説明

炭酸含有殺菌製品用のポリエステル組成物およびボトル

本発明は、充填中の二次汚染の影響を最小限にする容器の製造で用いるに有用なポリエステル組成物に関する。より具体的には、本発明は、炭酸含有殺菌製品を充填する時に用いるに適したポリエステルボトルに関し、このポリエステルボトルは、充填から6カ月後に測定した時の酸素浸入量を約1ppm以下に制限する少なくとも1種の酸素捕捉成分および充填から6カ月後に測定した時の炭酸損失量を約25%未満に制限する少なくとも1種の受動的成分を含有して成る。本発明は、また、炭酸含有殺菌製品中で起こる二次汚染物の増殖を最小限にする目的で前記ポリエステルボトルを用いる方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願に対する相互参照】
【0001】
本出願は、2009年2月18日付けで出願した仮出願番号61/153,498による優先権の利点を請求するものである。仮出願番号61/153,498を引用することによってそれの全体を本出願に組み入れる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、炭酸含有殺菌製品を充填している時の二次汚染の影響を最小限にする容器の製造で用いるに有用なポリエステル組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
数多くの製品(例えば果物および野菜のジュース、ビールおよび乳製品)は、この製品の中で起こる腐敗性微生物の増殖を低下させかつそれらを失活させる目的で殺菌されている。その工程は、典型的に、充填して密封した容器の加熱をその内容物を殺菌するに充分な高温で充分な時間行うことを伴う。好ましくは、そのボトルの物理的安定性およびその内容物の生物学的安定性および風味が損なわれる度合を最小限にすることで保存可能期間を長くする。
【0004】
例えば、そのような製品には、人にとっては病原性でも危険でもないが、増殖すると内容物の味および外観に影響を及ぼす可能性のある様々な有機物(一次汚染物)が存在する。ガラスボトルまたは金属缶の中に詰められているそのような製品は、伝統的に、長期の保存可能期間が達成されるように殺菌されている。「トンネル殺菌」として知られる通常の殺菌工程では、一組のパッケージをコンベアの上に間隔を開けずに置いて殺菌用トンネルの中に通しながらそれに水を噴霧する。その容器の中の製品の温度が徐々に上昇して所望度合(典型的には60から70℃)になり、その温度に前以て決められた時間保持されそして次に冷却された後、前記トンネルから出て行く。生存能力のある微生物の数が5−log減少するように温度および時間を確立する。トンネル殺菌は資本およびエネルギー集約的である。
【0005】
そのような製品の殺菌は歴史的にガラスボトルの中で行われてきたが、プラスチック容器、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)のホモ重合体または共重合体などを含有して成る容器を用い、PETの軽量性および耐破砕性を利用することができれば、これは好ましいことである。しかしながら、トンネル殺菌を用いた殺菌時間/温度プロファイルに耐えかつ所望の保存可能期間をもたらし得る殺菌可能プラスチック容器を製造することは、典型的なプラスチック容器は殺菌中に受ける温度の範囲によって永久的な制御不能変形(またクリープとしても知られる)を起こすことが理由で制限されている。炭酸含有液体、例えばビールなどの場合には炭酸化の圧力が高いことから容器の体積が大きくなることで、そのような液体では炭酸化の度合を低くする。
【0006】
別法として、食品および飲料を殺菌してそれらに入っている微生物含有一次汚染物を除去する目的で一般に費用がより低い方法が用いられる。そのような方法は瞬間殺菌法であり、その方法では、製品を板状もしくは管状の熱交換器に通しながらその熱交換器の温度を上昇させて約70℃から75℃の範囲に約15から30秒置いた後、充填温度である約1から2℃に冷却する。代替方法は、冷製品を膜フィルターに通して濾過(限外濾過)することで微生物を除去する方法である。瞬間殺菌法または限外濾過法の欠点は、その工程を行った後に容器の充填が行われることで充填中に入り込む可能性のある微生物(二次汚染物)が死滅しない点にある。従って、微生物が再び入り込まないようにするには良好に制御された無菌充填およびふた付け操作が必須である。そのような無菌状態が維持されな
いことが時々起こる。
【発明の概要】
【0007】
