説明

灰色化抑制性多糖類を含む液状の洗浄または清浄剤

本発明は、灰色化抑制性多糖類を含む、安定な液状の洗浄または液状の清浄剤に関する。本発明は、さらに、液状の洗浄または液状の清浄剤の使用およびそれらの製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、界面活性剤および灰色化抑制性多糖類を含有する液状の洗浄または清浄剤に関する。本発明は、また、上記の洗浄または清浄剤の使用ならびにその製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄または清浄剤の洗浄または清浄力を高めるために、洗浄または清浄剤に1以上の添加剤を含有させることが多い。例えば、細かく分散させた既に放出された汚れが、再び沈着することを防ぐために、洗浄剤は、いわゆる灰色化抑制剤(例えばカルボキシメチルセルロース)を含む。
【0003】
そのため、欧州特許出願公開第054325号には、灰色化抑制剤としてカルボキシメチルセルロースを含有する洗浄剤が記載されている。
【0004】
液状の洗浄または清浄剤中での、カルボキシメチルセルロースの溶解性は低いため、灰色化抑制剤としてカルボキシメチルセルロースを含む液状の洗浄または清浄剤は、それほど市販されていない。別の問題は、洗浄または清浄剤のマトリックス中でカルボキシメチルセルロースの安定な分散体が極めて得られにくく、カルボキシメチルセルロースを含有する洗浄または清浄剤を保管している間に、沈殿および相分離が生じることである。
【0005】
これらは全て、粉末化した洗浄剤を使用する場合には、粉末化した洗浄剤にカルボキシメチルセルロースを問題なく導入することができることにつながり、その際、液状の洗浄剤を使用する場合よりも顕著に低い洗浄の灰色化が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第054325号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の課題は、灰色化抑制剤として多糖類を含有する液状の洗浄または清浄剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題は、界面活性剤0.1〜60重量%、灰色化抑制性多糖類0.1〜5重量%、増粘剤0.05〜1重量%および無機塩1〜20重量%を含む液状の洗浄または清浄剤によって解決される。
【0009】
驚くべきことに、マトリックスが増粘剤および無機塩を含む場合、液状の洗浄または清浄剤のマトリックス中に、灰色化抑制性多糖類を安定に導入できることがわかった。
【0010】
塩の添加により、液状の洗浄または清浄剤中に、ミクロ相分離が生じる。その結果、界面活性剤が多い相および界面活性剤が少ない連続相が生じ、ここで、界面活性剤が多い相は、界面活性剤が少ない連続相中に分散する。増粘剤の存在は、界面活性剤が少ない連続相の、マクロ的な分離を防ぐ。その上、無機塩と併用するために、ただでさえ少量の増粘剤は、洗浄または清浄剤が流動限界を示すのに十分である。このことは、洗浄または清浄剤中に固体が安定に分散できる可能性があることを表す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
灰色化抑制性多糖類を、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプンのエーテルスルホン酸塩、セルロースのエーテルスルホン酸塩、セルロースの酸性硫酸エステル塩、デンプンの酸性硫酸エステル塩、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースメチルヒドロキシエチルセルロース、メチルカルボキシメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロースおよびそれらの混合物を含む群から選択する場合、有利である。多糖類カルボキシメチルセルロース、特にカルボキシメチルセルロースナトリウムが極めて特に好ましい。
【0012】
これらの好ましい灰色化抑制性多糖類は、特に良好な灰色化抑制作用を洗浄または清浄剤に与える。
【0013】
無機塩を、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムおよびそれらの混合物を含む群から選択する場合、これらの塩は水溶性が高いため、好ましい。
【0014】
増粘剤を、キサンタン、グアール、カラギーナン、寒天、ジェラン、ペクチン、ローカストビーン粉およびそれらの混合物を含む群から選択することがさらに好ましい。これらの化合物は、無機塩の存在下で有効な増粘剤でもある。キサンタンは、高い塩濃度の下でさえ効果的に増粘し、連続相のマクロ的な分離を防ぐため、特に好ましい態様において、洗浄または清浄剤は、増粘剤としてキサンタンを含有する。
