説明

炊飯器

【課題】電気部品を実装して誘導加熱コイルの下方に配置される基板を、火災や電磁波から保護できるようにする。
【解決手段】本体1内に、少なくとも内釜2と、内釜2を誘導加熱する誘導加熱コイル7と、電気部品を実装した基板15とを備え、誘導加熱コイル7の下方の本体底板14上に基板15を配置し、基板15を防磁性のステンレス材で構成された延焼防止カバー20で覆うようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体に収納した内釜を誘導加熱する誘導加熱コイルを備えた炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の炊飯器、すなわち内釜を誘導加熱する誘導加熱コイルを備えた炊飯器は、本体と、本体内に着脱自在に収納した内釜と、本体の上面開口部を開閉自在に覆う蓋と、本体内の内釜の側方や下方に配置されて内釜を誘導加熱する誘導加熱コイルと、電気部品を実装した制御基板とを備えており、制御基板は本体の後部または前部に配置されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また一般に、誘導加熱コイルの周り、つまり本体の内釜収納部の胴部の周りや本体底板上には、防磁リングや防磁板が配置されている。制御基板を本体の後部または前部に配置しているのは、比較的設置スペースの確保が容易であることによる。また、制御基板を覆う延焼防止カバーや、基板のパターン面側を覆う基板ベースを設けたものもある。
【0004】
このようなものにおいて、例えば雑音対策などのための電気部品を実装した補助基板を追加する際、補助基板を制御基板面に取り付けようとすると、設置スペースを大きくしなければならず、本体の大型化を余儀なくされる。そこで、アース構造を必要とする炊飯器特に海外向けの機種において、誘導加熱コイルの下方の本体底板上に補助基板を水平配置したものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−214032号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、誘導加熱コイルの下方は狭隘な空間であり、そこに防磁板と補助基板と比較的大きな設置スペースを必要とする延焼防止カバーとを配置するのは困難である。そのため、誘導加熱コイルの下方に配置される補助基板は、従来、延焼防止カバーで覆われておらず、露出した状態で設置されているのが実状である。このため、誘導加熱コイルの下方に配置される補助基板から万が一炎が発生しても、周囲の部品への延焼を防止することができなかった。
【0007】
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたもので、制御基板や補助基板に拘わらず、電気部品を実装して誘導加熱コイルの下方に配置される基板を電磁波から保護することや、周囲への延焼防止を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る炊飯器は、本体内に、少なくとも内釜と、内釜を誘導加熱する誘導加熱コイルと、電気部品を実装した基板とを備えた炊飯器において、誘導加熱コイルの下方の本体底板上に基板を配置し、基板を防磁性のステンレス材で構成された延焼防止カバーで覆ったものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の炊飯器においては、電気部品を実装した基板を覆う延焼防止カバーが防磁性のステンレス材で構成され、防磁板の機能も持っているので、延焼防止カバーの配置部に別部材でなる防磁板を設置する必要がない。そのため、延焼防止カバーの設置スペースの確保が容易で、限られたスペースの中で効率の良い配置ができる。そして、従来の構成を生かしつつ、延焼防止カバー以外に部品を追加することなく、また本体の大型化を極力抑えた中で、誘導加熱コイルの下方に配置される基板を電磁波から保護することや、周囲への延焼防止が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る炊飯器の外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る炊飯器の側方より見た縦断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る炊飯器の正面より見た縦断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る炊飯器の本体底板上の主要部品の配置構成を誘導加熱コイルとの関係で示す平面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る炊飯器の基板の延焼防止カバーの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は本発明の実施形態に係る炊飯器の外観を示す斜視図、図2は本発明の実施形態に係る炊飯器の側方より見た縦断面図、図3は本発明の実施形態に係る炊飯器の正面より見た縦断面図である。
本発明の実施形態の炊飯器は、図1乃至図3のように内釜2が着脱自在に収容される本体1と、本体1の後部にヒンジ結合されて内釜2の上部開口を開閉自在に閉塞する蓋3とを有している。本体1の正面には、蓋3の係合解除ボタン4が設けられている。蓋3の上面の前側には、複数の操作ボタン5と、操作状態を表示する液晶表示パネル6が設けられている。本体1内の内釜2の下方には、電磁波により内釜2を加熱する誘導加熱コイル7が備えられている。また、本体1内の内釜収納部の底部中央には、上方に付勢されて内釜2の底面に接触して中央部付近の発熱温度を検出する温度センサー8が取り付けられている。
【0012】
また、本体1の後部には図示しない電気部品を実装した基板、例えば制御基板9が配置されている。制御基板9は、延焼防止カバー11で覆われているとともに、延焼防止カバー11内で更に基板のパターン面側が防虫フィルター12によって通気可能に覆われている。また、制御基板9は、その下方に設置された冷却ファン13により冷却されるようになっている。
【0013】
また、誘導加熱コイル7の下方の本体底板14上に、電気部品を実装した基板、ここでは雑音対策のためのアースコイル10などを実装した補助基板15を水平配置し、補助基板15を箱形の延焼防止カバー20で覆っている。
【0014】
