説明

炎症遺伝子活性およびコレステロール生合成の阻害剤

短鎖ヘテロ二量体タンパク(SHP)またはファルネソイドX受容体(FXR)の阻害剤として有効な薬剤を同定する方法であって、プロモーター、細胞系およびベクターが上記の方法にて使用される。対象における炎症遺伝子活性および/またはコレステロール生合成に関連した状態を防止および/または治療するために同等物を使用する方法を含む、短鎖ヘテロ二量体タンパク(SHP)の阻害剤として有効な薬剤を調製および使用する方法。対象における炎症遺伝子活性および/またはコレステロール生合成を低下させるのに有効な組成物を含む、短鎖ヘテロ二量体タンパク(SHP)またはファルネソイドX受容体(FXR)を阻害剤として有効な薬剤および同等物を含む組成物。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(技術分野)
本発明は炎症性疾患活性および/またはコレステロール生合成の阻害剤として有効な薬剤を同定する方法であって、アテローム動脈硬化、炎症性腸疾患、腎疾患などの、炎症性疾患活性および/またはコレステロール生合成に関連した状態を防止および/または治療するための薬剤を含む組成物を調製および使用する方法に関する。本発明は炎症遺伝子活性および/またはコレステロール生合成の阻害剤として有効な薬剤に関する。例えば、短鎖ヘテロ二量体タンパク(SHP)およびファルネソイドX受容体(FXR)などの、核受容体の阻害剤に関する。本発明は炎症遺伝子発現および/またはコレステロール生合成に関する疾患または状態を防止および/または治療するのに有効な組成物を含む、このような阻害剤を含む組成物に関する。本発明はさらに炎症遺伝子発現および/またはコレステロール生合成を阻害する薬剤を調製および同定するのに用いられる感染細胞系およびベクターに関する。
【0002】
(背景技術)
炎症遺伝子発現は増え続ける病状および疾患に関連する。例えば、アテローム動脈硬化、腎および炎症性腸疾患は科学文献にて炎症遺伝子発現と関連付けられている。炎症性疾患に感受性を与えるまたはこれらの疾患の一部によって共有される異常な炎症過程に寄与する共通の遺伝的変異が存在する可能性があると仮定されている。これらの状態を組み合わさった影響が実質的な公衆衛生的な問題を表し、特にこれらの状態の各々が単独でこのような深刻な医学的な問題を表す。
コレステロール生合成経路もまたヒトにて有意な病状と関連付けられる。例えば、アテローム動脈硬化、または動脈硬化は、先進国における全死亡率の半分以上の原因で米国における死因の第1位である。冠動脈に影響する場合(例えば、冠動脈疾患(CHD))、大部分の心臓発作の根本原因で鬱血性心不全および不整脈の一般的な原因である。
病理学的過程はごく初期に動脈内膜に沈着した脂質から成る脂肪線条を伴って始まる。泡沫細胞として知られる修飾マクロファージがプラーク領域に蓄積する。これらの泡沫細胞が脂質、特に酸化低比重リポタンパク(LDL)を蓄積する。これらのリポタンパクおよびコレステロールエステルは内膜下線維芽細胞によるコラーゲン合成を誘発する。病変が線維性物質で浸潤されると、動脈内腔に突出する。病変自体が動脈を閉塞することは稀であり、むしろ血餅がプラークの先端に形成され、それが通路を閉鎖する。
【0003】
慢性病変は石灰化して血管の弾性は低下する。この動脈硬化は血流抵抗の増加および血圧の増加を引き起こす。体内のいずれの血管も理論的にはアテローム動脈硬化によって影響されるが、大動脈、冠状動脈、頸動脈および腸骨動脈が最もよく影響される。特定領域の虚血または梗塞は特定の症状および臨床転帰を引き起こす。
高血圧、高コレステロール、低HDL(高比重リポタンパク)、喫煙、糖尿病、年齢、性別、運動不足、および心臓疾患の家族歴はアテローム動脈硬化の進行の危険因子である。
アテローム動脈硬化は動態過程であって血漿リポタンパクが低下すればアテローム形成の進行は緩徐となるだろう。いくつかの薬理学的アプローチは高脂血症の根本原因によく依存する。食事療法が第一に行われるが薬物療法の一部として継続されなければならない。
ナイアシン(ニコチン酸)は最も有意にLDL産生を阻害して血漿LDL値を低下させる。肝臓でのコレステロール合成もまた阻害される。HDL値はHDL崩壊の低下によって増加する。血餅タンパクのフィブリノーゲンは低下して「クロットバスター」組織プラスミノーゲンアクチベーターが増加し、共にプラークにおける血餅形成を制限するのに重要であるだろう。
【0004】
副作用は皮膚の血管拡張および温熱覚、悪心、腹部不快感、皮疹または皮膚乾燥を含む。たとえビタミンであるとしてもコレステロールを低下させる投与量においていくつかの重篤な副作用を有し、それ故ナイアシンを受ける患者は内科医によってモニターされるべきである。
クロフィブレートはトリグリセリドに富むリポタンパクのクリアランスを増加させて間接的に肝臓におけるコレステロール合成を阻害する。最も一般的な副作用は腹部不快感および悪心である。稀に起こる毒性効果として、皮膚炎、肝機能異常、骨髄抑制、および時に男性の性欲減退が挙げられる。
コレスチポールのような胆汁酸結合樹脂は経口摂取される非常に大きな陽イオン交換樹脂である。腸にて、胆汁酸と結合して再吸収を阻害する。結果として胆汁酸の排泄が増加して血漿におけるLDL値が低下する。最も一般的な副作用は便秘、膨満感、胸焼け、および下痢である。
ネオマイシンはコレステロールの腸内再吸収を阻害する抗生剤でそれによって胆汁酸は血漿LDLを低下させる。重篤な副作用は低用量のネオマイシンでも生じるだろう。悪心、腹部疝痛、下痢および吸収不良が生じるだろう。また、耐性微生物が増殖して全腸炎(小腸および大腸の炎症)を引き起こすだろう。
【0005】
スタチンは現在入手可能な最も有効なコレステロールを低下させる薬物である。それらはアトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、およびシンバスタチンを含む。それらは血液内のLDLコレステロール(悪玉コレステロールと見なされる)およびトリグリセリドを低下させる一方でHDLコレステロールを増加させる。HDLコレステロールはコレステロールを崩壊することができる肝臓にコレステロールを輸送するので「善玉コレステロール」と見なされる。これらの薬物は主にトリグリセリドを低下させる有効性、能力および費用によって異なる。しかしながら、スタチンは一般に期間の約50%またはそれ以下しか有効でない。
コレステロールはアテローム動脈硬化にて観察される血管を損傷するプラーク形成に関与するその深刻な悪影響でよく知られるが、コレステロールはまたステロイドホルモンおよび胆汁酸の合成に使用され、細胞膜の成分として重要である。食事にて消費されるコレステロールに加えて、体もまたコレステロールを作る。細胞内コレステロール合成の律速段階はHMG−CoA還元酵素と呼ばれる酵素の作用に関係すると一般に考えられている。スタチンは、またHMG−CoA還元酵素阻害剤とも呼ばれ、この酵素を阻害して、細胞のコレステロール合成能を低下させる。
【0006】
アテローム動脈硬化による損傷は狭窄した血管を通る血流を制限するアテローム動脈硬化性プラークだけでなく、脆弱なプラークの破裂からも生じる。実際、ほとんどの問題は血餅形成を開始する物質を放出する破裂したプラーク由来である。プラーク内のコレステロールで満たされたスカベンジャー型の細胞は破裂しそうなプラークを作る物質を分泌する。スタチンはプラークを安定化するようである。最近の研究でまたスタチンが内膜を改善することが示された。内皮細胞は血餅形成および溶解に関係し、冠状動脈疾患を有する人々の機能不全に関係するようである。
スタチンは様々な副作用に関連してそれ故多くの患者にはあまり耐えられない。例えば、スタチンの有する肝毒性の危険性があるので血液検査が定期的に観察される。さらに、多くの薬物およびある食物はこれらの薬物と相互作用する。特定の人に、スタチンは筋炎(ミオパチー)を引き起こす。実際、これはいくつかの他のコレステロールを低下させる薬物またはエリスロマイシンを受けている人によく生じる。筋肉痛の発生は非常に重篤だろう。多くの場合で、筋攣縮が横紋筋融解症として知られる重篤な筋炎を形成するまで進行して腎不全を引き起こすだろう。これらの薬物の閉経後女性への副効用は骨成長刺激による骨粗鬆症および結果的な骨折の危険性を低下させることである。
【0007】
コレステロールを低下させる様々な市販の(OTC)栄養補助食品が糠油から作られる。それらはビタミンEに類似の活性を有するトコトリエノールを含有する。それらは体によるコレステロール合成を低下させるスタチンのように作用する。今のところ、それらの有効性および安全性は確立されていない。
上記の治療法の欠点を考えて、アテローム動脈硬化に関与する経路を理解する本質的な努力がなされた。特に、コレステロールのホメオスタシス経路を理解する、例えば、コレステロール低下を改善する薬剤を同定する努力がなされた。例えば、SHPはコレステロールホメオスタシス経路に示された。具体的には、肝性胆汁酸ホメオスタシスが胆汁酸の取り込みおよび合成に関連する遺伝子のネガティブフィードバックを阻害して調節され、胆汁酸が胆汁酸合成の律速遺伝子、コレステロール7アルファ−ヒドロキシラーゼ(cyp7a)を阻害性の核受容体として作用する、SHPの胆汁酸受容体(fxr)活性化を通して、ダウンレギュレーションすることが報告された。Densonら、Gastroenterology、121(1):218-20(2001)を参照。SHP遺伝子によりコードされるタンパクは推定リガンド結合ドメインを含有するが従来のDNA結合ドメインを欠くオーファン受容体である。該タンパクは核ホルモン受容体ファミリーのメンバーであり、小型の疎水性ホルモンによって調節される転写因子の一群であり、そのサブセットは既知のリガンドを有さず、オーファン核受容体と呼ばれる。ヒトオーファン核ホルモン受容体であるSHPタンパクはSeol,W.ら、Science、272:1336-39(1996)によって最初に特徴付けられた。しかしながら、今までに誰一人としてSHPを阻害できる化合物を同定したことはない。
【0008】
アテローム動脈硬化の例は例示であり、同様のケースが腎疾患および炎症性腸疾患などの多種の他の状態および疾患に当てはまる。各例にて、状態の以前の防止法および/治療法は患者によるそれらの有効性および/または許容範囲の点で不完全である。それ故、炎症遺伝子発現および/またはコレステロール生合成に関連した状態に対して有効で、患者に十分に許容される薬剤の必要が残る。
さらに、以前は炎症遺伝子経路および/またはコレステロール生合成経路にてSHPまたはFXRの活性を阻害するのに有効である薬剤を効果的に、確実に費用効率高く同定することができる、または対象における炎症性疾患発現および/またはコレステロール生合成に関連した状態に対して有効なそれらに基づいた製品を発展させることができる方法は全くなかった。
従って、薬剤を同定するのに用いられる細胞系、ベクターおよびプロモーター同様に、炎症遺伝子発現および/またはコレステロール生合成を低下させるのに有効な薬剤を同定する必要が残る。さらに、同等物を含む治療組成物と同様に、SHPおよびFXRのような、核受容体の阻害剤として有効な薬剤の必要が残る。また炎症性腸疾患および腎疾患のような、炎症性疾患に対して有効な組成物の必要と同様に、コレステロール高値を減らしてアテローム動脈硬化および他のコレステロール高値に関連した状態を防止および治療するのに有効な組成物の必要も残る。さらに、また炎症遺伝子活性およびコレステロール生合成に関連した状態のような、多数の関連状態に対して一般に有効な組成物および治療法の必要も残る。また上記の組成物の有効な調製法および投与法の必要も残る。
【0009】
(発明の開示)
これらおよび他の必要を満たすために、およびその目的の観点にて、本発明は炎症性疾患活性および/またはコレステロール生合成の阻害剤として有効な薬剤を同定、調製および投与する方法を提供し、上記の方法にて用いられる感染細胞系、ベクターおよびプロモーターを同様に提供する。薬剤を同定する本発明の方法は確実で、効率良く費用効率が高い。
本発明の具体例は短鎖ヘテロ二量体タンパク(SHP)またはファルネソイドX受容体(FXR)を阻害するのに有効な薬剤を同定する方法であって:(i)短鎖ヘテロ二量体タンパク(SHP)または(ii)ファルネソイドX受容体(FXR)を発現してNF−κBプロモーター/検出物質遺伝子レポーターを含む細胞培養に薬剤を投与すること;および細胞培養にて検出物質の増加を引き起こす薬剤を選択することを含む方法を提供する。
本発明のさらなる具体例は対象における炎症遺伝子活性および/またはコレステロール生合成に関連した状態を防止または改善する方法であって:本明細書に記載される本発明の方法のいずれかによって選択される薬剤を投与することを含む方法を提供する。
【0010】
本発明のさらなる具体例は本明細書に記載される本発明の方法のいずれかによって選択される薬剤を含む組成物を提供する。
本発明のさらなる具体例は核転写因子NF−κBプロモーター/ルシフェラーゼ(luc)遺伝子レポーターを含むベクターで感染、トランスフェクトまたは改変した細胞培養に投与した場合にルシフェラーゼの増加を引き起こすと特徴付けられる薬剤を含む組成物であって、上記の細胞培養が短鎖ヘテロ二量体タンパク(SHP)またはファルネソイドX受容体(FXR)を発現する組成物を提供する。
本発明のさらなる具体例はNF−κBプロモーターおよび検出物質遺伝子を含む:プロモーター/検出物質遺伝子レポーターであって、上記のNF−κBプロモーターが検出物質遺伝子の前に位置するプロモーター/検出物質遺伝子レポーターを提供する。
【0011】
本発明のさらなる具体例は配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8またはそれらの組み合わせの核酸配列を含むポリヌクレオチド:を含む単離したCYP7A1、CYP8B1またはSHPプロモーターを提供する。
本発明のさらなる具体例は非天然脱活性型短鎖ヘテロ二量体タンパク(SHP)またはファルネソイドX受容体(FXR):を含む組成物を提供する。
本発明のさらなる具体例は配列番号:1−4のいずれかに結合する薬剤:を含む組成物を提供する。
上記の概要および以下の詳細な説明は本発明の模範であるが、本発明を制限するものでないことが理解されるだろう。
【0012】
(図面の簡単な記載)
図1はエチニルエストラジオールによるIL−1βの阻害を説明する線グラフである。
図2はIL−1βによるHepG2におけるSHP発現の阻害を説明する線グラフである。
図3a、3bおよび3cはFnk、JABおよびLIXのエチニルエストラジオールによる阻害がIL−1βに特異的であることを説明する棒グラフである。
図4a、4b、4c、4d、および4eはエチニルエストラジオールがエストロゲン受容体(ER)依存性メカニズムによってIL−1βによる遺伝子発現の誘導を遮断することを説明する棒グラフである。
図5a、5b、5c、5d、および5eはERαが肝にてエチニルエストラジオールによる調節に必要とされることを説明する棒グラフである。
【0013】
図6aおよび6bはエチニルエストラジオールによる遺伝子発現の誘導がERαによるIL−1βによる遺伝子誘導の阻害に必要とされないことを説明する棒グラフである。
図7a、7b、7c、7d、および7eはエチニルエストラジオールによるIL−1βの阻害が肺にはないことを説明する棒グラフである。
図8はHepG2細胞におけるERαおよびErβによるIL−1βによるNF−κB活性の誘導の阻害を表す棒グラフである。
図9はERαによるマウス肝におけるSHP発現の調節を表す棒グラフである。
図10はラット肝におけるエストロゲンによるSHPの調節を説明する棒グラフである。
【0014】
図11aおよび11bはERαがヒト細胞にてhSHPプロモーター活性を調節することを説明する棒グラフである。
図12aおよび12bはERαが293細胞にてhSHPプロモーター活性を調節することを説明する棒グラフである。
図12cはERαが293細胞にてhSHPプロモーター活性を調節することを説明する線グラフである。
図13は293細胞にてE2応答配列の位置を説明するマップである。
図14a、14b、および14cはERによるSHPの誘導がCYP7A1およびCYP8B1を抑制できないことを説明する棒グラフである。
【0015】
図15はコール酸によるCYP7A1およびCYP8B1の抑制がSHPの誘導を必要としないことを説明する線グラフである。
図16はHepG2にてHNF1/pSIによって促進されるCYP8B1プロモーターに対するSHP/pSIを滴定することからわかるルシフェラーゼ活性を表す。
図17はTNF−アルファ、VCAM−1およびRANTESmRNAの肝レベルの用量依存的な誘導を説明するグラフである。
図18aおよび18bはUDCAおよびCAの相対的なSHP発現を説明するグラフである。
図19はHepG2細胞におけるCDCAの相対的な発現を説明するグラフである。
【0016】
図20aはHepG2細胞におけるGW4064の相対的な発現を説明するグラフである。
図20bはCDCAまたはGW4064処理による用量依存的に誘導されるM−CSF発現を説明するグラフである。
図21a−dはコール酸塩に依存する炎症遺伝子発現を説明する棒グラフである。
図22a−dは急速コール酸塩処理が用量依存的に炎症遺伝子発現を誘導することを説明する線グラフである。
図23a−dはUDCAが炎症遺伝子発現を誘導しないことを説明する棒グラフである。
【0017】
図24a−dはFXRアゴニストがHepG2細胞におけるICAM−1発現を誘導することを説明する線グラフである。
図25はGW4064がインビボでICAM−1発現を誘導することを説明する線グラフである。
図26はGW4064がICAM−1プロモーター発現を誘導することを説明する棒グラフである。
【0018】
(発明の詳細な記載)
胆汁酸は腸からの脂溶性栄養素の消化および吸収に必要な両親媒性ステロイド洗剤であって胆汁酸およびコレステロール代謝を調節する核受容体ファルネソイドX受容体(FXR)のリガンドであることが示された。胆汁酸は肝にて合成され、胆汁中に分泌され、回腸にて再吸収されて、門脈循環を通して肝に再輸送されて律速酵素、コレステロール7α−ヒドロキシラーゼ(cyp7a)をコードする遺伝子を抑制して胆汁酸合成を阻害する。オーファン核受容体SHP(短鎖ヘテロ二量体共役物質)のFXR介在誘導はSHPのアンタゴニストであるLRH−1(肝受容体ホモログ−1)活性、cyp7a発現を制御する転写因子を介してcyp7aの抑制を引き起こす(Goodwin 00 Cell & Lu 00 Cell)。それ故、高脂血症および胆汁鬱滞性肝疾患を制御する場合にFXRおよびSHPアンタゴニストの治療可能性が提供された。
FXRシグナル伝達経路における新規の機能が肝にて炎症遺伝子発現を誘導する可能性に関することが予期せず発見された。胆汁酸が非特異的な機序で肝マクロファージにて炎症性サイトカインを誘導することは以前に証明された(Miyakeら、00 JBC 275:21805)。FXRを介したシグナル伝達に加えて、胆汁酸はまた炎症遺伝子発現を引き起こすことが可能なタンパクキナーゼCシグナル伝達経路を直接活性化することが示された(Stravitz 95 JLR)。本明細書にて我々は肝細胞系、HepG2にて炎症遺伝子発現を直接活性化する活性化FXRの能力を証明する。HepG2細胞の胆汁酸、ケノデオキシコール酸(CDCA)、または合成FXRリガンドのGW4064による処理は炎症遺伝子の細胞間接着分子(intracellular adhesion molecule)(ICAM−1)およびマクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)の誘導を引き起こす。さらに以下の証拠はFXRシグナル伝達がSHP発現の誘導を介してNF−κB介在炎症遺伝子発現を誘導することを示す。これらの結果は炎症遺伝子発現を促進する活性化FXRの新規の役割を示唆する。FXRは大部分が肝、腸、副腎および腎にて発現するため、FXRまたはSHPアンタゴニストは例えば、アテローム動脈硬化、炎症性腸疾患のような疾患および腎疾患にて抗炎症活性を証明できた。
【0019】
上記の予期せぬ発見に基づいて、本明細書ではコレステロール合成経路および/または炎症遺伝子発現経路にてFXRおよび/またはSHPを阻害する薬剤を同定する方法が提供される。
本明細書で「組成物」または「治療組成物」および「複数の組成物」または「複数の治療組成物」なる語は、各々、同義的に使用される。それ故、複数形は単数形を含んで単数形は各用語の複数形を含む。
ある成分を「含む」組成物の説明はまた同様の成分から本質的に成るまたはそれらから成るその組成物を含む。
本明細書で用いられる「治療組成物」なる語は内部および外部の両方にて、細胞、組織、器官または系を治療するのに有用な組成物を意味する。
本明細書で用いられる「治療有効量」なる語は標的の病状を治療するのに有効な量を意味する。
【0020】
本明細書で用いられる、「医薬上許容される」なる語は、記載される組成物またはその成分が十分に高純度で不当な毒性、不適合性、不安定性、アレルギー応答、およびその類似物なく皮膚、組織、または膜に接触させて使用するのに適することを意味する。
「コレステロール高値」なる語は当業者によって不健康である種の治療の適当な標的であると考えられる血清低比重リポタンパク(LDL)コレステロール値のことを言う。現在、1dL当たり220mg(1L当たり5.7mmol)以上の血清LDLコレステロール値が不健康と考えられて治療の標的である。
本発明は炎症性疾患活性および/またはコレステロール生合成の阻害剤として有効な薬剤および組成物を調製および同定する方法であって対象におけるコレステロール生合成に関連した炎症性疾患または状態を防止および/または治療する組成物を使用する方法に関する。さらに本発明は炎症遺伝子発現および/またはコレステロール生合成を阻害する薬剤の調製および同定に使用される感染細胞系およびベクターに関する。
【0021】
本発明はまた本発明の方法によって同定した炎症遺伝子活性および/またはコレステロール生合成の阻害剤として有効な薬剤を提供する。例えば、本発明は短鎖ヘテロ二量体タンパク(SHP)およびファルネソイド受容体(FXR)のような、核受容体の阻害剤、特に炎症遺伝子経路および/またはコレステロール生合成経路におけるSHPおよびFXRの阻害剤に関する。本発明はアテローム動脈硬化、炎症性腸疾患および腎疾患のような、炎症遺伝子発現および/またはコレステロール生合成に関連する疾患または状態を防止および/または治療するのに有効な組成物を含む、このような阻害剤を含む組成物に関する。
さらに、本発明はコレステロール高値およびアテローム動脈硬化のような、関連疾患を改善および防止する組成物および方法を提供する。コレステロール高値および関連状態の改善および防止に有用な組成物を同定するために、本明細書ではコレステロールホメオスタシス経路におけるSHP活性を阻害する薬剤のスクリーニングに高性能および有効である方法が提供される。
本発明の治療組成物は単独またはいずれの他の医学的アプローチおよび/または治療法と組み合わせても使用可能である。本発明の治療組成物の使用に関連した副作用または問題は全く確認されていない。
【0022】
例えば、本発明の組成物および方法はまたコレステロール高値ではないが、コレステロール高値またはそれに関連した疾患の危険性のあることが証明される個人の場合に適している。高血圧、高コレステロール、低HDL(高比重リポタンパク)、喫煙、糖尿病、年齢、性別(35ないし44歳の白人男性の死亡率は白人女性の6倍である)、運動不足、心臓疾患の家族歴、などのような、広範囲の危険因子が当業者に公知であるとして考慮されるだろう。例えば、制限されないが、本発明の組成物はコレステロール高値またはアテローム動脈硬化のような、一般にそれに関連した疾患に遺伝的な傾向のあることが見出される人々、低比重リポタンパク(LDL)低値を有する人々、高血圧の人々、特定のライフステージの人々、などに投与されるだろう。例えば低LDLの場合、血清高比重リポタンパク(HDL)コレステロール高値は心臓を保護すると考えられるが、低値は早期CHD(冠動脈疾患)の有力な兆候である。HDL低値単独はHDLコレステロール値1dL当たり35mg(1L当たり0.90mmol)またはそれ以下、LDLコレステロール値1dL当たり160mg(1L当たり4.15mmol)以下およびトリグリセリド値1dL当たり250mg(1L当たり2.83mmol)以下と定義される。もちろん、これらの危険因子のいずれも新規の研究が行われるにつれて時間とともに変化するだろう。本発明はいずれかのこのような変化を考慮するように意図される。さらに、当業者はこのような状況を容易に同定して、本明細書にて提供される案内に基づいて、本発明の組成物を適当に投与することが可能である。
【0023】
核ホルモン受容体は様々な生理学的、発生学的、および毒物学的過程に関連するリガンド活性化転写因子である(Mangelsdolfら、1995;BlumbergおよびEvans、1998;Kliewerら、1999)。これらの受容体は高度に保存されたDNAおよびリガンド結合ドメインを有してそれらの二量化能に基づいて2つの群に細分される。第1群はエストロゲン、プロゲステロン、および糖質コルチコイド受容体を含み、それら全てはホモ二量体としてそれらの同族DNA応答配列に結合する。第2群はペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)、レチノイン酸受容体(RAR)、ビタミンD受容体、および甲状腺ホルモン受容体を含み、それら全てはレチノイドX受容体(RXR)として知られる共通の相手とヘテロ二量体を形成する。
ファルネソイドX受容体(FXR)は、高度に保存された核受容体スーパーファミリーDNA結合ドメイン由来の変性オリゴヌクレオチドプローブを使用してラット肝cDNAライブラリから単離され、この第2群に属する。高濃度のファルネゾール、メバロン酸経路のイソプレン代謝産物は、活性化FXRであることが見出された(Formanら、1995)。マウスオーソログRIP14が酵母2方向ハイブリッドアッセイを餌としてヒトRXRリガンド結合ドメインを使用してクローニングされてファルネソイドによってほとんど活性化されないことが見出された(Seolら、1995)。その代わりに、レチノイン酸および合成レチノイドのTTNPB{(E)−4−[2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフチレニル)−1プロペニル]安息香酸}が生理的濃度を超えるが、FXRの有力な活性剤であることが証明された(Zaviackiら、1997)。ファルネソイドおよびレチノイドはFXRの有用な初特性を可能にするが、活性化に高濃度が必要とされるのはこれらの化合物が内因性リガンドの前駆物質であるまたは特定の他の関連生理的リガンドの作用を模倣していることを示す。
【0024】
SHPはリガンドが未知の核ホルモン受容体スーパーファミリーの1つである。SHPタンパクのホモロジーによる分子モデリングはSHP(白ストランド)がゲイエレチノイン酸とRXRの複合体(赤ストランド)のリガンド結合ドメイン上にモデリングされる下図に示されるように、古典的リガンド結合受容体構造を達成可能であることを示す。SHPは必要な疎水性アミノ酸およびコアクチベーターまたはコリプレッサーとの電荷で固定された相互作用の形成に必要な負に帯電したアミノ酸を含む古典的なヘリックス12を含有する。
以下は短鎖ヘテロ二量体タンパク(SHP)をコードする遺伝子の核酸配列であって、本明細書では配列番号:1と指定される。
【0025】
【表1】

