炊飯用洗米機
【課題】高精度の水量管理が可能な水加減によって所要の炊飯条件を確保することができる炊飯用洗米機を提供する。
【解決手段】炊飯用洗米機は、給水部により水量調節可能な洗米タンク(3)と、洗米タンク(3)に受けた米を給水攪拌する洗米工程、この洗米処理した米に間欠散水するざるあげ浸漬工程、およびこのざるあげ浸漬処理した米に炊飯用水加減をする水加減工程までの一連の処理を行う制御部とを備えて構成され、上記給水部は、洗米タンク(3)の上部高さ位置に配置した配水管(26)と、この配水管(26)から下降して洗米タンク(3)にその下部から給水可能に連通する下部給水管(27)とからなる給水系を形成し、かつ、配水管(26)には、流量を計測する流量センサ(25)を設け、この流量センサ(25)の計測値に応じて動作する開閉弁(28)を下部給水管(27)に設けたものである。
【解決手段】炊飯用洗米機は、給水部により水量調節可能な洗米タンク(3)と、洗米タンク(3)に受けた米を給水攪拌する洗米工程、この洗米処理した米に間欠散水するざるあげ浸漬工程、およびこのざるあげ浸漬処理した米に炊飯用水加減をする水加減工程までの一連の処理を行う制御部とを備えて構成され、上記給水部は、洗米タンク(3)の上部高さ位置に配置した配水管(26)と、この配水管(26)から下降して洗米タンク(3)にその下部から給水可能に連通する下部給水管(27)とからなる給水系を形成し、かつ、配水管(26)には、流量を計測する流量センサ(25)を設け、この流量センサ(25)の計測値に応じて動作する開閉弁(28)を下部給水管(27)に設けたものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米の洗浄から水加減までを行って炊飯準備する炊飯用洗米機に関する。
【背景技術】
【0002】
所要量の米を洗米タンクに受けて給水攪拌する洗米処理と、この洗米処理した米に間欠散水するざるあげ浸漬処理と、このざるあげ浸漬処理した米に炊飯用加減水を供給する水加減処理とを一連の自動制御により炊飯準備する炊飯用洗米機が知られている。
【0003】
特許文献1に記載(図3)の洗米機は、洗米タンクの上部に配置した給水部から注水し、また、給水部に流量センサと給水電磁弁と介設し、流量センサに基づいて給水電磁弁を計量対応制御することにより水加減の水量を調節することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−244712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記洗米機の給水部は、給水電磁弁を閉止したときに散水口までの間に水が残留保持されることがあるので、この給水部の残留水の状況により水加減の給水量が影響を受けることから、流量センサに基づく計量制御によって水加減処理をしても給水量のバラツキを招くという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、高精度の水量管理が可能な水加減によって所要の炊飯条件を確保することができる炊飯用洗米機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、洗米タンク(3)と、洗米タンク(3)の上部高さ位置に配置した配水管(26)と、配水管(26)から下降して洗米タンク(3)にその下部から給水可能に連通する下部給水管(27)とからなる給水系を形成し、配水管(26)には、流量を計測する流量センサ(25)を設け、この流量センサ(25)の計測値に応じて動作する開閉弁(28)を下部給水管(27)に設けて構成される。
【0008】
上記炊飯用洗米機により、下部給水管(27)が洗米タンク(3)に下部から給水し、この時、下部給水管(27)の開閉弁(28)が流量センサ(25)によって計量対応制御されて所要水量が供給され、また、下部給水管(27)が洗米タンク(3)の上部高さ位置の配水管(26)から洗米タンク(3)下部まで下降連通することから、下部給水管(27)から残留なしに洗米タンク(3)に給水される。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の構成において、前記洗米タンク(3)には、その上部から給水する上部給水管(29)を前記配水管(26)から切替弁(35)により分岐し、かつ、前記流量センサ(25)の計測値に応じて動作する開閉弁(33)を上部給水管(29)に設け、洗米タンク(3)に受けた米を給水攪拌する洗米工程、この洗米処理した米に散水するざるあげ浸漬工程、該ざるあげ浸漬工程した米に炊飯用水を供給する水加減工程までの一連の処理を行う制御部(C)を設け、ざるあげ浸漬工程用の散水を上部給水管(29)から行い、洗米工程用の給水と水加減用工程用の水を下部給水管(27)から行うことを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2の構成において、前記洗米タンク(3)には、下部給水管(27)の近傍に送気管(27a)を設け、洗米工程時はエアを常時供給し、水加減工程を経て水と米を洗米タンク(3)から排出するときに、一時的にエアを供給することを特徴とする。
上記炊飯用洗米機は、水加減処理した米を洗米タンク(3)から炊飯装置(5)に投下する際に送気管(27a)からエアを注入することにより、洗米タンク(3)に移行するエアの流れによって下部給水管(27)内の残留水が洗米タンク(3)に送出される。
【0011】
請求項4の発明は、請求項2または請求項3の構成において、前記洗米タンク(3)には、回転動作する撹拌体(17)を設け、ざるあげ浸漬工程から水加減工程に入るときに撹拌体(17)を回転させることを特徴とする。
