説明

炭素化合物とマイクロ波の熱反応

【目的】1、省エネで迅速に炭化物を得る基礎技術を提供すること。
2、炭素化合物とマイクロ波の熱反応を応用してなる熱反応体や炭素複合化合物の創造。
【構成】1、難燃剤を担持させた状態で炭化させ耐酸化性炭素を得て、その耐酸化性炭素を可燃性有機物質や難燃剤を担持した有機物質に、被覆してその炭素媒体にマイクロ波を照射吸収させ炭素の放射熱で連鎖的に焼成炭化させることを特徴とする炭化方法。
2、前記炭化法で得られた蓄熱した状態の炭素を表面被覆して連鎖的に、短時間で炭素化合物を得ることを特徴とする炭化方法。
3、炭素化合物とマイクロ波の調整からなる炭素熱反応を応用してなる炭素発熱体を暖房器具などや電子レンジクッキングなどに応用することを特徴とする炭素発熱体。
4、炭素と水ガラスなどの液状無機物を混合してマイクロ波を照射してなる複合発泡体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【産業上の利用分野】
【0001】
省エネ炭化技術として、耐酸化性炭素を媒体として、炭素源である炭水化物、セルロース、炭化水素化合物等を簡易なマイクロ波設備で、数秒から数分間以内の高速で炭素化する技術を主に提供するものです。
本発明の炭素化合物焼成方法は省エネルギーで、植物系残渣や食品残渣・製材屑、水質浄化汚泥残渣などの炭素源である有機廃棄物などを炭素粒子化して無害化する。
無害化された炭素群を資源有価物として有効利用を期待するものである。
また、炭素、マイクロ波の熱反応応用技術として、マイクロ波のコントロールによる炭素発熱体の応用や炭素複合体の創造など多彩な工業的な用途が見出されるものと考えられる。
【背景技術】
【0002】
有機物質の炭化焼成として、ロータリキルーン炭化炉やバッチ式炭化炉などがしられているが、コストパホーマンス性や環境特性に優れたものはなく且つ膨大なエネルギーを必要としている。
また、焼成時間も長く、二酸化炭素の発生量も高く問題であった。
【発明が解決しょうとする課題】
【0003】
エネルギー消費が僅かで、迅速に炭素化合物を得る技術操作を主研究課題として安定な炭化処理方法を模索。また、環境を考慮し、二酸化炭素の発生量を抑制する熱分解反応を補助する安全、適切な難燃性薬剤の選定をすることも本研究の副課題とした。
この基本的な炭化技術操作を駆使することで有機質産業廃棄物の全てを有価物として炭素化する技術開発に繋げることも視野にいれた。また、応用技術として、マイクロ波との反応による炭素発熱原理を応用することにより、電子レンジで簡単に、魚やクッキーを焼くことなども可能となる。
同様に、マイクロ波のコントロールによって炭素発熱体としての様々な応用も考案される。
【課題を解決する為の手段】
【0004】
1:耐酸化性の炭素を合成する。
有機物質粒子に対し、液状難燃剤或いは不燃性液体を含浸させ乾燥後、焼成する。
1200℃火焔バーナー照射連続8分間(酸化雰囲気)で速やかに炭化する。
2:前記焼成した耐酸化性炭素を有機物質粒子表面層に被覆した状態で、マイクロ波(電子レンジ)を照射する。
有機物質表面層に被覆された耐酸化性炭素は、マイクロ波を吸収して急速に熱放射する。その熱放射は連鎖的に拡大して極めて短時間で有機物質を焼成して不定形炭素粒子となる。
電子レンジにおけるマイクロ波照射時間は、500w1分間、300w切り替え2分間以内で、不完全燃焼炭素が得られる。燃料炭と同様な炭素である。
3:1記載の難燃剤、不燃性液体などを担持させた有機物乾燥物質を2と同様な耐酸化性炭素を表面被覆してマイクロ波を照射したものは、耐酸化性炭素となる。
本発明は、耐酸化性炭素にマイクロ波を吸収させ連鎖的に熱放射させて炭化させる省エネカーボン化技術である。(請求項1)
4:炭化蓄熱した状態の炭素を更に、焼成したい炭素源に表面被覆する工業的操作で炭化スピードが更に向上して、炭化処理時間が数秒単位で炭化する有効な方法である。(請求項2)
5:耐酸化性炭素結合体や不燃材に耐酸化性炭素を表面層にした2枚の層間に、熱をとおしたい物質を入れ、マイクロ波を数分照射すると、熱が貫流して火が通り適度なコゲ跡も発生する。
