説明

灰の分離搬送方法及び灰の分離搬送装置

【課題】ボイラ灰の塩素濃度が低いときには、ボイラ灰をストーカ焼却灰に混合して排出し、塩素濃度が高いときには、焼却灰と分離して排出するようにしてエコセメントの原料にし易い性状とすることができると共に、飛灰量を低減できる。
【解決手段】ボイラ2下から排出されるボイラ灰A1をストーカ式焼却炉1のストーカ1aから排出される焼却灰Aに混合する第1搬送経路と、ボイラ灰A1を集じん器6下から排出される飛灰A4に混合する第2搬送経路とをそれぞれ設け、ボイラ灰A1中の塩素濃度が低い通常運転時には、ボイラ灰A1を焼却灰Aに混合する第1搬送経路に切り替えて搬送し、当該ボイラ灰A1を焼却灰Aに混合して排出・貯溜し、また、ボイラ灰A1中の塩素濃度が高くなる運転条件のときには、ボイラ灰A1を飛灰A4に混合する第2搬送経路に切り替えて搬送し、当該ボイラ灰A1を飛灰A4に混合して排出・貯溜する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、都市ごみや産業廃棄物等を焼却処理するボイラ付きのストーカ式焼却炉を備えた都市ごみ焼却プラントや産業廃棄物焼却プラント等に於いて利用されるものであり、少なくともボイラ下から排出される灰(以下、ボイラ灰と云う)の塩素濃度が低いときには、ボイラ灰をストーカ式焼却炉から排出される焼却灰(主灰)に混合して排出し、反対にボイラ灰の塩素濃度が高いときには、焼却灰と分離して排出するようにし、塩素濃度の低いボイラ灰を焼却灰に混合することによって、ボイラ灰を混合した焼却灰をエコセメントの原料にし易い性状とすることができると共に、飛灰量を低減して飛灰の埋立処分量、飛灰の薬剤処理費、飛灰の処分費及び飛灰の資源化費をそれぞれ低減できるようにした灰の分離搬送方法及び灰の分離搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ボイラ付きのストーカ式焼却炉を備えた都市ごみ焼却プラント及び産業廃棄物焼却プラントとしては、例えば、特開2000−304240号公報(特許文献1)や特開2004−309079号公報(特許文献2)、特開2009−162452号公報(特許文献3)及び特開2010−048456号公報(特許文献4)に開示されたものが知られている。
【0003】
図3はボイラ付きのストーカ式焼却炉を備えた従来の都市ごみ焼却プラントの一例を示す概略系統図であり、当該都市ごみ焼却プラントは、ストーカ式焼却炉20、ボイラ21、過熱器22、エコノマイザー23、減温塔24、ろ過式の集じん器25、誘引通風機26及び煙突27等から構成されており、ストーカ式焼却炉20から発生する高温の排ガスをボイラ21、過熱器22及びエコノマイザー23に導いて排ガスから熱回収すると共に、熱回収された排ガスを減温塔24に導いてここで温度調整してからろ過式の集じん器25に導き、ろ過式の集じん器25で排ガス中の飛灰A4及び酸性ガス等を除去した後、クリーンになった排ガスを煙突27から大気中へ放出するようにしたものである。
【0004】
また、ボイラ21下から排出されるボイラ灰A1、エコノマイザー23下から排出されるエコノマイザー灰A2及び減温塔24下から排出される減温塔灰A3は、ストーカ式焼却炉20から排出される焼却灰Aと混合されて埋立処分されたり、或は溶融固化処理されたりしていた。
【0005】
更に、ろ過式の集じん器25から排出される飛灰A4は、焼却灰Aに比べてダイオキシン類や重金属類の含有率が高いため、直接埋立処分することができず、薬剤処理、セメント固化、溶融固化等の中間処理を施した後、埋立処分されていた。
【0006】
尚、図3に於いて、28は投入ホッパ、29は押込送風機、30は空気予熱器、31は二次送風機である。
【0007】
ところで、ストーカ式焼却炉20から発生する焼却灰Aは、上述したように埋立地等の最終処分場に於いて埋立処分されていたが、埋立地等の最終処分場の逼迫から、最近では焼却灰Aをセメントの原料として資源化を図られる場合がある。
【0008】
前記セメントには、エコセメントと普通セメントとがある。
エコセメントは、石灰石や粘土、珪石、鉄原料等の一般的な天然原料の代わりに、都市ごみ等の焼却灰Aや下水汚泥等を主原料としたセメントであるが、セメント中の塩素濃度が0.5%〜1%程度と多いため、無筋コンクリート(鋼材で補強されていないコンクリート)に使用され、流通量は普通セメントに比べて少なく、また、エコセメント化する工場も限られている。
【0009】
一方、普通セメントは、石灰石や粘土等の天然原料を使用しているため、一般的なコンクリート構造物に使用することができ、流通量はエコセメントに比べて遥かに多いが、セメント中の塩素濃度が350ppm以下となるように規定されている。
そのため、セメント会社は、焼却灰A等を普通セメントの原料として受け入れる場合、焼却灰A等の受け入れ基準(塩素濃度1%〜1.5%)を設けたり、或は焼却灰A等の受け入れ量(原料への混合比)を制限することで原料中の塩素濃度を維持している。
