説明

無機物の回収方法と無機物の回収装置

【課題】廃家電製品に由来する複合体から金属要素などを効率的に回収する方法を提供する。
【解決手段】有機要素と無機要素からなる電気製品に由来する複合体(5)を触媒(6)と混合した混合物を作成し、触媒(6)による分解反応により複合体(5)に含まれている有機要素の少なくとも一部分を除去し、混合物から触媒(6)を分離して得られる残存物を無機要素として回収することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気製品に由来する複合体から無機物を回収する方法に関する。
「電気製品に由来する複合体」とは、電気製品自体、電気製品を構成する電気部品、電気製品または電気部品を分割する、例えば切断、破砕、圧潰等することによってより小さい寸法にしたものを含む概念を意味するものとして使用する。より具体的には、種々の電気製品(例えばテレビ受像機のような家電製品)、それを構成する種々の電気部品、ならびにこれらをより小さい寸法に分割したものを意味する。例えば、廃家電製品を処理する際に得られる電気部品、それを破砕等することによってより小さい寸法にしたものが「電気製品に由来する複合体」に含まれる。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境保護等の観点から、テレビ受像機等の電気製品に用いられている材料のリサイクルが叫ばれ、種々のリサイクル方法が検討されている。電気製品は、種々の電気部品を用いて構成され、そのような電気部品は、例えば金属要素(例えば種々の形態の銅要素)およびそれと一体化された絶縁材料の要素(種々の形態のプラスチック要素)から構成されている場合が多い。別の場合では、セラミック、ガラスのような無機材料の要素とプラスチック材料が一体化された電気部品もある。
【0003】
このような電気部品において、一方の要素から他方の要素を分離して、少なくとも一方の要素を有価物として回収して再利用することが上述のリサイクルの観点から望まれる。そして、このような再利用のための再資源化方法としては、特許文献1を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−311250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電気部品の破砕物を鉄または非鉄金属の原燃料として再利用する特許文献1に記載の再資源化方法では、破砕物に含まれている金属が、製造される鉄または非鉄金属に混入することになり、製造される鉄または非鉄金属の品質に影響を与えることがある。
【0006】
また、電気部品に使用されている金属は、その品質(例えば純度)は本来的に良いものであり、可能な限り、元の電気部品において使用されている品質に近い状態で金属を回収することが望ましいが、上述のような再資源化方法では、そのような回収を期待することはできない。
【0007】
金属回収の効率(単位時間当たりの処理量)を優先させる場合、電気製品を分解して電気部品を取り出し、マンパワーを用いて、そのような電気部品、例えばモータの巻線から有機要素として存在するプラスチック絶縁体を除去して銅線のような無機要素を有価物として回収して再利用することが行われている。この方法は、余りにも労働集約型の非効率的な方法である。
【0008】
本発明は、電気製品に由来する複合体から、短時間で可及的に効率的に無機要素、特に金属要素を有価物として回収し、また、回収される無機物の品質を、その無機物が電気機器において使用されていた時の品質に可及的に近い状態で回収できる回収方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の無機物の回収方法は、有機要素と無機要素からなる電気製品に由来する複合体を触媒と混合した混合物を作成し、前記触媒による分解反応により前記複合体に含まれている有機要素の少なくとも一部分を除去し、前記混合物から前記触媒を分離して得られる残存物を無機要素として回収することを特徴とする。
【0010】
具体的には、有機要素と無機要素からなる電気製品に由来する複合体と触媒を分解槽に投入し、前記複合体と触媒とが接触するように前記分解槽によって攪拌して前記触媒による分解反応により前記複合体に含まれている有機要素の少なくとも一部分を除去し、前記分解槽の内部で前記混合物から触媒を分離して得られる残存物を前記分解槽の外部へ搬出して無機要素として回収する。前記触媒よりも熱容量の大きな無機物を前記触媒に混合して前記分解槽に投入することが好ましい。また、前記触媒としては二酸化チタン触媒を挙げることができる。
【0011】
