説明

炭酸ガス加圧溶解装置及び炭酸ガス加圧溶解方法

【課題】容器内に入れたクリームやジェル等の被撹拌液状物(粘性液状物)に炭酸ガスを簡単且つ効率的に溶解させ、容器内のクリームやジェル等の被撹拌液状物(粘性液状物)に炭酸ガスの気泡を均一に内在させることができるようにする。
【解決手段】被撹拌液状物(粘性液状物)4及び複数の撹拌ボール5が容器2の内部に空間24を生じるように入れられ、ガス導入ポート7に炭酸ガス供給路8が接続された状態で且つ加圧された炭酸ガス28が供給された状態で振り動かされると、複数の撹拌ボール5で粘性液状物4と炭酸ガス28を撹拌・混合し、粘性液状物4に炭酸ガス28を溶解させ、粘性液状物4に炭酸ガス(28)の気泡30を内在させることができるようになっている。炭酸ガス28の気泡30が内在する粘性液状物4を内容物取り出し弁27から外部へ取り出すことができるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、炭酸ガスをクリームやジェル等の被撹拌液状物に溶解させる炭酸ガス加圧
溶解装置及び炭酸ガスをクリームやジェル等の被撹拌液状物に溶解させる炭酸ガス加圧溶
解方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、水を入れた圧力容器内の空間に炭酸ガスを供給し、圧力容器内を炭酸ガスで
加圧した後、圧力容器の空間側に設置されたノズルから圧力容器内の水面に向けて水を吹
き込むことにより、炭酸ガスを水の噴流と共に水中深く吹き込み、炭酸ガスの水への溶解
を効率良く行えるようにした技術が知られている(特許文献1)。
【0003】
また、低粘度の化粧料と共にスチールボールを容器内に入れておき、化粧料を使用する
直前に容器を振って、容器内の化粧料をスチールボールで効率的に撹拌・均一化した後、
その化粧料を塗布するようにした技術も知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−329349号公報
【特許文献2】特開2007−217393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、容器内に入れたクリームやジェル等の粘性液状物(水と比較して高粘度
で流動性の少ない液状物)に炭酸ガスを簡単且つ効率的に溶解させ、容器内のクリームや
ジェル等の粘性液状物に炭酸ガスの気泡を均一に内在させる技術が提供されていなかった

【0006】
そこで、本発明は、容器内に入れたクリームやジェル等の被撹拌液状物としての粘性液
状物に炭酸ガスを簡単且つ効率的に溶解させ、容器内のクリームやジェル等の被撹拌液状
物としての粘性液状物に炭酸ガスの気泡を均一に内在させることができる技術の提供を目
的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、図1に示すように、炭酸ガスが充填された炭酸ガスボンベ3と、被
撹拌液状物4及び複数の撹拌ボール5が入れられた容器2と、前記炭酸ガスボンベ3のガ
ス供給ポート6と前記容器2のガス導入ポート7とを接続する炭酸ガス供給路8と、前記
炭酸ガスボンベ3の前記ガス供給ポート6を開閉する開閉弁10と、前記炭酸ガスボンベ
3の前記ガス供給ポート6から前記開閉弁10を介して前記炭酸ガス供給路8へ供給され
る高圧の炭酸ガスを大気圧よりも高圧の所定圧力に減圧する減圧弁11と、を備えた炭酸
ガス加圧溶解装置1に関するものである。この発明において、
前記容器2は、図1,図2,図5,図10乃至図13に示すように、前記被撹拌液状物
4及び複数の撹拌ボール5が前記容器2の内部に空間24を生じるように入れられ、前記
ガス導入ポート7に前記炭酸ガス供給路8が接続された状態で且つ前記炭酸ガス(28)
が供給された状態で振り動かされると、前記複数の撹拌ボール5で前記被撹拌液状物4と
前記炭酸ガス(28)を撹拌・混合し、前記被撹拌液状物4に前記炭酸ガス(28)を溶
解させ、前記被撹拌液状物4に前記炭酸ガス(28)の気泡30を内在させることができ