【0015】
特に好ましい態様において、洗浄または清浄剤は、セルラーゼをさらに含有する。
【0016】
液体製品中で共存するセルロース(誘導体)およびセルラーゼの製剤は、通常、経時的な、例えば貯蔵中において、セルラーゼによるセルロース(誘導体)の分解をもたらす。本発明の洗浄または清浄剤において、灰色化抑制性セルロース(誘導体)、例えばCMCを、物理的に安定な方法だけでなく、化学的に安定な方法で導入することができる。この理論に限られることを意図するものではないが、灰色化抑制性多糖類およびセルラーゼは、異なる相に存在すると考えられ、したがって、互いに分離されている。これに関し、セルロースは、界面活性剤が多い相に存在し、セルラーゼは界面活性剤が少ない連続相に存在する。
【0017】
好ましい態様において、液状の洗浄または清浄剤は、アクリルポリマーを含む。驚くべきことに、液状の洗浄または清浄剤の灰色化抑制作用を、アクリルポリマーが存在することによって高めることができることがわかった。
【0018】
本発明は、本発明の洗浄または清浄剤の、編織布を洗浄および/または清浄するための使用にも関する。
【0019】
本発明は、液状の洗浄または清浄剤におけるミクロ相分離を生じさせるための、増粘剤0.05〜1重量%および無機塩1〜20重量%の使用も含む。液状の洗浄または清浄剤が、灰色化抑制性多糖類を含むことが好ましい。
【0020】
別の態様において、本発明は、
・界面活性剤0.1〜60重量%、
・灰色化抑制性多糖類0.1〜5重量%、および
・増粘剤0.05〜1重量%、
を含み、ここで、無機塩1〜20重量%を液状の洗浄または清浄剤に添加する、
2つのミクロ相の液状の洗浄または清浄剤の製造方法に関する。
【0021】
本発明を、特に実施例を用いて、以下により詳細に記載する。
【0022】
本発明の液状の洗浄または清浄剤は、灰色化抑制性多糖類、界面活性剤、増粘剤および無機塩を含む。
【0023】
液状の洗浄または清浄剤は、灰色化抑制性多糖類として、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプンのエーテルスルホン酸塩、セルロースのエーテルスルホン酸塩、セルロースの酸性硫酸エステル塩、デンプンの酸性硫酸エステル塩、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルカルボキシメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロースまたはこれらの灰色化抑制性多糖類の混合物を含むことが好ましい。灰色化抑制性多糖類カルボキシメチルセルロース、特にカルボキシメチルセルロースナトリウムが、極めて好ましい。
【0024】
灰色化抑制性多糖類の量は、洗浄または清浄剤の総量に基づいて、0.1〜5重量%である。灰色化抑制性多糖類の量は、それぞれの場合において、洗浄または清浄剤の総量に基づいて、好ましくは0.2〜4重量%、極めて好ましくは0.5〜3重量%である。
【0025】
カルボキシメチルセルロースナトリウムを、300〜700g/Lのかさ密度および0.4〜1.5、好ましくは0.5〜0.9の置換度を有する、粉体状および/または粒状で導入することが好ましい。上記の置換度は、セルロースの3個の置換可能なヒドロキシル基のうち、いくつがエーテル化されているかを示す。
【0026】
灰色化抑制性多糖類に加えて、洗浄または清浄剤は界面活性剤を含み、ここで、アニオン性、非イオン性、双性イオン性および/または両性界面活性剤を用いることができる。アニオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤の混合物が、産業用途の観点から好ましい。液状の洗浄または清浄剤の合計の界面活性剤含量は、液状の洗浄または清浄剤の全体に基づいて、好ましくは60重量%以下、特に好ましくは45重量%以下である。
【0027】
適当な非イオン性界面活性剤は、アルコキシ化脂肪アルコール、アルコキシ化脂肪酸アルキルエステル、脂肪酸アミド、アルコキシ化脂肪酸アミド、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、アミンオキシド、アルキルポリグルコシドおよびそれらの混合物を含む。
【0028】
