説明

炭化水素油の接触分解触媒及びその製造方法、並びに炭化水素油の接触分解方法

【課題】炭化水素油の接触分解において、重質留分の分解性を向上させると同時に、コークの生成量を低減させ、かつガソリン収率を向上させて、ガソリン留分を効率良く高収率で製造できる接触分解触媒、及び、それを用いた炭化水素油の接触分解方法を提供すること。
【解決手段】メディアン径が30μm以下であるベーマイト、結晶性アルミノケイ酸塩、シリカゾル由来のケイ素酸化物、及び、粘土鉱物を含有する炭化水素油の接触分解触媒とする。前記接触分解触媒は、前記ベーマイトを1質量%〜20質量%、前記結晶性アルミノケイ酸塩を20質量%〜60質量%、前記シリカゾル由来のケイ素酸化物をSiO換算で5質量%〜40質量%、及び、前記粘土鉱物を10質量%〜74質量%含有することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化水素油の接触分解触媒と、その触媒の製造方法と、その触媒を用いた炭化水素油の接触分解方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境意識の高まりや温暖化への対策が重要視されるようになり、その中でも自動車の排気ガスが環境に与える影響は大きく、クリーン化が期待されている。自動車排気ガスのクリーン化は、自動車の性能とガソリンの燃料組成に影響を受けることが一般的に知られており、特に石油精製産業では、高品質なガソリンを提供することが求められている。
【0003】
重質炭化水素油は、石油精製工程で得られる低品位な重質油を接触分解する接触分解反応によって、軽質な炭化水素油へと変換する。接触分解の中でも、流動接触分解(以下、「FCC」(Fluid Catalytic Cracking)と略記することもある)がよく用いられる。FCC反応により得られるガソリン留分(以下、「FCCガソリン」ともいう)を製造する際に、副生成物として、水素・コーク、液化石油ガス(Liquid Petroleum Gas:LPG)、軽油留分(Light Cycle Oil:LCO)、重油留分(Heavy Cycle Oil:HCO)が生産される。
【0004】
また、自動車用ガソリンは、原油の精製工程において得られる複数のガソリン基材を混合することによって製造される。特に、重質炭化水素油の接触分解反応によって得られるFCCガソリンは、自動車用ガソリンへの配合量が多く、FCCガソリン収率を向上させることは当業者にとって望ましい。
【0005】
炭化水素油の接触分解方法においては、近年の原油の重質化・低品位化に伴い、バナジウムやニッケル等の重金属や残留炭素分の高い原料油が、流動接触分解装置に投入されている。
バナジウムは、FCC触媒に沈着し堆積すると、FCC触媒の活性成分である結晶性アルミノケイ酸塩の構造を破壊するため、FCC触媒の著しい活性低下をもたらし、かつ水素・コークの生成量を増大させ、ガソリン収率を低下させるなどの問題を有していることが知られている。また、ニッケルも、触媒表面に沈着堆積し、脱水素反応を促進するため水素・コークの生成量を増加させ、ガソリン収率を低下させるなどの問題を有している。このような原油の重質化・低品位化に対応するために、高い分解活性を有するFCC触媒の開発が望まれている。
【0006】
従来から、炭化水素油の接触分解には、ゼオライト、粘土鉱物などの無機酸化物マトリックス及びバインダーからなる接触分解触媒が良く用いられている(例えば、特許文献1〜3参照)。しかし、従来の接触分解触媒では、上記のように近年の原油の重質化・低品位化に伴い、コークの生成量の増大や、ガソリン収率の低下などが問題となっており、接触分解触媒のコークの生成量の低減や、ガソリン収率の向上などが強く望まれている。
【0007】
そのため、ガソリン収率の向上を目的に、擬ベーマイトを添加しバナジウムを捕捉することによりゼオライトを保護し分解活性を高める方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
また、擬ベーマイト型アルミナ水和物を用いて、ガソリン収率の向上かつコーク生成量を低減する方法が提案されている(例えば、特許文献5、特許文献6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−57328号公報
【特許文献2】特開平9−285728号公報
【特許文献3】特開平10−118501号公報
【特許文献4】特開2007−181777号公報
【特許文献5】特開平11−50063号公報
【特許文献6】特開平9−164338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、前記特許文献4に記載の方法では、バナジウムと同様に、原料油に含まれ、脱水素反応を促進する効果を有するニッケルの捕捉効果はなく、脱水素反応由来コークの生成量を低減することができなかった。
また、前記特許文献5と特許文献6に記載の方法では、擬ベーマイトを用いた複合物質を調製、あるいは酸を添加してゾルを調製しなければその効果は得られず、更に触媒調製条件を著しく制限することから、接触分解触媒に最適な摩耗強度や触媒かさ密度を得ることが難しかった。
【0010】
以上の諸状況に鑑み、本発明は、炭化水素油の接触分解において、重質留分の分解性を向上させると同時に、コークの生成量を低減させ、かつガソリン収率を向上させて、ガソリン留分を効率良く高収率で製造できる接触分解触媒と、その触媒の製造方法と、その触媒を用いた炭化水素油の接触分解方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記の目的を達成するために検討を重ねた結果、炭化水素油の接触分解触媒を、メディアン径が30μm以下であるベーマイトと、結晶性アルミノケイ酸塩と、シリカゾル由来のケイ素酸化物と、粘土鉱物を含有する触媒とすることで、炭化水素油の接触分解反応において、高い分解活性を有し、コークの生成量を低減させ、かつ、ガソリン収率を向上させて、ガソリン留分を効率良く高収率で製造できることを見出した。上記課題を解決するための本発明の構成は、下記のとおりである。
【0012】
<1> メディアン径が30μm以下であるベーマイト1質量%〜20質量%、結晶性アルミノケイ酸塩、シリカゾル由来のケイ素酸化物、及び、粘土鉱物を含有することを特徴とする炭化水素油の接触分解触媒である。
【0013】
<2> 前記ベーマイトを1質量%〜20質量%、前記結晶性アルミノケイ酸塩を20質量%〜60質量%、前記シリカゾル由来のケイ素酸化物をSiO換算で5質量%〜40質量%、及び、前記粘土鉱物を10質量%〜74質量%含有することを特徴とする前記<1>に記載の炭化水素油の接触分解触媒である。
尚、上記ケイ素酸化物は、SiOそのものを指すだけではなく、シリカゲルなどの類縁体も含むものである。
【0014】
<3> 前記ベーマイトが、X線回折のピーク幅から求めた結晶子径が5nm以上1,000nm以下であることを特徴とする前記<1>又は前記<2>に記載の炭化水素油の接触分解触媒である。
