無段変速装置
入力軸(30、252)と、カム部材(38、248)と、カム部材と連係するトルク分割機構(66、258)と、入力軸へのトルクフィードバックを極力減らすために切り離される可動部品間の相対速度がほぼゼロのときにトルク分割機構を出力軸(120、282)に結合するためのトルク出力アセンブリ(90、280)と、を含む無段変速装置として使用されるトルク伝達機構。本発明は、変速システムに関し、より具体的には人力車両に特に適した機械式無段変速装置に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
技術分野
本発明は、変速システムに関し、より具体的には人力車両に特に適した機械式無段変速装置に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
入力に対する出力の比が連続的に変化することが有益なさまざまな用途において、動力および回転運動の伝達のために無段変速装置が使用される。変速装置は、利用可能な速度範囲にわたってシームレスな遷移を提供しようと試みる。この試みは、トルクおよび速度入力など、変速装置への入力が、乗り手が自転車のクランクを漕ぐことによって発生するような周期的変化を有する場合は特に難しくなりうる。
【0003】
自転車のペダルへのトルクおよび速度入力は、ほぼ正弦波形を有するペダルの回転の2倍の周波数で変化する。ペダル軸へのトルク入力はペダル軸の回転の正弦関数によって近似されるため、ペダルの平均RPMと標準的な自転車の自転車速度との間の関係は一定ではない。図1は、ペダルのクランク角度に応じた有効な踏力をポンド値で示したグラフである。このグラフは、自転車の車輪に対する踏力(両脚の合計)の効果をクランク角度に対してプロットしたものである。(非特許文献1を参照のこと)。
【0004】
自転車の乗り手は両脚がペダルに加える踏力が安定していると感じるかもしれないが、図1のグラフはその力が一定でもなく、安定もしていないことを示している。したがって、自転車用の変速装置は、入力と出力との間の有効比が滑らかな伝達を行い、乗り手に均一な感覚を与えるように、速度の周期的変化とその変化が反映されたトルクインパルスとに適応する必要があるだろう。
【0005】
この分野における技術の大部分は既に開発されている。これらの技術について、以下に詳しく説明する。これらのアプローチとして、可変速ベルト駆動装置、一般的な固定比率、離散比率、または連続比率(遊星)のギア駆動装置、トラクション駆動装置、インパルス駆動装置、周期的駆動装置などが挙げられる。さまざまな形態のトラクション駆動装置は、インパルス駆動装置などの他の概念に比して明確な利点がいくつかあるために人気のある改良型である。
【0006】
インパルス駆動装置は、可変ギア比を生成するために、調整可能なレバーアーム比に頼っている。このようなレバーアーム比は、負荷伝達要素がその間に介在する駆動および被動部材の偏心オフセットによって達成されることが多い。これらの負荷伝達要素は数が多く、レバーアーム比が所望どおりである短期間の間は負荷を交互に担持し、サイクルの残りの期間では一方向クラッチ、つめ車、または歯止めの使用によって緩める。この理由によって、これらの駆動装置は周期的駆動装置とも呼称される。複数の負荷伝達要素による負荷の交互担持と、根底にある運動学的動きとによって、インパルス駆動装置のサイクル中に速度が変化する。
【0007】
トラクション駆動装置は、駆動部材と被動部材との間に転がり半径比を使用することによって、滑らかな動作を提供する。トラクション駆動装置の最も単純な概念は、一緒に転がる2つの車輪であり、これは固定ギア比である。その動作は滑らかである。すなわち、ギア比の設定が固定されているため装置全体を通じて速度が変化しないので、一方向クラッチ、つめ車、または歯止めを使用する必要がない。
【0008】
トラクション駆動装置におけるギア比の連続的変化は、転がり半径を直ちに変更できる固有の形状を有する駆動部材および被動部材を用いることによって得られる。トラクション駆動装置は、回転入力部材から回転仲介部材を介した回転出力部材へのトルクの伝達によって特徴付けられることが多い。仲介部材が入力部材および出力部材にさまざまな半径で接触することによって、入力部材と出力部材との間の比が変わる。トルクは、入力部材と、出力部材と、仲介部材との間のトラクションまたは摩擦によってシステムを通って伝達される。トラクション駆動装置においては、ある圧縮力が加えられたときに固体になる流体を使用することによって、トラクションを強化できる。
【0009】
中間部材の使用によって、ギア比をさらに変化させ、ギアレンジを拡大する機会も提供される。1つまたは複数の部品の機械的調整によって転がり半径比を変える手段が設けられる。変速経路が一次負荷伝達経路に略直角であるため、トラクション駆動装置のシフトは比較的簡単である。Blake(特許文献1)、Lutz(特許文献2)、およびSchievelbusch(特許文献3)の各特許は、円錐型、ドーナツ型、およびボール型のトラクション装置をそれぞれ使用した自転車用のこのようなシステムの代表例である。
【0010】
KitchenおよびStoreyの特許(特許文献4)に開示されている装置は、半球形の幾何学的形状の使用によって特に小型化された工業用トラクション駆動装置の別の例である。この特許には、リバースギアなど、さまざまな効果を実現するための中間部材のさまざまな構成も示されている。
【0011】
このようなトラクション駆動装置は、十分に実証され、工業用に広範に用いられている。通常、これらのトラクション駆動装置は、トラクション機構に過負荷をかけてスリップを引き起こさないように、高速および低トルクにおいて最も有用であると考えられている。ただし、トルクの増加に伴い、マイクロスリップのために効率が低下する。また、トラクション駆動装置は、ギア比間のシフトが頻繁に行われる状況では使用されない。
【0012】
連続可変トラクション駆動装置の第一の欠点は、その作動のために摩擦に頼らなければならない点である。ギア比のシフト中は連続可変形状のためにギア歯を使用できない。工業用のトラクション駆動装置は一般に金属部品を使用するので、部品間の常圧が高いために摩擦が発生し、多くの場合、専用のトラクション流体によって摩擦がさらに増大する。有効なトラクションを発生させるために必要な常圧が高いために、負荷を引き受ける部品が重くなる。場合によっては、内部速度を上げ、必要なトラクションを減らすために入力ギア装置を使用するが、代償としてさらなるギアの噛み合いによって効率が低下する。金属の使用は、金属が極めて硬いことから、転がり軸受けのような部品を極めて高い精度で作る必要があるため、製造コストが上昇する。最後に、極めて硬い材料の使用および転がりの可変形状は、部品間の相対摺動を招くので磨耗に至る。確かに、上で言及した各特許例の発明は、おそらくこれらの理由のために、現在では市販されていない。
【0013】
トラクションによって作動する別のCVT駆動タイプは、一般的な雪上車用変速装置などの可変半径シーブ付きゴムベルト駆動装置である。これらの駆動装置は、以下に説明するように本発明が可能とする程度まで小型化も軽量化もされていない。また、これらのシステムでは、シフト装置に力がフィードバックされる。これは雪上車の場合は自動であるが、他の用途では厄介になりうる。
【0014】
トラクション駆動装置を自転車に適用する試みがなされてきた。ただし、従来のトラクション駆動装置は、トラクションを発生させるために必要な高い常用負荷に対応する必要があるために、重量の問題がある。提案されている1つのトラクション駆動装置は、トロイダルトラクション駆動装置として公知であり、トロイダル形状の駆動部材および被動部材と、負荷を伝達する中間ホイールとを使用する。デザインによっては、法線力に対応するために第3の部材を必要とする。これらのタイプの駆動装置の例は、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、および特許文献10に見られる。これらの駆動装置は、低い「スタッター」(入力回転とは周波数が異なる周期的変化のためにトルクフィードバックによって発生する振動など)、高効率、コンパクトな空間、大きなギアレンジなどの利点があるほか、トルク応答に対する自動化も行いうる一方で、接触負荷が大きいために重い部品を必要とすること、ゼロ速度でシフトできないこと、およびトロイダルトラクション駆動装置におけるシフト装置の力およびフィードバックが低いことなどの欠点もある。
【0015】
車両用の駆動ハブに対する特許文献2に開示されているようなボールトラクション駆動装置においては、駆動部材および被動部材が一般的なベアリングレースのような形状を有し、ボール(35)が負荷を伝達する。このようなデザインは、特許文献11にも開示されているように、法線力に対応するために第3の部材を必要とする。これらのデザインはスタッターが小さく、コンパクトかつ高効率であり、自動化が可能であり、ギアレンジが大きい一方で、全般的に接触負荷が大きいために重い部品を必要とし、ゼロ速度でのシフトが不可能であり、シフト装置の力およびフィードバックが低い。
【0016】
別のデザインは、特許文献12および特許文献13に開示されているように、ディスクトラクション駆動装置上にホイールを含み、ホイールは駆動部材を備え、被動部材は板またはディスクから形成されている。これらのデザインは、法線力に対応するための堅牢な第3の部材を備えていない。一部のデザインは、リアクション能力を高めるために事前に負荷が加えられた一対のディスクを使用することによって、スタッターを排除しやすくし、自動化またはトルク応答を容易にしている。ただし、これらのデザインは、他のデザインに比べて接触応力が高く、ゼロ速度ではシフトできない。
【0017】
他のデザインとして、リング・アンド・コーン式トラクション駆動装置およびボール・オン・ディスク式トラクション駆動装置が挙げられる。前者は工業用に広く使用されており、トラクション負荷トランスミッション付き円筒状リングに対して傾斜したコーンを使用し、このリングがコーンに沿って軸方向に動くことによってギア比を変えるので、スタッターが低り、効率が向上する。ただし、このデザインは自転車には大きすぎ、シフト機構が複雑であり、ギア比が限られており、ゼロ速度では変速できない。後者は、複数のボールによって負荷を伝達するために複数のディスクを使用する。したがって、負荷が分担され、接触応力が低減されるため、簡素化、部品数の削減、より簡単なシフト装置が実現されるが、大きなオフセット軸を複数必要とし、ゼロ速度ではシフトできず、ボールキャリア摩擦のために効率が低い。
【0018】
さらに別のデザインは、可変速摩擦ギア装置に関する上記の特許文献4に見られる。この特許では、第1および第2の半球形半体が駆動部材および被動部材を備え、その接触位置を球体の内側に沿って変える少なくとも一対のアイドラーホイールによってこれらの駆動部材と被動部材とが相互に接続されている。このデザインは自転車向けの用途には見込みがあるが、接触負荷が大きく、ゼロ速度でシフトできないという欠点がある。ただし、利点として、低いスタッター、コンパクトであること、部品点数が少なく、部品の製造が安価であること、高い効率、およびシフト装置の力およびトルクが低い小型駆動装置における6対1のギアレンジが挙げられる。
【0019】
別のタイプの変速装置では、入力回転部材と出力回転部材との間を周期的に接続することによってトルクを入力から出力に伝達する。このタイプの特徴は、一定の入力回転速度に対して、出力回転速度が周期的に変化する点である。ほぼ一定のトルク負荷が存在するときに、出力回転速度の周期的変化は入力へのトルク変化を反映する。この変化を軽減するために多くの方法が提案されてきた。これらの方法は一般に複雑な機構を含むが、これらの機構は変化を完全には排除しない。
【0020】
特許文献14には、無限に可変のポジティブな機械的変速装置が開示されている。第1の実施態様において、この装置は、入力軸からの動力を出力軸に伝達するために、入力軸上に取り付けられている揺動板を介して入力軸に結合されているアイドラギアに噛み合う出力軸上のギアと、揺動板とアイドラギアとの間に結合されているコネクティングロッドとを使用する。この特定のアプローチは、複数のギア、この場合は出力軸上のギアに噛み合う複数のアイドラギア、を必要とし、各アイドラギアはコネクティングロッドと一方向ギアまたはブレーキとを介して揺動板に結合される。
【0021】
別のバリエーションは、要素を装置の主回転入力軸から離すための偏心部材と、回転入力運動を回転出力運動に周期的に接続するためのクラッチとを使用する。このアプローチの一例は、変速装置としてのつめ車および歯止めの使用であろう。この装置では、つめ車に対する1つの歯止めの相対速度が別の歯止めの相対速度に追い付くと、1つの歯止めから次の歯止めに接続が引き渡される。つめ車と歯止めとの間の相対速度が最大のポイントで引き渡すために、偏心要素が使われる。この試みの欠点は、部品間の最大相対速度で速度が瞬間的に一致するために、つめ車と歯止めとの間で伝達される有効トルクに加え、極めて大きな力が発生することである。このため、出力にむらが出ることがあり、部品の磨耗が増えるので、より重く、より高価なパワートレイン構成要素が必要になる。
【特許文献1】米国特許第5,597,056号明細書
【特許文献2】米国特許第5,318,486号明細書
【特許文献3】米国特許第5,273,501号明細書
【特許文献4】米国特許第1,083,328号明細書
【特許文献5】米国特許第4,735,430号明細書
【特許文献6】米国特許第4,858,484号明細書
【特許文献7】米国特許第4,964,312号明細書
【特許文献8】米国特許第4,086,820号明細書
【特許文献9】米国特許第5,020,384号明細書
【特許文献10】米国特許第4,934,206号明細書
【特許文献11】米国特許第5,236,403号明細書
【特許文献12】米国特許第4,819,494号明細書
【特許文献13】米国特許第5,626,354号明細書
【特許文献14】米国特許第4,873,893号明細書
【非特許文献1】P.R.CavanaghおよびD.J.Sanderson共著「The Biomechanics of Cycling:Studies of Pedaling Mechanics of Elite Pursuit Riders」、Science of Cycling,p.91−102
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0022】
発明の簡単な概要
開示されている本発明の各実施態様は、従来の変速装置の問題を克服するばかりでなく、滑らかな動作と、容易なシフト操作と、有効ギアレンジの拡大という利点も維持している。本発明の一実施態様によると、機械的回転無段変速装置が提供される。この変速装置は、非回転筐体と、筐体に回転可能に取り付けられ、入力トルクを受け入れるように構成されている中心車軸と、中心車軸に結合されているトルク分割機構と、トルク分割機構を制御するために筐体に結合されている制御機構と、トルク分割機構に結合され、出力に選択的に結合されるクラッチ機構とを含む。理想的には、このトルク分割機構が中心車軸と共に回転し、トルク分割機構によって引き起こされた何れかの変化が入力回転に組み合わされて出力される。入力へのトルクフィードバックを極力減らすために、相対速度がゼロの点またはその近辺で、クラッチがトルク分割機構の複数のセクション間でシフトする。
【0023】
本発明の別の実施態様によると、筐体と、筐体に回転可能に取り付けられたトルク入力軸と、筐体に取り付けられ、入力軸に対して相対的に動くように構成されたカムと、入力軸の長手方向軸に対してカムを動かすための装置と、入力軸と同軸の第1および第2のシャトルアームであって、各シャトルアームの軸の第1の端にレバーが設けられ、第2の端にクラッチ入力装置が設けられた第1および第2のシャトルアームと、第1および第2のシャトルアームのレバーに結合され、さらにカムにも結合されている第1および第2のフォロワと、第1および第2のシャトルアームの第2の端に設けられたクラッチ入力装置を交互に出力軸に接続するように構成されているクラッチ出力装置と、を含む機械的カム・アンド・クラッチ無段変速装置が提供される。理想的には、第1および第2のシャトルアームの第2の端に設けられているクラッチ入力装置の出力軸への交互接続は、連結される可動部品間の相対速度がゼロの点で行われる。
【0024】
軸と共に回転し、偏心移動可能なカム上のフォロワによって側方に移動されるシャトルによって、レバーが回転移動されることが好ましい。シャトルのこの動きによってレバーが移動すると、同心の各シャトルアーム軸が主軸に対して交互に順行期間および逆行期間に入る。入力軸の回転に回転運動を加えるか、減じるかに応じて、順行期間または逆行期間のどちらかにおいてクラッチが、レバーと、シャトルと、カムとによって駆動される同心の各シャトルアーム軸を出力に交互に接続することによって、平均速度が増加または減少する。
【0025】
本発明の別の実施態様によると、筐体と、筐体に回転可能に取り付けられ、入力トルクを受け入れるように構成された中心車軸と、トルクを中心車軸から分割するために筐体に結合されたカムと、筐体に取り付けられたカムの偏心距離によって駆動される往復運動機構とを備えるトルク分割機構と、トルク分割機構を制御するために筐体に結合された制御機構と、往復運動手段を選択的に出力に結合するためのクラッチ機構と、を含む回転力伝達装置が提供される。理想的には、往復運動機構内の可動部品間の相対速度がゼロのときに、クラッチ機構が中心車軸を出力に1:1の比で結合する。
【0026】
本発明の別の実施態様によると、筐体と、筐体に回転可能に取り付けられたトルク入力軸と、筐体に取り付けられて、入力軸の長手方向軸を横断する方向に動くように構成されたカムと、入力軸の長手方向軸に対してカムを動かすための装置と、入力軸と共に回転するように入力軸に取り付けられたシャトルキャリアを備えるトルク伝達機構と、軸に装着されてシャトルキャリアおよびカムと連係するシャトルアセンブリであって、入力軸とは独立して回転するように入力軸に装着されたシャトルフォロワを含むシャトルアセンブリと、入力軸に回転可能に装着されて、互いに同軸であり、かつ入力軸とも同軸である第1および第2のトルク伝達軸であって、トルク伝達軸をシャトルフォロワに結合するためのカップリング装置が各軸の第1の端に設けられ、クラッチ入力装置が各軸の第2の端に設けられ、および第2の軸の第2の端に設けられた第1および第2のトルク伝達軸と、第1および第2のトルク伝達軸の第2の端に設けられたクラッチ入力装置を交互に出力軸に接続するように構成されたクラッチ出力装置と、を含む機械的カム・アンド・クラッチ式無段変速装置が提供される。
【0027】
本発明の別の実施態様によると、筐体と、筐体に回転可能に取り付けられ、入力トルクを受け入れるように構成されている中心車軸と、筐体に取り付けられたカムと、中心車軸へのトルク入力を分割するためにカムの偏心距離によって駆動される往復運動機構を備えるトルク分割機構と、カムを制御するために筐体に結合されている制御機構と、往復運動機構を選択的に出力に結合するクラッチ機構と、を含む回転力伝達装置を有する車両が提供される。往復運動機構は、シャトルフォロワと連係する一対のロッカーアーム、またはシャトルフォロワとこれに結合された一対のトルク伝達軸とを有するシャトルアセンブリの形態にできると理想的である。
【0028】
車両は、自転車、車椅子、モータ付き車両、または飛行機とすることができ、本発明は人力、燃焼機関、電動機、またはトルク入力を供給できる何れかの装置などの原動機によって動力が供給される機械で使用されるようにできるが、他の形態の入力を使用することも、他の形態の入力をトルク入力に変換することもできることを理解されたい。
【0029】
本発明のさらに別の実施態様によると、入力トルクを受け入れるための入力軸と、固定カム部材と、このカム部材に作動的に結合され、入力トルクを第1の出力トルクと第2の出力トルクとに分割するように構成されているトルク分割アセンブリと、このトルク分割アセンブリに結合され、第1の入力トルクを出力軸に結合し、この出力軸に結合されるトルク分割アセンブリの可動部品間の相対速度がゼロのときに第2の出力トルクを出力軸に結合するトルク出力アセンブリと、を含むトルク伝達機構が提供される。
