説明

無箔バリヤラミネート

熱間充填または冷間充填することができ、且つフレーバーとアロマの汚染に関して、酸素の進入に対して有効バリヤを提供し、酸素に対する低い透過性によってビタミンCの損失を防ぐ長期保存ジュース、ポンチまたは飲料容器用の無箔ラミネートを提供する。このラミネートは、ポリアミド/EVOH/ポリアミドの内部バリヤ層サンドイッチと、前記ラミネートのマットな側部(内部)及び光沢のある側部(外部)の両方の上のポリオレフィン層と、前記ラミネートのマットな(内部)側部上のポリオレフィン層にもポリアミド/EVOH/ポリアミドサンドイッチにも接触しない製品接触表面に近いEVOHの第二のバリヤ層とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボール紙ラミネート、特にフルーツ及び柑橘系ジュース及び他の飲料などの製品、並びに非液体乾燥製品用の容器を製造するのに有用な無箔ボール紙ラミネートであって、前記ラミネートはその中に包装されるビタミンC、アロマ/フレーバー成分及びフルーツ及び柑橘系ジュースの成分並びに他の飲料の損失を引き起こす酸素の透過を防ぐ能力を含む優れたバリヤ特性を有する前記ラミネートに関する。このラミネートは、酸素に対する低い透過性により微生物の成長を最小限度に抑えるのにも有用である。特に、本発明は、柑橘系ジュースまたはポンチなど慣用的に熱間充填される製品に使用する「ゲーブルトップ:gable top」容器または他のカートン(紙パック)として業界で公知の容器を製造することを目的とした、そのような無箔バリヤラミネートに関する。そのように充填されたカートンは、3〜6ヶ月間の貯蔵期間の間、周囲温度で貯蔵され、その後製品の品質は低下する。
【背景技術】
【0002】
低密度ポリエチレン(LDPE)でコーティングされたボール紙は飲料用容器を製造するのに使用されてきたが、フルーツジュースなどの製品によっては許容可能な容器を提供するには不十分であった。特にLDPEでコーティングされたボール紙は、酸素に対して比較的高い透過性をもつので、貯蔵期間中に酸素によってフレーバー成分及びビタミンの損失を引き起こしかねない。フレーバーの損失は、LDPE層内にフレーバー成分が移動したり取り込まれたりする結果、「スキャルピング:scalping」と称されるプロセスとしても起こることがある。
【0003】
ビタミン類、特にビタミンCの酸化的損失(oxidative loss)は、容器の内部に沿った酸素バリヤライナーとして金属箔を含有するラミネートを使用することによって、実質的に減少させることができる。しかしながら、金属箔を使用すると価格が高くなり、収益性を制限することが多い。さらに金属箔ラミネートは、ピンホールが成長する傾向があり、液体を含有する能力に深刻に影響する。箔の経済的代替品の研究により、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)及びエチレンビニルアルコールコポリマー(EVOH)等の同時押出ポリマー材料をバリヤ材料として、特にEVOHを使用するラミネート構造体の開発を行って(そして酸素の移動に対して保護を提供し、柑橘系ジュース中のアスコルビン酸及びd-リモネンを保持しやすくして)きた。
【0004】
箔を含有する構造体よりも安価であることに加えて、そのようなバリヤ材料を含有するボール紙ラミネートは製品接触層として低レベルのLDPEを使用するため、優れたフレーバー保持特性を示すことができる。ジュース、ポンチ及び同様の製品用ボール紙カートン用の多くの慣用の市販構造は、現在、酸素に対するバリヤとして、フレーバー及びビタミンの損失を防ぐためにエチレンビニルアルコールコポリマーを含むラミネートを使用している。
【0005】
ナイロンも提案され、ボール紙容器でバリヤポリマーとして商業的に使用されてきた。これは酸素に対する有効なバリヤを提供するだけでなく、耐熱性、機械的強度及び耐性も提供することが知見された。従って、これはラミネートの構築において誤用防止層(abuse-resistant layer)として機能する。
【0006】
