説明

無線タグ通信システム、無線タグ、無線タグの制御方法及び制御プログラム

【課題】割り当てられたIDのビット数の制限を超えた数の装置(デバイス)にIDを割り当てる。
【解決手段】通信制御装置8は、仮想アドレス空間のアドレスである仮想アドレスをデータ読出アドレスとして指定して、データ読出要求を無線通信ネットワークを介して送信し、IDカード20の無線タグは、指定された仮想アドレスが自己に予め割り当てられた仮想アドレスである場合に、送信用IDを読み出して、通信制御装置8に対して無線通信ネットワークを介して送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線タグ通信システム、無線タグ、無線タグの制御方法及び制御プログラムに係り、特に無線タグに割り当てられるIDのビット数の制限に起因するIDの割当可能数の制限を回避するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、施設や建物への出入りの際に、人や物品が有するRFID(Radio Frequency Identification)タグを、これら施設や建物の出入口に設置されたアンテナで検出することによって、人や物品の出入りの管理を行う技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1においては、輻輳を回避するため固有IDを返信するデバイスに対して固有IDとは別の短縮IDを持たせて、短縮IDによってより短時間の通信で輻輳を回避する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2006−10532号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1記載の技術は、上述したように、原理的には時分割により輻輳を回避しており、実際に輻輳が発生した場合の解決策とはなっていない。
また、特許文献1記載の技術においては、通信の信号強度、相互相関関数から雑音信号と通信信号とを弁別していたため、雑音の領域と信号領域とが重なった場合には、通信信号が含まれていても、これらを識別することはできず、このような状況下では、受信した信号を雑音として破棄(リジェクト)するしかなかった。
これを回避するために、固有IDに冗長度を大きく採ることにより、より耐雑音性の高いものとすることが可能であるが、このような場合には、固有IDのビット数が制限されている場合には、実際に固有IDを割り当てするデバイス数が減少してしまうという不具合があった。
そこで、本発明の目的は、割り当てられたIDのビット数の制限を超えた数の装置(デバイス)にIDを割り当てることを可能とする無線タグ通信システム、無線タグ、無線タグの制御方法及び制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、仮想アドレス空間のアドレスである仮想アドレスをデータ読出アドレスとして指定して、データ読出要求を無線通信ネットワークを介して送信するリーダ装置と、指定された前記仮想アドレスが自己に予め割り当てられた仮想アドレスである場合に、予め割り当てられ記憶していた送信用IDを読み出して、前記リーダ装置に対して前記無線通信ネットワークを介して送信する無線タグと、を備えたことを特徴としている。
【0005】
上記構成によれば、リーダ装置は、仮想アドレスをデータ読出アドレスとして指定して、データ読出要求を無線通信ネットワークを介して無線タグに対して送信する。
これにより、無線タグは、指定された仮想アドレスが自己に予め割り当てられた仮想アドレスである場合に、送信用IDを読み出して、リーダ装置に対して無線通信ネットワークを介して送信する。
したがって、仮想アドレスと送信用IDとの組み合わせにより割り当てられた送信用IDのビット数の制限を超えた数の装置(デバイス)に送信用IDを割り当てることが可能となる。
【0006】
本発明の第2の態様は、第1の態様の無線タグ通信システムにおいて、前記仮想アドレスは、一の前記無線タグに対し、複数割り当て可能とされていることを特徴とする。
上記構成によれば、仮想アドレス毎に同一の送信用IDであっても別のIDとして認識できるようになるので、複数システム間で同一の送信用IDを使ったり、一つのシステムでIDの利用条件を様々に設定したりして、様々な態様のシステム構築が容易に行える。
【0007】
本発明の第3の態様は、第1の態様または第2の態様において、前記無線タグは、各種データを記憶する記憶部を備え、前記データ読出アドレスが、前記記憶部の物理アドレス範囲外である場合に、当該データ読出アドレスが自己に予め割り当てられた仮想アドレスか否かを判別し、当該データ読出アドレスが自己に予め割り当てられた仮想アドレスである場合に、前記記憶部の所定アドレスに格納された前記送信用IDを読み出すことを特徴としている。
上記構成によれば、無線タグは、データ読出アドレスが記憶部の物理アドレス範囲外であり、かつ、自己に予め割り当てられた仮想アドレスである場合に送信用IDを読み出して送信するので、仮想アドレスに対応する無線タグのみがリーダ装置に対して応答することとなり、輻輳の発生を抑制しつつ、確実に送信用IDを送信することが可能となる。
【0008】
本発明の第4の態様は、第1の態様ないし第3の態様のいずれかにおいて、前記送信用IDは、当該送信用IDの所定のビット数よりも少ないビット数で当該無線タグに割り当てられた原IDを変数とする所定の関数に基づいて、当該原IDのビット列を時間軸方向に冗長性を持つようにビットを再配置し、かつ、前記所定のビット数とすることにより得たことを特徴としている。
上記構成によれば、送信用IDの冗長性により、ノイズの多い環境であっても、確実に送信用IDをリーダ装置に受信させることが可能となる。
