説明

点灯システム

【課題】有機ELパネルを光源として備えた点灯システムであって、有機ELパネルから発せられる光を充電に有効利用することで、省エネが図られる点灯システムを提供する。
【解決手段】点灯システム1は、電圧の印加を受けて発光するとともに、受光した光を光電変換することで電気エネルギーを生じさせる複数の有機ELパネル10と、各有機ELパネル10に電圧を印加可能であるとともに、各有機ELパネル10が生じた電気エネルギーにより充電を行う電源30とを備えている。各有機ELパネル10は、他の有機ELパネル10が発した光を受光可能であるように、他の有機ELパネル10と隣接して配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機ELパネルを光源として備えた点灯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、有機EL(Electro Luminescence)からなる画素を備えた表示装置が開示されている。この表示装置では、非発光状態にある画素が、受光した太陽光を電気エネルギーに変換させて、該電気エネルギーを表示装置の充電に用いるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−108612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで特許文献1には、有機ELが発した光によって充電することを可能にする構成は、なんら開示されていない。このため、特許文献1では、有機ELが発する光を充電のために有効利用して、省エネを図るといったことは実現できない。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、有機ELパネルを光源として備えた点灯システムであって、有機ELパネルから発せられる光を充電に有効利用することで、省エネが図られる点灯システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る点灯システムは、電圧の印加を受けて発光するとともに、受光した光を光電変換することで電気エネルギーを生じさせる複数の有機ELパネルと、各前記有機ELパネルに電圧を印加可能であるとともに、各前記有機ELパネルが生じた電気エネルギーにより充電を行う電源とを備え、各前記有機ELパネルは、他の前記有機ELパネルが発した光を受光可能であるように、他の前記有機ELパネルと隣接して配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、点灯システムに設けられる各有機ELパネルが、他の有機ELパネルが発した光を受光可能であるように、他の有機ELパネルと隣接して配置されていることから、電源から電圧の印加を受けた一の有機ELパネルが発する光を、他の有機ELパネルに受光させて電気エネルギーを生じさせることができる。そして、この電気エネルギーが電源の充電に用いられることで、有機ELパネルが発する光を、充電のために有効利用することができる。これにより、省エネが図られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態における点灯システムを示すブロック図である。
【図2】有機ELパネルの構造を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付し、その説明は繰り返さない。図1は、本発明の実施の形態における点灯システム1を示すブロック図である。
【0010】
点灯システム1は、光源としての4つの有機ELパネル10A,10B,10C,10Dと、これら有機ELパネル10A,10B,10C,10Dと配線20を介して接続される電源30とを備えており、有機ELパネル10A,10B,10C,10Dは、2つずつの組(10Aと10Bの組、10Cと10Dの組)に分けられて、これらの組が電源30と並列に接続されている。なお、以下では、有機ELパネル10A,10B,10C,10Dを総称して、有機ELパネル10と適宜記す。
【0011】
図2は、有機ELパネル10の構造を示す概略断面図である。
【0012】
有機ELパネル10は、例えばガラスからなる透光性の基板11の上に、陰極12と、有機EL層13と、陽極14とを順に積層した構造を有している。
【0013】
有機EL層13は、陰極12側に配置される電子輸送層130と、陽極14側に配置される正孔輸送層131と、電子輸送層130と正孔輸送層131との間に配置される発光層132とを有している。電子輸送層130は、電子輸送性の有機化合物から構成され、正孔輸送層131は、正孔輸送性の有機化合物から構成されている。また、発光層132は、有機発光性化合物から構成されており、他の光源が発した光を受光することで、光電変換により電気エネルギーを生じる。
【0014】
上記の構成を有する有機ELパネル10では、陰極12と陽極14との間に、直流電圧が印加されることにより、陰極12から電子輸送層130を介して発光層132に電子が注入され、陽極14から正孔輸送層131を介して発光層132に正孔が注入される。この結果、発光層132では、正孔と電子との結合が生じ、これに伴って生成される励起子が励起状態から基底状態へ移行することで発光現象が生じる。
【0015】
そして、有機ELパネル10は、他の有機ELパネル10が発した光を受光可能であるように、他の有機ELパネル10と隣接して配置されている。
【0016】
電源30には、制御部31と、電圧印加部32と、充電部33とが設けられている。
【0017】
制御部31は、配線20を介して電圧印加部32や充電部33に接続させる有機ELパネル10を切り換えることができる。
【0018】
電圧印加部32は、これと接続された有機ELパネル10における陰極12と陽極14との間に、直流電圧を印加する。
【0019】
充電部33は、これと接続された有機ELパネル10の発光層132が発した電気エネルギーにより充電を行う。
