説明

無溶媒のUV架橋しうるアクリレ−ト感圧接着剤の製造法

本UV架橋できるポリアクリレート感圧接着剤物質は重合によって導入された光開始剤単位、100,000−3,000,000g/モルの範囲の平均分子量M<SB>W</SB>(重量平均)を有することが特徴で、該ポリアクリレート感圧接着剤物質はラジカル無溶媒重合法で製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアクリレ−ト感圧接着剤、この種の感圧接着剤の製造法、並びにこの種の感圧接着剤の使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
工業的な感圧接着剤テープの用途に対して、ポリアクリレ−ト感圧接着剤を使用することはごく普通である。ポリアクリレ−トは他の弾性体よりも種々の利点を有する。それらはUV光、酸素、及びオゾンに対して非常に安定である。合成及び天然ゴム接着剤は、一般に二重結合を含み、これが接着剤を上述した環境の影響に対して不安定にさせている。ポリアクリレ−トの更なる利点は、比較的広い温度範囲にわたるその透明性とその有用性である。
【0003】
ポリアクリレ−ト感圧接着剤は一般にラジカル重合により溶液中で製造される。一般的にいって、ポリアクリレ−トは溶液から対応する担体材料上にコ−ティングバ−でコ−ティングされ、続いて乾燥せしめられる。凝集力を向上させるためには、ポリマ−を架橋させる。硬化は熱的にまたはUV架橋でまたはEB硬化(EB=電子線)で行われる。上述した操作は、概して溶媒がリサイクルされず、有機溶媒の高消費量が高い環境負荷を意味するから、比較的費用がかかり且つ環境的に好ましくない。
【0004】
更に感圧接着剤テープを気泡なしに高速で製造することも困難である。
【0005】
これらの欠点の対処には、ホットメルト法が挙げられよう。この場合、感圧接着剤(PSA)は溶融物から担体材料に適用される。しかしながらこの技術は、制約も含まれている。コ−ティングに先立って、追加的に溶液で製造されたPSAからは溶媒が乾燥押出し機で除去される。この乾燥操作は比較的高温且つ剪断力へ露呈させるので、特に高分子量ポリアクリレ−トPSAがかなり損傷を受ける。即ちアクリレ−トPSAはゲル化し、または分子量低下の結果として低分子量画分が急激に増加する。これらの両方の影響はその用途において有害であり、望ましくない。この接着剤は最早コ−ティングできず、その技術的接着性は変わってしまう。
【0006】
これらの欠点に対する1つの解答は、低平均分子量及び狭い分子量分布を有するポリアクリレ−ト接着剤によって与えられる。この場合、ポリマ−中の低分子量及び高分子量の画分は重合法の結果としてはっきりと減じられる。高分子量画分の消失は流動粘度を低下させ、組成物はゲルヘの傾向が低下する。低分子量画分の低下の結果として、PSAの剪断強度を低下させるオリゴマ−数の減少が見られる。
【0007】
低分子量PSAを製造するためには、種々の重合法が適当である。その技術は例えばアルコ−ルまたはチオ−ルのような調節剤を使用することである(非特許文献1)。これらの調節剤は分子量を減じるが、分子量分布を広くする。
【0008】
更なる使用される制御された重合法は、原子移動ラジカル重合法(ATRP)である。ATRPの種々の可能性は特許文献1−3に記述されている。一般的にいって、金属触媒が使用されるが、その副作用がPSAの老化に負の影響(ゲル化、分子間エステル交換)を及ぼす。更に金属触媒の多くは有毒であり、接着剤を変色させ、費用をかけて且つ不都合な沈殿によって初めてポリマ−から除去することができる。
【0009】
特許文献4は制御されたラジカル重合法を開示している。この方法では、式
R´R″N−O−X
[式中、Xは不飽和モノマ−を重合させうるラジカル種を表わす]
の化合物が開始剤として使用される。しかしながら、反応の転化率は一般に低い。特別な問題は、非常に低い収率及び分子量でしか進行しないアクリレ−トの重合である。
【0010】
特許文献5−7は、低多分散度を有するポリマ−を製造するために調節剤物質を使用する別の重合法を記述する。この方法の欠点は、低転化率と溶媒の使用を含む。
【0011】
上述の特許及び論文においては、ラジカル重合反応の制御を改善する試みがなされている。それでも高分子量と低多分散度と共に、非常に反応性であり且つ高転化率が達成する可能性があるニトロキシド制御重合法が必要とされている。
【0012】
他の態様はRAFT法(可逆的付加−解離連鎖移動)である。この方法は特許文献8及び9に詳細に記述されているが、言及されている方法はPSAの製造に適当ではない。なぜならば、達成される転化率は非常に低く、製造されるポリマ−の平均分子量はアクリレ−トPSAにとって低すぎるからである。従って、記載されているポリマーはアクリレートPSAとして使用することができない。これは特許文献10に記述される方法で改善される。
【0013】
しかしながら、RAFT法による方法及びニトロキシド化合物の使用は、開示される化合物がラジカル捕捉効果を有するためUV架橋に使用できず、UV光開始剤の添加後の架橋効率が低すぎるからである。
【0014】
グセ(Guse)(特許文献11)はアクリレ−トPSAが容易にUV架橋でき且つホットメルトとして使用できる方法を記述するが、これらはその非常に広い分子量分布のために良好な技術的接着剤性を持たない。更なる欠点は、これらのPSAが溶媒の除去を必要とする溶液重合で製造されることでもある。
【0015】
商業的には、ベンゾフェノン誘導体またはアセトフェノン誘導体がアクリレ−トポリマ−鎖中にアクリレ−ト化光開始剤として導入された低分子量アクリレ−トホットメルトが市販されている。次いで、これはUV照射で架橋することができる(参照、更に特許文献12)。しかしながら、そのような系で達成できる剪断強度は、比較的低分子量(M、約250000g/モル)のために比較的広い分布を有するから満足できない。更にこれらの系の大きな欠点は、測定できる残存溶媒画分を依然含み、かくして無溶媒でないことである。
