説明

炊飯器

【課題】オイルダンパーを採用するとともに仮にオイル漏れが発生しても食品に触れる懸念をなくした小型で安全な炊飯器を提供することを目的とする。
【解決手段】上面が開口した本体1と、本体1に収納される鍋2と、本体1の上面開口部を覆う蓋3と、蓋3を本体1に対して開閉自在に軸支するヒンジ軸4と、蓋3を開成方向に付勢する付勢手段5と、ヒンジ軸4に組みつけられ蓋3の開成に対し制動を行うオイルダンパー6とを備え、ヒンジ軸4の最下部を、鍋2の上部のフランジ部2aより低い位置に構成したものである。これによって、オイルダンパー6を採用したことで製品の小型化をはかれるとともに、仮にオイルダンパー6からのオイル漏れが発生しても、ヒンジ軸4の最下部を鍋2の上部のフランジ部2aより低い位置に構成したことで、オイルが食品に触れる懸念をなくすことができ、安全な炊飯器を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋を簡単な操作により自動的に安定して開成できるようにした炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近の炊飯器は、本体の上部を覆う蓋を簡単な操作により自動的に開成できるものが主流であり、特に高級な炊飯器では、蓋開き途中のスピードの安定感、止まり際のゆったり感、一連の開き動作における静かさなどの高級イメージを実現するためにヒンジ軸部にギヤダンパー・オイルダンパーなどの制動機構を構成しているものがある。これは、本体後方に設けたヒンジ軸の近くにバネを配接し蓋を開成する方向に付勢するとともに、本体前方にて蓋前方の係止部と係合するフックボタンを設けており、フックボタンを操作することにより蓋の係止部との係合が解除されるものである。そして、ヒンジ軸には制動機構が連結されているため、蓋開成時には制動力が発生して蓋の動きを緩和している(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−150072号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の炊飯器では、蓋開成時には制動力が発生して蓋の動きを緩和されるが、制動機構がギヤダンパーの場合は、いくつものギヤが連成されているためダンパー全体が大きくなり、ヒンジ部の小型化、ひいては製品の小型化が困難となる。また、オイルダンパーを採用した場合は、ギヤダンパーに比べて小さく構成しやすいものの、特許文献1中にも記載されているようにオイル漏れに対する注意が必要である。
【0004】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、オイルダンパーを採用して製品の小型化をはかるとともに、仮にオイルダンパーからのオイル漏れが発生しても食品に触れる懸念をなくした安全な炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するため、本発明の炊飯器は、上面が開口した本体と、前記本体に収納される鍋と、前記本体の上面開口部を覆う蓋と、前記蓋を前記本体に対して開閉自在に軸支するヒンジ軸と、前記蓋を開成方向に付勢する付勢手段と、前記ヒンジ軸に組みつけられ前記蓋の開成に対し制動を行うオイルダンパーとを備え、前記ヒンジ軸の最下部を、前記鍋の上部のフランジ部より低い位置に構成したものである。
【0006】
これによって、オイルダンパーを採用したことで製品の小型化をはかれるとともに、仮にオイルダンパーからのオイル漏れが発生しても、ヒンジ軸の最下部を鍋の上部のフランジ部より低い位置に構成したことで、オイルが食品に触れる懸念をなくすことができ、安全な炊飯器を提供することができる。
【0007】
また、本発明の炊飯器は、オイルダンパーのヒンジ軸固定部材の最下部を、鍋の上部のフランジ部より低い位置に構成したものである。
【0008】
