説明

炭化ケイ素粉末の製造方法

【課題】平均粒子径が200nm以下であり、かつ、任意の粒子径の炭化ケイ素粉末を工業的規模で安価に製造することが可能な炭化ケイ素粉末の製造方法を提供する。
【解決手段】炭化ケイ素粉末の製造方法は、炭化ケイ素微細粒子または炭化ケイ素前駆体を熱処理する、炭化ケイ素粉末の製造方法であって、前記熱処理を、還元性ガスを含む雰囲気で行なうとともに、前記雰囲気中における熱処理温度を1500℃以上かつ1900℃以下とすることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化ケイ素粉末の製造方法に関し、さらに詳しくは、炭化ケイ素の製造時に炭化系素粒子の粒成長を抑制することにより、平均粒子径が200nm以下で、かつ任意の粒子径の炭化ケイ素粉末を工業的規模で安価に製造することが可能とする、炭化ケイ素粉末の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、サブミクロンよりも粒度の大きな通常の炭化ケイ素粉末は、主にアチソン法などの酸化ケイ素と炭素を高温にて反応させる方法により作製されている。
サブミクロン程度の粒径で純度の高い炭化ケイ素粉末を作製するために、液状の原料を使用して、酸化ケイ素と炭素が含まれる炭化ケイ素の前駆体を改良する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
粒子径が100nm以下の炭化ケイ素粉末の中でも、工業的に実用化されているものは、気相熱分解反応を用いて作製されている。
また、粒子径が100nm以下の炭化ケイ素粉末を安価に製造する方法としては、結晶子の小さな炭化ケイ素粉末を合成した後、分離して単一の粒子として使用する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特公平1-42886号公報
【特許文献2】特開2008−050201号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アチソン法などの酸化ケイ素と炭素を高温にて反応させる方法や、炭化ケイ素の前駆体を改良する方法で得られる炭化ケイ素粉末の平均粒子径は、100nm以上であった。また、これらの方法では、反応条件によって得られる炭化ケイ素の粒子径が大きく変化するため、平均粒子径が200nm以下で任意の粒子径の炭化ケイ素粉末を製造するのは非常に困難であった。
一方、気相熱分解反応を用いる方法では、得られる炭化ケイ素粒子の平均粒子径は20nmから40nm程度であるが、粒度分布が広く、粒子径が10nm程度から100nm以上の粒子が含まれるという問題があった。また、この炭化ケイ素粒子は、粒子同士の凝集が強いため、他の材料と混合して使用する場合、ほとんどがサブミクロンオーダー以上の凝集体となり、ナノ粒子としての特性が得られ難かった。また、この方法では、気相であり、かつ、危険物であるシラン系ガスを原料として使用するため、製造コストが高くなるという問題があった。
また、結晶子の小さな炭化ケイ素粉末を合成した後、分離して単一の粒子として使用する方法では、合成する温度により粒子径が大きく変化するため、目的とする粒子径の粉末を再現性良く生成するのは非常に難しかった。また、反応の収率をあげるために、合成する温度を上げると、得られる炭化ケイ素粉末の粒子径が大きくなり易く、歩留まりが低下するという問題があった。
【0005】
これら従来の方法において、炭化ケイ素粉末の粒子径制御が難しいことを、次に示す。
まず、炭化ケイ素は、その生成の初期段階において、粒子径数nmから数10nmの微細粒子が分散体ないしは集合体として存在していると予測される。この微細粒子は、従来の炭化ケイ素の製造条件下では急速に粒成長および焼結が進行し、サブミクロン以上の大径の粒子になると考えられる。
図1は、従来の炭化ケイ素の製造条件下にて、1600℃で熱処理して合成した炭化ケイ素の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。図2は、従来の炭化ケイ素の製造条件下にて、1650℃で熱処理して合成した炭化ケイ素の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。図3は、従来の炭化ケイ素の製造条件下にて、1700℃で熱処理して合成した炭化ケイ素の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。
【0006】
図1〜3の走査型電子顕微鏡(SEM)像から、熱処理温度を1600℃から1700℃に上昇したことによって、炭化ケイ素微細粒子が粒成長し、粒子径が数10nmから数100nmへ急激に大きくなることが示されている。従って、従来の炭化ケイ素の製造条件下では、炭化ケイ素微細粒子の粒成長および焼結が急速に進行するため、炭化ケイ素の粒子径を制御することが難しいことが分かる。
【0007】
一方、従来の炭化ケイ素の製造方法でも、炭化ケイ素微粒子の粒成長や焼結がほとんど起こらないような条件下にて炭化ケイ素を生成し、生成の初期段階における粒子径数nmから数10nmの微細粒子を維持させることも可能ではある。しかし、このような製造条件では、生成初期の微細粒子がそのまま残ってしまうため、やはり必要とする粒子径の炭化ケイ素を得ることが難しい。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、平均粒子径が200nm以下で、かつ任意の粒子径の炭化ケイ素粉末を工業的規模で安価に製造することが可能な炭化ケイ素粉末の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、炭化ケイ素粉末を生成する際に、還元性ガスを含む雰囲気とすることにより、炭化ケイ素の粒成長が抑制され、結果として、炭化ケイ素粉末の粒子径を容易に制御することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
また、還元性ガスは、二酸化ケイ素を熱処理炉内に存在させておくことにより発生させることができること、さらに、二酸化ケイ素に加えて炭素も存在させておくことにより、還元性ガスの生成および効果を増加させることが可能であることを見出した。そして、雰囲気圧力を高くすることにより、上記の効果を得やすくなることをも見出した。
【0010】
さらに、本発明者等は、上記方法を用いて炭化ケイ素の生成を行なう際に、炭素源として炭素粉末を用いた場合、得られる炭化ケイ素粉末がこの炭素粉末の形状および粒子径をほぼ維持していること、したがって炭素源としての炭素粉末の形状および粒子径を制御することにより、得られる炭化ケイ素粉末の形状および粒子径を制御できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本願第1の発明の炭化ケイ素粉末の製造方法は、炭化ケイ素微細粒子を熱処理することにより、粒子径の制御された炭化ケイ素粉末を得るための製造方法であって、前記熱処理を、還元性ガスを含む雰囲気で行なうとともに、前記雰囲気中における熱処理温度を1500℃以上かつ1900℃以下とすることを特徴とする。
