説明

炎症性腸疾患(IBD)及び過敏性腸症候群(IBS)の予防及び治療のための組換体プロバイオティック細菌

本発明は、炎症性腸疾患(IBD)及び/又は過敏性腸症候群(IBS)の治療の全般的分野に関する。すなわち、本発明は、過敏性腸症候群(IBS)の治療のための、トラッピン−2蛋白質又はトラッピン−2蛋白質の活性フラクション、WAP族蛋白質の構成員又はWAP族蛋白質の構成員の活性フラクション、若しくはセルピン族蛋白質の構成員又はセルピン族蛋白質の構成員の活性フラクションから選択される分子に関する。本発明はまた、トラッピン−2蛋白質又はトラッピン−2蛋白質の活性フラクションをコード化する遺伝子、WAP族蛋白質の構成員又はWAP族蛋白質の構成員の活性フラクションをコード化する遺伝子、若しくはセルピン族蛋白質の構成員又はセルピン族蛋白質の構成員の活性フラクションをコード化する遺伝子から選択される遺伝子を含む、組換体食品グレード細菌に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炎症性腸疾患(IBD)のような腸管炎症性疾患、嚢胞性線維症及び気管支肺慢性閉鎖性疾患(BPCO)などのような肺疾患、炎症性関節疾患(骨関節炎など)、炎症性泌尿生殖器疾患、及び過敏性腸症候群(IBS)などのような慢性内臓痛症状に関連する疾患の治療の全般的分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、IBDなどのような慢性炎症性疾患の治療は、それら疾患が数百万人の人々を冒すために、重要な医学的課題である。その高発生率が先進国で見られ、過去30年間にわたり着実に増加した。IBDに関する最近の治療は、治療のいずれの型に対しても耐性がある患者の高いパーセンテージ(20〜40%)、重篤な副作用及び現在利用可能な医薬品(グルココルチコイド及びモノクローナル抗体療法)にも関連する高コストなどのために、大きく改善される必要がある。更に、IBDの病因に関係するメカニズムも未だ完全には理解されておらず、IBDのためのより有効な治療法又は治癒の開発もまた、炎症性反応の調節のより良い理解に依存する。いくつかの研究が、胃腸管(GIT)の慢性炎症性反応の管理におけるプロテアーゼの重大な役割を立証した(Vergnolle,N.著、2005年;Cenac,N.ら著、2007年;Hyun,E.ら著、2008年;Vergnolle,Nら著、2004年)。したがって、内因性プロテアーゼ阻害剤が、腸管炎症性反応の制御に重要であると思われる。
【0003】
この知識に基づいて、発明者達は、これらプロテアーゼ阻害剤のGITへの送達が、IBD及び/又は過敏性腸症候群(IBS)の治療のために使用され得ることを提案する。
【0004】
IBDの治療のためのプロバイオティクスの使用は、ここ数年間提案されており、異なる研究で、単独又は併用して試験された、これらプロビオティック細菌のいくつかの有益な効果が報告されている(Hedin,Cら著、2007年;Sartor,R.B.著、2004年)。組換体非病原性食品グレードの細菌を、粘膜レベルにて抗炎症分子の送達用ベヒクルとして使用する戦略は、既に抗炎症性サイトカインIL−10を送達させるために使用されている(Steidler,L.ら著、2000年)。第1相臨床試験において、経口的に投与された、IL−10を発現するLactococcus Lactis(乳酸連鎖球菌)菌株が、これら患者において重篤な副作用を発症しないものとして安全であることを立証した(Braat,H.ら著、2006年)。しかしながら、IL−10組換体L.lactisで処置されたクローン病患者では、疾患活性の低減はなぜか制限された。この制限された効果は、IL−10送達が、結腸炎の進行に対して別個の有益な効果のみを有することが既に報告されている事実によって説明され得る(Braat,H.ら著、2003年)。したがって、L.lactisによって送達される抗炎症分子の性質におけるより良い選択は、治療の効果を著しく改善し得る。本明細書では、発明者達は、抗プロテアーゼトラッピン−2を発現しかつ腸管送達させるために、食品グレードの細菌を使用することを提案する。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、トラッピン−2などの抗炎症分子を送達するための食品グレードの細菌の使用が、既存の治療法に比べて安全性とより良好な効果をもたらすことの発見に基づいている。すなわち、本発明は、過敏性腸症候群(IBS)の治療のための、トラッピン−2蛋白質又はトラッピン−2蛋白質の活性フラクション、WAP族蛋白質の構成員又はWAP族蛋白質の構成員の活性フラクション、若しくはセルピン族蛋白質の構成員又はセルピン族蛋白質の構成員の活性フラクションから選択される分子に関する。
【0006】
本発明の他の目的は、トラッピン−2蛋白質又はトラッピン−2蛋白質の活性フラクションをコード化する遺伝子、WAP族蛋白質の構成員又はWAP族蛋白質の構成員の活性フラクションをコード化する遺伝子、若しくはセルピン族蛋白質の構成員又はセルピン族蛋白質の構成員の活性フラクションをコード化する遺伝子から選択される遺伝子を含む組換体食品グレード細菌に関する。
【0007】
本発明の別の態様は、上記で定義されたような組換体食品グレード細菌を含む治療用組成物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
用語の意味
本明細書で使用するとき、WAP族の用語「トラッピン−2」(エラフィン、エラスターゼ特異的阻害剤(ESI)又は皮膚抗−ロイコプロテアーゼに関するSKALPとしても知られる)とは、呼吸器官中で分泌される、HNE(ヒト好中球エラスターゼ)及びプロテイナーゼ3の低分子量(9.9kDa)の阻害剤を指す(Sallenaveら著、1991年及び1993年)。(A1−Pi;アルファ1−抗トリプシン)及びSLPI(分泌型白血球ペプチダーゼ阻害剤)と共に、トラッピン−2は、肺における「抗エラスターゼシールド」の不可欠な部分を含む。ヒトトラッピン−2遺伝子に関する代表的配列は、データベースGenbankに受託番号S58717で寄託されている。
【0009】
本明細書で使用するとき、「乳清酸性蛋白質」に関する用語「WAP族」とは、トラッピン−2、及びps20を含有する蛋白質の族を指す。
【0010】
本明細書で使用するとき、SERine rotease INhibitorsに関する「Serpin族」とは、アミノ酸配列及び阻害のメカニズムでは同様であるが、蛋白質分解酵素に向けられるそれらの特異性で異なるセリンプロテイナーゼ阻害剤の族を指す。この族としては、アルファ1−抗トリプシン(A1−Pi)、アンジオテンシノーゲン、オブアルブミン、抗プラスミン、アルファ1−抗キモトリプシン、チロキシン結合蛋白質、補体1不活性化因子、抗トロンビンIII、ヘパリンコファクターII、プラスミノーゲン不活性化因子、遺伝子Y蛋白質、胎盤プラスミノーゲン活性化阻害因子、及び大麦Z蛋白質などが挙げられる。この族は、分泌性白血球プロテイナーゼ阻害剤(SLPI)を含まない(Thierry Moreauら著、2008年)。セルピン族のいくつかの構成員は、セリンエンドペプチダーゼの阻害剤よりはむしろ基質であり得、いくつかのセルピンは、それらの機能が未だ知られていない植物中で発生する。
【0011】
本明細書で使用するとき、「アルファ1−抗トリプシン蛋白質」とは、糖蛋白質を指す。アルファ1−抗トリプシンは、それが広範囲のプロテアーゼを阻害するセリンプロテアーゼ阻害剤(セルピン)であるために、アルファ−1プロテイナーゼ阻害剤(A1PI)とも呼ばれる。それは炎症性細胞の酵素、特にエラスターゼから組織を保護する。ヒトアルファ1−抗トリプシン遺伝子に関する代表的配列は、受託番号NC008290でデータベースGenbankに寄託されている。
【0012】
本明細書で使用するとき、用語「の活性フラクション」とは、完全な蛋白質の活性を備えた蛋白質のフラクションを指す。例えば、トラッピン−2蛋白質の活性フラクションとは、HNEを阻害する能力を保持している蛋白質のフラクションを指し、或いはセルピン族蛋白質の活性フラクションとは、阻害の能力を保持している蛋白質のフラクションを指す。
【0013】
本明細書で使用するとき、用語「食品グレード細菌」とは、発酵食品中で広く使用され、並びに米国およびヨーロッパ共同体でそれぞれGRAS(食品医薬品局合格証)及びQPS(安全性推定規格)ステータスによって認められた完全な安全性プロファイルを有する細菌を指す。このような細菌は、良好な健康及び安寧な状態又は疾病予防を維持することを主張する機能性食品又は食品添加剤中で安全であり得る。
【0014】
本明細書で使用するとき、用語「プロバイオティック菌」とは、適切な量で生きた状態で摂取された細菌が、人の健康に有益化効果を及ぼし得る細菌を指す。これらは、その健康促進効果のために食品添加剤として現在広く使用されている。プロビオティック細菌の多くが乳酸細菌(LAB)であり、その中で、ラクトバチルス属とビフィドバクテリウム属の菌株が最も広範囲に使用されているプロバイオティック細菌である。
【0015】
本明細書で使用するとき、用語「thyA遺伝子」とは、チミジン一リン酸(dTMP)を産生する酵素であり、DNA合成及び修復で使用されるチミジン三リン酸に順次リン酸化される、チミジル酸シンターゼをコード化する遺伝子を指す。
【0016】
