説明

点灯駆動装置、光源装置、及び表示装置

【課題】無負荷状態を除き、ランプへの駆動電源を供給するラインの接点不良を原因として、ランプを定常的に点灯駆動させているときの動作に異常が生じた場合の保護機能を与える。
【解決手段】ランプを始動させた後の定常点灯のための駆動動作を行っているときに、点灯駆動回路部内のDC/DCダウンコンバータ21の出力の電圧値を検出し、この検出した電圧値が、正常動作に対応する範囲値より外で、かつ、無負荷状態に応じて得られる範囲値より外とされる状態が一定時間以上継続したのであれば、DC/DCダウンコンバータの動作を停止させ、ランプに対する電源供給を停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばHID(High Intensity Discharged)などのタイプのランプを点灯駆動するための点灯駆動装置と、このような点灯駆動装置を備える光源装置及び表示装置に関わる。に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プロジェクタ装置などの画像表示装置では例えば光源を備えて、この光源から発せられる光を液晶パネルなどよりビデオ信号に基づいて変調し、その変調光をスクリーンに拡大投射することで画像表示を行うようにされる。
上記した光源には、HIDランプが広く採用されている。上記の画像表示装置では、このHIDランプを点灯駆動させるための駆動電源を生成して出力するための点灯駆動回路を備えることになる。
【0003】
ところで、このような点灯駆動装置に関しては、信頼性確保などのために、接続不良や部品の劣化などの原因により、ランプ側に対する正常な駆動電源供給ができなくなる状態というものを想定し、このような状態に対する保護機能を与えて構成することが行われ、また、特許文献1などにより提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−281753号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明としても、点灯駆動装置についての保護機能を実現するための構成を提案するものであり、特に、定常的な点灯駆動のための動作を実行しているときにおいて、例えばランプに駆動電源を供給するラインにおける接続不良箇所での放電によりランプの点灯が維持されてしまうような異常動作に対する保護機能を与えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明は上記した課題を考慮して、点灯駆動装置として次のように構成する。
つまり、ランプを定常的に点灯駆動するための駆動電源を生成して出力する駆動電源生成手段と、駆動電源に対応する電圧値を検出する検出手段と、この検出手段により検出された電圧値について、正常値以外であり、かつ、駆動電源生成手段の無負荷状態に対応して得られる値以外となる状態が一定時間以上経過したとされる場合に記駆動電源の出力が停止されるように制御する停止制御手段とを備えることとした。
【0007】
また、光源装置として次のように構成する。
つまり、光源を形成するランプと、このランプを定常的に点灯駆動するための駆動電源を生成して出力する駆動電源生成手段と、駆動電源に対応する電圧値を検出する検出手段と、この検出手段により検出された電圧値について、正常値以外であり、かつ、駆動電源生成手段の無負荷状態に対応して得られる値以外となる状態が一定時間以上経過したとされる場合に、駆動電源の出力が停止されるように制御する停止制御手段と、駆動電源生成手段から出力された駆動電源がランプに供給される経路に設けられるもので、駆動電源生成手段の駆動電源の出力側とランプ側の上記駆動電源の入力側とを接続するための機構を有して成るコネクタ機構とを備えることとした。
また、表示装置として次のように構成することとした。
つまり、光源となるランプと、このランプを点灯駆動する点灯駆動装置と、光源から発せられる光を利用して画像表示を行うようにされた画像表示部とを備え、点灯駆動装置は、ランプを定常的に点灯駆動するための駆動電源を生成して出力する駆動電源生成手段と、駆動電源に対応する電圧値を検出する検出手段と、この検出手段により検出された電圧値について、正常値以外であり、かつ、駆動電源生成手段の無負荷状態に対応して得られる値以外となる状態が一定時間以上経過したとされる場合に、駆動電源の出力が停止されるように制御する停止制御手段とを備えることとした。
【0008】
上記各構成では、駆動電源に対応する電圧値を検出し、この電圧値について、正常値以外であり、かつ、駆動電源生成手段の無負荷状態に対応して得られる値以外の値が一定時間以上継続して得られたとされる場合に、駆動電源出力を停止させるようにしている。
ここで、上記の駆動電源に対応して検出された電圧値が上記の2つの範囲値を外れているということは、無負荷の状態を除き、ランプを定常的に点灯駆動させる動作中において、その動作が正常ではないことを示すことになる。また、このような検出用電圧の異常は、点灯駆動装置では、ランプに駆動電源を供給する経路上での物理的な接点の接触不良が主たる原因の1つとなる。
【発明の効果】
【0009】
つまり、本願発明では、ランプを定常的に点灯駆動するための動作を実行しているときの、無負荷の状態を除いて、駆動電源供給ラインの接点不良を原因とする異常が生じた場合の保護機能が与えられるものである。つまり、本願発明では、無負荷状態となった場合に対する保護のための構成ではカバーできない動作異常に対する保護を行うことが可能となるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は、本願発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態という)としての表示装置の全体構成を模式的に示している。本実施の形態の表示装置としては、HID(High Intensity Discharged)ランプを光源として備え、この光源を元とする光を液晶パネルにより変調して得られた変調光をスクリーンに拡大投射することにより画像表示を行う、いわゆる液晶プロジェクタ装置を例に挙げることとする。なお、この図1においては、液晶プロジェクタ装置とされる本実施の形態のプロジェクタ装置1の内部構成として、光源におけるランプ部品を点灯駆動するための構成を主体に示している。