【0012】
また、本願第2の発明の炭化ケイ素粉末の製造方法は、炭化ケイ素原料または炭化ケイ素前駆体から炭化ケイ素微細粒子を製造後、前記炭化ケイ素微細粒子を熱処理することにより、粒子径の制御された炭化ケイ素粉末を得るための製造方法であって、前記熱処理を、還元性ガスを含む雰囲気で行なうとともに、前記雰囲気中における熱処理温度を、前記炭化ケイ素微細粒子の製造温度または1500℃のいずれか高い温度以上かつ1900℃以下とすることを特徴とする。
【0013】
前記熱処理中の試料容器内に二酸化ケイ素または炭素と二酸化ケイ素との混合物を加えることが好ましい。
前記炭化ケイ素原料または炭化ケイ素前駆体におけるケイ素源が二酸化ケイ素であり、前記炭化ケイ素原料または炭化ケイ素前駆体における二酸化ケイ素のモル量が、前記炭化ケイ素原料または炭化ケイ素前駆体における炭素源中の炭素のモル量の1/3以上であることが好ましい。
前記熱処理における雰囲気圧を2気圧以上かつ1000気圧以下とすることが好ましい。
前記熱処理中の試料容器内に外部より還元性ガスを導入することが好ましい。
前記外部より導入する還元性ガスは、水素および/または一酸化炭素ガスであることが好ましい。
【0014】
また、本発明の炭化ケイ素粉末の製造方法は、前記炭化ケイ素微細粒子が凝集粒子を形成しており、該凝集粒子の平均粒子径が5nm以上かつ200nm以下であることを特徴とする。
前記炭化ケイ素微細粒子の凝集粒子の原料として、ケイ素源と、平均粒子径5nm以上かつ200nm以下の炭素粉末を使用することが好ましい。
【0015】
前記炭化ケイ素粉末の原料として、平均一次粒子径が5nm以上かつ100nm以下の二酸化ケイ素微粒子と、平均一次粒子径が200nm以下の炭素粉末の混合物を用いることが好ましい。
【0016】
前記炭化ケイ素微細粒子、前記炭化ケイ素前駆体または炭化ケイ素原料の金属不純物の含有量は1000ppm以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本願第1の発明の炭化ケイ素粉末の製造方法によれば、炭化ケイ素微細粒子を熱処理することにより、粒子径の制御された炭化ケイ素粉末を得るための製造方法であって、前記熱処理を、還元性ガスを含む雰囲気で行なうとともに、前記雰囲気中における熱処理温度を1500℃以上かつ1900℃以下とするので、炭化ケイ素微細粒子の急速な粒成長および焼結が抑制される。
また、本願第2の発明の炭化ケイ素粉末の製造方法は、炭化ケイ素原料または炭化ケイ素前駆体から炭化ケイ素微細粒子を製造後、前記炭化ケイ素微細粒子を熱処理することにより、粒子径の制御された炭化ケイ素粉末を得るための製造方法であって、前記熱処理を、還元性ガスを含む雰囲気で行なうとともに、前記雰囲気中における熱処理温度を、前記炭化ケイ素微細粒子の製造温度または1500℃のいずれか高い温度以上かつ1900℃以下とすることを特徴とするので、炭化ケイ素微細粒子の急速な粒成長および焼結が抑制される。
このように、炭化ケイ素微細粒子の粒成長および焼結がゆっくりと進行するため、熱処理温度と時間を調節することにより、得られる炭化ケイ素粉末の平均粒子径制御が容易となり、200nm以下の炭化ケイ素粉末を容易に得ることができる。
【0018】
一方、炭化ケイ素は、生成の初期段階では粒子径数nmから数10nmの微細粒子である。
ここで、炭化ケイ素源中の炭素源として固体状炭素源を用いた場合、炭化ケイ素の生成段階では、1つの固体炭素源中に多数の炭化ケイ素微細粒子が発生し、この多数の炭化ケイ素微細粒子が、固体状炭素源の形状を維持した状態で緻密に集合した状態の凝集粒子となっている。
したがって、この凝集粒子を熱処理する際に本発明の炭化ケイ素粉末の製造方法を適用すれば、炭化ケイ素の粒成長および焼結が抑制されているため、炭化ケイ素微細粒子が緻密に集合した状態で存在する炭化ケイ素凝集粒子内部においては炭化ケイ素微細粒子の粒成長および焼結は進行するが、炭化ケイ素凝集粒子相互間の粒成長および焼結の進行を抑制することができる。その結果、得られた炭化ケイ素粉末は、原料となる固体の炭素源の形状および寸法をほぼそのまま維持し、かつ粒子内の炭化ケイ素微細粒子は粒成長や焼結により一体化しているので、以後の処理において粒子が破砕されて超微細粒子に戻ることがない。したがって、炭素源として平均粒子径5nm以上かつ200nm以下の固体の炭素粉末を用いれば、平均粒子径が200nm以下の炭化ケイ素粉末を容易に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の炭化ケイ素粉末の製造方法の最良の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0020】
本願第1の発明における炭化ケイ素粉末の製造方法は、炭化ケイ素微細粒子を熱処理することにより、粒子径の制御された炭化ケイ素粉末を得るための製造方法であって、前記熱処理を、還元性ガスを含む雰囲気で行なうとともに、前記雰囲気中における熱処理温度を1500℃以上かつ1900℃以下とすることにより、平均粒子径が200nm以下の炭化ケイ素粉末を作製する方法である。
【0021】
この場合における炭化ケイ素微細粒子としては、予め所定の製造方法により作製されたものが用いられる。製造方法については、特段の限定はない。ただし、この炭化ケイ素微細粒子の粒子径は、作製しようとする炭化ケイ素粉末の平均粒子径より小さくなければならない。これは、本願第1の発明が、炭化ケイ素微細粒子の粒成長および焼結を抑制すること、すなわち粒子径の拡大速度を制御することにより必要とする粒子径を得るということであり、粒子径を減少させる効果はないためである。
【0022】
また、本願第2の発明における炭化ケイ素粉末の製造方法は、炭化ケイ素原料または炭化ケイ素前駆体から炭化ケイ素微細粒子を製造後、前記炭化ケイ素微細粒子を熱処理することにより、粒子径の制御された炭化ケイ素粉末を得るための製造方法であって、前記熱処理を、還元性ガスを含む雰囲気で行なうとともに、前記雰囲気中における熱処理温度を、前記炭化ケイ素微細粒子の製造温度または1500℃のいずれか高い温度以上かつ1900℃以下とすることを特徴とすることにより、平均粒子径が200nm以下の炭化ケイ素粉末を作製する方法である。
【0023】
この場合における炭化ケイ素原料とは、ケイ素源と炭素源を少なくとも含有する混合物である。また、炭化ケイ素前駆体としては、炭化ケイ素粉末、または、ケイ素源と炭素源を少なくとも含有する混合物が用いられる。
【0024】
以下に、本発明の炭化ケイ素粉末の製造方法を、手順を追って説明する。
説明の範囲としては、本願第1の発明よりも本願第2の発明の方が広く、第1の発明は第2の発明中に含まれる形となる。このため、説明は本願第2の発明を主体とし、必要に応じて第1の発明についても記載する。
【0025】
まず、本願第2の発明における炭化ケイ素原料の選定および炭化ケイ素前駆体の作製を行なう。
