説明

炊飯器

【課題】蓋体に放熱板を取り付けた炊飯器において、おねばを蓄え、おねば戻し孔から内釜に戻すおねば容器を放熱板に取り付けると、雑穀米等を炊飯した際に大豆の皮等がおねば戻し孔に詰まってしまうという問題点を有した。
【解決手段】炊飯で生じた蒸気は放熱板4に装着されたおねば容器5の蒸気口5aから案内筒9を介して導かれ、フィルタ部9bを通して蓋体3の排気口11から排出される。おねば容器5内に導かれた蒸気の一部から分離されたおねばは、おねば容器5の溜まり凹部13に一旦蓄えられ、おねば戻し孔5dから内釜1内に戻される。
一方、雑穀米等を炊飯した際、炊飯中に上昇する泡に大豆の皮等が含まれ、当該皮等がおねば容器5の蒸気口5aから案内筒9に流入される場合がある。この流入された皮等は案内筒9のフィルタ部9bによっておねば容器5内に流入されることを阻止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯時に被調理物の一部がおねば戻し孔に詰まることを防止した炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
炊飯器本体に開閉可能に支持された蓋体に取り付けられ、炊飯で生じる蒸気からおねばを分離して内部に溜めるおねば容器を備えた炊飯器が知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなおねば容器には、炊飯が進み、むらしに移行すると、内部に溜めたおねばを内釜に戻すためのおねば戻し孔が形成されている。一方、近年の炊飯器においては、放熱板が蓋体に取り外し可能に取り付けられることが一般的であり、この取り付けられた放熱板により、内釜内の熱を閉じ込め内釜内のご飯に偏りなく熱を与えることができ、また使用後は放熱板を取り外して丸洗いすることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開H10−99192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のおねば容器を放熱板に取り付けると、おねば容器と内釜との距離が近くなるため、炊飯により上昇した泡がおねば容器内に溢れることがあった。特に近年は、炊飯器で雑穀米等を炊飯したいとの要望もあり、かかる雑穀米等を炊飯すると、泡に含まれる大豆の皮等がおねば容器内に流入しておねば戻し孔に詰まってしまい、溜められたおねばを内釜に戻すことができない場合があるといった課題が新たに生ずることが分かった。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、おねば容器を放熱板に取り付けたものにあっても、被調理物の一部がおねば戻し孔に詰まらない炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の炊飯器は、内釜が収容される炊飯器本体、この炊飯器本体に開閉可能に支持された蓋体、この蓋体に着脱可能に取り付けられるとともに前記内釜の上面開口部を覆い、取付用開口部が形成された平板状の放熱板、この放熱板の取付用開口部に装着され、底部に前記内釜と連通する蒸気口およびおねば戻し孔が形成されたおねば容器、このおねば容器内に前記蒸気口に連通し、フィルタ部を有する案内筒を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上記のように構成された炊飯器は、放熱板に取り付けられたおねば容器を備え、おねば容器下面に形成された蒸気口に連通しフィルタ部を有する案内筒が設けられているので、炊飯中に上昇する泡に含まれる被調理物の一部がおねば容器内に流入しておねば戻し孔に詰まることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施の形態1に係る蓋体3を開いた状態の炊飯器の斜視図。
【図2】実施の形態1に係る蓋体3を閉じた状態の炊飯器の断面図。
【図3】実施の形態1に係る炊飯器の放熱板及びおねば容器の斜視図。
【図4】図2とは反対方向から見た実施の形態1に係る炊飯器の放熱板及びおねば容器の斜視図。
【図5】実施の形態1の他の例の案内筒を備えたおねば容器の断面図。
【図6】実施の形態1の他の例の案内筒を備えたおねば容器の断面図。
【図7】実施の形態1の他の例の案内筒を備えたおねば容器の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
