説明

無人搬送車搭載の光信号受信器

【目的】無人搬送車がいずれの向きを向いていようとも、或いは仮りに送信器と受信器との間に障害物が存在しても、360°の全方向からも光信号を受信し得る無人搬送車搭載の光信号受信器を提供する。
【構成】所定の経路パターン上に設置される誘導路に誘導されて遠隔操作により走行すると共に荷揚げ、荷降しを無人で行う無人搬送車の屋根から外部に突設される光信号受信器37であって、同光信号受信器は3面以上の光信号受信面が屋根に対して垂直軸線の回りに360°均等に配されている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、走行方向が一定されない無人搬送車に対して直進性を有する光信号の送受信を障害物の有無に関わらず確実になし得るようにした光信号受信器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来も、例えば建設現場において省力化を実現するため様々な提案がなされている。その一つに各階ごとの床面に予め敷設された誘導路に沿って無人作業車を光信号の送受信により無人走行させて、所定の部署において荷積み及び荷降ろしをする工事用資機材の無人搬送システムがある。この無人搬送システムの一例として、例えば特開平3−174608号公報に開示されたシステムが挙げられる。
【0003】こうした従来のシステムによると、各階ごとに所定の搬送路パターンに従って誘導軌道が敷設され、最下階の資機材搬出入部の出口で待機する無人作業車が揚重昇降機内に設置された送信器からの指令信号を受信して資機材を揚重昇降機内に積み込むと、同揚重昇降機内では資機材の行き先を検出器により検出して、制御装置を介してその行先が自動的に判断され、行先階まで自動で上げられる。行先階には別の無人作業車が待機しており、揚重昇降機内からの指令信号を受けて揚重昇降機内の資機材を自動で取り出し、その行先置場を読取ると共に同置場まで上記誘導軌道に沿って無人作業車を走行させ、その場に所定の資機材を降ろす。こうした作業は揚重昇降機の昇降路とは別の場所に設置された中央制御装置を介して全て無人でなされる。このときの無人走行車との操作信号の送受信が光信号によりなされる場合がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、建設現場に限らず、無人作業車が運行される走行路面には、例えば各種の支柱や載積資材などが存在し、光信号の送受信の障害となることが多い。また、無人作業車は送信器に対して常に同一面を向けているとは限らず、仮りに障害物がない場合にも、光信号が受信器に到達しない場合がある。
【0005】本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、その目的は無人搬送車がいずれの向きを向いていようとも、或いは仮りに送信器と受信器との間に障害物が存在しても、360°の全方向からも光信号を受信し得る無人搬送車搭載の光信号受信器を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的は、本発明の主要な構成である所定の経路パターン上に設置される誘導路に誘導されて遠隔操作により走行すると共に荷揚げ、荷降しを無人で行う無人搬送車に装備される光信号受信器であって、同光信号受信器は車両本体の屋根から外部に突設され、3面以上の光信号受信面が垂直軸線の回りに360°均等に配されてなることを特徴とする無人搬送車搭載の光信号受信器により達成される。
【0007】
【作用】無人搬送車の向きがどのように変更されても、送信器から送られる光信号は無人搬送車の屋根から突出する光信号受信器の周面のいずれかに到達させることが可能となり、無人搬送車の走行向きとは無関係に確実な送受信を可能にする。
【0008】
【実施例】以下、本発明の代表的な実施例を図面を参照しながら説明する。図2は本発明の搬送システムの全体構成を示している。本発明の搬送システムによれば、揚重昇降機EVにより工事階まで送られてきた資機材を、無人搬送車10によって複数の異なる位置に設けられた資機材置場S-1〜S-nまで移載する。そのため、本実施例においては無人搬送車10が走行する床面に誘導軌道20が仮設される。
