無線タグ通信装置および無線タグ通信システム
【課題】収納場所に貼付された無線タグの情報を繰り返し読み取り可能として、同一の収納場所に関連する物品の棚卸の効率化および適切化を図ること。
【解決手段】リーダ110は、物品101の収納棚102に貼付された場所タグTa、物品101に貼付された物品タグTbからタグ識別情報を読み取る。リーダ110は、読み取られたタグ識別情報に基づいて、場所タグTaのタグ識別情報が読み取られたか否かを判定する。そして、リーダ110は、場所タグTaのタグ識別情報が読み取られたと判定され、情報の読み取りが不可能状態になった場所タグTaの情報の読み取りを可能状態に戻す再活性化情報を送信する。
【解決手段】リーダ110は、物品101の収納棚102に貼付された場所タグTa、物品101に貼付された物品タグTbからタグ識別情報を読み取る。リーダ110は、読み取られたタグ識別情報に基づいて、場所タグTaのタグ識別情報が読み取られたか否かを判定する。そして、リーダ110は、場所タグTaのタグ識別情報が読み取られたと判定され、情報の読み取りが不可能状態になった場所タグTaの情報の読み取りを可能状態に戻す再活性化情報を送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無線タグと通信可能な無線タグ通信装置および無線タグ通信システムに関し、特に、通信エリア内に位置し、情報の読み取りが可能状態である無線タグから情報を読み取る無線タグ通信装置および無線タグ通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、管理の対象となる物品に、その物品の識別番号などが記録されたRFID(Radio Frequency Identification)タグが貼付されている。物品の管理者や利用者は、RFIDリーダによってRFIDタグから物品の識別情報を読み取らせて、物品の棚卸などの管理をおこなう。
【0003】
近年では、管理の対象となる物品と、その物品が収納される収納場所とにRFIDタグを貼付して、所定の場所に置かれている物品が全部あるか、ないものは何かなどの管理をおこなう提案がされている(特許文献1)。この従来技術では、書籍管理をおこなうパソコンに接続されたリーダライタによって、書籍に貼付された書籍無線タグおよび書籍が収納される棚に貼付された棚無線タグとアンテナを介して無線通信をおこなう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−350205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ISO/IEC18000−6 Type Cの国際規格に準拠する仕様のRFIDタグは、情報の読み取りが可能な状態であるか不可能な状態であるかを示すフラグによって情報が重複して読み取られることを防いでいる。具体的には、無線タグのフラグは、待機状態ではフラグが「A」の状態になっている。無線タグは、リーダライタの通信エリアに位置し、たとえば、リーダライタがフラグ「A」を指定して読み取りを開始すると、フラグが「A」である無線タグは読み取りが可能な状態、フラグが「B」である無線タグは読み取りが不可能な状態である。フラグが「A」(読み取りが可能な状態)である無線タグは、情報が読み取られるとフラグが「B」(読み取りが不可能な状態)に反転し、無線タグが継続して通信エリアに位置する間は読み取りが不可能な状態に遷移する。フラグが「B」になった状態の無線タグの情報を読み取るためには、たとえば、リーダライタによって通信エリアに位置する無線タグのフラグを「A」に戻すように指示したり、無線タグを通信エリアからはずすことでフラグの状態を「A」に遷移させたりする必要があった。
【0006】
すなわち、上述した特許文献1に記載の従来技術では、上記国際規格に準拠する仕様のRFIDタグを用いると、RFIDリーダは、一旦情報を読み取った無線タグ(たとえば、従来技術では、書籍無線タグや棚無線タグ)については通信エリアからはずすか、リーダライタがフラグを「A」に戻すように指示し直して再び読み取りを開始しなければ再び情報を読み取ることができない。しかし、通信エリア内にある無線タグのフラグを「A」に戻して再び情報を読み取ると、通信エリア内にある既に読み取ったことのあるすべての無線タグを重複して読み取ってしまうという問題があった。
【0007】
特に、物品の棚卸では、リーダライタは、収納場所近辺を走査(移動)しながら物品に貼付された物品タグや収納場所に貼付された場所タグの情報を読み取る。リーダライタは、物品タグは重複して読み取りたくないが、現在の走査位置を知るために場所タグのみ継続して繰り返し読み取りたいという要求がある。しかし、場所タグが継続して通信エリアに位置する場合には、場所タグの情報を読み取り可能な通信エリアに位置する物品タグの情報を読み取る際に場所タグのみの情報を連続的に繰り返し読み取ることができなくなってしまうという問題があった。すなわち、上記従来技術では、通信エリアに継続して位置する間は情報を読み取りたい無線タグ(たとえば、場所タグ)があっても、効率的に繰り返して情報を読み取ることができないという問題があった。
【0008】
この発明は、上述した問題を解決するため、特定の無線タグに対して繰り返し情報の読み取りを可能とする無線タグ通信装置および無線タグ通信システムを提供することを目的とする。特に、同一の収納場所に関連する物品の棚卸を適切におこなうため、収納場所に貼付された無線タグの情報を繰り返し読み取り可能とする無線タグ通信装置および無線タグ通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかる無線タグ通信装置は、無線タグ通信装置によって情報の読み取りがおこなわれた後、引き続き前記無線タグ通信装置の通信エリア内に位置する場合には、情報の読み取りが不可能状態に遷移する無線タグと無線通信をおこなう無線タグ通信装置であって、物品の収納場所に貼付された場所タグまたは前記収納場所に関連付けられる前記物品に貼付された物品タグからタグ識別情報を読み取る読取手段と、前記読取手段によって読み取られたタグ識別情報に基づいて、前記場所タグのタグ識別情報が読み取られたか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によって前記場所タグのタグ識別情報が読み取られたと判定され、情報の読み取りが不可能状態になった前記場所タグの情報の読み取りを可能状態に戻す再活性化情報を送信する送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明にかかる無線タグ通信装置は、請求項1に記載の発明において、前記送信手段によって送信された前記再活性化情報に応じて読み取られる前記場所タグのタグ識別情報の連続読取回数が所定回数以下であるか否かを判断する判断手段と、前記判断手段によって判断された結果に基づいて、前記場所タグが貼付された前記収納場所に対する無線通信に関する状態を報知する報知手段と、をさらに備えることを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明にかかる無線タグ通信装置は、請求項1または2に記載の発明において、前記判定手段は、さらに前記場所タグのタグ識別情報が読み取られた前記通信エリア内で前記物品タグのタグ識別情報が読み取られたか否かを判定可能とし、前記送信手段は、前記判定手段によって前記物品タグのタグ識別情報が読み取られなかったと判定された場合、前記再活性化情報を送信しないことを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明にかかる無線タグ通信装置は、請求項1〜3のいずれか一つに記載の発明において、前記場所タグのタグ識別情報は、特定のビット列を含み、前記送信手段は、前記タグ識別情報に前記特定のビット列を含む前記無線タグの情報を読み取り可能状態にする前記再活性化情報を送信することを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明にかかる無線タグ通信システムは、無線通信によって無線タグから情報を読み取る無線タグ通信装置と、情報の読み取りがおこなわれた後、引き続き前記無線タグ通信装置の通信エリア内に位置する場合には、情報の読み取りが不可能状態に遷移する無線タグとを含む無線タグ通信システムであって、前記無線タグ通信装置は、物品の収納場所に貼付された場所タグまたは前記収納場所に関連付けられる前記物品に貼付された物品タグからタグ識別情報を読み取る読取手段を有し、前記無線タグは、情報の読み取りが可能状態で前記無線タグ通信装置の通信エリア内に位置する場合、情報の読み取りを不可能状態に遷移するとともに、前記無線タグ通信装置に自身のタグ識別情報を読み取らせる応答手段を有し、前記無線タグ通信装置は、前記無線タグから読み取られたタグ識別情報に基づいて、前記無線タグが前記場所タグか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によって前記場所タグのタグ識別情報が読み取られたと判定され、情報の読み取りが不可能状態に遷移した前記場所タグの情報の読み取りを可能状態に戻す再活性化情報を送信する送信手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1にかかる発明によれば、通信エリア内に位置する場所タグに対して再活性化情報を送信するため、場所タグに対してのみ効率的に繰り返して情報を読み取ることができる。また、場所タグを含む通信エリアの物品タグの情報を読み取る場合は、場所タグの情報も読み取ることができるため、無線タグ通信装置によって確実な棚卸をおこなうことができる。
【0015】
請求項2にかかる発明によれば、場所タグの情報の読み取りを繰り返した連続回数が所定回数以下か否かを判断して、無線通信に関する状態を報知できる。すなわち、無線タグ通信装置によって、連続して場所タグの情報を読み取った回数が所定回数よりも多くなるように場所タグや物品タグの読み取りをおこなうことができるため、その場所の物品タグを漏れなく読み取って、適切な棚卸をおこなうことができる。
【0016】
請求項3にかかる発明によれば、場所タグを含む通信エリアに読み取りができなかった物品タグがなくなり、繰り返して読み取る必要がなくなった場所タグに対しては再活性化情報の送信をおこなわない。したがって、無線タグ通信装置によって無駄な再活性化情報の送信をせずに効率的に棚卸をおこなうことができる。
【0017】
請求項4にかかる発明によれば、場所タグのタグ識別情報が特定のビット列を含む構成であるため、無線タグ通信装置によって読み取ったタグ識別情報が場所タグのものか物品タグのものか簡便に判定することができる。また、場所タグに対する再活性化情報の送信先を効率的に指定することができる。
【0018】
請求項5にかかる発明によれば、通信エリア内に位置する場所タグに対して再活性化情報を送信するため、場所タグに対してのみ効率的に繰り返して情報を読み取ることができる。また、場所タグを含む通信エリアの物品タグの情報を読み取る場合は、場所タグの情報も読み取ることができるため、利用者は、無線タグ通信システムによって確実な棚卸をおこなわせることができる。
【0019】
以上説明したように、本発明にかかる無線タグ通信装置および無線タグ通信システムによれば、特定の無線タグに対して繰り返し情報の読み取りを可能とすることができる。特に、収納場所に貼付された無線タグの情報を繰り返し読み取り可能とすることで、同一の収納場所に関連する物品の棚卸を適切におこなうことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態1にかかる物品棚卸システムの一例を示す説明図である。
【図2】本発明の実施形態1にかかる物品棚卸システムにおけるリーダの機能的構成の一例を示す説明図である。
【図3】本発明の実施形態1にかかる物品棚卸システムにおける無線タグの機能的構成の一例を示す説明図である。
【図4】本発明の実施形態1にかかるリーダと1つの無線タグとの間で送受される信号のタイムチャートの一例を示す説明図である。
【図5】本発明の実施形態1にかかるリーダの処理の内容を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態1にかかるリーダにおける一連のコマンド群処理の内容を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態1における無線タグTの状態の一例を示す説明図である。
【図8】本発明の実施形態1にかかるSelectコマンドの構成の一例を示す説明図である。
【図9】本発明の実施形態1にかかる無線タグの処理の内容を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施形態2にかかるリーダの処理の内容を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施形態2の変形例にかかるリーダの処理の内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる無線タグ通信装置および無線タグ通信システムの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0022】
(実施形態1)
(物品棚卸システムの概要)
図1を用いて、本発明の実施形態1にかかる物品棚卸システムについて説明する。図1は、本発明の実施形態1にかかる物品棚卸システムの一例を示す説明図である。なお、本実施形態1では、物品101の収納棚102における収納場所(収納棚102の各段ごと)に貼付された場所タグTaや物品101に貼付された物品タグTbと無線通信のおこなうリーダ110によって、本発明にかかる無線タグ通信装置を実現し、これら場所タグTa、物品タグTbと、リーダ110とからなる物品棚卸システム100によって、本発明にかかる無線タグ通信システムを実現する場合について説明する。
【0023】
利用者(たとえば、物品101を管理する管理者)は、書籍などの物品101の棚卸や探索をおこなう場合、リーダ110によって場所タグTaや物品タグTb(以下、場所タグTaと物品タグTbとを特に区別しない場合は、単に「無線タグT」ともいう)からタグ識別情報を読み取らせる。
【0024】
具体的には、リーダ110は、利用者の操作に基づき、リーダアンテナATによって順次形成される通信エリア111内に位置する無線タグTからタグ識別情報を読み取る。タグ識別情報は、たとえば、収納場所や物品101を示す情報である。すなわち、リーダ110は、収納場所や物品とタグ識別情報とが関連付けられた不図示の管理データに基づいて、タグ識別情報が読み取られた無線タグTの貼付された収納場所や物品を特定することができる。
【0025】
また、特に図示はしないが、物品101の棚卸や探索は、たとえば、管理サーバやリーダ110自身などの記憶媒体に記憶された無線タグTのタグ識別情報および物品101の現在位置(収納中や貸出中など)を示す管理データなどに基づいておこなう。すなわち、リーダ110は、通信エリア111内に位置する無線タグTからタグ識別情報を読み取ると、読み取ったタグ識別情報を記憶する。棚卸では、たとえば、その記憶されたタグ識別情報と、管理データ中のタグ識別情報とを比較して、物品101が正常(正しい現在位置)に収納されているか否かなどを確認する。また、探索では、探索対象となった物品101のタグ識別情報に合致するタグ識別情報を読み取ったか否かを確認する。
【0026】
ここで無線タグTは、無線タグTに記憶されているタグ識別情報の読み取りが可能状態であるか不可能状態であるかを示す読取情報としての既読フラグFlを制御部307(図3参照)のRAMに記憶している。既読フラグFlは、初期状態では、リーダ110が既読フラグFlが「A」の無線タグTの読み取りを開始した場合にタグ識別情報の読み取りが可能状態である「A」となっている。また、既読フラグFlは、無線タグTのタグ識別情報が読み取られると、タグ識別情報の読み取りが可能状態である「A」からタグ識別情報が不可能な状態である「B」となる。
【0027】
上記無線タグTに対して、リーダ110は、読み取られたタグ識別情報に基づいて、場所タグTaのタグ識別情報を読み取った場合は、場所タグTaの既読フラグFlを「A」にする再活性化情報としての再活性化信号を送信する。すなわち、リーダ110は、通信エリア111内に位置する無線タグTのうち場所タグTaに対しては、継続してタグ識別情報を読み取り可能となるようにしている。
【0028】
(機能的構成)
ここで、図2を用いて、物品棚卸システム100におけるリーダ110の機能的構成について説明する。図2は、本発明の実施形態1にかかる物品棚卸システムにおけるリーダの機能的構成の一例を示す説明図である。
