説明

無害化装置

【課題】 塩化ビニル等の混在している廃プラスチックを油化させ、油と残渣物を燃料化して完全自己完結させる熱分解に於いて、発生する塩化水素の無害化は可能か。
【解決手段】 熱分解によって発生する高温ガスに同伴する蒸気と塩化水素ガスとプラスチックより出るガスとをそれぞれ操作させて分離させ、凝縮により発生する有機塩素を無害化させる方法は塩化水素が保有する酸化攻撃力をダライ粉などで作られた無害化材で減亡させて無害化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は塩化物の混入している混在廃プラスチックを熱分解させることによって発生する塩化水素ガスが強酸となり、採油した油の中に存在する塩素を無害化させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
廃プラスチックの再利用される量がプラスチック生産量の60%が焼却と埋め立て処分にされている現状は、製品として市中に出回っている廃プラの収集、選別、輸送、保管等に問題があった。
【0003】
その原因は見掛け比重が非常に軽い、破砕した廃プラ固体小片の選別は可能でも的確な選別や排除が困難で総合させると結果として塩素が多い事になり、一度これらを液化させると均等な値になるが液体の中に塩素が混在する結果は変わらない。
この油と塩素の混在を除去又は無害化させることは出来ないか。
【0004】
実施されている選別方法は乾式と湿式があり、湿式は水路に廃プラを投入して軽い浮いたものをスクリーンで掻き上げ、沈んだものは廃棄されている。
乾式は遠心分離で投げ飛ばし、重い物は近くに軽い物は遠くに飛ぶ原理で選別するが同じ体積又は面積や厚みでない不揃いが原因で確実性に乏しい。
【0005】
選別された重い廃プラは主として埋め立てられている。埋め立てゴミの中には燃焼カロリーも総合で9000kcal程度含まれているが、この中に塩化ビニル破片が混入し、焼却させると塩化水素ガスが発生して問題になっている。
【0006】
湿式で選別した廃プラは廃プラ表面に水の付着でもって重量が重くなり、50%以上も水分がある。
従来未利用の分野に特別管理産業廃棄物である病院より出される感染性医療廃棄物があり、破砕後にオートクレーブで殺菌後の廃プラゴミも利用されずに埋め立てか焼却されている。
【0007】
この医療廃棄物の持つエネルギーは総合で1万kcalを上回る値であるが塩化物の混入によって再利用がなされていない。
燃焼ガスエネルギーの未利用の原因はやはり塩化水素の発生と塩化水素の酸化力を無害化する技術が進まなかったことである。
従来の技術のうち安価なことで消石灰を入れる程度があった。
【0008】
混在廃プラの出口はないか。出口の障害は塩化物の除去であるが固体で除去が難しいなら固体を液体に変え、液体中の塩素を除ければ良い。
熱分解中の高温ガス中の分離又は無害化が不可能なら冷却後の液を無害化出来ないか。
そこで金属切削屑と接触させて無害化させることを可能にした。
【特許文献1】 特開平10−315237 川崎重工業株式会社
【非特許文献1】 製鉄所廃棄物を利用した廃プラスチックの塩素除去
【非特許文献2】 ガス吸収および充填物データ集 日鉄化工機株式会社
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
解決しようとする問題点は混在する廃プラの固体を熱分解によって気体とし、凝縮により油と水と酸液とに分離させると塩化水素が水と化合して酸液となり、放置すると設備を腐食させる。この酸化力を弱め無害化させることは可能か。
【課題を解決するための手段】
【0010】
熱分解ガスを段塔1と段塔2に順次導き、その段塔1と段塔2の内部にガス吸収及び凝縮促進材として材質はSS材又はSC材の旋盤加工の削り屑、俗にいうダライ粉を前記段塔に充填する。
このダライ粉を籠に入れて籠ごと酸化させても良い。
【0011】
ダライ粉又は鋼製スクラップの小片で作られた無害化促進材は熱分解時に発生する酸化液の酸化力に攻撃されれば、前もって酸化鉄を作らなくても鋼の表面より酸化が進むため労せずして酸化鉄を作ることが可能である。
【0012】
ダライ粉などで作られた無害化材の形状は曲がりねじれ絡みつき適当な空間を作っている。この空間により接触面積の拡大とガス通気静圧は小さく圧損も少ない接触面積の大きい利点がある。
【発明の効果】
【0013】
段塔1と2の外槽を二重構造として二重筒のジャケットに冷却水を流して段塔の凝縮を助ける。
