説明

無停電電源システム

【課題】運転効率が高く、信頼性が高い無停電電源システムを提供する。
【解決手段】この無停電電源システムでは、各無停電電源装置Uの制御回路3は、負荷電流を供給するために必要な無停電電源装置Uの適正台数を求める演算部15と、複数の無停電電源装置U1〜U3が待機状態になる優先順位を記憶した記憶部17と、適正台数と現在の運転台数と優先順位とに基いて、対応の無停電電源装置Uを待機状態にさせるか運転状態にさせるかを判別する指令部16とを含む。したがって、1台の無停電電源装置Uの制御回路3が故障した場合でも、運転を継続できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は無停電電源システムに関し、特に、負荷に対して並列接続される複数の無停電電源装置を備えた無停電電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の無停電電源システムとしては、負荷に対して並列接続された複数の無停電電源装置と、それぞれ複数の無停電電源装置の出力電流を検出する複数の電流検出器と、複数の電流検出器の検出結果に基いて負荷電流を求め、その負荷電流を供給するために必要な無停電電源装置の適正台数を求め、適正台数の無停電電源装置だけを運転させる制御回路とを備えたものがある。このシステムでは、適正台数の無停電電源装置だけを運転させるので、効率の向上を図ることができる(たとえば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−124228号公報
【特許文献2】特開平2−303327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の無停電電源システムでは、複数の無停電電源装置に対して共通に1つの制御回路が設けられていたので、制御回路が故障した場合はシステム全体が故障してしまい、信頼性が低いという問題があった。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、適正台数を運転させることにより、システムの運転効率を向上させることが可能で、かつ信頼性が高い無停電電源システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る無停電電源システムは、負荷に対して並列接続される複数の無停電電源装置を備えた無停電電源システムであって、各無停電電源装置は、交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換するコンバータと、交流電源から交流電力が供給される通常時は、コンバータによって生成された直流電力を交流電力に変換して負荷に供給し、交流電源からの交流電力の供給が停止された停電時は、電力貯蔵装置からの直流電力を交流電力に変換して負荷に供給するインバータと、インバータの出力電流を検出する電流検出器と、電流検出器の検出結果に基いてコンバータおよびインバータを制御する制御回路とを備えたものである。複数の制御回路は通信回線によって互いに結合されている。各制御回路は、複数の電流検出器の検出結果に基いて負荷電流を求め、その負荷電流を供給するために必要な無停電電源装置の適正台数を求める演算部と、複数の無停電電源装置が待機状態になる優先順位を記憶した記憶部と、演算部によって求められた適正台数と現在の運転台数とを比較し、その比較結果と記憶部に記憶された優先順位とに基いて、対応の無停電電源装置を待機状態にさせるか運転状態にさせるかを判別し、待機状態にさせる場合は対応のコンバータおよびインバータの運転を停止させ、運転状態にさせる場合は対応のコンバータおよびインバータを運転させる指令部とを含む。
【0007】
好ましくは、各制御回路は、さらに、指令部によって対応のコンバータおよびインバータが停止されている時間を計測し、計測した時間が予め定められた時間に到達した場合に起動信号を出力するタイマを含む。指令部は、対応のタイマから起動信号が出力されたことに応じて対応のコンバータおよびインバータを起動させ、対応の無停電電源装置が待機状態になる優先順位を最下位にするとともに、他の各無停電電源装置の優先順位を1つ繰り上げる。各無停電電源装置の記憶部は、指令部によって変更された優先順位を記憶する。
