説明

無線タグカートリッジ、タグテープロール製造装置

【課題】無線タグカートリッジの管理性を向上する。
【解決手段】情報を記憶するIC回路部151と情報の送受信を行うループアンテナ152とをそれぞれ備えた複数の無線タグ回路素子Toを配置した基材テープ210と、基材テープ210を繰り出し可能に内部に収納するための筐体100Aとを有する無線タグカートリッジ100であって、複数の無線タグ回路素子Toのうち繰り出し方向に沿って先頭に位置する管理用無線タグTgmの無線タグ回路素子Toを筐体100Aの外部に露出して配置し、管理用無線タグTgmの無線タグ回路素子ToのIC回路部151に、無線タグカートリッジ100を特定可能なカートリッジ関連情報を記憶させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部と情報の無線通信が可能な無線タグ回路素子を備えたタグテープを連続的に供給可能な無線タグカートリッジ、及び、当該タグテープを巻回したタグテープロールを製造するタグテープロール製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
小型の無線タグとリーダ(読み取り装置)/ライタ(書き込み装置)との間で非接触で情報の読み取り/書き込みを行うRFID(Radio Frequency Identification)システムが知られている。
【0003】
例えばラベル状の無線タグに備えられた無線タグ回路素子は、所定の無線タグ情報を記憶するIC回路部とこのIC回路部に接続されて情報の送受信を行うアンテナとを備えており、無線タグが汚れている場合や見えない位置に配置されている場合であっても、リーダ/ライタ側よりIC回路部の無線タグ情報に対してアクセス(情報の読み取り/書き込み)が可能であり、既に様々な分野において実用化が進んでいる。
【0004】
上記ラベル状の無線タグ(=無線タグラベル)は、対象物である商品や物品に貼り付けられて用いられる。このとき、その無線タグ回路素子内部に記憶されたタグ情報やこれに対応する物品情報等を、ラベルに印字して使用するようにすれば、ユーザ側から当該情報を視認でき、何かと便利である。そこで、近年、無線タグ回路素子への情報読み取り/書き込みとラベルへの印字とを併せて行い、印字付きの無線タグラベルを作成するタグラベル作成装置が既に提唱されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
このタグラベル作成装置では、カートリッジホルダに装着した無線タグカートリッジに収納されたタグテープロールよりタグテープを連続的に繰り出す。そして、タグテープに備えられた各無線タグ回路素子のIC回路部に対しアクセスして上記無線タグ情報の読み取り/書き込みを行い、またタグテープに貼り合わせる被印字テープに所定の印字を行うことで、印字付きの無線タグラベルを連続的に生成するようになっている。そして、カートリッジホルダに複数種類の無線タグカートリッジを交換して装着可能であることに対応し、無線タグカートリッジ自体にも無線タグ回路素子を設け、上記無線タグラベル作成の際に当該(カートリッジの)無線タグ回路素子に対し情報読み取りを行うことで、無線タグラベル作成時における最適通信条件等を取得するようになっている。
【特許文献1】特開2007−108893号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、市場に流通する物品に無線タグ回路素子を設け、無線タグ回路素子に情報読み取りを行い物品を管理することは、既に広く行われている。上記無線タグカートリッジは、適宜にカートリッジホルダに着脱交換しつつ使用することを前提に、予め複数個・複数種類が用意され、保管・流通される場合が多い。そこで、上記従来技術の無線タグカートリッジに設けた無線タグ回路素子にカートリッジ管理用の情報を記憶させ、これを読み取ることによって無線タグカートリッジを管理することが考えられる。
【0007】
しかしながら、上記カートリッジ管理用の情報を記録した無線タグ回路素子を別途用意して無線タグカートリッジに設ける場合、各無線タグ回路素子とその設置対象の各無線タグカートリッジとの対応関係をきちんと管理する必要がある。特に、多くの無線タグカートリッジを製造する際には、無線タグ回路素子とその対象の無線タグカートリッジとの対応関係が錯誤しやすい。
【0008】
一方、無線タグカートリッジの中には、無線タグラベル作成用の複数の無線タグ回路素子がもともと備えられている。したがって、そのうち一部の無線タグ回路素子を活用して上記カートリッジ管理用の情報を記録し、無線タグカートリッジに設ける(当該無線タグ回路素子を用いた無線タグラベルを貼り付ける)ようにすれば、無線タグ回路素子と無線タグカートリッジとの対応関係に誤りが生じることはなく、管理性が向上するはずである。上記従来技術においては、そのような点に特に配慮されていなかった。
【0009】
本発明の目的は、管理性を向上することができる無線タグカートリッジ、及び当該無線タグカートリッジに内蔵するタグテープロールを製造するタグテープロール製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、第1の発明は、情報を記憶するIC回路部と情報の送受信を行うタグアンテナとをそれぞれ備えた複数の無線タグ回路素子を配置したタグテープと、前記タグテープを繰り出し可能に内部に収納するための筐体とを有する無線タグカートリッジであって、前記複数の無線タグ回路素子のうち前記繰り出し方向に沿って先頭に位置する第1無線タグ回路素子の前記IC回路部に、前記無線タグカートリッジを特定可能なカートリッジ関連情報を記憶させたことを特徴とする。
【0011】
本願第1発明の無線タグカートリッジは、タグテープを用いて無線タグラベルを作成するタグラベル作成装置で用いられる。無線タグカートリッジがタグラベル作成装置に装着されると、タグテープが順次筐体の外部へ繰り出される。繰り出されたタグテープに備えられた無線タグ回路素子のIC回路部に対し、タグアンテナを介して情報読み取り又は情報書き込みが行われ、これによって無線タグラベルが作成される。
【0012】
一方、本願第1発明の無線タグカートリッジでは、上記のように繰り出されるタグテープの繰り出し方向先頭位置にある(=繰り出すときに一番最初に筐体内部から現れる)第1無線タグ回路素子のIC回路部に、カートリッジ関連情報を記憶している。これにより、(無線タグカートリッジ内部の各無線タグ回路素子と情報送受信を行わなくても)第1無線タグ回路素子に対し、無線タグ通信装置で読み取りを行いカートリッジ関連情報を取得することで、当該無線タグカートリッジを特定し、種々の管理を行うことが可能となる。
【0013】
以上のようにして、無線タグカートリッジ自らが備える複数の無線タグ回路素子の1つを活用し、その1つの無線タグ回路素子への情報読み取りによって無線タグカートリッジの管理を行う。これにより、別途用意した無線タグ回路素子にカートリッジ関連情報を書き込みこれを対応する無線タグカートリッジに取り付ける場合のように、取り付け間違いが発生するのを確実に防止することができる。この結果、無線タグカートリッジと無線タグ回路素子との一対一の対応関係が乱れることなく確実に保証されるので、無線タグカートリッジへの管理性を向上することができる。
【0014】
第2発明は、上記第1発明において、前記筐体は、前記タグテープをテープ長手方向に直交する軸心のまわりに巻回したタグテープロールを収納しており、前記タグテープロールの回転とともに前記複数の無線タグ回路素子を順次繰り出し可能に構成されていることを特徴とする。
【0015】
タグテープがロール状に巻回されていることにより、駆動力を用いてタグテープを搬送してタグテープロールを回転させることで、複数の無線タグ回路素子を無線タグカートリッジから順次円滑に繰り出し、無線タグラベルを連続的に作成することができる。
【0016】
第3発明は、上記第2発明において、前記筐体は、前記タグテープに貼り合わされる被印字テープをテープ長手方向に直交する軸心のまわりに巻回した被印字テープロールを収納しており、前記被印字テープロールの回転とともに前記被印字テープを前記タグテープに貼り合わせて繰り出し可能に構成されていることを特徴とする。
【0017】
被印字テープとタグテープとの貼り合わせ構造とすることにより、タグラベル作成装置において被印字テープに印字を行い、印字付き無線タグラベルを作成することが可能となる。このとき被印字テープの貼り合わせ側に印字を行い、その後上記貼り合わせを行うようにすれば、被印字テープの貼り付け後は印字面が裏面側となって表面側に露出しないので、汚れたりかすれたりすることのない、美観や耐久性に優れた印字を実現することができる。
【0018】
第4発明は、上記第2又は第3発明において、前記第1無線タグ回路素子は、前記無線タグカートリッジの個体識別情報、テープ種別情報、製造工場情報、製造年月日、及び仕向地情報のうち、少なくとも1つを前記IC回路部に記憶していることを特徴とする。
【0019】
これにより、第1無線タグ回路素子に対し無線タグ通信装置で読み取りを行うことで、無線タグカートリッジのテープ種別情報(テープ幅、インク色、ベース色、布テープであるか、強粘着タイプであるか、等)や製造工場・製造年月日等の製造情報、仕向地情報を容易に取得することができる。