上記炊飯用洗米機は、ざるあげ浸漬工程において撹拌体(17)を回転動作させることにより、米が攪拌されて水切りが促進される。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明の炊飯用洗米機により、下部給水管(27)が洗米タンク(3)に下部から給水し、この時、下部給水管(27)の開閉弁(28)が流量センサ(25)によって計量対応制御されて所要水量が供給され、また、下部給水管(27)が洗米タンク(3)の上部高さ位置の配水管(26)から洗米タンク(3)下部まで下降連通することから、下部給水管(27)から残留なしに洗米タンク(3)に給水されるので、洗米処理した米に水加減の給水を行う際は、流量センサ(25)に基づいて開閉弁(28)により計量された水が下部給水管(27)を下降して洗米タンク(3)下部に供給される。したがって、高精度の水量管理が可能な水加減によって所要の炊飯条件を確保することができる。
【0013】
請求項2の発明の炊飯用洗米機により、請求項1の効果に加え、配水管(26)から切替弁(35)を介設して上部給水管(29)により洗米タンク(3)上部に分岐給水され、このとき、前記流量センサ(25)により開閉弁(33)が計量対応制御されることから、ざるあげ浸漬処理により洗米処理した米に間欠散水する際の水量管理が可能となり、この散水量を加減水量に反映した高精度の水加減が可能となる。
【0014】
請求項3の発明の炊飯用洗米機により、請求項2の効果に加え、水加減処理した米を洗米タンク(3)から炊飯装置(5)に投下する際にエアを注入することにより、洗米タンク(3)に移行するエアの流れによって下部給水管(27)内の残留水が洗米タンク(3)に送出されて所要水量の水加減の状態で炊飯工程に移行されることから、炊飯処理における所要の水加減条件を実質的に確保することができる。
【0015】
請求項4の発明の炊飯用洗米機により、請求項2または請求項3の効果に加え、ざるあげ浸漬工程において撹拌体(17)を回転動作させることにより、米が攪拌されて水切りが促進されるので、後続の水加減工程における水量調節によって高精度の水加減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態を示す洗米炊飯機の正面図
【図2】洗米炊飯機の側面図
【図3】洗米タンク部の縦断側面図
【図4】撹拌羽根の斜視図
【図5】給水部の平面図
【図6】洗米炊飯機の操作パネルの蓋を閉じた状態(a)と開いた状態(b)の見取図
【図7】制御システムのブロック図
【図8】洗米炊飯の制御フローチャート
【図9】吸水経過特性図
【図10】水加減の前の排水のタイミングチャート
【図11】水切時のタイミングチャート
【図12】散水の有無選択画面(a)および時間設定画面(b)
【図13】別構成例の内部構成を表す側面図(a)および平面図(b)
【発明を実施するための形態】
【0017】
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつつ説明する。
図1および図2は、それぞれ、実施例に示す洗米炊飯機の全体正面図、全体側面図である。
この洗米炊飯機は、貯米タンク2と洗米タンク3からなる洗米機を可動支持し、その下方に複数の炊飯装置5,5を配置して構成される。洗米機は、支持機枠1の上部に横移動可能に貯米タンク2が設けられ、この貯米タンク2の下部に給排水部を付帯した洗米タンク3を一体に接続して構成され、炊飯装置5は、洗米タンク3の下方に間隔をおいて複数配置され、炊飯釜6、釜加熱用バーナ7と引出式の架台10等から構成され、炊飯設定に従い、貯米タンク2による計量処理から、洗米タンク3による洗米、水加減、投下の各処理を経て、炊飯装置5による炊飯処理までを一連に行う。
【0018】
(貯米タンク)
洗米炊飯機の構成について詳細に説明すると、貯米タンク2は、その上面に米投入口18を開口し、この米投入口18を投入蓋19で開閉する。貯米タンク2の下半分はホッパ状に構成されていて、このホッパ下端部に計量器12(図3)が取り付けられている。計量器12はモータ12a駆動の定量繰出弁によって構成され、貯米タンク2から一定量ずつ流下した米が充填された計量器12を炊飯計画量に必要な回転数だけ回転させることで、炊飯計画量の米を貯米タンク2から洗米タンク3に供給する。
【0019】
(洗米タンク)
洗米タンク3は、図3の洗米タンク部の縦断側面図に示すように、天井部に前記計量器12から供給される米を受ける漏斗状の受け部13を備え、中間部に円筒状の胴部3bと、下部にホッパ状部3cを持つ構成である、洗米タンク3のホッパ状部3cの下方にジャケット部31を接続し、ホッパ状部3cとジャケット部31との境界部に米粒を漏下させない程度の開口を持つフィルタ15を設けている。
【0020】
洗米タンク3の中心部に鉛直方向の中空軸による回転軸16を設け、その中空部に排米軸16aを貫通配置する。回転軸16には攪拌体である複数の撹拌羽根17…を取り付け、回転軸16は支持機枠1に取り付けた洗米モータ20によりベベルギヤ21等の伝動系を介して正逆方向に回転速度を制御可能な回転される。
【0021】
撹拌羽根17は、図4の斜視図に示すように、左回り動作で洗米中の米を持ち上げるように屈曲して形成することにより、洗米時間の短縮と使用水量の削減を可能とし、また、水加減した米を投下するときに下に押さえるように右回り動作に制御することにより、洗米タンク3から残米なしに投下することができる。
【0022】
排米軸16aは、外側の回転軸16の内部に上下摺動自在に遊嵌されていて、軸の下端に着脱自在の排米弁22を設け、軸の上端を排米弁駆動用モータ23で駆動するカム24により上下動させて、排米弁22の開閉制御がなされる構成である。排米弁22が開くと、洗米タンク3内の米は下方の炊飯装置5の中に落下する。
【0023】
(給水部)
洗米タンク3には、下端のジャケット部31に下部給水管27と送気管27aとを近接して水と空気を供給し、また、下部給水管27は、図5の給水部の平面図に示すように、洗米タンク3の上部の高さ位置に配置した配水管26から下降して配置する一方、切替弁35によって分岐して複数のノズル29a,29aから上部給水する上部給水管29を設ける。配水管26には、流量を計測する流量センサ25を設け、この流量センサ25の計測値に応じて動作する開閉弁28を下部給水管27に、同様の開閉弁33を上部給水管29に設ける。