【0020】
例えば、制御部31により、有機ELパネル10B,10Dが電圧印加部32に接続され、有機ELパネル10A,10Cが充電部33に接続されている場合には、有機ELパネル10B,10Dでは、陰極12と陽極14との間に電圧印加部32から直流電圧が印加されることで、それぞれの発光層132が光を発する。
【0021】
そして、有機ELパネル10A,10Cは、有機ELパネル10B,10Dと隣接して配置されていることで、有機ELパネル10B,10Dが発した光を受光する。この結果、有機ELパネル10A,10Cの発光層132では、光電変換によって電気エネルギーが生じ、この電気エネルギーが充電部33に送出される。この結果、充電部33において充電が行われる。
【0022】
本実施の形態によれば、点灯システム1に設けられる複数の有機ELパネル10が、隣接して配置されていることから、電源30から電圧の印加を受けた一の有機ELパネル10が発する光を、他の有機ELパネル10に受光させて電気エネルギーを生じさせることができる。そして、この電気エネルギーが電源30の充電に用いられることで、有機ELパネル10が発する光を充電のために有効利用することができる。これにより、省エネが図られる。
【0023】
また、制御部31が、電圧印加部32や充電部33に接続させる有機ELパネル10を切り換えることで、発光や受光を行わせる有機ELパネル10の数を調整することができる。これにより、点灯システム1から発させられる光を所望の明るさに調整したり、充電に用いる光の量を調整することができる。
【0024】
本発明は、上述の実施の形態に限定されず、特許請求の範囲において種々改変することができ、例えば、点灯システム1に設けられる有機ELパネル10の数は、図に示した4つに限定されず、任意の複数に設定可能である。
【0025】
その他、本発明の好適な変形として、以下の構成が含まれる。
【0026】
本発明に係る点灯システムについて、好ましくは、前記電源には、制御部と、電圧印加部と、充電部とが設けられ、前記制御部は、前記電圧印加部及び前記充電部に接続させる前記有機ELパネルを切り換えることができ、前記電圧印加部は、これと接続された前記有機ELパネルに対して電圧を印加し、前記充電部は、これと接続された前記有機ELパネルが発した電気エネルギーによって充電を行うことを特徴とする。
【0027】
また、あるいはさらに、各前記有機ELパネルは、透光性の基板の上に、陰極と、有機EL層と、陽極とを順に積層した構造を有し、前記有機EL層は、前記陰極側に配置される電子輸送層と、前記陽極側に配置される正孔輸送層と、前記電子輸送層と前記正孔輸送層との間に配置される発光層とを有し、前記陽極と前記陰極との間に電圧が印加されることに応じて、前記陰極から前記電子輸送層を介して前記発光層に電子が注入されるとともに、前記陽極から前記正孔輸送層を介して前記発光層に正孔が注入され、前記発光層は、前記電子及び正孔が結合することで発光するとともに、他の光源が発した光を受光することで光電変換により電気エネルギーを生じさせ、前記電源は、前記陰極と前記陽極との間に電圧を印加するとともに、前記発光層が生じた電気エネルギーによって充電を行うことを特徴とする。
【符号の説明】
【0028】
1 点灯システム
10A,10B,10C,10D 有機ELパネル
11 基板
12 陰極
13 有機EL層
14 陽極
20 配線
30 電源
31 制御部
32 電圧印加部
33 充電部
130 電子輸送層
131 正孔輸送層
132 発光層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧の印加を受けて発光するとともに、受光した光を光電変換することで電気エネルギーを生じさせる複数の有機ELパネルと、
各前記有機ELパネルに電圧を印加可能であるとともに、各前記有機ELパネルが生じた電気エネルギーにより充電を行う電源とを備え、
各前記有機ELパネルは、他の前記有機ELパネルが発した光を受光可能であるように、他の前記有機ELパネルと隣接して配置されていることを特徴とする点灯システム。
【請求項2】
前記電源には、制御部と、電圧印加部と、充電部とが設けられ、
前記制御部は、前記電圧印加部及び前記充電部に接続させる前記有機ELパネルを切り換えることができ、
前記電圧印加部は、これと接続された前記有機ELパネルに対して電圧を印加し、
前記充電部は、これと接続された前記有機ELパネルが発した電気エネルギーによって充電を行うことを特徴とする請求項1に記載の点灯システム。
【請求項3】
各前記有機ELパネルは、透光性の基板の上に、陰極と、有機EL層と、陽極とを順に積層した構造を有し、
前記有機EL層は、前記陰極側に配置される電子輸送層と、前記陽極側に配置される正孔輸送層と、前記電子輸送層と前記正孔輸送層との間に配置される発光層とを有し、前記陽極と前記陰極との間に電圧が印加されることに応じて、前記陰極から前記電子輸送層を介して前記発光層に電子が注入されるとともに、前記陽極から前記正孔輸送層を介して前記発光層に正孔が注入され、
前記発光層は、前記電子及び正孔が結合することで発光するとともに、他の光源が発した光を受光することで光電変換により電気エネルギーを生じさせ、
前記電源は、前記陰極と前記陽極との間に電圧を印加するとともに、前記発光層が生じた電気エネルギーによって充電を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の点灯システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−18705(P2011−18705A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−161122(P2009−161122)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【出願人】(300022353)NECライティング株式会社 (483)
【Fターム(参考)】