ケイ素源としては、固体状または液状のものが用いられる。
固体状のケイ素源としては、例えば、シリカゾル(コロイド状超微細シリカ含有液、内部に水酸基(−OH)やアルコキシル基を含む)、二酸化ケイ素(シリカゲル、微細シリカ、石英粉末、フュームドシリカ)などの酸化ケイ素が挙げられる。これらの固体状のケイ素源を炭素源と均一に混合させるためには、微細な粒子径の粉末を使用することが好ましい。
また、液状のケイ素源としては、例えば、ケイ酸アルカリ水溶液を酸分解あるいは脱アルカリすることにより得られたもの、例えば、水ガラスの脱アルカリにより得られたケイ酸ポリマー;水酸基(−OH)を有する有機化合物とケイ酸とのエステル;エチルシリケートなどの加水分解性ケイ酸化合物と有機化合物または有機金属化合物とのエステルなどが挙げられる。
【0026】
炭素源としては、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、グラファイト、ナノダイヤモンドなどの固体の炭素や、液状のものでしかも加熱した際の残炭率が高い有機化合物、例えば、フェノール樹脂、フラン樹脂、キシレン樹脂、ポリイミド、ポリウレタン、ポリアクリロニトル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニルなどの樹脂のモノマーやプレポリマーが用いられるほか、セルロース、しょ糖、ピッチ、タールなども用いることができる。
【0027】
なお、固体状炭素源を用いた場合における、生成炭化ケイ素粉末の平均粒子径制御方法ならびに効果については、後段で詳細に記述する。
【0028】
これら炭素源とケイ素源を混合する際の混合割合は、特に制限されることはなく、一般的な炭化ケイ素製造時の割合を用いればよい。
ただし、後述する熱処理時に新たに二酸化ケイ素の追加や還元性ガスの導入を行なわず、原料として投入した二酸化ケイ素を残存させて使用するためには、炭素源とケイ素源のモル比(C/Si)で3以下であることが好ましく、より好ましくは2.0以上かつ2.9以下である。
【0029】
また、炭化ケイ素粉末を作製する場合、金属不純物が含まれると粒成長を促進させるため、炭化ケイ素粉末の原料としては金属不純物の含有量が少ないものを用いることが好ましい。
本発明では、炭化ケイ素粉末または炭化ケイ素前駆体の金属不純物の含有量は1000ppm以下であることが好ましい。
炭化ケイ素粉末または炭化ケイ素前駆体の金属不純物の含有量は1000ppm以下であることが好ましい理由は、金属不純物は炭化ケイ素粒子の粒成長や焼結を促進させるため、金属不純物の含有量が1000ppmを超えると粒子径の制御が難しくなるからである。
【0030】
次に、本願第2の発明において、炭化ケイ素微細粒子を生成する。なお、ここで生成された炭化ケイ素微細粒子と、本願第1の発明において予め所定の製造方法により作製された炭化ケイ素微細粒子とは、同義である。
始めに、ケイ素源と炭素源を混合する。混合する手段としては、特に制限されないが、ホモジナイザー(乳化器)、超音波分散装置、ビーズミル、ボールミル、遊星式ボールミルなどの湿式混合装置、アルティマイザーなどの二流衝突式混合装置、三本ロールミル、ミキサー、ニーダーなどの混練装置が適宜用いられる。
また、ケイ素源と炭素源を混合する際、固体状のケイ素源を均一に分散させるための分散剤として、ゼラチン、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの有機分散剤、無機分散剤、界面活性剤などを適宜用いることもできる。
【0031】
これら炭素源およびケイ素源を混合してなる混合物は、液状であっても固体状であってもよいが、液状である場合、後述する熱処理の前に硬化させて固体状にしておくことが好ましい。この混合物を固体状にする方法としては、特に制限されないが、目的に応じて適宜選択され、例えば、加熱により架橋する方法、硬化触媒により硬化する方法、電子線や放射線、超音波などにより硬化する方法などが挙げられる。
【0032】
この混合物に後述する熱処理を施す前に、炭化処理を行ってもよい。
炭化処理としては、例えば、アルゴン(Ar)や窒素ガス(N)などの不活性雰囲気中、500℃以上かつ1200℃以下の温度範囲にて、1分以上かつ6時間以下保持することが好ましい。
この炭化処理により、混合物中の炭素源およびケイ素源の一部が炭化し、炭素源およびケイ素源を含む炭化処理物からなる炭化ケイ素前駆体が得られる。
【0033】
次いで、上記の炭化ケイ素前駆体を、アルゴン(Ar)または窒素ガス(N)などの不活性ガス雰囲気中にて加熱することにより、炭化ケイ素微細粒子(粒子径数nmから数10nmの超微細粒子)を生成する。以後本工程を「SiC生成工程」と称する。
このSiC生成工程における加熱温度は、1200℃以上かつ1700℃以下が好ましく、より好ましくは1400℃以上かつ1600℃以下である。また、この熱処理温度における保持時間は、1分以上かつ8時間以下、好ましくは30分以上かつ4時間以下である。
得られた炭化ケイ素微細粒子は、粒子径数nmから数10nmの微細粒子である。
この微細粒子は、炭化ケイ素源あるいは炭化ケイ素前駆体中で固体状炭素源を用いた場合には、その固体状炭素源の形状などをなして凝集または弱く焼結された状態をなした凝集粒子となっているが、後の分散工程などで、微細粒子に破砕される。
【0034】
次に、本願第1ならびに第2の発明において、炭化ケイ素微細粒子の熱処理を行なう。
炭化ケイ素微細粒子は、本願第1の発明においては予め所定の製造方法により作製されたもの、本願第2の発明においては上述の方法で製造されたものが用いられる。熱処理としては、これらの炭化ケイ素微細粒子を、還元性ガスを含む雰囲気中にて行なう。
ここで、還元性ガスを含む雰囲気中における熱処理温度は、1500℃以上かつ1900℃以下とすることが好ましく、より好ましくは1600℃以上かつ1800℃以下とする。
還元性ガスを含む雰囲気中における熱処理温度を、1500℃以上かつ1900℃以下とすることが好ましい理由は、熱処理温度が1500℃未満では、炭化ケイ素超微細粒子を再熱処理する効果が得られ難いからであり、一方、熱処理温度が1900℃を超えると、炭化ケイ素微細粒子同士の粒成長ないしは焼結の進行が著しく速くなるため、得られる炭化ケイ素粉末の粒子径制御が難しくなり、粒子径が大きくなるからである。
【0035】
なお、本願第2の発明においては、不活性ガス雰囲気中におけるSiC生成工程の後、その温度を所定の温度までさらに上げて、還元性ガスを含む雰囲気中における炭化ケイ素微細粒子の熱処理を連続して行ってもよい(連続処理)。または、不活性ガス雰囲気中におけるSiC生成工程の後、温度を下げた後、再び所定の温度まで上げて、還元性ガスを含む雰囲気中における炭化ケイ素粉末または炭化ケイ素超微細粒子の熱処理を行ってもよい(再熱処理)。このように再度熱処理を行う場合、得られた炭化ケイ素粉末の分級や、炭化ケイ素粉末からの未反応物の除去などを行った後、再熱処理を行ってもよい。