【0008】
また好ましくは、各無停電電源装置は、さらに、対応の無停電電源装置の故障の有無を検出する故障検出器を備える。指令部は、対応の故障検出器によって対応の無停電電源装置の故障が検出された場合、対応の無停電電源装置を並列運転から解列させるか、または対応のコンバータおよびインバータを停止させ、対応の無停電電源装置を優先順位から除外し、他の各無停電電源装置が待機状態になる優先順位を1つ繰り上げる。各無停電電源装置の記憶部は、指令部によって変更された優先順位を記憶する。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係る無停電電源システムでは、各無停電電源装置の制御回路は、負荷電流を供給するために必要な無停電電源装置の適正台数を求め、その適正台数と現在の運転台数とを比較し、その比較結果と予め定められた優先順位とに基いて、対応の無停電電源装置を待機状態にさせるか運転状態にさせるかを判別し、待機状態にさせる場合は対応のコンバータおよびインバータの運転を停止させ、運転状態にさせる場合は対応のコンバータおよびインバータを運転させる。したがって、各無停電電源装置の制御回路が対応の無停電電源装置を待機状態または運転状態にさせるので、従来よりも信頼性が高くなる。
【0010】
好ましくは、各制御回路は、さらに、指令部によって対応のコンバータおよびインバータが停止されている時間を計測し、計測した時間が予め定められた時間に到達した場合は対応のコンバータおよびインバータを起動させ、対応の無停電電源装置が待機状態になる優先順位を最下位にする。この場合は、複数の無停電電源装置の運転時間を等しくすることができる。
【0011】
また好ましくは、指令部は、対応の無停電電源装置の故障が検出された場合、対応の無停電電源装置を並列運転から解列させるか、または対応のコンバータおよびインバータを停止させ、対応の無停電電源装置を優先順位から除外する。この場合は、1台の無停電電源装置が故障した場合でも、他の無停電電源装置の運転を継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施の形態1による無停電電源システムの構成を示す回路ブロック図である。
【図2】図1に示した無停電電源装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示した無停電電源装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】この発明の実施の形態2による無停電電源システムに含まれる無停電電源装置の構成を示すブロック図である。
【図5】図4に示した無停電電源装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】この発明の実施の形態3による無停電電源システムに含まれる無停電電源装置の構成を示すブロック図である。
【図7】図6に示した無停電電源装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[実施の形態1]
本発明の実施の形態1による無停電電源システムは、図1に示すように、複数(図では3つ)の無停電電源装置U1〜U3、複数のバッテリB1〜B3、および複数のスイッチSW1〜SW3を備える。無停電電源装置U1〜U3の各々は、コンバータ1、インバータ2、スイッチSW0、および制御回路3を含む。
【0014】
コンバータ1は、商用交流電源4から商用周波数の交流電力を受け、制御回路3によって制御される。コンバータ1は、商用交流電源4から交流電力が供給される通常時は、活性化状態にされて交流電力を直流電力に変換し、商用交流電源4からの交流電力の供給が停止された停電時は、非活性化状態にされる。
【0015】
バッテリBは、対応のコンバータ1の出力ノードと対応のインバータ2の入力ノードに接続される。バッテリBは、通常時はコンバータ1によって生成された直流電力を貯蔵し、停電時はインバータ2に直流電力を供給する。
【0016】
