説明

無線タグ、管理装置及び省エネシステム

【課題】ユーザーの移動を精度高く検出できるようにした無線タグ、管理装置及び省エネシステムを提供する。
【解決手段】第1の周波数帯の無線信号を受信する受信回路と、第2の周波数帯の無線信号を送信する送信回路と、前記受信回路と前記送信回路とに接続された制御回路と、を含み、前記受信回路は、前記第1の周波数帯の無線信号として、管理装置から複数の無線コードを受信し、前記制御回路は、前記複数の無線コードの受信する順番により当該無線タグの移動を検出する。このような構成であれば、無線タグの移動を精度高く検出することができる。そして、この移動の検出結果に基づいて、第2の周波数帯の無線信号を送信することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線タグ、管理装置及び省エネシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、二酸化炭素(CO)の排出削減など、地球温暖化の防止に貢献すると考えられる省エネルギー(以下、省エネという。)対策が求められている。このような要求に応えるべく、学校の棟内やオフィスフロアなど、人々が出入りし、或いは滞在する棟内又は室内においても、省エネ化が求められており、実際に、省エネを実現するためのシステムが提案されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−304279号公報
【特許文献2】特開2004―251509号公報
【特許文献3】特開2008―128594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1〜3等に開示されている従来の技術では、予め設定された時刻や、空教室となることが予定される時間帯など、予め設定されたタイミングで、室内に配置された設備機器のスイッチをオン、オフする。
しかしながら、このような省エネ制御では、ユーザーの移動を検出する手段がない。このため、ユーザーのリアルタイムな行動(或いは、予定外の行動)に対応して、設備機器の動作又は機能を適宜オン、オフすることができなかった。このため、ユーザーの行動如何によっては、従来の省エネ制御は非効率となる可能性があった。
【0005】
例えば、室内にパーソナルコンピューターのモニター(以下、PCモニターともいう。)が配置されている場合を想定する。従来の省エネ制御方法によれば、予め設定された時間帯ではPCモニターのスイッチはオン(即ち、表示状態)になり、これ以外の時間帯ではPCモニターのスイッチはオフ(即ち、非表示状態)になる。そのため、予め設定された時間帯で、ユーザーが予定外の行動として離席又は退室したとしても、PCモニターのスイッチは予定通りオンに保持される。このような場合は、節電に寄与しない。
【0006】
また、例えば、室内の照明設備についても、従来の省エネ制御方法では、予め設定された時間帯ではスイッチがオン(即ち、点灯状態)に保持され、これ以外の時間帯ではスイッチがオフ(即ち、消灯状態)に保持される。そのため、予め設定された時間帯で、ユーザーの全員が予定外の行動として退室したとしても、室内の照明設備のスイッチは予定通りオンに保持される。つまり、ユーザーのリアルタイムな行動に対応して自動的に消灯することができないため、節電に寄与しない。
【0007】
さらに、例えば、室内の空調設備についても、従来の制御方法では、予め設定された時間帯ではスイッチがオン(即ち、温度調整等がなされている状態)に保持され、これ以外の時間帯ではスイッチがオフ(即ち、温度調整等がなされていない状態)に保持される。
そのため、ユーザーの全員が予定外の行動として不在の場合でも、設定された時間帯であれば予定通り温度、風量等の調整が行われる。このような場合は、節電に寄与しない。
そこで、この発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、ユーザーの移動を精度高く検出できるようにした無線タグ、管理装置及び省エネシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る無線タグは、第1の周波数帯の無線信号を受信する受信回路と、第2の周波数帯の無線信号を送信する送信回路と、前記受信回路と前記送信回路とに接続された制御回路と、を含み、前記受信回路は、前記第1の周波数帯の無線信号として、管理装置から複数の無線コードを受信し、前記制御回路は、前記複数の無線コードの受信する順番により当該無線タグの移動を検出することを特徴とする。
【0009】
ここで、「第1の周波数帯」は、例えばLF(Low Frequency)と呼ばれる135kHz及びその前後の周波数帯である(なお、135kHzはLFのあくまで一例である。本発明の効果を得るに際し、LFは例示した周波数に限定されるものではない。)。また、「第2の周波数帯」は、例えばRF(Radio Frequency)と呼ばれる315MHz及びその前後の周波数帯である(なお、315MHzはRFのあくまで一例である。本発明の効果を得るに際し、RFは例示した周波数に限定されるものではない。)。
【0010】
このような構成であれば、無線タグの移動を精度高く検出することができる。そして、この移動の検出結果に基づいて、第2の周波数帯の無線信号を送信することができる。従って、この無線タグをユーザーが携帯することにより、ユーザーのリアルタイムな行動に対応して、第2の周波数帯の無線信号を送信することができる。そして、この第2の周波数帯の無線信号を受けて、設備機器の動作モードを制御することが可能となる。
【0011】
また、上記の無線タグにおいて、前記複数の無線コードは、第1のエリアで受信可能な第1の無線コードと、第2のエリアで受信可能な第2の無線コードとを含み、前記制御回路は、前記第1の無線コードを先に受信し、前記第2の無線コードを後に受信した場合は、当該無線タグの第1のエリアから第2のエリアへの移動を検出し、一方、前記第2の無線コードを先に受信し、前記第1の無線コードを後に受信した場合は、当該無線タグの第2のエリアから第1のエリアへの移動を検出する、ことを特徴としてもよい。
【0012】
ここで、「第1のエリア」は、例えば壁で仕切られた室内のエリアである。「第2のエリア」は、例えば室外のエリアである。「第1のエリア」には、例えば、電力を消費して動作する又は機能する設備機器(その一例として、照明設備、空調設備又はPCモニターなど)が配置されている。このような構成であれば、第1の無線コード及び第2の無線コードの受信の順番により、無線タグの移動とその方向を精度高く検出することができる。
【0013】
また、上記の無線タグにおいて、前記送信回路は、当該送信回路の動作モードとして、第1の動作モード、及び、前記第1の動作モードよりも省電力の第2の動作モードと、を含み、前記制御回路は、前記無線タグの前記第1のエリアから前記第2のエリアへの移動を検出した場合は、当該送信回路の動作モードを前記第1の動作モードから前記第2の動作モードへ切替え、一方、前記無線タグの第2のエリアから第1のエリアへの移動を検出した場合は、当該送信回路の動作モードを前記第2の動作モードから前記第1の動作モードへ切替えることを特徴としてもよい。
【0014】
ここで、「第2の動作モード」は、第1の動作モードよりも省電力で送信を行うモードと、送信を停止するモードのどちらでも良い。送信を停止した場合は、送信に係る消費電力は最小(理想的にはゼロ)となるため、第1の動作モードよりも省電力である。例えば、後述の無線タグに関する標準モードが本発明の「第1の動作モード」に対応し、無線タグに関する低消費モードが本発明の「第2の動作モード」に対応している。また、後述のRF間欠送信モードについては、「第1の動作モード」「第2の動作モード」のどちらにも対応可能である。即ち、標準モードと比較すれば、RF間欠送信モードは「第2の動作モード」に対応する。また、低消費モードと比較すれば、RF間欠送信モードは「第1の動作モード」に対応する。
【0015】
このような構成であれば、無線タグは、自己の移動の検出結果に基づいて、自己の省エネ制御を行うことができる。例えば、無線タグが自己の第1のエリアから第2のエリアへの移動を検出した場合は、送信回路への電力供給を制限又は停止して、その送信機能をオフにする。また、無線タグが自己の第2のエリアから第1のエリアへの移動を検出した場合は、送信回路への電力供給を再開して、その送信機能をオンにする。これにより、無線タグの送信機能を常時オンにする場合と比べて、無線タグに内蔵される電池の消費を抑えることができる。
【0016】
また、上記の無線タグにおいて、前記第1の無線コードと第2の無線コードは、互いに周波数が異なることを特徴としてもよい。ここで、「第1の無線コード」は例えば周波数312MHzの無線信号であり、「第2の無線コード」は例えば周波数314MHzの無線信号である。312MHz、314MHzの何れも、RFの周波数帯に属する。このような構成であれば、同じ周波数帯であっても、その帯域内における周波数の違いにより、第1の無線コードと第2の無線コードとを識別することができる。
【0017】
また、上記の無線タグにおいて、前記第1の無線コードと第2の無線コードは、互いに異なるID情報を含むことを特徴としてもよい。ここで、「ID情報」とは識別情報のことであり、例えば論理値1又は0(ゼロ)を複数ビット組み合わせることにより、他との識別を可能とする情報のことである。一例を挙げると、「第1の無線コード」はID情報として8bitの情報[10110010]を含み、「第2の無線コード」はID情報として8bitの情報[01011101]を含む。このような構成であれば、ID情報の違いにより、第1の無線コードと第2の無線コードとを識別することができる。
【0018】