本発明の無機物の回収装置は、有機要素と無機要素からなる電気製品に由来する複合体を受け入れる筒状の分解槽と、前記分解槽の内部に投入され前記複合体と混合されて混合物となる触媒と、前記分解槽の内部に酸素を含んだガスを供給する供給管と、分解槽の内部で混合攪拌中の前記混合物の温度を目標温度に近付ける温度調節部と、前記分解槽の内部で発生した有機ガスを排気する排気装置と、記混合物から触媒粒子を分離して得られる残存物を前記分解槽の外部へ搬出して無機要素として回収するコンベアとを設けたことを特徴とする。また、前記触媒としては二酸化チタン触媒を挙げることができる。前記分解槽の内部に、混合物の中の前記複合体と触媒との接触頻度を高める羽根を設けることが好ましい。
【0012】
鋭意検討を重ねた結果、電気製品に由来する複合体から有価物を回収するには、光触媒として知られている二酸化チタン(TiO)などの触媒を用いて有機要素を分解することによって除去することが有用であることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0013】
なお、二酸化チタンが有機物を分解してガスとして除去できること自体は知られている。しかしながら、有機要素と無機要素からなる電気製品に由来する複合体から無機要素を有価物として回収する際に二酸化チタンなどの触媒を用いることは全く知られていない。
【0014】
従って、本発明は、有機要素と無機要素からなる電気製品に由来する複合体を触媒と接触させ、有機要素の少なくとも一部分を酸素雰囲気下における分解反応により除去することを特徴とする回収方法を提供する。除去できる有機要素は、実質的にその全部であることが望ましいが、一部分、例えば半分を除去する場合であっても、有機要素の量が減少した複合体を回収できることになり、その場合、回収した複合体を別の処理によって残りの有機要素を効率的に除去して最終的に無機要素を回収できるので、本発明の回収方法はその意味がある。例えば、回収した複合体をアルカリ処理、または酸処理して残りの有機要素を除去できる。別の態様では、残りの有機要素を燃焼除去してよい。
【0015】
本発明の回収方法において、有機要素とは、有機物で構成された要素であり、有機物とは、一般に炭素原子を構造の基本骨格に持つ化合物であるが、無機物と複合体を形成し得るものであって、触媒と接触することで分解され得るものであれば、特に制限されるものではない。そのような有機物として、具体的にはプラスチック樹脂(例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエステル、ポリスチレン、アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン、アクリロニトリル・スチレン、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリカーボネート等)、潤滑油、接着剤、塗料等を例示することができる。このような有機物でできた有機要素は、種々の形態および状況で後述する無機要素に接着、付着および/または係合等によって結合して一体となっている。従って、複合体において、無機要素から有機要素を物理的な力によって結合を断ち切り、無機要素を回収することは容易ではない。
【0016】
本発明の回収方法において、無機要素とは、無機物で構成された要素であり、無機物とは、一般に有機物以外の化合物をいい、上記有機物と複合体を形成し得るものであれば、特に制限されるものではない。そのような無機物として、具体的には金属(例えば鉄、銅、アルミニウム等)、セラミック、ガラス等を例示することができる。このような無機物でできた無機要素は、種々の形態(例えば線状、シート状、塊状、異形形状等)および状況で上述の有機要素と結合している。
【0017】
本発明の回収方法において、複合体とは、上述の有機要素と無機要素とが一体となったものであって、具体的には、モータコイル、ならびにこれらを分割して(例えば破砕して)小さいサイズにしたもの等を例示できる。
【0018】
本発明の回収方法において用いる触媒は、酸素雰囲気下で有機物を種々のガスに分解する分解反応を促進する触媒として周知のものを使用できる。具体的には、いわゆる光触媒として知られている二酸化チタンを使用できる。使用する触媒は、種々の形態の複合体との接触を確保する点から、粉末または粒状であるのが好ましい。なお、酸素雰囲気下とは、酸素が存在する条件下で分解反応を実施することを意味する。
【0019】