【0009】この誘導軌道20は車両が走行する予定走行路に沿って、多数の磁気誘導片21の端部同士が同一平面内を回動自在に順次連結されて敷設される。
【0010】図3は前記磁気誘導片21の一構造例を示すもので、同図(a)は平面図、同図(b)は側面図である。図示例による磁気誘導片21の構造は、例えば幅が40mm、長さが290mm、厚さが5mmのアルミ材からなる板片からなり、その両端に所定の長さの段差部分21a,21bを有している。この段差部分21a,21bは互いに異なる表面に形成され、その一方の段差部分21aの先端は半円形状をなし、他の段差部分21bはその段部が前記先端形状と同一の半円形状をなしている。そして、前記段差部分21aの平面部の略中央には突起挿入孔21a′が形成され、他の段差部分21bの対応する平面位置には突起21b′が突出されている。なお、この磁気誘導片21の床面との設置表面に摩擦係数の高い、例えば弾性スポンジや凹凸、或いはフェルトなどを設けるようにしてもよい。
【0011】かかる構成からなる磁気誘導片21を使って誘導軌道2を仮設するときは、必要とする数の磁気誘導片21を作業階に設置された仮設床面の誘導路に沿って順次並べて床面に載置すると共に、一方の磁気誘導片21の突起21b′を他方の磁気誘導片21の突起挿入孔21a′に順次挿入して連結する。もし、誘導軌道20の僅かな移動をも阻止したいときは、例えば裏面に両面接着テープを貼着するとかして仮固定することもできる。従って、誘導軌道20を撤去するときも、前記磁気誘導片21を単に床面から回収するだけで足り、回収された磁気誘導片21を次回の作業階に移送して、同様に仮設して繰り返し使用する。勿論、図示し説明した前記磁気誘導片21は一例に過ぎず、例えばフェライトを混入させた合成ゴム板を使用することも可能であり、その連結構造も、例えば直線軌道部分では磁気誘導片21の連結を分離可能とせずに順次折畳み自在に構成してもよく、或いは上記突起21b′及び突起挿入孔21a′を単なる円形とせずに、図4に示すごとく両者ともに真ん中を円形とすると共にその両端を延長させた略φ形として、突起21b′と突起挿入孔21a′とを互いに直交するように形成することもでき、本発明においては多様な変形が可能であって図示例に限定されるものではない。
【0012】図5及び図6は本実施例に採用する無人搬送車10の一例を示し、これらの図からも明らかなごとく本実施例における無人搬送車10は各種駆動機器や制御機器を搭載した車両本体11と同本体の下端から水平に且つ平行して延出する2本のフォーク状フレーム部12とを備えている。そして、前記車両本体11の下面中央には駆動輪ユニット13が取り付けられており、前記フォーク状フレーム部12のそれぞれ先端部下面にはキャスター14a,14bが取り付けられて、3個の車輪により走行する。前記駆動輪ユニット13は垂直軸線回りを回転可能に前記車両本体11に軸着され操舵機能を備えており、またその駆動車輪13aには直接駆動モータ13bが取り付けられている。一方、本発明では左右一対のキャスター14a,14bのうち一方のキャスター14aにも操舵機能をもたせている。
【0013】更に本実施例においては、図7〜図9に示すごとく操舵機能を備えた前記キャスター14aは左右一対の双輪からなり、その前後に前後進用の操舵センサー16a,16bが付設されている。そして、前記駆動輪ユニット13の側方にあって前記操舵センサー16a,16bの中心を結ぶ直線上には、同じく前後進用の操舵センサー17a,17bが設置されている。この駆動輪用の操舵センサー17a,17bは、例えばタイミングベルトなどにより前記駆動輪ユニット13と連結され、駆動車輪13aの操舵角に追随して同一角度回転するように構成されている。このように構成することで、誘導軌道20の曲線部における車両の追随性を確保している。これらのセンサー16a,16b,17a,17bは図示せぬ左右一対の検知コイルからなる公知の構成を有しており、上記誘導軌道20から発生する磁界を検出して、左右の検知コイルにより検出される誘起電圧の偏差値から制御装置を介して誘導軌道20に対するずれ量を求め、そのずれ量に基づく舵角を前記駆動車輪13a及びキャスター14aに与える。