また、上記の無線タグにおいて、温度を測定する測定回路、をさらに含み、前記送信回路は、前記第2の周波数帯の無線信号として、前記測定回路で測定された前記温度に関する情報を送信することを特徴としてもよい。このような構成であれば、測定回路で測定された温度に関する情報(以下、測定温度情報ともいう。)を利用することが可能となる。例えば、室内に配置された設備機器が空調設備の場合は、測定温度情報に基づいて空調設備を制御することができ、室内温度の調整を行うことができる。
【0019】
また、本発明の別の態様に係る管理装置は、第1のエリアと第2のエリアとの間における無線タグの移動を検出するための情報を、前記無線タグへ提供する管理装置であって、前記第1のエリアに向けて第1の周波数帯の無線信号を送信する第1の送信部と、前記第2のエリアに向けて前記第1の周波数帯の無線信号を送信する第2の送信部と、を含み、前記第1の送信部及び前記第2の送信部は、前記第1の周波数帯の無線信号として、互いに異なる無線コードをそれぞれ送信することを特徴とするものである。
このような構成であれば、例えば、上記無線タグが第1のエリアと第2のエリアとの間を移動する際に、この無線タグに複数の無線コード(例えば、第1の無線コード及び第2の無線コード)をそれぞれ異なるタイミングで受信させることができる。
【0020】
また、上記の管理装置において、第2の周波数帯の無線信号を受信する第1の受信部、をさらに含み、前記第1の受信部は、前記第2の周波数帯の無線信号として、前記無線タグの移動の検出結果に関する情報を受信することを特徴としてもよい。ここで、例えば、後述の第1RF受信部42及び第2RF受信部44(即ち、RF受信部)が本発明の「第1の受信部」に対応している。このような構成であれば、無線タグの移動の検出結果を管理装置側で管理することができる。
【0021】
また、本発明の別の態様に係る省エネシステムは、上記の無線タグと、上記の管理装置と、を含む省エネシステムであって、前記無線タグが第1のエリアと第2のエリアとの間を移動する際に、前記無線タグの受信回路は、前記管理装置から前記複数の無線コードをそれぞれ異なるタイミングで受信し、前記無線タグの送信回路は、前記第2の周波数帯の無線信号として、前記制御回路により検出された前記移動の検出結果を送信する、ことを特徴とするものである。
【0022】
このような構成であれば、複数の無線コード(例えば、第1の無線コードと第2の無線コード)の受信する順番により、第1のエリアから第2のエリアへの移動、又は、第2のエリアから第1のエリアへの移動を精度高く検出することができる。そして、この移動の検出結果に関する情報を第2の周波数帯の無線信号として、無線タグから管理装置へ送信することができる。これにより、管理装置に無線タグの移動とその方向を把握させることができる。従って、無線タグを携帯したユーザーのリアルタイムな行動に対応して、第1のエリア又は第2のエリアに配置された設備機器の動作モードを制御することができ、省エネ制御の効率を高めることができる。
【0023】
また、本発明の別の態様に係る省エネシステムは、無線タグと、第1のエリアと第2のエリアとの間における前記無線タグの移動を検出するための情報を前記無線タグへ提供する管理装置と、制御装置と、を含む省エネシステムであって、電力を消費して動作又は機能する設備機器が前記第1のエリアに配置されており、前記無線タグは、第1の周波数帯の無線信号を受信する受信回路と、第2の周波数帯の無線信号を送信する送信回路と、前記受信回路と前記送信回路とに接続された制御回路と、を含み、前記管理装置は、前記第1のエリアに向けて第1の周波数帯の無線信号を送信する第1の送信部と、前記第2のエリアに向けて前記第1の周波数帯の無線信号を送信する第2の送信部と、を含み、前記無線タグが前記第1のエリアと前記第2のエリアとの間を移動する際に、前記第1の送信部は、前記第1の周波数帯の無線信号として、第1の無線コードを送信し、前記第2の送信部は、前記第1の周波数帯の無線信号として、第2の無線コードを送信し、前記受信回路は、前記第1の無線コードを前記第1のエリアで受信すると共に、前記第2の無線コードを前記第2のエリアで受信し、前記制御回路は、前記第1の無線コードと前記第2の無線コードの受信する順番により前記無線タグの移動を検出し、前記送信回路は、前記第2の周波数帯の無線信号として、前記無線タグの移動の検出結果に関する情報を送信し、前記制御装置は、前記送信回路から送信された前記検出結果に関する情報に基づいて、前記設備機器の動作モードを制御することを特徴とするものである。
このような構成であれば、例えば、無線タグを携帯したユーザーのリアルタイムな行動に対応して、第1のエリアに配置された設備機器の動作モードを制御することができ、省エネ制御の効率を高めることができる。
【0024】
また、上記の省エネシステムにおいて、前記設備機器は、当該設備機器の動作モードとして、第3の動作モード、及び、前記第3の動作モードよりも省電力の第4の動作モードと、を含み、前記無線タグが前記第1のエリアから前記第2のエリアへ移動する場合は、前記無線タグの前記受信回路は、前記第1の無線コードを先に受信し、前記第2の無線コードを後に受信し、前記制御回路は、前記第1の無線コードと前記第2の無線コードの受信する順番により、前記無線タグの前記第1のエリアから前記第2のエリアへの移動を検出し、前記送信回路は、前記第2の周波数帯の無線信号として、前記無線タグの移動の検出結果に関する情報を送信し、前記制御装置は、前記送信回路から送信された前記検出結果に関する情報に基づいて、前記設備機器の動作モードを第4の動作モードに設定することを特徴としてもよい。ここで、「第4の動作モード」は、第3の動作モードよりも省電力で動作又は機能するモードと、動作又は機能を停止するモードのどちらでも良い。動作又は機能を停止した場合は、消費電力は最小(理想的にはゼロ)となるため、第3の動作モードよりも省電力である。例えば、後述の設備機器に関する標準モードが本発明の「第3の動作モード」に対応し、設備機器に関する低消費モードが本発明の「第4の動作モード」に対応している。
このような構成であれば、無線タグを携帯したユーザーが第1のエリアから第2のエリアへ移動したときは、第1のエリアに配置された設備機器の動作モードを標準モードから低消費モード(即ち、省電力モード)へ切替えることができる。
【0025】
また、上記の省エネシステムにおいて、前記無線タグが前記第2のエリアから前記第1のエリアへ移動する場合は、前記無線タグの前記受信回路は、前記第2の無線コードを先に受信し、前記第1の無線コードを後に受信し、前記制御回路は、前記第1の無線コードと前記第2の無線コードの受信する順番により、前記無線タグの前記第2のエリアから前記第1のエリアへの移動を検出し、前記送信回路は、前記第2の周波数帯の無線信号として、前記無線タグの移動の検出結果に関する情報を送信し、前記制御装置は、前記送信回路から送信された前記検出結果に関する情報に基づいて、前記設備機器の動作モードを第3の動作モードに設定することを特徴としてもよい。このような構成であれば、第2のエリアから第1のエリアへ無線タグが移動したときは、第1のエリアに配置された設備機器の動作モードを低消費モードから標準モードへ切替えることができる。
【0026】
また、上記の省エネシステムにおいて、前記送信回路は、前記第2の周波数帯の無線信号として、前記無線タグのID情報を送信することを特徴としてもよい。このような構成であれば、制御装置において、無線タグの移動の検出結果を無線タグのID情報毎に把握することができる。また、例えば、無線タグのID情報に基づいて、第1のエリアに配置された複数の設備機器のうちの、特定の設備機器のみを選択的に省エネ制御することができる。
【0027】
また、上記の省エネシステムにおいて、前記第1のエリアに所定の間隔で配置され、前記第2の周波数帯の無線信号を受信する複数の第2の受信部、をさらに含み、前記制御装置は、前記複数の第2の受信部による前記無線タグのID情報の受信状況に基づいて、前記第1のエリアにおける前記無線タグの位置情報を取得することを特徴としてもよい。ここで、例えば、後述の受信部70が本発明の「第2の受信部」に対応している。このような構成であれば、第1のエリアにおける無線タグの位置情報を利用して、設備機器の動作モードを制御することが可能となる。なお、「第2の受信部」は、例えば、第1のエリアの室内の天井部に配置されていても良く、或いは、設備機器の一部(例えば、室内の天井部に設置された照明設備の付属物)として配置されていても良い。
【0028】
また、上記の省エネシステムにおいて、前記第1のエリアは、前記無線タグのID情報に関連付けされた特定のエリアを含み、前記制御装置は、取得した前記位置情報から、前記無線タグが前記特定のエリアに存在すると判断した場合は、前記特定のエリアに配置されている前記設備機器の動作モードを前記第3の動作モードに設定し、一方、前記無線タグが前記特定のエリアに存在しないと判断した場合は、前記特定のエリアに配置されている前記設備機器の動作モードを前記第4の動作モードに設定することを特徴としてもよい。このような構成であれば、無線タグの位置情報に基づいて、特定のエリアに配置されている設備機器を省エネ制御することができる。
【0029】
また、本発明の別の態様に係る無線タグは、第1の周波数帯の無線信号を受信する受信回路と、第2の周波数帯の無線信号を送信する送信回路と、前記受信回路と前記送信回路とに接続された制御回路と、ユーザーによる手動操作を検出する操作検出回路と、含み、前記受信回路が前記第1の周波数帯の無線信号として、管理装置から無線コードを受信し、且つ、前記操作検出回路がユーザーによる操作を検出した場合に、前記送信回路は、前記第2の周波数帯の無線信号として、当該無線タグのID情報を送信することを特徴とするものである。