【0020】
第5発明は、上記第4発明において、前記タグテープのうち、前記第1無線タグ回路素子を含む所定領域を前記筐体外部に露出させ、それ以外の領域を前記筐体内部に収納したことを特徴とする。
【0021】
これにより、繰り出し方向先頭位置の第1無線タグ回路素子を含むすべての無線タグ回路素子が筐体内部にある初期状態から、タグテープを少し引き出すだけで第1無線タグ回路素子のみ筐体外部に露出させることができる。すなわち、無線タグカートリッジ内部の各無線タグ回路素子を用いずにカートリッジ関連情報を取得できる状態を、容易に実現することができる。
【0022】
第6発明は、上記第4発明において、前記タグテープのうち、前記第1無線タグ回路素子を含む所定領域を、それ以外の領域から分離し、前記筐体に取り付けたことを特徴とする。
【0023】
本願第6発明においては、第1無線タグ回路素子を含むタグテープの所定領域を他の領域から分離して筐体に配置する。これにより、筐体内部に収納されたタグテープとは完全に独立した形で(例えば無線タグラベルとして)、カートリッジ関連情報の記録部を構築することができる。この結果、さらに容易に無線タグ通信装置でカートリッジ関連情報を取得することができる。
【0024】
第7発明は、上記第6発明において、前記タグテープは、貼り付け対象に貼り付けるための粘着剤層を備えており、前記第1無線タグ回路素子を含む所定領域を、前記粘着剤層を介し前記筐体の表面に貼り付けたことを特徴とする。
【0025】
本願第7発明においては、もともと作成後の無線タグラベルの貼り付け用にタグテープに設けられていた粘着剤を活用して、貼り付けを行う。これにより、第1無線タグ回路素子を含む所定領域を、それ以外の領域から分離するだけで確実に筐体表面に取り付けることができる。この結果、カートリッジ関連情報の記録部を容易に構築することができる。
【0026】
上記目的を達成するために、第8発明は、情報を記憶するIC回路部と情報の送受信を行うタグアンテナとをそれぞれ備えた所定数の無線タグ回路素子を配置したタグテープを、テープ長手方向に直交する軸心のまわりに巻回して、タグテープロールを製造するタグテープロール製造装置であって、前記所定数の無線タグ回路素子のうち前記巻回方向に沿って最後尾に位置する第2無線タグ回路素子の前記IC回路部に、前記タグテープロールを特定可能なタグテープロール関連情報を無線通信を介し書き込む書き込み手段を有することを特徴とする。
【0027】
本願第8発明のタグテープロール製造装置は、タグテープを軸心のまわりにロール状に順次巻回していき、これによって、所定数の無線タグ回路素子がタープ長手方向に配置されたタグテープロールを製造する。
【0028】
このとき、上記のようにロール状にタグテープを巻回していくその巻回方向に沿った順番で、最後尾となる第2無線タグ回路素子のIC回路部に対し、書き込み手段によってタグテープロール関連情報が書き込まれる。この結果、このタグテープロールを繰り出す際には、上記第2無線タグ回路素子が繰り出し方向に沿った先頭位置にあることになる。
【0029】
これにより、上記タグテープロールを収納して無線タグカートリッジを製造する際には、上記のように繰り出されるタグテープの繰り出し方向先頭位置にある(=繰り出すときに一番最初に筐体内部から現れる)第2無線タグ回路素子を、無線タグカートリッジの筐体外部に露出した状態とすることが可能となる。この場合、(無線タグカートリッジ内部の各無線タグ回路素子と情報送受信を行わなくても)露出した第2無線タグ回路素子に対し、無線タグ通信装置で読み取りを行いタグテープロール関連情報を取得することで、これに基づき当該タグテープロールを収納した無線タグカートリッジを特定し、種々の管理を行うことが可能となる。
【0030】
すなわち、無線タグカートリッジ自らが備える複数の無線タグ回路素子の1つを活用し、その1つの無線タグ回路素子を無線タグカートリッジの筐体外部に露出させ、情報読み取りによって無線タグカートリッジの管理を行うことができる。これにより、別途用意した無線タグ回路素子にカートリッジ関連情報を書き込みこれを対応する無線タグカートリッジに取り付ける場合のように、取り付け間違いが発生するのを確実に防止することができる。したがって、無線タグカートリッジと無線タグ回路素子との一対一の対応関係が乱れることなく確実に保証されるので、無線タグカートリッジへの管理性を向上することができる。
【0031】
第9発明は、上記第8発明において、前記書き込み手段は、前記タグテープロール関連情報として、当該タグテープロールを収納配置する無線タグカートリッジを特定可能なカートリッジ関連情報を、前記第2無線タグ回路素子の前記IC回路部に書き込むことを特徴とする。
【0032】
これにより、(無線タグカートリッジ内部の各無線タグ回路素子と情報送受信を行わなくても)露出した第2無線タグ回路素子に対し読み取りを行いカートリッジ関連情報を取得することで、当該無線タグカートリッジを特定し、種々の管理を行うことができる。
【0033】
第10発明は、上記第9発明において、前記書き込み手段は、前記カートリッジ関連情報として、前記無線タグカートリッジの個体識別情報、テープ種別情報、製造工場情報、製造年月日、及び仕向地情報のうち、少なくとも1つを前記第2無線タグ回路素子の前記IC回路部に書き込むことを特徴とする。
【0034】
これにより、カートリッジの筐体外部に露出した第2無線タグ回路素子に対し無線タグ通信装置で読み取りを行うことで、無線タグカートリッジのテープ種別情報(テープ幅、インク色、ベース色、布テープであるか、強粘着タイプであるか、等)や製造工場・製造年月日等の製造情報、仕向地情報を容易に取得することができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、無線タグカートリッジの管理性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0037】
本実施形態の無線タグカートリッジに収納するタグテープロールを製造するタグテープロール製造装置1は、図1に示すように、第1テープ200A(詳細構造は後述)と第2テープ200B(詳細構造は後述)とを、それら2つのテープの間に無線タグTgを挿入して貼り合わせることにより基材テープ(タグテープ)210を作成し、この基材テープ210を巻回してロール状の基材テープロール(タグテープロール)215を製造するものである。無線タグTgは、後述の図2、図6に示すように、情報を記憶するIC回路部151と、このIC回路部151に接続され情報の送受信を行うタグアンテナ152とを備えた無線タグ回路素子Toを備える。
【0038】
上記タグテープロール製造装置1は、第1テープ200Aが巻回された第1テープロール211と、この第1テープロール211を駆動する第1テープ軸駆動モータ212と、第2テープ200Bが巻回された第2テープロール213と、この第2テープロール213を駆動する第2テープ軸駆動モータ214と、第1及び第2テープロール211,213から繰り出された第1テープ200A及び第2テープ200Bを無線タグ回路素子Toの挿入後に貼り合わせる貼り合わせローラ225A,225Bと、貼り合わされたテープ200A,200Bに駆動力を付与して搬送することによって第1及び第2テープロール211,213から第1及び第2テープ200A,200Bを繰り出す駆動側搬送ローラ219A及び従動側搬送ローラ219Bと、駆動側搬送ローラ219Aを駆動する搬送ローラ駆動モータ220と、貼り合わせたテープから第2テープ200Bのセパレータ209(詳細は後述)を剥離することによって生成された基材テープ210と該セパレータ209とを互いに離反方向に案内するガイドローラ240A,240Bと、基材テープ210を巻き取るリール部材(軸心)215aを有する上記基材テープロール215と、上記リール部材215aを駆動する基材テープ軸駆動モータ216と、上記セパレータ209を巻き取るリール部材217aを有するセパレータロール217と、上記リール部材217aを駆動するセパレータ軸駆動モータ218とを備える。
【0039】
さらに、タグテープロール製造装置1は、第1テープロール211と貼り合わせローラ225A,225Bとの間の第1テープ200Aのテープ搬送経路に沿って設けられ、繰り出される第1テープ200Aのテープ搬送方向と交差する(この例では直交)交差方向に進退可能に設けた第1ダンサローラ221と、ガイドローラ240A,240Bと基材テープロール215との間の基材テープ210のテープ搬送経路に沿って設けられ、基材テープ210のテープ搬送方向と交差する(この例では直交)交差方向に進退可能に設けた第2ダンサローラ222と、第2テープロール213と貼り合わせローラ225A,225Bとの間の第2テープ200Bのテープ搬送経路に沿って設けられ、繰り出される第2テープ200Bのテープ搬送方向と交差する(この例では直交)交差方向に進退可能に設けた第3ダンサローラ223と、ガイドローラ240A,240Bとセパレータロール217との間のセパレータ209のテープ搬送経路に沿って設けられ、セパレータ209のテープ搬送方向と交差する(この例では直交)交差方向に進退可能に設けた第4ダンサローラ224と、上記第1〜第4ダンサローラ221〜224をそれぞれ上記交差方向(この例ではテープ搬送路と直交方向)に進退させるエアシリンダ262A,262B,262C,262Dとを備える。