上述した殺菌製品の多くは、いくらか存在する汚染物の増殖が最小限になるように容器内の酸素を最小限にする必要がある。そのような二次汚染物が腐敗に対して示す影響を最小限にするに必要な容器の組成の特徴は未知である。従って、二次汚染物の増殖を最小限にするポリエステル組成物が必要とされている。
【0008】
本発明に従い、ここに、二次汚染物の増殖を最小限にするポリエステルボトル組成物が存在することを見いだした。本発明は、炭酸含有殺菌製品を充填するに適したポリエステルボトルに関し、このポリエステルボトルは、充填から6カ月後に測定した時の酸素浸入量を約1ppm以下に制限する少なくとも1種の酸素捕捉成分および充填から6カ月後に測定した時の炭酸損失量を約25%未満に制限する少なくとも1種の受動的成分を含有して成る。本発明の別の態様は、炭酸含有殺菌製品中で起こる二次汚染物の増殖を最小限にする目的で前記ポリエステルボトルを用いる方法である。
【発明の詳細な説明】
【0009】
本発明は、炭酸含有殺菌製品を充填するに適したポリエステルボトルとして特徴付け可能であり、このポリエステルボトルは、充填から6カ月後に測定した時の酸素浸入量を約1ppm以下に制限する少なくとも1種の酸素捕捉成分および充填から6カ月後に測定した時の炭酸損失量を約25%未満に制限する少なくとも1種の受動的成分を含有して成る。充填から1カ月後に測定した時の酸素浸入量は約0.02ppm以下であり得る。そのような酸素捕捉成分にアリル水素、ベンジル水素またはエーテル基を含有する重合体または化合物から成る群より選択した少なくとも1員を含めてもよい。例えば、アリル位を含有する酸素捕捉成分、例えばポリブタジエンが基になった重合体またはポリエチレン/シクロヘキセン共重合体など、またはベンジル位を含有する酸素捕捉成分、例えばm−キシリルアミンが基になったポリアミドなど、またはエーテル基を含有する酸素捕捉成分、例えばコポリエステルエーテルなど、またはこれらの混合物。前記受動的成分はエチレンビニルアルコール、ポリグリコール酸および部分芳香族ナイロンから成る群より選択可能である。例えば、そのような部分芳香族ナイロンはMXD6として商業的に公知のポリ(メタ−キシリレンアジパミド)であってもよい。本ボトルに更に遷移金属触媒、例えばコバルト塩なども含有させてもよい。本ボトルにまた更にイオン性相溶剤、例えばアイオノマーまたはスルホ−コポリエステルなども含有させてもよい。MXD6は能動的酸素捕捉成分(遷移金属触媒の存在下で)および受動的成分の両方であり得ることを注目すべきである。
【0010】
本発明の別の態様は方法であり、この方法は、充填から6カ月後に測定した時の酸素浸入量を約1ppm以下に制限する少なくとも1種の酸素捕捉成分および充填から6カ月後に測定した時の炭酸損失量を約25%未満に制限する受動的成分を含有して成るポリエステルボトルを成形しそして前記ポリエステルボトルに炭酸含有殺菌製品を充填することを含んで成る。充填から1カ月後に測定した時の酸素浸入量は約0.02ppm以下であり得る。そのような酸素捕捉成分にアリル水素、ベンジル水素またはエーテル基を含有する重合体または化合物から成る群より選択した少なくとも1員を含めてもよい。例えば、アリル位を含有する酸素捕捉成分、例えばポリブタジエンが基になった重合体またはポリエチレン/シクロヘキセン共重合体など、またはベンジル位を含有する酸素捕捉成分、例えばm−キシリルアミンが基になったポリアミドなど、またはエーテル基を含有する酸素捕捉成分、例えばコポリエステルエーテルなど、またはこれらの混合物。前記受動的成分はエチレンビニルアルコール、ポリグリコール酸および部分芳香族ナイロンから成る群より選択可能である。例えば、そのような部分芳香族ナイロンはMXD6として商業的に公知のポリ(メタキシリレンアジパミド)であってもよい。本ボトルに更に遷移金属触媒、例
えばコバルト塩なども含有させてもよい。本ボトルにまた更にイオン性相溶剤、例えばアイオノマーまたはスルホ−コポリエステルなども含有させてもよい。そのような炭酸含有殺菌製品はジュースおよびビールから成る群より選択可能である。
【0011】
前記遷移金属触媒は、酢酸コバルト、炭酸コバルト、塩化コバルト、水酸化コバルト、ナフテン酸コバルト、オレイン酸コバルト、リノール酸コバルト、オクタン酸コバルト、ステアリン酸コバルト、硝酸コバルト、燐酸コバルト、硫酸コバルト、(エチレングリコール酸)コバルトおよびこれらの2種以上の混合物であってもよい。能動的酸素捕捉用の遷移金属触媒として、酢酸コバルトまたは長鎖脂肪酸塩、例えば酢酸コバルト、オクタン酸コバルトまたはステアリン酸コバルトなどが適切である。
【0012】