このような構成であれば、例えば、無線タグを携帯したユーザーが移動して管理装置の通信範囲内に入り、この無線コードを無線タグが受信して自己の移動を検出した場合でも、無線タグのID情報がユーザーの意図に反して送信されてしまうことを防ぐことができる。つまり、ID情報の誤送信を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態に係る省エネシステム100の構成例を示す図。
【図2】無線コードの一例を示す図。
【図3】本発明の実施の形態に係る無線タグ10の構成例を示す図。
【図4】無線タグ10による移動の検出方法を示すフローチャート。
【図5】省エネ制御の対象となる室内のレイアウトと設備機器の一例を示す図。
【図6】照明設備65に対する省エネ制御の一例を示す図。
【図7】照明設備65に対する省エネ制御の他の例を示す図。
【図8】PCモニター67に対する省エネ制御の一例を示す図。
【図9】空調設備69に対する省エネ制御の一例を示す図。
【図10】設備機器に対する省エネ制御方法を示すフローチャート。
【図11】本発明の実施の形態に係る省エネシステム200の構成例を示す図。
【図12】本発明の実施の形態に係る無線タグ110の構成例を示す図。
【図13】本発明の実施の形態に係る課金システム300の構成例を示す図。
【図14】本発明の実施の形態に係る無線タグ210の構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する各図において、同一の構成を有する部分には同一の符号を付し、その重複する説明は省略する。
〔1.省エネシステムの構成例〕
図1は、本発明の実施の形態に係る省エネシステム100の構成例を示す図である。
図1に示すように、この省エネシステム100は、少なくとも1つ以上の無線タグ10と、無線タグ10と無線信号の送受信を行う入退室管理装置30と、入退室管理装置30と有線又は無線で双方向に通信可能に接続された管理サーバー50と、を備える。
【0032】
(1)入退室管理装置
入退室管理装置30は、例えば、省エネ制御の対象となる設備機器が配置された室内の出入り口(即ち、ゲート)付近に配置されている。入退室管理装置30は、例えば、無線タグ10を携帯したユーザーがゲートを通って室内から室外へ、或いは、室外から室内へ移動する際に、無線タグ10に対して、その移動を検出するための情報を無線信号で提供するものである。入退室管理装置30は、第1通信部31と、第2通信部32と、記憶部33と、制御部35と、を有する。
【0033】
これらの中で、第1通信部31は、例えば、LF(即ち、135kHz及びその前後の周波数帯)の無線信号を送信する第1LF送信部41と、RF(即ち、315MHz及びその前後の周波数帯)の無線信号を受信する第1RF受信部42と、を含む。また、第2通信部32は、例えば、LFの無線信号を送信する第2LF送信部43と、RFの無線信号を受信する第2RF受信部44と、を含む。
【0034】
ここで、第1通信部31は、例えば室外の側に配置されており、第1LF送信部41による無線信号を送信可能な範囲(以下、第1LF通信範囲ともいう。)は室外の側に設定されている。第1LF送信部41からは、LFの無線信号として、例えば、図2(a)に示すような8ビットの無線コード[10110010]が送信される。以下の説明では、この無線コード[10110010]をコード1と呼ぶ。
【0035】
一方、第2通信部32は、例えば室内の側に配置されており、第2LF送信部43による無線信号を送信可能な範囲(以下、第2LF通信範囲ともいう。)は室内の側に設定されている。第2LF送信部43からは、LFの無線信号として、例えば、図2(b)に示すような8ビットの無線コード[01011101]が送信される。以下の説明では、この無線コード[01011101]をコード2と呼ぶ。なお、コード1は例えば周波数312MHzの無線信号であり、コード2は例えば周波数314MHzの無線信号である。312MHz、314MHzの何れも、RFの周波数帯に属する。同じRFの周波数帯であっても、その帯域内における周波数に差を設けることにより、コード1とコード2の識別を容易にすることができる。
【0036】
記憶部33は、例えば、不揮発性メモリー又はハードディスクなどの記憶装置からなる。この記憶部33には、第1通信部31、第2通信部32と無線タグ10との間で送受信される情報や、入退室管理装置30と管理サーバー50との間で送受信される情報などが格納される。また、この記憶部33には、入退室管理装置30において各種の処理を実行するために必要なプログラム(例えば、後述の図4のステップS1〜S6を実行するために必要なプログラム等)も格納されている。
【0037】
制御部35は、例えばCPUなどの演算機能及び制御機能を備えた回路からなる。図1に示すように、この制御部35は、第1通信部31、第2通信部32、記憶部33にそれぞれ接続されている。これにより、制御部35は、記憶部33からプログラムを読み出し、読み出したプログラムに従って、第1通信部31、第2通信部32にそれぞれ制御信号を送信する。そして、この制御信号により、第1通信部31、第2通信部32にそれぞれ通信動作を行わせる。つまり、制御部35は、第1通信部31と第2通信部32とにそれぞれ接続されており、第1通信部31の通信動作と、第2通信部32の通信動作とをそれぞれ制御する。また、この制御部35は、記憶部33から読み出すプログラムに従ってデーターを処理したり、処理したデーターを記憶部33に格納したりする。
【0038】
(2)管理サーバー
図1に示すように、管理サーバー50は、制御部51と、データーベース53と、を含む。制御部51は、例えばCPUなどの演算機能及び制御機能を備えた回路からなる。また、データーベース53は、例えば、例えば不揮発性メモリー又はハードディスクなどの記憶装置からなる。さらに、この管理サーバー50と、室内に配置された複数の設備機器は、例えば有線又は無線によって、単方向(管理サーバー⇒設備機器)、又は、双方向に通信可能に接続されている。制御部51は、データーベース53に格納されたプログラムに従って、室内に配置された複数の設備機器のうちの、無線タグ10のID情報(即ち、他の無線タグ10と識別するために付与された固有の情報のことである。)に関連付けされた特定の設備機器について、その動作モードを制御して、省電力化を図る(即ち、省エネ制御を行う。)。この省エネ制御の具体例については、後述の〔3.適用例〕で説明する。
【0039】
(3)無線タグ
図3は、本発明の実施の形態に係る無線タグ10の構成例を示す図である。図3に示すように、この無線タグ10は、通信回路1と、記憶回路3と、測定回路5と、制御回路7と、電源9と、を有する。
通信回路1は、例えば、LFの無線信号を受信するLF受信回路11と、RFの無線信号を送信するRF送信回路12と、を含む。また、記憶回路3は、例えば、不揮発性メモリーなどの記憶装置からなる。この記憶回路3には、LF受信回路11で受信された情報や、RF送信回路12で送信する情報が格納され、また、当該無線タグ10のID情報などが格納されている。また、この記憶回路3には、無線タグ10において各種の処理を実行するために必要なプログラム(例えば、後述の図4のステップS7〜S22を実行するために必要なプログラム等)も格納されている。
【0040】
制御回路7は、例えばCPUなどの演算機能及び制御機能を備えた回路からなる。図3に示すように、この制御回路7は、通信回路1、記憶回路3、測定回路5、電源9にそれぞれ接続されている。この無線タグ10において、電力は例えば制御回路7を介して、通信回路1、記憶回路3、測定回路5にそれぞれ供給される。また、制御回路7は、記憶回路3からプログラムを読み出し、読み出したプログラムに従って、LF受信回路11、RF送信回路12にそれぞれ制御信号を送信して、LF受信回路11にLFの無線信号を受信させ、RF送信回路12にRFの無線信号を送信させる。つまり、制御回路7は、LF受信回路11とRF送信回路12とにそれぞれ接続されており、LF受信回路11の受信動作と、RF送信回路12の送信動作とをそれぞれ制御する。また、この制御回路7は、記憶回路3から読み出すプログラムに従ってデーターを処理したり、処理したデーターを記憶回路3に格納したりする。
【0041】
測定回路5は、例えば、無線タグ10自体の温度、又は、無線タグ10の周囲の温度を測定するための回路であり、例えばサーミスタ等の温度測定素子を備えた回路である。この無線タグ10において、測定回路5で得られた温度に関する情報は、例えば制御回路7を介して記憶回路3等に格納される。また、電源9は例えばボタン型の電池を含み、一定の電力を制御回路7に供給する。
【0042】
〔2.移動検出〕
図1に示した省エネシステム100において、無線タグ10を携帯したユーザーが室外からゲートを通って室内へ移動する(即ち、入室する)場合は、第1LF通信範囲を通ってから第2LF通信範囲を通る。このとき、図3に示した無線タグ10のLF受信回路11は、第1LF通信範囲においてコード1を受信し、第2LF通信範囲においてコード2を受信する。つまり、室外から室内へ移動する場合は、コード1を先に受信し、コード2を後に受信する。
【0043】
また、無線タグ10を携帯したユーザーが室内から室外へ移動する(即ち、退室する)場合は、第2LF通信範囲を通ってから第1LF通信範囲を通る。このとき、無線タグ10のLF受信回路11は、コード2を先に受信し、コード1を後に受信する。ここで、コード1、2は互いに異なる8ビットの情報を持ち、識別可能であるため、ゲートを通る無線タグ10は、コード1、2の受信の順番から、自己の移動とその方向を精度高く検出することができる。つまり、無線タグ10は、当該無線タグ10を携帯するユーザーの移動と、その方向を精度高く検出することができる。以下、この移動の検出方法について、図4を参照しながら説明する。
図4は、無線タグ10による移動の検出方法を示すフローチャートである。ここでは、先ず始めに、入退室管理装置30が行う処理(ステップS1〜S6)について説明し、次に、無線タグ10が行う処理(ステップS7〜S22)について説明する。
