説明

無線タグ認識装置及び商品販売データ処理装置

【課題】タグ認識業務の信頼性を高める。
【解決手段】データを読取ることができた食器用無線タグ6aの数量Bがトレイ5に実際に載せられた食器4の数つまりはメニュー品目の数Aと一致した場合に限り、客が飲食を希望したメニュー品目の認識処理が確定され、当該メニュー品目のメニューデータに基づいて商品販売データ処理が実行され、データを読取れなかった食器用無線タグ6aが付されている食器4がトレイ5上に存在する場合には、そのトレイ5に載せられた全てのメニュー品目の商品販売データ処理が実行されないので、信頼性を向上させることができる。CCDカメラ131を用いてトレイ5を撮影し、その画像データを処理して食器4の数を計数することによって、トレイ5に載せられている商品の数を得るようにし、トレイ5に載せられているメニュー品目の数を数える必要がないのでセルフ会計が可能となり、人件費を削減できる効果も奏する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線タグとの非接触通信により当該タグに記憶された情報を認識する無線タグ認識装置及び無線タグに記憶された情報に基づいて商品販売データを処理する商品販売データ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電波を利用した非接触式の物品認識システムとして、無線タグを用いたシステムが開発されている。このシステムは、基本的には、認識対象の物品に1つずつ付される無線タグと、この無線タグに記憶された情報を非接触通信により読取る無線タグリーダと、この無線タグリーダで読取られた情報により上記無線タグが付された物品を認識する情報処理装置とから構成されている。無線タグは、RFIDタグ,ICタグ等とも称される。
【0003】
このシステムでは、アンチコリジョン(衝突防止)という機能を用いることによって、無線タグリーダの1つのアンテナの交信領域内に複数の無線タグが存在しても一括してデータの読込みが可能となるという特徴がある。
【0004】
そこで、スーパーマーケット等の商店において、各商品に商品識別コードなどの商品情報が記憶された無線タグをそれぞれ付すとともに、客が購入する商品を載せるための商品載置部に無線タグリーダを設け、この無線タグリーダに情報処理装置を接続する。そして、無線タグリーダで一括して読取られた無線タグの商品情報により、客が購入する商品を情報処理装置で認識し、その商品について決済処理を行うようにした一括会計システムが既に知られていた(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、セルフサービス方式の食堂において、メニュー品目がそれぞれ盛られた各食器にそのメニュー情報が記憶された無線タグをそれぞれ付すとともに、客が希望したメニュー品目の食器が載せられたトレイを載置するためのトレイ載置部に無線タグリーダを設け、この無線タグリーダに制御装置を接続する。そして、無線タグリーダで一括して読取られた無線タグの情報により、客が希望したメニュー品目を制御装置で認識し、そのメニュー品目について決済処理を行うようにした一括会計システムも既に知られていた(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
このような技術を用いることにより、決済処理に要する手間と時間を削減できる効果を奏する。
【特許文献1】特開平10−049756号公報
【特許文献2】特開2004−102563号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、アンチコリジョン機能を用いたとしても、無線タグの重なりやノイズの影響等により、無線タグリーダは、アンテナの交信可能範囲内にある全ての無線タグと必ずしも交信できるとは限らないため、無線タグがそれぞれ付されている物品(商品,食器等)の実際の点数より認識された無線タグの数量が少ない場合もそのままタグ認識処理が確定してしまうことがあった。
【0008】
本発明はこのような事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、情報を読取ることができた無線タグの数量が実際の無線タグの数量と一致した場合に限りタグ認識処理を確定させることができ、タグ認識業務の信頼性向上を図り得る無線タグ認識装置を提供しようとするものである。
【0009】