これによって、オイルダンパーを採用したことで製品の小型化をはかれるとともに、仮にオイルダンパーからのオイル漏れが発生しても、ヒンジ軸固定部材の最下部を鍋の上部のフランジ部より低い位置に構成したことで、オイルが食品に触れる懸念をなくすことができ、安全な炊飯器を提供することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の炊飯器は、オイルダンパーを採用して製品の小型化をはかるとともに、仮にオイルダンパーからのオイル漏れが発生しても食品に触れる懸念をなくした安全な炊飯器が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
第1の発明は、上面が開口した本体と、前記本体に収納される鍋と、前記本体の上面開口部を覆う蓋と、前記蓋を前記本体に対して開閉自在に軸支するヒンジ軸と、前記蓋を開成方向に付勢する付勢手段と、前記ヒンジ軸に組みつけられ前記蓋の開成に対し制動を行うオイルダンパーとを備え、前記ヒンジ軸の最下部を、前記鍋の上部のフランジ部より低い位置に構成した炊飯器とするものである。これによって、オイルダンパーを採用したことで製品の小型化がはかれるとともに、仮にオイルダンパーからのオイル漏れが発生しても、ヒンジ軸の最下部を鍋の上部のフランジ部より低い位置に構成したことで、オイルが食品に触れる懸念をなくすことができ、安全な炊飯器を提供することができる。
【0011】
第2の発明は、上面が開口した本体と、前記本体に収納される鍋と、前記本体の上面開口部を覆う蓋と、前記蓋を前記本体に対して開閉自在に軸支するヒンジ軸と、前記蓋を開成方向に付勢する付勢手段と、前記ヒンジ軸に組みつけられ前記蓋の開成に対し制動を行うオイルダンパーとを備え、前記オイルダンパーのヒンジ軸固定部材の最下部を、前記鍋の上部のフランジ部より低い位置に構成した炊飯器とするものである。これによって、第1の発明と同様、オイルダンパーを採用したことで製品の小型化をはかれるとともに、仮にオイルダンパーからのオイル漏れが発生しても、ヒンジ軸固定部材の最下部を鍋の上部のフランジ部より低い位置に構成したことで、オイルが食品に触れる懸念をなくすことができ、安全な炊飯器を提供することができる。
【0012】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明において、オイルダンパーの側面最下部に本体に接するかまたは近接するようにリブを形成したことにより、仮にオイル漏れが発生した場合にはオイルがリブに案内されるため、オイルダンパーの下部にオイルが留まりにくくなるとともに、オイルが安全な個所へ流れるよう誘導でき、さらに安全性が高まるものである。
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0014】
(実施の形態1)
図1〜図3は、本発明の実施の形態1における炊飯器を示している。
【0015】
図1に示すように、本実施の形態における炊飯器は、上面が開口した本体1と、本体1に収納されるステンレス、鉄などの磁性体の鍋2と、本体1の上面開口部を覆う蓋3と、蓋3を本体1に対して開閉自在に軸支するヒンジ軸4と、蓋3を開成方向に付勢するバネなどの付勢手段5と、ヒンジ軸4に組みつけられ蓋3の開成に対し制動を行うオイルダンパー6とを備えている。
【0016】
そして、ヒンジ軸4の最下部を、鍋2の上部のフランジ部2aより低い位置、すなわち、フランジ部2aの水平面Lより低い位置に構成している。
【0017】
また、本実施の形態における炊飯器は、本体1内に鍋2を収納する鍋収納部7と、その下方に設置した加熱コイルなどの加熱手段8と、加熱手段8への通電制御などを行う電源基板9とを備えている。本実施の形態では、鍋2を誘導加熱し、鍋2内の調理物(図示しない)を加熱調理する。なお、調理物は炊飯前の米と水または炊き上がったご飯などである。
【0018】
また、本体1の上面開口部を覆う蓋3は、付勢手段5により常に開成方向に付勢されつつヒンジ軸4で回動自在に軸支されているが、他側でフックボタン10により係合されている。ここで、フックボタン10を操作することにより係合が解除され、自動的に開成されるが、付勢手段5の付勢力により蓋3が開成する際にオイルダンパー6で制動力を働かせる。なお、オイルダンパー6は本体1内のダンパー取付壁11に取付けられ、このオイルダンパー6およびヒンジ軸4部分はヒンジカバー12で覆われていて、本体1の外から見えないようにしている。