【0030】
上記から容易に理解されるように、開示されている本発明の各実施態様においては、中心車軸が回転している間、筐体は静止しているので、筐体に取り付けられている偏心カムは筐体に対して回転しない。カムが回転しないので、偏心要素が円形である必要はない。クラッチは、接続される部品間の相対速度がほぼゼロであるサイクル中の期間に入力と出力との間で周期的に接続される。したがって、要素間の力は、その時点において装置を通じて伝達されるトルクに限定される。
【0031】
これらの装置は本質的に入力から出力への回転の周期的変化を有するので、偏心要素を円形以外、すなわちカム形状にできるため、サイクルのスピードアップ(加速)部分またはスローダウン(減速)部分の位置および比率を変更でき、入力と出力との間の連続可変平均速度比を実現できる。速度変化とペダル踏力との位相を合わせることによって、自転車の乗り手に対する明らかな悪影響を極力減らすことができる。より具体的には、この要素構成は変速装置を介してトルクの一部だけを逸らすことによって速度の変化を実現するので、変速装置に対する乗り手の主観的感覚を操作することができる。上記のように偏心部材を使用して出力速度を変化させる機械的無段変速装置が多年にわたって提案されてきたが、これらの従来のシステムにおいてはどれも利用可能なレシオ範囲にわたって周期的駆動装置に固有の周期的変化の位相が維持されてこなかった。結果として、周期的変化の周波数がペダリング周波数と異なり、ペダリング周波数と位相が合わないので、乗り手が振動を感じる。開示されている本発明の各実施態様は、トルク分割構成によって位相差をほぼゼロにする。
【0032】
したがって、本発明は、高い効率、サイズの縮小、部品点数および部品重量の削減、製造費の削減、容易な組み立て、およびその耐久性による長寿命を実現する。1:1比でのトルク分割がない適性トルクの伝達、偏心部材の位置変更を電子的または手動で行うカムシフト機構によって分割されたトルクの印加、および接続部品間の相対速度がゼロの点でクラッチシフト機構を介した周期的接続によって、乗り手にとって自然な感覚が実現される。本発明の変速装置はトルク分割が一定の装置ではないので、乗り手は、本発明と従来のスプロケットおよびチェーン機構との差をほとんど感じないであろう。
【0033】
本発明の上記および他の特徴および利点は、添付図面と共に以下の詳細説明からさらに理解されることによって、さらに評価されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
発明の詳細な説明
開示されている本発明の各実施形態は、自転車などの回転入力を有する人力車両に適している。本発明の各実施形態は、人力自転車というコンテキストで説明されているが、図1に図示されているほぼ正弦波形の入力形態の回転入力を受け入れる他の装置にも適用可能であることを理解されたい。
【0035】
本発明の実施形態はどれも全波整流器として機能し、クラッチは整流素子として働き、人力原動機の1ストロークによって生成される印加トルクの各完全サイクルごとに入力される擬似正弦波形のトルクを平滑化する。一実施形態においては、カムとカムフォロワとの連係によって引き起こされる動きに対応するシャトルまたはロッカーアームの動作によって複数の同軸シャフトが互いに逆回転する。各同軸シャフトの出力端のクラッチは、この動きを一方向(順方向)にのみ伝達することによって整流装置として働く。上記のように、以前に提案された、内部周期が平均速度比で周期的に変動する装置は、入力トルクとは異なる周波数のフィードバックトルクによって引き起こされる許容しがたい振動を発生させる傾向がある。本願明細書で開示される変速装置は、トルク分割という性質によってゼロ位相差を維持する並列内部機構を使用する。
【0036】
図2において、本発明の一実施形態により形成された変速装置20が図示されている。変速装置20は、左側カバー24と右側カバー26とが各側面に取り付けられた円筒状の筐体22を有する。左側カバー24から上方に制御ユニット28が突出している。制御ユニット28については以下に詳細に説明する。主軸すなわち車軸30が変速装置20を通って延在し、対応するペダルクランク(図示せず)の各端に接続される。自転車の後輪に従来の方法で結合されるスプロケット・駆動チェーン(図示せず)を受け入れるようになっているスプロケット駆動装置を設けることができる。レセプタクル32は、最大オフセット時のカムの動きを制限するためのリミットスイッチを収容する。カムのオフセットを制御して速度範囲を変えるためのワイヤがハンドル(図示せず)上の制御装置から制御ユニット28まで延在する。レセプタクル32は、制御装置(図示せず)からの制御信号を制御ユニット28に運ぶための電気系プラグを収容するために、左側カバー24に設けられている。
【0037】
次に図3および図4において、図2に関して説明した変速装置の外面的特徴が図3の分解図および図4の組み立て後の断面図から分かる。車軸30は、左側カバー24の開口部(図示せず)を貫通して延在する。カムアセンブリ34が左側カバー24の内側に取り付けられる。より具体的には、カムアセンブリ34は、左筐体24に枢着されるカム偏心体36と、車軸30に装着され、カム偏心体36の内側に収容されるカムリング38とを含む。
【0038】
カム偏心体36の一方の側面には円筒状のスリーブ40が形成され、カム偏心体36がスリーブ40を中心に枢動するように、スリーブ40は左筐体24に収容される。カム偏心体36の枢動は、制御ユニット28によって実現される。入力軸の中心線からカムの枢支点までの距離は任意である。
【0039】
この実施形態に示されているように、制御ユニット28は、カムアクチュエータウォーム48に係合するカップリング46によってモータマウントブッシング44に取り付けられる電動機42を含む。電動機42はDCモータであることが好ましい。左側カバー24に形成されたアクチュエータ筐体52にカムアクチュエータウォーム48を取り付けるとき、カムアクチュエータウォーム48の突出端にブッシング50を嵌める。スリーブ40を枢支点としたカム偏心体36の枢動を制御するために、カムアクチュエータウォーム48はカム偏心体36に従来の方式で係合する。制御ユニット28は、作動中にカムアセンブリ34に加わる力によって押し戻されないように構成されている。
【0040】
好適な一実施形態において、左側カバー筐体24の締め付けボルトの位置によって、左側カバー24を15度回転できるので、変化したトルク出力を生成および変更できる。これはテストにのみ使用されることが理想的である。さらに、カム偏心体36のストロークの端とクラッチ間のシフト点との間の位相合わせを変えることによって、トルクサイクルの加速または減速部分の変更も可能である(下記)。
【0041】
理想的には、カムアクチュエータウォーム48は、カム偏心体36の側面に形成されたギア歯に嵌るように構成される。DCモータ42がウォームを回転させると、カム偏心体36が上下に動いて、車軸30の軸中心とカムリング38付きのカム偏心体36の軸中心との間の偏心距離を変える。2つのマイクロスイッチを使用することによって、この偏心距離を制限すると共に、カム偏心体36がマイクロスイッチに当たったときにモータの回転方向を変えることもできる。DCモータ42への電力が中断するか得られない場合、たとえばバッテリが上がった場合などは、カムアクチュエータウォーム48を調整ハンドルによって手動で作動させることもできる。
【0042】
モータ42およびカムアクチュエータウォーム48の動きに応じて、カム偏心体36はカムリング38を動かす。カム中心と車軸30との間の偏心距離によって、トルクの増減量が決まる。原動機、この事例では乗り手である人間、が複数のヘテロダイン波形の入力トルクの振幅を変化させるのは、偏心部材36が入力回転に対するその角速度と車軸30までのその半径方向位置とを変化させるからである。内部機構によって負荷に対するトルクが増減されるので、結果として速度が増減される。
【0043】
カムアセンブリ34の偏心位置がゼロのとき、変速装置20は内部での直線往復運動がない直接駆動装置として作動する。
【0044】
上記のように、カム38は入力軸と共に回転しないので、円形である必要はない。したがって、カム38の形状を変更することによってトルク出力比率を変えることも、所望される場合は、入力回転と出力回転との間を直接的な関係以外、たとえば入力と出力との間をほぼ直線的な関係にすることもできる。
【0045】
図から分かるように、カム偏心体は左側カバー24上の一点に枢止されるので、カムアクチュエータウォーム48はカム偏心体36の中心をY軸を中心に、車軸30の中心にある原点から多少X軸に近い位置に動かす。このX方向の移動によって、可動部品間の位相関係がゼロになる点と最大トルク負荷とを変えることができる。以下に図示し、詳細に説明するように、スロット内を移動する矩形キャリアをカムディスクと併用すると、移動方向をY方向のみに限ることができるので、カムを車軸30に対して直線的な経路上を案内することもできる。直線的な摺動は、1つの代替案である。
【0046】
横板56と、その両端から右側カバー26に向かって延在する第1および第2の側板58、60とを有するシャトルキャリア54を車軸30上に形成するか、または車軸30に取り付ける。隣接する側面62には、横方向に半円形のスロット64が形成されている。
【0047】
シャトル66は、車軸30上に摺動可能に収容され、シャトルキャリア54に合わさる寸法と形状とを有する。シャトル66は、平行な第1および第2の側壁70、72によって両端がつながっている対向する一対の細長い側壁68を含む。シャトル66の細長い側壁68のそれぞれにカムフォロワ74が1つずつ形成され、この一対のカムフォロワ74がシャトル66からシャトルキャリアに向かって延在する。カムフォロワ74は、シャトルキャリア54に設けられた横方向スロット64に摺動可能に収容され、カムアセンブリ34と連係する寸法および形状を有する。シャトル66の内部76は中空であり、第1および第2の側壁70、72の内側にそれぞれ溝78が形成されている。
【0048】
シャトル66はシャトルキャリア54内に摺動可能に収容されるように構成されているので、カムアセンブリ34内のカム偏心体36の動きに応じて、カムフォロワは車軸30を横切る方向にシャトル66を動かすことができる。したがって、車軸30が回転すると、取り付けられているシャトルキャリア54も回転し、係合しているシャトル66もシャトルキャリアと共に回転するが、カムアセンブリ34の動きに応じてカムフォロワが横方向スロット64内を動くので、シャトル66は横方向に動くことができる。カムフォロワはカムリング38の表面に沿って移動する。スロット64は下記のカムフォロワのための隙間にすぎない。
【0049】
第1のシャトルアーム80は、車軸30に摺動可能に装着され、車軸30を中心に独立して回転する。より具体的には、第1のシャトルアーム80は細長い軸82を含む。この軸82には、車軸30に摺動可能に装着される寸法と形状とを有する穴が長手方向軸線に沿って設けられている。軸82の一端には、第2の側壁72に形成された溝78の内側に摺動可能に収容される寸法と形状とを有する第1のフォロワ84が取り付けられる。この実施形態において、第1のフォロワ84は、細長い軸82の長手方向軸に平行な軸を中心として回転するように取り付けられたローラから成る。第2のシャトルアーム86がパススルーアセンブリと共に車軸30に装着される。第2のシャトルアーム86は、第1の側壁70の溝78の内側に摺動可能に収容されるローラ形態の第2のフォロワ88を含む。この収容方法は、第1のフォロワ84が第2の側壁72の溝78内に収容されるのと同じ方法である。第2のシャトルアーム86は、細長い軸82の軸線および車軸30の軸線と同心の軸線を中心に回転する。第1のシャトルアーム80と第2のシャトルアーム86とは、互いに独立して、また車軸30からも独立して車軸30の周囲を回転する。
【0050】
車軸30の回転に伴い、シャトル66がシャトルキャリア54と共に回転し、第1および第2のシャトルアーム80、86も回転する。カム偏心体36の長手方向軸が車軸30の長手方向軸(ひいては第1および第2のシャトルアーム80、86の長手方向軸)と一直線上にあるとき、車軸30と、シャトル66と、第1および第2のシャトルアーム80、86との間には相対移動がない。ただし、カム偏心体36が制御ユニット28によって枢動されて車軸30からどちらかの方向に軸心がずれると、カムフォロワ74はカムリング38の表面に沿って回転移動し、シャトル66は車軸30と共に回転しながら、横に往復運動すなわち揺動する。シャトル66のこの横方向への搖動によって、第1および第2のシャトルアーム80、86が互いに逆回転を繰り返す。
【0051】
クラッチアセンブリ90は、内側のクラッチディスク92と、外側のクラッチディスク94と、これらの間に位置するクラッチシフト装置96とを含む。クラッチアセンブリ90は、さらに円形のクラッチカム98を含む。クラッチカム98は4つのピン100を介してシャトルキャリア54に連結される。クラッチカム98の外面には、環状溝102が形成されている。環状溝102の位置は、クラッチカム98の第1の円形半体では、クラッチカム98の左側面104に位置し、クラッチカム98の反対側の円形半体では、クラッチカム98の右側面106に隣接する。溝102は、クラッチカム98の左右側面104、106の間に滑らかな移行部を含む。
【0052】
フォロワ108は、溝102内に嵌る寸法と形状とを有する。フォロワ108はクラッチシューアセンブリ112上に取り付けられ、溝102内に嵌ると、クラッチシューアセンブリ112を軸線方向に前後に動かす。クラッチシフト装置96は壁116のU字形溝110に挿入される。クラッチシューアセンブリ112が前後に移動すると、クラッチシフト装置96を前後に移動させて、クラッチシフト装置96をクラッチディスク92または94のどちらかに係合させる。加速モード時、クラッチは順方向(加速)ディスクを選択して係合する。減速モード時、クラッチは同心軸の半回転ごとに減速ディスクを選択して係合する。クラッチシューアセンブリ112は弧状の側壁114を有する。側壁114の半径は、筐体22内に摺動可能に収容される寸法および形状である。弧状の側壁114から半径方向にU字形の横壁116が延在し、その面に上記の溝110を含む。
【0053】
クラッチカム98の回転によって、カムフォロワ108が軸方向に搖動し、クラッチシューアセンブリ112が軸方向に前後に動かす。クラッチカム98はシャトルキャリアに取り付けられ、キャリアの回転に伴って回転する。クラッチカム98は、軸方向には動かない。クラッチシフト装置96は、クラッチシューアセンブリ112の動きに応じて車軸30に沿って軸方向に摺動する。クラッチシューアセンブリ112は、筐体122内に取り付けられたシュースライダ122に乗って動く。
【0054】
スプロケットドライブ120はスプロケット(図示せず)に直接接続され、5つのピン118を介してクラッチシフト装置96に直接結合される。
【0055】
各クラッチディスク92、94はそれぞれ第1および第2のシャトルアーム80、86に結合される。車軸30の回転に応じてクラッチカム98が回転すると、クラッチシューアセンブリ112がクラッチシフト装置96を動かして、内側および外側のクラッチディスク92、94のどちらかに交互に係合させる。構成要素間の相対移動がゼロのときに、クラッチシフト装置96が内側および外側のクラッチディスク92、94に係合するので、応力が減り、係合が円滑化される。
【0056】
スロット付きシャトルの代わりに、スロット付きアームを有するピン留めシャトルの使用も可能であることを理解されたい。別の代替案においては、2つのラックと2つのセクタギアとを有するシャトルを使用できる。ギア歯の強度が最大トルクを十分に支えられる場合は、シャトル上のカム機構の内側にギア機構を使用できる。トルク出力比率を変更するために、ラックは線形である必要はない。2つのギアラックが取り付けられ、ペダル軸と同心の2つのピニオンギアを囲んで係合するので、このシャトルの動きは直線運動に拘束される。これらのギアラックは、軸の両側のピニオンギアに係合するために、互いに軸方向にずれている。各ギアはオーバラン式クラッチに取り付けられ、チェーンを介して後輪を駆動する出力スプロケットに接続されている同心の別の共通軸を駆動する。
【0057】
さらに別の代替案においては、帯金と複数のアームとを使用できる。アームの代わりに、2つの帯金をシャトルの内側に取り付ける。
【0058】
開示されている本発明の実施形態においては、カム38と車軸30との間にオフセットがないとき、車軸30を介して入力された全トルクが出力に伝達されるので、トルク分割は行われない。カム38と車軸30との間にオフセットがある場合は、入力トルクのバランスが回転運動で維持されたまま、このオフセットによってトルク入力の一部がフォロワ74を介してシャトルの直線運動に変換される。次に、この直線運動が(オフセット方向に応じて)回転運動に加えられるか、または減じられることによって、加速または減速される。クラッチシステムは適切なクラッチディスクを選んで出力に係合させる。このシステムは、内側および外側のクラッチディスク92、94とそれぞれ周期的に係合することによって出力を一方向の回転にする。言い換えると、半サイクルごとに、クラッチシフト装置96は、クラッチディスク(92、94)からクラッチシフト装置96へのトルクの伝達を一方のクラッチディスク(92、94)だけに限る。クラッチカム98はシャトルキャリア54に直接接続され、クラッチシューアセンブリ112はシュースライダ122に沿って摺動する。
【0059】
ロッカーアームまたはシャトル(枢動が無限のロッカーアーム)は、ピボットが入力軸に取り付けられ、それと共に回転するレバーとして機能する。カムがこのレバーの一端に作用するので、他端は同心軸に半径位置で作用することによって同心軸を主軸に対して相対的に回転させる。同心軸は、クラッチによって出力に結合される。カムが一方向にオフセットされると、そのクラッチが係合している半サイクルの間、同心軸が入力軸に対して順方向に回転される。カムがもう一方の方向にオフセットされると、同心軸が入力軸に対して逆方向に回転される。レバーは入力軸と共に回転するので、入力軸に対して出力回転が増加または減少する。第2の半サイクル中は第2のレバーが同様に作動するので、サイクル全体にわたって入力軸に対して総回転数の純増加または減少をもたらす。したがって、これらのクラッチは、電気制御式整流器(すなわちSCRまたは同等物)に類似の機械的装置である。単一のレバーなどを使用した場合は、1サイクル全体で出力が始点に戻るので、入力に対する出力の純変化は何もない。各機能、すなわちカムのオフセット、レバー、同心軸への結合、およびクラッチ、を実現するための方法として記載されているさまざまな方法は、変速アセンブリと同じ基本的機能を実施するために混在させることも、組み合わせることもできる。
【0060】
一実施形態において、アセンブリは、カムの回転運動に平行運動を伴わせるために、枢支されたカム板を使用する。現在、カムの作用側はほぼ楕円であり、ゼロオフセット時に主軸が(内部サイクルに対して)0度と180度の線上にある。回転によってオフセットすると、楕円の一方のローブが内部サイクルの位相から外れるので、加速モードの場合は、同心軸の回転の初期加速が速くなり、通常の自転車の円形スプロケットの出力速度関数に極めて近くなる。オフセットがない場合、カムの作用側の楕円の偏心距離が小さいので、乗り手にとってはカムが円形カムとあまり違わないように感じられる。カムの非作用側は非作用レバーをその始点位置に戻し、その半サイクル中にそのクラッチが係合したときにそのデューティに就かせるための準備にのみ使われる。
【0061】
2つのクラッチディスク92、94を使用する代わりに、各周期サイクルで一方向の回転を行わせる1つのローラオーバラン式クラッチを使用することもできる。小型のトルク担持装置では、磁気クラッチを使用することもできるであろう。あるいは、半サイクルごとに能動的に係合解除するローラクラッチを使用することもできる。
【0062】