【0011】
この場合において光源として機能する光源部13は、ランプ14とリフレクタ15としての部品を有して成るものとされる。この場合のランプ14には、上記もしているように、HIDのタイプが採用される。このランプ14から出射された光源としての光は、リフレクタ15により反射されることで例えば略平行光とされた状態で光学ユニット16に入射される。
光学ユニット16においては、例えばランプ14を光源として入射された光(白色光)をR(赤),G(緑),B(青)の各色の成分光に分離して、R,G,B各色に対応する光変調素子である液晶パネルに入射させて光変調を行う。このようにして変調された光が、R,G,B各色に対応する画像光となる。そして、これらのR,G,Bごとの画像光を再度合成して、投射レンズにより、スクリーン19の背面側に拡大投射するようにされる。これにより、スクリーン19にはカラー画像が表示されることになり、プロジェクタ装置1のユーザは、スクリーン19の前面側から観察することで表示画像を視るようにされる。
【0012】
そして、本実施の形態では、上記HIDタイプのランプ14を駆動するための回路部、装置として、点灯駆動回路部11が備えられる。
なお、このような表示点灯駆動回路部11については、ランプに対して点灯駆動のための電力供給を行う機能を有することから、バラスト電源ともいわれる場合がある。
点灯駆動回路部11についての、より具体的な内部構成例については後述するが、点灯駆動回路部11は、例えば直流電源を入力して、ランプを駆動するための電源(ランプ駆動電源)として、ランプの点灯を開始させるための始動用電源と、ランプの点灯が開始されて以降の、定常的な点灯状態を維持させるための定常駆動用電源とを生成するようにされている。
ここで、点灯駆動回路部11としてのユニットと、ランプ14とは、それぞれ個別の部品とされている。そこで、実際にあっては、プロジェクタ装置1を製造する際の組み立て作業効率等を考慮して、点灯駆動回路部11からランプ14に対してランプ駆動電源を供給するラインを、コネクタ12としての機構部により接続するようにしている。
【0013】
コネクタ12は、プラグ部12Aとソケット部12Bとから成る。この場合には、プラグ部12Aが点灯駆動回路部11側に対応し、ソケット部12Bがランプ14側に対応するものとする。なお、上記とは逆に、プラグ部12Aがランプ14側に対応し、ソケット部12Bが点灯駆動回路部11側に対応するようにしても構わない。
そして、これらのプラグ部12Aとソケット部12Bとが適正に嵌め合わされていることで、コネクタ12においては、ランプ駆動電源供給ラインの正極/負極のそれぞれに対応する接点12a、12bが形成され、この接点12a、12bを介して、ランプ駆動電源が点灯駆動回路部11からランプ14に対して供給されることになる。
【0014】
ここで、図3により、コネクタ12の構造についての具体例を示しておくこととする。
コネクタ12のプラグ部12Aは、例えば樹脂などを成型した本体部31を有しており、この本体部31には、略直方体形状の一対の挿入脚部31a、31bが形成されている。そして、この挿入脚部31a、31bの内部は、筒状の空間が形成されており、この筒状の空間内において、導体としての所定の材質から成り、略棒状のいわゆるプラグといわれる端子形状を有する、第1プラグ端子32−1、第2プラグ端子32−2が取り付けられている。ここでは図示していないが、これら第1プラグ端子32−1、第2プラグ端子32−2は、それぞれ、半田付けあるいは圧着などにより、ランプ駆動電源供給ラインの正極/負極に対応する一対のケーブルの端部と導電可能な状態で接続されており、さらに、これらのケーブルの他端は、点灯駆動回路部11における回路基板などにおける、ランプ駆動電源の正極/負極の各出力端子と接続されているものである。
また、ソケット部12Bも、樹脂などを成型した本体部41を有する。この本体部41には、上記挿入脚部31a、31bが嵌入されるための一対の嵌入孔部41a、41bが形成されており、この嵌入孔部41a、41b内の空間部に対して、それぞれ、導体としての所定の材質から成り、略円筒形状で内部が中空とされた第1ソケット端子42−1、第2ソケット端子42−2が取り付けられている。これら第1ソケット端子42−1、第2ソケット端子42−2にも、それぞれ一本のケーブルの端部が接続されており、また、これらのケーブルの他端は、ランプ14の正極/負極に対応する電極にそれぞれ接続されているものである。
そして、ソケット部12Bの嵌入孔部41a、41bとしての空間に対して、プラグ部12Aの挿入脚部31a、31bを嵌め込んでいくようにして、プラグ部12Aとソケット部12Bの本体とが一体的なものとなるようにして組み合せるようにされる。
このようにして、嵌入孔部41a、41bに挿入脚部31a、31bが嵌め込まれた状態では、第1プラグ端子32−1、第2プラグ端子32−2は、第1ソケット端子42−1、第2ソケット端子42−2のそれぞれに対して嵌入された状態で、相互に接触した部位が圧接される状態が得られる。これにより、図1における接点12a、12bが形成されることになり、ランプ駆動電源を点灯駆動回路部11からランプ14に対して印加することが可能になるものである。
なお、この図に示しているコネクタ12としての構造はあくまでも一例であり、これ以外の各部の形状、構造とされてもよいものである。
【0015】
説明を図1に戻す。
この図1に示されるプロジェクタ装置1においては、セット用マイクロコンピュータ17が示されている。
セット用マイクロコンピュータ17は、プロジェクタ装置1における全体の動作を統括して制御するもので、実際には、ユーザインターフェイス制御、映像音声等の入出力制御、表示制御などを実行する。