【0014】そのため、本実施例では前記駆動輪ユニット13の支持軸端に傘歯車13cが装着されると共に、同歯車13cと噛合する傘歯車18aを駆動軸端に有するサーボモーターなどからなる操舵用モーター18が車両本体11の内部に固設されている。そして、この操舵用モーター18は同じく車両本体11の内部に搭載されている車載制御装置19からの指令に基づいて所定の回転数を回転し、前記駆動車輪13aに対して前記ずれ量に基づく必要な舵角だけ垂直軸回りを回転させる。図示例によれば、上記キャスター14aの操舵は電動シリンダー30によりなされる。即ち、図8及び図9に拡大して示すごとく同電動シリンダー30は前記フォーク状フレーム部12の内部に固設されており、そのロッド端が前記キャスター14aから突設するブラケット14a′にピボット結合されており、上記操舵センサー17a,17bによるずれ量の検出に基づき車両本体11の内部に設置された前記制御装置19からの指令を受けて前記電動シリンダー30が作動し、キャスター14aを所定の舵角回転させる。
【0015】このように、駆動車輪13aとキャスター14aの双方にセンサー16a,16b,17a,17bを設けると、無人搬送車10の前後において常に走行路の軌道の監視ができるため、曲線部などで一方のセンサーによる検出ミスがあったときにも他方のセンサーの検出により走行が的確に補正され、軌道から外れることがない。また、操舵機能をもつ前記キャスター14aを双輪構成としているのは、誘導軌道10を跨いで二つの車輪が走行するようにしたもので、無人搬送車10が仮設の誘導軌道20に接触し同軌道20がみだりに移動しないようにしている。
【0016】図10及び図11は、上記無人搬送車10に装備される資機材の荷積み及び荷降しを行うための昇降機構を示している。左右のフォーク状フレーム部12の上面は大部分が開口しており、その開口部には資機材を載置すると共に昇降する資機材載置台31が配設されている。この資機材載置台31の下面には昇降機構32が備えられている。本実施例によれば、同昇降機構32は前後一対のパンタグラフ式リフター32aを採用しており、同リフター32aは車両本体11に設置されたリフター駆動用モーター33に減速機33a、歯車33b,33c、スプロケットホイール33e,33fを介してユニバーサルジョイント34に連結され、同ジョイント34の回転によりボルト35が回転して、前後一対のリフター32aを昇降させる。また、左右のリフター32aは、図3に示すごとくスプロケットホイール33gとチェーン33hとを介して結合され、左右のリフター32aが同期して昇降するようになっている。なお、図11において符号36はカップリングを示している。
【0017】本発明における無人搬送車10の運行は、既述したごとく光信号の送受信によって制御される。これは、建設現場においては多様な種類の電波や音波が発生しており、そのため前述の信号などの授受を例えば電波や超音波によって行おうとする場合には、互いに干渉する虞れがあり、不測の事故につながりかねないため採用したものである。また、外乱光の影響を防ぐため光信号の送受信には高周波変調光が採用される。しかしながら、光には直進性があるため前方に干渉体が存在する場合や、車両の向きにより信号の送受信が不可能になる。一方、建設現場の床面には柱や梁は当然として、様々な資機材が載積されており、特に作業中は無人搬送車10は一定の方向を向いていない。これらは光信号の送受信の障害となる。そこで本発明では、光信号受信器に360°の方向性を与えている。即ち、同光信号受信器として例えば図1に示すごとく多角柱の形態を採用しており、その側面全体にわたって光信号の受信面が配されている。そして、かかる構成をもつ光信号受信器37が、図3に示すように車両本体11の屋根部から上方に突設されている。こうすることで、無人車両の上面から上方に突設された本発明の光信号受信器37は全方向に対して信号の受信が可能となる。