【0010】
また、ストーカ式焼却炉20から発生する飛灰A4(ばいじん)は、特別管理一般廃棄物に指定されているため、埋立処分する前に薬剤処理、溶融固化、セメント固化等の中間処理を行うことが義務付けられており、薬剤処理等の中間処理後に埋立処分されていた。
最近では、飛灰A4もセメントの原料として資源化を図られる場合があるが、飛灰A4中には塩素濃度が20%程度の塩素成分が含まれているため、セメントの原料にする際には、水洗による前処理やセメント製造工程中に塩素ブローする装置を付ける必要があり、このような施設を有するセメント工場は限られている。
【0011】
更に、ボイラ21下から排出されるボイラ灰A1は、これをストーカ式焼却炉20のストーカ20aから排出される焼却灰A(主灰)側に混合して排出・貯溜され、焼却灰Aと一緒にセメントの原料として資源化を図られる場合があるが、ボイラ灰A1中の塩素濃度がセメント会社の受け入れ基準を超える場合がある。この場合、ボイラ灰A1は、飛灰A4側に混合して貯溜排出する必要があり、埋立処分量や処理費用が増加するという問題がある。
また、飛灰A4をセメント会社に引き取ってもらう場合には、飛灰A4を水洗して脱塩処理する必要があり、資源化するセメント工場が限定されるうえ、資源化費用も増加すると云う問題がある。
【0012】
特に、ボイラ水管に附着している灰をスートブローやハンマリング等のダスト除去装置により払い落とした際に、ボイラ21下から排出される灰(ボイラ水管付着灰)は、高濃度の塩素を含有しており、焼却灰Aと混合した場合に塩素濃度を大幅に上げる可能性がある。
【0013】
このように、従来の都市ごみ焼却プラントに於いては、ボイラ灰A1、エコノマイザー灰A2及び減温塔灰A3は、焼却灰Aに混合されて埋立処分等の処理が行われ、また、ろ過式の集じん器で捕集された飛灰A4は、特別管理一般廃棄物(ばいじん)として薬剤処理等の中間処理後に埋立処分されていたが、近年、埋立処分場の残余年数の減少により焼却灰Aのセメント原料化が行われて来ている。
【0014】
焼却灰Aをセメント原料としてセメント会社が受け入れる場合、セメント中の塩素含有量を350ppm以下とするように規定されており、原料中の塩素濃度を抑える必要がある。
そのため、セメント会社では、セメント原料に混合する焼却灰A中の塩素濃度をある程度以下(例えば、1%〜1.5%以下)になるように受け入れ基準を定めている場合がある。
【0015】
尚、灰中の塩素濃度分析結果の一例を挙げると、焼却灰A中の塩素濃度は1%前後であり、都市ごみ焼却プラントの通常運転中(ボイラ水管に付着している灰の払い落とし作業等を行っているとき)のボイラ灰A1の塩素濃度は2%前後である。
【0016】
前記ボイラ灰A1は、重力沈降により落下した灰であり、粒子が大きめでその量が焼却灰Aの一割程度であるため、都市ごみ焼却プラントの通常運転中に焼却灰Aに混合しても、塩素濃度があまり高くならない。
【0017】
しかし、ボイラ水管に付着する灰は、焼却炉で一旦ガス化した塩素化合物が水管表面で冷却されて付着している成分が多いため、粒子が小さめで塩素濃度が8%程度ある。
【0018】
従って、スートブローやハンマリング等のダスト除去装置によりボイラ水管に付着している灰を払い落とす際には、塩素濃度の高い灰が一時的に都市ごみ焼却プラントの通常運転時の数倍の量発生することになり、ボイラ灰A1は勿論のこと、ボイラ21より下流のエコノマイザー灰A2、減温塔灰A3の塩素濃度も上昇することになる。
そのため、これらの灰を混合した焼却灰Aも塩素濃度が必然的に上昇し、場合によってはセメント会社の受け入れ基準を超えてしまう可能性がある。
【0019】
また、ろ過式の集じん器25下から排出される飛灰A4、特に、酸性ガス除去剤を噴霧し、排ガス中のHClを除去した飛灰A4中には、塩素濃度が20%程度含まれるため、セメント会社の受け入れ基準を遥かに超えることになる。
塩素濃度の受け入れ基準を超える灰(高濃度の塩素を含む焼却灰Aや飛灰A4)をセメント原料化する場合には、灰を水洗する必要があるが、灰を水洗する設備のあるセメント工場が少なく、水洗等の前処理費用が必要なために資源化費用も増加すると云う問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開2000−304240号公報
【特許文献2】特開2004−309079号公報
【特許文献3】特開2009−162452号公報
