説明

灯具用駆動回路

【課題】車両用灯具21aの異常を示す信号を安価且つ簡単な回路構成により保持する。
【解決手段】車両用灯具21aを駆動する灯具用駆動回路は、車両用灯具21aの点灯状態を制御する点灯制御部15aと、車両用灯具21a及び点灯制御部15aの動作状態が共に正常であるか又は少なくともいずれか一方の動作状態が異常であるかを判断する動作判断部16aと、動作判断部16aが判断した動作状態を示す出力信号Vwngを外部へ出力する信号出力部17aとを備える。信号出力部17aは、灯具用駆動回路1aへの電力供給が遮断された状態においても出力信号の状態を保持する信号保持部18aを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に発生した異常を示す信号を保持する機能を備える灯具用駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、各車両用灯具が有する光源のいずれかに異常が生じた場合に、これを光源に印加される電圧の変化を元に検出する点灯制御回路が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、半導体光源に供給する電流を規定の電流未満に規制する期間を設定し、当該期間において半導体光源から発生するフォワード電圧と基準判定値とを比較することにより、半導体光源のフォワード電圧の変化に伴う異常の有無を判定している。そして、定格電流に比べて規定の電流を小さくすると、正常な半導体光源のフォワード電圧の低下量に比べて、異常のある半導体光源のフォワード電圧の低下量が大きくなるので、判定精度が向上するとされている。
【0003】
また、図7(a)〜図7(c)に示す車両用灯具の駆動回路51a、51bは、図示しない車両用灯具をそれぞれ駆動し、各車両用灯具に異常があるか又は正常であるかを示す信号を保持する信号保持部67a、67bをそれぞれ備える。信号保持部67a、67bが保持する信号は、車両側ECU54の信号受信部55へ送信され、信号判断部56において各車両用灯具の正常/異常が判断される。そして、その判断結果は信号表示部57に表示され、運転者に報知される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−200610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、図7(a)の信号保持部67a、67bは、バッテリー61a、61bから駆動回路51a、51bへの電源供給が遮断された後から再び開始されるまでの間、バックアップ電源68a、68bから電力供給を受けなければ、信号状態を保持することができない。バックアップ電源68a、68bを使用しない場合、不揮発性メモリ69a、69bに信号状態を示すデータを保存しておく必要が生じる。したがって、いずれにしてもバックアップ電源68a、68bや不揮発性メモリ69a、69bの新たな部材が必要となるので製造コストが上昇し、システムが複雑化してしまう。
【0006】
図7(c)では駆動回路51a、51bではなく車両側ECU54に不揮発性メモリ58を設けているので、車両側ECU54の製造コストが上昇してしまう。
【0007】
図7(b)の信号保持部67a、67bは、スイッチSWa、SWbを介さずバッテリー61a、61bに直接に接続され、スイッチSWa、SWbのオン/オフにかかわらず常時電力供給を受けることにより信号状態を保持するため、バッテリー61a、61bを疲弊する要因になる。
【0008】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両用灯具の異常を示す信号を安価且つ簡単な回路構成により保持する灯具用駆動回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の特徴は、車両用灯具を駆動する灯具用駆動回路であって、灯具用駆動回路が、車両用灯具の点灯状態を制御する点灯制御部と、車両用灯具及び点灯制御部の動作状態が共に正常であるか又は少なくともいずれか一方の動作状態が異常であるかを判断する動作判断部と、動作判断部が判断した動作状態を示す出力信号を外部へ出力する信号出力部とを備え、信号出力部が、灯具用駆動回路への電力供給が遮断された状態においても出力信号の状態を保持する信号保持部を備えることである。