使用時、筐体は自転車に固定される。筐体は、入力に対する運動に伴って回転しないが、上記のようにテスト目的のためにのみ左側カバー24を調整して15度変位させることもできるので、トルクサイクルの加速部分または減速部分の比率と位置とを変えることもできるであろう。
【0063】
したがって、作動時、左側カバー24には、一般的な車軸受け(図示せず)と、DCモータ42と、モータマウントブッシング15と、カムアクチュエータウォーム48とが収容される。車軸30の回転中、左側カバー24は静止している。カム偏心体36は左筐体24に取り付けられ、車軸30と共に回転しない。カム偏心体36が回転しないので、カム38の形状を円形にする必要はなく、周期的変化に合わせた形状にできる。
【0064】
シャトルキャリア54とシャトル66とは、車軸30からのトルクを伝達し、クラッチカム98を回転させてクラッチアセンブリを軸方向にシフトさせ、一方向の回転モードで作動させる。シャトル66は、シャトルキャリア54によって回転され、カムアセンブリ34の偏心距離によって揺動する。カムアセンブリ34の偏心距離によってシャトル66の半径方向の変位量が決まるので、車軸30によって担持されるベーストルクにトルクが加えられるか、または減じられる。トルクは、キャリア54およびシャトル66から、トラックローラ84を介して、第1および第2のシャトルアーム80、86に伝達される。第1および第2のシャトルアーム80、86は、シャトル66からクラッチアセンブリ90にトルクを伝達する。
【0065】
第1および第2のシャトルアームの最大回転度は、変速装置の最大および最小ギア比を決める要素である。好適な一実施形態においては、内側の第1のシャトルアーム80は外側のクラッチディスク94に接続され、第2のシャトルアーム86は内側のクラッチディスク92に結合される。シャトル66の揺動によって2つのアーム80、86が反対方向に回転するので、常に2つのアーム80、86の一方がクラッチシフト装置96に係合してトルクをスプロケットドライブ120に伝達し、一回転の方向のみに変換する。
【0066】
次に図5において、入力(原動機)124から出力126への力の流れを図示するフローチャートが示されている。この事例では、入力を供給する原動機は、自転車の乗り手などの人間であろう。乗り手が両脚で漕ぐと、ステップ128においてトルク入力がペダルクランクによって受け止められ、車軸30に伝達される。ステップ130では、車軸30の力が、取り付けられているシャトルキャリア54に伝達される。ここで、カム偏心体36の軸心が車軸30の軸心と整合しているときは、トルクが分割されない。
【0067】
モータ42が作動されてカム偏心体36とカムリング38とがステップ142で動くと、ステップ146に示されているように、シャトル66がカムフォロワ74を介してシャトルキャリア54内で動く。この時点において、第1のシャトルアーム82と第2のシャトルアーム88とがシャトル66と連係し、ステップ148a、148bおよび150a、150bに示されているように、トルクがシャトルから内側および外側のクラッチディスク92、94に交互に伝達される。前に説明したステップ136、138、および140に示されているように、伝達されたトルクは、次にクラッチシフト装置96に伝達され、そこから出力126に伝達される。
【0068】
図6および図7を参照すると、図6には、ストロークの最上部にあるときのペダルを表すゼロ度からそのストローク全体にわたるペダル角度(クランク角)におけるトルク/速度の平均的増加と、上記の変速装置におけるカム偏心体36のさまざまなオフセット位置でのトルク/速度の実際の変化との間の関係が示されている。ペダルの各ストロークの最上部またはその近く、あるいは最下部あるいはその近くでは伝達比が1またはその近辺であるため、ペダルのストローク中に増減される出力回転がないので平均比の純変化がない。カム形状が適切であれば、比が1にならず、ほぼ350°から190°までほぼ同じになるので、入力に対する出力の関係がほぼ線形になる。図7は、自転車用の一般的なマルチスプロケット変速装置におけるトルク/速度の出力を示す。
【0069】
本発明の重要な特徴は、クラッチシフト装置96との係合および係合解除に対する内側および外側のディスク92、94間の相対速度がゼロである点である。より具体的には、カムアセンブリ34の軸心が車軸30の軸心から外れると、シャトル66がシャトルキャリア54内で前後に揺動する。シャトル66の揺動によって第1および第2のシャトルアーム82、86が前後に回転する。言い換えると、シャトル66がシャトルキャリア54および車軸30と共に初めの180度を回転するとき、第1および第2のシャトルアーム82、86が互いに第1の方向に逆回転する。シャトル66およびシャトルキャリア54が車軸30と共に180度から360度まで回転するとき、シャトル66の揺動によって第1および第2のシャトルアーム82、86が互いに反対方向に逆回転する。この結果、内側および外側のクラッチディスク92、94が車軸30と共に連続的に回転することによって回転速度を調整する。クラッチシフト装置96に対する内側および外側のディスク92、94の相対速度が基本的にゼロであるとき、クラッチシフト装置96はディスク92、94のどちらか一方に係合する。この結果、構成要素に対する応力が減るので、車軸30からスプロケット駆動装置120へのトルクの流れがより円滑化される。
【0070】
要するに、上記の実施形態は全体として、トルク入力軸すなわち車軸30と、車軸30に対する偏心距離を調整可能なカム偏心体36が筐体に回転可能に取り付けられた同軸のカムアセンブリ34と、DCモータ42と、バックドライブが不可能なカムアクチュエータウォーム48との形態を取るカム偏心距離調節装置と、車軸30に装着され、レバー(またはローラ84、88)が一端に、クラッチ入力装置(内側および外側のディスク92、94)が他端に向かい合って配設された2つの同軸シャトルアーム82、86と、車軸30への摺着または枢着によって配設され、第1および第2のシャトルアーム80、86に固定または可変半径でリンクされ、車軸30と共に全回転する2つの対向するカムフォロワ74と、筐体22に対する車軸30の180度の回転間隔で、内側および外側のクラッチディスク92、94を介して同軸の第1および第2のシャトルアーム80、86に交互に接続されるクラッチアセンブリ90と、を含む。
【0071】
次に図8において、シャトルガイド・シャトル構成の一代替実施形態が示されている。この実施形態においては、車軸30が円形のガイド152に結合され、この円形ガイド152は円筒壁154を有し、その第1の端156が端板158に取り付けられている。端板158は、車軸30に固定的に取り付けられ、直径方向に対向する2つの開口部160を有する。第1および第2のロッカーアーム162、164は、円形ガイド152の枢支点166、168に枢着される。枢支点166、168は、円形壁154の第2の端174の両側に取り付けられた半円形の板170、172に形成された開口部から成る。各ロッカーアーム162、164は、枢支点166、168に取り付けられる車軸枢支ピン(図示せず)をそれぞれ収容するために形成された円筒状スリーブ178を含む。各ロッカーアーム162、164はカムフォロワ176を含む。カムフォロワ176は円筒状の延長部分の形態であり、カムアセンブリ34と連係するために、円形ガイド152の端板158に設けられた対応する開口部160を貫通して延在する寸法と形状とを有する。
【0072】
したがって、カムアセンブリ34の軸心が車軸30の軸心から外れると、カムフォロワ176は、各ロッカーアーム162、164を枢支点166、168を中心に枢動させる。
【0073】
各ロッカーアーム162、164は開口部180を含む。開口部180は、上の図3で説明したシャトル66と同様の方法で第1および第2のシャトルアーム82、86を収容するための寸法と形状とを有する
次に図9および図10において、さらに別の実施形態が図示されている。この実施形態においては、第1および第2のロッカーアーム162、164は改造版カムアセンブリ182と連係する。カムアセンブリ182は、両方向矢印186で示されている方向に摺動するように摺動可能に筐体(図示せず)に取り付けられた矩形のカム板184を含む。(言うまでもないが、図3のカムアセンブリ34について上記した代替のカム枢動はこの実施形態には適合できないであろう。)カム板184には、カム188が軸受け190によって回転可能に取り付けられている(図10参照)。カム188の両側には、カムフォロワ開口部192が形成されている。カムフォロワ開口部192は、カムフォロワ176をロッカーアーム162、164上に収容する寸法と形状とを有する。
【0074】
モータ42は、この図に194で示されているリンクを作動させる。このリンクがカム板184を押したり引いたりすると、カム188の軸心が車軸30の軸心に合ったり外れたりする。カム188の軸心が車軸30の軸心から外れると、ロッカーアーム162、164は、図2〜5の実施形態に関して上で説明した方法で、その枢支点を中心に逆回転する。
【0075】
図11は、シャトルまたはロッカーアームの作用を受ける第1および第2のシャトルアーム80、86のアセンブリを示す。この実施形態において、第2のシャトルアーム86は、第1のシャトルアームの軸82に摺動可能に装着される。第1のシャトルアーム80と第2のシャトルアーム86との間の接点は、スラスト軸受けなどの軸受け196である。
【0076】
次に図12Aおよび図12Bにおいて、ロッカーアームと、カムフォロワと、スロットおよびその対応するフォロワとの幾何学的形状の概略図が示されている。図12Aにおいて、カムアセンブリによってカムフォロワがその運動範囲の一方の端まで移動されると、ロッカーアーム内の開口部の下端に現在位置付けられている出力軸に対してロッカーアームが上方に移動する。スロットとその対応するフォロワとは、第1のシャトルアーム80とその第1のフォロワ84とに対応し、出力軸すなわち細長い軸82を回転させる方法を示す。図12Bは、カムフォロワの移動に応じて他方の端に移動したロッカーアームと、対応して逆方向に回転した出力軸とを示す。これらの動きは、第1の実施形態で上記したシャトル66の揺動に対応する。これらの動きは、上記の図8および図9で説明した各実施形態にも対応する。
【0077】
図13Aおよび13Bは、ロッカーアームの開口部上の内部セクタギアに噛み合う偏心ギアを使用した出力軸とロッカーアームの幾何学的形状の改造版を示す。出力波形を変更するために、図13Bに示すように、ロッカーアームの開口部の幾何学的形状ばかりでなく、出力軸上の偏心ギアの幾何学的形状も変えることができる。これによって、乗り手の体調に基づき変わりうる人間の入力波形に適応できる。また、筐体に対するゼロ相対速度点を変更できるので、さまざまな加速比率、トルク出力などを提供できる。
【0078】
図14A〜14Cは、ロッカーアームおよび出力軸の幾何学的形状のさらに他の実施形態を開示する。
【0079】
図15において、クラッチ198の一代替実施形態の部分断面図が示されている。この実施形態では、第1のクラッチ駆動装置200とこれに対応する第2のクラッチ駆動装置202とが1つのダイアフラムスプリングハブ204とこれに対応する複数のスラスト軸受け206とを介して連結されている。クラッチ駆動装置200、202は、駆動ピンおよびスプリング、たとえば双安定ダイアフラムスプリング212、を介して、第1および第2の駆動ウイング208、210に結合されている。被動クラッチリング214は、移動されて第1または第2の駆動リング208、210のどちらかに係合すると、摩擦材料216に係合する。このシフト運動によって、クラッチカムが双安定ダイアフラムスプリング212を移動させると、被動クラッチリング214が第1または第2の駆動リング208、210のどちらかに係合する。第1および第2のクラッチ駆動装置200、202は回転運動し、軸方向には移動しない。
【0080】
図16は、ペダルが各回転度にあるときの相対トルクフィードバックを示す。上方の第1の円220は、原動機を示す。この事例では、使用者の足である。第2の円222は入力軸すなわち車軸30を表す。これらの円をつなぐ線230は、ペダルクランクを表す。したがって、ユニティは、1:1の比を表す第3の円226で示される。縦型の楕円224はユニティの.33パーセントを表し、基本的に減速比である。外側の水平楕円228は、ユニティのほぼ1.67パーセントを表し、加速に等しい。したがって、何れかの曲線までの半径距離は、ペダルにおける各回転度の相対トルクフィードバックに等しい。
【0081】
次に図17において、別の実施形態の無段変速装置232が示されている。この実施形態において、上記の変速装置20に対応する構成要素は同じ参照符号で示されている。この実施形態において、変速装置232は、左筐体カバー234と右筐体カバー290とを含み、制御ユニット28はモータマウント44に結合されたモータ42を含む。この制御ユニット28は、モータ42を左筐体カバー234に固定するために、打ち込みネジ244が左筐体カバー234内に突出してカム板246と連係するように、ナットブロック240およびナット242と連係するカップリング238をさらに含む。カム板246の内側には、カム248が第1および第2の保持子250a、250bによって所定位置に保持されて配置される。カム248と、カム板246と、左筐体カバー234の開口部254とを車軸252が貫通し、該当する軸受けに軸支される。車軸252は、車軸252に摺動可能に装着されたシャトル258と連係するシャトルキャリア256に固定的に取り付けられる。シャトル258から一対のカムフォロワ260が延在し、シャトルキャリア256に形成された対応する開口部262を通って、カム238の表面に乗る。
【0082】
シャトル258の内部には、一対の矩形ラックスパー264が取り付けられる。ラックスパー264の歯は、円形のアームギア266およびスパーギア270とそれぞれ噛み合うように内側を向いている。アームギア266は、インナーレース276がアーム軸268の右端に取り付けられた円形のアーム軸268の左端に取り付けられる。スパーギア270は、円形のアーム軸286の左端に取り付けられ、その右端には別のインナーレース274が286の取り付けられる。アームギア266とスパーギア270との間にはスペーサ272が配置される。アームギア266とスパーギア270とは、シャトル258の内部に位置をずらして取り付けられている対応するラックスパー264に噛み合う。
【0083】
第1および第2のインナーレース274、276は、第1および第2のローラクラッチ278、280の内側を摺動する。ローラクラッチ278、280は、スプロケット駆動装置284に取り付けられたローラクラッチマウンティング282上に取り付けられている。ローラクラッチ278、280がアーム軸268とスパーギア270上の軸延長部286とに連係することによって、車軸252がスプロケット駆動装置284に接続される。この接続は、スパーギア270とアームギア266とが、シャトル258に取り付けられた対応するラックスパー264に噛み合い、シャトル258がカムフォロワ260と、カム板246に取り付けられたカム248とを介してシャトルキャリアに係合することによって実現される。スプロケット駆動装置284の周りに軸受け288が配置され、右筐体カバー290は軸受け288越しに筐体236に取り付けられるように構成されている。
【0084】
この実施形態において、使用者が車軸252に取り付けられているペダル(図示せず)に加えたトルクに応じて車軸が回転すると、アームギア266とスパーギア270とが車軸252を中心に独立して回転する。シャトル258も車軸252を中心に回転し、開口部262はカムフォロワ260のための隙間を提供する。シャトル258の回転運動は制限されず、シャトル258の横方向の直線揺動はシャトルキャリア256内でのみが可能であり、シャトルキャリア252に対するカム248のオフセットによって制限(または制御)される。
【0085】
したがって、車軸252の回転に伴い、シャトル258が回転すると、シャトルキャリア256が回転子、さらにアームギア266とスパーギア270とが回転する。カム板の長手方向軸の軸心が車軸252の長手方向軸(ひいてはアームギア266およびスパーギア270の長手方向軸)の軸心と一直線になると、車軸252と、シャトルキャリア256と、シャトル258と、それぞれ対応するラックスパー264に係合しているアームギア266およびスパーギア270との間には相対運動がない。ただし、この実施形態においては、車軸252の長手方向軸と同心であるピボット軸を中心としたカム板246の枢動に伴い、カム板がどちらの方向に回転するにしても、カムフォロワ260はシャトルキャリア256内の対応する横スロット262内で前後に動くので、シャトル258は車軸252と共に回転しながら、側方に往復運動すなわち揺動する。シャトル258のこの横揺動によって、アームギア266とスパーギア270とが車軸252に対して繰り返し逆回転するか、または過回転する。この回転運動が、ローラクラッチマウンティング282に係合しているローラクラッチ278、280に加えられて、スプロケット駆動装置284が駆動される。
【0086】
原則として、使用者がペダル(図示せず)を通じて車軸252に加えるトルクは、シャトル258と連係するカム248およびカム板246の平行運動によって分割される。このトルクは、複数の周期係合装置を通じて再度組み合わされる。この事例において、これらの周期係合装置は複数のラックスパー264であり、ローラクラッチ278、280を介してそれぞれ対応するアームギア266およびスパーギア270と連係し、ひいてはローラクラッチマウンティング282およびスプロケット駆動装置284と連係する。ローラクラッチ278、280(スプラグクラッチなど)を介したこの周期的係合によって、変速装置232を介して加えられた力の平行運動における実際の連続的可変性が維持される。これは、使用者にはレシオ間の連続可変遷移として感じられる。
【0087】
次に、本発明のこの実施形態の特定の構成要素についてより詳細に説明する。最初に、カム板246およびカム248について説明する。これらは図18〜20に詳細に図示されている。
【0088】
図18において、カム板246は、外部が平らなほぼ円形の形状であり、第1の側面294に形成されたほぼ円形の凹状開口部292と、第1の開口部292の露出面298に形成された第2のより小さい円形開口部296とを有し、開口部292と開口部296とは連通している。小さい方の第2の凹状開口部296は、カム板246の第2の対向側面302に開いている楕円形の開口部300に連通している。第2の凹状開口部296は、第1の凹状開口部292の露出面298から一段低くなった露出面304を有する。露出面304は、カム248を収容する第2の凹状開口部296の内側にある。
【0089】
次に図19において、カム248の1つのバージョンが示されている。このカム248は、環状外壁306によって画定されたほぼ円形の外形を有する。円形の外壁312によって画定された円形の段310が、カム248の第1の面308から延在している。段310は、カム板246の第2の開口部296の露出面304に合わさる露出面314を有する。段310とカム248の本体318とを貫通して長円形の開口部316が形成されている。段310とカム本体318とを貫通して4つの雌ねじ付き開口部320が形成されている。開口部320の寸法、形状、および位置は、第2の凹状開口部296の露出面304に形成された4つの開口部322に一致し、これらの開口部を貫通するファスナ(図示せず)によってカム248がカム板246に取り付けられる。
【0090】
再び図18において、カム板246の外側壁302から取り付けブロック324が突出している。取り付けブロック324には、打ち込みネジ244を収容するための貫通穴326が形成されている。一実施形態において、穴326は、打ち込みネジ244の雄ねじと螺合する雌ねじを有する。したがって、打ち込みネジ244の回転に伴い、カム板246が打ち込みネジ軸を上下するので、車軸252に対してカム板246が平行移動する。この平行移動は、カム248と連係するカムフォロワ260を介して、シャトル258に移される。
【0091】