【0009】
本発明の第5の態様は、第4の態様において、前記送信用IDに含まれる冗長ビット数は変更可能とされていることを特徴としている。
したがって、得られる送信用IDの総数あるいは送信用IDの冗長性の高さの相反する条件のいずれかをユーザの重視した条件を重視した無線タグ通信システムを実現することができる。
【0010】
本発明の第6の態様は、外部の無線通信ネットワークに接続されて通信を行う無線タグにおいて、送信用IDを含む各種データを記憶する記憶部と、前記無線通信ネットワークを介してデータ読出要求を受信する受信部と、前記データ読出要求に含まれるデータ読出アドレスが、所定の仮想アドレス空間のアドレスである仮想アドレスであるか否かを判別する仮想アドレス判別部と、前記仮想アドレス判別部の判別により前記データ読出アドレスが、仮想アドレスである場合に当該仮想アドレスが自己に予め割り当てられた仮想アドレスであるか否かを判別する割当アドレス判別部と、前記割当アドレス判別部の判別により、前記仮想アドレスが自己に予め割り当てられた仮想アドレスである場合に、予め割り当てられ記憶していた送信用IDを読み出して、前記データ読出要求元に対して前記通信ネットワークを介して送信するデータ送信部と、を備えたことを特徴としている。
【0011】
上記構成によれば、記憶部は、送信用IDを含む各種データを記憶する。
受信部は、無線通信ネットワークを介してデータ読出要求を受信する。
これにより、仮想アドレス判別部は、データ読出要求に含まれるデータ読出アドレスが、所定の仮想アドレス空間のアドレスである仮想アドレスであるか否かを判別し、割当アドレス判別部は、データ読出アドレスが、仮想アドレスである場合に当該仮想アドレスが自己に予め割り当てられた仮想アドレスであるか否かを判別する。
これらの結果、データ送信部は、仮想アドレスが自己に予め割り当てられた仮想アドレスである場合に、予め割り当てられ記憶していた送信用IDを読み出して、データ読出要求元に対して通信ネットワークを介して送信する。
したがって、仮想アドレスと送信用IDとの組み合わせにより割り当てられた送信用IDのビット数の制限を超えた数の装置(デバイス)に送信用IDを割り当てることが可能となる。
【0012】
本発明の第7の態様は、送信用IDを含む各種データを記憶する記憶部を有し、外部の無線通信ネットワークに接続されて通信を行う無線タグの制御方法において、前記無線通信ネットワークを介してデータ読出要求を受信する受信過程と、前記データ読出要求に含まれるデータ読出アドレスが、所定の仮想アドレス空間のアドレスである仮想アドレスであるか否かを判別する仮想アドレス判別過程と、前記仮想アドレス過程における判別により前記データ読出アドレスが、仮想アドレスである場合に当該仮想アドレスが自己に予め割り当てられた仮想アドレスであるか否かを判別する割当アドレス判別過程と、前記割当アドレス判別過程における判別により、前記仮想アドレスが自己に予め割り当てられた仮想アドレスである場合に、予め割り当てられ記憶していた送信用IDを読み出して、データ読出要求元に対して前記通信ネットワークを介して送信するデータ送信過程と、を備えたことを特徴としている。
上記構成によれば、仮想アドレスと送信用IDとの組み合わせにより割り当てられた送信用IDのビット数の制限を超えた数の装置(デバイス)に送信用IDを割り当てることが可能となる。
【0013】
本発明の第8の態様は、送信用IDを含む各種データを記憶する記憶部を有し、外部の無線通信ネットワークに接続されて通信を行う無線タグをコンピュータにより制御するための制御プログラムであって、前記無線通信ネットワークを介してデータ読出要求を受信させる機能と、前記データ読出要求に含まれるデータ読出アドレスが、所定の仮想アドレス空間のアドレスである仮想アドレスであるか否かを判別させる機能と、前記データ読出アドレスが、仮想アドレスである場合に当該仮想アドレスが自己に予め割り当てられた仮想アドレスであるか否かを判別させる機能と、前記仮想アドレスが自己に予め割り当てられた仮想アドレスである場合に、予め割り当てられ記憶していた送信用IDを読み出させて、データ読出要求元に対して前記通信ネットワークを介して送信させる機能と、を前記コンピュータに実現させることを特徴としている。
上記構成によれば、仮想アドレスと送信用IDとの組み合わせにより割り当てられた送信用IDのビット数の制限を超えた数の装置(デバイス)に送信用IDを割り当てることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。
図1は、本発明の無線タグ通信システムをある企業における所在管理システムに適用した場合の概要構成模式図である。
図1において、この企業は、複数の事業所A、B、Cを有し、各事業所A、B、Cは、それぞれ別個に個別所在管理システム100A、100B、100Cを構築し、これらの個別所在管理システム100A〜100C全体で所在管理システム100を構築している。ここで、所在管理システム100は、各個別所在管理システム100A、100B、100C単位で該当する事業所内の社員の出入りを把握し、管理している。
一方で、各社員には、一つのID(社員ID)を割り当てた社員証としてのIDカード20が配布され、各自携帯するようにされている。
【0015】
この場合において、個別所在管理システム100A、100B、100Cには、各事業所A、B、Cに出入りを許可している社員が携帯しているIDカード20に割り当てるべき固有の仮想アドレスがそれぞれ一または複数予め割り当てられている。