【0010】
本発明の特徴によれば、信号保持部が、灯具用駆動回路への電力供給が遮断された状態においても車両用灯具及び点灯制御部の動作状態を示す出力信号の状態を保持することにより、バックアップ電源からの電力供給や不揮発性メモリが不要となるので、製造コストが削減され、システムが簡略化される。
【0011】
本発明の特徴において、動作判断部が信号出力部へ状態信号を出力し、信号保持部が、動作判断部から状態信号が入力される度に、動作状態に対応する開閉状態が切り替わる機械的接点を備え、且つ灯具用駆動回路への電力供給が遮断された状態においても機械的接点の開閉状態を保持するようにしてもよい。
【0012】
機械的接点の開閉状態は車両用灯具及び点灯制御部の動作状態に対応しているので、動作判断部は、信号出力部へ状態信号を出力することにより機械的接点の開閉状態を制御し、信号保持部は、灯具用駆動回路への電力供給が遮断された状態においても車両用灯具及び点灯制御部の動作状態を示す出力信号の状態を保持することができる。
【0013】
本発明の特徴において、動作判断部が信号出力部へ状態信号を出力し、信号保持部が、動作判断部から入力される状態信号に応じて、動作状態に対応する抵抗値が変化する可変抵抗を備え、且つ灯具用駆動回路への電力供給が遮断された状態においても可変抵抗の抵抗値を保持するようにしてもよい。
【0014】
可変抵抗の抵抗値と車両用灯具及び点灯制御部の動作状態とを対応付けることにより、動作判断部は、信号出力部へ状態信号を出力することにより可変抵抗の抵抗値を制御し、信号保持部は、灯具用駆動回路への電力供給が遮断された状態においても車両用灯具及び点灯制御部の動作状態を示す出力信号の状態を保持することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明の灯具用駆動回路によれば、車両用灯具の異常を示す信号を安価且つ簡単な回路構成により保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わる灯具用駆動回路を含む灯具制御システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した第1の灯具用駆動回路1aの構成例を示すブロック図である。
【図3】図3(a)は図2に示した信号出力部17aの構成例を示すブロック図であり、図3(b)は信号出力部17aの動作例を示すグラフである。
【図4】図4(a)〜図4(d)は、スイッチSWa、状態信号Vsig及び出力信号Vwngの状態の変化例を示すグラフである。
【図5】図5(a)は第2の実施の形態に係わる信号出力部27aの構成例を示すブロック図であり、図5(b)は信号出力部27aの動作例を示すグラフである。
【図6】図6(a)〜図6(d)は、第2の実施の形態における、スイッチSWa、状態信号Vsig及び出力信号Vwngの状態の変化例を示すグラフである。
【図7】図7(a)〜図7(c)は従来技術に関わる灯具用駆動回路を含む灯具制御システムの全体構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
(第1の実施の形態)
先ず、図1を参照して、本発明の実施の形態に係わる灯具用駆動回路を含む灯具制御システムの全体構成を説明する。灯具制御システムは、車両用灯具をそれぞれ駆動する第1の灯具用駆動回路1a及び第2の灯具用駆動回路1bと、第1の灯具用駆動回路1a及び第2の灯具用駆動回路1bのそれぞれに接続された車両側ECU4と、第1の灯具用駆動回路1a及び第2の灯具用駆動回路1bと車両側ECU4の間をそれぞれ接続する配線3a、3bと、バッテリー11a、11bと、スイッチSWa、SWbとを備える。
【0018】