【0018】更に、本実施例では無人搬送車10の運転が3つのモードに対応できるように設計されている。その1つは揚重昇降機EVの停止部の近傍に設置された図示を省略した操作パネルOPからの指令に基づく全自動運転モードM-1であり、その2は図示せぬハンディタイプの光信号送信器を操作して誘導軌道20に沿って制御走行させる半自動運転モードM-2、その3はハンディタイプの光信号送信器を操作して誘導軌道以外を自由に制御走行させる手動運転モードM-3である。前記操作パネルOPには、いずれも図示を省略しているが前記運転モードの切替えスイッチを始めとして、行先指示スイッチや異常表示ランプ等が配設されており、その内部には制御装置が設けられている。この制御装置には資機材の搬送プログラムが格納されており、無人搬送車10に設置される作動機器や制御機器との間における記憶、演算などの通常の情報処理機能を備えている。
【0019】なお、無人搬送車10には、上記操舵センサー16a,16b,17a,17bの他にも、例えば図示を省略しているが駆動モーターの回転数を検出するモーター回転センサー、荷数を自動検出する荷数センサー、荷降し位置を確認する荷降し位置センサー、油圧機器の圧力を検出する油圧センサー、誘導軌道周波数センサー、障害物の接近を検出する障害物センサー、車両のローリングやピッチングを検出するための安全監視センサーなどが設けられており、これらのセンサーからの各検出信号は上述の車載制御装置19に入力される。また、上述の各作動機器のための電源は車両本体11に搭載されたバッテリー38による。また、上記操作パネルOPや光信号送信器からの各種の指令が車載制御装置19に入力され、車載制御装置19はそれらの指令と上記各種センサーの検出信号に基づき、モーター回転数指令、リフター32aに対する昇降指令、車両の停止指令、操舵指令、車速切換指令、前後進切換指令を適宜出力することにより車両を制御すると共に、操作パネルOPや光信号送信器に車両の現状(走行、停止、異常発生など)などを点灯ランプなどにより表示する。
【0020】かかる無人搬送車10による搬送システムにおいて、資機材を搭載した揚重昇降機EVが所定の作業階に到着すると、待機位置に待機する無人搬送車10は、操作パネルOP上の電源ボタン、スタートスイッチ及び自動/手動切替えスイッチを操作することにより、上記誘導軌道20に案内され、或いは誘導軌道20を外れて走行を開始する。
【0021】次に、無人搬送車10の3つの上記運転モードについて簡単に説明する。誘導軌道20に沿って無人搬送車10を走行させるときには、先ず自動ボタンに切り替えると共に、ボタン操作により全自動または半自動を選択する。全自動を選択すると、無人搬送車10は誘導軌道20に沿って操作パネルOP内に予め格納された運行プログラムに従って自走すると共に資機材を所定の場所に載置する。一方、半自動を選択すると、無人搬送車10は誘導軌道20に沿って走行を開始するが、その操作は全て作業員が手持ちの光信号送信器を操作することにより行われる。また、操作パネルOP上の自動/手動切替えスイッチを手動に切り替えると、無人搬送車10は誘導軌道20に誘導されることなく、作業員が手持ちの光信号送信器を操作することにより、車両の走行を始め全ての作業がなされることになる。
【0022】さて上記構成からなる本実施例において、自動と半自動の運転モードによる荷積み、搬送、荷降しの手順を中心にして説明を進める。先ず、次回の作業階に必要な個数の磁気誘導片21が運び込まれ、予め設定されている車両走行パターンに沿って磁気誘導片21が既述したごとく床面に順次載置され、その端部同士を順次連結して誘導軌道20が仮設される。誘導軌道20が仮設されると、作業者は先ず揚重昇降機EVの側部に設置された操作パネルOPの図示せぬ電源ボタンを押して電源を入れると共に、必要な操作ボタンを操作して準備が完了する。このとき、無人搬送車10は既に搬入されて図2に示す待機位置HPにあり、その場に待機している。
【0023】揚重昇降機EVにより必要な資機材が搬入されてくると、待機していた無人搬送車10が、操作パネルOPに予め設定されている運行プログラムに従って、或いは操作者の手元にある図示せぬハンディタイプの光信号送信器(以下、単に送信器という。)からの信号により車両電源が入れられ、搬送車10の運転が開始される。