【0016】
ホットメルト法での加工及び続くUV架橋と関連したアクリレ−トPSAに対する改良は、特許文献13に記述されるように、共重合された光開始剤を有する狭い分布のアクリレ−トPSAの製造によって達成される。共重合された光開始剤の使用は、UV架橋を促進し且つ重合後まで添加されない促進剤の使用と比べて架橋効率を向上させる。しかしながら、この方法を使用すると、重合はやはり溶液で行われ、ポリマ−溶融物は残存溶媒含量<2%まで濃縮して初めて製造される。最初に記述したこの環境問題及び経済問題、即ち有機溶媒の高程度の消費は、この場合に解決されない。更なる因子は、接着剤中の溶媒残渣存在可能性が続く使用過程において臭いの問題をもたらすことである。
【0017】
2軸押出し機におけるポリアクリレ−トの無溶媒製造法は、特許文献14に記述されている。しかしながら、この方法で製造されたアクリレ−トホットメルトPSAは、高いゲル画分、ある場合にはかなり高い、55%までのゲル画分を有し、したがってその後の工程をひどく損なう。この場合も、UV架橋は続く促進剤の添加で初めて可能であるから、架橋効率も低い。
【0018】
それゆえに残っている中心的問題は、有効なUV架橋を示す無溶媒PSAの製造である。
【特許文献1】米国特許第5945491号
【特許文献2】米国特許第5854364号
【特許文献3】米国特許第578948号
【特許文献4】米国特許第4581429号
【特許文献5】WO第96/24620A号
【特許文献6】WO第98/30601A号
【特許文献7】WO第98/4408A号
【特許文献8】WO第98/01478A号
【特許文献9】WO第99/31144A号
【特許文献10】独国特許第10030217号
【特許文献11】米国特許第4144157号
【特許文献12】米国特許第5073611A号
【特許文献13】独国特許第10149084A号
【特許文献14】ヨーロッパ特許第0160394A号
【非特許文献1】ハンス(Hans)−ジョ−ジ・エリアス(Georg Elias著、マクロモレキュ−ル(Makiromolekuele)、第5版、1990年、ヒュエチッヒ・ウント・ウェップ(Huetig & Wepf)出版
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の目的は、ホットメル法で非常に効率よく加工でき、次いで非常に効率よく架橋できる無溶媒ポリアクリレ−ト組成物の製造法を提供することであり、また従来法の欠点を持たない或いはこれを減じられた程度でしか持たないアクリレ−トホットメルトPSAを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この目的は、主たる特許請求の範囲で記述した方法で達成される。これらの従属請求項は、感圧接着剤及びその有利な製造法の発展を提供する。
【0021】
本発明は、平均分子量M(重量平均)100000−3000000を有し且つ共重合された光開始剤単位も有するUVで架橋できる無溶媒ポリアクリレ−ト感圧接着剤の製造法を提供する。このポリアクリレ−トPSAはラジカル無溶媒重合操作で製造される。
【0022】
ポリアクリレ−トPSAのある有利な発展において、それは平均分子量M(重量平均)100000−800000及び高々4.0の多分散度を有し且つこれらの共重合された光開始剤単位を有する。高々4.0の多分散度を有するポリアクリレ−トPSAの製造は、ポリマ−がモノマ−混合物から製造され、重合に対するモノマ−混合物が共重合しうる光開始剤を含んでなり、そして重合操作が、構造単位
【0023】
【化1】

【0024】
[式中、XはS,OまたはNである]
を含む少なくとも1つの化合物を重合調節剤として存在させて調節される、プラネタリ−ローラー押出し機中でのラジカル無溶媒重合法で達成される。
【0025】
本発明の目的のために非常に有利に使用できる重合調節剤はトリチオカ−ボネ−トまたはジチオエステルを含む。
【0026】
驚くべきことに、プラネタリ−ローラー押出し機中での重合により、共重合しうる光開始剤を使用する場合、これはUV照射で非常に効率よく架橋できる無溶媒ポリアクリレ−トホットメルトPSAが製造できるように共重合させることができる。
【0027】
それゆえに本発明は、中でも無溶媒の、UV架橋できるポリアクリレ−ト感圧接着剤の製造法に関する。本方法は無溶媒重合でポリマ−が製造され、モノマ−混合物が共重合しうる光開始剤を有するという事実も特徴である。
【0028】
無溶媒重合中に共重合できる光開始剤を使用すれば、UV照射で非常に効率よく架橋できるポリマ−が得られる。そのような方法で製造されるポリマ−は非常によくコ−ティングでき、高いUV架橋効率ばかりでなく、その極度に低い悪臭が特徴である。結果として、それは高剪断負荷下に使用できる接着剤テープの製造に適当である。その上、本発明の接着剤でコ−ティングされた接着剤テープは、常法で製造される接着剤テープの場合のような溶媒残部を有しない。例えば商業的に入手できるUV架橋性ホットメルトPSAは、ある残存溶媒画分を依然含んでいる。本発明の方法を用いれば、無溶媒の接着剤テープを製造することができる。
【0029】
UV架橋できるポリアクリレ−トホットメルトPSAの無溶媒製造は押出し機中で有利に行えることが発見された。特にプラネタリ−ローラー押出し機は、そのような方法に適当であることが分かった。プラネタリ−ローラー押出し機中での重合は、ゲル生成傾向が所謂2軸押出し機中よりも実質的に低く、特に調節剤物質及び共重合できる光開始剤を用いる場合特に低いゲル生成傾向が観察されるという利点を有する。この結果、更にUV架橋で非常に効率よく架橋できる非常に良好な更なる加工性を持つ狭い分布のポリアクリレ−トホットメルトPSAが得られる。
【0030】