第1の灯具用駆動回路1a及び第2の灯具用駆動回路1bは、バッテリー11a及びバッテリー11bからそれぞれ電力供給を受けて動作する。バッテリー11a、11bからの電力供給は、スイッチSWa、SWbを閉じると開始され、スイッチSWa、SWbを開くと遮断される。灯具用駆動回路1a、1bは車両用灯具毎に設けられている。なお、ここでは灯具用駆動回路と車両用灯具が2組である場合について説明するが、1組又は3組以上であっても構わない。
【0019】
また、第1の灯具用駆動回路1a及び第2の灯具用駆動回路1bは、各車両用灯具に異常があるか又は正常であるかを示す出力信号を出力する信号出力部17a、17bをそれぞれ備える。信号出力部17a、17bが出力する出力信号は、配線3a、3bを介して車両側ECU4の信号受信部5へ転送され、信号判断部6において各車両用灯具の正常/異常が判断される。そして、その判断結果は信号表示部7に表示され、運転者に報知される。
【0020】
信号判断部6は、車両側ECU4に接続される総ての灯具用駆動回路のうち少なくともいずれか一つ或いは各灯具用駆動回路がそれぞれ駆動する車両灯具の少なくともいずれか一つに異常が発生した場合に「異常」と判断し、総てが正常である場合に「正常」と判断する。これにより、灯具制御システムを構成する一部の部材の異常を報知することができる。
【0021】
図2を参照して、図1に示した第1の灯具用駆動回路1aの構成例を説明する。なお、第1の灯具用駆動回路1aを例にとって説明し、同様な構成を備える第2の灯具用駆動回路1bについての説明を省略する。第1の灯具用駆動回路1aは、車両用灯具21aの点灯状態を制御する点灯制御部15aと、車両用灯具21a及び点灯制御部15aの動作状態が共に正常であるか又は少なくともいずれか一方の動作状態が異常であるかを判断する動作判断部16aと、動作判断部16aが判断した車両用灯具21a及び点灯制御部15aの動作状態を示す出力信号Vwngを出力する信号出力部17aとを備える。
【0022】
車両用灯具21aは互いに接続された複数の半導体発光素子(LED)からなる光源及び図示しないレンズや反射板などの光学系部材を備える。点灯制御部15aは、図1のバッテリー11aに蓄電されている電力を車両用灯具21aが備える光源へ供給することにより、車両用灯具21aを点灯させる。車両用灯具21a及び点灯制御部15aが共に正常に動作することにより、車両用灯具21aは正常な点灯動作を行うことができる。なお、車両用灯具21aは、ヘッドランプ、ストップ&テールランプ、フォグランプ、ターンシグナルランプなどの各種車両用灯具として構成することができる。
【0023】
動作判断部16aは、車両用灯具21a及び点灯制御部15aの動作状態が共に正常であるか又は少なくともいずれか一方の動作状態が異常であるかを判断し、その判断結果に応じて信号出力部17aへ状態信号Vsigを出力する。以後、車両用灯具21a及び点灯制御部15aの動作状態を「動作状態」と略す。
【0024】
信号出力部17aは、図1のスイッチSWaが開いて灯具用駆動回路1aへの電力供給が遮断された状態においても出力信号Vwngの状態を保持する信号保持部18aを備える。出力信号Vwngの状態は、信号出力部17aへ入力された状態信号Vsigに応じて変化する。信号保持部18aには配線3aが接続され、信号保持部18aが保持する出力信号Vwngは、配線3aを介して車両側ECU4の信号受信部5へ転送される。
【0025】
図3(a)を参照して、図2に示した信号出力部17aの構成例を説明する。なお、第1の灯具用駆動回路1aの信号出力部17aを例にとって説明し、同様な構成を備える第2の灯具用駆動回路1bの信号出力部についての説明を省略する。動作判断部16aから出力された状態信号Vsigは信号保持部18aへ入力される。信号保持部18aは、動作判断部16aから状態信号Vsigが入力される度に、動作状態に対応する開閉状態が切り替わる機械的接点を備え、且つ第1の灯具用駆動回路1aへの電力供給が遮断された状態においても機械的接点の開閉状態を保持する。
【0026】
