説明

灰処理方法及びその装置

【課題】灰塵を効率的に再資源化等の処理可能量以下まで低コストで性状改善し、さらにメタン発酵装置で発生する消化ガスを有効活用することができる灰処理方法及びその装置を提供する。
【解決手段】廃棄物を焼却する焼却設備にて発生した灰を水洗する灰水洗装置へ二酸化炭素を投入し灰と接触させることによって灰を処理する灰処理方法において、
廃棄物をメタン発酵処理するメタン発酵装置を前記焼却設備に併設し、前記メタン発酵装置にて発生した消化ガスの少なくとも一部を二酸化炭素供給源として灰水洗装置へ直接又は間接的に投入し灰と接触させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般廃棄物、産業廃棄物等の廃棄物の処理に関し、特に廃棄物を焼却処理した後に発生する灰の処理に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、都市ごみや下水汚泥等の一般廃棄物又は各種工場から排出される産業廃棄物は、減容化及び無害化のために焼却により処理されている。一般に、焼却設備である焼却炉の炉底から排出される主灰や排ガスから捕集される飛灰といった灰塵の処理方法としては、埋め立て処理、溶融スラグ化、建築資材への再資源化などが挙げられる。特に近年では、これらの灰を人工骨材、植栽用土、路床材、路盤材、焼成タイルなどの製品に加工して有効利用することが求められている。焼却炉から排出される灰塵には、重金属類、ダイオキシン類、SO、塩類等が含有されており、灰の用途に応じて、これらの物質を基準値以下まで低減する必要がある。重金属類、ダイオキシン類は人体や環境に有害な物質であるため、どのような処理を施す場合でも低減することが求められ、さらにSO、塩類は灰を再利用するに際して低減することが要求される。
【0003】
焼却炉から排出される灰塵の処理を扱った技術については、各種提案、実用化されている。
例えば、特許文献1、特許文献2では、焼却炉から発生した飛灰を洗浄し、重金属類及び塩類を溶液側に移行させた後、脱水処理して焼却炉に戻してダイオキシン類を熱分解する処理方法が開示されている。飛灰中の重金属類、塩類は水に溶出し易いため、水洗により除去し、溶出し難いダイオキシン類は炉内へ再投入することにより熱分解して低減する。しかし、この方法では重金属類含有量の低減は不十分であり、また重金属類の溶出も土壌環境基準には至っていないのが実状である。塩類は水洗により低減可能であるが、灰を再資源化するためには、水洗のみでは不十分である。また、排ガス中和剤としてカルシウム系化合物を使用している場合、中和反応により生成したCaSOは難溶性であるため、飛灰水洗後の脱水ケーキに残留してしまう。そのため、炉内への再投入で加熱された際にSOを発生し、排ガス中和剤の使用量が増加する。
【0004】
灰の再利用に十分な程度まで塩類を低減することが困難な理由として、塩類が難溶性のフリーデル氏塩の形態で含有されることが挙げられる。フリーデル氏塩に含まれる塩素は水洗のみでは溶出せず、脱水後も固形分側に残留する。従って、水洗で除去できない難溶性塩類の対策として、特許文献3に開示されている方法がある。これは、灰塵を塩素イオン濃度が2.0wt%以上の溶液で洗浄することにより灰塵に含まれる重金属類の溶出を促し、灰塵の洗浄懸濁液に二酸化炭素を導入して洗浄することにより灰塵に含まれるフリーデル氏塩からの塩素イオンの溶出を促す。しかし、この方法では、二酸化炭素の供給源として、標準ガス、燃焼排ガスを想定しており、標準ガスは高コストであること、燃焼排ガスは二酸化炭素濃度が低く、標準ガスに比べるとガス供給量が増加するため、大型のガス供給用ブロワーが必要であるという問題がある。さらに、塩素イオンの供給源として、塩化カルシウム、塩化ナトリウムを使用するため、薬剤費が発生し高コストとなること、洗浄懸濁液の塩素イオン濃度が2.0%以上と高いために洗浄後の脱水で溶解性塩素イオンを除去できず、さらに洗浄ろ過での洗浄水量が過大となるという問題がある。
【0005】
また、前記焼却とは別の従来より行われている廃棄物の処理方法として、低カロリー廃棄物等をメタン発酵装置にて処理する方法があげられる。該メタン発酵装置で発生する消化ガスは、メタンの燃焼エネルギーを利用することによって燃料として利用する等の有効利用をすることができる。そこで、従来よりメタン発酵装置から発生した消化ガスを燃料として供給する方法が行われており、有機系廃棄物を含む廃棄物を処理するに際して、外部燃料の供給をできるだけ少なくして、処理コストを顕著に低減する方法が、特許文献4に開示されている。これは、有機系廃棄物を含む廃棄物の全部又は一部を加熱処理する加熱処理装置で加熱処理を行うにあたり、メタン発酵装置から発生した消化ガスを加熱処理装置に供給するものである。しかし、この方法では、メタン発酵装置から発生した消化ガスを加熱処理装置、外部動力源へ供給するに留まり消化ガス中の多くの割合を占める成分である二酸化炭素の有効利用という点で不十分であり、消化ガスを十分に有効活用できているとはいえない。
【0006】
【特許文献1】特許第3492191号公報
【特許文献2】特開2000−227214号公報
【特許文献3】特開平10−128304号公報
【特許文献4】特開2003−275722号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記のように、焼却設備にて発生する主灰及び飛灰中には塩類、重金属類、及びダイオキシン類等が含有されており、埋立て処理、或いは灰の再資源化のためにはこれらを低コストで低減することが課題とされているとともに、メタン発酵装置で発生する消化ガスを有効活用することが課題とされている。