耐酸化性炭素とマイクロ波の熱反応効果である。電子レンジ内で魚やクッキーが簡単調理可能となる。本発明は、耐酸化性炭素にマイクロ波を吸収させ連鎖的に熱放射させて、熱調理する技術である。(請求項3)
6:液状水ガラス等、無機物質を熱発泡させたい場合は、炭素を適量混合してマイクロ波を照射すると数分で発泡体が得られる。この現象はマイクロ波と炭素の熱反応による発泡現象である。(請求項4)
【作用】
【0005】
炭素化合物は、マイクロ波を吸収することは一般に知られている。また、通常はマイクロ波を吸収した炭素は燃焼酸化して灰化する。しかし耐酸化性炭素の熱放射現象の発熱効果は特に著しく赤熱するが燃焼することなく且つ熱拡散放射能力にも秀でている為に灰化せず迅速に炭素が得られる。
可燃性有機物質粒子集合体に、耐酸化性炭素を表面被覆する操作で、ある程度の酸素は、遮断された状態になると共に酸化性雰囲気でもマイクロ波を吸収した耐酸化性炭素発熱体は、燃焼せず放射赤熱する。連続的にマイクロ波を吸収した耐酸化性炭素は速やかに熱放射し周辺領域に連鎖的に拡大する。
酸素の接触が少ない状態の被焼成物質は、炭素の発熱に伴い熱放射を浴び発火点近傍に達する。
発火点近傍で可燃性ガスが発生し、1次的にガスのみが発火燃焼するが過大に燃焼せず、炭素の高熱放射伝播によって速やかに有機物質はチャー化過程をたどり炭素状粒子に変化する。
マイクロ波の照射時間をコントロールすることで、燃料用や難燃剤担持耐酸化性炭素などとして選択的に焼成炭化可能である。
特に難燃性を付与した有機炭素源の場合は、ほとんど燃焼過程に至らず灰化せず速やかに炭化する。
その為、煙の発生量も極めて少なく環境にとってより好ましい。
難燃剤を担持させた炭素は、高温耐酸化特性に極めて優れた高性能のカーボン素材に構造変化したものと推察される。
更に、前記記載の焼成炭素の温度が冷め切らない間に、次工程の有機炭素群に対して蓄熱した焼成炭素を表面被覆してマイクロ波を照射すると僅か数秒から1分間余りで連続的に有効な炭素が得られ極めて省エネで工業的な大量生産方式に向いている。
【実施例】
【0006】
(第1実施例)
以下、本発明の第1実施例、木粉の場合の炭化例を以下に説明する。
1、難燃剤の作成
リン酸水素二アンモニウム30部:熱湯70部を全て良く混合し溶解させる。
2、木粉に対し、前記作成の難燃剤を適量加え湿潤状態とし、電子レンジ等で乾燥させる。
この状態のまま平らに薄く広げ、簡易バーナー1200℃火焔を照射。時々処理体を混ぜ合わせながら約8分間で全て炭素化した。この炭素の形状は0,3〜1mm±の粒子であり無機結晶を担持した耐酸化性炭素である。
2、炭素源として、無処理木粉を適量山型にケイカル板に載せ、更に前記2の耐酸化性炭素を薄く全体に被覆した状態とし電子レンジ内でマイクロ波を照射した。セットタイムは4分間。スタート初期は、500w温め位置で1分間その後解凍側に切り替えた。
約1分以内で部分的に数箇所赤熱しその後赤熱範囲は拡大し約3分後には、全体に赤熱した。
レンジ照射時間は合計4分間以内で全て炭素化した。この炭素の耐酸化性炭素を除く部分は不完全燃焼炭素であり燃料として使用可能であり、鉄精錬にも好適に用いられる。
【0007】
(第2実施例)
以下、本発明の第2実施例を以下に説明する。
第1実施例2で作成した難燃剤担持木粉を前記同様、耐酸化性炭素を被覆した状態でマイクロ波を照射する操作3分間で耐酸化性炭素が得られた。
【0008】
(第3実施例)
以下、本発明の第3実施例の場合を以下に説明する。
第2実施例の焼成直後の耐酸化性炭素の蓄熱した状態の炭素を表面被覆する連続的な操作でマイクロ波を照射すると僅か数秒で炭化が促進され1分間以内で急速に全て炭化した。
工業的には連続した工程を組むことが極めて省エネ炭化法である。
【0009】
(第4実施例)
以下、本発明の第4実施例の場合を以下に説明する。
1、難燃剤の作成
リン酸水素二アンモニュウム30部:ホウ砂15部:熱湯400部を更に加熱して水溶液を得る。
2、綿布に全体に塗布した後、乾燥させた。
3、難燃剤担持綿布が乾燥後、ガスバーナーを当て外周部縁及び中心部近傍を部分的に炭化させた。布全体の事前炭化範囲は約25%±位である。