また、情報を読取ることができた無線タグの数量が実際の商品の数量と一致した場合に限り商品認識処理を確定させることができ、商品認識業務の信頼性向上を図り得る商品販売データ処理装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の無線タグ認識装置は、アンテナの交信領域内に存在する複数の無線タグから情報を非接触通信により読取るタグ情報読取手段と、このタグ情報読取手段により情報が読取られた無線タグの数を計数するタグ数計数手段と、アンテナの交信領域内に存在する無線タグの数を取込む数取込み手段と、この数取込み手段により取込まれた無線タグの数とタグ数計数手段により計数された無線タグの数とを比較する比較手段と、この比較手段により両者の数が一致したことを条件にタグ情報読取手段により読取られた無線タグの情報を確定するタグ情報確定手段とを備えたものである。
【0011】
また、本発明の商品販売データ処理装置は、アンテナの交信領域内に存在する複数の無線タグからそれぞれ当該タグが付されている商品に関する情報を非接触通信により読取るタグ情報読取手段と、このタグ情報読取手段により情報が読取られた無線タグの数を計数するタグ数計数手段と、アンテナの交信領域内に存在する商品の数を取込む数取込み手段と、この数取込み手段により取込まれた商品の数とタグ数計数手段により計数された無線タグの数とを比較する比較手段と、この比較手段により両者の数が一致したことを条件にタグ情報読取手段により読取られた商品に関する情報を確定する商品情報確定手段と、この商品情報確定手段により確定された商品に関する情報に基づいて商品の販売データを処理する情報処理手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0012】
かかる手段を講じた本発明の無線タグ認識装置によれば、情報を読取ることができた無線タグの数量が実際の無線タグの数量と一致した場合に限りタグ認識処理が確定されるので、タグ認識業務の信頼性向上を図ることができる効果を奏する。
また、本発明の商品販売データ処理装置によれば、情報を読取ることができた無線タグの数量が実際の商品の数量と一致した場合に限り商品認識処理が確定され商品販売データ処理が実行されるので、商品認識業務の信頼性向上を図ることができる効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を用いて説明する。
なお、この実施の形態は、セルフサービス方式の社員食堂でトレイに載せられた食器に付されている無線タグのメニュー品目情報から社員が飲食を希望したメニュー品目つまりは商品を確定し、この商品の販売データを登録処理する商品販売データ処理装置に本発明を適用した場合である。
【0014】
図1は本実施の形態における商品販売データ処理装置の概略構成を示すブロック図である。本装置は、無線タグ認識部1と販売データ処理部2とから構成されている。無線タグ認識部1は、トレイに載せられた食器に付されている無線タグのメニュー品目情報から社員が飲食を希望したメニュー品目を確定する機能を有するもので、詳細については後述する。販売データ処理部2は、無線タグ認識部1で確定されたメニュー品目の販売データを処理する機能を有するもので、通常のPOS(Point Of Sales)端末が使用されている。無線タグ認識部1と販売データ処理部2とは、通信手段3によって接続されている。通信手段3は、有線または無線を問わない。あるいは、無線タグ認識部1と販売データ処理部2とが一体の装置になっていてもよい。
【0015】
次に、図2の外観図と図3のブロック図を用いて無線タグ認識部1のハードウェア構成について説明する。
無線タグ認識部1は、アンテナ部11と、操作表示部12と、撮影部13とから構成されている。
【0016】
アンテナ部11には、食器4を載せるためのトレイ5を載置可能なトレイ台111が形成されており、このトレイ台111に無線タグ交信用のアンテナ112が埋設されている。アンテナ112は、トレイ台111の上方に向けて無線タグ6に対する質問電波を発信し、この質問電波を受信して活性化された無線タグ6から応答電波を受信するものである。
【0017】
無線タグ6は、各食器4及びトレイ5にそれぞれ1つずつ設けられている。本実施の形態では、説明の便宜上、食器4に設けられた無線タグ6を食器用タグ6aと称し、トレイ5に設けられた無線タグ6をトレイ用タグ6bと称する。
ここで、無線タグ6の構成について、図4のブロック図を用いて説明する。
【0018】