本明細書で使用するとき、用語「過敏性腸症候群(IBS)」とは、胃腸管の不快感をもたらす種々の病理学的症状に関する用語である。これは、慢性的腹痛、不快感、膨満感、及び器質的原因がない場合の排便習慣の変動などによって特性化される機能的腸疾患である。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「炎症性腸疾患(IBD)」とは、結腸及び小腸の炎症性疾患の一群である。IBDの主要な型は、クローン病、潰瘍性結腸炎及び回腸嚢炎である。
蛋白質及びその使用法
【0018】
本発明の第一の目的は、過敏性腸症候群(IBS)の治療のための、トラッピン−2蛋白質又はトラッピン−2蛋白質の活性フラクション、WAP族蛋白質の構成員又はWAP族蛋白質の構成員の活性フラクション、若しくはセルピン族蛋白質の構成員又はセルピン族蛋白質の構成員の活性フラクションから選択される分子に関する。
【0019】
好適な実施形態において、セルピン族の構成員は、アルファ1−抗トリプシン蛋白質である。
【0020】
好適な実施形態において、前述の蛋白質のフラクションは、前述の蛋白質全体にわたる75%以上の同一性、より好ましくは80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、97%以上、99%以上の同一性を含む。
【0021】
典型的には、前述の蛋白質又はその蛋白質のフラクションは、抗炎症剤と併用されて使用され得る。
【0022】
本発明の蛋白質又はその蛋白質のフラクションは、限定するものではないが、任意の化学的、生物学的、遺伝学的又は酵素的技術などを単独又は組み合わせた、当該技術分野でそれ自体既知の任意の技術によって生成され得る。
【0023】
所望の配列のアミノ酸配列を知ることによって、当業者は、蛋白質の生成のための標準的技術によって、前述の蛋白質又は蛋白質のフラクションの関係個所を容易に生成できるであろう。例えば、周知の固相法を用いて、好ましくは市販の蛋白質合成装置(例えば、Applied Biosystems,Foster City,Californiaによって製造された装置)を用いて、並びに製造者の使用説明書に従って、それら蛋白質は合成され得る。
【0024】
あるいは、本発明の蛋白質又はその蛋白質のフラクションは、当該技術分野で現在周知のような組換体DNA技術によって合成され得る。例えば、所望のポリペプチドをコード化するDNA配列の発現ベクターへの組み込み及びそのようなベクターの所望の蛋白質又は蛋白質のフラクションを発現すると予想される適切な真核又は原核宿主中への導入後に、これら断片はDNA発現生成物として取得され得、これら断片はその後周知の技術を使用され得る。
【0025】
本発明の蛋白質又はその蛋白質のフラクションは、(例えば精製された)形又はベクターに封入されて、例えば膜又は脂質ベヒクル(例えばリポソーム)として使用され得る。
食品グレード細菌
【0026】
本発明の他の目的は、トラッピン−2蛋白質又はトラッピン−2蛋白質の活性フラクションをコード化する遺伝子、WAP族蛋白質の構成員又はWAP族蛋白質の構成員の活性フラクションをコード化する遺伝子、若しくはセルピン族蛋白質の構成員又はセルピン族蛋白質の構成員の活性フラクションをコード化する遺伝子から選択される遺伝子を含む組換体食品グレード細菌に関する。
【0027】
好適な実施形態において、本発明による食品グレード細菌は、プロバイオティック細菌である。
【0028】
好適な実施形態において、本発明によるプロバイオティック細菌は、欠損独立栄養遺伝子を含み、これによって、前述の細菌の生存は、特異的化合物の存在に厳密に依存する。
【0029】
別の好適な実施形態において、本発明による独立栄養遺伝子は、チミジル酸シンターゼをコード化するthyA遺伝子である。
【0030】
別の好適な実施形態では、本発明による独立栄養遺伝子は、アラニンラセマーゼ(alr)遺伝子(Bronら著、2002年)である。
【0031】
本発明によるプロビオティック細菌のthyA遺伝子の不活性化は、胃腸管(GIT)では不在であるチミジンに対してプロビオティック細菌を独立栄養性にさせる。この組換体thyA変異体は、関心のあるその蛋白質を送達可能であるが、生存することは不可能であり、したがって、その播腫を制限すること並びに組換体細菌に関して要求された生物学的封じ込めを付与することで、GIT中で存続するであろう。同様な結果が、alr遺伝子によって得られる。
【0032】
別の好適な実施形態では、選択された遺伝子が、thyA遺伝子中に挿入される。
【0033】
好ましくは、組換体遺伝子は、このようにして遺伝子破壊によって不活性化されるthyA遺伝子座へと向かう染色体中に位置している。本明細書で使用するとき、用語「遺伝子破壊」とは、DNA断片の挿入による破壊、遺伝子又はその一部分の欠失による破壊、並びに別のDNA断片による遺伝子又はその一部分の置き換えを指し、この破壊は、組換体DNA技術によって誘導され、自発的突然変異によるものではない。好ましくは、破壊は、別の機能的遺伝子による、遺伝子、又はその一部分の置き換えである。好ましくは、欠損組換体thyA遺伝子は、非復帰突然変異体遺伝子である。
【0034】
本明細書で使用するとき、用語「非復帰突然変異体」とは、復帰突然変異頻度が10−8より低い、好ましくは復帰突然変異頻度が10−10より低いことを指し、更に好ましくは、復帰突然変異頻度が10−12より低い、更により好ましくは、復帰突然変異頻度が10−14より低い、最も好ましくは復帰突然変異頻度が、当該技術分野の当業者に既知である慣用的方法を使用して検出することができないことを指す。
【0035】
好適な実施形態において、本発明による遺伝子は、アルファ1−抗トリプシン蛋白質、又は抗プラスミン、アルファ1−抗キモトリプシンなどのようなセルピン族の別の構成員をコード化する。
【0036】
好適な実施形態では、本発明による食品グレード細菌株は、L.lactis(乳酸連鎖球菌)株又はLactobacillus casei(ラクトバチルス・カゼイ)菌株又はL.lactis htrA菌株(Poquetら著、2000年)又はBifidobacterium longum(ビフィドバクテリウム・ロンガム)菌株のLactobacillus plantarum(ラクトバチルス・プランタルム)菌株である。
【0037】
好適な実施形態において、本発明による食品グレード細菌株は、Lactobacillus casei菌株である。
【0038】
最も好適な実施形態では、本発明による遺伝子は、トラッピン−2に関してコード化する。
【0039】
実際に、発明者達は、トラッピン−2が腸上皮細胞中での顕著な発現を伴って、ヒト結腸粘膜中で自然に発現されること(Mottaら著)、並びにIBDの患者が、健康な被験者と比較して組織内でのトラッピン−2のダウンレギュレーションを示すこと(Mottaら著)を証明した。
【0040】
更には、発明者達は、トラッピン−2の過剰発現が結腸炎の進行に対して保護的であること(構成的発現及び一過性発現で)を立証した。更に、結腸炎のモデルにおけるトラッピン−2の過剰発現が、結腸炎に関連するエラスターゼとトリプシン様活性の増加を完全に阻害することが可能であることを、結腸炎の異なるモデルにおいて立証した。
【0041】
最終的に、マウスにおけるトラッピン−2過剰発現もまた、炎症誘発性サイトカイン及びキモカイン(IL−6、Il−17A、TNF−アルファ、インターフェロン−ガンマ、MCP−1及びKC)の結腸炎に誘発された増加を著しく阻害することも可能である。
【0042】
これら結果の全ては、トラッピン−2及びIBDを治療するために同様な特質を有するWAP又はセルピン族からの他のプロテアーゼの送達を支持している。以下の結果で示されたように、食品グレード細菌は、このタイプのプロテアーゼを腸管に送達させるために、最も安全かつ有効な手段である。
【0043】
別の好適な実施形態において、本発明による遺伝子は、アルファ1−抗トリプシン蛋白質をコード化する。
【0044】
実際に、アルファ1−抗トリプシン蛋白質は、IBD(結腸炎のような)に関連するトリプシン様活性を阻害し、これによって、トラッピン−2と同様な効果を有する。
【0045】
別の好適な実施形態では、本発明による食品グレード細菌株は、トラッピン−2に関してコード化する遺伝子を含むLactobacillus casei菌種である。
【0046】
別の好適な実施形態において、本発明による食品グレード細菌株は、thyA遺伝子中に挿入されたトラッピン−2に関してコード化する遺伝子を含むLactobacillus casei菌種である。
【0047】
別の実施形態において、本発明による食品グレード細菌は、腸炎症性疾患の治療のために有用である。
【0048】
別の好適な実施形態では、本発明による食品グレード細菌は、IBD及び/又はIBSの治療のために有用である。
【0049】
炎症性疾患は、IBD、IBS、炎症性肺疾患、炎症性関節疾患又は炎症性泌尿生殖器疾患から選択され得る。
組成物
【0050】
本発明の別の目的は、本発明による食品グレード細菌を含む治療用組成物に関する。
【0051】
好適な実施形態では、本発明による治療用組成物は、被験者に粘膜投与するよう意図されている。
【0052】
別の好ましい投与形態においては、本発明による治療用組成物は、被験者に経口投与するよう意図されている。例えば、組成物は懸濁液、錠剤、ピル、カプセル、顆粒又は粉剤の剤形であり得る。
【0053】
液体治療用組成物においては、本発明による食品グレード細菌は、懸濁液中に遊離し、かつ固定化されない状態で存在する。懸濁液は、特に細胞内の浸透圧が細胞溶解に至らしめることがないように、プロバイオティック細菌のための生理学的条件を確保する組成を有する。
【0054】
固体治療用組成物においては、本発明による食品グレード細菌は、遊離した、好ましくは凍結乾燥剤形、又は固定化剤形で存在し得る。例えば、本発明による食品グレード細菌は、細胞への保護を提供するゲルマトリックス中に封入され得る。