従って、本発明は上記従来技術の問題点に鑑み、灰塵を効率的に再資源化等の処理可能量以下まで低コストで性状改善し、さらにメタン発酵装置で発生する消化ガスを有効活用することができる灰処理方法及びその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明はかかる課題を解決するために、
廃棄物を焼却する焼却設備にて発生した灰を水洗する灰水洗装置へ二酸化炭素を投入し灰と接触させることによって灰を処理する灰処理方法において、
廃棄物をメタン発酵処理するメタン発酵装置を焼却設備に併設し、前記メタン発酵装置にて発生した消化ガスの少なくとも一部を二酸化炭素供給源として灰水洗装置へ直接又は間接的に投入し灰と接触させることによって灰を処理することを特徴とする。
灰水洗装置での灰と二酸化炭素の接触は、固体の灰と気体の二酸化炭素を接触させる固気接触も可能であるが、酸性不純物である硫化水素や臭気物質はアルカリ性である灰洗浄水スラリーによく溶解するため、消化ガスを水に溶解させて該消化ガスを溶解させた水を洗浄水として灰水洗装置で使用し、灰と消化ガスに含まれる二酸化炭素を接触させる湿式条件での接触であることが脱硫、脱臭効果も期待できるため好ましい。
本発明によれば、消化ガスを灰水洗装置へ吹き込むことで、消化ガスに含まれる二酸化炭素によって、重金属類の炭酸塩化による溶出量抑制が期待できる。また、フリーデル氏塩等の難溶性の塩素化合物の溶出が期待できる。溶出した難溶性の塩素化合物は、灰水洗装置にて洗い流される。また、消化ガス中の二酸化炭素を灰処理資材の二酸化炭素供給源としてリサイクルするため、消化ガスを有効利用することができる。
【0009】
また、メタン発酵装置にて発生した消化ガスを燃焼した燃焼排ガスの少なくとも一部を二酸化炭素供給源として間接的に灰水洗装置へ投入することを特徴とする。
前記燃焼排ガスを灰水洗装置へ投入することによって消化ガスを有効活用することができるとともに、前記燃焼排ガスは約10vol%の二酸化炭素を含むため塩化物の溶出を促進して含有量を低減し、灰塵の性状改善をすることができる。
【0010】
また、メタン発酵装置にて発生した消化ガスの少なくとも一部を二酸化炭素供給源として灰水洗装置へ直接投入することを特徴とする。
前記消化ガスを灰水洗装置へ投入することによって消化ガスを有効活用することができるとともに、消化ガスは約30〜40vol%の二酸化炭素を含み、前記燃焼排ガスよりも二酸化炭素濃度が高いため、灰水洗装置での塩化物の溶出促進による含有量の低減の効果が高い。
【0011】
また、メタン発酵装置にて発生した消化ガス中の二酸化炭素を濃縮した二酸化炭素ガスの少なくとも一部を二酸化炭素供給源として灰水洗装置へ間接的に投入することを特徴とする。
さらに、メタン発酵装置にて発生した消化ガス中の二酸化炭素をVPSA法(真空再生圧力スイング法)によって濃縮することを特徴とする。
例えば、VPSA法では、消化ガスから微量有害物質を分離除去した後、消化ガスの主成分であるメタンガスと二酸化炭素ガスに分離する。VPSA法で得られた二酸化炭素ガスの二酸化炭素濃度は通常90%以上であり、消化ガスを燃焼した燃焼排ガスや消化ガスをそのまま使用するよりも二酸化炭素濃度が高く、塩化物の溶出促進による含有量の低減の効果も高くなる。
【0012】
さらに、メタン発酵装置にて発生した臭気ガスを酸洗浄、アルカリ洗浄及び活性炭処理を行う工程を有し、酸洗浄液として前記二酸化炭素を含む水を利用し、アルカリ洗浄液として前記灰水洗装置にて水洗した後の排水を利用し、活性炭処理にて使用後の廃活性炭を焼却設備で燃焼することを特徴とする。
メタン発酵装置で発生した臭気ガスには、アンモニア、硫化水素等のアルカリ性物質や、有機酸類等の酸性物質が含まれるため、通常酸洗浄によってアルカリ性物質を除去し、さらにアルカリ洗浄によって酸性物質を除去した後に活性炭を通して放出している。本発明によれば、酸洗浄液に二酸化炭素を含む消化ガスを直接又は間接的に投入した水を利用し、アルカリ洗浄液に灰水洗装置にて水洗した後の排水を利用することによって、酸洗浄液及びアルカリ洗浄液を外部から投入する必要がなく洗浄液費用の低減及び洗浄液投入プロセスの低減ができる。さらに、通常産業廃棄物として処理する廃活性炭を焼却設備に投入して燃焼することによって、廃活性炭の処理コストを低減でき、助燃材としての効果も期待できる。
【0013】
また、メタン発酵装置にて発生した臭気ガスの少なくとも一部を焼却設備の燃焼用空気の一部として吹き込むことを特徴とする。
このことにより、前記臭気ガスの処理設備を簡略化、安定運転をすることもできる。焼却設備に吹き込む臭気ガス量が多ければ多いほど、臭気ガスの処理設備をより簡略化することができ、全量であれば、臭気ガスの処理設備が不要となるため、簡略化の点においては最適である。また、例えば既存の臭気ガス処理設備が存在する等の理由により臭気ガス処理設備を使用する場合は、該臭気ガス処理設備にて安定的に処理できる量を越える消化ガスを燃焼用空気の一部として利用することで、臭気ガス処理設備を安定運転することができる。この場合、例えば流量調節弁等を用いて臭気ガス処理設備に臭気ガスを定量供給し、残りを焼却設備へ吹き込むようにするとよい。