また、後述もするようにして、点灯駆動回路部11においては、点灯駆動回路部11における制御処理を実行するためのマイクロコンピュータである、点灯駆動用制御部24が備えられるのであるが、セット用マイクロコンピュータ17は、上記点灯駆動用制御部24と連携して、ランプ点灯駆動に関連する制御処理なども実行可能とされている。
上記したランプ点灯駆動に関連する制御処理として、本実施の形態では、点灯駆動用制御部24の制御により、ランプの点灯駆動を強制的に停止させるとともに、この停止制御に応じて、セット用マイクロコンピュータ17に対して、停止通知信号を出力して、ランプ点灯駆動を強制停止したことの通知を行う。この停止通知信号を受信したセット用意マイクロコンピュータ17では、ランプの点灯駆動を強制停止する動作が実行された(保護機能が動作したこと)ことをユーザが認知可能なように外部に通知するようにされる。本実施の形態では、この通知は、プロジェクタ装置1の筐体の所定位置に設けられた所定数の所定色のLED(Light Emitting Diode)を、所定の点灯、点滅パターンによって点灯させることで行うようにされる。LED表示部18は、上記したランプ点灯駆動の強制停止の通知に利用されるLEDを少なくとも含み、各種所要の表示のために設けられるLEDを一括して示したものとされる。
【0016】
次に、図2により、点灯駆動回路部11の内部構成例を示す。なお、この図には、点灯駆動回路部11とともに、この点灯駆動回路部11から出力されるランプ駆動電源が供給されるランプ14と、ランプ駆動電源の供給路に設けられるコネクタ12が示されている。
この図に示されるようにして、点灯駆動回路部11は、DC/DCダウンコンバータ21、フルブリッジドライバ22、イグニッション回23、及び点灯駆動用制御部24を備えて成るものとされる。
【0017】
先ず、DC/DCダウンコンバータ21には、例えば200V〜450Vの範囲での規定レベによる直流の入力電圧Vin_DCが入力されるようになっている。なお、実際においては、この入力電圧Vin_DCは、マイクロコンピュータとしての構成を採る点灯駆動用制御部24などの論理回路系のための直流電源を生成する他のDC/DCコンバータにも供給されるものとされるが、ここでは図示を省略している。
【0018】
DC/DCダウンコンバータ21は、例えばスイッチングコンバータを備え、入力電圧Vin_DCについて直流−直流電力変換を行って、入力電圧Vin_DCよりも低い規定値による直流を出力する。この直流としての電源出力は、フルブリッジドライバ22に入力される。
【0019】
フルブリッジドライバ22は、FET(電界効果トランジスタ)などによる4組のスイッチング素子(回路)によりフルブリッジ形式のスイッチングコンバータを形成し、DC/DCダウンコンバータ21から入力される直流を入力してスイッチング動作を行うことで、矩形波の交流を出力するようにされる。
このフルブリッジドライバ22の交流出力は、後述するようにして、ランプ14の始動時と、始動後の定常点灯時とでは、異なる周波数が設定されるようにして、点灯駆動用制御部24による制御が行われる。
【0020】
イグニッション回路23は、上記のようにして、フルブリッジドライバ22から出力される始動用の周波数が設定された交流出力を基として、ランプ14を始動させるためのイグニッションパルスを生成してランプ14に印加するようにされる。
【0021】
上記イグニッション回路23の動作を伴った、ランプ14を始動するときの動作は次のようになる。
例えば、点灯駆動用制御部24は、セット用マイクロコンピュータ17からの信号により、プロジェクタ装置1のメイン電源がオフからオンに切り換わったことを検知すると、フルブリッジドライバ21におけるスイッチング周波数について、例えばランプ始動用の100kHz程度を設定するための指令を行う。この指令には、例えば制御信号Sfを用いる。
この指令に応じて、フルブリッジドライバ22は、例えば100kHz程度のスイッチング周波数によりスイッチングを行って交流電源を出力する。このようにして出力される交流電源は、100kHzの周波数を有するものであり、これが始動用電源となる。
その内部構成の説明については後述するが、イグニッション回路23においては、共振回路及び放電管(スパークギャップ)などを備えることで、フルブリッジドライバ22から出力される交流が始動用電源とされて、その周波数が上記した100kHz程度とされる場合には、例えば20kV以上の高電圧のパルスを発生させるようになっている。このパルスがイグニッションパルスであり、ランプ14に印加されることで、ランプ14の放電を促すようにされる。
イグニッション回路23は、このような動作を、フルブリッジドライバ22からの始動用の交流(100kHz)の印加に応じて、例えばランプ14が放電状態となるまで数回繰り返し行うようにされる。
そして、上記した始動の動作によりランプ14において放電状態が生じて点灯を開始したとされるタイミングに応じて、点灯駆動用制御部24は、制御信号Sfにより、フルブリッジドライバ22のスイッチング周波数を始動用の100kHzから、定常駆動用の180Hz程度に切り換えるための指令を行う。
この指令に応じてフルブリッジドライバ22から出力される交流電源は180Hzとなるが、この交流電源が、定常的な点灯維持のために出力される定常駆動用電源となる。この定常駆動用電源の周波数が入力される場合、イグニッション回路23では、共振回路による共振動作などは生じることが無く、従って、イグニッションパルスが生成されることはなく、例えば上記180Hzの交流出力がほぼそのままランプ14に印加されることになる。この交流電源の印加により、以降、ランプ14内部の放電状態が継続される。
【0022】
そして、この定常駆動を行っている状態では、ランプ14が発光して得られる明るさが一定で維持されるようにするために、ランプ14に対して一定電力を供給する必要がある。ランプ14の明るさが一定とならずに不安定な状態であると、例えば表示画像の輝度が変化することになって、画質劣化の要因となるからである。