図20は、カム板246とカム248とが内側に取り付けられた左筐体カバー234を示す。制御ユニット28は、左筐体カバー234の外側にボルト留めされる。軸228に摺動可能に取り付けられているカム板246の軸228に沿った平行運動を制限せずにカム板246を左筐体カバー234内に保持するために、保持子250a、250bが左筐体カバー234にボルト留めされる。
【0092】
カム248の形状を変えることによって、内部伝達関数を変え、変速装置の特定の用途の要件に合わせて各半サイクル間の速度またはトルクの入力対出力関係を変えることができることを理解されたい。
【0093】
次に図21〜22において、シャトルキャリア256およびシャトル258のアセンブリがより詳細に図示されている。図21において、シャトルキャリア256は後壁330と、そこから延在する相互に並列な向かい合う側壁332とを有する。中心開口部334は、車軸252に摺動可能に装着される寸法と形状とを有する。車軸に固定的に取り付けられた矩形マウント338(図17に図示)を収容する寸法と形状とを有する矩形の凹部336が中心開口部334の周囲に形成されている。この方法によって、シャトルキャリア256は、車軸252に固定的に取り付けられる。複数の細長い開口部262すなわち溝は、矩形凹部336の長手方向軸を横断する向きに後壁330に形成されている。言うまでもないが、シャトルキャリア256は他の従来の手段、たとえば溶接など、によって車軸252に取り付けることも、車軸252と一体に形成することもできる。
【0094】
次に図22において、シャトル258は、天壁342と、底壁344と、側壁346と、後壁340とが一体に形成され、中空の内部350を介して正面開口部352と連通する背面開口部348がこれらの壁によって画定されている。背面開口部348は、上ローブ354と、下ローブ356と、横向きの側ローブ358とを設けて形成されている。カムフォロワ260を取り付ける円筒状の延長部360が天壁342および底壁344の前面から延在している。
【0095】
図23および図24は、車軸252と、シャトルキャリア262と、シャトルアセンブリ258、ならびにアームギア266と、スパーギア270と、インナーレース274、276とを組み立てた状態で示す。図23および図24の実施形態に示されているシャトル258は、図22に示されているものとは構成が多少異なるが、同じ機能を実行して同じ結果を達成する。図23および図24から分かるように、シャトルアセンブリ258はシャトルキャリア256内で横に摺動するように取り付けられる。シャトルアセンブリ258は、本来のシャトル258から分割された2つのシャトル259および261を含む。この2つのシャトル259および261には、2つのカムフォロワがそれぞれ取り付けられている。このため、2つのシャトル259および261はそれぞれ独立して動くことができる。これによって、一方のシャトルが(そのカムフォロワによって駆動されて)カムの作用側に従動している間に、他方のシャトルは(そのカムフォロワによって駆動されて)カムの背面(非作用)側に従動して始点に戻り、カムの作用側に対する準備が完了した状態になる。現在の構成のように、カム形状が円形以外の場合、このデザインは2つのカムフォロワの遷移点間の部分的重なりを可能にするので、滑らかなフィードバックを乗り手に提供し、サイズを小型化できる。
【0096】
図23からより明確に分かるように、カム248およびカム板246の動きに対応してシャトル258が平行移動すると、シャトル258の内側に位置をずらして取り付けられているラックギア264がそれぞれアームギア266およびスパーギア270に係合するので、軸252に対してアームギア266およびスパーギア270が回転するか、または場合によっては逆回転する。アームギア266と第1のローラクラッチ278との間の相互接続、およびスパーギア270と第2のローラクラッチ280との間の相互接続によって、これらのクラッチがそれぞれローラクラッチマウンティング282内で係合および係合解除される。
【0097】
以上、本発明の代表的な実施形態を図示および説明してきたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなくさまざまな変更を行いうることは言うまでもない。さらに、変速装置の制御を助けるマイクロコントローラなどのフィードバック機構を設けてもよい。たとえば、使用者の要望に応じた特定の出力波形または伝達関数を供給するために、波形をマイクロコントローラに事前にプログラミングすることができる。マイクロコントローラを車両または機械に搭載し、波形を選択するためのユーザ入力、または別の実施形態では波形を調整するためのユーザ入力、を取り込んでもよいであろう。要望があれば、制御を手動にすることもできる。
【0098】
したがって、本発明は、付属の特許請求の範囲およびその均等物によってのみ制限されるものとする。
【0099】
この明細書で参照され、および/または出願データシートに列挙されている上記のすべての米国特許、米国特許出願公報、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、および非特許出版物は、参照によりその全体を本願明細書に引用したものとする。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】図1は、従来の自転車変速装置のクランク角度に対する立ち乗り時の最大踏力下での有効な力をポンド値で示すグラフである。
【図2】図2は、本発明により形成される変速装置の組み立てた状態を示す斜視図である。
【図3】図3は、図2の変速装置のアセンブリ全体の分解図である。
【図4】図4は、図2の変速装置を組み立てた状態の断面図である。
【図5】図5は、図2の変速装置を通る力の流れを示すフローチャートである。
【図6】図6は、ペダルの角度(クランク角)と本発明のカム偏心体のさまざまなオフセット位置におけるトルク/速度の実際の変化との関係を示す。
【図7】図7は従来装置の場合を示す。
【図8】図8は、カム・ロッカーアームアセンブリの拡大分解斜視図である。
【図9】図9は、シャトルアセンブリの別の代替実施形態の分解斜視図である。
【図10】図10は、図9の実施形態のカム・カム板アセンブリの拡大分解斜視図である。
【図11】図11は、図9の実施形態のシャトルアセンブリの拡大斜視図である。
【図12】図12A〜12Bは、ロッカーアームと、主軸と、カムフォロワとの間にありうる幾何学的関係の模式的表現である。
【図13】図13A〜13Bは、ロッカーアームと、主軸と、カムフォロワとの間にありうるさらに別の幾何学的関係の模式的表現である。
【図14】図14A〜14Cは、ロッカーアームと、主軸と、カムフォロワとの間にありうる幾何学的関係のさらに別の模式的表現である。
【図15】図15は、本発明により形成された、双安定皿バネを使用して係合力をもたらす、クラッチアセンブリの一代替実施形態の部分断面図である。
【図16】図16は、本発明の変速装置の平均レシオ範囲の概略図である。
【図17】図17は、本発明の別の実施形態により形成される変速装置の分解斜視図である。
【図18】図18は、本発明の一実施形態により形成されるカム動作板の斜視図である。
【図19】図19は、本発明の一実施形態により形成されるカムの斜視図である。
【図20】図20は、図17に図示の本発明の実施形態により形成される左筐体カバーの斜視図である。
【図21】図21および図22は、それぞれ本発明の一実施形態により形成されるシャトルキャリアの正面および裏面の斜視図である。
【図22】図21および図22は、それぞれ本発明の一実施形態により形成されるシャトルキャリアの正面および裏面の斜視図である。
【図23】図23および図24は、それぞれ本発明の別の実施形態により形成されるシャトルシャトルアセンブリの正面および裏面の斜視図である。
【図24】図23および図24は、それぞれ本発明の別の実施形態により形成されるシャトルシャトルアセンブリの正面および裏面の斜視図である。
【技術分野】
【0001】
発明の背景
技術分野
本発明は、変速システムに関し、より具体的には人力車両に特に適した機械式無段変速装置に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
入力に対する出力の比が連続的に変化することが有益なさまざまな用途において、動力および回転運動の伝達のために無段変速装置が使用される。変速装置は、利用可能な速度範囲にわたってシームレスな遷移を提供しようと試みる。この試みは、トルクおよび速度入力など、変速装置への入力が、乗り手が自転車のクランクを漕ぐことによって発生するような周期的変化を有する場合は特に難しくなりうる。
【0003】
自転車のペダルへのトルクおよび速度入力は、ほぼ正弦波形を有するペダルの回転の2倍の周波数で変化する。ペダル軸へのトルク入力はペダル軸の回転の正弦関数によって近似されるため、ペダルの平均RPMと標準的な自転車の自転車速度との間の関係は一定ではない。図1は、ペダルのクランク角度に応じた有効な踏力をポンド値で示したグラフである。このグラフは、自転車の車輪に対する踏力(両脚の合計)の効果をクランク角度に対してプロットしたものである。(非特許文献1を参照のこと)。
【0004】
自転車の乗り手は両脚がペダルに加える踏力が安定していると感じるかもしれないが、図1のグラフはその力が一定でもなく、安定もしていないことを示している。したがって、自転車用の変速装置は、入力と出力との間の有効比が滑らかな伝達を行い、乗り手に均一な感覚を与えるように、速度の周期的変化とその変化が反映されたトルクインパルスとに適応する必要があるだろう。
【0005】
この分野における技術の大部分は既に開発されている。これらの技術について、以下に詳しく説明する。これらのアプローチとして、可変速ベルト駆動装置、一般的な固定比率、離散比率、または連続比率(遊星)のギア駆動装置、トラクション駆動装置、インパルス駆動装置、周期的駆動装置などが挙げられる。さまざまな形態のトラクション駆動装置は、インパルス駆動装置などの他の概念に比して明確な利点がいくつかあるために人気のある改良型である。
【0006】
インパルス駆動装置は、可変ギア比を生成するために、調整可能なレバーアーム比に頼っている。このようなレバーアーム比は、負荷伝達要素がその間に介在する駆動および被動部材の偏心オフセットによって達成されることが多い。これらの負荷伝達要素は数が多く、レバーアーム比が所望どおりである短期間の間は負荷を交互に担持し、サイクルの残りの期間では一方向クラッチ、つめ車、または歯止めの使用によって緩める。この理由によって、これらの駆動装置は周期的駆動装置とも呼称される。複数の負荷伝達要素による負荷の交互担持と、根底にある運動学的動きとによって、インパルス駆動装置のサイクル中に速度が変化する。
【0007】
トラクション駆動装置は、駆動部材と被動部材との間に転がり半径比を使用することによって、滑らかな動作を提供する。トラクション駆動装置の最も単純な概念は、一緒に転がる2つの車輪であり、これは固定ギア比である。その動作は滑らかである。すなわち、ギア比の設定が固定されているため装置全体を通じて速度が変化しないので、一方向クラッチ、つめ車、または歯止めを使用する必要がない。
【0008】
トラクション駆動装置におけるギア比の連続的変化は、転がり半径を直ちに変更できる固有の形状を有する駆動部材および被動部材を用いることによって得られる。トラクション駆動装置は、回転入力部材から回転仲介部材を介した回転出力部材へのトルクの伝達によって特徴付けられることが多い。仲介部材が入力部材および出力部材にさまざまな半径で接触することによって、入力部材と出力部材との間の比が変わる。トルクは、入力部材と、出力部材と、仲介部材との間のトラクションまたは摩擦によってシステムを通って伝達される。トラクション駆動装置においては、ある圧縮力が加えられたときに固体になる流体を使用することによって、トラクションを強化できる。
【0009】
中間部材の使用によって、ギア比をさらに変化させ、ギアレンジを拡大する機会も提供される。1つまたは複数の部品の機械的調整によって転がり半径比を変える手段が設けられる。変速経路が一次負荷伝達経路に略直角であるため、トラクション駆動装置のシフトは比較的簡単である。Blake(特許文献1)、Lutz(特許文献2)、およびSchievelbusch(特許文献3)の各特許は、円錐型、ドーナツ型、およびボール型のトラクション装置をそれぞれ使用した自転車用のこのようなシステムの代表例である。
【0010】
KitchenおよびStoreyの特許(特許文献4)に開示されている装置は、半球形の幾何学的形状の使用によって特に小型化された工業用トラクション駆動装置の別の例である。この特許には、リバースギアなど、さまざまな効果を実現するための中間部材のさまざまな構成も示されている。
【0011】
このようなトラクション駆動装置は、十分に実証され、工業用に広範に用いられている。通常、これらのトラクション駆動装置は、トラクション機構に過負荷をかけてスリップを引き起こさないように、高速および低トルクにおいて最も有用であると考えられている。ただし、トルクの増加に伴い、マイクロスリップのために効率が低下する。また、トラクション駆動装置は、ギア比間のシフトが頻繁に行われる状況では使用されない。
【0012】
連続可変トラクション駆動装置の第一の欠点は、その作動のために摩擦に頼らなければならない点である。ギア比のシフト中は連続可変形状のためにギア歯を使用できない。工業用のトラクション駆動装置は一般に金属部品を使用するので、部品間の常圧が高いために摩擦が発生し、多くの場合、専用のトラクション流体によって摩擦がさらに増大する。有効なトラクションを発生させるために必要な常圧が高いために、負荷を引き受ける部品が重くなる。場合によっては、内部速度を上げ、必要なトラクションを減らすために入力ギア装置を使用するが、代償としてさらなるギアの噛み合いによって効率が低下する。金属の使用は、金属が極めて硬いことから、転がり軸受けのような部品を極めて高い精度で作る必要があるため、製造コストが上昇する。最後に、極めて硬い材料の使用および転がりの可変形状は、部品間の相対摺動を招くので磨耗に至る。確かに、上で言及した各特許例の発明は、おそらくこれらの理由のために、現在では市販されていない。
【0013】
トラクションによって作動する別のCVT駆動タイプは、一般的な雪上車用変速装置などの可変半径シーブ付きゴムベルト駆動装置である。これらの駆動装置は、以下に説明するように本発明が可能とする程度まで小型化も軽量化もされていない。また、これらのシステムでは、シフト装置に力がフィードバックされる。これは雪上車の場合は自動であるが、他の用途では厄介になりうる。
【0014】
トラクション駆動装置を自転車に適用する試みがなされてきた。ただし、従来のトラクション駆動装置は、トラクションを発生させるために必要な高い常用負荷に対応する必要があるために、重量の問題がある。提案されている1つのトラクション駆動装置は、トロイダルトラクション駆動装置として公知であり、トロイダル形状の駆動部材および被動部材と、負荷を伝達する中間ホイールとを使用する。デザインによっては、法線力に対応するために第3の部材を必要とする。これらのタイプの駆動装置の例は、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、および特許文献10に見られる。これらの駆動装置は、低い「スタッター」(入力回転とは周波数が異なる周期的変化のためにトルクフィードバックによって発生する振動など)、高効率、コンパクトな空間、大きなギアレンジなどの利点があるほか、トルク応答に対する自動化も行いうる一方で、接触負荷が大きいために重い部品を必要とすること、ゼロ速度でシフトできないこと、およびトロイダルトラクション駆動装置におけるシフト装置の力およびフィードバックが低いことなどの欠点もある。
【0015】
車両用の駆動ハブに対する特許文献2に開示されているようなボールトラクション駆動装置においては、駆動部材および被動部材が一般的なベアリングレースのような形状を有し、ボール(35)が負荷を伝達する。このようなデザインは、特許文献11にも開示されているように、法線力に対応するために第3の部材を必要とする。これらのデザインはスタッターが小さく、コンパクトかつ高効率であり、自動化が可能であり、ギアレンジが大きい一方で、全般的に接触負荷が大きいために重い部品を必要とし、ゼロ速度でのシフトが不可能であり、シフト装置の力およびフィードバックが低い。
【0016】
別のデザインは、特許文献12および特許文献13に開示されているように、ディスクトラクション駆動装置上にホイールを含み、ホイールは駆動部材を備え、被動部材は板またはディスクから形成されている。これらのデザインは、法線力に対応するための堅牢な第3の部材を備えていない。一部のデザインは、リアクション能力を高めるために事前に負荷が加えられた一対のディスクを使用することによって、スタッターを排除しやすくし、自動化またはトルク応答を容易にしている。ただし、これらのデザインは、他のデザインに比べて接触応力が高く、ゼロ速度ではシフトできない。
【0017】
他のデザインとして、リング・アンド・コーン式トラクション駆動装置およびボール・オン・ディスク式トラクション駆動装置が挙げられる。前者は工業用に広く使用されており、トラクション負荷トランスミッション付き円筒状リングに対して傾斜したコーンを使用し、このリングがコーンに沿って軸方向に動くことによってギア比を変えるので、スタッターが低り、効率が向上する。ただし、このデザインは自転車には大きすぎ、シフト機構が複雑であり、ギア比が限られており、ゼロ速度では変速できない。後者は、複数のボールによって負荷を伝達するために複数のディスクを使用する。したがって、負荷が分担され、接触応力が低減されるため、簡素化、部品数の削減、より簡単なシフト装置が実現されるが、大きなオフセット軸を複数必要とし、ゼロ速度ではシフトできず、ボールキャリア摩擦のために効率が低い。
【0018】
さらに別のデザインは、可変速摩擦ギア装置に関する上記の特許文献4に見られる。この特許では、第1および第2の半球形半体が駆動部材および被動部材を備え、その接触位置を球体の内側に沿って変える少なくとも一対のアイドラーホイールによってこれらの駆動部材と被動部材とが相互に接続されている。このデザインは自転車向けの用途には見込みがあるが、接触負荷が大きく、ゼロ速度でシフトできないという欠点がある。ただし、利点として、低いスタッター、コンパクトであること、部品点数が少なく、部品の製造が安価であること、高い効率、およびシフト装置の力およびトルクが低い小型駆動装置における6対1のギアレンジが挙げられる。
【0019】
別のタイプの変速装置では、入力回転部材と出力回転部材との間を周期的に接続することによってトルクを入力から出力に伝達する。このタイプの特徴は、一定の入力回転速度に対して、出力回転速度が周期的に変化する点である。ほぼ一定のトルク負荷が存在するときに、出力回転速度の周期的変化は入力へのトルク変化を反映する。この変化を軽減するために多くの方法が提案されてきた。これらの方法は一般に複雑な機構を含むが、これらの機構は変化を完全には排除しない。
【0020】
特許文献14には、無限に可変のポジティブな機械的変速装置が開示されている。第1の実施態様において、この装置は、入力軸からの動力を出力軸に伝達するために、入力軸上に取り付けられている揺動板を介して入力軸に結合されているアイドラギアに噛み合う出力軸上のギアと、揺動板とアイドラギアとの間に結合されているコネクティングロッドとを使用する。この特定のアプローチは、複数のギア、この場合は出力軸上のギアに噛み合う複数のアイドラギア、を必要とし、各アイドラギアはコネクティングロッドと一方向ギアまたはブレーキとを介して揺動板に結合される。
【0021】
別のバリエーションは、要素を装置の主回転入力軸から離すための偏心部材と、回転入力運動を回転出力運動に周期的に接続するためのクラッチとを使用する。このアプローチの一例は、変速装置としてのつめ車および歯止めの使用であろう。この装置では、つめ車に対する1つの歯止めの相対速度が別の歯止めの相対速度に追い付くと、1つの歯止めから次の歯止めに接続が引き渡される。つめ車と歯止めとの間の相対速度が最大のポイントで引き渡すために、偏心要素が使われる。この試みの欠点は、部品間の最大相対速度で速度が瞬間的に一致するために、つめ車と歯止めとの間で伝達される有効トルクに加え、極めて大きな力が発生することである。このため、出力にむらが出ることがあり、部品の磨耗が増えるので、より重く、より高価なパワートレイン構成要素が必要になる。