【0055】
経口投与されるよう意図され並びに本発明による食品グレード細菌を固定化又は非固定化剤形で含有している固体治療用組成物は、胃液に対して抵抗性を示すコーティングが施されていることが好ましい。これによって、治療用組成物中に封じ込められた食品グレード細菌は、妨害されることなくかつ損傷されることなく胃を通過することができて、食品グレード細菌の放出が、上部腸領域で初めて起こる。
【0056】
本発明の別の態様では、治療用組成物の複数の投与が、患者の状態、IBD又はIBSが治癒されている状態、IBD又はIBSの進行が停止している状態、及び/又はIBD又はIBSの症状が軽減され得る状態に従うように、治療用組成物は、本発明による蛋白質を形成可能である食品グレード細菌の十分なコロニー形成単位(CFU)を含有する。本発明によると、特に治療用組成物は、本発明による食品グレード細菌の1×10〜1×1011、好ましくは1×1010CFUを含有するよう供給される。
【0057】
本発明の他の好適な実施形態において、治療用組成物は直腸内投与される。直腸投与は、座薬、浣腸又はフォームの形で行われる。直腸内投与は、下部腸部分、例えば結腸を冒す慢性炎症性腸疾患のために特に好適である。鼻腔内投与はまた、嚢胞性繊維症及びBPCOなどの慢性肺疾患の治療のために適切である。
【0058】
別の態様では、本発明は、本発明による食品グレード細菌を含む食品組成物に関する。
【0059】
好ましい実施形態では、本発明による食品組成物は、被験者に経口投与するよう意図されている。例えば、組成物は懸濁液、錠剤、ピル、カプセル、顆粒、粉末又はヨーグルトの形であり得る。
【0060】
好ましい実施形態では、食品組成物は、本発明による食品グレード細菌の1×10〜1×1011、好ましくは1×10〜1×1010CFUを含有してよい。
【0061】
好適な実施形態において、食品組成物は、1010細菌の毎日投与量にて、患者に投与され得る。
【0062】
本発明は、以下の図及び実施例によって更に例示的に説明されるであろう。しかしながら、これら実施例及び図は、本発明の範囲を制限するものとして決して解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1A】本発明の、飲用ボトル中の水又は水+DSS(3%)を飲み、並びに野生型L.lactis、若しくはエラフィン又はIL−10を発現する組換体L.lactis菌株によって7日間、毎日経口処置を受けたマウスからの結腸組織重量差(A)、肉眼的スコア(B)、壁厚さ(C)、及びミエロパーオキシダーゼ(MPO)活性(D)を示す図である。DSSを与えられたPBS処置マウスと比較された有意差は、p<0.05については*で、p<0.01については**で、及びp<0.005については***で注記された。野生型L.lactis処置マウスと比較された有意差は、p<0.05についてはΨで、p<0.01についてはΨΨで、及びp<0.005についてはΨΨΨで注記された。PBS+DSS処置群とPBS−水処置群との間の有意差は、p<0.05については#で、p<0.01については##で、及びp<0.005については###で注記された。IL−10組換体L.lactis処置群と比較された有意差は、p<0.05についてはωで、p<0.01についてはωωで、及びp<0.005についてはωωωで注記された。
【図1B】本発明の、飲用ボトル中の水又は水+DSS(3%)を飲み、並びに野生型L.lactis、若しくはエラフィン又はIL−10を発現する組換体L.lactis菌株によって7日間、毎日経口処置を受けたマウスからの結腸組織重量差(A)、肉眼的スコア(B)、壁厚さ(C)、及びミエロパーオキシダーゼ(MPO)活性(D)を示す図である。DSSを与えられたPBS処置マウスと比較された有意差は、p<0.05については*で、p<0.01については**で、及びp<0.005については***で注記された。野生型L.lactis処置マウスと比較された有意差は、p<0.05についてはΨで、p<0.01についてはΨΨで、及びp<0.005についてはΨΨΨで注記された。PBS+DSS処置群とPBS−水処置群との間の有意差は、p<0.05については#で、p<0.01については##で、及びp<0.005については###で注記された。IL−10組換体L.lactis処置群と比較された有意差は、p<0.05についてはωで、p<0.01についてはωωで、及びp<0.005についてはωωωで注記された。
【図1C】本発明の、飲用ボトル中の水又は水+DSS(3%)を飲み、並びに野生型L.lactis、若しくはエラフィン又はIL−10を発現する組換体L.lactis菌株によって7日間、毎日経口処置を受けたマウスからの結腸組織重量差(A)、肉眼的スコア(B)、壁厚さ(C)、及びミエロパーオキシダーゼ(MPO)活性(D)を示す図である。DSSを与えられたPBS処置マウスと比較された有意差は、p<0.05については*で、p<0.01については**で、及びp<0.005については***で注記された。野生型L.lactis処置マウスと比較された有意差は、p<0.05についてはΨで、p<0.01についてはΨΨで、及びp<0.005についてはΨΨΨで注記された。PBS+DSS処置群とPBS−水処置群との間の有意差は、p<0.05については#で、p<0.01については##で、及びp<0.005については###で注記された。IL−10組換体L.lactis処置群と比較された有意差は、p<0.05についてはωで、p<0.01についてはωωで、及びp<0.005についてはωωωで注記された。
【図1D】本発明の、飲用ボトル中の水又は水+DSS(3%)を飲み、並びに野生型L.lactis、若しくはエラフィン又はIL−10を発現する組換体L.lactis菌株によって7日間、毎日経口処置を受けたマウスからの結腸組織重量差(A)、肉眼的スコア(B)、壁厚さ(C)、及びミエロパーオキシダーゼ(MPO)活性(D)を示す図である。DSSを与えられたPBS処置マウスと比較された有意差は、p<0.05については*で、p<0.01については**で、及びp<0.005については***で注記された。野生型L.lactis処置マウスと比較された有意差は、p<0.05についてはΨで、p<0.01についてはΨΨで、及びp<0.005についてはΨΨΨで注記された。PBS+DSS処置群とPBS−水処置群との間の有意差は、p<0.05については#で、p<0.01については##で、及びp<0.005については###で注記された。IL−10組換体L.lactis処置群と比較された有意差は、p<0.05についてはωで、p<0.01についてはωωで、及びp<0.005についてはωωωで注記された。
【図2A】本発明の、飲用ボトル中の水又は水+DSS(3%)を飲み、並びに野生型L.lactis、又はエラフィン又はIL−10を発現する組換体L.lactis菌株によって7日間経口処置を受けたマウスの結腸管腔内の洗浄液におけるトリプシン様活性(A)及びエラスターゼ活性(B)を示す図である。εは検出不能なレベルであることを意味している。DSSを与えられたPBS処置マウスと比較された有意差は、p<0.05については*で、p<0.01については**で注記された。野生型L.lactis処置マウスと比較された有意差は、p<0.05についてΨで注記された。PBS+DSS処置群とPBS−水処置群との間の有意差は、p<0.05については#で、p<0.01については##で、及びp<0.005については###で注記された。
【図2B】本発明の、飲用ボトル中の水又は水+DSS(3%)を飲み、並びに野生型L.lactis、又はエラフィン又はIL−10を発現する組換体L.lactis菌株によって7日間経口処置を受けたマウスの結腸管腔内の洗浄液におけるトリプシン様活性(A)及びエラスターゼ活性(B)を示す図である。εは検出不能なレベルであることを意味している。DSSを与えられたPBS処置マウスと比較された有意差は、p<0.05については*で、p<0.01については**で注記された。野生型L.lactis処置マウスと比較された有意差は、p<0.05についてΨで注記された。PBS+DSS処置群とPBS−水処置群との間の有意差は、p<0.05については#で、p<0.01については##で、及びp<0.005については###で注記された。
【図3A】本発明の、飲用ボトル中の水又は水+DSS(3%)を飲み、並びに野生型Lb.casei、又はエラフィンを発現する組換体Lb.casei菌株によって7日間、毎日経口処置を受けたマウスからの結腸組織における肉眼的スコア(A)、壁厚さ(B)、及びミエロパーオキシダーゼ(MPO)活性(C)を示す図である。DSSを与えられたPBS処置マウスと比較された有意差は、p<0.05については*で、p<0.01については**で、及びp<0.005については***で注記された。野生型Lb.casei処置マウスと比較された有意差は、p<0.05についてはΨで、p<0.01についてはΨΨで、及びp<0.005についてはΨΨΨで注記された。
【図3B】本発明の、飲用ボトル中の水又は水+DSS(3%)を飲み、並びに野生型Lb.casei、又はエラフィンを発現する組換体Lb.casei菌株によって7日間、毎日経口処置を受けたマウスからの結腸組織における肉眼的スコア(A)、壁厚さ(B)、及びミエロパーオキシダーゼ(MPO)活性(C)を示す図である。DSSを与えられたPBS処置マウスと比較された有意差は、p<0.05については*で、p<0.01については**で、及びp<0.005については***で注記された。野生型Lb.casei処置マウスと比較された有意差は、p<0.05についてはΨで、p<0.01についてはΨΨで、及びp<0.005についてはΨΨΨで注記された。