【0024】待機位置HPにある無人搬送車10は、先ず前進して揚重昇降機EVの前まで誘導軌道20に誘導されながら自走する。このとき、操舵センサー16a,16b,17a,17bのうち、前進用の操舵センサー16a,17aが作動状態にあり、その双方或いは一方が誘導軌道20から磁界をキャッチしている状態、すなわち、無人搬送車10は片側の同一直線上に配置された前記操舵センサー16a,16b,17a,17bの直下に誘導軌道20が位置するようにして同誘導軌道20に沿って走行している状態にある。かかる状態にあって無人搬送車10が直進(前進)している場合は、駆動車輪13a及びキャスター14aの舵角は0°である。
【0025】また、いま仮りにキャスター14aの舵角が0°であるにも拘わらず、無人搬送車10の進路が例えば誘導軌道20に対し左右いずれかにずれ始めると、前後の各操舵センサー16a,17aによって独立して検出されていた磁界に相対的な変化が起こり、これにより無人搬送車10の進路が舵角±αに相当するずれ量が検出される。そして、その場合には、例えば車両本体11の内部に設置された前記制御装置19からの指令を受けて前記電動シリンダー30が作動し、キャスター14aに舵角αが与えられて進路の修正がなされ、両操舵センサー16a,17aが誘導軌道20の直上にあることが確認された時点で舵角0に戻される。
【0026】いま、誘導軌道20の直線部から曲線部に入るとき、仮りに操舵センサー16a,17aのいずれかが誘導軌道20の磁界の検出範囲外に出たとすると、一方の操舵センサー16a,17aが相変わらず磁界を検出しており、その曲線部の曲率に関する情報をもつ車載制御装置19から操舵用モーター18又は電動シリンダー30に信号が送られ、駆動車輪13a又は電動シリンダー30を駆動して前記曲率に対応する舵角だけ回転させ、検出範囲外に出た操舵センサー16a,17aのいずれかを正規の軌道上に戻す。この曲線部では、駆動輪用の操舵センサー17aは既述したごとく駆動車輪13aの舵角に同調して回転するため、同センサー17aの検出動作に信頼性を与えている。
【0027】無人搬送車10が揚重昇降機EVの前の所定の位置に達すると、図示せぬ停止センサーが作動して、一旦その場に無人搬送車10を停止させる。同時に、同じく図示せぬセンサーが働き資機材の種類と数量が検出され、その信号が車載の制御装置19を介して上記操作パネルOPに設置された図示せぬ制御装置に送られ、記憶された資機材の種類と数量が合致している場合には、再び車載制御装置19を介して駆動モータ13bに信号が送られ、車両を所定の距離走行させて資機材の下方にフォーク状フレーム部12を差し入れる。もし、資機材の種類と数量が検出値と合致しない場合には、その旨の信号が送られ、無人搬送車10は後進に切り換えられて待機位置HPまで後退する。
【0028】資機材の下方にフォーク状フレーム部12が差し入れられると、リフター駆動用モーター33が駆動され、ボルト35が回転して前後一対のリフター32aを所定の高さまで上昇させて、搬送すべき資機材を資機材載置台31に荷積みする。かかる構成により、従来の油圧による作動と比較すると、その応答性が格段に速くなる。因みに、本実施例では前記リフター32aの上昇速度は250mm/secである。
【0029】荷積みを終えた無人搬送車10は走行が後進に切り換えられており、誘導軌道20に沿って後進を開始して一旦待機位置HPまで戻る。このとき同時に、操舵センサー16a,16b,17a,17bは、後進用の操舵センサー16b,17bに切り換えられており、後進時も上述の操舵と同様の舵角修正がなされながら誘導軌道20に沿って正確に後進する。
【0030】待機位置に戻った無人搬送車10は前進走行に切り換えられると同時に前進用の操舵センサー16a,17aに切り換えられ、複数ある資機材置場S-1,S-2,…S-nのうち、前記資機材を載置すべき資機材置場S-1に向けて再び前進を開始して、誘導軌道20に沿って同置場S-1まで資機材を無人で搬送する。無人搬送車10が同置場S-1に到着すると、図示せぬ停止センサーが働き同荷置場S-1の所定位置に停止する。この停止と同時に前後一対のリフター32aが最下降位置まで下降し、資機材を同置場S-1に載置する。次いで、無人搬送車10は後進走行及び後進用の操舵センサー16b,17bに切り換えられ、待機位置まで戻り、次の搬送指令が送られてくるまでその場に待機する。