インバータ2は、対応のコンバータ1の出力ノードに接続され、制御回路3によって制御される。インバータ2は、通常時は、対応のコンバータ1によって生成された直流電力を商用周波数の交流電力に変換し、停電時は、対応のバッテリBからの直流電力を商用周波数の交流電力に変換する。
【0017】
スイッチSW0は、インバータ2の出力ノードと無停電電源装置Uの出力ノードとの間に接続され、制御回路3によって制御される。商用交流電源4からバイパススイッチ(図示せず)を介して負荷6に交流電力を供給するバイパス給電モード時には、スイッチSW0はオフされる。インバータ2によって生成された交流電力を負荷6に供給するインバータ給電モード時には、スイッチSW0はオンされる。また、無停電電源装置(たとえばU1)が故障した場合、無停電電源装置(この場合はU1)のスイッチSW0はオフされる。
【0018】
制御回路3は、通常時は、コンバータ1およびインバータ2を制御して交流電力を生成させ、停電時は、コンバータ1を停止させるとともにインバータ2を制御して交流電力を生成させる。
【0019】
また、制御回路3は、他の各無停電電源装置Uの制御回路3と通信ケーブル5によって互いに接続され、通信ケーブル5を介して他の各無停電電源装置Uと情報の授受を行なう。制御回路3は、複数の無停電電源装置U1〜U3の分担電流が等しくなるように、コンバータ1およびインバータ2を制御する。
【0020】
また、制御回路3は、複数のインバータ2の出力電流の和の電流すなわち負荷電流を求め、その負荷電流を供給するために必要な無停電電源装置の適正台数を求める。さらに制御回路3は、求めた適正台数と現在の運転台数とを比較し、その比較結果と待機の優先順位とに基いて、対応の無停電電源装置Uを待機状態にさせるか運転状態にさせるかを判別する。さらに制御回路3は、対応の無停電電源装置Uを待機状態にさせる場合は対応のコンバータ1およびインバータ2の運転を停止させ、対応の無停電電源装置Uを運転状態にさせる場合は対応のコンバータ1およびインバータ2の運転を継続させる。
【0021】
スイッチSW1〜SW3の一方電極はそれぞれ無停電電源装置U1〜U3の出力ノードに接続され、それらの他方電極はともに負荷6に接続される。スイッチSW1〜SW3は、常時オンされ、たとえば、それぞれ無停電電源装置U1〜U3のメンテナンス時にオフされる。
【0022】
図2は、無停電電源装置Uのより詳細な構成を示すブロック図である。図2において、無停電電源装置Uは、コンバータ1、インバータ2、スイッチSW0、および制御回路3の他、入力端子T1、バッテリ端子T2、出力端子T3、通信端子T4,T5、電圧検出器10,11、電流検出器12、操作部20、および制御電源21を備える。また、制御回路3は、演算部15、指令部16、記憶部17を含む。
【0023】
入力端子T1は、商用交流電源4からの交流電力を受けるとともに、コンバータ1の入力ノードに接続される。バッテリ端子T2は、コンバータ1の出力ノードおよびインバータ2の入力ノードに接続されるとともに、対応のバッテリBに接続される。出力端子T3は、スイッチSW0を介してインバータ2の出力ノードに接続されるとともに、対応のスイッチSW1,SW2,またはSW3を介して負荷6に接続される。
【0024】
通信端子T4は、演算部15および指令部16に接続されるとともに、通信ケーブル5を介して他の無停電電源装置Uの演算部15および指令部16に接続される。通信端子T5は、演算部15および指令部16に接続されるとともに、通信ケーブル5を介してさらに他の無停電電源装置Uの演算部15および指令部16に接続される。
【0025】
電圧検出器10は、入力端子T1の交流電圧VAC1を検出し、その検出値を示す信号を指令部16に与える。電圧検出器11は、出力端子T3の交流電圧VAC2を検出し、その検出値を示す信号を演算部15に与える。電流検出器12は、インバータ2の出力電流を検出し、その検出値を示す信号を演算部15に与える。
【0026】
演算部15は、電圧検出器11および電流検出器12の検出結果を通信端子T4,T5を介して他の2つの無停電電源装置の演算部15に送信するとともに、他の2つの無停電電源装置Uの電圧検出器11および電流検出器12の検出結果を通信端子T4,T5を介して受信する。
【0027】