また、本願第1の発明の場合は、炭化ケイ素微細粒子は予め所定の製造方法により作製されたものであって、加熱状態に維持されているものではないから、再熱処理に限定される。
【0036】
還元性ガスを含む雰囲気中における熱処理を行うためには、熱処理炉内に外部から還元性ガスを導入するか、あるいは、熱処理炉内の試料から還元性ガスを発生させてもよい。
外部から導入する還元性ガスとしては、水素ガス(H)、一酸化炭素ガス(CO)などが用いられる。
熱処理炉(試料容器)内の試料から還元性ガスを発生させる方法としては、熱処理炉内に二酸化ケイ素または炭素と二酸化ケイ素との混合物を加える方法が好適に用いられる。熱処理炉内に二酸化ケイ素を加えた場合、二酸化ケイ素が熱分解して、還元性を有する一酸化ケイ素ガス(SiO)が発生する。また、熱処理炉内に炭素と二酸化ケイ素の混合物を加えた場合、還元性を有する一酸化炭素ガス(CO)と一酸化ケイ素ガス(SiO)が発生する。
これらの還元性ガスが、熱処理炉内の炭化ケイ素微細粒子または炭化ケイ素前駆体に作用して、炭化ケイ素粉末の急速な粒成長および焼結を抑制する。
【0037】
なお、熱処理炉内に加える二酸化ケイ素としては、上記の炭化ケイ素源ないしは炭化ケイ素前駆体から、SiC生成工程により炭化ケイ素微細粒子が合成された後の未反応分を用いてもよい。すなわち、熱処理時に新たに二酸化ケイ素の追加や還元性ガスの導入を行なわず、原料として投入した二酸化ケイ素を残存させて使用する。
二酸化ケイ素を残存させる方法としては、通常の炭化ケイ素合成工程に比べて、ケイ素源の量を増すことにより行なう。このためには、炭素源とケイ素源のモル比(C/Si)で3以下であることが好ましく、より好ましくは2.0以上かつ2.9以下である。
【0038】
ここで、本願方法の熱処理における還元ガス導入方法と、炭化ケイ素源としての炭素源とケイ素源の割合、ないしは還元性ガス発生源として加える二酸化ケイ素または炭素と二酸化ケイ素との割合は、次のような関係となる。
まず、熱処理時には外部からの還元性ガス導入を行なわず、かつSiC生成工程と熱処理を連続して実施する場合には、SiC生成工程の残留二酸化ケイ素が還元性ガス発生源となる。このため、炭素源とケイ素源の割合は、上記記載の範囲内とすることが好ましい。
【0039】
次に、熱処理時に外部からの還元性ガス導入を行なわないが、還元性ガス発生源として二酸化ケイ素または炭素と二酸化ケイ素との混合物を新たに加える場合、ならびに外部から還元性ガスを導入して熱処理を行なう場合においては、原則として炭素とケイ素のモル比(C/Si)については特に限定はされない。これは、SiC生成工程後に二酸化ケイ素を残留させる必要が無いためである。
ただし、還元性ガス発生源として二酸化ケイ素または炭素と二酸化ケイ素との混合物を新たに加える場合であっても、SiC生成工程後に残留物の除去を行なわない場合には、炭素源とケイ素源のモル比(C/Si)を3以下としておくほうが好ましい。これは、特に炭素残留物が多い場合、新たに加えた二酸化ケイ素と炭素残留物から炭化ケイ素が生成し、二酸化ケイ素が消費されてしまう可能性があるためである。
また、還元性ガス発生源として炭素と二酸化ケイ素との混合物を新たに加える場合においては、ガス発生源として加える炭素とケイ素のモル比(C/Si)は3以下であることが好ましく、より好ましくは2.0以上かつ2.9以下である。これは、熱処理段階においても、添加した炭素と二酸化ケイ素から炭化ケイ素が生成し、炭素と二酸化ケイ素が消費されることから、確実に二酸化ケイ素を残留させるためである。
【0040】
なお、SiC生成工程では、生成した炭化ケイ素の微細粒子が粒成長や焼結を起こしにくい条件下で加熱がなされているが、粒成長や焼結をより確実に防ぐためには、上記炭素源とケイ素源のモル比の範囲内とすることが好ましい。
【0041】
また、本願第1ならびに第2の発明において、熱処理炉内に二酸化ケイ素または炭素と二酸化ケイ素との混合物を加え還元性ガスを発生させる方法においては、熱処理における雰囲気圧は、2気圧以上かつ1000気圧以下とすることが好ましく、より好ましくは2気圧以上かつ100気圧以下である。
なお、1気圧は、101,300Pa(パスカル)である。
高温で揮散してしまう二酸化ケイ素を高温でも熱処理炉内に留め、一酸化炭素または一酸化ケイ素ガスを充分に発生させるには、熱処理炉内を加圧雰囲気にする方法が好適に用いられる。熱処理炉内の加圧に用いられるガスは、還元性ガスまたは不活性ガスのいずれでもよい。雰囲気圧が2気圧未満では、二酸化ケイ素が揮発し易くなり、一方、雰囲気圧が1000気圧を超えると、熱処理に用いられる装置が高価になる。
【0042】
このように、熱処理における雰囲気圧を、大気圧以上に維持することにより、還元性ガスが炭化ケイ素へ作用する効果が強くなり、炭化ケイ素の急速な粒成長および焼結がより抑制され、得られる炭化ケイ素粉末の粒子径の制御を容易に行うことができる。なお、炭化ケイ素の生成の初期段階から熱処理炉内を加圧すると、炭素の結晶化や気相反応が抑制され、炭化ケイ素自体が生成しない。従って、炭化ケイ素の微細粒子が生成してから、すなわちSiC生成工程が終了してから、熱処理炉内を加圧することが好ましい。
【0043】
同様に、二酸化ケイ素の揮散防止や、発生した一酸化炭素または一酸化ケイ素ガスを炭化ケイ素微細粒子または炭化ケイ素前駆体に充分に作用させるためには、炭化ケイ素微細粒子または炭化ケイ素前駆体と二酸化ケイ素または炭素と二酸化ケイ素との混合物とを、蓋付きのルツボなどの容器に入れ、発生したガスが容器内に滞留するようにすることが好ましい。
【0044】
最後に、本願第1ならびに第2の発明において、得られた炭化ケイ粉末から、残留未反応物や混合されている還元性ガス発生源を除去する。
まず、得られた炭化ケイ素粉末を酸化雰囲気中で熱処理することにより、炭化ケイ素の分散を容易にするとともに、残留する未反応の炭素を焼成し取り除く。
この炭化ケイ素粉末の酸化雰囲気中における熱処理温度は、500℃以上かつ1600℃以下とすることが好ましく、より好ましくは600℃以上かつ900℃以下とする。
炭化ケイ素粉末の酸化雰囲気中における熱処理温度を、500℃以上かつ1600℃以下とすることが好ましい理由は、炭化ケイ素粉末の酸化雰囲気中における熱処理温度が500℃未満では、残存する炭素が焼成しないで残るからであり、一方、炭化ケイ素粉末の酸化雰囲気中における熱処理温度が1600℃を超えると、炭化ケイ素が酸化して酸化ケイ素となる割合が多くなるからである。
また、酸化雰囲気中における熱処理後、フッ化水素酸による洗浄を行い、未反応物として残留している二酸化ケイ素や、炭化ケイ素粉末表面に酸化物膜として形成している二酸化ケイ素を、溶解除去してもよい。
以上の工程により、本願発明の炭化ケイ素粉末を得ることができる。
【0045】
次に、本願第1ならびに第2の発明において、固体状炭素源を用いて炭化ケイ素粉末の平均粒子径を制御する方法について、詳細に記す。
