説明

炭素繊維前駆体アクリル系糸条、その製造方法および製造装置

【課題】炭素繊維前駆体アクリル系糸条を製造する際に、隣接する糸条間同士の干渉、混繊を防止し工程通過性の優れた高品位で安価な炭素繊維を提供する。
【解決手段】アクリロニトリル系重合体を紡出し、膨潤状態にある膨潤糸条を乾燥緻密化する炭素繊維前駆体アクリル系糸条の製造方法において、水洗洗浄により脱溶剤された膨潤糸条が走行する経路の幅方向に設けられたスリット開口部より、流体を噴出させて糸条に集束性を付与し、膨潤糸条が走行する経路の両側に設けられた規制板によってその膨潤糸条の糸条幅を制御する糸条幅制御装置を設けることによって、均一なトウ形態を維持しながらトウの狭幅化が可能となる。規制板の間隔は導糸する糸条幅の30%〜60%の幅に設定することが望ましく、流体は水、油剤含有液状物、またはエアーであることが望ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素繊維前駆体アクリル系糸条およびその製造方法と製造装置に関し、特に高品質で生産性の優れた炭素繊維前駆体アクリル系糸条を得るための製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭素繊維の需要はここ数年来増加傾向にあり、航空機、スポーツ等の高機能が要求される用途から、土木建築等の一般産業用途まで幅広く利用されている。これらへの用途拡大の要求に応えるためには、コストダウンと共に生産能力の大幅増を行う必要がある。そのためには、炭素繊維の前駆体であるアクリル系糸条の生産性を高めることが必要であり、その手段としては、糸条を構成する単繊維数を増やして糸条のトータル繊度を大きくし、設備当たりの生産性を向上させることが最も有効である。
【0003】
通常の炭素繊維前駆体アクリル系糸条の製造方法では、紡糸原液を凝固浴に導いて凝固糸とした後、乾燥緻密化するまでの間に、糸条をガイドしたり延伸したりするために、複数のローラーを用いて糸条を送ることが行われる。しかしながら、糸条のトータル繊度を大きくしていくとレギュラートウの処理を前提とした現状の設備では、特にローラー上で隣接錘間の糸条間隔が狭くなり、糸条同士の干渉、混繊が発生して単繊維の損傷、糸切れ、毛羽および接着など工程における糸条の通過性が阻害されるという問題が生じる。同時に、その後に続く延伸工程間での延伸斑によって繊度斑が生じて、得られる炭素繊維の物性も低下してしまう。
【0004】
これを防ぐには、各ローラー幅を長尺化して隣接錘間の糸条間隔を広くする必要があるが、その場合駆動部までを含めた大がかりな設備改造を要すると共に、ローラーを必要以上に長くするとトウの導糸作業やトラブル処置時の対応が困難となり、安全上でも大きな問題を有する。
【0005】
特許文献1には、浴中での処理の際に湾曲ガイドを用いてトウ幅を制御する方法が記載されており、この方法によれば単繊維間接着のない糸条を得ることができ、安定して高品質の炭素繊維用原糸を製造することができるとしている。
【0006】
更に特許文献2では、溝付きローラーによって糸条幅が制御される方法が記載されており、トータル繊度を大きくした太物炭素繊維前駆体アクリル系糸条であっても、炭素繊維に転換したときに長手方向に強度ムラ等がなく品質の高い炭素繊維が得られるとしている。
【特許文献1】特開平5−195306号公報
【特許文献2】国際公開WO00/077282号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の方法によれば、浴中のガイド間でのトウ幅制御は可能になるが、トラブルが量的に発生しやすいローラー上では依然として糸条間同士の干渉・混繊の問題が生じ、十分な効果が得られないという問題がある。
【0008】