前記イオン性相溶剤は、金属のスルホン酸塩基を含有するコポリエステルであってもよい。そのスルホン酸塩の金属イオンはNa+、Li+、K+、Zn++、Mn++、Ca++などであってもよい。そのスルホン酸塩基は芳香酸の核、例えばベンゼン、ナフタレン、ジフェニル、オキシジフェニル、スルホニルジフェニルまたはメチレンジフェニル核などと結合している。適切には、その芳香酸の核はスルホフタル酸、スルホテレフタル酸、スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸およびこれらのエステルであってもよい。より適切には、そのようなスルホ単量体は5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−リチウムスルホイソフタル酸または5−亜鉛スルホイソフタル酸またはこれらのジアルキルエステル、例えばジメチルエステル(SIM)およびグリコールエステル(SIPEG)などであり得る。容器の曇りを低くする5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−リチウムスルホイソフタル酸または5−亜鉛スルホイソフタル酸の適切な範囲は0.1から2.0モル%であり得る。
【0013】
ビールの腐敗、即ち風味の損失は主に酸素が容器の中に浸入して酸化劣化を起こさせることが原因で起こる。炭酸が抜けるとビールの味が低下することから、光劣化が最小限になるように光から保護する必要がある。ポリエステルボトルが長い保存可能期間(6カ月以上)を達成するようにするには、酸素浸入量を約1ppm未満にする必要があり、また、炭酸損失量も25%未満にする必要がある。そのような要求を満足させる目的で、ポリエステルと易酸化性重合体もしくは易酸化性化合物および適切には酸化を促進させる触媒の混合物が基になっていて酸素を捕捉するポリエステル組成物を開発した(「能動的酸素捕捉剤」)。加うるに、高バリヤー性の重合体、例えばエチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリグリコール酸および部分芳香族ナイロンなど(「受動的バリヤー」)と一緒に用いる混合物では、それを単層ボトルの場合には単一の層としてか或は多層ボトルの場合には層として用いてもよい。
【0014】
6カ月間に渡る酸素浸入量および二酸化炭素損失量を特徴づける試験を様々なポリエステル混合物を用いて実施した。加うるに、そのようなボトルに入れて貯蔵したビールに味に関する試験を受けさせることで味がガラスボトルに入れて同じ期間貯蔵したビールのそれと比較して有意に異なるようになった時の時間を測定した。
【実施例】
【0015】
用いた酸素捕捉用コポリエステル、ポリアミドおよび基礎ポリエステルは下記であった:
ポリエチレンテレフタレート(PET)と5−スルホイソフタル酸のコポリエステルであるPolyShield(商標)ポリエステル樹脂(Invista、ドイツ)および元素状コバルトの量が70ppmになるような量のコバルト塩。
【0016】
ポリブタジエンセグメントを含有するPET共重合体であるAmosorb(商標)ポリエステル樹脂(ColorMatrix、米国)および元素状コバルトの濃度が50p
pmになるような量のコバルト塩。
【0017】
ポリ(メタ−キシリレンアジパミド)(MXD6、グレード6007、三菱ガス化学(Mitsubishi Gas Chemical)日本)。
【0018】
標準的PETボトル用樹脂(Type 1101、Invista、ドイツ)。
【0019】
使用した黄褐色着色剤は下記であった:
Golden Amber−3(0.1%)−ColorMatrix
Ultra Amber−1−ColorMatrix
Repi 80107(0.24%)−Repi、イタリア
Repi 98947−Repi、イタリア)
【0020】
酸素浸入量が最小限になるように開発した高バリヤー性の重合体と能動的酸素捕捉剤の様々な組み合わせをポリエステルボトル用樹脂と混合することでボトル(1.5L)の調製を実施した。加うるに、そのようなポリエステル組成物に着色剤を用いる時には様々な黄褐色着色剤を用いた。それらに1455gの蒸留水に加えて24gのクエン酸および15gの重炭酸ナトリウムを充填してpHを約4.3にすることでビールを模擬した。ボトル中の二酸化炭素濃度の測定を6カ月間に渡ってOrbisphere Micro Loggerモデル3654を用いて実施して、g/lとして報告した。
【0021】
別の組の1.5Lのボトルには光化学センサー(PreSens OXYSens)を取り付けた。殺菌後のボトルに醸造所が瞬間殺菌したビールを充填した後、2片ねじ込み型キャップで蓋をした。酸素量の測定を最初の3カ月間は毎週行いそして次に2週間毎に行い、その値をppmとして報告した。
【0022】