無線タグ6は、アンテナ61とICチップ62とから構成されている。ICチップ62には、アンテナ61で受信した変調波の整流と安定化を行うことによりICチップ62の各部に電源を供給する電源生成部63、上記変調波を復調して制御部65へ送出する復調部64、制御部65から送出されたデータを変調してアンテナ61に送出する変調部66、復調部64で復調されたデータをメモリ部67に書込んだり、メモリ部67からデータを読み出して変調部66へ送出したりする制御部65、及びEEPROM等の不揮発性の書換え可能なメモリ部67等で構成されている。メモリ部67には、当該無線タグ6の製造段階で製造業者により割当て設定された固有の識別情報であるIDが予め記憶されている。また、ユーザが任意のデータを書込むことができるユーザエリアが確保されている。そしてこのユーザエリアに、トレイ用無線タグ6bの場合は、当該タグが付されたトレイに対して予め設定された固有のトレイ番号が書き込まれており、食器用無線タグ6aの場合は、当該タグが付された食器に盛られているメニュー商品のメニューコードが書き込まれている。
【0019】
無線タグ認識部1の説明に戻る。
操作表示部12には、ディスプレイ121とタッチパネルセンサ122とからなるタッチパネル123と、精算カードに対してデータの読取り及び書込みを行うカードリーダライタ124とが設けられている。精算カードは、食堂を利用する各社員がそれぞれ携帯するICカードであり、そのメモリ部には少なくとも食堂を利用する社員を特定するためのユーザIDと、各種の代金を精算可能な残高データが記録されている。残高データは、専用の入金装置を用いることによって適宜増額させることが可能である。なお、増額不能なプリペイドカードを用いてもよい。
【0020】
撮影部13には、トレイ台111に載せられたトレイ5の表面全体を上から撮影できるようにCCDカメラ131が取り付けられている。すなわちCCDカメラ131は、アンテナ112の交信領域内に存在する物品を撮影する撮影手段として機能する。
【0021】
このCCDカメラ131で撮影された画像データは、画像処理部132にて処理される。画像処理部132は、画像データから物品の輪郭を抽出する輪郭抽出部133と、物品の輪郭から食器4を判別する食器判別部134と、判別された食器の数を計数する食器計数部135とからなる。ここに、画像処理部132は、撮影手段(CCDカメラ131)により撮影された物品の1つである食器4の数を計数する物品計数手段を構成する。食器計数部135にて計数された食器数データは、CPU(Central Processing Unit)を主体に構成された制御部140によって取込まれる。ここで、各食器4にはそれぞれ1つずつ食器用無線タグ6aが付されているので、食器数データは、アンテナ112の交信領域内に存在する食器用無線タグ6aの数と一致する。
【0022】
制御部149は、タッチパネル123を構成するディスプレイ121の画面表示を制御する。また、タッチパネルセンサ122からの信号を取込み、タッチ操作による入力情報を処理する。また、カードリーダライタ124によるカードデータの読取り及び書込みを制御する。また、CCDカメラ131の撮影動作を制御する。
【0023】
制御部140には、HDD(Hard Disk Drive)装置等の記憶部141と、前記販売データ処理部2との間のデータ通信を制御する通信制御部142と、無線タグリーダ150とのインターフェイス部143が接続されている。無線タグリーダ150は、制御部140からのデータ信号を変調する変調部151、変調波を増幅してアンテナ112から発信させる送信部152、アンテナ112で受信した無線タグ6からの電波を増幅して取込む受信部153、増幅された電波をデータ信号に復調して制御部140に与える復調部155で構成されている。
【0024】
記憶部141には、この食堂で販売される各種のメニュー品目をそれぞれ識別するためにメニュー品目毎に設定されたメニューコードに対応して、そのメニュー品目の品目名,価格等のメニュー情報が予め設定されたメニューファイル161と、各社員の食堂利用実績データを蓄積するための実績ファイル162とが形成されている。
【0025】
次に、図5〜7の流れ図と図8〜10の表示画面例を用いて無線タグ認識部1のソフトウェア構成について説明する。