【特許文献4】特開2010−048456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明は、このような問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は、少なくともボイラ下から排出されるボイラ灰の塩素濃度が低いときには、ボイラ灰をストーカ式焼却炉から排出される焼却灰に混合して排出し、反対にボイラ灰の塩素濃度が高いときには、焼却灰と分離して排出するようにし、塩素濃度の低いボイラ灰を焼却灰に混合することによって、ボイラ灰を混合した焼却灰をエコセメントの原料にし易い性状とすることができると共に、飛灰量を低減して飛灰の埋立処分量、飛灰の薬剤処理費、飛灰の処分費及び飛灰の資源化費をそれぞれ低減できるようにした灰の分離搬送方法及び灰の分離搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1の発明は、ストーカ式焼却炉、ボイラ及び集じん器を備えたプラントに於いて、少なくともボイラ下から排出されるボイラ灰をストーカ式焼却炉のストーカから排出される焼却灰に混合する第1搬送経路と、同じくボイラ灰を集じん器下から排出される飛灰に混合する第2搬送経路とをそれぞれ設け、ボイラ灰中の塩素濃度が低い通常運転時には、ボイラ灰を焼却灰に混合する第1搬送経路に切り替えて搬送し、当該ボイラ灰を焼却灰に混合して排出・貯溜するようにし、また、ボイラ灰中の塩素濃度が高くなる運転条件のときには、ボイラ灰を飛灰に混合する第2搬送経路に切り替えて搬送し、当該ボイラ灰を飛灰に混合して排出・貯溜するようにしたことに特徴がある。
【0023】
本発明の請求項2の発明は、ストーカ式焼却炉、ボイラ、エコノマイザー、減温塔及び集じん器を備えたプラントに於いて、ボイラ下、エコノマイザー下及び減温塔下に、ボイラ下から排出されるボイラ灰、エコノマイザー下から排出されるエコノマイザー灰及び減温塔下から排出される減温塔灰をそれぞれストーカ式焼却炉のストーカから排出される焼却灰に混合する第1搬送経路と、前記ボイラ灰、エコノマイザー灰及び減温塔灰をそれぞれ集じん器下から排出される飛灰に混合する第2搬送経路とをそれぞれ接続し、ボイラ灰中の塩素濃度が低い通常運転時には、ボイラ灰とエコノマイザー灰のみ若しくはボイラ灰とエコノマイザー灰と減温塔灰の全ての灰を焼却灰に混合する第1搬送経路に切り替えて搬送し、ボイラ灰とエコノマイザー灰のみ若しくはボイラ灰とエコノマイザー灰と減温塔灰の全ての灰を焼却灰に混合して排出・貯溜するようにし、また、ボイラ灰中の塩素濃度が高くなる運転条件のときには、ボイラ灰とエコノマイザー灰のみ若しくはボイラ灰とエコノマイザー灰と減温塔灰の全ての灰を飛灰に混合する第2搬送経路に切り替えて搬送し、ボイラ灰とエコノマイザー灰のみ若しくはボイラ灰とエコノマイザー灰と減温塔灰の全ての灰を飛灰に混合して排出・貯溜するようにしたことに特徴がある。
【0024】
本発明の請求項3の発明は、ボイラ灰中の塩素濃度が高くなる運転条件として、ボイラのボイラ水管に付着する灰を払い落とす作業をしたとき、或は塩素成分を多く含む都市ごみ又は産業廃棄物を燃焼させたときとし、ボイラ水管に付着している灰を払い落とす作業の間若しくは塩素成分を多く含む都市ごみ又は産業廃棄物を燃焼させているときには、ボイラ灰を飛灰に混合する第2搬送経路に切り替えて搬送するようにしたことに特徴がある。
【0025】
本発明の請求項4の発明は、ボイラ灰中の塩素濃度が高くなる運転条件として、ボイラのボイラ水管に付着する灰を払い落とす作業をしたとき、或は塩素成分を多く含む都市ごみ又は産業廃棄物を燃焼させたときとし、ボイラ水管に付着している灰を払い落とす作業の間若しくは塩素成分を多く含む都市ごみ又は産業廃棄物を燃焼させているときには、ボイラ灰とエコノマイザー灰のみ若しくはボイラ灰とエコノマイザー灰と減温塔灰の全ての灰を飛灰に混合する第2搬送経路に切り替えて搬送するようにしたことに特徴がある。
【0026】
本発明の請求項5の発明は、ストーカ式焼却炉、ボイラ及び集じん器を備えたプラントに用いる灰の分離搬送装置であって、前記灰の分離搬送装置は、少なくともボイラ下から排出されるボイラ灰を搬送してストーカ式焼却炉のストーカから排出される焼却灰に混合する第1灰搬送装置と、ボイラ下から排出されるボイラ灰を搬送して集じん器下から排出される飛灰に混合する第2灰搬送装置と、ボイラ灰を第1灰搬送装置側又は第2灰搬送装置側へ切り替え搬送するボイラ灰切り替え装置とを備えていることに特徴がある。
【0027】
本発明の請求項6の発明は、ストーカ式焼却炉、ボイラ及び集じん器を備えたプラントに用いる灰の分離搬送装置であって、前記灰の分離搬送装置は、少なくともボイラ下から排出されるボイラ灰を搬送してストーカ式焼却炉のストーカから排出される焼却灰に混合し得ると共に、ボイラ下から排出されるボイラ灰を搬送して集じん器下から排出される飛灰に混合し得る正逆運転切り替え可能な灰搬送装置を備えていることに特徴がある。
【発明の効果】
【0028】
本発明の請求項1〜請求項4に記載の灰の分離搬送方法は、ボイラ下から排出されるボイラ灰の塩素濃度が低い通常運転時には、ボイラ灰のみ又はボイラ灰とエコノマイザー下から排出されるエコノマイザー灰のみ若しくはボイラ灰とエコノマイザー灰と減温塔下から排出される減温塔灰の全てをストーカ式焼却炉のストーカから排出される焼却灰に混合する第1搬送経路に切り替え搬送し、これらの灰を焼却灰に混合して排出・貯溜するようにし、また、ボイラ灰中の塩素濃度が高くなる運転条件のときには、ボイラ灰のみ又はボイラ灰とエコノマイザー灰のみ若しくはボイラ灰とエコノマイザー灰と減温塔灰の全てを飛灰に混合する第2搬送経路に切り替えて搬送し、これらの灰を飛灰に混合して排出・貯溜するようにしている。