【0040】
さらにまた、タグテープロール製造装置1は、貼り合わせローラ225A,225Bの上流側に設けられ、貼り合わされる第1テープ200A,第2テープ200Bとの間に挿入される無線タグTgの無線タグ回路素子Toのタグ特性(ここでは無線タグ回路素子Toのタグ感度)を検査して、無線タグ回路素子Toが正常であるか否かを判定するためのタグチェッカー270と、該タグチェッカー270に設けられ、無線タグ回路素子Toとの間で非接触にてタグ感度を測定する第1ループアンテナ271と、第2テープ200Bに無線タグTgを取り付けることによって、貼り合わされた第1テープ200Aと第2テープ200Bとの間に無線タグTgを長手方向に所定間隔で配置するタグ挿入器226と、搬送ローラ219A,219Bの下流側に設けられ、貼り合わされた第1テープ200A及び第2テープ200Bの送り量を光学的に検出するセンサ228と、基材テープロール215の上流側に設けられ、基材テープ210に備えられた無線タグTgの無線タグ回路素子Toに対し製造対象の基材テープロールを収納する無線タグカートリッジ100(後述の図11、図12参照)を特定可能なカートリッジ関連情報(後に詳述する)を書き込むための書き込み装置(書き込み手段)274と、該書き込み装置274に設けられ、無線タグ回路素子Toとの間で非接触にて無線通信を行う第2ループアンテナ272と、書き込み装置274の下流側に設けられ、リール部材215aへの基材テープ210の巻回によって1本の基材テープロール215を得るのに必要な所定長さ(いわゆる小巻ロールの長さ)に基材テープ210を切断するためのカッタ227と、搬送ローラ219A,219Bとガイドローラ240Aの下流側近傍とにそれぞれ設けられ、これら搬送ローラ219A,219Bと基材テープ210とに発生した静電気を除去する各除電ブラシ280と、コントローラ230とを備える。なお、上記タグ感度とは、IC回路部151(チップ)自体の感度(動作可能な最小電力)とタグアンテナ152のゲインとの組み合わせをさす。
【0041】
さらに、タグテープロール製造装置1は、第1ループアンテナ271,第2ループアンテナ272のそれぞれに対して無線タグ回路素子Toにアクセス(書き込み又は読み取り)するための変調波を出力するための2つの送信回路32i,32rと、無線タグ回路素子Toから上記第1ループアンテナ271,第2ループアンテナ272をそれぞれ介して受信された応答信号を復調しコントローラ230に出力する2つの受信回路33i,33rとを備える。また、前述した第1テープ軸駆動モータ212の駆動制御を行う第1テープ駆動回路231と、前述した第2テープ軸駆動モータ214の駆動制御を行う第2テープ駆動回路232と、前述した基材テープ軸駆動モータ216の駆動制御を行う基材テープ駆動回路233と、前述したセパレータ軸駆動モータ218の駆動制御を行うセパレータ駆動回路234と、前述した搬送ローラ駆動モータ220の駆動制御を行う搬送ローラ駆動回路235と、上記カッタ227を駆動して切断動作を行わせるソレノイド236と、そのソレノイド236を制御するソレノイド駆動回路237とを備える。さらにまた、コントローラ230から入力された電気信号に応じた開度に制御される開閉弁(図示せず)と、図示しない気体源からの気体を上記電気信号に対応した圧力の作動ガスとしてエアシリンダ262A,262B,262C,262Dへとそれぞれ供給する電気−空気変換手段として機能する電空レギュレータ265A,265B,265C,265Dと、上記電空レギュレータ265A,265B,265C,265Dの上記開閉弁をそれぞれ制御する図示しないレギュレータ駆動回路と、上記ダンサローラ221,222,223,224をその先端部に回転可能に支持し、上記エアシリンダ262A,262B,262C,262Dによって回動支点周りに回動可能なテンションアーム267A,267B,267C,267Dと、この例では上記回動支点近傍に設けられ、上記テンションアーム267A,267B,267C,267Dの角度を検出することで対応するテープ200A,210,200B,209の張力をそれぞれ検出する角度センサ268A,268B,268C,268Dとを有する。
【0042】
第1テープロール211は、上記第1テープ軸駆動モータ212により駆動されるリール部材211aの周りに、第1テープ200Aが巻回されている。同様に、第2テープロール213は、上記第2テープ軸駆動モータ214により駆動されるリール部材213aの周りに、第2テープ200Bが巻回されている。また、基材テープロール215は、リール部材215aが上記基材テープ軸駆動モータ216により駆動されることにより、基材テープ210がリール部材215aの周りに巻回される。同様に、セパレータロール217は、リール部材217aが上記セパレータ軸駆動モータ218により駆動されることにより、セパレータ209がリール部材217aの周りに巻回される。
【0043】
上記エアシリンダ262A〜Dのそれぞれは、ピストン262aと、シリンダ本体262bとを備えており、シリンダ本体262bに内包されたピストン262aが電空レギュレータ265A〜Dからそれぞれ供給される作動ガスによって進退されることにより、ピストン262aに連結された上記テンションアーム267A〜Dを回動支点まわりに回動させ、これによってダンサローラ221,222,223,224の位置を変化させテープ200A,210,200B,209の張力を制御するようになっている。
【0044】
なお進退アクチュエータとして、エアシリンダ262に代えてソレノイドの電磁力を用いた直接駆動や、電動モータ(リニアモータ、パルスモータを含む各種モータ)等を用いてもよい。
【0045】
センサ228は例えば発光部及び受光部を備えたフォトセンサからなる。このセンサ228は、搬送ローラ219A,219Bの下流側において、第1テープ200Aと貼り合わされた第2テープ200Bに向けてセンサ光を照射し、貼り合わされたテープ200A,200Bが通過する際、第2テープ200Bの表面に予め無線タグTgの配置ピッチで設けられている所定のマーキングを検知する。これにより、テープが無線タグTgの配置ピッチ分だけ送られた否かを検出できるようになっている(公知の手法で足りるため詳細説明は省略)。センサ228の検出信号はコントローラ230へ入力される。
【0046】
コントローラ230は、いわゆるマイクロコンピュータであり、詳細な図示を省略するが、中央演算処理装置であるCPUと、ROM及びRAM等から構成されるメモリ276とを有し、このメモリ276のRAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うようになっている。
【0047】
上記構成において、主として搬送ローラ219A,219Bの搬送駆動力により、第1テープ200Aが上記第1テープロール211より繰り出され、ダンサローラ221を経て、貼り合わせローラ225A,225Bへと供給される。同様に、第2テープロール213より繰り出された第2テープ200Bも、ダンサローラ223及びローラ273を経て、貼り合わせローラ225A,225Bへと供給される。そして、貼り合わせローラ225A,225Bの上流側で、タグ挿入器226により無線タグTgを順次第2テープ200Bに取り付けられ、その後、貼り合わせローラ225A,225Bにより第1テープ200Aと無線タグTgが取り付けられた第2テープ200Bとが貼り合わされる。
【0048】
なお、上記タグ取り付けは、等間隔配置の所定の挿入箇所になったら第1テープ200A及び第2テープ200Bの搬送駆動を停止して挿入を行う、いわゆる間欠搬送駆動方式となっている(このときの位置決めはセンサ228の検出信号に応じて制御する)。このとき、この間欠搬送により所定の挿入箇所で第1テープ200A及び第2テープ200Bの搬送駆動を停止したときには、基材テープ210に備えられる無線タグTg(無線タグ回路素子To)が上記書き込み装置274のループアンテナ272の近傍(下流側アクセス位置)に位置するようになっている。
【0049】
このようにして無線タグTgを挿入して貼り合わされたテープは、搬送ローラ219A,219Bの下流側に位置するガイドローラ240A,240Bにおいて、第2テープ200Bに備えられていたセパレータ層200Bdからなるセパレータ209と、それ以外の部分からなる基材テープ210とに分離される。基材テープ210はリール部材215aに巻き取られていき、所定の長さになったらカッタ227によって切断を行う。一方、セパレータ209は、リール部材217aによって巻き取られ回収される。以上の結果、長手方向に複数の無線タグTgが所定の等間隔で順次形成された基材テープ210がリール部材215aに巻回され、基材テープロール215(つまりタグテープロール)が作製される。
【0050】