制御部140は、先ず、ST(ステップ)1として無線タグ6に対する質問電波の送信コマンドをインターフェイス143に出力する。そうすると、このコマンドデータが変調部151で変調され、送信部152にて増幅されて、アンテナ112から質問電波として発信される。このとき、アンテナ112の交信領域内に無線タグ6が存在すると、この無線タグ6が活性化される。そして、この活性化された無線タグ6からメモリ67に記憶されているデータが応答電波として発信され、アンテナ112にて受信される。アンテナ112で受信された応答電波は、受信部153にて増幅され、復調部154にてデータに復調された後、インターフェイス143を介して制御部140に与えられる。すなわち、アンテナ112の交信領域内に存在する無線タグ6のデータが読み込まれる。この際にはアンチコリジョン機能が働いており、アンテナ112の交信領域内に複数の無線タグ6が存在していた場合には一括してデータの読出しが行われる。
【0026】
そこで制御部140は、質問電波送信コマンドを出力後、ST2としてトレイ用無線タグ6bのデータ,つまりはトレイ番号が読み込まれたか否かを判断する。ここで、トレイ用無線タグ6bからトレイ番号が読み込まれた場合には、アンテナ部11のトレイ台111にトレイ5が載置されたので、ST3としてこのトレイ番号をワークエリアに一時記憶した後、ST4としてCCDカメラ131に撮影オン信号を出力する。CCDカメラ131は、この撮影オン信号に応じて撮影動作を行う。そして、このCCDカメラ131で撮影された画像データが画像処理部132で処理され、トレイ5に載せられた食器4の数が計数される。
【0027】
そこで制御部140は、ST5としてトレイ5に載せられた食器4の数が計数されるのを待機する。そして計数されたならば、制御部140は、ST6としてこの食器4の数を商品数データAとして取込む(数取込み手段)。
【0028】
次に制御部140は、ST7として加算カウンタBを“0”にリセットした後、ST8として無線タグ6に対する質問電波の送信コマンドをインターフェイス143に再度出力する。そして、ST9として食器用無線タグ6aのデータ,つまりはメニューコードが読み込まれるのを待機する(タグ情報読取手段)。この場合もアンチコリジョン機能が働いており、アンテナ112の交信領域内に複数の無線タグ6が存在していた場合には一括してデータの読出しが行われる。
【0029】
そこで制御部140は、食器用無線タグ6aからメニューコードを読取る毎に、ST10としてそのメニューコードでメニューファイル161を検索してメニュー名称,価格等の該当するメニューデータを読出し、ワークエリアに記憶する。また、ST11として加算カウンタBを“1”ずつカウントアップする(タグ数計数手段)。
【0030】
そして、ST12として食器用無線タグ6aの読取終了を判断したならば、制御部140は、ST13として商品数データAと加算カウンタBとを比較する。すなわち、CCDカメラ131にて撮影された画像から検出された食器4の数Aと、無線タグリーダ150で非接触通信により情報を読取った食器用無線タグ6aの数Bとを比較する(比較手段)。その結果、食器4の数Aと食器用無線タグ6aの数Bとが一致した場合には、トレイ5に載せられた全ての食器4に付されている食器用無線タグ6Aの情報を正常に読取ることができたので、制御部140は、ST14として後述する精算処理に移行する。
【0031】
これに対し、食器4の数Aよりも食器用無線タグ6aの数Bの方が多かった場合には、画像処理によって求められた食器4の数Aに誤りがあるので、制御部140は、ST15として例えば図8に示すレイアウトの商品数入力画面70をディスプレイ121に表示させる。この画面70には、入力された商品数を表示する欄71と、商品数を置数入力する数値データ入力部としての置数キー72と、入力確定キー73とが表示されている。そこでユーザは、トレイ5に実際に載せられた食器4の数を置数キー72で置数し、入力確定キー73をタッチ操作する。
【0032】
制御部140は、商品数入力画面70を表示させた後、ST16として商品数Aが入力されるのを待機する。ここで、タッチパネルセンサ122の信号により数値データが置数されたことを検知すると、数値データを欄71に表示させる。続いて、入力確定キー73がタッチ操作されたことを検知すると、制御部140は、数値データを商品数データAとして取込む(数取込み手段)。そして、ST13の処理に戻り、この商品数データAと加算カウンタBとを比較する。すなわち、数値データ入力部を介して入力された食器4の数Aと、無線タグリーダ150で非接触通信により情報を読取った食器用無線タグ6aの数Bとを比較する(比較手段)。その結果、食器4の数Aと食器用無線タグ6aの数Bとが一致した場合には、トレイ5に載せられた全ての食器4に付されている食器用無線タグ6Aの情報が正常に読取られているので、制御部140は、後述する精算処理に移行する。