また演算部15は、無停電電源装置U1〜U3の電圧検出器11および電流検出器12の検出結果に基いて、複数の無停電電源装置U1〜U3の分担電流が等しくなるように、指令部16を介してコンバータ1およびインバータ2を制御する。
【0028】
また演算部15は、複数のインバータ2の出力電流の和の電流、すなわち無停電電源装置U1〜U3から負荷6に供給される負荷電流を求め、その負荷電流を供給するために必要な無停電電源装置Uの適正台数を求め、求めた適正台数を指令部16に与える。
【0029】
記憶部17には、無停電電源装置U1〜U3が待機状態になる優先順位が格納されている。優先順位は、たとえば、無停電電源装置Uの番号順に設定される。この場合、無停電電源装置U1〜U3の優先順位は、それぞれ第1位、第2位、第3位である。
【0030】
指令部16は、電圧検出器10からの信号に基いて、商用交流電源4から交流電力が供給されているか否かを判別する。指令部16は、通常時は、コンバータ1およびインバータ2を制御して交流電力を生成させ、停電時は、コンバータ1を停止させるとともにインバータ2を制御して交流電力を生成させる。また、指令部16は、スイッチSW10を制御する。
【0031】
また、指令部16は、演算部15によって求められた適正台数と現在の運転台数とを比較し、その比較結果と待機の優先順位とに基いて、対応の無停電電源装置Uを待機状態にさせるか運転状態にさせるかを判別する。
【0032】
たとえば、適正台数が2台であり、現在の運転台数が3台である場合、指令部16は、運転台数を減少させるべきであると判別する。また、指令部16は、対応の無停電電源装置Uの優先順位に基いて、対応の無停電電源装置Uを待機状態にさせるか運転状態にさせるかを判別し、待機状態にさせる場合は対応のコンバータ1およびインバータ2を停止させ、運転状態にさせる場合は対応のコンバータ1およびインバータ2の運転を継続させる。
【0033】
たとえば、無停電電源装置U1の指令部16は、対応の無停電電源装置U1の優先順位が第1位であるので、対応の無停電電源装置U1を待機状態にさせるべきであると判別し、対応のコンバータ1およびインバータ2を停止させる。また、指令部16は、対応のコンバータ1およびインバータ2を停止させた場合は、その旨を他の無停電電源装置U2,U3の指令部16に伝える。
【0034】
無停電電源装置U2,U3の各々の指令部16は、対応の無停電電源装置(この場合はU2,U3)の優先順位がそれぞれ第2位および第3位であるので、対応の無停電電源装置Uを運転状態にさせるべきであると判別し、対応のコンバータ1およびインバータ2の運転を継続させる。
【0035】
逆に、適正台数が3台であり、現在の運転台数が2台である場合、指令部16は、運転台数を増加させるべきであると判別する。また、指令部16は、対応の無停電電源装置Uが待機状態である場合、対応の無停電電源装置Uを運転状態にさせる。
【0036】
たとえば、無停電電源装置U1の指令部16は、対応の無停電電源装置U1が待機状態であるので、対応の無停電電源装置U1を運転状態にさせるべきであると判別し、対応のコンバータ1およびインバータ2を運転させる。また、指令部16は、対応のコンバータ1およびインバータ2を運転させた場合は、その旨を他の無停電電源装置U2,U3の指令部16に伝える。
【0037】
操作部20は、たとえば操作ボタンを含む。システムの使用者は、操作部20を操作することにより、無停電電源装置Uを手動で運転したり、自動的に運転させることができる。また、システムの使用者は、操作部20を操作することにより、無停電電源装置Uの番号、無停電電源装置U1〜U3が待機状態になる優先順位などを記憶部17に書込むことができる。1台の無停電電源装置Uの操作部20を用いて優先順位を記憶部17に書込むと、その優先順位は指令部16によって全ての無停電電源装置U1〜U3の記憶部17に書き込まれる。なお、無停電電源装置Uの番号は、その無停電電源装置Uが設置された位置、順番などにより自動的に設定されるようになっていてもよい。
【0038】
制御電源21は、制御回路3に電源電圧を供給する。コンバータ1およびインバータ2が待機状態にされている場合でも、制御回路3は制御電源21からの電源電圧によって駆動され続ける。
【0039】