なお、特に図示しないが、テープ搬送路の適切な位置(書き込み装置274の上流位置など)に、基材テープ210中の第1テープ200Aからカットマーク付きセパレータ層200Ad(後述の図2(a)参照)だけを切断するハーフカッタを備えてもよい。このようにすれば、カットマーク付きセパレータ層200Adのみが切断され、それ以外の層は切断されない(連続された)基材テープ210を作成することができる。この場合、この基材テープ210を用いてタグラベル作成装置で所定長さの無線タグラベルを作成するとき、(タグラベル作成装置側に特にハーフカット手段を設けなくても)長手方向中間部において、上記に対応したセパレータ層のみが切断された(=ハーフカットラインを備えた)無線タグラベルを作成することができる。この結果、作成された無線タグラベルをユーザが用いるとき、セパレータ層を上記ハーフカットラインより容易にはぎ取ることができ、ラベル使用時のユーザの利便性を向上することができる。
【0051】
第1テープ200Aは、図2(a)に示すように、この例では4層の断面構造となっている。すなわち、第1テープロール211の外側に巻かれる側(図2(a)中下側)よりその反対側(図2(a)中上側)へ向かって、適宜の粘着材からなる粘着材層200Aa、PET(ポリエチレンテレフタレート)等から成る色付きのテープ基材層200Ab、適宜の粘着材からなる粘着材層(粘着剤層)200Ac、セパレータ層(剥離材層)200Adの順序で積層され構成されている。なお、このセパレータ層200Adは、最終的にラベル状に完成した無線タグラベルが所定の商品等に貼り付けられる際に、これを剥がすことで粘着材層200Acにより当該商品等に接着できるようにしたものである。
【0052】
無線タグTgは、図2(b)に断面構造を示すように、略シート状のタグ基材160と、このタグ基材160の裏側(図2(b)中下側)に設けられ、情報の送受信を行うタグアンテナ152と、このタグアンテナ152に接続するように情報を更新可能に(書き換え可能rewritableに)記憶するIC回路部151(後述の図6参照)を備えたICチップ保持部材161とを備えている。なお、上記タグアンテナ152及びIC回路部151によって本実施形態の無線タグ回路素子Toが構成されている。
【0053】
第2テープ200Bは、図2(c)に示すように、この例では4層の断面構造となっており、外側に巻かれる側(図2(c)中上側)よりその反対側(図2(c)中下側)へ向かって、適宜の粘着材からなる粘着材層200Ba、PET(ポリエチレンテレフタレート)等から成る色付きのテープ基材層200Bb、適宜の粘着材からなる粘着材層200Bc、セパレータ層200Bdの順序で積層され構成されている。なお、このセパレータ層200Bdは、最終的に上記リール部材217aに巻回され、セパレータロール217として回収される。
【0054】
上記のようにして作成された基材テープ210は、図3に示すように、上記4層構造の第1テープ200Aと4層構造の第2テープ200Bとの間に無線タグTgが挿入配置された後、前述のようにセパレータ層200Bdがリール部材217aで巻き取られて除去されることで、この例では10層構造となっている。すなわち、リール部材215aの外側に巻かれる側(図3中上側)よりその反対側(図3中下側)へ向かって、上記セパレータ層200Ad、粘着材層200Ac、テープ基材層200Ab、粘着材層200Aa、タグ基材160、タグアンテナ152、ICチップ保持部材161、粘着材層200Ba、テープ基材層200Bb、粘着材層200Bcの順序で積層され構成されている。
【0055】
タグテープロール製造装置1のタグチェッカー270及び書き込み装置274は、図4に示すように、ループアンテナ271,272のそれぞれに対して無線タグ回路素子Toにアクセスする(読取り/書込みを行う)ための搬送波を発生させるとともに、上記コントローラ230から入力される制御信号に基づいて上記搬送波を変調する送信回路32i,32rと、無線タグ回路素子Toからループアンテナ271,272を介してそれぞれ受信された応答信号の復調を行い、コントローラ230に出力する受信回路33i,33rとを有している。コントローラ230は、送信回路32i,32rにおける搬送波の変調制御及び受信回路33i,33rで復調した信号の処理を行う。
【0056】
なお、詳細には、図5に示すように、上記タグチェッカー270及び書き込み装置274の送信回路32i,32rはコンデンサ310を介して接地されたループアンテナ271,272の非接地側に接続され、また受信回路33i,33rはループアンテナ271,272の接地側に接続されている。
【0057】
図6に示すように、無線タグ回路素子Toは、上述したようにタグテープロール製造装置1側のタグチェッカー270,274のループアンテナ271,272と非接触で信号の送受信を行う上記タグアンテナ152と、このタグアンテナ152に接続された上記IC回路部151とを有している。
【0058】
IC回路部151は、タグアンテナ152により受信された質問波を整流する整流部153と、この整流部153により整流された質問波のエネルギを蓄積し駆動電源とするための電源部154と、上記タグアンテナ152により受信された質問波からクロック信号を抽出して制御部155に供給するクロック抽出部156と、所定の情報信号を記憶し得るメモリ部157と、上記タグアンテナ152に接続された変復調部158と、上記メモリ部157、クロック抽出部156、及び変復調部158等を介し上記無線タグ回路素子Toの作動を制御するための上記制御部155とを備えている。
【0059】
変復調部158は、タグアンテナ152により受信された上記タグテープロール製造装置1側のタグチェッカー270,274のループアンテナ271,272からの質問波の復調を行い、また、上記制御部155からの返信信号を変調し、タグアンテナ152より応答波(タグIDを含む信号)として送信する。
【0060】
クロック抽出部156は受信した信号からクロック成分を抽出し、受信した信号のクロック成分の周波数に対応したクロックを制御部155に供給する。
【0061】
制御部155は、上記変復調部158により復調された受信信号を解釈し、上記メモリ部157において記憶された情報信号に基づいて返信信号を生成し、この返信信号を上記変復調部158により上記タグアンテナ152から返信する制御等の基本的な制御を実行する。
【0062】
本実施形態では、上記の動作を行うために、図7に示される制御手順がコントローラ230によって実行される。図7において、まずステップS105において、基材テープ210のリール部材215aへの巻回作業が完了したかどうかを判定する。この判定は、例えば上記巻き回し作業を終えた操作者により、図示しない操作手段等を介し巻き回し作業が完了した旨の操作信号が入力されたかどうかを判定することにより行われる。巻き回し作業が完了した場合には判定が満たされて次のステップS110に移る。
【0063】
ステップS110では、ある一つの基材テープロール215の作成においてタグ挿入器226による最初の無線タグTgの取り付けから計数する基材テープ210のピッチ間隔の搬送回数を示すピッチ搬送位置番号jを1に、基材テープ210の搬送経路上における無線タグTgの取り付け位置と後段の書き込み位置との間のピッチ間隔数N1(後に詳述する)を10に、一つの基材テープロール215に取り付ける通常用途の無線タグTgnの個数N2を40に、それぞれ初期設定する。なお、この例のタグテープロール製造装置1は、製造しようとする一つの基材テープロール215に上記通常用途の無線タグTgnを40個(=N2)取り付け、さらにその直後に管理用の無線タグ(第1無線タグ回路素子、第2無線タグ回路素子)Tgmを1個取り付けるものとなっている。言い換えれば41個の無線タグを一単位(所定数)として、基材テープ210のロール巻き取り方向(巻回方向)最後尾に管理用の無線タグTgmを取り付ける。これら通常用途無線タグTmnと管理用無線タグTgmとを総称して、単に無線タグTgという。
【0064】
次のステップS115では、図示しない操作手段等を介し入力された基材テープ210の作成開始の旨の操作信号に応じ、テープ駆動を開始する。すなわち、搬送ローラ駆動回路235に制御信号を出力し、搬送ローラ駆動モータ220の駆動力によって第1テープ200A、第2テープ200Bを第1テープロール211及び第2テープロール213から繰り出し駆動させる。なおこのとき併せて、第1及び第2テープ駆動回路231,232と基材テープ駆動回路233及びセパレータ駆動回路234にも制御信号が出力され、第1及び第2テープ軸駆動モータ212,214と基材テープ軸駆動モータ216及びセパレータ軸駆動モータ218も駆動される。これにより、第1テープロール211から第1テープ200Aが繰り出されるとともに第2テープロール213から第2テープ200Bが繰り出されて、貼り合わせローラ225A,225Bで貼り合わされて一体化され、搬送ローラ219A,219B側へと搬送される。
【0065】
なお、本フロー中には特に記載していないが、上記ステップS115でテープ駆動を開始する際には、第1及び第2テープ軸駆動モータ212,214と基材テープ軸駆動モータ216及びセパレータ軸駆動モータ218のモータ速度を制御すると共に、エアシリンダ262A〜Dでテンションアーム267A〜Dを回動させ、角度センサ268A〜Dで検出したテンションアーム267A〜Dの角度から算出したテープ搬送時における各テープ200A,200B,209,210の張力が適宜の値となるように張力制御(以下適宜、「駆動時テープ張力制御」と記載する)を行う。なお、この駆動時テープ張力制御は、テープ駆動中において常時行われるようになっている。