貯蔵の間の充分な貯蔵安定性または長期貯蔵安定性、流通、並びに高湿度及び低湿度条件下での小売店での陳列を確保するために、即ち、水分が存在する結果、EVOHがバリヤ特性での劣化を受け易い比較的高湿度で優れた酸素バリヤ特性をもつラミネートを提供するために、ナイロンとEVOHとの組み合わせが提案されてきた。というのも、ナイロンは高湿度条件下でさえも優れたバリヤ特性を有するからである。ナイロン単独では許容できないバリヤ特性を示すが、EVOHと組み合わせると、ラミネートのバリヤ特性を高めることができる。
【0007】
理解できるように、ジュース、ポンチまたは他の飲料用カートン用のバリヤラミネートで最高の層構造体を発見することにかなりの努力が払われてきた。かくして、酸素の移動に対する保護を提供するポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エチレンビニルアルコール及び他のポリマー材料などの同時押出ポリマー材料をバリヤ材料として使用するラミネート構造体も提案されてきた。
【0008】
本発明の目的は、柑橘系及び他のジュース並びにポンチのフレーバー/匂い成分を移さず、実質的な酸素バリヤを示し、ビタミンC、フレーバー及びアロマの損失を実質的に軽減させ、微生物の成長を最小限に抑え、慣用的に使用されるポリマーバリヤラミネートと同等またはそれ以上の性能をもち、且つ経済的に悪影響を与えることなく生産上の問題を軽減または排除する飲料用カートン用の優れた、熱シール可能なラミネート材料を提供することである。
【0009】
また本発明の目的は、カートン内への酸素の侵入、フレーバー及びビタミン成分、特にビタミンCの酸素劣化、並びに飲料のフレーバー及びアロマ成分の移動、即ちスキャルピングを防ぐのに有効なラミネートから構成された飲料用カートンを提供することである。
【0010】
本発明のもう一つの目的は、室温及び冷蔵条件の両方において、且つ低湿度及び高湿度条件で、種々の温度(冷間充填〜熱間充填)での充填の間に低酸素透過性を有するヒートシール可能なラミネートを提供することである。
【発明の開示】
【0011】
本発明の一態様に従って、ビタミンC、フレーバー及びアロマを保持するため並びに酸素の侵入及びフレーバーの移動に対する有効なバリヤを提供する、フルーツまたは柑橘系ジュース、ポンチ、他の飲料などのための優れた熱シール可能な無箔ラミネートを提供し、これはボール紙表面〜ラミネートから製造したカートンの内容物と接触する内部表面に、内部表面と外部表面とを有するボール紙支持体、前記支持体の外部表面上にコーティングされた第一のポリオレフィン層、前記支持体の内部表面に適用された第一のポリアミド層、前記第一のポリアミド層上に直接適用されたEVOHの第一の酸素バリヤ層、前記第一のEVOH層上に直接適用された第二のポリアミド層、前記ポリアミド層上に直接適用された第一の結合層、前記第一の結合層上に直接適用されたEVOHの第二の酸素バリヤ層、前記第二のEVOH層上に直接適用された第二の結合層、並びに容器の内容物と接触するポリオレフィンの最も内側の層を含む。
【0012】
本発明のもう一つの態様では、上記特性を有するボール紙カートンまたは容器用のラミネート構造体は、ポリオレフィンの外部層でコーティングされたボール紙、前記ボール紙の内部表面に提供された第一のポリアミド層、前記第一のポリアミド層上に直接適用された第一のEVOH層、前記第一のEVOH層上に直接適用された第二のポリアミド層、前記第二のポリアミド層上に直接適用された第一の結合層、前記第一の結合層上にコーティングされたポリオレフィン層、前記ポリオレフィン層上に適用された第二の結合層、前記第二の結合層上にコーティングされた第二のEVOH層、前記第二のEVOH層上に直接適用された第三の結合層及び、前記第三の結合層上に直接適用されたポリオレフィンの最も内側の層を含み、ポリオレフィンの最も内側の層はカートンの内容物との接触層として機能する。この態様の最終構造は上記態様のものと本質的に同一であるが、追加の結合層とオレフィン層が、第二のポリアミド層と第二のEVOH層との間に含まれている。
【0013】