特許文献2に記載の方法によれば、トータル繊度が大きい太物糸条を溝付きロールによって糸条幅制御をした場合、トウ形態が悪化し、トウ割れや斜行糸の発生、更にはトウのエッジ部での単糸切れが発生し易くなり、高品位な炭素繊維前駆体繊維糸条を得ることは難しい。また、溝付きロールとの接触による圧着によるダメージや接着糸も発生し易くなるという問題がある。
【0009】
本発明は、製造に際して、隣接する糸条間同士の干渉、混繊が防止され、工程通過性が優れていて、高品位で安価な炭素繊維が得られる炭素繊維前駆体アクリル系糸条の製造方法と製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の炭素繊維前駆体アクリル系糸条の製造方法は、
アクリロニトリル系重合体を紡出し、紡出された膨潤状態にある膨潤糸条を乾燥緻密化する、炭素繊維前駆体アクリル系糸条の製造方法において、水洗浄により脱溶剤された膨潤糸条が走行する経路の幅方向に設けられたスリット開口部より、流体を噴出させてその膨潤糸条に集束性を付与する工程と、膨潤糸条が走行する経路の両側に設けられた規制板によってその膨潤糸条の糸条幅を制御する糸条幅制御工程と、を含んでいることを特徴とする。
【0011】
糸条幅制御工程で用いられる糸条幅を規制するための規制板の間隔が、導糸する糸条幅の30%〜60%であってもよく、膨潤糸条に集束性を付与するために噴出される流体が水、油剤を含有する液状物、あるいは空気であってもよい。
【0012】
本発明の炭素繊維前駆体アクリル系糸条の製造装置は、
膨潤糸条に集束性を付与し、糸条幅を制御する糸条幅制御装置であって、所定の液体を圧送する噴出ポンプと、その糸条幅制御装置内を進行するその膨潤糸条に接するように設けられ、その噴出ポンプより圧送された液体をその膨潤糸条に吹き付けるスリットと、その糸条幅制御装置内を進行するその膨潤糸条の両側に所定の間隔で設けられる規制板とを備えたことを特徴とする。噴出ポンプの噴出圧が制御可能であってもよく、規制板の間隔が調整可能であってもよい。
【0013】
本発明の炭素繊維前駆体アクリル系糸条は、上述の製造方法により製造された炭素繊維前駆体アクリル系糸条である。
【0014】
本発明では、アクリロニトリル系重合体を紡出し、その後、膨潤状態にある膨潤糸条を乾燥緻密化する炭素繊維前駆体アクリル系糸条の製造方法において、水洗洗浄により脱溶剤された膨潤糸条が走行する経路の幅方向に設けられたスリット開口部より、流体を噴出させて糸条に集束性を付与することと、膨潤糸条が走行する経路の両側に設けられた規制板によってその膨潤糸条の糸条幅を制御する糸条幅制御工程とによって従来の問題点が解決される。この糸条幅制御工程の規制板と規制板の間隔を導糸する糸条幅の30%〜60%の幅に設定し、スリットより水、油剤含有液状物、エアーのいずれかを噴出させて集束性を付与させることで、均一なトウ形態を維持しながらトウの狭幅化が可能となる。
【0015】
また、糸条幅制御装置を水洗洗浄後のいくつかの延伸装置の前に配置することが可能であり、糸条幅制御工程により糸条幅を制御し、その後に続く延伸工程によって均一に延伸されることで得られた前駆体糸条の長手方向の繊度斑の変動率は1%以下とすることができた。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、トータル繊度を大きくして炭素繊維前駆体アクリル系糸条を製造する際に、膨潤糸条が走行する経路の幅方向に設けられたスリット開口部より流体を噴出させて糸条に集束性を付与し、膨潤糸条が走行する経路の両側に設けられた規制板によってその膨潤糸条の糸条幅を制御する糸条幅制御工程を設けたことによって、隣接する糸条同士の干渉、混繊が防止され、工程通過性が優れるので、毛羽立ちがなく高品位で安価な炭素繊維が得られるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明の実施の形態について説明する。
【0018】
