説明

炭素繊維混抄自由抵抗シート及びその製造方法

【課題】発熱シートの面積抵抗値を細かく自由自在に変更することができ、また炭素繊維のムラの発生に起因する発熱シート自体の電気抵抗及び温度特性の不安定性を無くし、且つ強度的にも優れた炭素繊維混抄自由抵抗シート及びその製造方法を提供する。
【解決手段】ピッチ系炭素繊維及び/又はPAN(ポリアクリロニトリル)系炭素繊維と、パルプ繊維シートとから成る炭素繊維混抄の発熱シート1に、導電性ペーストを規則的な配列パターンとなって印刷する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床暖房用、施設園芸用、寝具、健康器具といったものから、融雪、水道管等の凍結防止、保温用等、幅広い用途に使用するための炭素繊維混抄自由抵抗シート及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この電気加熱装置として使用される面状発熱体としては、特許文献1に開示されているように、パルプ繊維に、ピッチ系炭素繊維及び/又はPAN(ポリアクリロニトリル)系炭素繊維を混ぜて抄紙して形成してなる軽量で取扱いが容易、かつ消費電力も少ない炭素繊維混抄紙による発熱シートが利用されている。
【0003】
そして、この炭素繊維混抄紙に給電するために、当該炭素繊維混抄紙の辺に沿って導電性の帯状の銀ペーストが互いに対向するように配され、導電性の接着剤が塗布された銅箔テープからなる電流供給用電極層が銀ペースト上に接着されている。
【0004】
このような発熱シートは、炭素繊維混抄紙に含まれる炭素繊維の状態及び/又は炭素繊維混抄紙の形状に合わせて、電極の配設位置、形状、個数、種類等を調節することによって、電気抵抗値を調節することができ、所望の温度に発熱シートを昇温させることができるものとなっている。しかも、パルプ繊維の紙質によっても大きく抵抗値が変わる。
【0005】
例えば、特許文献2に開示されているように、炭素繊維混抄紙は、面積抵抗値を高くするため、左右の電極同士の間隔が長く、例えば縦横の比率が約1:2の横長矩形状となって切断形成され、この炭素繊維混抄紙が隙間を介して縦方向に沿って5枚連設されている。この際、炭素繊維混抄紙には紙目が形成され、紙目方向に沿って炭素繊維が配向される。そのため、紙目方向と、これに直交する方向とで電気抵抗値が異なっている。ここで、炭素繊維混抄紙の各辺は、紙目方向と平行又はこれに直交するように矩形状に形成されている。この場合、紙目方向の電気抵抗値は最も低く、紙目方向と直交する方向の電気抵抗値は最も高い。そして、一対のペースト電極が、例えば炭素繊維混抄紙の紙目方向に直交する両辺に沿って配される。
【特許文献1】特許第2903219号公報
【特許文献2】実用新案登録第3144384号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来においては、炭素繊維混抄の度合い、すなわち炭素繊維密度に応じて各1種類の面積抵抗値の発熱シートしか作成できないことから、当該面積抵抗値を変える場合には、炭素繊維密度を変えるか、あるいは電極の配設位置、形状、個数、種類等を調節するか等によって新たに発熱シートを製造しなければならず、このため、製造コストが嵩むものとなっていた。
【0007】
また、パルプ繊維に、ピッチ系炭素繊維及び/又はPAN(ポリアクリロニトリル)系炭素繊維を混ぜて抄紙形成する際に、炭素繊維をパルプ繊維に均一に分散させることが非常に困難であり、開繊させるために長時間攪拌させると各繊維が不定寸法に折れて安定した電気抵抗及び温度特性が得られず、しかも各繊維が折れて繊維同士の絡みが弱くなり、強度的にも欠点が生じる虞がある。
【0008】
さらに、炭素繊維の長さが3mm未満の場合には、他の炭素繊維又はパルプ繊維との絡みが弱くなり、10mmを超える場合には、パルプ繊維への分散性が低下し、炭素繊維のムラを生じると共に電気抵抗及び温度特性が不安定となる虞も生じる。
【0009】
そこで、本発明は、叙上のような従来存した諸事情に鑑み案出されたもので、特許第2903219号の発熱シートの製造を基にして作成された発熱シートの面積抵抗値を細かく自由自在に変更することができ、また炭素繊維のムラの発生に起因する発熱シート自体の電気抵抗及び温度特性の不安定性を無くし、且つ強度的にも優れた炭素繊維混抄自由抵抗シート及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するため、本発明に係る炭素繊維混抄自由抵抗シートにあっては、ピッチ系炭素繊維及び/又はPAN(ポリアクリロニトリル)系炭素繊維と、パルプ繊維シートとから成る炭素繊維混抄の発熱シートに、導電性ペーストを規則的な配列パターンとなって印刷して成ることを特徴とする。