【0015】
<4> メディアン径が30μm以下であるベーマイト、結晶性アルミノケイ酸塩、シリカゾル、及び、粘土鉱物を混合して水性スラリーを得る工程と、当該水性スラリーを噴霧乾燥する工程とを有することを特徴とする炭化水素油の接触分解触媒の製造方法である。
【0016】
<5> 前記水性スラリー中の各成分を全固形分基準で固形物換算したときに、前記メディアン径が30μm以下であるベーマイトを1質量%〜20質量%、前記結晶性アルミノケイ酸塩を20質量%〜60質量%、前記シリカゾルをSiO換算で5質量%〜40質量%、前記粘土鉱物を10質量%〜74質量%含有する水性スラリーを用いることを特徴とする前記<4>に記載の炭化水素油の接触分解触媒の製造方法である。
【0017】
<6> 前記<1>〜前記<3>のいずれか1つに記載の炭化水素油の接触分解触媒を炭化水素油に接触させて、炭化水素油を接触分解することを特徴とする炭化水素油の接触分解方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、炭化水素油の接触分解において、重質留分の分解性を向上させると同時に、コークの生成量を低減させ、かつガソリン収率を向上させて、ガソリン留分を効率良く高収率で製造できる接触分解触媒、該接触分解触媒の製造方法、及び、該接触分解触媒を用いた炭化水素油の接触分解方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<接触分解触媒>
本発明の炭化水素油の接触分解触媒は、メディアン径が30μm以下であるベーマイト1質量%〜20質量%、結晶性アルミノケイ酸塩、シリカゾル由来のケイ素酸化物、及び、粘土鉱物を含有する。以下、「メディアン径が30μm以下であるベーマイト」を「特定ベーマイト」とも称する。
本発明の炭化水素油の接触分解触媒を上記構成とすることで本発明の効果が得られる理由は、必ずしも明らかではないが、下記理由によるものと考えられる。すなわち、本発明の接触分解触媒では、含有するベーマイトのメディアン径を30μm以下とし、その含有量を接触分解触媒全質量中1質量%〜20質量%とすることで、接触分解触媒に対する被毒物質であるバナジウムやニッケルを、選択的に捕捉し不動態化したためと考えられる。つまり、本発明の接触分解触媒では、特定ベーマイトがバナジウムを捕捉し、結晶性アルミノケイ酸塩の構造破壊が抑制されることで分解活性が向上し、更にニッケルが捕捉されることにより脱水素反応が抑制されて、コークの生成量が低減し、かつガソリン収率が向上するという優れた効果が得られると考えられる。
【0020】
炭化水素油の接触分解、例えば、流動接触分解(FCC)プロセスにおいては、その性質上、わずかでもコークの生成量が低減できれば、FCC装置にかかるコスト及び負担を減少させることができる。FCC装置は、反応器を有し、反応器中で、原料油とFCC触媒とを接触し、重質な炭化水素油を分解して、軽質な炭化水素油を得る。特にFCC装置を高稼働率で運用する場合には、コークの生成量を低減することで、コークの存在に起因する温度上昇をより抑制し、反応器の温度を一定の範囲内に制御できるため、効率的な装置運転が可能となる。更に、一般に、FCCにより得られたガソリン留分であるFCCガソリンは、市場に出荷するガソリンとする割合が多いため、ガソリン収率の向上により生み出される利益は非常に大きい。
【0021】
従って、本発明の炭化水素油の接触分解触媒は、上記構成とすることで、高い分解活性を有し、コークの生成量を低減させ、かつガソリン収率を向上させて、ガソリンを効率良く高収率で得ることができるので、実用上極めて有効である。
以下、本発明の接触分解触媒の必須構成成分である特定ベーマイト、結晶性アルミノケイ酸塩、シリカゾル由来のケイ素酸化物、及び粘土鉱物について詳細に説明する。
【0022】
〔ベーマイト〕
本発明で用いるベーマイト(特定ベーマイト)は、メディアン径が30μm以下のベーマイトである。
本発明の接触分解触媒は、かかる特性を有するベーマイトを含有することで、炭化水素油の接触分解において、高い分解活性を有し、コークの生成量を低減させ、かつガソリン収率を向上させて、ガソリン留分を効率良く高収率で製造できるという優れた効果を得ることができる。
【0023】
特定ベーマイトは、メディアン径が30μm以下であることが必要であり、10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましい。メディアン径が30μmを超えて大きい場合には、炭化水素油の分解活性の向上及びコーク生成量の低減効果が消失する。
特定ベーマイトのメディアン径の下限値は特に制限されないが、0.1μm以上であることが好ましい。
【0024】
特定ベーマイトのメディアン径は、顕微鏡法、篩法、沈降法、光散乱法、慣性法、拡散法、静電分級法などの方法により測定し得るが、本発明において、特定ベーマイトのメディアン径は、光散乱法(0.1%ヘキサメタリン酸ナトリウム溶液を溶媒に用いる光散乱法)により得られる積算粒径分布において50%を示す点の粒径であることが好ましい。
【0025】
また、特定ベーマイトの結晶子径は、X線回折装置により測定することができる。特定ベーマイトの結晶子径は、特定ベーマイトの回折ピークで最も強度の強い(020)面(2θ=14.485°)を用いて、回折線ピークの半値幅から下記の式(A)(Scherrerの式)により求められる。
【0026】
【数1】

【0027】
D:特定ベーマイトの結晶子径(Å;10−1nm)
K:Sherrer定数
λ:X線波長(nm)
β:半値幅(rad)
θ:回折角(°)を表す。
【0028】
式(A)より得られる特定ベーマイトの結晶子径は、5nm以上1,000nm以下(50Å以上10,000Å以下)であることが好ましく、150nm以上500nm以下(1,500Å以上5,000Å以下)であることがより好ましい。
特定ベーマイトの結晶子径が上記範囲であることで、本発明の効果をより向上することができる。また、特定ベーマイトの結晶子径が上記範囲内であることで、特定ベーマイトのメディアン径を本発明の規定範囲に制御しやすい傾向にある。
【0029】
本発明の接触分解触媒中の特定ベーマイトの含有量は、乾燥状態における接触分解触媒全質量に対して、1質量%〜20質量%であることが必要であり、1質量%〜10質量%であることが好ましい。
特定ベーマイトの含有量が上記範囲であることで、本発明の所期の効果を得ることができる。特定ベーマイトが接触分解触媒全質量に対して1質量%以上であれば、コーク生成量低減効果かつガソリン収率向上効果を得る上で好ましい。また、20質量%以下であれば、装置内を流動するために必要な強度・耐摩耗性に優れた触媒粒子を得ることができる。
【0030】