好ましい非イオン性界面活性剤は、好ましくは8〜18個の炭素原子、および、アルコール1モルあたり平均して1〜12モルのエチレンオキシド(EO)を含有する、特にアルコキシ化された(有利にはエトキシ化された)第1級アルコールであり、ここで、アルコール基は、直鎖状であるか、または、好ましくは2位でメチル分枝状であってよく、または、直鎖状およびメチル分枝状の基を、例えば通常はオキソアルコール基で存在する混合物の状態で含有してよい。しかしながら、特に、12〜18個の炭素原子を有する天然起源の(例えばココアルコール、パームアルコール、獣脂アルコールまたはオレイルアルコールに由来する)直鎖状アルコール基を有する、アルコール1モルあたり平均して2〜8個のEOを有する、アルコールエトキシレートが好ましい。好ましいエトキシ化アルコールの例は、3EO、4EOまたは7EOを有するC12−14アルコール、7EOを有するC9−11アルコール、3EO、5EO、7EOまたは8EOを有するC13−15アルコール、3EO、5EOまたは7EOを有するC12−18アルコールおよびそれらの混合物、例えば3EOを有するC12−14アルコールと7EOを有するC12−18アルコールの混合物を含む。上記のエトキシ化度は、特定の生成物に対する、全体的な、または、部分的な統計的平均値であり得る。好ましいアルコールエトキシレートは、狭い同族体分布を有する(ナローレンジエトキシレート、NRE)。これらの非イオン性界面活性剤に加えて、12より多くのEOを有する脂肪アルコールを用いることもできる。これらの例は、14EO、25EO、30EOまたは40EOを有する獣脂脂肪アルコールである。また、分子内にEO基およびPO基を共に含む非イオン性界面活性剤が、本発明により使用できる。7EOを有するC16−18脂肪アルコールおよび7EOを有する2−プロピルヘプタノールの混合物などの、(高)分枝状のエトキシ化脂肪アルコールおよび直鎖状のエトキシ化脂肪アルコールの混合物も、さらに適当である。洗浄剤、清浄剤、後処理剤または補助洗浄剤が、7EOを有するC12−18脂肪アルコールまたは7EOを有するC13−15オキソアルコールを含むことが、特に好ましい。
【0029】
非イオン性界面活性剤の、洗浄または清浄剤中の含量は、それぞれの場合に、洗浄または清浄剤の全体に基づいて、好ましくは3〜40重量%、有利には5〜30重量%、特に7〜20重量%である。
【0030】
非イオン性界面活性剤に加えて、洗浄または清浄剤は、アニオン性界面活性剤を含むこともできる。スルホン酸塩、硫酸塩、石鹸、アルキルホスフェート、アニオン性シリコ−界面活性剤およびそれらの混合物を、アニオン性界面活性剤として用いることが好ましい。
【0031】
スルホン酸塩型の適当な界面活性剤は、有利には、例えば末端二重結合または内部二重結合を有するC12−18モノオレフィンから、気体状の三酸化硫黄でスルホン化し、続いて、スルホン化生成物をアルカリ加水分解または酸加水分解することによって得られるような、C9−13アルキルベンゼンスルホン酸塩、オレフィンスルホン酸塩、すなわちアルケンスルホン酸塩およびヒドロキシアルカンスルホン酸塩およびアルケンジスルホン酸塩およびヒドロキシアルカンジスルホン酸塩の混合物である。C12−18アルカンスルホン酸塩およびα−スルホ脂肪酸のエステル(エステルスルホン酸塩)、例えば水素化ココ−、パームナッツ−または獣脂酸のα−スルホン化メチルエステルが、同様に適当である。
【0032】
好ましいアルキル(アルケニル)硫酸塩は、C12−C18脂肪アルコール(例えばココナツバターアルコール、獣脂アルコール、ラウリル、ミリスチル、セチルまたはステアリルアルコール)から誘導した、または、C10−C20オキソアルコールから誘導した、硫酸半エステルの、および、これらの鎖長の第2級アルコールのこれら半エステルの、アルカリ金属塩(特にナトリウム塩)である。C12−C16アルキル硫酸塩およびC12−C15アルキル硫酸塩ならびにC14−C15アルキル硫酸塩が、洗浄性能の理由のため好ましい。2,3−アルキル硫酸塩は、適当なアニオン性界面活性剤でもある。
【0033】
1〜6モルのエチレンオキシドでエトキシ化した直鎖状または分枝状C7−21アルコールから誘導した、硫酸モノエステルも適当であり、例えば平均して3.5モルのエチレンオキシド(EO)を有する2−メチル分枝状C9−11アルコールまたは1〜4EOを有するC12−18脂肪アルコールである。
【0034】
石鹸は、好ましいアニオン性界面活性剤でもある。例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、(水素化)エルカ酸およびベヘン酸の塩などの、飽和および不飽和の脂肪酸石鹸、特にヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸または獣脂脂肪酸などの天然脂肪酸から得られる石鹸混合物が適当である。
【0035】