その結果、本発明の灰の分離搬送方法は、ボイラのボイラ水管に付着している灰を払い落とす作業をしたときや塩素成分を多く含む都市ごみ等を燃焼させたときに、塩素濃度の高いボイラ灰、エコノマイザー灰、減温塔灰を焼却灰と分離し、また、塩素濃度が比較的低い通常運転時のボイラ灰、エコノマイザー灰、減温塔灰を焼却灰と混合することができ、焼却灰をセメント原料化し易い性状にすることができる。
また、塩素濃度が比較的低い通常運転時のボイラ灰、エコノマイザー灰、減温塔灰をセメント原料化することによって、飛灰量を低減できて埋立処分量を低減することができるうえ、飛灰の薬剤処理費や処分費、資源化費をそれぞれ低減することができる。
【0029】
本発明の請求項5に記載の灰の分離搬送装置は、ボイラ下から排出されるボイラ灰を搬送してストーカ式焼却炉のストーカから排出される焼却灰に混合する第1灰搬送装置と、ボイラ下から排出されるボイラ灰を搬送して集じん器下から排出される飛灰に混合する第2灰搬送装置と、ボイラ灰を第1灰搬送装置側又は第2灰搬送装置側へ切り替え搬送するボイラ灰切り替え装置とを備えているため、上記方法を好適に実施することができる。
【0030】
また、本発明の請求項6に記載の灰の分離搬送装置は、ボイラ下から排出されるボイラ灰を搬送してストーカ式焼却炉のストーカから排出される焼却灰に混合し得ると共に、ボイラ下から排出されるボイラ灰を搬送して集じん器下から排出される飛灰に混合し得る正逆運転切り替え可能な灰搬送装置を備えているため、上記方法を好適に実施することができる。
特に、本発明の請求項6に記載の灰の分離搬送装置は、正逆運転切り替え可能な灰搬送装置を備えているため、機器点数の削減を図れてコスト低減及び保守管理の簡略化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明を適用した都市ごみ焼却プラントの一例を示す概略系統図である。
【図2】本発明を適用した都市ごみ焼却プラントの他の例を示す概略系統図である。
【図3】従来の都市ごみ焼却プラントの一例を示す概略系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明を適用した都市ごみ焼却プラントの一例を示す概略系統図であり、当該都市ごみ焼却プラントは、都市ごみを焼却するストーカ式焼却炉1と、ストーカ式焼却炉1で発生した高温の排ガスから熱を回収するボイラ2と、ボイラ2で発生した蒸気を排ガスにより過熱する過熱器3と、ボイラ2から排出された排ガスの熱を更に回収するエコノマイザー4と、エコノマイザー4を通過した排ガスに減温水を噴霧して排ガスを冷却する減温塔5と、排ガス中の飛灰A4及び酸性ガスを除去するろ過式の集じん器6と、ストーカ式焼却炉1内の排ガスを吸引する誘引通風機7と、クリーンな排ガスを大気中に放出する煙突8と、ボイラ2下から排出されるボイラ灰A1、エコノマイザー4下から排出されるエコノマイザー灰A2及び減温塔5下から排出される減温塔灰A3を搬送してこれらの灰をストーカ式焼却炉1のストーカ1aから排出される焼却灰Aに混合し得ると共に、ボイラ灰A1、エコノマイザー灰A2及び減温塔灰A3を搬送してこれらの灰をろ過式の集じん器6下から排出される飛灰A4に混合し得る灰の分離搬送装置9とから構成されており、ボイラ灰A1中の塩素濃度に応じて灰の分離搬送装置9によりボイラ灰A1等の灰が焼却灰A側又は飛灰A4側に混合されるようにボイラ灰A1等を搬送するようにしたものである。
【0033】
尚、図1に於いて、10は投入ホッパ、11は押込送風機、12は空気予熱器、13は二次送風機である。
また、灰の分離搬送装置9以外の機器(ストーカ式焼却炉1、ボイラ2、過熱器3、エコノマイザー4、減温塔5、ろ過式の集じん器6及び誘引通風機7等)は、従来公知のものと同様構造に構成されているため、ここではその詳細な説明を省略する。
【0034】