【0044】
(1)入退室管理装置が行う処理
入退室管理装置30では、その初期設定として、図1に示した第1LF送信部41及び第2LF送信部43(以下、これらを単にLF送信部ともいう。)と、第1RF受信部42及び第2RF受信部44(以下、これらを単にRF受信部ともいう。)とに電力を供給して、各々の送信機能と受信機能とをそれぞれ起動させておく。
この状態で、RF受信部ではRFの無線信号の受信動作を行う(ステップS1)。そして、RFの無線信号について、受信割込の有無を判断する(ステップS2)。この判断は、例えば、図1に示した制御部35が行う。RFの受信割込があると判断した場合は、ステップS3へ進む。また、RFの受信割込はないと判断した場合は、ステップS1へ戻る。
【0045】
図4のステップS3では、RFデーター処理を行う。ここで、RFデーター処理とは、例えば、受信したbit列からタグID等のデーター情報を導出する処理のことである。次に、RFの無線信号に含まれる、無線タグのID情報(以下、タグIDともいう。)と、無線タグ10の入退室に関する情報とを取得する(ステップS4)。これらの情報は、例えば記憶部33へ格納し、その後(或いは、記憶部33への格納と同時に)、入退室管理装置30から管理サーバー50へ伝送される(ステップS5)。
一方、LF送信部では、一定の間隔で繰り返し、無線コードを送信する(ステップS6)。例えば、第1LF送信部41は第1LF通信範囲に向けて、図2(a)に示したコード1を一定の間隔で繰り返し送信する。また、第2LF送信部43は第2LF通信範囲に向けて、図2(b)に示したコード2を一定の間隔で繰り返し送信する。
【0046】
(2)無線タグが行う処理
無線タグ10では、その初期設定として、図3に示したLF受信回路11に電力を供給して、LFの受信機能を起動させておく。また、RF送信回路12を低消費モードに設定し、RFの送信機能を起動させないでおく。ここで、低消費モードとは、標準モードや後述のRF間欠送信モードよりも電力の消費を抑えるモードのことであり、例えばスリープモード、又は、電力の供給が止められて送信動作が停止した状態のことである。低消費モードでは、RF送信は行わない。
【0047】
この状態で、LFの無線信号について、受信ウェイクアップ割込があるか否かを判断する(ステップS7)。ここで、受信ウェイクアップ割込とは、所定の閾値以上の電波を受信した場合に、低消費モードに遷移している制御回路を起動するために、受信回路から制御回路へ送る割り込み信号のことである。単なる受信割込との相違点は、低消費モードからの復帰を目的とした割り込みか否かの違いである。このステップS7における判断は、例えば、図3に示した無線タグ10の制御回路7が行う。LFの受信ウェイクアップ割込があると判断した場合は、ステップS8へ進む。また、LFの受信ウェイクアップ割込はないと判断した場合は、ステップS11へ進む。
【0048】
ステップS8では、LFデーター処理を行う。ここで、LFデーター処理とは、例えば受信したbit列から無線コード等のデーター情報を導出する処理のことである。次に、LFの無線信号に含まれる無線コードを確認する(ステップS9)。即ち、入退室管理装置30から送信されてくるLFの無線信号には、図2(a)に示したコード1、又は、図2(b)に示したコード2が含まれているので、コード1、2のどちらを受信しているのかを確認する。この確認は、例えば、図3に示した制御回路7が行う。次に、確認した無線コードに関する情報(即ち、コード情報)を記憶回路3へ格納し(ステップS10)、その後、ステップS7へ戻る。
【0049】
一方、図4のステップS11では、ステップS7における前回割込みからの経過時間を判断する。そして、前回割込みから例えば2秒以上経過していると判断した場合はステップS12へ進み、経過していないと判断した場合はステップS7へ戻る。
ステップS12では、記憶回路3に格納されたコード情報のうちの、最後に格納されたコード情報が、コード1、2のどちらであるかを判断する。即ち、最後に受信した無線コードは、コード1、2のどちらであるかを判断する。この判断は、例えば、図3に示した制御回路7が記憶回路3からコード情報を読み出して行う。最後に受信した無線コードがコード2の場合は、ステップS13へ進む。また、最後に受信した無線コードがコード1の場合は、ステップS18へ進む。ステップS13では制御回路7がコード2を確定する。
【0050】
次に、ステップS14では、ステップS13において今回確定された無線コードがコード2で、且つ、前回確定された無線コードが1であるか否かを判断する。即ち、無線コードの確定順が、コード1→コード2となっているか否かを判断する。この判断は、制御回路7が記憶回路3からコード情報を読み出して行う。
ここで、無線コードの確定順がコード1→コード2となっていることが、無線タグ10が室外から室内への移動(即ち、入室)を検出するための要件となる。当該要件を満たしている場合はステップS15へ進む。また、当該要件を満たしていない場合はステップS7へ戻る。
【0051】
なお、当該要件を満たさない場合としては、例えば、無線タグ10を携帯したユーザーが室外の側からゲートの第1LF通信範囲に入り、そこから、第2LF通信範囲へ進むことなく、室外へ引き返すような場合が考えられる。このような場合は、無線コードの確定順がコード1→コード1となる。
ステップS15では、上記無線コードの確定順に基づいて、制御回路7が無線タグ10の入室を検出する。また、この検出の結果が記憶回路3へ格納される。次に、RF送信回路12に電力を供給して、RF送信回路12を起動させる。即ち、RF送信回路12の動作モードを、低消費モードから標準モードへ切替える。次に、RF送信回路12から、RFの無線信号として、タグIDと入室記録に関する情報とを送信する(ステップS16)。
【0052】
なお、このRF送信は、入退室管理装置30のRF受信部、特に、室内の側に配置された第2RF受信部44で受信される(ステップS2〜S4を参照。)。また、この受信された情報は、入退室管理装置30から管理サーバー50へ伝送される(ステップS4、S5を参照。)。
その後、無線タグ10では、制御回路7がRF送信回路12の動作モードを間欠送信モードへ切替え(ステップS17)、ステップS7へ戻る。
【0053】
他方、図9のステップS12からステップS18へ進んだ場合は、無線タグ10の制御回路7がコード1を確定する。そして、ステップS19では、ステップ18において今回確定された無線コードがコード1で、且つ、前回確定された無線コードがコード2となっているか否かを判断する。即ち、無線コードの確定順が、コード2→コード1となっているか否かを判断する。この判断は、制御回路7が記憶回路3からコード情報を読み出して行う。
【0054】
ここで、無線コードの確定順がコード2→コード1となっていることが、無線タグ10が室内から室外への移動(即ち、退室)を検出するための要件となる。当該要件を満たしている場合はステップS20へ進む。また、当該要件を満たしていない場合はステップS7へ戻る。
なお、当該要件を満たさない場合としては、例えば、無線タグ10を携帯したユーザーが室内の側からゲートの第2LF通信範囲に入り、そこから、第1LF通信範囲へ進むことなく、室内へ引き返すような場合が考えられる。このような場合は、無線コードの確定順がコード2→コード2となる。
【0055】
ステップS20では、上記無線コードの確定順に基づいて、制御回路7が無線タグ10の退室を検出する。また、この検出の結果が記憶回路3へ格納される。そして、RF送信回路12から、RFの無線信号として、タグIDと退室記録に関する情報とが送信される(ステップS21)。その後、RF送信回路12への電力の供給を停止又は制限して、RF送信回路12の動作モードを標準モードから低消費モードへ切替える(ステップS22)。その後、ステップS7へ戻る。
【0056】
なお、このRF送信は、入退室管理装置30が有するRF受信部のうちの、特に、室外の側に配置された第1RF受信部42で受信される(ステップS2〜S4を参照。)。また、この受信された情報は、入退室管理装置30から管理サーバー50へ伝送される(ステップS4、S5を参照。)。
このように、本発明の実施の形態に係る省エネシステム100は、無線タグ10と入退室管理装置30との間でLF及びRFの無線信号を送受する通信システムであり、入退室管理装置30から別々に送信されるコード1、2の受信の順番により、無線タグ10の移動とその方向を精度高く検出することができる。そして、この移動の検出結果に基づいて、無線タグ10のRF送信回路12からRFの無線信号を送信し、室内に配置された設備機器の動作モードを制御することができる。
【0057】
〔3.省エネ制御の適用例〕
次に、上述の省エネシステム100の適用例について説明する。
(1)室内レイアウト、設備機器の一例
図5(a)〜(d)は、省エネ制御の対象となる室内のレイアウトと設備機器の一例を示す図である。先ず始めに、室内のレイアウトと、そこに配置される設備機器について説明する。
図5(a)に示すように、省エネ制御の対象となる室内(例えば、オフィスフロア)は、例えば、第1エリアと、第2エリアと、第3エリアと、第4エリアとに分けられている。これら各エリアは例えばパーテーションや壁等の具体的手段で仕切られていてもよいし、仕切られていなくてもよい。
【0058】