【0066】
次のステップS120では、リール部材215aで巻き取られていく基材テープ210が、所定の巻取終了位置に達したかどうかを判定する。具体的には、N2個(この例では40個)の通常用途無線タグTgnと1個の管理用無線タグTgmとの取り付けの終了後さらに基材テープ210が巻き取られることで、管理用無線タグTgmのテープ搬送方向上流側に設定されたテープ切断位置がカッタ227の配置位置まで到達したかどうかを判定する。通常の基材テープロール215の巻取開始直後はこの判定が満たされないため、次のステップS125に移る。
【0067】
ステップS125では、貼り合わされた第1テープ200Aと第2テープ200Bが無線タグTgの所定の配設ピッチだけ送られたか否かを、センサ228からの検出信号に基づき判定する。これは言い換えれば、ある搬送位置によって1つの無線タグTgが挿入(後述のステップS145参照)された後、さらなるテープの搬送によって次の無線タグTgを挿入されるべき所定の搬送位置になったかどうかを判定することである。判定が満たされるまでこのステップS125を繰り返し、判定が満たされたらステップS130に移る。
【0068】
ステップS130では、搬送ローラ駆動回路235に再び制御信号を出力し、搬送ローラ駆動モータ220の駆動を停止させて第1テープロール211及び第2テープロール213からの第1テープ200A、第2テープ200Bの繰り出し駆動を停止させる。なおこのとき、第1及び第2テープ軸駆動モータ212,214と基材テープ軸駆動モータ216及びセパレータ軸駆動モータ218については、上記駆動時テープ張力制御によって自動的に駆動停止することとなる。
【0069】
なお、本フロー中には特に記載していないが、上記ステップS130でテープ駆動を停止する際には、このようにしてテープ駆動が停止した際にテープの位置ずれが生じないようにするために、供給側である第1テープ200A及び第2テープ200Bの張力が、巻取側である基材テープ210とセパレータ209の張力と略等しくなるように張力制御(以下適宜、「停止時テープ張力制御」と記載する)を行う。
【0070】
次のステップS135では、基材テープロール215の上記巻き取り方向最後尾に取り付けた管理用無線タグTgmが、後段の書き込み装置274による書き込み位置に到達したか否かを判定する。具体的には、ピッチ搬送位置番号jが、ピッチ間隔数N1と通常用途無線タグTgnの取り付け個数N2と管理用無線タグTgmの取り付け個数である1の合計値以上となっているか否かを判定する。
【0071】
すなわち、基材テープ210の搬送経路上において、タグ挿入器226による無線タグTgの取り付け位置から後段の書き込み装置274による書き込み位置までの離間距離は、無線タグTgの取り付けピッチ間隔の整数倍となっており、この例では10倍(=ピッチ間隔数N1)となっている。つまり、タグ挿入器226により最初の無線タグTgが取り付けられてからピッチ搬送を10回行った際(ピッチ搬送位置番号j=ピッチ間隔数N1)に初めて最初の無線タグTgが書き込み装置274による書き込み位置に到達するようになっている。そしてさらにピッチ搬送を(N2+1)回行った時点で、基材テープロールの上記最後尾に取り付けた管理用無線タグTgmが後段の書き込み装置274による書き込み位置に到達したことになる。
【0072】
ピッチ搬送位置番号jが、ピッチ間隔数N1と通常用途無線タグTgnの取り付け個数N2と管理用無線タグTgmの取り付け個数である1の合計値未満(j<N1+N2+1)である場合には、判定が満たされず、まだ管理用無線タグTgmが書き込み位置に到達していないと見なされ、次のステップS140に移る。
【0073】
ステップS140では、1つの基材テープロール215の作成に必要な無線タグTgn,Tgmが全て取り付けられたか否かを判定する。具体的には、無線タグTgn,Tgmの取り付けとともに増加するピッチ搬送位置番号jが、通常用途無線タグTgnの取り付け個数N2と管理用無線タグTgmの取り付け個数である1の合計値を超えたか否かを判定する。
【0074】
ピッチ搬送位置番号jが、通常用途無線タグTgnの取り付け個数N2と管理用無線タグTgmの取り付け個数である1の合計値未満(j<N2+1)である場合には、判定が満たされず、すなわちまだ無線タグTgn,Tgmを取り付ける必要があると見なされて次のステップS200に移る。
【0075】
ステップS200では、前段のタグチェッカー270によってタグ感度が正常な無線タグTgを選別するタグ選別処理(後述の図8のフローを参照)を行う。
【0076】
ステップS200の後は、ステップS145へ移る。ステップS145では、上述したように所定のタグ挿入位置においてテープ駆動が停止した状態で、タグ挿入器226に制御信号を出力し、上記正常であると判定された無線タグ回路素子Toを備えた無線タグTg(j番目の無線タグTg)を第2テープ200Bに取り付ける。なおこのとき、上記のようにタグ感度が正常であれば自動的にその無線タグTgを取り付ける(挿入する)のではなく、挿入を行うかどうかを操作者に確認する表示を行い、これに対応した指示入力が操作者からなされた場合にのみ無線タグTgの挿入を行うようにしてもよい。
【0077】
次のステップS150では、タグ挿入器226により取り付けられた無線タグTgのナンバー(順番)を表す上記ピッチ搬送位置番号jに1を加算し、次のステップ155へ移る。
【0078】
ステップS155では、上記ステップS115と同様、搬送ローラ駆動回路235に制御信号を出力し、搬送ローラ駆動モータ220の駆動力によって第1テープ200A、第2テープ200Bの搬送駆動を再開する。なおこの場合にも、上記ステップS115の場合と同様にして、テープ搬送時において各テープ200A,200B,209,210の張力を調整する駆動時テープ張力制御を行う。そしてステップS120に戻り、同様の手順を繰り返す。
【0079】
上記のステップS120〜ステップS155を繰り返すことで、基材テープ210に最初の無線タグTgが取り付けられた後、ピッチ搬送と無線タグTgの取り付けを何回繰り返したかを表す上記ピッチ搬送位置番号jの値も増加していく。そしてこのピッチ搬送位置番号jがN1+N2+1に達すると、つまり基材テープロールの上記最後尾に取り付けられた管理用無線タグTgm(この例の41個目の無線タグTg)が後段の書き込み装置274による書き込み位置に到達すると、先のステップS135の判定が満たされ、ステップS300へ移る。
【0080】
ステップS300では、書き込み装置274によって基材テープロールの上記最後尾に取り付けられた管理用無線タグTgm(この例の41番目に取り付けられた無線タグTg)の無線タグ回路素子Toに対し、当該基材テープロールを収納する無線タグカートリッジを特定可能なカートリッジ関連情報(言いかえれば、基材テープロール215を特定可能なタグテープロール関連情報)を書き込んで記憶保持させる。カートリッジ関連情報書き込み処理に付いては後述する。ステップS300の処理後にはステップS150へ移る。
【0081】
また一方、上記ステップS140の判定において、ピッチ搬送位置番号jが通常用途無線タグTgnの取り付け個数N2と管理用無線タグTgmの取り付け個数である1の合計値を超えた場合、つまり一つの基材テープロールの作成に必要な無線タグTgn,Tgmが全て取り付けられた場合、判定が満たされ、すなわちステップS200及びステップS145の手順による無線タグTgn,Tgmの取り付けが必要ないとみなされてそのままステップS150へ移る。
【0082】
上記のようにしてステップS120〜ステップS155を繰り返す間に、リール部材215aで巻き取られていく基材テープ210が、所定の巻取終了位置に達したら、先のステップS120の判定が満たされ、ステップS160に移る。
【0083】
ステップS160では、上記ステップS130と同様、搬送ローラ駆動回路235に再び制御信号を出力し、搬送ローラ駆動モータ220の駆動を停止させて第1テープロール211及び第2テープロール213からの第1テープ200A、第2テープ200Bの繰り出し駆動を停止させる。なおこのとき、上記ステップS130の場合と同様に、テープ駆動が停止した際における供給側である第1テープ200A及び第2テープ200Bの張力が巻取側である基材テープ210とセパレータ209の張力と略等しくなるように停止時張力制御を行う。
【0084】
その後、ステップS165で、ソレノイド駆動回路237に制御信号を出力してソレノイド236を駆動し、カッタ227を用いて基材テープ210を切断(分断)する。これにより、所定長さの基材テープ210が巻回された基材テープロール215、つまりタグテープロールが完成する。
【0085】