るようになっており、前記炭酸ガス(28)の気泡30が内在する前記被撹拌液状物4を
内容物取り出し部(12,14,27)から外部へ取り出すことができるようになってい
る。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明に係る炭酸ガス加圧溶解装置1の前記容器2に特徴
を有するものである。すなわち、図2,図10乃至図12に示すように、前記容器2は、
一端側が開口部12である有底筒形状の容器本体13と、前記容器本体13の前記開口部
12を開閉する蓋14とを備えている。そして、前記容器本体13の内部空間20は、円
筒状の内側壁21と、この内側壁21の底部側を塞ぐように位置する内底22と、前記内
側壁21と前記内底22との接続部であるコーナー部23と、で形作られている。また、
前記コーナー部23は、前記撹拌ボール5の半径よりも大きな曲率半径の曲面となるよう
に形成されている。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2の発明に係る炭酸ガス加圧溶解装置1の前記容器2に特徴
を有するものである。すなわち、図10に示すように、前記容器2の前記内底22は、前
記内底22の中央部へ向かうに従って滑らかに底上げするようになっているテーパー面が
少なくとも一部に形成されている。
【0010】
請求項4の発明は、請求項2又は3の発明に係る炭酸ガス加圧溶解装置1の前記容器2
に特徴を有するものである。すなわち、図11に示すように、前記容器本体13の内底2
2に対向する前記蓋14の天井面32は、前記天井面32の中央部へ向かうに従って前記
内底22に近づくようなテーパー面33が少なくとも一部に形成されている。
【0011】
請求項5の発明は、請求項2又は3の発明に係る炭酸ガス加圧溶解装置1の前記容器2
に特徴を有するものである。すなわち、図12に示すように、前記容器本体13の内底2
2に対向する前記蓋14の天井面32は、前記天井面32の中央部へ向かうに従って前記
内底22から遠ざかるようなテーパー面35が少なくとも一部に形成されている。
【0012】
請求項6の発明は、図3乃至図5に示すように、(1)容器2内に被撹拌液状物4と複
数の撹拌ボール5とを空間24が生じるように収容する第1のステップと、(2)前記第
1のステップ終了後に、前記容器2を密閉する第2のステップと、(3)前記第2のステ
ップ終了後に、炭酸ガスボンベ3内に充填された炭酸ガスを減圧弁11で大気圧よりも高
圧の所定圧力に減圧して前記容器2内に供給しながら、前記容器2を振り動かすことによ
り、前記複数の撹拌ボール5を前記容器2内で運動させ、この運動する複数の撹拌ボール
5で前記被撹拌液状物4と前記炭酸ガス(28)を撹拌・混合し、前記被撹拌液状物4に
前記炭酸ガス(28)を溶解させ、前記被撹拌液状物4に前記炭酸ガス(28)の気泡3
0を内在させる第3のステップと、を有することを特徴とする炭酸ガス加圧溶解方法に関
するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、容器内に入れたクリームやジェル等の被撹拌液状物(粘性液状物)に
炭酸ガスを簡単且つ効率的に溶解させ、容器内のクリームやジェル等の被撹拌液状物(粘
性液状物)に炭酸ガスの気泡を均一に内在させることができる。しかも、本発明によれば
、容器内に入れた粘性液状物以外の水や酒等の被撹拌液状物に炭酸ガスを簡単且つ効率的
に溶解させ、粘性液状物以外の水や酒等の被撹拌液状物に炭酸ガスの気泡を均一に内在さ
せることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係る炭酸ガス加圧溶解装置の概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る炭酸ガス加圧溶解装置の容器を示す図であり、図2(a)が容器の正面図、図2(b)が容器の縦断面図、図2(c)が図2(b)に示す容器の変形例を示す図(容器の一部拡大図)である。