【特許文献1】米国特許第5,597,056号明細書
【特許文献2】米国特許第5,318,486号明細書
【特許文献3】米国特許第5,273,501号明細書
【特許文献4】米国特許第1,083,328号明細書
【特許文献5】米国特許第4,735,430号明細書
【特許文献6】米国特許第4,858,484号明細書
【特許文献7】米国特許第4,964,312号明細書
【特許文献8】米国特許第4,086,820号明細書
【特許文献9】米国特許第5,020,384号明細書
【特許文献10】米国特許第4,934,206号明細書
【特許文献11】米国特許第5,236,403号明細書
【特許文献12】米国特許第4,819,494号明細書
【特許文献13】米国特許第5,626,354号明細書
【特許文献14】米国特許第4,873,893号明細書
【非特許文献1】P.R.CavanaghおよびD.J.Sanderson共著「The Biomechanics of Cycling:Studies of Pedaling Mechanics of Elite Pursuit Riders」、Science of Cycling,p.91−102
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0022】
発明の簡単な概要
開示されている本発明の各実施態様は、従来の変速装置の問題を克服するばかりでなく、滑らかな動作と、容易なシフト操作と、有効ギアレンジの拡大という利点も維持している。本発明の一実施態様によると、機械的回転無段変速装置が提供される。この変速装置は、非回転筐体と、筐体に回転可能に取り付けられ、入力トルクを受け入れるように構成されている中心車軸と、中心車軸に結合されているトルク分割機構と、トルク分割機構を制御するために筐体に結合されている制御機構と、トルク分割機構に結合され、出力に選択的に結合されるクラッチ機構とを含む。理想的には、このトルク分割機構が中心車軸と共に回転し、トルク分割機構によって引き起こされた何れかの変化が入力回転に組み合わされて出力される。入力へのトルクフィードバックを極力減らすために、相対速度がゼロの点またはその近辺で、クラッチがトルク分割機構の複数のセクション間でシフトする。
【0023】
本発明の別の実施態様によると、筐体と、筐体に回転可能に取り付けられたトルク入力軸と、筐体に取り付けられ、入力軸に対して相対的に動くように構成されたカムと、入力軸の長手方向軸に対してカムを動かすための装置と、入力軸と同軸の第1および第2のシャトルアームであって、各シャトルアームの軸の第1の端にレバーが設けられ、第2の端にクラッチ入力装置が設けられた第1および第2のシャトルアームと、第1および第2のシャトルアームのレバーに結合され、さらにカムにも結合されている第1および第2のフォロワと、第1および第2のシャトルアームの第2の端に設けられたクラッチ入力装置を交互に出力軸に接続するように構成されているクラッチ出力装置と、を含む機械的カム・アンド・クラッチ無段変速装置が提供される。理想的には、第1および第2のシャトルアームの第2の端に設けられているクラッチ入力装置の出力軸への交互接続は、連結される可動部品間の相対速度がゼロの点で行われる。
【0024】
軸と共に回転し、偏心移動可能なカム上のフォロワによって側方に移動されるシャトルによって、レバーが回転移動されることが好ましい。シャトルのこの動きによってレバーが移動すると、同心の各シャトルアーム軸が主軸に対して交互に順行期間および逆行期間に入る。入力軸の回転に回転運動を加えるか、減じるかに応じて、順行期間または逆行期間のどちらかにおいてクラッチが、レバーと、シャトルと、カムとによって駆動される同心の各シャトルアーム軸を出力に交互に接続することによって、平均速度が増加または減少する。
【0025】
本発明の別の実施態様によると、筐体と、筐体に回転可能に取り付けられ、入力トルクを受け入れるように構成された中心車軸と、トルクを中心車軸から分割するために筐体に結合されたカムと、筐体に取り付けられたカムの偏心距離によって駆動される往復運動機構とを備えるトルク分割機構と、トルク分割機構を制御するために筐体に結合された制御機構と、往復運動手段を選択的に出力に結合するためのクラッチ機構と、を含む回転力伝達装置が提供される。理想的には、往復運動機構内の可動部品間の相対速度がゼロのときに、クラッチ機構が中心車軸を出力に1:1の比で結合する。
【0026】
本発明の別の実施態様によると、筐体と、筐体に回転可能に取り付けられたトルク入力軸と、筐体に取り付けられて、入力軸の長手方向軸を横断する方向に動くように構成されたカムと、入力軸の長手方向軸に対してカムを動かすための装置と、入力軸と共に回転するように入力軸に取り付けられたシャトルキャリアを備えるトルク伝達機構と、軸に装着されてシャトルキャリアおよびカムと連係するシャトルアセンブリであって、入力軸とは独立して回転するように入力軸に装着されたシャトルフォロワを含むシャトルアセンブリと、入力軸に回転可能に装着されて、互いに同軸であり、かつ入力軸とも同軸である第1および第2のトルク伝達軸であって、トルク伝達軸をシャトルフォロワに結合するためのカップリング装置が各軸の第1の端に設けられ、クラッチ入力装置が各軸の第2の端に設けられ、および第2の軸の第2の端に設けられた第1および第2のトルク伝達軸と、第1および第2のトルク伝達軸の第2の端に設けられたクラッチ入力装置を交互に出力軸に接続するように構成されたクラッチ出力装置と、を含む機械的カム・アンド・クラッチ式無段変速装置が提供される。
【0027】
本発明の別の実施態様によると、筐体と、筐体に回転可能に取り付けられ、入力トルクを受け入れるように構成されている中心車軸と、筐体に取り付けられたカムと、中心車軸へのトルク入力を分割するためにカムの偏心距離によって駆動される往復運動機構を備えるトルク分割機構と、カムを制御するために筐体に結合されている制御機構と、往復運動機構を選択的に出力に結合するクラッチ機構と、を含む回転力伝達装置を有する車両が提供される。往復運動機構は、シャトルフォロワと連係する一対のロッカーアーム、またはシャトルフォロワとこれに結合された一対のトルク伝達軸とを有するシャトルアセンブリの形態にできると理想的である。
【0028】
車両は、自転車、車椅子、モータ付き車両、または飛行機とすることができ、本発明は人力、燃焼機関、電動機、またはトルク入力を供給できる何れかの装置などの原動機によって動力が供給される機械で使用されるようにできるが、他の形態の入力を使用することも、他の形態の入力をトルク入力に変換することもできることを理解されたい。
【0029】
本発明のさらに別の実施態様によると、入力トルクを受け入れるための入力軸と、固定カム部材と、このカム部材に作動的に結合され、入力トルクを第1の出力トルクと第2の出力トルクとに分割するように構成されているトルク分割アセンブリと、このトルク分割アセンブリに結合され、第1の入力トルクを出力軸に結合し、この出力軸に結合されるトルク分割アセンブリの可動部品間の相対速度がゼロのときに第2の出力トルクを出力軸に結合するトルク出力アセンブリと、を含むトルク伝達機構が提供される。
【0030】
上記から容易に理解されるように、開示されている本発明の各実施態様においては、中心車軸が回転している間、筐体は静止しているので、筐体に取り付けられている偏心カムは筐体に対して回転しない。カムが回転しないので、偏心要素が円形である必要はない。クラッチは、接続される部品間の相対速度がほぼゼロであるサイクル中の期間に入力と出力との間で周期的に接続される。したがって、要素間の力は、その時点において装置を通じて伝達されるトルクに限定される。
【0031】
これらの装置は本質的に入力から出力への回転の周期的変化を有するので、偏心要素を円形以外、すなわちカム形状にできるため、サイクルのスピードアップ(加速)部分またはスローダウン(減速)部分の位置および比率を変更でき、入力と出力との間の連続可変平均速度比を実現できる。速度変化とペダル踏力との位相を合わせることによって、自転車の乗り手に対する明らかな悪影響を極力減らすことができる。より具体的には、この要素構成は変速装置を介してトルクの一部だけを逸らすことによって速度の変化を実現するので、変速装置に対する乗り手の主観的感覚を操作することができる。上記のように偏心部材を使用して出力速度を変化させる機械的無段変速装置が多年にわたって提案されてきたが、これらの従来のシステムにおいてはどれも利用可能なレシオ範囲にわたって周期的駆動装置に固有の周期的変化の位相が維持されてこなかった。結果として、周期的変化の周波数がペダリング周波数と異なり、ペダリング周波数と位相が合わないので、乗り手が振動を感じる。開示されている本発明の各実施態様は、トルク分割構成によって位相差をほぼゼロにする。
【0032】
したがって、本発明は、高い効率、サイズの縮小、部品点数および部品重量の削減、製造費の削減、容易な組み立て、およびその耐久性による長寿命を実現する。1:1比でのトルク分割がない適性トルクの伝達、偏心部材の位置変更を電子的または手動で行うカムシフト機構によって分割されたトルクの印加、および接続部品間の相対速度がゼロの点でクラッチシフト機構を介した周期的接続によって、乗り手にとって自然な感覚が実現される。本発明の変速装置はトルク分割が一定の装置ではないので、乗り手は、本発明と従来のスプロケットおよびチェーン機構との差をほとんど感じないであろう。
【0033】
本発明の上記および他の特徴および利点は、添付図面と共に以下の詳細説明からさらに理解されることによって、さらに評価されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
発明の詳細な説明
開示されている本発明の各実施形態は、自転車などの回転入力を有する人力車両に適している。本発明の各実施形態は、人力自転車というコンテキストで説明されているが、図1に図示されているほぼ正弦波形の入力形態の回転入力を受け入れる他の装置にも適用可能であることを理解されたい。
【0035】
本発明の実施形態はどれも全波整流器として機能し、クラッチは整流素子として働き、人力原動機の1ストロークによって生成される印加トルクの各完全サイクルごとに入力される擬似正弦波形のトルクを平滑化する。一実施形態においては、カムとカムフォロワとの連係によって引き起こされる動きに対応するシャトルまたはロッカーアームの動作によって複数の同軸シャフトが互いに逆回転する。各同軸シャフトの出力端のクラッチは、この動きを一方向(順方向)にのみ伝達することによって整流装置として働く。上記のように、以前に提案された、内部周期が平均速度比で周期的に変動する装置は、入力トルクとは異なる周波数のフィードバックトルクによって引き起こされる許容しがたい振動を発生させる傾向がある。本願明細書で開示される変速装置は、トルク分割という性質によってゼロ位相差を維持する並列内部機構を使用する。
【0036】
図2において、本発明の一実施形態により形成された変速装置20が図示されている。変速装置20は、左側カバー24と右側カバー26とが各側面に取り付けられた円筒状の筐体22を有する。左側カバー24から上方に制御ユニット28が突出している。制御ユニット28については以下に詳細に説明する。主軸すなわち車軸30が変速装置20を通って延在し、対応するペダルクランク(図示せず)の各端に接続される。自転車の後輪に従来の方法で結合されるスプロケット・駆動チェーン(図示せず)を受け入れるようになっているスプロケット駆動装置を設けることができる。レセプタクル32は、最大オフセット時のカムの動きを制限するためのリミットスイッチを収容する。カムのオフセットを制御して速度範囲を変えるためのワイヤがハンドル(図示せず)上の制御装置から制御ユニット28まで延在する。レセプタクル32は、制御装置(図示せず)からの制御信号を制御ユニット28に運ぶための電気系プラグを収容するために、左側カバー24に設けられている。
【0037】
次に図3および図4において、図2に関して説明した変速装置の外面的特徴が図3の分解図および図4の組み立て後の断面図から分かる。車軸30は、左側カバー24の開口部(図示せず)を貫通して延在する。カムアセンブリ34が左側カバー24の内側に取り付けられる。より具体的には、カムアセンブリ34は、左筐体24に枢着されるカム偏心体36と、車軸30に装着され、カム偏心体36の内側に収容されるカムリング38とを含む。
【0038】
カム偏心体36の一方の側面には円筒状のスリーブ40が形成され、カム偏心体36がスリーブ40を中心に枢動するように、スリーブ40は左筐体24に収容される。カム偏心体36の枢動は、制御ユニット28によって実現される。入力軸の中心線からカムの枢支点までの距離は任意である。
【0039】
この実施形態に示されているように、制御ユニット28は、カムアクチュエータウォーム48に係合するカップリング46によってモータマウントブッシング44に取り付けられる電動機42を含む。電動機42はDCモータであることが好ましい。左側カバー24に形成されたアクチュエータ筐体52にカムアクチュエータウォーム48を取り付けるとき、カムアクチュエータウォーム48の突出端にブッシング50を嵌める。スリーブ40を枢支点としたカム偏心体36の枢動を制御するために、カムアクチュエータウォーム48はカム偏心体36に従来の方式で係合する。制御ユニット28は、作動中にカムアセンブリ34に加わる力によって押し戻されないように構成されている。
【0040】
好適な一実施形態において、左側カバー筐体24の締め付けボルトの位置によって、左側カバー24を15度回転できるので、変化したトルク出力を生成および変更できる。これはテストにのみ使用されることが理想的である。さらに、カム偏心体36のストロークの端とクラッチ間のシフト点との間の位相合わせを変えることによって、トルクサイクルの加速または減速部分の変更も可能である(下記)。
【0041】
理想的には、カムアクチュエータウォーム48は、カム偏心体36の側面に形成されたギア歯に嵌るように構成される。DCモータ42がウォームを回転させると、カム偏心体36が上下に動いて、車軸30の軸中心とカムリング38付きのカム偏心体36の軸中心との間の偏心距離を変える。2つのマイクロスイッチを使用することによって、この偏心距離を制限すると共に、カム偏心体36がマイクロスイッチに当たったときにモータの回転方向を変えることもできる。DCモータ42への電力が中断するか得られない場合、たとえばバッテリが上がった場合などは、カムアクチュエータウォーム48を調整ハンドルによって手動で作動させることもできる。
【0042】
モータ42およびカムアクチュエータウォーム48の動きに応じて、カム偏心体36はカムリング38を動かす。カム中心と車軸30との間の偏心距離によって、トルクの増減量が決まる。原動機、この事例では乗り手である人間、が複数のヘテロダイン波形の入力トルクの振幅を変化させるのは、偏心部材36が入力回転に対するその角速度と車軸30までのその半径方向位置とを変化させるからである。内部機構によって負荷に対するトルクが増減されるので、結果として速度が増減される。
【0043】
カムアセンブリ34の偏心位置がゼロのとき、変速装置20は内部での直線往復運動がない直接駆動装置として作動する。
【0044】
上記のように、カム38は入力軸と共に回転しないので、円形である必要はない。したがって、カム38の形状を変更することによってトルク出力比率を変えることも、所望される場合は、入力回転と出力回転との間を直接的な関係以外、たとえば入力と出力との間をほぼ直線的な関係にすることもできる。
【0045】
図から分かるように、カム偏心体は左側カバー24上の一点に枢止されるので、カムアクチュエータウォーム48はカム偏心体36の中心をY軸を中心に、車軸30の中心にある原点から多少X軸に近い位置に動かす。このX方向の移動によって、可動部品間の位相関係がゼロになる点と最大トルク負荷とを変えることができる。以下に図示し、詳細に説明するように、スロット内を移動する矩形キャリアをカムディスクと併用すると、移動方向をY方向のみに限ることができるので、カムを車軸30に対して直線的な経路上を案内することもできる。直線的な摺動は、1つの代替案である。
【0046】
横板56と、その両端から右側カバー26に向かって延在する第1および第2の側板58、60とを有するシャトルキャリア54を車軸30上に形成するか、または車軸30に取り付ける。隣接する側面62には、横方向に半円形のスロット64が形成されている。
【0047】
シャトル66は、車軸30上に摺動可能に収容され、シャトルキャリア54に合わさる寸法と形状とを有する。シャトル66は、平行な第1および第2の側壁70、72によって両端がつながっている対向する一対の細長い側壁68を含む。シャトル66の細長い側壁68のそれぞれにカムフォロワ74が1つずつ形成され、この一対のカムフォロワ74がシャトル66からシャトルキャリアに向かって延在する。カムフォロワ74は、シャトルキャリア54に設けられた横方向スロット64に摺動可能に収容され、カムアセンブリ34と連係する寸法および形状を有する。シャトル66の内部76は中空であり、第1および第2の側壁70、72の内側にそれぞれ溝78が形成されている。
【0048】
シャトル66はシャトルキャリア54内に摺動可能に収容されるように構成されているので、カムアセンブリ34内のカム偏心体36の動きに応じて、カムフォロワは車軸30を横切る方向にシャトル66を動かすことができる。したがって、車軸30が回転すると、取り付けられているシャトルキャリア54も回転し、係合しているシャトル66もシャトルキャリアと共に回転するが、カムアセンブリ34の動きに応じてカムフォロワが横方向スロット64内を動くので、シャトル66は横方向に動くことができる。カムフォロワはカムリング38の表面に沿って移動する。スロット64は下記のカムフォロワのための隙間にすぎない。
【0049】
第1のシャトルアーム80は、車軸30に摺動可能に装着され、車軸30を中心に独立して回転する。より具体的には、第1のシャトルアーム80は細長い軸82を含む。この軸82には、車軸30に摺動可能に装着される寸法と形状とを有する穴が長手方向軸線に沿って設けられている。軸82の一端には、第2の側壁72に形成された溝78の内側に摺動可能に収容される寸法と形状とを有する第1のフォロワ84が取り付けられる。この実施形態において、第1のフォロワ84は、細長い軸82の長手方向軸に平行な軸を中心として回転するように取り付けられたローラから成る。第2のシャトルアーム86がパススルーアセンブリと共に車軸30に装着される。第2のシャトルアーム86は、第1の側壁70の溝78の内側に摺動可能に収容されるローラ形態の第2のフォロワ88を含む。この収容方法は、第1のフォロワ84が第2の側壁72の溝78内に収容されるのと同じ方法である。第2のシャトルアーム86は、細長い軸82の軸線および車軸30の軸線と同心の軸線を中心に回転する。第1のシャトルアーム80と第2のシャトルアーム86とは、互いに独立して、また車軸30からも独立して車軸30の周囲を回転する。
【0050】
車軸30の回転に伴い、シャトル66がシャトルキャリア54と共に回転し、第1および第2のシャトルアーム80、86も回転する。カム偏心体36の長手方向軸が車軸30の長手方向軸(ひいては第1および第2のシャトルアーム80、86の長手方向軸)と一直線上にあるとき、車軸30と、シャトル66と、第1および第2のシャトルアーム80、86との間には相対移動がない。ただし、カム偏心体36が制御ユニット28によって枢動されて車軸30からどちらかの方向に軸心がずれると、カムフォロワ74はカムリング38の表面に沿って回転移動し、シャトル66は車軸30と共に回転しながら、横に往復運動すなわち揺動する。シャトル66のこの横方向への搖動によって、第1および第2のシャトルアーム80、86が互いに逆回転を繰り返す。
【0051】