特定ベーマイトは、市販のものを用いてもよい。例えば、本発明の接触分解触媒を製造するときに、市販されている大明化学工業社製ベーマイト(C01、C06、C20、C60等)を用いることができる。大明化学工業社製ベーマイト:C01、C06、C20、及びC60は、メディアン径が、それぞれ、0.1μm、0.6μm、1.9μm、及び、5.7μmである。
なお、本発明の触媒においてはメディアン径が30μm以下の「ベーマイト」を用いることが肝要であり、これに代えてメディアン径が30μm以下の「擬ベーマイト」を用いた場合には、十分なコーク生産量の低減効果を得ることができない。その理由としては、「擬ベーマイト」は触媒使用条件において、高比表面積γ−Alへ変化し、コーク生成を助長させる酸点を生成するためであると推測される。
【0031】
〔結晶性アルミノケイ酸塩〕
本発明で用いる結晶性アルミノケイ酸塩は、天然物であっても、人工物であってもよく、またその構造形態も多岐にわたっており、正方晶系、斜方晶系、立方晶系、六方晶系などの結晶構造を有する。結晶性アルミノケイ酸塩にはモルデナイト、βゼオライト、ZSM系ゼオライト、A型ゼオライト、X型ゼオライト、Y型ゼオライト等を用いることができ、Y型ゼオライトが好ましく、安定化Y型ゼオライトが特に好ましい。
【0032】
安定化Y型ゼオライトとしては、(a)化学組成分析による分析対象試料中の安定化Y型ゼオライトのSiO/Alモル比が4〜15、好ましくは5〜10、(b)単位格子寸法が24.35Å〜24.65Å(2.435nm〜2.465nm)、好ましくは、24.40Å〜24.60Å(2.440nm〜2.460nm)、(c)全Alに対するゼオライト骨格内Alのモル比が0.3〜1.0、好ましくは0.4〜1.0、のものを用いることができる。この安定化Y型ゼオライトは、天然のフォージャサイトと基本的に同一の結晶構造を有し、酸化物として下記に示す組成物を有する。
(0.02〜1.0)R2/mO・Al・(5〜11)SiO・(5〜8)H
R:Na、K、若しくはその他のアルカリ金属イオン、又はアルカリ土類金属イオン
m:Rの原子価
【0033】
ゼオライトの単位格子寸法は、X線回折装置(XRD)により測定することができ、また、ゼオライトの全Alに対するゼオライト骨格内Alのモル数は、化学組成分析によるSiO/Al比及び単位格子寸法から下記の式(B)〜(D)を用いて算出することができる。なお、式(B)はH.K.Beyeretal.,J.Chem.Soc.,FaradayTrans.1,(81),2899(1985).に記載の式を採用したものである。
【0034】
【数2】

【0035】
ao:ゼオライトの単位格子寸法〔nm〕
Al:ゼオライトの単位格子当たりのAl原子数
2.425:ゼオライトの単位格子骨格内の全Al原子が骨格外に脱離したときの単位格子寸法
0.000868:実験により求めた計算値であり、前記aoと前記NAlとの関係を1次式(ao=0.000868NAl+2.425)で表したときの傾き
【0036】
【数3】

【0037】
Al:ゼオライトの単位格子当たりのAl原子数
192:ゼオライトの単位格子寸法あたりのSiの原子数とAlの原子数との総数
【0038】
【数4】

【0039】
〔式(D)中、(Si/Al)化学組成分析値は、化学組成分析より得られたSiO/Alモル比を表す。〕
【0040】
上記ゼオライトのSiO/Alモル比は、触媒の酸強度を示しており、一般にモル比が大きいほど触媒の酸強度が強くなる。そして、SiO/Alモル比は、4以上であることで、重質炭化水素油の接触分解に必要な酸強度を得易く、その結果、分解反応が好適に進行して好ましい。また、SiO/Alモル比は、必要な酸の数が減少し、重質炭化水素油の分解活性が低下することを抑制する観点から、15以下であることが好ましい。
【0041】
ゼオライトの単位格子寸法は、ゼオライトを構成する単位ユニットのサイズを示しているが、重質炭化水素油の分解に必要なAlの数が減少しすぎ、その結果分解が進行し難くなることを抑制する観点から、24.35Å(2.435nm)以上であることが好ましい。また、ゼオライト結晶の劣化が進行しやすくなり、FCC触媒の分解活性の低下が著しくなることを抑制する観点から、24.65Å(2.465nm)以下であることが好ましい。
【0042】
ゼオライト中の全Alに対するゼオライト骨格内Alのモル比は、ゼオライト結晶を構成するAlの量が少なくなりすぎ、その結果ゼオライトの骨格から脱落したAl粒子が多くなり、強酸点が発現しないために接触分解反応が進行しなくなることを抑制する観点から、0.3以上であることが好ましい。また、ゼオライト骨格内Alの全Alに対するモル比が1に近いほど、ゼオライト内のAlの多くがゼオライト単位格子に取り込まれていることを意味し、ゼオライト内のAlを、強酸点の発現に効果的に寄与させる観点から、ゼオライト骨格内Alの全Alに対するモル比は1に近いことが好ましい。
【0043】
上記のような要件を満たすゼオライトとして、特許第2544317号公報に記載されているヒートショック結晶性ケイ酸塩も使用することができる。当該ゼオライトは、SiO/Alモル比が5〜15、単位格子寸法が24.50Å以上24.70Å未満(2.459nm以上2.470nm未満)、アルカリ金属含有量が酸化物換算で0.02質量%以上1質量%未満である安定化Y型ゼオライトを、600〜1200℃で5〜300分間、空気又は窒素雰囲気下で、結晶化度低下率が20%以下となるように焼成したものである。また、特許第2544317号公報に記載されているヒートショック結晶性ケイ酸塩のゼオライトは、化学組成分析による分析対象試料中の安定化Y型ゼオライトのSiO/Alモル比が5〜15、全Alに対するゼオライト骨格内Alのモル比が0.3〜0.6、単位格子寸法が24.45Å(2.445nm)未満、アルカリ金属含有量が酸化物換算で0.02質量%以上1質量%未満、細孔分布において50Å(5nm)付近及び180Å(18nm)付近に特徴的なピークを示し、100Å(10nm)以上の細孔容積が全細孔容積の10〜40%であり、かつY型ゼオライトの主要なX線回折パターンを有する結晶性アルミノケイ酸塩である。
【0044】
本発明の接触分解触媒中の結晶性アルミノケイ酸塩の含有量は、乾燥状態における接触分解触媒全質量に対して、20質量%〜60質量%であることが好ましく、30質量%〜50質量%であることがより好ましい。
結晶性アルミノケイ酸塩の含有量が20質量%以上であれば、本発明の接触分解触媒の分解活性をより向上し、また、60質量%以下であれば、相対的に粘土鉱物やシリカゾルの含有量低下に起因する触媒強度の低下や触媒のかさ密度の減少により、接触分解装置の運転に支障がでることを防止することができる。
【0045】
〔シリカゾル由来のケイ素酸化物〕
本発明の接触分解触媒は、シリカゾル由来のケイ素を酸化物の状態で含有する。