【0011】
炭素繊維混抄自由抵抗シートには、少なくとも対向する2個のペースト電極が印刷され、該ペースト電極に沿って金属箔の補助電極が接着されている。
【0012】
導電性ペーストには、金ペースト・銀ペースト・銅ペースト・ニッケルペースト・アルミペースト・カーボンペーストのいずれかを使用している。
【0013】
一方、本発明に係る炭素繊維混抄自由抵抗シートの製造方法にあっては、ピッチ系炭素繊維及び/又はPAN(ポリアクリロニトリル)系炭素繊維と、パルプ繊維シートとから成る炭素繊維混抄の発熱シートを形成するシート形成工程と、当該発熱シートに、金ペースト・銀ペースト・銅ペースト・ニッケルペースト・アルミペースト・カーボンペーストのいずれかの導電性ペーストを規則的な配列パターンとなってシルク印刷もしくはオフセット印刷する印刷工程と、印刷後の発熱シートに、少なくとも対向する2個のペースト電極がシルク印刷もしくはオフセット印刷され、該ペースト電極に沿って金属箔の補助電極を接着する電極形成工程とから成ることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、特許第2903219号の発熱シートの製造を基にして作成された発熱シートの面積抵抗値を細かく自由自在に変更することができ、また炭素繊維のムラの発生に起因する発熱シート自体の電気抵抗及び温度特性の不安定性を無くし、且つ強度的にも優れた炭素繊維混抄自由抵抗シート及びその製造方法を提供することができる。
【0015】
すなわち、本発明に係る炭素繊維混抄自由抵抗シートにあっては、ピッチ系炭素繊維及び/又はPAN(ポリアクリロニトリル)系炭素繊維と、パルプ繊維シートとから成る炭素繊維混抄の発熱シートに、導電性ペーストを規則的な配列パターンとなって印刷して成るので、従来のように面積抵抗値を変える度に、新たに発熱シートを製造する必要が無くなり、特許第2903219号の発熱シートの製造を基にして作成された発熱シートに導電性ペーストを規則的な配列パターンとなって印刷するだけで、発熱シートの面積抵抗値を細かく自由自在に変更することができる。しかも、導電性ペーストは印刷によりムラの無い規則的な配列パターンを有していることから、電気抵抗及び温度特性の安定性が担保される。
【0016】
また、炭素繊維混抄自由抵抗シートには、少なくとも対向する2個の電極が印刷され、該電極に沿って金属箔の補助電極が接着されているので、発熱シートにおける発熱温度を安定化させることができる。また、従来の電極として導電性ペーストのみの使用では、電極の電気抵抗が電極間(発熱シート)の電気抵抗よりも少なくなると電極自身が発熱するという虞があったが、この点も防止することができる。
【0017】
導電性ペーストには、金ペースト・銀ペースト・銅ペースト・ニッケルペースト・アルミペースト・カーボンペーストのいずれかを使用しているので、軽量で且つ機械的強度にも優れ、少ない消費電力で安定した状態で所望の温度に暖めることができる炭素繊維混抄自由抵抗シートが得られる。
【0018】
本発明に係る炭素繊維混抄自由抵抗シートの製造方法にあっては、ピッチ系炭素繊維及び/又はPAN(ポリアクリロニトリル)系炭素繊維と、パルプ繊維シートとから成る炭素繊維混抄の発熱シートを形成するシート形成工程と、当該発熱シートに、金ペースト・銀ペースト・銅ペースト・ニッケルペースト・アルミペースト・カーボンペーストのいずれかの導電性ペーストを規則的な配列パターンとなってシルク印刷もしくはオフセット印刷する印刷工程と、印刷後の発熱シートに、少なくとも対向する2個のペースト電極がシルク印刷もしくはオフセット印刷され、該ペースト電極に沿って金属箔の補助電極を接着する電極形成工程とから成るので、特許第2903219号の発熱シートの製造を基にして作成された当該発熱シートの面積抵抗値を細かく自由自在に変更することができ、また炭素繊維のムラの発生に起因する発熱シート自体の電気抵抗及び温度特性の不安定性を無くし、且つ強度的にも優れた炭素繊維混抄自由抵抗シートを低コストで容易に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の一形態を詳細に説明する。