石鹸を含む、アニオン性界面活性剤は、そのナトリウム塩、カリウム塩またはマグネシウム塩またはアンモニウム塩の形態で存在することができる。アニオン性界面活性剤は、そのナトリウム塩の形態で存在することが好ましい。アニオン性界面活性剤に対する、さらに好ましい対イオンは、コリン、トリエチルアミンまたはメチルエチルアミンのプロトン化型でもある。
【0036】
洗浄または清浄剤中のアニオン性界面活性剤の含量は、それぞれの場合に、洗浄または清浄剤の全てに基づいて、1〜40重量%、有利には5〜30重量%、極めて好ましくは10〜25重量%である。
【0037】
本発明の洗浄または清浄剤は、必須成分として、増粘剤をさらに含有する。増粘剤は、例えばキサンタン、グアール、カラギーナン、寒天、ジェラン、ペクチン、ローカストビーン粉およびそれらの混合物を含んでよい。無機塩との併用において、これらの増粘剤は、低温においてさえ、洗浄または清浄剤に流動限界を与える。キサンタンは、高い塩濃度で、洗浄または清浄剤を安定かつ効果的に増粘させもするため、キサンタンを増粘剤として用いることが特に好ましい。その上、増粘剤は界面活性剤が少ない連続相を安定化し、マクロ的な相分離を防ぐ。
【0038】
あるいは、(メタ)アクリル酸コポリマーを増粘剤として用いることもできる。適当なアクリルおよびメタクリルコポリマーの例は、ポリアルケニルポリエーテル(特に蔗糖、ペンタエリスリトールまたはプロピレンのアリルエーテル)で架橋したアクリル酸の高分子量ホモポリマー(「The Cosmetic、Toiletry and Fragrance Association(CTFA)」の「International Dictionary of Cosmetic Ingredients」によるINCI名:Carbomer)を含み、これは、カルボキシビニルポリマーとも称される。この種のポリアクリル酸は、特に、Polygel(登録商標)およびCarbopol(登録商標)の商品名で市販されている。例えば、以下のアクリル酸コポリマーも適当である:(i)アクリル酸、メタクリル酸およびそれらの単純エステル(好ましくはC1−4アルカノールと形成させたエステル)の群から選択される2個以上のモノマーのコポリマー(INCI:Acrylates Copolymer)、これは、例えばAculyn(登録商標)、Acusol(登録商標)またはTego(登録商標)Polymerの商品名で市販されている;(ii)架橋高分子量アクリル酸コポリマー、例えば、蔗糖のアリルエーテルまたはペンタエリスリトールのアリルエーテルで架橋した、C10−30アルキルアクリレートと、アクリル酸、メタクリル酸およびそれらの単純エステル(好ましくはC1−4アルカノールと形成させたエステル)の群から選択される1以上のモノマーとのコポリマー(INCI:Acrylates/C10-30 Alkyl Acrylate Crosspolymer)がこれに属し、これは、例えばCarbopol(登録商標)の商品名で市販されている。さらに適当なポリマーは、Sokalan(登録商標)の種類の(メタ)アクリル酸(コ)ポリマーである。
【0039】
本発明の洗浄または清浄剤が、(メタ)アクリル酸(コ)ポリマーを、別の増粘剤(好ましくはキサンタン)と併用して含むことが好ましくあり得る。
【0040】
本発明の洗浄または清浄剤は、増粘剤を、それぞれの場合に、洗浄または清浄剤の全体に基づいて、0.05〜1.5重量%、好ましくは0.1〜1重量%、含んでよい。添加した増粘剤の量は、増粘剤の種類と、所望する増粘の度合いによる。
【0041】
本発明の洗浄または清浄剤の、別の必須成分は、無機塩である。用いる界面活性剤系に応じて、塩を、洗浄または清浄剤の全体に基づいて、1〜20重量%の量で添加する。
【0042】
好ましい無機塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムおよびそれらの混合物を含む。硫酸ナトリウムを添加することにより、特に安定な洗浄または清浄剤が得られる。
【0043】
無機塩の添加のために、界面活性剤が少ない連続相中に分散した界面活性剤が多い液晶相中への、洗浄または清浄剤の液体マトリックスの分離が生じる。このミクロ相分離のために、灰色化抑制性多糖類は、液状の洗浄または清浄剤中に安定に分散できるようになる。
【0044】
さらに、無機塩は、洗浄または清浄剤の粘度に影響を与え、無機塩の量によって、洗浄または清浄剤の投与が良好になるように、洗浄または清浄剤が入った容器が簡単に空になるように、粘度を調整することができる。
【0045】