ステップS200のタグ選別処理の詳細手順を図8に示す。なお、以下において、タグ挿入器226及びタグチェッカー270は、通常用途無線タグTgnと管理用無線タグTgmの両方を取り扱い(これらはハードウェア的には同一であり、取り付ける順番と書き込み装置274によって書き込まれる情報が違うだけであるため)、それら無線タグTgn,Tgmを総称して単に無線タグTという。
【0086】
図8において、まずステップS201において、タグチェッカー270によって、タグ挿入器226により取り付けられる無線タグTの無線タグ回路素子Toの読み取り時及び書き込み時におけるタグ感度を測定する。この無線タグ回路素子Toのタグ感度の測定は次のようにして行われる。すなわち、まずタグチェッカー270側の送信回路32iに対して、無線タグ回路素子Toに対するアクセスパワー(出力電力量)値を段階的に増加させつつ、問いかけ信号を第1ループアンテナ271から読み取り対象の無線タグ回路素子Toに送信し、返信を促す。その結果、第1ループアンテナ271及びタグチェッカー270側の受信回路33iを介して無線タグ回路素子Toから返信があったときのアクセスパワーに基づきタグ感度を算出する。このようにして、読み取り時におけるタグ感度を算出する。
【0087】
次に、書き込み時におけるタグ感度を測定する。上記と同様にしてタグチェッカー270側の送信回路32iに対し、無線タグ回路素子Toに対するアクセスパワー(出力電力量)値を段階的に増加させつつ、第1ループアンテナ271から「Write」コマンド信号を送信して情報の書き込みを行うと共にその書き込み内容を読み取る「Read」コマンド信号を送信して返信を促す。その結果、上記「Read」コマンド信号に対応して無線タグ回路素子Toから返信があったときのアクセスパワーに基づきタグ感度を算出する。このようにして、書き込み時におけるタグ感度を算出する。
【0088】
次のステップS202では、上記ステップS201で算出したタグ感度が所定の正常な範囲値内であるかどうかを判定する。タグ感度が正常な範囲値内でない場合には、判定が満たされずにステップS203に移る。ステップS203では、タグ挿入器226に制御信号を出力して、上記正常でないと判定された無線タグ回路素子Toを備えた無線タグTの次の無線タグTの取り付け準備を行わせる。そして、先のステップS201に戻り、再びタグ感度測定を行う。なお、上記正常でないと判定された無線タグTについては例えばタグ挿入器226の外部に自動的に(又は操作者の操作により)排出され、第2テープ200Bに取り付けられないようになっている。一方、タグ感度が所定の正常な範囲値内である場合には、ステップS202の判定が満たされてこのルーチンを終了する。
【0089】
ステップS300の詳細手順を図9に示す。なお、上述したように、基材テープロールの上記最後尾に取り付けられる管理用無線タグTgmだけに対し、このステップS300の手順が行われる。
【0090】
図9において、まずステップS305で、書き込みたいカートリッジ関連情報(後に詳述する)を含む「Write」コマンド信号を生成して送信回路32r及びループアンテナ272を介して書き込み対象の無線タグ回路素子Toに送信し、無線タグ回路素子Toのメモリ部157に情報を書き込む。
【0091】
その後、ステップS310において、メモリ部157の内容を読み取る「Read」コマンド信号を生成して送信回路32r及びアンテナ272を介して書き込み対象の無線タグ回路素子Toに送信し、返信を促す。
【0092】
そして、ステップS315に移り、上記「Read」コマンド信号に対応して上記無線タグ回路素子Toから送信(返信)されたリプライ(応答)信号をアンテナ272を介して受信し、受信回路33rを介し取り込む。
【0093】
次に、ステップS320において、上記ステップS315の受信結果に基づき、当該無線タグ回路素子Toのメモリ部157内に記憶された情報を確認し、前述の送信したカートリッジ関連情報がメモリ部157に正常に記憶されたか否かを判定する。
【0094】
カートリッジ関連情報が正常に記憶されていない場合はステップS320の判定が満たされず、ステップS325に移ってNに1を加え、さらにステップS330においてN=5かどうかが判定される。N≦4の場合は判定が満たされずステップS305に戻り同様の手順を繰り返す。N=5の場合はステップS335に移る。ステップS335では、エラー表示信号を所定の表示手段(図示省略)に出力し、対応する書き込み失敗(エラー)表示を行わせ、このルーチンを終了する。このように、情報書き込みが不調でも5回までは再試行が行われることにより、書き込み信頼性を確保して、万全を期すことができる。
【0095】
一方、カートリッジ関連情報が正常に記憶されていた場合はステップS320の判定が満たされ、ステップS340に移る。ステップS340では、以後の情報書き込みを禁止するためのロックコマンド信号を生成して送信回路32rを介して情報書き込み対象の無線タグ回路素子Toに送信し、当該無線タグ回路素子Toへの新たな情報の書き込みが禁止される。これにより、書き込み対象とする無線タグ回路素子Toへのカートリッジ関連情報の書き込みが完了し、このルーチンを終了する。
【0096】
なお、上記では特に説明しなかったが、通常、最初に基材テープロールの製造作業を開始する際には、タグ挿入器226による無線タグTの取り付け位置からリール部材215aによる基材テープ210の巻取り位置までには無線タグTが取り付けられない余白部分(この例では10個の無線タグT取り付け分の長さである)が存在する。この余白部分については、その余白部分が終了する位置(最初に無線タグTが取り付けられた位置のややテープ搬送方向下流側位置)がカッタ227のところにきたとき、カッタ227で切断することにより、切除されるようになっている。その後、上記余白部分を切除された基材テープ210がリール部材215aに巻き回されると、上記図7のステップS105の判定が満たされてステップS110以降の手順により基材テープロール215の製造が開始され、ステップS120〜ステップS155を繰り返す。
【0097】
さて、本実施形態の最も大きな特徴は、上記したように、1つの基材テープロール215の作成において搬送される基材テープ210の上記最後尾に取り付けた管理用無線タグTgmの無線タグ回路素子ToのIC回路部151に対し、上記ステップS300の制御手順による書き込み装置274での書き込みによって、当該基材テープロールを収納する無線タグカートリッジを特定可能なカートリッジ関連情報を記憶保持させるようにしたことである。すなわち、上述のようにして40個の通常用途の無線タグTgnと管理用の無線タグTgmを含む基材テープロール215が作成される毎に、各基材テープロール215が収納される無線タグカートリッジが予め対応づけられており、その無線タグカートリッジに係わる上記カートリッジ関連情報が上記管理用無線タグTgmに(カートリッジ収納に先んじて)書き込まれるのである。
【0098】
管理用無線タグTgmの無線タグ回路素子Toに記憶保持させるカートリッジ関連情報の例を図10に示す。図示のように、無線タグカートリッジの個体を一意に特定可能なカートリッジシリアル番号、無線タグカートリッジの製造単位ごとの製造時に付与される製造ロット番号、等のカートリッジ個体識別情報や、基材テープロールを上記タグテープロール製造装置1で製造したときの製造工場名やそのタグテープロール製造装置1の識別番号・仕様情報、又は当該基材テープロールを収納する無線タグカートリッジを製造したときの製造工場名やカートリッジ製造装置(特に図示せず)の識別番号・仕様情報、等の製造工場情報や、当該基材テープロールの製造年月日や無線タグカートリッジの製造年月日、等の製造年月日情報や、無線タグラベルを作成するタグラベル作成装置のうちどの機種に対応するのか、あるいはどの国や地域向けの仕様の機種に対応するか、若しくは特定の納入先顧客向けの仕様の機種に対応しているものであるのか、等の仕向地情報等がある。あるいは基材テープ210のテープ幅、インク色、ベース色、布テープであるか、強粘着タイプであるか、等のテープ種別情報も考えられる。これら種々のうち、少なくとも1つが、上記カートリッジ関連情報として管理用無線タグTgmに書き込まれる。
【0099】
以上のようなカートリッジ関連情報を記憶する管理用無線タグTgmを備えた基材テープロールは、上述したように、無線タグカートリッジに収納された形態で保管・流通される。そしてこの無線タグカートリッジが、タグラベル作成装置のカートリッジホルダに装着されることで基材テープ210がカートリッジ外に繰り出され、無線タグラベルが作成される。このような無線タグカートリッジの外観の一例を図11に示し、無線タグカートリッジの内部構造の一例を図12に示す。
【0100】
図11及び図12において、無線タグカートリッジ100は、全体が略直方体形状の筐体100Aを有しており、その一箇所の角部には内蔵する基材テープロール(図12参照)から繰り出した基材テープ210を排出するテープ排出口100Aaが形成されている。筐体100A内には、帯状の上記基材テープ210が巻回された基材テープロール102(=タグテープロール;上記の基材テープロール215と同等のものである。なお、本来は渦巻き状であるが簡略化して同心円で図示している)と、上記基材テープ210と略同じ幅である透明なカバーフィルム(被印字テープ)103が巻回された被印字テープロール104と、インクリボン105(熱転写リボン、但しカバーフィルムが感熱テープの場合は不要)を繰り出すリボン供給側ロール111と、印字後のリボン105を巻取るリボン巻取りローラ106と、上記基材テープ210と上記カバーフィルム103とを押圧し接着させ印字済タグラベル用テープ110としつつ矢印Aで示す方向にテープ送りをする(=テープ送りローラとしても機能する)圧着ローラ107とが配置されている。
