説明

無端状照明装置

【課題】装置の大型化及び発光素子数の増加を招くことなく、無端状の照明対象部材を全面にわたって均一な明るさで照明する。
【解決手段】環状の照明対象部材の内側面に全周にわたって対向する無端状を呈するとともに底面311が乱反射面にされた導光部31と、導光部31の外側面314の一部から突出した入光部32と、を透光性材料によって一体に形成した導光部材を設けた。LED33の発光面から照射された光は、端面322から入光部32を通って導光部31内に入射し、導光部32の全周にわたって外側面314及び内側面313で全反射を繰り返しつつ底面311で乱反射して上面312から外部に出射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、操作部材又は表示部材等の照明対象部材の周囲を照明する無端状照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
事務機器や携帯端末装置の操作パネルには、押しボタンやジョグダイヤル等の操作部材の操作位置の視認性を高めるために、透光性の操作部材を内側から照明する無端状照明装置を備えたものがある(例えば、特許文献1参照。)。無端状照明装置は、操作部材のだけでなく、注意を喚起すべき表示内容を表示した表示部材の内側に配置される場合もある。
【0003】
操作部材や表示部材等の照明対象部材の内側に配置される無端状照明装置は、操作位置の視認性の向上や外観イメージの向上の観点から、照明対象部材の全面を均一な明るさで照明することが好ましい。
【0004】
そこで、従来の無端状照明装置では、複数の発光素子を各発光面が照明対象部材の内側面に対向するように配置し、複数の発光素子と照明対象部材の内側面との間に導光体を備えたものがある(例えば、特許文献2参照。)。複数の発光素子から照射された光は、導光体の内部で乱反射しながら照明対象部材の内側面に配光され、発光面の位置を視認し難い状態で照明対象部材の周囲を照明する。
【特許文献1】実開昭61−40692号公報
【特許文献2】特開2007−258063号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の無端状照明装置では、光源である発光素子の発光面を照明対象部材の内側面に対向させて配置していため、光を発光面から十分に拡散させるために必要な距離を得ようとすると、光の照射方向について装置が大型化する。光の照射方向について装置を薄型化するためには、光を拡散させるための距離が不十分になり、照明対象部材を全面にわたって均一な明るさで照明することができず、配置すべき発光素子数が増加する。
【0006】
この発明の目的は、装置の大型化及び発光素子数の増加を招くことなく、無端状の照明対象部材を全面にわたって均一な明るさで照明することができる無端状照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の無端状照明装置は、導光部材及び発光素子を備えている。導光部材は、導光部と入光部とを透光性材料によって一体に形成したものである。導光部は、照明対象部材の内側面に対向する無端状を呈し、底面が乱反射面にされている。入光部は、導光部の外側面の一部から突出している。発光素子は、入光部の端面に発光面が対向する。
【0008】
この構成によれば、発光素子の発光面から照射された光が、入光部を通って導光部に入射し、導光部の全周にわたって外側面及び内側面で全反射を繰り返しつつ底面で乱反射して上面から外部に出射する。
【0009】
この構成において、導光部に平面視において発光素子の光の外側面及び内側面に対する入射角が全反射角より大きい円弧部を設け、入光部を円弧部の一部から接線方向に突出させることが好ましい。入光部から導光部に入射した発光素子の光のうち、導光部の外側面及び内側面から外部に出射する量を少なくでき、外側面及び内側面で全反射する光量を多くすることができる。導光部の全周にわたって均一な光量の光を照明面に向かって出射させることができる。
【0010】
また、入光部の上面を、発光素子の発光面が対向する端面側を下にした傾斜面で構成することが好ましい。照明面からの光の出射方向における発光素子の発光面の長さと導光部の長さとの差によって、発光面から照射された光を拡散させることができる。
【0011】
さらに、入光部の側面を、発光素子の発光面が対向する端面側を狭くする傾斜面で構成することが好ましい。照明面に平行な方向における発光素子の発光面の長さと導光部の長さとの差によって、発光面から照射された光を拡散させることができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、発光素子の発光面から照射された光を、入光部から導光部に入射した後に、導光部の全周にわたって外側面及び内側面で全反射を繰り返しつつ底面で乱反射させて上面から外部に出射させることができる。これによって、装置の大型化及び発光素子数の増加を招くことなく、照明対象部材の周囲を全周にわたって均一な明るさで照明することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、この発明の実施形態に係る無端状照明装置について図面を参照して説明する。図1は、この発明の実施形態に係る無端状照明装置が適用される照明対象部材を備えた操作装置の外観図である。
【0014】
操作装置10は、例えば、ファクシミリ装置等の事務機器や携帯電話等の携帯端末装置の操作パネルに配置される。操作装置10は、押しボタン11、ジョグダイヤル12、及びリングキー13を備えている。
【0015】
押しボタン11は、操作装置10の前面の中央部に配置され、押圧操作を受け付ける。ジョグダイヤル12は、半透光性材料を素材として環状に形成されており、操作装置10の前面における押しボタン11の外周部に配置され、回転操作を受け付ける。リングキー13は、環状を呈し、ジョグダイヤル12の外周部に配置され、周方向に等間隔の4箇所で押圧操作を受け付ける。ジョグダイヤル12が、この発明の照明対象部材である。
【0016】
図2は、操作装置の側面断面図である。操作装置10は、押しボタン11、ジョグダイヤル12、及びリングキー13の内部に、スイッチ22、エンコーダ23及び無端状照明装置1を備えている。
【0017】
スイッチ22、エンコーダ23及び無端状照明装置1は、基板21上に実装されている。スイッチ22は、押しボタン11の押圧操作を検出する。エンコーダ23は、ジョグダイヤル12の回転操作を検出する。なお、リングキー13の押圧操作は、基板21に実装された図示しないスイッチによって検出される。