灰色化抑制性多糖類、界面活性剤、増粘剤および無機塩に加えて、本発明の洗浄または清浄剤は、洗浄または清浄剤の適用技術上の特性および/または美的特性をさらに改善するために、追加の成分を含むことができる。本発明に関して、洗浄または清浄剤は、ビルダー、漂白剤、酵素、電解質、非水溶媒、pH調整剤、香料、香料担体、蛍光剤、染料、ヒドロトロープ、発泡防止剤、シリコーンオイル、防汚ポリマー、追加の灰色化抑制剤、縮み防止剤、しわ防止剤、色移り防止剤、抗菌剤、殺菌剤、防かび剤、酸化防止剤、防腐剤、腐食防止剤、静電気防止剤、苦味剤、アイロンがけ助剤、撥水剤および含浸剤、膨張剤および滑り止め剤、柔軟成分およびU吸収剤の群から選択される1つまたは複数の物質を、さらに含むことが好ましい。
【0046】
ケイ酸塩、ケイ酸アルミニウム塩(特にゼオライト)、炭酸塩、有機ジカルボン酸および有機ポリカルボン酸の塩、ならびにこれらの物質の混合物が、洗浄または清浄剤中に含むことができるビルダーとして、特に挙げられる。
【0047】
洗浄または清浄剤中に存在することができる有機ビルダーは、例えば、そのナトリウム塩の形で用いることができるポリカルボン酸であり、これに関し、ポリカルボンは、1より多くの酸基を有するカルボン酸であると理解される。これらは、例えばクエン酸、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、糖酸、アミノカルボン酸、ニトリロ三酢酸(NTA)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)およびそれらの誘導体およびそれらの混合物を含む。好ましい塩は、クエン酸、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、酒石酸、糖酸などのポリカルボン酸の塩およびそれらの混合物である。
【0048】
高分子ポリカルボキシレートも、ビルダーとして適当である。それらは、例えばポリアクリル酸またはポリメタクリル酸のアルカリ金属塩であり、例えば600〜750000g/molの相対分子量を有するものである。
【0049】
特に適当なポリマーは、好ましくは1000〜15000g/molの分子量を有する、ポリアクリレートである。それらの優れた溶解性のために、この群の好ましい例は、やはり短鎖ポリアクリレートであり、それは、約1000〜10000g/mol、特に好ましくは1000〜5000g/molの分子量を有する。
【0050】
さらなる適当な共重合体ポリカルボキシレートは、特に、アクリル酸とメタクリル酸との、およびアクリル酸またはメタクリル酸とマレイン酸とのものである。水溶性を向上するために、ポリマーが、モノマーとして、アリルスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸およびメタアリルスルホン酸を含んでもよい。
【0051】
しかしながら、可溶性のビルダーが好ましく、例えばクエン酸、または1000〜5000g/molの分子量を有するアクリルポリマーを、液状の洗浄または清浄剤に添加することが好ましい。
【0052】
洗浄または清浄剤の灰色化抑制作用がさらに増加するため、洗浄または清浄剤が、アクリルポリマーを含むことが好ましい。本発明に関して、用語アクリルポリマーは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種のモノマーを含有する(コ)ポリマーを意味すると理解される。アクリルポリマーは、例えば増粘アクリルポリマーであってよく、洗浄または清浄剤中で増粘剤として用いることができる。この場合、アクリルポリマーは、大部分が疎水的に変性されている。あるいは、アクリルポリマーは、同時にビルダーとして作用することもできる。灰色化抑制作用の特に顕著な増加が、(ポリ)アニオン性アクリルポリマーで見られる。このため、洗浄または清浄剤は、好ましいアクリルポリマーとして、アクリル酸のホモポリマーを含む。
【0053】
液状の洗浄または清浄剤は、酵素または酵素の混合物を含むこともできる。適当な酵素は、特に加水分解酵素類から選択される酵素、例えばプロテアーゼ、(ポリ)エステラーゼ、リパーゼアミラーゼ、グリコシルヒドロラーゼ、ヘミセルラーゼ、クチナーゼ、β−グルカナーゼ、オキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、マンナナーゼ、ペルヒドロラーゼ、オキシドレダクターゼおよび/またはラッカーゼなどである。
【0054】
しかしながら、特に、灰色化抑制性多糖類(好ましくは、セルロース誘導体)を著しく分解することなく、セルラーゼを洗浄または清浄剤中に組み込むことが可能である。本発明に関して、セルラーゼを、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、マンナナーゼ、ラッカーゼ、タンナナーゼおよびエステラーゼ/ポリエステラーゼ、ならびにこれらの酵素の2以上の混合物と併用して添加することが好ましい。
【0055】