訓練を受けた8−10人のパネラーによるビールの味および目で見た外観の判断を月1回の頻度で実施した。酸素浸入量および炭酸損失量の試験ばかりでなくビールの味評価のための対照としてガラスボトルを用いた。
【0023】
あらゆるボトルを50%の相対湿度下23℃の温度で貯蔵した。
【0024】
これらのボトルで用いた組成を表1に示す。
【0025】
【表1】

【0026】
前記ボトルの中のいくつかに関して経時的二酸化炭素含有量(g/l)を測定して、表2に示す。
【0027】
【表2】

【0028】
これらの結果は、6カ月後の炭酸損失量を最小限に抑えて25%未満にするにはMXD6の濃度を3重量%以上にする必要があることを示している(前記表の21週後のCO2含有量が>4.4g/l)。着色剤は経時的炭酸損失量に影響を与えなかった。
【0029】
PolyShield(商標)樹脂および様々な濃度のMXD6および着色剤を用いて構築したボトルのいくつかが示した経時的酸素浸入量(ppm)を表3に示す。
【0030】
【表3】

【0031】
負の値は、酸素捕捉系がビールの中に溶解しているか或は塔頂空間部に存在する酸素をいくらか除去したことを示している。酸素浸入量にはキャップの回りでいくらか起こる漏れが含まれる。これらの結果は、最初の1カ月の間の酸素浸入量を0.02ppm未満にまで制限するにはMXD6を4%以上にする必要があることを示している。加うるに、前記ボトルは35週後でも酸素浸入の兆候を全く示さなかった。
【0032】
PolyShield(商標)樹脂に充填するMXD6の量を3%にすると、着色剤によって最初の4週間の間の酸素浸入量が高くなった後、酸素含有量が着色剤無しの時に約6カ月後に達成された含有量にまで低下した。
【0033】
Amosorb(商標)樹脂および様々な濃度のMXD6および着色剤を用いて構築したボトルのいくつかが示した経時的酸素浸入量(ppm)を表4に示す。
【0034】
【表4】

【0035】
Amosorbを4%含有させた組成物はボトル内の酸素濃度を最初の1カ月の間は0.02ppm未満に維持したが、指数関数的に2カ月以内に0.5ppmの濃度に到達した。Amosorbを2%とMXD6を3%含有させた組成物およびAmosorbを3%とMXD6を2%含有させた組成物が示した酸素浸入量は低く、15週間に渡って酸素浸入量の急速な増加を遅らせた。Ultra Amber−1着色剤を同じ組成物で用いても酸素捕捉速度が低下することはなかった。
【0036】
ガラスボトルの中に同じ時間充填しておいたビールを標準として用いてビールの感覚的味見を1カ月経過する毎に実施した。パネラーに、ポリエステルボトルに入れて貯蔵したビールの味が異なる時、特にビールの酸化が起こったことに関連して味の変化が起こる時を書き留めるように頼んだ。書き留められた味に統計学的差が生じるまでの時間的長さに関する結果を表5に要約する。
【0037】
【表5】

【0038】
MXD6を4%以上含有させた組成物およびAmosorbに加えてMXD6を3%以上含有させた組成物は、ビールを酸化から味の変化を6カ月にまで伸ばす所まで防止した。そのような組成物は、低い酸素浸入量(最初の1カ月間約0.02ppm未満)を示して6カ月間の酸素浸入度合が1ppm未満である組成物である。
【0039】
3カ月後、ビールが急速に酸化された、即ち6カ月前の感覚的味見に合格しなかったボトルの中のいくつかの底には目に見える汚染物が存在していた。そのようなボトルを開けると、二酸化炭素の圧力が高くなったことが注目され、このことは、二次汚染物が増殖したことを示している。分析すると、その汚染されたビールの中に下記の微生物が検出された:サッカロミセス・ジアスタティクス(Saccaromyces diastaticus)、ミクロコッカス種および他の外来酵母およびカビ。
【0040】
ビールを充填している時に入り込んだ外来の微生物が増殖しないようにするには、ポリエステルボトルが低い酸素浸入量、特に最初の1カ月間に例えば0.02ppm未満の低い酸素浸入量を示すようにすべきである。ボトルの保存可能期間が決まっている場合、味が変化しないように酸素の浸入量が約1ppmを超えることがないようにすべきである。加うるに、所定の保存可能期間が終了した時点の炭酸損失量が25%未満になるようにもすべきである。
【0041】
能動的酸素捕捉化合物もしくは重合体および高いガスバリヤー性を示す重合体の両方を含有させたポリエステルボトルは、気体透過性(低い酸素浸入量と炭酸損失量)の的確な均衡を示すことで少なくとも6カ月間の保存可能期間を達成する。そのような組成物は、ボトル充填操作中に入り込んだ外来微生物(二次汚染物)の増殖を防止すると言った追加的利点も有する。
【0042】