プラネタリ−ローラー押出し機中での重合の場合に通常の短い滞留時間のために、共重合しうる光開始剤が無溶媒重合の過程において、架橋に必要な程度まで共重合するということを予期することは可能でない。驚くべきことに共重合しうる光開始剤及び調節剤物質を組み合わせて使用する場合でさえ、プラネタリ−ローラー押出し機中での重合において、高いUV架橋性のポリアクリレ−トホットメルトPSAが製造できる。これが予期できなかった理由は、撹拌式タンク中での通常の溶液重合において上述した物質を組み合わせて使用すると、反応速度が大きく低下するという事実である。特にプラネタリ−ローラー押出し機中での重合において調節剤物質を共重合できる光開始剤と組み合わせると、特に良好なコ−ティング性を持つUV架橋性の接着剤が得られるということが発見された。この低多分散度は、プラネタリ−ローラー押出し機での重合と関連した利点をもたらし、この結果プラネタリ−ローラー押出し機の特徴である際だった混合性を増大させる。調節剤物質の使用は、無溶媒重合のために有利な帰結を示す低多分散度のポリマ−をもたらす。特に無溶媒重合の場合に決定的な役割を演じる粘度は、低多分散度の結果として、無溶媒重合に有利な範囲に移行する。より大きな多分散度は、熱除去の可能性を減じ、更に反応器の混合作用を減じる粘度の上昇が付随する。これらの性質は無溶媒重合の信頼できる実行に対して決定的に重要である。更に、多分散度の粘度に対する正の影響の結果として、より高い転化速度が可能であり、また結果として順次接着剤ホットメルトPSAとしての使用に重要であるゲル生成傾向が減じられる。
【0031】
プラネタリ−ローラー押出し機は、特に際だった熱特性のために、また無溶媒重合に対する温度制御の非常に多様な可能性のために適当である。
【0032】
使用される押出し機は、好ましくは連続的に運転される。ル−プ(loop)運転としても言及される生成物流の部分的循環も有利である。最も有利な点は、水圧充填された プラネタリ−ローラー押出し機で無溶媒のUV架橋しうるポリアクリレ−トを製造することである。この水圧充填は、無酸素状態の確立を容易にし、また押出し機部分を最良に利用せしめうる。その上、重合操作を混乱させる相界面(phase boundaries)が回避される。
【0033】
モノマ−は、重合反応器へ個別にまたは混合物として秤入れられる。特に共重合しうる光開始剤の予備的混合は、反応混合物の均一な分布を保証する。しかしながら、反応器中での混合も可能であり、異なる出発物質流を一緒に上流の、動的に運転されるまたは静的混合機もしくはミクロ混合機であってよい連続混合機に供してもよい。
【0034】
更なる物質、例えば開始剤、重合調節剤及び更なるモノマ−の、例えば反応器の長さ方向に沿う出発物質流への添加も賢明である。直列の複数のローラー筒からなるプラネタリ−ローラー押出し機を使用する場合、この種の添加はローラー筒の連結フランジに開けられた孔を通して行いうる。適当な開始剤または開始剤混合物の後続秤入により、高1次ラジカル(primary−radical)濃度の結果として、同時にポリマ−の低分子量化またはゲル化を誘導することなく、高い転化速度を達成することが可能である。
【0035】
本方法のある展開においては、プラネタリ−ローラー押出し機での重合後、ポリマ−は依然揮発性である成分、例えば未反応のモノマ−が脱揮発成分押出し機で除去される。これらの成分は、その組成決定後、出発物質流へ戻すことができる。
【0036】
本発明の他の展開において、重合後、必要ならば脱揮発成分後、更に適当ならば重合押出し機で及び/または下流の混練押出し機で行ってもよい1つまたはそれ以上の添加剤の添加後、ポリマ−を、有利にはゲルのない溶融物から担体上にコーティングする。ここに「ゲルのない」とは、通常使用される且つこの目的のために同業者が熟知するコ−ティング装置を用いる組成物のコ−ティング性に対する必要条件に対応するものである。特に通常使用されているコ−ティングノズルを通して或いはロールアプリケーターを用いてコーティングを行う場合、不均一性または縞模様のない均一なコ−ティングパターンで特色付けられるコ−ティング性に対応するものである。
【0037】
次いでポリマ−をUV照射で架橋することは有利である。これは特に担体上へのコ−ティング後に行われる。この場合、UV架橋を、添加された重合調節剤で補助するようにして進めることが好適である。
【0038】
要するに、有利な方法に対して次の手順に従うことができる。
・(メタ)アクリル酸に基づくモノマ−に加えて、共重合しうる光開始剤を含むモノマ−
混合物の重合操作、
・無溶媒で行う重合、
・プラネタリ−ローラー押出し機の使用の可能な重合、
・制御剤を使用する結果としての、1.2−4の多分散度の達成、
・場合によって重合操作に続く脱揮発成分操作、
・ポリマ−の、直接的な更なる加工可能、溶媒の循環の不必要、
・ポリマ−の溶融物からのゲルのないコ−テイング、及び
・コ−ティング後、UV架橋を補助且つ促進する調節剤を添加してのUV光での硬化。
【0039】
UV架橋できるポリアクリレ−トPSA及びUV架橋できる、狭い分布のポリアクリレ−トPSAは好ましくは次のモノマ−からなる:
a)式
CH=CH(R)(COOR
[式中、R=HまたはCH及びRは炭素数1−30のアルキル鎖またはHである]
を有するアクリルエステル及び/またはメタクリルエステル及び/またはこれらの遊
離酸70−99.9重量%、特に75−99.5重量%、
b)ラジカル重合できる二重結合を有する共重合性UV光開始剤0.1−2重量%、特に0.4−1重量%、
c)所望により、官能基を有するオレフィン性不飽和モノマ−0−30重量%。
【0040】