上記で述べてきた方法は、始めに炭化ケイ素の微細粒子を生成し、この微細粒子の粒成長および焼結を抑制しつつ熱処理することにより、粒子径拡大を制御性良く行い、必要とする粒子径を得る方法である。一方、以下に示す固体状炭素源を用いる方法は、固体状炭素源を一種の「型」として使用し、生成する炭化ケイ素粉末の平均粒子径および粒子形状などを制御するものである。
【0046】
固体状炭素源としては、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、グラファイト、ナノダイヤモンドなどの固体の炭素が好適であるが、加熱した際の残炭率が高い有機化合物の重合した固体、例えば、フェノール樹脂、フラン樹脂、キシレン樹脂、ポリイミド、ポリウレタン、ポリアクリロニトル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニルなどの樹脂の重合体や、セルロース、しょ糖、ピッチ、タールなどを用いることもできる。
【0047】
まず、炭化ケイ素源、あるいは炭化ケイ素前駆体中の炭素源として固体状炭素源を用いて炭化ケイ素微細粒子の生成を行なった場合(SiC生成段階)、生成物としては、粒子径数nmから数10nmの炭化ケイ素微細粒子が、固体状炭素源の形状を維持した状態で緻密に集合した状態の凝集粒子が生成される。これは、炭素源として固体状炭素源を用いた場合、この炭素源に対してケイ素源の一部が気化して反応し、炭化ケイ素が生成するため、炭化ケイ素微細粒子が生成した時点で、炭化ケイ素微細粒子の集合体は原料となる固体の炭素源の形状および寸法をほぼそのまま維持していると考えられるからである。したがって、凝集粒子と固体状炭素源の平均粒子径や形状は、ほぼ同一である。
この凝集粒子は、内部の炭化ケイ素微細粒子が凝集または弱く焼結された状態をなしているが、各粒子間の結合力は弱いため、後の分散工程などで微細粒子に破砕される。
【0048】
次に、この凝集粒子を熱処理する際に、本発明の炭化ケイ素粉末の製造方法を適用し、還元性ガス雰囲気とすれば、炭化ケイ素の粒成長および焼結が抑制される。このため、炭化ケイ素微細粒子が緻密に集合した状態で存在する凝集粒子内部においては炭化ケイ素微細粒子の粒成長および焼結は進行するが、凝集粒子相互間の粒成長および焼結の進行を抑制することができる。その結果、得られた炭化ケイ素粉末は、元となる凝集粒子と平均粒子径や形状がほぼ同一で、かつ粒子内の炭化ケイ素微細粒子は粒成長や焼結により一体化ないしは単一粒子化されており、以後の処理において粒子が破砕されて微細粒子に戻ることがない。
したがって、本発明により固体状炭素源を用いて炭化ケイ素粉末を製造すれば、原料となる固体状炭素源の平均粒子径や形状をほぼそのまま維持した炭化ケイ素粉末を、容易に得ることができる。
すなわち、炭化ケイ素原料または炭化ケイ素前駆体の原料として、平均粒子径5nm以上かつ200nm以下の粉末状固体状炭素源を用いれば、平均粒子径5nm以上かつ200nm以下の炭化ケイ素粉末を、容易に得ることができる。
【0049】
なお、固体状炭素源としては、前述のとおり固体の炭素が好適であるが、この中でも粒子径や粒子形状が均一なものが好ましく、安価であり反応性が良く粒子径状が球形であることから、カーボンブラックがより好適に用いられる。なお、カーボンナノチューブなどを用いれば、形状異方性を有する炭化系素粒子も得ることができる。
【0050】
本方法は、微細粒子自体の粒成長や焼結状態を直接制御して粒子径を制御するのではなく、固体状炭素源という一種の「型」を用いるため、微細粒子自体の粒成長や焼結状態を直接制御する場合に比べて、粒子径の制御が容易である。一方、固体状炭素源という「型」を小さくしていくと、SiC生成段階における生成物が通常の凝集粒子ではなく、極少数の微小粒子の凝集体ないしは単一の微細粒子となってしまう。この状態では、微細粒子自体の粒成長や焼結状態を直接制御して粒子径を制御する場合と同様になってしまうため、粒子径制御の容易性という利点が無くなってしまう。
したがって、本方法を用いる場合、得ようとする炭化ケイ素粉末の平均粒子径は、少なくとも微細粒子の数倍とすることが好ましい。ここで、炭化ケイ素微細粒子の粒子径は数nmから数10nmであるから、本方法により製造される炭化ケイ素粉末の平均粒子径は、20nm以上とすることが好ましい。
【0051】
なお、本願発明において、炭素源として固体炭素源である炭素粉末を用いる場合には、炭素粉末の平均一次粒子径は200nm以下であることが好ましい。
この理由として、先に述べた本願第2の発明で固体炭素源を用いた場合においては、SiC生成段階で生成する炭化ケイ素微細粒子の粒子径は、最大でも固体炭素源の一次粒子径以下となるためである。すなわち、固体炭素源である炭素粉末の平均一次粒子径を200nm以下とすれば、SiC生成段階において生成する炭化ケイ素微細粒子の粒子径も200nm以下となり、本願方法を用いれば、この200nm以下の炭化ケイ素微細粒子の粒子成長を制御できるので、平均粒子径200nm以下の炭化ケイ素粉末を、容易に得ることができる。
また、固体状炭素源を一種の「型」として使用する場合には、原料となる炭素粉末の平均粒子径や形状をほぼそのまま維持した炭化ケイ素粉末が得られるため、炭化ケイ素原料または炭化ケイ素前駆体の原料として平均粒子径200nm以下の粉末状固体状炭素源を用いれば、平均粒子径200nm以下の炭化ケイ素粉末を、容易に得ることができる。
【0052】
そして、平均一次粒子径が200nm以下の炭素粉末と混合させるケイ素源としては、平均一次粒子径が5nm以上かつ100nm以下の二酸化ケイ素微粒子が好ましい。二酸化ケイ素が好ましい理由は、固体状のケイ素源であり取り扱いが容易であること、また還元性ガス源としても容易に使用できるためである。また平均一次粒子径が5nm以上かつ100nm以下が好ましい理由は、平均一次粒子径が200nm以下の炭素粉末と均一に混合させるためには、微細な粒子径の粉末を使用することが好ましいためである。
【0053】
本発明の炭化ケイ素粉末の製造方法によれば、炭化ケイ素微細粒子または炭化ケイ素前駆体を熱処理する、炭化ケイ素粉末の製造方法であって、前記熱処理を、還元性ガスを含む雰囲気で行なうとともに、前記雰囲気中における熱処理温度を1500℃以上かつ1900℃以下とすることにより、生成する炭化ケイ素微細粒子の急速な粒成長および焼結が抑制される。これにより、炭化ケイ素粉末の粒子径の制御を行うことが容易になり、必要とする粒子径が200nm以下の炭化ケイ素粉末を容易に得ることができる。あるいは、予め粒成長や焼結がほとんど起こらないような条件下にて超微細結晶状態の炭化ケイ素粉末を合成し、この超微細結晶状態の炭化ケイ素を、還元性ガスを含む雰囲気中で熱処理することにより、炭化ケイ素微細粒子の急速な粒成長および焼結を抑制させて粒子径の制御を行い、必要とする粒子径が200nm以下の炭化ケイ素粉末を容易に得ることができる。
【実施例】
【0054】
以下、実施例または比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0055】
「実施例1」