図5(a)に示すように、第1エリア、第2エリア又は第3エリアはデスクエリアである。これら第1エリア、第2エリア又は第3エリアの何れか一にユーザーA〜Lは在籍しており、その在籍エリアにおいて、ユーザーA〜Lにはそれぞれデスク61と椅子62が割り当てられている。また、第4エリアは会議室であり、大きなテーブル63と複数の椅子64が配置されている。このような室内において、ユーザーAは第1エリアと第4エリアとで業務に従事し、第1エリアと第4エリアに配置された各設備機器に対して制御の権限を有するものとする。また、ユーザーBは第2エリアと第4エリアとで業務に従事し、第2エリアと第4エリアに配置された各設備機器に対して制御の権限を有するものとする。以下同様に、ユーザーC〜Lは各自の在籍エリアと第4エリアとでそれぞれ業務に従事し、各自の在籍エリアと第4エリアに配置された各設備機器に対してそれぞれ制御の権限を有するものとする。
【0059】
なお、図5(a)及び、後述の図6(a)〜(c)では、ユーザーA〜Lの在籍を明確にするため、第1エリア、第2エリア又は第3エリアに配置された各デスク61に、各ユーザーと同一の符号を付している。即ち、ユーザーAに割り当てられたデスク61には符号Aを付し、ユーザーBに割り当てられたデスク61には符号Bを付し、以下同様に、ユーザーC〜Lに割り当てられたデスク61には符号C〜Lをそれぞれ付している。
【0060】
また、ユーザーA〜Lにはそれぞれ異なるIDの無線タグ10が予め貸与されているものとする。以下の説明では、無線タグ10のIDを区別するために、ユーザーAに貸与された無線タグ10を無線タグ10Aといい、ユーザーCに貸与された無線タグ10を無線タグ10Cという。次に、室内に配置された設備機器について説明する。
図5(b)に示すように、例えば、第1エリア、第2エリア、第3エリア及び第4エリアにはそれぞれ照明設備65(例えば、蛍光灯、又は、発光ダイオード(LED)を用いた電球など)が配置されており、各エリアにおいて、照明設備65の直下に位置するデスク61、テーブル63等を照らすようになっている。
【0061】
また、図5(c)に示すように、例えば、第1エリア、第2エリア、第3エリアでは、各デスク61に一台ずつPCモニター67が配置されている。これらのPCモニター67は、デスク61と同様、ユーザーA〜Lにそれぞれ一台ずつ割り当てられている。
また、図5(d)に示すように、例えば、第1エリア、第2エリア、第3エリア、第4エリアにはそれぞれ空調設備69が配置されている。これらの空調設備69は、例えば室内の天井部に一定の間隔で配置されている。これらの空調設備69は、天井部からその下方に向けて温風や冷風を送出して温度制御を行うようになっている。また、これらの空調設備69は、温度制御機能の他、除湿、加湿などの湿度制御機能を備えていてもよい。
【0062】
また、図5(a)に示すように、この室内には、RFの無線信号を受信可能な受信部70が一定の間隔で複数配置されている。この受信部70は、上記の他の設備機器から独立して天井部又はデスク61等に設けられていてもよいし、他の設備機器の付属物(例えば、天井部に配置された照明設備65の付属物、又は、空調設備69の付属物)として設けられていてもよい。次に、これら設備機器に対する省エネ制御について具体的に説明する。
【0063】
(2)照明設備に対する省エネ制御
図6(a)〜(c)は照明設備65に対する省エネ制御の一例を示す図である。
図6(a)に示すように、第1エリアに在籍しているユーザーAが、無線タグ10Aを携帯してゲートを通過し、第1エリアへ移動する場合、無線タグ10Aから送信されるRFの無線信号を第1エリアに配置されたRF受信部70が受信する。そして、この結果に基づいて、第1エリアに配置された全ての照明設備65のスイッチが自動的にオンになり(即ち、直前がオフであればオンに切替わり、直前がオンであればこれを維持し)、照明設備65が点灯して第1エリア全体が照らされる。ユーザーAが第1エリアに留まる間は、第1エリアの照明設備65は原則、点灯状態に維持され、第1エリアは一定以上の明るさに維持される。
【0064】
なお、この例では、照明設備65のスイッチを自動ではなく、手動操作で例外的にオン、オフするようにしてもよい。照明設備65のスイッチを手動操作でオフにすることにより、ユーザーAが第1エリアに留まる場合であっても、第1エリアの照明設備65の照度を落とし、或いは、その一部若しくは全部を消灯して、第1エリアの照明設備65を低消費モードへ切替えることができる。つまり、無線タグ10に依存することなく、照明設備65を標準の動作モードから低消費モードへ例外的に切替えることも可能である。
【0065】
次に、図6(b)に示すように、無線タグ10Aを携帯したユーザーAが第1エリアから第4エリアへ移動すると、無線タグ10Aから送信されるRFの無線信号を、第1エリアのRF受信部70は受信できなくなる。この結果に基づいて、第1エリアの照明設備65はそのスイッチが自動的にオフになり、低消費モードに切替わる。また、無線タグ10Aから送信されるRFの無線信号を、第4エリアに配置されたRF受信部70が受信できるようになる。この結果に基づいて、第4エリアの全ての照明設備65のスイッチが自動的にオンになり(即ち、直前がオフであればオンに切替わり、直前がオンであればこれを維持し)、照明設備65が点灯して第4エリア全体が照らされる。ユーザーAが第4エリアに留まる間は、第4エリアの照明設備65は原則、点灯状態に維持され、第4エリアは一定以上の明るさに維持される。なお、第1エリアと同様、第4エリアの照明設備65についても、省エネ制御には例外が存在し、例えば手動操作等によりモードの切替えが可能である。
【0066】
その後、図6(c)に示すように、無線タグ10Aを携帯したユーザーAが第4エリアからゲートを通って室外へ出る(即ち、退室する)と、無線タグ10Aから送信されるRFの無線信号を、第4エリアのRF受信部70は受信できなくなる。この結果に基づいて、第4エリアの照明設備65はそのスイッチが自動的にオフになり、低消費モードに切替わる。
なお、図示しないが、無線タグ10Aを携帯したユーザーAの他に、第1エリアに在籍するユーザーCが無線タグ10Cを携帯して第1エリアに留まる場合は、ユーザーAが第1エリアから退出した後も、第1エリアの照明設備65は原則、点灯状態に維持される。この点灯状態は、ユーザーCが第1エリアに留まる間、維持される。このように、特定エリアに在籍するユーザーのうちの一人でも、その特定エリアに留まる場合は、その特定エリアの照明設備65は原則、点灯状態に維持される。
【0067】
このように、図1に示した省エネシステム100を照明設備65に適用すると、点灯させる照明設備65は個別に又はエリア毎に、タグIDにより決定することができる。タグIDの登録は、例えば、管理サーバー50のデーターベース53に追加することが可能であり、また、削除することが可能である。
例えば、赤外線による感知結果に基づいて省エネ制御を行うような従来の方法においては、人の在、不在の感知結果に基づいてのみ、照明設備を制御することができなかったため、自席に近接する不在エリアにおいても人を不用意に感知し点灯してしまうことがあったが、本発明によれば、不用意に点灯させてしまうことはないため、効率の高い省エネ制御が可能である。
【0068】
図7は、図6(a)〜(c)に示した照明設備65に対する省エネ制御の他の例である。図6(a)では、無線タグ10Aから送信されるRFの無線信号をRF受信部70が受信すると、この結果に基づいて、第1エリアに配置された全ての照明設備65のスイッチが自動的にオンになる場合について説明した。しかしながら、これはあくまで一例である。
本発明では、例えば図7に示すように、第1エリアに配置された全ての照明設備65でなく、一部の照明設備65のみが点灯して、ユーザーAに割り当てられたデスク61とその周辺のみを照らすようにしてもよい。これにより、ユーザーAの業務を妨げることなく、さらなる省エネ化を実現することが可能となる。
【0069】
また、図6(a)〜(c)又は図7において、例えば夜間に照度を上げたい場合は、照明設備65のスイッチを手動操作でオンすることにより、隣接するエリアの照明設備65や、第1エリアの全ての照明設備65を強制的に点灯できるようにしてもよい。また、このような強制機能を持たせるために、例えば後述の図14で例示するように、ユーザーの指先で押圧することにより、操作可能なスイッチを無線タグに設けるようにしてもよい。その場合は、この無線タグに設けられたスイッチを押圧することにより、無線タグ10から所定の信号を送信させ、予め設定された照明設備65を強制的に点灯させることが可能となる。
【0070】
(2)PCモニターに対する省エネ制御
図8(a)及び(b)はPCモニター67に対する省エネ制御の一例を示す図である。
図8(a)に示すように、第1エリアに在籍しているユーザーAが、無線タグ10Aを携帯してゲートを通過し、第1エリアへ移動すると、無線タグ10Aから送信されるRFの無線信号を第1エリアに配置されたRF受信部70が受信する。そして、この結果に基づいて、ユーザーAのデスク61上に配置されたPCモニター67のスイッチが自動的にオンになり、PCモニターが低消費モードから標準モードに切替わる。
【0071】
また、図8(b)に示すように、無線タグ10Aを携帯したユーザーAが第1エリアから退出すると、第1エリアに配置されたRF受信部70では、無線タグ10Aから送信されるRFの無線信号を受信できなくなる。この結果に基づいて、ユーザーAのデスク61上に配置されたPCモニター67のスイッチが自動的にオフになり、PCモニターが標準モードから低消費モードに切替わる。
【0072】
なお、ユーザーAが第1エリアに留まる場合であっても、PCモニター67のスイッチを例えば手動でオフにした場合は、PCモニター67を標準モードから低消費モードに自動的に切替えることができる。また、PCからPCモニター67へ信号が一定時間伝送されない場合(例えば、キーボードやマウスが操作されない場合)も、PCモニター67を標準モードから低消費モードに自動的に切替えることが可能である。つまり、照明設備65の場合と同様、無線タグ10に依存することなく、PCモニター67を標準モードから低消費モードへ例外的に切替えることが可能である。
【0073】
(3)空調設備に対する省エネ制御