図3は、図2に示した無停電電源装置U1の動作を示すフローチャートである。図3のステップS1において、無停電電源装置U1の指令部16は、対応のコンバータ1およびインバータ2を運転させる。ステップS2において、電流検出器12は対応のインバータ2の出力電流を検出する。インバータ2の出力電流の検出値は、他の無停電電源装置U2,U3の演算部15に与えられる。逆に他の無停電電源装置U2,U3のインバータ2の出力電流の検出値が無停電電源装置U1の演算部15に与えられる。
【0040】
ステップS3において演算部15は、無停電電源装置U1〜U3のインバータ2の出力電流の検出値を加算して、無停電電源装置U1〜U3から負荷6に供給されている負荷電流を検出する。ステップS4において演算部15は、ステップS3で求めた負荷電流に基いて、負荷6を運転するために必要な無停電電源装置Uの適正台数を求める。たとえば、無停電電源装置Uの定格電流がIrであり、負荷電流がIrの1.5倍である場合は無停電電源装置Uの適正台数は2台である。
【0041】
ステップS5において指令部16は、ステップS4で求められた適正台数と現在の運転台数とを比較し、その比較結果に基いて、冗長性(並列冗長運転)を確保しつつ無停電電源装置Uの運転台数を増加させるか、減少させるか、維持するかを判別する。ステップS5において運転台数を増加させると判別した場合、ステップS6において停止中の他の無停電電源装置Uが起動される。
【0042】
ステップS5において運転台数を減少させると判別した場合、ステップS7において指令部16は、記憶部17に記憶された優先順位に基いて、自装置を停止させるか、自装置の運転を継続するかを判別する。ステップS7において自装置を停止させると判別した場合、ステップS8において自装置のコンバータ1およびインバータ2を停止させる。ステップS7において自装置の運転を継続すると判別した場合、ステップS1に戻る。
【0043】
この実施の形態1では、各無停電電源装置Uの制御回路3は、負荷電流を供給するために必要な無停電電源装置Uの適正台数を求め、その適正台数と現在の運転台数とを比較し、その比較結果と予め定められた優先順位とに基いて、対応の無停電電源装置Uを待機状態にさせるか運転状態にさせるかを判別する。したがって、各無停電電源装置Uの制御回路3が対応の無停電電源装置Uを待機状態または運転状態にさせるので、1つの制御回路3が故障した場合でも台数決定動作を継続できる。したがって、複数の無停電電源装置に1台の運転台数決定部が共通に設けられていた従来に比べ、信頼性が高くなる。
【0044】
なお、この実施の形態1では、本願発明が3台の無停電電源装置U1〜U3を備えた無停電電源システムに適用された場合について説明したが、これに限るものではなく、本願発明は4台以上の無停電電源装置Uを備えた無停電電源システムにも適用可能であることは言うまでもない。
【0045】
[実施の形態2]
図4は、この発明の実施の形態2による無停電電源システムに含まれる無停電電源装置Uの構成を示すブロック図であって、図2と対比される図である。図4を参照して、この実施の形態2では、各無停電電源装置Uの制御回路3内にタイマ18が設けられる。
【0046】
タイマ18は、対応の無停電電源装置Uが待機状態にされた時間を計測し、計測した時間が所定時間に到達したことに応じて起動信号を出力する。指令部16は、対応のコンバータ1およびインバータ2を停止させた後、起動信号に応答してコンバータ1およびインバータ2を起動させる。
【0047】
また、指令部16は、タイマ18からの起動信号に応答して、記憶部17に格納された優先順位を更新し、対応の無停電電源装置Uの優先順位を最下位にし、他の2つの無停電電源装置Uの優勢順位を1つずつ繰り上げる。
【0048】
たとえば、無停電電源装置U1の指令部16は、タイマ18からの起動信号に応答して、記憶部17に格納された優先順位を更新し、対応の無停電電源装置U1の優先順位を最下位にし、他の無停電電源装置U2,U3の優勢順位を1つずつ繰り上げる。すなわち、無停電電源装置U1〜U3が待機状態にされる優先順位は、それぞれ第3位、第1位、第2位に更新される。
【0049】