炭素源として平均粒子径が80nmのカーボンブラック、ケイ素源として平均粒子径が30nmの二酸化ケイ素粉末を用い、水中でこれらを混合した後、炭化ケイ素前駆体80gを調製した。また、炭素源のカーボンブラックの走査型電子顕微鏡(SEM)像を図4に示す。
この炭化ケイ素前駆体のC/Si比は、モル比で2.2であった。
次いで、得られた炭化ケイ素前駆体のうち10gを黒鉛製のルツボに入れ、アルゴンガスを導入した不活性ガス雰囲気炉内で、1600℃にて4時間、雰囲気圧力1気圧で熱処理を行い、二酸化ケイ素1.5gが残存して含まれる炭化ケイ素粉末3.0gを得た。
次いで、アルゴンガスにより炉内の雰囲気圧力を9気圧として、この二酸化ケイ素1.5gが残存して含まれる炭化ケイ素粉末3.0gを、1800℃にて4時間、再熱処理を行った。
再熱処理後の試料は、残留分の二酸化ケイ素を25質量%含む炭化ケイ素粉末であった。
また、この炭化ケイ素粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、平均粒子径は90nmであった。
また、この炭化ケイ素粉末を、水中にビーズミルを用いて分散させた後、再び観察した結果、炭化ケイ素粉末が破砕されていないことが確認された。分散後の炭化ケイ素粉末の走査型電子顕微鏡(SEM)像を図5に示す。
【0056】
「実施例2」
炭素源として平均粒子径が40nmのカーボンブラックを用いた以外は、実施例1と同様にして、二酸化ケイ素1.4gが残存して含まれる炭化ケイ素粉末2.9gを得た。
次いで、実施例1と同様にして、この二酸化ケイ素1.4gが残存して含まれる炭化ケイ素粉末2.9gの再熱処理を行った。
再熱処理後の試料は、残留分の二酸化ケイ素を20質量%含む炭化ケイ素粉末であった。
また、この炭化ケイ素粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、平均粒子径は50nmであった。
また、この炭化ケイ素粉末を、水中にビーズミルを用いて分散させた後、再び観察した結果、炭化ケイ素粉末が破砕されていないことが確認された。
【0057】
「実施例3」
実施例2と同様にして、二酸化ケイ素1.4gが残存して含まれる炭化ケイ素粉末2.9gを得た。
次いで、アルゴンガスにより炉内の雰囲気圧力を2気圧として、この二酸化ケイ素1.4gが残存して含まれる炭化ケイ素粉末2.9gを、1600℃にて4時間、再熱処理を行った。
再熱処理後の試料は、残留分の二酸化ケイ素を20質量%含む炭化ケイ素粉末であった。
また、この炭化ケイ素粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、平均粒子径は40nmであった。
また、この炭化ケイ素粉末を、水中にビーズミルを用いて分散させた後、再び観察した結果、一部の粒子に破砕が見られたものの、大部分の炭化ケイ素粉末は破砕されていないことが確認された。
【0058】
「実施例4」
実施例2と同様にして、二酸化ケイ素1.4gが残存して含まれる炭化ケイ素粉末2.9gを得た。
次いで、フッ化水素酸を用いて、この炭化ケイ素粉末から二酸化ケイ素を除去した。
次いで、この炭化ケイ素粉末と、還元性ガスをルツボ内に発生させるために、この炭化ケイ素粉末と同量の二酸化ケイ素と炭素の混合物(C/Si=2.2)とを黒鉛製のルツボに入れ、アルゴンガスを導入した不活性ガス雰囲気炉内で、アルゴンガスにより炉内の雰囲気圧力を9気圧として、1800℃にて4時間、炭化ケイ素粉末の再熱処理を行った。
最高温度(1800℃)に保持してから30分経過後、熱処理炉より排出されるガス中の一酸化炭素濃度を測定したところ、測定装置の測定限界(上限)である4000ppmを超える一酸化炭素が検出された。
再熱処理後の黒鉛製のルツボ内の二酸化ケイ素と炭素の混合物の重量は入れた量の60%に減少しており、残留物には40%の二酸化ケイ素が含まれていた。
得られた炭化ケイ素粉末を、残留物である二酸化ケイ素と炭素の混合物と分離した後、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、平均粒子径は50nmであった。
また、この炭化ケイ素粉末を、水中にビーズミルを用いて分散させた後、再び観察した結果、炭化ケイ素粉末が破砕されていないことが確認された。
【0059】
「実施例5」
炭素源としてレゾール型のフェノール樹脂、ケイ源として平均粒子径が7nmの二酸化ケイ素粉末を用いて、炭化ケイ素前駆体を調製した。
次いで、得られた炭化ケイ素前駆体40gを黒鉛製のルツボに入れ、アルゴンガスを導入した不活性ガス雰囲気炉内で、1500℃にて4時間、雰囲気圧力1気圧で熱処理を行った後、ルツボから未反応の炭素と二酸化ケイ素を取り除き、平均粒子径が10nmの炭化ケイ素粉末(微細粒子)5gを得た。この炭化ケイ素粉末の走査型電子顕微鏡(SEM)像を図6に示す。
次いで、この炭化ケイ素粉末と、還元性ガスをルツボ内に発生させるために、この炭化ケイ素粉末と同量の二酸化ケイ素と炭素の混合物(C/Si=2.2)とを黒鉛製のルツボに入れ、アルゴンガスを導入した不活性ガス雰囲気炉内で、アルゴンガスにより炉内の雰囲気圧力を1気圧として、1600℃にて4時間、炭化ケイ素粉末の再熱処理を行った。
最高温度(1600℃)に保持してから30分経過後、熱処理炉より排出されるガス中の一酸化炭素濃度を測定したところ、測定装置の測定限界(上限)である4000ppmを超える一酸化炭素が検出された。
再熱処理後の黒鉛製のルツボ内の二酸化ケイ素と炭素の混合物の重量は入れた量の48%に減少しており、残留物には42%の二酸化ケイ素が含まれていた。
得られた炭化ケイ素粉末を、残留物である二酸化ケイ素と炭素の混合物と分離した後、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、平均粒子径は30nmであった。この炭化ケイ素粉末の走査型電子顕微鏡(SEM)像を図7に示す。
また、この炭化ケイ素粉末を、水中にビーズミルを用いて分散させた後、再び観察した結果、炭化ケイ素粉末が破砕されていないことが確認された。
【0060】
「実施例6」
実施例5と同様にして、平均粒子径が10nmの炭化ケイ素粉末(微細粒子)5gを得た。
次いで、この炭化ケイ素粉末と、還元性ガスをルツボ内に発生させるために、この炭化ケイ素粉末と同量の二酸化ケイ素と炭素の混合物(C/Si=2.2)とを黒鉛製のルツボに入れ、アルゴンガスを導入した不活性ガス雰囲気炉内で、アルゴンガスにより炉内の雰囲気圧力を100気圧として、1900℃にて2時間、炭化ケイ素粉末の再熱処理を行った。
再熱処理後の黒鉛製のルツボ内の二酸化ケイ素と炭素の混合物の重量は入れた量の43%に減少しており、残留物には20%の二酸化ケイ素が含まれていた。
得られた炭化ケイ素粉末を、残留物である二酸化ケイ素と炭素の混合物と分離した後、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、平均粒子径は140nmであった。
また、この炭化ケイ素粉末を、水中にビーズミルを用いて分散させた後、再び観察した結果、炭化ケイ素粉末が破砕されていないことが確認された。