そこで、本実施の形態においては、点灯駆動用制御部24により、ランプ14に対して供給される電源の電力が一定となるようにして制御が行われる。この定電力制御のためには、例えば点灯駆動用制御部24が、DC/DCダウンコンバータ21からフルブリッジドライバ22に対して出力される直流電圧から、その電圧値を検出して得られる検出電圧Svと、その電流値を検出して得られる検出電流Scrを取り込むようにされる。検出電圧Svは、例えばDC/DCダウンコンバータ21の出力ライン間の電位を、例えば分圧抵抗などによって検出して得ることができる。また、検出電流Scrは、DC/DCダウンコンバータ21の出力ラインに対して電流検出抵抗などを挿入して、この電流検出抵抗の両端電圧値として検出することができる。
点灯駆動用制御回路24では、これら検出電圧Sv及び検出電流Scrから、DC/DCダウンコンバータ21から出力されている直流電圧の電力値を求めるようにされる。定常駆動時においては、DC/DCダウンコンバータ21から出力される直流電圧の電力値は、ランプ14に供給される電力とほぼ一致するものとされている。つまり、DC/DCダウンコンバータ21から出力されている直流電圧の電力値を求めれば、そのときにランプ14に供給されている定常駆動用電源の電力を検出していることと等価となる。
そして、点灯駆動用制御回路24では、上記のようにして求めたDC/DCダウンコンバータ21の出力電圧の電力値が、あらかじめ設定した所定値となるようにするための、DC/DCダウンコンバータ21に対して制御信号Spwrを出力するようにされる、DC/DCダウンコンバータ21では、この制御信号Spwrに応じて、内部のスイッチング動作を制御(スイッチング周期のPWM制御、あるいはスイッチング周波数制御)することで、自身の出力する直流電圧の電力が予め定められた所定値となるようにして可変する。これにより、DC/DCダウンコンバータ21の直流出力電圧の電力が一定となるように制御され、これに応じて、ランプ14に供給される定常駆動用電源の電力も一定となるようにして制御される。つまり、定常点灯動作時にランプ14に供給する電源(定常駆動用電源)についての定電力制御が行われるものである。
【0023】
ところで、先に説明したように、本実施の形態のプロジェクタ装置1は、点灯駆動回路部11としての構成部位を有して成る部品ユニット側と、ランプ14とを電気的に接続するのにあたって、コネクタ12を用いる。
このコネクタ12は、例えば図3に示したように、プラグ/ソケット形式による嵌め外し機構を有して形成され、接点については、導体のプラグ端子(第1プラグ端子32−1、第2プラグ端子32−2)、ソケット端子(第1ソケット端子42−1、第2ソケット端子42−2)とを接触させることで形成するようにした機械部品とされる。
このようにして、接点が機械的な機構から成るものである以上、例えば経年変化などにより、プラグ部12Aとソケット部12Bとの取り付けが緩む、あるいは、プラグ端子、ソケット端子が変形したり、表面が腐食したりすることなどが要因となって、プラグ端子とソケット端子との間での接触が不充分な状態となる可能性の在ることは避け難い。
【0024】
上記のプラグ端子とソケット端子との間での接触が不充分とされる状態として、1つには例えばプラグ端子とソケット端子の距離が一定以上の距離を経て離れているようにして非接触の状態を保っている状態を考えることができる。また、もう1つには、良好な接触状態とはいえないが、ほんの僅かな接触面積により相互が接触していたり、あるいは接触はしていないが、互いの距離が非常に近接していたりするような状態を考えることができる。
前者の状態では、例えば点灯駆動回路部11側からランプ駆動電源が出力されたとしても、この駆動電源がランプ14側に伝導されることはないので、ランプ14が始動、点灯することはない。ただし、この状態のままでは、点灯駆動回路部11が無負荷の状態で動作し続けることになるために、点灯駆動回路部11における負担が大きなものとなるので、何らかの保護対策を採る必要がある。
一方の後者の状態では、ランプ14が点灯する場合がある。
例えばランプ始動のためのイグニッションパルスは、周波数も高く、また、非常に高圧である。このために、プラグ端子とソケット端子との間の接続が良好でないのにもかかわらず、この端子間で放電が生じて、いわゆる放電パスが形成される場合がある。すると、点灯駆動回路部11からランプ14に対して、上記放電パスとしての抵抗成分を介して電流が流れることが可能な状態が生じる。これにより、プラグ端子とソケット端子との接続が不充分でありながら、点灯駆動回路部11からランプ14に対しては駆動電源が供給されることになり、ランプ14は始動後においても定常的に点灯することになる。しかしながら、上記のようにして放電パスの抵抗成分を介してランプ14が点灯駆動されている状態では、例えばランプ14の点灯が不安定になったり、あるいは、放電パスが形成されるコネクタ部分で発熱が生じたりするなどの不具合を生じる可能性がある。従って、このような動作状態にも対応して保護を図る必要性はあることになる。
【0025】
ここで、特許文献1にあっては、イグナイタが接続されていな、あるいはスパークギャップが放電しないなどの無負荷相当の状態にあるときに、昇圧回路の出力電圧の過昇圧を抑制する構成が示されている。これは、上記した前者の状態に対しての保護機能の構成であるといえる。
なお、本実施の形態のプロジェクタ装置1においても、これと同様の保護機能は備えている。例えばコネクタ12において接点間で放電が生じ得ない程度に完全に接続が離れている状態では、点灯駆動回路部11からの定常駆動用電源は完全無負荷になり、その電圧値としても、正常な点灯動作が行われているときの値と比較して著しく上昇する。本実施の形態のプロジェクタ装置1としても、このような無負荷状態に対応して得られる定常駆動用電源の電圧値を検出すると、点灯駆動回路部11の動作を停止させるようにされている。
【0026】