シリカゾルは、本発明の触媒の製造時において、結合剤として使用されるものであり、結晶性アルミノケイ酸塩や粘土鉱物などの粒子間に存在し、触媒を微粒子化する時の成形性を良くし、触媒微粒子を球状にさせ、また得られる触媒微粒子の流動性及び耐摩耗性を図るために使用される。シリカゾルは固体酸性質を示さないため、それ自身が触媒の分解活性に寄与することはないが、触媒のメソ細孔の形成に寄与しコークの生成量を低減させる触媒を得ることができる。
上記シリカゾルとしては、特に制限されず、例えば、コロイダルシリカを挙げることができる。コロイダルシリカには、ナトリウム型、リチウム型、酸型等のシリカゾルがある。本発明では、いずれの型も好適に使用することができる。商業用規模での接触分解触媒の生産を考慮すれば、低コストの希釈水ガラス水溶液と硫酸水溶液とを反応させて得られるシリカヒドロゾル等を用いることが好ましい。
【0046】
本発明の接触分解触媒中のシリカゾル由来のケイ素酸化物の含有量は、乾燥状態における接触分解触媒全質量に対して、SiO換算で5質量%〜40質量%であることが好ましく、10質量%〜25質量%であることがより好ましい。
シリカゾル由来のケイ素酸化物の含有量がSiO換算で5質量%以上であれば、触媒の強度が保てるため、炭化水素油の接触分解中に触媒が飛散したり、飛散した触媒が生成油中に混入したりすることを回避し易くなる。また、40質量%以下であれば、使用量に見合った触媒性能の向上が認められ、経済的に有利となる。
【0047】
また本発明の効果を損なわない限度において、触媒製造時に、結合剤として特定ベーマイト以外のアルミナゾル(例えば、塩基性塩化アルミニウム([Al(OH)l6−n、ただし、0<n<6、m≦10)由来のアルミナゾル)や、第一リン酸アルミニウムなどを混合して使用することもできる。そのため、触媒中にはこれらに由来するアルミニウムやリンを含有することもできる。
【0048】
第一リン酸アルミニウムは、一般式[Al(HPO]で示される水溶性の酸性リン酸塩であり、第一リン酸アルミニウム、モノリン酸アルミニウム又は重リン酸アルミニウムとも称される。第一リン酸アルミニウムは加熱によって脱水され、水分を失うと、酸化物形態となって安定化する。また、第一リン酸アルミニウムは他のアルミニウム源と比較して、水溶液中で多核錯体のポリマーとして存在しており、表面に多量の水酸基を含有しているため、強い結合力を発揮し、接触分解触媒の結合剤として好適に用いることができる。また、接触分解触媒の原料であるシリカゾルを用いる際に、第一リン酸アルミニウムを併用することによって、接触分解触媒中の酸性質が変化し、分解活性が向上する。
【0049】
第一リン酸アルミニウムを併用する場合、その好ましい含有量は、第一リン酸アルミニウム由来のリン・アルミニウムを乾燥状態における接触分解触媒全質量に対して、Al・3P換算で0.1〜21質量%であり、より好ましい含有量は0.5〜10質量%である。第一リン酸アルミニウム由来のリン・アルミニウムの含有量を0.1質量%以上とすることでより高い分解活性を得やすくなる。一方、上限値を超えても使用量に見合った触媒性能の向上は得られない傾向にある。
【0050】
第一リン酸アルミニウムは、本発明の接触分解触媒の製造に当たり、上記のとおり、シリカゾルと併用して、結合剤水溶液として用いることもできるし、ソーダライトケージを含むゼオライトと粘土鉱物と共にスラリーを調製し、該スラリーをシリカゾルの水溶液と混合するようにして用いることもできる。
【0051】
シリカゾルと第一リン酸アルミニウムとを併用する場合、シリカゾル由来のケイ素に対する第一リン酸アルミニウム由来のリンのモル比(以下「リン/ケイ素モル比」とも言う。)は、0.01〜0.5であることが好ましく、は0.01〜0.35であることがより好ましく、0.03〜0.2であることが特に好ましい。
リン/ケイ素モル比が0.01以上であれば高い分解活性が得られ、また0.5以下であれば高オクタン価のガソリン留分が得られるため好ましい。リン/ケイ素モル比は、第一リン酸アルミニウムとシリカゾルの配合量を調節することにより設定することができる。
【0052】
〔粘土鉱物〕
本発明で用いる粘土鉱物としては、特に制限は無く、モンモリロナイト、カオリナイト、ハロイサイト、ベントナイト、アタパルガイト、ボーキサイト等の粘土鉱物を用いることができる。
また、本発明の接触分解触媒においては、シリカ、シリカ−アルミナ、アルミナ、シリカ−マグネシア、アルミナ−マグネシア、リン−アルミナ、シリカ−ジルコニア、シリカ−マグネシア−アルミナ等の通常の接触分解触媒に使用される公知の無機酸化物の微粒子を上記粘土鉱物と併用して使用することもできる。
【0053】
本発明の接触分解触媒中の粘土鉱物の含有量は、乾燥状態における接触分解触媒全質量に対して、10質量%〜74質量%であることが好ましく、30質量%〜70質量%であることがより好ましい。
粘土鉱物の含有量が10質量%以上であれば、触媒強度の低下や触媒のかさ密度の減少により、接触分解装置の運転に支障がでることを防止することができる。また、74質量%以下であれば、相対的に結晶性アルミノケイ酸塩やシリカゾルの量が少なくなり、結晶性アルミノケイ酸塩の量が不足することに起因する分解活性の低下や、シリカゾルの含有量の不足により触媒の調製が困難となることを回避することができる。そして、粘土鉱物の混合割合を上記範囲とすることが、コークの生成量を低減させ、かつガソリン収率を向上させて、ガソリン留分を効率良く高収率で製造できるという本発明の効果を得る上で好ましい。
【0054】
〔その他の構成成分〕
本発明の接触分解触媒は、必要に応じて希土類金属を含有させることができる。
また、本発明の接触分解触媒には、本発明の効果が損なわれない限度において、希土類金属以外の金属を含有させてもよい。
【0055】
含有させる希土類金属の種類としては、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ガドリニウム、ディスプロシウム、ホルミウム等の1種あるいは2種以上を含有させることができ、好ましいのはランタン、セリウムである。希土類金属を含有させると、結晶性アルミノケイ酸塩結晶の崩壊を抑制することができ、触媒の耐久性を高めることができる。
【0056】
本発明の接触分解触媒中の希土類金属の含有量は、乾燥状態における接触分解触媒全質量に対して、酸化物(RE:REは希土類元素)換算で3.0質量%以下、好ましくは1.2質量%以下である。
【0057】
<接触分解触媒の製造方法>
以上のような各構成成分から構成されている本発明の接触分解触媒を製造するには、種々の方法があって、その製造方法は特に制限されないが、好ましい製造方法は、本発明にかかる接触分解触媒の製造方法である、特定ベーマイト、結晶性アルミノケイ酸塩、シリカゾル及び粘土鉱物を含有する水性スラリーを用いる製造方法である。以下、本発明にかかる接触分解触媒の製造方法について説明する。
【0058】
(水性スラリーの調製と、その乾燥、焼成)