酵素の量は、組成物全体に基づいて、0.01〜10重量%、好ましくは0.12〜約3重量%である。酵素を、酵素−液体製剤として添加することが好ましい。液状の洗浄または清浄剤が酵素の混合物を含む場合、少なくとも1つの酵素が顆粒形状であってよく、カプセル化されているか、または、担体物質上に吸収されている。セルラーゼ;セルラーゼおよびプロテアーゼ;セルラーゼ、プロテアーゼおよびアミラーゼ;セルラーゼ、プロテアーゼ、アミラーゼおよびリパーゼまたはアミラーゼ;セルラーゼ、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼおよびマンナナーゼを含む洗浄または清浄剤が、かなり好ましい。
【0056】
本発明の洗浄または清浄剤は、液状であり、主な溶媒として水を含む。加えて、非水溶媒を洗浄または清浄剤に添加することができる。適当な非水溶媒としては、所定の濃度範囲において水と混和性である限りにおいて、1価アルコールまたは多価アルコール、アルカノールアミンまたはグリコールエーテルが挙げられる。上記の溶媒を、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、ブタノール、グリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、グリセリン、ジグリコール、プロピルジグリコール、ブチルジグリコール、へキシレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ−イソプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジ−イソプロピレングリコールモノエチルエーテル、メトキシトリグリコール、エトキシトリグリコール、ブトキシトリグリコール、1−ブトキシエトキシ−2−プロパノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、プロピレングリコールt−ブチルエーテル、ジ−n−オクチルエーテルならびにこれらの溶媒の混合物から選択することが好ましい。しかしながら、洗浄または清浄剤が、非水溶媒としてポリオールを含むことが好ましい。特に、ポリオールは、グリセリン、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよび/またはジプロピレングリコールを含むことができる。洗浄または清浄剤は、特に好ましくはポリオールおよびモノヒドロキシアルコールの混合物を含む。
【0057】
非水溶媒を、洗浄または清浄剤に、0.5〜15重量%、しかしながら、好ましくは、12重量%以下の量で、添加することができる。
【0058】
本発明の洗浄または清浄剤を、編織布を洗浄および/または清浄するために使用することができる。
【0059】
本発明の洗浄または清浄剤は、通常の既知の方法および工程により製造される。したがって、洗浄または清浄剤の成分を例えば撹拌させたタンク型反応器中で混ぜることができ、まず初めに水を添加する。次いで、増粘剤および続いて無機塩を添加する。非水性溶媒および界面活性剤がそれに続く。次いで、(存在する場合は)脂肪酸を添加し、その結果、脂肪酸成分のケン化、ならびに、酸性型で添加されたアニオン性界面活性剤の中和となる。次いで、灰色化抑制性多糖類を含むさらなる成分を、好ましくは分割して添加する。
【実施例】
【0060】
以下の表1に、本発明の洗浄または清浄剤E1の組成を示す(全ての量を、組成物に基づく重量%活性物質で記載する)。
【表1】

【0061】
洗浄または清浄剤E1は、数週間の間、貯蔵安定であった。
【0062】
添加したカルボキシメチルセルロースナトリウムは、300〜600g/Lのかさ密度および0.8±0.05の置換度を有する。
【0063】
灰色化抑制作用の裏づけとして、本発明の洗浄または清浄剤E1に、洗浄試験を施した。このために、洗浄または清浄剤E1を、いずれの灰色化抑制性多糖類をも含有しない、市販の粉末化洗浄剤(1)(カルボキシメチルセルロースNa含量:1.4重量%)および市販の液状洗浄剤V2と比較した。
【0064】
家庭用洗濯機(Miele W 526)に、種々の物質(綿、ポリエステル、ポリアミド、混合編織布等)からなる少しよごれた白い洗濯物3.5kgを詰めた。5回の連続洗浄を40℃で行い(投与量:液体=95mL、固体=195mL)、その後、洗濯物を干して乾かし、しわ伸ばし機にかけ、明るさの値(三刺激値{X、Y、Z}のY値)を分光光度的に測定した(表2参照)。
【表2】

【0065】
上記の値は、本発明の洗浄または清浄剤E1で処理した洗濯物が、比較製剤V1およびV2で処理した洗濯物よりも、明らかにより高いy値を示し、その結果、灰色化はより少なくなったことを明らかに示す。