また、臭気ガスの吹き込み位置は燃焼用空気に合流させて燃焼用空気の一部として吹き込む、二次空気とともに吹き込む、焼却設備へ投入する廃棄物ピットの臭気とともに吹き込む等があげられるが、焼却設備へ吹き込むことができる位置であればよく特に限定されるものではない。
【0014】
さらに、メタン発酵装置にて発生した消化汚泥を焼却設備にて焼却することを特徴とする。
このことにより、消化汚泥処理設備を簡略化することができる。
【0015】
また、メタン発酵装置にて発生した消化汚泥を脱水処理する脱水工程を有し、前記脱水工程で発生した脱水分離液を焼却設備内に投入して焼却することを特徴とする。
消化汚泥は、脱水処理した後に堆肥化や炭化等をして再利用することができる。従来であれば脱水処理した後の脱水分離液を排水処理設備によって排水処理する必要があったが、本発明により排水処理設備が不要となる。
【0016】
ここで、前記消化汚泥を焼却設備にて焼却する方法においては消化汚泥の再利用はできないが、脱水処理も含めた消化汚泥処理設備を簡略化することができるという特徴があり、前記脱水分離液を焼却設備にて焼却する方法は、脱水処理設備が必要となるが消化汚泥の再利用も可能であるという特徴があるため、消化汚泥の再利用をするかしないかの状況によってどちらの方法を利用するか判断するとよい。
【0017】
請求項9は本発明を具体化する装置構成に係る発明で、廃棄物を焼却する焼却設備にて発生した灰を水洗する灰水洗装置へ二酸化炭素を投入し灰と接触させることによって灰を処理するように構成した灰処理装置において、廃棄物をメタン発酵処理するメタン発酵装置を前記焼却設備に併設し、前記メタン発酵装置にて発生した消化ガスの少なくとも一部を二酸化炭素供給源として灰水洗装置へ直接又は間接的に投入し灰と接触させることによって灰を処理するように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
以上記載のごとく本発明によれば、廃棄物をメタン発酵処理するメタン発酵装置を併設した焼却設備に付帯する灰水洗装置へ、前記メタン発酵装置にて発生した消化ガスの少なくとも一部を直接又は間接的に投入することによって二酸化炭素が灰と接触し、重金属類の固定化、フリーデル氏塩等の難溶性の塩素化合物の溶出が効果的になされ塩化物含有量を低減することができる。
また、メタン発酵装置にて発生した消化ガスを二酸化炭素供給源とするため、消化ガスの有効活用にもなる。
さらに、消化ガス中の二酸化炭素を例えばVPSA法(真空再生圧力スイング法)等によって濃縮し、二酸化炭素供給源として灰水洗装置へ投入することにより更に効率的に塩化物含有量の低減がなされる。
また、メタン発酵槽で発生した臭気ガス、消化汚泥を効率的に処理することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
【実施例1】
【0020】
図1は、本実施例1に係る灰処理の全体構成図である。本実施例では、プラスチック、草木等の低含水率の高カロリーごみ31aと、生ごみ、糞尿、汚泥、紙等の高含水率の低カロリーごみ31bとに種別し、これらを別の処理系統にて処理するようにしている。高カロリーごみ31aはストーカ式焼却炉10にて焼却処理し、低カロリーごみ31bはメタン発酵装置50にてメタン発酵処理する。
【0021】
都市ごみ、汚泥、産業廃棄物等の廃棄物は図示しない分別手段によってプラスチック、草木等の低含水率の高カロリーごみ31aと生ごみ、糞尿、汚泥、紙等の高含水率の低カロリーごみ31bに分けられる。分別方法としては、分別して廃棄物回収する分別回収や、比重によって選別する比重選別等があるが、分別できればどのような方法であっても良い。
【0022】
まず、高カロリーごみ31aは、ストーカ式焼却炉10にて焼却処理される。該ストーカ式焼却炉10は、ごみ投入ホッパ11と、該ごみ投入ホッパ11から投入された高カロリーごみ31aを攪拌しながら炉内を移送させる火格子12と、該火格子12の下方から燃焼用空気(一次空気)15を導入する一次空気導入口13と、火格子上に形成された一次燃焼室16と、燃焼後の主灰36を排出する主灰排出口14と、前記一次燃焼室16の上方に形成され、二次空気17の導入によりガス中の未燃分を完全燃焼させる二次燃焼室18と、主灰排出口14より排出された主灰36を冷却する灰冷却装置27と、を備える。本実施例では、一例としてストーカ式焼却炉10につき記載したが、これに限定されるものではなく、流動床式焼却炉、回転キルン式焼却炉等、他の焼却炉であっても良い。
【0023】
前記ストーカ式焼却炉10の後段にはボイラ20が配設されており、焼却炉10からの排ガスはボイラ20にて熱回収された後、減温塔21に導入される。該減温塔21では、冷却水の噴霧により排ガスの冷却が行われる。減温塔21にて冷却された排ガスは、除塵装置22に導入される。該除塵装置22には、バグフィルタ、サイクロン式集塵機、電気集塵機等が用いられるが、好適にはバグフィルタを用いる。このとき、除塵装置22の上流側の排ガス管路若しくは減温塔21にて排ガス中和剤32が噴霧される。中和剤32は、排ガス中のHCl、SO等の酸性ガスを中和反応により除去する薬剤であり、例えば、消石灰(Ca(OH))、或いは苛性ソーダ(NaOH)や重曹(NaHCO)等のNa系中和剤などのアルカリ性の中和剤が、単独若しくは複数併用して使用される。前記除塵装置22にて飛灰33が除去された排ガスは、煙突23から系外へ排出される。また、除塵装置の後段に、触媒反応塔を設置することもある。
【0024】
さらに、前記ボイラ20、前記減温塔21、若しくは前記除塵装置22等にて回収された飛灰33を処理する飛灰処理系統と、前記ストーカ式焼却炉10の炉底から排出される主灰36を処理する主灰処理系統とを備えている。