【図3】本発明の実施の形態に係る炭酸ガス加圧溶解装置の第1使用状態図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る炭酸ガス加圧溶解装置の第2使用状態図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る炭酸ガス加圧溶解装置の第3使用状態図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る炭酸ガス加圧溶解装置の第4使用状態図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る炭酸ガス加圧溶解装置の第5使用状態図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る炭酸ガス加圧溶解装置の第6使用状態図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る炭酸ガス加圧溶解装置の第7使用状態図である。
【図10】本発明の変形例1に係る容器の縦断面図である。
【図11】本発明の変形例2に係る容器の縦断面図である。
【図12】本発明の変形例3に係る容器の縦断面図である。
【図13】図13(a)が本発明の変形例4に係る容器の正面図であり、図13(b)が図13(a)の容器の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳述する。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態に係る炭酸ガス加圧溶解装置1の概略構成図である。また
、図2は、本発明の実施の形態に係る炭酸ガス加圧溶解装置1の容器2を示す図である。
【0017】
(炭酸ガス加圧溶解装置の概略構成)
図1に示すように、炭酸ガス加圧溶解装置1は、炭酸ガスが充填された炭酸ガスボンベ
3と、粘性液状物(被撹拌液状物)4及び複数の撹拌ボール5が収容された容器2と、こ
れら炭酸ガスボンベ3のガス供給ポート6と容器2のガス導入ポート7とを接続する炭酸
ガス供給路8と、を有している。そして、炭酸ガスボンベ3には、この炭酸ガスボンベ3
のガス供給ポート6を開閉する開閉弁10が設置されている。また、炭酸ガス供給路8の
上流側端部(炭酸ガスボンベ3側端部)には、炭酸ガスボンベ3のガス供給ポート6から
開閉弁10を介して炭酸ガス供給路8へ供給される高圧の炭酸ガスを大気圧よりも高圧の
所定圧力(例えば、0.35MPa)に減圧する減圧弁11が設置されている。また、炭
酸ガス供給路8の下流側端部近傍(容器2寄りの位置)には、容器2側から炭酸ガスボン
ベ3側への炭酸ガス等の逆流を防止するチェックバルブ9が設置されている。また、開閉
弁10と減圧弁11は、バルブユニットとして一体化してもよい。
【0018】
ここで、粘性液状物4とは、ジェル、化粧用及び医療用クリーム、軟膏、グリセリン等
の水と比較して高粘度で流動性の低い液状物をいう。また、被撹拌液状物とは、容器2内
において撹拌されることになる液状物であり、粘性液状物の他に、水,酒、ジュース等の
液状物をいう。なお、被撹拌液状物として、粘性液状物を適宜例示して説明する。また、
撹拌ボール5は、ステンレス球、超合金球、鋼球の表面に樹脂の被膜層を形成した球体等
が使用される。なお、撹拌ボール5は、撹拌効果を高めるために、表面に複数のディンプ
ルを形成してもよい。また、撹拌ボール5は、直径11mmのステンレス球を使用したが
、これに限られず、容器2の内容積や内部空間20の形状等に応じて最適の大きさのもの
を使用する(図2,図10乃至図13参照)。
【0019】
(容器)
図2に示すように、容器2は、一端側が開口部12である有底筒形状の容器本体13と
、この容器本体13の開口部12を開閉する蓋14と、を有している。そして、この容器
2は、平面視した形状が円形形状であり、作業者が手で持って容易に振る動かすことがで
きる程度の大きさ及び重さに形成されている。なお、この容器2の容器本体13及び蓋1