【0066】
本発明の洗浄または清浄剤は、さらに、粉末化洗浄剤よりも明らかに高い灰色化抑制作用を示す。
【0067】
本発明の洗浄または清浄剤の有利な流動挙動が、無機塩を用いて得られることを説明するために、表1に示す組成を有する洗浄または清浄剤について、それぞれ、水の代わりに、塩濃度を変化させ、得られた洗浄または清浄剤の粘度を測定した。
【表3】

【0068】
ブルックフィールド粘度計を用いて、20℃の温度、20rpmの回転で、粘度を測定した。0重量%、2重量%および5重量%の塩濃度についてはスピンドル3を用い、一方、他の濃度については、スピンドル4を用いた。
【0069】
0重量%の塩濃度に対しては、本質的に2つのミクロ相ではないため、本発明の製剤は見られなかった。
【0070】
表3中の値は、塩濃度が、洗浄または清浄剤の粘度に顕著な影響を示すことをはっきりと示す。有利な/所望の流動挙動を、塩濃度を用いて調整することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
・界面活性剤0.1〜60重量%、
・灰色化抑制性多糖類0.1〜5重量%、
・増粘剤0.05〜1重量%、および
・無機塩1〜20重量%
を含んでなる、液状の洗浄または清浄剤。
【請求項2】
灰色化抑制性多糖類は、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプンのエーテルスルホン酸塩、セルロースのエーテルスルホン酸塩、セルロースの酸性硫酸エステル塩、セルロースの酸性硫酸エステル塩、セルロースの酸性硫酸エステル塩、デンプンの酸性硫酸エステル塩、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルカルボキシメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロースおよびそれらの混合物を含む群から選択される、請求項1に記載の液状の洗浄または清浄剤。
【請求項3】
多糖類は、カルボキシメチルセルロース、特にカルボキシメチルセルロースナトリウムである、請求項2に記載の液状の洗浄または清浄剤。
【請求項4】
無機塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムおよびそれらの混合物を含む群から選択される、請求項1〜3のいずれかに記載の液状の洗浄または清浄剤。
【請求項5】
増粘剤は、キサンタン、グアール、カラギーナン、寒天、ジェラン、ペクチン、ローカストビーン粉およびそれらの混合物を含む群から選択される、請求項1〜4のいずれかに記載の液状の洗浄または清浄剤。
【請求項6】
増粘剤はキサンタンである請求項5に記載の液状の洗浄または清浄剤。
【請求項7】
洗浄または清浄剤は、さらにセルラーゼを含む、請求項1〜6のいずれかに記載の液状の洗浄または清浄剤。
【請求項8】
洗浄または清浄剤は、アクリルポリマーを含む、請求項1〜7のいずれかに記載の液状の洗浄または清浄剤。
【請求項9】
編織布を洗浄および/または清浄するための、請求項1〜8のいずれかに記載の洗浄または清浄剤の使用。
【請求項10】
液状の洗浄または清浄剤中にミクロ相分離を生じさせるための、0.05〜1重量%の増粘剤および1〜20重量%の無機塩の使用。
【請求項11】
液状の洗浄または清浄剤は、灰色化抑制性多糖類を含む、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
・界面活性剤0.1〜60重量%、
・灰色化抑制性多糖類0.1〜5重量%、および
・増粘剤、0.05〜1重量%、
を含む、2つのミクロ相の液状の洗浄または清浄剤の製造方法であって、無機塩1〜20重量%を液状の洗浄または清浄剤に添加する、方法。

【公表番号】特表2012−533640(P2012−533640A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520044(P2012−520044)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際出願番号】PCT/EP2010/060242
【国際公開番号】WO2011/006973
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(391008825)ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン (309)
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D−40589 Duesseldorf,Germany
【Fターム(参考)】