【0026】
以下は短鎖ヘテロ二量体タンパク(SHP)ポリペプチドのアミノ酸配列であって、本明細書では配列番号:2と指定される。
【0027】
【表2】

【0028】
以下はFXRをコードする遺伝子の核酸配列である:
【0029】
【表3】

【0030】
以下はFXRのアミノ酸配列である。
【0031】
【表4】

【0032】
本発明は例えばSHPまたはFXRと結合または競合して、炎症遺伝子経路および/またはコレステロール生合成にてSHPおよび/またはFXRの活性を阻害する薬剤(小分子、アンチセンスオリゴヌクレオチド、組換え受容体、抗体、など)の同定および/または改善に関する。これらの薬剤はコレステロールホメオスタシス経路にて胆汁酸合成におけるSHPまたはFXRの負の効果を阻害してそれによって血清LDLコレステロール値を有効に低下させるおよび/または炎症遺伝子発現経路におけるSHPまたはFXRの負の効果を阻害することができる。
【0033】
SHPまたはFXR阻害剤の同定法
SHPまたはFXRのリガンドは未知であるため、それらの活性に影響する分子を同定する結合アッセイは不可能である。本発明は炎症遺伝子発現および/またはコレステロール生合成経路にてSHPおよび/またはFXR活性を阻害する薬剤を同定する新規の方法を対象とする。
本明細書の実施例が証明するように、我々はエストロゲンがERα依存機序を介してSHPの発現を誘導することができることを立証した。このSHP誘導は肝細胞における胆汁酸合成および胆汁酸値を低下させると予想されるだろう。これはFXR活性低下および血漿トリグリセリドの上昇を伴うアポCII産生低下を引き起こすことができる。さらに、胆汁酸合成の低下は胆汁における胆汁酸のコレステロールに対する比率低下によって胆石形成傾向の増加を引き起こすことができる。興味深いことに、ホルモン補充療法中の女性はこれら2つの効果を示す:トリグリセリド値の増加および胆石罹患率の増加を有する。これはSHP活性の薬理学的操作が観察可能な生理的変化を引き起こすことを示す。それ故SHP活性の阻害はコレステロールの胆汁酸への転換を増加させてトリグリセリド値を上昇させる。これらはアテローム動脈硬化の患者において非常に好ましい効果である。
【0034】
本発明の具体例に従って、炎症遺伝子発現経路および/またはコレステロール生合成経路におけるSHPまたはFXR阻害剤を同定する方法はスクリーニングアッセイを含む。スクリーニングアッセイは候補薬剤を得て候補薬剤を(i)SHPまたは(ii)FXRを発現してNF−κBプロモーター/検出物質遺伝子レポーターを含む細胞培養に投与することに関する。SHPおよび/またはFXRを阻害する候補薬剤は検出物質の増加を引き起こす。それ故、有効な薬剤は各候補物質の投与後に感染細胞にて検出物質の増加をモニターして多数の可能な候補薬剤のいずれかから選択されるだろう。
ある具体例に従って、NF−κBプロモーターはチミジンキナーゼ(TK)プロモーターを含んでTKプロモーターの上流に2つのNF−κB応答配列の複製がある。
本発明の具体例に従ってSHP阻害剤を同定する別の方法は、一般にLRH−1およびSHPクローンの全長を構築し、LRH−1受容体を作製して、アデノウイルス構造を発現し、細胞系を選択してスクリーニングパラダイムを確立することに関する。本発明の実施例に従って、その過程は:CYP7A1またはCYP8B1プロモーターをクローニングする;検出物質遺伝子(例えば、ルシフェラーゼ(luc)遺伝子)の前にクローニングしたCYP7A1またはCYP8B1プロモーターをベクターに挿入してCYP7A1またはCYP8B1プロモーター/検出物質遺伝子(例えば、ルシフェラーゼ(luc)遺伝子)レポーターを形成する;CYP7A1またはCYP8B1プロモーター/検出物質遺伝子(例えば、ルシフェラーゼ(luc)遺伝子)レポーターを有する、SHP、および任意にHNF4αを発現する細胞培養を感染、トランスフェクトまたは改変して感染細胞培養を形成する;感染細胞培養に薬剤を投与する;および感染細胞培養において検出物質(例えば、ルシフェラーゼ)の増加を検出することに関する。
【0035】
本明細書ではコレステロール生合成経路および/または炎症遺伝子発現経路の両方における阻害剤として有効な特定の薬剤を同定する方法が提供される。本発明の別の実施例に従って、その過程は:CYP7A1またはCYP8B1プロモーターをクローニングする;検出物質遺伝子(例えば、ルシフェラーゼ(luc)遺伝子)の前にクローニングしたCYP7A1またはCYP8B1プロモーターをベクターに挿入してCYP7A1またはCYP8B1プロモーター/検出物質遺伝子(例えば、ルシフェラーゼ(luc)遺伝子)レポーターを形成する;CYP8B1プロモーター/検出物質遺伝子(例えば、ルシフェラーゼ(luc)遺伝子)レポーターを有するSHPおよび任意にHNF4αを発現する細胞培養を感染させて感染細胞培養を形成する;感染細胞培養に薬剤を投与する;および感染細胞培養において検出物質(例えば、ルシフェラーゼ)の増加を検出する;CYP7A1またはCYP8B1プロモーターをクローニングする;検出物質遺伝子(例えば、ルシフェラーゼ(luc)遺伝子)の前にクローニングしたCYP7A1またはCYP8B1プロモーターをベクターに挿入してCYP7A1またはCYP8B1プロモーター/検出物質遺伝子(例えば、ルシフェラーゼ(luc)遺伝子)レポーターを形成する;CYP7A1およびCYP8B1プロモーター/検出物質遺伝子(例えば、ルシフェラーゼ(luc)遺伝子)レポーターを有する、SHP、および任意にHNF4αを発現する細胞培養を感染させて感染細胞培養を形成する;感染細胞培養に薬剤を投与する;および感染細胞培養において検出物質(例えば、ルシフェラーゼ)の増加を検出することに関する。
ある具体例に従って、SHPおよび/またはFXRのタンパク値は薬剤がタンパクにまたはおそらくヌクレオチドレベルで作用しているか否かを証明するためにモニターされる。例えば、SHPを発現する細胞は(例えば、エピトープ標識によってまたは6または7個のアミノ酸のフラグ標識を使用して)標識されても当業者に公知であるような、ウェスタンブロット、ELISAまたはある適当な技術を使用してレベルモニターされてもよい。
【0036】
以下の開示は上記の方法を実施するための様々な具体例を記載する。さらに、SHP阻害剤としてのいずれの候補化合物を同定するための特別なアッセイの全過程を示す特別な実施例が以下(実施例3および4を参照)に提供される。実施例3は細胞培養のプラスミドでのトランスフェクトを使用して本発明のある実施例に従ってアッセイを行う特別な方法を提供する。実施例4は細胞培養をアデノウイルスで感染させる好ましい特別な方法を提供する。本発明の方法を使用すれば、SHPおよびFXR阻害剤が同定されるだろう。本明細書にて提供される開示に基づいて、当業者は本発明の様々な具体例に従って容易に上記の方法を行えるだろう。それ故、当業者は本明細書にて提供される情報に基づいて容易にSHPまたはFXR阻害剤を同定するアッセイを構築できるだろう。
【0037】
発現系およびベクター
宿主細胞(および同等物を含む細胞培養)は一般に本発明の発現系、それらの一部、またはポリヌクレオチドを組み込んで設計される。ポリヌクレオチドの宿主細胞への導入はDavisら、Basic Methods in Molecular Biology(1986)およびSambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Mannual、2nd ed.、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.(1989)のような、多くの標準的な実験室マニュアルに記載される方法、例えば、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、トランスベクション、マイクロインジェクション、陽イオン性脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入、スクレープローディング、弾丸導入、または感染によって、行われる。
適当な宿主の代表例はラット細胞(例えば、ラットヘパトーマ培養細胞)、マウス細胞(例えば、マウスヘパトーマ細胞)、ウサギ細胞、ヒト細胞およびそれらの類似物のような、哺乳類細胞を含む。例えば、適当な細胞はHELA、ヒト肝芽腫細胞系(HepG2)、ヒト胎生期腎293細胞系(HEK293)、ラットFTO−2B細胞、ラットMcA−RH7777またはそれらの組み合わせを含む。
組換え産生ポリペプチドは高性能液体クロマトグラフィ、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿法、酸抽出法、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィ、リン酸セルロースクロマトグラフィ、疎水性相互作用クロマトグラフィ、アフィニティクロマトグラフィ、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィ、およびレクチンクロマトグラフィを含む、既知の方法によって組換え細胞培養から再生および精製される。
【0038】
多くの様々な発現系が使用される。このような発現系は特に、染色体、エピソームおよびウイルス由来の系、例えば、細菌プラスミド、サルモネラのような弱毒化細菌(米国特許番号第4,837,151号)、バクテリオファージ、トランスポゾン、酵母エピソーム、挿入因子、酵母染色体因子、ワクシニアウイルスおよび他のポックスウイルス、シンドビスウイルス、アデノウイルス、バキュロウイルス、SV40、鶏痘ウイルス、仮性狂犬病ウイルスおよびレトロウイルスのような、パポバウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルスのようなアルファウイルス(米国特許番号第5,643,576号)、水疱性口内炎ウイルスのような非分節性マイナス鎖RNAウイルス(米国特許番号第6,168,943号)のようなウイルス由来のベクター、およびプラスミドおよびコスミドおよびファージミドのような、バクテリオファージ遺伝因子由来のベクターのような、それらの組み合わせ由来のベクター、を含む。発現系はプロモーターおよび(ポリアデニル化シグナルのような)他の調節因子のような、発現を生じさせると共に調節する制御領域を含むべきである。一般に、宿主におけるポリペプチドを産生するポリヌクレオチドを維持、増殖または発現するのに適したいずれの系またはベクターが使用されてもよい。適当なヌクレオチド配列は例えば、Sambrookら、Molecular Cloning、A Laboratory Manual(supra);またZhangら、Journal of Biological Chemistry、276(45):41690-41699(2001);Goodwinら、Molecular Cell、6:517-526(2000);およびSinalら、Cell、102:731-744(2000)を参照、に示されるような、様々な既知および通常の技術のいずれかによって発現系に挿入されてもよく、各々はその全体を明示することによって本明細書の一部とする。
【0039】
本発明はまた本発明のポリヌクレオチドまたは複数のポリヌクレオチドを含むベクター(例えば、発現ベクター、配列ベクター、クローニングベクター)、一般に本発明のベクターで設計される宿主細胞、および組換え技術による本発明のポリペプチドの産生を提供する。無細胞翻訳系はまた本発明のDNA構造由来のRNAを使用してこのようなタンパクを産生するのに行うことができる。
好ましいベクターはレンチウイルス、レトロウイルス、ヘルペスウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ワクシニアウイルス、バキュロウイルス、および所望の細胞親和性を有する他の組換えウイルスのような、ウイルスベクターである。それ故、機能的または変異タンパクまたはポリペプチド、またはそれらの断片をコードする遺伝子はウイルスベクターを使用してまたはDNAの直接導入を介してインビトロで導入可能である。標的組織における発現はウイルスベクターまたは受容体リガンドを有するような、トランスジェニックベクターを特異的な細胞にターゲティングして、または組織特異的プロモーターを使用して、またはその両方で実行可能である。標的遺伝子デリバリーはPCT出願番号WO95/28494に記載される。
一般にインビトロ法にて使用されるウイルスベクターはDNAを基本としたベクターおよびレトロウイルスベクターである。ウイルスベクターを構築および使用する方法は当該分野にて公知である(例えば、MillerおよびRosman、BioTechniques、1992、7:980-990)。好ましくは、ウイルスベクターは複製欠損である、すなわち、標的細胞にて自己複製できない。好ましくは、複製欠損ウイルスは最小ウイルスである、すなわち、ウイルス粒子を増殖させるためのゲノム封入に必要なゲノム配列のみを残す。
【0040】
DNAウイルスベクターは単純ヘルペスウイルス(HSV)、パピローマウイルス、エプシュタインバールウイルス(EBV)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、およびそれらの類似物のような、弱毒化または欠損DNAウイルスを含むが、それらに制限されない。欠損ウイルスが、ウイルスゲノム全体またはほとんど全体を欠損している、好ましい。欠損ウイルスは細胞導入後には感染しない。欠損ウイルスベクターの使用は特異的、局所的領域における細胞への投与を考慮して、ベクターが他の細胞に感染可能であるかは考慮しない。それ故、特異的な組織が特異的に標的可能である。特別なベクターの例は欠損単純ヘルペスウイルス1(HSV1)ベクター(Kaplittら、Molec.Cell.Neurosci.、1991、2:320-330)、糖タンパクL遺伝子を欠損した欠損ヘルペスウイルスベクター、または他の欠損ヘルペスウイルス(PCT出願番号WO94/21807およびWO92/05263);Stratford-Perricaudetら(J.Clin.Invest.、1992、90:626-630;またLa Salleら、Science、1993、259:988-990を参照)によって記載されるベクターのような、弱毒化アデノウイルスベクター;および欠損アデノ随伴ウイルスベクター(Samulskiら、J.Virol.、1987、61:3096-3101;Samulskiら、J.Virol.、1989、63:3822-3828;Lebkowskiら、Mol.Cell.Biol.、1988、8:3988-3996)を含むが、それらに制限されない。
アビゲン社(アラメダ、カリフォルニア;AAVベクター)、セルジェネシス社(フォスターシティ、カリフォルニア;レトロウイルス、アデノウイルス、AAVベクター、およびレンチウイルスベクター)、クローンテック社(レトロウイルスおよびバキュロウイルスベクター)、ジェノボ社(シャロンヒル、ペンシルベニア;アデノウイルスおよびAAVベクター)、ジェンベック社(アデノウイルスベクター)、イントロジェン社(ライデン、オランダ;アデノウイルスベクター)、モレキュラーメディシン社(レトロウイルス、アデノウイルス、AAV、およびヘルペスウイルスベクター)、ノージェン社(アデノウイルスベクター)、オックスフォードバイオメディカ社(オックスフォード、イギリス;レンチウイルベクター)、およびトランスジーン社(ストラスブルク、フランス;アデノウイルス、ワクシニアウイルス、レトロウイルス、およびレンチウイルスベクター)を含むが、それらに制限されない、様々な会社が市販ウイルスベクターを製造している。
【0041】
アデノウイルスは本発明のヌクレオチドを様々な型の細胞に有効にデリバリーするのに修飾可能な真核DNAウイルスである。様々な標準型のアデノウイルスがある。これらの標準型の中で、本発明の範囲内にて、2型または5型ヒトアデノウイルス(Ad2またはAd5)または動物起源のアデノウイルス(PCT出願番号WO94/26914を参照)を使用するのが好ましい。本発明の範囲内にて使用可能な動物起源のアデノウイルスはイヌ、ウシ、ネズミ(例えば、Mav1、Beardら、Virology、1990、75-81)、ヒツジ、ブタ、トリ、およびサル(例えば、SAV)起源のアデノウイルスを含む。好ましくは、動物起源のアデノウイルスはイヌアデノウイルスで、より好ましくはCAV2アデノウイルス(例えば、マンハッタンまたはA26/61株、例えば、ATCCVR−800)である。様々な複製欠損アデノウイルスおよび最小アデノウイルスベクターが記載された(例えば、PCT出願番号WO94/26914、WO95/02697、WO94/28938、WO94/28152、WO94/12649、WO95/02697、WO96/22378)。本発明に記載の複製欠損組換えアデノウイルスはいずれの当業者に公知の技術によって調製可能である(例えば、Levreroら、Gene、1991、101:195;欧州出願番号EP185573;Graham、EMBO J.、1984、3:2917;Grahamら、J.Gen.Virol.、1977、36:59)。組換えアデノウイルスは当業者に公知の、標準の分子生物学的手法を用いて再生および精製される。
アデノ随伴ウイルス(AAV)は安定した部位特異的な方法で、感染する細胞のゲノムに組み込むことができる比較的サイズの小さいDNAウイルスである。それらは細胞の成長、形態、または分化に影響せず広範囲の細胞に感染可能であり、ヒトの病原性に関連が見られない。AAVゲノムはクローニング、配列決定、および特徴付けられた。インビトロにおける遺伝子輸送に関するAAV由来のベクターの使用が記載された(PCT出願番号WO91/18088およびWO93/09239;米国特許番号第4,797,368号および第5,139,941;欧州出願番号EP488528、を参照)。本発明に記載の複製欠損組換えAAVは2つのAAV末端逆位配列(ITR)領域によって興味深く挟まれた核酸配列を含有するプラスミド、およびAAV封入遺伝子(repおよびcap遺伝子)を、ヒトヘルパー細胞(例えば、アデノウイルス)で感染させた細胞系に輸送するプラスミドをコトランスフェクトして調製可能である。生成したAAV組換え体は標準的な技術によって精製される。
【0042】
別の具体例にて、遺伝子は例えば、米国特許番号第5,399,346号;Mannら、Cell、1983、33:153;米国特許番号第4,650,764号および第4,980289号;Markowitzら、J.Virol.、1988、62:1120;米国特許番号第5,124,263号;欧州出願番号EP453242およびEP178220;Bernsteinら、Genet.Eng.、1985、7:235;McCormick、BioTechnology、1985、3:689;PCT出願番号WO95/07358;およびKuoら、Blood、1993、82:845に記載されるように、レトロウイルスベクターに導入可能である。レトロウイルスは分裂細胞に感染する組み込みウイルスである。レトロウイルスゲノムは2つのLTR、1つの封入配列、および3つのコード領域(gag、polおよびenv)を含む。組換えレトロウイルスベクターでは、gag、polおよびenv遺伝子は一般に全体的にまたは部分的に、欠失され、重要な異種核酸配列で置換される。これらのベクターは、HIV、MoMuLV(「ネズミモロニー白血病ウイルス」)、MSV(「ネズミモロニー肉腫ウイルス」)、HaSV(「ハービー肉腫ウイルス」)、SNV(「脾臓壊死ウイルス」)、RSV(「ラウス肉腫ウイルス」)、および類似ウイルスのような、異型のレトロウイルスから構築可能である。適当なパッケージング細胞系、特に細胞系PA317(米国特許番号第4,861,719号)、PsiCRIP細胞系(PCT出願番号WO90/02806)、およびGP+envAm−12細胞系(PCT出願番号WO89/07150)が記載された。加えて、組換えレトロウイルスベクターは一部のgag遺伝子を含む封入配列の伸長と同様に転写活性を抑制するためのLTR内の修飾を含有する(Benderら、J.Virol.、61:1639)。組換えレトロウイルスベクターは当業者に公知の標準の技術によって精製される。
レトロウイルスベクターは感染粒子として機能するまたは1ラウンドのトランスフェクションを行うために構築可能である。前者の場合、ウイルスは癌化能に関与することを除いてその遺伝子全てを維持し、異種遺伝子を発現するように修飾される。非感染ウイルスベクターはウイルスパッケージングシグナルを破壊するが、異種遺伝子およびパッケージングシグナルを含有するように設計される共誘導ウイルスをパッケージングするのに必要な構造遺伝子を維持するように増殖する。それ故、産生されるウイルス粒子は別のウイルスを産生することができない。
【0043】
レトロウイルスベクターはまたDNAウイルスによって誘導可能であって、それは1周期のレトロウイルス複製を可能にしてトランスフェクションの効率を増幅する(PCT出願番号WO95/22617、WO95/26411、WO96/39036およびWO97/19182を参照)。
別の具体例において、レンチウイルスベクターが直接デリバリーして、脳、網膜、筋、肝、および血液を含む、いくつかの組織型におけるトランス遺伝子の発現を維持する媒介物として使用可能である。ベクターは効果的にこれらの組織にて分裂および非分裂細胞を変換して重要な遺伝子の長期発現を維持することができる。概説として、Naldini、Curr.Opin.Biotechnol.、1998、9:457-63を参照;またZuffereyら、J.Virol.、1998、72:9873-80、を参照。レンチウイルスパッケージング細胞系は入手可能であって一般に当該分野に公知である。それらは遺伝子治療に関する高性能滴定レンチウイルスベクターの産生を容易にする。一例は少なくとも3ないし4日間で106IU/ml以上の滴定でウイルス粒子を産生可能なテトラサイクリン誘導VSV−G偽型レンチウイルスパッケージング細胞系である(Kafriら、J.Virol.、1999、73:576-584)。誘導可能な細胞系によって産生されるベクターはインビトロにおける非分裂細胞の効果的な変換の必要に応じて濃縮可能である。
陽イオン性オリゴペプチド(例えば、PCT特許出願番号WO95/21931)、DNA結合タンパク由来ペプチド(例えば、PCT特許出願番号WO96/25508)、または陽イオン性ポリマー(例えば、PCT特許出願番号WO95/21931)、またはブピバカイン(米国特許第5,593,972号)のような、他の分子はまたインビトロにおける核酸のトランスフェクションを容易にするのに有用である。
本発明の単離したポリペプチドはポリペプチドまたは外来ポリペプチドのような免疫原性断片の発現に必要な遺伝物質を含有する、生きたベクターを使用して、特に生きた組換え細菌、ウイルス、または他の生きた媒介物を使用して哺乳類にデリバリー可能である。特に、サルモネラ属、シゲラ属、エルシニア属、ビブリオ属、エシェリキア属およびBCGのような、消化管にコロニーを形成する細菌はワクチンベクターとして改良されて、これらおよび他の例はKolmgrenら(1992)およびMcGheeら(1992)によって記載される。
【0044】
以下は一連のベクターの一部として使用されるが、それらに制限されない:
モノネガウイルス目の非分節性、マイナス鎖、1本鎖RNAウイルスの分類
パラミクソウイルス科
パラミクソウイルス亜科
パラミクソウイルス属
センダイウイルス(マウスパラインフルエンザウイルス1型)
ヒトパラインフルエンザウイルス(PIV)1型および3型
ウシパラインフルエンザウイルス(BPV)3型
ルブラウイルス属
シミアンウイルス5(SV)(イヌパラインフルエンザウイルス2型)
ムンプスウイルス
ニューキャッスル病ウイルス(NDV)(トリパラミクソウイルス1型)
ヒトパラインフルエンザウイルス(PIV−2、4aおよび4b型)
モルビリウイルス属
麻疹ウイルス(MV)
イルカモルビリウイルス
イヌジステンパーウイルス(CDV)
小反芻獣疫ウイルス
アザラシジステンパーウイルス
牛疫ウイルス
未分類
ヘンドラウイルス
ニパウイルス
ニューモウイルス亜科
ニューモウイルス属
ヒト呼吸器合胞体ウイルス(RSV)
ウシ呼吸器合胞体ウイルス
マウス肺炎ウイルス
メタニューモウイルス属
ヒトメタニューモウイルス
トリニューモウイルス(以前の七面鳥鼻気管炎ウイルス)
ラブドウイルス科
リッサウイルス属
狂犬病ウイルス
ベシクロウイルス属
水疱性口内炎ウイルス(VSV)
エフェメロウイルス属
ウシ流行熱ウイルス
フィロウイルス科
フィロウイルス属
マールブルグウイルス
【0045】
RNAウイルスベクターは基本的に少なくとも1つのモノネガウイルス目の非分節性、マイナス鎖、1本鎖RNAウイルスのゲノムまたはアンチゲノムをコードする配列を含む単離した核酸分子である。単離した核酸分子はゲノム、アンチゲノム、またはそれらの修飾形態をコードするポリヌクレオチド配列を含んでもよい。ある具体例において、ポリヌクレオチドは結合可能なプロモーター、所望のゲノムまたはアンチゲノム、および転写ターミネータをコードする。
本発明の好ましい具体例において、ポリヌクレオチドはヌクレオチド挿入、転位、欠失、または置換によって野生型RNAウイルスから修飾されたゲノムまたはアンチゲノムをコードする。ゲノムまたはアンチゲノム配列はヒトまたは非ヒトウイルス由来であるだろう。ポリヌクレオチド配列はまたゲ2つまたはそれ以上のソースからのゲノムまたはアンチゲノムを組み換えて結合して形成されるキメラゲノムをコードしてもよい。例えば、A群のRSV由来の1つまたはそれ以上の遺伝子をB群のRSVの対応する遺伝子と置換して挿入する;またはウシPIV(BPIV)、PIV−1またはPIV−2由来の1つまたはそれ以上の遺伝子をPIV−3のRSVの対応する遺伝子と置換して挿入する;またはRSVをPIVの遺伝子に置換してもよいなど。さらなる具体例において、ポリヌクレオチドはヒト、ウシ、またはネズミウイルスであるモノネガウイルス目のRNAウイルスのゲノムまたはアンチゲノムをコードする。本発明の方法によって形成される組換えウイルスは治療または防止目的にて使用されるため、ポリヌクレオチドはまた選択されるRNAウイルスの弱毒化または感染形態をコードしてもよい。多くの具体例において、ポリヌクレオチドはRNAウイルスの弱毒化、感染形態をコードする。特に好ましい具体例において、ポリヌクレオチドは刊行された国際特許出願WO98/13501、参照として本明細書の一部とする、に記載されるように、3’ゲノムプロモーター領域に少なくとも1つ弱毒変異を有してRNAポリメラーゼ遺伝子に少なくとも1つ弱毒変異を有するモノネガウイルス目の非分節性、マイナス鎖、1本鎖RNAウイルスのゲノムまたはアンチゲノムをコードする。
【0046】
ベクターとして、上記のような所望のゲノムおよびアンチゲノムの修飾形態をコードするポリヌクレオチド配列はまた本発明の免疫原性タンパクに関する1つまたはそれ以上の遺伝子またはヌクレオチド配列をコードする。加えて、1つまたはそれ以上の異種遺伝子はまた所望されるような、所望の免疫原性組成物/ベクターを形成する場合含まれてもよい。所望の組換えウイルスの使用によって、異種遺伝子は補因子、(インターロイキンのような)サイトカイン、Tヘルパーエピトープ、制限マーカー、アジュバント、または異なる微生物病原体(例えば、ウイルス、細菌、または真菌)のタンパク、特に免疫応答保護によって誘導可能なタンパクをコードしてもよい。異種遺伝子はまた遺伝子治療に使用される薬剤を提供するのに使用されてもよい。好ましい具体例において、異種遺伝子は組換えウイルスの防止能または治療能を改善するのに選択される、インターロイキン−12のような、サイトカインをコードする。
好ましくは、ベクターはアデノウイルスである。より好ましくは、アデノウイルスは複製欠損アデノウイルスである。さらにより好ましくは、複製欠損アデノウイルスはSV40プロモーター、CMVプロモーター、MLPプロモーターまたはそれらの組み合わせを含む。さらにより好ましくは、複製欠損アデノウイルスはSV40プロモーターを含む。
【0047】
ハイスループットスクリーニング
本発明に記載の生物学的サンプルにおけるSHP阻害剤を検出および同定する方法はハイスループットスクリーニングの使用を意図する。ハイスループットスクリーニングからの情報量には3つの異なる相:生化学アッセイに関する実験設計、データ完全性の問題およびデータ分析がある。実験設計はスクリーニングを設定する場合最も重要であって瞬時に最適なアッセイ条件を同定して結果データの質を確保するのに使用される。データ完全性の問題は異なる組の化合物に関するアッセイ変動性の計算、系統的な効果の同定およびおそらく修正およびデータがその意図した使用に適当であるという検証に関係する。最終的に、データ分析はKiのような結果から未加工データを要約するためにデータ整理することまたはSAR、QSARまたは神経ネットワーク分析からのデータからパターンおよび情報を抽出することのいずれかの、データ処理に関係する。総合すれば、これらの方法は大量のデータから情報を抽出する仕事に取り組むことである。
実験設計は最適な条件を見出して応答曲面法をモデリングするのに必要とする多くの分野での利用が見出されるがしばしば生物学において十分に利用されていない古典的な統計学的方法である。実験設計の理論的基礎は多くの統計学の教科書、例えば、Cochran、W.G.およびCox、G.M.、Experimental Designs、John Wiley and Sons:New York、1957;Hicks、C.R.、Fundamental Concepts of Design of Experiments、Holt、Rhinehart and Winston、1974;Box、G.E.、Hunter、W.G.およびHunter、S.、Statistics for Experimenters:An Introduction to Design、Data Analysis and Model Building、John Wiley and Sons:New York、1978;Montgomery、D.C.、Design and Analysis of Experiments、John Wiley and Sons:New York、1984、各々はその全体を明示することによって参照として本明細書の一部とする、に詳細に記載される。適用の事例研究は特定の分野に関連の文献に見出すことができる。例はDaniel、C.、Applications of Statistics to Industrial Experimentation、John Willey and sons:New York、1976;Murphy、T.D.、design and analysis of industrial experiments、Chemical Engineering、June 6、1977、168-182に記載されるような工業的プロセス最適化;およびDeming、S.N.およびMorgan、S.L.、Experimental Design:a chemometric approach;Elsevier、1987;Austel、V.、Design of Test Series by Combined Apllication of 2n Factorial Schemes and Pattern Recognition Techniques. Quantitative Approaches to Drug Discovery;Dearden、J.C.、Ed.;Elsevier、1983に記載されるような化学を含む。生物学的および化学的適用に関して実験設計を使用することに関連した問題および方法論はHaaland、Experimental Design in Biotechnology、Marcel Dekker、1989によって記載される。