以下本発明の実施の形態1を図1乃至図7を用いて説明する。図1は実施の形態1に係る蓋体3を開いた状態の炊飯器の斜視図を示す。図2は実施の形態1に係る蓋体3を閉じた状態の炊飯器の断面図を示す。図3は実施の形態1に係る炊飯器の放熱板及びおねば容器の斜視図を示す。図4は図2とは反対方向から見た実施の形態1に係る炊飯器の放熱板及びおねば容器の斜視図を示す。図5は実施の形態1の他の例の案内筒を備えたおねば容器の断面図である。図6は実施の形態1の他の例の案内筒を備えたおねば容器の断面図である。図7は実施の形態1の他の例の案内筒を備えたおねば容器の断面図である。
【0010】
図1及び図2を用いて実施の形態1に係る炊飯器の構成を説明する。炊飯器の外郭を形成する炊飯器本体1は四角形状となっており、プラスチック製の外枠1aと、プラスチック製の底板1bと、例えばアルミニウムまたはステンレスなどの金属材料からなる有底筒状の内枠1cとを備える。
【0011】
炊飯器本体1の内枠1cには、内釜2が収容される。内釜2は、水、米、または雑穀米等の被調理物が収納され、熱伝導性のよいアルミニウムを主材料とし、上面に開口部を有する有底筒状となっている。内釜2はまた、その上端周囲から外周側に延ばして成る円環状のフランジ部2aが設けられている。
【0012】
炊飯器本体1の内枠1cの底面周辺部には、加熱手段12が配設される。加熱手段12は、例えば電磁誘導コイル等であり、炊飯が始まって高周波電流が供給されると、加熱手段12から発生する磁界によって内釜2が加熱され、内釜2内の被調理物が加熱されることとなる。なお、内釜2を加熱する加熱手段12の加熱方式は、本実施の形態のような電磁誘導加熱式のものであってもよいし、他には輻射加熱式のものであってもよい。
【0013】
炊飯器本体1の後部側(以下、図2における左側、右側をそれぞれ前部側、後部側と呼ぶ)には、ヒンジ部14が設けられており、蓋体3は、このヒンジ部14を介して炊飯器本体1に開閉可能に支持される。蓋体3は四角形状であり、操作釦等が配設される上面部と、この上面部から延在する側面部と、内釜2の上面開口部と対向する底面部とを有する。この底面部には凹部3aが設けられており、凹部3a内壁面には環状の段部3bが形成され、その段部3bには例えばシリコンゴム等の弾性部材からなるパッキン6が設けられている。
【0014】
蓋体3の凹部3a底面には、炊飯で生じた蒸気を炊飯器外部に排出するための排気口11が形成されている。排気口11は、凹部3a底面の後部側にあればよいが、この位置に限定されるものではなく、例えば凹部3a底面の中央に形成されてもよい。
【0015】
蓋体3上面の前部側には、炊飯器の使用者が操作する操作部15が設けられている。使用者は、この操作部15の釦を押下することにより炊飯を開始することができ、操作部15の表示画面に表示される数字等を見て炊飯が終わるまでの残り時間を確認することができる。
【0016】
蓋体3には、放熱板固定枠7によって固定された金属製の放熱板4が着脱可能に取り付けられている。この放熱板4は、円板状であり、その周縁には、例えばシリコンゴム等の弾性部材からなる環状パッキン8が設けられている。蓋体3が閉められると、放熱板4に設けられた環状パッキン8が内釜2のフランジ部2aと密着し、放熱板4は内釜2の上面開口部を塞ぐ。放熱板4が内釜2の上面開口部を塞ぐことにより、炊飯中における内釜2内の熱を閉じ込めて、被調理物の加熱ムラを防止することができる。
【0017】
また、放熱板4にはおねば容器5を取り付けるための(取付用)開口部4aが形成されており、この開口部4aには、おねば容器5が放熱板4を貫通するように装着される。
【0018】
図2乃至図4を用いておねば容器5の詳細構成を説明する。おねば容器5は分離可能な上容器5bと下容器5cとから構成されている。上容器5bは四角形状で、放熱板4の上面に取り付けられている。上容器5bの下面には開口部が形成されており、その大きさは放熱板4の開口部4aの大きさと同程度である。上容器5bの開口部の外縁には、開口部外縁から放熱板4の開口部4aの方向に向かって上容器用係止部16が突出して設けられる。
【0019】
また、上容器5bの下面は、後述する溜まり凹部13に向かって低くなるよう傾斜して形成されている。そのため、上容器5bの下面に付着したおねばは溜まり凹部13に流れるので、蒸気から分離されたおねばを確実に溜まり凹部13に溜めることが可能となる。また、おねばが上容器5bの下面に付着しておねば容器5が汚れるのを防止することができる。
【0020】