【0019】
また、蓋3には、フラットケーブル13で電源基板9と連結されている表示基板14を有しており、ここで操作入力などを行うとともに炊飯・保温などの状態表示などを行う。また、蓋3の内側に、ステンレスからなる内蓋15と樹脂からなる内蓋支え16と鍋パッキン17により構成される内蓋ユニット18が装備されており、内蓋ユニット18は、鍋パッキン17が鍋2の上部のフランジ部2aに当接することにより鍋2を閉塞する。
【0020】
図2にヒンジカバー12を外して内部構成を示しているように、オイルダンパー6はヒンジ軸4が貫通するように組みつけられており、その後方にフラットケーブル13が配線処理されている。
【0021】
オイルダンパー6の詳細を図3に示す。ヒンジ軸4には、回転規制用のリブ4a、リブ4b、およびDカット面4cが形成されている。リブ4a、Dカット面4cは蓋3に設けたキー溝付き穴やD形状穴に、リブ4bはオイルダンパー6に設けたキー溝付き部品に嵌め合わされ、回転規制を行う。
【0022】
オイルダンパー6は、ダンパー蓋6a、ダンパー軸6b、ダンパーボディ6c、パッキン6d、6eと、オイル(図示しない)によって構成されている。ダンパー軸6bにはヒンジ軸4のリブ4bに嵌合するキー溝6fとオイル穴6gが形成されている。ダンパーボディ6cはコの字形状を回転させた2層円筒に上下に三角状のリブ6hを加えた形状としている。下方のリブ6hはオイルダンパー6の側面最下部に形成されており、本体1に接するかまたは近接するようになっている。
【0023】
そして、オイルダンパー6は、ダンパー軸6bの小円筒側にパッキン6d、大円筒側内部にパッキン6eを挿入した状態で、オイルを注入したダンパーボディ6cに挿入した後、ダンパー蓋6aを接着してオイルを封じている。ダンパー軸6bが回転すると、オイルが抵抗体となり制動力が発生する。この構成の場合、ダンパー蓋6aとダンパーボディ6cの接着部、および各パッキン6d、6e部分からのオイル漏れが懸念されるがギヤダンパーに比べ小さく構成できる。
【0024】
上記の構成の炊飯器において、フックボタン10を操作すると、付勢手段5の付勢力により蓋3が開くが、オイルダンパー6によりその開き動作が抑制され、常に安定したスピードで開くことになり、また、止まり際にもゆっくりと止まる上に、オイルダンパー6により蓋3の動きが緩和され静かに蓋開成動作が行われる高級イメージが実現できる。また、ギヤダンパーに比べて小さく構成できるため、炊飯器に対する小型化の要求に応えることができる。加えて、仮にオイルダンパー6からオイル漏れが発生したとき、オイルはヒンジ軸4を伝って本体1や蓋3へと伝わる可能性がある。しかし、ヒンジ軸4の最下部を、鍋2の上部のフランジ部2aより低い位置にあるようにしているために、鍋2内に流入することを確実に防ぐことができており、安全である。
【0025】
以上のように、本実施の形態によれば、使用者は蓋開き途中のスピードの安定感、止まり際のゆったり感、一連の開き動作における静かさなどの高級イメージのある小型の、安全な炊飯器を使用することができる。
【0026】
なお、リブ6hをオイルダンパー6の側面最下部に形成し、本体1に接するかまたは近接するようにすれば、リブ先端は、確実にフランジ部2aよりも低い位置にあるため、仮にオイル漏れがあっても、ヒンジ軸4を伝うよりも先にダンパーボディ6cの側面を伝いフランジ部2aよりもさらに低い位置にあるボディ1へ伝いやすくなるため、鍋2内に流入することをより確実に防ぐことができ、安全である。
【0027】
なお、本実施の形態において、ヒンジ軸4と蓋3、オイルダンパー6の回転規制形状はリブ、Dカット面によるものとしたが、ピンなどの別部材で行うなど、別手段でもよい。また、オイルダンパー6の詳細構成も限定されるものではない。
【0028】
(実施の形態2)
図4、図5は、本発明の実施の形態2における炊飯器を示している。実施の形態1と同一要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0029】