前記灰の分離搬送装置9は、ボイラ2下から排出されるボイラ灰A1、エコノマイザー4下から排出されるエコノマイザー灰A2及び減温塔5下から排出される減温塔灰A3を搬送してストーカ式焼却炉1のストーカ1aから排出される焼却灰Aに混合する第1灰搬送装置14と、ボイラ2下から排出されるボイラ灰A1、エコノマイザー4下から排出されるエコノマイザー灰A2及び減温塔5下から排出される減温塔灰A3を搬送してろ過式の集じん器6下から排出される飛灰A4に混合する第2灰搬送装置15と、ボイラ灰A1を第1灰搬送装置14側又は第2灰搬送装置15側へ切り替え搬送するボイラ灰切り替え装置16と、エコノマイザー灰A2を第1灰搬送装置14側又は第2灰搬送装置15側へ切り替え搬送するエコノマイザー灰切り替え装置17と、減温塔灰A3を第1灰搬送装置14側又は第2灰搬送装置15側へ切り替え搬送する減温塔灰切り替え装置18とを備えており、ボイラ灰A1中の塩素濃度が低い通常運転時(ボイラ2のボイラ水管に付着している灰の払い落とし作業しているときや塩素成分を多く含む都市ごみや産業廃棄物等を燃焼させているとき等)には、各切り替え装置16,17,18を切り替え操作し、第1灰搬送装置14によりボイラ灰A1のみ又はボイラ灰A1とエコノマイザー灰A2のみ若しくはボイラ灰A1とエコノマイザー灰A2と減温塔灰A3の全ての灰を焼却灰Aに混合するように搬送し、また、ボイラ灰A1中の塩素濃度が高くなる運転条件のときには、各切り替え装置16,17,18を切り替え操作し、第2灰搬送装置15によりボイラ灰A1のみ又はボイラ灰A1とエコノマイザー灰A2のみ若しくはボイラ灰A1とエコノマイザー灰A2と減温塔灰A3の全ての灰を飛灰A4に混合するように搬送するものである。
【0035】
具体的には、前記第1灰搬送装置14は、ボイラ2の下方に設けたボイラ灰用ホッパ2aに接続され、下端部開口がストーカ1aの下流側近傍の直上に位置するボイラ灰排出シュート14aと、エコノマイザー4の下方に設けたエコノマイザー灰用ホッパ4aに接続されたエコノマイザー灰排出シュート14bと、減温塔5の下部に設けた減温塔灰用ホッパ5aに接続された減温塔灰排出シュート14cと、ボイラ灰排出シュート14a、エコノマイザー灰排出シュート14b及び減温塔灰排出シュート14cにそれぞれ接続され、エコノマイザー灰A2及び減温塔灰A3をボイラ灰排出シュート14a側へ搬送するコンベア14dとから構成されており、ボイラ灰排出シュート14a内を自重落下して来たボイラ灰A1をボイラ灰排出シュート14aの下端開口から排出してストーカ1aから排出される焼却灰Aに混合し、また、エコノマイザー灰排出シュート14b内及び減温塔灰排出シュート14c内をそれぞれ自重落下して来たエコノマイザー灰A2及び減温塔灰A3をコンベア14dによりボイラ灰排出シュート14a内に搬送し、エコノマイザー灰A2及び減温塔灰A3をボイラ灰排出シュート14aの下端開口から排出して焼却灰Aに混合するようにしたものである。
この第1灰搬送装置14は、ボイラ灰A1、エコノマイザー灰A2及び減温塔灰A3をストーカ式焼却炉1のストーカ1aから排出される焼却灰Aに混合するための第1搬送経路を形成するものである。
【0036】
また、前記第2灰搬送装置15は、ボイラ灰排出シュート14aに分岐状に接続されたボイラ灰分岐シュート15aと、エコノマイザー灰排出シュート14bに分岐状に接続されたエコノマイザー灰分岐シュート15aと、減温塔灰排出シュート14cに分岐状に接続された減温塔灰分岐シュート15aと、ボイラ灰分岐シュート15a、エコノマイザー灰分岐シュート15a及び減温塔灰分岐シュート15aにそれぞれ接続され、ボイラ灰A1、エコノマイザー灰A2及び減温塔灰A3をろ過式の集じん器6下から排出される飛灰A4側へ搬送するコンベア15dとから構成されており、ボイラ灰排出シュート14a内、エコノマイザー灰排出シュート14b内及び減温塔灰排出シュート14c内をそれぞれ自重落下して来たボイラ灰A1、エコノマイザー灰A2及び減温塔灰A3を、ボイラ灰分岐シュート15a、エコノマイザー灰分岐シュート15a及び減温塔灰分岐シュート15aを介してコンベア15dへ落下排出し、これらの灰をコンベア15dにより搬送して飛灰A4に混合するようにしたものである。
この第2灰搬送装置15は、ボイラ灰A1、エコノマイザー灰A2及び減温塔灰A3をろ過式の集じん器6下から排出される飛灰A4に混合するための第2搬送経路を形成するものである。
【0037】
尚、第1灰搬送装置14のコンベア14d及び第2灰搬送装置15のコンベア15dには、それぞれスクリューコンベア又はフライトコンベア若しくはスクレーパコンベア等が使用されている。
【0038】
前記ボイラ灰切り替え装置16は、ボイラ灰排出シュート14aとボイラ灰分岐シュート15aの接続部分に設けられており、ボイラ灰排出シュート14aの上端部内を自重落下して来たボイラ灰A1がボイラ灰排出シュート14aの下端部側又は第2灰搬送装置15のボイラ灰分岐シュート15a側へ流れるように切り替え搬送するものである。
【0039】
前記エコノマイザー灰切り替え装置17は、エコノマイザー灰排出シュート14bとエコノマイザー灰分岐シュート15aの接続部分に設けられており、エコノマイザー灰排出シュート14bの上端部内を自重落下して来たエコノマイザー灰A2がエコノマイザー灰排出シュート14bの下端部から第1灰搬送装置14のコンベア14d側又は第2灰搬送装置15のエコノマイザー灰分岐シュート15a側へ流れるように切り替え搬送するものである。
【0040】