ここで、仮想アドレスが割り当てられるのは、事業所毎に自由に出入りできる社員を制限するためである。また、一つの事業所に複数の仮想アドレスが割り当てられるのは、第一にIDに割り当て可能なビット数、ひいては、割り当て可能な社員数に制限がある場合に、この制限を超えた社員を管理する必要があるからである。また、第2には、自由に出入り可能な領域を複数に分け、それぞれ個別に管理を行うためである。
【0016】
すなわち、本実施形態においては、各個別所在管理システム100A、100B、100C毎に固有の仮想アドレスを割り当て、各個別所在管理システム100A、100B、100Cにおいて、出入りが自由な社員のIDカード20にも同一の仮想アドレスを割り当てることで(仮想アドレスの割り当てについては、後に詳述する)、仮想アドレスとIDカード20に割り当てられたIDとの組み合わせによって一つのIDとして取り扱っている。そして、通信では、各IDカード20は、割り当てられた仮想アドレスを読出アドレスとするデータ読出要求があった場合には、当該データ読出要求をID読出要求であると判別して、当該無線タグに割り当てられたIDのみをリーダ装置としての通信制御装置8を介して管理サーバ10に送信するように構成し、複数のIDカード20に同一のIDを割り当て可能とすることで、通信の信頼性を向上し、無用にIDのビット数の増加を招かないようにしている。
【0017】
次に個別所在管理システムについて説明する。個別所在管理システム100A〜100Cは、同様の構成を採っているので、以下においては、事業所Aにおける個別所在管理システム100Aを例として説明する。
図2は、個別所在管理システムの概要構成ブロック図である。
また、図3は、個別所在管理システムの要部説明図である。
個別所在管理システム100Aにおいては、各部屋の出入口や、主要な通路には、図3に示すように、通過ゲート2が設けられており、個別所在管理システム100Aは、これら通過ゲート2を通過した社員Xを特定して、その社員Xの入場或いは退場を管理する。
【0018】
個別所在管理システム100Aの構成について説明すると、個別所在管理システム100Aは、社員Xが所持する非接触無線通信機能を備えたIDカード20と、通過ゲート2の近傍(図3では、床)に配置されたループアンテナ6と、ループアンテナ6に設けられた通信制御装置8と、それぞれの通信制御装置8が通信ネットワーク9を介して接続された管理サーバ10とを備えており、通信制御装置8がループアンテナ6を介してIDカード20に記録された送信用IDを読み取り可能に構成されている。
通過ゲート2の通過経路の床面に設けられたループアンテナ6は、例えば、約0.6メートル×1.5メートルの寸法のほぼ矩形に形成され、無指向性で数メートル(例えば約5メートル)の通信可能距離を有している。
【0019】
図4は、IDカードの機能的構成を模式的に示すブロック図である。
IDカード20には、長波による非接触型無線通信機能を実現するアクティブ型の無線タグ21が内蔵されている。この無線タグ21は、図4に示すように、社員Xの識別情報である社員ID22A、当該社員ID22Aに対応する送信用ID22Bおよび予め割り当てられた仮想アドレス22C−1〜C−nを格納するメモリ22と、長波による無線通信用のRF部24と、これらを制御する制御部26と、通過ゲート2のループアンテナ6から放射された電波を受信するアンテナ28と、IDカード20に電源を供給する電源部29と、を備え、動作モードが待機モードである場合には、自己が割り当てられた所定の仮想アドレスを指定する情報を含み、通過ゲート2のループアンテナ6が放射するウェイクアップ用電波を受信した場合に、ウェイクアップ用電波の受信に応答して通常モードで動作し、送信用ID22Bを送信する。
【0020】
ここで、社員IDおよび送信用IDについて説明する。
本実施形態において、社員ID22Aは、通過ゲート2の通過時には、送信されず、送信用ID22Bのみが送信される。これは、社員ID22Aは、当該所在管理システム100の構築者が任意に設定できるものであり、入力内容によっては、“0”のビットと“1”のビットがランダムに発生した場合とほぼ等価な外来ノイズなどと識別しづらいビット配列となる可能性があるからである。
これに対して、送信用ID22Bは、“0”のビットあるいは“1”のビットがシリアルに連続する時間(軸)的に冗長なパターンを採用しており、外来ノイズとは識別しやすく設定されている。
【0021】
具体的には、社員ID22Aとして、32ビットを割り当てる場合(アドレス割当可能数4G個)において、送信用ID22Bにも、32ビットを割り当て、冗長ビット数を16ビットとし、実アドレス割当可能数を64k個(=65535個)としている。したがって、送信用ID22Bを利用者識別に用いる場合には、単純には、65535人の利用者、ひいては、65535枚のIDカード20を識別することが可能となるが、本実施形態では、さらに仮想アドレスとの組み合わせを用いているため、各個別所在管理システムに割り当てられた仮想アドレス数をMとすると、M×655535枚が各個別所在管理システムにおいて識別可能なIDカードの総数となる。
【0022】
次にIDカード20が送信用IDを送信する際の送信信号のフォーマットについて説明する。
本実施形態において、この送信信号は所定ビット長である32ビットのビット列の信号であり、このビット列の全てを用いて送信用ID22Bが格納される。この送信用ID22Bに含まれる検出用の情報は、本実施形態の場合、16ビット長であり、0000h〜FFFFhの値に限定されている。
そして、単純には、各ビットを複製して並べて配置した00000000h〜FFFFFFFFhで表される4GBのアドレス空間のうちの64kB分のアドレス空間が送信用ID22Bに割り当てられることとなる。