段塔1のガス入気口にデストリビューターとワイパーを設けて段塔内壁の焼付を防止し、段塔1のみでは凝縮しないガスは段塔1の塔頂より段塔2に入気して段塔2で完全に液化させる機能をダライ粉などで作られた無害化材の充填材が作用する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
無害化を促進させるダライ粉などで作られた無害化材ダラレットにより高温ガスがしだいに低温化して液化した液は油と水と酸液で段塔下部に置いた3相分離槽に滴下し、比重の違いを利用して酸と水と油に大別する。
この3液分離槽にもダラレットを入れて酸化力を減少させる。
【実施例1】
【0015】
混在廃プラスチックの熱分解に於いて塩化水素を含んだ熱分解高温ガスは熱分解機上部より連結させた段塔1に導かれる。熱分解温度は処理物の種別、混合比で変わるが混在廃プラの熱分解であるため最低限塩化ビニルの分解温度が望ましい。
【0016】
高温ガスは段塔1の側面よりデストリビューターを介して段塔1に導かれ、ワイパーで中寄せされてダラレットを収容する籠に高温ガスが移動する。
ガスに温度がある間は推進力があり、変化が起きた液滴と気相とが交わりながら推進力で塔頂に向かう。
【0017】
塔頂に上昇するガスは凝縮とガス接触を繰り返しながらダラレット内を通過して液化し、段塔槽内壁を濡らしながら上昇した未液化ガスは段塔1と段塔2を連結したダクト内で液化しながら段塔2の底部に侵入する。
【0018】
段塔1と2で抽出した水と酸液と油は段塔下の集油槽に集めて油水分離槽に移送するが、そのまま沈殿した重い水を抜いてPH装置で中和する。
移送した油の中にも塩素が残留するので更に沈殿塔に静止させて分離する。
油の中の除酸は省略する。
【0019】
段塔1と段塔2で抽出させたそれぞれの液体の比率は凝縮温度とガス温度によって大きく変化し、混在廃プラの内容によっても違ってくる。
段塔で液化しないガスは段塔1の塔頂よりダクトを介してノックアウトに導入し、ノックアウトにブーツを履かせて液化液を集める。
【0020】
ノックアウトドラムにより液化しない不生成ガスはシールドラムに導き、シールドラムの水中を潜らせたガスは大気に放出させる。
ノックアウトドラムの構造とシールドラムの水封により大気の逆流を防止する。なお前記ドラムの説明は本件に関係しないので省略する。
【0021】
段塔1と段塔2の機能により抽出して油水分離槽によって比重分離をさせた上澄み液は無害化槽に転送して無害化を図る。
無害化槽は耐酸性の処理を施して槽内に前記ダラレットをランダムに収容した簡単なもので、塩素の混じった油より塩素にダラレットを攻撃させて無害化を達成する。
【0022】
酸の混じった油とダラレットの酸化時間の関係によるため、無害化槽に静置させた油との接触時間は無害化槽能力を大きくするか時間を長く取るかで決まる。
無害化槽内に静置した液は更に水分が分離して槽底に沈み、上澄み液は完全に無害化を達成する。
【産業上の利用可能性】
【0023】
従来塩化物の混入割合が多い湿式、乾式での分級分離した重い廃プラ、シュレッダーゴミ又は医療廃棄物のように塩素量が多くて焼却することもエネルギーを再生することも不可能なゴミの熱分解後のガスにダライ粉などで作られた無害化材を与え、塩化水素の攻撃力を無能にしてTS−Z0025に準じた油と残った残渣物を紛炭として利用を可能にした。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
段塔1と段塔2の外槽を二重層として段塔1の中間より下部にガス入口と段塔下部に排液口と前記段塔1の塔頂部に排ガス口と段塔2の下部位にガス入気口を設けて連通させ、段塔1と段塔2の内筒内にブラケットとワイパーとデストリビューターとガス接触させる鋼製スクラップの小片又はSS材かSC材の機械加工廃材の切削屑を収容した請求項1の無害化装置。
【請求項2】
前記請求項1の段塔1と段塔2の排液口と油水分離槽又は集液槽とを結合し、前記分離槽及び集液槽内に前記鋼製スクラップの小片又は機械加工屑を収容した請求項1と2の無害化装置。
【請求項3】
前記請求項1と2により凝縮させた液を処理する油水分離槽又は集液槽上澄み液を反応槽に移送し、その反応槽内に前記鋼製スクラップの小片又は機械加工屑を収容した請求項1と2と3の無害化装置。

【公開番号】特開2013−87277(P2013−87277A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240628(P2011−240628)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(509301770)
【Fターム(参考)】