前記減温塔灰切り替え装置18は、減温塔灰排出シュート14cと減温塔灰分岐シュート15aの接続部分に設けられており、減温塔灰排出シュート14cの上端部内を自重落下して来た減温塔灰A3が減温塔灰排出シュート14cの下端部から第1灰搬送装置14のコンベア14d側又は第2灰搬送装置15の減温塔灰分岐シュート15a側へ流れるように切り替え搬送するものである。
【0041】
尚、ボイラ灰切り替え装置16、エコノマイザー灰切り替え装置17及び減温塔灰切り替え装置18には、何れもモータにより駆動制御される切り替えダンパ等が使用されている。
【0042】
上述した都市ごみ焼却プラントによれば、ストーカ式焼却炉1内で発生した高温の排ガスは、ボイラ2、過熱器3及びエコノマイザー4へ順次導かれて熱回収された後、引き続き減温塔5に送られてここで減温水の噴霧によりろ過式の集じん器6の濾布材の耐熱温度までその温度が引き下げられる。
【0043】
減温塔5内で温度が引き下げられた排ガスは、ろ過式の集じん器6に導かれてここで排ガス中の飛灰A4及びHCl等の酸性ガスが除去された後、クリーンな排ガスとなって誘引通風機7を経て煙突8から大気中へ放出されている。
【0044】
前記都市ごみ焼却プラントに於いては、ボイラ2下から排出されるボイラ灰A1の塩素濃度が低い通常運転時には、ボイラ灰A1とエコノマイザー4下から排出されるエコノマイザー灰A2と減温塔5下から排出される減温塔灰A3の全ての灰が第1灰搬送装置14側に搬送されるようにボイラ灰切り替え装置16、エコノマイザー灰切り替え装置17及び減温塔灰切り替え装置18が切り替え操作されており、第1灰搬送装置14により搬送されたボイラ灰A1、エコノマイザー灰A2及び減温塔灰A3がストーカ式焼却炉1のストーカ1aから排出される焼却灰Aに混合されて排出・貯溜されるようになっている。
【0045】
反対にボイラ灰A1中の塩素濃度が高くなる運転条件のとき、例えば、スートブロー(ボイラ水管に蒸気を自動的に噴霧してボイラ水管に付着した灰を払い落としする方法)やハンマリング(ハンマーによりボイラ水管に衝撃を与えてボイラ水管に付着した灰を払い落としする方法)等によりボイラ水管に付着した灰の払い落とし作業が実施される前に、ボイラ灰A1、エコノマイザー灰A2及び減温塔灰A3の全ての灰が第2灰搬送装置15側に搬送されるようにボイラ灰切り替え装置16、エコノマイザー灰切り替え装置17及び減温塔灰切り替え装置18が切り替え操作されており、第2灰搬送装置15により搬送されたボイラ灰A1、エコノマイザー灰A2及び減温塔灰A3がろ過式の集じん器6下から排出される飛灰A4に混合されて排出・貯留されるようになっている。。
【0046】
そして、スートブロー等の終了後には、ボイラ灰A1、エコノマイザー灰A2及び減温塔灰A3の全ての灰が第1灰搬送装置14側に搬送されるようにボイラ灰切り替え装置16、エコノマイザー灰切り替え装置17及び減温塔灰切り替え装置18が切り替え操作され、第1灰搬送装置14により搬送されたボイラ灰A1、エコノマイザー灰A2及び減温塔灰A3がストーカ式焼却炉1のストーカ1aから排出される焼却灰Aに混合されて排出・貯留されるようになっている。
【0047】
尚、上記の実施形態に於いては、ボイラ灰切り替え装置16、エコノマイザー灰切り替え装置17及び減温塔灰切り替え装置18の切り替えのタイミングは、スートブローやハンマリング等によるボイラ灰の払い落としのタイミングとしているが、他の実施形態に於いては、塩素成分を多く含む都市ごみ又は産業廃棄物を燃焼させた場合等のタイミングによりボイラ灰A1、エコノマイザー灰A2及び減温塔灰A3の全ての灰を第2灰搬送装置1515側へ搬送するようにボイラ灰切り替え装置16、エコノマイザー灰切り替え装置17及び減温塔灰切り替え装置18を切り替え操作し、第2灰搬送装置15により搬送したボイラ灰A1、エコノマイザー灰A2及び減温塔灰A3をろ過式の集じん器6下から排出される飛灰A4に混合して排出・貯留するようにしても良い。
【0048】
このとき、ボイラ灰切り替え装置16、エコノマイザー灰切り替え装置17及び減温塔灰切り替え装置18の切り替えのタイミングは、ストーカ式焼却炉1から発生する高温の排ガス中の塩素濃度をHCl測定器(図示省略)により連続的に測定し、塩素濃度が高くなったときとする。
【0049】
このように、上述した都市ごみ焼却プラントに於いては、ボイラ2下から排出されるボイラ灰A1の塩素濃度が低いときには、ボイラ灰A1、エコノマイザー灰A2及び減温塔灰A3を焼却灰Aに混合して排出し、反対にボイラ灰A1の塩素濃度が高いときには、ボイラ灰A1、エコノマイザー灰A2及び減温塔灰A3を焼却灰Aと分離して排出するようにしているため、ボイラ灰A1、エコノマイザー灰A2及び減温塔灰A3を混合した焼却灰Aをエコセメントの原料にし易い性状とすることができると共に、飛灰A4量を低減できて埋立処分量を低減することができるうえ、飛灰A4の埋立処分量、飛灰A4の薬剤処理費、飛灰A4の処分費及び飛灰A4の資源化費をそれぞれ低減することができる。
【0050】