飛灰処理系統は、前記回収された飛灰33を水洗する飛灰水洗装置24と、該水洗した飛灰を脱水する脱水機25と、を備え、さらに脱水機25にて生じた排水を処理する排水処理設備26を備えている。
前記飛灰水洗装置24は、水槽内に給水34された洗浄用水により飛灰33を水洗処理する装置である。このとき、必要に応じて撹拌手段を設け、撹拌しながら水洗すると良い。水洗時のL/S(液体/固体重量比)は、1〜10である必要があり、3〜7であることが好ましい。該飛灰水洗装置24は、バッチ式、連続式の何れの方式を用いることもできるが、本実施例ではバッチ式の水洗装置が好ましい。該バッチ式の水洗装置では、複数回洗浄を行うことでより効果的な洗浄が可能となり、低コストとなる。望ましくは、1回目の水洗ではL/Sを小さくし、2回目以降はL/Sを1回目と同等以上とする。これは、塩類の略100wt%が水に溶解するが、脱水ケーキの付着水に残るため、1回目で溶解させて脱水した後、2回目以降でこの付着水を分離することになるためである。複数回の洗浄は、一つの装置で行っても良いし、複数個の装置を直列に並べて用いてもよい。また、バッチ式の水洗装置の場合、複数の水洗用水槽を設けて交互に運転することが好ましい。
【0025】
前記飛灰水洗装置24では、飛灰中に含有される重金属類と、水に溶出し易い塩類及び硫黄成分を同時に除去する。これにより重金属類、塩類は液側に移行し、脱水機25により固液分離されて排水に含有されて排水処理設備26に送給される。このとき、実験によれば飛灰中に含有されるClの約90〜100wt%、Pbの約20〜50wt%が液側に移行した。前記排水処理設備26は、主に重金属類を除去する装置からなり、例えばキレート処理、凝集沈殿処理、さらに高度水処理等が行われる。排水処理後の排水は放流される。
前記脱水機25にて、飛灰中のダイオキシン類は水に難溶であるため、固形物側に残留する。
脱水機25により固液分離された固形物、即ち脱水ケーキ35は、焼却炉10のごみピット若しくはその後段の投入ホッパ11に導かれ、炉内へ再投入される。脱水ケーキ35は、炉内への再投入によりダイオキシン類が熱分解して除去されるとともに、残留するPb等の重金属類、塩類が揮発して排ガス側に移行する。このとき、飛灰33は脱水機25にてケーキ状の塊である脱水ケーキ35として炉に返送されるため、炉内に再投入されても再飛散し難い。
【0026】
一方、主灰処理系統は、焼却炉10から排出された主灰36から鉄、アルミニウムを選別する選別装置28と、主灰36を粉砕して細粒化する粉砕機29と、該粉砕した主灰を水洗する主灰水洗装置30と、を備えている。主灰36は飛灰33と異なり粒径が大きく、比表面積が小さいため、2〜5mm程度に粉砕することが好適である。尚、選別装置28、粉砕機29は本実施例に記載した構成が最も好適であるが、これらは適宜設置するようにし、またその配置構成は特に限定されない。
前記主灰水洗装置30は、上記した飛灰水洗装置24と略同様の構成を有する。さらに本実施例では、該主灰水洗装置30へ給水37され水洗に使用された排水39は、前記飛灰水洗装置24に導入して、飛灰33の水洗に再利用する。このとき、該排水39の少なくとも一部を再利用するが、好ましくは全量を再利用にまわすと良い。尚、前記主灰水洗装置30から排出される排水39は、飛灰水洗装置24に送給せずに、排水処理設備26にて処理して系外へ排出するようにしても良い。
【0027】
このように、主灰水洗装置30にて主灰36を水洗することにより、主灰中の塩類濃度が極めて低い値まで低減し、セメント・コンクリート製品等の原料化38に適した性状とすることができる。
また、主灰水洗装置30にて主灰36の水洗に用いられた排水39を飛灰水洗装置24に送給して再利用することにより、排水発生量を大幅に低減することができる。
一般的に、主灰36中の塩類含有量は0.3〜2.0%であるのに対して、飛灰33中の塩類含有量は7〜15%と高い。そこで、主灰水洗装置30では、塩類が含まれない洗浄用水で主灰36を洗浄することにより、主灰36の塩類除去率を極めて高くすることができ、セメント・コンクリート原料等の再資源化に適した性状とすることができる。一方、飛灰水洗装置24では、主灰水洗後の排水を用いて飛灰33を洗浄する構成であるが、飛灰33は炉内に再投入するため塩類が多少残留しても問題とならず、高濃度の塩類を含有する飛灰33を粗洗浄するようになっている。
また、脱水ケーキ35として炉内に再投入される飛灰は、高温の炉内を通過することによりダイオキシン類が熱分解して除去され、重金属類及び塩類が揮散して排ガス側へ移行するため、主灰36とともに排出される脱水ケーキ35中の塩類、重金属類濃度は小さくなる。
【0028】
一方、低カロリーごみ31bは、メタン発酵装置50にてメタン発酵処理される。メタン発酵装置50にて発生した消化ガス51は燃焼装置54にて燃焼され、燃焼排ガス55が発生する。一般にメタン発酵装置50にて発生した消化ガス51の成分は、その大部分がメタンガスであり、その他に30〜40vol%程度の二酸化炭素を含む。そのため、燃焼排ガス55は約10vol%程度の二酸化炭素を含むこととなる。
例えば表1に二酸化炭素40vol%及びメタンガス60vol%を含む消化ガス1mを空気比1.3の条件の下でメタンガスが完全燃焼されたときの燃焼排ガス中の各成分の体積をまとめた。消化ガス1m中にはメタンガス(CH)0.6m、二酸化炭素(CO)0.4mが含まれている。また、メタンガスの燃焼反応は、下記の反応式(1)で表すことができるため、空気比1.3の条件下では、燃焼用空気中の酸素(O)は0.6×2×1.3=1.56mである。