上記した信号保持部は例えばラッチングリレー18aを用いて構成することができる。機械的接点に接続された一方の端子を接地し、他方の端子を配線3aを介して車両側ECU4へ接続する。機械的接点の開閉状態に応じて両端子間の抵抗値は零又は低抵抗値と無限大又は高抵抗値の2値の間で変化する。
【0027】
例えば、車両側ECU4から配線3aに所定の電圧を印加して電流を流せば、機械的接点の開閉状態に応じて前記した他方の端子の電圧(Vwng)が変化する。具体的には、機械的接点を開けば、電圧(Vwng)が高電位側電圧となり、機械的接点を閉じれば、電圧(Vwng)が低電位側電圧となる。
【0028】
機械的接点の開閉状態は第1の灯具用駆動回路1aへの電力供給が遮断された状態においても保持されるので、信号出力部17aは、第1の灯具用駆動回路1aへの電力供給が遮断された状態においても、車両用灯具21a及び点灯制御部15aの動作状態を示す出力信号Vwngを車両側ECU4へ出力することができる。また、車両側ECU4は、配線3aに所定の電圧を印加することにより、第1の灯具用駆動回路1aへの電力供給が遮断された状態においても、車両用灯具21a及び点灯制御部15aの動作状態を示す出力信号Vwngを読み出すことができる。
【0029】
例えば、車両側ECU4と第1の灯具用駆動回路1aの間で、出力信号Vwngの状態が低電位側電圧の時は動作状態が正常であり、出力信号Vwngの状態が高電位側電圧の時は動作状態に正常があるという取り決めを行うことにより、車両側ECU4は、出力信号Vwngの状態を通じて車両用灯具21aの正常/異常を判断することができる。
【0030】
図3(b)を参照して、信号出力部17aの動作例を説明する。出力信号Vwngの状態が例えば接地電位等の低電位側電圧である時に動作判断部16aから状態信号Vsigとしてパルス信号PSが入力されると、パルス信号PSをトリガとして出力信号Vwngの状態は高電位側電圧へ変化する。出力信号Vwngの状態が高電位側電圧である時に動作判断部16aからパルス信号PSが入力されると、パルス信号PSをトリガとして出力信号Vwngの状態は低電位側電圧へ変化する。このように、動作判断部16aから状態信号Vsigとしてパルス信号PSが入力される度に、出力信号Vwngの状態は低電位側電圧と高電位側電圧との間で切り替わる、すなわち、ラッチングリレー18aがオルタネート動作を行う。
【0031】
図4(a)〜図4(d)を参照して、スイッチSWa、状態信号Vsig及び出力信号Vwngの状態の変化例を説明する。図4(a)は、図2の動作判断部16aが動作状態を判断する判断期間Tdの前後において、動作状態が共に正常である場合を示す。図1のスイッチSWaが開(off)状態から閉(on)状態へ変化した後の判断期間Tdにおいて、動作判断部16aは動作状態を判断する。図4(a)では、判断期間Tdの前後において動作判断部16aの判断結果が共に正常であるので、スイッチSWaが閉(on)状態である時に状態信号Vsigとしてのパルス信号PSは信号出力部17aへ入力されず、判断期間Tdの前後において機械的接点は閉じた状態を維持し、出力信号Vwngの状態は低電位側電圧に維持される。更に、スイッチSWaが開いた後も、機械的接点は閉じた状態を維持し、出力信号Vwngの状態は低電位側電圧に保持される。
【0032】
図4(b)は、判断期間Tdの前において動作状態に異常があり、判断期間Tdにおいて動作状態が正常であると判断された場合を示す。この場合、スイッチSWaが閉(on)状態である時に状態信号Vsigとしてのパルス信号PSが信号出力部17aへ入力され、機械的接点は開いた状態から閉じた状態へ変化し、出力信号Vwngの状態は高電位側電圧から低電位側電圧に切り替わる。そして、スイッチSWaが開いた後も、機械的接点は閉じた状態を維持し、出力信号Vwngの状態は低電位側電圧に保持される。
【0033】
図4(c)は、判断期間Tdの前後において動作判断部16aの判断結果が共に異常である場合を示す。この場合、スイッチSWaが閉(on)状態である時に状態信号Vsigとしてのパルス信号PSは信号出力部17aへ入力されず、判断期間Tdの前後において機械的接点は開いた状態を維持し、出力信号Vwngの状態は高電位側電圧に維持される。更に、スイッチSWaが開いた後も、機械的接点は開いた状態を維持し、出力信号Vwngの状態は高電位側電圧に保持される。