【0024】
上記構成の下部給水管27は、洗米時に洗米タンク3の下部のジャケット部31に給水し、また、洗米タンク3の上部高さ位置の配水管26から洗米タンク3下部まで下部給水管27が下降連通することから、下部給水管27内の全水量が残留なしに排水される。したがって、洗米処理した米に水加減の給水を行う際に、流量センサ25に基づいて計量対応制御される開閉弁28によって供給された水の全量が下部給水管27を下降して洗米タンク3下部に供給されるので、高精度の水量管理が可能な水加減によって所要の炊飯条件を確保することができる。
【0025】
上記構成の送気管27aは、そのエア注入口を下部のジャケット部31に設け、後述の洗米工程時は常時または間欠的にエアを供給し、後述の水加減工程後の水米供給工程時には一時的に短時間エアを供給することで、洗米タンク3内の米と水の排出を促進する。
なお、図13の送気管を下部給水管に差した例の内部構成を表す側面図(a)および平面図(b)に示すように、送気管27aのエア注入口を下部給水管27に設け、水加減処理した米を洗米タンク3から炊飯釜6に投下する際に下部給水管27にエアを注入することにより、下部給水管27を通って洗米タンク3に移行するエアの流れによって下部給水管27内の残留水が洗米タンク3に送出されるので、供給された全加減水を水加減処理された米と共に投下することができる。
【0026】
上記構成の上部給水管29は、洗米タンク3の上部高さ位置で配水管26から切替弁35により分岐し、かつ、流量センサ25の計測値に応じて動作する開閉弁33を備えることから、洗米タンク3上部に給水するときに、流量センサ25によって開閉弁33を計量対応制御することにより、洗米処理した米に間欠散水するざるあげ浸漬処理する際の間欠散水の水量管理が可能となる。
【0027】
(排水部)
洗米タンク3の下部側方には排水箱39が設けられ、排水口40を有した排水箱39は、上部が洗米タンク3の上部側面に開口するオーバーフロー管41と連結管36で接続され、内側部が前記ジャケット部31に連通するジャケット配水管42と接続されている。ジャケット配水管42からの排水は排水弁44(図3では便宜上、水位弁54と一体的に図示している。)の開閉で行われ、水位弁54で洗米タンク3内の水位を調整する。
【0028】
排水箱39は、排水弁44及び水位弁54で常時閉鎖されているが、洗米タンク3内の水を排水する場合には、ジャケット部31のフィルタ15から、ジャケット配水管42、排水弁44及び/または水位弁54、排水箱39及び排水口40を経て排水される。
【0029】
排水弁44及び水位弁54は洗米タンク3の天井部に固定して設けたそれぞれのソレノイド(不図示)と連結して設けたコントロールワイヤ45,55によって開閉する。また、洗米タンク3内上部には洗米タンク3内の水量を検出する電気接点付きフロートセンサ32を備えている。
【0030】
(操作パネル)
次に、操作表示部である操作パネル11は、図6の表示蓋75を閉じた状態(a)に示すように、上部には工程表示画面71と予約スイッチ78、スイッチ群79、スタートスイッチ80及びヘルプスイッチ81が配置され、下部には液晶表示画面72を備えている。工程表示画面71には米の計量、洗米及び浸しからなる予備工程と、釜の準備、浸し、点火、炊飯、むらし、炊き上りからなる炊飯工程をそれぞれ表示し、現在どの工程を実行中であるかを工程別に設けたLEDを点灯して識別できるようにし、正常な運転席状態では緑色、異常時に赤色の2色に発光するようにして、運転状態を容易に認識できるようにしている。
【0031】
表示蓋75を閉じた状態では、液晶表示画面72は通常運転表示画面Aを表示し、この実施例の形態では累積炊飯回数(以下累積釜数という)、連続して炊飯する回数(以下予定釜数という)、一回の炊飯で処理する容量、炊飯予備工程と炊飯工程における合計浸積時間、及び、蒸らし時間を表示している。
【0032】
また、図6(b)は表示蓋75を開いた状態を示し、表示蓋75を開くと、液晶表示画面72は通常運転表示画面Aから即座に炊飯条件を設定できる炊飯条件設定画面Bを表示する。炊飯条件設定画面Bは、炊飯量、水加減、洗い方、浸し時間、蒸らし時間、炊飯の仕方(モード)、点火方法の中のいずれかの炊飯条件が設定できる画面であり、炊飯条件設定画面Bの下方にあるメニュースイッチ74で炊飯条件の種類を選択し、選択した各炊飯条件に対応した位置にある設定スイッチ73で、その炊飯条件を決めることができるようになっている。
【0033】
さらに、水加減処理においては、所定の複数スイッチの同時押しにより、設定した水加減量と流量センサ25による計測量を液晶表示画面72にセンサパルスで対比表示するメンテナンスモードを設けることにより、流量センサ25の異常と水加減誤差の原因調査が可能となる。
【0034】
(制御システム)
上記構成の洗米炊飯機の制御システムは、図7のブロック図に示すように、操作パネル11の各種指示スイッチのほかに、流量センサ25、水温センサTの信号を制御部Cに入力し、出力側には、設定内容と運転状況を表示する操作パネル11の表示画面72、炊飯米量を計量する計量バルブ12、洗米タンク3に給水する給水ポンプ26aと給水切替弁35、回転によって洗米する攪拌体17、洗米タンク3から洗米を排出投下する排米弁22、投下された米をバーナ7によって炊飯する炊飯装置5を接続し、これら各機器を入力信号応じて制御可能に制御部Cを構成する。
【0035】
洗米炊飯の制御処理は、図8のフローチャートに示すように、計量工程の第1のステップ(以下において、「S1」の如く略記する。)により貯米タンク2から設定量の米を洗米タンク3に供給し、これを受けた洗米タンク3において、洗米工程(S2)、ざる上げ浸漬工程(S3)、水切工程(S4)、水加減工程(S5)の各処理ステップによって炊飯準備した上で米水供給工程(S6)により炊飯装置5に投下し、次いで炊飯装置5においてバーナ7による炊飯工程(S7)を行う。
【0036】
洗米工程(S2)は、下部給水管27から洗浄水を供給しつつ、この洗浄水に送気管27aからエアを供給し、攪拌体17を常時回転する。