したがって、管理サーバ10は、IDカード20に割り当てられている仮想アドレスと、予め送信用ID22Bと社員ID22Aとの対応関係を記憶したテーブルと、を参照することにより、送信用ID22Bから社員ID22Aを識別可能になるのである。
【0023】
図5は、通信制御装置の機能的構成を示すブロック図である。
図5に示すように、通信制御装置8は、各部を中枢的に制御する制御部30と、ループアンテナ6を介してIDカード20の無線タグ21と通信する無線通信部32と、有線LAN或いは無線LAN等の通信ネットワーク9に接続されるネットワークインタフェース(I/F)34とを有している。
【0024】
無線通信部32は、図示を省略する無線通信用のRF回路やベースバンド回路を有し、制御部30の制御の下、所定のウェイクアップタイミング毎(例えば1秒に5回程度の一定時間毎)に、ループアンテナ6に流れる電流を変化させて磁界の変化を生じさせることでIDカード20と電磁的通信を開始させるためのウェイクアップ信号を電波として放射する。この電波の放射により、通信可能領域R内にIDカード20が存在する場合には、そのIDカード20の無線タグ21は、待機モードから通常動作モードに移行し、ウェイクアップ信号に対応する応答処理を行う。
そして、その後、無線通信部32は、仮想アドレスを読出アドレスとするデータ読出コマンドをIDカード20に送信する。
【0025】
これにより、当該IDカード20に対して送信された仮想アドレスが、自己に割り当てられている仮想アドレスのいずれか一つと等しい場合には、自己に対するID読出コマンドであると判別して、IDカード20は送信用ID22Bを送信することとなるので、この送信された送信用ID22Bを無線通信部32が受信することとなる。
一方で、通信可能領域R内に存在するIDカード20であっても、送信された仮想アドレスが割り当てられていないIDカード20の場合には、待機モードから通常動作モードに移行し、ウェイクアップ信号に対応する応答処理を行うものの、その後のデータ読出コマンドは、自己に対応するものではないとして、データ読出処理に応えることはなく、したがって、送信用ID22Bを送信することはない。
【0026】
制御部30は、プログラム実行手段としてのCPUや、このCPUのワークエリアとして用いられるRAM、各種プログラムを格納するROM等を備えて構成されており、本実施形態では、無線通信部32から入力され送信用ID22Bに対して、現在の時刻をタイムスタンプとして付与するタイムスタンプ付与部38と、送信用ID22Bに対して、自装置(或いは自装置に接続されたループアンテナ6)に一意に予め割り当てられた装置IDを付与する装置ID付与部39とを有している。
そして、制御部30は、無線通信部32によって送信用ID22Bが受信されるごとに、タイムスタンプ及び装置IDを付与し、ネットワークI/F34から通信ネットワーク9を介して管理サーバ10に順次送信する。
なお、複数の通過ゲート2に配置された複数の通信制御装置8は、それぞれが付与するタイムスタンプを比較可能にするために、互いに同期した時刻を計時している。
【0027】
図6は、管理サーバの機能的構成を示すブロック図である。
管理サーバ10は、通過ゲート2のそれぞれに設けられた通信制御装置8から送信された仮想アドレス、送信用ID、タイムスタンプ及び装置IDに基づいて、対応する通過ゲート2を通過した社員Xを管理するものである。
具体的には、図6に示すように、管理サーバ10は、制御部40と、ネットワークI/F42と、データベース部44と、データベースアクセス部46を有している。
制御部40は、自装置の各部を中枢的に制御するものであり、プログラム実行手段としてのCPU、このCPUのワークエリアとして機能するRAM、各種プログラムや設定データを格納するROM等を有している。
ネットワークI/F42は、通信ネットワーク9に接続され、この通信ネットワーク9を介して通信制御装置8のそれぞれから社員ID、受信信号強度、タイムスタンプ及び装置IDを受信し、制御部40に出力する。
【0028】
データベース部44は、各種データベースを格納するものであり、社員ID−送信用ID対応データベース部44Aと、社員の所在を社員毎に記録する所在記録データベース部44Bとを備えている。
まず、データベース部44の社員ID−送信用ID対応データベース部44Aについて説明する。
【0029】
図7は、社員ID−送信用ID対応データベース部の説明図である。
この社員ID−送信用ID対応データベース部44Aは、対応関係記憶部として機能しており、社員ID−送信用ID対応データベース部44Aには、発行済みの社員ID22Aが仮想アドレスA1、A2にそれぞれ対応づけられ、さらに社員ID22Aは、送信用ID22Bに一対一に対応づけられている。
【0030】
ここで、各個別所在管理システム100A〜100CおよびIDカード20に割り当てられる仮想アドレスについて説明する。
図8は、IDカードのメモリのメモリ空間の説明図である。
ここで、図8(A)は、メモリの物理メモリ空間の説明図であり、図8(B)は、仮想メモリ空間を含むメモリのメモリ空間の説明図である。
IDカードのメモリ22の物理メモリ空間は、大別すると、各種プログラムおよび各種データを格納する実レジスタファイル部22X(物理アドレス0000h〜0067h;hは16進数を表す。以下同じ)と、IDとしての送信用IDを格納するIDコードレジスタ部22Y(物理アドレス=0068h)と、空き領域部22Z(物理アドレス=0069h〜03FEh)と、を備えている。
【0031】
一方、仮想メモリ空間22Vは、物理メモリに連続する空間として構成されており(アドレス=03FFh〜FFFFh)、実際にはデータを格納しているものではなく、あくまでIDコードレジスタに格納されているIDを拡張するために使われている。