【0048】
最も少ない実行において最も多くの情報を抽出するために系統的な方法において最適化する手段への考慮が必要とされる。多くの場合、最適条件の同定は十分である。他の場合、因子および応答の関係は数学的にモデリングされている。相互作用は生物学において例外というよりむしろ標準であって問題の複雑さを大きく助長させるまたは最も悪い場合、データの解釈を不可能にさせるため特に重要である。特定の集団の実験設計は分散低減実験設計である。このような設計では、応答それ自体というよりむしろ応答の分散が最適化される。分散を最小にすることによってアッセイはより信頼できるのでこれらの設計は生物学において重要である。他の適用において、費用は重要な因子であって最適化はタンパクのような希少資源の使用を最小にするために所望される。多くの場合複数の応答が考慮される:例えば、タンパクを節約するために受容体濃度を低く維持しながら分散を最小にするが、それに制限されない。最終的に、モデル、古典的な実験設計の基礎を形成する線形モデルのような単純なものであっても、有する利点は、予測可能であるということである。
古典的な実験設計では、研究者が応答に影響すると考える多数の因子を選択する。因子の数および可能な範囲によって、これらの因子によって定義される余白を抽出するために異型の設計が選択される。後に特定の因子または因子間の相互作用の影響を測定することを可能にする系統的な方法で因子は全て同時に異なる。典型的には因子は処理範囲の際で抽出されて線形または多項式補間機能が設計点間の領域をモデリングするために使用される。
異なる実験設計が特定の対象にて選択される。ロボットアッセイが最初に設定される場合、しばしばアッセイの信頼性に潜在的に影響可能な多くの因子がある。重要な因子を見出すために、低分解能の一部実施要因設計が実行されるだろう。重要な因子が同定された後、因子に最適な設定を見出すために十分な要因設計が設定されるだろう。因子の感度を評価して高度な交互作用を試験するために、応答曲面モデリングが最適な設定領域を探索するのに実行可能である。
【0049】
最近の科学技術の進歩は薬物発見研究に関する新規のパラダイムを導入した。生物学アッセイにおける化学ライブラリおよびロボット系の有用性は1日に何百または何千もの化合物の合成および試験を可能にする。これはアッセイの自動化およびデータ分析を提供する。組み合わせライブラリは試験する大多数の化合物を提供する。ライブラリが分子標的の配列に対して試験される場合入手可能となる大量のデータは構造−活性関係分析の新規の機会を創りデータの完全性を確保してデータにおける傾向および関係を同定するための有効な統計学的方法の必要を増幅する。
本発明は特定の組織または細胞型にて発現するルシフェラーゼレポーター遺伝子の発現を阻害する薬剤の新規の、大規模スクリーニングを提供する。アプローチはハイスループットin-situ法およびそれに続く分析と薬剤ライブラリを組み合わせる。大多数の化合物がロボット技術を使用して1つの実行において試験されてもよい。例えば、約1,000ないし40,000個の化合物が1日に試験されてもよい。好ましくは、約40,000個の化合物1日に試験される。
本発明の具体例に従って、スクリーニングはロボットでウェルプレートにアリコートされる細胞の冷凍バイアルを利用する。ウェルプレートをインキュベートしプレートを除去してレポーターに関してアッセイする。好ましくは、4千万個の細胞が1回に使用されて、1000個の細胞が100個の384ウェルプレート(384個のウェルを有するウェルプレート)の各ウェルにアリコートされる。好ましくは、インキュベーションは約37℃で約24ないし約48時間行われる。
【0050】
薬剤
本発明の上記の方法は炎症遺伝子経路および/またはコレステロール生合成経路にてSHPおよび/またはFXRを阻害するのに有効な薬剤を同定可能である。本発明の方法によって同定されてもよい薬剤は小分子、アンチセンスオリゴヌクレオチド、組換え受容体(例えば、組換えSHP、組換えFXR、可溶性組換えSHP、可溶性組換えFXR)抗体およびそれらの類似物を含むが、それらに制限されない。
本発明のある具体例に従って、本発明はNF−κBプロモーター/ルシフェラーゼ(luc)遺伝子レポーターを含むベクターで感染させた細胞培養に投与される場合ルシフェラーゼの増加を引き起こすように特徴付けられる小分子のような、炎症遺伝子発現経路および/またはコレステロール生合成経路にてSHPおよび/またはFXR活性を阻害するのに有効な小分子を提供し、上記の細胞培養はSHPまたはFXRを発現する。
本発明のある実施例に従って、小分子はCYP7A1およびCYP8B1プロモーター/ルシフェラーゼ(luc)遺伝子レポーターを含むベクターで感染させた細胞培養に投与される場合ルシフェラーゼの増加を引き起こすように特徴付けられて、上記の細胞培養は短鎖へテロ二量体タンパク(SHP)および任意に肝細胞核因子4α(HNF4α)を発現する。
「小分子」なる語は本発明が関係する分野にて当業者に容易に理解されるような、その通常の意味および一般的な用法で使用される。好ましくは、小分子は分子量約50ないし約1500を有する。より好ましくは、薬剤の分子量は約50ないし約750である。さらにより好ましくは、小分子の分子量は約50ないし約500である。分子量は当業者に公知の小分子の分子量を測定するいずれの許容される方法に従っても定量される。
【0051】
小分子は多種多様の分類の化合物であってもよい。例えば、小分子は天然または合成脂質であってもよいが、それらに制限されない。さらに、小分子は脂溶性ないし水溶性の範囲であってもよい。本発明のある実施例に従って、小分子は脂溶性である。
本発明のある実施例に従って、小分子は天然または合成ステロイドである。ステロイドは天然に存在するおよび合成脂質または多様な生理活性を示す脂溶性化学物質の大群である。確かにステロイドの中には特定のアルコール(ステロール)、胆汁酸、多くの重要なホルモン、いくつかの天然の薬物、およびいくつかのヒキガエルの皮膚に見出される毒がある。ヒトの皮膚に見出される様々なステロールが日光の紫外線に曝される場合ビタミンDに転換される。実際、コレステロール自体はステロールである。
ステロイドホルモンは、ステロールと同一ではないが類似していて、副腎皮質ヒドロコルチゾン、コルチゾン、アルドステロン、およびプロゲステロン;および女性および男性性ホルモンのエストロゲンおよびテストステロンを含む。大部分の経口避妊薬は排卵を阻害する女性性ホルモンから成る合成ステロイドである。コルチゾンおよび様々なコルチゾン合成誘導体は医学にて広く使用されている。例えば、このようなステロイドは様々な皮膚疾患、関節リウマチ、喘息およびアレルギー、および様々な眼疾患、および副腎機能不全、または副腎皮質機能不全の場合に使用される。本発明の小分子全てがステロイドというわけではなくステロイド全てが本発明の小分子というわけではない。本明細書にて提供される手引きに基づいて、当業者は本発明の特定の小分子を同定する方法を容易に理解するだろう。
本発明のさらなる実施例に従って、小分子は非ステロイド化合物である。本明細書にて提供される手引きに基づいて、当業者は本発明のこの実施例に従って特定の小分子を同定する方法を容易に理解するだろう。
【0052】
本発明のある実施例に従って、小分子は非ステロイド化合物であるのが好ましい。より好ましくは、小分子は分子量約50ないし約1500を有する非ステロイド化合物である。さらにより好ましくは、小分子は分子量約50ないし約750を有する非ステロイド化合物である。さらにより好ましくは、小分子は分子量約50ないし約500を有する非ステロイド化合物である。
本発明のある実施例に従って、小分子は非エストロゲンステロイドホルモンであるのが好ましい。より好ましくは、小分子は分子量約50ないし約1500を有する非エストロゲンステロイドホルモンである。さらにより好ましくは、小分子は分子量約50ないし約750を有する非エストロゲンステロイドホルモンである。さらにより好ましくは、小分子は分子量約50ないし約500を有する非エストロゲンステロイドホルモンである。
本発明のある実施例に従って、小分子はSHPまたはFXRの成熟または未熟形態または同等物をコードする遺伝子に結合する。さらに、本発明のある実施例は受容体またはリガンドに関してSHPまたはFXRの成熟または未熟形態と競合する小分子を意図し、上記の小分子はアテローム動脈硬化に対して有効量の組成物中にある。加えて、本発明はSHPまたはFXRアンタゴニストである小分子を意図する。アンタゴニストは受容体に結合するが通常のリガンドによる通常の効果を誘導せず、それによって通常のリガンドの効果を遮断する構造アナログである。従って、SHPまたはFXRアンタゴニストはリガンドおよび/または受容体結合部位にて競合してSHPまたはFXRが結合するのを防止し、SHPまたはFXRの活性を阻害するだろう。本明細書にて提供される手引きに基づいて、当業者は本発明の実施例に従って容易にSHPまたはFXRアンタゴニストを同定して同等物を調製することが可能だろう。
【0053】
治療組成物
また治療組成物が提供される。本発明の組成物は上記のような、広範囲の状態を治療するのに有用である。例えば、本発明の治療組成物はヒト(好ましい)および非ヒト動物のような、哺乳類の血清低比重リポタンパク(LDL)コレステロール高値に使用可能である。例えば、動物はウシ、イヌ、ウマ、ネコ、およびブタであってもよい。特別な適用はアテローム動脈硬化およびLDLコレステロール高値に関係した他の状態の治療を含むが、それらに制限されない。
本発明の治療組成物は防止(すなわち、感染を防止するまたは感染の発症を低下させるため)または治療(すなわち、疾患または感染後の感染によって引き起こされる副作用を治療するため)のいずれかであってもよい。
組成物は本発明の薬剤を含んでもよい。そうするために、1つまたはそれ以上の薬剤が適当な濃度に調整されていずれの適当な希釈剤、担体、またはそれらのいずれの組み合わせによっても処方可能である。生理上許容される媒体が担体および/または希釈剤として使用されてもよい。これらは水、適当な等張性媒体、グリセロール、エタノールおよび他の従来の溶媒、リン酸緩衝生理食塩水、およびそれらの類似物を含むが、それらに制限されない。
処方されると、本発明の組成物は対象に直接投与され、対象由来の細胞にエクスビボで、またはインビトロでデリバリー可能である。対象に直接デリバリーするために、投与は鼻腔内、非経口、経口、腹腔内、静脈内、皮下、またはエアロゾルスプレーによってのように、鼻腔内、経口、眼、肺、膣、または直腸表面のようないずれの粘膜表面に局所適用されるいずれの従来の形態によってもよい。
【0054】
いずれの生物学上許容される投与形、およびそれらの組み合わせも、本発明の対象によって意図される。このような投与形の例はチュアブル錠、急速溶解錠、発泡錠、復元散剤、エリキシル、液剤、溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、多層錠、二層錠、カプセル、ソフトゼラチンカプセル、ハードゼラチンカプセル、カプレット、ロゼンジ、チュアブルロゼンジ、ビーズ、散剤、顆粒、粒子、微粒子、分散顆粒、サケット、圧注剤、坐剤、クリーム、局所剤、吸入剤、エアロゾル吸入剤、パッチ、粒子吸入剤、インプラント、持続性インプラント、内服剤、注射剤、注入剤、ヘルスバー、糖菓剤、家畜飼料、シリアル剤、シリアルコーティング剤、食品、栄養食品、機能性食品またはそれらの組み合わせを含むが、それらに制限されない。上記の投与形の調製は当業者に公知である。本発明の組成物は経口投与形であるのが好ましい。これらの投与形全ては当業者に公知である。
本明細書で使用される、「医薬上許容される」なる語は投与形が十分に高純度で不当な毒性、不適合性、不安定性、アレルギー応答、およびその類似物なく細胞、組織、または膜に接触させて使用するのに適することを意味する。
好ましい具体例において、本発明の治療組成物は生物学的対象に経口投与される。また、本発明の治療組成物はスープ形態で投与される。所望の味に変えるためにいずれのフレーバまたは食品をスープに加えてもよいと考えられる。
【0055】
様々な添加剤が本発明の組成物に組み込まれてもよい。本発明の任意の添加剤はスターチ、砂糖、脂肪、抗酸化剤、アミノ酸、タンパク、それらの誘導体またはそれらの組み合わせを含むが、それらに制限されない。
また即時放出、拡張放出、パルス放出、可変放出、制御放出、時間放出、持続放出、遅延放出、長時間作用型、およびそれらの組み合わせを含むが、それらに制限されない、様々な放出形態を組み合わせる投与形において本発明の対象の医薬組成物にて可能である。即時放出、拡張放出、パルス放出、可変放出、制御放出、時間放出、持続放出、遅延放出、長時間作用型特性、およびそれらの組み合わせを得る能力は当業者に入手可能な既知の方法および技術を使用して行われる。放出特性を得るためのこれらの各々の特定の技術または方法は当業者に公知である。本明細書にて使用される、「制御放出形態」なる語は制御放出として処方された成分を少なくとも1つ有するいずれの形態も意味する。本明細書にて使用される、「即時放出形態」なる語は即時放出として処方された医薬活性成分を少なくともいくつか有するいずれの形態も意味する。
以下の方法は本発明の対象の範囲内で行われない処方を調製する許容される方法を表すが、それらに制限されない。
急速溶解錠は例えば、経口投与後通常30秒以内に、合成錠の溶解または崩壊を促進する、砂糖およびセルロース誘導体のような薬剤と処方を混合して、調製されてもよいが、それらに制限されない。
【0056】
シリアルコーティング剤は例えば、フィルム状の活性成分、および賦形剤を形成した成分の表面に付着させるための精密なスプレーコーティング装置下でペレット、フレーク、または他の幾何学的形状に形成した後、シリアル形態を通して、調製されてもよいが、それらに制限されない。それ故治療される単位はシリアルコーティング剤を形成するために乾燥させる。
ヘルスバーは、処方および賦形剤(例えば、結合剤、充填剤、フレーバ、着色料、など)を混合してプラスチック硬度の塊に調製されてもよいが、それらに制限されない。塊は「キャンディーバー」形状を形成するように伸長または鋳造されて乾燥または凝固させて最終生成物を形成する。
ソフトゲルまたはソフトゼラチンカプセルは例えば、適当なビヒクル(植物油が一般に使用される)に処方を分散させて高粘度の混合物を形成して、調製されてもよいが、それらに制限されない。この混合物はソフトゲル産業に公知の技術および機械を使用してゼラチンを基礎にしたフィルムでカプセル封入される。それ故形成した産業単位は一定の重量まで乾燥する。
チュワブル錠は例えば、処方を設計した賦形剤と混合して飲み込むというよりむしろ噛むことを意図した比較的柔らかく、味付けされた錠剤投与形を形成することによって調製されてもよいが、それらに制限されない。従来の錠剤化機械および方法は、直接圧縮および圧縮前の、顆粒化、または強打の両方であるが、利用可能である。チュアブル投与形は医薬産業にて非常に一般的な投与形であるので医薬固形投与形製品に関係した人々は使用法および機械に精通している。
フィルムコーティング錠は例えば、錠剤上に隣接するフィルム層を付着させるための回転パンコーティング法またはエアサスペンション法のような技術を使用するコーティング錠剤によって調製されてもよいが、それらに制限されない。この方法はしばしば錠剤の美的外観を改善するのに行われるが、また錠剤の飲み込みを改善する、または不快な臭いまたは味を隠す、または不格好な未コーティング錠の性質を改善するために行われてもよい。
【0057】
圧縮錠剤は例えば、結合能を崩壊能に加えることを意図した賦形剤と処方を混合して調製されてもよいが、それらに制限されない。混合物は直接圧縮または顆粒化のいずれかが行われて、当産業に公知の方法および機械を使用して圧縮される。生成した圧縮錠剤投与単位は市場の需要に従って、すなわち、単位投与量、ロール、バルク瓶、透明包装、などに包装される。
例えば、動物飼料は当業者に公知の方法によって製造されてもよい。動物飼料は処方を結合成分と混合してプラスチック塊を形成することによって調製されてもよい。塊は高圧下で押し出されて管状(または「スパゲッティ様」)構造を形成しペレットサイズに切断されて乾燥する。
本発明の対象は、経口、バッカル、舌下、直腸、非経口、局所、吸入、注射および経皮、好ましくは経口を含むがそれらに制限されない、いずれの経路によっても投与される処方した医薬組成物を意図する。栄養組成物、それらの処方、および投与経路の物理化学的性質は吸収にて重要である。吸収とは投与部位から体循環への栄養組成物の移動の過程のことをいう。経口投与した栄養組成物は第一に利便性、経済性、安定性、および患者受容性に関して錠剤またはカプセル形態であるだろう。それらは吸収が生じる前に崩壊および溶解しなければならない。本発明の対象の、上記の投与経路または投与形のいずれかでの、使用は当業者に入手可能な公知の方法および技術を使用して行われる。
本発明の対象は広範囲の物質から調製されてもよい生物学上許容される担体の使用を意図する。このような物質は希釈剤、溶媒、結合剤および接着剤、潤沢剤、可塑剤、崩壊剤、着色料、充填物質、フレーバ、甘味料および雑多な組成物を含むが、それらに制限されない。
【0058】
結合剤は当業者に公知の他の従来の結合剤同様に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、または他の適当なセルロース誘導体、ポビドン、アクリル乾燥メタクリル酸コポリマー、医薬シロップ、ガム、乳清のような、ミルク誘導体、スターチ、およびそれらの誘導体のような広範囲の物質から選択されてもよい。制限しない毒性のない溶媒の例は水、エタノール、イソプロピルアルコール、塩化メチレンまたはそれらの混合物および組み合わせである。制限しない毒性のない充填物質の例は砂糖、ラクトース、ゼラチン、スターチ、および二酸化ケイ素を含む。
溶解修飾系に使用される可塑剤は前もって有機溶媒に溶解して溶液形態で加えられるのが好ましい。好ましい可塑剤はフタル酸ジエチル、セバシン酸ジエチル、クエン酸トリエチル、クロノチル酸、プロピレングリコール、フタル酸ブチル、セバシン酸ジブチル、ヒマシ油およびそれらの混合物から成るが、それらに制限されない群から選択されてもよい。明確であるように、可塑剤は事実上親水性と同時に疎水性であってもよい。フタル酸ジエチル、セバシン酸ジエチルおよびヒマシ油のような、非水溶性疎水性物質は水溶性物質の放出を遅延させるために使用される。対照的に、親水性可塑剤はカプセル封入フィルムを溶解する、表面にチャネルを作る、組成物を放出するのに有用な非水溶性物質が使用される場合に使用される。
本発明の対象の組成物は24時間中1回またはそれ以上に分けて、すなわち、分割量にて、24時間中単回投与、24時間中2回投与、または24時間中2回以上の投与で投与されてもよい。分割、2回または他の複数回投与は同時にまたは24時間中の別の時間に投与されてもよい。
本発明の組成物はヒトおよび他の動物に関する使用を意図する。投与量は体重に従って調整されて体重に基づいて本明細書にて示されてもよい。例えば、処方が55kgの人に対して約10−1000mgの範囲を指定する場合、その範囲は35kgの人に対して約6.3−630mg(例えば、より低い範囲限界(35kg/55kg)10mg=6.3mg)に調整されるだろう。小数の量は最も近い整数に四捨五入されてもよい。上記の方法にて本発明の組成物はサイズに関わりなく、いずれの動物も含む、いずれの個人にも適するように調整されるだろう。
【0059】
ポリペプチド
本発明の方法はSHPまたはFXR活性を阻害する薬剤をスクリーニングする。SHPおよびFXRに加えて、本発明はSHPまたはFXR活性を有するいずれの化合物の利用も意図する。例えば、SHPまたはFXRアゴニストまたは配列において軽度の変異を有するがSHPまたはFXRと同様の効果を有する化合物。このような化合物はSHPまたはFXR活性の阻害剤としてスクリーニングにて有用性を有するだろう。
例えば、標的化合物は配列番号:2または4の参考配列と同一の、すなわち100%同一のポリペプチド配列を有しても、また参考配列と比較して%同一性が100%以下であるようなある整数のアミノ酸変化まで含んでもよい。このような変化は少なくとも1つのアミノ酸欠失、保存的および非保存的な置換を含む、置換、または挿入を含む。変化は参考ポリペプチド配列のアミノ末端部位またはカルボキシ末端部位またはそれらの末端部位間のいずれにも生じて、参考アミノ酸配列内または参考アミノ酸配列内の1つまたはそれ以上の連続する群内のアミノ酸間に各々個々に散在してもよい。
それ故、本発明はまた配列表に含有されるアミノ酸配列(すなわち、配列番号:2または4)と配列同一性を有する単離したポリペプチドの使用を意図する。特定の配列によって、配列同一性の程度は50%以上(例えば、60%、70%、80%、90%、95%、97%、99%またはそれ以上)であるのが好ましい。これらの同種タンパクは突然変異体および対立遺伝子多型を含む。
【0060】
当該分野にて公知の、「同一性」は、配列を比較して定量されるような、2つまたはそれ以上のポリペプチド配列または2つまたはそれ以上のポリヌクレオチド間の関係である。当該分野にて、「同一性」はまたポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列間の、場合によっては、このような配列の列間の一致によって定量されるような、配列関係性の程度を意味する。「同一性」および「類似性」はComputational Molecular Biology、Lesk、A.M.、ed.、Oxford University Press、New York、1988;Biocomputing:Informatics and Genome Projects、Smith、D.W.、ed.、Academic Press、New York、1993;Computer Analysis of Sequence Analysis in Molecular Biology、von Heinje、G.、Academic Press、1987;およびSequence Analysis Primer、Gribskov、M.およびDevereux、J.、eds.、M Stockton Press、New York、1991;およびCarillo、H.、およびLipman、D.、SIAM J.Applied Math.、48:1073(1988)に記載されるものに含むがそれらに制限されない、既知の方法によって容易に計算可能である。同一性を定量する好ましい方法は試験される配列間に最も多い一致を与えるように設計される。同一性および類似性を定量する方法は公的に入手可能なコンピュータプログラムに含まれる。2つの配列間の同一性および類似性を定量する好ましいコンピュータプログラム法はGCGプログラムパッケージ(Devereux、J.ら、1984)、BLASTP、BLASTN、およびFASTA(Altschul、S.F.ら、1990)を含むが、それらに制限されない。BLASTXプログラムはNCBIおよび他のソースから公的に入手可能である(BLAST Manual、Altschul、S.ら、NCBI NLM NIH Bethesda、Md.20894;Altschul、S.ら、1990)。既知のスミスウォーターマンアルゴリズムはまた同一性を定量するのに使用されてもよい。
【0061】
例えば、一定の%同一性に関するアミノ酸変化数は複数の配列の1つからのアミノ酸総数を各パーセント同一性の数値パーセント(100で割った値)と掛けて上記の複数の配列からのアミノ酸総数から上記の積を引くこと、すなわち:
≦x−(x・y)
式中、naはアミノ酸変化数であって、xaは複数の配列のアミノ酸総数であり、いずれのyも、例えば、70%で0.70、80%で0.80、85%で0.85などであって、xaおよびyの非整数積はそれをxaから引く前に最も近い整数に四捨五入される
によって定量可能である。
修飾および変化はSHPまたはFXRの構造において生じるが、化合物はSHPまたはFXR活性を維持するだろう。あるアミノ酸は活性および/または抗原性をそれほど喪失せずに配列内の他のアミノ酸に置換可能である。なぜならポリペプチドの生物学的機能活性を定義するのはポリペプチドの相互作用能および性質であって、あるアミノ酸配列置換はポリペプチド配列(または、当然、その基礎をなす配列をコードするDNA)内に作られるためであり、いずれにせよ類似能を有するポリペプチドを得ることができる。
それ故本発明は当業者に公知であるような本明細書に記載の反応性と本質的に同様の活性を提供する生物学的な同等物であるいずれの単離したポリペプチドも意図する。
【0062】
本発明は配列番号:2または4のアミノ酸配列を含むポリペプチドの変異体であるポリペプチドを使用することを意図する。本明細書にて使用される、「変異体」なる語は参考ポリペプチドとは異なるポリペプチドを含むが、本質的な性質を維持する。一般に、相違は限定されていてその結果参考ポリペプチドおよび変異体の配列は全体として非常に類似していて、多くの領域にて、同一である(すなわち、生物学的に同等である)。変異体および参考ポリペプチドは1つまたはそれ以上の置換、付加、または欠失によっていずれの組み合わせにおいてもアミノ酸配列にて異なってもよい。置換または挿入アミノ酸残基は遺伝コードにコードされていてもされていなくてもよい。対立遺伝子多型のようなポリペプチドの変異体は自然に生じ、または自然に生じるか未知である変異体であるだろう。ポリペプチドの非自然的に生じる変異体は直接合成してまたは突然変異技術によって作られてもよい。
このような変化をつくる際に、アミノ酸ハイドロパシック指数が考慮されるだろう。ポリペプチドに相互作用する生物学的機能を与えるアミノ酸ハイドロパシック指数の重要性は当該分野にて一般に理解される(Kyte&Doolittle、1982)。あるアミノ酸が類似のハイドロパシック指数またはスコアを有する他のアミノ酸で置換可能であってそれでも類似の生物学的活性を有するポリペプチドであることが知られている。各アミノ酸はその疎水性および電荷特性に基づいてハイドロパシック指数を与えられた。それらの指数は以下の各アミノ酸に続く括弧内に記載される:イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/システイン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(−0.4);スレオニン(−0.7);セリン(−0.8);トリプトファン(−0.9);チロシン(−1.3);プロリン(−1.6);ヒスチジン(−3.2);グルタミン酸(−3.5);グルタミン(−3.5);アスパラギン酸(−3.5);アスパラギン(−3.5);リジン(−3.9);およびアルギニン(−4.5)。
【0063】
アミノ酸残基の相対的なハイドロパシック特性は生成したポリペプチドの2次および3次構造を決定し、同様にそれがポリペプチドの酵素、基質、受容体、抗体、抗原、およびそれらの類似物のような、他の分子との相互作用を定義すると考えられる。アミノ酸が類似のハイドロパシック指数を有する別のアミノ酸によって置換可能であって機能的に類似のポリペプチドを得られることが当該分野にて知られている。このような変化において、ハイドロパシック指数が+/−2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、+/−1以内であるのが特に好ましく、+/−0.5以内であるのがさらにより特に好ましい。
類似のアミノ酸の置換はまた親水性に基づいて行うことができ、特にそれらによって作られる生物学的機能が同等なポリペプチドまたはペプチドが免疫学的具体例における使用を意図される。米国特許番号第4,554,101号は、参照として本明細書の一部とする、隣接するアミノ酸の親水性に影響されるような、ポリペプチドの最も大きな局所的な平均親水性はその免疫原性および抗原性、すなわち、ポリペプチドの生物学的特性と相関することを記載する。
米国特許番号第4,554,101号にて詳述されるように、以下の親水性度はアミノ酸残基に与えられた:アルギニン(+3.0);リジン(+3.0);アスパラギン酸(+3.0±1);グルタミン酸(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);プロリン(−0.5±1);スレオニン(−0.4);アラニン(−0.5);ヒスチジン(−0.5);システイン(−1.0);メチオニン(−1.3);バリン(−1.5);ロイシン(−1.8);イソロイシン(−1.8);チロシン(−2.3);フェニルアラニン(−2.5);およびトリプトファン(−3.4)。アミノ酸は類似の親水性度を有する別のものに置換可能であって生物学的に同等の特に、免疫学的に同等のポリペプチドを得られることが理解される。このような変化において、親水性度が±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、±1以内であるのが特に好ましく、±0.5以内であるのがさらにより特に好ましい。
【0064】
上記に概説したように、それ故、アミノ酸置換は一般に、アミノ酸側鎖置換基の相対的な類似性、例えば、疎水性、親水性、電荷、サイズおよびそれらの類似物に基づく。様々な上記の特性を考慮する模範的な置換基は当業者に公知であって:アルギニンおよびリジン;グルタミン酸およびアスパラギン酸;セリンおよびスレオニン;グルタミンおよびアスパラギン;およびバリン、ロイシン、およびイソロイシンを含む。以下の表XIIIに示されるように、適当なアミノ酸置換基は以下を含む:
【0065】
【表5】