4、前記の部分炭化布を皿に載せ、電子レンジにかけた。初期500w30秒程度その後300wに切り替えた。約2分間で炭化部分が部分的に赤熱し始め全体が全て炭化したタイムは計3分間余りであった。この炭化物は繊維形態を残存させた状態で炭化した。
【0010】
(第5実施例)
以下、本発明の第5実施例の場合を以下に説明する。
1、珪酸カルシュム板に珪酸ナトリュウム液を塗布し、乾燥前に耐酸化性炭素を表面層に散布して定着させたものを2枚作成して乾燥させた。
2、1で作成した耐酸化性炭素を定着させた2枚の珪酸カルシュウム板層間に魚の切り身を挟み、電子レンジにセット。スタート初期は、温め位置3分間連続して解凍側に切り替え後5分間加熱した。厚さ約14mmの魚の切り身に完全に熱がとおり炭素が接する面は適度なコゲ跡がある。
【0011】
(第6実施例)
以下、本発明の第6実施例の場合を以下に説明する。
1、耐酸化性炭素20部:珪酸ナトリュウム液(水ガラス1号)80部を良く混合する。
2、前記、混合物を素焼き皿に適量数滴載せ、マイクロ波を照射する。照射タイム3分間で著しく発泡した。この発泡体は、不燃性バルーン型である。
3、次に、1で作成した耐酸化性炭素と水ガラス混合物を適度な大きさのPP容器に入れ乾燥させた。この乾燥体を離型し、電子レンジに4分間かけた。この発泡体は連続独立気泡体である。
【0012】
以上、本発明の実施例を説明してきたが、具体的な構成は、本発明の実施例に限らず、要旨を逸脱しない範囲における追加、変更があっても本発明に含まれる。
【発明の効果】
【0013】
耐酸化性炭素とマイクロ波の照射によって発生する放射熱は予想よりも高くその熱連鎖も著しい為、数秒から数分以内の単位で迅速に有機物質が炭化可能である。
炭化処理時間が僅かである為に著しくコスト削減が可能となり、炭素利用の経済的効果は著しい。
産業廃棄物の炭化処理のみならず、活性炭の賦活処理、使用済み活性炭の再処理技術への応用等僅かなエネルギーで迅速に熱エネルギーを負荷させることが出来る点は好ましい環境である。
耐酸化性を付与する炭化処理剤は安全性の高い原料であり且つ安価。コスト優位性も高く、従来方式に比べ化石燃料の節約に加え資源再生再利用という特長から、廃棄物発生廃棄を最小限に抑えその結果、環境負荷、廃棄物処理埋め立て処理費用を著しく下げる効果もある。
【0014】
このクリーンな電気的なマイクロ波エネルギーであるマイクロ波との相乗効果で炭素が発熱する原理を基本とした産業上の応用範囲は多岐にわたるものと推察される。
例えば、炭素発熱体として、電子レンジクッキングへの応用
【0015】
例えば、炭素発熱体として、マイクロ波をコントロールした装置のオンドル等の暖房システム。
【0016】
例えば、炭素発熱体として融雪装置。
【0017】
例えば、炭素発熱体、セラミック素地との融合。
【0018】
例えば、炭素発熱効果による有機体の低温領域発泡体の創造など多彩である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可燃性有機物質や難燃剤担持有機物質に耐酸化性炭素を表面被覆した状態で、マイクロ波を照射して炭素に吸収させ炭素から出る放射熱で連鎖的に炭化させ炭素を得る方法。
【請求項2】
前記、炭化法で得られた蓄熱した炭素を表面被覆してマイクロ波を照射して連鎖的に炭素化合物を得ることを特徴する短時間炭化法。
【請求項3】
耐酸化性炭素化合物とマイクロ波の周波数調整からなる炭素放射熱反応を応用してなる炭素発熱体を暖房器具、電子レンジクッキング、融雪装置などに応用することを特徴とする炭素発熱体。
【請求項4】
炭素と水ガラスを混合し、マイクロ波を照射してなる複合発泡体。

【公開番号】特開2012−131687(P2012−131687A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−294769(P2010−294769)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(591095214)株式会社HI−VAN (11)
【Fターム(参考)】