【0101】
被印字テープロール104は、リール部材104aの周りに上記カバーフィルム103を巻回している。被印字テープロール104より繰り出されるカバーフィルム103は、その裏面側(すなわち上記基材テープ210と接着される側)に配置されたリボン供給側ロール111及びリボン巻取りローラ106で駆動されるリボン105が、タグラベル作成装置(全体の図示は省略)の印字ヘッド10に押圧されることで当該カバーフィルム103の裏面に接触させられるようになっている。
【0102】
リボン巻取りローラ106及び圧着ローラ107はそれぞれ、タグラベル作成装置側に設けた(例えばパルスモータである)カートリッジ用モータ(図示せず)の駆動力が上記リボン巻取りローラ駆動軸11及び上記テープ送りローラ駆動軸12に伝達されることによって回転駆動される。
【0103】
上記構成の無線タグカートリッジ100において、上記基材テープロール102より繰り出された基材テープ210は、圧着ローラ107へと供給される。一方、被印字テープロール104より繰り出されるカバーフィルム103は、その裏面側(すなわち上記基材テープ210と接着される側)に配置されたリボン供給側ロール111及びリボン巻取りローラ106で駆動されるインクリボン105が、上記印字ヘッド10に押圧されることで当該カバーフィルム103の裏面に接触させられるようになっている。
【0104】
そして、無線タグカートリッジ100がラベル作成装置のカートリッジホルダ部に装着されロールホルダ(図示せず)が離反位置から接触位置に移動されると、カバーフィルム103及びインクリボン105が印字ヘッド10とプラテンローラ108との間に狭持されると共に、基材テープ210及びカバーフィルム103が圧着ローラ107とサブローラ109との間に狭持される。そして、カートリッジ用モータ23の駆動力によってリボン巻取りローラ106及び圧着ローラ107が矢印B及び矢印Dで示す方向にそれぞれ同期して回転駆動される。このとき、前述のテープ送りローラ駆動軸12と上記サブローラ109及びプラテンローラ108はギヤ(図示せず)にて連結されており、テープ送りローラ駆動軸12の駆動に伴い圧着ローラ107、サブローラ109、及びプラテンローラ108が回転し、基材テープロール102から基材テープ210が繰り出され、上述のように圧着ローラ107へ供給される。一方、被印字テープロール104からはカバーフィルム103が繰り出されると共に、上記印刷駆動回路25により印字ヘッド10の複数の発熱素子が通電される。この結果、カバーフィルム103の裏面に印字Rが印刷される。そして、上記基材テープ210と上記印刷が終了したカバーフィルム103とが上記圧着ローラ107及びサブローラ109により接着されて一体化され、印字済タグラベル用テープ110として形成され、矢印Cで示す方向に無線タグカートリッジ100外へと搬出される。なお、カバーフィルム103への印字が終了したインクリボン105は、リボン巻取りローラ駆動軸11の駆動によりリボン巻取りローラ106に巻取られる。
【0105】
そして、無線タグカートリッジ100外へ搬出された印字済みタグラベル用テープ110に備えられた上記無線タグ回路素子Toに対しタグラベル作成装置側に設けたアンテナ(図示せず)から無線タグ回路素子ToのIC回路部151に対し無線通信を介して情報の送受信が行われて、無線タグラベルが作成される。
【0106】
上記のように、カバーフィルム103と基材テープ210との貼り合わせ構造(いわゆるラミネートタイプ)で無線タグラベルを作成することにより、カバーフィルム103の貼り付け後は印字面が裏面側となって表面側に露出しないので、汚れたりかすれたりすることのない、美観や耐久性に優れた印字を実現することができる。
【0107】
上記構成の本実施形態の無線タグカートリッジ100は、その最大の特徴として、内蔵する第1テープロール102の繰り出し方向先頭位置(つまりロール製造時における前述の巻回方向に沿った最後尾の位置)にある管理用無線タグTgm及びそれを含む周辺の所定領域の基材テープ210が上記テープ排出口100Aaから筐体100Aの外部に露出している(図11参照)。言い換えれば、前述のタグテープロール製造装置1において40個の通常用途の無線タグTgnと1つの管理用の無線タグTgmを含む基材テープロール215が作成されたら、予め基材テープ210を第1テープロール102から若干引き出してテープ排出口100Aaから筐体100Aの外部に露出させた状態にする(管理用無線タグTgmは繰り出し方向先頭にあるので、容易にテープを引き出し露出させることができる)。そして、この状態で基材テープロール215を無線タグカートリッジ100に収納するのである。
【0108】
これにより、当該無線タグカートリッジ100を取り扱う際には、この筐体100Aの外部に露出して配置された管理用無線タグTgmに記憶保持されたカートリッジ関連情報を別途無線タグ通信装置(リーダ)を用いて容易に読み取ることができる。なお、図示する例のように、管理用無線タグTgmの配置領域における基材テープ210の表面に各種の情報を印字して視覚的に確認できるようにしてもよい。この印字する情報は上記カートリッジ関連情報の内容に限られず、例えば図示する例のように、内蔵の基材テープロールが初期的に備える通常用途無線タグTgnの個数(この例の40個)に対応した無線タグラベルの作成可能枚数(図示する例の「40枚」)などの情報を印字してもよい。
【0109】
そして通常用途無線タグTgnを備えた基材テープ210を用いて無線タグラベルを作成する際には、基材テープロールを収納した上記無線タグカートリッジ100を用い、その無線タグカートリッジ100をタグラベル作成装置に装着して(前述のようにして)ラベル作成を行う。その際にはタグラベル作成装置へ装着する前に管理用無線タグTgmに対応する領域の基材テープ210を切断して排除する(さらにこの切断した管理用無線タグTgmを含む部分を筐体100Aに貼付する)ようにしてもよい。
【0110】
以上説明したように、本実施形態の無線タグカートリッジ100においては、筐体100A外部に露出した管理用無線タグTmの無線タグ回路素子ToのIC回路部151に、カートリッジ関連情報が記憶されている。これにより、(無線タグカートリッジ100内部の各無線タグ回路素子Toと情報送受信を行わなくても)露出した管理用無線タグTgmに対し、無線タグ通信装置で読み取りを行いカートリッジ関連情報を取得することで、(例えば上記製造情報や仕向地情報等により)当該無線タグカートリッジ100を特定し、在庫管理や流通管理など種々の管理を容易に行うことができる。
【0111】
すなわち、無線タグカートリッジ100の内部にあった管理用無線タグTgmを活用し、筐体100A外に露出させて情報読み取りを行わせて無線タグカートリッジ100の管理を行う。したがって、無線タグカートリッジ100とは別個に用意した無線タグ回路素子Toにカートリッジ関連情報を書き込みこれを対応する無線タグカートリッジ100に取り付ける場合のような取り付け間違いの発生は確実に防止される。この結果、無線タグカートリッジ100と管理用無線タグTgmの無線タグ回路素子Toとの一対一の対応関係が乱れることなく確実に保証されるので、無線タグカートリッジ100への管理性を向上することができる。
【0112】
なお、本発明においては、作成する無線タグラベルがこのラミネートタイプに限られるものではなく、例えば基材テープの表面に直接印字して貼り合わせを行わないいわゆるノンラミネートタイプに適用してもよい。そのようなノンラミネートタイプの無線タグカートリッジ100′の内部構造の一例を図13に示す。この図13は、上記図12に対応する図である。
【0113】
図13に示すノンラミネートタイプと上記図12に示すラミネートタイプとの違いは、基材テープロール102′(タグテープロール)から繰り出した基材テープ210′(タグテープ)の表面に対し印字ヘッド10の押圧によりリボン105が直接接触し印字を行う点にある。
【0114】
そしてこのような印字を可能とするために、使用する基材テープ210′では粘着材層200Bc(図3参照)が省略され、同様に第2テープ200Bにおいても粘着材層200Bc(図2参照)が省略される。また、図13に示す構造では、基材テープロールの内周側(図13中における基材テープ210′の左側又は上側)の表面が印字面となるため、上記実施形態の基材テープロール102における基材テープ210と表側裏側の関係が逆となる。その他の構成については、上記図12に示された実施形態と同等であり、対応する符号を付して説明を省略する。本変形例においても、上記同様の効果を得る。
【0115】