【図3C】本発明の、飲用ボトル中の水又は水+DSS(3%)を飲み、並びに野生型Lb.casei、又はエラフィンを発現する組換体Lb.casei菌株によって7日間、毎日経口処置を受けたマウスからの結腸組織における肉眼的スコア(A)、壁厚さ(B)、及びミエロパーオキシダーゼ(MPO)活性(C)を示す図である。DSSを与えられたPBS処置マウスと比較された有意差は、p<0.05については*で、p<0.01については**で、及びp<0.005については***で注記された。野生型Lb.casei処置マウスと比較された有意差は、p<0.05についてはΨで、p<0.01についてはΨΨで、及びp<0.005についてはΨΨΨで注記された。
【図4A】本発明の、飲用ボトル中の水又は水+DSS(3%)を飲み、並びに野生型Lb.casei、又はエラフィンを発現する組換体Lb.casei菌株によって7日間、毎日経口処置を受けたマウスからの結腸管腔内の洗浄液におけるトリプシン様活性(A)及びエラスターゼ活性(B)を示す図である。DSSを与えられたPBS処置マウスと比較された有意差は、p<0.05について*で、並びに野生型Lb.casei処置マウスと比較された有意差は、p<0.05についてはΨで、p<0.01についてはΨΨで注記された。
【図4B】本発明の、飲用ボトル中の水又は水+DSS(3%)を飲み、並びに野生型Lb.casei、又はエラフィンを発現する組換体Lb.casei菌株によって7日間、毎日経口処置を受けたマウスからの結腸管腔内の洗浄液におけるトリプシン様活性(A)及びエラスターゼ活性(B)を示す図である。DSSを与えられたPBS処置マウスと比較された有意差は、p<0.05について*で、並びに野生型Lb.casei処置マウスと比較された有意差は、p<0.05についてはΨで、p<0.01についてはΨΨで注記された。
【図5A】本発明の、飲用ボトル中の水又は水+DSS(3%)を飲み、並びに野生型Lb.casei、又はエラフィンを発現する組換体Lb.casei菌株によって7日間、毎日経口処置を受けたマウスからの結腸組織において検出されたRANTES(A)、TNFアルファ(B)、IL−6(C)、MCP−1(D)、KC(E)、INFガンマ(F)及びIL−17(G)の蛋白質濃度を示す図である。εは検出不能なレベルであることを意味している。DSSを与えられたPBS処置マウスと比較された有意差は、p<0.05については*で、p<0.01については**で、及びp<0.005については***で注記された。Ψは、野生型Lb.caseiで処置されたマウスと比較したp<0.05についての有意差を示した。PBS+DSS処置群とPBS−水処置群との間の有意差は、p<0.05については#で、p<0.01については##で、及びp<0.005については###で注記された。
【図5B】本発明の、飲用ボトル中の水又は水+DSS(3%)を飲み、並びに野生型Lb.casei、又はエラフィンを発現する組換体Lb.casei菌株によって7日間、毎日経口処置を受けたマウスからの結腸組織において検出されたRANTES(A)、TNFアルファ(B)、IL−6(C)、MCP−1(D)、KC(E)、INFガンマ(F)及びIL−17(G)の蛋白質濃度を示す図である。εは検出不能なレベルであることを意味している。DSSを与えられたPBS処置マウスと比較された有意差は、p<0.05については*で、p<0.01については**で、及びp<0.005については***で注記された。Ψは、野生型Lb.caseiで処置されたマウスと比較したp<0.05についての有意差を示した。PBS+DSS処置群とPBS−水処置群との間の有意差は、p<0.05については#で、p<0.01については##で、及びp<0.005については###で注記された。
【図5C】本発明の、飲用ボトル中の水又は水+DSS(3%)を飲み、並びに野生型Lb.casei、又はエラフィンを発現する組換体Lb.casei菌株によって7日間、毎日経口処置を受けたマウスからの結腸組織において検出されたRANTES(A)、TNFアルファ(B)、IL−6(C)、MCP−1(D)、KC(E)、INFガンマ(F)及びIL−17(G)の蛋白質濃度を示す図である。εは検出不能なレベルであることを意味している。DSSを与えられたPBS処置マウスと比較された有意差は、p<0.05については*で、p<0.01については**で、及びp<0.005については***で注記された。Ψは、野生型Lb.caseiで処置されたマウスと比較したp<0.05についての有意差を示した。PBS+DSS処置群とPBS−水処置群との間の有意差は、p<0.05については#で、p<0.01については##で、及びp<0.005については###で注記された。
【図5D】本発明の、飲用ボトル中の水又は水+DSS(3%)を飲み、並びに野生型Lb.casei、又はエラフィンを発現する組換体Lb.casei菌株によって7日間、毎日経口処置を受けたマウスからの結腸組織において検出されたRANTES(A)、TNFアルファ(B)、IL−6(C)、MCP−1(D)、KC(E)、INFガンマ(F)及びIL−17(G)の蛋白質濃度を示す図である。εは検出不能なレベルであることを意味している。DSSを与えられたPBS処置マウスと比較された有意差は、p<0.05については*で、p<0.01については**で、及びp<0.005については***で注記された。Ψは、野生型Lb.caseiで処置されたマウスと比較したp<0.05についての有意差を示した。PBS+DSS処置群とPBS−水処置群との間の有意差は、p<0.05については#で、p<0.01については##で、及びp<0.005については###で注記された。
【図5E】本発明の、飲用ボトル中の水又は水+DSS(3%)を飲み、並びに野生型Lb.casei、又はエラフィンを発現する組換体Lb.casei菌株によって7日間、毎日経口処置を受けたマウスからの結腸組織において検出されたRANTES(A)、TNFアルファ(B)、IL−6(C)、MCP−1(D)、KC(E)、INFガンマ(F)及びIL−17(G)の蛋白質濃度を示す図である。εは検出不能なレベルであることを意味している。DSSを与えられたPBS処置マウスと比較された有意差は、p<0.05については*で、p<0.01については**で、及びp<0.005については***で注記された。Ψは、野生型Lb.caseiで処置されたマウスと比較したp<0.05についての有意差を示した。PBS+DSS処置群とPBS−水処置群との間の有意差は、p<0.05については#で、p<0.01については##で、及びp<0.005については###で注記された。
【図5F】本発明の、飲用ボトル中の水又は水+DSS(3%)を飲み、並びに野生型Lb.casei、又はエラフィンを発現する組換体Lb.casei菌株によって7日間、毎日経口処置を受けたマウスからの結腸組織において検出されたRANTES(A)、TNFアルファ(B)、IL−6(C)、MCP−1(D)、KC(E)、INFガンマ(F)及びIL−17(G)の蛋白質濃度を示す図である。εは検出不能なレベルであることを意味している。DSSを与えられたPBS処置マウスと比較された有意差は、p<0.05については*で、p<0.01については**で、及びp<0.005については***で注記された。Ψは、野生型Lb.caseiで処置されたマウスと比較したp<0.05についての有意差を示した。PBS+DSS処置群とPBS−水処置群との間の有意差は、p<0.05については#で、p<0.01については##で、及びp<0.005については###で注記された。
【図5G】本発明の、飲用ボトル中の水又は水+DSS(3%)を飲み、並びに野生型Lb.casei、又はエラフィンを発現する組換体Lb.casei菌株によって7日間、毎日経口処置を受けたマウスからの結腸組織において検出されたRANTES(A)、TNFアルファ(B)、IL−6(C)、MCP−1(D)、KC(E)、INFガンマ(F)及びIL−17(G)の蛋白質濃度を示す図である。εは検出不能なレベルであることを意味している。DSSを与えられたPBS処置マウスと比較された有意差は、p<0.05については*で、p<0.01については**で、及びp<0.005については***で注記された。Ψは、野生型Lb.caseiで処置されたマウスと比較したp<0.05についての有意差を示した。PBS+DSS処置群とPBS−水処置群との間の有意差は、p<0.05については#で、p<0.01については##で、及びp<0.005については###で注記された。
【図6A】本発明の、飲用ボトル中の水又は水+DSS(3%)を飲み、並びに野生型Lb.casei、又はエラフィンを発現する組換体Lb.casei菌株によって7日間、毎日経口処置を受けたマウスからの結腸組織において検出されたIL−2(A)、IL−4(B)、IL−5(C)、IL−10(D)及びIL−13(E)の蛋白質濃度を示す図である。DSSを与えられたPBS処置マウスと比較された有意差は、p<0.05については*で、p<0.01については**で注記された。野生型Lb.casei処置マウスと比較された有意差は、p<0.05についてはΨで、p<0.01についてはΨΨで注記された。
【図6B】本発明の、飲用ボトル中の水又は水+DSS(3%)を飲み、並びに野生型Lb.casei、又はエラフィンを発現する組換体Lb.casei菌株によって7日間、毎日経口処置を受けたマウスからの結腸組織において検出されたIL−2(A)、IL−4(B)、IL−5(C)、IL−10(D)及びIL−13(E)の蛋白質濃度を示す図である。DSSを与えられたPBS処置マウスと比較された有意差は、p<0.05については*で、p<0.01については**で注記された。野生型Lb.casei処置マウスと比較された有意差は、p<0.05についてはΨで、p<0.01についてはΨΨで注記された。
