説明

炊飯器

【課題】従来の炊飯器の場合、コンセントが抜かれている時にはバックアップ手段から電源を供給して、LCDに現在時刻を表示しているのでコンセントを抜いている時間が長いとバックアップ手段が消耗しやすいという課題があった。
【解決手段】炊飯器本体1と、炊飯器本体の内部に収納され米と水を入れる鍋2と、鍋の上部開口部を開閉自在に覆う外蓋5と、鍋を加熱する加熱手段3と、マイクロコンピュータを備えた制御手段11と、操作手段22と、動作状態および現在時刻を表示する表示手段27と、マイクロコンピュータの電源をバックアップするバックアップ手段16と、予約設定手段29とを有し、交流電源が印加されていない時には表示手段に現在時刻を表示しないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックアップ手段を有するマイコンを搭載した炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、炊飯器は現在時刻を計時して動作モードに応じて現在時刻をLCDに表示している。また、タイマー機能を有し、ご飯が炊き上がる時刻を任意に設定することが出来、その設定した時刻を記憶している。また、リチウム電池などのバックアップ手段を搭載し、交流電源が印加されなくなった時には、直前の炊飯器の動作状態を記憶し、なおかつバックアップ手段から供給された電源によりLCDに現在時刻を表示する構成にしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
すなわち使用者がコンセントを抜いた場合、コンセントを抜く直前の状態が記憶されていて、LCDには現在時刻が表示されている。コンセントが抜かれている間も現在時刻のカウントは継続しているので現在時刻が、ずれるという事もない。
【0004】
その後、使用者が再びコンセントを挿入すると、コンセントを抜く直前の状態に応じて動作するように制御しているので、炊飯器を移動させて使用することが出来る。例えば、台所で炊飯し、炊飯完了後は食事を行う場所に炊飯器を移動させて使用するといった使い方をすることも可能である。またタイマー機能を有する炊飯器の場合、タイマー時刻設定後にコンセントを抜いても現在時刻は継続してカウントしているので、使用者が再びコンセントを挿入すれば、タイマー設定時刻に炊飯終了するように制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−339525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の炊飯器の場合、コンセントが抜かれている時にはバックアップ手段から電源を供給して、LCDに現在時刻を表示しているのでコンセントを抜いている時間が長いとバックアップ手段が消耗しやすいという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するために、炊飯器本体と、前記炊飯器本体の内部に収納され米と水を入れる鍋と、前記鍋の上部開口部を開閉自在に覆う外蓋と、前記鍋を加熱する加熱手段と、マイクロコンピュータを備えた制御手段と、操作手段と、動作状態および現在時刻を表示する表示手段と、前記マイクロコンピュータの電源をバックアップするバックアップ手段と、予約設定手段とを有し、交流電源が印加されていない時には前記表示手段に現在時刻を表示しないようにしたものである。
【0008】
これにより、コンセントが抜かれている時にバックアップ手段から供給される負荷電流を減少させることが出来るので、バックアップ手段の消耗を抑えることが可能である。その結果、従来よりもバックアップ手段が消耗しにくい炊飯器を提供することが出来る。
【発明の効果】
【0009】
本発明の炊飯器は、コンセントが抜かれている時にバックアップ手段から供給される負荷電流を減少させることが出来るので、バックアップ手段の消耗を抑えることができる。
その結果、従来よりもバックアップ手段が消耗しにくい炊飯器を提供することが出来、バックアップ手段交換までの年数を伸ばした炊飯器を提供する事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1における炊飯器のブロック図
【図2】本発明の実施の形態1における炊飯器の断面図
【図3】本発明の実施の形態1における表示手段の表示例を示す図
【図4】本発明の実施の形態2における炊飯器のブロック図
【図5】本発明の実施の形態2における表示手段の表示例を示す図
【図6】本発明の実施の形態3における炊飯器のブロック図
【図7】本発明の実施の形態3における表示手段の表示例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1の発明は、炊飯器本体と、前記炊飯器本体の内部に収納され米と水を入れる鍋と、前記鍋の上部開口部を開閉自在に覆う外蓋と、前記鍋を加熱する加熱手段と、マイクロコンピュータを備えた制御手段と、操作手段と、動作状態などを表示する表示手段と、マイクロコンピュータの電源をバックアップするバックアップ手段と、予約設定手段と、現在時刻表示機能とを有し、交流電源が印加されていない時には前記表示手段に現在時刻を表示しない機能を有する構成としたものであり、コンセントが抜かれている時にバックアップ手段から供給される負荷電流を減少させることが出来るので、バックアップ手段の消耗を抑えることが可能である。その結果、従来よりもバックアップ手段が消耗しにくい炊飯器を提供することが出来、バックアップ手段交換までの年数を伸ばした炊飯器を提供する事が出来る。