ある非常に好適な態様において、使用されるモノマ−a)は炭素数4−14、好ましくは4−9のアルキル基を有するアクリル及びメタクリルエステルを含んでなるアクリルモノマ−を含む。例示によって不必要に限定したくはないが、特別な例はアクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−ペンチル,アクリル酸n−ヘキシル,アクリル酸n−ヘプチル,アクリル酸n−オクチル,アクリル酸n−ノニル,アクリル酸ラウリル,アクリル酸ステアリル,アクリル酸ベヘニル,及びこれらの分岐鎖異性体、例えばアクリル酸2−エチルヘキシルである。同様にa)で少量添加できる更なる種類の化合物は,メタクリル酸メチル,メタクリル酸シクロヘキシル,及びメタクリル酸イソボルニルである。
【0041】
ある非常に好適な態様において、少なくとも1つのビニル化合物を有する光開始剤がモノマ−b)として使用される。この光開始剤はノ−リッシュIまたはノ−リッシュII型のものであってよい。
【0042】
光開始剤は、その形成ブロックとして、次の基の1つまたはそれ以上を含む:ベンゾフェノン−、アセトフェノン−、ベンジル(benzil)−、ベンゾイン−、ヒドロキシアルキルフェノン−、フェニルシクロヘキシルケトン−、アンスラキノン−、トリメチルベンゾイルホスフィンオキシド−、メチルチオフェニルモルフォリンケトン−、アミノケトン−、アゾベンゾイン、チオキサントン、ヘキサリールビスイミダゾールトリアジン、またはフルオレノン−。但しこれらの基のそれぞれは、1つまたはそれ以上のハロゲン原子及び/または1つまたはそれ以上のアルコキシ基及び/または1つまたはそれ以上のアミノ基及び/またはヒドロキシル基で更に置換されていてもよい。この代表的な総説は、J.−P.フアシ−ル(Fouassier)著、「光開始、光重合、及び光硬化−基礎と応用」、ハンザ−出版 (Hanser Publisher,Munich,Vienna,New York)、1995年である。補助のために、P.K.T.オルドリング(Oldring)編、A.キャロイ(Carroy)、C.デッカ−(Decker)、J.P.ダウリング (Dowling)、P.パパス(Pappas)、B.モンロ−(Monroe)著、「コ−ティング、インキ、及び塗料のためのUV及びEB処方物の化学と技術」第5巻、SITA技術出版(SITA Technology Publ.,London)、1994年も参照できる。結果として不必要に限定したくはないが、特別な例はアクリル化ベンゾフェノン、例えばUCBからのエベクリル(Ebecryl)P36TMまたはアクリル酸ベンゾインである。
【0043】
ある非常に好適な態様において、使用されるモノマ−c)は、ビニルエステル、ビニルエーテル、ビニルハライド、ビニリデンハライド、芳香族環及びヘテロ環をα−位に有するビニル化合物を含む。ここに再び限定するものでなく言及すれば、その例は酢酸ビニル、ビニルホルムアミド、ビニルピリジン、エチルビニルエ−テル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、及びアクリロニトリルである。モノマ−c)としてある更に非常に好適な態様では、次の官能基を有するモノマ−が使用される:ヒドロキシル、カルボキシル、エポキシ、酸アミド、イソシアナトまたはアミノ基。
【0044】
ある有利な態様において、次の一般式
【0045】
【化2】

【0046】
[式中、R=HまたはCH、及び基−ORは官能基を表わしまたは含み且つ例えばある特に好適な態様ではUV架橋を容易にするH供与体効果を有する]
に従うアクリルモノマ−がc)に対して使用される。成分c)として特に好適な例は、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アリルアルコ−ル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、イタコン酸、アクリルアミド、及びメタクリル酸グリセリディル(glyceridyl)、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸tert−ブチルフェニル、メタクリル酸tert−ブチルフェニル、アクリル酸フェノキシエチル、メタクリル酸フェノキシエチル、メタクリル酸2−ブトキシエチル、アクリル酸2−ブトキシエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸シアノエチル、アクリル酸シアノエチル、メタクリル酸グリセリル、メタクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−メチロ−ルメタクリルアミド、N−(ブトキシメチル)メタクリルアミド、N−メチロ−ルアクリルアミド、N−(エトキシメチル)アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、ビニル酢酸、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、β−アクリロイロキシプロピオン酸、トリクロロアクリル酸、フマル酸、クロトン酸、アコニチン酸、及びジメチルアクリル酸である。但しこれらの列挙は、完全なものとして理解すべきではない。ある更に好適な態様において、芳香族ビニル化合物も成分c)に使用される。この場合、芳香核は好ましくはC−C18からなり、ヘテロ原子を含むことができる。特に好適な例は、スチレン、4−ビニルピリジン、N−ビニルフタルイミド、メチルスチレン、3、4−ジメトキシスチレン、及び4−ビニル安息香酸である。但し、これらの列挙は完全なものとして理解すべきではない。
【0047】
重合に対しては、得られるポリマ−が工業的に有用なPSAとして使用できるように、特に得られるポリマ−がドナタス・サタス(Donatas Satas)著、「感圧接着剤技術ハンドブック」、ファン・ノストランド出版(van Nostrand,New York)、1989年に従う感圧接着剤性を有するようにモノマ−が選択される。これらの用途に対しては、得られるポリマ−の静的ガラス転移温度が有利には25℃以下(below)である。
【0048】
狭い分布のポリマ−を製造するために、重合は好ましくは一般式
【0049】
【化3】