なお、複合体と二酸化チタン触媒が接触することによって有機要素の少なくとも一部分、好ましくはより多くの部分、より好ましくは実質的に全部が分解反応する条件を確保する。例えば、槽に複合体と触媒を入れて、これらを撹拌することによって実施してよく、撹拌の際に触媒と接触している有機要素に空気(または酸素)を効率的に供給する。例えば、槽内に空気(または酸素)を供給しながら、加熱下で複合体と二酸化チタン触媒とを撹拌して空気(または酸素)と一緒に混合する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の回収方法では、触媒を使用することによって電気製品に由来する複合体の有機要素を分解できるので、電気製品に由来する複合体に含まれている無機要素に特に大きな影響を与えることなく、それに結合している有機要素を選択的に分解して除去できるという利点がある。
【0021】
また、電気製品に由来する複合体と触媒を攪拌混合させる容器内に両者の接触頻度を高める羽根を設置することで複合体の有機要素の分解を促進させることにより短時間での処理、電気製品に由来する複合体からの単位時間当たりの無機要素の回収量を向上させるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の無機物の回収方法を実行する回収装置における処理対象の複合物投入時の断面図
【図2】図1の分解槽の断面図
【図3】分解槽の回転駆動中の回収装置の断面図
【図4】図3の分解槽の断面図
【図5】分解槽で処理された無機要素を搬出する時の回収装置の断面図
【図6】図5の分解槽の断面図
【図7】触媒フィルタの斜視図
【図8】攪拌羽根の形状を決定する実験装置の説明図
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1〜図6は本発明の無機物の回収方法を実施する回収装置の運転工程を示している。
図1と図2に示すように、円筒型の分解槽2の内部には、触媒としての粒状の二酸化チタン6が入っている。電気部品の破砕物であって有機要素と無機要素からなる複合体5の処理を開始する場合には、供給コンベア4により分解槽2の内部へ運ばれ、二酸化チタン6の上に撒かれる。
【0024】
そして図3と図4に示すように、分解槽2の内部から供給コンベア4を退去させるとともに、分解槽2の扉2aを閉じた状態で、分解槽2を駆動モータ10により一定方向に回転駆動する。処理開始の際には、加熱要素としての例えば電気ヒータ7により分解槽2を加熱して、複合体5と二酸化チタン6との混合物を処理に適した温度まで加熱する。
【0025】
二酸化チタン6の上に撒かれた複合体5は、分解槽2の内面に取り付けられた攪拌羽根1により二酸化チタン6と接触しながら分解槽2の回転方向へと持ち上げられ、図4に示すように分解槽2の上方から分解槽2の下方へ落下する。
【0026】
これによって、複合体5に含まれる有機要素は、二酸化チタン6の上に撒かれた後、攪拌羽根1により二酸化チタン6と接触することで加熱され、酸化分解される。なお、二酸化チタン6が適正な温度まで加熱されて複合体5の処理が開始されれば、複合体5の有機要素が二酸化チタン6との接触による分解により酸化分解される時に発生する酸化反応熱により温度が維持されるため、電気ヒータ7による加熱は処理開始の初期のみ行うように制御している。
【0027】
投入されて攪拌中の複合体5の有機要素は二酸化チタン6により酸化分解され、そのほとんどは二酸化炭素と水分になるが、ガス化した有機要素の一部は酸化されないまま後工程へ排気されることになる。これらの排ガス(メタン、エタンなどの可燃ガス、一酸化炭素など)には有毒な成分が含有されているため、分解槽2に隣接した位置に、多数の通気孔11a(図7を参照)が形成された触媒フィルタ11を通して、さらに還元・酸化触媒槽9を介して排気ブロア8によって分解槽2から排気する。触媒フィルタ11は、多数の通気孔11aが形成された枠体の表面に、二酸化チタンなどの触媒(図示せず)を溶射等の手段を用いて付着させて形成されている。この付着させる触媒の形状・大きさは、ガス化した有機要素との接触効率を高めるために粉状のものを付着させても良い。通気孔11aの形状が図7では通気方向の断面形状が四角形であったが、この断面をハニカム形状にすることもできる。
【0028】
触媒フィルタ11を分解槽2に隣接させて配置することで、触媒フィルタ11の温度を酸化反応に適した温度まで加熱させるために必要な加熱エネルギ(例えば電気ヒータによる加熱)を最小限に抑えることが可能である。また、ガス化した有機要素すなわち排ガスの温度低下も最小限に抑えることができる。
【0029】
このように、触媒フィルタ11を通過させることによって、複合体5から分解された有機要素を無害な排ガスとできるが、排ガス内に残った微量の一酸化炭素、窒素酸化物を無害化するために触媒フィルタ11の後ろに、還元・酸化触媒槽9を設置する。