【0066】
ポリペプチドの生物学的または機能的同等物はまた本発明の実施例に従って使用されてもよいような部位特異的突然変異を使用して調製可能である。部位特異的突然変異は第2世代ポリペプチド、または基礎をなすDNAの特異的突然変異誘発を介する、その配列由来の、生物学的または機能的に同等のポリペプチドの調製に有用な技術である。上記に示されるように、このような変化はアミノ酸置換基が所望される場合に所望可能である。さらに技術は例えば、1つまたはそれ以上のヌクレオチド配列変化をDNAに導入することによって、1つまたはそれ以上の上記の考慮を入れる、配列変異体を容易に調製および試験する能力を提供する。部位特異的突然変異は十分な数の隣接するヌクレオチド同様に、所望の突然変異のDNA配列をコードする特異的なオリゴヌクレオチド配列の使用を介して突然変異体を産生し、両側の欠失連結部が妨害される安定した2本鎖を形成するのに十分なサイズおよび配列複雑性を有するプライマー配列を提供することを可能にする。典型的には、長さ約17ないし25のヌクレオチドが好ましく、両側の配列連結部の約5ないし10残基が変化する。
一般に、部位特異的突然変異の技術は当該分野に公知である。理解されるように、技術は典型的には1本鎖および2本鎖形態の両方で存在可能なファージベクターを使用する。典型的には、本明細書に従って部位特異的突然変異誘発法は最初にその配列内に選択されるSHPポリペプチド配列の全てまたは一部をコードするDNA配列を含む1本鎖ベクターを得ることによって行われる。所望の変異配列を産生するオリゴヌクレオチドプライマーは例えば、既知の技術によって(例えば、合成して)、調製される。このプライマーは変異産生鎖の合成を完了させるために、1本鎖ベクターにアニールされて、E.coliポリメラーゼIクレノー断片のような、酵素によって伸長される。それ故、ヘテロ2本鎖は一方の鎖が原型の非変異配列をコードして他方の鎖が所望の変異を産生するように形成される。このヘテロ2本鎖ベクターはE.coli細胞のような、適当な細胞を転換するのに使用されて、変異を産生する組換えベクターを含むクローンが選択される。市販のキットが必要な試薬を提供する。
【0067】
ポリペプチドはさらなる構造または機能分析、または試薬の産生における使用のために断片に有利に分裂されてもよい。これは精製または未精製のポリペプチドをエンドプロテイナーゼglu−C(ボエリンガー社、インディアナポリス、IN)のようなペプチダーゼで処理して達成可能である。CNBrによる処理はペプチド断片が天然のSHPまたはFXRポリペプチドから産生されてもよい別法である。組換え技術はまたSHPまたhFXRポリペプチドの特異的な断片を産生するのに使用可能である。
ポリペプチドは「成熟」または「未熟」タンパクの形態であっても融合タンパクのような大規模タンパクまたは中間物質の一部であってもよい。ポリペプチドは例えば、分泌またはリーダー配列、前配列、複数のヒスチジン残基のような精製を促進する配列、または組換え産物間の安定性に付加する配列を、含有する付加的なアミノ酸配列を含んでもよい。
ポリペプチド断片はまた本発明によって意図される。断片は全体的にアミノ酸配列の一部同様であるが、全てではないアミノ酸配列を有するポリペプチドである。断片は例えば、少なくとも7個またはそれ以上の(例えば、8、10、12、14、16、18、20個、またはそれ以上)アミノ酸配列の連続するアミノ酸を、を含むことができる。断片は「独立」していてもそれらが領域の一部、最も好ましくは単一の、連続する領域として形成するより大きなポリペプチド内に含まれてもよい。
SHP活性の阻害剤を同定する方法にて使用されるポリペプチドはいずれの適当な方法にても調製可能である。このようなポリペプチドは天然に生じるポリペプチド、組換えて製造したポリペプチド、合成して製造したポリペプチド、およびこれらの方法を組み合わせて製造したポリペプチドを含む。このようなポリペプチドの製法は当該分野に十分に理解される。
【0068】
ポリヌクレオチド
本発明はまた本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、およびそれらに密接に関係したポリヌクレオチドを含む単離したポリヌクレオチドを提供する。ポリヌクレオチドは例えば、本発明の実施例に従って、細胞系にてSHPまたは受容体遺伝子を発現するのに、使用されてもよい。
例えば、本発明のポリヌクレオチドは単離したCYP7A1またはCYP8B1プロモーターを含むがそれらに制限されない。以下は本発明のある具体例に従って使用される2つのプロモーターである。
【0069】
【表6】