【0050】
[式中、R及びR´は互いに独立に選択され或いは同一であってもよく、次のリストに
由来するものである:
・分岐鎖及び直鎖C−C18アルキル基、C−C18アルケニル基、C−C18アルキニル基、
・HまたはC−C18アルコキシ、
・少なくとも1つのOH基または1つのハロゲン原子または1つのシリルエ−テルで
置換されたC−C18アルキニル基、C−C18アルケニル基、C−C18アルキル基、
・少なくとも1つの酸素原子及び1つのNR´基を炭素鎖に有するC−C18ヘテロ−アルキル基、
・少なくとも1つのエステル基、アミン基、カ−ボネ−ト基、シアノ、イソシアナト
及び/またはエポキシド基及び/または硫黄で置換されたC−C18アルキニル基、C−C18アルケニル基、C−C18アルキル基、
・C−C12シクロアルキル基、
・C−C18アリ−ルまたはベンジル基、
・水素]
の調節剤を用いて行われる。
【0051】
タイプ(I)の調節剤はより好適な態様では次の化合物からなる。この場合、
ハロゲンは好ましくはF、Cl、BrまたはI、より好ましくはClまたはBrである。
【0052】
種々の置換基におけるアルキル、アルケニル、及びアルキニル基として、直鎖及び分岐鎖のものが際立って適当である。
【0053】
炭素数1−18のアルキル基で言及しうる例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、2−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、tert−オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、トリデシル、テトラデシル、ヘキサデシル及びオクタデシルを含む。
【0054】
炭素数3−18のアルケニル基の例は、プロペニル、2−ブテニル、3−ブテニル、イソブテニル、n−2、4−ペンタジエニル、3−メチル−2−ブテニル、n−2−オクテニル、n−2−ドデセニル、イソドデセニル、及びオレイルである。
【0055】
炭素数3−18のアルキニル基の例は、プロピニル、2−ブチニル、3−ブチニル、n−2−オクチニル、及びn−2−オクタデシニルである。
【0056】
ヒドロキシ置換アルキル基の例は、ヒドロキシイプロピル、ヒドロキシブチルまたはヒドロキシヘキシルである。
【0057】
ハロゲン置換アルキル基の例は、ジクロロブチル、モノブロモブチルまたはトリクロロヘキシルである。
【0058】
少なくとも1つの酸素原子を炭素鎖中に有する適当なC−C18ヘテロ−アルキル基は例えば−CH−CH−O−CH−CHである。
【0059】
−C12シクロアルキル基として役立つ基の例は、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはトリメチルシクロヘキシルを含む。
【0060】
−C18アリ−ル基として役立つ基の例は、フェニル、ナフチル、ベンジル、4−
tert−ブチルベンジル−または更なる置換フェニル、例えばエチルフェニル、トルエン、キシレン、メシチレン、イソプロピルベンゼン、ジクロロベンゼンまたはブロモトルエンを含む。これらの列挙は、各群の化合物の例としてだけ役立ち、完全なものではない。
【0061】
更に次のタイプの化合物も、調節剤として適当である。
【0062】
【化4】

【0063】
[式中、Rは上述したRまたはR´を無関係に包含する]。
【0064】
ある特に好適な本発明の具体例において、化合物(Ia)及び(IIa)は調節剤として使用される。
【0065】
【化5】

【0066】
成長の制御されたラジカル機構で進行する上述した重合と関連した、更なるラジカル重合開始剤、特に熱分解するラジカル生成アゾまたはパ−オキソ開始剤を更に含む開始剤系を使用することは好適である。しかしながら、アクリレ−トに関して公知のすべての通常の開始剤がこの目的に本質的に適当である。C中心ラジカルの生成は、フ−ベン・ワイル (Houben Weyl)著、有機化学法(Methoden der Organischen Chemie)、第E19a巻、60−147ページに記述されている。これらの方法は優先的に同様に使用される。
【0067】
ラジカル源の例は、ペルオキシド、ヒドロペルオキシド、及びアゾ化合物である。ここに典型的なラジカル開始剤の、限定を意味しない例として、過酸化二硫酸カリウム、ジベンゾイルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、シクロヘキシルスルホニルアセチルペルオキシド、ジイソプロピルパ−カ−ボネ−ト、tert−ブチルパ−オクトエ−ト、及びベンズピナコ−ルが言及できる。ある非常に好適な態様において、使用されるラジカル開始剤は2、2´−アゾビスイソブチロニトリル[デュポン社からのバゾ(Vazo)64TM]である。
【0068】
制御されたラジカル重合で生成するポリマ−の平均分子量M(重量平均)は、100000−800000g/モルの範囲にあるように選択される。特にホットメルトPSA
として更に使用するためには、PSAは100000−350000g/モルの平均分子量M(重量平均)を有するものが製造される。この場合、平均分子量Mはサイズ排除クロマトグラフィ−(ゲルパ−ミエ−ションクロマトグラフィ−、GPC)または質量スペクトルと組み合わせたマトリックス支援レーザー脱着/イオン化法(MALDI−MS)で決定される。
【0069】
重合は溶媒の添加なしにバルクで行われる。
【0070】
重合を開始するために、熱分解する開始剤に対しては熱をかけることが必須である。熱分解開始剤の場合、開始剤の種類に依存して、50−160℃まで加熱することにより重合を開始させることができる。
【0071】
ある更に有利な発展において、1つまたはそれ以上の可塑剤が、ポリアクリレ−ト、例えば低分子量のポリアクリレ−トに、例えばフタレ−ト、ホスフェ−ト、クエン酸エステル、及び水溶性可塑剤(鯨油可塑剤)が添加される。