4は、炭酸ガス供給路8を介して供給される炭酸ガスの圧力に耐えることができるように
、プラスチック,強化繊維入りプラスチック又は金属(例えば、ステンレス)で形成され
ている(図1参照)。
【0020】
容器本体13は、平面視した形状が略円形形状で且つ有底筒形状に形成されている。こ
の容器本体13は、その上端側(Z軸方向に沿った上端側)に蓋係合部15が形成され、
蓋係合部15に雄ねじ16が形成されている。そして、この蓋係合部15の雄ねじ16に
は、蓋14の円筒部17に形成された雌ねじ18が螺合されるようになっている。
【0021】
容器本体13の内部空間20は、円筒状の内側壁21と、この内側壁21の底部側(Z
軸方向に沿った下端部側)を塞ぐように位置する内底22と、内側壁21と内底22とを
接続するコーナー部23とで形作られている。そして、この容器本体13の内部空間20
には、複数の撹拌ボール5と粘性液状物4とが空間24(加圧された炭酸ガスを受け入れ
ることができるスペース)を生じるように収容される。ここで、内側壁21は、容器中心
軸L1を中心とする回転対称面である。また、内底22は、容器中心軸L1に直交する円
板形状の平面である。また、コーナー部23は、図2(b)に示すように、内側壁21と
内底22とを滑らかに接続する曲面であって、曲率半径が3〜5mm程度の曲面である。
しかし、コーナー部23は、このような形状に限定されるものではなく、曲面の曲率半径
をr0とし、内部空間20内に収容される撹拌ボール5の半径をr1とし、内側壁21の
半径をr2とすると、r1≦r0<r2となるように、好ましくはr1<r0<r2とな
るように形成してもよい(図2(c)参照)。容器2は、容器本体13のコーナー部23
が図2(c)に示すように形成されることにより、作業者によって振り動かされた状態に
おいて、容器本体13内に収容した粘性液状物4が容器本体13内をランダムに運動する
撹拌ボール5で撹拌されずにコーナー部23に残るようなことがなくなり、粘性液状物4
が撹拌ボール5によって確実に撹拌されることになる。
【0022】
蓋14は、容器本体13の蓋係合部15に係合される円筒部17と、この円筒部17の
一端側を塞ぐように一体形成された円板状部25とを有している。そして、円筒部17の
内周面には、容器本体13の雄ねじ16に螺合される雌ねじ18が形成されている。また
、円板状部25には、炭酸ガス供給路8にジョイント26を介して接続されるガス導入ポ
ート7が設置されると共に、内容物取り出し弁27(内容物取り出し部)が設置されてい
る。ここで、ガス導入ポート7は、蓋14が容器本体13に螺合された状態において、容
器本体13の内部空間20と炭酸ガス供給路8とを連通するようになっている。また、内
容物取り出し弁27は、蓋14が容器本体13に螺合された状態において、容器本体13
内と容器本体13外とを連通するか又は容器本体13内と容器本体13外との連通を遮断
するようになっている。なお、内容物取り出し弁27は、ガス導入ポート7と一体化して
もよい。
【0023】
容器本体13の上端には、蓋係合部15に螺合された蓋14との間を密封するOリング
等のシール材(図示せず)が設置されている。これにより、容器2は、容器本体13内に
加圧された炭酸ガスが供給されても、容器本体13と蓋14の間から炭酸ガスや粘性液状
物4が漏出することがない。
【0024】
(炭酸ガス加圧溶解装置の使用状態)
図3乃至図9は、本実施形態に係る炭酸ガス加圧溶解装置1の使用状態を示す図である
。なお、図3乃至図5に基づいて、炭酸ガス加圧溶解方法を併せて説明する。
【0025】
先ず、図3に示すように、容器本体13内に複数の撹拌ボール5と粘性液状物4を収容
する。この際、容器本体13内には、その上部に空間24が残る程度の量の粘性液状物4
を複数の撹拌ボール5と共に収容されることになる(第1のステップ)。なお、粘性液状
物4は、容器2の内容積の6〜7割程度の量を容器2内に収容しておくことが好ましい。
【0026】