このポリアミド層は、ラミネートのカートンへの転換時及び使用時に第一のEVOH酸素バリヤ層の周りに強度、耐熱性及び機械的靱性を提供する。ジュース、ポンチまたは他の飲料製品接触面に近いラミネートに取り込まれる第二のEVOH層は、全体の酸素バリヤ特性を高めつつ、フレーバー及びアロマの移動やスキャルピングを制限する。
【0014】
カートンは本発明のラミネートから容易に製造することができ、液体及び乾燥製品に対し優れたガスバリヤ保護と、その中に含まれるジュース及びポンチのフレーバーをよく保持し、且つビタミンCの損失を防いで、そのような製品の貯蔵安定性を長期化する。さらに、本発明のラミネートから製造した空のカートンは、箔バリヤ層を有するラミネートを含む空のカートンと比較して空のカートンを折るために使用する装置で優れた作業適性(runnability)を示すので、製造プロセスをさらに容易にすることができる。
【0015】
図1のラミネートは、ボール紙(100〜300lb)(lb=lb/リーム、リームサイズ=3,000平方フィート)のキャリヤ層または支持体12を含み、その上にはLDPE、HDPE、LLDPE、メタロセンなど、好ましくはLDPEのポリオレフィンポリマー層11の押出コーティングが一面に、コーティング重量9〜20lb、好ましくは約12〜25lbで適用されて、ラミネートの外部表面を提供する。層11は外部「光沢」層である。
【0016】
前記支持体12の内側には、コーティング重量1〜15lb、好ましくは約5〜10lbで第一のポリアミド層13が適用される。このポリアミド層は、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン10、ナイロン6−10、ナイロン12、アモルファスナイロン、MXD-6、ナイロンナノ複合体及び他の好適なポリアミドであってもよいが、これらに限定されない。このポリアミド層13の内部表面には、コーティング重量1〜10lb、好ましくは3〜6lbのEVOHコポリマーの第一の酸素バリヤ層14が適用される。このEVOHコポリマーは、26〜44モル%のエチレンを含んでいてもよい。層14は、酸素掃去性EVOH材料、EVOHナノ複合体または低密度ポリエチレンなどのポリオレフィンとEVOHとのブレンドであっても良いが、これらに限定されない。層15は、ポリアミドの第二の層であり、第一のEVOH層の下側に1〜15lb、好ましくは約5〜10lbの量で適用される。層13に関して列記した材料の全ては、層15にも使用することができる。
【0017】
結合層16は、1〜15lb、好ましくは5〜10lbの量で第二のポリアミド層15の内側に適用する。この結合層は、これらに限定されないが、好ましくはPlexar及びBynelなどの無水マレイン産官能基で変性したエチレンベースのコポリマーをベースとするのが好ましいが、Nucrel、Primacor及びSurlynなどの他の一般的な結合樹脂も含むことができる。Plexar 5125は好ましい結合材料である。その後、結合層16の下側にはポリオレフィン層17を適用する。このポリオレフィン17は1〜20lb、好ましくは約4〜10lbの量で適用する。このポリオレフィンはポリエチレンであるのが好ましく、低密度ポリエチレンがより好ましい。第二の結合層18は、ポリオレフィン層17の下側に1〜15lbの量で適用する。EVOHの第二の酸素バリヤ層19を1〜10lb、好ましくは約3〜6lbの量で第二の結合層上に適用する。層19は、これらに限定されないが、エチレンビニルアルコールコポリマー(エチレンを26〜44モル%含む)、酸素掃去性EVOH材料、EVOHナノ複合体、無機充填材(たとえばタルクまたはカオリン)と組み合わせたEVOH、またはEVOHと他のポリマーとのブレンド(EVOHが連続相のままで残るようなもの);ポリビニルアルコール(PVOH);ポリアミド類、これらに限定されないが、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6/9、ナイロン10、ナイロン6−10、ナイロン11、ナイロン12、アモルファスナイロン、MXD-6、ナイロンナノ複合体、無機充填材(たとえばタルクまたはカオリン)と