クラッチアセンブリ90は、内側のクラッチディスク92と、外側のクラッチディスク94と、これらの間に位置するクラッチシフト装置96とを含む。クラッチアセンブリ90は、さらに円形のクラッチカム98を含む。クラッチカム98は4つのピン100を介してシャトルキャリア54に連結される。クラッチカム98の外面には、環状溝102が形成されている。環状溝102の位置は、クラッチカム98の第1の円形半体では、クラッチカム98の左側面104に位置し、クラッチカム98の反対側の円形半体では、クラッチカム98の右側面106に隣接する。溝102は、クラッチカム98の左右側面104、106の間に滑らかな移行部を含む。
【0052】
フォロワ108は、溝102内に嵌る寸法と形状とを有する。フォロワ108はクラッチシューアセンブリ112上に取り付けられ、溝102内に嵌ると、クラッチシューアセンブリ112を軸線方向に前後に動かす。クラッチシフト装置96は壁116のU字形溝110に挿入される。クラッチシューアセンブリ112が前後に移動すると、クラッチシフト装置96を前後に移動させて、クラッチシフト装置96をクラッチディスク92または94のどちらかに係合させる。加速モード時、クラッチは順方向(加速)ディスクを選択して係合する。減速モード時、クラッチは同心軸の半回転ごとに減速ディスクを選択して係合する。クラッチシューアセンブリ112は弧状の側壁114を有する。側壁114の半径は、筐体22内に摺動可能に収容される寸法および形状である。弧状の側壁114から半径方向にU字形の横壁116が延在し、その面に上記の溝110を含む。
【0053】
クラッチカム98の回転によって、カムフォロワ108が軸方向に搖動し、クラッチシューアセンブリ112が軸方向に前後に動かす。クラッチカム98はシャトルキャリアに取り付けられ、キャリアの回転に伴って回転する。クラッチカム98は、軸方向には動かない。クラッチシフト装置96は、クラッチシューアセンブリ112の動きに応じて車軸30に沿って軸方向に摺動する。クラッチシューアセンブリ112は、筐体122内に取り付けられたシュースライダ122に乗って動く。
【0054】
スプロケットドライブ120はスプロケット(図示せず)に直接接続され、5つのピン118を介してクラッチシフト装置96に直接結合される。
【0055】
各クラッチディスク92、94はそれぞれ第1および第2のシャトルアーム80、86に結合される。車軸30の回転に応じてクラッチカム98が回転すると、クラッチシューアセンブリ112がクラッチシフト装置96を動かして、内側および外側のクラッチディスク92、94のどちらかに交互に係合させる。構成要素間の相対移動がゼロのときに、クラッチシフト装置96が内側および外側のクラッチディスク92、94に係合するので、応力が減り、係合が円滑化される。
【0056】
スロット付きシャトルの代わりに、スロット付きアームを有するピン留めシャトルの使用も可能であることを理解されたい。別の代替案においては、2つのラックと2つのセクタギアとを有するシャトルを使用できる。ギア歯の強度が最大トルクを十分に支えられる場合は、シャトル上のカム機構の内側にギア機構を使用できる。トルク出力比率を変更するために、ラックは線形である必要はない。2つのギアラックが取り付けられ、ペダル軸と同心の2つのピニオンギアを囲んで係合するので、このシャトルの動きは直線運動に拘束される。これらのギアラックは、軸の両側のピニオンギアに係合するために、互いに軸方向にずれている。各ギアはオーバラン式クラッチに取り付けられ、チェーンを介して後輪を駆動する出力スプロケットに接続されている同心の別の共通軸を駆動する。
【0057】
さらに別の代替案においては、帯金と複数のアームとを使用できる。アームの代わりに、2つの帯金をシャトルの内側に取り付ける。
【0058】
開示されている本発明の実施形態においては、カム38と車軸30との間にオフセットがないとき、車軸30を介して入力された全トルクが出力に伝達されるので、トルク分割は行われない。カム38と車軸30との間にオフセットがある場合は、入力トルクのバランスが回転運動で維持されたまま、このオフセットによってトルク入力の一部がフォロワ74を介してシャトルの直線運動に変換される。次に、この直線運動が(オフセット方向に応じて)回転運動に加えられるか、または減じられることによって、加速または減速される。クラッチシステムは適切なクラッチディスクを選んで出力に係合させる。このシステムは、内側および外側のクラッチディスク92、94とそれぞれ周期的に係合することによって出力を一方向の回転にする。言い換えると、半サイクルごとに、クラッチシフト装置96は、クラッチディスク(92、94)からクラッチシフト装置96へのトルクの伝達を一方のクラッチディスク(92、94)だけに限る。クラッチカム98はシャトルキャリア54に直接接続され、クラッチシューアセンブリ112はシュースライダ122に沿って摺動する。
【0059】
ロッカーアームまたはシャトル(枢動が無限のロッカーアーム)は、ピボットが入力軸に取り付けられ、それと共に回転するレバーとして機能する。カムがこのレバーの一端に作用するので、他端は同心軸に半径位置で作用することによって同心軸を主軸に対して相対的に回転させる。同心軸は、クラッチによって出力に結合される。カムが一方向にオフセットされると、そのクラッチが係合している半サイクルの間、同心軸が入力軸に対して順方向に回転される。カムがもう一方の方向にオフセットされると、同心軸が入力軸に対して逆方向に回転される。レバーは入力軸と共に回転するので、入力軸に対して出力回転が増加または減少する。第2の半サイクル中は第2のレバーが同様に作動するので、サイクル全体にわたって入力軸に対して総回転数の純増加または減少をもたらす。したがって、これらのクラッチは、電気制御式整流器(すなわちSCRまたは同等物)に類似の機械的装置である。単一のレバーなどを使用した場合は、1サイクル全体で出力が始点に戻るので、入力に対する出力の純変化は何もない。各機能、すなわちカムのオフセット、レバー、同心軸への結合、およびクラッチ、を実現するための方法として記載されているさまざまな方法は、変速アセンブリと同じ基本的機能を実施するために混在させることも、組み合わせることもできる。
【0060】
一実施形態において、アセンブリは、カムの回転運動に平行運動を伴わせるために、枢支されたカム板を使用する。現在、カムの作用側はほぼ楕円であり、ゼロオフセット時に主軸が(内部サイクルに対して)0度と180度の線上にある。回転によってオフセットすると、楕円の一方のローブが内部サイクルの位相から外れるので、加速モードの場合は、同心軸の回転の初期加速が速くなり、通常の自転車の円形スプロケットの出力速度関数に極めて近くなる。オフセットがない場合、カムの作用側の楕円の偏心距離が小さいので、乗り手にとってはカムが円形カムとあまり違わないように感じられる。カムの非作用側は非作用レバーをその始点位置に戻し、その半サイクル中にそのクラッチが係合したときにそのデューティに就かせるための準備にのみ使われる。
【0061】
2つのクラッチディスク92、94を使用する代わりに、各周期サイクルで一方向の回転を行わせる1つのローラオーバラン式クラッチを使用することもできる。小型のトルク担持装置では、磁気クラッチを使用することもできるであろう。あるいは、半サイクルごとに能動的に係合解除するローラクラッチを使用することもできる。
【0062】
使用時、筐体は自転車に固定される。筐体は、入力に対する運動に伴って回転しないが、上記のようにテスト目的のためにのみ左側カバー24を調整して15度変位させることもできるので、トルクサイクルの加速部分または減速部分の比率と位置とを変えることもできるであろう。
【0063】
したがって、作動時、左側カバー24には、一般的な車軸受け(図示せず)と、DCモータ42と、モータマウントブッシング15と、カムアクチュエータウォーム48とが収容される。車軸30の回転中、左側カバー24は静止している。カム偏心体36は左筐体24に取り付けられ、車軸30と共に回転しない。カム偏心体36が回転しないので、カム38の形状を円形にする必要はなく、周期的変化に合わせた形状にできる。
【0064】
シャトルキャリア54とシャトル66とは、車軸30からのトルクを伝達し、クラッチカム98を回転させてクラッチアセンブリを軸方向にシフトさせ、一方向の回転モードで作動させる。シャトル66は、シャトルキャリア54によって回転され、カムアセンブリ34の偏心距離によって揺動する。カムアセンブリ34の偏心距離によってシャトル66の半径方向の変位量が決まるので、車軸30によって担持されるベーストルクにトルクが加えられるか、または減じられる。トルクは、キャリア54およびシャトル66から、トラックローラ84を介して、第1および第2のシャトルアーム80、86に伝達される。第1および第2のシャトルアーム80、86は、シャトル66からクラッチアセンブリ90にトルクを伝達する。
【0065】
第1および第2のシャトルアームの最大回転度は、変速装置の最大および最小ギア比を決める要素である。好適な一実施形態においては、内側の第1のシャトルアーム80は外側のクラッチディスク94に接続され、第2のシャトルアーム86は内側のクラッチディスク92に結合される。シャトル66の揺動によって2つのアーム80、86が反対方向に回転するので、常に2つのアーム80、86の一方がクラッチシフト装置96に係合してトルクをスプロケットドライブ120に伝達し、一回転の方向のみに変換する。
【0066】
次に図5において、入力(原動機)124から出力126への力の流れを図示するフローチャートが示されている。この事例では、入力を供給する原動機は、自転車の乗り手などの人間であろう。乗り手が両脚で漕ぐと、ステップ128においてトルク入力がペダルクランクによって受け止められ、車軸30に伝達される。ステップ130では、車軸30の力が、取り付けられているシャトルキャリア54に伝達される。ここで、カム偏心体36の軸心が車軸30の軸心と整合しているときは、トルクが分割されない。
【0067】
モータ42が作動されてカム偏心体36とカムリング38とがステップ142で動くと、ステップ146に示されているように、シャトル66がカムフォロワ74を介してシャトルキャリア54内で動く。この時点において、第1のシャトルアーム82と第2のシャトルアーム88とがシャトル66と連係し、ステップ148a、148bおよび150a、150bに示されているように、トルクがシャトルから内側および外側のクラッチディスク92、94に交互に伝達される。前に説明したステップ136、138、および140に示されているように、伝達されたトルクは、次にクラッチシフト装置96に伝達され、そこから出力126に伝達される。
【0068】
図6および図7を参照すると、図6には、ストロークの最上部にあるときのペダルを表すゼロ度からそのストローク全体にわたるペダル角度(クランク角)におけるトルク/速度の平均的増加と、上記の変速装置におけるカム偏心体36のさまざまなオフセット位置でのトルク/速度の実際の変化との間の関係が示されている。ペダルの各ストロークの最上部またはその近く、あるいは最下部あるいはその近くでは伝達比が1またはその近辺であるため、ペダルのストローク中に増減される出力回転がないので平均比の純変化がない。カム形状が適切であれば、比が1にならず、ほぼ350°から190°までほぼ同じになるので、入力に対する出力の関係がほぼ線形になる。図7は、自転車用の一般的なマルチスプロケット変速装置におけるトルク/速度の出力を示す。
【0069】
本発明の重要な特徴は、クラッチシフト装置96との係合および係合解除に対する内側および外側のディスク92、94間の相対速度がゼロである点である。より具体的には、カムアセンブリ34の軸心が車軸30の軸心から外れると、シャトル66がシャトルキャリア54内で前後に揺動する。シャトル66の揺動によって第1および第2のシャトルアーム82、86が前後に回転する。言い換えると、シャトル66がシャトルキャリア54および車軸30と共に初めの180度を回転するとき、第1および第2のシャトルアーム82、86が互いに第1の方向に逆回転する。シャトル66およびシャトルキャリア54が車軸30と共に180度から360度まで回転するとき、シャトル66の揺動によって第1および第2のシャトルアーム82、86が互いに反対方向に逆回転する。この結果、内側および外側のクラッチディスク92、94が車軸30と共に連続的に回転することによって回転速度を調整する。クラッチシフト装置96に対する内側および外側のディスク92、94の相対速度が基本的にゼロであるとき、クラッチシフト装置96はディスク92、94のどちらか一方に係合する。この結果、構成要素に対する応力が減るので、車軸30からスプロケット駆動装置120へのトルクの流れがより円滑化される。
【0070】
要するに、上記の実施形態は全体として、トルク入力軸すなわち車軸30と、車軸30に対する偏心距離を調整可能なカム偏心体36が筐体に回転可能に取り付けられた同軸のカムアセンブリ34と、DCモータ42と、バックドライブが不可能なカムアクチュエータウォーム48との形態を取るカム偏心距離調節装置と、車軸30に装着され、レバー(またはローラ84、88)が一端に、クラッチ入力装置(内側および外側のディスク92、94)が他端に向かい合って配設された2つの同軸シャトルアーム82、86と、車軸30への摺着または枢着によって配設され、第1および第2のシャトルアーム80、86に固定または可変半径でリンクされ、車軸30と共に全回転する2つの対向するカムフォロワ74と、筐体22に対する車軸30の180度の回転間隔で、内側および外側のクラッチディスク92、94を介して同軸の第1および第2のシャトルアーム80、86に交互に接続されるクラッチアセンブリ90と、を含む。
【0071】
次に図8において、シャトルガイド・シャトル構成の一代替実施形態が示されている。この実施形態においては、車軸30が円形のガイド152に結合され、この円形ガイド152は円筒壁154を有し、その第1の端156が端板158に取り付けられている。端板158は、車軸30に固定的に取り付けられ、直径方向に対向する2つの開口部160を有する。第1および第2のロッカーアーム162、164は、円形ガイド152の枢支点166、168に枢着される。枢支点166、168は、円形壁154の第2の端174の両側に取り付けられた半円形の板170、172に形成された開口部から成る。各ロッカーアーム162、164は、枢支点166、168に取り付けられる車軸枢支ピン(図示せず)をそれぞれ収容するために形成された円筒状スリーブ178を含む。各ロッカーアーム162、164はカムフォロワ176を含む。カムフォロワ176は円筒状の延長部分の形態であり、カムアセンブリ34と連係するために、円形ガイド152の端板158に設けられた対応する開口部160を貫通して延在する寸法と形状とを有する。
【0072】
したがって、カムアセンブリ34の軸心が車軸30の軸心から外れると、カムフォロワ176は、各ロッカーアーム162、164を枢支点166、168を中心に枢動させる。
【0073】
各ロッカーアーム162、164は開口部180を含む。開口部180は、上の図3で説明したシャトル66と同様の方法で第1および第2のシャトルアーム82、86を収容するための寸法と形状とを有する
次に図9および図10において、さらに別の実施形態が図示されている。この実施形態においては、第1および第2のロッカーアーム162、164は改造版カムアセンブリ182と連係する。カムアセンブリ182は、両方向矢印186で示されている方向に摺動するように摺動可能に筐体(図示せず)に取り付けられた矩形のカム板184を含む。(言うまでもないが、図3のカムアセンブリ34について上記した代替のカム枢動はこの実施形態には適合できないであろう。)カム板184には、カム188が軸受け190によって回転可能に取り付けられている(図10参照)。カム188の両側には、カムフォロワ開口部192が形成されている。カムフォロワ開口部192は、カムフォロワ176をロッカーアーム162、164上に収容する寸法と形状とを有する。
【0074】
モータ42は、この図に194で示されているリンクを作動させる。このリンクがカム板184を押したり引いたりすると、カム188の軸心が車軸30の軸心に合ったり外れたりする。カム188の軸心が車軸30の軸心から外れると、ロッカーアーム162、164は、図2〜5の実施形態に関して上で説明した方法で、その枢支点を中心に逆回転する。
【0075】
図11は、シャトルまたはロッカーアームの作用を受ける第1および第2のシャトルアーム80、86のアセンブリを示す。この実施形態において、第2のシャトルアーム86は、第1のシャトルアームの軸82に摺動可能に装着される。第1のシャトルアーム80と第2のシャトルアーム86との間の接点は、スラスト軸受けなどの軸受け196である。
【0076】
次に図12Aおよび図12Bにおいて、ロッカーアームと、カムフォロワと、スロットおよびその対応するフォロワとの幾何学的形状の概略図が示されている。図12Aにおいて、カムアセンブリによってカムフォロワがその運動範囲の一方の端まで移動されると、ロッカーアーム内の開口部の下端に現在位置付けられている出力軸に対してロッカーアームが上方に移動する。スロットとその対応するフォロワとは、第1のシャトルアーム80とその第1のフォロワ84とに対応し、出力軸すなわち細長い軸82を回転させる方法を示す。図12Bは、カムフォロワの移動に応じて他方の端に移動したロッカーアームと、対応して逆方向に回転した出力軸とを示す。これらの動きは、第1の実施形態で上記したシャトル66の揺動に対応する。これらの動きは、上記の図8および図9で説明した各実施形態にも対応する。
【0077】
図13Aおよび13Bは、ロッカーアームの開口部上の内部セクタギアに噛み合う偏心ギアを使用した出力軸とロッカーアームの幾何学的形状の改造版を示す。出力波形を変更するために、図13Bに示すように、ロッカーアームの開口部の幾何学的形状ばかりでなく、出力軸上の偏心ギアの幾何学的形状も変えることができる。これによって、乗り手の体調に基づき変わりうる人間の入力波形に適応できる。また、筐体に対するゼロ相対速度点を変更できるので、さまざまな加速比率、トルク出力などを提供できる。
【0078】
図14A〜14Cは、ロッカーアームおよび出力軸の幾何学的形状のさらに他の実施形態を開示する。
【0079】
図15において、クラッチ198の一代替実施形態の部分断面図が示されている。この実施形態では、第1のクラッチ駆動装置200とこれに対応する第2のクラッチ駆動装置202とが1つのダイアフラムスプリングハブ204とこれに対応する複数のスラスト軸受け206とを介して連結されている。クラッチ駆動装置200、202は、駆動ピンおよびスプリング、たとえば双安定ダイアフラムスプリング212、を介して、第1および第2の駆動ウイング208、210に結合されている。被動クラッチリング214は、移動されて第1または第2の駆動リング208、210のどちらかに係合すると、摩擦材料216に係合する。このシフト運動によって、クラッチカムが双安定ダイアフラムスプリング212を移動させると、被動クラッチリング214が第1または第2の駆動リング208、210のどちらかに係合する。第1および第2のクラッチ駆動装置200、202は回転運動し、軸方向には移動しない。
【0080】
図16は、ペダルが各回転度にあるときの相対トルクフィードバックを示す。上方の第1の円220は、原動機を示す。この事例では、使用者の足である。第2の円222は入力軸すなわち車軸30を表す。これらの円をつなぐ線230は、ペダルクランクを表す。したがって、ユニティは、1:1の比を表す第3の円226で示される。縦型の楕円224はユニティの.33パーセントを表し、基本的に減速比である。外側の水平楕円228は、ユニティのほぼ1.67パーセントを表し、加速に等しい。したがって、何れかの曲線までの半径距離は、ペダルにおける各回転度の相対トルクフィードバックに等しい。
【0081】