上容器5bは、上面(天井)を有さない構成となっている。そのため、図2に示すように蓋体3が閉じられると、凹部3aの段部3bに設けられたパッキン6が上容器5bの上端と密着するので、凹部3aの底面が上容器5bの天井の役割を果たすことになる。上容器5bと凹部3a底面に形成された排気口11とは連通部18を形成する。上容器5bを上記のような上面を有さない構成とすることにより、おねば容器5を備える炊飯器のコストを削減することができ、また、蓋体3を従来よりも薄くすることが可能となり炊飯器の小型化を実現することができる。
【0021】
一方、下容器5cは円筒状で、側面内壁には下容器用係止部17が設けられている。この下容器用係止部17が上容器用係止部16に係合されることにより、下容器5cが上容器5bに取り付けられる。
【0022】
下容器5cが上容器5bに取り付けられることによって、おねば容器5には溜まり凹部13が形成される。この溜まり凹部13には、蒸気から分離されたおねばが溜められる。なお、溜まり凹部13の下面は、後述するおねば戻し孔5dに向かって低くなるよう傾斜して形成してもよい。
【0023】
下容器5cの下面には、炊飯により内釜2から発生する蒸気をおねば容器5内部に通す蒸気口5aが形成されており、この蒸気口5aは放熱板4の開口部4a及び上容器5b内部と連通している。
【0024】
おねば容器5内には、下容器5cの下面に形成された蒸気口5aに連通し内釜2で発生した蒸気をおねば容器5内部に案内する案内筒9が設けられている。案内筒9は、図2に示すように蒸気口5aから上方に延在して形成することができる。案内筒9は、一端(蒸気口5a)が開口し他端(天井)が塞がれた筒部9aと、複数の孔が形成されたフィルタ部9bとを備える。フィルタ部9bは筒部9aの天井(上面)に設けられ、蒸気をおねば容器5内部に通すため孔は貫通されている。本実施の形態では、筒部9aとフィルタ部9bは一体構成、すなわち、筒部9bの天井に複数の孔が形成されてフィルタ部9bが設けられる構成となっているが、これに限るものではなく、筒部9aとフィルタ部9bとが別個の部材で構成されていてもよい。別個の部材の構成についての詳細は後述する。
【0025】
なお、案内筒9は蒸気口5aから上方に延在して形成させるだけではなく、例えば蒸気口5aの上部に取り付ける構成としてもよい。また、案内筒9の筒部9aは筒形状に限らない。つまり、内釜2から発生する蒸気をおねば容器5の内部に通過させるものであれば何でもよく、例えば中空状の四角柱であってもよい。
【0026】
筒部9aの直径は9mm程度であればよい。また、フィルタ部9bにおける孔の径は、大豆の皮等を通さない程度の大きさであることが好ましく、例えば2〜3mm程度であればよい。また、フィルタ部9bにおける孔の大きさは、全て均一の大きさにする必要はなく、様々な大きさの内径を持つ孔があってもよい。
【0027】
下容器5cの下面には、蒸気口5aとは別に、おねば容器5内に溜められたおねばを内釜2へ戻すためのおねば戻し孔5dが形成されている。言い換えると、おねば容器5の溜まり凹部13の下面におねば戻し孔5dが形成されている。おねば戻し孔5dの径は、例えば2.5mm程度であれば効率よくおねばを内釜2に戻すことができる。
【0028】
おねば戻し孔5dには、上下に可動可能な開閉弁10が設けられており、開閉弁10によっておねば戻し孔5dは開閉される。開閉弁10は、頭部10a、柱部10b、及び基板10cから構成される。柱部10bの外径はおねば戻し孔5dの径より小さく、柱部10bの長さは下容器5cの底部の厚みより長く形成されている。頭部10a及び基板10cの外径はそれぞれおねば戻し孔5dの径より大きくなるよう形成されている。
【0029】
内釜2内の内圧が低いとき、例えば炊飯開始前は、開閉弁10の頭部10aがおねば戻し孔5dの上面周縁に当接して脱落が防止され、かつ、おねば戻し孔5dを開口状態に保持する。一方、内釜2内の内圧が高いとき、すなわち炊飯中は、開閉弁10が内釜2から発生する蒸気により上昇し、基板10cがおねば戻し孔5dの下面周縁に当接しておねば戻し孔5dを閉塞する。
【0030】
なお、この開閉弁10は耐熱性を有し、経年変化しにくい例えばシリコンゴム等の材料からなり、頭部10a側からおねば戻し孔5dに嵌入される。
【0031】
なお、本実施の形態においては蒸気口5aは前部側、おねば戻し孔5dは後部側に形成されているが、この配置に限るものではない。例えば、蒸気口5aが後部側、おねば戻し孔5dが前部側に形成してもよいし、蒸気口5aを下容器5cの下面中心に形成してもよい。また、蒸気口5a、おねば戻し孔5dは1つに限らず、複数形成されていてもよい。
【0032】