先ず、特定ベーマイト、結晶性アルミノケイ酸塩、シリカゾル及び粘土鉱物の各成分を混合し、該混合物に水性溶媒(例えば、水)を加えて混合スラリーとなし、該混合スラリーを更に攪拌混合して、均一な水性スラリーを得る。この際、各成分をそれぞれ予め水性溶媒で水溶液ないし水性スラリーとなし、該各成分の水溶液ないし水性スラリーを混合して混合スラリーとなし、更に攪拌混合して、均一な水性スラリーを得ることもできる。
【0059】
特定ベーマイトとしては、前記本発明の接触分解触媒の説明で述べたベーマイトを用いることができる。
水性スラリー中に含有される特定ベーマイトの割合は、スラリー中の全固形分を基準に換算したときに、1質量%〜20質量%であることが好ましく、1質量%〜10質量%とすることがより好ましい。水性スラリー中に含有する特定ベーマイトの含有量が上記範囲であると、本発明の所期の効果を達成し得る接触分解触媒を得やすい。特定ベーマイトの割合がスラリー中の全固形分に対して1質量%以上であれば、コーク生成量低減効果かつガソリン収率向上効果を得る上で好ましい。また、特定ベーマイトの割合をスラリー中の全固形分に対して20質量%以下とすることで、装置内を流動するために必要な強度・耐摩耗性に優れた触媒を得やすい。
【0060】
結晶性アルミノケイ酸塩としては、前記本発明の接触分解触媒の説明で述べた結晶性アルミノケイ酸塩を用いることができる。
水性スラリー中に含有される結晶性アルミノケイ酸塩の割合は、スラリー中の全固形分を基準に換算したときに、20質量%〜60質量%であることが好ましく、30質量%〜50質量%であることがより好ましい。水性スラリー中に含有する結晶性アルミノケイ酸塩の含有量が20質量%以上であれば、本発明の所期の効果を達成し得る分解活性が優れた接触分解触媒を得やすく、また、60質量%以下であれば最終的に得られる触媒において触媒強度の低下や触媒のかさ密度の減少を防止しやすい。
【0061】
シリカゾルとしては、前記本発明の接触分解触媒の説明で述べたシリカゾルを用いることができる。
水性スラリー中に含有される当該シリカゾルの割合は、スラリー中の全固形分を基準に換算したときに、SiO換算で5質量%〜40質量%であることが好ましく、10質量%〜25質量%であることがより好ましい。水性スラリー中に含有するシリカゾルの含有量がSiO換算で5質量%以上であれば、最終的に得られる触媒の強度を保ちやすい。また、40質量%以下であれば、使用量に見合った触媒性能の向上が認められる触媒を得やすいため、経済的に有利となる。
【0062】
また、本発明の効果を損なわない限度において、結合剤として特定ベーマイト以外のアルミナゾル(例えば、塩基性塩化アルミニウム([Al(OH)l6−n、ただし、0<n<6、m≦10)由来のアルミナゾル)や、第一リン酸アルミニウムなどを混合して使用することもできる。
第一リン酸アルミニウムとしては、前記本発明の接触分解触媒の説明で述べた第一リン酸アルミニウムを用いることができる。
水性スラリー中に含有される当該第一リン酸アルミニウムの割合は、スラリー中の全固形分を基準に換算したときに、Al・3P換算で0.1〜21質量%であることが好ましく、0.5〜10質量%であることがより好ましい。水性スラリー中に含有される当該第一リン酸アルミニウムの含有量がAl・3P換算で0.1質量%以上であれば、より高い分解活性を得やすくなる。また、21質量%以下であれば、使用量に見合った触媒性能の向上が認められる触媒を得やすい。
【0063】
なお、第一リン酸アルミニウムを水性スラリー中に含有させる場合には、第一リン酸アルミニウムは、シリカゾル由来のケイ素に対する第一リン酸アルミニウム由来のリンのモル比すなわちリン/ケイ素モル比が、0.01〜0.5となるように含有させることが好ましく、0.01〜0.35となるように含有させることがより好ましく、0.03〜0.2となるように含有させることが特に好ましい。リン/ケイ素モル比が0.01以上であればより高い分解活性を有する触媒を得やすく、また0.5以下であればより高オクタン価のガソリン留分が得られる触媒が得られるため好ましい。また、第一リン酸アルミニウムとしては、前記本発明の接触分解触媒の説明で述べた各種第一リン酸アルミニウムを用いることができる。
【0064】
粘土鉱物としては、前記本発明の接触分解触媒の説明で述べた粘土鉱物を用いることができる。
水性スラリー中に含有される粘土鉱物の割合は、スラリー中の全固形分を基準に換算したときに、10質量%〜74質量%であることが好ましく、30質量%〜70質量%であることがより好ましい。粘土鉱物の含有量が10質量%以上であれば、最終的に得られる触媒の強度の低下や触媒のかさ密度の減少を防止しやすい。また、74質量%以下であれば、最終的に得られる触媒中の結晶性アルミノケイ酸塩の量が不足することに起因する分解活性の低下や、シリカゾルの含有量の不足により触媒の調製が困難となることを回避することができる。
【0065】
水性スラリー中に含有される上記の接触分解触媒の各構成成分の割合を上記範囲とすることで、コークの生成量を低減させ、かつガソリン収率を向上させて、ガソリン留分を効率良く高収率で製造できる触媒を得やすい。
【0066】
上記の接触分解触媒の各構成成分を混合して調製される混合水性スラリー中の固形分の割合は、5質量%〜60質量%であることが好ましく、10質量%〜50質量%であることがより好ましい。水性スラリー中の固形分の割合が前記範囲であれば、水性スラリーから水分が蒸発しても、該水性スラリーの水分量を維持し、後述する噴霧乾燥工程等で水性スラリーを乾燥しても得られるスラリーの粘度が高くなり過ぎないため、スラリーの輸送が困難になることを防止することができる。
【0067】
次いで、調製された特定ベーマイト/結晶性アルミノケイ酸塩/シリカゾル/粘土鉱物の混合水性スラリーを、噴霧乾燥し、接触分解触媒粒子を得る(噴霧乾燥工程)。
噴霧乾燥工程は、一般に、噴霧乾燥装置を用い、ガス入口温度を200℃〜400℃、ガス出口温度を100℃〜200℃として行う。噴霧乾燥により得られる球状粒子は、一般に、平均粒子径が20μm〜150μmであり、得られる球状粒子の水分含有量は、10質量%〜30質量%であることが好ましい。
【0068】
上記の水性スラリーを噴霧乾燥して得られた球状粒子は、必要に応じて200℃以上で焼成し、焼成物とすることもできる(焼成工程)。噴霧乾燥装置で水性スラリーの噴霧乾燥を行う際、ガス出口温度を200℃以上に保つことができる設備を備えている場合には、噴霧乾燥工程に球状粒子の焼成工程を含めることも可能である。
【0069】
(接触分解触媒の洗浄)
上記のようにして、噴霧乾燥により得られる球状粒子、あるいは、更に焼成した球状粒子焼成物は、通常、結晶性アルミノケイ酸塩、シリカゾル、粘土鉱物等の各触媒構成成分からの可溶性不純物や、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属が含まれている。そのため、水やアンモニア水を用いて可溶性不純物を洗浄除去し、次いでアルカリ金属をイオン交換することによって洗浄除去することが好ましい。
得られた球状粒子、あるいは、その焼成物に、過剰の可溶性不純物やアルカリ金属が存在しない場合は、その洗浄除去を行うことなく、そのまま触媒として用いることもできる。