図9(a)〜(c)は空調設備69に対する省エネ制御の一例を示す図である。
図9(a)に示すように第1エリアに在籍しているユーザーAが、無線タグ10Aを携帯してゲートを通過し、第1エリアへ移動すると、無線タグ10Aから送信されるRFの無線信号を第1エリアに配置されたRF受信部70が受信する。そして、この結果に基づいて、第1エリアに配置された空調設備69は標準モードに設定され(即ち、直前の動作モードが低消費モードであれば標準モードに切替わり、直前の動作モードが標準モードであればこれを維持し)、第1エリア全体が所定の温度、所定の風量若しくは所定の湿度、又はこれらの組み合わせからなる所定の環境に調整される。ユーザーAが第1エリアに留まる間は、第1エリアの空調設備69は原則、標準モードに維持され、第1エリアは温度、風量若しくは湿度に関して、所定の設定値に調整される。
【0074】
また、この空調設備69に対する省エネ制御では、例えば、図3に示した無線タグ10の測定回路5が温度を測定し、この測定された結果がRF信号として、無線タグ10から第1エリアに配置された受信部70に送信されてもよい。これにより、無線タグ10又はその周囲の温度に関する情報(即ち、測定温度情報)を管理サーバー50側で把握することができ、この把握した測定温度情報に基づいて、第1エリアの温度を設定値にさらに近づけることができる。
【0075】
例えば、第1エリア内でも、窓71に近い席と遠い席とでは、室温が異なる場合がある。しかしながら、この例では、ユーザーAが携帯する無線タグ10Aから管理サーバー50に測定温度情報が伝送されるため、この情報に基づいて窓側に近い席の室温を高くする又は低くするなど、実環境に応じて最適な温度調整を行うことができる。即ち、受信部70のポジション単位にて、温度測定情報の取得が可能であり、また、この情報に基づいて温度制御が可能である。このため、従来では不可能であった細かな温度制御が可能であり、またユーザーの動態に応じた温度制御が可能である。
なお、この例では、リモコン等を用いて任意の設定値やモードを空調設備69に入力することにより、空調設備69における温度、風量若しくは湿度等の諸設定を任意に調整したり、空調設備69の動作モードを標準モードから低消費モードへ、或いは、低消費モードから標準モードへ例外的に切替えたりすることも可能である。
【0076】
また、図9(b)に示すように、無線タグ10Aを携帯したユーザーAが第1エリアから第4エリアへ移動すると、無線タグ10Aから送信されるRFの無線信号を、第1エリアのRF受信部70は受信できなくなる。このような結果に基づいて、第1エリアの空調設備69は自動的に低消費モードに切替わる。なお、図示しないが、無線タグ10Aを携帯したユーザーAの他に、第1エリアに在籍するユーザーCが無線タグ10Cを携帯して第1エリアに留まる場合は、ユーザーAが第1エリアから退出した後も、第1エリアの空調設備69は原則、標準モードに維持される。この標準モードは、ユーザーCが第1エリアに留まる間、維持される。このように、特定エリアに在籍するユーザーのうちの一人でも、その特定エリアに留まる場合は、その特定のエリアの空調設備69は原則、標準モードに維持される。
【0077】
また、上記の移動により、無線タグ10Aから送信されるRFの無線信号を、第4エリアに配置されたRF受信部70が受信できるようになる。この結果に基づいて、第4エリアの空調設備69は標準モードに設定される。ユーザーAが第4エリアに留まる間は、第4エリアの空調設備69は原則、標準モードに維持され、第4エリアは温度、風量若しくは湿度に関して、一定の環境に維持される。
さらに、この第4エリアにおいても、第1エリアと同様、図3に示した無線タグ10の測定回路5が温度を測定し、この測定された結果(即ち、測定温度情報)が無線タグ10から第4エリアに配置された受信部70に送信される。そして、この情報に基づいて、室内の温度を設定値にさらに近づけることができる。
【0078】
一方、図9(c)に示すように、無線タグ10Aを携帯したユーザーAが、第3エリアへ移動した場合は、無線タグ10Aから送信されるRFの無線信号を第3エリアに配置されたRF受信部70が受信できるようになる。しかしながら、ユーザーAは第3エリアに在籍しておらず、ユーザーAに貸与された無線タグ10AのIDは、第3エリアに配置された空調設備に対して制御の権限を有さないように設定されている。このため、この第3エリアでは無線タグ10Aによる空調制御は行われない。
【0079】
(4)無線タグと管理サーバーが行う処理
上記の(2)、(3)、(4)で説明した各設備機器に対する省エネ制御は、それぞれ別々に行っても良いし、組み合わせて行っても良い。例えば、照明設備65の省エネ制御のみを行っても良いし、同一エリアに対して照明設備65と空調設備69の省エネ制御を同時に、並行して行っても良い。このような省エネ制御は、入退室管理装置30に接続された管理サーバー50と、無線タグ10とが、例えば図10に示すような処理を連携して行うことにより実現することができる。
図10は、設備機器に対する省エネ制御方法を示すフローチャートである。
「RF間欠送信モードへ切替」(図4のステップS17を参照。)後、無線タグ10のRF送信回路12は、RFの無線信号として、タグIDを一定の間隔で繰り返し送信する(ステップS31)。
【0080】
一方、「管理サーバーへ伝送」(図4のステップ5を参照。)後、管理サーバー50は、複数のRF受信部70に、RFの無線信号の受信動作を行わせる(ステップS32)。そして、RFの無線信号について、受信割込の有無を判断する(ステップS33)。この判断は、例えば、図1に示した制御部51が行う。RFの受信割込があると判断した場合はステップS34へ進み、RFの受信割込はないと判断した場合はステップS32へ戻る。
【0081】
図10のステップS34では、無線タグ10から送信されるRFの無線信号の受信状況に基づいて、無線タグ10の位置を特定する。そして、その特定された位置と、その無線タグ10のID情報とに基づいて、その特定された位置がその無線タグ10に関連付けされた特定のエリア(即ち、制御の権限を有するエリア)となっているか否かを判断する(ステップS35)。即ち、位置を特定された無線タグ10が、その特定された位置を含むエリアに配置された設備機器に対して、制御の権限を有するか否かを判断する。この判断は、例えば、図1に示した制御部51が行う。
【0082】
例えば、上述の無線タグ10Aであれば、第1エリア及び第4エリアが特定のエリア(即ち、制御の権限を有するエリア)であり、第2エリア及び第3エリアが特定外のエリア(即ち、制御の権限を有さないエリア)である。
ステップS35において特定のエリアであると判断した場合はステップS36へ進み、その特定のエリアに配置された設備機器(例えば、照明設備65、PCモニター67、空調設備69のうちの何れか一つ以上)の動作モードを標準モードに設定する。一方、特定のエリアでないと判断した場合はステップS37へ進み、その特定エリアに配置された設備機器(例えば、照明設備65、PCのモニター、空調設備69のうちの何れか一つ以上)の動作モードを低消費モードに設定する。ステップS36又はステップS37の後は、ステップS32に戻る。
【0083】
以上説明したように、本発明の実施の形態に係る省エネシステム100によれば、入退室管理装置30から別々に送信されるコード1、2の受信の順番により、無線タグ10の移動とその方向を精度高く検出することができる。そして、この移動の検出結果に関する情報をRFの無線信号として、無線タグ10から入退室管理装置30へ送信させることができる。これにより、入退室管理装置30に無線タグ10の移動とその方向を把握させることができる。従って、無線タグ10を携帯したユーザーのリアルタイムな行動に対応して、室内に配置された設備機器の動作モードを制御することができ、省エネ制御の効率を高めることができる。
【0084】
また、本発明の実施の形態に係る無線タグ10によれば、自己の移動の検出結果に基づいて、自己の省エネ制御を行うことができる。例えば、無線タグ10が自己の室内から室外への移動(即ち、退室)を検出した場合は、RF送信回路12への電力供給を制限又は停止して低消費モードに切替え、RFの送信機能をオフにする。また、無線タグの室外から室内への移動(即ち、入室)を検出した場合は、RF送信回路21への電力供給を再開して、その送信機能をオンにし、RFの無線信号を送信できるにする。これにより、RFの送信機能を常時オンに維持する場合と比べて、無線タグ10に内蔵された電池の消費を抑えることができる。
【0085】
〔4.他の構成例〕
上記の実施の形態では、入退室管理装置30が常時、LFの無線信号として、コード1、コード2を送信し、これを無線タグ10が受信して自己の移動とその方向を検出する場合について説明した。しかしながら、本発明はこれに限られることはない。例えば、無線タグが常時LFの無線信号を送信し、これを入退室管理装置が受信して、無線タグの移動を入退室管理装置側で検出するようにしてもよい。以下、この点について説明する。
【0086】
図11は、本発明の実施の形態に係る省エネシステム200の構成例を示す図である。
この図11に示すように、この省エネシステム200は、少なくとも1つ以上の無線タグ110と、無線タグ110と無線信号の送受信を行う入退室管理装置130と、入退室管理装置130と有線又は無線で双方向に通信可能に接続された管理サーバー150と、を備える。この省エネシステム200において、図1等に示した省エネシステム200との相違点は、入退室管理装置が有する第1通信部及び第2通信部の構成と、無線タグが有する通信部の構成にある。
【0087】