図2は本発明を適用した都市ごみ焼却プラントの他の例を示す概略系統図であり、当該都市ごみ焼却プラントは、都市ごみを焼却するストーカ式焼却炉1と、ストーカ式焼却炉1で発生した高温の排ガスから熱を回収するボイラ2と、ボイラ2で発生した蒸気を排ガスにより過熱する過熱器3と、ボイラ2から排出された排ガスの熱を更に回収するエコノマイザー4と、エコノマイザー4を通過した排ガスに減温水を噴霧して排ガスを冷却する減温塔5と、排ガス中の飛灰A4及び酸性ガスを除去するろ過式の集じん器6と、ストーカ式焼却炉1内の排ガスを吸引する誘引通風機7と、クリーンな排ガスを大気中に放出する煙突8と、ボイラ2下から排出されるボイラ灰A1、エコノマイザー4下から排出されるエコノマイザー灰A2及び減温塔5下から排出される減温塔灰A3を搬送してこれらの灰をストーカ式焼却炉1のストーカ1aから排出される焼却灰Aに混合し得ると共に、ボイラ灰A1、エコノマイザー灰A2及び減温塔灰A3を搬送してこれらの灰をろ過式の集じん器6下から排出される飛灰A4に混合し得る灰の分離搬送装置9とから構成されており、ボイラ灰A1中の塩素濃度に応じて灰の分離搬送装置9によりボイラ灰A1等の灰が焼却灰A側又は飛灰A4側に混合されるように搬送するようにしたものである。
【0051】
この都市ごみ焼却プラントは、灰の分離搬送装置9が図1に示す都市ごみ焼却プラントの灰の分離搬送装置9と異なる構造となっており、灰の分離搬送装置9以外の機器は図1に示す都市ごみ焼却プラントの機器と同じ構造に構成されている。
従って、図1に示す都市ごみ焼却プラントの機器と同じ機器には、同一の参照番号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0052】
前記灰の分離搬送装置9は、ボイラ2の下方に設けたボイラ灰用ホッパ2aに接続され、下端部開口がストーカ1aの下流側近傍の直上に位置するボイラ灰排出シュート14aと、エコノマイザー4の下方に設けたエコノマイザー灰用ホッパ4aに接続されたエコノマイザー灰排出シュート14bと、減温塔5の下部に設けた減温塔灰用ホッパ5aに接続された減温塔灰排出シュート14cと、ボイラ灰排出シュート14a、エコノマイザー灰排出シュート14b及び減温塔灰排出シュート14cにそれぞれ接続され、ボイラ灰A1、エコノマイザー灰A2及び減温塔灰A3を搬送して焼却灰Aに混合し得ると共に、ボイラ灰A1、エコノマイザー灰A2及び減温塔灰A3を搬送して飛灰A4に混合し得る正逆運転切り替え可能な灰搬送装置19とを備えており、ボイラ灰A1中の塩素濃度が低い通常運転時には、灰搬送装置19を切り替え操作し、灰搬送装置19によりボイラ灰A1とエコノマイザー灰A2と減温塔灰A3の全ての灰が焼却灰Aに混合されるように搬送し、また、ボイラ灰A1中の塩素濃度が高くなる運転条件のときには、灰搬送装置19を切り替え操作し、灰搬送装置19によりボイラ灰A1とエコノマイザー灰A2と減温塔灰A3の全ての灰が飛灰A4に混合されるように搬送するものである。
【0053】
尚、灰搬送装置19には、正逆運転切り替え可能なスクリューコンベア又はフライトコンベア若しくはスクレーパコンベア等が使用されている。
【0054】
上述した都市ごみ焼却プラントは、図1に示す都市ごみ焼却プラントと同様の作用効果を奏することができる。
特に、この都市ごみ焼却プラントは、灰の分離搬送装置9が、正逆運転切り替え可能な灰搬送装置19を備えているため、機器点数の削減を図れてコスト低減及び保守管理の簡略化を図ることができる。
【0055】
尚、図1及び図2に示す各実施形態に於いては、ボイラ灰A1中の塩素濃度が低い通常運転時にボイラ灰A1とエコノマイザー灰A2と減温塔灰A3の全ての灰を焼却灰A側に混合するようにしているが、他の実施形態に於いては、ボイラ灰A1中の塩素濃度が低い通常運転時にボイラ灰A1とエコノマイザー灰A2のみを焼却灰Aに混合し、減温塔灰A3は飛灰A4側に混合しておき、ボイラ灰A1中の塩素濃度が高くなる運転条件のときにボイラ灰A1及びエコノマイザー灰A2を減温塔灰A3と一緒に飛灰A4側に混合するようにしても良く、或いはボイラ灰A1中の塩素濃度が低い通常運転時にボイラ灰A1のみを焼却灰Aに混合し、エコノマイザー灰A2及び減温塔灰A3は飛灰A4側に混合しておき、ボイラ灰A1中の塩素濃度が高くなる運転条件のときにボイラ灰A1をエコノマイザー灰A2及び減温塔灰A3と一緒に飛灰A4側に混合するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、都市ごみを焼却処理するボイラ付きのストーカ式焼却炉1を備えた都市ごみ焼却プラントに適用したが、ボイラ付きのストーカ式焼却炉1を備えておれば、他のプラントでも適用可能である。例えば、本発明は、産業廃棄物を焼却処理する産業廃棄物焼却プラント等に於いても利用される。
【符号の説明】
【0057】