【0070】
球状粒子、あるいは、その焼成物に含まれているナトリウムやカリウム等のアルカリ金属の洗浄除去は、具体的には、硫酸アンモニウム、亜硫酸アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、亜硫酸水素アンモニウム、チオ硫酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、ホスフィン酸アンモニウム、ホスホン酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸水素アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、ヨウ化アンモニウム、ギ酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウムなどのアンモニウム塩の水溶液を用いてイオン交換して行うことができる。
【0071】
可溶性不純物の洗浄及びアルカリ金属のイオン交換は、接触分解触媒中のアルカリ金属及び可溶性不純物の含有量を下記数量にまで低減させることが、触媒活性を高める上で好ましい。すなわち、本発明の接触分解触媒中のアルカリ金属の含有量は、乾燥触媒基準で、接触分解触媒全質量に対し、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましい。また、本発明の接触分解触媒中の可溶性不純物の含有量は、乾燥触媒基準で、接触分解触媒全質量に対し、2.0質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以下であることがより好ましい。
また、可溶性不純物の洗浄及びアルカリ金属のイオン交換は、本発明の効果が損なわれない限度において、可溶性不純物の洗浄とアルカリ金属のイオン交換の順序を逆にして行ってもよい。
【0072】
可溶性不純物の洗浄とアルカリ金属のイオン交換の操作の後続いて、得られた球状粒子あるいは球状粒子焼成物を100℃〜500℃の温度で再度乾燥し、球状粒子あるいは球状粒子焼成物中の水分含有量を1質量%〜25質量%とすることで、本発明の接触分解触媒を得ることができる。
【0073】
(接触分解触媒への希土類金属含有方法)
本発明の接触分解触媒に、上記必須構成成分のほかに希土類金属を含有させる方法は、特に制限されず、公知の触媒調製方法により行うことができる。
例えば、上記のアルカリ金属の洗浄除去の後の球状粒子又はその焼成物に、希土類金属によるイオン交換を行い、触媒に希土類金属を含有させる方法がある。
【0074】
また、必須構成成分の1つである結晶性アルミノケイ酸塩に希土類金属を担持させ、所謂金属修飾型結晶性アルミノケイ酸塩となし、この金属修飾型結晶性アルミノケイ酸塩に他の触媒成分の結合剤や粘土鉱物を加えて触媒を調製する方法もある。この金属修飾型結晶性アルミノケイ酸塩を用いる場合も、上記修飾型でない結晶性アルミノケイ酸塩を用いる場合と同様に、結合剤と粘土鉱物と共にスラリーを調製し、次いで噴霧乾燥し、微小球体を得、必要に応じて焼成して焼成物となし、その後、アルカリ金属の洗浄除去を行い、所望の触媒を得ることができる。
【0075】
上記の、接触分解触媒に希土類金属を含有させるためのいずれの方法も、公知の触媒調製方法に従って行うことができる。例えば、イオン交換、担持、いずれの方法も、ランタン、セリウム等の希土類金属の塩化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩等の化合物の単独あるいは2種以上を含有する水溶液を、乾燥状態あるいは湿潤状態にある触媒あるいは触媒成分の一つの結晶性アルミノケイ酸塩にイオン交換あるいは含浸し、必要に応じて加熱することにより行うことができる。
【0076】
<接触分解方法>
本発明において、炭化水素油を接触分解するには、ガソリンの沸点範囲200℃以上で沸騰する炭化水素油(炭化水素混合物)を、上記本発明の接触分解触媒に接触させればよい。このガソリン沸点範囲以上で沸騰する炭化水素混合物とは、原油の常圧あるいは減圧蒸留で得られる軽油留分や、常圧蒸留残渣油及び減圧蒸留残渣油を意味し、もちろんコーカー軽油、溶剤脱瀝油、脱剤脱瀝アスファルト、タールサンド油、シェールオイル油、石炭液化油、GTL(Gas to Liquid)油、植物油、廃潤滑油、廃食油をも包括するものである。更にこれらの原料炭化水素油は、当業者に周知の水素化処理、即ちNi−Mo系触媒、Co−Mo系触媒、Ni−Co−Mo系触媒、Ni−W系触媒などの水素化処理触媒の存在下、高温・高圧下で水素化脱硫した水素化処理油も接触分解の原料として使用できる。
【0077】
商業的規模での接触分解は、通常、垂直に据え付けられたクラッキング反応器と触媒再生器との2種の容器からなる接触分解装置に、上記した本発明のFCC触媒を連続的に流動循環させて行う。即ち、触媒再生器から出てくる熱い再生触媒を、分解すべき炭化水素油と混合し、クラッキング反応器内を上向の方向に導く。その結果、触媒上に析出したコークによって失活したFCC触媒を、分解生成物から分離し、ストリッピング後、触媒再生器に移す。触媒再生器に移した使用済みのFCC触媒を、該触媒上のコークを空気燃焼による除去で再生し、再びクラッキング反応器に循環する。一方、分解生成物はドライガス、LPG、ガソリン留分、中間留分、及び重質サイクル油(HCO)あるいはスラリー油のような1種類以上の重質留分に分離する。もちろん、これらの重質留分を、クラッキング反応器内に再循環させて分解反応をより進めることもできる。
【0078】
上記の接触分解におけるクラッキング反応器の運転条件としては、圧力が常圧(例えば、0.1MPa)〜0.49MPa、温度が約400℃〜600℃、好ましくは約450℃〜550℃、触媒/原料炭化水素油の質量比が約2〜20、好ましくは約4〜15とすることが適している。
反応温度が400℃以上であれば、原料炭化水素油の分解反応が好適に進行して、分解生成物を好適に得ることができる。また、600℃以下であれば、分解により生成するドライガスやLPGなどの軽質ガス生成量を軽減でき、目的物のガソリン留分の収率を相対的に増大させることができて経済的である。
圧力が0.49MPa以下であれば、モル数の増加する反応の分解反応の進行が阻害されにくい。また、触媒/原料炭化水素油の重量比が2以上であれば、クラッキング反応器内の触媒濃度を適度に保つことができ、原料炭化水素油の分解が好適に進行する。また、20以下であれば、触媒濃度を上げる効果が飽和してしまい、触媒濃度を高くするに見合った効果が得られずに不利となることを防ぐことができる。
【実施例】
【0079】
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0080】
<触媒の調製>
触媒の調製にあたり、用いた共通成分は下記のとおりである。