【0029】
図2において、リーダ110は、リーダ110全体の制御をおこなう制御部211と、物品101や収納棚102に貼付された無線タグT(場所タグTa、物品タグTb)と無線通信をおこなうリーダアンテナATと、リーダアンテナATを介して無線タグTとの無線通信を制御する無線タグ通信制御部212と、各種情報の入力を受け付けて制御部211へ出力する操作部213と、表示用データの表示をおこなう表示部214と、外部装置との通信を制御する通信I/F215と、を備えている。また、リーダ110の各構成部は、バス210によってそれぞれ接続されている。
【0030】
制御部211は、リーダ110全体の制御を司る。具体的には、制御部211は、CPU(セントラルプロセッシングユニット)、ROM(リードオンリーメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、NVRAM(不揮発性RAM)などによって構成されており、ROMは、ブートプログラムなどの各種プログラムを記録している。RAMは、CPUのワークエリアとして使用される。NVRAMは、リーダ110の動作に用いるデータなどを不揮発に記憶している。
【0031】
無線タグ通信制御部212は、制御部211の制御に従って、リーダアンテナATを介して無線タグTと無線通信をおこなう。具体的には、無線タグ通信制御部212は、リーダアンテナATの通信エリア111内に位置し、制御部211が指定した既読フラグFlの状態、たとえば「A」の既読フラグFlをもつ無線タグTからタグ識別情報の読み取りをおこなう。詳細は図4を用いて説明するが、無線タグ通信制御部212は、無線タグTに対して、Selectコマンド、Query(QueryRep)コマンド、Ackコマンドなどの質問波をリーダアンテナATを介して送信する。そして、無線タグ通信制御部212は、質問波に応じて無線タグTから送信されるタグ識別情報を含む応答波をリーダアンテナATを介して受信する。
【0032】
無線タグ通信制御部212は、制御部211の制御に従って、タグ識別情報が読み取られた場所タグTaに再活性化信号を送信する。具体的には、制御部211は、タグ識別情報と収納場所や物品が関連付けられた管理データをNVRAMから読み出して、読み取られたタグ識別情報が場所タグTaを示す情報か否かを判定する。制御部211は、場所タグTaのタグ識別情報が読み取られた場合、継続して通信エリア111内に位置する場合でも再度タグ識別情報の読み取りを可能とするために再活性化信号を生成する。制御部211は、無線タグ通信制御部212を制御して、生成された再活性化信号を無線タグTへ送信する。
【0033】
操作部213は、利用者などから各種情報の入力を受け付ける。具体的には、操作部213は、タッチパネルや操作ボタンなどによって構成され、棚卸や探索に関する情報の入力を受け付けて、入力された信号を制御部211へ出力する。より具体的には、たとえば、操作部213は、表示部214に表示される画面表示に応じて棚卸や探索の選択決定などが入力される。
【0034】
表示部214は、制御部211の制御に従って各種情報の表示をおこなう。具体的には、表示部214は、CRT、TFT液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどによって構成され、文書や画像などによって棚卸や探索に関する画面を表示する。棚卸や探索に関する画面は、たとえば、リーダ110の処理を選択させる初期画面や、無線タグTを読み取り中であることを示す読取画面や、各種情報の確認画面などである。
【0035】
通信I/F215は、通信回線を通じてインターネットなどのネットワークに接続され、このネットワークを介して図示しない管理サーバなどの他の外部装置に接続される。また、通信I/F215は、ネットワークとリーダ110内部のインターフェースを司り、外部装置に対するデータの入出力を制御する。通信I/F215には、たとえば、モデムやLANアダプタなどを採用することができる。
【0036】
なお、各構成要素と、各機能を対応付けて説明すると、図2に示した制御部211が無線タグ通信制御部212を制御することによって、本発明にかかる読取手段および送信手段の機能を実現する。また、図2に示した制御部211によって、本発明にかかる判定手段の機能を実現する。
【0037】
つぎに、図3を用いて、物品棚卸システム100における無線タグTの機能的構成について説明する。図3は、本発明の実施形態1にかかる物品棚卸システムにおける無線タグの機能的構成の一例を示す説明図である。
【0038】
図3において、無線タグTは、リーダアンテナATと無線通信をおこなうタグアンテナ301と、タグアンテナに接続されたIC回路部350と、を有している。IC回路部350は、タグアンテナ301により受信されたSelectコマンド、Query(QueryRep)コマンド、Ackコマンドなどの質問波を整流する整流部302と、整流部302により整流された質問波の信号のエネルギを蓄積し駆動電源とするための電源部303と、タグアンテナ301により受信された質問波からクロック信号を抽出して制御部307に供給するクロック抽出部304と、タグ識別情報を記憶可能なメモリ部305と、タグアンテナ301に接続された変復調部306と、リーダ110からの応答要求コマンドの受信時に無線タグTが応答信号をどの識別スロットに出力するかを決定するための乱数を発生させる乱数発生器308と、クロック抽出部304、メモリ部305、変復調部306、および乱数発生器308などを介し無線タグTの作動を制御するための制御部307と、を備えている。
【0039】
クロック抽出部304は受信した信号からクロック成分を抽出し、受信した信号のクロック成分の周波数に対応したクロックを制御部307に供給する。
【0040】
メモリ305は、無線タグT(場所タグTa,物物品タグTb)が貼付された収納場所や物品101を特定するタグ識別情報を記憶している。具体的には、タグ識別情報は、数ビット(たとえば、96ビット)のビット列で構成されている。タグ識別情報は、たとえば、自身が貼付されている対象が収納場所か物品かを示す属性IDと、各収納場所や物品の固有IDとから構成されている。図示の例では、たとえば、タグ識別情報の0ビットから4ビットまでで属性IDを表し、5ビット以降で固有IDを表している。
【0041】
変復調部306は、タグアンテナ301により受信されたリーダ110のリーダアンテナATからの質問波の復調をおこない、また、制御部307からの返信信号を変調し、タグアンテナ301より応答波(タグ識別情報を含む信号)として送信する。
【0042】
制御部307は、CPU、ROM、RAM、NVRAMなどによって構成されており、ROMは、ブートプログラムなどの各種プログラムを記録している。RAMは、CPUのワークエリアとして使用される。
【0043】
制御部307は、RAMにリーダ110による無線タグTのタグ識別情報の読み取りが可能状態であるか不可能状態であるかを示す既読フラグFlの内容を反転可能に記憶している。具体的には、無線タグTは、ISO/IEC18000−6 Type Cの国際規格に準拠する仕様であり、たとえば、リーダ110が既読フラグFlが「A」の無線タグTを読み取ることを指定している場合、既読フラグFlが「A」であればタグ識別情報の読み取りが可能状態、「B」であればタグ識別情報の読み取りが不可能状態であることを示す。
【0044】
より具体的には、既読フラグFlは、無線タグTが物品101や収納棚102に貼付された初期状態では「A」となっている。状態が「A」である既読フラグFlは、リーダ110の通信エリア111内に無線タグTが位置することになりタグ識別情報が読み取られると、継続して通信エリア111内に無線タグTが位置する場合には「B」に反転して読み取りが不可能状態となる。状態が「B」となった既読フラグFlは、通信エリア111内に無線タグTが位置しなくなる(通信エリア111外に位置する)と、再び「A」に反転して初期状態となる。
【0045】
制御部307は、変復調部306により復調された受信信号を解釈し、メモリ部305において記憶された情報信号に基づいて返信信号を生成し、この返信信号を乱数発生器308により発生させた乱数に対応する識別スロットで変復調部306によりタグアンテナ301から返信する制御などの基本的な制御を実行する。制御部307は、本発明にかかる応答手段の機能を実現する。
【0046】
乱数発生器308は、リーダ110からの応答要求コマンドに指定されているスロット数指定値Q(以下、単に「Q値」ともいう)に対し、0から2Q−1までの乱数を発生させる。
【0047】
図4を用いて、本発明の実施形態1にかかるリーダ110と無線タグTとの間で送受される信号とその送受の概要について説明する。図4は、本発明の実施形態1にかかるリーダと1つの無線タグとの間で送受される信号のタイムチャートの一例を示す説明図である。図示の例は、公知のRandom−Slotted Collision arbitration方式に基づくEPC global Class−I Generation−II(ISO/IEC18000−6 Type C)の国際規格に準じたものであり、図中では左側から右側に向かって時系列変化するよう示している。
【0048】
なお、図中におけるSelectコマンドは、説明のため左側に示しているが、後述するように必要に応じて送信するコマンドである。具体的には、たとえば、Selectコマンドは、QueryコマンドやQueryRepコマンドの直前など、任意のタイミングでリーダ110から送信される。また、図中におけるリーダ110と無線タグTとの間の矢印は、信号の送信方向を示しており、送信相手が不特定である場合には一点鎖線で示し、送信相手が特定されている場合には実線で示している。
【0049】
図4において、リーダ110は、必要に応じて通信エリア111に位置する無線タグTに対してSelectコマンドを送信する。このSelectコマンドは、それ以降にリーダ110が無線通信をおこなう無線タグTの条件を指定するコマンドである。Selectコマンドは、たとえば、各無線タグTに対して各種条件を指定してタグ識別情報の読み取り対象とする無線タグTの既読フラグFlを「A」にさせる。すなわち、リーダ110は、Selectコマンドによって、タグ識別情報を読み取り対象とする無線タグTを限定することで無線通信の効率化を図ることができる。
【0050】
Selectコマンドを受信した無線タグTのうち、指定された条件を満たす無線タグTは、Selectコマンドを受信した後に無線通信をおこなえる状態(図中ではこの条件を満たす一つ無線タグTを示す)となる。すなわち、指定された条件を満たす無線タグTは、既読フラグFlが「B」である場合に既読フラグFlを「A」に反転させ、既読フラグFlが「A」である場合にはそのままの状態を保つ。詳細は図7および図8を用いて説明するが、Selectコマンドは、たとえば、通信エリア111に位置する場所タグTaに対する再活性化信号として送信される。
【0051】
リーダ110は、通信エリア111内に位置し、無線通信をおこなえる状態の無線タグ群に対してそれぞれのタグ識別情報を応答発信させるよう要求するQueryコマンド(読み取りコマンド)を送信する。Queryコマンドは、応答すると予想される無線タグTの数が不確定な条件下において探索をおこなうための探索指令である。Queryコマンドには、所定の数(たとえば、0から15までのいずれかの値)で指定するスロット数指定値Qが含まれている。すなわち、リーダ110は、無線タグ通信制御部212によってリーダアンテナATを介しQueryコマンドを送信する。そして、各無線タグTは、乱数発生器308により0から2Q−1(=2のQ乗−1)までの乱数を生成し、スロットカウント値SCとして保持する。
【0052】
リーダ110は、Queryコマンドを送信すると、所定の識別スロットで無線タグTからの応答を待ち受ける。識別スロットは、Queryコマンド(または後述するQueryRepコマンド)を始めに送信してから所定の期間で区分される時間枠である。識別スロットは、通常、所定回数(Queryコマンドの第1識別スロットが1回、および、QueryRepコマンドの第2以降の識別スロットが2Q回の合計2Q+1回)が連続して繰り返される。
【0053】
そして、既読フラグFlが「A」である無線タグTのうちスロットカウント値SCとして値0を生成したものは、このQueryコマンドを含んだ第1識別スロットで応答する。このとき、当該無線タグTは情報を送信する許可を得るためのたとえば16ビットの擬似乱数を用いたRN16レスポンスを応答信号としてリーダ110へ送信する。
【0054】
RN16レスポンスを受信したリーダ110は、RN16レスポンスに対応する内容で無線タグTへタグ識別情報の送信を許可するAckコマンドを送信する。Ackコマンドを受信した無線タグTは、無線タグT自身が先に送信したRN16レスポンスと受信したAckコマンドに同じRN16が含まれている場合、当該無線タグTの個体がタグ識別情報の送信を許可されたものとみなしてタグ識別情報を送信する。このようにして、一つの識別スロットにおける信号の送受信がおこなわれる。
【0055】
リーダ110は、さらに2番目以降の識別スロットでQueryコマンドの代わりにQueryRepコマンドを送信し、各識別スロット時間枠で他の無線タグT(特に図示せず)の応答を待つ。QueryRepコマンドを受信した各無線タグTは自身のスロットカウント値SCの値を一つだけ減算して保持し、スロットカウント値SCが値0になった時点の識別スロットでRN16レスポンスなどの信号の送受信をリーダ110との間でおこなう。
【0056】
なお、各識別スロットで該当する無線タグT(当該識別スロットでスロットカウント値SCが0であるもの)がない場合には、QueryコマンドまたはQueryRepコマンド以外の送受信がおこなわれないまま所定の時間枠でその識別スロットを終了することとなる。
【0057】
このように各無線タグTが異なる識別スロットで応答信号を返信することで、リーダアンテナATを介し、リーダ110は混信を受けることなく一つ一つの無線タグTのタグ識別情報を明確に受信し取り込むことができる。
【0058】
(物品棚卸システムの処理の内容)
図5〜図9を用いて、本発明の実施形態1にかかる物品棚卸システム100の処理の内容について説明する。まず、図5を用いて、本発明の実施形態1にかかるリーダ110の処理の内容について説明する。図5は、本発明の実施形態1にかかるリーダの処理の内容を示すフローチャートである。
【0059】
図5のフローチャートにおいて、まず、利用者が操作部213を操作して、無線タグTの読み取りを開始する(ステップS501)。具体的には、制御部211は、利用者によって操作部213を介して操作が開始(電源が投入)されたことを検知すると、ブートプログラムなどを起動させて、操作内容に応じて無線タグTの読み取りを開始する。
【0060】
制御部211は、一連のコマンド群処理によって、無線タグTの読み取りをおこなう(ステップS502)。具体的には、図1に示した場所タグTaや物品タグTbを含む無線タグTの読み取りをおこなう。
【0061】
ここで、図6および図7を用いて、図5に示したステップS502における一連のコマンド群処理の内容について説明する。図6は、本発明の実施形態1にかかるリーダにおける一連のコマンド群処理の内容を示すフローチャートである。
【0062】
図6のフローチャートにおいて、まず、リーダ110は、図5に示したステップS501において無線タグTの読み取りが開始されると、操作部213から通信エリア111内のタグ想定枚数の入力を受け付ける(ステップS601)。タグ想定枚数は、たとえば、表示部214に表示される入力画面に応じて入力を受け付けてもよいし、予め初期値が定められている構成でもよい。
【0063】
ここで、図7は、本発明の実施形態1における無線タグTの状態の一例を示す説明図である。本説明では、図6に示す一連のコマンド群処理の処理中における無線タグTの具体的な状態について図7を用いて説明していく。すなわち、図7では無線タグTの数量を3個とし、図6に示したステップS601においてタグ想定枚数として「3」を入力した場合について示している。
【0064】
図6に戻って、制御部211は、ステップS601において入力されたタグ想定枚数の値以上で、かつタグ想定枚数に最も近い値なるように2QのQを設定する(ステップS602)。または、後述するステップS603以降の処理でColl_countが設定されている場合は、Coll_countの2倍の値以上で、かつColl_countの2倍の値に最も近い値になるように2QのQを設定する(ステップS602)。
【0065】