【0061】
「実施例7」
実施例5と同様にして、平均粒子径が10nmの炭化ケイ素粉末(微細粒子)5gを得た。
次いで、この炭化ケイ素粉末を単体で(添加物を加えることなく)黒鉛製のルツボに入れ、還元性ガスとして水素ガスを導入した雰囲気炉内で、炉内の雰囲気圧力を1気圧として、1600℃にて4時間、炭化ケイ素粉末の再熱処理を行った。
再熱処理で得られた炭化ケイ素粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、平均粒子径は20nmであった。
また、この炭化ケイ素粉末を、水中にビーズミルを用いて分散させた後、再び観察した結果、炭化ケイ素粉末が破砕されていないことが確認された。
【0062】
「実施例8」
実施例5と同様にして、平均粒子径が10nmの炭化ケイ素粉末(微細粒子)5gを得た。
次いで、この炭化ケイ素粉末を単体で(添加物を加えることなく)黒鉛製のルツボに入れ、還元性ガスとして水素ガスを導入した雰囲気炉内で、炉内の雰囲気圧力を1気圧として、1800℃にて4時間、炭化ケイ素粉末の再熱処理を行った。
再熱処理で得られた炭化ケイ素粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、平均粒子径は40nmであった。
また、この炭化ケイ素粉末を、水中にビーズミルを用いて分散させた後、再び観察した結果、炭化ケイ素粉末が破砕されていないことが確認された。
【0063】
「実施例9」
実施例1と同様にして、二酸化ケイ素1.5gが残存して含まれる炭化ケイ素粉末3.0gを得た。
次いで、フッ化水素酸を用いて、この炭化ケイ素粉末から二酸化ケイ素を除去した。
次いで、この炭化ケイ素粉末を単体で(添加物を加えることなく)黒鉛製のルツボに入れ、還元性ガスとして水素ガスを導入した雰囲気炉内で、炉内の雰囲気圧力を1気圧として、1800℃にて2時間、炭化ケイ素粉末の再熱処理を行った。
再熱処理で得られた炭化ケイ素粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、平均粒子径は90nmであった。
また、この炭化ケイ素粉末を、水中にビーズミルを用いて分散させた後、再び観察した結果、炭化ケイ素粉末が破砕されていないことが確認された。
【0064】
「実施例10」
実施例5と同様にして、平均粒子径が10nmの炭化ケイ素粉末(微細粒子)5gを得た。
次いで、この炭化ケイ素粉末を単体で(添加物を加えることなく)黒鉛製のルツボに入れ、還元性ガスとして一酸化炭素ガスを0.1%混合したアルゴンガスを導入した雰囲気炉内で、炉内の雰囲気圧力を1気圧として、1700℃にて4時間、炭化ケイ素粉末の再熱処理を行った。
再熱処理で得られた炭化ケイ素粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、平均粒子径は350nmであった。
また、この炭化ケイ素粉末を、水中にビーズミルを用いて分散させた後、再び観察した結果、炭化ケイ素粉末が破砕されていないことが確認された。
【0065】
「比較例1」
実施例1と同様にして、二酸化ケイ素1.5gが残存して含まれる炭化ケイ素粉末3.0gを得た。
この炭化ケイ素粉末(再熱処理を行なっていないもの)を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、平均粒子径は90nmであった。
また、この炭化ケイ素粉末を、水中にビーズミルを用いて分散させた後、再び観察した結果、炭化ケイ素粉末が小さな粒子に破砕されていることが確認された。
分散処理後の炭化ケイ素粉末の走査型電子顕微鏡(SEM)像を図8に示す。
【0066】
「比較例2」
比較例1と同様にして、二酸化ケイ素1.5gが残存して含まれる炭化ケイ素粉末3.0gを得た。
次いで、アルゴンガスにより炉内の雰囲気圧力を1気圧として、この炭化ケイ素粉末を、1800℃にて4時間、再熱処理を行った。
再熱処理後の試料は、再熱処理中の炉内の雰囲気圧力が低かったため、二酸化ケイ素が揮発し、残留分の二酸化ケイ素の含有量が1質量%以下の炭化ケイ素粉末であった。
この炭化ケイ素粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、平均粒子径は5μmであった。
【0067】
「比較例3」
実施例2と同様にして、二酸化ケイ素1.4gが残存して含まれる炭化ケイ素粉末2.9gを得た。
この炭化ケイ素粉末(再熱処理を行なっていないもの)を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察を行ったところ、平均粒子径は50nmであった。
また、この炭化ケイ素粉末を、水中にビーズミルを用いて分散させた後、再び観察した結果、炭化ケイ素粉末が小さな粒子に破砕されていることが確認された。
【0068】
「比較例4」
実施例5と同様にして、平均粒子径が10nmの炭化ケイ素粉末5gを得た。
この炭化ケイ素粉末を単体で(還元性ガスをルツボ内に発生させるために、この炭化ケイ素粉末と同量の二酸化ケイ素と炭素の混合物を加えることなく)黒鉛製のルツボに入れ、アルゴンガスを導入した不活性ガス雰囲気炉内で、アルゴンガスにより炉内の雰囲気圧力を1気圧として、1600℃にて2時間、炭化ケイ素粉末の再熱処理を行った。
得られた炭化ケイ素を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、平均粒子径は500nmであった。この炭化ケイ素粉末の走査型電子顕微鏡(SEM)像を図9に示す。
【0069】
実施例1〜10および比較例1〜4の炭化ケイ素の製造条件と、得られた炭化ケイ素の平均粒子径および分散処理後の状態を表1に示す。
【0070】
【表1】

【0071】
表1の結果から、実施例1〜9の炭化ケイ素の製造方法によれば、平均粒子径が200nm以下の範囲内にて、任意の粒子径の炭化ケイ素粉末を制御性良く製造することができる。
このうち、実施例1〜4および9は、固体状炭素源という「型」を用いて粒子径を制御したものである。生成した炭化ケイ素の粒子径は、固体状炭素源と同等かプラス10nm程度であり、粒子径が良好に制御されていることが判る。
実施例5〜8は、固体状炭素源は使用せず、炭化ケイ素微細粒子の粒成長および焼結を抑制することにより、粒子径を制御したものである。固体状炭素源という「型」を使用していないため、生成炭化ケイ素の粒子径は炭化ケイ素微細粒子の粒子径に比べて増大しているが、いずれも本発明の目的である平均粒子径が200nm以下の範囲内に入っており、熱処理条件を調整することにより粒子径が良好に制御されていることが判る。
また、実施例5では、比較例2に比べて、還元ガス源として二酸化ケイ素と炭素の両方を添加していること、さらに添加量も比較例2に比べて約2倍と多いことから、ガス圧力が1気圧であっても充分な再熱処理効果が得られたものと考えられる。
また、実施例6では、実施例5に比べて粒子径の増大が見られるが、再熱処理の温度および時間の制御により、生成する炭化ケイ素粉末の粒子径を制御できる範囲であり、本願の効果が得られたものと考えられる。