本発明に係る炭素繊維混抄自由抵抗シートPは、図1(a)乃至(c)に示すように、パルプ繊維シートによる基材に、ピッチ系及び/又はPAN(ポリアクリロニトリル)系の炭素繊維を混抄させる、特許第2903219号に開示された技術による例えば面積抵抗45Ω、厚さ約95μmの発熱シートの製造を基にして作成された当該発熱シート1の全面(片面もしくは両面)に、導電性ペーストを規則的な任意の配列パターンとなってシルク印刷(もしくはスクリーン印刷)した印刷部分2を形成して構成されている。尚、このシルク印刷に替わって例えばオフセット印刷や、その他の種々の印刷技術を採用しても良い。
【0020】
すなわち、ピッチ系炭素繊維及び/又はPAN(ポリアクリロニトリル)系炭素繊維は、長さ3mm以上、5mm未満又は長さ5mm以上、10mm以下の長さを有する繊維となっており、この炭素繊維がパルプ繊維シート中に所定の比率で分散含有されている。
【0021】
また、発熱シート1の製造に使用されるパルプ繊維シートとして、例えば攪拌機によって紙目無しの状態に形成されたパルプ繊維シートを使用しても良い。この場合、パルプ繊維シートとしては、例えば針葉樹、広葉樹等の木材繊維、綿、カボック等の種子毛繊維、三椏、楮、雁皮、桑、黄麻、亜麻、大麻、芋麻、ラミー等の靱皮繊維、マニラ麻、サイザル麻等の葉繊維及び稲わら、モミガラ、竹、バガス、エスパルト等のカ本科繊維等から成る群の1種又は2種以上より選択される植物パルプが使用される。尚、前記植物パルプに合成パルプを混合して用いることも可能であるが、経済性、強度の点から植物パルプ単独の使用が望ましい。
【0022】
また、紙目を出さないための攪拌機としては、上記した植物パルプを、例えばパルパー等の公知の攪拌機により、水に約20〜30分間回流させて撹拌させる方法が採られる。このとき、水流中での激しいバイブレーションで層流無しの乱流状態とすることで、パルプ繊維同士の絡みが進行し、紙目の無い状態が容易に得られるのである。そして、公知の円網式抄紙機(ヤンキーマシン)、長網抄紙機等により所望の厚さ及び坪量に抄造する。
【0023】
また、炭素繊維混抄自由抵抗シートPにおいて、電極部分は、該炭素繊維混抄自由抵抗シートPに少なくとも対向する例えば銀ペースト等の2個のペースト電極3をシルク印刷し、該ペースト電極3に沿って、例えば銅箔等の金属箔による補助電極4を接着させることにより、炭素繊維混抄自由抵抗シートPの発熱温度を安定化させる。また、従来の導電性ペーストのみの使用では、電極の電気抵抗が、電極間(炭素繊維混抄自由抵抗シートP)の電気抵抗よりも少なくなると電極自身が発熱するという虞があったが、この点も防止することができる。
【0024】
ここで炭素繊維混抄自由抵抗シートPに少なくとも2個のペースト電極3とは、当該ペースト電極3が対向しておれば、2箇所でもそれ以上でもよく、炭素繊維混抄自由抵抗シートP自身の大きさ及び形状に応じて、なるべく電気抵抗値を少なくするように設計するこができることである。
【0025】
例えば、長方形の炭素繊維混抄自由抵抗シートPの両端辺に前記ペースト電極3を貼着し、前記両端辺より等距離の位置になるよう1個のペースト電極3を貼着することで、電極間の距離を狭くし、電極間の電気抵抗を少なくすることにより、より高温度な発熱温度を保持することができる。
【0026】
前記印刷部分2の導電性ペーストとしては、例えば金ペースト、銀ペースト、銅ペースト、ニッケルペースト、アルミペースト等を好ましく挙げることができる。また前記補助電極4の金属箔としては、例えばアルミ、銅、ニッケル、ステンレル等を好ましく挙げることができる。
【0027】
シルク印刷に使用されるシルクスクリーン(パターンシルク印刷版)の作成には、印刷部分2を形成するための任意の配列パターンの図柄を切り抜いた紙やフィルムに、目の粗い薄絹のスクリーンを貼り合わせる。これによって導電性ペーストによるインクの通る部分と通らない部分が区分されるので、あとはそれを版として発熱シート1の上に載せて、適量の導電性ペーストによるインクをヘラ(スキージー)で伸ばして行けばよい。この方法で精緻な図柄を作る場合には、あらかじめ溶剤を一様に塗布したスクリーンから、図柄となる部分を熱や薬液で溶して「孔」を作り、版の「孔」の部分を通過したカーボンインクが図柄となるようにする。
【0028】
また、パルプ繊維シートにシルク印刷される導電性ペーストの印刷部分2の具体的な形状と配列パターとしては、当該印刷部分2が均等に配列された形状であれば如何なる配置でもかまわない。しかし、均等に並んだ形状の1つの模様は左右上下が均等となる必要がある。
【0029】