本発明に用いられるアクリロニトリル系重合体は、通常の炭素繊維前駆体アクリロニトリル繊維に用いられるものであれば特に制限はなく、アクリロニトリル系重合体としては、アクリロニトリルの単独重合体もしくは共重合体、またはこれらの重合体の混合重合体を使用することができる。アクリロニトリルと共重合し得る単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類;マレイン酸イミド、フェニルマレイミド、(メタ)アクリルアミド、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル;スチレンスルホン酸ソーダ、アクリルスルホン酸ソーダ、β−スチレンスルホン酸ソーダ、メタアリルスルホン酸ソーダ等のスルホン基を含む重合性不飽和単量体;2−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン等のピリジン基を含む重合性不飽和単量体等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0019】
単量体混合物を重合する方法としては、例えば水溶液におけるレドックス重合、不均一系における懸濁重合、分散剤を使用した乳化重合等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
本発明の製造方法では、まずこれらのアクリロニトリル系重合体を、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、硝酸、あるいはロダンソーダ水溶液等の溶媒に溶解して紡糸原液とする。
【0021】
次に、紡糸口金を用いて、紡糸原液を凝固浴中に吐出するか(湿式紡糸)、または一旦空気中に吐出した後、凝固浴に導いて(乾−湿式紡糸)、凝固糸とする。凝固浴には、一般的には紡糸原液に用いられる溶媒を含む水溶液が用いられる。
【0022】
この状態の凝固糸は繊維内に水を含んでおり、後の工程で乾燥緻密化されるまで膨潤状態にある。通常の製造方法では、凝固糸を凝固浴からゴデットローラーにより引き取り、その後洗浄、延伸、油剤の付与等の必要な各工程を経た後、乾燥緻密化して炭素繊維用の前駆体繊維を得る。
【0023】
本発明では、糸条幅制御装置が、紡出して凝固糸としてから水洗洗浄後の脱溶剤が終了した後の湿熱延伸装置の前に設置されており、膨潤糸条が走行する幅方向に設けられた流体噴出用スリット開口部より流体を噴出させて集束性を付与させ、糸条幅制御用規制板によって糸条幅を制御するものである。用いられる流体としては、水、油剤含有液状物、エアーのいずれかを噴出させて集束性を付与させることで、均一なトウ形態を維持しながらトウの狭幅化を可能とするものである。
【0024】
その流体の噴出量は、水および油剤含有液状物を用いた場合、1スリット(1錘)あたり0.5m3/hr〜1.5m3/hrであり、好ましくは0.8m3/hr〜1.2m3/hrである。噴出量が0.5m3/hr未満では、水流による貫通力が不足し、トウの集束性(トウの狭幅化)が得られず、1.5m3/hrを超える場合は、逆に貫通力が増しトウの斜行やトウ割れが発生し、最悪の場合単糸切れを引き起こす恐れがある。
【0025】
一方、その流体として空気を用いた場合では1スリット(1錘)あたりの噴出量としては200NL/min〜1000NL/minであり、好ましくは400NL/min〜800NL/minで処理することで、均一なトウ形態を維持しながらトウの狭幅化が可能となる。
【0026】
本発明の実施の形態の炭素繊維前駆体アクリル系糸条の製造方法における糸条幅制御装置を用いた糸条幅制御方法を説明する。複数本並走する膨潤糸条の走行方向に直交して延設された流体噴出用スリット開口部から、膨潤糸条走行面に向けて流体を直接噴出させ、交絡による膨潤糸条内の単糸レベルでの交絡付与が可能となり、糸条幅制御用規制板による糸条幅の規制よって、糸条幅を均一に制御(狭幅化)することが可能となる。流体の噴出は噴出ポンプによって行われる。