CH+2O→CO+2HO ・・・(1)
また空気中の酸素(O)と窒素(N)の体積比は0.21:0.79であるので、燃焼空気中の窒素(N)は、1.56×0.79/0.21=5.87mとなる。従って、消化ガス1mを空気比1.3の条件の下で燃焼させたとき、(1)の燃焼反応が起こり、二酸化炭素(CO)0.6mと水(HO)1.2mが生じる。よって燃焼排ガス中の二酸化炭素(CO)は(0.4+0.6)/(1+0.27+5.87)=14vol%となる。
【0029】
【表1】

【0030】
従って、前記の燃焼排ガス55を、主灰水洗装置30又は主灰供給装置30に供給する給水37に吹き込むことによって、重金属類の炭酸塩化による溶出量抑制とともに、フリーデル氏塩等の難溶性の塩素化合物の溶出ができ、塩化物含有量の低減を促進することができる。また、溶出した難溶性の塩素化合物は、灰水洗装置にて洗い流される。また、消化ガスを二酸化炭素供給源としてリサイクルするため、消化ガスを有効利用することができる。
【0031】
また、前記のように塩化物含有量の低減を促進するためには、主灰水洗装置30中の灰スラリーと、燃焼排ガス55中の二酸化炭素を混合し、効率よく灰と二酸化炭素を接触させる必要があるが、この混合は単一槽で実施することも、複数槽で実施することもできる。
混合を単一槽、複数槽で行う一例として図8に示した構成があげられる。図8(A)は灰スラリーと二酸化炭素(燃焼排ガス)を単一槽で混合する場合の構成図、図8(B)は灰スラリーと二酸化炭素(燃焼排ガス)を複数(2)槽で混合する場合の構成図である。
図8(A)の構成に基づき単一槽で混合する場合、主灰水洗装置は曝気槽30bのみから構成される。選別装置28、粉砕機29で水洗の前処理をなされた飛灰36は攪拌機付きの曝気槽30bへ投入される。また、曝気槽30bへは水洗用に給水37がされている。そして、二酸化炭素を含む燃焼排ガス55を曝気槽30bへ直接又は曝気槽30bに供給する給水37に吹き込むことによって、曝気槽30b中には水、灰、二酸化炭素が混在している状態となり、曝気槽30bで攪拌、二酸化炭素曝気を行うことによって、水洗及び二酸化炭素と灰の接触が実現される。曝気槽30bで水洗された主灰は、固液分離機30cで脱水され排水39は必要に応じて飛灰水洗装置24で使用され、脱水灰30dは一部はセメント・コンクリート製品原料化38され、一部は前処理後の主灰とともに再度曝気槽30bへ投入される。
また、図8(B)の構成に基づき複数(2)槽で混合する場合、主灰水洗装置は二酸化炭素を水に溶解させる溶解槽30eと、前記溶解槽で生成された溶解液を灰と接触させる接触槽30fの2層から構成されている。選別装置28、粉砕機29で水洗の前処理をなされた飛灰36は接触槽30fへ投入される。また、二酸化炭素を含む燃焼排ガス55を溶解槽30eへ投入し、溶解槽30eで水と混合することによって溶解液30gが生成され、不要な排ガス30hは排出される。前記溶解液30gを接触槽30fへ投入することによって、接触槽30f内では水洗及び二酸化炭素と灰の接触が実現される。接触槽30fで水洗された主灰は、単一槽を使用したときと同様に、固液分離機30cで脱水され排水39は必要に応じて飛灰水洗装置24で使用され、脱水灰30dは一部はセメント・コンクリート製品原料化38され、一部は前処理後の主灰とともに再度接触槽30fへ投入される。
単一槽は、攪拌と二酸化炭素曝気により十分に混合する軽い灰にむいており、このような灰の場合は単一槽でも十分に溶解及び二酸化炭素との接触が実現できる。また複数槽は、重くて混合しにくい灰に向いており、例えば固定床に対して洗浄水を流通させることで、二酸化炭素の溶解した炭酸イオンとの接触効率を高めることができる。また、ガスの回収が必要である場合、ガスの流れと灰スラリーの流れを分離できる複数槽を利用する方が有利である。
【0032】
また、30cに示した固液分離機として、粗分離と脱水を組み合わせたものを使用すると好適である。粗分離としてはフルイによる分離又は湿式サイクロンを利用することができ、脱水としてはベルト式吸引ろ過又はドラムスクリーンを利用することができる。脱水後の灰ケーキは元は主灰であるため、礫状の先鋭で硬質な粒子が多い。このため飛灰や汚泥の脱水に用いている例えばスクリュープレス等の加圧脱水を用いると脱水機の磨耗が激しく、例えばフィルタプレス等の加圧ろ過ではろ布の破れが生じやすくなる。従って、まず、フルイや湿式サイクロンの粗分離にて重い灰を軽い灰と水の混合物と分離する。分離後の重い灰は、製品とするためには脱水し塩素分や重金属分を除去する必要があり、このため吸引ろ過又はドラムスクリーンで脱水する。また、必要に応じてすすぎ水を仕上げに使用してもよい。
【実施例2】
【0033】
図2は、本実施例2に係る灰処理の全体構成図である。メタン発酵装置50で発生した消化ガス51を、主灰水洗装置30又は主灰水洗装置30に供給する給水37に吹き込む構成とした。また、その他は実施例1と同じ構成とした。
一般にメタン発酵装置50にて発生した消化ガス51の成分は、その大部分がメタンガスであり、その他に30〜40vol%程度の二酸化炭素を含む。
【0034】