【図6C】本発明の、飲用ボトル中の水又は水+DSS(3%)を飲み、並びに野生型Lb.casei、又はエラフィンを発現する組換体Lb.casei菌株によって7日間、毎日経口処置を受けたマウスからの結腸組織において検出されたIL−2(A)、IL−4(B)、IL−5(C)、IL−10(D)及びIL−13(E)の蛋白質濃度を示す図である。DSSを与えられたPBS処置マウスと比較された有意差は、p<0.05については*で、p<0.01については**で注記された。野生型Lb.casei処置マウスと比較された有意差は、p<0.05についてはΨで、p<0.01についてはΨΨで注記された。
【図6D】本発明の、飲用ボトル中の水又は水+DSS(3%)を飲み、並びに野生型Lb.casei、又はエラフィンを発現する組換体Lb.casei菌株によって7日間、毎日経口処置を受けたマウスからの結腸組織において検出されたIL−2(A)、IL−4(B)、IL−5(C)、IL−10(D)及びIL−13(E)の蛋白質濃度を示す図である。DSSを与えられたPBS処置マウスと比較された有意差は、p<0.05については*で、p<0.01については**で注記された。野生型Lb.casei処置マウスと比較された有意差は、p<0.05についてはΨで、p<0.01についてはΨΨで注記された。
【図6E】本発明の、飲用ボトル中の水又は水+DSS(3%)を飲み、並びに野生型Lb.casei、又はエラフィンを発現する組換体Lb.casei菌株によって7日間、毎日経口処置を受けたマウスからの結腸組織において検出されたIL−2(A)、IL−4(B)、IL−5(C)、IL−10(D)及びIL−13(E)の蛋白質濃度を示す図である。DSSを与えられたPBS処置マウスと比較された有意差は、p<0.05については*で、p<0.01については**で注記された。野生型Lb.casei処置マウスと比較された有意差は、p<0.05についてはΨで、p<0.01についてはΨΨで注記された。
【図7A】本発明の、PBS(n=5)、又はカラシ油(エタノール70%中0.01%(v/v))を結腸内投与され、並びに野生型L.lactis(n=8)、若しくはエラフィン(n=8)又はIL−10(n=5)のいずれかを発現する組換体L.lactisで、PBS(n=8)の経口給餌による前処置に先行する7日間で受けたマウスにおける、痛み関連行動の総数(A)又は腹部の収縮及びなめ行動、伸張及び腹部押しつけ行動の総数(B)を示す図である。カラシ油を投与されたPBS処置マウスと比較された有意差が、p<0.05については*で、p<0.01については**で、及びp<0.005については***で注記された。Ψは、野生型L.lactisで処置されたマウスと比較された、p<0.05についての有意差を示した。
【図7B】本発明の、PBS(n=5)、又はカラシ油(エタノール70%中0.01%(v/v))を結腸内投与され、並びに野生型L.lactis(n=8)、若しくはエラフィン(n=8)又はIL−10(n=5)のいずれかを発現する組換体L.lactisで、PBS(n=8)の経口給餌による前処置に先行する7日間で受けたマウスにおける、痛み関連行動の総数(A)又は腹部の収縮及びなめ行動、伸張及び腹部押しつけ行動の総数(B)を示す図である。カラシ油を投与されたPBS処置マウスと比較された有意差が、p<0.05については*で、p<0.01については**で、及びp<0.005については***で注記された。Ψは、野生型L.lactisで処置されたマウスと比較された、p<0.05についての有意差を示した。
【図8】本発明の、L.lactis野生型及びhtrA菌株によって分泌されたエラフィンを示す図である。野生型(wt)又はhtrA(htrA)菌株の細胞抽出液(C)及び上澄み抽出液(S)で、抗体抗−エラフィンを使用して、ウェスタンブロット実験が実施された。エラフィン生成が、wt又はhtrA菌株(両者共にエラフィン遺伝子発現がナイシン添加によって誘導され得るような発現ベクターを含有する)の対数期培養からのナイシンによって誘導された。
【図9A】本発明の、DSS5%誘発結腸炎モデルにおけるL.lactis wt及びhtrA変異体菌株の保護効果を示す図である。肉眼的スコア(A)、組織学的損傷(B)及びMPO活性(C)が、水(陰性対照)又はDSS5%のいずれかで処置された10匹のマウスの異なる群で評価された。初めの対照群の2つは、i)水とPBSによる経口給餌(陰性対照群)及びii)DSS5%とPBSによる経口給餌(陽性対照群)で処置された。他の群は、全てがDSS5%で処置され、並びに野生型菌株(WT)、エラフィン(Elafin)を発現する野生型菌株及びエラフィン(Elafin+)を発現するhtrA変異体菌株のうちのいずれかで処置された。
【図9B】本発明の、DSS5%誘発結腸炎モデルにおけるL.lactis wt及びhtrA変異体菌株の保護効果を示す図である。肉眼的スコア(A)、組織学的損傷(B)及びMPO活性(C)が、水(陰性対照)又はDSS5%のいずれかで処置された10匹のマウスの異なる群で評価された。初めの対照群の2つは、i)水とPBSによる経口給餌(陰性対照群)及びii)DSS5%とPBSによる経口給餌(陽性対照群)で処置された。他の群は、全てがDSS5%で処置され、並びに野生型菌株(WT)、エラフィン(Elafin)を発現する野生型菌株及びエラフィン(Elafin+)を発現するhtrA変異体菌株のうちのいずれかで処置された。
【図9C】本発明の、DSS5%誘発結腸炎モデルにおけるL.lactis wt及びhtrA変異体菌株の保護効果を示す図である。肉眼的スコア(A)、組織学的損傷(B)及びMPO活性(C)が、水(陰性対照)又はDSS5%のいずれかで処置された10匹のマウスの異なる群で評価された。初めの対照群の2つは、i)水とPBSによる経口給餌(陰性対照群)及びii)DSS5%とPBSによる経口給餌(陽性対照群)で処置された。他の群は、全てがDSS5%で処置され、並びに野生型菌株(WT)、エラフィン(Elafin)を発現する野生型菌株及びエラフィン(Elafin+)を発現するhtrA変異体菌株のうちのいずれかで処置された。
【図10A】本発明の、DSS5%誘発結腸炎モデルにおける、L.casei野生型菌株並びにSODを発現する、エラフィンを発現する及びIL−10を発現するL.casei菌株の保護効果を示す図である。水(陰性対照)又はDSS5%で処置された10匹のマウスの異なる群で、肉眼的スコア(A)、組織学的損傷(B)及びMPO活性(C)が評価された。初めの対照群の2つは、i)水とPBSによる経口給餌(陰性対照群)及びii)DSS5%とPBSによる経口給餌(陽性対照群)で処置された。他の群は、全てがDSS5%で処置され、並びにL.casei野生型菌株(WT)、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、エラフィン(Elafin)又はIL−10を発現するL.casei菌株のうちのいずれかで処置された。*及び**は、そのデータがL.casei野生型から得られたデータから有意差(P<0.05)があることを示唆している。
【図10B】本発明の、DSS5%誘発結腸炎モデルにおける、L.casei野生型菌株並びにSODを発現する、エラフィンを発現する及びIL−10を発現するL.casei菌株の保護効果を示す図である。水(陰性対照)又はDSS5%で処置された10匹のマウスの異なる群で、肉眼的スコア(A)、組織学的損傷(B)及びMPO活性(C)が評価された。初めの対照群の2つは、i)水とPBSによる経口給餌(陰性対照群)及びii)DSS5%とPBSによる経口給餌(陽性対照群)で処置された。他の群は、全てがDSS5%で処置され、並びにL.casei野生型菌株(WT)、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、エラフィン(Elafin)又はIL−10を発現するL.casei菌株のうちのいずれかで処置された。*及び**は、そのデータがL.casei野生型から得られたデータから有意差(P<0.05)があることを示唆している。
【図10C】本発明の、DSS5%誘発結腸炎モデルにおける、L.casei野生型菌株並びにSODを発現する、エラフィンを発現する及びIL−10を発現するL.casei菌株の保護効果を示す図である。水(陰性対照)又はDSS5%で処置された10匹のマウスの異なる群で、肉眼的スコア(A)、組織学的損傷(B)及びMPO活性(C)が評価された。初めの対照群の2つは、i)水とPBSによる経口給餌(陰性対照群)及びii)DSS5%とPBSによる経口給餌(陽性対照群)で処置された。他の群は、全てがDSS5%で処置され、並びにL.casei野生型菌株(WT)、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、エラフィン(Elafin)又はIL−10を発現するL.casei菌株のうちのいずれかで処置された。*及び**は、そのデータがL.casei野生型から得られたデータから有意差(P<0.05)があることを示唆している。