【0030】
還元・酸化触媒槽9の触媒の構成は、複合体5の組成により適宜、選択すればよく、例えば、塩化ビニール樹脂(PVC)を含む複合体5を処理する場合は、二酸化チタン6との反応により発生する塩化水素を中和するための消石灰を触媒として用いる。
【0031】
排気ブロア8は、排ガスを排気すると共に分解槽2、触媒フィルタ11の内部を負圧に保つことで排ガスが外部に漏れることを防いでいる。
複合体5に含まれる有機要素の酸化分解を短時間で効率良く行うためには、攪拌羽根1により広範囲に素早く分散させると共に、酸化に必要な酸素を効率的に供給することが望ましい。そのため、分解槽2の内面に沿って、供給配管13を配置して二酸化チタン6の内部に酸素を供給している。この供給配管13からの吹き出しの供給圧力を高めることにより二酸化チタン6が堆積している部分を流動床のような状態にすることで、複合体5と二酸化チタン6の接触がより活発に行われる。また、酸化分解が行われる二酸化チタン6と複合体5の接触点に近傍に酸素を供給できるため酸化分解反応それ自体を促進する効果も期待できる。
【0032】
複合体5の分解速度を加速させるためには、二酸化チタン6への投入後、短時間で複合体5の有機要素がガス化する温度まで加熱させることが望ましい。また、複合体5と二酸化チタン6の接触頻度を高めるためには、二酸化チタン6の形状は複合体5に比べて出来る限り小さく、粉状であることが望ましい。これは、二酸化チタン6の粒状ではなく粉状にすることで、比表面積が飛躍的に増大するため、ガス化した複合体5の有機要素との接触という作用において非常に有効な手段である。この実施の形態では、粒状形の二酸化チタン6を使用している。
【0033】
二酸化チタン6の粒子径に対して、より大きな粒子径の複合体5を酸化分解させる場合、複合体5の有機要素は二酸化チタン6に比べて熱容量が大きいため、複合体5の投入量が過剰であった場合、両者が接触することで二酸化チタン6の温度が低下してしまう恐れがある。二酸化チタン6の温度が低下すると、酸化分解反応が活発に行われないため、酸化分解ではなく単なる熱分解による有機要素のガス化となる。熱分解によるガスはメタンやエタン等の可燃性ガスとなるため好ましくない。
【0034】
そこで二酸化チタン6の温度低下を防ぐために、二酸化チタン6より粒子径の大きなアルミナ、鉄などの無機物の加熱媒体12を一緒に分解槽2に投入して混合している。この加熱媒体12は複合体5に対してより大きな熱容量を有するため、複合体5の投入待ち時間などで二酸化チタン6の温度低下を緩和する作用も望める。
【0035】
分解槽2における二酸化チタン6との接触による酸化分解にて有機要素の少なくとも一部が複合体5から除去されて残った無機要素20は、図5と図6のようにして分解槽2の外部に搬出される。
【0036】
無機要素20の搬出は、扉2aを開放して回収コンベア3を分解槽2に侵入させる。攪拌羽根1により回転方向に持ち上げられた混合物は、回収コンベア3のベルト上に落下する。回収コンベア3の搬送ベルトはメッシュ(網目)のベルトにて構成されており、そのメッシュの大きさは二酸化チタン6の粒子径よりも大きいサイズに設定されている。
【0037】
そのため、二酸化チタン6は回収コンベア3の搬送ベルトを素通りして分解槽2に再び落下する。回収コンベア3の搬送ベルトを通過しなかったサイズのものは無機要素として分解槽2の外部に搬出される。
【0038】
なお、回収すべき無機要素のサイズが二酸化チタン6より小さい場合には、回収コンベア3のメッシュサイズを二酸化チタン6の粒子径より小さくして二酸化チタン6と無機要素を全量回収した後に、篩選別機等の方法を用いて二酸化チタン6と無機要素を分離することで無機要素の回収が可能である。
【0039】
複合体5の有機要素は二酸化チタン6との接触により分解される際に、反応熱を生成する。二酸化チタン6の温度を適正に維持するためには、反応熱により温度が高く成り過ぎた二酸化チタン6を冷却させる必要がある。そのため、回収コンベア3の直下に図4に示すような冷却水が流れている冷却管14を配置して、回収コンベア3のメッシュを通過した二酸化チタン6が冷却管14の間を通過するときに冷却管14と接触することで冷却を行う。
【0040】
なお、加熱媒体12は二酸化チタン6と一緒に攪拌され、その一部は回収コンベア3によって分解槽外へ排出されるが、篩等の選別手段で回収された無機物と選別することで再利用が可能である。また、分解槽2の後工程で排出される排熱を有効に利用することで、加熱媒体12の予備加熱した後に分解槽2の内部へ戻してやればよい。
【0041】