図2を用いて炊飯を開始してからおねば容器5に溜められたおねばを内釜1に戻すまでの動作について説明する。内釜1内には水と大豆の皮等を含む雑穀米が被調理物として収納されている。炊飯器の使用者が操作部15の釦を押下して炊飯が開始されると、加熱手段12が作動し、内釜2が加熱される。内釜2が加熱されてから所定時間経過すると、内釜2内の水が沸騰し、おねばを含んだ蒸気が発生する。
【0033】
内釜2が加熱されてから所定時間経過すると、内釜2内の内圧は上昇しているため、開閉弁10は押し上げられ、開閉弁10の柱部10bがおねば戻し孔5dに当接しておねば戻し孔5dを閉塞する。そのため、おねばを含む蒸気はおねば戻し孔5dからおねば容器5内に流入することはなく、蒸気口5aから案内筒9を通っておねば容器5内に導かれる。
【0034】
案内筒9を通っておねば容器5内に流入した蒸気はおねば容器5内の側壁、天井(蓋体3の凹部3a下面)に衝突し、おねば容器5内を排気口11に向かって拡散していき、この間に重量のあるおねばが蒸気から分離される。
【0035】
蒸気から分離されたおねばは、おねば容器5内の溜まり凹部13内に溜められる。上容器5bの下面に付着したおねばについても、上述したように上容器5bの下面が溜まり凹部13に向かって低くなるよう傾斜して形成されているので、溜まり凹部13内に流れて行き、溜まり凹部13で溜められる。
【0036】
一方、おねばが分離された蒸気は、おねば容器5内に連通する排気口11から炊飯器外部に排気される。
【0037】
上述した蒸気とは別に、炊飯が開始されてから所定時間経過すると、内釜1内から泡が生じ、上昇する。この泡には、被調理物に含まれる大豆の皮等が含まれている。泡が上昇すると、案内筒9を通過しておねば容器5内に流入する。しかし、泡に含まれる大豆の皮等については案内筒9に備えられたフィルタ部9bを通過することができないので、おねば容器5内には流入することはない。
【0038】
炊飯が終了すると、電磁誘導コイル13が制御され、内釜1への加熱が停止される。加熱が停止され内釜1内の内圧が低くなると、開閉弁11の下降に伴い、溜まり凹部13に溜められたおねばがおねば戻し孔5dから内釜1内に戻される。この際、上述したフィルタ部9bにより、泡に含まれる大豆の皮等のおねば容器5内への流入を防止することができるので、大豆の皮等がおねば戻し孔5dに詰まり、おねばを内釜1に戻すことができなくなる事態を防ぐことができる。
【0039】
以上のように、本発明の実施の形態1に係る炊飯器は、放熱板4に取り付けられたおねば容器5を備え、おねば容器5の下面に形成された蒸気口5aに連通しフィルタ部9bを備えた案内筒9が設けられているので、炊飯中に上昇する泡に含まれる大豆の皮等はフィルタ部9bを通過できず、おねば容器5内に流入しておねば戻し孔5dに詰まることを防止することができる。
【0040】
そして、溜められたおねばがおねば戻し孔5dから内釜2内の被調理物に戻されることにより、おねばに含まれるおいしさの成分が被調理物に与えられて、つやや粘りのあるおいしい被調理物を炊くことが可能となる。
【0041】
また、おねば容器5は放熱板4に取り付けられており、放熱板4は蓋体3に着脱可能に取り付けられていることから、放熱板4及びおねば容器5を蓋体3から取り外して丸洗いすることができ、これらを清潔に保つことが可能となる。
【0042】
なお、これまでおねば容器5が上容器5bと下容器5cとからなる構成について説明したが、これらが一体となった構成であってもよい。このような構成とする場合、おねば容器5の上面には排気口11と連通する開口部、もしくは排気口11を形成する。
【0043】
なお、おねば容器5に設けられた案内筒9は上記の構成に限定されるものではなく、他の構成であってもよい。以下、図5〜図7を用いて案内筒9の変形例について説明する。
【0044】
図5は、筒部9aとフィルタ部9bとを別個の部材として構成した案内筒9を示す。案内筒9の筒部9aは天井に開口部を設け、フィルタ部9bを構成する別部材のキャップを筒部9aの開口部に着脱可能に取り付けている。この場合、筒部9aの外周の表面上に凸部を設け、フィルタ部9bの内周面上に凹部を設け、この凹部に凸部が嵌め込まれることによりフィルタ部9bは筒部9aに取り付けられる。このように、フィルタ部9bと筒部9aとが別個の部材の構成であるので、フィルタ部9bを筒部9aから取り外して洗うことができるので、フィルタ部9bを清潔に保つことが可能となる。
【0045】