【図11】本発明の、マウスからの結腸組織におけるミエロパーオキシダーゼ(MPO)活性(D)を示す図である。ミエロパーオキシダーゼ(MPO)活性(D)は、飲用ボトル中の水又は水+DSS(3%)を飲み、更にi)野生型L.lactis、エラフィン又はIL−10のいずれかを発現する組換体L.lactis及びL.lactis htrA菌株、並びにii)L.casei野生型菌株及びSODを発現する、エラフィンを発現する並びにIL−10を発現するL.casei菌株で、7日間、毎日経口投与を受けたマウスからの結腸組織において測定された。*及び**は、そのデータがL.casei野生型から得られたデータから有意差(P<0.05)があることを示唆している。
【図12】本発明の、EDTA誘導プロモーター(Llull D及びPoquet I.著、2004年;欧州特許第1537215号及び連邦広報第9816462号)の条件下で、エラフィン遺伝子が発現されるようなL.lactis野生型菌株におけるエラフィン分泌を示す図である。エラフィンを発現するL.lactis野生型菌株を、キレート剤であるEDTAの存在中(+)又は不在中(−)で一夜増殖させた(この構成では、エラフィン遺伝子発現は、EDTA添加によって誘導され得る乳酸菌プロモーターによって制御され、染色体上では、このプロモーターは、亜鉛に特異的なABC吸収システムをコード化する遺伝子の発現を制御し、並びにEDTA添加によって模倣され得る亜鉛枯渇条件下で抑制される)。次いで蛋白質が抽出され、細胞(C)と上澄み液フラクション(S)との間で分取され、次いで抗体抗−エラフィンを使用して、ウェスタンブロット実験が実施された。実施例材料及び方法
【0064】
組換体乳酸細菌(Lactococcus lactis及びLactobucillus casei)におけるエラフィンのクローニング
乳酸細菌におけるエラフィンのクローニング及び発現
【0065】
エラフィンをコード化する遺伝子が、プラスミドDK6−エラフィン(14)からPCR増幅された。使用されたプライマーの配列は、5’順方向エラフィンプライマー(CCAATGCATCAGCAGCTGTCACGGGAGTTCC)(SEQ ID NO1)及び3’逆方向−エラフィンプライマー(GGACTAGTCCTCACTGGGGAACGAAACA GGCC)(SEQ ID NO2)であった。プライマーは、シグナルペプチド(SP)をコード化するエラフィン領域の第1コドンを除去するように設計され、L.lactisからの主要な分泌蛋白質であるUsp45蛋白質(PSUsp45)のSPによって置き換えられた。その狙いのために、PCR生成物を分解し、精製し、並びにL.lactis分泌ベクターであるpSEC中にクローン化された。生成したプラスミドpSEC:エラフィンでは、エラフィンがPBS及びPSUsp45をコード化するDNA断片でフレームにて融合される。このカセットの発現は、その活性が、使用されるナイシンの濃度に依存する誘導プロモーターPnisAによって制御される。次いで、このプラスミドが、ナイシン調節遺伝子であるnisRとnisKを保持するL.lactis(L.lactis NZ9000)菌株中に導入され、組換体菌株NZ(pSEC:エラフィン)を得る。使用されたツール(レプリコン、プロモーター、RBS及びSP)は、Lactobacillus casei及びLb.plantarumなどの乳酸菌株で機能的である。これら2つの菌株(それぞれが、それらの染色体上に遺伝子nisRKを保持している)は、それらの消化管における存続性能力(L.lactisでは24〜48時間であるのに対し、4日間まで)のために選択された。更に、我々は、Lb.casei BL23菌株が、DSS誘発結腸炎モデル(Rochatら著、2007年)において抗炎症性特性を有することを最近立証した。したがって、我々は1週間存続する(L.lactis)及び頑強に存続する(Lb.plantarum)非免疫調節性菌株、並びに頑強に存続する(Lb.casei)免疫調節性菌株を手元に所有し、このことが、使用された菌株の固有の抗炎症効果と過剰発現された分子の抗炎症効果の組み合わせの実現性を評価することを可能にしている。
【0066】
nisAプロモーターの誘発に関して、L.lactis組換体菌株を、OD600=0.4〜0.6にまで培養し、次いで10ng/mlのナイシン(Sigma)で1時間誘発させた。次に、この誘発の官能性が以下のように試験され、すなわち、NZ(pSEC:エラフィン)培養(最終的にOD600=〜1)がペレットと上澄み液に分離され、次いでエラフィン中の含有量が、ELISA及び/又はウェスタンブロットによって測定された。
動物
【0067】
C57B16マウス(6〜8週齢)がJanvier(St Quentin Fallavier)から入手され、動物が、12時間絶食処理された結腸炎誘発の前日以外は、12時間の明所/暗所周期下で、餌と水に自由にアクセスさせて、室温にて保持された。全ての手順は、施設内動物実験委員会及び獣医サービスによって承認されたものである。
結腸炎の誘発及び研究設計
【0068】
デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)での処置によって、結腸炎が誘発された。詳しくは、DSSが飲料水中に溶解され(3%又は5%wt/vol)、動物にこの溶液を自由に7日間飲ませた。DSS処置群で水消費を測定し、水を飲むナイーブマウスの群と比較した。その結果、水を飲むマウスとDSSを飲むマウスとの間で、消費された液体の容量で差は観察されなかった。マウスを、野生型、エラフィン−組換体L.lactis又はLb.caseiの5×10コロニー形成単位(cfu)の100μlで、あるいは細菌培地単独で、経口的に毎日処置した。最初の処置が、DSSが飲料水に添加されるのと同時に開始され、最後の処置が致死された日に行われた(7日目)。結腸炎誘発後、体重及び生存率が毎日測定された。DSSを動物の飲料水に添加してから7日目に、マウスを致死させて、肉眼的スコア、腸管厚さ、ミエロパーオキシダーゼ(MPO)活性、蛋白質分解活性、サイトカイン発現などの炎症の数個のパラメータを測定するために、結腸を採取した。
炎症パラメータの測定
【0069】
肉眼的損傷を、先に記載されたように(5;15;16)評価した。簡単に言うと、観察する場合、以下のパラメータに1のスコアが与えられ、これらは出血、浮腫、狭窄、潰瘍形成、糞便血、粘液、及び下痢である。紅斑は、冒された領域の長さに依存して(0:無、1:1cm未満、2:1cm以上)、最大2で採点評価された。癒着状態は、その重篤性に基づいて(0:無、1:中程度、2:重篤)、採点評価された。
【0070】
致死の時点で採取された結腸組織において、先に記載されたように(5;15;16)、顆粒球侵入の指標として、MPOが測定された。組織サンプルを、リン酸塩緩衝液(pH6)中0.5%ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイドの溶液中で、ホモゲナイズし、13000×Gで2分間、遠心分離した。上澄み液を、1%過酸化水素とO−ジアニシジン・ジヒドロクロライドを含有する緩衝液に添加した。酵素溶液についての光学密度測定値が、450nmで2分間読み取られた。
【0071】
サイトカイン及びケモカイン蛋白質測定に関して、致死の際に採取され凍結された結腸サンプルを、抗−プロテアーゼ(Roche Diagnostics,Meylan,France)カクテルが補充された、細胞溶解緩衝液500μl(20mMのTris−HCl、pH7.5、NaCl 150mM、NaEDTA 1mM、EGTA 1mM、1%TritonX−100、ピロリン酸ナトリウム2.5mM、β−グリセロリン酸1mM、NaVO1mM、ロイペプチン1μg/ml;Cell Signalling,Sigma)中、ポリトロンを使用して、4℃で30秒間、ホモゲナイズした。遠心分離(10000×g、10分間、4℃)後に、上澄み液をQIAshredderカラム上で濾過し、このホモジェネートの50マイクロリットルを、蛍光細胞選別機FACSCalibur上のサイトメトリックビーズアレイを使用してのサイトカイン及びケモカインの同時計量のために使用した。未加工値を組織重量(30〜50mgからの平均値)に対して正規化し、サイトカイン濃度が、FCAP Array(登録商標)ソフトウェアを使用して、標準曲線から外挿された。製造者の情報に従って、サイトカイン検出の限界より上の値が考慮された。
結腸組織及び管腔洗浄液中のセリンプロテアーゼ活性
【0072】
先に記載したように(17)、致死の際に、全結腸を切除し、PBS 1mlを注入し、管腔を通過させて2回洗浄した。蛋白質分解活性(トリプシン様活性及びエラスターゼ様活性)が、これら2回の管腔洗浄液の両方で測定された。トリプシン様活性及びエラスターゼ様活性は、トシル−Gly−Pro−Arg−p−ニトロアニリド(150μM、Sigma)とMeO−スクシニル−Ala−Ala−Pro−Val−p−ニトロアニリド(100μM、Sigma、Saint Quentin Fallavier,France)のそれぞれを基質として使用して、測定された。サンプル(トリプシン活性については20μl又はエラスターゼ活性については10μl)を、それらの対応する緩衝液中に再懸濁した(トリプシン活性については、Tris/HCl 100mM、CaCl 1mM、pH=8で、エラスターゼ活性については、Tris−HCl 50mM、NaCl 500mM、0.1%Triton X100)。405nmでの吸光度における変化を、マイクロプレートレーダーNOVOstar(登録商標)(BMG Labtech,France)を使用して、37℃で30分間にわたって決定した。活性を、ブタの膵臓からのトリプシン(Sigma)又はヒト好中球エラスターゼ(Sigma)の既知の標準希釈液と比較した。管腔洗浄液中の蛋白質濃度を、マイクロプレート(BCA kit(登録商標)、Pierce,Thermo Scientific,Coutaboeuf,France)上、ビシンコニン酸の比色計量を使用して決定し、これが、それぞれのサンプルで蛋白質分解活性を標準化するために使用された。