複合体5と二酸化チタン6の接触効率を高めるために攪拌羽根1の形状決定に際し実験を行った。
分解槽2のモデル容器2bの内部に、図8(a)に示すように基端から先端に向かって捻りをつけなかった攪拌羽根1aと、図8(b)に示すように基端から先端に向かって次第に捻りをつけて先端の基端に対する角度差が45°にした攪拌羽根1bとの2つについて、透明で同一寸法のモデル容器2bに、二酸化チタン6と複合体5に相当する樹脂ペレット5aを入れた。実験に際して、条件を一定にするために複合体は平面形状羽根、捩じり羽根、共に同じ樹脂ペレットを50粒投入して実験を行った。樹脂ペレット5aは4枚ある攪拌羽根と攪拌羽根の間に散らばらないように一箇所に集めて二酸化チタン6の上に撒いた。この状態でモデル容器2bを回転させ、一定時間ごとに回転を止めて、上方からモデル容器2b内の写真を撮影して二酸化チタン6と複合体5の混ざり具合(分散性)を測定した。
【0042】
混ざり具合の評価は、モデル容器2bの上方から撮影した写真から、単位面積当たり(縦横30mm)に存在する複合体5の数を数えて評価した。
実験の結果を下記の表に示す。
【0043】
【表1】

この表に示した結果のように、モデル容器2bを回転させてから、2、5、10、20秒後に容器を停止させて単位面積当たりの樹脂ペレット数を数えた。その結果、捻り45°の攪拌羽根1bの方が、広範囲に分散していることが確認できた。羽根を捩じることにより二酸化チタンと樹脂ペレットが羽根の長手(長さ)方向に活発に動き、容器の回転方向に対して下方向の羽根に落下する時間が長くなったことで分散が促進されている。
【0044】
なお、上記の実施の形態において、分解槽2の内部で混合攪拌中の混合物の温度を目標温度に近付ける温度調節部として、電気ヒータ7と冷却管14を設けたが、前記温度調節部はこれに限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、家電リサイクルによって回収された廃家電から無機要素を回収することによって限られた資源の有効利用、ならびにCOの削減に寄与できるものである。
【符号の説明】
【0046】
1 攪拌羽根
2 分解槽
3 回収コンベア
4 供給コンベア
5 複合体
6 二酸化チタン
7 電気ヒータ
10 駆動モータ
11 触媒フィルタ
12 加熱媒体
13 供給配管
14 冷却管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機要素と無機要素からなる電気製品に由来する複合体を触媒と混合した混合物を作成し、
前記触媒による分解反応により前記複合体に含まれている有機要素の少なくとも一部分を除去し、
前記混合物から前記触媒を分離して得られる残存物を無機要素として回収する
無機物の回収方法。
【請求項2】
有機要素と無機要素からなる電気製品に由来する複合体と触媒を分解槽に投入し、
前記複合体と触媒とが接触するように前記分解槽によって攪拌して前記触媒による分解反応により前記複合体に含まれている有機要素の少なくとも一部分を除去し、
前記分解槽の内部で前記混合物から触媒を分離して得られる残存物を前記分解槽の外部へ搬出して無機要素として回収する
無機物の回収方法。
【請求項3】
前記触媒よりも熱容量の大きな無機物を前記触媒に混合して前記分解槽に投入する
請求項2記載の無機物の回収方法。
【請求項4】
前記触媒が二酸化チタン触媒である
請求項1または請求項2に記載の無機物の回収方法。
【請求項5】
有機要素と無機要素からなる電気製品に由来する複合体を受け入れる筒状の分解槽と、
前記分解槽の内部に投入され前記複合体と混合されて混合物となる触媒と、
前記分解槽の内部に酸素を含んだガスを供給する供給配管と、
分解槽の内部で混合攪拌中の前記混合物の温度を目標温度に近付ける温度調節部と、
前記分解槽の内部で発生した有機ガスを排気する排気装置と、
前記混合物から触媒を分離して得られる残存物を前記分解槽の外部へ搬出して無機要素として回収するコンベアと
を設けた無機物の回収装置。
【請求項6】
前記触媒が二酸化チタン触媒である
請求項5に記載の無機物の回収装置。
【請求項7】
前記分解槽の内部に、混合物の中の前記複合体と触媒との接触頻度を高める羽根を設けた
請求項5に記載の無機物の回収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−120959(P2011−120959A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−278083(P2009−278083)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】