ざる上げ浸漬工程(S3)は、攪拌体17を停止して洗浄水を排水した上で、設定時間毎に散水する。
水切工程(S4)は、散水を排水した上で、攪拌体17を短時間回転する。
水加減工程(S5)は、攪拌体17を停止し、下部給水管27から水加減のための所要水量を供給する。
米水供給工程(S6)は、排米弁22を開き、攪拌体17を短時間回転しつつ、送気管27aからエアを短時間噴出する。
【0037】
(浸漬工程)
上記一連の工程において、浸漬散水は、水加減の精度を確保するために、流量センサ25により所定量(例えば160cc)の水を掛けるように制御することにより、所定時間の給水制御の場合より、散水量を安定化することができる。
【0038】
(水加減工程)
米は洗米時も吸水していて、図9の吸水経過特性図に示すように、特に吸水初期は吸水速度が速いため、洗米時間が大きく異なると、米の吸水量の違い(重量の違い)から、加える水の量が同じだと適正な水加減が確保できないので、標準と較べて洗米時間の短さに応じて水加減の水量を増やすようにして、洗米モード、急速洗米、無洗米の時の水加減量をそれぞれ調整する。
【0039】
このように、水加減水量について別途設定した洗米時間による補正水量に基づき、上記洗米処理における洗米時間により水量を補正して水加減処理をすることにより、洗米時間に対応する煩わしい調節操作を要することなく、適正な水加減によって炊飯品質を確保することができる。
【0040】
水加減工程の給水量については、別途設定した給水温度による補正水量に基づき、給水部に設けた水温センサTによって検出した給水温度により水量を補正して水加減処理をすることにより、給水温度の変動があっても、給水温度に伴う吸水量の変化による煩わしい調節操作を要することなく、適正な水加減によって炊飯品質を確保することができる。
【0041】
また、水加減水量について別途設定した年間における月別の補正水量に基づき、機体に備えた時計によって得られる年間における該当月により水量を補正して水加減処理をすることにより、季節の進行によって給水温度の変動があっても、給水温度に伴う吸水量の変化による煩わしい補正操作を要することなく、適正な水加減によって炊飯品質を確保することができる。
具体的には、米が吸水し難い外気温が低い日(時期)は水量を多めに補正し、米が給水し易い外気温が高い日(時期)は水量を少なめに補正する。
【0042】
流量センサ25による水加減の前の排水時間は、図10のタイミングチャートに示すように、上給水の停止から所定時間(例えば1分)以上の排水時間A、Bを設けることにより、直前の不十分な排水によって水加減が過大となる問題を回避することができる。
【0043】
(水切工程)
水切りにおいては、図11のタイミングチャートに示すように、所定時間(たとえば30秒間)Cについて撹拌羽根17を回して水を切り、その後に水加減の水を投入することにより、ざる上げ中の定期的な散水の影響を排除できるとともに、投入前の待機時間を短縮することができる。
【0044】
ざる上げ浸漬工程においては、供給元の水道圧や流量が少ない場合に、水の出る勢いが弱まるので、散水間隔と時間で補うことができるように、拡張モードメニューから図12の散水の有無選択画面(a)、時間設定画面(b)のスイッチ操作により散水間隔と散水時間を設定可能に構成する。
【0045】
すなわち、操作パネル11の液晶表示部72を拡張モードメニュー画面に切替えてメニュー番号により「浸漬中散水設定」を選択することにより、図12(a)の散水の有無選択画面の「散水あり」を「+」「―」スイッチにより選択し、図12(b)の時間設定画面の点滅中の散水間隔を「+」「―」スイッチで1分刻みに変更し、点滅項目を「送り」スイッチで散水時間に移動し、点滅中の散水時間を「+」「―」スイッチで1秒刻みで変更し、「セット」スイッチにより設定変更を完了する。
【0046】
浸漬散水対応の水加減は、洗米タンク3内での浸漬時に米の乾燥を防ぐために所定時間間隔で散水する浸漬散水の回数に応じて減らした給水量として流量センサ25により水加減を行うことにより、浸漬中の米に加えられた水が吸水されて米の重量が増えても適正な水加減を確保することができる。
【0047】
(投下工程)
米水供給工程では、水加減処理した米を洗米タンク3から炊飯装置5に投下する際に下部給水管27にエアを注入することにより、下部給水管27を通って洗米タンク3に移行するエアの流れによって下部給水管27内の残留水が洗米タンク3に送出されて所要水量の水加減の状態で炊飯工程に移行されることから、炊飯処理における所要の炊飯条件を実質的に確保することができる。
【符号の説明】
【0048】
3 洗米タンク
17 撹拌羽根(攪拌体)
25 流量センサ
26 配水管
27 下部給水管
27a 送気管
28 開閉弁
29 上部給水管
29a ノズル
31 ジャケット部
33 開閉弁
35 給水切替弁
C 制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、米の洗浄から水加減までを行って炊飯準備する炊飯用洗米機に関する。
【背景技術】
【0002】
所要量の米を洗米タンクに受けて給水攪拌する洗米処理と、この洗米処理した米に間欠散水するざるあげ浸漬処理と、このざるあげ浸漬処理した米に炊飯用加減水を供給する水加減処理とを一連の自動制御により炊飯準備する炊飯用洗米機が知られている。
【0003】