また、図14に示すように、基材テープのうち、筐体100A外に露出させた管理用無線タグTgmを含む所定領域(無線タグラベル1枚分の領域)を、それ以外の領域から分離し、筐体100Aの表面(外周)に取り付けるようにしてもよい。これにより、筐体100A内部に収納された基材テープ210とは完全に独立した形で(例えば図示する管理用無線タグラベルTmとして)、カートリッジ関連情報の記録部を構築することができる。この結果、さらに容易に無線タグ通信装置でカートリッジ関連情報を取得することができる。
【0116】
また、この場合には特に、もともと作成後の無線タグラベルの貼り付け用に基材テープ210に設けられていた粘着材層200Ac(図3参照)を活用して、貼り付けを行う。これにより、管理用無線タグTgmを含む所定領域をそれ以外の領域から分離するだけで、確実に管理用無線タグラベルTmとして筐体100A表面に取り付けることができる。
【0117】
なお、上述したタグラベル作成装置でのラベル作成作業において、印字及び無線タグ回路素子Toへのアクセス(読み取り又は書き込み)の終了したテープをカッタで切断してタグラベルを作成したが、これに限られない。すなわち、ラベルに対応した所定の大きさに予め分離されたラベル台紙(いわゆるダイカットラベル)がロールから繰り出されるテープ上に連続配置されているような場合には、カッタで切断しなくても、テープがタグラベル作成装置の排出口から排出されてきた後にラベル台紙(アクセス済みの無線タグ回路素子Toが備えられかつ対応する印字がなされたもの)のみをテープから剥がし、無線タグラベルを作成しても良い。
【0118】
また、無線タグ回路素子ToのIC回路部151から無線タグ情報の読み出し又は書き込みを行うと共に、印字ヘッド10によってその無線タグ回路素子Toを識別するための印刷を行うものにも限られない。この印刷は必ずしも行われなくともよく、無線タグ情報の読み出し又は書き込みのみを行うものに対し本発明を適用することもできる。
【0119】
なお、以上において、図1、図4、図6等の各図中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
【0120】
また、図7、図8、図9等に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0121】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0122】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明の一実施形態の無線タグカートリッジに収納するタグテープロールを製造するタグテープロール製造装置の全体概略構造を表す概念図である。全体概略構造を表す概念図である。
【図2】第1テープの詳細断面構造を表す図1中P−P断面による横断面図、無線タグの詳細断面構造を表す図1中Q−Q断面による横断面図、及び、第2テープの詳細断面構造を表す図1中R−R断面による横断面図である。
【図3】タグ集合体製造装置により作成された基材テープの詳細断面構造を表す図1中S−S断面による横断面図である。
【図4】タグテープ製造装置の機能のうち、無線タグ回路素子へのアクセス(書込み又は読取り)機能に関する機能的構成を表す機能ブロック図である。
【図5】図4に示したタグチェッカー及び書き込み装置の送信回路、受信回路とループアンテナとの接続部分の回路構成を簡略的に表す回路図である。
【図6】無線タグ回路素子の機能的構成を表す機能ブロック図である。
【図7】図1のタグテープ製造装置に備えられるコントローラで実行される制御手順を表すフローチャートである。
【図8】図7におけるステップS200のタグ選別処理の詳細手順を表すフローチャートである。
【図9】図7におけるステップS300のカートリッジ関連情報書き込み処理の詳細手順を表すフローチャートである。
【図10】図9のステップS300での書き込み処理によって無線タグ回路素子に記憶保持させる、カートリッジ関連情報の例のいくつかを示した表である。
【図11】無線タグカートリッジの外観の一例を表す斜視図である。
【図12】タグラベル作成装置に備えられる無線タグカートリッジの内部構造の一例を示す説明図である。
【図13】ノンラミネートタイプに適用される無線タグカートリッジの変形例内部構造を表す説明図である。
【図14】無線タグカートリッジの他の変形例の外観を表す斜視図である。
【符号の説明】
【0124】
1 タグテープロール製造装置
100 カートリッジ(無線タグカートリッジ)
100A 筐体
103 カバーフィルム(被印字テープ)
104 第2ロール(被印字テープロール)
151 IC回路部
152 タグアンテナ
200Ac 粘着材層(粘着剤層)
210 基材テープ(タグテープ)
215 基材テープロール(タグテープロール)
215a リール部材(軸心)
230 コントローラ
270 タグチェッカー
271 第1ループアンテナ
272 第2ループアンテナ
274 書き込み装置(書き込み手段)
Tgn 通常用途無線タグ
Tgm 管理用無線タグ
To 無線タグ回路素子(第1無線タグ回路素子、第2無線タグ回路素子)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を記憶するIC回路部と情報の送受信を行うタグアンテナとをそれぞれ備えた複数の無線タグ回路素子を配置したタグテープと、
前記タグテープを繰り出し可能に内部に収納するための筐体と
を有する無線タグカートリッジであって、
前記複数の無線タグ回路素子のうち前記繰り出し方向に沿って先頭に位置する第1無線タグ回路素子の前記IC回路部に、前記無線タグカートリッジを特定可能なカートリッジ関連情報を記憶させた
ことを特徴とする無線タグカートリッジ。
【請求項2】
請求項1記載の無線タグカートリッジにおいて、
前記筐体は、
前記タグテープをテープ長手方向に直交する軸心のまわりに巻回したタグテープロールを収納しており、前記タグテープロールの回転とともに前記複数の無線タグ回路素子を順次繰り出し可能に構成されている
ことを特徴とする無線タグカートリッジ。
【請求項3】
請求項2記載の無線タグカートリッジにおいて、
前記筐体は、
前記タグテープに貼り合わされる被印字テープをテープ長手方向に直交する軸心のまわりに巻回した被印字テープロールを収納しており、前記被印字テープロールの回転とともに前記被印字テープを前記タグテープに貼り合わせて繰り出し可能に構成されている
ことを特徴とする無線タグカートリッジ。
【請求項4】
請求項2又は請求項3記載の無線タグカートリッジにおいて、
前記第1無線タグ回路素子は、
前記無線タグカートリッジの個体識別情報、テープ種別情報、製造工場情報、製造年月日、及び仕向地情報のうち、少なくとも1つを前記IC回路部に記憶している
ことを特徴とする無線タグカートリッジ。
【請求項5】
請求項4記載の無線タグカートリッジにおいて、
前記タグテープのうち、前記第1無線タグ回路素子を含む所定領域を前記筐体外部に露出させ、それ以外の領域を前記筐体内部に収納した
ことを特徴とする無線タグカートリッジ。
【請求項6】
請求項4記載の無線タグカートリッジにおいて、
前記タグテープのうち、前記第1無線タグ回路素子を含む所定領域を、それ以外の領域から分離し、前記筐体に取り付けた
ことを特徴とする無線タグカートリッジ。
【請求項7】
請求項6記載の無線タグカートリッジにおいて、
前記タグテープは、
貼り付け対象に貼り付けるための粘着剤層を備えており、
前記第1無線タグ回路素子を含む所定領域を、前記粘着剤層を介し前記筐体の表面に貼り付けた
ことを特徴とする無線タグカートリッジ。
【請求項8】
情報を記憶するIC回路部と情報の送受信を行うタグアンテナとをそれぞれ備えた所定数の無線タグ回路素子を配置したタグテープを、テープ長手方向に直交する軸心のまわりに巻回して、タグテープロールを製造するタグテープロール製造装置であって、
前記所定数の無線タグ回路素子のうち前記巻回方向に沿って最後尾に位置する第2無線タグ回路素子の前記IC回路部に、前記タグテープロールを特定可能なタグテープロール関連情報を無線通信を介し書き込む書き込み手段を有する
ことを特徴とするタグテープロール製造装置。
【請求項9】
請求項8記載のタグテープロール製造装置において、
前記書き込み手段は、
前記タグテープロール関連情報として、当該タグテープロールを収納配置する無線タグカートリッジを特定可能なカートリッジ関連情報を、前記第2無線タグ回路素子の前記IC回路部に書き込む
ことを特徴とするタグテープロール製造装置。
【請求項10】
請求項9記載のタグテープロール製造装置において、
前記書き込み手段は、
前記カートリッジ関連情報として、前記無線タグカートリッジの個体識別情報、テープ種別情報、製造工場情報、製造年月日、及び仕向地情報のうち、少なくとも1つを前記第2無線タグ回路素子の前記IC回路部に書き込む
ことを特徴とするタグテープロール製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−15461(P2010−15461A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−176137(P2008−176137)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】