しかしながら、上記のような無負荷状態に対応する保護機能によっては、先の説明における後者の状態である、接触不良箇所にて放電パスが形成されてランプが定常的に点灯してしまう異常状態を検出して保護することが難しい。
それは、接触不良箇所にて放電パスが形成されてランプが点灯している状態のときの定常駆動用電源の電圧値は、正常値から外れる変化は示すものの、無負荷状態と比較した場合には、その変化率が相応に小さいことによる。このために、無負荷状態に対する保護機能に対応して設定される電圧値の閾値によっては、上記の異常状態は検知されることにならないわけである。
【0027】
そこで、本実施の形態のプロジェクタ装置1としては、上記したような接触不良箇所にて放電パスが形成されることでランプが定常的に点灯してしまうという異常動作に対する保護機能が与えられるように構成する。以下、この点について述べていくこととする。
【0028】
上記もしていることであるが、コネクタなどの接点の接触不良が生じている異常状態で定常的にランプを点灯駆動(以降においては、これを「異常駆動」という)しているときには、定常駆動用電源としての電圧値は、無負荷状態のときよりは低いものの、正常に点灯が行われているときに得られるとされる正常値の範囲には収まることが無く、これより高い値を示すことを本願発明者は確認している。つまり、異常駆動時の定常駆動用電源の電圧値は、正常値と、無負荷状態に対応して得られるとされる一定以上の値の範囲との中間にて得られるものとなる。
例として、100Wのランプを駆動する場合の条件として、定常用駆動電源の正常値の範囲が100Vをほぼ中心にして数ボルト程度を設定したとする。この場合において、無負荷となった状態では、定常用駆動電源は140V以上の範囲にまで上昇するのに対して、上記異常駆動のときには、110V以上程度となる。
なお、異常駆動時における、このような定常駆動用電源の変化は、接触不良箇所における放電パスにより形成される抵抗値が主たる要因であり、この抵抗値の実際としては、例えば数十Ω程度とされる。
【0029】
本実施の形態としては、上記した点に着目することとして、異常駆動時において得られるとされる定常駆動用電源の電圧値を検出し、このことに基づいて、例えば点灯駆動回路部11の動作を停止させることで保護を図るようにされる。
そして、本実施の形態において、異常駆動に対する保護を行うのにあたっては、点灯駆動用制御部11が、検出電圧Svを監視するようにされる。
先に説明したように、DC/DCコンバータ21の検出電圧Svは、本来は定電力制御のために用いられるものであるが、定常駆動時においては、ランプ14に印加される定常駆動用駆動電源に対応した電圧値が現れる。つまり、検出電圧Svは、定常駆動用電源のピークに対応した絶対値を直流値として検出したものとしてみることができる。従って、異常駆動としての状態に至ったことで、定常駆動用電源の電圧値が正常値の範囲を外れて異常駆動状態に対応する値になったとされると、検出電圧Svとしても、これに応じて異常駆動状態に対応する値を示すことになる。
そこで、本実施の形態では、このような検出電圧Svの変化を検出して、異常駆動に対する保護を図るようにされる。
【0030】
次に、図4及び図5を参照して、異常駆動に対する保護機能を得るための具体的構成例について説明する。
まず、図4のタイミングチャートにより、点灯駆動用制御部24による検出電圧Svの検出動作例を示す。
ここで図4(a)に示される検出電圧Svは、当初からは、ほぼ電圧値V1を保って出力されている状態が示されている。この電圧値V1は、例えばコネクタの接続不良などの異常、障害が発生していない状態で、正常にランプ14が駆動されているときのほぼ基準的な値とされる。
そして、点灯駆動用制御部24では、上記図4(a)に示される検出電圧Svを、図4(b)に示されるようにして、所定の周期時間ごとに発生されるサンプルパルスが出現するタイミング(ここでは、サンプルパルスの立ち上がりタイミングとされている)で検出電圧Svを取り込んでデジタルによる数値化を行い、これを図4(c)に示すようにしてサンプル値の情報として取得するようにされる。
【0031】
そして、この図においては、時点t1のサンプルタイミングを経過して次のサンプルタイミングに至る前の時点t2にほぼ対応して、検出電圧Svが電圧V2にまで上昇し、以降、この電圧V2をほぼ維持するような状態に遷移している。ここで、電圧V2は、コネクタ12の接続不良などが発生して異常駆動としての状態に至ったことに応じて生じる電圧値とされる。つまり、先にも述べたように、正常範囲値よりは高くなるが、無負荷時よりは低いとされる電圧値である。
すると、点灯駆動用制御部24では、時点t1の次のサンプルタイミングである時点t3において、この電圧値V2を検出してサンプル値として取り込むことになる。そして、以降、検出電圧Svが電圧値V2を継続させていることに応じて、点灯駆動用制御部24にて取得するサンプル値としても電圧値V2が得られることになる。
【0032】
そして、点灯駆動用制御部24では、上記電圧値V2のようにして、異常駆動に対応する状態が検出されてから、一定時間以上を経過したとされると、点灯駆動回路11によるランプ駆動電源の出力を停止させるように制御する。これにより、コネクタ12の接続不良が生じたままランプ14を点灯駆動する状態が回避されることになる。つまり、保護機能がはたらくことになる。
なお、本実施の形態では、ランプ駆動電源の出力を停止させるためのトリガとなる、異常駆動とされる状態の継続時間については、例えば10分程度を設定することとする。この程度の時間設定であれば、例えば、実際にはコネクタ12における接続は良好であるのにもかかわらず、何らかの一時的な要因で異常駆動に対応する検出電圧Svが得られることとなった状況に対して保護機能がはたらいてしまうような誤動作は回避できると考えられる。
【0033】
次に、図5のフローチャートを参照して、点灯駆動用制御部24が定常駆動時において実行するとされる、異常駆動などに対する保護のための手順について説明する。