組み合わせたナイロン、及びナイロンと他のポリマーとのブレンド(ナイロンが連続相のままで残るようなもの);ポリエチレンテレフタレート、例えばグリコール−変性ポリエチレンテレフタレート、酸−変性ポリエチレンテレフタレート、PETナノ複合体、他の無機充填材(たとえばタルクまたはカオリン)と組み合わせたPET、及びPETと他のポリマーとのブレンド(PETが連続相のままで残るようなもの);PEN;塩化ビニリデンコポリマー;ポリ塩化ビニルポリマー;ポリオレフィン、これらに限定されないが、たとえば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、環式オレフィンコポリマー、及びそのブレンド;ポリカーボネート並びに液晶ポリマーであってもよい。さらに、乾燥剤、モレキュラーシーブなどを層19に添加して、この層の水蒸気バリヤ特性を改善することができ、モレキュラーシーブ、シクロデキストリンなどをこの層に添加して、フレーバー/アロマバリヤを改善することができる。第三の結合層20を1〜5lbの量で、第二のEVOH層19とポリオレフィンの最も内側の層21との間に配置し、これは1〜20lb、好ましくは約4〜10lbの量で適用する。このポリオレフィン層17と21は、これらに限定されないが、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、環式オレフィンコポリマー及びそのブレンドであってもよい。
【0018】
図2の本発明のもう一つの態様をみて、この構造体は、ボール紙支持体32(100〜300lb)を有し、その一方の側の上には、LDPE、HDPE、LLDPE、メタロセン、またはそのブレンドなどのポリオレフィン31のコーティングが、9〜20lb、好ましくは約12lbの量で適用される。層31は、空気と接触する「光沢」層である。1〜15lb、好ましくは約5〜10lbのコーティング重量でポリアミドの層33を支持体32の下側即ち内部部分に適用する。このポリアミド層は、これらに限定されないが、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン10、ナイロン6−10、ナイロン12、アモルファスナイロン、MXD-6、ナイロンナノ複合体及び他の好適なポリアミドであってもよい。このポリアミド層33の下側即ち内部は、厚さ1〜10lb、好ましくは約3〜6lbでその上にEVOH層34がコーティングされている。このEVOH層は、26〜44モル%のエチレンを含むEVOH、EVOHモノ複合体、酸素掃去性EVOH、またはEVOHと低密度ポリエチレンなどのポリオレフィンとのブレンドであってもよいが、これらに限定されない。このEVOH層34は、その下側即ち内部上にもう一つの即ち第二のポリアミド層35を有し、これは1〜15lb、好ましくは約5〜10lbのコーティング重量を有する。層33に関する全ての材料は、層35でも使用することができる。1〜10lb、好ましくは約4〜7lbのコーティング重量をもつ第一の結合層36をポリアミド層35の下側に配置する。第二のEVOH層37を第一の結合層36の下側に適用し、これは1〜10lb、好ましくは3〜6lbのコーティング重量を有する。第二のEVOH層は、これらに限定されないが、エチレンビニルアルコールコポリマー(エチレンを26〜44モル%含む)、酸素掃去性EVOH材料、EVOHナノ複合体、無機充填材(たとえばタルクまたはカオリン)と組み合わせたEVOH、若しくはEVOHと他のポリマーとのブレンド(EVOHが連続相のままで残るようなもの);またはポリビニルアルコール(PVOH)のブレンド;ポリアミド類、これらに限定されないが、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6/9、ナイロン10、ナイロン6−10、ナイロン11、ナイロン12、アモルファスナイロン、MXD-6、ナイロンナノ複合体、無機充填材(たとえばタルクまたはカオリン)と組み合わせたナイロン、及びナイロンと他のポリマーとのブレンド(ナイロンが連続相のままで残るようなもの);ポリエチレンテレフタレート、例えばグリコール−変性ポリエチレンテレフタレート、酸−変性ポリエチレンテレフタレート、PETナノ複合体、他の無機充填材(たとえばタルクまたはカオリン)と組み合わせたPET、及びPETと他のポリマーとのブレンド(PETが連続相のままで残るようなもの);ポリエチレンナフタレートPEN;塩化ビニリデンコポリマー;ポリ塩化ビニルポリマー;ポリオレフィン、これらに限定されないが、たとえば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、環式オレフィンコポリマー、及びそのブレンド;ポリカーボネート並びに液晶ポリマーであってもよい。さらに、乾燥剤、モレキュラーシーブなどを層37に添加して、層の水蒸気バリヤ特性を改善することができ、モレキュラーシーブ、シクロデキストリンなどをこの層に添加して、フレーバー/アロマバリヤを改善することができる。第二のEVOH層37はその下側即ち内部にもう一つの即ち第二の結合層38を有し、これは1〜10lb、好ましくは約4〜10lbの量のコーティング重量を有する。最終的に、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、環式オレフィンコポリマーまたはそのブレンドなどのポリオレフィンポリマー39の層を、第二の結合層38の下側の製品側へ配置する。製品側のポリオレフィン層39は、1〜40lb、好ましくは8〜22lbのコーティング重量を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1の態様は以下のようにして製造することができる。最初にポリオレフィンの層11を支持体12の外側表面上に押出コーティングする。次いで、前記支持体の内側表面上にポリアミド13/EVOH14/ポリアミド15/結合層16の四層サンドイッチを同時押出する。ポリオレフィン17/結合層18/EVOH19/結合層20/ポリオレフィン21の五層サンドイッチを、前記四層サンドイッチの内側表面上に同時押出する。
【0020】
図2に示されている本発明の第二の態様では、ポリオレフィンの層31をボール紙支持体32の上に同時押出によりコーティングして、ラミネートの外部表面を提供する。ポリアミド33/EVOH34/ポリアミド35の三層サンドイッチを、ボール紙支持体32の内部表面上に直接同時押出する。二つの結合層36と38によって取り囲まれたEVOHの三層サンドイッチを、ポリアミド/EVOH/ポリアミド同時押出物のポリアミド層35の上に同時押出する。最終的に、ポリオレフィンの生成物接触層39をその同時押出物の結合層38の内部表面上に押出する。
【0021】
本発明で使用するのに好適なオレフィンポリマーは、熱シール可能であり、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン及び線状低密度ポリエチレン並びにその組み合わせが挙げられる。低密度ポリエチレンが最も好ましい。任意の市販の押出コーティンググレードのポリオレフィンが、本発明で使用するのに好適である。このオレフィンポリマーは、所望の流動特性、接着特性またはヒートシール特性を得るために、添加剤を含んでいてもよい。
【0022】
本発明で使用するためのボール紙としては、たとえばミルクのカートンストックの好適なハイグレードボール紙ストックが挙げられる。このボール紙は、約100〜300lb/リーム、好ましくは150〜約200lb/リームの坪量を有していてもよい。ボール紙の片面または両面は、火炎またはコロナ処理及び/または下塗りして、続くポリマー層が接着しやすくなるようにできる。使用し得るプライマーは、ポリエチレンイミン(PEI)またはエチレン酢酸ビニルが挙げられる。
【0023】
本発明で使用するナイロンは、ボール紙支持体上に同時押出するのに好適でなければならない。本明細書中で使用するためのナイロンの例としては、ナイロン6、ナイロン6,12(ヘキサメチレンジアミンと12-炭素二塩基酸との重縮合生成物)、ナイロン12(ポリマー鎖中に結合-NH-CO-基の間に11個のメチレン単位をもつラウリルラクタムまたはシクロドデカラクタムの重縮合生成物)、ナイロン11(モノマー11-アミノウンデカン酸の重縮合生成物);ナイロン6,10(ポリヘキサメチレンセバカミド)及びアモルファスナイロンが挙げられる。