【0070】
【表7】

【0071】
本発明のある具体例に従って、CYP8B1プロモーターはヒトCYP8B1の転写開始部位に対してヌクレオチド−514ないし+303の配列を含む。ヒトCYP8B1−514ないし+303(配列番号:7)のヌクレオチド配列は以下の通りである。
【0072】
【表8】

【0073】
さらに、ポリヌクレオチドは検出物質(本明細書では検出物質遺伝子という)をコードする遺伝子を含んでもよい。例えば、検出物質は蛍光ルシフェラーゼ遺伝子、β−ガラクトシダーゼ遺伝子、分泌型アルカリホスファターゼ遺伝子、ウミシイタケルシフェラーゼ遺伝子またはそれらの組み合わせを含んでもよいがそれらに制限されない。好ましくは、検出物質遺伝子は蛍光ルシフェラーゼ遺伝子である。本発明のある実施例に従って、CYP7A1またはCYP8B1プロモーター(例えば、ヒトCYP8B1の転写開始部位に対してヌクレオチド−514ないし+303の配列を含むCYP8B1プロモーター)および検出物質遺伝子を含むヌクレオチド配列はプラスミドまたはアデノウイルスのような、ベクターにクローニングされ、CYP8B1プロモーター/検出物質遺伝子受容体のような構築物を形成するが、それらに制限されない。CYP8B1プロモーター/検出物質遺伝子
レポーターは細胞系を感染またはトランスフェクトさせてCYP8B1プロモーターが活性化された場合細胞系が検出物質を発現するのに使用されてもよい。
本発明のヌクレオチドはプロモーターまたはSHPおよび/またはFXRをコードする遺伝子を含んでもよい。プロモーターまたは遺伝子はNF−κBプロモーターおよび検出物質遺伝子を含むベクターにクローニングされてもよい。
本発明のある具体例に従って、SHPプロモーターはベクターにクローニングされる。好ましくは、SHPプロモーターは以下の核酸配列を有する:
【0074】
【表9】

【0075】
本発明は短鎖ヘテロ二量体タンパク(SHP)をコードする遺伝子および/または肝細胞核因子4α(HNF4α)をコードする遺伝子を含んでもよい。SHPおよび任意にHNF4αをコードする遺伝子はCYP7A1またはCYP8B1プロモーターおよび検出物質遺伝子を含むベクターにクローニングされてもよい。ヌクレオチドは制限されない、単一のベクターまたは複数のベクターにクローニングされてもよい。
本明細書にて使用される「変異体」なる語は、参考ポリヌクレオチドとは異なるが、本質的な性質を維持するポリヌクレオチドである。変異体のヌクレオチド配列における変化は参考ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドのアミノ酸配列を変化させてもさせなくてもよい。ヌクレオチドの変化は参考配列によってコードされるポリペプチドにおけるアミノ酸置換、付加、欠失、融合、および切断を生じてもよい。ポリヌクレオチドの変異体は対立遺伝子多型のような天然に生じるものであっても天然に生じるか未知である変異体であってもよい。天然に生じないポリヌクレオチドの変異体は突然変異誘発法または直接合成によって作られてもよい。
本発明はまた本明細書に記載のポリヌクレオチドに低ストリンジェント条件、より好ましくはストリンジェント条件、最も好ましくは高ストリンジェント条件下でハイブリダイゼーション可能なポリヌクレオチドを含む。ストリンジェント条件の例は以下のストリンジェント条件表に示される:高ストリンジェント条件は少なくとも、例えば、条件A−Fと同じくらいストリンジェントである;ストリンジェント条件は少なくとも、例えば、条件G−Lと同じくらいストリンジェントである;および低ストリンジェント条件は少なくとも、例えば、条件M−Rと同じくらいストリンジェントである。
【0076】
【表10】

【0077】
【表11】

【0078】
bp:ハイブッリド長はハイブリダイゼーションするポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションした領域に対して予想されるものである。あるヌクレオチドを未知の配列の標的ポリヌクレオチドにハイブリダイゼーションする場合、ハイブリッド長はハイブリダイゼーションするポリヌクレオチドの長さであると予想される。既知の配列のポリヌクレオチドがハイブリダイゼーションされる場合、ハイブリッド長はポリヌクレオチドの配列を調整して最適な配列相補性を有する1つの領域または複数の領域を同定して定量可能である。
緩衝液:SSPE(1xSSPEは0.15MNaCl、10mMNaHPO、および1.25mMEDTA、pH7.4である)はハイブリダイゼーションにてSSC(1xSSCは0.15NaClおよび15mMクエン酸ナトリウムである)で置換可能であるおよび洗浄緩衝液;洗浄はハイブリダイゼーションの完了15分後に行われる。
ないしT:長さ50塩基対以下と予想されるハイブリッドに関するハイブリダイゼーション温度はTが以下の式に従って定量される場合、ハイブリッド融点(T)以下の5−10ECであるべきである。長さ18塩基対以下のハイブリッドでは、T(EC)=2(Aの#+T塩基)+(Gの#+C塩基)である。長さ18ないし49塩基対のハイブッリドでは、T(EC)=81.5+16.6(log10[Na])+0.41(%G+C)−(600/N)であって、Nはハイブッリド内の塩基数であり、[Na]はハイブリダイゼーション緩衝液中のナトリウムイオン濃度である(1xSSCでは[Na]=0.165Mである)。
ポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションに関するストリンジェント条件の別の例がSambrook、J.、E.F.Fritsch、およびT.Maniatis、1989、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY、chapters 9および11、およびCurrent Protocols in Molecular Biology、1995、F.M.Ausubelら、eds.、John Wiley&Sons、Inc.、sections 2.10および6.3-6.4にて提供されて、参照として本明細書の一部とする。
【0079】
本発明はまたこれらのヌクレオチドに完全に相補的なポリヌクレオチドを提供してまたアンチセンス配列を提供する。本発明のアンチセンス配列は、またアンチセンスオリゴヌクレオチドというが、本発明のポリヌクレオチドをコードするポリヌクレオチドの発現を遮断する内部で産生される配列および外部から投与した配列の両方を含む。本発明のアンチセンス配列は、例えば、約15−20塩基対を含む。アンチセンス配列は、例えば、プロモーターが上流の非翻訳配列に結合するのを防止するまたはリボソームが結合するのを防止して本発明のポリペプチドをコードする転写産物の翻訳を防止することによって転写を阻害するように設計可能である。
本発明のポリヌクレオチドは多くの方法(例えば、DNAライブラリ、有機体自身から化学合成によって)で調製されて様々な形態(例えば、1本鎖、2本鎖、ベクター、プローブ、プライマー)を成すことができる。「ポリヌクレオチド」なる語はDNAおよびRNA、およびまた修飾骨格を含有するようなそれらのアナログを含む。
本発明のポリヌクレオチドがポリペプチドの組換え製品用に使用される場合、ポリヌクレオチドは単独で、成熟ポリペプチドまたはその断片のコード配列、リーダー配列または分泌配列をコードするような、他のコード配列と共に読み枠内にある成熟ポリペプチドまたは断片のコード配列、プレ、プロ、またはプレプロタンパク配列、または他の融合タンパク部分を含んでもよい。例えば、融合ポリペプチドの精製を容易にするマーカー配列はコード配列に結合可能である。ポリヌクレオチドはまた転写された、非翻訳配列、スプライシングおよびポリアデニル化シグナル、リボソーム結合部位、およびmRNAを安定化する配列のような、非コード5’および3’配列を含有してもよい。
【0080】
投与法
本発明は対象に上記の組成物を投与する方法を意図する。対象は哺乳類または鳥類が可能である。好ましくは、対象はヒトである。適量の投与量で有効量の組成物が対象に投与されて所望の応答を引き出す。本明細書にて使用される、「有効量」は、哺乳類宿主に単一投与または一連の投与の一部のいずれかで、少なくとも治療される個人の系が所望の応答、例えば、アテローム動脈硬化の場合、血清LDLコレステロール値を減らす応答を生むようにするのに十分な量を投与することを意味する。保護は免疫原性組成物の単一投与によって与えられても、保護を維持するための後期の追加投与量に加えて、いくつかの投与量の投与を必要としてもよい。
投与量は年齢および体重のような、個人に特異的な条件によって変化可能である。この量は当業者に公知の方法による通常の試験にて定量可能である。
患者に本発明の組成物を投与するための様々な投与形が上記される。当業者によって定量される組成物を投与するためのいずれの適当な投与形も本発明によって意図される。
【0081】
実施例
以下の実施例は説明であって本発明はそれらに制限されることを意図しない。
【0082】
実施例1−エチニルエストラジオールはマウス肝におけるIL−1βによる遺伝子発現の誘導を阻害する
心臓血管疾患の発生率は閉経期前の女性に非常に低いが、閉経期以降で劇的に上昇するという観察に基づいてある研究が行われた。多くの研究はホルモン補充療法が閉経後の女性にて心臓血管疾患の発生率を低下させることができることを示した。エストロゲンは脂質プロフィールに有利な効果を有するが、脂質の変化は疾患の発生率の低下を部分的にしか説明できない。炎症はアテローム動脈硬化の過程の重要な成分である。エストロゲンのインビボにおける炎症を阻害する能力を研究するために、卵巣摘除メスC57BL/6マウスをビヒクルまたはエチニルエストラジオール(EE)で4日間処理して続いてIL−1βで1時間処理した。肝RNAの遺伝子チップ分析は約100個の遺伝子がIL−1βによって誘導されることを証明した。EEによる処理はこれらの遺伝子の約3分の1の誘導を阻害した。EEは発現基礎レベルを変化させないため、この効果は遺伝子活性に特異的であった。EEによるIL−1βによる遺伝子誘導の阻害はERαノックアウトマウスでは見られなかった。EEによる処理はまた、その発現がNF−κB活性を阻害することで知られる、プロスタグランジンDシンターゼを含む、肝にて多くの遺伝子発現を阻害した。しかしながら、ゲニステインまたはラロキシフェンによる処理はIL−1βによる遺伝子誘導の阻害を維持するがプロスタグランジンDまたは他の遺伝子発現を刺激しなかった。これらの結果はインビボのERαが古典的なER介在遺伝子誘導を必要としない機序でIL−1βによる遺伝子発現の誘導を阻害できることを示す。
マウス肝におけるIL−1βによる遺伝子発現の調節を評価するために実験が行われた。卵巣摘除C57BL/6マウスをコーン油/エタノールビヒクルまたは100μg/kg/日のエチニルエストラジオール(EE)のいずれかの皮下投与で5日間前処理した。5日目に、マウスにPBSまたはPBS中20μg/kgのIL−1βのいずれかの腹腔内注射を行った。1時間後肝を除去してポリA化RNAを調製した。アフィメトリックス社製ネズミ11K遺伝子チップを使用する分析によって広範囲の遺伝子発現を定量した。各遺伝子で、ビヒクル前処理およびPBSを受けた動物における発現レベルを1.0と定義し、これに対してビヒクル前処理±IL−1βまたはEE前処理±IL−1βを受けたマウスにおける発現レベルを定義した。示された結果は2つの独立した実験からの平均である。75個の遺伝子がIL−1βによる処理によって2倍以上増殖して誘導された。逆に、5個の遺伝子の発現がIL−1βによって阻害された。
【0083】
【表12】