【0018】
図3(A)〜(D)は、無端状照明装置の平面図、側面図、断面図及び導光状態を示す平面図である。無端状照明装置1は、導光部31、入光部32及びLED33を備えている。
【0019】
導光部31は、環状に形成されている。入光部32は、導光部31の一部から接線方向に突出して形成されている。導光部31及び入光部32は、透明材料を素材として一体的に形成され、この発明の導光部材を構成している。LED33は、この発明の発光素子であり、発光面を入光部32の端面322に対向させて配置されている。
【0020】
導光部31の底面311は、白色に塗布されている。なお、導光部31の底面311に白色のシート体を貼付してもよい。また、光が十分に乱反射できることを条件に、底面311を粗面で構成してもよい。
【0021】
入光部32は、一方の側面321及び上面323が傾斜面で構成されている。入光部32は、端面322から導光部31に近づくにしたがって徐々に幅及び高さが拡大する。
【0022】
図3(D)に示すように、LED33の発光面から照射された光は、拡散しつつ端面322から入光部32内に入射する。入光部32は、導光部31の一部から接線方向に所定の長さにわたって突出しているため、LED33の発光面から照射された光を十分に拡散させることができる。入光部32は、操作装置10の厚さ方向に直交する方向に突出しているため、光の拡散距離を十分に長くしても、操作装置10の厚みを増加させることがない。
【0023】
なお、LED33の光の拡散距離が十分に確保できるのであれば、入光部32の側面321又は上面323を他方の側面又は底面に対して平行に形成することもできる。
【0024】
入光部32に入射した光は、導光部31の内側面313及び外側面314で全周にわたって全反射を繰り返しながら底面311で乱反射して上面312から外部に出射する。導光部31の幅、高さ及び曲率を適宜選択することにより、LED33の発光面から照射された光の殆どを内側面313及び外側面314から出射させることなく上面312から全周わたって略均一に外部に出射させることができる。この例では、導光部31の曲率は、LED33から照射された光の内側面313及び外側面314に対する入射角が全反射角より大きくなるように設定されている。
【0025】
図2に示すように、導光部31の上面312は、全周にわたってジョグダイヤル12の下側面に対向している。導光部31の上面312から出射した光は、ジョグダイヤル12を透して外部から視認される。ジョグダイヤル12を全周にわたって均一な明るさで照明することができる。
【0026】
図4(A)〜(G)は、この発明の別の実施形態に係る無端状照明装置の平面図である。この発明の無端状照明装置は、照明対象部材の周囲や無端状の照明対象部材の全面を均一な明るさで照明するものである。したがって、この発明の無端状照明装置は、使用される照明対象部材の形状に応じて、平面形状が図4(A)に示す楕円形状の導光部101、同図(B)に示す長円形状の導光部102を備えることができる。
【0027】
また、この発明の無端状照明装置は、同図(C)及び(D)に示すように、使用される照明対象部材の形状に応じて、平面形状が円弧と直線とで構成された導光部103,104を備えることもできる。
【0028】
さらに、この発明の無端状照明装置は、使用される照明対象部材の形状に応じて、同図(E)〜(G)に示すように、平面形状が複数の直線で構成された導光部105〜107を備えることもできる。
【0029】
但し、図4(A)〜(D)に示す導光部101〜104では、LED33の発光面から照射された光の殆どを内側面313及び外側面314から出射させることなく上面312から全周わたって略均一に外部に出射させることができる幅、高さ及び曲率を適宜選択すべきである。また、図4(E)〜(G)に示す導光部105〜107では、LED33の発光面から照射された光の殆どを内側面313及び外側面314から出射させることなく上面312から全周わたって略均一に外部に出射させることができる幅、高さ及び直線数を適宜選択すべきである。
【0030】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明の実施形態に係る無端状照明装置が適用される照明対象部材を備えた操作装置の外観図である。
【図2】同操作装置の側面断面図である。
【図3】(A)〜(D)は、無端状照明装置の平面図、側面図、断面図及び導光状態を示す平面図である。
【図4】(A)〜(G)は、この発明の別の実施形態に係る無端状照明装置の平面図である。
【符号の説明】
【0032】
1−無端状照明装置
10−操作装置
11−押しボタン
12−ジョグダイヤル
13−リングキー
21−基板
22−スイッチ
23−エンコーダ
31−導光部(導光部材)
32−入光部(導光部材)
33−LED(発光素子)
311−底面
312−上面
313−内側面
314−外側面
321−側面
322−端面
323−上面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性の照明対象部材の内側に配置される無端状の導光部であって底面が乱反射面である導光部と、前記導光部の外側面の一部から突出した入光部と、を透光性材料によって一体に形成した導光部材と、
前記入光部の前記底面に直交する端面に発光面が対向する発光素子と、
を備えた無端状照明装置。
【請求項2】
前記導光部が平面視において前記発光素子の光の外側面及び内側面に対する入射角が全反射角より大きい円弧部を有し、前記入光部が前記円弧部の一部から接線方向に突出した請求項1に記載の無端状照明装置。
【請求項3】
前記入光部は、上面が前記端面側を下にした傾斜面で構成された請求項1又は2に記載の無端状照明装置。
【請求項4】
前記入光部は、側面が前記端面側を狭くする傾斜面で構成された請求項1乃至3のいずれかに記載の無端状照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−153155(P2010−153155A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−328964(P2008−328964)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】