【0024】
本発明に従ってナイロンと同時押出するのに好適な結合層樹脂としては、ナイロンとポリオレフィンの両方に対して優れた接着性を持つ樹脂が挙げられる。好適な接着特性をもつ好ましい結合層樹脂としては、無水物−変性コポリマー、特に無水物変性エチレンコポリマーが挙げられる。無水物変性線状低/低密度コポリマーが最も好ましい。本発明の結合層材料として使用するのに特に好適な無水物変性線状低/低密度エチレンコポリマーは、アメリカのduPont Corporation製Bynel E388である。もう一つのduPont製品の、無水物変性酢酸エチルコポリマー(Bynel E369)も結合層材料として使用することができる。他の好適な結合層材料としては、本明細書中、そのいずれもが参照として含まれる米国特許第4,087,587号及び同第4,087,588号に記載されているものがある。本明細書中で記載されたタイプの材料は、商品名Plexarのもとで販売されている。
【0025】
本発明のラミネートは、ボール紙ベースのパッケージまたはカートンなどの非常に長期耐用性の、低酸素透過性の漏れない容器ラミネート構造体を製造し、これはたとえばガス、特に酸素の透過を防ぎ、さらにフレーバー成分の抜けも微生物の混入も防ぎ、さらにパッケージ当たりの原価が経済的で、現行の加工機械に基本的に適合性で、慣用の包装用機械温度、圧力及び滞留時間を使用して経済的高速で形成、冷間または熱間充填、及びシールするようなパッケージを製造する。
【0026】
以下の実施例は、本発明を詳細に説明するためのものである。
【実施例】
【0027】
実施例1
図1に示されている構造と整合性のとれた無箔バリヤラミネートは、層13に5lb/リームのナイロン6、層14に6lb/リームのEVOH、層15に5lb/リームのナイロン6、及び層19に3lb/リームのEVOHを使用して製造した。このラミネートは、本出願の一部継続出願の出願シリアル番号第10/288,841号に定義されたラミネート(比較サンプル1)と比較した。これは、ボール紙支持体、その上に低密度ポリエチレンの層を適用してラミネートの外面を提供し、前記基板の下側上に適用されたポリアミドポリマー、前記ポリアミドポリマー層の下側に適用されたエチレンビニルアルコールコポリマーの層、前記エチレンビニルアルコールコポリマーの下側に適用された第一の結合層、前記第一の結合層の下側に適用されたポリオレフィン層、前記ポリオレフィン層上に適用された第二の結合層、前記第二の結合層の下側に適用されたエチレンビニルアルコールコポリマーの第二の層、前記第二のエチレンビニルアルコールコポリマー層の下側に適用された第三の結合層、続いて製品接触表面を形成するポリオレフィンポリマー層を含む。Kinseyの米国特許第6,110,548号に記載のラミネート(比較サンプル2)は、低密度ポリエチレンの外部層を有するボール紙支持体、前記支持体の内側のポリアミド層、前記ポリアミド層の下側上に適用された結合層、前記結合層の下側に適用された第一のポリオレフィンポリマー層、前記第一のポリオレフィンポリマー層の下側の第二のポリオレフィンポリマー層、前記第二のポリオレフィンポリマー層の下側に配置された第二の結合層、前記第二の結合層の下側に配置されたエチレンビニルアルコールコポリマー、前記エチレンビニルアルコールコポリマー層の下側に適用された第三の結合層及び、前記第三の結合層の下側に配置されたポリオレフィンポリマーの最終層を含む。
【0028】
スカイブ(skived)リットル・ゲーブルトップ・カートンに、新鮮な、濃縮物由来でないオレンジジュースを冷間充填し、冷蔵(38゜F)と周囲温度(73゜F)で64日間の貯蔵安定性試験で貯蔵した。このジュースのビタミンCを、充填時と充填8日、21日、35日、51日及び64日後に測定した。冷蔵と室温貯蔵の結果をそれぞれ図3及び4に示す。本発明の包装用材料は、両方の貯蔵条件において、比較サンプル1の材料と同等に機能し、比較サンプル2の構造体よりも優れていた。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、本発明のバリヤ−ボール紙ラミネートを示す略断面図である。