【0027】
噴出する流体の流量、スリットの開口面積および両側の糸条幅制御用規制板の間隔を調整することにより、糸条幅を均一に制御することが可能となる。ここで、糸条幅制御工程における糸条幅を規制する糸条幅制御用規制板の間隔(スリット幅)がその糸条幅制御装置に導糸する前の糸条幅の30%〜60%であることが好ましい。スリット幅が30%未満ではトウの耳折れや斜行糸が発生して、均一な糸条幅制御が困難となり、60%を超える場合は糸条幅を制御する目的を達成することができなくなる。この目的を達成するため噴出する流体の流量はバルブ等により調整を可能とし、糸条幅制御用規制板の位置を可変としてスリット幅を調整可能とすることが望ましいが、加工対象が一定しているのなら一定であってもよい。
【0028】
本発明では、乾燥緻密化して最終的に得られる前駆体繊維のトータル繊度は特に限定されるものではなく、広範囲にわたり適用可能であるが、特にトウ幅制御の効果が得られるのは22,000dtex(2.2kg/km)以上であり、好ましくは22,000dtex(2.2kg/km)以上99,000dtex(9.9kg/km)以下である。
【0029】
紡糸装置は、第1のロールボックス、第2のロールボックス、湿熱延伸装置、第3のロールボックスを有し、本発明の糸条幅制御装置は第1のロールボックスと第2のロールボックスの間に設けられており、噴出ポンプによりイオン交換水(あるいは油剤、エア)がスリットに供給される。ここではイオン交換水としているが、水であってもよい。このように、糸条幅制御装置は水洗洗浄後のいくつかの延伸装置の前に配置されることが好ましい。すなわち、糸条幅を制御された均一なトウ形態は、その延伸装置によって延伸された後では、その前駆体糸条の長手方向の繊度斑の変動率(CV)は1%以下となり、炭素繊維前駆体アクリル系糸条として好ましい。
【0030】
このように本発明では、膨潤状態にある膨潤糸条に対して、走行する幅方向に設けられた流体噴出用スリット開口部より噴出された流体と、糸条幅制御用規制板とで交絡および糸条幅を制御することで、トウ形態を均一にすることが可能となり、その結果、隣接錘間同士の干渉、混繊が防止され、工程通過性の優れた高品位の炭素繊維前駆体アクリル系糸条を安価に製造することができる。
【0031】
本発明により得られた炭素繊維前駆体アクリル系糸条は、耐炎化処理、炭素化処理等の焼成工程を経て高品位の炭素繊維に転換することができる。
【実施例】
【0032】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1]
アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリル酸を、過硫酸アンモニウム−亜硫酸水素アンモニウムおよび硫酸鉄の存在下、水系懸濁重合により共重合し、アクリロニトリル単位/アクリルアミド/メタクリル酸単位=96/3/1(質量比)からなるアクリロニトリル系重合体を得た。このアクリロニトリル系重合体をジメチルアセトアミドに溶解し、21質量%の紡糸原液を調製した。
【0033】
この紡糸原液を孔数24,000、孔径60μmの紡糸口金を通して、濃度60質量%、温度35℃のジメチルアセトアミド水溶液からなる凝固浴中に吐出させて凝固糸とし、紡糸原液の吐出線速度の0.45倍の引き取り速度で引き取った。
【0034】
ついで、この繊維に対して水洗と同時に3倍の延伸を行い、1.5質量%に調製したアミノシリコン系油剤の第一油浴槽に導き第一油剤を付与し、数本のガイドで一旦絞りを行った後、引き続き1.5質量%に調製したアミノシリコン系油剤の第二油浴槽で第二油剤を付与した。この繊維を熱ロールを用いて乾燥し、熱ロール間による乾熱二次延伸を2.0倍行った。その後、タッチロールにて繊維の水分率を調整し、単繊維繊度1.2dtexの炭素繊維前駆体繊維をワインダーで捲き採った。
【0035】