【0033】
逆に、食器4の数Aよりも食器用無線タグ6aの数Bの方が少なかった場合には、食器用無線タグ6aが壊れていたり重なっていたりしてタグ情報の読取りが正常に行われなかった可能性が高いので、制御部140は、ST17として例えば図9に示すレイアウトのタグ読取エラー画面80をディスプレイ121に表示させる(エラー報知手段)。このタグ読取エラー画面80には、食器4の数Aを商品数として表示させる欄81と、食器用無線タグ6aから読取ったメニューコードに対応するメニュー名称と価格のリストを表示させる欄82と、読取不足の点数等を表示させる欄83と、マニュアル入力キー84及び商品点数変更キー85の各タッチキーとが表示されている。そして、欄82には、商品数Aに対して不足する分が空白行「***** ***円」として表示されている。
【0034】
したがってユーザは、各欄81〜83の内容から、食器用無線タグ6aが読取られなかった食器4に盛られたメニュー品目を特定することができる。すなわち情報を読取れなかった食器用無線タグ6aを特定することができる。あるいは、食器用無線タグ6aの読取りは正常に行われたが、画像処理によって求められた食器4の数つまりは商品数に誤りがあることを認識することができる。そしてユーザは、食器用無線タグ6aの読取りにエラーがあった場合にはマニュアル入力キー74をタッチ操作して読取エラーとなった食器用無線タグ6aのメニューコードをマニュアル入力し、商品数に誤りがあった場合には商品点数変更キー75をタッチ操作して正しい商品数を入力することにより対応することとなる。
【0035】
そこで制御部140は、タグ読取エラー画面80を表示させた後、商品点数変更キー75がタッチ操作されるか、マニュアル入力キー74がタッチ操作されるのを待機する。ここで、ST18としてタッチパネルセンサ122の信号により商品点数変更キー75がタッチ操作されたことを検知した場合には、制御部140は、前記ST15の処理に進み、商品数入力画面70をディスプレイ121に表示させる。そして、置数キー72と入力確定キー73のタッチ操作により数値データが入力されたならば、制御部140は、この数値データを商品数データAとして取込み、ST13の処理に戻って、この商品数データAと加算カウンタBとを比較する。すなわち、数値データ入力部を介して入力されたメニュー品目数つまりは食器の数Aと、無線タグリーダ150で非接触通信により情報を読取った食器用無線タグ6aの数Bとを比較する(比較手段)。その結果、食器4の数Aと食器用無線タグ6aの数Bとが一致した場合には、トレイ5に載せられた全ての食器4に付されている食器用無線タグ6Aの情報が正常に読取られているので、後述する精算処理に移行する。
【0036】
一方、ST19としてタッチパネルセンサ122の信号によりマニュアル入力キー74がタッチ操作されたことを検知した場合には、制御部140は、ST20として図7に具体的に示すマニュアル入力処理を実行する。
【0037】
すなわち制御部140は、例えば図10に示すレイアウトのマニュアル入力画面90をディスプレイ121に表示させる。このマニュアル入力画面90には、各種メニュー品目のメニューコードがそれぞれ割り当てられた複数のメニューキー91と、このメニューキーの前頁を表示させる前頁キー92及び後頁を表示させる後頁キー93と、入力確定キー94とが表示されている。そこでユーザは、食器用無線タグ6aが読取られなかった食器4に盛られたメニュー品目のメニューキー91を1品ずつタッチ操作する。そして、該当するメニュー品目のメニューキー91を全てタッチ操作したならば、入力確定キー94をタッチ操作する。
【0038】
制御部140は、タッチパネルセンサ122の信号によりメニューキー91がタッチ操作されたことを検知する毎に、そのメニューキー91に割り当てられているメニューコードでメニューファイル161を検索してメニュー名称,価格等の該当するメニューデータを読出し、ワークエリアに記憶する。また、加算カウンタBを“1”ずつカウントアップする。その後、入力確定キー94がタッチ操作されたことを検知すると、制御部140は、ST13の処理に戻り、商品数データAと加算カウンタBとを比較する。すなわち、トレイ5に実際に載せられている食器4の数Aと、その食器4に盛られたメニュー品目の数Bとを比較する。その結果、食器4の数Aとメニュー品目Bとが一致した場合には、トレイ5に載せられた各食器4にそれぞれ盛られているメニュー品目のメニューデータを取得できたので、制御部140は、後述する精算処理に移行する。