【図2】図2は、本発明のバリヤ−ボール紙ラミネートのもう一つの形態を示す略断面図である。
【図3】図3は、オレンジジュースを冷間充填し、38゜Fで64日間貯蔵したカートンの保持された%ビタミンC対充填後の日数をグラフで示したものである。
【図4】図4は、オレンジジュースを冷間充填し、73゜Fで64日間貯蔵したカートンの保持された%ビタミンC対充填後の日数をグラフで示したものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)第一の表面と第二の表面とを有するボール紙支持体、前記第二の表面は第一の表面の反対の位置にあり;
b)前記ボール紙支持体の第二の表面上に直接適用されたポリオレフィン層;
c)前記ボール紙支持体の第一の表面上に直接適用された第一のポリアミド層;
d)前記第一のポリアミド層上に直接適用されたEVOHの第一の酸素バリヤ層;
e)EVOHの前記第一の酸素バリヤ層上に直接適用された第二のポリアミド層;
f)前記第二のポリアミド層上に直接適用された第一の結合層;
g)前記第一の結合層上に直接適用されたEVOH、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン、環式オレフィンコポリマー、ポリカーボネート、液晶ポリマー及びそのブレンド、並びに乾燥剤、モレキュラーシーブ及びシクロデキストリンからなる群から選択される少なくとも一種の部材と上記群の構成員のいずれかとのブレンドからなる群から選択される第二の酸素バリヤ層;
h)前記第二の酸素バリヤ層上に直接適用された第二の結合層;及び
i)最も内側の層及び製品接触層として前記第二の結合層上に適用されたポリオレフィン層からなるバリヤラミネート。
【請求項2】
前記ボール紙支持体の第二の表面に適用された前記ポリオレフィン層がポリエチレンである、請求項1に記載のバリヤラミネート。
【請求項3】
前記第二の結合層上に適用され、且つ前記製品接触層を形成する前記ポリオレフィン層がポリエチレンである、請求項1に記載のバリヤラミネート。
【請求項4】
前記第一及び第二のポリアミド層がそれぞれ、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン10、ナイロン6−10、ナイロン11、ナイロン12、アモルファスナイロン、MXD-6及びナイロンナノ複合体からなる群から選択される部材を含む、請求項1に記載のバリヤラミネート。
【請求項5】
前記第二の酸素バリヤ層がEVOHである、請求項1に記載のバリヤラミネート。
【請求項6】
前記結合層がそれぞれ、無水マレイン酸官能基で変性されたエチレンベースのコポリマーである、請求項1に記載のバリヤラミネート。
【請求項7】
前記結合層がそれぞれPlexarである、請求項6に記載のバリヤラミネート。
【請求項8】
前記EVOHが26〜44モル%のエチレンを含む、請求項5に記載のバリヤラミネート。
【請求項9】
前記第二の酸素バリヤ層が、前記第一の結合層上に直接コーティングされたポリオレフィンの層と前記ポリオレフィン層上に直接コーティングされた前記第三の結合層とによって前記第一の結合層から隔てられている、請求項1に記載のバリヤラミネート。
【請求項10】
a)第一の表面と第二の表面とをもつボール紙支持体、前記第二の表面は第一の表面の反対の位置にあり;
b)前記ボール紙支持体の第二の表面上に直接適用されたポリオレフィン層;
c)前記ボール紙支持体の第一の表面上に直接適用された第一のポリアミド層;
d)前記第一のポリアミド層上に直接適用されたEVOHの第一の酸素バリヤ層;
e)EVOHの前記第一の酸素バリヤ層上に直接適用された第二のポリアミド層;
f)前記第二のポリアミド層上に直接適用された第一の結合層;
g)前記第一の結合層上に直接適用されたポリオレフィン層;
h)前記ポリオレフィン層上に直接適用された第二の結合層;