糸条幅制御工程を湿熱延伸工程の前に設け、並走する複数本の膨潤糸条(糸条幅=40mm)をその糸条幅制御工程に導糸させ、集束性を付与し、更に所定の糸条幅になる様に均一に制御させた。
【0036】
本実施の形態では、水にはイオン交換水が使われ、スリット開口部から並走する複数本の膨潤糸条に直接噴出させ、糸条内の集束付与および糸条幅制御を行い、続く延伸工程に導いた。
【0037】
実施例1で用いた糸条幅制御工程における装置および処理条件は、スリット幅20mm,開口面積200mm2 ,噴出水量1m3 /hrであった。隣接錘との混繊、干渉等のトラブルも無く安定に紡糸を行うことができ、工程を走行するトウ形態もトウ割れや斜交といった欠点もなく、長さ方向の繊度斑(CV値)も0.3%と小さかった。製造工程の評価結果で得られた前駆体繊維の評価結果を表1に示す。
[接着繊維の測定方法]
表中、単糸間接着の判定は、巻き取った前駆体繊維を約5mmにカットし100mLの水中に分散させ、100rpmで1分間攪拌後、黒色濾紙にて濾過し、単糸繊維の接着個数を測定した。
[繊度斑測定方法]
表中、繊度斑の判定は、巻き取った前駆体繊維の1mあたりの重量を50m測定し、その時の重量変動率を測定した。
[実施例2〜4、比較例1]
糸条幅制御装置の仕様を次のように設定した以外は、実施例1と同様に実験を行った。
実施例2:
スリット幅=15mm、開口面積=150mm2 、噴出液=水(イオン交換水)
実施例3:
スリット幅=24mm、開口面積=240mm2 、噴出液=油剤
実施例4:
スリット幅=15mm、開口面積=150mm2 、噴出液=エアー
比較例1:
糸条幅制御装置を使用しない以外は実施例1と同様に実験を行った。
【0038】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリロニトリル系重合体を紡出し、紡出された膨潤状態にある膨潤糸条を乾燥緻密化する、炭素繊維前駆体アクリル系糸条の製造方法において、
水洗浄により脱溶剤された前記膨潤糸条が走行する経路の幅方向に設けられたスリット開口部より、流体を噴出させて該膨潤糸条に集束性を付与する工程と、
前記膨潤糸条が走行する経路の両側に設けられた規制板によって該膨潤糸条の糸条幅を制御する糸条幅制御工程と、を含んでいることを特徴とする炭素繊維前駆体アクリル系糸条の製造方法。
【請求項2】
前記糸条幅制御工程で用いられる糸条幅を規制するための前記規制板の間隔が、導糸する糸条幅の30%〜60%である、請求項1に記載の炭素繊維前駆体アクリル系糸条の製造方法。
【請求項3】
前記膨潤糸条に集束性を付与するために噴出される流体が水、油剤を含有する液状物、あるいは空気である、請求項1または請求項2に記載の炭素繊維前駆体アクリル系糸条の製造方法。
【請求項4】
膨潤糸条に集束性を付与し、糸条幅を制御する糸条幅制御装置であって、
所定の液体を圧送する噴出ポンプと、
前記糸条幅制御装置内を進行する前記膨潤糸条に接するように設けられ、前記噴出ポンプより圧送された前記液体を該膨潤糸条に吹き付けるスリットと、
前記糸条幅制御装置内を進行する前記膨潤糸条の両側に所定の間隔で設けられる規制板と、を備えたことを特徴とする糸条幅制御装置。
【請求項5】
前記噴出ポンプの噴出圧が制御可能である、請求項4に記載の糸条幅制御装置。
【請求項6】
前記規制板の間隔が調整可能である、請求項4に記載の糸条幅制御装置。
【請求項7】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の製造方法により製造された炭素繊維前駆体アクリル系糸条。

【公開番号】特開2007−291580(P2007−291580A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−123649(P2006−123649)
【出願日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】