即ち、図11に示すように、この入退室管理装置130は、例えば、省エネ制御の対象となる設備機器が配置された室内の出入り口(即ち、ゲート)付近に配置されており、第1通信部131と第2通信部132を有する。ここで、第1通信部131は、LFの無線信号を受信する第1LF受信部141と、RFの無線信号を送信する第1RF送信部142と、を含む。また、第2通信部132は、LFの無線信号を受信する第2LF受信部143と、RFの無線信号を送信する第2RF送信部144と、を含む。図11に示すように、第1通信部131は室外の側に配置されており、第2通信部132は室内の側に配置されている。
【0088】
図12は、本発明の実施の形態に係る無線タグ110の構成例を示す図である。
図12に示すように、無線タグ110は、通信回路101と、記憶回路3と、測定回路5と、制御回路7と、電源9と、を有する。ここで、通信回路101は、LFの無線信号を送信するLF送信回路111と、RFの無線信号を受信するRF受信回路112と、RFの無線信号を送信するRF送信回路113、とを有する。
この省エネシステム200において、無線タグ110のLF送信回路111は常時、LFの無線信号として、タグIDを送信し続ける。また、入退室管理装置130の第1LF受信部141、及び、第2LF受信部143は常時、LFの無線信号を受信できるように待機している。
【0089】
図11に示した省エネシステム200において、無線タグ110を携帯したユーザーが室外から室内へ移動する(即ち、入室する)場合は、無線タグ110のLF送信回路111が、LFの無線信号としてタグIDを送信し続けるため、タグIDの受信の順番は第1LF受信部141が先で、第2LF受信部143が後となる。また、無線タグ110を携帯したユーザー室内から室外へ移動する(即ち、退室する)場合は、タグIDの受信の順番は第2LF受信部143が先で、第1LF受信部141が後となる。
このため、入退室管理装置130では、タグIDの受信の順番から、無線タグ110の移動と、その方向(つまり、無線タグ110を携帯したユーザーの移動の方向)を検出することができる。
【0090】
なお、入退室管理装置130が無線タグ110の入室を検出すると、その検出結果に関する情報(即ち、入室記録に関する情報)は、記憶部33に格納されると共に、管理サーバー50に伝送される。また、この入室記録に関する情報は、例えばタグIDと共に、入退室管理装置130の第2RF送信部144からRFの無線信号として送信される。これらの情報がRF受信回路112により受信され、送信されてきたタグIDと無線タグ110のIDとが一致すると、RF送信回路113の送信機能が起動する。そして、RF送信回路113は、RFの無線信号として、タグIDを一定の間隔で繰り返し送信する。
【0091】
一方、入退室管理装置130が無線タグ110の退室を検出すると、その検出結果に関する情報(即ち、退室記録に関する情報)は、記憶部33に格納されると共に、管理サーバー50に伝送される。また、この退室記録に関する情報は、タグIDと共に、入退室管理装置130の第1RF送信部144からRFの無線信号として送信される。これらの情報がRF受信回路112により受信され、送信されてきたタグIDと無線タグ110のIDとが一致すると、RF送信回路113の動作モードは、標準モードから低消費モードに切替えられる。
【0092】
このように、本発明の実施の形態に係る省エネシステム200によれば、入退室管理装置130におけるタグIDの受信の順番により、無線タグ110の移動とその方向を精度高く検出することができる。従って、無線タグ110を携帯したユーザーのリアルタイムな行動に対応して、室内に配置された設備機器の動作モードを制御することができ、省エネ制御の効率を高めることができる。
【0093】
〔5.課金システムへの応用〕
上記の実施の形態では、本発明を省エネシステムに適用する場合について説明した。しかしながら、本発明の適用はこれに限られることはなく、例えば、セルフ方式の食堂等における課金システムにも応用可能である。以下、この点について説明する。
(1)課金システムの構成
図13は、本発明の実施の形態に係る課金システム300の構成例を示す図である。
図13に示すように、この課金システム300は、少なくとも1つ以上の無線タグ210と、無線タグ210と無線信号の送受信を行う課金管理装置230と、課金管理装置230と有線又は無線で双方向に通信可能に接続された管理サーバー50と、を備える。
【0094】
図13に示すように、この課金管理装置230は、例えば、セルフ方式の食堂等に配置されている。ここで、セルフ方式とは、テーブル等への配膳を接客係ではなくユーザー自身が行う方式のことである。課金管理装置230は、例えば、第1通信部231と、第2通信部232と、第3通信部233と、記憶部33と、制御部35と、を有する。
また、第1通信部231は、第1LF送信部241及び第1RF受信部242と、を含む。第2通信部232は、第2LF送信部243及び第2RF受信部244と、を含む。第3通信部233は、例えば、RFの無線信号を受信する第3LF送信部245と、LFの無線信号を受信する第3RF受信部246と、を含む。
【0095】
この課金管理装置230において、第1通信部231は、例えば、メニューAが用意されたエリアに配置されている。また、第2通信部232は、例えば、メニューBが用意されたエリアに配置されている。さらに、第3通信部233は、例えば、メニューCが用意されたエリアに配置されている。
管理サーバー50は、制御部35と、データーベース53と、を含む。この例では、制御部35は、データーベース53に格納されたプログラムに従って、複数のタグIDに対する課金の履歴に関する情報を格納する。
【0096】
図14(a)及び(b)は、本発明の実施の形態に係る無線タグ210の構成例を示す図である。
図14(b)に示すように、無線タグ210は、通信回路201と、記憶回路3と、操作検出回路205と、制御回路7と、電源9と、を有する。制御回路7は、通信回路201、記憶回路3、操作検出回路205、電源9にそれぞれ接続されている。また、通信回路201は、例えば、LFの無線信号を受信するLF受信回路211と、RFの無線信号を送信するRF送信回路212と、を含む。
【0097】
図14(a)に示すように、この無線タグ210には、例えば、ユーザーの指先で押圧することにより、操作可能なスイッチが設けられている。このスイッチ206に対する押圧操作は、図14(b)に示した操作検出回路205で検出されるようになっており、この検出結果に関する情報は制御回路7に送信され、記憶回路3等に格納されるようになっている。次に、課金方法について説明する。
【0098】
(2)課金方法
図13に示す課金管理装置230では、電力が供給されている間(例えば、食堂の営業中)は、第1LF送信部241と、第2LF送信部243と、第3LF送信部245は、LFの無線信号を常時送信しており、第1RF受信部242と、第2RF受信部244と、第3RF受信部246は、RFの無線信号を常時受信できるように待機している。また、第1LF送信部241と、第2LF送信部243と、第2LF送信部245は、LFの無線信号としてそれぞれ異なる無線コードを送信する。例えばLFの無線信号として、第1LF送信部241は無線コード[10110010](即ち、コード1)を送信し、第2LF送信部243は無線コード[[01011101](即ち、コード2)を送信し、第3LF送信部245は無線コード[1100101](即ち、コード3)を送信する。
【0099】
また、第1LF送信部241の通信可能な範囲(即ち、第1LF通信範囲)と、第2LF送信部243の通信可能な範囲(即ち、第2LF通信範囲)と、第2LF送信部245の通信可能な範囲(即ち、第3LF通信範囲)は、それぞれ重複しないように離されている。一方、無線タグ210のLF受信回路211も、LFの無線信号を常時受信できるように待機している。
このような設定のもとで、課金方法を説明するために、例えば、無線タグ210を携帯したユーザーが食堂でメニューAを選択する場合を想定する。
【0100】
この場合、図13に示すように、ユーザーが第1LF通信範囲に入ると、第1LF送信部241から送信されたコード1は、無線タグ210のLF受信回路211に受信される。これにより、無線タグ210は自己の移動を検出し、受信したコード1を確定コード情報として無線タグ210の記憶回路3に格納する。次に、ユーザーがスイッチ206を押圧すると、無線タグ210のRF送信回路212は、RFの無線信号として、この確定コード情報と、タグIDとを送信する。
【0101】
この情報は、課金管理装置230の第1RF受信部242で受信される。そして、この受信された情報は、管理サーバー50に伝送される。ここで、管理サーバー50に伝送された情報のうちの、確定コード情報とタグIDは関連付けしてデーターベース53に格納される。これにより、各ユーザーに対する課金の履歴を、ユーザー毎に正確に保持することができる。
【0102】
このように、本発明の課金システム300によれば、例えば、無線タグ210を携帯したユーザーが移動して第1LF通信範囲、第2LF通信範囲、又は第3LF通信範囲内に入り、無線タグ210が無線コードを受信して自己の移動を検出した場合でも、無線タグ210のID情報がユーザーの意図に反して送信されてしまうことを防ぐことができる。つまり、ID情報の誤送信を防ぐことができる。
【0103】
また、従来の課金システムでは、無線タグを受信機に近接させ、「かざす行為」が必要であったが、本発明の課金システムでは、「かざす行為」は必要ない。従って、例えば、いわゆるネックフォルダに無線タグを入れ、これを首からさげているような場合でも、「かざす行為」を実現するために、首からネックフォルダを外したり、体を屈めたりする必要がない。従って、ユーザーにとって楽な姿勢で課金を受けることができる。
【符号の説明】
【0104】