【0072】
ポリアクリレ−トは1つまたはそれ以上の添加剤、例えば老化防止剤、光安定剤、オゾン保護剤、脂肪酸、核剤、膨張剤、混練剤(compounding agents)、及び/または促進剤と更に混合することができる。老化防止剤に関しては、商業的にチバ・ガイギ−から商品名イルガノックス(Irganox)TM及びクラリアント(Clariant)からホスタノクス(Hostanox)TMとして入手できる1次及び2次老化防止剤が特に参照できる。
【0073】
本発明は、接着剤テープに対するポリアクリレ−ト感圧接着剤の特に好適な使用法を提供する。ポリアクリレ−ト感圧接着剤は担体の片面または両面に適用することができる。
【0074】
例えば接着剤テープの場合、PSAに対して使用される担体材料は同業者の熟知する通常の材料、例えばフィルム(ポリエステル、PET、PE、PP、BOPP、PVC)、不織布、発泡物、織り布、及び織りフィルム、更に剥離紙(グラシン紙、HDPE、LDPE)である。これらの列挙は完全なものとして理解すべきではない。
【0075】
特にPSAとして使用する場合、ポリアクリレ−ト(得られるポリマ−)を、好ましくはインラインで、担体にまたは担体材料へ層の形で適用することが本発明の方法にとって有利である。
【0076】
PSAの用途の場合、担体にまたは担体材料にコ−ティングさせた後、ポリアクリレ−トを架橋させことが特に有利である。PSAテープを製造する場合、上述したポリマ−はこの目的に対して随時架橋剤と混合される。本発明の方法にしたがって照射下に架橋する好適な物質は、例えば二官能性または多官能性アクリレ−ト或いは二官能性または多官能性ウレタンアクリレ−ト或いは二官能性または多官能性イソシアネ−ト或いは二官能性または多官能性エポキシドである。しかしながら、同業者には熟知の、ポリアクリレ−トを架橋しうるすべての更なる二官能性または多官能性化合物を使用することもできる。
【0077】
架橋効率を改善するために、所望により、ポリアクリレ−トを更なる共重合されてない光開始剤と混合してもよい。この目的に対して、好ましくはノ−リッシュI型またはノ−リッシュII型開裂化合物が適当である。両種の可能な多くの例は、ベンゾフェノン誘導体、アセトフェノン誘導体、ベンジル誘導体、ベンゾイン誘導体、ヒドロキシアルキルフェノン誘導体、フェニルシクロヘキシルケトン誘導体、アンスラキノン誘導体、チオキサントン誘導体、トリアジン誘導体、またはフルオレノン誘導体であるが、これらの例は例示であって、すべてではない。ここに、代表的な総説は、J.−P.フアシ−ル(Fou
assier)著、「光開始、光重合、及び光硬化−基礎と応用」、ハンザ−出版(Hanser Publisher,Munich,Vienna,New York)、1995年、及びP.K.T.オルドリング(Oldring)編、A.キャロイ(Carroy)、C.デッカ−(Decker)、J.P.ダウリング(Dowling)、P.パパス(Pappas)、B.モンロ−(Monroe)著、「コ−ティング、インキ、及び塗料のためのUV及びEB処方物の化学と技術」第5巻、SITA技術出版(SITA Technology Publ.,London)、1994年に見られる。
【0078】
UV架橋は、非常に好ましくは特に出力80−240W/cmの高圧または中圧水銀ランプを用いて、200−450nmの波長範囲の短時間の紫外線照射によって行われる。しかしながら、UV架橋の場合、単色光をレーザー形で使用することもできる。過熱を防ぐためには、UV光路部分を覆うことが適当である。更に冷光エミッタ−として機能する特別な反射系を使用して、過熱を防ぐこともできる。
【0079】
本発明に記述されるポリアクリレ−トを更に電子線により架橋することは適当である。使用できる典型的な照射装置は、リニアカソ−ド系、スキャナ−系及び/またはセグメント化カソ−ド系を含む。この場合、問題の装置は電子線加速器である。この技術状態及び最も重要な工程因子の完全な記述は、「コ−ティング、インキ、及び塗料のためのUV及びEB処方物の化学と技術」第1巻、スケルホ−ン(Skelhorne)著「電子線工程」、SITA技術出版(SITA Technology Publ.,London)、1991年年に見出だされる。典型的な加速電圧は、50−500kV、好ましくは80−300kVの範囲にある。使用される照射量は、5−150kGy、特に20−100kGyの範囲である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0080】
実施法
重合法(方法A)
重合は3つの直列のローラー筒からなるプラネタリーローラ−押出し機を反応器として用いて実行した。用いたローラー筒はローラー直径D=70mmを有し、7つのプラネタリ−スピンドルを備えていた。中央スピンドル及びローラー筒の両方は、別の温度制御回路を備えていた。使用した温度制御媒体は加圧水であった。重合では、反応器を連続的に運転した。秤入開始に先立って、反応器を1時間窒素でフラッシュした。モノマ−及び開始剤から混合物を作った。この最初の混合物を、窒素を通過させて不活性にした。ポンプを用いて、反応混合物を、更なる供給具を備えた静的混合機に送り、次いで熱交換器を通して反応器に輸送した。この反応混合物を第1のローラー筒の開始地点に開けた孔を通して反応器に連続的に添加した。反応器からの出口には、反応器の水圧充填を保証するバルブを位置した。供給物の予加熱、中央スピンドル、及びローラー筒に対する熱交換器は特別な望ましい温度に制御した。中央スピンドルの場合80℃に設定し、供給物の予加熱の媒体は90℃に設定した。ローラー筒1及び3は100℃に、ローラー筒2は2−95℃にした。中央スピンドルの速度は50回転/分であった。水力学的滞留時間は15分であった。反応器から出てきた後、試料を採取して転化率を計算した。続いて依然存在する揮発成分を脱揮発成分押出し機で除去した。