【0084】
【表13】

【0085】
【表14】

【0086】
図1を参照して、エチニルエストラジオールがIL−1βによる遺伝子発現の調節を遮断するかどうかを定量する研究結果を提供する。ビヒクル前処理を受けた動物(x軸)対EEによる処理を受けた動物(y軸)で各遺伝子の折りたたみ調節をプロットする。EE前処理に影響されないIL−1βによる誘導を伴う遺伝子は対角線上に沿って点在するだろう。大部分の遺伝子で、そうである。しかしながら、多くの遺伝子は有意に対角線の下にあり、EEがこれらの遺伝子誘導を阻害したことを示す。例えば、IL−1βによるbcl−3、JAB、LIX、およびFnkの誘導は全てEE前処理によって低下した(また表IIIを参照)。トランスグルタミナーゼのようないくつかの遺伝子の発現はEE+IL−1β処理マウスにて増加して、トランスグルタミナーゼの発現を増加させるIL−1βおよびエストロゲンの両方の既知の能力に一致した。逆に、EE前処理は有意に対角線の上にあるこれらの点によって示されるように、IL−1β介在SHPおよびHes−1の抑制を阻害した。
図2を参照して、HepG2細胞におけるSHP発現のIL−1βによる阻害を以下のように試験した。IL−1βは典型的に遺伝子発現の抑制に関連しない。IL−1β介在SHP発現の直接的な抑制を証明するために、HepG2細胞を100U/mlのIL−1βで処理した。リアルタイムPCRを使用してその後様々な時間で調製した総RNAをSHP発現に関して分析した。IL−1βによる処理3および6時間後でSHP発現を有意に低下させた(*p<0.05対時間0)。これはSHPmRNAレベルがIL−1β処理9時間後による基準レベルまで復帰するような細胞の生存を一般に低下させるためではなかった。
図3a、3bおよび3cを参照して、Fnk、JAB、およびLIXのEEによる阻害がIL−1βによる誘導に特異的であることを研究した。2つの可能な機序が遺伝子発現における明らかなEE効果を引き起こすことができた。最初に、EEはIL−1β処理によって誘導される折りたたみ誘導に影響するのではなくて、遺伝子発現の基本レベルを変化させるだろう。別法として、EEは基本的な遺伝子発現には全く影響しないがむしろIL−1β介在遺伝子誘導を特異的に遮断するだろう。
【0087】
図3aを参照して、これら2つの機序を判別するために、IL−1βによるFnk、JAB、LIX、およびbcl−3の折りたたみ誘導およびIL−1βによるSHPの折りたたみ抑制をビヒクル(黒棒)または100μg/kg/日のEE(灰棒)で前処理した動物にて定量化した。各遺伝子の肝RNAレベル(平均+/−標準誤差)を各々個々の動物由来のRNAのリアルタイムPCRによって定量した。IL−1βによるFnk、JAB、およびLIXにおける折りたたみ誘導(IL−1βを受けた動物における発現のPBSを受けた動物における発現に対する比率として定義される)はEE前処理動物にて低下した。対照的に、IL−1βによるbcl−3およびSHPにおける折りたたみ抑制はビヒクルおよびEE処理動物にて同様であった。
図3bを参照して、EEはbcl−3の基本的な発現を抑制してSHPの基本的な発現を増加させた(EE処理マウスのビヒクル処理マウスに対する比較による)。EEはこれらの遺伝子を調節するためのIL−1βの直接的な能力に影響しなかった:IL−1によるbcl−3の誘導はビヒクル処理マウスで6.2倍およびEE処理マウスで5.2倍であり、一方IL−1はビヒクル処理マウスで86%およびEE処理マウスで85%SHPを抑制した。
図4a、4b、4c、4dおよび4eを参照して、EEがエストロゲン受容体(ER)依存機序によってIL−1βによる遺伝子発現の誘導を遮断するかどうかを定量するための実験を行った。エストロゲンは抗酸化機序のようなER依存経路を含む多くの機序によって遺伝子発現を調節することができる。ERがEEによるIL−1βによる遺伝子調節の調節を媒介したことを証明するために、マウスをビヒクル+PBS(灰棒)、ビヒクル+IL−1β(黒棒)または100μg/kg/日のエチニルエストラジオール(EE)、1または10mg/kg/日の17β−エストラジオール(各々、1個のE2および10個のE2)、30mg/kg/日のゲニステイン、5mg/kg/日のラロキシフェン、または10mg/kg/日のICI182780で処理した。Fnk、JAB、LIX、bcl−3およびSHPの肝発現レベル(平均+/−標準誤差)をリアルタイムPCRによって定量した。EEおよびE2はこれらの遺伝子の調節に最も影響した(*p<0.05対IL−1β単独)。ゲニステインおよびSERMラロキシフェンはまた効果はEEおよびE2で見られたほど大きくないが、同様の調節パターンを示した。最後に、純粋なERアンタゴニストのICI182780はこれらの遺伝子のいずれの発現にも影響しなかった。それ故これらの遺伝子の全ての調節はERが仲介すると考えられる。
【0088】
図5a、5b、5c、5d、5eを参照して、ERαが肝におけるEEによる遺伝子発現の調節に必要されるかどうかを定量するために実験を行った。ERαまたはERβが肝におけるIL−1βによる遺伝子発現に対するEEの影響を仲介するかどうかを定量するために、C57BL/6野生型マウス、C57BL/6ERαKOマウス、または129ERβKOマウスをビヒクル(黒棒)または10μg/kg/日のEE(灰棒)で5日間前処理してその後IL−1βで1時間処理した。Fnk、JAB、LIX、bcl−3、およびSHPの肝発現レベル(平均+/−標準誤差)をビヒクル+PBSを受けた動物における発現を1.0と定義して、リアルタイムPCRによって定量した。これらの遺伝子全てのEEによるIL−1βによる調節の阻害パターンは野生型動物およびERβ欠損動物にて比較可能であった(ビヒクルおよびEE処理動物間の遺伝子発現の変化の比較に関するp*<0.05)。対照的に、EEはERα欠損動物にてIL−1βによるこれらの遺伝子の調節に全く影響しなかった。
表IVを参照して、マウス肝におけるEEによる遺伝子発現の誘導を研究した。IL−1βによる遺伝子誘導のEE調節に関する1つの可能な機序はSHP、既知の転写リプレッサーの誘導を介してであった。しかしながら、ラロキシフェンはIL−1βによるFnk、JAB、LIXおよびbcl−3の誘導を阻害できるが、ラロキシフェンはSHP発現を増加させず、それ故この機序を薬理学的に除外した(図4)。EEによるいずれの他の遺伝子誘導もIL−1βによる誘導の阻害を説明できるかどうかを定量するために、遺伝子チップの結果をEEによる遺伝子発現の誘導に関して分析した。イノシトール−1−ホスフェートシンターゼ(IPS)、腸管トレフォイル因子、クレアチンキナーゼ、および補体ファミリーの一員を含む、EE前処理によって誘導される多くの遺伝子がEEによって調節されていることがわかった。加えて、プロスタグランジンD2シンターゼはEE処理によって強力に誘導された。インビトロにおけるプロスタグランジンDシンターゼの過剰発現はIKK活性を遮断してNF−κB活性化を阻害し、おそらくIL−1βによる遺伝子誘導の阻害に関する別の機序を提供する。
【0089】
【表15】