なお、この図に示される手順は、点灯駆動用制御部24におけるCPUが、例えば同じ点灯駆動用制御部24において備えられるROMや不揮発性の記憶装置に記憶保持されているプログラムを実行することで得られる処理の動作であるとしてみることができる。このようなプログラムは、上記のようにして、例えばROMに対して製造時などに書き込んで記憶させるほか、リムーバブルの記憶媒体に記憶させておいたうえで、この記憶媒体からインストールさせるようにして点灯駆動用制御部24におけるしかるべき記憶装置に記憶させることが考えられる。また、ネットワーク上のサーバなどにおける記憶装置に記憶させておいたうえで、プロジェクタ装置1にネットワーク機能を持たせることとし、サーバからダウンロードして取得し、所定の記憶装置にインストールさせることも考えられる。
【0034】
また、図5に示す手順は、ランプ始動後において、定常的にランプを点灯駆動する点灯駆動時において実行されるものとされ、この手順を実行する過程においては、異常駆動の状態にあるか否かを示す状態フラグfと、異常駆動の状態中にあるとされる時間を計時するためのタイマを使用するものとされる。この図5に示す手順が最初に開始される段階では、上記状態フラグについては初期値として0を代入し、タイマについては、初期状態としてリセットをかけたうえで、カウントをストップ(停止)させた状態としておくこととする。
【0035】
まず、ステップS101においては、検出電圧Svをサンプルして取り込むようにされる。なお、このステップS101の手順は、先に図4(b)に示した1つのサンプルパルスに対応して実行されるべきものとされる。つまり、つまり、ステップS101の手順は、図4(b)のサンプルパルスが得られるタイミングごとに応じて、所定時間ごとに実行されるものである。
【0036】
次のステップS102においては、上記ステップS101によりサンプルして得た検出電圧Svのサンプル値について、正常な定常駆動状態に対応して設定された正常値の範囲内であるか否かについての判別を行う。ここで、サンプル値が正常値の範囲内ではないとして、否定の判別結果が得られたとされると、ステップS103に進む。これに対して肯定の判別結果が得られたとされると、ステップS111に進む。
【0037】
まず、ステップS102にて否定の判別結果が得られてステップS103に移行した場合の手順から説明する。
ステップS102にて否定の判別結果が得られたということは、サンプル値が正常値よりも高い値を示したことになるが、この場合には、可能性として、例えばコネクタ12の接点が完全に接続されていないなどの状態に対応する無負荷の状態か、コネクタ12の接続は不充分であるが放電パスが形成されてランプが点灯している異常駆動の状態の何れかが考えられることになる。
【0038】
そこで、ステップS103においては、ステップS101にて得られたサンプル値について、無負荷状態にて得られる検出電圧Svに基づいて設定した上限閾値以上であるか否かについて判別するようにされる。
ステップS103にて肯定の判別結果が得られた場合には、無負荷の状態であることになる。そこで、この場合においては、ステップS114に進んで、無負荷状態に対応した所定の保護動作のための処理アルゴリズムに移行するようにされる。
これに対して、ステップS103にて否定の判別結果が得られたとされる場合には、異常駆動の状態であることになる。この場合には、先ず、ステップS104により、現在の状態フラグfが、f=1とされているか否かについて判別する。
ステップS104において、状態フラグf=1ではない、つまり、f=0であるとして否定の判別結果が得られた場合には、ステップS105により、状態フラグfに1を代入するようにされる。つまり、状態フラグf=1であれば、そのときの検出電圧Svが、異常駆動に対応する値を有しており、f=0であれば、正常な定常駆動に対応する値を有していることを示す。
そして、次のステップS106により、タイマによる計時を開始させ、ステップS101に戻るようにされる。
【0039】
これに対して、ステップS104にて状態フラグf=1であるとして肯定の判別結果が得られた場合には、今回のステップS101によりサンプル値を得たタイミングよりも以前から、検出電圧Svは、異常駆動に対応する値を示していたことになる。つまり、以前から検出電圧Svが異常駆動に対応する値を示していた状態が継続されていたものである。この場合には、ステップS104からステップS107に進む。
ステップS107においては、タイマの計時時間が所定値を経過したか否かについて判別することとしている。先の説明によれば、この所定時間については、10分間程度が設定されることになる。
そして、ステップS107において所定時間を経過していないとして否定の判別結果が得られた場合には、ステップS101に戻るようにされる。
これに対して、ステップS107において、所定時間が経過したとして肯定の判別結果が得られた場合にはステップS108以降の手順に進む。
【0040】
ステップS108に進んだということは、検出電圧Svのサンプル値に基づいて推定される異常駆動の状態が所定時間以上継続したということになる。そこで、この場合においては、先ず、ステップS108により、ランプ14の駆動を停止させるための制御を実行する。このためには、点灯駆動用制御部24(CPU)は、制御信号Sstpを、例えばDC/DCダウンコンバータ21に対して出力するようにされる。DC/DCダウンコンバータ21は、制御信号Sstpが入力されると、その動作を停止するようにされる。これにより、DC/DCダウンコンバータ21からの直流電圧の出力が停止され、これに応じて、フルブリッジドライバ22からのランプ駆動電源の出力も停止される。つまり、ランプ駆動のための動作が停止されるものであり、このステップS108としての手順が完了した段階で、異常駆動に対する実質的な保護動作が行われたことになる。
【0041】
上記ステップS108の手順が完了したとされると、ステップS109により、タイマをリセットしたうえでストップ状態とするとともに、状態フラグfについて0を代入して初期値に戻しておくようにされる。