見本材料の製造(方法B)
2つの加熱できるロールを持つホットメルトコ−タ−を通して50g/mの適用割合で、厚さ23μmのサラン下塗りのPETフィルム上にコ−ティングした。
UV照射(方法C)
エルトッシュ(Eltosch)からのUV装置を用いてUV照射した。この装置は強度120W/cmの中圧水銀ランプを備えていた。方法Bで製造した見本試料を、それぞれ20m/分の速度で装置を通した。試料は照射量を増加させるために複数回通過させた。UV投与量は、エルトッシュからのパワ−パック(Power Puck)で測定した
。1回の通過での照射量はUV−B範囲で約140mJ/cm及びUV−C範囲で25mJ/cmであった。
2、2´−ビス(フェニルエチル)チオカ−ボネ−トの製造
2、2´−ビス(フェニルエチル)チオカ−ボネ−トは、シント・コミュニケ−ションズ(Synth. Communications)、18(13)、1531−1536ページ(1988)の教示に従って2−フェニルエチルブロミド及び二硫化炭素と水酸化ナトリウムから合成した。蒸留後の収率:72%。
特性値:H NMR(CDCl)δ(ppm):7.20−7.40(m,10H)、1.53、1.59(2xd,6H)、3.71、3.81(2xm,2H)。
光開始剤
共重合しうる光開始剤はアクリル酸ベンゾインであった。
試験法
製造したポリマ−及びPSAの性質を評価するために、次の試験法を使用した。
転化率の決定(試験A)
転化率は重量により決定し、用いたモノマ−の重量に対するパーセントとして表わした。ポリマ−を単離するために、それを真空室で乾燥した。ポリマ−の重量を秤り、最初に使用したモノマ−重量で割った。計算値は転化率パーセントに相当する。
ゲルパ−ミエ−ションクロマトグラフィ−GPC(試験B)
平均分子量M及び多分散度PDはゲルパ−ミエ−ションクロマトグラフィ−で決定した。用いた展開液は、トリフルオロ酢酸0.1容量%を含むTHFであった。測定は25℃で行った。用いたプレカラムは、PSS−SDV、5μ、10オングストロ−ム、内径8.0mmx50mmであった。分離は、それぞれ内径8.0mmx300mmのPSS−SDV、5μ、10及び更に10及び10オングストロ−ムのかラムを用いて行った。試料濃度は4g/lであり、流速は1.0ml/分であった。測定はPMMA基準で行った。
ゲル画分の決定(試験C)
注意深く乾燥した接着剤の無溶媒試料を、ポリエチレンのウェッブポーチ[タイベク(Tyvek)不織布]中に融着させた。UV架橋後のゲル指数を決定するために、製造した見本試料のある規定された面積をポリエチレン・フロ−・ポーチ[タイベク不織布]中に融着させた。トルエンでの抽出前後の試料重量の差から、ゲル指数、即ちポリマ−のトルエン不溶重量画分を評価した。
【0081】
製造したPSAの技術的接着剤の性質を評価するために、以下の試験法を用いた。
剪断強度(試験D)
幅13mmの接着剤テープの細片を、アセトンで3回、更にイソプラパノ−ルで1回綺麗にした平滑なスチール表面に適用した。適用面積は20mmx13mm(長さx幅)であった。続いて接着剤テープを、重り2kgを用いて4回スチール支持体上に圧着させた。室温(RT)において、1kgの重りを接着剤テープに取り付け、重りが落下する時間を測定した。測定した保持力時間(HP)を分で報告する。これは3回の測定値の平均である。
180°接合強度試験(試験E)
ポリエステルに層として適用した幅20mmのアクリレ−トPSAの細片をスチール板に適用した。このPSA細片を、重り2kgを用いて基材に2回圧着した。続いて接着剤テープを、300mm/分で、また180°の角度ですぐに基材から剥離した。スチール板はアセトンで2回、更にイソプラパノ−ルで1回洗浄した。測定結果をN/cmで報告するが、これは3回の測定の平均値である。すべての測定は室温で行った。
実施例
【実施例1】
【0082】
広いM分布、高分子量、UV開始剤なしのUV架橋
ポリマ−を方法Aで製造した。アクリル酸5%、アクリル酸n−ブチル95%、及びアゾイソブチロニトリル(AIBN,バゾ64、デュポン社)0.015%を使用した。平均分子量と多分散度を試験Bにより、転化率を試験Aにより、そしてゲル指数を試験Cにより決定した。続いて見本試料を方法Bで製造し、方法CによりUV照射した。試料を試験C、D及びEで試験した。
【実施例2】
【0083】
狭いM分布、低分子量、UV光開始剤
ポリマ−を方法Aで製造した。アクリル酸4.5%、アクリル酸n−ブチル95%、アクリル酸ベンゾイン0.5%及び2、2´−ビス(フェニルエチル)チオカ−ボネ−ト0.124%、並びにアゾイソブチロニトリル(AIBN,バゾ64、デュポン社)0.015%を使用した。平均分子量と多分散度を試験Bにより、転化率を試験Aにより、そしてゲル指数を試験Cにより決定した。続いて見本試料を方法Bで製造した。
【実施例3】
【0084】
狭いM分布、低分子量、UV光開始剤
ポリマ−を方法Aで製造した。アクリル酸0.5%、アクリル酸n−ブチル49.5%、アクリル酸2−エチルヘキシル49.5%、アクリル酸ベンゾイン0.5%及び2、2´−ビス(フェニルエチル)チオカ−ボネ−ト0.124%、並びにアゾイソブチロニトリル(AIBN,バゾ64、デュポン社)0.015%を使用した。平均分子量と多分散度を試験Bにより、転化率を試験Aにより、そしてゲル指数を試験Cにより決定した。続いて見本試料を方法Bで製造し、方法CによりUV照射した。試料を試験C、D及びEで試験した。
結果
表1は、先ず重合結果を要約する。
【0085】
【表1】

【0086】
:GPCからの平均分子量
PD:M/M=GPCからの多分散度
表2は、見本試料の架橋及び技術的接着剤評価の結果を示す。
【0087】
【表2】

【0088】
HP:保持力
RT:室温
BS:接合強度
実施例1は参照実施例である。本発明の方法に関しては、実施例2−3に示す。実施例2−3において、共重合された光開始剤及び低分子量を有するアクリレートPSAを製造した。調節剤を使用することにより、狭い分布の分子量分布を有するポリマ−を得た。