【0090】
図6aおよび6bを参照して、EEによる遺伝子発現の誘導がERαによるIL−1βによる遺伝子誘導の阻害に必要でないことを確認するために実験を行った。EEによるプロスタグランジンDシンターゼの誘導がIL−1βによる遺伝子誘導のERα介在阻害に必要であるかどうかを定量するために、ビヒクル+PBS(灰棒)、ビヒクル+IL−1β(黒棒)または100μg/kg/日のEE、30mg/kg/日のゲニステイン、5mg/kg/日のラロキシフェン、または10mg/kg/日のICI182780で処理したマウスにおけるプロスタグランジンDシンターゼの肝発現レベルを定量した。ビヒクル+PBS処理マウスにおける発現レベルを1.0と定義した。これらのRNAサンプルは図4にて使用されるものと同様であり、EE、ゲニステインおよびラロキシフェンのこれらの投与量は全てIL−1βによる誘導を阻害した。しかしながら、これらの化合物のIL−1βによる遺伝子誘導を阻害する能力(EE>ゲニステイン>ラロキシフェン)およびこれらの化合物のプロスタグランジンDシンターゼの発現を刺激する能力(EE>>ラロキシフェン>ゲニステイン)の間に相関は全くなかった。IPSの誘導に関して類似のパターンが見出され、ラロキシフェンによる誘導は非常に弱くゲニステインによる誘導は全くなかった。これはERαによる遺伝子誘導がIL−1βによる遺伝子発現の誘導を阻害する能力に必要でないことを示す。
図7a、7b、7c、7dおよび7eを参照して、肺におけるEEによるIL−1βによる遺伝子誘導の阻害の有無を試験した。肝のEE活性に関するERαの必要性は肝にERαがほとんど独占的に存在することに一致する(リアルタイムPCRによって定量、パネルA)。対照的に、肺は比較的低レベルのERαおよび高レベルのERβを発現する。ERβがまたIL−1βの遺伝子発現を誘導する能力を修飾するかどうかを定量するために、EEのIL−1βによるFnk、JAB、LIX、およびbcl−3の誘導を変化させる能力を肝、脾、および肺にて定量した。上記のように、IL−1βによるこれらの遺伝子誘導は肝にて有意に遮断された。脾におけるIL−1βによるFnkおよびJABの誘導もまたEE前処理によって遮断された。脾は、肺に比べてある程度高いが、肝に比べて有意に低いレベルのERαを発現する。対照的に、EE前処理は肺にてIL−1βによるFnk、JAB、LIX、またはbcl−3の誘導に全く影響しなかった。組織特異因子はこれらの結果に影響するだろうが、肺における調節の欠如はERβがこれらの効果を仲介できず実際ERαのIL−1βによる遺伝子発現の誘導を変化させる能力を阻害するという仮説に一致する。
【0091】
図8を参照して、HepG2細胞にてERaおよびERαによるIL−1βによるNFκB活性誘導の阻害を評価した。肺におけるEEによるIL−1βによるFnk、JAB、LIX、およびbcl−3発現誘導の阻害の欠如はERβが固有にこの阻害を仲介できないこと、または肝、脾、および肺間の組織特異的な相違のいずれかによるものであるだろう。ERβのIL−1βシグナル伝達を直接阻害する能力を定量するために、NFκB誘導ルシフェラーゼレポータープラスミドおよびβ−ガラクトシダーゼトランスフェクション対照プラスミドと共にヒトERαまたはERβのいずれかを発現するプラスミドをHepG2細胞にコトランスフェクトした。トランスフェクション後細胞をビヒクル、10nMの17β−エストラジオール、または10nMの17β−エストラジオール+1uMのICI182780で処理した。後日細胞を100U/mlのIL−1βで6時間処理してルシフェラーゼ発現をアッセイした。ERαおよびERβは共にルシフェラーゼ活性を有意に抑制したが(*p<0.01)、ERβはERαに比べて常に有効でなかった。それ故肺におけるEEによるIL−1βによる遺伝子誘導の調節の欠如はERβが固有にIL−1βシグナル伝達を阻害できないことによるとは考えられない。確かに、肺における調節の欠如はERによるIL−1βシグナル伝達の阻害に必要な補助タンパクにおける組織特異的な発現の相違を反映するだろう。
以下の結論はこれらの実験結果から明らかである:(1)IL−1βによる1時間処理はマウス肝にて75個の遺伝子の発現を誘導して5個の遺伝子の発現を阻害する;(2)EE前処理はERα依存的にこれらのIL−1βによる調節を阻害する;(3)EEは基本的な発現を変化させるまたは遺伝子誘導を特異的に阻害することで遺伝子発現を調節できる;(4)ERαによる遺伝子発現の誘導はERαのIL−1β介在遺伝子調節を遮断する能力に必要でない;および(5)IL−1βによるFnk、JAB、LIX、およびbcl−3の誘導は肝にて阻害されるが、高レベルのERβを有する、肺ではない。これはERβが固有にIL−1βシグナル伝達を阻害できないことによらないが、おそらくEEによるIL−1βシグナル伝達の阻害に必要な補因子における特異的な相違を反映するだろう。
【0092】
実施例2−SHP発現の調節
以下のように、SHP発現の調節を調査するためにいくつかの実験を行った。図9を参照して、マウス肝におけるERαによるSHP発現の調節を研究した。卵巣摘除野生型マウス、ERαERβダブルノックアウトマウス、ERαKOマウス、またはERβKOマウスをビヒクル、10ug/kg/日のE2、10ug/kg/日のE2+5mg/kg/日のICI182780、5mg/kg/日のタモキシフェン、または5mg/kg/日のPPTの皮下注射で6週間処理した。SHPの肝発現をリアルタイムPCRによって、GAPDH発現を正常化しながら、モニターした。WT動物、E2、タモキシフェン、およびERα選択的アゴニストのPPTは全てSHPmRNAレベルを誘導した。ICI182780はこの誘導を阻害した。E2はERαKOマウスまたはERαβKOマウスの両方でSHPの発現を誘導しなかった。ERβKOマウスにおいてSHPの基本的な発現は増加したが、E2はさらにSHPの発現を誘導した。総合して、これらの結果はマウス肝におけるエストロゲンによるSHP誘導は主にERαによって媒介されることを示す。
図10を参照して、エストロゲンがラット肝にてSHPを調節するかどうかを定量するためにある研究を行った。卵巣摘除スプラーグ−ドーリーラットをビヒクル、10ug/kg/日のE2、または5mg/kg/日のPPTで6週間処理した。SHPの肝発現をリアルタイムPCRによって、GAPDH発現を正常化しながら、モニターした。E2およびPPTの両方ともSHP発現を有意に誘導し、ERaはまたラット肝にてもSHPを誘導することを示す。
図11aおよび11bを参照して、ヒト細胞におけるERαによるhSHPプロモーター活性の調節を試験した。ヒトHepG2または293細胞に対照SV40誘導β−ガラクトシダーゼプラスミド、1.4kbのヒトSHPプロモーターによって誘導されるルセリフェラーゼプラスミド、およびタンパクもヒトERαもコードしない発現プラスミドをコトランスフェクトした。トランスフェクション後細胞をDMSOビヒクルまたは10nMのE2で24時間処理した。β−ガラクトシダーゼ活性を正常化したルシフェラーゼ活性に関して細胞抽出物を分析した。E2はERαを発現する細胞においてのみSHPプロモーター活性を誘導した。これらの結果はE2がヒト肝にてSHP発現を調節することを示す。
【0093】
図12a、12b、および12cを参照して、293細胞におけるERαによるhSHPプロモーター活性の調節を試験した。図12aおよび12bを参照して、293細胞に対照SV40誘導β−ガラクトシダーゼプラスミド、1.4kbのヒトSHPプロモーターまたは合成2xERE/TKプロモーターによって誘導されるルセリフェラーゼプラスミド、およびヒトERα発現プラスミドをコトランスフェクトした。後日細胞を1uMの示される化合物(ICI182780、4−ヒドロキシタモキシフェン、またはラロキシフェン)およびDMSOビヒクル(−)または10nMのE2(+)で24時間処理した。β−ガラクトシダーゼ活性を正常化したルシフェラーゼ活性に関して細胞抽出物を分析した。マウスで見られたように、E2およびタモキシフェンはSHPプロモーター活性を刺激した。ICIおよびラロキシフェンは単独で不活でE2活性に拮抗した。SHPプロモーターはERE誘導プロモーターとは有意に異なり、E2によるSHPプロモーター活性の調節は古典的なエストロゲン応答配列を介して作用しないことを示す。
図12cを参照して、E2によるSHPの誘導および2xEREプロモーター活性に関する用量応答曲線を提供する。E2の約10倍高い濃度がSHPプロモーター活性に比べてSHPプロモーター活性の誘導に必要とされた。SHPはER活性のネガティブレギュレーターであるため、SHPプロモーター活性化に必要とされる高いEC50はE2レベルが多量に達する場合このネガティブフィードバックループを誘導するだけの方法を反映するだろう。
図13を参照して、293細胞においてE2応答配列をマッピングするためにある研究が行われた。一連のSHPプロモーター切断レポータープラスミドをERα発現プラスミドおよびβ−ガラクトシダーゼ対照プラスミドと共に293細胞にコトランスフェクトした。正常化ルシフェラーゼ活性をビヒクルまたは10nMのE2のいずれかで処理した24時間後定量した。ビヒクルで処理した細胞における1460bpのSHPプロモーターの発現を1.0と定義した。293細胞における基本的な発現に影響する配列は−795ないし−549間に局在し、一方E2調節は−1460ないし−1260間に局在した。
【0094】
図14a、14b、および14cを参照して、ERによる誘導によってSHPがCYP7A1およびCYP8B1を抑制できないかどうかを定量するためにある研究を行った。卵巣摘除マウスに対照食餌(−)またはコール酸塩を含有する食餌(+)のいずれかを与えてビヒクル(−)または10ug/kg/日のエチニルエストラジオール(+)の毎日の皮下注射によって5週間または5日間のいずれかで処理した。研究の最後で、SHP、CYP7A1およびCYP8B1の肝mRNAレベルをリアルタイムPCRによって、GAPDH発現を正常化しながら、定量した。EEは5日間または5週間の処理のいずれかでコール酸塩によって見られた誘導に比べて少し低いレベルまでSHPの発現を誘導した。しかしながら、EE処理はいずれの期間においてもCYP7A1およびCYP8B1の発現を有意に変化させず、対照的に、コール酸塩は95%以上までCYP7A1およびCYP8B1の発現を抑制した。これらの結果はSHP発現の単純な誘導はCYP7A1またはCYP8B1の強い抑制に適さないことを示す。
図15を参照して、コール酸塩によるCYP7A1およびCYP8B1の抑制がSHP誘導に必要であるかどうかを試験するために実験を行った。卵巣摘除マウスにコール酸塩の濃度を増加させて5日間与えた。SHP、CYP7A1およびCYP8B1の肝mRNAレベルをリアルタイムPCRによってGAPDH発現を正常化しながら定量した。CYP7A1およびCYP8B1の有意な抑制が食餌中0.03%のコール酸塩でのみ生じ、一方0.3%のコール酸塩が食餌に加えられるまでSHPmRNAレベルの有意な増加は生じなかった。CYP7A1およびCYP8B1抑制に比べてSHP誘導に10倍のレベルのコール酸塩が必要であることはSHP発現の誘導がコール酸塩によるCYP7A1およびCYP8B1発現の調節に関する唯一の機序ではないことを示す。
【0095】
実施例3−化合物を同定してコレステロール生合成経路にてSHPを阻害するための一時的トランスフェクション
CYP8B1プロモーター(転写開始部位に対してヌクレオチド−514ないし+303の配列)をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅によってゲノムDNAから単離した。生成したPCR産物をプラスミドpCR2.1(インビトロジェン社、カールズバッド、カリフォルニアから入手可能)にTOPO TAクローニングキット(インビトロジェン社)を使用してTOPOクローニングした。正確な配列の確認後、CYP8B1プロモーターをEcoRI切断によって除去した。T4DNAポリメラーゼを使用して生成したDNA断端を平滑にした。断片をSmaI切断pRL−null(プロメガ社、マディソン、ウィスコンシンから入手可能)にライゲーションして、ヒトCYP8B1プロモーターによって誘導されるウミシイタケルシフェラーゼレポーターを有する、pCYP8B1−RLを作製した。ヒトHNF4およびSHPコード領域をSV40プロモーター発現ベクターpSI(プロメガ社)に類似の標準分子法によってクローニングした。
プラスミドをHepG2細胞にコトランスフェクトする。残りのHepG2細胞をDMEM高グルコース、10%FBS、フェノールレッド媒体(インビトロジェン、ギブコカタログ番号11995−065)で維持する。トランスフェクションの間に、細胞をフェノールレッド除去DMEM高グルコース媒体(インビトロジェン、ギブコカタログ番号31053−028)、10%チャコール処理FBS(ハイクローン社、ローガン、ユタ、カタログ番号SH30068.03)から成るアッセイ媒体に12ウェルプレートの1ウェル当たり1x105細胞でプレートする。後日、トランスフェクション試薬のTfx−20(プロメガ社;E2391)を血清除去、フェノールレッド除去DMEM/F12(インビトロジェン、ギブコカタログ番号11039−021)中0.5μgのpCYP8B1−RL、0.4μgのpSI−HNF4および1μg以下のpSI−SHPとTfx―20のDNAに対する比率2:1で混合し、室温で10分間インキュベートする。細胞を血清除去DMEM/F12で1回洗浄して媒体を吸引する。Tfx−20/DNA混合物を加えて細胞を37℃で1時間インキュベートする。インキュベーション終了後、アッセイ媒体を加えて細胞をさらに23−48時間インキュベートする。アッセイ媒体を除去して細胞をPBSで洗浄する。洗浄溶液を除去して250μlの1xウミシイタケ溶解緩衝液(プロメガ社;E2810)を加える。プレートを15分間振動プラットフォームに置く。溶解物を微小遠心チューブに移して30秒間遠心して除去する。20μlのアリコートを微小蛍光プレート(テルモラボシステム社)に移す。100μlのウミシイタケアッセイ試薬を1回1ウェルに注入してDynex MLXマイクロタイタープレート照度計にて30秒間隔でリーディングを行った。
【0096】
図16を参照して、得られたルシフェラーゼ活性をグラフに表す。SHP発現プラスミドの付加はHNF4誘導CYP8B1プロモーター活性を用量依存的に抑制した。
試験化合物がSHP活性を阻害できるかどうかを定量するために、トランスフェクション後試験化合物をアッセイ媒体に加える。ルシフェラーゼ活性はSHPアンタゴニストの存在下で増加するだろう。
上記方法の別の具体例はネオマイシン、ヒグロマイシン、またはピューロマイシンを含む標準の選択マーカーを使用して細胞にpCYP8B1−RL、pSI−HNF4、およびpSI−SHPプラスミドを安定してトランスフェクトすることである。
【0097】
実施例4−化合物を同定してコレステロール生合成経路にてSHPを阻害するためのアデノウイルス感染
ADEASY系(キューバイオジェン社、カールズバッド、カリフォルニアから入手可能)に記載されるような標準技術を使用してレポーター遺伝子(例えば、蛍光ルシフェラーゼ、ウミシイタケルシフェラーゼ、またはβ−ガラクトシダーゼ)のヒトCYP8B1プロモーター誘導発現領域を含有するレポーターアデノウイルスを構築した。CYP8B1プロモーターレポーター構築物をまず転送ベクターpShuttleまたはpQBI−AdBNにクローニングする。生成したプラスミドをPmeIで直線化してpAdEasy−1、ウイルスベクターと共にE.coli株BJ5183にコトランスフェクトする。組換え体をカナマイシンで選択してPCRまたは制限酵素分析でスクリーニングする。
正確なプラスミドをE.coli株DH5aに形質転換してトランスフェクション性DNAをキアゲンマキシキットのような典型的な方法によって精製する。組換えアデノウイルス構築物をPacIで切断してそのITR(逆方向末端反復)を暴露しウイルス粒子を産生するためにQBI−293A細胞にトランスフェクトする。生成したプラークは標準法による増幅のために使用される。最終的に増幅させたアデノウイルスの塩化セシウム勾配法のような方法による精製に続いて、293細胞を使用して最終のアデノウイルスの残りを滴定する。HNF4および/またはSHPを発現するアデノウイルスを、pShuttle−CMVのような別の転送ベクターが使用されてもよいことを除いて、同様に調製する。
別の具体例はHNF4aに反応することが知られている他のいずれのプロモーターを使用して(Naikiら、JBC 277:14011、2001を参照、このような遺伝子の表に関して、参照として一部とする)レポーター遺伝子の発現を誘導することである。
上記方法のさらに別の具体例はHNF4およびSHPの両方を発現するために単一のアデノウイルを使用することである。この場合転送ベクターのpQBI−AdCMV5−IRES−GFPが使用される。SHPcDNAをCMV5プロモーター下流でクローニングする。GFP遺伝子はHNF4a遺伝子に置換される。これらの工程は制限酵素断片組換え法またはより好ましくはオーバーラップPCR法のような標準技術によって達成される。生成した転送プラスミドはCMVプロモーターさらにSHPcDNAさらに内部リボソーム進入部分(IRES)を含有してさらにHNF4cDNAを含有してもよい。転送プラスミドpQBI−AdBM5−PAGにて主要遅延プロモーター(MLP)のような他のプロモーターをCMVプロモーターの代わりに使用してもよい。この好ましい方法はHNF4が発現する全ての細胞にてSHPが発現することを保証する。
【0098】
さらに別の具体例はレポーター遺伝子の発現を誘導するヒトCYP7A1プロモーター領域を含有するレポーターアデノウイルスと組み合わせてCPF(LRH−1)を発現するアデノウイルスを使用することである。
アデノウイルスベクターが完成すれば、それらは感染ヒト細胞、最も好ましくはヒトヘパトーマHepG2細胞に使用される。細胞をアデノウイルスに媒体中37℃で、典型的には5時間暴露する。細胞を洗浄してアデノウイルスと共に新鮮な媒体で栄養補充する。レポータープラスミドおよびHNF4発現プラスミドに適した感染の多重度(MOI)を各ウイルスの様々なMOIの重感染を使用するマトリックス分析によって定量する。同様に、SHPを発現するアデノウイルスに最適なMOIを定量する。それ故最終アッセイにて、xMOIとしてCYP8B1レポーターアデノウイルス、yMOIとしてHNF4発現アデノウイルス、およびzMOIとしてSHP発現アデノウイルスで細胞を感染させる。感染後、細胞をビヒクルまたは試験化合物で処理する。典型的には試験化合物をDMSOに溶解させて最終濃度約10μMで培養媒体に加える。24ないし48時間後、レポーター活性の発現を測定する。例えば、ルシフェラーゼ活性はLUC−SCREEN蛍光ルシフェラーゼレポーター遺伝子アッセイ系(アプライドバイオシステムズ社、フォスターシティ、カリフォルニアから入手可能)または細胞を溶解させてルシフェラーゼアッセイ系(プロメガ社)を使用することを含む多くの方法でモニターされてもよい。ルシフェラーゼ活性を増加させる化合物はSHP阻害剤として作用するだろう。
試験化合物がSHP阻害剤として作用していることを確認するために、HepG2細胞をxMOIとしてCYP8B1レポーターアデノウイルスおよびyMOIとしてHNF4発現アデノウイルスで感染させる。細胞をビヒクルまたは試験化合物で処理する。ルシフェラーゼ活性を上記のようにモニターする。SHP阻害剤はSHPのないこれらの細胞内ではルシフェラーゼ活性を変化させないだろう。
【0099】
実施例5−コール酸塩は炎症遺伝子発現を媒介する
卵巣摘除C57BL/6マウス(16−20g)(タコニック社)を8群に分離した。5−7日後、マウスにカゼイン中心の食餌(#8117、テストダイエット社、リッチモンド、IN)を5日間与えた。カゼイン食餌は粉末でコール酸(CA;C−1129、シグマ社、セントルイス、MO)またはウルソデオキシコール酸(UDCA;U−5127、シグマ社、セントルイス、MO)の濃度を増加させて混合補充されていた。実験期間の終了時に、肝をRNA分析のために収集した。
【0100】
RNA分析
トリゾール試薬(BRL)を使用して総肝RNAを調製して製造元のプロトコールに従ってABI PRISM7700検出系(アプライドバイオシステムズ社)を使用するリアルタイムPCRによって定量した。Sequence Dector v1.7ソフトウェア(アプライドバイオシステムズ社)を使用してデータを分析してアプライドバイオシステムズ社のプライマーキットを使用してGAPDHまで正常化した。
【0101】
細胞実験
HepG2細胞を培養基で5%COインキュベーター内にて37℃で維持した。細胞を不完全培養基(熱不活化10%FBS、1%グルタマックス、1%MEM非必須アミノ酸、100U/miのペニシリンおよび100μg/mlのストレプトマイシンで補充したフェノールレッド除去DMEM(ギブコBRL))に6ウェルディッシュ(ファルコン社)の1ウェル当たり4−5x10で播種した。細胞を血清除去媒体に移して24時間後化合物をさらに24時間加えた。細胞をRNA分析のために採取した。
【0102】
結果
C57BL/6マウスにコール酸塩含有高脂肪食を与えると3−5週間後マウス肝にて炎症遺伝子発現を誘導することが以前に示された(Liaoら、'93 JCI 91:2572、Evansら、'01 Circ Res 89:823&Miyakeら、'00 JBC 275:21805)。これらの誘導を媒介する際のコール酸塩の相対的な寄与を定量するために、C57BL/6マウスにCA(0.01−1.0%)の濃度を増加させて補充した普通の食餌を5日間与えた。図1Aに示されるように、TNFα(4倍)、VCAM−1(3倍)およびRANTES(1.75倍)のmRNAの肝レベルの用量依存的な誘導が観察された。予想通り、7α−ヒドロキシラーゼ(cyp7a)の用量依存的な抑制もまた観察された。
これらの結果はより慢性の研究における高脂肪食によって生じる酸化ストレスまたは高レベルの胆汁酸の作用に付随する潜在的な毒性がない場合で胆汁酸への急性暴露が炎症遺伝子発現を促進するのに十分であることを示した。インビボで、CAは腸管にてFXRと選択的に相互作用することが証明されたデオキシコール酸に変換される(Wang、'99 Mol Cell 3:543&Makishima、'99 Science 284:1362)一方UDCAのようなより親水性の胆汁酸はFXRではなくプレグナンX受容体(PXR)への結合を介して機能する(Heuman、'89 JLR 30:1161)。FXRを介するシグナル伝達が炎症遺伝子発現を生じるのに必要であるかどうかを定量するために、FXRへの結合を介する胆汁酸シグナル伝達は胆汁酸の主要なメカニズムの1つである1%UDCAを普通の食餌に補充した。図1Bに示されるように、炎症遺伝子発現の誘導は全く観察されなかったが一方UDCA処理はcyp7a発現を抑制してPXRへの結合を介して機能する能力に一致してcyp3a発現を誘導した。
加えて、SHP発現の誘導もまたCAのみで観察されてUDCAでは観察されずCAシグナル伝達におけるFXRの必要性を支持した。
【0103】
実施例6−FXR特異的胆汁酸によるSHPおよびRJP14Oの誘導
さらにFXRを介する胆汁酸シグナル伝達が炎症遺伝子活性を促進できる可能性を調査するために、肝細胞系、HepG2にて実験を行った。HepG2細胞をケノデオキシコール酸(CDCA)(1−100uM)または選択的合成FXRリガンド、GW4064(1−1000nM)の濃度を増加させて24時間処理した。CDCAはCAに比べてHepG2細胞におけるcyp7a発現のより強力な阻害剤であるため(Makishimaら、'99 Science 284:1362)これらの実験でCDCAを使用した。HepG2細胞は常時ICAM−1およびM−CSFを含む多くの炎症遺伝子を発現する(Stonansら、'99 Cytokine 11:151)。CDCAまたはGW4064処理は用量依存的にICAM−1およびM−CSF発現の両方を誘導した。ポジティブコントロールとして、SHPmRNAの誘導およびcyp7aの抑制を確認した。これらの結果はCDCAまたはGW4064を介する選択的なFXRの活性化が炎症遺伝子誘導を引き起こすことができることを証明する。
図19、20aおよび20bを参照してHepG2細胞におけるCDCAおよびGW4064の相対的な発現が説明される。
【0104】
これらの実験は炎症遺伝子発現を促進するFXRの新規の機能を証明する。胆汁酸含有高脂肪食がマウス肝にて炎症遺伝子誘導を3−5週間後引き起こすことができることは以前に証明された(Liaoら、'93 JCI 91:2572&Evansら、'01 Circ Res 89:823)。しかしながら、これらの誘導は胆汁酸と組み合わせた高脂肪食によって引き起こされる酸化ストレスを介して生じて肝毒性を反映すると考えられた(Delzenneら、'92 Toxicity Letters 61:291)。これらの起こり得る紛らわしい問題を避けるために、これらの研究を普通の食餌マウスにおける急性の胆汁酸暴露で行った。結果は0.3%CAの補充が炎症遺伝子発現を誘導するのに十分であることを証明した。この濃度のCAはまたFXR介在遺伝子調節の予想した生物学的活性を確認するcyp7a遺伝子を有意に阻害した。より親水性の胆汁酸、UDCAが、普通の食餌に補充された場合炎症遺伝子発現の誘導は全く観察されなかったが、それでもcyp7aの抑制は確認された。これはUDCAのPXR結合能によると考えられる(Schuetzら、'01 JBC 276:39411)。これに一致するのはよく特徴付けられたPXR調節遺伝子の、cyp3a活性の誘導であった。これらの結果はPXRではなくFXRのリガンドが肝にて炎症遺伝子発現を誘導できることを証明する。これらの結論はICAM−1およびM−CSFの炎症遺伝子誘導がまた胆汁酸CDCAまたは合成FXRリガンド、GW4064の存在下で観察されたHepG2細胞実験にて支持された。GW4064は同様にICAM−1誘導で観察されたものと比較して90nMのEC50を有するFXRの特異的リガンドであることが以前に特徴付けられた(Goodwinら、'00 Mol Cell 6:5 17)。
SHP発現はFXRに結合する胆汁酸またはGW4064によって誘導可能であるため(Goodwinら、'00 Mol Cell 6:5 17&Sinal、'00 Cell 102:73 1)、SHPmRNAレベルもまたモニターした。FXRリガンドのCDCAおよびGW4064のみがSHP発現を誘導可能であってPXRリガンドのUDCAでは不可能であることを確認した。近年、SHPがインビトロでNIP−KBのコアクチベーターであることが示された(Kim、'01 JBC)。NIP−KBは炎症遺伝子発現における主要な転写因子であってFXRリガンドが如何にして炎症遺伝子発現を可能にするかの説明を可能にする。
【0105】
実施例7−発現誘導を仲介する際のコール酸塩の相対的寄与率
これらの誘導を仲介する際のコール酸塩の相対的寄与率を定量するために、C57BL/6マウスにコール酸(CA;0.01−1.0%)の濃度を増加させて補充した普通の食餌を5日間与えた。TNFOC、VCAM−1およびICAM−1mRNAの肝レベルでの用量依存的な誘導を観察した。7(x−ヒドロキシラーゼ(cyp7a)の用量依存的な抑制もまた観察した。インビボにて、CAは腸管でデオキシコール酸に変換されて、選択的にFXRと相互作用し、一方ウルソデオキシコール酸(UDCA)のようなより親水性の胆汁酸はFXRではなくPXRへの結合を介して機能する。FXRを介するシグナル伝達が炎症遺伝子発現を引き起こすのに必要であるかどうかを定量するために、1%UDCAを普通の食餌に補充した。
特に、図21a−dを参照して、C57BL/6マウスに示されるような、普通の食餌、アテローム性食餌または高脂肪食(コール酸ナトリウム除去アテローム性食餌)のいずれか与えた。5週間後、示した遺伝子の肝mRNAレベルをリアルタイムPCRによって定量した。データを各群の平均±標準誤差として報告した。p<0.01対普通の食餌のマウス。図22a−bを参照して、C57BL/6マウスに示されるようなコール酸の濃度を増加させて補充した普通の食餌を与えた。5日後、示した遺伝子の肝mRNAレベルをリアルタイムPCRによって定量した。データを各群の平均±標準誤差として報告した。図23a−bを参照して、C57BL/6マウスに1%デオキシコール酸で補充した普通の食餌を与えた。5日後、示した遺伝子の肝mRNAレベルをリアルタイムPCRによって定量した。B。1%コール酸(CA)またはUDCAのいずれかを5日間与えたマウスにおける肝SHPmRNA発現の比較。データを各群の平均±標準誤差として報告した。
炎症遺伝子発現の誘導は全く観察されず一方UDCA処理はcyp7aを抑制してそのPXR結合を介して機能する能力に一致してcyp3a発現を誘導した。加えて、SHP発現の誘導もまたUDCAではなくCA処理で観察されてCAシグナル伝達におけるFXRの必要性を支持した。
【0106】
FXRを介する胆汁酸シグナル伝達が炎症遺伝子発現を促進できる可能性をさらに調査するために、肝細胞系、HepG2細胞にて実験を行った。HepG2細胞をケノデオキシコール酸(CDCA)または選択的合成FXRリガンド、GW4064の濃度を増加させて24時間処理した。ICAM−1発現がCDCAまたはGW4064処理によって用量依存的に誘導された。
図24a−dを参照して、HepG2細胞をケノデオキシコール酸(CDCA)の濃度を増加させて24時間処理した。示した遺伝子の内因性mRNAレベルをリアルタイムPCRによって定量した。データを各B群の平均±標準誤差として報告した。上記と同様の実験設計は細胞をGW4064に対する高濃度のFXRで処理することを除く。データを各群の平均±標準誤差として報告した。C57BL/6マウス。図25を参照して、C57BL/6マウスをGW4064の経口単回投与で(50mg/kg)処理した。投与後の様々な時間で、示した遺伝子の肝mRNAレベルをリアルタイムPCRによって定量した。データを各群の平均±標準誤差として報告した。
図26を参照して、HepG2細胞にヒトSHPの近位プロモーター領域(−360ないし+40)またはヒトICAM−1プロモーターの配列欠失(−1108または−810ないし+18)を含有するヒトFXRおよびRXRα発現プラスミドおよびルシフェラーゼレポータープラスミドをトランスフェクトした。トランスフェクション後、細胞をGW4064(1uM)で24または48時間処理した。データは3つの独立したトランスフェクションの平均±標準偏差を表す。
ポジティブコントロールとして、両化合物でSHPmRNAの誘導およびcyp7aの抑制を確認した。HepG2細胞にて、これはICAM−1プロモーター活性がまたGW4064によって刺激されてその活性において近位NF−κB応答配列を必要としたことを証明する。SHPは炎症遺伝子発現に関連した主要な転写因子である、NF−κBのp65サブユニットにおいてコアクチベーターとして作用することが証明された。これはFXRシグナル伝達がSHP発現の誘導を介するNF−κB介在炎症遺伝子発現を誘導するという証拠を提供する。
【0107】
実施例8−炎症遺伝子発現経路にてFXRおよび/またはSHPを阻害する化合物を同定する一過性トランスフェクション
NF−κBプロモーターをポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅によってゲノムDNAから単離する。TOPO TAクローニングキット(インビトロジェン社)を使用して生成したPCR産物をプラスミドpCR2.1(インビトロジェン社、カールズバッド、カリフォルニアから入手可能)へTOPOクローニングする。正確な配列の確認後、NF−κBプロモーターをEcoRI切断によって除去する。T4DNAポリメラーゼを使用して生成したDNA断片の末端を平滑化する。断片をSmaI切断pRL−null(プロメガ社、マディソン、ウィスコンシンから入手可能)へライゲーションしてNF−κBプロモーターによって誘導されるウミシイタケルシフェラーゼレポーターを有する、pNF−κB−RLを作製する。ヒトSHPまたはFXRコード領域をSV40プロモーター発現ベクターpSI(プロメガ社)へ類似の標準分子法でクローニングする。
プラスミドをHepG2細胞にコトランスフェクトする。残りのHepG2細胞をDMEM高グルコース、10%FBS、フェノールレッド媒体(インビトロジェン社、ギブコカタログ番号11995−065)で維持する。トランスフェクションの間に、細胞をフェノールレッド除去DMEM高グルコース媒体(インビトロジェン、ギブコカタログ番号31053−028)、10%チャコール処理FBS(ハイクローン社、ローガン、ユタ、カタログ番号SH30068.03)から成るアッセイ媒体に12ウェルプレートの1ウェル当たり1x105細胞でプレートする。後日、トランスフェクション試薬のTfx−20(プロメガ社;E2391)を血清除去、フェノールレッド除去DMEM/F12(インビトロジェン、ギブコカタログ番号11039−021)中0.5μgのpCYP8B1−RL、0.4μgのpSI−HNF4または1μg以下のpSI−SHPとTfx―20のDNAに対する比率2:1で混合し、室温で10分間インキュベートする。細胞を血清除去DMEM/F12で1回洗浄して媒体を吸引する。Tfx−20/DNA混合物を加えて細胞を37℃で1時間インキュベートする。インキュベーション終了後、アッセイ媒体を加えて細胞をさらに23−48時間インキュベートする。アッセイ媒体を除去して細胞をPBSで洗浄する。洗浄溶液を除去して250μlの1xウミシイタケ溶解緩衝液(プロメガ社;E2810)を加える。プレートを15分間振動プラットフォームに置く。溶解物を微小遠心チューブに移して30秒間遠心して除去する。20μlのアリコートを微小蛍光プレート(テルモラボシステム社)に移す。100μlのウミシイタケアッセイ試薬を1回1ウェルに注入してDynex MLXマイクロタイタープレート照度計にて30秒間隔でリーディングを行った。
【0108】
試験化合物がSHP活性を阻害できるかどうかを定量するために、試験化合物をトランスフェクション後アッセイ媒体に加える。ルシフェラーゼ活性はSHPアンタゴニスト存在によって増加する。
上記の方法の別の具体例はネオマイシン、ヒグロマイシン、またはピューロマイシンを含む標準の選択マーカーを使用して細胞にpNF−κB−RLおよびpSI−SHPプラスミドを安定してトランスフェクトすることである。
【0109】
実施例9−炎症遺伝子発現経路にてFXRおよび/またはSHPを阻害する化合物を同定するアデノウイルス感染
ADEASYシステム(キューバイオジェン、カールズバッド、カリフォルニアから入手可能)に記載されるような標準的な技術を使用してレポーター遺伝子(例えば蛍光ルシフェラーゼ、ウミシイタケルシフェラーゼ、またはβ−ガラクトシダーゼ)のヒトNF−κBプロモーター誘導発現領域を含有するレポーターアデノウイルスを構築する。NF−κBプロモーターレポーター構築物をまず転送ベクターpShuttleまたはpQBI−AdBNにクローニングする。生成したプラスミドをPmeIで直線化してE.coli株BJ5183へpAdEasy−1、ウイルスプラスミドと共にコトランスフェクトする。組換え体をカナマイシンで選択してPCRまたは制限酵素分析でスクリーニングする。
正確なプラスミドをE.coli株DH5aへ形質転換してトランスフェクション性DNAをキアゲンマキシキットのような典型的な方法によって精製する。組換えアデノウイルス構築物をPacIで切断してそのITR(逆方向末端反復)を暴露しウイルス粒子を産生するためにQBI−293A細胞にトランスフェクトする。生成したプラークは標準法による増幅のために使用される。最終的に増幅させたアデノウイルスの塩化セシウム勾配法のような方法による精製に続いて、293細胞を使用して最終のアデノウイルスの残りを滴定する。FXRまたはSHPのいずれかを発現するアデノウイルスを、pShuttle−CMVのような別の転送ベクターが使用されてもよいことを除いて、同様に調製する。
別の具体例はHNF4aに反応することが知られている他のいずれのプロモーターを使用して(Naikiら、JBC 277:14011、2001を参照、このような遺伝子の表に関して、参照として一部とする)レポーター遺伝子の発現を誘導することである。
【0110】
上記方法のさらに別の具体例はHNF4およびSHPまたはFXRの両方を発現するために単一のアデノウイルを使用することである。この場合転送ベクターのpQBI−AdCMV5−IRES−GFPが使用される。SHPcDNAをCMV5プロモーター下流でクローニングする。GFP遺伝子はHNF4a遺伝子に置換される。これらの工程は制限酵素断片組換え法またはより好ましくはオーバーラップPCR法のような標準技術によって達成される。生成した転送プラスミドはCMVプロモーターさらにSHPcDNAさらに内部リボソーム進入部分(IRES)を含有してさらにHNF4cDNAを含有してもよい。転送プラスミドpQBI−AdBM5−PAGにて主要遅延プロモーター(MLP)のような他のプロモーターをCMVプロモーターの代わりに使用してもよい。この方法はHNF4が発現する全ての細胞にてSHPが発現することを保証する。
さらに別の具体例はレポーター遺伝子の発現を誘導するヒトNF−κBプロモーター領域を含有するレポーターアデノウイルスと組み合わせてCPF(LRH−1)を発現するアデノウイルスを使用することである。
アデノウイルスベクターが完成すれば、それらは感染ヒト細胞、最も好ましくはヒトヘパトーマHepG2細胞に使用される。細胞をアデノウイルスに媒体中37℃で、典型的には5時間暴露することによって感染を達成する。細胞を洗浄してアデノウイルスと共に新鮮な媒体で栄養補充する。レポータープラスミドおよびSHP発現プラスミドに適した感染の多重度(MOI)を各ウイルスの様々なMOIの重感染を使用するマトリックス分析によって定量する。それ故最終アッセイにて、xMOIとしてNF−κBレポーターアデノウイルスおよびyMOIとしてSHP発現アデノウイルスで細胞を感染させる。感染後、細胞をビヒクルまたは試験化合物で処理する。典型的には試験化合物をDMSOに溶解させて最終濃度約10μMで培養媒体に加える。24ないし48時間後、レポーター活性の発現を測定する。例えば、ルシフェラーゼ活性はLUC−SCREEN蛍光ルシフェラーゼレポーター遺伝子アッセイ系(アプライドバイオシステムズ社、フォスターシティ、カリフォルニアから入手可能)または細胞を溶解させてルシフェラーゼアッセイ系(プロメガ社)を使用することを含む多くの方法でモニターされてもよい。ルシフェラーゼ活性を増加させる化合物はSHP阻害剤として作用するだろう。
【0111】
試験化合物がSHP阻害剤として作用していることを確認するために、HepG2細胞をxMOIとしてNF−κBレポーターアデノウイルスで感染させる。細胞をビヒクルまたは試験化合物で処理する。ルシフェラーゼ活性を上記のようにモニターする。SHP阻害剤はSHPのないこれらの細胞内ではルシフェラーゼ活性を変化させないだろう。
具体例を参照して上記に説明および記載されるが、本発明は示した詳細に制限されることを意図しない。むしろ、様々な修飾が請求項と同等の範疇および範囲内で本発明の精神から離れず詳細になされてもよい。それ故、本発明はその精神または本質的な特性から離れず他の具体的な形態で具体化されてもよい。本具体例は、それ故、あらゆる点で説明であって制限するものではなく、本発明の範疇は添付の請求書によって示される。
【図面の簡単な説明】
【0112】
(原文に記載なし)