・結晶性アルミノケイ酸塩・・・表1の性状を有する安定化Y型ゼオライト
・粘土鉱物・・・・カオリナイト
・シリカゾル・・・水ガラス(JIS3号水ガラス、SiO濃度29.0質量%)
【0081】
【表1】

【0082】
表1中、「骨格内Al/全Al(モル比)」は、安定化Y型ゼオライトのゼオライト骨格内のAlのモル数と、安定化Y型ゼオライトの全Alモル数との比であり、既述の式(D)により算出した。
【0083】
また、ベーマイトは、表2に示すベーマイトA〜ベーマイトEを用いた。なお、ベーマイトA〜ベーマイトDは、大明化学工業社製のベーマイトであり、ベーマイトEは、Sasol社製の擬ベーマイトである。なお、表2中のメディアン径、結晶子径は以下の条件で測定した数値である。
<メディアン径>
装置:日機装株式会社 レーザー回折・散乱式粒子径・粒度分布測定装置 マイクロトラックMT−3000
溶媒:0.1%ヘキサメタリン酸ナトリウム溶液 60mL
試料量:0.5g
分散処理:超音波ホモジナイサーを用いて3分間処理
<結晶子径>
ベーマイトの結晶子径は、X線回析装置(株式会社リガク製,UlitimaIV)を用いて測定し、(020)面(2θ=14.485°)を用いて、既述の式(A)により算出した。
【0084】
【表2】

【0085】
〔実施例1〕
希硫酸98.7gに水ガラス144.8gと純水184.7gの混合溶液を滴下し、シリカゾル水溶液(SiO濃度9.8質量%)を調製した。一方、安定化Y型ゼオライト76.0g(乾燥基準)に蒸留水を加え、ゼオライトスラリーを調製した。上記のシリカゾル水溶液に、カオリナイト76.0g(乾燥基準)、ベーマイトA6.0g(乾燥基準)と上記のゼオライトスラリーを混合し、更に5分間混合して混合スラリーを調製した。
得られた混合スラリーを210℃の入口温度、及び140℃の出口温度の条件で噴霧乾燥し、得られた球状粒子を触媒前駆体とした。該触媒前駆体を、60℃の5質量%の硫酸アンモニウム水溶液3Lで2回イオン交換した後、更に6Lの蒸留水で洗浄した。その後、乾燥機中、110℃で一晩乾燥し、触媒Aを得た。
【0086】
〔実施例2〕
触媒Aの調製において、ベーマイトA6.0gの代わりに、ベーマイトB20.0g(乾燥基準)を使用し、カオリナイトの混合量を62.0g(乾燥基準)とする以外は同様の方法で、触媒Bを得た。
【0087】
〔実施例3〕
触媒Aの調製において、ベーマイトA6.0gの代わりに、ベーマイトC30.0g(乾燥基準)を使用し、カオリナイトの混合量を52.0g(乾燥基準)、とする以外は同様の方法で、触媒Cを得た。
【0088】
〔実施例4〕
触媒Bの調製において、ベーマイトBの代わりに、ベーマイトDを使用した以外は、同様の方法で、触媒Dを得た。
【0089】
〔実施例5〕
触媒Aの調製において、ベーマイトAの代わりに、ベーマイトCを使用した以外は、同様の方法で、触媒Hを得た。
【0090】
〔実施例6〕
触媒Bの調製において、ベーマイトBの代わりに、ベーマイトCを使用した以外は、同様の方法で、触媒Iを得た。
【0091】
〔実施例7〕
触媒Cの調製において、ベーマイトC30.0gの代わりに、ベーマイトC40.0g(乾燥基準)を使用し、カオリナイトの混合量を42.0g(乾燥基準)、とする以外は同様の方法で、触媒Jを得た。
【0092】
〔実施例8〕
触媒Cの調製において、ベーマイトCの代わりに、ベーマイトAを使用した以外は、同様の方法で、触媒Kを得た。
【0093】
〔実施例9〕
触媒Cの調製において、ベーマイトCの代わりに、ベーマイトBを使用した以外は、同様の方法で、触媒Lを得た。
【0094】
〔実施例10〕
触媒Bの調製において、ベーマイトBの代わりに、ベーマイトAを使用した以外は、同様の方法で、触媒Mを得た。
【0095】
〔実施例11〕
触媒Hの調製において、シリカゾル水溶液(SiO濃度9.8質量%)の代わりに、下記結合剤水溶液1を用い、カオリナイトの混合量を74.2g(乾燥基準)とした以外は同様の方法で、触媒Nを得た。
【0096】
−結合剤水溶液1の調製−
水ガラス144.8gを、希硫酸98.7gと純水184.7gで希釈し、第一リン酸アルミニウム1.8g(乾燥基準、Al・3P換算)を加え、攪拌して、シリカゾル由来のケイ素に対する第一リン酸アルミニウム由来のリンのモル比(リン/ケイ素モル比)が0.03となる結合剤水溶液1を調製した。
【0097】
〔実施例12〕
触媒Nの調製において、結合剤水溶液1の代わりに、下記結合剤水溶液2を用い、カオリナイトの混合量を75.4g(乾燥基準)とした以外は同様の方法で、触媒Oを得た。
【0098】
−結合剤水溶液2の調製−
水ガラス144.8gを、希硫酸98.7gと純水184.7gで希釈し、第一リン酸アルミニウム0.6g(乾燥基準、Al・3P換算)を加え、攪拌して、シリカゾル由来のケイ素に対する第一リン酸アルミニウム由来のリンのモル比(リン/ケイ素モル比)が0.01となる結合剤水溶液2を調製した。
【0099】
〔実施例13〕
触媒Nの調製において、結合剤水溶液1の代わりに、下記結合剤水溶液3を用い、カオリナイトの混合量を69.9g(乾燥基準)とした以外は同様の方法で、触媒Pを得た。
【0100】
−結合剤水溶液3の調製−
水ガラス144.8gを、希硫酸98.7gと純水184.7gで希釈し、第一リン酸アルミニウム6.1g(乾燥基準、Al・3P換算)を加え、攪拌して、シリカゾル由来のケイ素に対する第一リン酸アルミニウム由来のリンのモル比(リン/ケイ素モル比)が0.10となる結合剤水溶液3を調製した。
【0101】
〔実施例14〕
触媒Nの調製において、結合剤水溶液1の代わりに、下記結合剤水溶液4を用い、カオリナイトの混合量を63.7g(乾燥基準)とした以外は同様の方法で、触媒Qを得た。
【0102】
−結合剤水溶液4の調製−
水ガラス144.8gを、希硫酸98.7gと純水184.7gで希釈し、第一リン酸アルミニウム12.3g(乾燥基準、Al・3P換算)を加え、攪拌して、シリカゾル由来のケイ素に対する第一リン酸アルミニウム由来のリンのモル比(リン/ケイ素モル比)が0.20となる結合剤水溶液4を調製した。
【0103】
〔実施例15〕
触媒Nの調製において、結合剤水溶液1の代わりに、下記結合剤水溶液5を用い、カオリナイトの混合量を54.5g(乾燥基準)とした以外は同様の方法で、触媒Rを得た。
【0104】
−結合剤水溶液5の調製−
水ガラス144.8gを、希硫酸98.7gと純水184.7gで希釈し、第一リン酸アルミニウム21.5g(乾燥基準、Al・3P換算)を加え、攪拌して、シリカゾル由来のケイ素に対する第一リン酸アルミニウム由来のリンのモル比(リン/ケイ素モル比)が0.35となる結合剤水溶液5を調製した。
【0105】
〔実施例16〕
触媒Nの調製において、結合剤水溶液1の代わりに、下記結合剤水溶液6を用い、カオリナイトの混合量を45.3g(乾燥基準)とした以外は同様の方法で、触媒Sを得た。
【0106】
−結合剤水溶液6の調製−