次に、図4に示すように、容器本体13の蓋係合部15に蓋14が螺合され、容器本体
13の開口部12が蓋14で塞がれ、蓋14のガス導入ポート7に炭酸ガス供給路8が接
続される(図2参照)。この際、炭酸ガスボンベ3のガス供給ポート6は炭酸ガス供給路
8に接続されているが、開閉弁10が閉じられているため、炭酸ガスボンベ3内の炭酸ガ
スが炭酸ガス供給路8に供給されることがない。また、蓋14に設置された内容物取り出
し弁27は閉じられた状態にあり、容器2内と容器2外との連通が内容物取り出し弁27
によって遮断されている。したがって、容器2は、炭酸ガスボンベ3及び大気に対して密
閉された状態にある(第2のステップ)。
【0027】
次に、図5に示すように、炭酸ガスボンベ3の開閉弁10を開き、炭酸ガスボンベ3内
の炭酸ガスを減圧弁11で所定圧力に減圧して炭酸ガス供給路8及びガス導入ポート7を
介して容器2内に供給しながら、作業者が手で容器2を様々な方向へ振り動かすことによ
り、容器2内の複数の撹拌ボール5をランダムに運動させ、この運動する複数の撹拌ボー
ル5によって粘性液状物4及び炭酸ガス28を撹拌・混合し、粘性液状物4に炭酸ガス2
8を溶解させ、粘性液状物4に炭酸ガス28の気泡30を内在させる(第3のステップ)

【0028】
次に、図6に示すように、炭酸ガスボンベ3の開閉弁10を閉じた後に、内容物取り出
し弁27を開き、容器2内の内容物31(炭酸ガスの気泡30が内在する粘性液状物4)
が内容物取り出し弁27を介して容器2外に流出するか否か確認する。この際、容器2内
の内容物31が内容物取り出し弁27を介して容器2外に流出する場合には、必要量を取
り出した後に、内容物取り出し弁27を閉じる。
【0029】
一方、容器2内の内容物31が内容物取り出し弁27を介して容器2外に流出しない場
合には、炭酸ガス供給路8を容器2のガス導入ポート7から外し(図7参照)、蓋14を
容器本体13から取り外し、容器本体13の開口部12から内容物31を取り出す(図8
参照)。なお、図9に示すように、炭酸ガス供給路8を容器2のガス導入ポート7から外
すことなく、蓋14を容器本体13から取り外し、容器本体13の開口部12から内容物
31を取り出すようにしてもよい。
【0030】
なお、炭酸ガスボンベ3の開閉弁10を閉じた際に、内容物31が容器2内からガス導
入ポート7を介して炭酸ガス供給路8側へ押し出されるような虞がない場合には、チェッ
クバルブ9の炭酸ガス供給路8への設置を省略し、内容物取り出し弁27の蓋14への設
置を省略してもよい。この場合、蓋14を容器本体13から取り外すことにより、内容物
31を容器本体13の開口部12から取り出すことができるため、蓋14及び開口部12
が内容物取り出し部として機能する。
【0031】
また、容器2は、作業者の手で振り動かす場合に限られず、機械によって振り動かすよ
うにしてもよい。機械によって容器2を振り動かす場合には、複数の容器2を一度に振り
動かすことができ、内容物31(炭酸ガスの気泡30が内在する粘性液状物4)を短時間
で大量に製造することができる。
【0032】
(炭酸ガス加圧溶解装置の使用実験結果)
本実施形態に係る炭酸ガス加圧溶解装置1を使用し、容器2内に被撹拌液状物(水、ワ
イン、トマトジュース、卵白、マヨネーズ、ジェル、オロナインH軟膏(大塚製薬株式会
社の商品名)、グリセリン、アトリックスハンドクリーム(花王株式会社の商品名))の
うちの1種類を15g入れ、0.35MPaに加圧した炭酸ガスを容器2内に供給しなが
ら、容器2を100回振り動かす実験を全被撹拌液状物(水、ワイン、トマトジュース、
、卵白、マヨネーズ、ジェル、オロナインH軟膏(大塚製薬株式会社の商品名)、グリセ
リン、アトリックスハンドクリーム(花王株式会社の商品名)について行った結果、これ
らの全ての被撹拌液状物に炭酸ガスを溶解させることができ、これらの全ての被撹拌液状
物に炭酸ガスの気泡が均一に内在していることを目視及び触覚で確認することができた。
【0033】
なお、本実施形態に係る炭酸ガス加圧溶解装置1の容器2内から全ての撹拌ボール5を