これを図4及び図5を用いて図1乃至図3を参照しながら更に詳述する。図4は本発明の実施形態に係る炊飯器の本体底板上の主要部品の配置構成を誘導加熱コイルとの関係で示す平面図、図5は本発明の実施形態に係る炊飯器の基板の延焼防止カバーの分解斜視図である。
延焼防止カバー20は、図2乃至図5のように補助基板15を収納可能な上カバー21及び下カバー22でなる箱形に形成され、少なくとも上カバー21が防磁性の金属材、例えば比較的発熱の少ないオーステナイト系のステンレスSUS304で構成され、下カバー22が鋼板で構成されているが、上下カバー21,22の双方ともステンレス材で構成してもよい。このように、延焼防止カバー20を防磁性のステンレス材で構成することで、耐火性を向上させつつ延焼防止カバー20に防磁板の機能も持たせることができる。そのため、延焼防止カバー20の配置部に別部材でなる防磁板を設置する必要がなくなり、その分、延焼防止カバー20の設置スペースの確保が容易となり、限られたスペースの中で効率の良い配置ができる。そして、従来の構成を生かしつつ、延焼防止カバー20以外に部品を追加することなく、また本体1の大型化を極力抑えた中で、誘導加熱コイル7の下方に配置される補助基板15を電磁波から保護し、周囲への延焼防止が可能となる。
【0015】
また、延焼防止カバー20内には、図2乃至図5のように補助基板15のパターン面側を通気可能に覆う防虫フィルター23が設けられている。これにより、補助基板15のパターン面側にゴキブリなどが侵入するのを防止でき、ゴキブリなどによる基板パターン間のショートを未然に防ぐことができる。
【0016】
また、延焼防止カバー20の上カバー21には、図2及び図5のように冷却ファン13の吹出口に掛かるように導入風路となる延出部21aが設けられており、冷却ファン13からの風を導入できるようになっている。これにより、単一の冷却ファン13を用いて、延焼防止カバー11側の制御基板9と、延焼防止カバー20側の補助基板15の双方を冷却することができ、新たに冷却ファンを設ける必要がなくなる。
【0017】
また、延焼防止カバー20は、図3及び図4のように本体1の幅方向の中央より一側(右側)寄りで、その長手方向が本体1の奥行き方向を向くように、つまり補助基板15の配置位置は本体中心部を避けるように設定している。これにより、本体1内の内釜収納部内に水をこぼした時の温度センサー8部から延焼防止カバー20内の補助基板15への水の浸入を防止することができる。
【0018】
また、図4のように本体1の幅方向の延焼防止カバー20とは反対側(左側)に、電源コード接続部30を設けている。これにより、電源コード接続部30の配置が容易で、かつ重量バランスがとり易くなっている。
【0019】
また、図4のように本体底板14上の誘導加熱コイル7の下方における延焼防止カバー20で覆われる部位を除く領域内に、防磁板50を設けている。なお、図4中の誘導加熱コイル7は、コイル外形を示している。これにより、底方向での本体外への電磁波漏洩を抑えることができる。
【0020】
また、図1及び図3のように本体底板14の両側縁部の奥行き方向中間部に、下面より上方に凹陥する手掛け部41,42を設けている。これにより、限られたスペースの中で手掛け部41,42の効率の良い配置が可能となった。
【0021】
以上のように、本発明によれば、電気部品を実装した基板(例えば補助基板15)を覆う延焼防止カバー20が防磁性のステンレス材で構成され、これに防磁板の機能も持たせたので、延焼防止カバー20の配置部に別部材でなる防磁板を設置する必要がなくなり、延焼防止カバー20の設置スペースの確保が容易となった。そのため、限られたスペースの中で延焼防止カバー20の効率の良い配置ができた。そして、従来構成を生かしつつ、延焼防止カバー20以外に部品を追加することなく、また本体1の大型化を極力抑えた中で、誘導加熱コイル7の下方に配置される基板を電磁波から保護し、周囲への延焼防止が可能となる。
【符号の説明】
【0022】
1 本体、2 内釜、3 蓋、4 係合解除ボタン、5 操作ボタン、6 液晶表示パネル、7 誘導加熱コイル、8 温度センサー、9 制御基板(基板)、10 アースコイル、11,20 延焼防止カバー、12,23 防虫フィルター、13 冷却ファン、14 本体底板、15 補助基板(基板)、21 上カバー、21a 延出部、22 下カバー、30 電源コード接続部、41,42 手掛け部、50 防磁板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体内に、少なくとも内釜と、該内釜を誘導加熱する誘導加熱コイルと、電気部品を実装した基板とを備えた炊飯器において、
前記誘導加熱コイルの下方の本体底板上に前記基板を配置し、該基板を防磁性のステンレス材で構成された延焼防止カバーで覆ったことを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
前記基板は、前記本体の幅方向の中央より一側寄りで、その長手方向が前記本体の奥行き方向を向くように配置され、前記延焼防止カバーにて覆われていることを特徴とする請求項1記載の炊飯器。
【請求項3】
前記本体の幅方向の前記延焼防止カバーとは反対側に、電源コード接続部を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の炊飯器。
【請求項4】
前記延焼防止カバーは、前記基板を収納可能な上カバー及び下カバーでなる箱形に形成され、少なくとも上カバーが防磁性のステンレスで構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の炊飯器。
【請求項5】
箱形に形成された前記延焼防止カバー内で基板のパターン面側を通気可能に覆う防虫フィルターを設けたことを特徴とする請求項4記載の炊飯器。
【請求項6】
前記本体底板上の前記誘導加熱コイルの下方における前記延焼防止カバーで覆われる部位を除く領域内に、防磁板を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の炊飯器。
【請求項7】
前記本体底板の両側縁部の奥行き方向中間部に、下面より上方に凹陥する手掛け部を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−90859(P2013−90859A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235643(P2011−235643)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】