カラシ油に反応する内臓痛行動の誘起及び測定
【0073】
L.lactisの3菌株(L.lactis野生型、L.lactis−エラフィン、L.lactis−IL−10)の培養を、クロラムフェニコール(10μg/mL)追加グルコース(0.5%)で補充されたM17培地(Oxoid)中、振盪なしに30℃で実施した。一夜培養物からの細菌を、新鮮な培地中で、1/50(v/v)にて、OD600=0.4〜0.6になるまで増殖させた。次いで、組換体蛋白質発現を可能にするために添加されたナイシン(1ng/mL)で、更に1時間細胞を培養した。450gでの遠心分離によって細菌を収穫し、無菌PBSで洗浄した。ペレットを、最終濃度5×1010cfu/mLで、無菌PBS中に再懸濁させた。4〜8匹のマウスの群を、細菌懸濁液100μL(5×10cfu)で毎日、胃内投与によって7日間処置した。8日目に、PBS又はカラシ油(70%エタノール中0.01%(v/v))50μLを、軽いイソフルラン麻酔下で、結腸内注入によってマウスに投与した。次いで、痛みに伴う行動反応(腹部収縮、腹部をなめる行動、伸張、床に対して下部腹部を押し付ける行動)の数が、20分間計測された。
統計値
【0074】
ボンフェローニ補正による両側スチューデントt検定を使用して、群間比較が行われた。データは平均値±SEMとして表され、並びに0.05未満のP値が有意であるとみなされた。
結果
エラフィンを発現する組換体Lactococcus lactisが、マウスのDSS結腸炎の進行に対して保護すること
【0075】
予想通りに、DSS誘発結腸炎(5%DSS)は、水を飲んだ対照マウスと比較して、全ての群において深刻な体重減少を引き起こした。乳酸細菌処置のいずれも、この体重減少を著しく修正しなかった(図1A)。飲料水中のDSSはまた、肉眼的損傷を引き起こし、壁厚さを増加させ、並びに結腸組織中のMPO活性を増加させた(図1B、C、D)。野生型L.lactisで処置されたマウスは、結腸壁厚さ及びMPO活性の著しい減少を示さず、DSS単独処置マウスと比較して、肉眼的損傷スコアにおける僅かな減少のみが観察された。これとは対照的に、エラフィンを発現する組換体L.lactisによって処置されたマウスは、DSS結腸炎の誘発後に、著しく低減された肉眼的損傷スコアと、結腸壁厚さの非常に少ない増加を示したが、MPO活性はDSS単独群と差はなかった(図1B,C、D)。更に、IL−10サイトカインを発現する組換体L.kactisで処置されたマウスは、DSS結腸炎の誘発後に、低減された肉眼的損傷スコア及びMPO活性を示したが、この処置によって、壁厚さは、DSS単独処置と比較して修正されなかった(図1B、C、D)。非炎症マウスでは、ナイーブ対照マウスと比較して、いずれの処置も炎症性パラメータを修正しなかった。
【0076】
DSSに誘発されたトリプシン様活性における増加は、エラフィンを発現する組換体L.lactisによって処置されたマウスでは顕著に減少されたが、野生型L.lactis又はIL−10を発現する組換体L.lactisによって処置されたマウスでは変更されなかった(図2A)。エラフィンを発現する組換体L.lactisによる処置だけが、エラスターゼ活性でのDSS誘起による増加を著しく低減させることが可能であった。
エラフィンを更に発現する組換体Lactobacillus caseiが、マウスのDSS結腸炎の進行に対して保護すること
【0077】
野生型Lb.caseiによるマウス処置が、DSS結腸炎誘発後に観察された肉眼的スコアを有意に減少させたが、この処置は、DSS単独処置と比較して、増大した壁厚さ及びMPO活性を低減することに失敗した(図3A、B、C)。これとは対照的に、エラフィンを発現する組換体Lb.caseiでの処置は、炎症の全てのパラメータ、すなわち肉眼的損傷スコア、結腸壁厚さ及びMPO活性を有意に減少させた(図3A、B、C)。
【0078】
トリプシン様活性でのDSSに誘発された増加は、野生型Lb.caseiで処置されたマウスに比べて、エラフィンを発現する組換体Lb.caseiで処置されたマウスにおいて著しく低減された。エラスターゼ活性のレベルもまた、野生型Lb.caseiで処置された炎症(結腸炎の)マウスと比較して、又はPBSで処置された炎症マウスと比較しても、エラフィン発現組換体Lb.caseiで処置された結腸炎(DSS誘発)マウスで顕著に低減された(図4B)。
【0079】
ケモカインRANTESの蛋白質発現は、観測された時点(DSS処置の開始後7日目)において、DSS結腸炎によって著しく増加されなかった。野生型又はエラフィン分泌性Lb.caseiは、DSS処置マウスにおいて、RANTES発現のレベルを修正することに失敗した(図5A)。TNFアルファ、IL−6、MCP1、KC、INFγ及びIL−17Aは全て、DSS結腸炎の誘発後7日目にて、DSS結腸炎によって増大された(図5B〜G)。エラフィン発現の組換体Lb.caseiによるマウス処置は、IL−6、MCP1、KC及びIL−7の蛋白質発現を有意に減少させた(図5C、D、E、G)が、TNFα及びINFγなどのような他の炎症性サイトカインの発現のレベルを減少させることに失敗した(図5B及びF)。興味深いことに、DSS結腸炎はサイトカインIL−2、IL−4、IL−5、IL−10及びIL−13でのいずれの増加ももたらさなかったが(図6A〜E)、エラフィン発現Lb.casei組換体によるマウスの処置は、これらサイトカインの発現を著しく上昇させて、しかしこれは結腸炎状況(DSS処置後の)でのみ上昇させた。エラフィン発現Lb.casei組換体に反応するTh2サイトカインでの増加は、少なくとも部分的には、この組換体細菌の抗炎症効果で説明し得る。IL−2、IL−4、IL−5、IL−10及びIL−13のレベルは、炎症(DSS)マウス又は非炎症マウスのいずれでも、いかなる他の処置によっても修正されなかった。
エラフィンを発現する組換体Lactocuccus Lactisが、内臓痛行動を低減すること
【0080】
カラシ油の結腸内投与は、痛み行動の数で、すなわち、腹部収縮の数と、腹部なめ行動、伸張、及び床に下腹部を押しつける行動の総合された痛み行動の数の双方で、著しい増加を引き起こした(図7A及びB)。全ての痛み行動を一緒に検討すると、野生型、IL−10組換体又はエラフィン分泌性L.lactisは、効果を有しなかった(図7A)。総合された痛み行動だけで検討する場合、IL−10ではなくエラフィンを発現する組換体L.lactis又は野生型が、痛み行動を有意に低減させる(図7B)。更に、エラフィンを発現する組換体L.lactisだけが、PBS処置又は野生型L.lactis処置の両方と比較すると、痛み行動の数での注目すべき減少を誘導した。
htrA菌株による結果
【0081】
L.lactisは、全てのほどかれたエクスポート蛋白質を分解するhtrAと呼ばれる1つのハウスキーピング細胞外プロテアーゼのみを発現する(Poquetら著,2000年及び米国特許出願第6,994,997号及びFR第2787810号)。htrA遺伝子内で不活性化されたL.lactis変異体菌株が構成され、L.lactisにおいて数個の異種分泌された蛋白質の生成速度を増加させることを可能にした(Poquetら著、2000年及びMiyoshiら著、2002年)。本発明によると、エラフィン発現カセットがhtrA変異体にクローン化された。hrtA変異体におけるエラフィン生成レベルと野生型(wt)菌株におけるエラフィン発現レベルが、ウェスタンブロット実験によって比較された(図8)。分泌されたエラフィンの著しい増加が、wt菌株と比較して、htrA変異体の上澄み液中で観測された。したがって、htrA菌株は、エラフィンのより高い生成及び分泌レベルを可能にすることができるであろう。
【0082】
次いで、これら2つの菌株が、DSS誘発結腸炎モデルにおいて試験され、これによって我々は、htrA変異体が、野生型菌株よりも良好に結腸炎損傷に対してマウスを保護することを、インヴィヴォにて確認した。
比較による結果
【0083】
IL−10、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)及びエラフィン生成L.casei菌株の保護的効果が、DSS5%誘発結腸炎モデルにおける評価と並行して評価された。L.caseiが、L.lactisと比較して2つの主な差異を有することを思い出すべきであり、すなわちi)GITにおけるより高い存続性とii)固有の抗炎症性特性である(Rochatら著、2007年;Watterlotら著、2010年)。図10A/B/Cに示されたように、3つの基準(肉眼的、組織学的及びMPO活性)に及ぼす最高の保護効果が、エラフィン生成L.casei菌株で得られ、それに続きSOD生成L.casei菌株で得られ、IL−10を生成するL.casei菌株は、より低い効果のみをもたらした。
【0084】
更には、エラフィン生成L.casei菌株は、2つのL.lactis菌株(野生型L.lactisとhtrA菌株)よりも良好な保護効果をもたらした(図11)。
【0085】
エラフィンがインヴィトロ及びインヴィヴォにおいて、抗細菌活性を有するという事実を考慮すると(Simpson AJら著、1999年)、これら結果は最も驚くべきことである。すなわち、当業者は、細菌ホストによる低いエラフィン生成又は細菌ホストでは全く生成されないことを推測されていたことだろう。これとは逆に、発明者達によって得られた結果は、プロバイオティックによるエラフィンの非常に良好な生成を示し、これゆえに治療的効果を示す。