【0034】
図4(d)は、判断期間Tdの前において動作状態が正常であり、判断期間Tdにおいて動作状態に異常があると判断された場合を示す。この場合、スイッチSWaが閉(on)状態である時に状態信号Vsigとしてのパルス信号PSが信号出力部17aへ入力され、機械的接点は閉じた状態から開いた状態へ変化し、出力信号Vwngの状態は低電位側電圧から高電位側電圧に切り替わる。そして、スイッチSWaが開いた後も、機械的接点は開いた状態を維持し、出力信号Vwngの状態は高電位側電圧に保持される。
【0035】
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態によれば、以下の作用効果が得られる。
【0036】
動作判断部16aから状態信号Vsigが入力される度に、動作状態に対応する機械的接点の開閉状態が切り替わり、且つ第1の灯具用駆動回路1aへの電力供給が遮断された状態においても信号保持部18aは機械的接点の開閉状態を保持する。機械的接点の開閉状態は動作状態に対応しているので、動作判断部16aは、信号出力部17aへ状態信号Vsigを出力することにより機械的接点の開閉状態を制御し、信号保持部18aは、スイッチSWaが開いて第1の灯具用駆動回路1aへの電力供給が遮断された状態においても動作状態を示す出力信号Vwngの状態を保持することができる。
【0037】
よって、車両側ECU4は、第1の灯具用駆動回路1aへの電力供給が遮断された状態においても、動作状態を示す出力信号Vwngを読み出すことができるので、図7(a)に示したバックアップ電源68a、68bからの電力供給や不揮発性メモリ69a、69bが不要となり、製造コストが削減され、灯具制御システムが簡略化される。
【0038】
また、図7(c)に示したように車両側ECU54に不揮発性メモリ58を設ける必要もなくなるので、車両側ECU4の製造コストを低く抑えることができる。図7(b)に示したように、信号保持部67a、67bが常時電力供給を受けることによって信号状態を保持する必要もなくなり、バッテリー11a、11bの疲弊を抑制して長寿命化を図ることができる。
【0039】
また、エンジン始動時のオルタネータ負担を軽減することができる。その他、灯具制御システムの部品点数が削減されるので、車体の軽量化が可能であり、車両の燃費向上に繋がる。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態においては、信号保持部として図2(a)のラッチングリレー18aの代りにデジタルポテンショメータ28aを用いた場合について説明する。その他の構成は第1の実施の形態と同じであり、説明を省略する。
【0040】
図5(a)に示すように、第2の実施の形態に関わる信号出力部27aは、デジタルポテンショメータ28aからなる信号保持部を有する。デジタルポテンショメータ28aは、電源電圧Vccが供給されている状態において、動作判断部16aから状態信号が入力されると、状態信号に応じて抵抗値が変化する可変抵抗Raを備える。可変抵抗Raの抵抗値は予め動作状態に対応付けられている。例えば、しきい値を設定し、可変抵抗Raの抵抗値がしきい値よりも低い場合は動作状態が正常である場合に対応し、可変抵抗Raの抵抗値がしきい値よりも高い場合は動作状態に異常がある場合に対応している。
【0041】
信号出力部27aは、スイッチSWaが開いて第1の灯具用駆動回路1aへの電力供給が遮断された状態においても可変抵抗Raの抵抗値を保持する機能を有する。すなわち、第1の灯具用駆動回路1aへの電力供給が遮断されると、デジタルポテンショメータ28aへの電源電圧Vccの供給も遮断されるが、信号出力部27aは、この状態においても可変抵抗Raの抵抗値を保持する機能を有する。
【0042】