この状態で運転台数を1台減少させる場合は、無停電電源装置U2が待機状態にされ、所定時間経過後に無停電電源装置U2が運転状態にされ、無停電電源装置U1〜U3が待機状態にされる優先順位は、それぞれ第2位、第3位、第1位に更新される。
【0050】
この状態で運転台数を1台減少させる場合は、無停電電源装置U3が待機状態にされ、所定時間経過後に無停電電源装置U3が運転状態にされ、無停電電源装置U1〜U3が待機状態にされる優先順位は、それぞれ第1位、第2位、第3位に更新される。つまり、1台だけ待機状態にさせる場合は、無停電電源装置U1〜U3が1台ずつ順次待機状態にされ、待機状態にされる無停電電源装置Uが自動的にローテーションされる。
【0051】
また、システムの使用者は、操作部20を操作することにより、無停電電源装置Uの自動ローテンションを設定するか解除することが可能となっている。自動ローテーションを解除すると、この無停電電源システムは実施の形態1の無停電電源システムと同じになる。
【0052】
図5は、図4に示した無停電電源装置Uの動作を示すフローチャートであって、図3と対比される図である。図5のフローチャートは、図3のフローチャートのステップS8をステップS10〜S14で置換したものである。ステップS1〜S7は、図3で説明した通りである。
【0053】
ステップS7において自装置を停止すると判別した場合、ステップS10において指令部16は、操作部20によって自動ローテーションが設定されているか否かを判別する。自動ローテーションが設定されていない場合、ステップS11において指令部16は、自装置のコンバータ1およびインバータ2を停止させる。
【0054】
自動ローテーションが設定されている場合、ステップS12において指令部16は、自装置のコンバータ1およびインバータ2を停止させるとともに、タイマ18をスタートさせる。ステップS13においてタイマ18はスタートしてから所定時間経過後に起動信号を出力し、指令部16は起動信号に応答して自装置のコンバータ1およびインバータ2を起動させる。ステップS14において指令部16は、各無停電電源装置Uの記憶部17に格納された優先順位を更新し、ステップS2に戻る。
【0055】
この実施の形態2では、たとえば1台の無停電電源装置Uを待機状態にする場合、無停電電源装置U1〜U3を1台ずつ順次、待機状態にする。したがって、無停電電源装置U1〜U3の運転時間を均等化することができるので、待機状態にされる無停電電源装置Uが決められていた従来に比べ、各無停電電源装置Uの故障の発生を遅らせることができる。
【0056】
[実施の形態3]
図6は、この発明の実施の形態3による無停電電源システムに含まれる無停電電源装置Uの構成を示すブロック図であって、図4と対比される図である。図6を参照して、この実施の形態3では、各無停電電源装置Uに故障検出器20が追加される。
【0057】
故障検出器20は、対応の無停電電源装置Uの故障の有無を検出し、対応の無停電電源装置Uが故障した場合は故障検出信号を出力する。指令部16は、対応の故障検出器20から故障検出信号が出力された場合、スイッチSW0をオフさせて対応の無停電電源装置を並列運転から解列させるか、または対応のコンバータ1およびインバータ2を停止させる。
【0058】
また、指令部16は、対応の無停電電源装置Uを優先順位から除外し、他の各無停電電源装置Uが待機状態になる優先順位を1つ繰り上げる。たとえば、無停電電源装置U1〜U3の優先順位がそれぞれ第1位〜第3位である場合において無停電電源装置U1が故障したとき、無停電電源装置U1が優先順位から除外され、無停電電源装置U2,U3の優先順位がそれぞれ第1位および第2位にされる。
【0059】
図7は、図6に示した無停電電源装置U1の動作を示すフローチャートであって、図5と対比される図である。図7のフローチャートは、図5のフローチャートにステップS1A〜S1Cを追加したものである。ステップS1Aは、ステップS1とS2の間で行なわれる。
【0060】
ステップS1Aにおいて故障検出器20は対応の無停電電源装置U(すなわち自装置U)が故障しているか否かを検出し、故障していない場合はステップS2に進む。自装置Uが故障している場合は、ステップS1Bにおいて指令部16はスイッチSW0をオフさせて自装置Uを並列運転から解列させるか、または自装置Uのコンバータ1およびインバータ2を停止させ、ステップS1Cにおいて指令部16は自装置Uを優先順位から除外して優先順位を更新する。