制御部211は、各種パラメータの設定をおこなう(ステップS603)。具体的には、たとえば、各種パラメータの設定は、応答回数(図示の例ではQueryRepによる識別スロットの回数)を示すRep_countを2Q、タグ識別情報を読み取った無線タグTの数量を示すTag_countを0、無線タグTとの無線通信によって生じた衝突(タグ識別情報が正常に読み取れなかった)回数を示すColl_countを0、無線タグTからの応答がなかった回数を示すNoTag_countを0にそれぞれ設定する。
【0066】
制御部211は、無線タグ通信制御部212を制御して、リーダアンテナATの通信エリア111内に位置する無線タグTに対してQueryコマンドを、既読フラグFlを「A」に指定して送信する(ステップS604)。制御部211は、ステップS604においてQueryコマンドを送信すると、図4に示したように所定の識別スロット(たとえば、第1識別スロット)で無線タグTからの応答を待ち受ける。無線タグTは、Queryコマンドを受信すると、乱数発生器308により0から2Q−1(=2のQ乗−1)までの乱数を生成し、スロットカウント値SCとして保持する。
【0067】
ここで、図7(a)を用いて、ここまでのステップS601〜ステップS604までの処理後における無線タグTの具体的な状態について説明する。図7(a)は、図6に示したステップS604におけるQueryコマンド送信直後の各無線タグT(T1,T2,T3)のスロットカウント値SCと、既読フラグFlの状態とを示している。
【0068】
図7(a)に示した具体的な状態では、ステップS601においてタグ想定枚数として「3」が入力されているため、ステップS602におけるQの設定では、2Qが、「3」以上で、最も近い値となるようなQとして「2」が設定される。
【0069】
そして、Qが2であることからステップS603における各種パラメータの設定では、Rep_count(2Q)=4、Tag_count=0、Coll_count=0、NoTag_count=0がそれぞれ設定される。また、図7(a)では、無線タグTのスロットカウント値SCは、T1が「1」、T2が「2」、T3が「2」に設定されている。具体的には、スロットカウント値SCは、前述したように各無線タグTによって設定され、Qが2であることから0から2Q−1の範囲(0〜3)で設定されている。
【0070】
図6に戻って、制御部211は、ステップS604において送信されたQueryコマンドに応じて無線タグTからのタグ識別情報の読み取りがされたか否かを判断する(ステップS605)。図7(a)に示した状態の場合、既読フラグが「A」(読み取り可能状態)の各無線タグT(T1,T2,T3)のうち、スロットカウント値SCが「0」となっている無線タグTがないため、リーダ110に応答する無線タグTは存在しないこととなる。
【0071】
ステップS605において、無線タグTからのタグ識別情報の読み取りがなかった場合(ステップS605:No)は、制御部211は、無線タグTとの無線通信によって衝突があったか否かを判断する(ステップS607)。衝突は、たとえば、スロットカウント値SCが「0」である無線タグTが複数あり、同じ識別スロットに複数の無線タグTからの応答があった場合に生じる。すなわち、一つの識別スロットでは一つの無線タグTからの応答しか識別できないため、衝突が生じると、無線タグTからのタグ識別情報の読み取りが正常におこなわれないこととなる。
【0072】
具体的に、図7(a)に示した状態では、スロットカウント値SCが「0」である無線タグTがないため、各無線タグT(T1,T2,T3)からの応答はないので、ステップS607における衝突の判断では、衝突が生じていないと判断される。
【0073】
図6に戻って、ステップS607において、衝突がなかった場合(ステップS607:No)は、制御部211は、NoTag_countをインクリメントする(ステップS609)。
【0074】
具体的に、図7(a)に示した状態では、NoTag_countが「0」であるため、ステップS609では、NoTag_countが「0」から「1」にインクリメントされる。
【0075】
図6に戻って、制御部211は、これまでの処理で設定されている各種パラメータからQが0で、NoTag_countが1か否かを判断する(ステップS610)。この判断により、通信エリア111内にある無線タグTから情報をすべて読み取れたか否かを判断することとなる。
【0076】
具体的に、図7(a)に示した状態では、Qは「2」であり、NoTag_countは「1」であるため、ステップS610における判断では、Qが0ではない(あるいは、NoTag_countが1ではない)と判断されて、ステップS611へ移行することとなる。
【0077】
図6に戻って、ステップS610において、Qが0で、NoTag_countが1でない場合(ステップS610:No)は、制御部211は、これまでの処理で設定されたRep_countが0になっているか否かを判断する(ステップS611)。この判断により、ステップS603において設定された応答回数を実行したか否かが判断することとなる。
【0078】
具体的に、図7(a)に示した状態では、Rep_countは「4」であるため、ステップS611における判断では、Rep_countが0になっていないと判断されて、ステップS612へ移行する。
【0079】
図6に戻って、ステップS611において、Rep_countが0でない場合(ステップS611:No)は、制御部211は、Rep_countをデクリメントする(ステップS612)。
【0080】
具体的に、図7(a)に示した状態では、Rep_countが「4」であるため、ステップS612では、Rep_countが「4」から「3」にデクリメントされる。
【0081】
図6に戻って、制御部211は、無線タグ通信制御部212を制御して、リーダアンテナATの通信エリア111内に位置する無線タグTに対してQueryRepコマンドを送信し(ステップS613)、ステップS605へ移行する。具体的には、QueryRepコマンドは、無線タグTに対してスロットカウント値SCをデクリメント(1つ減算)するコマンドである。
【0082】
すなわち、図7(a)に示したT1が「1」、T2が「2」、T3が「2」の状態から図7(b)に示したT1が「0」、T2が「1」、T3が「1」の状態となる。スロットカウント値SCのデクリメントは、たとえば、既読フラグFlが「A」の無線タグについて、生成された乱数に応じて循環する構成である。すなわち、図7の例では、0〜3(=0〜2Q−1)までの乱数が生成されているため、QueryRepコマンドがあると既読フラグが「A」である場合に…→3→2→1→0→3→2→…の順に変更される。
【0083】
図7(b)は、1回目のQueryRepコマンド送信直後の各無線タグT(T1,T2,T3)のスロットカウント値SCと、既読フラグFlの状態とを示している。なお、図7(b)の状態では、各種パラメータは、ステップS609およびステップS612の処理によって、Rep_count=3、Tag_count=0、Coll_count=0、NoTag_count=1となっている。
【0084】
図6に戻って、ステップS605において、無線タグTからのタグ識別情報の読み取りがあった場合(ステップS605:Yes)は、制御部211は、Tag_countをインクリメントし、RAMなどに読み取った無線タグTのタグ識別情報を記録して(ステップS606)、ステップS611へ移行する。図7(b)に示した状態の場合、各無線タグT(T1,T2,T3)のうち、スロットカウント値SCが「0」となっている無線タグT1からの応答によってタグ識別情報を読み取る構成である。具体的には、無線タグT1からのタグ識別情報の読み取りは、前述したようにスロットカウント値SCが「0」となっている無線タグT1から情報(タグ識別情報)を送信する許可を求めるための擬似乱数を用いたRN16レスポンスを応答信号として受信し、情報の送信を許可するためにそのRN16が含まれているAckコマンドを無線タグTに送信した場合におこなわれる。そして、タグ識別情報が読み取られると無線タグT1の既読フラグFlは、「A」から「B」に遷移してタグ識別情報の読み取りが不可能状態となる。
【0085】
制御部211は、Rep_countが0になっているか否かを判断する(ステップS611)。
【0086】
具体的に、図7(b)に示した状態では、Rep_countは「3」であるため、ステップS611における判断では、Rep_countが0になっていないと判断されて、ステップS612へ移行する。
【0087】
すなわち、図6に戻って、ステップS611において、Rep_countが0でない場合(ステップS611:No)は、制御部211は、Rep_countをデクリメントする(ステップS612)。
【0088】
図7(b)に示した状態では、Rep_countは「3」であるため、ステップS612では、Rep_countが「3」から「2」にデクリメントされる。
【0089】
図6に戻って、制御部211は、QueryRepコマンドを送信し(ステップS613)、ステップS605へ移行する。具体的には、QueryRepコマンドによってスロットカウント値SCがデクリメントされる。すなわち、図7(b)に示したT1が「0」、T2が「1」、T3が「1」の状態から図7(c)に示したT1が「0」、T2が「0」、T3が「0」の状態となる。
【0090】
図7(c)は、2回目のQueryRepコマンド送信直後の各無線タグT(T1,T2,T3)のスロットカウント値SCと、既読フラグFlの状態とを示している。なお、図7(c)の状態では、各種パラメータは、ステップS606およびステップS612の処理によって、Rep_count=2、Tag_count=1、Coll_count=0、NoTag_count=1となっている。
【0091】
図7(c)の状態では、既読フラグが「A」(読み取り可能状態)の各無線タグT(T2,T3)のスロットカウント値SCがいずれも「0」となっているため、同じ識別スロットで応答をおこなう(衝突が生じる)こととなり、リーダ110はタグ識別情報の読み取りをおこなうことができない。
【0092】
図6に戻って、ステップS605において、無線タグTからのタグ識別情報の読み取りがなかった場合(ステップS605:No)は、制御部211は、無線タグTとの無線通信によって衝突があったか否かを判断する(ステップS607)。
【0093】
ステップS607において、衝突があった場合(ステップS607:Yes)は、制御部211は、Coll_countをインクリメントする(ステップS608)。
【0094】
図7(c)に示した状態では、無線タグT2と無線タグT3のスロットカウント値が同じであるため、無線タグT2と無線タグT3の応答に衝突が生じて、ステップS608では、Coll_countが「0」から「1」にインクリメントされる。
【0095】
図6に戻って、制御部211は、これまでの処理で設定されている各種パラメータからQが0で、NoTag_countが1か否かを判断する(ステップS610)。
【0096】
具体的に、図7(c)に示した状態では、Qは「2」であり、NoTag_countは「1」であるため、ステップS610における判断では、Qが0ではないと判断されて、ステップS611へ移行することとなる。
【0097】
図6に戻って、ステップS610において、Qが0で、NoTag_countが1でない場合(ステップS610:No)は、制御部211は、Rep_countが0になっているか否かを判断する(ステップS611)。
【0098】
具体的に、図7(c)に示した状態では、Rep_countは「2」であるため、ステップS611における判断では、Rep_countが0になっていないと判断されてステップS612へ移行する。
【0099】
図6に戻って、ステップS611において、Rep_countが0でない場合(ステップS611:No)は、制御部211は、Rep_countをデクリメントする(ステップS612)。
【0100】
具体的に、図7(c)に示した状態では、Rep_countが「2」であるため、ステップS612では、Rep_countが「2」から「1」にデクリメントされる。
【0101】
図6に戻って、制御部211は、QueryRepコマンドを送信し(ステップS613)、ステップS605へ移行する。具体的には、QueryRepコマンドによってスロットカウント値SCがデクリメントされる。すなわち、図7(c)に示したT1が「0」、T2が「0」、T3が「0」の状態から図7(d)に示したT1が「0」、T2が「3」、T3が「3」の状態となる。
【0102】
図7(d)は、3回目のQueryRepコマンド送信直後の各無線タグT(T1,T2,T3)のスロットカウント値SCと、既読フラグFlの状態とを示している。なお、図7(d)の状態では、各種パラメータは、ステップS608およびステップS612の処理によって、Rep_count=1、Tag_count=1、Coll_count=1、NoTag_count=1となっている。
【0103】
すなわち、図7(d)の状態では、既読フラグが「A」(読み取り可能状態)の各無線タグT(T2,T3)のうち、スロットカウント値SCが「0」となっている無線タグTがないため、リーダ110に応答する無線タグTは存在しない。したがって、無線タグTからのタグ識別情報の読み取りがなく(ステップS605:No)、衝突も生じない(ステップS607:No)ため、制御部211は、NoTag_countをインクリメントする(ステップS609)。
【0104】
具体的に、図7(d)に示した状態では、NoTag_countが「1」であるため、ステップS609では、NoTag_countが「1」から「2」にインクリメントされる。
【0105】
図6に戻って、制御部211は、これまでの処理で設定されている各種パラメータからQが0で、NoTag_countが1か否かを判断する(ステップS610)。
【0106】
具体的に、図7(d)に示した状態では、Qは「2」であり、NoTag_countは「2」であるため、ステップS610における判断では、Qが0ではない(あるいは、NoTag_countが1ではない)と判断されて、ステップS611へ移行することとなる。
【0107】
図6に戻って、ステップS610において、Qが0で、NoTag_countが1でない場合(ステップS610:No)は、制御部211は、Rep_countが0になっているか否かを判断する(ステップS611)。
【0108】
具体的に、図7(d)に示した状態では、Rep_countは「1」であるため、ステップS611における判断では、Rep_countが0になっていないと判断されて、ステップS612へ移行する。
【0109】
すなわち、図6に戻って、ステップS611において、Rep_countが0でない場合(ステップS611:No)は、Rep_countをデクリメントする(ステップS612)。
【0110】
具体的に、図7(d)に示した状態では、Rep_countが「1」であるため、ステップS612では、Rep_countが「1」から「0」にデクリメントされる。
【0111】
図6に戻って、制御部211は、QueryRepコマンドを送信し(ステップS613)、ステップS605へ移行する。具体的には、QueryRepコマンドによってスロットカウント値SCがデクリメントされる。すなわち、図7(d)に示したT1が「0」、T2が「3」、T3が「3」の状態から図7(e)に示したT1が「0」、T2が「2」、T3が「2」の状態となる。
【0112】
図7(e)は、4回目のQueryRepコマンド送信直後の各無線タグT(T1,T2,T3)のスロットカウント値SCと、既読フラグFlの状態とを示している。なお、図7(e)の状態では、各種パラメータは、ステップS609およびステップS612の処理によって、Rep_count=0、Tag_count=1、Coll_count=1、NoTag_count=2となっている。
【0113】
すなわち、図7(e)の状態では、既読フラグが「A」(読み取り可能状態)の各無線タグT(T2,T3)のうち、スロットカウント値SCが「0」となっている無線タグTがないため、リーダ110に応答する無線タグTは存在しない。したがって、無線タグTからのタグ識別情報の読み取りがなく(ステップS605:No)、衝突も生じない(ステップS607:No)ため、制御部211は、NoTag_countをインクリメントする(ステップS609)。
【0114】
具体的に、図7(e)に示した状態の場合、NoTag_countが「2」であるため、ステップS609では、NoTag_countが「2」から「3」にインクリメントされる。
【0115】
図6に戻って、制御部211は、これまでの処理で設定されている各種パラメータからQが0で、NoTag_countが1か否かを判断する(ステップS610)。
【0116】