ここで、実施例10では、還元性ガスを全く導入しなかったもの(比較例4)に比べて粒子径増加の抑止効果が見られるものの、効果は不十分であった。これは、導入した還元性ガスである一酸化炭素の量が不足しており、十分な効果を得るためにはより高濃度の一酸化炭素ガスが必要だと考えられる。ただし、一酸化炭素は毒性ガスで、使用には相応の設備が必要となるため、確認は取れていない。
なお、ルツボ中に二酸化ケイ素と炭素の混合物を添加した場合には、発生した還元性ガスがルツボ内にて高濃度で存在し、十分な効果が得られると考えられる。
【0072】
一方、比較例1および3は、熱処理を行なわなかったもので、得られた炭化ケイ素粉末は分散処理により微細粒子に破砕されてしまい、良好な粉末は得られなかった。
また比較例2および4は、熱処理の条件が不適切であったため、生成炭化ケイ素の粒子径が大幅に増加していた。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の炭化ケイ素粉末の製造方法は、炭化ケイ素微細粒子または炭化ケイ素前駆体を熱処理する、炭化ケイ素粉末の製造方法であって、前記熱処理を、還元性ガスを含む雰囲気で行なうとともに、前記雰囲気中における熱処理温度を1500℃以上かつ1900℃以下とすることで、平均粒子径が200nm以下であり、かつ、任意の粒子径の炭化ケイ素粉末を工業的規模で安価に製造することを可能にしたものであるから、粒度分布の幅が狭いナノメートル級の炭化ケイ素粉末が要求される様々な工業分野においても、その効果は大である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】従来の炭化ケイ素の製造条件下にて、1600℃で熱処理して合成した炭化ケイ素の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。
【図2】従来の炭化ケイ素の製造条件下にて、1650℃で熱処理して合成した炭化ケイ素の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。
【図3】従来の炭化ケイ素の製造条件下にて、1700℃で熱処理して合成した炭化ケイ素の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。
【図4】実施例1の炭素源であるカーボンブラックの走査型電子顕微鏡(SEM)像である。
【図5】実施例1で作製した炭化ケイ素粉末の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。
【図6】レゾール型のフェノール樹脂を炭素源として作製した炭化ケイ素粉末(微細粒子)の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。
【図7】実施例5で作製した炭化ケイ素粉末の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。
【図8】比較例1で作製した炭化ケイ素粉末を分散処理した後の状態を示す走査型電子顕微鏡(SEM)像である。
【図9】比較例4で作製した炭化ケイ素粉末の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化ケイ素微細粒子を熱処理することにより、粒子径の制御された炭化ケイ素粉末を得るための製造方法であって、
前記熱処理を、還元性ガスを含む雰囲気で行なうとともに、前記雰囲気中における熱処理温度を1500℃以上かつ1900℃以下とすることを特徴とする炭化ケイ素粉末の製造方法。
【請求項2】
炭化ケイ素原料または炭化ケイ素前駆体から炭化ケイ素微細粒子を製造後、前記炭化ケイ素微細粒子を熱処理することにより、粒子径の制御された炭化ケイ素粉末を得るための製造方法であって、
前記熱処理を、還元性ガスを含む雰囲気で行なうとともに、前記雰囲気中における熱処理温度を、前記炭化ケイ素微細粒子の製造温度または1500℃のいずれか高い温度以上かつ1900℃以下とすることを特徴とする炭化ケイ素粉末の製造方法。
【請求項3】
前記熱処理中の試料容器内に二酸化ケイ素または炭素と二酸化ケイ素との混合物を加えることを特徴とする請求項1または2に記載の炭化ケイ素粉末の製造方法。
【請求項4】
前記炭化ケイ素原料または炭化ケイ素前駆体におけるケイ素源が二酸化ケイ素であり、前記炭化ケイ素原料または炭化ケイ素前駆体における二酸化ケイ素のモル量が、前記炭化ケイ素原料または炭化ケイ素前駆体における炭素源中の炭素のモル量の1/3以上であることを特徴とする請求項2または3に記載の炭化ケイ素粉末の製造方法。
【請求項5】
前記熱処理における雰囲気圧を2気圧以上かつ1000気圧以下とすることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の炭化ケイ素粉末の製造方法。
【請求項6】
前記熱処理中の試料容器内に外部より還元性ガスを導入することにより、前記還元性ガスを含む雰囲気を生成することを特徴とする請求項1または2に記載の炭化ケイ素粉末の製造方法。
【請求項7】
前記外部より導入する還元性ガスは、水素および/または一酸化炭素ガスであることを特徴とする請求項6に記載の炭化ケイ素粉末の製造方法。
【請求項8】
前記炭化ケイ素微細粒子が凝集粒子を形成しており、該凝集粒子の平均粒子径が5nm以上かつ200nm以下であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の炭化ケイ素粉末の製造方法。
【請求項9】
前記炭化ケイ素微細粒子の凝集粒子の原料として、ケイ素源と、平均粒子径5nm以上かつ200nm以下の炭素粉末を使用することを特徴とする請求項8に記載の炭化ケイ素粉末の製造方法。
【請求項10】
前記炭化ケイ素粉末の原料として、平均一次粒子径が5nm以上かつ100nm以下の二酸化ケイ素微粒子と、平均一次粒子径が200nm以下の炭素粉末の混合物を用いることを特徴とする請求項2ないし9のいずれか1項に記載の炭化ケイ素粉末の製造方法。
【請求項11】
前記炭化ケイ素微細粒子、前記炭化ケイ素前駆体または炭化ケイ素原料の金属不純物の含有量は1000ppm以下であることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の炭化ケイ素粉末の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−269797(P2009−269797A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−122681(P2008−122681)
【出願日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(000183266)住友大阪セメント株式会社 (1,342)
【出願人】(301023238)独立行政法人物質・材料研究機構 (1,333)
【Fターム(参考)】