i)前記第一の結合層上に直接適用されたEVOH、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン、環式オレフィンコポリマー、ポリカーボネート、液晶ポリマー及びそのブレンド、並びに乾燥剤、モレキュラーシーブ及びシクロデキストリンからなる群から選択される少なくとも一種の部材と上記群の構成員のいずれかとのブレンドからなる群から選択される第二の酸素バリヤ層;
j)前記第二の酸素バリヤ層上に直接適用された第三の結合層;及び
k)最も内側の層及び製品接触層として前記第三の結合層上に適用されたポリオレフィン層を含む高度酸素バリヤラミネート。
【請求項11】
前記第二の酸素バリヤ層がEVOHを含む、請求項10に記載の高度酸素バリヤラミネート。
【請求項12】
ボール紙容器内に貯蔵されたフルーツと柑橘系ジュースとを含む飲料の貯蔵期間を延ばす方法であって、前記容器が請求項1に記載のラミネートから形成されている、前記方法。
【請求項13】
ボール紙容器内に貯蔵されたフルーツと柑橘系ジュースとを含む飲料の貯蔵期間を延ばす方法であって、前記容器が請求項10に記載のラミネートから形成されている、前記方法。
【請求項14】
シールされた容器と、その容器内に含まれる傷みやすい製品であって、前記容器は請求項1に記載のラミネートから構成されており、前記製品は容器内に熱間充填され、前記製品は食品中の微生物を全て本質的に殺すのに充分な温度に加熱されており、容器をシールし、容器内の製品を冷却してその製品が貯蔵期間中、安定であるように確保する、前記容器と前記容器内に含まれる傷みやすい製品。
【請求項15】
シールされた容器とその中に含まれる傷みやすい製品であって、前記容器は請求項10に記載のラミネートから構成されており、前記製品は容器内に熱間充填され、前記製品は食品中の微生物を全て本質的に殺すのに充分な温度に加熱されており、容器をシールし、容器内の製品を冷却してその製品が貯蔵期間中、安定であるように確保する、前記容器と前記容器内に含まれる傷みやすい製品。
【請求項16】
請求項10に記載のラミネートから構成されるシールされた容器とその中に含まれる傷みやすい製品であって、前記製品が容器内に冷間充填される、前記容器と前記製品。
【請求項17】
請求項1に記載のラミネートから構成された空の容器。
【請求項18】
請求項10に記載のラミネートから構成された空の容器。
【請求項19】
請求項11に記載のラミネートから構成された空の容器。
【請求項20】
請求項1に記載のバリヤラミネートを含む特に液体食品の熱シール可能な、熱間充填、室温貯蔵用ラミネート化包装材料。
【請求項21】
請求項10に記載のバリヤラミネートを含む特に液体食品の熱シール可能な、熱間充填、室温貯蔵用ラミネート化包装材料。
【請求項22】
請求項1に記載のバリヤラミネートを含む特に液体食品の熱シール可能な、冷間充填、室温貯蔵用ラミネート化包装材料。
【請求項23】
請求項10に記載のバリヤラミネートを含む特に液体食品の熱シール可能な、冷間充填、室温貯蔵用ラミネート化包装材料。
【請求項24】
請求項1に記載のバリヤラミネートを含むボール紙容器に貯蔵されたフルーツと柑橘系ジュースの飲料の貯蔵期間の延長方法。
【請求項25】
請求項10に記載のバリヤラミネートを含むボール紙容器に貯蔵されたフルーツと柑橘系ジュースの飲料の貯蔵期間の延長方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−503337(P2007−503337A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524457(P2006−524457)
【出願日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【国際出願番号】PCT/IB2004/002755
【国際公開番号】WO2005/018932
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(504293447)インターナショナル・ペーパー・カンパニー (15)
【Fターム(参考)】