1、101、201 通信回路、3 記憶回路、5 測定回路、7 制御回路、9 電源、10、110、210 無線タグ、11、211 LF受信回路、12、113、212 RF送信回路、21 送信回路、30、130 入退室管理装置、31、131、231 第1通信部、32、132、232 第2通信部、33 記憶部、35 制御部、41、241 第1LF送信部、42、242 第1RF受信部、43、243 第2LF送信部、44、244 第2RF受信部、50、150 管理サーバー、51 制御部、53 データーベース、61 デスク、62、64 椅子、63 テーブル、65 照明設備、67 PCモニター、69 空調設備、70 受信部、71 窓、100、200 省エネシステム、111 LF送信回路、112 RF受信回路、141 第1LF受信部、142 第1RF送信部、143 第2LF受信部、144 第2LF送信部、205 操作検出回路、206 スイッチ、230 課金管理装置、233 第3通信部、245 第3LF送信部、246 第3RF受信部、300 課金システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の周波数帯の無線信号を受信する受信回路と、
第2の周波数帯の無線信号を送信する送信回路と、
前記受信回路と前記送信回路とに接続された制御回路と、を含み、
前記受信回路は、前記第1の周波数帯の無線信号として、管理装置から複数の無線コードを受信し、
前記制御回路は、前記複数の無線コードの受信する順番により当該無線タグの移動を検出することを特徴とする無線タグ。
【請求項2】
前記複数の無線コードは、第1のエリアで受信可能な第1の無線コードと、第2のエリアで受信可能な第2の無線コードとを含み、
前記制御回路は、
前記第1の無線コードを先に受信し、前記第2の無線コードを後に受信した場合は、当該無線タグの第1のエリアから第2のエリアへの移動を検出し、一方、
前記第2の無線コードを先に受信し、前記第1の無線コードを後に受信した場合は、当該無線タグの第2のエリアから第1のエリアへの移動を検出する、ことを特徴とする請求項1に記載の無線タグ。
【請求項3】
前記送信回路は、当該送信回路の動作モードとして、第1の動作モード、及び、前記第1の動作モードよりも省電力の第2の動作モードと、を含み、
前記制御回路は、
前記無線タグの前記第1のエリアから前記第2のエリアへの移動を検出した場合は、当該送信回路の動作モードを前記第1の動作モードから前記第2の動作モードへ切替え、一方、
前記無線タグの第2のエリアから第1のエリアへの移動を検出した場合は、当該送信回路の動作モードを前記第2の動作モードから前記第1の動作モードへ切替えることを特徴とする請求項2に記載の無線タグ。
【請求項4】
前記第1の無線コードと第2の無線コードは、互いに周波数が異なることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の無線タグ。
【請求項5】
前記第1の無線コードと第2の無線コードは、互いに異なるID情報を含むことを特徴とする請求項2から請求項4の何れか一項に記載の無線タグ。
【請求項6】
温度を測定する測定回路、をさらに含み、
前記送信回路は、前記第2の周波数帯の無線信号として、前記測定回路で測定された前記温度に関する情報を送信することを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載の無線タグ。
【請求項7】
第1のエリアと第2のエリアとの間における無線タグの移動を検出するための情報を、前記無線タグへ提供する管理装置であって、
前記第1のエリアに向けて第1の周波数帯の無線信号を送信する第1の送信部と、
前記第2のエリアに向けて前記第1の周波数帯の無線信号を送信する第2の送信部と、を含み、
前記第1の送信部及び前記第2の送信部は、前記第1の周波数帯の無線信号として、互いに異なる無線コードをそれぞれ送信することを特徴とする管理装置。
【請求項8】
第2の周波数帯の無線信号を受信する第1の受信部、をさらに含み、
前記第1の受信部は、前記第2の周波数帯の無線信号として、前記無線タグの移動の検出結果に関する情報を受信することを特徴とする請求項7に記載の管理装置。
【請求項9】
請求項1から請求項5の何れか一項に記載の無線タグと、請求項7又は請求項8に記載の管理装置と、を含む省エネシステムであって、
前記無線タグが第1のエリアと第2のエリアとの間を移動する際に、
前記無線タグの受信回路は、前記管理装置から前記複数の無線コードをそれぞれ異なるタイミングで受信し、
前記無線タグの送信回路は、前記第2の周波数帯の無線信号として、前記制御回路により検出された前記移動の検出結果を送信する、ことを特徴とする省エネシステム。
【請求項10】
無線タグと、第1のエリアと第2のエリアとの間における前記無線タグの移動を検出するための情報を前記無線タグへ提供する管理装置と、制御装置と、を含む省エネシステムであって、
電力を消費して動作又は機能する設備機器が前記第1のエリアに配置されており、
前記無線タグは、
第1の周波数帯の無線信号を受信する受信回路と、
第2の周波数帯の無線信号を送信する送信回路と、
前記受信回路と前記送信回路とに接続された制御回路と、を含み、
前記管理装置は、
前記第1のエリアに向けて第1の周波数帯の無線信号を送信する第1の送信部と、
前記第2のエリアに向けて前記第1の周波数帯の無線信号を送信する第2の送信部と、を含み、
前記無線タグが前記第1のエリアと前記第2のエリアとの間を移動する際に、
前記第1の送信部は、前記第1の周波数帯の無線信号として、第1の無線コードを送信し、
前記第2の送信部は、前記第1の周波数帯の無線信号として、第2の無線コードを送信し、
前記受信回路は、前記第1の無線コードを前記第1のエリアで受信すると共に、前記第2の無線コードを前記第2のエリアで受信し、
前記制御回路は、前記第1の無線コードと前記第2の無線コードの受信する順番により前記無線タグの移動を検出し、
前記送信回路は、前記第2の周波数帯の無線信号として、前記無線タグの移動の検出結果に関する情報を送信し、
前記制御装置は、前記送信回路から送信された前記検出結果に関する情報に基づいて、前記設備機器の動作モードを制御することを特徴とする省エネシステム。
【請求項11】
前記設備機器は、当該設備機器の動作モードとして、第3の動作モード、及び、前記第3の動作モードよりも省電力の第4の動作モードと、を含み、
前記無線タグが前記第1のエリアから前記第2のエリアへ移動する場合は、
前記無線タグの前記受信回路は、前記第1の無線コードを先に受信し、前記第2の無線コードを後に受信し、
前記制御回路は、前記第1の無線コードと前記第2の無線コードの受信する順番により、前記無線タグの前記第1のエリアから前記第2のエリアへの移動を検出し、
前記送信回路は、前記第2の周波数帯の無線信号として、前記無線タグの移動の検出結果に関する情報を送信し、
前記制御装置は、前記送信回路から送信された前記検出結果に関する情報に基づいて、前記設備機器の動作モードを第4の動作モードに設定することを特徴とする請求項10に記載の省エネシステム。
【請求項12】
前記無線タグが前記第2のエリアから前記第1のエリアへ移動する場合は、
前記無線タグの前記受信回路は、前記第2の無線コードを先に受信し、前記第1の無線コードを後に受信し、
前記制御回路は、前記第1の無線コードと前記第2の無線コードの受信する順番により、前記無線タグの前記第2のエリアから前記第1のエリアへの移動を検出し、
前記送信回路は、前記第2の周波数帯の無線信号として、前記無線タグの移動の検出結果に関する情報を送信し、
前記制御装置は、前記送信回路から送信された前記検出結果に関する情報に基づいて、前記設備機器の動作モードを第3の動作モードに設定することを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の省エネシステム。
【請求項13】
前記送信回路は、前記第2の周波数帯の無線信号として、前記無線タグのID情報を送信することを特徴とする請求項10から請求項12の何れか一項に記載の省エネシステム。
【請求項14】
前記第1のエリアに所定の間隔で配置され、前記第2の周波数帯の無線信号を受信する複数の第2の受信部、をさらに含み、
前記制御装置は、前記複数の第2の受信部による前記無線タグのID情報の受信状況に基づいて、前記第1のエリアにおける前記無線タグの位置情報を取得することを特徴とする請求項13に記載の省エネシステム。
【請求項15】
前記第1のエリアは、前記無線タグのID情報に関連付けされた特定のエリアを含み、
前記制御装置は、
取得した前記位置情報から、前記無線タグが前記特定のエリアに存在すると判断した場合は、前記特定のエリアに配置されている前記設備機器の動作モードを前記第3の動作モードに設定し、一方、
前記無線タグが前記特定のエリアに存在しないと判断した場合は、前記特定のエリアに配置されている前記設備機器の動作モードを前記第4の動作モードに設定することを特徴とする請求項14に記載の省エネシステム。
【請求項16】
第1の周波数帯の無線信号を受信する受信回路と、
第2の周波数帯の無線信号を送信する送信回路と、
前記受信回路と前記送信回路とに接続された制御回路と、
ユーザーによる手動操作を検出する操作検出回路と、含み、
前記受信回路が前記第1の周波数帯の無線信号として、管理装置から無線コードを受信し、且つ、前記操作検出回路がユーザーによる操作を検出した場合に、
前記送信回路は、前記第2の周波数帯の無線信号として、当該無線タグのID情報を送信することを特徴とする無線タグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−166519(P2011−166519A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−28016(P2010−28016)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】