【0012】
第2の発明は、上記第1の発明において、現在時刻表示設定手段を有し、交流電源が印加されていない時に前記現在時刻表示設定手段が押されると、表示手段に現在時刻を表示する機能を有する構成としたものであり、LCDに何も表示されていない状態を使用者が故障だと勘違いしないように配慮した構成としている。その結果、コンセントが抜かれている時にバックアップ手段から供給される負荷電流を減少させてバックアップ手段の消耗を抑えるとともに、現在時刻表示設定手段を押すとLCDに現在時刻が表示されて使用者が容易に炊飯器の動作状態を認識できるので、誤って炊飯器が故障したという判断を防止することが出来る。
【0013】
第3の発明は、上記第1もしくは第2の発明において、動作誘導手段を有し、交流電源が印加されていない時に前記動作誘導手段が押されると、表示手段に現在の状況を回避する手段を表示する機能を有する構成としたものであり、LCDに何も表示されていない状態を回避する為に配慮した構成としている。その結果、コンセントが抜かれている時にバックアップ手段から供給される負荷電流を減少させてバックアップ手段の消耗を抑えるとともに、動作誘導手段を押すと、表示手段に現在の状況を回避する手段を表示されてLCDに何も表示されていない状態から回避する手段を使用者が容易に認識できるので、誤って炊飯器が故障したという判断を防止することが出来る。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における炊飯器のブロック図を示し、図2は、同炊飯器の断面図、図3は表示手段の表示例を示すものである。
【0015】
図2に示すように、炊飯器本体1は、内部に米と水を入れる鍋2を着脱自在に収納し、この鍋2はステンレス、鉄などの磁性体によって形成している。鍋2の上部開口部を外蓋5で開閉自在に覆っている。加熱コイル(加熱手段)3は、鍋2の底面外側に配設し、高周波電源から供給される高周波電流により交番磁界を発生し、この交番磁界で鍋2を誘導
加熱している。加熱コイル3の巻線方向に対して、その巻線方向がほぼ直交するように、高透磁性の磁性材料で形成したフェライト(図示せず)を加熱コイル3の外側近傍に配置している。フェライトは、加熱コイル3による磁界が炊飯器本体の外部へ漏れるのを防止するとともに、鍋2への誘導加熱を促進する。
【0016】
ここで鍋2への加熱方法が誘導加熱による場合について述べているが、鍋2への加熱方法がシーズヒータによるものであっても本発明の効果については何ら変わることは無い。
【0017】
鍋温度センサ6は鍋2の温度を検知するもので、サーミスタで構成し、その抵抗値により鍋2の温度を検知している。制御基板7は、図1に示す制御手段11と電力供給手段12とを有し、制御手段11はマイクロコンピュータ13を有し、鍋温度センサ6の出力と、炊飯開始スイッチ21からの入力信号と、メニュー選択手段4、予約設定手段29からの入力信号とを入力している。
【0018】
交流電源14が供給されている時には、交流電源14からの入力電圧が直流電圧変換手段15に入力され、直流電圧変換手段15からの出力が回路用電源としてマイクロコンピュータを有する制御手段11にも供給されている。交流電源14の供給が無くなった時にバックアップ手段16からの電源供給が行われ、マイクロコンピュータの電源をバックアップするようにしている。また、交流電源14が供給されている時にはバックアップ手段16からの電源供給は行わないように構成している。
【0019】
また、制御基板7は、電力供給手段12を構成する高周波電源と加熱コイル3との間に設けたIGBT等の半導体パワー素子のスイッチングにより、加熱コイル3へ高周波電流を供給し、スイッチング周波数によって供給電力を制御できるようにし、加熱コイル3の加熱量を制御して鍋2を加熱し、鍋2内の米と水を炊飯するよう構成している。
【0020】
ここで鍋2への加熱方法が誘導加熱による場合について述べているが、鍋2への加熱方法がシーズヒータによるものであっても本発明の効果については何ら変わることは無い。
【0021】
その場合、制御手段11と電力供給手段12は、シーズヒータとの間に設けたリレー等のスイッチングによりヒータを通電させて鍋2を加熱し、鍋2内の米と水を炊飯するよう構成する。
【0022】
表示手段27は、使用者がメニュー選択手段4により選択したメニューの選択状態を表示するもので、LCD28および、表示エリア(図示せず)を有し、このLCD28に少なくとも2つ以上ある炊飯メニューの中から選択した炊飯メニューを表示し、表示エリアには選択可能なメニューを表示するようにしている。また待機モードや特定メニューの炊飯中の場合には、LCD28に現在時刻を表示するようにしている。また、予約設定手段により予約を設定済みの場合には、LCDに予約時刻を表示するようにしている。
【0023】
また、ブザーで構成した報知手段(図示せず)を備え、操作部22において炊飯開始スイッチ21を受け付けた時や、炊飯終了時に鳴動するようにしている。
【0024】