取り出して、同様の実験を行った結果、被撹拌液状物のうち、マヨネーズ、ジェル、オロ
ナインH軟膏(大塚製薬株式会社の商品名)、アトリックスハンドクリーム(花王株式会
社の商品名)に炭酸ガスを溶解させることが困難であった。すなわち、これらの実験結果
から、被撹拌液状物のうち、マヨネーズ、ジェル、オロナインH軟膏(大塚製薬株式会社
の商品名)、アトリックスハンドクリーム(花王株式会社の商品名)には、複数の撹拌ボ
ール5による撹拌機能の効果が大きく作用することが判明した。
【0034】
(本実施形態の効果)
以上のような本実施形態の炭酸ガス加圧溶解装置1及びこれを使用した炭酸ガス加圧溶
解方法によれば、容器2内に入れたクリームやジェル等の粘性液状物(被撹拌液状物)4
と加圧された炭酸ガス28とがランダムに運動する複数の撹拌ボール5によって万遍なく
撹拌・混合されるため、粘性液状物4に炭酸ガス28を簡単且つ効率的に溶解させること
ができ、容器2内のクリームやジェル等の粘性液状物4に炭酸ガス28の気泡30を均一
に内在させることができる。しかも、本実施形態の炭酸ガス加圧溶解装置1は、容器2内
に入れた水、ワイン(酒)、トマトジュース等の粘性液状物以外の被撹拌液状物4にも炭
酸ガス28を簡単且つ効率的に溶解させることができ、容器2内に入れた水、ワイン(酒
)、トマトジュース等の粘性液状物以外の被撹拌液状物4にも炭酸ガス28の気泡30を
効率的に且つ均一に内在させることができる。
【0035】
(容器の変形例1)
図10は、上記実施形態に係る容器2の変形例1を示すものである。この図10に示す
容器2において、上記実施形態に係る容器2と同一の構成部分には同一符号を付し、上記
実施形態と重複する説明を省略する。
【0036】
図10に示すように、本変形例1に係る容器2は、その内底22が容器中心軸L1へ向
かうに従って滑らかに底上げするようになっているテーパー面である。このように内底2
2が形成された容器2は、上下に振り動かされただけでも、内底22に衝突した撹拌ボー
ル5を内側壁21側へ向けて弾き、撹拌ボール5を広範囲に運動させることが可能になる
。その結果、本変形例1の容器2によれば、複数の撹拌ボール5による粘性液状物(被撹
拌液状物)4と炭酸ガス28の撹拌・混合がより一層効率的に行われる(図5参照)。
【0037】
(容器の変形例2)
図11は、上記実施形態に係る容器2の変形例2を示すものである。この図11に示す
容器2において、上記実施形態に係る容器2と同一の構成部分には同一符号を付し、上記
実施形態と重複する説明を省略する。
【0038】
図11に示すように、本変形例2に係る容器2は、変形例1に係る容器2と同様に、そ
の内底22が容器中心軸L1へ向かうに従って滑らかに底上げするようになっているテー
パー面である。加えて、本変形例2に係る容器2は、蓋14の天井面32(円板状部25
の内面)が天井面32の中央部(容器中心軸L1)へ向かうに従って内底22に近づくよ
うなテーパー面33(下凸なテーパー面)になっている。
【0039】
このような本変形例2に係る容器2は、上下に振り動かされただけでも、内底22に衝
突した撹拌ボール5を内側壁21側へ向けて弾き、蓋14のテーパー面33に衝突した撹
拌ボール5を内側壁21側へ向けて弾くことができ、撹拌ボール5を広範囲に運動させる
ことが可能になる。その結果、本変形例2の容器2によれば、複数の撹拌ボール5による
粘性液状物(被撹拌液状物)4と炭酸ガス28の撹拌・混合がより一層効率的に行われる
(図5参照)。
【0040】
なお、蓋14の天井面32に形成されるテーパー面33は、天井面32の中央部(容器
中心軸L1)から天井面32の径方向中間位置までの範囲で形成されているが、これに限
られず、容器本体13の上端面34に対向する部位よりも径方向内側の全範囲に形成して
もよい。
【0041】
(容器の変形例3)
図12は、上記実施形態に係る容器2の変形例3を示すものである。この図12に示す
容器2において、上記実施形態に係る容器2と同一の構成部分には同一符号を付し、上記