【0039】
図6は前記精算処理の処理手順を具体的に示す流れ図である。すなわち制御部140は、ST21としてワークエリアに記憶されたメニューデータを全て確定し、このメニューデータを販売データ処理部2に与える(情報確定手段)。これにより、販売データ処理部2では、無線タグ認識部1で認識されたメニューデータに基づき、トレイ5に載せられたメニュー品目の販売データが処理され、合計金額が算出される(情報処理手段)。
【0040】
そこで制御部140は、ST22としてディスプレイ121に精算画面を表示させ、この画面に販売データ処理部2で算出された合計金額を請求金額として表示させる。しかる後、ST23として精算カードのデータが入力されるのを待機する。そして、カードリーダライタ124を介して精算カードのデータ(ユーザID,残高データなど)が入力されると、制御部140は、ST24としてそのカードデータ中のユーザIDをワークエリアで一時記憶する。また、ST25としてそのカードデータ中の残高データと請求金額とを比較する。ここで、残高データが請求金額以上である場合には、制御部140は、ST26として当該精算カードの残高データを請求金額分減じられた額に書き換えるべくカードリーダライタ124を制御する。そして残高データを書換後、制御部140は、ST27としてカードリーダライタ124に挿入された精算カードを排出させる。また、ST28としてワークエリアに記憶されているユーザID,トレイ番号及び各メニューデータで食堂利用実績データを作成し、実績ファイル162に書き込んで、この精算処理を終了する。
【0041】
なお、ST25にて請求金額に対して残高データが不足していた場合には、制御部140は、ST29として精算不可のエラー画面をディスプレイに表示させる。また、ST30として精算カードを排出させたならば、この精算処理を終了する。
因みに、残高不足により精算不可となった場合には、例えば残高データを増額させて再度精算を行うか、不足分を現金で支払うことによって対処すればよい。
【0042】
このように構成された本実施の形態の商品販売データ処理装置が導入された社員食堂では、社員は、トレイ5に飲食を希望するメニュー品目が盛られた食器4を全て載せた後、無線タグ認識部1の設置場所まで行く。そして、トレイ5をトレイ台111に載せる。
【0043】
そうすると、無線タグ認識部1では、先ず、アンチコリジョン機能を有した無線タグリーダ150が動作する。これにより、トレイ5に付されているトレイ用無線タグ6bのデータ(トレイ番号など)が読取られる。
【0044】
次いで、CCDカメラ131が撮影動作を行う。これにより、画像処理部132でその画像テータが処理されて、トレイ5に載せられている食器4の数Aが求められる。食器4の数Aは商品数データAとして制御部140に取込まれる。
【0045】
次いで、無線タグリーダ150が再び動作する。これにより、トレイ5に載せられた食器4に付されている食器用無線タグ6aのデータ(メニューコード等)が読取られる。そして、このメニューコードに対応して設定されている品名,価格等のメニューデータがメニューファイル161から読み出される。また、データが読取られた食器用無線タグ6aの数Bが計数される。
【0046】
次いで、商品数データAと食器用無線タグ6aの数Bとが比較される。そして両者が一致した場合に限りメニューデータが確定され、このメニューデータに基づいて商品販売データが処理されて、請求金額が算出される。
【0047】
一方、商品数データAよりも食器用無線タグ6aの数Bの方が多い場合には、商品数入力画面70が表示される。そこで社員は、トレイ5に載せた食器の数つまりは飲食を希望するメニュー品目の数を置数入力し、入力確定キー73をタッチ操作する。そうすると、商品数データAと食器用無線タグ6aの数Bとが一致するので、メニューデータが確定され、請求金額が算出される。
【0048】