具体的に、図7(e)に示した状態では、Qは「2」であり、NoTag_countは「3」であるため、ステップS610における判断では、Qが0ではない(あるいは、NoTag_countが1ではない)と判断されて、ステップS611へ移行することとなる。
【0117】
図6に戻って、ステップS610において、Qが0で、NoTag_countが1でない場合(ステップS610:No)は、制御部211は、Rep_countが0になっているか否かを判断する(ステップS611)。
【0118】
具体的に、図7(e)に示した状態では、Rep_countは「0」となっているため、ステップS611における判断では、Rep_countが0になっていると判断される。
【0119】
ステップS611において、Rep_countが0になっている場合(ステップS611:Yes)は、ステップS602へ戻って処理を繰り返す。すなわち、ステップS602では、図7(e)に示した状態の場合は、Coll_countが1であるため、新たにQを1に設定して処理を繰り返す。このような処理を繰り返して、各無線タグT(図7(e)では、T2およびT3)のスロットカウント値SCが異なる値となって衝突が生じなくなる(ステップS605において、無線タグT2,T3のタグ読取が検出される)と、ステップS602においてQが0に設定される(Coll_countが0となってからステップS602へ移行)。
【0120】
そして、Qが0に設定されてから、タグ識別情報の読み取りおよび衝突がなくなる(ステップS605:No、かつステップS607:No)と、ステップS610において、Qが0で、NoTag_countが1となり(ステップS610:Yes)、一連のコマンド群処理を終了する。
【0121】
図5に戻って、制御部211は、ステップS502において読み取られた無線タグTの中に場所タグTaがあるか否かを判断する(ステップS503)。具体的には、たとえば、図6に示したステップS606において記憶されたタグ識別情報の中に、場所タグTaを示すタグ識別情報があるか否かを判断する。より具体的には、たとえば、タグ識別情報と収納場所や物品が関連付けられた管理データを参照して、ステップS606において記憶されたタグ識別情報が収納場所と関連付けられたものか否かを判断したり、ステップS606において記憶されたタグ識別情報の属性IDが収納場所を示すものか否かを判断したりする。
【0122】
ステップS503において、場所タグTaが読み取られていない場合(ステップS503:No)は、ステップS502に戻って処理を繰り返す。
【0123】
ステップS503において、場所タグTaが読み取られた場合(ステップS503:Yes)は、制御部211は、場所タグTaの既読フラグFlを反転させるSelectコマンドを送信する(ステップS504)。すなわち、ステップS504では、一連のコマンド群処理によって、既読フラグが「B」に遷移して読み取りが不可能状態となった場所タグTaの既読フラグを「A」に戻す再活性化信号を送信する。
【0124】
ここで、図8を用いて、本発明の実施形態1にかかる再活性化信号としてのSelectコマンドの概要について説明する。図8は、本発明の実施形態1にかかるSelectコマンドの構成の一例を示す説明図である。
【0125】
図8において、Selectコマンド800は、ポインタ801と、レングス802と、マスクビット803と、指示内容804と、を含み構成されている。ポインタ801、レングス802およびマスクビット803は、Select信号の送信先となる場所タグTaを指定する構成である。
【0126】
具体的には、ポインタ801は、無線タグTにおけるタグ識別情報のうち、Selectコマンド800で指定するビット列が開始される位置を示す。レングス802は、無線タグTにおけるタグ識別情報のうち、Select信号800で指定するビット列の長さ(1ビット以上)を示す。これらポインタ801と、レングス802とによって、Select信号800で指定するビット列の開始位置およびビット列の長さが指定される。
【0127】
マスクビット803は、無線タグTにおけるタグ識別情報のうち、Selectコマンド800で指定する部分の値を示す。具体的には、マスクビット803は、目標とする無線タグTにおけるタグ識別情報のうち、ポインタ801と、レングス802とによって指定された開始位置および長さの部分の値である。
【0128】
具体的には、たとえば、図3に示したタグ識別情報のうち属性IDを指定する場合は、ポインタ801によって「0」を指定し、レングス802によって「4」を指定し、マスクビット803によって「XXXX」を指定することとなる。すなわち、ポインタ801、レングス802およびマスクビット803によって、タグ識別情報のうち、Selectコマンドの送信対象となる無線タグTを特定するのに十分な範囲およびその値を指定する。
【0129】
指示内容804は、ポインタ801、レングス802およびマスクビット803によって指定された無線タグTに対して送信する指示の内容である。具体的には、本実施形態1では、既読フラグFlを「A」に反転させる指示を含む内容である。すなわち、Selectコマンド800は、ポインタ801、レングス802およびマスクビット803によって送信先となる無線タグT(本実施形態1では場所タグTa)を指定し、指定した無線タグTに対して指示内容804によって既読フラグFlを「A」とする指示をおこなう。
【0130】
図5に戻って、制御部211は、読取終了命令があったか否かを判断する(ステップS505)。読取終了命令は、たとえば、利用者が操作部213を操作して入力することとしてもよいし、棚卸や探索などの処理が終了した場合に表示部214などによってその旨を報知して読取終了命令を促すこととしてもよい。
【0131】
ステップS505において、読取終了命令がない場合(ステップS505:No)は、制御部211は、ステップS502に戻って処理を繰り返す。ステップS505において、読取終了命令があった場合(ステップS505:Yes)は、制御部211は、NAKコマンドを発行して(ステップS506)、一連の処理を終了する。NAKコマンドは、すべての無線タグTをQueryコマンドを受信する前の状態に戻すコマンドである。なお、本実施形態1では、このNAKコマンドの発行がなくても通信エリア111の外に位置する無線タグTは初期状態となる構成である。
【0132】
なお、図5のフローチャートでは詳細な説明を省略したが、ステップS504では、ステップS503においてタグ識別情報が読み取られた場所タグTaの既読フラグFlが「A」となるようにSelectコマンド800を送信する。このSelectコマンド800は、たとえば、ステップS503において読み取られた特定の場所タグTaに対するコマンドであってもよいし、ステップS503において場所タグTaが読み取られた場合に場所タグTaを区別せず(すべての場所タグTa)に対するコマンドであってもよい。
【0133】
具体的には、ステップS503において読み取られた場所タグTaのタグ識別情報に基づいて、該場所タグTaを指定するためのポインタ801、レングス802およびマスクビット803を決定する。そしてタグ識別情報が読み取られた特定の場所タグTaに対して、既読フラグFlを「A」に反転するSelectコマンド800を送信する。このようにすれば、既読フラグFlが「B」になった場所タグTaの既読フラグFlを的確に「A」に戻すことができる。
【0134】
また、ステップS503において場所タグTaが読み取られた場合、タグ識別情報のうち収納場所を示す属性IDの部分を指定して、通信エリア111内に位置する場所タグTaにSelectコマンド800を送信すれば、通信エリア111内に位置するすべての場所タグTaの既読フラグFlは「A」に保つことができる。このようにすれば、通信エリア111内に複数の場所タグTaがあっても、1回のSelectコマンド800を送信すればよいため、効率的なSelectコマンド800の送信をおこなうことができる。
【0135】
具体的には、場所タグTaのタグ識別情報が場所タグTaであることを示す特定の1以上のビット列(属性ID)を含む場合、ステップS503における場所タグTaの判断も特定のビット列を比較するだけでよいため、場所タグを読み取ったか否かの判断を効率的におこなうことができる。さらに、Selectコマンド800のポインタ801、レングス802およびマスクビット803部分も一定であるため、場所タグTaを読み取った場合にはリーダ110内部に予め準備しておいたSelectコマンド800を送信する構成として、効率的に場所タグTaの既読フラグFlを「A」としておくことができる。
【0136】
つぎに、図9を用いて、本発明の実施形態1にかかる無線タグTの処理の内容について説明する。図9は、本発明の実施形態1にかかる無線タグの処理の内容を示すフローチャートである。図9のフローチャートにおいて、まず、制御部307は、タグアンテナ301を介して、リーダ110からSelectコマンドを受信したか否かを判断する(ステップS901)。Selectコマンドは、たとえば、図5に示したステップS504においてリーダ110から送信され、既読フラグFlが「B」である場所タグTaという指定条件に対して、指定条件を満たす無線タグTの既読フラグFlを「A」に反転させる再活性化信号である。
【0137】
ステップS901において、Selectコマンドを受信した場合(ステップS901:Yes)は、制御部307は、自身の状態が、受信したSelectコマンドにおける指定条件を満たすか否かを判断する(ステップS902)。具体的には、たとえば、制御部307は、自身のタグ識別情報が、図8に示したポインタ801、レングス802およびマスクビット803によって指定され、既読フラグが「B」である場合に指定条件を満たすと判断する。
【0138】
ステップS902において、指定条件を満たさない場合(ステップS902:No)は、ステップS901に戻って処理を繰り返す。また、ステップS902において、指定条件を満たす場合(ステップS902:Yes)は、制御部307は、既読フラグFlを「A」に設定し(ステップS903)、ステップS901へ移行する。
【0139】
ステップS901において、Selectコマンドを受信しなかった場合(ステップS901:No)は、制御部307は、タグアンテナ301を介して、リーダ110からQueryコマンドを受信したか否かを判断する(ステップS904)。Queryコマンドは、たとえば、図6に示したステップS604においてリーダ110から送信される。
【0140】
ステップS904において、Queryコマンドを受信しなかった場合(ステップS904:No)は、ステップS912へ移行する。また、ステップS904において、Queryコマンドを受信した場合(ステップS904:Yes)は、制御部307は、自身の既読フラグFlが「A」であるか否かを判断する(ステップS905)。
【0141】
ステップS905において、既読フラグFlが「A」でなかった場合(ステップS905:No)は、ステップS912へ移行する。また、ステップS905において、既読フラグFlが「A」だった場合(ステップS905:Yes)は、制御部307は、ステップS904において受信されたQueryコマンドで指定されるQに基づいて、スロットカウント値を設定する(ステップS906)。また、ステップS906では、後述するステップS908におけるQueryRepコマンドを受信した場合(ステップS908:Yes)は、既に設定されているスロットカウント値SC1つ減算する。
【0142】
つづいて、制御部307は、ステップS906において設定されたスロットカウント値SCが0か否かを判断する(ステップS907)。ステップS907において、スロットカウント値SCが0でない場合(ステップS907:No)は、制御部307は、タグアンテナ301を介して、リーダ110からQueryRepコマンドを受信したか否かを判断する(ステップS908)。QueryRepコマンドは、たとえば、図6に示したステップS613においてリーダ110から送信される。
【0143】
ステップS908において、QueryRepコマンドを受信しなかった場合(ステップS908:No)は、ステップS912へ移行する。また、ステップS908において、QueryRepコマンドを受信した場合(ステップS908:Yes)は、ステップS906へ移行して処理を繰り返す。すなわち、制御部307は、ステップS908においてQueryRepコマンドを受信すると、スロットカウント値SCを1つ減算する構成である。
【0144】
ステップS907において、スロットカウント値が0の場合(ステップS907:Yes)は、制御部307は、タグアンテナ301を介して、リーダ110に対して応答をおこなう(ステップS909)。この応答によって、たとえば、図6に示したステップS605においてリーダ110によってタグ識別情報の読み取りがおこなわれる。具体的には、応答は、前述したように情報を送信する許可を得るため擬似乱数を用いたRN16レスポンスを応答信号としてリーダ110に送信し、リーダ110から同じRN16が含まれているAckコマンドを受信した場合にタグ識別情報の送信を許可されたものとみなしてタグ識別情報を送信する。
【0145】
つぎに、制御部307は、ステップS909において実行された応答について、リーダ110によって、正常にタグ識別情報が読み取られたか否かを判断する(ステップS910)。特に図示はしないが、ステップS910における判断は、たとえば、図6に示したステップS606でリーダ110によってタグ読み取りが正常におこなわれた場合に、その旨を示す情報をリーダ110から受信したり、ステップS607でリーダ110によってタグ読み取りが正常におこなわれなかった場合に、その旨を示す情報をリーダ110から受信したりする。
【0146】
ステップS910において、タグ識別情報が正常に読み取られなかった場合(ステップS910:No)は、ステップS908へ移行する。また、ステップS910において、タグ識別情報が正常に読み取られた場合(ステップS910:Yes)は、制御部307は、タグアンテナ301を介して、リーダ110からつぎのQueryコマンドやQueryRepコマンドを受信すると、既読フラグFlを「B」に設定する。
【0147】
制御部307は、タグアンテナ301を介して、リーダ110からNAKコマンドを受信したか否かを判断する(ステップS912)。NAKコマンドは、たとえば、図5に示したステップS506においてリーダ110から送信される。
【0148】
ステップS912において、NAKコマンドを受信した場合(ステップS912:Yes)は、制御部307は、自身の状態を初期状態に戻し(ステップS913)、ステップS901に戻って処理を繰り返す。初期状態は、たとえば、リーダ110と通信をおこなう前の状態であり、既読フラグFlを「A」に設定する。
【0149】
ステップS912において、NAKコマンドを受信しなかった場合(ステップS912:No)は、制御部307は、無線タグTがリーダ110の通信エリア111外に位置するか否かを判断する(ステップS914)。具体的には、制御部307は、リーダ110からの質問波(Selectコマンド、Queryコマンドなどの各種コマンド)の送信が所定時間なかった場合に、自身が通信エリア111の外に位置すると判断する。
【0150】
ステップS914において、通信エリア111外に位置する場合(ステップS914:Yes)は、制御部307は、自身の状態を初期状態に戻し(ステップS913)、ステップS901に戻って処理を繰り返す。また、ステップS914において、通信エリア111外に位置しない場合(ステップS914:No)は、ステップS901に戻って処理を繰り返す。
【0151】
なお、本発明の各構成要素における処理と、本発明の実施形態1の各処理または各機能とを関連付けて説明すると、ステップS501、ステップS502における制御部211、無線タグ通信制御部212およびアンテナATの処理によって、本発明にかかる読取手段の処理が実行される。ステップS503における制御部211の処理によって、本発明にかかる判定手段の処理が実行される。ステップS504における制御部211、無線タグ通信制御部212およびアンテナATの処理によって、本発明にかかる送信手段の処理が実行される。
【0152】
以上説明したように、本発明の実施形態1にかかるリーダおよび物品棚卸システムによれば、タグ識別情報を読み取った場所タグに対して、繰り返してタグ識別情報を読み取れるようにSelectコマンドを発行できる。すなわち、繰り返しタグ識別情報が読み取れていることを確認したい場所タグに対してのみ効率的に既読フラグをタグ識別情報の読み取りを可能状態に保つことができる。換言すれば、繰り返し場所タグのタグ識別情報を読み取り可能にすることで、効率的に棚卸時にどの場所の棚卸を実行しているのかを確認することができる。
【0153】