従って、前記消化ガス51を、主灰水洗装置30又は主灰供給装置30に供給する給水37に吹き込むことによって、重金属類の炭酸塩化による溶出量抑制とともに、フリーデル氏塩等の難溶性の塩素化合物の溶出ができ、塩化物含有量を低減することができる。また、溶出した難溶性の塩素化合物は、灰水洗装置にて洗い流される。また、消化ガス51の二酸化炭素濃度は前記燃焼排ガス55よりも高いため、高い効果が期待できる。
また、消化ガスを二酸化炭素供給源としてリサイクルするため、消化ガスを有効利用することができる。
【0035】
さらに、消化ガスはガスホルダ53に貯蓄された後、図示しない脱硫装置にて硫化水素を除去し、ガス利用(発電)される場合があるが、本実施例においては消化ガスが主灰水洗装置30で水と接触する際に硫化水素が除去されるため、脱硫装置が不要となる。
また、ガス利用を例えばボイラ、ガスエンジン、ガスタービン等の燃焼装置にて行う場合、燃焼後の排ガス処理としてサーマルNOの脱硝処理が必要となる場合があるため、脱硝処理設備が必要であるが、該排ガスを焼却炉の排ガス処理系に投入し、焼却炉の排ガスと共に処理することによって脱硝処理設備が必要なくなる。
【実施例3】
【0036】
図3は、本実施例3に係る灰処理の全体構成図である。メタン発酵装置50で発生した消化ガス51を、VPSA装置(真空再生圧力スイング装置)56にて濃縮して二酸化炭素(CO)ガス57とメタン(CH)ガスに分離し、COガス57を、主灰水洗装置30又は主灰供給装置30に供給する給水37に吹き込む構成とした。また、その他は実施例1と同じ構成とした。
一般に消化ガス51をVPSA装置56で濃縮して得られたCOガスは90%以上の二酸化炭素濃度である。
本実施例においては、消化ガス51を濃縮して二酸化炭素(CO)ガスを得るためにVPSA装置(真空再生圧力スイング装置)を用いたが、濃縮装置はVPSA装置に限定されるものではなく、消化ガスを濃縮して二酸化炭素(CO)ガスを得ることが出来る装置であればよい。
【0037】
従って、前記COガス57を、主灰水洗装置30又は主灰水洗装置30に供給する給水37に吹き込むことによって、重金属類の炭酸塩化による溶出量抑制とともに、フリーデル氏塩等の難溶性の塩素化合物の溶出ができ、塩化物含有量を低減することができる。また、溶出した難溶性の塩素化合物は、灰水洗装置にて洗い流される。また、COガス57の二酸化炭素濃度は前記燃焼排ガス55及び前記消化ガス51よりも高いため、さらに高い効果が期待できる。
また、消化ガスを二酸化炭素供給源としてリサイクルするため、消化ガスを有効利用することができる。
【実施例4】
【0038】
図4は本実施例4に係る灰処理の全体構成図である。通常、メタン発酵装置50を含むメタン発酵設備60より発生する臭気ガス61は、アンモニア、硫化水素等のアルカリ性物質が含まれるため、酸洗浄槽62にて硫酸等によって酸洗浄してアルカリ性物質を除去し、さらに有機酸類等の酸性物質が含まれるため、アルカリ洗浄槽63にて苛性ソーダ等によってアルカリ洗浄して酸性物質を除去し、さらに活性炭処理装置64にて活性炭処理を実施して放出する。本実施例においては、前記消化ガス51を吹き込んだ給水37は酸性であるため酸洗浄液65として酸洗浄槽62へ投入できるようにし、また、主灰水洗装置30で主灰を洗浄した後の排水はアルカリ性であるためアルカリ洗浄液66としてアルカリ洗浄槽63へ投入できるようにし、さらに活性炭処理装置64にて使用後の活性炭をごみ投入ホッパ11より投入し焼却炉10にて焼却処理できるような構成とした。また、その他の構成は本実施例においては実施例2と同じ構成としたが、主灰水洗装置への給水37へ消化ガスの少なくとも一部を二酸化炭素供給源として直接又は間接的に吹き込む構成であればよく、他の構成は例えば実施例1、3に示した構成とすることもでき、実施例2の構成に限定されるものではない。
【0039】
このように、酸洗浄液に消化ガス51を吹き込んだ給水37を用い、アルカリ洗浄液に主灰水洗装置で主灰を洗浄した後の排水を用いることによって、硫酸等の酸洗浄液、苛性ソーダ等のアルカリ洗浄液を外部から投入する必要がなくなり、薬品代を低減することができる。さらに、使用後の活性炭を焼却炉10にて焼却処理することによって、使用後の活性炭の処理費用を低減することができ、助燃剤としての効果も期待することができる。
従って、本実施例によれば、実施例2と同様に塩化物を低減することができ、消化ガスを有効利用することができることに加えて、前記薬品代、活性炭の処理費用を低減することができる。
【実施例5】
【0040】
図5は本実施例5に係る灰処理の全体構成図である。図2に示した実施例2の構成に加えて、メタン発酵装置50を含むメタン発酵設備60より発生する臭気ガス61全量を一次空気15とともに一次空気導入口13より燃焼用空気の一部として導入できるような構成とした。臭気ガス61は一次空気15とともに吹き込む他、二次空気17とともに吹き込む、焼却炉10へ投入する廃棄物ピットの臭気とともに吹き込む等、焼却炉10へ吹き込むことができる構成であれば他の構成をとることもでき、複数の吹き込み方法を組み合わせて使用することもできる。また、その他の構成は本実施例においては実施例2と同じ構成としたが、主灰水洗装置への給水37へ消化ガスの少なくとも一部を二酸化炭素供給源として直接又は間接的に吹き込む構成であればよく、他の構成は例えば実施例1、3に示した構成とすることもでき、実施例2の構成に限定されるものではない。
【0041】
このように、メタン発酵設備60より発生する臭気ガス61を焼却炉10へ吹き込むことによって、従来必要であった臭気ガス61の処理設備が必要なくなり、設備の簡略化ができるとともに臭気ガス61の処理設備の運転に必要であったランニングコストも低減することができる。