そして、各IDカード20には、少なくとも一つの仮想アドレスが予め割り当てられている(例えば、仮想アドレス=04A3h)。
これにより、IDカード20の制御部26は、通信制御装置8から仮想アドレスを読出アドレスとするデータ読出がなされた場合には、メモリ22のIDコードレジスタ部22Yから送信用ID22Bを読み出して、RF部24およびアンテナ28を介して送信することとなる。
【0032】
ところで、仮想アドレスA1に対応づけられた社員ID22A同士では同一の社員ID22A、ひいては、同一の送信用ID22Bは存在しないが、仮想アドレスが異なれば、同一の社員ID22A、ひいては、同一の送信用ID22Bが存在しうる。
また、社員ID11Aには、一時的な訪問者に対応するID、すなわち、ゲストIDも含めて有効な社員ID22Aが登録されている。本実施形態では、上述したように、社員ID22Aは所定ビット長(本実施形態では、32ビット:00000000h〜FFFFFFFFh)で表現可能な値、かつ、ユニークな値が任意に設定されている。なお、この社員ID22Aは、IDカード20に記録されてはいるが、ループアンテナ6を介した通信制御装置8との間の通信においては、上述したように通信の信頼性の観点から用いられていない。
【0033】
一方、送信用ID22Bは、システム構築時に設定されるものであり、IDカード20と、通信制御装置8との間の通信でIDカード20側から通信制御装置8側に送信されるIDである。本実施形態では、所定ビット長のうち、冗長ビットを除くビットで表現可能な値が設定されている。具体的には、本実施形態では、送信用ID22Bを構成する32ビットのうち冗長ビットが16ビットであるので、16ビットで表現可能な値(0000h〜FFFFh)が設定されている。
【0034】
ここで、具体的な送信用ID22Bの生成方法について説明する。
図9は、送信用IDの生成処理フローチャートである。
この生成処理は、管理サーバ10により行うことが可能であり、送信用ID22Bは、当該送信用ID22Bの所定のビット数(本実施形態では、32ビット)よりも少ないビット数(本実施形態では、16ビット)で当該無線タグに割り当てた原IDを変数とする所定の関数(実際には、所定の手順で行う処理)に基づいて、当該原IDのビット列を時間軸方向に冗長性を持つようにビットを再配置し、かつ、所定のビット数とすることにより得ている。
【0035】
具体的には、以下の手順で送信用ID22Bを生成する。
まず管理サーバ10は、演算用変数i=0とする(ステップS1)。
次に管理サーバ10は、16ビットの整数であるデータZ(0≦Z≦65535;原IDに相当)を一つ設定する(ステップS2)。
続いて管理サーバ10は、データZの下位4ビットを抽出する(ステップS3)。
続いて、管理サーバ10は、抽出された4ビットの値と、当該値を左4ビットシフトした値(すなわち、元の値を16倍した値)と、の論理和をとって、上位4ビットと下位4ビットが同じ値を有する8ビットの値とし、変数dmc(i)に代入する(ステップS4)。
【0036】
次に演算用変数iに1を加算して、新たな演算用変数iとし(ステップS5)、i=4か否かを判別する(ステップS6)。
ステップS6の判別において、i≠4の場合には(ステップS6;No)、整数データZを右4ビットシフトしてその値を新たなデータZとして(ステップS7)、処理をステップS3に移行し、以下、同様の処理を繰り返す。
ステップS6の判別において、i=4の場合には(ステップS6;Yes)、変数dmc(3)を左24ビットシフトした値と、dmc(2)を左16ビットシフトした値と、dmc(1)を左8ビットシフトした値と、dmc(0)の値と、の論理和をとり、32ビットの値とする(ステップS8)。
すなわち、得られた32ビットの値を構成する各ビット(第31ビット〜第0ビット)は、変数dmc(3)が第31ビット〜第24ビットとなり、dmc(2)が第23ビット〜第16ビットとなり、dmc(1)が第15ビット〜第8ビットとなり、dmc(0)が第7ビット〜第0ビットとなっている。
【0037】
次に得られた32ビットの値が、送信用ID22Bのビット数(=32ビット)で表現可能なID割当空間(4GB相当)内で特定の空間に集まらず、離散的に位置するように、得られた32ビットの値の第31ビット〜第1ビットを1ビット右シフトし、第0ビットを第31ビットとした値を送信用ID22Bとする(ステップS29)。
これらの結果、Zを0〜65535まで変化させることにより、65536個の送信用ID22Bを生成することができる。なお、実際には、当該管理サーバ10で管理する社員ID22Aの数に相当するだけの送信用ID22Bを生成すればよい。
なお、上述の送信用ID22Bの生成処理は一例であり、同様の冗長度、かつ、時間軸方向に沿った冗長性が得られ、送信用ID22Bのビット数で表現可能なID割当空間内で特定の空間に集まらず、離散的に位置するようにできれば、他の生成処理であっても構わない。また、以上の説明では、ビット数を16ビットとした場合について説明したが、所望の冗長性を失わない状態で変更することも可能である。例えば、ビット数を17ビットとしても良い。
【0038】
次にデータベース部44の所在記録データベース部44Bについて説明する。
データベース部44の所在記録データベース部44Bは、通過ゲート2を通過した社員Xの社員IDが通過日時と共に制御部40によって記録されるものである。したがって、所在記録データベース部44Bの記録に基づいて、社員の現在の所在や、入退室の時間や、社員Xの滞在時間などが管理可能となる。
【0039】
