「たれ壁」スイッチを操作して、「防火戸」および「たれ壁」に設定されている種別の遮断状態をONからOFFに変更する。
【0046】
すなわち、上記操作した際には、「防火戸」スイッチおよび「たれ壁」スイッチの太枠表示を終了して、防排煙制御用中継器D11の防火戸D111およびたれ壁D114と防排煙制御用中継器D12の防火戸D121およびたれ壁D124と防排煙制御用中継器D21の防火戸211およびたれ壁D214の遮断状態がONからOFFに設定される(但し、各防排煙機器の棟別としての遮断がON設定されている場合は、棟別としての遮断のONが有効であるため「遮断状態」はOFFに設定されない)。
【0047】
また、上記に対して逆に、メンテナンス作業を開始する前には、「防火戸」スイッチおよび「たれ壁」スイッチを操作することで遮断状態を遮断初期値のOFFからONに設定することができる。
【0048】
一方、図4の遮断画面において、「棟別遮断」スイッチが操作された場合に遷移する図6の第2画面では、棟別として、棟2の遮断状態がON設定されているため、「棟2」が太枠表示となっている。従って、図6の表示を見ることにより、作業者は、遮断状態がON設定されている棟が、「棟2」であることを、容易に知ることができる。すなわち、棟別の中の下位のグループとしての遮断状態を、区分け条件内のグループごとに容易に確認することができる。
【0049】
ここで、「棟1」、「棟2」などの棟別としての個別棟別遮断スイッチは、操作によって、対応する棟別としての遮断状態のON/OFFの変更操作することができる。メンテナンス作業が終わり、実運用状態にする際には、「棟2」スイッチを入力して、「棟2」に設定されている棟別の遮断状態をOFFに変更する。
【0050】
すなわち、上記入力した際には、「棟2」スイッチの太枠表示を終了して、防排煙制御用中継器D21の防火戸D211および排煙機D212およびシャッタD213およびたれ壁D214の遮断状態がOFFに設定される(但し、各防排煙機器の種別としての遮断がON設定されている場合は、種別としての遮断のONが有効であるため「遮断状態」はOFFに設定されない)。
【0051】
また、上記に対して逆に、メンテナンス作業を開始する前には、「棟2」スイッチを入力することで遮断状態を遮断初期値のOFFからONに設定することができる。
【0052】
上記の画面構成であるので、火災報知設備のメンテナンス時などにおいて、遮断状態とした防排煙機器があることをメニュー表示における「遮断」スイッチの表示で確認することができる。そして、遮断状態とした防排煙機器を解除するときに、作業者は、まず、「遮断」スイッチを操作して、図4の遮断画面を表示させて、「種別遮断」スイッチおよび「棟別遮断」スイッチの表示を見ることによって、図5の種別連動遮断画面または図6の棟別遮断画面を表示させる前に、下位階層の「防火戸」スイッチなどの「個別種別遮断」スイッチ、または「棟2」スイッチなどの「個別棟別遮断」スイッチの遮断状態がON設定されているかを容易に確認することができる。
【0053】
そして、作業者は、「種別遮断」スイッチまたは「棟別遮断」スイッチを操作して、図5の種別連動遮断画面または図6の棟別遮断画面を表示させて、遮断状態がON設定されている「防火戸」スイッチなどの「個別種別遮断」スイッチ、または「棟2」スイッチなどの「個別棟別遮断」スイッチを操作して、全ての防排煙機器の遮断状態をOFF設定とすることができる。
【0054】
このとき、上位階層の「種別遮断」スイッチおよび「棟別遮断」スイッチ、さらには「遮断」スイッチの表示が切り替わるので、作業者は、全ての防排煙機器の遮断状態がOFF設定されたことを容易に確認することができる。
【0055】
なお、各画面に表示されている「終了」スイッチを操作すれば、上位階層の画面に戻ることができる。また、上記した通り、図2のデータベースにおいて、「遮断初期値」のデータは、火災受信機20の表示操作部22の操作入力に基づいて、各防排煙機器の「遮断設定」についてON/OFFの設定状態が変更されて、「遮断状態」のデータに書き換え更新されるものであり、つまり、データベースとしては、現状における「遮断状態」のデータのみがあればよい。
【0056】