従って、本実施例によれば、実施例2と同様に塩化物含有量を低減することができ、消化ガスを有効利用することができることに加えて、臭気ガス61の処理設備が必要なくなり、設備の簡略化、ランニングコストの低減をすることができる。
【実施例6】
【0042】
図6は本実施例6に係る灰処理の全体構成図である。図2に示した実施例2の構成に加えて、メタン発酵装置50より発生する消化汚泥71をごみ投入ホッパ11を通して焼却炉10に投入して焼却処理できる構成とした。消化汚泥は直接焼却炉10に投入する、高カロリーごみ31aと混合した後に高カロリーごみ31aとともに焼却炉10に投入する等、焼却炉10に投入することができる方法であれば他の構成をとることもでき、複数の投入方法を組み合わせて使用することもできる。また、その他の構成は本実施例においては実施例2と同じ構成としたが、消化汚泥71を焼却炉10に投入できる構成であればよく、他の構成は、例えば実施例1、3に示した構成とすることもでき、実施例2の構成に限定されるものではない。
また、消化汚泥71には水分が含まれており、焼却炉10への水分持込量が増加し、消化汚泥量が過剰の場合には焼却炉10内温度が低下する可能性があるが、メタン発酵槽として固形物濃度が20〜40%程度である乾式発酵を使用すると消化汚泥自身が自燃可能な熱量を持つため、乾式発酵を使用することが好適である。
【0043】
このように、消化汚泥71を焼却炉10へ投入して焼却処理することによって、消化汚泥71の処理設備を簡略化することができるとともに消化汚泥71の処理設備の運転に必要であったランニングコストも低減することができる。
従って、本実施例によれば、実施例2と同様に塩化物含有量を低減することができ、消化ガスを有効利用することができることに加えて、消化汚泥71の処理設備が必要なくなり、設備の簡略化、ランニングコストの低減をすることができる。
【実施例7】
【0044】
図7は本実施例7に係る灰処理の全体構成図である。通常、メタン発酵装置50より発生する消化汚泥71は、脱水することによって堆肥化、炭化し再利用することができるため、消化汚泥71を脱水機72にて脱水し、脱水された脱水汚泥73は堆肥化や炭化をされて再利用され、脱水分離液は排水処理設備にて処理される。本実施例においては脱水機72で消化汚泥71を脱水することによって発生した脱水分離液74をごみ投入ホッパ11を通して焼却炉10に投入して焼却処理できる構成とした。脱水分離液74は直接焼却炉10に投入する、高カロリーごみ31aと混合した後に高カロリーごみ31aとともに焼却炉10に投入する等、焼却炉10に投入することができる方法であれば他の構成をとることもでき、複数の投入方法を組み合わせて使用することもできる。また脱水分離液74は焼却炉10へ噴霧することが効率的に焼却処理を行うためには好ましい。また、その他の構成は本実施例においては実施例2と同じ構成としたが、脱水分離液74を焼却炉10に投入できる構成であればよく、その他の構成は例えば実施例1、3に示した構成とすることもでき、実施例2の構成に限定されるものではない。
また、実施例6と同様に脱水分離液74には水分が含まれており、焼却炉10への水分持込量が増加し、脱水分離液74が過剰の場合には焼却炉10内温度が低下する可能性があるが、メタン発酵槽として固形物濃度が20〜40%程度である乾式発酵を使用すると消化汚泥自身が自燃可能な熱量を持つため、乾式発酵を使用することが好適である。
【0045】
このように、脱水分離液74を焼却炉10へ投入して焼却処理することによって、脱水分離液74を処理する排水処理設備が必要なくなり、設備の簡略化ができるとともに脱水分離液74のを処理する排水処理設備の運転に必要であったランニングコストも低減することができる。また、従来通り消化汚泥71を脱水した脱水汚泥73の再利用も可能である。
従って、本実施例によれば、実施例2と同様に塩化物含有量を低減することができ、消化ガスを有効利用することができることに加えて、脱水分離液74の処理設備が必要なくなり、設備の簡略化、ランニングコストの低減をすることができると共に脱水汚泥73の再利用も可能である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明によれば、灰塵を効率的に再資源化等の処理可能量以下まで低コストで性状改善し、さらにメタン発酵装置で発生する消化ガスを有効活用することができ、灰の再資源化が促進される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本実施例1に係る灰処理の全体構成図である。
【図2】本実施例2に係る灰処理の全体構成図である。
【図3】本実施例3に係る灰処理の全体構成図である。
【図4】本実施例4に係る灰処理の全体構成図である。
【図5】本実施例5に係る灰処理の全体構成図である。
【図6】本実施例6に係る灰処理の全体構成図である。
【図7】本実施例7に係る灰処理の全体構成図である。
【図8】図8(A)は灰スラリーと二酸化炭素(燃焼排ガス)を単一槽で混合する場合の構成図、図8(B)は灰スラリーと二酸化炭素(燃焼排ガス)を複数槽で混合する場合の構成図である。
【符号の説明】
【0048】
10 ストーカ式燃焼炉
11 ごみ投入ホッパ
28 選別装置
29 粉砕機
30 主灰水洗装置
31a 高カロリーごみ
31b 低カロリーごみ
33 飛灰
36 主灰
37 給水
50 メタン発酵装置
51 消化ガス
54 燃焼装置
55 燃焼排ガス
56 VPSA装置