制御部40は、通信制御装置8から受信した仮想アドレス、送信用ID22B、タイムスタンプ及び装置IDに基づいて、データベースアクセス部46を介してデータベース部44の社員ID−送信用ID対応データベースを参照し、受信した仮想アドレス及び送信用ID22Bに対応する社員ID22Aを特定し、社員ID22Aに対応する社員Xがいずれの通過ゲート2を通過したかを特定し、この特定結果に基づいて、社員Xの社員IDを所在記録データベース部44Bに記録することとなる。
【0040】
この場合において、制御部40は、受信した仮想アドレス、送信用ID22Bに対応する社員ID22Aが社員ID−送信用ID対応データベース部44Aに存在しない場合には、当該送信用ID22BがIDカード20からの送信信号では無いと判断し、通信制御装置8から受け取った受信データを破棄することで、ノイズに起因してデータフォーマットが偶然的に所定のフォーマットと合致した受信データや、アンテナ間干渉やタグ間干渉の影響を受けた受信データを破棄する。
したがって、受信データの誤り検出訂正処理を行わないので、管理サーバ10における演算負荷を低減できるとともに、偶然的に読み出された送信用IDに起因する実際とは異なる所在記録が所在記録データベース部44Bに記録されることがない。
【0041】
また、ループアンテナ6の通信可能領域は、たかだか数メートルであるため、社員Xが歩行により、或いは、走って通過ゲート2を通過したとしても、各通信制御装置8が1秒間に数回(本実施形態では5回)の受信を行うことで、各通信制御装置8により複数回連続して社員Xが所持するIDカード20が検出される。
【0042】
このような構成の下、所在管理システム100においては、図1に示すように、社員Xが通過ゲート2を通過しようとして通過ゲート2に近づくと、この社員Xが所持するIDカード20が、一定時間ごとに検出を繰り返し行う通信制御装置8に検出される。
この結果、IDカード20のメモリ22に記録された送信用ID22Bが、通過ゲート2の通信制御装置8により受信され、仮想アドレス及び送信用ID22Bと共に、タイムスタンプ及び装置IDが受信データとして管理サーバ10に順次入力され、管理サーバ10は、データベースアクセス部46を介して社員ID−送信用ID対応データベース部44Aを参照して、仮想アドレス及び送信用ID22Bに対応する社員IDを読み出し、所在記録データベース部44Bに所在記録を記録する。
【0043】
次に通信制御装置8およびIDカード20の具体的な動作を説明する。
図10は、通信制御装置の処理フローチャートである。
図11は、IDカードの処理フローチャートである。
通信制御装置8の制御部30は、IDカード20の無線タグ21を待機モードから通常動作モードに移行させるウェイクアップタイミングであるか否かを判別する(ステップS11)。
このウェイクアップタイミングは、可変的に設定されるものであり、最後に通過ゲート2をIDカード20が通過してからの経過時間に応じて、徐々に長い時間に設定され、新たに通過ゲート2をIDカード20が通過すると、最も短い時間に再設定される。
ステップS11の判別において、未だウェイクアップタイミングではない場合には(ステップS11;No)、制御部30は待機状態となる。
【0044】
ステップS11の判別において、ウェイクアップタイミングに至った場合には、通信制御装置8の制御部30は、通過ゲート2近傍に位置しているかもしれない不特定のIDカード20の無線タグ21に対し、ウェイクアップ信号を所定時間送信する。具体的には、ウェイクアップ信号として無変調搬送波を例えば、235ms送信する(1秒に5回ウェイクアップ信号を送信し(200msec=1sec/5)、通信待ち時間35msecの場合)。この結果、通過ゲート2近傍に位置している不特定のIDカード20の無線タグ21は、スリープモード(あるいはHALTモード)から待ち受けモードに移行し、制御部30からのデータ読出要求を待ち受けることとなる。
次に制御部30は、通過ゲート2近傍に位置しているかもしれない不特定のIDカード20の無線タグ21を待ち受けモードに移行させるため、所定の通信待ち時間が経過したか否かを判別し(ステップS13)、所定の通信待ち時間が経過するまでは待機状態となる(ステップS13;No)。この場合において、無線タグ21が待ち受けモードに移行するのに必要とされる時間は、最大で数十Msecに設定されている。
【0045】
ステップS13の判別において、所定の通信待ち時間が経過すると(ステップS13;Yes)、制御部30は、当該IDカード20に対し、所定の仮想アドレスを読出アドレスとするデータ読出要求を送信する(ステップS14)。
一方、IDカード20の制御部26は、アンテナ28およびRF部24を介してデータ読出要求を受信すると(ステップS21)、データ読出要求に対応する読出アドレスを参照し、当該読出アドレスが仮想アドレスであるか否かを判別する(ステップS22)。
ステップS22の判別において、当該読出アドレスが仮想アドレスではない、すなわち、メモリ22の物理アドレスである場合には(ステップS22;No)、メモリ22の該当する読出アドレスからデータを読み出して(ステップS26)、RF部24及びアンテナ28を介して当該データを送信することとなる(ステップS25)。
【0046】
ステップS22の判別において、当該読出アドレスが仮想アドレスである場合には(ステップS22;Yes)、当該仮想アドレスが自己に予め割り当てられた仮想アドレスであるか否かを判別する(ステップS23)。具体的には、制御部26は、受信した読出アドレスがメモリ22に格納されている仮想アドレス22C−1〜C−nのいずれかと等しいか否かを判別し、いずれかの仮想アドレス22C−1〜C−nと等しい場合には、自己に予め割り当てられた仮想アドレスであると判別することとなる。
ステップS23の判別において、当該仮想アドレスが自己に予め割り当てられた仮想アドレスではない場合には(ステップS23;No)、処理を終了する。