また、本発明の実施形態1にかかるリーダおよび物品棚卸システムによれば、場所タグのタグ識別情報は、特定のビット列を含む構成であるため、リーダによって読み取られた無線タグが場所タグか否かを容易に判定することができ、効率的な再活性化信号の送信をおこなうことができる。
【0154】
(その他の一部の変形例)
なお、本発明の実施形態1では特に、図5に示したステップS503において、場所タグを読み取ったか否かに応じてSelectコマンドを送信することとして説明したが、さらに、物品タグを読み取ったか否かに応じてSelectコマンドを送信する構成としてもよい。具体的には、場所タグを読み取った場合であっても、物品タグを読みとらなかった場合は、Selectコマンドの送信をおこなわない構成としてもよい。このようにすれば、場所タグ近辺の物品タグが十分に読み取られた(棚卸が十分に実行された)場合に、無駄にSelectコマンドを送信することがなくなり、効率化を図ることができる。またこの際、表示部214によって、当該場所タグ近辺の棚卸を終了する(次の場所へ移動する)ことを促すこととすれば、適切かつ効率的な棚卸を遂行することができる。
【0155】
なお、本実施形態1では、主にリーダによって物品の棚卸をおこなう場合について説明をしてきたが、物品の探索に適用してもよい。すなわち、物品を探索する場合にも、探索した場所の場所タグを繰り返し読み取るようにすることで、適切な物品の探索がおこなえることとなる。
【0156】
(実施形態2)
つぎに、本発明の実施形態2ついて説明する。本発明の実施形態2は、実施形態1で説明したリーダおよび物品棚卸システにおいて、場所タグが読み取れた連続回数に応じて、リーダと場所タグとの無線通信の状態を報知する場合について説明する。なお、本実施形態2にかかる物品棚卸システムの概要、リーダの機能的構成および無線タグの機能的構成、無線タグの処理の内容について、実施形態1とほぼ同様である部分は説明を省略する。
【0157】
本実施形態2において、図2に示した制御部211は、リーダアンテナATを介して読み取られた無線タグTのタグ識別情報に基づいて、場所タグTaのタグ識別情報を読み取った連続回数が所定回数以下か否かを判断する。具体的には、制御部211は、同一の場所タグTaのタグ識別情報を連続して何回読み取ったかを計数し、RAMなどに一時記憶する。制御部211は、場所タグTaを読み取った連続回数と、所定回数とを比較する。
【0158】
表示部214は、制御部211の制御に従って、場所タグTaとリーダ110との無線通信に関する状態を報知する。具体的には、制御部211は、場所タグTaを読み取った連続回数が所定回数以下だった場合、表示部214を制御して、利用者に場所タグTa付近の無線タグTの読み取りが不十分である旨などを報知する。換言すれば、場所タグTaを連続して所定回数よりも多く読み取れなかったため、当該場所タグTaの近辺の棚卸が不十分である可能性があることを報知する構成である。
【0159】
このように、場所タグTaを読み取った連続回数が所定回数以下だった場合に、利用者にその旨を報知することによって、連続回数が所定回数以下となる移動(走査)での棚卸に対して注意喚起をおこなって適切な棚卸を促すことができる。
【0160】
なお、各構成要素と、各機能を対応付けて説明すると、図2に示した制御部211によって、本発明にかかる判断手段の機能を実現する。また、図2に示した制御部211が表示部214を制御することによって、本発明にかかる報知手段の機能を実現する。
【0161】
(物品棚卸システムの処理の内容)
図10を用いて、本発明の実施形態2にかかる物品棚卸システム100の処理の内容について説明する。なお、本実施形態2にかかる一連のコマンド群処理については、図6とほぼ同様であるため説明を省略する。
【0162】
図10は、本発明の実施形態2にかかるリーダの処理の内容を示すフローチャートである。図10のフローチャートにおいて、まず、利用者が操作部213を操作して、無線タグTの読み取りを開始する(ステップS1001)。
【0163】
制御部211は、図6に示した一連のコマンド群処理によって、無線タグTの読み取りをおこなう(ステップS1002)。制御部211は、ステップS1002において読み取られた無線タグTの中に場所タグTaがあるか否かを判断する(ステップS1003)。
【0164】
ステップS1003において、読み取られた無線タグTの中に場所タグTaがない場合(ステップS1003:No)は、ステップS1006へ移行する。
【0165】
ステップS1003において、読み取られた無線タグTの中に場所タグTaがある場合(ステップS1004:Yes)は、制御部211は、読み取られた場所タグTaの読取回数(連続回数)をインクリメントする(ステップS1004)。具体的には、制御部211は、RAMなどに場所タグTaのタグ識別情報と、連続回数とを一時記憶する。
【0166】
つづいて制御部211は、場所タグTaの既読フラグFlを反転させるSelectコマンドを送信する(ステップS1005)。すなわち、ステップS1005では、一連のコマンド処理によって、既読フラグが「B」に遷移して読み取りが不可能状態となった場所タグTaの既読フラグを「A」に戻す再活性化信号として、図8に示したSelectコマンド800を送信する。
【0167】
制御部211は、ステップS1002における一連のコマンド群処理で、前回読み取れて、今回読み取れていない場所タグTaがあるか否かを判断する(ステップS1006)。具体的には、制御部211は、前回読み取れた場所タグTaのうち、今回の読み取りによって連続回数が途切れた場所タグTaがあるか否かを判断する。
【0168】
ステップS1006において、前回読み取れて、今回読み取れていない場所タグTaがない場合(ステップS1006:No)は、ステップS1009へ移行する。すなわち、連続回数が途切れた場所タグTaがない場合は、ステップS1009へ移行することとなる。
【0169】
ステップS1006において、前回読み取れて、今回読み取れていない場所タグTaがある場合(ステップS1006:Yes)は、制御部211は、今回読み取れなかった場所タグTaの読取回数が所定回数N以下であれば、表示部214を制御して場所タグTaが示す場所(収納場所)を表示して警告をおこなう(ステップS1007)。具体的には、制御部211は、場所タグTaの連続回数が所定回数以下の場合に、場所タグTaの近辺の棚卸が不十分である可能性があることを報知し、場所タグTaの連続回数が所定回数よりも大きければそのままステップS1008へ移行する。
【0170】
制御部211は、ステップS1006において、前回読み取れた場所タグTaのうち、今回読み取れなかった場所タグTaの読取回数をリセットする(ステップS1008)。具体的には、制御部211は、ステップS1004において一時記憶されていた、場所タグTaの連続回数について、連続が途切れた場所タグTaについて連続回数を0にする、あるいは、削除する。
【0171】
制御部211は、読取終了命令があったか否かを判断する(ステップS1009)。読取終了命令は、たとえば、利用者が操作部213を操作して入力することとしてもよいし、棚卸や探索などの処理が終了した場合に表示部214などによってその旨を報知して読取終了命令を促すこととしてもよい。
【0172】
ステップS1009において、読取終了命令がない場合(ステップS1009:No)は、制御部211は、ステップS1002に戻って処理を繰り返す。ステップS1009において、読取終了命令があった場合(ステップS1009:Yes)は、制御部211は、NAKコマンドを発行して(ステップS1010)、一連の処理を終了する。
【0173】
なお、本発明の各構成要素における処理と、本発明の実施形態2の各処理または各機能とを関連付けて説明すると、ステップS1001、ステップS1002における制御部211、無線タグ通信制御部212およびアンテナATの処理によって、本発明にかかる読取手段の処理が実行される。ステップS1003における制御部211の処理によって、本発明にかかる判定手段の処理が実行される。ステップS1005における制御部211、無線タグ通信制御部212およびアンテナATの処理によって、本発明にかかる送信手段の処理が実行される。ステップS1007における制御部211および表示部214の処理によって、本発明にかかる判断手段および報知手段の処理が実行される。
【0174】
以上説明したように、本発明の実施形態2にかかるリーダおよび物品棚卸システムによれば、場所タグの読み取りの連続回数が所定回数以下の場合に、警告を報知することができる。したがって、場所タグ近辺の無線タグの棚卸に十分な読み取りをおこなったか(その場所近辺を十分に走査したか)否かを適切に判断することができ、確実な棚卸をおこなうことができる。また、本実施形態2によれば、場所タグに対してのみ効率的に再活性化信号を送信することができる。
【0175】
(その他の一部の変形例)
なお、本実施形態2では特に、図10に示したステップS1007において、表示部214によって警告を表示する構成としたがこれに限ることはない。具体的には、たとえば、表示部214および/または図示しないスピーカなどによって警告する構成でもよい。
【0176】
また、図10のフローチャートでは説明を省略したが、ステップS1007における所定回数Nは、リーダ110に予め設定された初期値でもよいし、利用者が操作部213を操作して入力する構成でもよい。また、図6に示したタグ想定枚数に応じて設定される構成でもよい。具体的には、たとえば、所定回数Nは、場所タグTa近辺の棚卸が十分であるか否かを判断する指標として用いる構成であるため、タグ想定枚数などに基づいて場所タグTa近辺の無線タグTが多い場合は、同一の場所タグTaの連続回数が多くなるように(ゆっくりした移動(走査)によって)棚卸をおこなうように設定する。同様に、場所タグTa近辺の無線タグTが少ない場合は、同一の場所タグTaの連続回数を少なく設定することで、効率的、かつ適切な棚卸をおこなうことができる。
【0177】
また、本実施形態2では特に、ステップS1003において、複数の場所タグが読み取れた場合、ステップS1004やステップS1007において、それら複数の場所タグについて連続回数を判断して、警告を表示することとして説明したがこれに限ることはない。具体的には、監視対象となる場所タグ(監視タグ)を設定して、監視タグに関して連続回数を判断し、警告を表示する構成でもよい。
【0178】
図11を用いて、監視タグを用いる変形例について説明する。図11は、本発明の実施形態2の変形例にかかるリーダの処理の内容を示すフローチャートである。図11のフローチャートにおいて、まず、利用者が操作部213を操作して、無線タグTの読み取りを開始する(ステップS1101)。
【0179】
制御部211は、図6に示した一連のコマンド群処理によって、無線タグTの読み取りをおこなう(ステップS1102)。制御部211は、ステップS1102において読み取られた無線タグTの中に監視中の場所タグがあるか否かを判断する(ステップS1103)。具体的には、監視タグは、後述するステップS1112において設定される場所タグTaである。
【0180】
ステップS1103において、監視タグがある場合(ステップS1103:Yes)は、制御部211は、監視タグの読取回数(連続回数)をインクリメントする(ステップS1104)。具体的には、制御部211は、RAMなどに監視タグのタグ識別情報と、連続回数とを一時記憶する。
【0181】
ステップS1103において、監視タグがなかった場合(ステップS1103:No)は、制御部211は、ステップS1102において読み取られた無線タグTの中に場所タグTaがあるか否かを判断する(ステップS1111)。
【0182】
ステップS1111において、場所タグTaが読み取られていない場合(ステップS1111:No)は、ステップS1106へ移行する。
【0183】
ステップS1111において、場所タグTaが読み取られた場合(ステップS1111:Yes)は、制御部211は、読み取られた場所タグTaの1つを監視タグに設定して、読取回数(連続回数)を1にする(ステップS1112)。具体的には、制御部211は、RAMなどに監視タグのタグ識別情報と、連続回数とを一時記憶する。監視タグの設定は、たとえば、読み取られた場所タグTaのうちランダムで設定したり、場所タグTaごとに予め定められた優先順位に基づいて設定したりしてもよい。
【0184】
制御部211は、場所タグTaの既読フラグFlを反転させるSelectコマンドを送信する(ステップS1105)。すなわち、ステップS1105では、一連のコマンド処理によって、既読フラグが「B」に遷移して読み取りが不可能状態となった場所タグTaの既読フラグを「A」に戻す再活性化信号として、図8に示したSelectコマンド800を送信する。また、ステップS1105では、場所タグTaに対するSelectコマンド800を送信する代わりに、監視タグを指定したSelectコマンド800としてもよい。
【0185】
制御部211は、ステップS1102における一連のコマンド群処理で、前回読み取れて、今回読み取れていない監視があるか否かを判断する(ステップS1106)。具体的には、制御部211は、前回読み取れた監視タグが今回の読み取りによって連続回数が途切れたか否かを判断する。
【0186】
ステップS1106において、前回読み取れて、今回読み取れていない監視タグがない場合(ステップS1106:No)は、ステップS1109へ移行する。すなわち、連続回数が途切れた監視タグがない場合は、ステップS1109へ移行することとなる。
【0187】
ステップS1106において、前回読み取れて、今回読み取れていない監視タグがある場合(ステップS1106:Yes)は、制御部211は、監視タグの読取回数が所定回数N以下であれば、表示部214を制御して監視タグが示す場所(収納場所)を表示して警告をおこなう(ステップS1107)。具体的には、制御部211は、監視タグの連続回数が所定回数以下の場合に、棚卸が不十分である可能性があることを報知し、監視タグの連続回数が所定回数よりも大きければそのままステップS1108へ移行する。
【0188】
制御部211は、ステップS1106において、前回読み取れた監視タグ(今回読み取れなかった監視タグ)の読取回数をリセットする(ステップS1108)。具体的には、制御部211は、ステップS1104またはステップS1112において一時記憶されていた、監視タグの連続回数について、連続が途切れた監視タグについて連続回数を0にする、あるいは、削除する。
【0189】
制御部211は、読取終了命令があったか否かを判断する(ステップS1109)。読取終了命令は、たとえば、利用者が操作部213を操作して入力することとしてもよいし、棚卸や探索などの処理が終了した場合に表示部214などによってその旨を報知して読取終了命令を促すこととしてもよい。
【0190】
ステップS1109において、読取終了命令がない場合(ステップS1109:No)は、制御部211は、ステップS1102に戻って処理を繰り返す。ステップS1109において、読取終了命令があった場合(ステップS1109:Yes)は、制御部211は、NAKコマンドを発行して(ステップS1110)、一連の処理を終了する。
【0191】
このように、場所タグTaのうち適宜監視タグを設定する構成とすれば、複数の場所タグTaが読み取れた場合であっても、監視タグについてのみ、判断・インクリメントなどの処理をおこなえばよいため、リーダの処理の効率化を図ることができる。
【0192】
また、上述した説明では、実施形態1と、実施形態2とを別々の例としたが、これに限ることはない。すなわち、それぞれの機能を併せた構成として、上記実施形態1および実施形態2や変形例による手法を適宜組み合わせて利用してもよい。
【符号の説明】
【0193】
Ta 場所タグ(無線タグT)
Tb 物品タグ(無線タグT)
100 物品棚卸システム
101 物品
102 収納棚
110 リーダ
111 通信エリア
AT リーダアンテナ
210 バス
211 制御部
212 無線タグ通信制御部
213 操作部
214 表示部
215 通信I/F
301 タグアンテナ
302 整流部
303 電源部
304 クロック抽出部
305 メモリ部
306 変復調部
307 制御部
308 乱数発生器
350 IC回路部
800 Selectコマンド
【技術分野】
【0001】
この発明は、無線タグと通信可能な無線タグ通信装置および無線タグ通信システムに関し、特に、通信エリア内に位置し、情報の読み取りが可能状態である無線タグから情報を読み取る無線タグ通信装置および無線タグ通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、管理の対象となる物品に、その物品の識別番号などが記録されたRFID(Radio Frequency Identification)タグが貼付されている。物品の管理者や利用者は、RFIDリーダによってRFIDタグから物品の識別情報を読み取らせて、物品の棚卸などの管理をおこなう。