【0086】
更には、インヴィトロ研究とインヴィヴォ研究の双方(臨床研究を含む)が、ホストの抗微生物シールドの欠損が、結腸疾患において潜在的に有害であることを示した(Salzman NHら著、2003年及びBevins Clら著、2009年)。
【0087】
このようなことから、エラフィンの多面的抗微生物/抗炎症活性が、IL−10と比較して、エラフィンを非常に優れた治療用分子候補にする。
L.lactisにおけるプロモーター亜鉛(PZn)zittR制御発現のEDTA誘導
【0088】
pZn zitRによって操作されたL.lactisにおけるエラフィンの生成(Llull D及びPoquet I.2004年)が、1mMのEDTAによる1時間の誘導後に、ウェスタンブロット分析によって試験された。誘導培養がエラフィンの非常に高レベルの発現及び分泌をもたらす一方で、非誘導培養サンプル、細胞ペレット(C)及び上澄み液(S)が、エラフィンの非常に低レベルの発現及び分泌をもたらす(図12)。
参照文献
【0089】
本願の全体を通して、種々の参照文献が、本発明が関する技術現状を記載している。これら参照文献の開示は、参照によって本開示中に組み込まれる。
【0090】
Bevins CL,Stange EF,Wehkamp J.著,「Decreased Paneth cell defensin expression in ileal Crohn’s disease is independent of inflammation,but linked to the NOD2 1007fs genotype」,Gut.2009年6月;58(6):882−3頁.
Braat,H.,M.P.PeppelenboschとD.W.Hommes著,2003年.「Interleukin−10−based therapy for inflammatory bowel disease」Expert.Opin.Biol.Ther.3:725−731頁.
Braat,H.,P.Rottiers,D.W.Hommes,N.Huyfhebaert,E.Remaut,J.P.Remon,S.J.van Deventer,S.Neirynck,M.P.Pepplenbosch,及びL.Steidler著,2006年.「A phase I trial with trangenic bacteri expressing interleukin−10 in Crohn’s diseases」.Clin.Gastroenterol.Hepatol.4:754−759頁.
Bron Peter A.,Marcos G.Benchimol,Jolanda Lambert,Emmanuelle Palumbo,Marie Deghorain,Jean Delcour,Willem M.de Vos,Michiel Kleerebezem,及びPascal Hols著,「USE of the alr Gene as a Food−Grade Selection Marker in Lactic Acid Bacteria」.Environmental Microbiology,2002年11月,5663−5670頁.
Cenac,N.,C.N.Andrew,M.Holzhausen,K.Chapman,G.Cottrell,P.Andrade−Gordon,M.Steinhoff,G.Barbara,P.Beck,N.W.Bunnett,K.A.Sharkey,J.G.Ferraz,E.Shaffer,及びN.Vergnolle著,2007年「Role for protease activity in visceral pain in irritable bowel syndrome」.J.Clin.Invest 117:636−647頁.
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Hyun,E.,P.Andrade−Gordon,M.Steinhoff,及びN.Vergnolle著,2008年.「Protease−activated receptor−2 activation:a major actor in intestinal inflammation」.Gut 57:1222−1229頁.
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Poquet I,Saint V,Seznec E,Simoes N,Bolotin A,Gruss A.著,「HtrA is the unique surface housekeeping protease in Lactococcus lactis and is required for natural protein processing」.Mol Microbiol.2000年3月;35(5):1042−51頁.
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Vergnolle,N.,L.Cellars,A.Mencarelli,G.Rizzo,S.Swaminathan,P.Beck,M.Steinhoff,P.Andrade−Gordon,N.W.Bunnett,M.D.Hollenberg,J.L.Wallace,G.Cirino,及びS.Fiorucci著.2004年.「A role for proteinase−activated recptor−1 in inflammatory bowel diseases」.J Clin Invest 114:1444−1456頁.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラッピン−2蛋白質又はトラッピン−2蛋白質の活性フラクション、WAP族蛋白質の構成員又はWAP族蛋白質の構成員の活性フラクション、若しくはセルピン族の構成員又はセルピン族の構成員の活性フラクションから選択される、過敏性腸症候群(IBS)の治療のための分子。
【請求項2】
遺伝子操作されたホスト細胞によって発現される、請求項1に記載の分子。
【請求項3】
トラッピン−2蛋白質又はトラッピン−2蛋白質の活性フラクションをコード化する遺伝子、WAP族蛋白質の構成員又はWAP族蛋白質の構成員の活性フラクションをコード化する遺伝子、若しくはセルピン族の構成員又はセルピン族の構成員の活性フラクションをコード化する遺伝子から選択される遺伝子を含む、組換体食品グレード細菌。
【請求項4】
前記食品グレード細菌がプロバイオティック細菌である、請求項3に記載の細菌。
【請求項5】
前記細菌が欠損独立栄養遺伝子を含み、これによって、前記細菌の生存が、特異的化合物の存在に厳密に依存する、請求項3に記載の細菌。
【請求項6】
前記欠損独立栄養遺伝子がthyA遺伝子である、請求項5に記載のプロバイオティック細菌。
【請求項7】
前記選択された遺伝子が、前記thyA遺伝子に挿入される、請求項4に記載のプロバイオティック細菌。
【請求項8】
前記WAP又はセルピン族蛋白質をコード化する遺伝子が、トラッピン−2又はアルファ1−抗トリプシン蛋白質をコード化する遺伝子である、請求項3〜5に記載のプロバイオティック細菌。
【請求項9】
Lactococcus Lactis、Lactobacillusu casei、Lactobacillusu plantarumから選択される、請求項3〜6のうちのいずれか一項に記載の食品グレード細菌。
【請求項10】
炎症性疾患の治療のための、請求項3〜9のうちのいずれか一項に記載の食品グレード細菌。
【請求項11】
前記炎症性疾患が、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、炎症性肺疾患、炎症性関節疾患又は炎症性泌尿生殖器疾患から選択される、請求項10に記載の食品グレード細菌。
【請求項12】
請求項3〜9のうちのいずれか一項に記載の食品グレード細菌を含む治療用組成物。
【請求項13】
請求項3〜9のうちのいずれか一項に記載の食品グレード細菌を含む食品組成物。
【請求項14】
前記組成物が、被験者に経口投与されるよう意図されている、請求項10及び11のうちのいずれか一項に記載の組成物。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【図5G】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2013−517256(P2013−517256A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−548450(P2012−548450)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【国際出願番号】PCT/EP2011/050489
【国際公開番号】WO2011/086172
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(511074305)インセルム(インスティチュート ナショナル デ ラ サンテ エ デ ラ リシェルシェ メディカル) (5)
【出願人】(512177883)インスティチュート ナショナル デ ラ リシェルシェ アグロノミク(アイエヌアールエー) (1)
【出願人】(593055203)インスティチュート・パスツール (1)
【氏名又は名称原語表記】INSTITUT PASTEUR
【出願人】(511074316)ユニバーシティ パリ ディデロット−パリ 7 (2)
【Fターム(参考)】