ステップS23の判別において、当該仮想アドレスが自己に予め割り当てられた仮想アドレスである場合には(ステップS23;Yes)、IDコードレジスタ部22Yから送信用ID22Bを読み出し、RF部24及びアンテナ28を介して送信することとなる(ステップS25)。
【0047】
次に制御部30は、読出要求に対応するデータが読み出されたか否かを判別する(ステップS15)。
ステップS15の判別において、制御部30は、データが読み出された場合には(ステップS15;Yes)、読み出したデータに読出アドレスおよびタイムスタンプ付与部38によりタイムスタンプを付与し、装置ID付与部39により装置IDを付与して、ネットワークインタフェース部34を介して管理サーバ10に送信するデータ送信処理を行い(ステップS16)、処理を再びステップS14に移行する。
【0048】
ここで、送信用ID22Bを受信した管理サーバ10の動作を説明する。
図12は、管理サーバの処理フローチャートである。
管理サーバ10の制御部40は、ネットワークインタフェース部42を介して通信制御装置8から読出アドレス、データ(送信用ID22Bである場合も含む)、タイムスタンプ及び装置IDを受信し(ステップS31)、読出アドレスが予め割り当てられた仮想アドレスである場合には、データベースアクセス部46を介してデータベース部44の社員ID−送信用ID対応データベース部44Aを参照する(ステップS32)。
次に制御部40は、社員ID−送信用ID対応データベース部44Aに受信した仮想アドレスおよび送信用ID22Bの組み合わせが存在するか否か、すなわち、当該送信用ID22Bに一対一に対応する社員ID(任意ID)22Aが存在するか否かを判別する(ステップS33)。
ステップS33の判別において、社員ID−送信用ID対応データベース部44Aに受信した仮想アドレスおよび送信用ID22Bの組み合わせが存在する場合には(ステップS33;Yes)、制御部40は、データベースアクセス部46を介してデータベース部44の所在記録データベース部44Bにアクセスし、当該送信用ID22Bに相当する社員ID22Aに対応する社員の所在記録データを更新して(ステップS34)、処理を終了する。
【0049】
具体的には、制御部40は、所在記録データベース部44Bの所在記録リストにタイムスタンプに対応する時刻、装置IDに対応する所在位置を記録することとなる。
ステップS23の判別において、社員ID−送信用ID対応データベース部44Aに受信した仮想アドレスおよび送信用ID22Bの組み合わせが存在しない場合には(ステップS33;No)、制御部40は、受信したデータを破棄して処理を終了する(ステップS35)。
【0050】
このように、本実施形態の所在管理システム1によれば、管理サーバ10は、IDカード20が送信する仮想アドレスおよび送信用ID22Bの組み合わせに基づいてIDカード20に対応する所在管理を行うので、送信用ID22Bに用いるビット数が定まっている場合でも、ビット数による割当可能なID数の制限を超えて割り当てを行うことができる。また、その変更もソフトウェア的に行うことができ、柔軟なシステム構築が行える。
【0051】
さらに、送信用ID22Bは、そのビット配置がノイズパターンとは明らかに異なるパターンを有しているので、送信用ID22Bを容易にノイズから分離した状態で把握でき、任意に割り当てられる任意IDを特定する場合と比較して、通信状況が悪く、信号強度も低い場合であってもノイズから分離可能であり、ひいては、当該送信用IDに一対一に対応している任意IDを確実に特定することができる。すなわち、通過ゲート2を通過した社員Xを容易に特定することができる。
また、仮想アドレスとともに送信された送信用ID22Bが、社員ID−送信用ID対応データベース部44Aに登録されているか否かに基づいて正規のIDカード20であるか否かを判断しているため、不正なIDカードや既に失効したIDカードの通過や、ノイズの受信により誤って検出された社員IDを簡単に除外することができる。
【0052】
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
例えば、以上の説明では、社員の所在を管理する所在管理システムについて説明したが、施設の入場権限毎に仮想アドレスを設定し、入場可能な施設をゲートで管理するようなシステムについて適用が可能である。これにより、権限を有さない社員の入場を所定の施設で禁止したりすることが可能である。
また、上述した実施形態では、管理サーバ10が対応関係記憶部を構成する社員ID−送信用ID対応データベースを保有していたが、各通信制御装置8が対応関係記憶部を備え、管理サーバ10には、実際に存在する送信用IDが検出された場合にだけ、送信用IDおよび対応する情報(タイムスタンプ、装置IDなど)送信するように構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の無線タグ通信システムをある企業における所在管理システムに適用した場合の概要構成模式図である。
【図2】個別所在管理システムの概要構成ブロック図である。
【図3】個別所在管理システムの要部説明図である。
【図4】IDカードの機能的構成を模式的に示すブロック図である。
【図5】通信制御装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図6】管理サーバの機能的構成を示すブロック図である。
【図7】社員ID−送信用ID対応データベース部の説明図である。
【図8】IDカードのメモリのメモリ空間の説明図である。
【図9】送信用IDの生成処理フローチャートである。
【図10】通信制御装置の処理フローチャートである。
【図11】IDカードの処理フローチャートである。