【0003】
近年では、管理の対象となる物品と、その物品が収納される収納場所とにRFIDタグを貼付して、所定の場所に置かれている物品が全部あるか、ないものは何かなどの管理をおこなう提案がされている(特許文献1)。この従来技術では、書籍管理をおこなうパソコンに接続されたリーダライタによって、書籍に貼付された書籍無線タグおよび書籍が収納される棚に貼付された棚無線タグとアンテナを介して無線通信をおこなう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−350205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ISO/IEC18000−6 Type Cの国際規格に準拠する仕様のRFIDタグは、情報の読み取りが可能な状態であるか不可能な状態であるかを示すフラグによって情報が重複して読み取られることを防いでいる。具体的には、無線タグのフラグは、待機状態ではフラグが「A」の状態になっている。無線タグは、リーダライタの通信エリアに位置し、たとえば、リーダライタがフラグ「A」を指定して読み取りを開始すると、フラグが「A」である無線タグは読み取りが可能な状態、フラグが「B」である無線タグは読み取りが不可能な状態である。フラグが「A」(読み取りが可能な状態)である無線タグは、情報が読み取られるとフラグが「B」(読み取りが不可能な状態)に反転し、無線タグが継続して通信エリアに位置する間は読み取りが不可能な状態に遷移する。フラグが「B」になった状態の無線タグの情報を読み取るためには、たとえば、リーダライタによって通信エリアに位置する無線タグのフラグを「A」に戻すように指示したり、無線タグを通信エリアからはずすことでフラグの状態を「A」に遷移させたりする必要があった。
【0006】
すなわち、上述した特許文献1に記載の従来技術では、上記国際規格に準拠する仕様のRFIDタグを用いると、RFIDリーダは、一旦情報を読み取った無線タグ(たとえば、従来技術では、書籍無線タグや棚無線タグ)については通信エリアからはずすか、リーダライタがフラグを「A」に戻すように指示し直して再び読み取りを開始しなければ再び情報を読み取ることができない。しかし、通信エリア内にある無線タグのフラグを「A」に戻して再び情報を読み取ると、通信エリア内にある既に読み取ったことのあるすべての無線タグを重複して読み取ってしまうという問題があった。
【0007】
特に、物品の棚卸では、リーダライタは、収納場所近辺を走査(移動)しながら物品に貼付された物品タグや収納場所に貼付された場所タグの情報を読み取る。リーダライタは、物品タグは重複して読み取りたくないが、現在の走査位置を知るために場所タグのみ継続して繰り返し読み取りたいという要求がある。しかし、場所タグが継続して通信エリアに位置する場合には、場所タグの情報を読み取り可能な通信エリアに位置する物品タグの情報を読み取る際に場所タグのみの情報を連続的に繰り返し読み取ることができなくなってしまうという問題があった。すなわち、上記従来技術では、通信エリアに継続して位置する間は情報を読み取りたい無線タグ(たとえば、場所タグ)があっても、効率的に繰り返して情報を読み取ることができないという問題があった。
【0008】
この発明は、上述した問題を解決するため、特定の無線タグに対して繰り返し情報の読み取りを可能とする無線タグ通信装置および無線タグ通信システムを提供することを目的とする。特に、同一の収納場所に関連する物品の棚卸を適切におこなうため、収納場所に貼付された無線タグの情報を繰り返し読み取り可能とする無線タグ通信装置および無線タグ通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかる無線タグ通信装置は、無線タグ通信装置によって情報の読み取りがおこなわれた後、引き続き前記無線タグ通信装置の通信エリア内に位置する場合には、情報の読み取りが不可能状態に遷移する無線タグと無線通信をおこなう無線タグ通信装置であって、物品の収納場所に貼付された場所タグまたは前記収納場所に関連付けられる前記物品に貼付された物品タグからタグ識別情報を読み取る読取手段と、前記読取手段によって読み取られたタグ識別情報に基づいて、前記場所タグのタグ識別情報が読み取られたか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によって前記場所タグのタグ識別情報が読み取られたと判定され、情報の読み取りが不可能状態になった前記場所タグの情報の読み取りを可能状態に戻す再活性化情報を送信する送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明にかかる無線タグ通信装置は、請求項1に記載の発明において、前記送信手段によって送信された前記再活性化情報に応じて読み取られる前記場所タグのタグ識別情報の連続読取回数が所定回数以下であるか否かを判断する判断手段と、前記判断手段によって判断された結果に基づいて、前記場所タグが貼付された前記収納場所に対する無線通信に関する状態を報知する報知手段と、をさらに備えることを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明にかかる無線タグ通信装置は、請求項1または2に記載の発明において、前記判定手段は、さらに前記場所タグのタグ識別情報が読み取られた前記通信エリア内で前記物品タグのタグ識別情報が読み取られたか否かを判定可能とし、前記送信手段は、前記判定手段によって前記物品タグのタグ識別情報が読み取られなかったと判定された場合、前記再活性化情報を送信しないことを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明にかかる無線タグ通信装置は、請求項1〜3のいずれか一つに記載の発明において、前記場所タグのタグ識別情報は、特定のビット列を含み、前記送信手段は、前記タグ識別情報に前記特定のビット列を含む前記無線タグの情報を読み取り可能状態にする前記再活性化情報を送信することを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明にかかる無線タグ通信システムは、無線通信によって無線タグから情報を読み取る無線タグ通信装置と、情報の読み取りがおこなわれた後、引き続き前記無線タグ通信装置の通信エリア内に位置する場合には、情報の読み取りが不可能状態に遷移する無線タグとを含む無線タグ通信システムであって、前記無線タグ通信装置は、物品の収納場所に貼付された場所タグまたは前記収納場所に関連付けられる前記物品に貼付された物品タグからタグ識別情報を読み取る読取手段を有し、前記無線タグは、情報の読み取りが可能状態で前記無線タグ通信装置の通信エリア内に位置する場合、情報の読み取りを不可能状態に遷移するとともに、前記無線タグ通信装置に自身のタグ識別情報を読み取らせる応答手段を有し、前記無線タグ通信装置は、前記無線タグから読み取られたタグ識別情報に基づいて、前記無線タグが前記場所タグか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によって前記場所タグのタグ識別情報が読み取られたと判定され、情報の読み取りが不可能状態に遷移した前記場所タグの情報の読み取りを可能状態に戻す再活性化情報を送信する送信手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1にかかる発明によれば、通信エリア内に位置する場所タグに対して再活性化情報を送信するため、場所タグに対してのみ効率的に繰り返して情報を読み取ることができる。また、場所タグを含む通信エリアの物品タグの情報を読み取る場合は、場所タグの情報も読み取ることができるため、無線タグ通信装置によって確実な棚卸をおこなうことができる。
【0015】
請求項2にかかる発明によれば、場所タグの情報の読み取りを繰り返した連続回数が所定回数以下か否かを判断して、無線通信に関する状態を報知できる。すなわち、無線タグ通信装置によって、連続して場所タグの情報を読み取った回数が所定回数よりも多くなるように場所タグや物品タグの読み取りをおこなうことができるため、その場所の物品タグを漏れなく読み取って、適切な棚卸をおこなうことができる。
【0016】
請求項3にかかる発明によれば、場所タグを含む通信エリアに読み取りができなかった物品タグがなくなり、繰り返して読み取る必要がなくなった場所タグに対しては再活性化情報の送信をおこなわない。したがって、無線タグ通信装置によって無駄な再活性化情報の送信をせずに効率的に棚卸をおこなうことができる。
【0017】
請求項4にかかる発明によれば、場所タグのタグ識別情報が特定のビット列を含む構成であるため、無線タグ通信装置によって読み取ったタグ識別情報が場所タグのものか物品タグのものか簡便に判定することができる。また、場所タグに対する再活性化情報の送信先を効率的に指定することができる。
【0018】
請求項5にかかる発明によれば、通信エリア内に位置する場所タグに対して再活性化情報を送信するため、場所タグに対してのみ効率的に繰り返して情報を読み取ることができる。また、場所タグを含む通信エリアの物品タグの情報を読み取る場合は、場所タグの情報も読み取ることができるため、利用者は、無線タグ通信システムによって確実な棚卸をおこなわせることができる。
【0019】
以上説明したように、本発明にかかる無線タグ通信装置および無線タグ通信システムによれば、特定の無線タグに対して繰り返し情報の読み取りを可能とすることができる。特に、収納場所に貼付された無線タグの情報を繰り返し読み取り可能とすることで、同一の収納場所に関連する物品の棚卸を適切におこなうことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態1にかかる物品棚卸システムの一例を示す説明図である。
【図2】本発明の実施形態1にかかる物品棚卸システムにおけるリーダの機能的構成の一例を示す説明図である。
【図3】本発明の実施形態1にかかる物品棚卸システムにおける無線タグの機能的構成の一例を示す説明図である。
【図4】本発明の実施形態1にかかるリーダと1つの無線タグとの間で送受される信号のタイムチャートの一例を示す説明図である。
【図5】本発明の実施形態1にかかるリーダの処理の内容を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態1にかかるリーダにおける一連のコマンド群処理の内容を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態1における無線タグTの状態の一例を示す説明図である。
【図8】本発明の実施形態1にかかるSelectコマンドの構成の一例を示す説明図である。
【図9】本発明の実施形態1にかかる無線タグの処理の内容を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施形態2にかかるリーダの処理の内容を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施形態2の変形例にかかるリーダの処理の内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる無線タグ通信装置および無線タグ通信システムの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0022】
(実施形態1)
(物品棚卸システムの概要)
図1を用いて、本発明の実施形態1にかかる物品棚卸システムについて説明する。図1は、本発明の実施形態1にかかる物品棚卸システムの一例を示す説明図である。なお、本実施形態1では、物品101の収納棚102における収納場所(収納棚102の各段ごと)に貼付された場所タグTaや物品101に貼付された物品タグTbと無線通信のおこなうリーダ110によって、本発明にかかる無線タグ通信装置を実現し、これら場所タグTa、物品タグTbと、リーダ110とからなる物品棚卸システム100によって、本発明にかかる無線タグ通信システムを実現する場合について説明する。
【0023】
利用者(たとえば、物品101を管理する管理者)は、書籍などの物品101の棚卸や探索をおこなう場合、リーダ110によって場所タグTaや物品タグTb(以下、場所タグTaと物品タグTbとを特に区別しない場合は、単に「無線タグT」ともいう)からタグ識別情報を読み取らせる。
【0024】
具体的には、リーダ110は、利用者の操作に基づき、リーダアンテナATによって順次形成される通信エリア111内に位置する無線タグTからタグ識別情報を読み取る。タグ識別情報は、たとえば、収納場所や物品101を示す情報である。すなわち、リーダ110は、収納場所や物品とタグ識別情報とが関連付けられた不図示の管理データに基づいて、タグ識別情報が読み取られた無線タグTの貼付された収納場所や物品を特定することができる。
【0025】
また、特に図示はしないが、物品101の棚卸や探索は、たとえば、管理サーバやリーダ110自身などの記憶媒体に記憶された無線タグTのタグ識別情報および物品101の現在位置(収納中や貸出中など)を示す管理データなどに基づいておこなう。すなわち、リーダ110は、通信エリア111内に位置する無線タグTからタグ識別情報を読み取ると、読み取ったタグ識別情報を記憶する。棚卸では、たとえば、その記憶されたタグ識別情報と、管理データ中のタグ識別情報とを比較して、物品101が正常(正しい現在位置)に収納されているか否かなどを確認する。また、探索では、探索対象となった物品101のタグ識別情報に合致するタグ識別情報を読み取ったか否かを確認する。
【0026】
ここで無線タグTは、無線タグTに記憶されているタグ識別情報の読み取りが可能状態であるか不可能状態であるかを示す読取情報としての既読フラグFlを制御部307(図3参照)のRAMに記憶している。既読フラグFlは、初期状態では、リーダ110が既読フラグFlが「A」の無線タグTの読み取りを開始した場合にタグ識別情報の読み取りが可能状態である「A」となっている。また、既読フラグFlは、無線タグTのタグ識別情報が読み取られると、タグ識別情報の読み取りが可能状態である「A」からタグ識別情報が不可能な状態である「B」となる。
【0027】
上記無線タグTに対して、リーダ110は、読み取られたタグ識別情報に基づいて、場所タグTaのタグ識別情報を読み取った場合は、場所タグTaの既読フラグFlを「A」にする再活性化情報としての再活性化信号を送信する。すなわち、リーダ110は、通信エリア111内に位置する無線タグTのうち場所タグTaに対しては、継続してタグ識別情報を読み取り可能となるようにしている。
【0028】
(機能的構成)
ここで、図2を用いて、物品棚卸システム100におけるリーダ110の機能的構成について説明する。図2は、本発明の実施形態1にかかる物品棚卸システムにおけるリーダの機能的構成の一例を示す説明図である。
【0029】
図2において、リーダ110は、リーダ110全体の制御をおこなう制御部211と、物品101や収納棚102に貼付された無線タグT(場所タグTa、物品タグTb)と無線通信をおこなうリーダアンテナATと、リーダアンテナATを介して無線タグTとの無線通信を制御する無線タグ通信制御部212と、各種情報の入力を受け付けて制御部211へ出力する操作部213と、表示用データの表示をおこなう表示部214と、外部装置との通信を制御する通信I/F215と、を備えている。また、リーダ110の各構成部は、バス210によってそれぞれ接続されている。
【0030】
制御部211は、リーダ110全体の制御を司る。具体的には、制御部211は、CPU(セントラルプロセッシングユニット)、ROM(リードオンリーメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、NVRAM(不揮発性RAM)などによって構成されており、ROMは、ブートプログラムなどの各種プログラムを記録している。RAMは、CPUのワークエリアとして使用される。NVRAMは、リーダ110の動作に用いるデータなどを不揮発に記憶している。
【0031】
無線タグ通信制御部212は、制御部211の制御に従って、リーダアンテナATを介して無線タグTと無線通信をおこなう。具体的には、無線タグ通信制御部212は、リーダアンテナATの通信エリア111内に位置し、制御部211が指定した既読フラグFlの状態、たとえば「A」の既読フラグFlをもつ無線タグTからタグ識別情報の読み取りをおこなう。詳細は図4を用いて説明するが、無線タグ通信制御部212は、無線タグTに対して、Selectコマンド、Query(QueryRep)コマンド、Ackコマンドなどの質問波をリーダアンテナATを介して送信する。そして、無線タグ通信制御部212は、質問波に応じて無線タグTから送信されるタグ識別情報を含む応答波をリーダアンテナATを介して受信する。