特許文献1に記載(図3)の洗米機は、洗米タンクの上部に配置した給水部から注水し、また、給水部に流量センサと給水電磁弁と介設し、流量センサに基づいて給水電磁弁を計量対応制御することにより水加減の水量を調節することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−244712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記洗米機の給水部は、給水電磁弁を閉止したときに散水口までの間に水が残留保持されることがあるので、この給水部の残留水の状況により水加減の給水量が影響を受けることから、流量センサに基づく計量制御によって水加減処理をしても給水量のバラツキを招くという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、高精度の水量管理が可能な水加減によって所要の炊飯条件を確保することができる炊飯用洗米機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、洗米タンク(3)と、洗米タンク(3)の上部高さ位置に配置した配水管(26)と、配水管(26)から下降して洗米タンク(3)にその下部から給水可能に連通する下部給水管(27)とからなる給水系を形成し、配水管(26)には、流量を計測する流量センサ(25)を設け、この流量センサ(25)の計測値に応じて動作する開閉弁(28)を下部給水管(27)に設けて構成される。
【0008】
上記炊飯用洗米機により、下部給水管(27)が洗米タンク(3)に下部から給水し、この時、下部給水管(27)の開閉弁(28)が流量センサ(25)によって計量対応制御されて所要水量が供給され、また、下部給水管(27)が洗米タンク(3)の上部高さ位置の配水管(26)から洗米タンク(3)下部まで下降連通することから、下部給水管(27)から残留なしに洗米タンク(3)に給水される。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の構成において、前記洗米タンク(3)には、その上部から給水する上部給水管(29)を前記配水管(26)から切替弁(35)により分岐し、かつ、前記流量センサ(25)の計測値に応じて動作する開閉弁(33)を上部給水管(29)に設け、洗米タンク(3)に受けた米を給水攪拌する洗米工程、この洗米処理した米に散水するざるあげ浸漬工程、該ざるあげ浸漬工程した米に炊飯用水を供給する水加減工程までの一連の処理を行う制御部(C)を設け、ざるあげ浸漬工程用の散水を上部給水管(29)から行い、洗米工程用の給水と水加減用工程用の水を下部給水管(27)から行うことを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2の構成において、前記洗米タンク(3)には、下部給水管(27)の近傍に送気管(27a)を設け、洗米工程時はエアを常時供給し、水加減工程を経て水と米を洗米タンク(3)から排出するときに、一時的にエアを供給することを特徴とする。
上記炊飯用洗米機は、水加減処理した米を洗米タンク(3)から炊飯装置(5)に投下する際に送気管(27a)からエアを注入することにより、洗米タンク(3)に移行するエアの流れによって下部給水管(27)内の残留水が洗米タンク(3)に送出される。
【0011】
請求項4の発明は、請求項2または請求項3の構成において、前記洗米タンク(3)には、回転動作する撹拌体(17)を設け、ざるあげ浸漬工程から水加減工程に入るときに撹拌体(17)を回転させることを特徴とする。
上記炊飯用洗米機は、ざるあげ浸漬工程において撹拌体(17)を回転動作させることにより、米が攪拌されて水切りが促進される。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明の炊飯用洗米機により、下部給水管(27)が洗米タンク(3)に下部から給水し、この時、下部給水管(27)の開閉弁(28)が流量センサ(25)によって計量対応制御されて所要水量が供給され、また、下部給水管(27)が洗米タンク(3)の上部高さ位置の配水管(26)から洗米タンク(3)下部まで下降連通することから、下部給水管(27)から残留なしに洗米タンク(3)に給水されるので、洗米処理した米に水加減の給水を行う際は、流量センサ(25)に基づいて開閉弁(28)により計量された水が下部給水管(27)を下降して洗米タンク(3)下部に供給される。したがって、高精度の水量管理が可能な水加減によって所要の炊飯条件を確保することができる。
【0013】
請求項2の発明の炊飯用洗米機により、請求項1の効果に加え、配水管(26)から切替弁(35)を介設して上部給水管(29)により洗米タンク(3)上部に分岐給水され、このとき、前記流量センサ(25)により開閉弁(33)が計量対応制御されることから、ざるあげ浸漬処理により洗米処理した米に間欠散水する際の水量管理が可能となり、この散水量を加減水量に反映した高精度の水加減が可能となる。
【0014】
請求項3の発明の炊飯用洗米機により、請求項2の効果に加え、水加減処理した米を洗米タンク(3)から炊飯装置(5)に投下する際にエアを注入することにより、洗米タンク(3)に移行するエアの流れによって下部給水管(27)内の残留水が洗米タンク(3)に送出されて所要水量の水加減の状態で炊飯工程に移行されることから、炊飯処理における所要の水加減条件を実質的に確保することができる。
【0015】
請求項4の発明の炊飯用洗米機により、請求項2または請求項3の効果に加え、ざるあげ浸漬工程において撹拌体(17)を回転動作させることにより、米が攪拌されて水切りが促進されるので、後続の水加減工程における水量調節によって高精度の水加減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態を示す洗米炊飯機の正面図
【図2】洗米炊飯機の側面図
【図3】洗米タンク部の縦断側面図
【図4】撹拌羽根の斜視図
【図5】給水部の平面図
【図6】洗米炊飯機の操作パネルの蓋を閉じた状態(a)と開いた状態(b)の見取図
【図7】制御システムのブロック図
【図8】洗米炊飯の制御フローチャート
【図9】吸水経過特性図
【図10】水加減の前の排水のタイミングチャート
【図11】水切時のタイミングチャート
【図12】散水の有無選択画面(a)および時間設定画面(b)
【図13】別構成例の内部構成を表す側面図(a)および平面図(b)
【発明を実施するための形態】
【0017】
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつつ説明する。
図1および図2は、それぞれ、実施例に示す洗米炊飯機の全体正面図、全体側面図である。