可変抵抗Raに接続された一方の端子を接地し、他方の端子を配線3aを介して車両側ECU4の信号受信部5へ接続する。信号受信部5内においてプルアップ抵抗Rbを介して配線3aに所定の電圧を印加して電流を流せば、可変抵抗Raの抵抗値に応じてプルアップ抵抗Rbと可変抵抗Raの分圧比が変化し、前記した他方の端子の電圧(Vwng)が変化する。可変抵抗Raの抵抗値がしきい値よりも低ければ電圧Vwngが低電位側電圧となり、可変抵抗Raの抵抗値がしきい値よりも高ければ電圧Vwngが高電位側電圧となる。
【0043】
可変抵抗Raの抵抗値は第1の灯具用駆動回路1aへの電力供給が遮断された状態においても保持されるので、信号出力部27aは、第1の灯具用駆動回路1aへの電力供給が遮断された状態においても、動作状態を示す出力信号Vwngを車両側ECU4へ出力することができる。また、車両側ECU4は、配線3aに所定の電圧を印加することにより、第1の灯具用駆動回路1aへの電力供給が遮断された状態においても、動作状態を示す出力信号Vwngを読み出すことができる。
【0044】
図5(b)を参照して、信号出力部27aの動作例を説明する。先ず、出力信号Vwngの状態が例えば接地電位等の低電位側電圧である時にデジタルポテンショメータ28aへの電源電圧Vccの供給が開始された場合を考える。この場合に、可変抵抗Raの抵抗値をしきい値よりも高くする状態信号DSが動作判断部16aから書き込まれると、可変抵抗Raの抵抗値がしきい値よりも高くなり、出力信号Vwngの状態が高電位側電圧へ変化する。
【0045】
一方、出力信号Vwngの状態が例えば高電位側電圧である時にデジタルポテンショメータ28aへの電源電圧Vccの供給が開始された場合を考える。この場合に、可変抵抗Raの抵抗値をしきい値よりも低くする状態信号DSが動作判断部16aから書き込まれると、可変抵抗Raの抵抗値がしきい値よりも低くなり、出力信号Vwngの状態が低電位側電圧へ変化する。このように、動作判断部16aから入力される状態信号のデータ内容に応じて可変抵抗Raの抵抗値を変化させることができる。
【0046】
図6(a)〜図6(d)を参照して、スイッチSWa、状態信号Vsig及び出力信号Vwngの状態の変化例を説明する。図6(a)は、判断期間Tdの前後において、動作状態が共に正常である場合を示す。図1のスイッチSWaが開(off)状態から閉(on)状態へ変化した後の判断期間Tdにおいて、動作判断部16aは動作状態を判断する。図6(a)では、判断期間Tdの前後において動作判断部16aの判断結果が共に正常であるので、スイッチSWaが閉(on)状態である時に状態信号は信号出力部27aへ入力されず、判断期間Tdの前後において可変抵抗Raの抵抗値はしきい値よりも低い状態を維持し、出力信号Vwngの状態は低電位側電圧に維持される。更に、スイッチSWaが開いた後も、可変抵抗Raの抵抗値はしきい値よりも低い状態を維持し、出力信号Vwngの状態は低電位側電圧に保持される。
【0047】
図6(b)は、判断期間Tdの前において動作状態に異常があり、判断期間Tdにおいて動作状態が正常であると判断された場合を示す。この場合、スイッチSWaが閉(on)状態である時に状態信号DSが信号出力部27aへ入力され、可変抵抗Raの抵抗値はしきい値よりも高い状態から低い状態へ変化し、出力信号Vwngの状態は高電位側電圧から低電位側電圧に切り替わる。そして、スイッチSWaが開いた後も、可変抵抗Raの抵抗値はしきい値よりも低い状態を維持し、出力信号Vwngの状態は低電位側電圧に保持される。
【0048】
図6(c)は、判断期間Tdの前後において動作判断部16aの判断結果が共に異常である場合を示す。この場合、スイッチSWaが閉(on)状態である時に状態信号DSは信号出力部27aへ入力されず、判断期間Tdの前後において可変抵抗Raの抵抗値はしきい値よりも高い状態を維持し、出力信号Vwngの状態は高電位側電圧に維持される。更に、スイッチSWaが開いた後も、可変抵抗Raの抵抗値はしきい値より高い状態を維持し、出力信号Vwngの状態は高電位側電圧に保持される。
【0049】