次に図17において、別の実施形態の無段変速装置232が示されている。この実施形態において、上記の変速装置20に対応する構成要素は同じ参照符号で示されている。この実施形態において、変速装置232は、左筐体カバー234と右筐体カバー290とを含み、制御ユニット28はモータマウント44に結合されたモータ42を含む。この制御ユニット28は、モータ42を左筐体カバー234に固定するために、打ち込みネジ244が左筐体カバー234内に突出してカム板246と連係するように、ナットブロック240およびナット242と連係するカップリング238をさらに含む。カム板246の内側には、カム248が第1および第2の保持子250a、250bによって所定位置に保持されて配置される。カム248と、カム板246と、左筐体カバー234の開口部254とを車軸252が貫通し、該当する軸受けに軸支される。車軸252は、車軸252に摺動可能に装着されたシャトル258と連係するシャトルキャリア256に固定的に取り付けられる。シャトル258から一対のカムフォロワ260が延在し、シャトルキャリア256に形成された対応する開口部262を通って、カム238の表面に乗る。
【0082】
シャトル258の内部には、一対の矩形ラックスパー264が取り付けられる。ラックスパー264の歯は、円形のアームギア266およびスパーギア270とそれぞれ噛み合うように内側を向いている。アームギア266は、インナーレース276がアーム軸268の右端に取り付けられた円形のアーム軸268の左端に取り付けられる。スパーギア270は、円形のアーム軸286の左端に取り付けられ、その右端には別のインナーレース274が286の取り付けられる。アームギア266とスパーギア270との間にはスペーサ272が配置される。アームギア266とスパーギア270とは、シャトル258の内部に位置をずらして取り付けられている対応するラックスパー264に噛み合う。
【0083】
第1および第2のインナーレース274、276は、第1および第2のローラクラッチ278、280の内側を摺動する。ローラクラッチ278、280は、スプロケット駆動装置284に取り付けられたローラクラッチマウンティング282上に取り付けられている。ローラクラッチ278、280がアーム軸268とスパーギア270上の軸延長部286とに連係することによって、車軸252がスプロケット駆動装置284に接続される。この接続は、スパーギア270とアームギア266とが、シャトル258に取り付けられた対応するラックスパー264に噛み合い、シャトル258がカムフォロワ260と、カム板246に取り付けられたカム248とを介してシャトルキャリアに係合することによって実現される。スプロケット駆動装置284の周りに軸受け288が配置され、右筐体カバー290は軸受け288越しに筐体236に取り付けられるように構成されている。
【0084】
この実施形態において、使用者が車軸252に取り付けられているペダル(図示せず)に加えたトルクに応じて車軸が回転すると、アームギア266とスパーギア270とが車軸252を中心に独立して回転する。シャトル258も車軸252を中心に回転し、開口部262はカムフォロワ260のための隙間を提供する。シャトル258の回転運動は制限されず、シャトル258の横方向の直線揺動はシャトルキャリア256内でのみが可能であり、シャトルキャリア252に対するカム248のオフセットによって制限(または制御)される。
【0085】
したがって、車軸252の回転に伴い、シャトル258が回転すると、シャトルキャリア256が回転子、さらにアームギア266とスパーギア270とが回転する。カム板の長手方向軸の軸心が車軸252の長手方向軸(ひいてはアームギア266およびスパーギア270の長手方向軸)の軸心と一直線になると、車軸252と、シャトルキャリア256と、シャトル258と、それぞれ対応するラックスパー264に係合しているアームギア266およびスパーギア270との間には相対運動がない。ただし、この実施形態においては、車軸252の長手方向軸と同心であるピボット軸を中心としたカム板246の枢動に伴い、カム板がどちらの方向に回転するにしても、カムフォロワ260はシャトルキャリア256内の対応する横スロット262内で前後に動くので、シャトル258は車軸252と共に回転しながら、側方に往復運動すなわち揺動する。シャトル258のこの横揺動によって、アームギア266とスパーギア270とが車軸252に対して繰り返し逆回転するか、または過回転する。この回転運動が、ローラクラッチマウンティング282に係合しているローラクラッチ278、280に加えられて、スプロケット駆動装置284が駆動される。
【0086】
原則として、使用者がペダル(図示せず)を通じて車軸252に加えるトルクは、シャトル258と連係するカム248およびカム板246の平行運動によって分割される。このトルクは、複数の周期係合装置を通じて再度組み合わされる。この事例において、これらの周期係合装置は複数のラックスパー264であり、ローラクラッチ278、280を介してそれぞれ対応するアームギア266およびスパーギア270と連係し、ひいてはローラクラッチマウンティング282およびスプロケット駆動装置284と連係する。ローラクラッチ278、280(スプラグクラッチなど)を介したこの周期的係合によって、変速装置232を介して加えられた力の平行運動における実際の連続的可変性が維持される。これは、使用者にはレシオ間の連続可変遷移として感じられる。
【0087】
次に、本発明のこの実施形態の特定の構成要素についてより詳細に説明する。最初に、カム板246およびカム248について説明する。これらは図18〜20に詳細に図示されている。
【0088】
図18において、カム板246は、外部が平らなほぼ円形の形状であり、第1の側面294に形成されたほぼ円形の凹状開口部292と、第1の開口部292の露出面298に形成された第2のより小さい円形開口部296とを有し、開口部292と開口部296とは連通している。小さい方の第2の凹状開口部296は、カム板246の第2の対向側面302に開いている楕円形の開口部300に連通している。第2の凹状開口部296は、第1の凹状開口部292の露出面298から一段低くなった露出面304を有する。露出面304は、カム248を収容する第2の凹状開口部296の内側にある。
【0089】
次に図19において、カム248の1つのバージョンが示されている。このカム248は、環状外壁306によって画定されたほぼ円形の外形を有する。円形の外壁312によって画定された円形の段310が、カム248の第1の面308から延在している。段310は、カム板246の第2の開口部296の露出面304に合わさる露出面314を有する。段310とカム248の本体318とを貫通して長円形の開口部316が形成されている。段310とカム本体318とを貫通して4つの雌ねじ付き開口部320が形成されている。開口部320の寸法、形状、および位置は、第2の凹状開口部296の露出面304に形成された4つの開口部322に一致し、これらの開口部を貫通するファスナ(図示せず)によってカム248がカム板246に取り付けられる。
【0090】
再び図18において、カム板246の外側壁302から取り付けブロック324が突出している。取り付けブロック324には、打ち込みネジ244を収容するための貫通穴326が形成されている。一実施形態において、穴326は、打ち込みネジ244の雄ねじと螺合する雌ねじを有する。したがって、打ち込みネジ244の回転に伴い、カム板246が打ち込みネジ軸を上下するので、車軸252に対してカム板246が平行移動する。この平行移動は、カム248と連係するカムフォロワ260を介して、シャトル258に移される。
【0091】
図20は、カム板246とカム248とが内側に取り付けられた左筐体カバー234を示す。制御ユニット28は、左筐体カバー234の外側にボルト留めされる。軸228に摺動可能に取り付けられているカム板246の軸228に沿った平行運動を制限せずにカム板246を左筐体カバー234内に保持するために、保持子250a、250bが左筐体カバー234にボルト留めされる。
【0092】
カム248の形状を変えることによって、内部伝達関数を変え、変速装置の特定の用途の要件に合わせて各半サイクル間の速度またはトルクの入力対出力関係を変えることができることを理解されたい。
【0093】
次に図21〜22において、シャトルキャリア256およびシャトル258のアセンブリがより詳細に図示されている。図21において、シャトルキャリア256は後壁330と、そこから延在する相互に並列な向かい合う側壁332とを有する。中心開口部334は、車軸252に摺動可能に装着される寸法と形状とを有する。車軸に固定的に取り付けられた矩形マウント338(図17に図示)を収容する寸法と形状とを有する矩形の凹部336が中心開口部334の周囲に形成されている。この方法によって、シャトルキャリア256は、車軸252に固定的に取り付けられる。複数の細長い開口部262すなわち溝は、矩形凹部336の長手方向軸を横断する向きに後壁330に形成されている。言うまでもないが、シャトルキャリア256は他の従来の手段、たとえば溶接など、によって車軸252に取り付けることも、車軸252と一体に形成することもできる。
【0094】
次に図22において、シャトル258は、天壁342と、底壁344と、側壁346と、後壁340とが一体に形成され、中空の内部350を介して正面開口部352と連通する背面開口部348がこれらの壁によって画定されている。背面開口部348は、上ローブ354と、下ローブ356と、横向きの側ローブ358とを設けて形成されている。カムフォロワ260を取り付ける円筒状の延長部360が天壁342および底壁344の前面から延在している。
【0095】
図23および図24は、車軸252と、シャトルキャリア262と、シャトルアセンブリ258、ならびにアームギア266と、スパーギア270と、インナーレース274、276とを組み立てた状態で示す。図23および図24の実施形態に示されているシャトル258は、図22に示されているものとは構成が多少異なるが、同じ機能を実行して同じ結果を達成する。図23および図24から分かるように、シャトルアセンブリ258はシャトルキャリア256内で横に摺動するように取り付けられる。シャトルアセンブリ258は、本来のシャトル258から分割された2つのシャトル259および261を含む。この2つのシャトル259および261には、2つのカムフォロワがそれぞれ取り付けられている。このため、2つのシャトル259および261はそれぞれ独立して動くことができる。これによって、一方のシャトルが(そのカムフォロワによって駆動されて)カムの作用側に従動している間に、他方のシャトルは(そのカムフォロワによって駆動されて)カムの背面(非作用)側に従動して始点に戻り、カムの作用側に対する準備が完了した状態になる。現在の構成のように、カム形状が円形以外の場合、このデザインは2つのカムフォロワの遷移点間の部分的重なりを可能にするので、滑らかなフィードバックを乗り手に提供し、サイズを小型化できる。
【0096】
図23からより明確に分かるように、カム248およびカム板246の動きに対応してシャトル258が平行移動すると、シャトル258の内側に位置をずらして取り付けられているラックギア264がそれぞれアームギア266およびスパーギア270に係合するので、軸252に対してアームギア266およびスパーギア270が回転するか、または場合によっては逆回転する。アームギア266と第1のローラクラッチ278との間の相互接続、およびスパーギア270と第2のローラクラッチ280との間の相互接続によって、これらのクラッチがそれぞれローラクラッチマウンティング282内で係合および係合解除される。
【0097】
以上、本発明の代表的な実施形態を図示および説明してきたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなくさまざまな変更を行いうることは言うまでもない。さらに、変速装置の制御を助けるマイクロコントローラなどのフィードバック機構を設けてもよい。たとえば、使用者の要望に応じた特定の出力波形または伝達関数を供給するために、波形をマイクロコントローラに事前にプログラミングすることができる。マイクロコントローラを車両または機械に搭載し、波形を選択するためのユーザ入力、または別の実施形態では波形を調整するためのユーザ入力、を取り込んでもよいであろう。要望があれば、制御を手動にすることもできる。
【0098】
したがって、本発明は、付属の特許請求の範囲およびその均等物によってのみ制限されるものとする。
【0099】
この明細書で参照され、および/または出願データシートに列挙されている上記のすべての米国特許、米国特許出願公報、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、および非特許出版物は、参照によりその全体を本願明細書に引用したものとする。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】図1は、従来の自転車変速装置のクランク角度に対する立ち乗り時の最大踏力下での有効な力をポンド値で示すグラフである。
【図2】図2は、本発明により形成される変速装置の組み立てた状態を示す斜視図である。
【図3】図3は、図2の変速装置のアセンブリ全体の分解図である。
【図4】図4は、図2の変速装置を組み立てた状態の断面図である。
【図5】図5は、図2の変速装置を通る力の流れを示すフローチャートである。
【図6】図6は、ペダルの角度(クランク角)と本発明のカム偏心体のさまざまなオフセット位置におけるトルク/速度の実際の変化との関係を示す。
【図7】図7は従来装置の場合を示す。
【図8】図8は、カム・ロッカーアームアセンブリの拡大分解斜視図である。
【図9】図9は、シャトルアセンブリの別の代替実施形態の分解斜視図である。
【図10】図10は、図9の実施形態のカム・カム板アセンブリの拡大分解斜視図である。
【図11】図11は、図9の実施形態のシャトルアセンブリの拡大斜視図である。
【図12】図12A〜12Bは、ロッカーアームと、主軸と、カムフォロワとの間にありうる幾何学的関係の模式的表現である。
【図13】図13A〜13Bは、ロッカーアームと、主軸と、カムフォロワとの間にありうるさらに別の幾何学的関係の模式的表現である。
【図14】図14A〜14Cは、ロッカーアームと、主軸と、カムフォロワとの間にありうる幾何学的関係のさらに別の模式的表現である。
【図15】図15は、本発明により形成された、双安定皿バネを使用して係合力をもたらす、クラッチアセンブリの一代替実施形態の部分断面図である。
【図16】図16は、本発明の変速装置の平均レシオ範囲の概略図である。
【図17】図17は、本発明の別の実施形態により形成される変速装置の分解斜視図である。
【図18】図18は、本発明の一実施形態により形成されるカム動作板の斜視図である。
【図19】図19は、本発明の一実施形態により形成されるカムの斜視図である。
【図20】図20は、図17に図示の本発明の実施形態により形成される左筐体カバーの斜視図である。
【図21】図21および図22は、それぞれ本発明の一実施形態により形成されるシャトルキャリアの正面および裏面の斜視図である。
【図22】図21および図22は、それぞれ本発明の一実施形態により形成されるシャトルキャリアの正面および裏面の斜視図である。
【図23】図23および図24は、それぞれ本発明の別の実施形態により形成されるシャトルシャトルアセンブリの正面および裏面の斜視図である。
【図24】図23および図24は、それぞれ本発明の別の実施形態により形成されるシャトルシャトルアセンブリの正面および裏面の斜視図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転力伝達装置であって、
カムが取り付けられた筐体と、
該筐体に回転可能に取り付けられ、入力トルクを受け入れるように構成されている中心車軸と、
トルクを該中心車軸から分割するために、該中心車軸と該カムの偏心距離とによって駆動される往復運動手段を備えるトルク分割機構と、
該トルク分割機構を制御するために該筐体に結合されている制御機構と、
該往復運動手段を選択的に出力に結合するクラッチ機構とを、備える装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記往復運動手段が一対のロッカーアームとシャトルアセンブリのうちの1つを備える装置。
【請求項3】
請求項3に記載の装置であって、前記往復運動手段内の可動部品間の相対速度がゼロのとき、前記クラッチ機構が前記中心車軸を前記出力に1:1の比で結合する装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置であって、前記カムが環形状を有し、前記中心車軸に装着されて、前記制御機構に応じて前記中心車軸の軸心に合った状態および軸心から外れた状態になるように枢動することによって、回転入力に対する回転出力の比を変える装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置であって、前記往復運動手段が、前記中心車軸に回転可能に取り付けられた第1のロッカーアセンブリと、前記第1のロッカーアセンブリとは独立して、前記中心車軸に回転可能に取り付けられた第2のロッカーアセンブリとを備え、前記第1および第2のロッカーアセンブリがフォロワをそれぞれ含み、該フォロワが前記カム上に乗るように構成されている装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置であって、前記往復運動手段がシャトルアセンブリを備え、該シャトルアセンブリが、前記車軸と共に回転するように前記車軸に取り付けられたシャトルキャリアと、該シャトルキャリアおよび前記カムと連係し、前記車軸とは独立して回転するように前記車軸に装着されたシャトル機構とを含む装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置であって、前記中心車軸が回転し、前記カムが前記中心車軸の軸心から外れたときに、前記シャトル機構が前記カムおよびシャトルキャリアと連係して前記中心車軸の長手方向軸を横切る方向に動く装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置であって、前記シャトル機構が第1のシャトル部材と第2のシャトル部材とを備え、各シャトル部材が前記カムおよび前記シャトルキャリアと連係し、前記中心車軸の長手方向軸を横切る方向にそれぞれ独立に動く装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置であって、使用者へのトルクフィードバックを極力減らすために、前記出力に対する前記第1および第2のシャトル部材の相対速度がほぼゼロのときに、前記クラッチ部材が前記第1および第2のシャトル部材を選択的に前記出力に結合する装置。
【請求項10】
機械的カム・クラッチ無段変速装置であって、
筐体と、
該筐体に回転可能に取り付けられたトルク入力軸と、
該筐体に取り付けられ、該入力軸の長手方向軸を横切る方向に動くように構成されているカムと、
該カムを該入力軸の長手方向軸に対して動かす装置と、
該入力軸と共に回転するように該入力軸に取り付けられたシャトルキャリアと、該軸に装着され、該シャトルキャリアおよび該カムと連係するシャトルアセンブリと、該入力軸に回転可能に装着された、互いに同軸であり、かつ該入力軸とも同軸である第1および第2のトルク伝達軸と、を備えるトルク伝達機構であって、該シャトルアセンブリが該入力軸とは独立して回転するように該入力軸に装着されたシャトルフォロワを含み、該第1および第2のトルク伝達軸を該シャトルフォロワに結合するためのカップリング装置が該第1および第2のトルク伝達軸の第1の端に設けられ、クラッチ入力装置が該第1および第2のトルク伝達軸の第2の端に設けられているトルク伝達機構と、
該第1および第2の軸に設けられた該第2の端の該クラッチ入力装置を交互に出力軸に接続するように構成されているクラッチ出力装置と、を備える装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置であって、前記第1および第2の軸と前記出力軸との間の相対速度がゼロのときに、前記クラッチ出力装置が前記出力軸に結合されるように構成されている装置。
【請求項12】
請求項10に記載の装置であって、前記シャトルフォロワが、前記シャトルフォロワの回転中に前記カムに従動して、前記シャトルフォロワを前記入力軸の長手方向軸を横切る方向に前後に動かすフォロワ装置を少なくとも1つ備える装置。