この洗米炊飯機は、貯米タンク2と洗米タンク3からなる洗米機を可動支持し、その下方に複数の炊飯装置5,5を配置して構成される。洗米機は、支持機枠1の上部に横移動可能に貯米タンク2が設けられ、この貯米タンク2の下部に給排水部を付帯した洗米タンク3を一体に接続して構成され、炊飯装置5は、洗米タンク3の下方に間隔をおいて複数配置され、炊飯釜6、釜加熱用バーナ7と引出式の架台10等から構成され、炊飯設定に従い、貯米タンク2による計量処理から、洗米タンク3による洗米、水加減、投下の各処理を経て、炊飯装置5による炊飯処理までを一連に行う。
【0018】
(貯米タンク)
洗米炊飯機の構成について詳細に説明すると、貯米タンク2は、その上面に米投入口18を開口し、この米投入口18を投入蓋19で開閉する。貯米タンク2の下半分はホッパ状に構成されていて、このホッパ下端部に計量器12(図3)が取り付けられている。計量器12はモータ12a駆動の定量繰出弁によって構成され、貯米タンク2から一定量ずつ流下した米が充填された計量器12を炊飯計画量に必要な回転数だけ回転させることで、炊飯計画量の米を貯米タンク2から洗米タンク3に供給する。
【0019】
(洗米タンク)
洗米タンク3は、図3の洗米タンク部の縦断側面図に示すように、天井部に前記計量器12から供給される米を受ける漏斗状の受け部13を備え、中間部に円筒状の胴部3bと、下部にホッパ状部3cを持つ構成である、洗米タンク3のホッパ状部3cの下方にジャケット部31を接続し、ホッパ状部3cとジャケット部31との境界部に米粒を漏下させない程度の開口を持つフィルタ15を設けている。
【0020】
洗米タンク3の中心部に鉛直方向の中空軸による回転軸16を設け、その中空部に排米軸16aを貫通配置する。回転軸16には攪拌体である複数の撹拌羽根17…を取り付け、回転軸16は支持機枠1に取り付けた洗米モータ20によりベベルギヤ21等の伝動系を介して正逆方向に回転速度を制御可能な回転される。
【0021】
撹拌羽根17は、図4の斜視図に示すように、左回り動作で洗米中の米を持ち上げるように屈曲して形成することにより、洗米時間の短縮と使用水量の削減を可能とし、また、水加減した米を投下するときに下に押さえるように右回り動作に制御することにより、洗米タンク3から残米なしに投下することができる。
【0022】
排米軸16aは、外側の回転軸16の内部に上下摺動自在に遊嵌されていて、軸の下端に着脱自在の排米弁22を設け、軸の上端を排米弁駆動用モータ23で駆動するカム24により上下動させて、排米弁22の開閉制御がなされる構成である。排米弁22が開くと、洗米タンク3内の米は下方の炊飯装置5の中に落下する。
【0023】
(給水部)
洗米タンク3には、下端のジャケット部31に下部給水管27と送気管27aとを近接して水と空気を供給し、また、下部給水管27は、図5の給水部の平面図に示すように、洗米タンク3の上部の高さ位置に配置した配水管26から下降して配置する一方、切替弁35によって分岐して複数のノズル29a,29aから上部給水する上部給水管29を設ける。配水管26には、流量を計測する流量センサ25を設け、この流量センサ25の計測値に応じて動作する開閉弁28を下部給水管27に、同様の開閉弁33を上部給水管29に設ける。
【0024】
上記構成の下部給水管27は、洗米時に洗米タンク3の下部のジャケット部31に給水し、また、洗米タンク3の上部高さ位置の配水管26から洗米タンク3下部まで下部給水管27が下降連通することから、下部給水管27内の全水量が残留なしに排水される。したがって、洗米処理した米に水加減の給水を行う際に、流量センサ25に基づいて計量対応制御される開閉弁28によって供給された水の全量が下部給水管27を下降して洗米タンク3下部に供給されるので、高精度の水量管理が可能な水加減によって所要の炊飯条件を確保することができる。
【0025】
上記構成の送気管27aは、そのエア注入口を下部のジャケット部31に設け、後述の洗米工程時は常時または間欠的にエアを供給し、後述の水加減工程後の水米供給工程時には一時的に短時間エアを供給することで、洗米タンク3内の米と水の排出を促進する。
なお、図13の送気管を下部給水管に差した例の内部構成を表す側面図(a)および平面図(b)に示すように、送気管27aのエア注入口を下部給水管27に設け、水加減処理した米を洗米タンク3から炊飯釜6に投下する際に下部給水管27にエアを注入することにより、下部給水管27を通って洗米タンク3に移行するエアの流れによって下部給水管27内の残留水が洗米タンク3に送出されるので、供給された全加減水を水加減処理された米と共に投下することができる。
【0026】
上記構成の上部給水管29は、洗米タンク3の上部高さ位置で配水管26から切替弁35により分岐し、かつ、流量センサ25の計測値に応じて動作する開閉弁33を備えることから、洗米タンク3上部に給水するときに、流量センサ25によって開閉弁33を計量対応制御することにより、洗米処理した米に間欠散水するざるあげ浸漬処理する際の間欠散水の水量管理が可能となる。
【0027】
(排水部)
洗米タンク3の下部側方には排水箱39が設けられ、排水口40を有した排水箱39は、上部が洗米タンク3の上部側面に開口するオーバーフロー管41と連結管36で接続され、内側部が前記ジャケット部31に連通するジャケット配水管42と接続されている。ジャケット配水管42からの排水は排水弁44(図3では便宜上、水位弁54と一体的に図示している。)の開閉で行われ、水位弁54で洗米タンク3内の水位を調整する。
【0028】
排水箱39は、排水弁44及び水位弁54で常時閉鎖されているが、洗米タンク3内の水を排水する場合には、ジャケット部31のフィルタ15から、ジャケット配水管42、排水弁44及び/または水位弁54、排水箱39及び排水口40を経て排水される。
【0029】
排水弁44及び水位弁54は洗米タンク3の天井部に固定して設けたそれぞれのソレノイド(不図示)と連結して設けたコントロールワイヤ45,55によって開閉する。また、洗米タンク3内上部には洗米タンク3内の水量を検出する電気接点付きフロートセンサ32を備えている。