【0089】
本発明の方法の利点は、アクリレート組成物のコ−ティング性を見ると明白である。実施例1は、非常に高分子量であり、コ−ティングできない。実施例2及び3の場合には調節剤の使用により、分子量が接着剤テープへの適用に必要な、コ−ティング可能の程度まで低下せしめられる。かくしてM593000g/モルの実施例2は120℃でコ−ティングでき、M487000g/モルの実施例3は丁度110℃でコ−ティングできる。本発明の方法により、低コ−ティング温度で、製造された接着剤を加工することが可能になった。即ち接着剤テープの完全に無溶媒での製造が可能になった。UV架橋の効率に関しては、ゲル指数は決定的な尺度である。表2から、共重合しうる光開始剤を使用すれば架橋できることが明白である。即ち、共重合しうる光開始剤を使用しない実施例1からの組成物は、UV照射で架橋できない。しかしながら実施例2及び3におけるように、光開始剤を共重合すると、UV照射で効率よい架橋が起こる。これは、スチールへの高接合強度と組合わさって、製造した見本試料の良好な剪断強度をもたらす。それ故に実施例は、本発明の方法を用いれば無溶媒のUV架橋できるアクリレートPSAを製造できることを示す。本発明の方法によれば、無溶媒製造の結果として、UV架橋できるから良好な凝集力が特徴である接着剤テープを製造することができる。本方法は、速いベルト速度で、高コ−ティング速度(>>100m/分)及び同時に良好な架橋性を可能にする。架橋はモジュ−ル化されたUV工程を、200m/分で6つの中圧Hg200W/cmランプを用いることにより行われる。それ故に、実際では、本方法は工業的接着剤テープの製造に特に適当である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共重合された光開始剤単位、
100000−3000000g/モルの平均分子量M(重量平均)、
フリーラジカル無溶媒重合で行われる製造操作、
で特徴づけられる、UV架橋性ポリアクリレ−ト感圧接着剤。
【請求項2】
共重合された光開始剤単位、
100000−800000g/モルの平均分子量M(重量平均)、
高々4.0の多分散度、
フリーラジカル無溶媒重合で行われる製造操作、
で特徴づけられる、請求項1のUV架橋性ポリアクリレ−ト感圧接着剤。
【請求項3】
構造単位
【化1】

[式中、XはS,OまたはNである]
を含む少なくとも1つの化合物を重合調節剤として存在させて、重合操作を調節することで特徴づけられる、請求項1または2のポリアクリレ−ト感圧接着剤。
【請求項4】
トリチオカ−ボネ−トまたはジチオエステルを重合調節剤として使用することで特徴づけられる、請求項1−3の少なくとも1つのポリアクリレ−ト感圧接着剤。
【請求項5】
モノマ−混合物が少なくとも次の成分、

CH=CH(R)(COOR
[式中、R=HまたはCH及びRは炭素数1−30のアルキル鎖またはHである]
を有するアクリルエステル及び/またはメタクリルエステル及び/またはこれらの遊離酸68−99.9重量%、特に75−99.5重量%、
フリーラジカル重合しうる二重結合を有する共重合性UV光開始剤0.05−2重量%、特に0.4−1重量%、
を含むことで特徴づけられる、請求項1−4の少なくとも1つのポリアクリレ−ト感圧接着剤。
【請求項6】
モノマ−混合物が更に官能基を持つオレフィン性不飽和モノマ−を30重量%まで含むことで特徴づけられる、請求項5のポリアクリレ−ト感圧接着剤。
【請求項7】
添加剤、例えば老化防止剤、光安定剤、オゾン保護剤、脂肪酸、可塑剤、核剤、膨張剤、促進剤及び/または充填剤が添加されたことで特徴づけられる、請求項1−6の少なくとも1つのポリアクリレ−ト感圧接着剤。
【請求項8】
無溶媒重合を、プラネタリ−ロ−ラ−押出し機、好ましくは水圧充填式プラネタリ−ロ−ラ−押出し機中で行うことで特徴づけられる、請求項1−7の少なくとも1つのポリアクリレ−ト感圧接着剤の製造法。
【請求項9】
重合を連続的に行うことで特徴づけられる、請求項8の方法。
【請求項10】
反応器の押出し機部分の下流において、更なる物質、特に開始剤、モノマ−、共重合しうる光開始剤、及び重合調節剤を添加することができることで特徴づけられる、請求項8または9の方法。
【請求項11】
重合操作に次いで脱揮発成分することで特徴づけられる、請求項8−10の少なくとも1つの方法。
【請求項12】
重合及び適当ならば続く脱揮発成分後に、ポリマ−を特にゲルを含まない溶融物から担体上にコ−ティングすることで特徴づけられる、請求項8−11の少なくとも1つの方法。
【請求項13】
特に担体へコ−ティングした後ポリマ−をUV照射で架橋させ、但し特にこのUV架橋を、添加された重合調節剤で補助することで特徴づけられる、請求項8−12の少なくとも1つの方法。
【請求項14】
重合中及び/または前に、熱で分解するフリーラジカル生成開始剤、特にアゾ開始剤及び/またはパ−オキソ開始剤を添加することで特徴づけられる、請求項8−13の少なくとも1つの方法。
【請求項15】
請求項1−7の少なくとも1つのポリアクリレ−ト感圧接着剤或いは請求項8−14の少なくとも1つの方法で製造されたポリアクリレ−ト感圧接着剤の、片面または両面感圧接着剤テープへの使用法。

【公表番号】特表2007−503518(P2007−503518A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−529863(P2006−529863)
【出願日】平成16年5月18日(2004.5.18)
【国際出願番号】PCT/EP2004/005341
【国際公開番号】WO2004/101698
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(501237327)テサ・アクチエンゲゼルシヤフト (62)
【Fターム(参考)】