実施形態と重複する説明を省略する。
【0042】
図12に示すように、本変形例3に係る容器2は、変形例1及び2に係る容器2と同様
に、その内底22が容器中心軸L1へ向かうに従って滑らかに底上げするようになってい
るテーパー面である。加えて、本変形例3に係る容器2は、蓋14の天井面32(円板状
部25の内面)が天井面32の中央部(容器中心軸L1)へ向かうに従って内底22から
遠ざかるようなテーパー面35(円錐形状の凹所を形作る上凸なテーパー面)になってい
る。
【0043】
このような本変形例3に係る容器2は、上下に振り動かされただけでも、内底22に衝
突した撹拌ボール5を内側壁21側へ向けて弾き、蓋14のテーパー面35に衝突した撹
拌ボール5を内側壁21側へ向けて弾くことができ、撹拌ボール5を広範囲に運動させる
ことが可能になる。その結果、本変形例3の容器2によれば、複数の撹拌ボール5による
粘性液状物(被撹拌液状物)4と炭酸ガス28の撹拌・混合がより一層効率的に行われる
(図5参照)。
【0044】
なお、蓋14の天井面32に形成されるテーパー面35は、天井面32の中央部(容器
中心軸L1)から天井面32の径方向中間位置までの範囲で形成されているが、これに限
られず、容器本体13の上端面34に対向する部位よりも径方向内側の全範囲に形成して
もよい。
【0045】
(容器の変形例4)
図13は、上記実施形態に係る容器2の変形例4を示すものである。この図13に示す
容器2において、上記実施形態に係る容器2と同一の構成部分には同一符号を付し、上記
実施形態と重複する説明を省略する。
【0046】
図13に示すように、本変形例4に係る容器2は、容器本体13が円筒部13aと底部
13bとで構成され、底部13bが円筒部13aに螺合され、底部13bが円筒部13a
から取り外すことができるようになっている。また、本変形例4に係る容器2は、蓋14
及び底部13bが半球状に外側(+Z軸方向又は−Z軸方向)へ向けて膨らむような形状
であり、蓋14の天井面32及び底部13bの内底22が半球面状に形成されている。な
お、図13において、蓋14には、ガス導入ポート7を設置することはもちろんであるが
、これに加えて内容物取り出し弁27を設置するようにしてもよい。
【0047】
このような本変形例4によれば、容器2の蓋14及び底部13bを半球状に形成してあ
るため、容器2の耐圧性が高まる。また、本変形例4によれば、容器本体13の内容積を
大きくし、容器本体13内に多くの内容物31を収容するようになっている場合でも、蓋
14及び底部13bの両方を容器本体13の円筒部13aから取り外すことができるため
、内容物31を容器2内から取り出しやすくなる。
【0048】
(その他の変形例)
図1乃至図13に示すように、容器2内には3個の撹拌ボール5を収容する態様を例示
したが、これに限られるものではなく、容器2の内容積や撹拌ボール5の大きさに応じ、
2個以上の撹拌ボール5が容器2内に収容される。
【0049】
また、図11及び図12に示した容器2において、内底22のテーパー面を省略し、蓋
14の天井面32にのみテーパー面33,35を形成するようにしてもよい。
【0050】
また、撹拌ボール5は、球形状のものに限られず、正12面体,正20面体のような正
多面体を使用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の炭酸ガス加圧溶解装置は、粘性液状物へ炭酸ガスを溶解させる場合の他に、水
、ジュース、アルコール等の粘性液状物以外の被撹拌液状物に炭酸ガスを溶解させる場合
にも適用できる。
【符号の説明】
【0052】
1……炭酸ガス加圧溶解装置、2……容器、3……炭酸ガスボンベ、4……粘性液状物
(被撹拌液状物)、5……撹拌ボール、6……ガス供給ポート、7……ガス導入ポート、
8……炭酸ガス供給路、10……開閉弁、11……減圧弁、12……開口部(内容物取り
出し部)、13……容器本体、14……蓋(内容物取り出し部)、20……内部空間、2