図6(d)は、判断期間Tdの前において動作状態が正常であり、判断期間Tdにおいて動作状態に異常があると判断された場合を示す。この場合、スイッチSWaが閉(on)状態である時に状態信号DSが信号出力部27aへ入力され、可変抵抗Raの抵抗値はしきい値よりも低い状態から高い状態へ変化し、出力信号Vwngの状態は低電位側電圧から高電位側電圧に切り替わる。そして、スイッチSWaが開いた後も、可変抵抗Raの抵抗値はしきい値より高い状態を維持し、出力信号Vwngの状態は高電位側電圧に保持される。
【0050】
以上説明したように、本発明の第2の実施の形態によれば、以下の作用効果が得られる。
【0051】
動作判断部16aから入力される状態信号に応じて動作状態に対応する可変抵抗Raの抵抗値が変化し、且つ第1の灯具用駆動回路1aへの電力供給が遮断された状態においても信号保持部28aは可変抵抗Raの抵抗値を保持する。可変抵抗Raの抵抗値は動作状態に対応しているので、動作判断部16aは、信号出力部27aへ状態信号を出力することにより可変抵抗Raの抵抗値を制御し、信号保持部28aは、スイッチSWaが開いて第1の灯具用駆動回路1aへの電力供給が遮断された状態においても動作状態を示す出力信号Vwngの状態を保持することができる。
【0052】
よって、第2の実施の形態に係わる灯具用駆動回路においても、上記した第1の実施の形態と同様な効果が得られる。
【0053】
上記のように、本発明は、2つの実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。すなわち、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ限定されるものである。
【符号の説明】
【0054】
1a 第1の灯具用駆動回路(灯具用駆動回路)
1b 第2の灯具用駆動回路(灯具用駆動回路)
3a、3b 配線
4 車両側ECU
5 信号受信部
6 信号判断部
7 信号表示部
11a、11b バッテリー
15a 点灯制御部
16a 動作判断部
17a、27a 信号出力部
18a ラッチングリレー(信号保持部)
21a 車両用灯具
28a デジタルポテンショメータ(信号保持部)
28a 信号保持部
DS 状態信号
PS パルス信号
Ra 可変抵抗
Rb プルアップ抵抗
SWa、SWb スイッチ
Td 判断期間
sig 状態信号
wng 出力信号
Vcc 電源電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用灯具を駆動する灯具用駆動回路であって、
車両用灯具の点灯状態を制御する点灯制御部と、
前記車両用灯具及び前記点灯制御部の動作状態が共に正常であるか又は少なくともいずれか一方の動作状態が異常であるかを判断する動作判断部と、
前記動作判断部が判断した前記動作状態を示す出力信号を外部へ出力する信号出力部とを備え、
前記信号出力部は、前記灯具用駆動回路への電力供給が遮断された状態においても前記出力信号の状態を保持する信号保持部を備えることを特徴とする灯具用駆動回路。
【請求項2】
前記動作判断部は、前記信号出力部へ状態信号を出力し、
前記信号保持部は、前記動作判断部から前記状態信号が入力される度に、前記動作状態に対応する開閉状態が切り替わる機械的接点を備え、且つ前記灯具用駆動回路への電力供給が遮断された状態においても前記機械的接点の開閉状態を保持することを特徴とする請求項1に記載の灯具用駆動回路。
【請求項3】
前記動作判断部は、前記信号出力部へ状態信号を出力し、
前記信号保持部は、前記動作判断部から入力される前記状態信号に応じて、前記動作状態に対応する抵抗値が変化する可変抵抗を備え、且つ前記灯具用駆動回路への電力供給が遮断された状態においても前記可変抵抗の抵抗値を保持することを特徴とする請求項1に記載の灯具用駆動回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−244716(P2010−244716A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−89071(P2009−89071)
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】