水ガラス144.8gを、希硫酸98.7gと純水184.7gで希釈し、第一リン酸アルミニウム30.7g(乾燥基準、Al・3P換算)を加え、攪拌して、シリカゾル由来のケイ素に対する第一リン酸アルミニウム由来のリンのモル比(リン/ケイ素モル比)が0.50となる結合剤水溶液6を調製した。
【0107】
〔比較例1〕
触媒Aの調製において、ベーマイトAを添加せず、カオリナイトの混合量を82.0g(乾燥基準)とする以外は同様の方法で、触媒Eを得た。
【0108】
〔比較例2〕
触媒Cの調製において、ベーマイトC30.0gの代わりに、ベーマイトC50.0g(乾燥基準)を用い、カオリナイトの混合量を32.0g(乾燥基準)とする以外は同様の方法で、触媒Fを得た。
【0109】
〔比較例3〕
触媒Bの調製において、ベーマイトBの代わりに、ベーマイトEを使用する以外は同様の方法で触媒Gを得た。
【0110】
<触媒活性評価>
実施例及び比較例で得た各触媒について、沸騰床マイクロ活性試験装置(KAYSERTECHNOROGY社製 ACE−MODEL R+)を用いて、同一原料油、同一測定条件のもと、接触分解特性を試験した。なお、試験に先立ち、上記触媒について、実際の使用状況に近似させるべく、即ち平衡化させるべく、各新触媒を室温から600℃まで30分間で昇温し、600℃にて2時間保持して乾燥した後、ニッケル及びバナジウムがそれぞれ1000質量ppm、2000質量ppmとなるようにナフテン酸ニッケル、ナフテン酸バナジウムを含むシクロヘキサン溶液を吸収させ、100℃で乾燥し、しかる後600℃まで30分で昇温し、600℃で2時間保持して焼成を行い、次いで、各触媒を流動状態で、空気雰囲気下で室温から800℃まで90分間で昇温し、800℃に到達後、100%水蒸気雰囲気に切替え、800℃で6時間保持して平衡化処理を行った。
【0111】
上記平衡化処理した触媒を用い、また、原料油として表3に示す炭化水素油(脱硫減圧軽油(VGO)50容量%+脱硫残油(DDSP)50容量%)を使用し、沸騰床マイクロ活性試験装置にて、反応温度510℃、反応時間75〜150秒、触媒/炭化水素油比(質量比)3.0,4.0,5.0,6.0として、評価試験を行った。その試験結果をグラフ化し、このグラフ(図示省略)から触媒/炭化水素油比(質量比)5.0となる転化率及び、転化率が65質量%となる触媒/炭化水素油比(質量比)を回帰計算により算出した。ここで、転化率とは100−(中間留分(LCO)の質量%)−(重質留分(HCO)の質量%)である。更に、回帰計算により転化率65質量%の時の算出されたFCCガソリンの収率及びコーク生成量を表4〜表6にそれぞれ示す。
なお、表4〜表6中、転化率、ガソリンの収率、及びコーク生成量の単位は、「質量%」である。
【0112】
【表3】

【0113】
<触媒一覧、及び触媒活性評価結果>
実施例及び比較例で得た触媒の組成と、触媒活性評価の評価結果を表4〜表6に纏めて示す。なお、表4〜表6中、リン/ケイ素モル比とベーマイトのメディアン径を除き、数値の単位はいずれも「質量%」である。なお、「リン/ケイ素モル比」は、シリカゾル由来のケイ素に対する第一リン酸アルミニウム由来のリンのモル比である。
また、触媒の調製に用いた各原料量は、触媒の最終組成物に含まれる割合で示している。即ち、ベーマイト、結晶アルミノケイ酸塩、粘土鉱物は乾燥基準での値を示している。また、シリカゾル由来のケイ素酸化物はSiOでの換算値、第一リン酸アルミニウム[Al(HPO]はAl・3Pでの換算値でそれぞれ示している。更に、リン/ケイ素モル比は、第一リン酸アルミニウム及びオルトリン酸由来のリンのモル数と、シリカゾル由来のケイ素のモル数より算出した。
【0114】
【表4】

【0115】
【表5】

【0116】
【表6】

【0117】
表4〜表6から明らかなように、比較例1及び比較例3では、転化率(触媒の分解活性の指標となる)及びガソリン収率が低く、コーク生成量が多い。また、ベーマイトの混合量を高めた比較例2では、コーク生成量は、比較例1及び比較例3よりは低減したものの、転化率及びガソリン収率が低く、いずれの場合も本発明の所期の効果を得ることができない。これらの触媒は、炭化水素油の接触分解反応において、装置にかかるコストや負担を考慮すると不利である。
【0118】
しかし、実施例1〜16では、転化率が高く、すなわち、触媒の分解活性を高く維持することができ、なおかつコーク生成量を低減させ、FCCガソリンを高収率で得ることができる。
FCCガソリンは、市場に出荷される自動車用ガソリンへの配合量が多いため、FCCガソリンを高収率で得ることができれば、経済的な価値が大きい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メディアン径が30μm以下であるベーマイト1質量%〜20質量%、結晶性アルミノケイ酸塩、シリカゾル由来のケイ素酸化物、及び、粘土鉱物を含有することを特徴とする炭化水素油の接触分解触媒。
【請求項2】
前記ベーマイトを1質量%〜20質量%、前記結晶性アルミノケイ酸塩を20質量%〜60質量%、前記シリカゾル由来のケイ素酸化物をSiO換算で5質量%〜40質量%、及び、前記粘土鉱物を10質量%〜74質量%含有することを特徴とする請求項1に記載の炭化水素油の接触分解触媒。
【請求項3】
前記ベーマイトが、X線回折のピーク幅から求めた結晶子径が5nm以上1,000nm以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の炭化水素油の接触分解触媒。
【請求項4】
メディアン径が30μm以下であるベーマイト、結晶性アルミノケイ酸塩、シリカゾル、及び、粘土鉱物を混合して水性スラリーを得る工程と、当該水性スラリーを噴霧乾燥する工程とを有することを特徴とする炭化水素油の接触分解触媒の製造方法。
【請求項5】
前記水性スラリー中の各成分を全固形分基準で固形物換算したときに、前記メディアン径が30μm以下であるベーマイトを1質量%〜20質量%、前記結晶性アルミノケイ酸塩を20質量%〜60質量%、前記シリカゾルをSiO換算で5質量%〜40質量%、前記粘土鉱物を10質量%〜74質量%含有する水性スラリーを用いることを特徴とする請求項4に記載の炭化水素油の接触分解触媒の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の炭化水素油の接触分解触媒を炭化水素油に接触させて、炭化水素油を接触分解することを特徴とする炭化水素油の接触分解方法。

【公開番号】特開2011−88137(P2011−88137A)
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−207134(P2010−207134)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(590000455)財団法人石油産業活性化センター (249)
【出願人】(000105567)コスモ石油株式会社 (443)
【Fターム(参考)】