57 COガス
60 メタン発酵設備
61 臭気ガス
65 酸洗浄液
66 アルカリ洗浄液
71 消化汚泥
74 脱水分離液


【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を焼却する焼却設備にて発生した灰を水洗する灰水洗装置へ二酸化炭素を投入し灰と接触させることによって灰を処理する灰処理方法において、
廃棄物をメタン発酵処理するメタン発酵装置を焼却設備に併設し、前記メタン発酵装置にて発生した消化ガスの少なくとも一部を二酸化炭素供給源として灰水洗装置へ直接又は間接的に投入し灰と接触させることによって灰を処理することを特徴とする灰処理方法。
【請求項2】
メタン発酵装置にて発生した消化ガスを燃焼した燃焼排ガスの少なくとも一部を二酸化炭素供給源として灰水洗装置へ間接的に投入することを特徴とする請求項1記載の灰処理方法。
【請求項3】
メタン発酵装置にて発生した消化ガスの少なくとも一部を二酸化炭素供給源として灰水洗装置へ直接投入することを特徴とする請求項1記載の灰処理方法。
【請求項4】
メタン発酵装置にて発生した消化ガス中の二酸化炭素を濃縮した二酸化炭素ガスの少なくとも一部を二酸化炭素供給源として灰水洗装置へ間接的に投入することを特徴とする請求項1記載の灰処理方法。
【請求項5】
メタン発酵装置にて発生した消化ガス中の二酸化炭素をVPSA法(真空再生圧力スイング法)によって濃縮することを特徴とする請求項4記載の灰処理方法。
【請求項6】
メタン発酵装置にて発生した臭気ガスを酸洗浄、アルカリ洗浄及び活性炭処理を行う工程を有し、酸洗浄液として前記二酸化炭素を含む水を利用し、アルカリ洗浄液として前記灰水洗装置にて水洗した後の排水を利用し、活性炭処理にて使用後の廃活性炭を焼却設備で燃焼することを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の灰処理方法。
【請求項7】
メタン発酵装置にて発生した臭気ガスの少なくとも一部を焼却設備に吹き込んで処理することを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の灰処理方法。
【請求項8】
メタン発酵装置にて発生した消化汚泥を焼却設備にて焼却することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の灰処理方法。
【請求項9】
メタン発酵装置にて発生した消化汚泥を脱水処理する脱水工程を有し、前記脱水工程で発生した脱水分離液を焼却設備内に投入して焼却することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の灰処理方法。
【請求項10】
廃棄物を焼却する焼却設備にて発生した灰を水洗する灰水洗装置へ二酸化炭素を投入し灰と接触させることによって灰を処理するように構成した灰処理装置において、
廃棄物をメタン発酵処理するメタン発酵装置を焼却設備に併設し、前記メタン発酵装置にて発生した消化ガスの少なくとも一部を二酸化炭素供給源として灰水洗装置へ直接又は間接的に投入し灰と接触させることによって灰を処理するように構成したことを特徴とする灰処理装置。
【請求項11】
メタン発酵装置にて発生した消化ガスを燃焼した燃焼排ガスの少なくとも一部を二酸化炭素供給源として灰水洗装置へ間接的に投入するように構成したことを特徴とする請求項10記載の灰処理装置。
【請求項12】
メタン発酵装置にて発生した消化ガスの少なくとも一部を二酸化炭素供給源として直接灰水洗装置へ投入するように構成したことを特徴とする請求項10記載の灰処理装置。
【請求項13】
メタン発酵装置にて発生した消化ガス中の二酸化炭素を濃縮した二酸化炭素ガスの少なくとも一部を二酸化炭素供給源として灰水洗装置へ間接的に投入するように構成したことを特徴とする請求項10記載の灰処理装置。
【請求項14】
メタン発酵装置にて発生した消化ガス中の二酸化炭素をVPSA法(真空再生圧力スイング法)によって濃縮するように構成したことを特徴とする請求項13記載の灰処理装置。
【請求項15】
メタン発酵装置にて発生した臭気ガスを酸洗浄、アルカリ洗浄及び活性炭処理を行う手段を有し、酸洗浄液として前記二酸化炭素を含む水を利用し、アルカリ洗浄液として前記灰水洗装置にて水洗した後の排水を利用し、活性炭処理にて使用後の廃活性炭を焼却設備で燃焼するように構成したことを特徴とする請求項10〜14いずれかに記載の灰処理装置。
【請求項16】
メタン発酵装置にて発生した臭気ガスの少なくとも一部を焼却設備に吹き込んで処理することができるように構成したことを特徴とする請求項10〜14いずれかに記載の灰処理装置。
【請求項17】
メタン発酵装置にて発生した消化汚泥を焼却設備にて焼却するように構成したことを特徴とする請求項10〜14のいずれかに記載の灰処理装置。
【請求項18】
メタン発酵装置にて発生した消化汚泥を脱水処理する脱水手段を有し、前記脱水手段で発生した脱水分離液を焼却設備にて焼却処理することを特徴とする請求項10〜14のいずれかに記載の灰処理装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−196153(P2007−196153A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−18877(P2006−18877)
【出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】