【0061】
この実施の形態3では、実施の形態1,2と同じ効果が得られる他、故障した無停電電源装置Uをローテーションから除外することができる。
【0062】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0063】
1 コンバータ、2 インバータ、3 制御回路、4 商用交流電源、5 通信ケーブル、6 負荷、10,11 電圧検出器、12 電流検出器、15 演算部、16 指令部、17 記憶部、18 タイマ、20 操作部、21 制御電源、22 故障検出器、B バッテリ、SW スイッチ、T1 入力端子、T2 バッテリ端子、T3 出力端子、T4,T5 通信端子、U 無停電電源装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷に対して並列接続される複数の無停電電源装置を備えた無停電電源システムであって、
各無停電電源装置は、
交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換するコンバータと、
前記交流電源から交流電力が供給される通常時は、前記コンバータによって生成された直流電力を交流電力に変換して前記負荷に供給し、前記交流電源からの交流電力の供給が停止された停電時は、電力貯蔵装置からの直流電力を交流電力に変換して前記負荷に供給するインバータと、
前記インバータの出力電流を検出する電流検出器と、
前記電流検出器の検出結果に基いて前記コンバータおよび前記インバータを制御する制御回路とを備え、
複数の前記制御回路は通信回線によって互いに結合され、
各前記制御回路は、
複数の前記電流検出器の検出結果に基いて負荷電流を求め、その負荷電流を供給するために必要な無停電電源装置の適正台数を求める演算部と、
前記複数の無停電電源装置が待機状態になる優先順位を記憶した記憶部と、
前記演算部によって求められた適正台数と現在の運転台数とを比較し、その比較結果と前記記憶部に記憶された前記優先順位とに基いて、対応の無停電電源装置を待機状態にさせるか運転状態にさせるかを判別し、待機状態にさせる場合は対応のコンバータおよびインバータの運転を停止させ、運転状態にさせる場合は対応のコンバータおよびインバータを運転させる指令部とを含む、無停電電源システム。
【請求項2】
各前記制御回路は、さらに、前記指令部によって対応のコンバータおよびインバータが停止されている時間を計測し、計測した時間が予め定められた時間に到達した場合に起動信号を出力するタイマを含み、
前記指令部は、対応のタイマから前記起動信号が出力されたことに応じて対応のコンバータおよびインバータを起動させ、対応の無停電電源装置が待機状態になる優先順位を最下位にするとともに、他の各無停電電源装置の優先順位を1つ繰り上げ、
各無停電電源装置の前記記憶部は、前記指令部によって変更された前記優先順位を記憶する、請求項1に記載の無停電電源システム。
【請求項3】
各無停電電源装置は、さらに、対応の無停電電源装置の故障の有無を検出する故障検出器を備え、
前記指令部は、対応の故障検出器によって対応の無停電電源装置の故障が検出された場合、対応の無停電電源装置を並列運転から解列させるか、または対応のコンバータおよびインバータを停止させ、対応の無停電電源装置を前記優先順位から除外し、他の各無停電電源装置が待機状態になる優先順位を1つ繰り上げ、
各無停電電源装置の前記記憶部は、前記指令部によって変更された前記優先順位を記憶する、請求項1または請求項2に記載の無停電電源システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−31325(P2013−31325A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166831(P2011−166831)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(501137636)東芝三菱電機産業システム株式会社 (904)
【Fターム(参考)】