【0031】このようにして、上記作業を繰り返すことにより、所定の資機材置場に資機材を順次載置していく。上述の運転操作は操作パネルOPからの運行プログラムに基づいた指令、或いは作業者の手元にある送信器の各種ボタン操作によりなされるが、本発明では送受信が光信号によりなされるため、電波や音波の影響を受けることなく、同時に車両本体11の屋根から突出させた光信号受信器35に全方向性を持たせて如何なる方向からの信号をも受信することを可能として、半自動運転を確実にしている。
【0032】更に、本発明では上記運転モードに加えて完全な手動によるモードに切り換えることができるため、例えば作業者が独自の判断で資機材を動かしたいとき、手動モードに切り換えれば、無人搬送車10は手元の送信器35を操作するだけで誘導軌道20から外れた床面を走行させることができる。
【0033】
【発明の効果】以上説明したとおり本発明の光信号受信器によれば、無人搬送車の方向がいかなる方向に向いていようとも、送信器からの光信号を確実に受信でき、また同時に送信器と受信器との間に障害物などが存在する場合にも、例えば送信器位置を僅かに変更するだけで十分対応することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光信号受信器の構成例を示す斜視図である。
【図2】本発明が適用される資機材搬送システムによる仮設誘導軌道の敷設パターンを示す平面図である。
【図3】前記仮設誘導軌道に使用される電磁誘導片の一例を示す構造図である。
【図4】前記電磁誘導片の連結部における他の構成例を示す平面図である。
【図5】本発明が適用される無人搬送車の全体構成例を示す平面図である。
【図6】同側面図である。
【図7】前記無人搬送車のフォーク状フレーム部の内部機構を示す正面図である。
【図8】同上面図である。
【図9】同側面図である。
【図10】前記無人搬送車に適用される資機材昇降機構例を示す側面図である。
【図11】同資機材昇降機構例を示す部分正面図である。
【符号の説明】
10 無人搬送車
11 車両本体
12 フォーク状フレーム部
13 駆動輪ユニット
13a 駆動車輪
13c 傘歯車
14a,14b キャスター
14a′ ブラケット
16a,16b 前後進用の操舵センサー
17a,17b 前後進用の操舵センサー
18 操舵用モーター
18a 傘歯車
19 車載制御装置
20 誘導軌道
21 磁気誘導片
21a,21b 段差部分
21a′ 突起挿入孔
21b′ 突起
30 電動シリンダー
31 資機材載置台
32 昇降機構
32a パンタグラフ式リフター
33 リフター駆動用モーター
33a 減速機
33b,33c 歯車
33e〜33g スプロケットホイール
33h チェーン
34 ユニバーサルジョイント
35 ボルト
36 カップリング
37 光信号受信器
38 バッテリー
EV 揚重昇降機
0P 操作パネル
HP 待機位置
S-1〜S-n 資機材置場
M-1 完全自動運転モード
M-2 半自動運転モード
M-3 手動運転モード

【特許請求の範囲】
【請求項1】 所定の経路パターン上に設置される誘導路に誘導されて遠隔操作により走行すると共に荷揚げ、荷降しを無人で行う無人搬送車に装備される光信号受信器であって、同光信号受信器は車両本体の屋根から外部に突設され、3面以上の光信号受信面が垂直軸線の回りに360°均等に配されてなることを特徴とする無人搬送車搭載の光信号受信器。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図11】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開平7−134614
【公開日】平成7年(1995)5月23日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−279900
【出願日】平成5年(1993)11月9日
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【出願人】(593204731)フアテック株式会社 (1)
【出願人】(000176741)三菱レイヨン・エンジニアリング株式会社 (90)