1はストーカ式焼却炉、1aはストーカ、2はボイラ、4はエコノマイザー、5は減温塔、6は集じん器、9は灰の分離搬送装置、14は第1灰搬送装置、15は第2灰搬送装置、16はボイラ灰切り替え装置、17はエコノマイザー切り替え装置、18は減温塔灰切り替え装置、19は灰搬送装置、Aは焼却灰、A1はボイラ灰、A2はエコノマイザー灰、A3は減温塔灰、A4は飛灰。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストーカ式焼却炉、ボイラ及び集じん器を備えたプラントに於いて、少なくともボイラ下から排出されるボイラ灰をストーカ式焼却炉のストーカから排出される焼却灰に混合する第1搬送経路と、同じくボイラ灰を集じん器下から排出される飛灰に混合する第2搬送経路とをそれぞれ設け、ボイラ灰中の塩素濃度が低い通常運転時には、ボイラ灰を焼却灰に混合する第1搬送経路に切り替えて搬送し、当該ボイラ灰を焼却灰に混合して排出・貯溜するようにし、また、ボイラ灰中の塩素濃度が高くなる運転条件のときには、ボイラ灰を飛灰に混合する第2搬送経路に切り替えて搬送し、当該ボイラ灰を飛灰に混合して排出・貯溜するようにしたことを特徴とする灰の分離搬送方法。
【請求項2】
ストーカ式焼却炉、ボイラ、エコノマイザー、減温塔及び集じん器を備えたプラントに於いて、ボイラ下、エコノマイザー下及び減温塔下に、ボイラ下から排出されるボイラ灰、エコノマイザー下から排出されるエコノマイザー灰及び減温塔下から排出される減温塔灰をそれぞれストーカ式焼却炉のストーカから排出される焼却灰に混合する第1搬送経路と、前記ボイラ灰、エコノマイザー灰及び減温塔灰をそれぞれ集じん器下から排出される飛灰に混合する第2搬送経路とをそれぞれ接続し、ボイラ灰中の塩素濃度が低い通常運転時には、ボイラ灰とエコノマイザー灰のみ若しくはボイラ灰とエコノマイザー灰と減温塔灰の全ての灰を焼却灰に混合する第1搬送経路に切り替えて搬送し、ボイラ灰とエコノマイザー灰のみ若しくはボイラ灰とエコノマイザー灰と減温塔灰の全ての灰を焼却灰に混合して排出・貯溜するようにし、また、ボイラ灰中の塩素濃度が高くなる運転条件のときには、ボイラ灰とエコノマイザー灰のみ若しくはボイラ灰とエコノマイザー灰と減温塔灰の全ての灰を飛灰に混合する第2搬送経路に切り替えて搬送し、ボイラ灰とエコノマイザー灰のみ若しくはボイラ灰とエコノマイザー灰と減温塔灰の全ての灰を飛灰に混合して排出・貯溜するようにしたことを特徴とする灰の分離搬送方法。
【請求項3】
ボイラ灰中の塩素濃度が高くなる運転条件として、ボイラのボイラ水管に付着する灰を払い落とす作業をしたとき、或は塩素成分を多く含む都市ごみ又は産業廃棄物を燃焼させたときとし、ボイラ水管に付着している灰を払い落とす作業の間若しくは塩素成分を多く含む都市ごみ又は産業廃棄物を燃焼させているときには、ボイラ灰を飛灰に混合する第2搬送経路に切り替えて搬送するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の灰の分離搬送方法。
【請求項4】
ボイラ灰中の塩素濃度が高くなる運転条件として、ボイラのボイラ水管に付着する灰を払い落とす作業をしたとき、或は塩素成分を多く含む都市ごみ又は産業廃棄物を燃焼させたときとし、ボイラ水管に付着している灰を払い落とす作業の間若しくは塩素成分を多く含む都市ごみ又は産業廃棄物を燃焼させているときには、ボイラ灰とエコノマイザー灰のみ若しくはボイラ灰とエコノマイザー灰と減温塔灰の全ての灰を飛灰に混合する第2搬送経路に切り替えて搬送するようにしたことを特徴とする請求項2に記載の灰の分離搬送方法。
【請求項5】
ストーカ式焼却炉、ボイラ及び集じん器を備えたプラントに用いる灰の分離搬送装置であって、前記灰の分離搬送装置は、少なくともボイラ下から排出されるボイラ灰を搬送してストーカ式焼却炉のストーカから排出される焼却灰に混合する第1灰搬送装置と、ボイラ下から排出されるボイラ灰を搬送して集じん器下から排出される飛灰に混合する第2灰搬送装置と、ボイラ灰を第1灰搬送装置側又は第2灰搬送装置側へ切り替え搬送するボイラ灰切り替え装置とを備えていることを特徴とする灰の分離搬送装置。
【請求項6】
ストーカ式焼却炉、ボイラ及び集じん器を備えたプラントに用いる灰の分離搬送装置であって、前記灰の分離搬送装置は、少なくともボイラ下から排出されるボイラ灰を搬送してストーカ式焼却炉のストーカから排出される焼却灰に混合し得ると共に、ボイラ下から排出されるボイラ灰を搬送して集じん器下から排出される飛灰に混合し得る正逆運転切り替え可能な灰搬送装置を備えていることを特徴とする灰の分離搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−241951(P2012−241951A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110965(P2011−110965)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(000133032)株式会社タクマ (308)
【Fターム(参考)】