【0042】
ところで、これまでの説明から理解されるように、異常駆動の状態となって所定時間が経過したとされると、ランプ駆動の動作は強制的に停止されることになる。これは、プロジェクタ装置1のユーザからすると、正常に動作していたと思っていたところに、突然、画像が表示されなくなるというようにして見えることになる。このような動作のままとしておくと、ユーザは、異常駆動に対する保護機能がはたらいたのではなく、突然故障したのだと勘違いする可能性が高い。
そこで、本実施の形態のプロジェクタ装置1としては、このようにして異常駆動に対する保護のためにランプ駆動を強制停止させたことに応じて、保護機能がはたらいたことをユーザに通知するようにされる。ステップS110は、このことに対応して、点灯駆動用制御部24が実行する処理となる。
ステップS110では、点灯駆動用制御部24(CPU)が、セット用マイクロコンピュータ17に対して、異常駆動に対する保護動作を実行させたこと(ランプ駆動を停止させたこと)を通知するようにされる。このためには、図1にて述べたように、点灯駆動用制御部24からセット用マイクロコンピュータ17に対して停止通知信号を出力する。
上記停止通知信号を受信したセット用マイクロコンピュータ17では、LED表示部18を成すとされる所定の1以上の組み合わせのLEDについて、点灯させる、あるいは所定の明滅パターンにより点滅させることで、異常動作が生じていることと、このための保護動作がはたらいてランプの点灯を停止させたことを、ユーザに知らせるようにする。
【0043】
また、ステップS102において、今回のステップS101により得た検出電圧Svのサンプル値が正常値の範囲内である(正常な定常駆動動作を示している)として、肯定の判別結果が得られた場合には、ステップS111に進むようにされる。
ステップS111においては、現在の状態フラグfについて、f=1とされているか否かについて判別する。ここでf=1であるとして肯定の判別結果が得られた場合には、前回のステップS101により得られた検出電圧Svのサンプル値が正常値を越えていた、つまり、異常駆動の状態であったものとされ、そして、今回のステップS101に至ったタイミングで、異常駆動の状態から、正常な定常駆動の動作に復帰したものとしてみることができる。
そこで、この場合には、ステップS112により、状態フラグfについて0を代入するとともに、ステップS113によりタイマをリセットしたうえで停止させる。そして、ステップS101に戻るようにされる。
また、ステップS111において否定の判別結果が得られた場合には、前回のステップS101のタイミングにおいても、今回と同様に、正常な定常駆動が行われていたことになる。そこで、この場合には、そのまま、ステップS101に戻るようにされる。
【0044】
なお、上記図5に示した手順では、検出電圧Svの値が、異常駆動から正常な定常駆動に対応する状態に一度でも復帰したとされると、タイマがリセットされ、この後において異常駆動に対応する値がサンプルされると、改めて、タイマの計時を最初から開始させて所定時間の経過を見るようにされている。つまりは、厳密に異常駆動とされる状態が一定時間以上継続した場合においてのみ保護機能がはたらくようにされている。
上記したような構成であっても、保護機能としては有効なのであるが、他の構成として次のようなものを考えることができる。
例えば、検出電圧Svが異常駆動に対応する値を示しているとされる状態において、一時的とされる短期間においてのみ、正常な定常駆動に対応する値を示し、また直ぐに異常駆動の状態に戻るような状況が考えられる。このような場合において、図5に示したままのアルゴリズムを適用すると、正常な定常駆動に戻るたびにタイマがリセットされ、本来は、ランプ駆動電源を停止させるべきであるのに、なかなか停止しない、というような状況となる可能性がある。
そこで、異常駆動の状態から正常な定常駆動の状態に戻ったとしても、短時間とされる所定時間内に再び異常状態に陥った場合には、これを誤差として無視するようにして、タイマの計時を継続させるようなようなアルゴリズムの構成とすることも考えられる。また、このようなアルゴリズムの変形として、検出電圧Svが異常駆動に対応する値を示す状態と、正常な定常駆動に対応する値を示す状態との間で、比較的短時間の期間で移り変わるような場合には、検出電圧Svが異常駆動に対応する値を示しているとされる期間においてのみ、タイマによる計時を進行させていく(タイマ時間はリセットされずに積算されていく)こととして、最終的に所定時間を経過したタイミングで、ランプ駆動電源の出力を停止させるように構成することも考えられる。
【0045】
また、本発明としては、これまでに説明した内容に限定されるものではない。
例えば、本実施の形態においては、異常駆動の状態を検出するのにあたり、本来は、定電力制御のために用いられる検出電圧Svを共用することしているが、検出電圧Svとは個別に、異常駆動検出のための電圧を取り込むようにしてもよい。また、これに伴って、異常駆動検出のための電圧は、DC/DCダウンコンバータ21の出力のみに限定されず、例えば、フルブリッジドライバ22の出力などをはじめ、ランプ14に印加されるランプ駆動電源に応じた電圧値が得られるラインから取り込むようにしてもよいものである。
ただし、本実施の形態のようにしてDC/DCダウンコンバータ21の出力から取り込むこととしたほうが、直流を基として検出することができるので、実際に検出電圧Svを点灯駆動用制御部24に入力させる回路としても、例えば整流回路などを省略して、分圧抵抗などの簡易な部品素子のみにより形成できる。そのうえで、検出電圧Svを利用すれば、わざわざ、他のラインから異常駆動検出のためのラインを引き出して点灯駆動用制御部24のポートに追加して接続するようなことはしなくとも良い。本実施の形態の構成は、主として、点灯駆動用制御部24としてのマイクロコンピュータ(CPU)に実行させるプログラムについて、図5に示されるアルゴリズムのものを実装することで実現され、特にハードウェアを変更する必要がないという利点も有するのであるが、上記のようにして、検出電圧Svを共用することで、この効果はより高められることになるものである。