また、図6に示すように、筒部9aの天井をその軸芯に対して一端から他端に向かって傾斜して成型し、傾斜された天井に複数の孔を形成してフィルタ部9bを設けることとしてもよい。こうすることにより、案内筒9は、天井が傾斜して形成された筒部9aとその筒部9aの天井に設けられたフィルタ部9bを備えるので、上昇する泡が勢いよくおねば容器5内に流入するのを防止することができるので、泡に含まれる大豆の皮等がフィルタ部9bを通過することをより確実に防止することができる。また、傾斜した天井にくっついた大豆の皮等が落下しやすくなり、大豆の皮等がフィルタ部9bの孔を塞ぐことを防止することが可能となる。
【0046】
大豆の皮等によりフィルタ部9bの孔が塞がれると、おねば容器5内に通される蒸気の量が減少するため、おねばを溜めて内釜2に戻すおねば容器5としての機能の低下を招き、また炊飯器本体1内の圧力が異常に上昇してしまい危険である。こういった点からも、大豆の皮等がフィルタ部9bの孔を塞ぐことを防止する上記図6に示す変形例は有効である。
【0047】
また、図7に示すように、案内筒9の筒部9aの側面の途中から軸芯に対して傾斜させるようにしてもよい。傾斜させる向きは、蓋体3の排気口11とは逆方向にする。つまり、案内筒9の筒部9aの上面が排気口11に対して対向しない方向に傾斜されていればよい。図7の例では、排気口11は後部側に形成されているので、筒部9aは排気口11と対向するよう前部側に傾斜している。こうすることにより、上昇した泡に含まれる大豆の皮等が勢いよくフィルタ部9bに到達するのを防ぐので、大豆の皮等がフィルタ部9bを通過しにくくすることができる。また、案内筒9を通過した蒸気が勢いよく排気口11に送られ排気口11からおねばが吹き零れることを防止することが可能となる。なお、図7の例では筒部9aの側面の途中から傾斜される構成としたが、蒸気が勢いよく案内筒9から排気口11に送られるのを防ぐように、筒部9a全体を前部側に傾斜させてもよい。
【0048】
なお、上記の例では、案内筒9の筒部9aの天井にフィルタ部9bが設けられた構成のものについて説明したが、筒部9aの天井に加え側面にも孔を形成してもよいし、側面のみに孔を形成してもよい。
【0049】
案内筒9の長さについては特に制限はないが、フィルタ部10と被調理物との距離がある程度遠くなるように、案内筒9に一定の長さを持たせておくことが好ましい。そうすることにより、フィルタ部10に到達する泡に含まれる大豆の皮等の量が減少するので、より確実に大豆の皮等がおねば容器5内へ流入することを防止することが可能となる。
【符号の説明】
【0050】
1 内釜、
1a フランジ部
2 炊飯器本体
3 蓋体
3a 凹部
3b 段部
4 放熱板
4a 開口部
5 おねば容器
5a 蒸気口
5b 上容器
5c 下容器
5d おねば戻し孔
6 パッキン
7 放熱板固定枠
8 環状パッキン
9 案内筒
9a 筒部
9b フィルタ部
10 開閉弁
10a 頭部
10b 柱部
10c 基板
11 排気口
12 加熱手段
13 溜まり凹部
14 ヒンジ部
15 操作部
16 上容器用係止部
17 下容器用係止部
18 連通部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内釜が収容される炊飯器本体、
この炊飯器本体に開閉可能に支持された蓋体、
この蓋体に着脱可能に取り付けられるとともに前記内釜の上面開口部を覆い、取付用開口部が形成された平板状の放熱板、
この放熱板の取付用開口部に装着され、底部に前記内釜と連通する蒸気口およびおねば戻し孔が形成されたおねば容器、
このおねば容器内に前記蒸気口に連通し、フィルタ部を有する案内筒を備えたことを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
前記案内筒のフィルタ部は、上面または側面に形成された複数の孔であることを特徴とする請求項1記載の炊飯器。
【請求項3】
前記案内筒は、前記蒸気口に連通した上面開口の筒部と、この筒部の上面開口に着脱可能に取り付けられフィルタ部を構成するキャップとを有することを特徴とする請求項1記載の炊飯器。
【請求項4】
前記案内筒は、その軸芯に対して上面が傾斜されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の炊飯器。
【請求項5】
前記案内筒は、その上面が前記蓋体に形成された排気口に対して対向しない方向に傾斜されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−196247(P2012−196247A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60751(P2011−60751)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】