【0030】
(操作パネル)
次に、操作表示部である操作パネル11は、図6の表示蓋75を閉じた状態(a)に示すように、上部には工程表示画面71と予約スイッチ78、スイッチ群79、スタートスイッチ80及びヘルプスイッチ81が配置され、下部には液晶表示画面72を備えている。工程表示画面71には米の計量、洗米及び浸しからなる予備工程と、釜の準備、浸し、点火、炊飯、むらし、炊き上りからなる炊飯工程をそれぞれ表示し、現在どの工程を実行中であるかを工程別に設けたLEDを点灯して識別できるようにし、正常な運転席状態では緑色、異常時に赤色の2色に発光するようにして、運転状態を容易に認識できるようにしている。
【0031】
表示蓋75を閉じた状態では、液晶表示画面72は通常運転表示画面Aを表示し、この実施例の形態では累積炊飯回数(以下累積釜数という)、連続して炊飯する回数(以下予定釜数という)、一回の炊飯で処理する容量、炊飯予備工程と炊飯工程における合計浸積時間、及び、蒸らし時間を表示している。
【0032】
また、図6(b)は表示蓋75を開いた状態を示し、表示蓋75を開くと、液晶表示画面72は通常運転表示画面Aから即座に炊飯条件を設定できる炊飯条件設定画面Bを表示する。炊飯条件設定画面Bは、炊飯量、水加減、洗い方、浸し時間、蒸らし時間、炊飯の仕方(モード)、点火方法の中のいずれかの炊飯条件が設定できる画面であり、炊飯条件設定画面Bの下方にあるメニュースイッチ74で炊飯条件の種類を選択し、選択した各炊飯条件に対応した位置にある設定スイッチ73で、その炊飯条件を決めることができるようになっている。
【0033】
さらに、水加減処理においては、所定の複数スイッチの同時押しにより、設定した水加減量と流量センサ25による計測量を液晶表示画面72にセンサパルスで対比表示するメンテナンスモードを設けることにより、流量センサ25の異常と水加減誤差の原因調査が可能となる。
【0034】
(制御システム)
上記構成の洗米炊飯機の制御システムは、図7のブロック図に示すように、操作パネル11の各種指示スイッチのほかに、流量センサ25、水温センサTの信号を制御部Cに入力し、出力側には、設定内容と運転状況を表示する操作パネル11の表示画面72、炊飯米量を計量する計量バルブ12、洗米タンク3に給水する給水ポンプ26aと給水切替弁35、回転によって洗米する攪拌体17、洗米タンク3から洗米を排出投下する排米弁22、投下された米をバーナ7によって炊飯する炊飯装置5を接続し、これら各機器を入力信号応じて制御可能に制御部Cを構成する。
【0035】
洗米炊飯の制御処理は、図8のフローチャートに示すように、計量工程の第1のステップ(以下において、「S1」の如く略記する。)により貯米タンク2から設定量の米を洗米タンク3に供給し、これを受けた洗米タンク3において、洗米工程(S2)、ざる上げ浸漬工程(S3)、水切工程(S4)、水加減工程(S5)の各処理ステップによって炊飯準備した上で米水供給工程(S6)により炊飯装置5に投下し、次いで炊飯装置5においてバーナ7による炊飯工程(S7)を行う。
【0036】
洗米工程(S2)は、下部給水管27から洗浄水を供給しつつ、この洗浄水に送気管27aからエアを供給し、攪拌体17を常時回転する。
ざる上げ浸漬工程(S3)は、攪拌体17を停止して洗浄水を排水した上で、設定時間毎に散水する。
水切工程(S4)は、散水を排水した上で、攪拌体17を短時間回転する。
水加減工程(S5)は、攪拌体17を停止し、下部給水管27から水加減のための所要水量を供給する。
米水供給工程(S6)は、排米弁22を開き、攪拌体17を短時間回転しつつ、送気管27aからエアを短時間噴出する。
【0037】
(浸漬工程)
上記一連の工程において、浸漬散水は、水加減の精度を確保するために、流量センサ25により所定量(例えば160cc)の水を掛けるように制御することにより、所定時間の給水制御の場合より、散水量を安定化することができる。
【0038】
(水加減工程)
米は洗米時も吸水していて、図9の吸水経過特性図に示すように、特に吸水初期は吸水速度が速いため、洗米時間が大きく異なると、米の吸水量の違い(重量の違い)から、加える水の量が同じだと適正な水加減が確保できないので、標準と較べて洗米時間の短さに応じて水加減の水量を増やすようにして、洗米モード、急速洗米、無洗米の時の水加減量をそれぞれ調整する。
【0039】
このように、水加減水量について別途設定した洗米時間による補正水量に基づき、上記洗米処理における洗米時間により水量を補正して水加減処理をすることにより、洗米時間に対応する煩わしい調節操作を要することなく、適正な水加減によって炊飯品質を確保することができる。
【0040】
水加減工程の給水量については、別途設定した給水温度による補正水量に基づき、給水部に設けた水温センサTによって検出した給水温度により水量を補正して水加減処理をすることにより、給水温度の変動があっても、給水温度に伴う吸水量の変化による煩わしい調節操作を要することなく、適正な水加減によって炊飯品質を確保することができる。
【0041】
また、水加減水量について別途設定した年間における月別の補正水量に基づき、機体に備えた時計によって得られる年間における該当月により水量を補正して水加減処理をすることにより、季節の進行によって給水温度の変動があっても、給水温度に伴う吸水量の変化による煩わしい補正操作を要することなく、適正な水加減によって炊飯品質を確保することができる。
具体的には、米が吸水し難い外気温が低い日(時期)は水量を多めに補正し、米が給水し易い外気温が高い日(時期)は水量を少なめに補正する。
【0042】
流量センサ25による水加減の前の排水時間は、図10のタイミングチャートに示すように、上給水の停止から所定時間(例えば1分)以上の排水時間A、Bを設けることにより、直前の不十分な排水によって水加減が過大となる問題を回避することができる。
【0043】
(水切工程)