また、これまでの説明にあっては、異常駆動の原因が、点灯駆動回路部11とランプ14間のコネクタ12における接触不良によるものであるとして説明した。このコネクタ12における接触不良が異常駆動となる場合の原因のほとんどを占めるのではあるが、例えば他の部位での断線などにより、同様にして放電パスが形成されて異常駆動となる可能性のあることも否定できない。これまでの動作説明から理解されるように、本願に基づいた保護機能の構成は、コネクタ以外の原因による異常駆動にも対応するものである。
また、本願発明に基づいて構成されるプロジェクタ装置として、図1や図2などに示される部位についての具体的な回路構成や、その細部については、適宜変更されてかまわない。
また、実施の形態では、本願発明に基づいた点灯駆動装置、光源装置を、背面投射型のプロジェクタ装置に適用しているが、これ以外の表示装置に適用できる。例えば前面投射型のプロジェクタ装置の光源装置などにも適用可能とされる。また、一般的な液晶ディスプレイパネルの光源部である、いわゆるバックライトユニットなどに適用することも可能とされる。
また、HIDランプなどの放電灯は、例えば自動車などのヘッドライトや室内照明など、表示装置以外の光源としても使用することが可能であり、本願発明は、このような照明としての光源を駆動する回路、装置として適用することもできる。また、ランプの種類としても、HIDランプに限定されるものではなく、例えば一定以上の電圧値のパルス(交流)を印加させることで点灯が開始できるような種類のものであればよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態としてのプロジェクタ装置の構成例を示す図である。
【図2】本実施の形態の点灯駆動回路部の内部構成例を示す図である。
【図3】点灯駆動回路部とランプとの間に設けられるコネクタの構造例を示す図である。
【図4】点灯駆動用制御部による、ランプ駆動電源の電圧値の検出動作例を示すタイミングチャートである。
【図5】点灯駆動用制御部が実行するとされる異常駆動に対する保護動作のための手順例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0047】
1 プロジェクタ装置、11 点灯駆動回路部、12 コネクタ、12A プラグ部、12B ソケット部、12a・12b 接点、13 光源部、14 ランプ、15 リフレクタ、16 光学ユニット、17 セット用マイクロコンピュータ、18 LED表示部、19 スクリーン、21 DC/DCダウンコンバータ、22 フルブリッジドライバ、23 イグニッション回路、24 点灯駆動用制御部、31・41 本体部、32−1 第1プラグ端子、32−2 第2プラグ端子、42−1 第1ソケット端子、42−2 第2ソケット端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランプを定常的に点灯駆動するための駆動電源を生成して出力する駆動電源生成手段と、
上記駆動電源に対応する電圧値を検出する検出手段と、
上記検出手段により検出された上記電圧値について、正常値以外であり、かつ、上記駆動電源生成手段の無負荷状態に対応して得られる値以外となる状態が一定時間以上経過したとされる場合に、上記駆動電源の出力が停止されるように制御する停止制御手段と、
を備えることを特徴とする点灯駆動装置。
【請求項2】
上記駆動電源生成手段の上記駆動電源の出力側は、上記ランプの上記駆動電源の入力側とコネクタ機構により接続されるようになっている、
ことを特徴とする請求項1に記載の点灯駆動装置。
【請求項3】
上記駆動電源生成手段における上記駆動電源を生成するまでの所定段階にて得られる定電力制御用の検出用電圧及び検出用電流とに基づいて、上記駆動電源が一定電力となるようにして、上記駆動電源生成手段を制御する定電力制御手段をさらに備え、
上記電圧値検出手段が検出する検出用電圧は、上記定電力制御用の検出用電圧を利用する、
ことを特徴とする請求項1に記載の点灯駆動装置。
【請求項4】
光源を形成するランプと、
上記ランプを定常的に点灯駆動するための駆動電源を生成して出力する駆動電源生成手段と、
上記駆動電源に対応する電圧値を検出する検出手段と、
上記検出手段により検出された上記電圧値について、正常値以外であり、かつ、上記駆動電源生成手段の無負荷状態に対応して得られる値以外となる状態が一定時間以上経過したとされる場合に、上記駆動電源の出力が停止されるように制御する停止制御手段と、
上記駆動電源生成手段から出力された上記駆動電源が上記ランプに供給される経路に設けられるもので、上記駆動電源生成手段の上記駆動電源の出力側と、上記ランプ側の上記駆動電源の入力側とを接続するための機構を有して成るコネクタ機構と、
を備えることを特徴とする光源装置。
【請求項5】
光源となるランプと、このランプを点灯駆動する点灯駆動装置と、上記光源から発せられる光を利用して画像表示を行うようにされた画像表示部とを備え、
上記点灯駆動装置は、
上記ランプを定常的に点灯駆動するための駆動電源を生成して出力する駆動電源生成手段と、
上記駆動電源に対応する電圧値を検出する検出手段と、
上記検出手段により検出された上記電圧値について、正常値以外であり、かつ、上記駆動電源生成手段の無負荷状態に対応して得られる値以外となる状態が一定時間以上経過したとされる場合に、上記駆動電源の出力が停止されるように制御する停止制御手段と、
ことを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−34180(P2008−34180A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−204619(P2006−204619)
【出願日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】