【0032】
無線タグ通信制御部212は、制御部211の制御に従って、タグ識別情報が読み取られた場所タグTaに再活性化信号を送信する。具体的には、制御部211は、タグ識別情報と収納場所や物品が関連付けられた管理データをNVRAMから読み出して、読み取られたタグ識別情報が場所タグTaを示す情報か否かを判定する。制御部211は、場所タグTaのタグ識別情報が読み取られた場合、継続して通信エリア111内に位置する場合でも再度タグ識別情報の読み取りを可能とするために再活性化信号を生成する。制御部211は、無線タグ通信制御部212を制御して、生成された再活性化信号を無線タグTへ送信する。
【0033】
操作部213は、利用者などから各種情報の入力を受け付ける。具体的には、操作部213は、タッチパネルや操作ボタンなどによって構成され、棚卸や探索に関する情報の入力を受け付けて、入力された信号を制御部211へ出力する。より具体的には、たとえば、操作部213は、表示部214に表示される画面表示に応じて棚卸や探索の選択決定などが入力される。
【0034】
表示部214は、制御部211の制御に従って各種情報の表示をおこなう。具体的には、表示部214は、CRT、TFT液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどによって構成され、文書や画像などによって棚卸や探索に関する画面を表示する。棚卸や探索に関する画面は、たとえば、リーダ110の処理を選択させる初期画面や、無線タグTを読み取り中であることを示す読取画面や、各種情報の確認画面などである。
【0035】
通信I/F215は、通信回線を通じてインターネットなどのネットワークに接続され、このネットワークを介して図示しない管理サーバなどの他の外部装置に接続される。また、通信I/F215は、ネットワークとリーダ110内部のインターフェースを司り、外部装置に対するデータの入出力を制御する。通信I/F215には、たとえば、モデムやLANアダプタなどを採用することができる。
【0036】
なお、各構成要素と、各機能を対応付けて説明すると、図2に示した制御部211が無線タグ通信制御部212を制御することによって、本発明にかかる読取手段および送信手段の機能を実現する。また、図2に示した制御部211によって、本発明にかかる判定手段の機能を実現する。
【0037】
つぎに、図3を用いて、物品棚卸システム100における無線タグTの機能的構成について説明する。図3は、本発明の実施形態1にかかる物品棚卸システムにおける無線タグの機能的構成の一例を示す説明図である。
【0038】
図3において、無線タグTは、リーダアンテナATと無線通信をおこなうタグアンテナ301と、タグアンテナに接続されたIC回路部350と、を有している。IC回路部350は、タグアンテナ301により受信されたSelectコマンド、Query(QueryRep)コマンド、Ackコマンドなどの質問波を整流する整流部302と、整流部302により整流された質問波の信号のエネルギを蓄積し駆動電源とするための電源部303と、タグアンテナ301により受信された質問波からクロック信号を抽出して制御部307に供給するクロック抽出部304と、タグ識別情報を記憶可能なメモリ部305と、タグアンテナ301に接続された変復調部306と、リーダ110からの応答要求コマンドの受信時に無線タグTが応答信号をどの識別スロットに出力するかを決定するための乱数を発生させる乱数発生器308と、クロック抽出部304、メモリ部305、変復調部306、および乱数発生器308などを介し無線タグTの作動を制御するための制御部307と、を備えている。
【0039】
クロック抽出部304は受信した信号からクロック成分を抽出し、受信した信号のクロック成分の周波数に対応したクロックを制御部307に供給する。
【0040】
メモリ305は、無線タグT(場所タグTa,物物品タグTb)が貼付された収納場所や物品101を特定するタグ識別情報を記憶している。具体的には、タグ識別情報は、数ビット(たとえば、96ビット)のビット列で構成されている。タグ識別情報は、たとえば、自身が貼付されている対象が収納場所か物品かを示す属性IDと、各収納場所や物品の固有IDとから構成されている。図示の例では、たとえば、タグ識別情報の0ビットから4ビットまでで属性IDを表し、5ビット以降で固有IDを表している。
【0041】
変復調部306は、タグアンテナ301により受信されたリーダ110のリーダアンテナATからの質問波の復調をおこない、また、制御部307からの返信信号を変調し、タグアンテナ301より応答波(タグ識別情報を含む信号)として送信する。
【0042】
制御部307は、CPU、ROM、RAM、NVRAMなどによって構成されており、ROMは、ブートプログラムなどの各種プログラムを記録している。RAMは、CPUのワークエリアとして使用される。
【0043】
制御部307は、RAMにリーダ110による無線タグTのタグ識別情報の読み取りが可能状態であるか不可能状態であるかを示す既読フラグFlの内容を反転可能に記憶している。具体的には、無線タグTは、ISO/IEC18000−6 Type Cの国際規格に準拠する仕様であり、たとえば、リーダ110が既読フラグFlが「A」の無線タグTを読み取ることを指定している場合、既読フラグFlが「A」であればタグ識別情報の読み取りが可能状態、「B」であればタグ識別情報の読み取りが不可能状態であることを示す。
【0044】
より具体的には、既読フラグFlは、無線タグTが物品101や収納棚102に貼付された初期状態では「A」となっている。状態が「A」である既読フラグFlは、リーダ110の通信エリア111内に無線タグTが位置することになりタグ識別情報が読み取られると、継続して通信エリア111内に無線タグTが位置する場合には「B」に反転して読み取りが不可能状態となる。状態が「B」となった既読フラグFlは、通信エリア111内に無線タグTが位置しなくなる(通信エリア111外に位置する)と、再び「A」に反転して初期状態となる。
【0045】
制御部307は、変復調部306により復調された受信信号を解釈し、メモリ部305において記憶された情報信号に基づいて返信信号を生成し、この返信信号を乱数発生器308により発生させた乱数に対応する識別スロットで変復調部306によりタグアンテナ301から返信する制御などの基本的な制御を実行する。制御部307は、本発明にかかる応答手段の機能を実現する。
【0046】
乱数発生器308は、リーダ110からの応答要求コマンドに指定されているスロット数指定値Q(以下、単に「Q値」ともいう)に対し、0から2Q−1までの乱数を発生させる。
【0047】
図4を用いて、本発明の実施形態1にかかるリーダ110と無線タグTとの間で送受される信号とその送受の概要について説明する。図4は、本発明の実施形態1にかかるリーダと1つの無線タグとの間で送受される信号のタイムチャートの一例を示す説明図である。図示の例は、公知のRandom−Slotted Collision arbitration方式に基づくEPC global Class−I Generation−II(ISO/IEC18000−6 Type C)の国際規格に準じたものであり、図中では左側から右側に向かって時系列変化するよう示している。
【0048】
なお、図中におけるSelectコマンドは、説明のため左側に示しているが、後述するように必要に応じて送信するコマンドである。具体的には、たとえば、Selectコマンドは、QueryコマンドやQueryRepコマンドの直前など、任意のタイミングでリーダ110から送信される。また、図中におけるリーダ110と無線タグTとの間の矢印は、信号の送信方向を示しており、送信相手が不特定である場合には一点鎖線で示し、送信相手が特定されている場合には実線で示している。
【0049】
図4において、リーダ110は、必要に応じて通信エリア111に位置する無線タグTに対してSelectコマンドを送信する。このSelectコマンドは、それ以降にリーダ110が無線通信をおこなう無線タグTの条件を指定するコマンドである。Selectコマンドは、たとえば、各無線タグTに対して各種条件を指定してタグ識別情報の読み取り対象とする無線タグTの既読フラグFlを「A」にさせる。すなわち、リーダ110は、Selectコマンドによって、タグ識別情報を読み取り対象とする無線タグTを限定することで無線通信の効率化を図ることができる。
【0050】
Selectコマンドを受信した無線タグTのうち、指定された条件を満たす無線タグTは、Selectコマンドを受信した後に無線通信をおこなえる状態(図中ではこの条件を満たす一つ無線タグTを示す)となる。すなわち、指定された条件を満たす無線タグTは、既読フラグFlが「B」である場合に既読フラグFlを「A」に反転させ、既読フラグFlが「A」である場合にはそのままの状態を保つ。詳細は図7および図8を用いて説明するが、Selectコマンドは、たとえば、通信エリア111に位置する場所タグTaに対する再活性化信号として送信される。
【0051】
リーダ110は、通信エリア111内に位置し、無線通信をおこなえる状態の無線タグ群に対してそれぞれのタグ識別情報を応答発信させるよう要求するQueryコマンド(読み取りコマンド)を送信する。Queryコマンドは、応答すると予想される無線タグTの数が不確定な条件下において探索をおこなうための探索指令である。Queryコマンドには、所定の数(たとえば、0から15までのいずれかの値)で指定するスロット数指定値Qが含まれている。すなわち、リーダ110は、無線タグ通信制御部212によってリーダアンテナATを介しQueryコマンドを送信する。そして、各無線タグTは、乱数発生器308により0から2Q−1(=2のQ乗−1)までの乱数を生成し、スロットカウント値SCとして保持する。
【0052】
リーダ110は、Queryコマンドを送信すると、所定の識別スロットで無線タグTからの応答を待ち受ける。識別スロットは、Queryコマンド(または後述するQueryRepコマンド)を始めに送信してから所定の期間で区分される時間枠である。識別スロットは、通常、所定回数(Queryコマンドの第1識別スロットが1回、および、QueryRepコマンドの第2以降の識別スロットが2Q回の合計2Q+1回)が連続して繰り返される。
【0053】
そして、既読フラグFlが「A」である無線タグTのうちスロットカウント値SCとして値0を生成したものは、このQueryコマンドを含んだ第1識別スロットで応答する。このとき、当該無線タグTは情報を送信する許可を得るためのたとえば16ビットの擬似乱数を用いたRN16レスポンスを応答信号としてリーダ110へ送信する。
【0054】
RN16レスポンスを受信したリーダ110は、RN16レスポンスに対応する内容で無線タグTへタグ識別情報の送信を許可するAckコマンドを送信する。Ackコマンドを受信した無線タグTは、無線タグT自身が先に送信したRN16レスポンスと受信したAckコマンドに同じRN16が含まれている場合、当該無線タグTの個体がタグ識別情報の送信を許可されたものとみなしてタグ識別情報を送信する。このようにして、一つの識別スロットにおける信号の送受信がおこなわれる。
【0055】
リーダ110は、さらに2番目以降の識別スロットでQueryコマンドの代わりにQueryRepコマンドを送信し、各識別スロット時間枠で他の無線タグT(特に図示せず)の応答を待つ。QueryRepコマンドを受信した各無線タグTは自身のスロットカウント値SCの値を一つだけ減算して保持し、スロットカウント値SCが値0になった時点の識別スロットでRN16レスポンスなどの信号の送受信をリーダ110との間でおこなう。
【0056】
なお、各識別スロットで該当する無線タグT(当該識別スロットでスロットカウント値SCが0であるもの)がない場合には、QueryコマンドまたはQueryRepコマンド以外の送受信がおこなわれないまま所定の時間枠でその識別スロットを終了することとなる。
【0057】
このように各無線タグTが異なる識別スロットで応答信号を返信することで、リーダアンテナATを介し、リーダ110は混信を受けることなく一つ一つの無線タグTのタグ識別情報を明確に受信し取り込むことができる。
【0058】
(物品棚卸システムの処理の内容)
図5〜図9を用いて、本発明の実施形態1にかかる物品棚卸システム100の処理の内容について説明する。まず、図5を用いて、本発明の実施形態1にかかるリーダ110の処理の内容について説明する。図5は、本発明の実施形態1にかかるリーダの処理の内容を示すフローチャートである。
【0059】
図5のフローチャートにおいて、まず、利用者が操作部213を操作して、無線タグTの読み取りを開始する(ステップS501)。具体的には、制御部211は、利用者によって操作部213を介して操作が開始(電源が投入)されたことを検知すると、ブートプログラムなどを起動させて、操作内容に応じて無線タグTの読み取りを開始する。
【0060】
制御部211は、一連のコマンド群処理によって、無線タグTの読み取りをおこなう(ステップS502)。具体的には、図1に示した場所タグTaや物品タグTbを含む無線タグTの読み取りをおこなう。
【0061】
ここで、図6および図7を用いて、図5に示したステップS502における一連のコマンド群処理の内容について説明する。図6は、本発明の実施形態1にかかるリーダにおける一連のコマンド群処理の内容を示すフローチャートである。
【0062】
図6のフローチャートにおいて、まず、リーダ110は、図5に示したステップS501において無線タグTの読み取りが開始されると、操作部213から通信エリア111内のタグ想定枚数の入力を受け付ける(ステップS601)。タグ想定枚数は、たとえば、表示部214に表示される入力画面に応じて入力を受け付けてもよいし、予め初期値が定められている構成でもよい。
【0063】
ここで、図7は、本発明の実施形態1における無線タグTの状態の一例を示す説明図である。本説明では、図6に示す一連のコマンド群処理の処理中における無線タグTの具体的な状態について図7を用いて説明していく。すなわち、図7では無線タグTの数量を3個とし、図6に示したステップS601においてタグ想定枚数として「3」を入力した場合について示している。
【0064】
図6に戻って、制御部211は、ステップS601において入力されたタグ想定枚数の値以上で、かつタグ想定枚数に最も近い値なるように2QのQを設定する(ステップS602)。または、後述するステップS603以降の処理でColl_countが設定されている場合は、Coll_countの2倍の値以上で、かつColl_countの2倍の値に最も近い値になるように2QのQを設定する(ステップS602)。
【0065】
制御部211は、各種パラメータの設定をおこなう(ステップS603)。具体的には、たとえば、各種パラメータの設定は、応答回数(図示の例ではQueryRepによる識別スロットの回数)を示すRep_countを2Q、タグ識別情報を読み取った無線タグTの数量を示すTag_countを0、無線タグTとの無線通信によって生じた衝突(タグ識別情報が正常に読み取れなかった)回数を示すColl_countを0、無線タグTからの応答がなかった回数を示すNoTag_countを0にそれぞれ設定する。
【0066】
制御部211は、無線タグ通信制御部212を制御して、リーダアンテナATの通信エリア111内に位置する無線タグTに対してQueryコマンドを、既読フラグFlを「A」に指定して送信する(ステップS604)。制御部211は、ステップS604においてQueryコマンドを送信すると、図4に示したように所定の識別スロット(たとえば、第1識別スロット)で無線タグTからの応答を待ち受ける。無線タグTは、Queryコマンドを受信すると、乱数発生器308により0から2Q−1(=2のQ乗−1)までの乱数を生成し、スロットカウント値SCとして保持する。
【0067】
ここで、図7(a)を用いて、ここまでのステップS601〜ステップS604までの処理後における無線タグTの具体的な状態について説明する。図7(a)は、図6に示したステップS604におけるQueryコマンド送信直後の各無線タグT(T1,T2,T3)のスロットカウント値SCと、既読フラグFlの状態とを示している。
【0068】
図7(a)に示した具体的な状態では、ステップS601においてタグ想定枚数として「3」が入力されているため、ステップS602におけるQの設定では、2Qが、「3」以上で、最も近い値となるようなQとして「2」が設定される。
【0069】