上記構成において動作、作用を説明する。使用者がコンセントを抜いた場合、交流電源14からの供給が無くなる為、バックアップ手段16からの電源供給が行われ、マイクロコンピュータの電源をバックアップするので、コンセントを抜く直前の動作状態を記憶している。この時、LCDには現在時刻を表示しないように制御する。
【0025】
その後、使用者が再びコンセントを挿入すると、コンセントを抜く直前の状態に応じて動作するように制御する。例えば、タイマー時刻設定後にコンセントを抜いた場合には、
コンセントが抜かれている間も現在時刻は継続してカウントしているので、使用者が再びコンセントを挿入すれば、当初のタイマー設定時刻に合わせて炊飯終了するように制御する。
【0026】
あるいは、保温中にコンセントを抜いた場合には、使用者が再びコンセントを挿入すれば、再び保温を継続するように制御する。
【0027】
以上のように、本実施の形態においては、コンセントが抜かれている時にバックアップ手段から供給される負荷電流を減少させることが出来るので、バックアップ手段の消耗を抑えることが可能である。その結果、従来よりもバックアップ手段が消耗しにくい炊飯器を提供することが出来、バックアップ手段交換までの年数を伸ばした炊飯器を提供する事が出来る。
【0028】
さらに本実施の形態では、バックアップ時の負荷電流を低減する為の構成を新たに設ける必要が無いので、新規構成の追加に伴う新規投資の必要が無く、バックアップ手段の消耗しにくい炊飯器を安価に提供することが出来る。
【0029】
(実施の形態2)
コンセントが抜かれている時に、使用者が現在時刻表示設定手段24を押すと、表示手段に現在時刻を表示する。
【0030】
図4は、本発明の実施の形態2における炊飯器のブロック図を示し、図5は表示手段の表示例を示すもので、現在時刻を表示している。
【0031】
以上のように、本実施の形態においては、LCDに何も表示されていない状態を使用者が故障だと勘違いしないように配慮した構成としており、コンセントが抜かれている時にバックアップ手段から供給される負荷電流を減少させてバックアップ手段の消耗を抑えるとともに、現在時刻表示設定手段24を押すとLCDに現在時刻が表示されて使用者が容易に炊飯器の動作状態を認識できるので、誤って炊飯器が故障したという判断を防止することが出来る。
【0032】
(実施の形態3)
コンセントが抜かれている時に、使用者が動作誘導手段30を押すと、表示手段に現在の状況を回避する手段を表示する。
【0033】
図6は、本発明の実施の形態3における炊飯器のブロック図を示し、図7は表示手段の表示例を示すもので、現在時刻を表示している。
【0034】
以上のように、本実施の形態においては、LCDに何も表示されていない状態を回避する為に配慮した構成としており、コンセントが抜かれている時にバックアップ手段から供給される負荷電流を減少させてバックアップ手段の消耗を抑えるとともに、動作誘導手段30を押すと、表示手段に現在の状況を回避する手段を表示されてLCDに何も表示されていない状態から回避する手段を使用者が容易に認識できるので、誤って炊飯器が故障したという判断を防止することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0035】
以上のように、本発明にかかる炊飯器は、コンセントが抜かれている時にバックアップ手段から供給される負荷電流を減少させることが出来るので、バックアップ手段の消耗を抑えることができる。その結果、従来よりもバックアップ手段が消耗しにくい炊飯器を提供することが出来、バックアップ手段交換までの年数を伸ばした炊飯器を提供する事が出
来る。
【符号の説明】
【0036】
1 炊飯器本体
2 鍋
3 加熱コイル(加熱手段)
4 メニュー選択手段
5 外蓋
6 鍋温度センサ
11 制御手段
12 電力供給手段
16 バックアップ手段
21 炊飯開始スイッチ
22 操作部(操作手段)
24 現在時刻表示設定手段
27 表示手段
28 LCD
29 予約設定手段
30 動作誘導手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炊飯器本体と、前記炊飯器本体の内部に収納され米と水を入れる鍋と、前記鍋の上部開口部を開閉自在に覆う外蓋と、前記鍋を加熱する加熱手段と、マイクロコンピュータを備えた制御手段と、操作手段と、動作状態および現在時刻を表示する表示手段と、前記マイクロコンピュータの電源をバックアップするバックアップ手段と、予約設定手段とを有し、交流電源が印加されていない時には前記表示手段に現在時刻を表示しないことを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
現在時刻表示設定手段を有し、交流電源が印加されていない時に前記現在時刻表示設定手段が押されると、前記表示手段に現在時刻を表示することを特徴とする請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
動作誘導手段を有し、交流電源が印加されていない時に前記動作誘導手段が押されると、前記表示手段に現在の状況を回避する手段を表示することを特徴とする請求項1または2に記載の炊飯器。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図2】
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