以上のように、実施の形態1によれば、火災発報に応じて各中継器に接続されたそれぞれの防排煙機器を連動制御する際に、その制御命令を遮断する設定がなされている状態を画面表示により容易に確認することができる。さらに、種別、棟別など、上位のグループごとの遮断設定状態、あるいは、種別内、棟別内など、下位のグループごとの遮断設定状態を容易に確認することができる。さらに遮断設定状態を確認しながら操作を行うことができるため、遮断設定を容易に変更できる。
【0057】
なお、上述の説明においては、3階層の階層構造化を有する場合について説明したが、4階層以上についても同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0058】
20 火災受信機、21 制御部、22 表示操作部、23 記憶部、24 送受信部、31 制御部、32 送受信部、33a〜33d 起動部、SG 信号線、SE11 光電式アナログ感知器、SE12 熱アナログ検知器、SE13 アドレッサブル発信機、D11 防排煙制御用中継器、D111 防火戸、D112 排煙機、D113 シャッタ、D114 たれ壁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下位階層に設けられた複数の防排煙機器を中位階層に設けられた複数の中継器のいずれかと接続するとともに、前記中位階層に設けられた少なくとも1以上の感知器または1以上の発信機と前記複数の中継器とを信号線を介して接続することで階層構造化とし、前記少なくとも1以上の感知器または1以上の発信機のそれぞれの火災発報と、前記それぞれの火災発報に連動して動作させるべき防排煙機器との対応関係があらかじめデータベースとして格納された記憶部を有し、前記少なくとも1以上の感知器または1以上の発信機のいずれかから火災発報を受信した際に、前記データベースに基づいて、対応する防排煙機器を作動させるための連動制御する制御命令を必要な前記中継器に出力する制御部を備えた火災受信機であって、
前記記憶部に格納されたデータベースは、防排煙機器ごとに前記制御命令を出力させないためにON設定とする遮断状態データを有し、前記複数の防排煙機器が2以上の区分け条件によりそれぞれグループ化されており、
前記制御部は、
遮断状態表示の選択信号が入力された場合には、前記データベースに基づいて、前記2以上の区分け条件ごとに各条件の中にON設定されている防排煙機器があるか否かを識別表示する第1画面を表示部に表示させ、
前記第1画面の表示中にいずれかの区分け条件の選択信号が入力された場合には、選択された区分け条件におけるグループごとに各グループの中にON設定されている防排煙機器があるか否かを識別表示する第2画面を表示部に切り換え表示させる
ことを特徴とする火災受信機。
【請求項2】
請求項1に記載の火災受信機において、
前記2以上の区分け条件は、前記複数の防排煙機器の設置場所条件と、前記複数の防排煙機器の種別条件とを含み、
前記データベースは、前記設置場所条件として設置場所ごとに前記複数の防排煙機器がグループ化されているとともに、前記種別条件として種別ごとに前記複数の防排煙機器がグループ化されており、
前記制御部は、
前記第1画面として、前記設置場所条件および前記種別条件の各条件の中にON設定されている防排煙機器があるか否かを識別表示し、
前記第1画面を表示中に前記設置場所条件の選択信号が入力された場合には、前記第2画面として、設置場所ごとの各グループの中にON設定されている防排煙機器があるか否かを識別表示し、
前記第1画面を表示中に前記種別条件の選択信号が入力された場合には、前記第2画面として、種別ごとの各グループの中にON設定されている防排煙機器があるか否かを識別表示する
ことを特徴とする火災受信機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の火災受信機において、
前記表示部は、タッチパネル方式の表示器であり、選択信号の入力機能と識別表示機能とを兼ね備える
ことを特徴とする火災受信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−231715(P2010−231715A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−81233(P2009−81233)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】