炭酸を含有しない飲料および他の殺菌製品を充填しようとする場合にもまた当該製品の保存可能期間が伸びるように最初の1カ月の間にポリエステル容器の中に浸入する酸素の量が低いことが要求される。
【0043】
初期の酸素濃度が最初の数週間の間に0.02ppm未満にまで低下しそして6カ月間に渡って約1ppm未満に維持されないならば二次汚染がそのような初期に始まることがこの上に示した情報から分かるであろう。酸素に対する受動的および能動的バリヤーを与えるポリエステル組成物を用いてそのような要求を達成することができる。受動的バリヤ
ーは部分芳香族ポリアミド、例えばポリm−キシリレンアジパミド(MXD6)などであり得る。MXD6はまた遷移金属塩、例えばコバルトなどの存在下で能動的酸素捕捉成分としても働き得る。部分芳香族ポリアミドはまた炭酸損失量を低下させる受動的バリヤーとしても働き得る。別法として、そのような部分芳香族ポリアミドまたは他の高バリヤー性重合体を他の易酸化性化合物および重合体および適切には遷移金属触媒との混合物と一緒に用いることも可能である。要求される保存可能期間が6カ月未満の場合には、非常に能動的な酸素捕捉剤の混合物が低い酸素濃度をそのようなより短い保存可能期間に渡って維持するならば、そのような混合物を用いて腐敗を充分に防止することができるであろう。
【0044】
本発明を本発明の具体的な態様に関連させて説明してきたが、この上で行った説明を考慮することで、数多くの代替、修飾形および変形が当業者に明らかになるであろうことは明らかである。従って、添付請求の範囲の精神および幅広い範囲の範囲内に入る如きそのような代替、修飾形および変形の全部を包含させることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭酸含有殺菌製品を充填する時に用いるに適したポリエステルボトルであって、充填から6カ月後に測定した時の酸素浸入量を約1ppm以下に制限する少なくとも1種の酸素捕捉成分および充填から6カ月後に測定した時の炭酸損失量を約25%未満に制限する少なくとも1種の受動的成分を含有して成るボトル。
【請求項2】
充填から1カ月後に測定した時の酸素浸入量が約0.02ppm以下である請求項1記載のボトル。
【請求項3】
前記酸素捕捉成分がアリル水素、ベンジル水素およびエーテル基から成る群より選択される少なくとも1員を含有して成る請求項1記載のボトル。
【請求項4】
前記受動的成分がエチレンビニルアルコール、ポリグリコール酸および部分芳香族ナイロンから成る群より選択される請求項1記載のボトル。
【請求項5】
更に遷移金属触媒も含有して成る請求項3記載のボトル。
【請求項6】
更にイオン性相溶剤も含有して成る請求項5記載のボトル。
【請求項7】
方法であって、
a)充填から6カ月後に測定した時の酸素浸入量を約1ppm以下に制限する少なくとも1種の酸素捕捉成分および充填から6カ月後に測定した時の炭酸損失量を約25%未満に制限する受動的成分を含有して成るポリエステルボトルを成形し、そして
b)前記ポリエステルボトルに炭酸含有殺菌製品を充填する、
ことを含んで成る方法。
【請求項8】
充填から1カ月後に測定した時の酸素浸入量が約0.02ppm以下である請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記酸素捕捉成分がアリル水素、ベンジル水素およびエーテル基から成る群より選択した少なくとも1員を含有して成る請求項7記載の方法。
【請求項10】
前記受動的成分をエチレンビニルアルコール、ポリグリコール酸および部分芳香族ナイロンから成る群より選択する請求項7記載の方法。
【請求項11】
更に遷移金属触媒も含有させる請求項9記載の方法。
【請求項12】
更にイオン性相溶剤も含有させる請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記炭酸含有殺菌製品がジュースおよびビールから成る群より選択される請求項7記載の方法。

【公表番号】特表2012−517947(P2012−517947A)
【公表日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−551177(P2011−551177)
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/024402
【国際公開番号】WO2010/096430
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(309028329)インビスタ テクノロジーズ エス エイ アール エル (80)
【Fターム(参考)】