水切りにおいては、図11のタイミングチャートに示すように、所定時間(たとえば30秒間)Cについて撹拌羽根17を回して水を切り、その後に水加減の水を投入することにより、ざる上げ中の定期的な散水の影響を排除できるとともに、投入前の待機時間を短縮することができる。
【0044】
ざる上げ浸漬工程においては、供給元の水道圧や流量が少ない場合に、水の出る勢いが弱まるので、散水間隔と時間で補うことができるように、拡張モードメニューから図12の散水の有無選択画面(a)、時間設定画面(b)のスイッチ操作により散水間隔と散水時間を設定可能に構成する。
【0045】
すなわち、操作パネル11の液晶表示部72を拡張モードメニュー画面に切替えてメニュー番号により「浸漬中散水設定」を選択することにより、図12(a)の散水の有無選択画面の「散水あり」を「+」「―」スイッチにより選択し、図12(b)の時間設定画面の点滅中の散水間隔を「+」「―」スイッチで1分刻みに変更し、点滅項目を「送り」スイッチで散水時間に移動し、点滅中の散水時間を「+」「―」スイッチで1秒刻みで変更し、「セット」スイッチにより設定変更を完了する。
【0046】
浸漬散水対応の水加減は、洗米タンク3内での浸漬時に米の乾燥を防ぐために所定時間間隔で散水する浸漬散水の回数に応じて減らした給水量として流量センサ25により水加減を行うことにより、浸漬中の米に加えられた水が吸水されて米の重量が増えても適正な水加減を確保することができる。
【0047】
(投下工程)
米水供給工程では、水加減処理した米を洗米タンク3から炊飯装置5に投下する際に下部給水管27にエアを注入することにより、下部給水管27を通って洗米タンク3に移行するエアの流れによって下部給水管27内の残留水が洗米タンク3に送出されて所要水量の水加減の状態で炊飯工程に移行されることから、炊飯処理における所要の炊飯条件を実質的に確保することができる。
【符号の説明】
【0048】
3 洗米タンク
17 撹拌羽根(攪拌体)
25 流量センサ
26 配水管
27 下部給水管
27a 送気管
28 開閉弁
29 上部給水管
29a ノズル
31 ジャケット部
33 開閉弁
35 給水切替弁
C 制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗米タンク(3)と、
洗米タンク(3)の上部高さ位置に配置した配水管(26)と、
配水管(26)から下降して洗米タンク(3)にその下部から給水可能に連通する下部給水管(27)とからなる給水系を形成し、
配水管(26)には、流量を計測する流量センサ(25)を設け、この流量センサ(25)の計測値に応じて動作する開閉弁(28)を下部給水管(27)に設けたことを特徴とする炊飯用洗米機。
【請求項2】
前記洗米タンク(3)には、その上部から給水する上部給水管(29)を前記配水管(26)から切替弁(35)により分岐し、かつ、前記流量センサ(25)の計測値に応じて動作する開閉弁(33)を上部給水管(29)に設け、
洗米タンク(3)に受けた米を給水攪拌する洗米工程、この洗米処理した米に散水するざるあげ浸漬工程、該ざるあげ浸漬工程した米に炊飯用水を供給する水加減工程までの一連の処理を行う制御部(C)を設け、
ざるあげ浸漬工程用の散水を上部給水管(29)から行い、洗米工程用の給水と水加減用工程用の水を下部給水管(27)から行うことを特徴とする請求項1記載の炊飯用洗米機。
【請求項3】
前記洗米タンク(3)には、下部給水管(27)の近傍に送気管(27a)を設け、洗米工程時はエアを常時供給し、水加減工程を経て水と米を洗米タンク(3)から排出するときに、一時的にエアを供給することを特徴とする請求項2に記載の炊飯用洗米機。
【請求項4】
前記洗米タンク(3)には、回転動作する撹拌体(17)を設け、ざるあげ浸漬工程から水加減工程に入るときに撹拌体(17)を回転させることを特徴とする請求項2または請求項3の炊飯用洗米機。
【請求項1】
洗米タンク(3)と、
洗米タンク(3)の上部高さ位置に配置した配水管(26)と、
配水管(26)から下降して洗米タンク(3)にその下部から給水可能に連通する下部給水管(27)とからなる給水系を形成し、
配水管(26)には、流量を計測する流量センサ(25)を設け、この流量センサ(25)の計測値に応じて動作する開閉弁(28)を下部給水管(27)に設けたことを特徴とする炊飯用洗米機。
【請求項2】
前記洗米タンク(3)には、その上部から給水する上部給水管(29)を前記配水管(26)から切替弁(35)により分岐し、かつ、前記流量センサ(25)の計測値に応じて動作する開閉弁(33)を上部給水管(29)に設け、
洗米タンク(3)に受けた米を給水攪拌する洗米工程、この洗米処理した米に散水するざるあげ浸漬工程、該ざるあげ浸漬工程した米に炊飯用水を供給する水加減工程までの一連の処理を行う制御部(C)を設け、
ざるあげ浸漬工程用の散水を上部給水管(29)から行い、洗米工程用の給水と水加減用工程用の水を下部給水管(27)から行うことを特徴とする請求項1記載の炊飯用洗米機。
【請求項3】
前記洗米タンク(3)には、下部給水管(27)の近傍に送気管(27a)を設け、洗米工程時はエアを常時供給し、水加減工程を経て水と米を洗米タンク(3)から排出するときに、一時的にエアを供給することを特徴とする請求項2に記載の炊飯用洗米機。
【請求項4】
前記洗米タンク(3)には、回転動作する撹拌体(17)を設け、ざるあげ浸漬工程から水加減工程に入るときに撹拌体(17)を回転させることを特徴とする請求項2または請求項3の炊飯用洗米機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−240016(P2012−240016A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114764(P2011−114764)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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