他方、商品数データAよりも食器用無線タグ6aの数Bの方が少ない場合には、タグ読取エラー画面80が表示される。そこで社員は、画面60の内容から食器用無線タグ6aが読取られなかった食器4に盛られたメニュー品目を特定する。そして特定できたならば、マニュアル入力キー84をタッチ操作し、マニュアル入力画面90を表示させた後、該当するメニュー品目のメニューキー91をタッチ操作する。そうすると、このメニュー品目のメニューデータがメニューファイル161から読み出される。また、加算カウンタBがカウントアップされる。食器用無線タグ6aが読取られなかった食器4に盛られたメニュー品目のメニューキー91を全てタッチ操作したならば、社員は入力確定キー94をタッチ操作する。そうすると、商品数データAと加算カウンタBとが一致するので、メニューデータが確定され、請求金額が算出される。
【0049】
このように本実施の形態によれば、データを読取ることができた食器用無線タグ6aの数量Bがトレイ5に実際に載せられた食器4の数つまりはメニュー品目の数Aと一致した場合に限り、客が飲食を希望したメニュー品目の認識処理が確定され、当該メニュー品目のメニューデータに基づいて商品販売データ処理が実行される。したがって、データを読取れなかった食器用無線タグ6aが付されている食器4がトレイ5上に存在する場合には、そのトレイ5に載せられた全てのメニュー品目の商品販売データ処理が実行されないので、信頼性を向上させることができる。
【0050】
また本実施の形態では、CCDカメラ131を用いてトレイ5を撮影し、その画像データを処理して食器4の数を計数することによって、トレイ5に載せられている商品の数を得るようにしている。したがって、トレイ5に載せられているメニュー品目の数を数える必要がないのでセルフ会計が可能となり、人件費を削減できる効果も奏する。
【0051】
なお、前記実施の形態では、アンテナ112の交信領域内に存在する物品(食器4)を撮影する撮影手段(CCDカメラ131)と、この撮影手段により撮影された物品の数を計数する物品計数手段(画像処理部132)を設け、物品計数手段により計数された物品の数をアンテナ112の交信領域内に存在する物品の数として取込む場合を示したが、数取込み手段はこれに限定されるものではなく、例えば商品数入力画面70を無線タグ認識部1の初期画面とし、数値データ入力部(置数キー72)から操作入力された数値データを無線タグ6の数として取込むようにしてもよい。こうすることにより、CCDカメラ131と画像処理部132を省略することができる。
【0052】
このような構成は、例えばスーパーマーケット等の商店での一括会計システムに適用することにより好適である。すなわち、商品載置部に載置された各商品にそれぞれ付されている無線タグを一括読取可能な無線タグリーダで読取られた無線タグの数と、マニュアル入力された商品載置部上の商品数とを比較し、一致した場合に限り、無線タグリーダで一括して読取られた無線タグの商品に関する情報に基づいて商品販売データを処理するように構成する。こうすることにより、無線タグが付された商品の一括会計処理を正確に行うことができる。
【0053】
なお、この場合において、マニュアル入力された商品の数を遠くからでも目立つように大きく表示させることによって、商品数を少なく入力する不正の抑制効果を生じ得、セルフ会計システムにも導入できるようになる。
【0054】
また本発明は、商品販売データ処理装置に限定されるものではなく、例えば棚卸し業務を行うための無線タグリーダ付ハンディターミナル等にも適用できるものである。すなわち棚卸し業務担当者は、棚に置かれている商品の数を数えてマニュアル入力するとともに、ハンディターミナルの無線タグリーダを動作させてその棚の商品にそれぞれ付されている無線タグの商品情報を読取らせる。これにより、ハンディターミナルでは、商品情報が読取られた無線タグの数とマニュアル入力された商品の数とを比較し、両者が一致した場合に限り棚卸し業務を確定させて棚卸し品リストを出力する。こうすることにより、無線タグが壊れているために棚卸し品リストから漏れるような不具合を未然に防止することができる。
【0055】
また、前記実施の形態では、商品数(食器数)を取込んだ後、無線タグリーダ150を動作させて商品(食器)に付された無線タグ6のデータを読取るようにしたが、無線タグ6のデータを読取った後、商品数(食器数)を取込んで比較するように構成しても同様な効果を奏することができる。
この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施が可能であるのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施の形態である商品販売データ処理装置の概略構成を示す模式図。
【図2】同商品販売データ処理装置における無線タグ認識部の外観図。