【請求項13】
請求項10に記載の装置であって、前記第1および第2の軸に設けられた各カップリング装置が、前記カムと連係する前記シャトルフォロワに対応して、該それぞれの軸を前記入力軸の長手方向軸を中心に右回りおよび左回りに回転させるように構成されている、前記シャトルフォロワに取り付けられたラックギアと連係するように構成されたピニオンギアを備える装置。
【請求項14】
請求項13に記載の装置であって、前記シャトルフォロワが第1のシャトルフォロワ部材と第2のシャトルフォロワ部材とを備え、該シャトルフォロワ部材がそれぞれ前記カムおよび前記シャトルキャリアと連係することによって、前記入力軸の前記長手方向軸を横断する方向に互いに独立して動く装置。
【請求項15】
回転力伝達装置を備える車両であって、該装置が、
筐体と、
該筐体に回転可能に取り付けられ、入力トルクを受け入れるように構成されている中心車軸と、
トルクを該中心車軸から分割するために、該中心車軸に結合されたカムと、該中心車軸までの該カムの偏心距離によって駆動される往復運動手段とを備えるトルク分割機構と、
該トルク分割機構を制御するために該筐体に結合されている制御機構と、
該往復運動手段を選択的に出力に結合するクラッチ機構とを、備える車両。
【請求項16】
請求項15に記載の装置であって、前記往復運動手段が一対のロッカーアームとシャトルアセンブリのうちの1つを備える装置。
【請求項17】
請求項16に記載の装置であって、前記往復運動手段内の可動部品間の相対速度がゼロのとき、前記クラッチ機構が中心車軸を前記出力に1:1の比で結合する装置。
【請求項18】
請求項15に記載の装置であって、前記カムが環形状を有し、前記中心車軸に装着されて、前記制御機構に応じて前記中心車軸の軸心と合った状態および軸心から外れた状態になるように枢動することによって回転入力に対する回転出力の比を変える装置。
【請求項19】
請求項15に記載の装置であって、前記往復運動手段が、前記中心車軸に回転可能に取り付けられた第1のロッカーアセンブリと、前記第1のロッカーアセンブリとは独立して、前記中心車軸に回転可能に取り付けられた第2のロッカーアセンブリとを備え、該第1および第2のロッカーアセンブリがそれぞれ、前記カムに乗るように構成されているフォロワを含む装置。
【請求項20】
請求項15に記載の装置であって、前記往復運動手段が、前記車軸と共に回転するように前記車軸に取り付けられたシャトルキャリアと、前記シャトルキャリアおよび前記カムと連係し、前記車軸とは独立して回転するように前記車軸に装着されたシャトル機構と、を含むシャトルアセンブリを備える装置。
【請求項21】
請求項20に記載の装置であって、前記中心車軸が回転し、前記カムが前記中心車軸の軸心から外れるとき、前記シャトル機構が前記カムおよびシャトルキャリアと連係して前記中心車軸の長手方向軸を横切る方向に動く装置。
【請求項22】
請求項21に記載の装置であって、前記シャトル機構が第1のシャトル部材と第2のシャトル部材とを備え、各シャトル部材が前記カムおよび前記シャトルキャリアと連係して前記中心車軸の長手方向軸を横切る方向にそれぞれ独立に動く装置。
【請求項23】
請求項22に記載の装置であって、使用者へのトルクフィードバックを極力減らすために、前記出力に対する前記第1および第2のシャトル部材の相対速度がほぼゼロのときに、前記クラッチ部材が前記第1および第2のシャトル部材を選択的に前記出力に結合する装置。
【請求項24】
機械であって、
トルク入力を供給する原動機と、
筐体内に回転可能に取り付けられたトルク入力軸と、
該筐体に取り付けられ、該入力軸の長手方向軸を横切る方向に動くように構成されているカムと、
該入力軸の長手方向軸に対して該カムを動かす装置と、
該入力軸と共に回転するように該入力軸に取り付けられたシャトルキャリアと、該軸に装着され、該シャトルキャリアおよび該カムと連係するシャトルアセンブリと、該入力軸に回転可能に装着され、互いに同軸であり、かつ該入力軸とも同軸の第1および第2のトルク伝達軸と、を備えるトルク伝達機構であって、該シャトルアセンブリが該入力軸とは独立して回転するように該入力軸に装着されたシャトルフォロワを含み、該トルク伝達軸を該シャトルフォロワに結合するためのカップリング装置が該第1および第2のトルク伝達軸の第1の端に設けられ、クラッチ入力装置が該第1および第2のトルク伝達軸の第2の端に設けられているトルク伝達機構と、
該第1および第2の軸の該第2の端に設けられた該クラッチ入力装置を交互に出力軸に接続するように構成されているクラッチ出力装置と、を備える機械。
【請求項25】
請求項24に記載の装置であって、前記第1および第2の軸と前記出力軸との間の相対速度がゼロのときに、前記クラッチ出力装置が前記出力軸に結合されるように構成されている装置。
【請求項26】
請求項24に記載の装置であって、前記シャトルフォロワが、該シャトルフォロワの回転中に前記カムに従動して、前記シャトルフォロワを前記入力軸の前記長手方向軸を横切る方向に前後に動かすフォロワ装置を少なくとも1つに備える装置。
【請求項27】
請求項24に記載の装置であって、前記第1および第2の軸に設けられた各カップリング装置が、前記カムと連係する前記シャトルフォロワに対応して、該それぞれの軸を前記入力軸の長手方向軸を中心に右回りおよび左回りに回転させるように構成されている、前記シャトルフォロワに取り付けられたラックギアと連係するように構成されたピニオンギアを備える装置。
【請求項28】
請求項27に記載の装置であって、前記シャトルフォロワが第1のシャトルフォロワ部材と第2のシャトルフォロワ部材とを備え、各シャトルフォロア部材が前記カムおよび前記シャトルキャリアと連係して前記入力軸の長手方向軸を横断する方向に互いに独立にして動く装置。
【請求項29】
トルク伝達機構であって、
入力軸と、
カム部材と、
前記カム部材に作動的に結合され、前記入力トルクを第1の出力トルクと第2の出力トルクとに分割するように構成されているトルク分割アセンブリと、
前記トルク分割アセンブリに結合され、出力軸に結合される前記トルク分割アセンブリの可動部品間の相対速度がゼロのときに、前記第1の出力トルクを前記出力軸に連結し、前記第2の出力トルクを前記出力軸に連結するように構成されているトルク出力アセンブリと、を備える機構。
【請求項30】
請求項29に記載の機構であって、前記カム部材が前記入力軸の長手方向軸と軸心が合った状態および外れた状態に動くように構成され、前記トルク分割アセンブリがシャトルフォロワを備え、該シャトルフォロワが前記入力軸の長手方向軸を中心に回転するときは前記カムに従動し、前記カム部材が前記入力軸に対して偏心しているときに前記入力軸の長手方向軸を横断する方向に往復運動することによって入力軸の回転に対する出力軸の回転の比を変え、前記カム部材が前記入力軸に対して偏心していないときは入力軸の回転に対する出力軸の回転の比を1:1にするように構成されている機構。
【請求項1】
回転力伝達装置であって、
カムが取り付けられた筐体と、
該筐体に回転可能に取り付けられ、入力トルクを受け入れるように構成されている中心車軸と、
トルクを該中心車軸から分割するために、該中心車軸と該カムの偏心距離とによって駆動される往復運動手段を備えるトルク分割機構と、
該トルク分割機構を制御するために該筐体に結合されている制御機構と、
該往復運動手段を選択的に出力に結合するクラッチ機構とを、備える装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記往復運動手段が一対のロッカーアームとシャトルアセンブリのうちの1つを備える装置。
【請求項3】
請求項3に記載の装置であって、前記往復運動手段内の可動部品間の相対速度がゼロのとき、前記クラッチ機構が前記中心車軸を前記出力に1:1の比で結合する装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置であって、前記カムが環形状を有し、前記中心車軸に装着されて、前記制御機構に応じて前記中心車軸の軸心に合った状態および軸心から外れた状態になるように枢動することによって、回転入力に対する回転出力の比を変える装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置であって、前記往復運動手段が、前記中心車軸に回転可能に取り付けられた第1のロッカーアセンブリと、前記第1のロッカーアセンブリとは独立して、前記中心車軸に回転可能に取り付けられた第2のロッカーアセンブリとを備え、前記第1および第2のロッカーアセンブリがフォロワをそれぞれ含み、該フォロワが前記カム上に乗るように構成されている装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置であって、前記往復運動手段がシャトルアセンブリを備え、該シャトルアセンブリが、前記車軸と共に回転するように前記車軸に取り付けられたシャトルキャリアと、該シャトルキャリアおよび前記カムと連係し、前記車軸とは独立して回転するように前記車軸に装着されたシャトル機構とを含む装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置であって、前記中心車軸が回転し、前記カムが前記中心車軸の軸心から外れたときに、前記シャトル機構が前記カムおよびシャトルキャリアと連係して前記中心車軸の長手方向軸を横切る方向に動く装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置であって、前記シャトル機構が第1のシャトル部材と第2のシャトル部材とを備え、各シャトル部材が前記カムおよび前記シャトルキャリアと連係し、前記中心車軸の長手方向軸を横切る方向にそれぞれ独立に動く装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置であって、使用者へのトルクフィードバックを極力減らすために、前記出力に対する前記第1および第2のシャトル部材の相対速度がほぼゼロのときに、前記クラッチ部材が前記第1および第2のシャトル部材を選択的に前記出力に結合する装置。
【請求項10】
機械的カム・クラッチ無段変速装置であって、
筐体と、
該筐体に回転可能に取り付けられたトルク入力軸と、
該筐体に取り付けられ、該入力軸の長手方向軸を横切る方向に動くように構成されているカムと、
該カムを該入力軸の長手方向軸に対して動かす装置と、
該入力軸と共に回転するように該入力軸に取り付けられたシャトルキャリアと、該軸に装着され、該シャトルキャリアおよび該カムと連係するシャトルアセンブリと、該入力軸に回転可能に装着された、互いに同軸であり、かつ該入力軸とも同軸である第1および第2のトルク伝達軸と、を備えるトルク伝達機構であって、該シャトルアセンブリが該入力軸とは独立して回転するように該入力軸に装着されたシャトルフォロワを含み、該第1および第2のトルク伝達軸を該シャトルフォロワに結合するためのカップリング装置が該第1および第2のトルク伝達軸の第1の端に設けられ、クラッチ入力装置が該第1および第2のトルク伝達軸の第2の端に設けられているトルク伝達機構と、
該第1および第2の軸に設けられた該第2の端の該クラッチ入力装置を交互に出力軸に接続するように構成されているクラッチ出力装置と、を備える装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置であって、前記第1および第2の軸と前記出力軸との間の相対速度がゼロのときに、前記クラッチ出力装置が前記出力軸に結合されるように構成されている装置。
【請求項12】
請求項10に記載の装置であって、前記シャトルフォロワが、前記シャトルフォロワの回転中に前記カムに従動して、前記シャトルフォロワを前記入力軸の長手方向軸を横切る方向に前後に動かすフォロワ装置を少なくとも1つ備える装置。
【請求項13】
請求項10に記載の装置であって、前記第1および第2の軸に設けられた各カップリング装置が、前記カムと連係する前記シャトルフォロワに対応して、該それぞれの軸を前記入力軸の長手方向軸を中心に右回りおよび左回りに回転させるように構成されている、前記シャトルフォロワに取り付けられたラックギアと連係するように構成されたピニオンギアを備える装置。
【請求項14】
請求項13に記載の装置であって、前記シャトルフォロワが第1のシャトルフォロワ部材と第2のシャトルフォロワ部材とを備え、該シャトルフォロワ部材がそれぞれ前記カムおよび前記シャトルキャリアと連係することによって、前記入力軸の前記長手方向軸を横断する方向に互いに独立して動く装置。
【請求項15】
回転力伝達装置を備える車両であって、該装置が、
筐体と、
該筐体に回転可能に取り付けられ、入力トルクを受け入れるように構成されている中心車軸と、
トルクを該中心車軸から分割するために、該中心車軸に結合されたカムと、該中心車軸までの該カムの偏心距離によって駆動される往復運動手段とを備えるトルク分割機構と、
該トルク分割機構を制御するために該筐体に結合されている制御機構と、
該往復運動手段を選択的に出力に結合するクラッチ機構とを、備える車両。
【請求項16】
請求項15に記載の装置であって、前記往復運動手段が一対のロッカーアームとシャトルアセンブリのうちの1つを備える装置。
【請求項17】
請求項16に記載の装置であって、前記往復運動手段内の可動部品間の相対速度がゼロのとき、前記クラッチ機構が中心車軸を前記出力に1:1の比で結合する装置。
【請求項18】
請求項15に記載の装置であって、前記カムが環形状を有し、前記中心車軸に装着されて、前記制御機構に応じて前記中心車軸の軸心と合った状態および軸心から外れた状態になるように枢動することによって回転入力に対する回転出力の比を変える装置。
【請求項19】
請求項15に記載の装置であって、前記往復運動手段が、前記中心車軸に回転可能に取り付けられた第1のロッカーアセンブリと、前記第1のロッカーアセンブリとは独立して、前記中心車軸に回転可能に取り付けられた第2のロッカーアセンブリとを備え、該第1および第2のロッカーアセンブリがそれぞれ、前記カムに乗るように構成されているフォロワを含む装置。
【請求項20】
請求項15に記載の装置であって、前記往復運動手段が、前記車軸と共に回転するように前記車軸に取り付けられたシャトルキャリアと、前記シャトルキャリアおよび前記カムと連係し、前記車軸とは独立して回転するように前記車軸に装着されたシャトル機構と、を含むシャトルアセンブリを備える装置。
【請求項21】
請求項20に記載の装置であって、前記中心車軸が回転し、前記カムが前記中心車軸の軸心から外れるとき、前記シャトル機構が前記カムおよびシャトルキャリアと連係して前記中心車軸の長手方向軸を横切る方向に動く装置。
【請求項22】
請求項21に記載の装置であって、前記シャトル機構が第1のシャトル部材と第2のシャトル部材とを備え、各シャトル部材が前記カムおよび前記シャトルキャリアと連係して前記中心車軸の長手方向軸を横切る方向にそれぞれ独立に動く装置。
【請求項23】
請求項22に記載の装置であって、使用者へのトルクフィードバックを極力減らすために、前記出力に対する前記第1および第2のシャトル部材の相対速度がほぼゼロのときに、前記クラッチ部材が前記第1および第2のシャトル部材を選択的に前記出力に結合する装置。
【請求項24】
機械であって、
トルク入力を供給する原動機と、
筐体内に回転可能に取り付けられたトルク入力軸と、
該筐体に取り付けられ、該入力軸の長手方向軸を横切る方向に動くように構成されているカムと、
該入力軸の長手方向軸に対して該カムを動かす装置と、
該入力軸と共に回転するように該入力軸に取り付けられたシャトルキャリアと、該軸に装着され、該シャトルキャリアおよび該カムと連係するシャトルアセンブリと、該入力軸に回転可能に装着され、互いに同軸であり、かつ該入力軸とも同軸の第1および第2のトルク伝達軸と、を備えるトルク伝達機構であって、該シャトルアセンブリが該入力軸とは独立して回転するように該入力軸に装着されたシャトルフォロワを含み、該トルク伝達軸を該シャトルフォロワに結合するためのカップリング装置が該第1および第2のトルク伝達軸の第1の端に設けられ、クラッチ入力装置が該第1および第2のトルク伝達軸の第2の端に設けられているトルク伝達機構と、
該第1および第2の軸の該第2の端に設けられた該クラッチ入力装置を交互に出力軸に接続するように構成されているクラッチ出力装置と、を備える機械。
【請求項25】
請求項24に記載の装置であって、前記第1および第2の軸と前記出力軸との間の相対速度がゼロのときに、前記クラッチ出力装置が前記出力軸に結合されるように構成されている装置。
【請求項26】
請求項24に記載の装置であって、前記シャトルフォロワが、該シャトルフォロワの回転中に前記カムに従動して、前記シャトルフォロワを前記入力軸の前記長手方向軸を横切る方向に前後に動かすフォロワ装置を少なくとも1つに備える装置。
【請求項27】
請求項24に記載の装置であって、前記第1および第2の軸に設けられた各カップリング装置が、前記カムと連係する前記シャトルフォロワに対応して、該それぞれの軸を前記入力軸の長手方向軸を中心に右回りおよび左回りに回転させるように構成されている、前記シャトルフォロワに取り付けられたラックギアと連係するように構成されたピニオンギアを備える装置。
【請求項28】
請求項27に記載の装置であって、前記シャトルフォロワが第1のシャトルフォロワ部材と第2のシャトルフォロワ部材とを備え、各シャトルフォロア部材が前記カムおよび前記シャトルキャリアと連係して前記入力軸の長手方向軸を横断する方向に互いに独立にして動く装置。
【請求項29】
トルク伝達機構であって、
入力軸と、
カム部材と、
前記カム部材に作動的に結合され、前記入力トルクを第1の出力トルクと第2の出力トルクとに分割するように構成されているトルク分割アセンブリと、
前記トルク分割アセンブリに結合され、出力軸に結合される前記トルク分割アセンブリの可動部品間の相対速度がゼロのときに、前記第1の出力トルクを前記出力軸に連結し、前記第2の出力トルクを前記出力軸に連結するように構成されているトルク出力アセンブリと、を備える機構。
【請求項30】
請求項29に記載の機構であって、前記カム部材が前記入力軸の長手方向軸と軸心が合った状態および外れた状態に動くように構成され、前記トルク分割アセンブリがシャトルフォロワを備え、該シャトルフォロワが前記入力軸の長手方向軸を中心に回転するときは前記カムに従動し、前記カム部材が前記入力軸に対して偏心しているときに前記入力軸の長手方向軸を横断する方向に往復運動することによって入力軸の回転に対する出力軸の回転の比を変え、前記カム部材が前記入力軸に対して偏心していないときは入力軸の回転に対する出力軸の回転の比を1:1にするように構成されている機構。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公表番号】特表2007−531853(P2007−531853A)
【公表日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−506324(P2007−506324)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【国際出願番号】PCT/US2005/011136
【国際公開番号】WO2005/098276
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(506327999)ビーエイチエスシーアイ エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【国際出願番号】PCT/US2005/011136
【国際公開番号】WO2005/098276
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(506327999)ビーエイチエスシーアイ エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】
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