例えば、図1(a)に示すように、発熱シート1に、例えば約0.1mm〜3mm程度の範囲の長さを有する棒状の導電性ペーストによる印刷部分2が直列となって且つ一列ごとに位相をずらして印刷形成される。
【0030】
あるいは、図1(b)に示すように、上記と略同じ長さの棒状の導電性ペーストによる印刷部分2がクロス状となって互いに並設されたり、図1(c)に示すように、約0.1mm〜3mm程度の直径を有するドット状の導電性ペーストによる印刷部分2が均一密度状態となって配列される。この他、種々の形状と配列パターンによる印刷部分2の形成が考えられる。
【0031】
次に、以上のように構成された最良の形態についての製造方法の一例について説明する。
【0032】
図2に示すように、先ず、特許第2903219号に開示された技術によるシート形成工程Aにおいて、パルプ繊維シートによる基材に、ピッチ系及び/又はPAN(ポリアクリロニトリル)系の炭素繊維を混抄させ、例えば面積抵抗45Ω、厚さ約95μmの発熱シート1の製造する。
【0033】
具体的には、長さ8mmのPAN(ポリアクリロニトリル)系炭素繊維0.125g、マニラパルプ1.188g及びクラフトパルプ(N−BKP)0.90gを試験用小型ミキサーに水と共に投入し、約10秒間、混合撹拌して、各成分を分散させる。次いで、長さ4mmのPAN(ポリアクリロニトリル)系炭素繊維0.125gを添加し、再び約10秒間混合撹拌を行う。得られた分散液を250mm×250mmの大きさのタッピマシンに流し込み、秤量35g/mに抄造した後、乾燥ドラムに通過させて、面積抵抗45Ω、厚さ約95μmの発熱シート1を得る。
【0034】
印刷工程Bにおいて、発熱シート1に、導電性ペーストによる印刷部分2を施す。このとき、印刷部分2は、導電性ペーストを規則的な所定の配列パターンとなるようにシルク印刷により形成する。
【0035】
具体的には、得られた発熱シート1の片面全体または両面全体を、シルクスクリーン(パターンシルク印刷版)を使用して、シルク印刷する。
【0036】
このシルクスクリーン(パターンシルク印刷版)は、図1(a)に示すように、紙やフィルムに例えば約0.1mm〜3mm程度の範囲の長さを有する棒状の「孔」を直列で且つ一列ごとに位相をずらした状態となって図柄を形成しておき、この図柄を切り抜いてから、目の粗い薄絹のスクリーンを貼り合わせて作成される。これによってカーボンインクの通る部分と通らない部分が区分されるので、あとは、それを版として発熱シート1の上に載せて、適量の導電性ペーストによるインクをヘラ(スキージー)で伸ばして行けばよい。
【0037】
このとき、図1(b)に示すように、上記と略同じ長さの棒状の導電性ペーストによる印刷部分2がクロス状となって互いに並設されたり、図1(c)に示すように、約0.1mm〜3mm程度の直径を有するドット状の導電性ペーストによる印刷部分2が均一密度状態となって配列されるようにしても良い。こうして、炭素繊維混抄自由抵抗シートPが形成されるのである。
【0038】
図2に示すように、電極形成工程Cにおいて、印刷後の発熱シート1である炭素繊維混抄自由抵抗シートPに、少なくとも対向する2個の銀ペースト等のペースト電極3を貼着(印刷)し、次いで、該ペースト電極3に沿って銅箔等の金属箔による補助電極4を接着する。
【0039】
すなわち、一対の補助電極4は、ペースト電極3よりも幅の狭い帯状の銅箔テープからなり、導電性の粘着面が片面に配されている。そして、補助電極4は、炭素繊維混抄自由抵抗シートPの両面の各ペースト電極3と密着するようにして、ペースト電極3の幅方向中央部に配される。そのため、補助電極4の側縁とペースト電極3の側縁とは重ならずに離間した状態となっている。この一対の補助電極4は、複数の炭素繊維混抄自由抵抗シートPが一対の主電極に対して電気的に並列となるように、各炭素繊維混抄自由抵抗シートPを接続している。この際、各炭素繊維混抄自由抵抗シートPは、一対の補助電極4の延びる方向に互いに一定の隙間が設けられるように離間して配されている。また、ペースト電極3、補助電極4、及び主電極は、それぞれの幅がこの順に狭くなるように形成されている。
【0040】
コーティング工程Dにおいて、上記した構成による炭素繊維混抄自由抵抗シートP全体を、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル製フィルム、又はより耐熱性に優れたポリイミド製フィルム等の熱可塑性樹脂フィルムでラミネート加工して密封する。
【0041】