【図3】同無線タグ認識部の要部構成を示すブロック図。
【図4】同実施の形態で用いる無線タグの要部構成を示すブロック図。
【図5】同無線タグ認識部の制御部が実行する制御処理手順の要部を示す流れ図。
【図6】図5における精算処理の具体的手順を示す流れ図。
【図7】図5におけるマニュアル入力処理の具体的手順を示す流れ図。
【図8】同無線タグ認識部のディスプレイに表示される商品数入力画面の一例を示す平面図。
【図9】同無線タグ認識部のディスプレイに表示されるタグ読取エラー画面の一例を示す平面図。
【図10】同無線タグ認識部のディスプレイに表示されるマニュアル入力画面の一例を示す平面図。
【符号の説明】
【0057】
1…無線タグ認識部、2…販売データ処理部、4…食器、5…トレイ、6…無線タグ、6a…食器用無線タグ、6b…トレイ用無線タグ、11…アンテナ部、12…操作表示部、13…撮影部、112…アンテナ、131…CCDカメラ、140…制御部、150…無線タグリーダ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナの交信領域内に存在する複数の無線タグから情報を非接触通信により読取るタグ情報読取手段と、
このタグ情報読取手段により情報が読取られた前記無線タグの数を計数するタグ数計数手段と、
前記アンテナの交信領域内に存在する前記無線タグの数を取込む数取込み手段と、
この数取込み手段により取込まれた前記無線タグの数と前記タグ数計数手段により計数された前記無線タグの数とを比較する比較手段と、
この比較手段により両者の数が一致したことを条件に前記タグ情報読取手段により読取られた前記無線タグの情報を確定する情報確定手段と、
を具備したことを特徴とする無線タグ認識装置。
【請求項2】
アンテナの交信領域内に存在する複数の無線タグから情報を非接触通信により読取るタグ情報読取手段と、
このタグ情報読取手段により情報が読取られた前記無線タグの数を計数するタグ数計数手段と、
前記アンテナの交信領域内に存在する前記無線タグの数を取込む数取込み手段と、
この数取込み手段により取込まれた前記無線タグの数と前記タグ数計数手段により計数された前記無線タグの数とを比較する比較手段と、
この比較手段により両者の数が一致しないとエラーを報知するエラー報知手段と、
を具備したことを特徴とする無線タグ認識装置。
【請求項3】
前記数取込み手段は、数値データ入力部から操作入力された数値データを前記無線タグの数として取込むことを特徴とする請求項1または2記載の無線タグ認識装置。
【請求項4】
前記無線タグは、各物品に1つずつ付されており、
前記アンテナの交信領域内に存在する物品を撮影する撮影手段と、この撮影手段により撮影された物品の数を計数する物品計数手段とをさらに備え、
前記数取込み手段は、前記物品計数手段により計数された前記物品の数を前記無線タグの数として取込むことを特徴とする請求項1または2記載の無線タグ認識装置。
【請求項5】
アンテナの交信領域内に存在する複数の無線タグからそれぞれ当該タグが付されている商品に関する情報を非接触通信により読取るタグ情報読取手段と、
このタグ情報読取手段により情報が読取られた前記無線タグの数を計数するタグ数計数手段と、
前記アンテナの交信領域内に存在する商品の数を取込む数取込み手段と、
この数取込み手段により取込まれた前記商品の数と前記タグ数計数手段により計数された前記無線タグの数とを比較する比較手段と、
この比較手段により両者の数が一致したことを条件に前記タグ情報読取手段により読取られた前記商品に関する情報を確定する情報確定手段と、
この情報確定手段により確定された前記商品に関する情報に基づいて前記商品の販売データを処理する情報処理手段と、
を具備したことを特徴とする商品販売データ処理装置。
【請求項6】
前記比較手段により両者の数が一致しないとエラーを報知するエラー報知手段、
をさらに具備したことを特徴とする請求項5記載の商品販売データ処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2006−350806(P2006−350806A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−177955(P2005−177955)
【出願日】平成17年6月17日(2005.6.17)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】