【図12】管理サーバの処理フローチャートである。
【符号の説明】
【0054】
100…所在管理システム、100A〜100C…個別所在管理システム、2…通過ゲート、6…ループアンテナ、8…通信制御装置(リーダ装置)、10…サーバ、20…IDカード、21…無線タグ、22A…社員ID(任意ID)、22B…送信用ID、22C、22−1〜22−n…仮想アドレス、44…データベース部、44A…社員ID−送信用ID対応データベース(対応関係記憶部)、44B…所在記録データベース、X…社員。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想アドレス空間のアドレスである仮想アドレスをデータ読出アドレスとして指定して、データ読出要求を無線通信ネットワークを介して送信するリーダ装置と、
指定された前記仮想アドレスが自己に予め割り当てられた仮想アドレスである場合に、予め割り当てられ記憶していた送信用IDを読み出して、前記リーダ装置に対して前記無線通信ネットワークを介して送信する無線タグと、
を備えたことを特徴とする無線タグ通信システム。
【請求項2】
請求項1記載の無線タグ通信システムにおいて、
前記仮想アドレスは、一の前記無線タグに対し、複数割り当て可能とされていることを特徴とする無線タグ通信システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の無線タグ通信システムにおいて、
前記無線タグは、各種データを記憶する記憶部を備え、
前記データ読出アドレスが、前記記憶部の物理アドレス範囲外である場合に、当該データ読出アドレスが自己に予め割り当てられた仮想アドレスか否かを判別し、
当該データ読出アドレスが自己に予め割り当てられた仮想アドレスである場合に、前記記憶部の所定アドレスに格納された前記送信用IDを読み出す、
ことを特徴とする無線タグ通信システム。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の無線タグ通信システムにおいて、
前記送信用IDは、当該送信用IDの所定のビット数よりも少ないビット数で当該無線タグに割り当てられた原IDを変数とする所定の関数に基づいて、当該原IDのビット列を時間軸方向に冗長性を持つようにビットを再配置し、かつ、前記所定のビット数とすることにより得たことを特徴とする無線タグ通信システム。
【請求項5】
請求項4記載の無線タグ通信システムにおいて、
前記送信用IDに含まれる冗長ビット数は変更可能とされていることを特徴とする無線タグ通信システム。
【請求項6】
外部の無線通信ネットワークに接続されて通信を行う無線タグにおいて、
送信用IDを含む各種データを記憶する記憶部と、
前記無線通信ネットワークを介してデータ読出要求を受信する受信部と、
前記データ読出要求に含まれるデータ読出アドレスが、所定の仮想アドレス空間のアドレスである仮想アドレスであるか否かを判別する仮想アドレス判別部と、
前記仮想アドレス判別部の判別により前記データ読出アドレスが、仮想アドレスである場合に当該仮想アドレスが自己に予め割り当てられた仮想アドレスであるか否かを判別する割当アドレス判別部と、
前記割当アドレス判別部の判別により、前記仮想アドレスが自己に予め割り当てられた仮想アドレスである場合に、予め割り当てられ記憶していた送信用IDを読み出して、前記データ読出要求元に対して前記通信ネットワークを介して送信するデータ送信部と、
を備えたことを特徴とする無線タグ。
【請求項7】
送信用IDを含む各種データを記憶する記憶部を有し、外部の無線通信ネットワークに接続されて通信を行う無線タグの制御方法において、
前記無線通信ネットワークを介してデータ読出要求を受信する受信過程と、
前記データ読出要求に含まれるデータ読出アドレスが、所定の仮想アドレス空間のアドレスである仮想アドレスであるか否かを判別する仮想アドレス判別過程と、
前記仮想アドレス過程における判別により前記データ読出アドレスが、仮想アドレスである場合に当該仮想アドレスが自己に予め割り当てられた仮想アドレスであるか否かを判別する割当アドレス判別過程と、
前記割当アドレス判別過程における判別により、前記仮想アドレスが自己に予め割り当てられた仮想アドレスである場合に、予め割り当てられ記憶していた送信用IDを読み出して、データ読出要求元に対して前記通信ネットワークを介して送信するデータ送信過程と、
を備えたことを特徴とする無線タグの制御方法。
【請求項8】
送信用IDを含む各種データを記憶する記憶部を有し、外部の無線通信ネットワークに接続されて通信を行う無線タグをコンピュータにより制御するための制御プログラムであって、
前記無線通信ネットワークを介してデータ読出要求を受信させる機能と、
前記データ読出要求に含まれるデータ読出アドレスが、所定の仮想アドレス空間のアドレスである仮想アドレスであるか否かを判別させる機能と、
前記データ読出アドレスが、仮想アドレスである場合に当該仮想アドレスが自己に予め割り当てられた仮想アドレスであるか否かを判別させる機能と、
前記仮想アドレスが自己に予め割り当てられた仮想アドレスである場合に、予め割り当てられ記憶していた送信用IDを読み出させて、データ読出要求元に対して前記通信ネットワークを介して送信させる機能と、
を前記コンピュータに実現させることを特徴とする制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−26972(P2010−26972A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−190627(P2008−190627)
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】