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】

【図22】

【図23】

【図24】

【図25】

【図26】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
短鎖ヘテロ二量体タンパク(SHP)またはファルネソイドX受容体(FXR)を阻害するのに有効な薬剤を同定する方法であって:
(i)短鎖ヘテロ二量体タンパク(SHP)または(ii)ファルネソイドX受容体(FXR)を発現してNF−κBプロモーター/検出物質遺伝子レポーターを含む細胞培養に薬剤を投与すること;および
細胞培養にて検出物質の増加を引き起こす薬剤を選択すること
を含む方法。
【請求項2】
薬剤が小分子、アンチセンスオリゴヌクレオチド、抗体、組換えSHP、組換えFXRまたはそれらの組み合わせである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
薬剤が約50ないし約1500の分子量を有する小分子である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
検出物質遺伝子が蛍光ルシフェラーゼ遺伝子、β−ガラクトシダーゼ遺伝子、分泌型アルカリホスファターゼ遺伝子、ウミシイタケルシフェラーゼ遺伝子またはそれらの組み合わせである、請求項1記載の方法。
【請求項5】
検出物質遺伝子が蛍光ルシフェラーゼ遺伝子である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
細胞培養が改変細胞培養である、請求項1記載の方法。
【請求項7】
細胞培養がトランスフェクション細胞培養である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
細胞培養が感染細胞培養である、請求項1記載の方法。
【請求項9】
SHP、FXRまたはプロモーター/検出物質遺伝子レポーターがアデノウイルス、プラスミド、レトロウイルスまたはそれらの組み合わせのいずれかから選択されるベクターによって細胞培養に導入される、請求項1記載の方法。
【請求項10】
ベクターがアデノウイルスである、請求項9記載の方法。
【請求項11】
アデノウイルスが複製欠損アデノウイルスである、請求項10記載の方法。
【請求項12】
複製欠損アデノウイルスがSV40プロモーター、CMVプロモーター、MLPプロモーターまたはそれらの組み合わせを含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
複製欠損アデノウイルスがSV40プロモーターを含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
細胞培養がHELA、ヒト肝芽腫細胞系(HepG2)、ヒト胎生期腎293細胞系(HEK293)、ラットFTO−2B、ラットMcA−RH7777またはそれらの組み合わせのいずれかである、請求項1記載の方法。
【請求項15】
さらにNF−κBプロモーター/検出物質遺伝子レポーターを調製するのに使用されるNF−κBプロモーターをクローニングすることを含む、請求項1記載の方法。
【請求項16】
NF−κBプロモーターが炎症遺伝子の細胞間接着分子(ICAM−1)またはマクロファージ−コロニー刺激因子(M−CSF)を含む、請求項1記載の方法。
【請求項17】
加えて短鎖ヘテロ二量体タンパク(SHP)を発現して第二細胞培養にて検出物質の増加を検出するためのCYP7A1またはCYP8B1プロモーター/検出物質遺伝子レポーターを含む第二細胞培養に薬剤を投与することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項18】
加えてNF−κBプロモーターをクローニングしてクローニングしたNF−κBプロモーターを検出物質遺伝子の前にあるベクター中に挿入して細胞培養に感染させる前にNF−κBプロモーター/検出物質遺伝子レポーターを形成することを含む方法であって、NF−κBプロモーターが炎症遺伝子の細胞間接着分子(ICAM−1)またはマクロファージ−コロニー刺激因子(M−CSF)を含む、請求項1記載の方法。
【請求項19】
加えて短鎖ヘテロ二量体タンパク(SHP)および任意に肝細胞核因子4α(HNF4α)を発現して第二細胞培養にて検出物質の増加を検出するためのCYP7A1またはCYP8B1プロモーター/検出物質遺伝子レポーターを含む第二細胞培養に候補薬剤を投与することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項20】
加えて
(a)第二細胞培養に薬剤を投与し、該細胞培養がNF−κBプロモーター/検出物質遺伝子レポーターを含んでSHPまたはFXRを発現しないこと;および
(b)第一細胞培養にて検出物質の増加を引き起こし薬剤の投与に続き第二細胞培養にて検出物質の増加を全く引き起こさない薬剤を選択すること:
を含む請求項1記載の方法。
【請求項21】
対象における炎症遺伝子活性および/またはコレステロール生合成に付随する状態を防止または改善する方法であって:
該対象に請求項1−20のいずれかに記載の方法によって選択される薬剤を投与することを含む方法。
【請求項22】
請求項1−20のいずれかに記載の方法によって選択される薬剤を含む組成物。
【請求項23】
加えて医薬上許容される担体を含む、請求項22記載の組成物。
【請求項24】
薬剤が小分子、アンチセンスオリゴヌクレオチド、抗体、組換えSHP、組換えFXRまたはそれらの組み合わせである、請求項22記載の組成物。
【請求項25】
薬剤が約50ないし約1500の分子量を有する小分子である、請求項24記載の組成物。
【請求項26】
核転写因子NF−κBプロモーター/ルシフェラーゼ(luc)遺伝子レポーターを含むベクターで感染、トランスフェクトまたは改変した細胞培養に投与した場合にルシフェラーゼの増加を引き起こすと特徴付けられる薬剤を含む組成物であって、該細胞培養が短鎖ヘテロ二量体タンパク(SHP)またはファルネソイドX受容体(FXR)を発現するところの組成物。
【請求項27】
薬剤が小分子、アンチセンスオリゴヌクレオチド、抗体、組換えSHP、組換えFXRまたはそれらの組み合わせである、請求項26記載の組成物。
【請求項28】
小分子が約50ないし約1500の分子量を有する、請求項27記載の組成物。
【請求項29】
小分子が約50ないし約750の分子量を有する、請求項27記載の組成物。
【請求項30】
小分子が約50ないし約500の分子量を有する、請求項27記載の組成物。
【請求項31】
小分子が非ステロイド化合物である、請求項27記載の組成物。
【請求項32】
ベクターがアデノウイルス、プラスミド、レトロウイルスまたはそれらの組み合わせのいずれかである、請求項26記載の組成物。
【請求項33】
ベクターがアデノウイルスである、請求項32記載の組成物。
【請求項34】
アデノウイルスが複製欠損アデノウイルスである、請求項33記載の組成物。
【請求項35】
複製欠損アデノウイルスがSV40プロモーター、CMVプロモーター、MLPプロモーターまたはそれらの組み合わせを含む、請求項34記載の組成物。
【請求項36】
複製欠損アデノウイルスがSV40プロモーターを含む、請求項34記載の組成物。
【請求項37】
細胞培養がHELA、ヒト肝芽腫細胞系(HepG2)、ヒト胎生期腎293細胞系(HEK293)、ラットFTO−2B、ラットMcA−RH7777またはそれらの組み合わせのいずれかである、請求項26記載の組成物。
【請求項38】
NF−κBプロモーターが炎症遺伝子の細胞間接着分子(ICAM−1)またはマクロファージ−コロニー刺激因子(M−CSF)を含む、請求項26記載の組成物。
【請求項39】
薬剤が炎症遺伝子発現経路にて短鎖ヘテロ二量体タンパク(SHP)またはファルネソイドX受容体(FXR)の活性を阻害する、請求項26記載の組成物。
【請求項40】
薬剤が短鎖ヘテロ二量体タンパク(SHP)またはファルネソイドX受容体(FXR)の成熟または未熟形態またはその物をコードする遺伝子に結合する、請求項26記載の組成物であって;該薬剤がアテローム動脈硬化に対する有効量にて組成物内にあるところの組成物。
【請求項41】
薬剤が受容体またはリガンドとして短鎖ヘテロ二量体タンパク(SHP)またはファルネソイドX受容体(FXR)の成熟または未熟形態と競合する、請求項26記載の組成物。
【請求項42】
NF−κBプロモーターが炎症遺伝子の細胞間接着分子(ICAM−1)またはマクロファージ−コロニー刺激因子(M−CSF)を含む、請求項26記載の組成物。
【請求項43】
NF−κBプロモーターおよび検出物質遺伝子を含む、プロモーター/検出物質遺伝子レポーターであって、該NF−κBプロモーターが検出物質遺伝子の前に位置する、プロモーター/検出物質遺伝子レポーター。
【請求項44】
NF−κBプロモーター/検出物質遺伝子レポーターがベクターに導入される、請求項43記載のプロモーター/検出物質遺伝子レポーター。
【請求項45】
ベクターが複製欠損アデノウイルスベクターである、請求項44記載のプロモーター/検出物質遺伝子レポーター。
【請求項46】
複製欠損アデノウイルスベクターがSV40プロモーター、CMVプロモーター、MLPプロモーターまたはそれらの組み合わせを含む、請求項45記載のプロモーター/検出物質遺伝子レポーター。
【請求項47】
複製欠損アデノウイルスベクターがSV40プロモーターを含む、請求項45記載のプロモーター/検出物質遺伝子レポーター。
【請求項48】
さらに組成物が短鎖ヘテロ二量体タンパク(SHP)またはファルネソイドX受容体(FXR)を発現するポリヌクレオチドを含むベクターを含む、請求項43記載のプロモーター/検出物質遺伝子レポーター。
【請求項49】
NF−κBプロモーターが炎症遺伝子の細胞間接着分子(ICAM−1)またはマクロファージ−コロニー刺激因子(M−CSF)を含む、請求項43記載のプロモーター/検出物質遺伝子レポーター。
【請求項50】
ベクターが宿主細胞に導入される、請求項44記載のプロモーター/検出物質遺伝子レポーター。
【請求項51】
配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8またはそれらの組み合わせの核酸配列を含むポリヌクレオチド:を含む単離したCYP7A1、CYP8B1またはSHPプロモーター。
【請求項52】
CYP8B1プロモーターがヒトCYP8B1の転写開始部位に対してヌクレオチド−514ないし+303のCYP8B1の断片を含む、請求項51のプロモーター。
【請求項53】
プロモーターが検出物質遺伝子に導入されてプロモーター/検出物質遺伝子レポーターを形成する、請求項51記載のプロモーター。
【請求項54】
検出物質遺伝子が蛍光ルシフェラーゼ遺伝子、β−ガラクトシダーゼ遺伝子、分泌型アルカリホスファターゼ遺伝子、ウミシイタケルシフェラーゼ遺伝子またはそれらの組み合わせである、請求項53記載のプロモーター。
【請求項55】
検出物質遺伝子が蛍光ルシフェラーゼ遺伝子である、請求項53記載のプロモーター。
【請求項56】
プロモーター/検出物質遺伝子レポーターがベクターに導入される、請求項53記載のプロモーター。
【請求項57】
ベクターがアデノウイルスSV40である、請求項56記載のプロモーター。
【請求項58】
プロモーターが宿主細胞に導入される、請求項51記載のプロモーター。
【請求項59】
非天然脱活性型短鎖ヘテロ二量体タンパク(SHP)またはファルネソイドX受容体(FXR)の複合体を含む組成物。
【請求項60】
加えて医薬上許容される担体を含む、請求項59記載の組成物。
【請求項61】
医薬上許容される担体がチュアブル錠、急速溶解錠、発泡錠、復元散剤、エリキシル、液剤、溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、多層錠、二層錠、カプセル、ソフトゼラチンカプセル、ハードゼラチンカプセル、カプレット、ロゼンジ、チュアブルロゼンジ、ビーズ、散剤、顆粒、粒子、微粒子、分散顆粒、サケット、圧注剤、坐剤、クリーム、局所剤、吸入剤、エアロゾル吸入剤、パッチ、粒子吸入剤、インプラント、持続性インプラント、内服剤、注射剤、注入剤、ヘルスバー、糖菓剤、家畜飼料、シリアル剤、シリアルコーティング剤、食品、栄養食品、機能性食品またはそれらの組み合わせである、請求項60記載の組成物。
【請求項62】
加えて医薬上許容される緩衝剤、希釈剤、アジュバントまたはそれらの組み合わせを含む、請求項60記載の組成物。
【請求項63】
配列番号:1−4のいずれかに結合する薬剤を含む組成物。
【請求項64】
薬剤が配列番号:1または配列番号:3のいずれかに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項63記載の組成物。
【請求項65】
薬剤が配列番号:2または配列番号:4のいずれかに対する抗体である、請求項63記載の組成物。
【請求項66】
実質的に本明細書に記載されるような組成物。
【請求項67】
実質的に本明細書に記載されるような使用。


【公表番号】特表2006−505249(P2006−505249A)
【公表日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−513445(P2004−513445)
【出願日】平成15年6月13日(2003.6.13)
【国際出願番号】PCT/US2003/018651
【国際公開番号】WO2003/106632
【国際公開日】平成15年12月24日(2003.12.24)
【出願人】(591000791)ワイス・ホールディングズ・コーポレイション (43)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth Holdings Corporation
【Fターム(参考)】