1……内側壁、22……内底、23……コーナー部、24……空間、27……内容物取り
出し弁(内容物取り出し部)、28……炭酸ガス、30……気泡、32……天井面、33
……テーパー面、35……テーパー面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭酸ガスが充填された炭酸ガスボンベと、
被撹拌液状物及び複数の撹拌ボールが入れられた容器と、
前記炭酸ガスボンベのガス供給ポートと前記容器のガス導入ポートとを接続する炭酸ガ
ス供給路と、
前記炭酸ガスボンベの前記ガス供給ポートを開閉する開閉弁と、
前記炭酸ガスボンベの前記ガス供給ポートから前記開閉弁を介して前記炭酸ガス供給路
へ供給される高圧の炭酸ガスを大気圧よりも高圧の所定圧力に減圧する減圧弁と、を備え

前記容器は、
前記被撹拌液状物及び複数の撹拌ボールが前記容器の内部に空間を生じるように入れら
れ、
前記ガス導入ポートに前記炭酸ガス供給路が接続された状態で且つ前記炭酸ガスが供給
された状態で振り動かされると、前記複数の撹拌ボールで前記被撹拌液状物と前記炭酸ガ
スを撹拌・混合し、前記被撹拌液状物に前記炭酸ガスを溶解させ、前記被撹拌液状物に前
記炭酸ガスの気泡を内在させることができるようになっており、
前記炭酸ガスの気泡が内在する前記被撹拌液状物を内容物取り出し部から外部へ取り出
すことができるようになっている、
ことを特徴とする炭酸ガス加圧溶解装置。
【請求項2】
前記容器は、一端側が開口部である有底筒形状の容器本体と、前記容器本体の前記開口
部を開閉する蓋とを備え、
前記容器本体の内部空間は、円筒状の内側壁と、この内側壁の底部側を塞ぐように位置
する内底と、前記内側壁と前記内底との接続部であるコーナー部と、で形作られ、
前記コーナー部は、前記撹拌ボールの半径よりも大きな曲率半径の曲面となるように形
成された、
ことを特徴とする請求項1記載の炭酸ガス加圧溶解装置。
【請求項3】
前記内底は、前記内底の中央部へ向かうに従って滑らかに底上げするようになっている
テーパー面が少なくとも一部に形成された、
ことを特徴とする請求項2記載の炭酸ガス加圧溶解装置。
【請求項4】
前記容器本体の内底に対向する前記蓋の天井面は、前記天井面の中央部へ向かうに従っ
て前記内底に近づくようなテーパー面が少なくとも一部に形成された、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の炭酸ガス加圧溶解装置。
【請求項5】
前記容器本体の内底に対向する前記蓋の天井面は、前記天井面の中央部へ向かうに従っ
て前記内底から遠ざかるようなテーパー面が少なくとも一部に形成された、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の炭酸ガス加圧溶解装置。
【請求項6】
容器内に被撹拌液状物と複数の撹拌ボールとを空間が生じるように収容する第1のステ
ップと、
前記第1のステップ終了後に、前記容器を密閉する第2のステップと、
前記第2のステップ終了後に、炭酸ガスボンベ内に充填された炭酸ガスを減圧弁で大気
圧よりも高圧の所定圧力に減圧して前記容器内に供給しながら、前記容器を振り動かすこ
とにより、前記複数の撹拌ボールを前記容器内で運動させ、この運動する複数の撹拌ボー
ルで前記被撹拌液状物と前記炭酸ガスを撹拌・混合し、前記被撹拌液状物に前記炭酸ガス
を溶解させ、前記被撹拌液状物に前記炭酸ガスの気泡を内在させる第3のステップと、
を有することを特徴とする炭酸ガス加圧溶解方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2013−43102(P2013−43102A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180204(P2011−180204)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(511204511)
【Fターム(参考)】