図4に示すように、本実施の形態における炊飯器は、オイルダンパー20のヒンジ軸固定部材20cの最下部を、鍋2の上部のフランジ部2aより低い位置に構成したものである。すなわち、ヒンジ軸4の最下部はフランジ部2aの水平面Lよりも高い位置にあるが、ヒンジ軸固定部材20c最下部は水平面Lよりも低い位置になるように構成している。
【0030】
図5に示すように、オイルダンパー20は、ダンパーボディ20a、ダンパー蓋20b、ダンパー軸を構成するヒンジ軸固定部材20c、パッキン20d、20eとオイル(図示しない)によって構成されている。ダンパーボディ20aは円筒形状に上下に三角状のリブ20fを加えた形状である。
【0031】
そして、ヒンジ軸固定部材20cの両側円筒部にパッキン20d、20eを挿入した状態で、ダンパーボディ20aに挿入した後、ヒンジ軸固定部材20cとダンパーボディ20aの間にオイルを注入し、ダンパー蓋20bを接着してオイルを封じている。ヒンジ軸固定部材20cが回転すると、オイルが抵抗体となり制動力が発生する。この構成の場合、ダンパー蓋20bとヒンジ軸固定部材20cの接着部、および各パッキン20d、20e部分からのオイル漏れが懸念されるが、ヒンジ軸4に触れる部位からの漏れは発生しない。
【0032】
このように、本実施の形態では、ヒンジ軸4が鍋2のフランジ部2aより上方にあるものの、オイルダンパー20の構成上、オイルはヒンジ軸固定部材20cの最下部から下方へ滴下するのみで、ヒンジ軸4に伝わらず、仮に本体1や蓋3へと伝わったとしても、ヒンジ軸固定部材20cの最下部が鍋2のフランジ部2aよりも低い位置にあるために、鍋2内に流入することを確実に防ぐことができており、安全である。
【0033】
以上のように、本実施の形態によれば、使用者は蓋開き途中のスピードの安定感、止まり際のゆったり感、一連の開き動作における静かさなどの高級イメージのある小型の、安全な炊飯器を使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
以上のように、本発明にかかわる炊飯器は、オイルダンパーを採用して製品の小型化をはかるとともに、オイルダンパーからのオイル漏れが仮に発生しても食品に触れる懸念をなくした安全な炊飯器が提供できるので、家庭用、業務用などにかかわらず炊飯器全般に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の形態1における炊飯器の断面図
【図2】同炊飯器のオイルダンパー部分の部分背面図
【図3】同炊飯器のヒンジ軸とオイルダンパーの分解斜視図
【図4】本発明の実施の形態2における炊飯器の部分断面図
【図5】同炊飯器のオイルダンパーの分解斜視図
【符号の説明】
【0036】
1 本体
2 鍋
2a フランジ部
3 蓋
4 ヒンジ軸
5 付勢手段
6、20 オイルダンパー
6h、20f リブ
20c ヒンジ軸固定部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開口した本体と、前記本体に収納される鍋と、前記本体の上面開口部を覆う蓋と、前記蓋を前記本体に対して開閉自在に軸支するヒンジ軸と、前記蓋を開成方向に付勢する付勢手段と、前記ヒンジ軸に組みつけられ前記蓋の開成に対し制動を行うオイルダンパーとを備え、前記ヒンジ軸の最下部を、前記鍋の上部のフランジ部より低い位置に構成した炊飯器。
【請求項2】
上面が開口した本体と、前記本体に収納される鍋と、前記本体の上面開口部を覆う蓋と、前記蓋を前記本体に対して開閉自在に軸支するヒンジ軸と、前記蓋を開成方向に付勢する付勢手段と、前記ヒンジ軸に組みつけられ前記蓋の開成に対し制動を行うオイルダンパーとを備え、前記オイルダンパーのヒンジ軸固定部材の最下部を、前記鍋の上部のフランジ部より低い位置に構成した炊飯器。
【請求項3】
オイルダンパーの側面最下部に本体に接するかまたは近接するようにリブを形成した請求項1または2に記載の炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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