こうして製造された炭素繊維混抄自由抵抗シートPとして、例えば4つのパターンによる導電性ペーストの印刷部分2を100mm×100mmの大きさの発熱シート1の片面または両面に形成した場合の電気抵抗値を測定して面積抵抗値を求め、その結果を図3に表形態で示してある。この場合、基準紙とは導電性ペーストによる印刷部分2が施されていない発熱シート1であり、電気抵抗値は45Ωである。
【0042】
例えば、20平方mm中央に直径1mmのドット状の導電性ペーストの印刷部分2が形成されている状態が繰り返された配列パターン(図1(c)参照)の場合、片面印刷では面積抵抗値が41.25Ω、両面印刷では42.5Ωとなる。
【0043】
また、10平方mm中央に直径1mmのドット状の導電性ペーストの印刷部分2が形成されている状態が繰り返された配列パターンの場合、片面印刷では面積抵抗値が40Ω、両面印刷では37.5Ωとなる。
【0044】
また、10平方mm中央に直径2mmのドット状の導電性ペーストの印刷部分2が形成されている状態が繰り返された配列パターンの場合、片面印刷では面積抵抗値が37.5Ω、両面印刷では35Ωとなる。
【0045】
また、20平方mm中央に直径4mmのドット状の導電性ペーストの印刷部分2が形成されている状態が繰り返された配列パターンの場合、片面印刷では面積抵抗値が40Ω、両面印刷では37.5Ωとなる。
【0046】
尚、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での改良変形等は本発明に包含されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明を実施するための最良の形態における炭素繊維混抄自由抵抗シートの概略構成を示すもので、(a)は棒状の炭素繊維印刷部分が直列となって且つ一列ごとに位相をずらして印刷形成された状態の斜視図、(b)は棒状の炭素繊維印刷部分がクロス状となって互いに並設された状態の斜視図、(c)はドット状の炭素繊維印刷部分が均一密度状態となって配列された状態の斜視図である。
【図2】炭素繊維混抄自由抵抗シートの製造工程を示す説明図である。
【図3】4つのパターンによる導電性ペーストの印刷部分を発熱シートの片面または両面に形成した場合の電気抵抗値を測定して求めた面積抵抗値の結果を表形態で示した図である。
【符号の説明】
【0048】
P 炭素繊維混抄自由抵抗シート
A シート形成工程
B 印刷工程
C 電極形成工程
D コーティング工程
1 発熱シート
2 印刷部分
3 ペースト電極
4 補助電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピッチ系炭素繊維及び/又はPAN(ポリアクリロニトリル)系炭素繊維と、パルプ繊維シートとから成る炭素繊維混抄の発熱シートに、導電性ペーストを規則的な配列パターンとなって印刷して成ることを特徴とする炭素繊維混抄自由抵抗シート。
【請求項2】
炭素繊維混抄自由抵抗シートには、少なくとも対向する2個のペースト電極が印刷され、該ペースト電極に沿って金属箔の補助電極が接着されている請求項1記載の炭素繊維混抄自由抵抗シート。
【請求項3】
導電性ペーストには、金ペースト・銀ペースト・銅ペースト・ニッケルペースト・アルミペースト・カーボンペーストのいずれかを使用している請求項1または2記載の炭素繊維混抄自由抵抗シート。
【請求項4】
ピッチ系炭素繊維及び/又はPAN(ポリアクリロニトリル)系炭素繊維と、パルプ繊維シートとから成る炭素繊維混抄の発熱シートを形成するシート形成工程と、当該発熱シートに、金ペースト・銀ペースト・銅ペースト・ニッケルペースト・アルミペースト・カーボンペーストのいずれかの導電性ペーストを規則的な配列パターンとなってシルク印刷もしくはオフセット印刷する印刷工程と、印刷後の発熱シートに、少なくとも対向する2個のペースト電極がシルク印刷もしくはオフセット印刷され、該ペースト電極に沿って金属箔の補助電極を接着する電極形成工程とから成ることを特徴とした炭素繊維混抄自由抵抗シートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−123452(P2010−123452A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−297060(P2008−297060)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(508345531)有限会社ステップアップ (1)
【Fターム(参考)】