そして、Qが2であることからステップS603における各種パラメータの設定では、Rep_count(2Q)=4、Tag_count=0、Coll_count=0、NoTag_count=0がそれぞれ設定される。また、図7(a)では、無線タグTのスロットカウント値SCは、T1が「1」、T2が「2」、T3が「2」に設定されている。具体的には、スロットカウント値SCは、前述したように各無線タグTによって設定され、Qが2であることから0から2Q−1の範囲(0〜3)で設定されている。
【0070】
図6に戻って、制御部211は、ステップS604において送信されたQueryコマンドに応じて無線タグTからのタグ識別情報の読み取りがされたか否かを判断する(ステップS605)。図7(a)に示した状態の場合、既読フラグが「A」(読み取り可能状態)の各無線タグT(T1,T2,T3)のうち、スロットカウント値SCが「0」となっている無線タグTがないため、リーダ110に応答する無線タグTは存在しないこととなる。
【0071】
ステップS605において、無線タグTからのタグ識別情報の読み取りがなかった場合(ステップS605:No)は、制御部211は、無線タグTとの無線通信によって衝突があったか否かを判断する(ステップS607)。衝突は、たとえば、スロットカウント値SCが「0」である無線タグTが複数あり、同じ識別スロットに複数の無線タグTからの応答があった場合に生じる。すなわち、一つの識別スロットでは一つの無線タグTからの応答しか識別できないため、衝突が生じると、無線タグTからのタグ識別情報の読み取りが正常におこなわれないこととなる。
【0072】
具体的に、図7(a)に示した状態では、スロットカウント値SCが「0」である無線タグTがないため、各無線タグT(T1,T2,T3)からの応答はないので、ステップS607における衝突の判断では、衝突が生じていないと判断される。
【0073】
図6に戻って、ステップS607において、衝突がなかった場合(ステップS607:No)は、制御部211は、NoTag_countをインクリメントする(ステップS609)。
【0074】
具体的に、図7(a)に示した状態では、NoTag_countが「0」であるため、ステップS609では、NoTag_countが「0」から「1」にインクリメントされる。
【0075】
図6に戻って、制御部211は、これまでの処理で設定されている各種パラメータからQが0で、NoTag_countが1か否かを判断する(ステップS610)。この判断により、通信エリア111内にある無線タグTから情報をすべて読み取れたか否かを判断することとなる。
【0076】
具体的に、図7(a)に示した状態では、Qは「2」であり、NoTag_countは「1」であるため、ステップS610における判断では、Qが0ではない(あるいは、NoTag_countが1ではない)と判断されて、ステップS611へ移行することとなる。
【0077】
図6に戻って、ステップS610において、Qが0で、NoTag_countが1でない場合(ステップS610:No)は、制御部211は、これまでの処理で設定されたRep_countが0になっているか否かを判断する(ステップS611)。この判断により、ステップS603において設定された応答回数を実行したか否かが判断することとなる。
【0078】
具体的に、図7(a)に示した状態では、Rep_countは「4」であるため、ステップS611における判断では、Rep_countが0になっていないと判断されて、ステップS612へ移行する。
【0079】
図6に戻って、ステップS611において、Rep_countが0でない場合(ステップS611:No)は、制御部211は、Rep_countをデクリメントする(ステップS612)。
【0080】
具体的に、図7(a)に示した状態では、Rep_countが「4」であるため、ステップS612では、Rep_countが「4」から「3」にデクリメントされる。
【0081】
図6に戻って、制御部211は、無線タグ通信制御部212を制御して、リーダアンテナATの通信エリア111内に位置する無線タグTに対してQueryRepコマンドを送信し(ステップS613)、ステップS605へ移行する。具体的には、QueryRepコマンドは、無線タグTに対してスロットカウント値SCをデクリメント(1つ減算)するコマンドである。
【0082】
すなわち、図7(a)に示したT1が「1」、T2が「2」、T3が「2」の状態から図7(b)に示したT1が「0」、T2が「1」、T3が「1」の状態となる。スロットカウント値SCのデクリメントは、たとえば、既読フラグFlが「A」の無線タグについて、生成された乱数に応じて循環する構成である。すなわち、図7の例では、0〜3(=0〜2Q−1)までの乱数が生成されているため、QueryRepコマンドがあると既読フラグが「A」である場合に…→3→2→1→0→3→2→…の順に変更される。
【0083】
図7(b)は、1回目のQueryRepコマンド送信直後の各無線タグT(T1,T2,T3)のスロットカウント値SCと、既読フラグFlの状態とを示している。なお、図7(b)の状態では、各種パラメータは、ステップS609およびステップS612の処理によって、Rep_count=3、Tag_count=0、Coll_count=0、NoTag_count=1となっている。
【0084】
図6に戻って、ステップS605において、無線タグTからのタグ識別情報の読み取りがあった場合(ステップS605:Yes)は、制御部211は、Tag_countをインクリメントし、RAMなどに読み取った無線タグTのタグ識別情報を記録して(ステップS606)、ステップS611へ移行する。図7(b)に示した状態の場合、各無線タグT(T1,T2,T3)のうち、スロットカウント値SCが「0」となっている無線タグT1からの応答によってタグ識別情報を読み取る構成である。具体的には、無線タグT1からのタグ識別情報の読み取りは、前述したようにスロットカウント値SCが「0」となっている無線タグT1から情報(タグ識別情報)を送信する許可を求めるための擬似乱数を用いたRN16レスポンスを応答信号として受信し、情報の送信を許可するためにそのRN16が含まれているAckコマンドを無線タグTに送信した場合におこなわれる。そして、タグ識別情報が読み取られると無線タグT1の既読フラグFlは、「A」から「B」に遷移してタグ識別情報の読み取りが不可能状態となる。
【0085】
制御部211は、Rep_countが0になっているか否かを判断する(ステップS611)。
【0086】
具体的に、図7(b)に示した状態では、Rep_countは「3」であるため、ステップS611における判断では、Rep_countが0になっていないと判断されて、ステップS612へ移行する。
【0087】
すなわち、図6に戻って、ステップS611において、Rep_countが0でない場合(ステップS611:No)は、制御部211は、Rep_countをデクリメントする(ステップS612)。
【0088】
図7(b)に示した状態では、Rep_countは「3」であるため、ステップS612では、Rep_countが「3」から「2」にデクリメントされる。
【0089】
図6に戻って、制御部211は、QueryRepコマンドを送信し(ステップS613)、ステップS605へ移行する。具体的には、QueryRepコマンドによってスロットカウント値SCがデクリメントされる。すなわち、図7(b)に示したT1が「0」、T2が「1」、T3が「1」の状態から図7(c)に示したT1が「0」、T2が「0」、T3が「0」の状態となる。
【0090】
図7(c)は、2回目のQueryRepコマンド送信直後の各無線タグT(T1,T2,T3)のスロットカウント値SCと、既読フラグFlの状態とを示している。なお、図7(c)の状態では、各種パラメータは、ステップS606およびステップS612の処理によって、Rep_count=2、Tag_count=1、Coll_count=0、NoTag_count=1となっている。
【0091】
図7(c)の状態では、既読フラグが「A」(読み取り可能状態)の各無線タグT(T2,T3)のスロットカウント値SCがいずれも「0」となっているため、同じ識別スロットで応答をおこなう(衝突が生じる)こととなり、リーダ110はタグ識別情報の読み取りをおこなうことができない。
【0092】
図6に戻って、ステップS605において、無線タグTからのタグ識別情報の読み取りがなかった場合(ステップS605:No)は、制御部211は、無線タグTとの無線通信によって衝突があったか否かを判断する(ステップS607)。
【0093】
ステップS607において、衝突があった場合(ステップS607:Yes)は、制御部211は、Coll_countをインクリメントする(ステップS608)。
【0094】
図7(c)に示した状態では、無線タグT2と無線タグT3のスロットカウント値が同じであるため、無線タグT2と無線タグT3の応答に衝突が生じて、ステップS608では、Coll_countが「0」から「1」にインクリメントされる。
【0095】
図6に戻って、制御部211は、これまでの処理で設定されている各種パラメータからQが0で、NoTag_countが1か否かを判断する(ステップS610)。
【0096】
具体的に、図7(c)に示した状態では、Qは「2」であり、NoTag_countは「1」であるため、ステップS610における判断では、Qが0ではないと判断されて、ステップS611へ移行することとなる。
【0097】
図6に戻って、ステップS610において、Qが0で、NoTag_countが1でない場合(ステップS610:No)は、制御部211は、Rep_countが0になっているか否かを判断する(ステップS611)。
【0098】
具体的に、図7(c)に示した状態では、Rep_countは「2」であるため、ステップS611における判断では、Rep_countが0になっていないと判断されてステップS612へ移行する。
【0099】
図6に戻って、ステップS611において、Rep_countが0でない場合(ステップS611:No)は、制御部211は、Rep_countをデクリメントする(ステップS612)。
【0100】
具体的に、図7(c)に示した状態では、Rep_countが「2」であるため、ステップS612では、Rep_countが「2」から「1」にデクリメントされる。
【0101】
図6に戻って、制御部211は、QueryRepコマンドを送信し(ステップS613)、ステップS605へ移行する。具体的には、QueryRepコマンドによってスロットカウント値SCがデクリメントされる。すなわち、図7(c)に示したT1が「0」、T2が「0」、T3が「0」の状態から図7(d)に示したT1が「0」、T2が「3」、T3が「3」の状態となる。
【0102】
図7(d)は、3回目のQueryRepコマンド送信直後の各無線タグT(T1,T2,T3)のスロットカウント値SCと、既読フラグFlの状態とを示している。なお、図7(d)の状態では、各種パラメータは、ステップS608およびステップS612の処理によって、Rep_count=1、Tag_count=1、Coll_count=1、NoTag_count=1となっている。
【0103】
すなわち、図7(d)の状態では、既読フラグが「A」(読み取り可能状態)の各無線タグT(T2,T3)のうち、スロットカウント値SCが「0」となっている無線タグTがないため、リーダ110に応答する無線タグTは存在しない。したがって、無線タグTからのタグ識別情報の読み取りがなく(ステップS605:No)、衝突も生じない(ステップS607:No)ため、制御部211は、NoTag_countをインクリメントする(ステップS609)。
【0104】
具体的に、図7(d)に示した状態では、NoTag_countが「1」であるため、ステップS609では、NoTag_countが「1」から「2」にインクリメントされる。
【0105】
図6に戻って、制御部211は、これまでの処理で設定されている各種パラメータからQが0で、NoTag_countが1か否かを判断する(ステップS610)。
【0106】
具体的に、図7(d)に示した状態では、Qは「2」であり、NoTag_countは「2」であるため、ステップS610における判断では、Qが0ではない(あるいは、NoTag_countが1ではない)と判断されて、ステップS611へ移行することとなる。
【0107】
図6に戻って、ステップS610において、Qが0で、NoTag_countが1でない場合(ステップS610:No)は、制御部211は、Rep_countが0になっているか否かを判断する(ステップS611)。
【0108】
具体的に、図7(d)に示した状態では、Rep_countは「1」であるため、ステップS611における判断では、Rep_countが0になっていないと判断されて、ステップS612へ移行する。
【0109】
すなわち、図6に戻って、ステップS611において、Rep_countが0でない場合(ステップS611:No)は、Rep_countをデクリメントする(ステップS612)。
【0110】
具体的に、図7(d)に示した状態では、Rep_countが「1」であるため、ステップS612では、Rep_countが「1」から「0」にデクリメントされる。
【0111】
図6に戻って、制御部211は、QueryRepコマンドを送信し(ステップS613)、ステップS605へ移行する。具体的には、QueryRepコマンドによってスロットカウント値SCがデクリメントされる。すなわち、図7(d)に示したT1が「0」、T2が「3」、T3が「3」の状態から図7(e)に示したT1が「0」、T2が「2」、T3が「2」の状態となる。
【0112】
図7(e)は、4回目のQueryRepコマンド送信直後の各無線タグT(T1,T2,T3)のスロットカウント値SCと、既読フラグFlの状態とを示している。なお、図7(e)の状態では、各種パラメータは、ステップS609およびステップS612の処理によって、Rep_count=0、Tag_count=1、Coll_count=1、NoTag_count=2となっている。
【0113】
すなわち、図7(e)の状態では、既読フラグが「A」(読み取り可能状態)の各無線タグT(T2,T3)のうち、スロットカウント値SCが「0」となっている無線タグTがないため、リーダ110に応答する無線タグTは存在しない。したがって、無線タグTからのタグ識別情報の読み取りがなく(ステップS605:No)、衝突も生じない(ステップS607:No)ため、制御部211は、NoTag_countをインクリメントする(ステップS609)。
【0114】
具体的に、図7(e)に示した状態の場合、NoTag_countが「2」であるため、ステップS609では、NoTag_countが「2」から「3」にインクリメントされる。
【0115】
図6に戻って、制御部211は、これまでの処理で設定されている各種パラメータからQが0で、NoTag_countが1か否かを判断する(ステップS610)。
【0116】
具体的に、図7(e)に示した状態では、Qは「2」であり、NoTag_countは「3」であるため、ステップS610における判断では、Qが0ではない(あるいは、NoTag_countが1ではない)と判断されて、ステップS611へ移行することとなる。
【0117】
図6に戻って、ステップS610において、Qが0で、NoTag_countが1でない場合(ステップS610:No)は、制御部211は、Rep_countが0になっているか否かを判断する(ステップS611)。
【0118】
具体的に、図7(e)に示した状態では、Rep_countは「0」となっているため、ステップS611における判断では、Rep_countが0になっていると判断される。
【0119】
ステップS611において、Rep_countが0になっている場合(ステップS611:Yes)は、ステップS602へ戻って処理を繰り返す。すなわち、ステップS602では、図7(e)に示した状態の場合は、Coll_countが1であるため、新たにQを1に設定して処理を繰り返す。このような処理を繰り返して、各無線タグT(図7(e)では、T2およびT3)のスロットカウント値SCが異なる値となって衝突が生じなくなる(ステップS605において、無線タグT2,T3のタグ読取が検出される)と、ステップS602においてQが0に設定される(Coll_countが0となってからステップS602へ移行)。
【0120】
そして、Qが0に設定されてから、タグ識別情報の読み取りおよび衝突がなくなる(ステップS605:No、かつステップS607:No)と、ステップS610において、Qが0で、NoTag_countが1となり(ステップS610:Yes)、一連のコマンド群処理を終了する。
【0121】
図5に戻って、制御部211は、ステップS502において読み取られた無線タグTの中に場所タグTaがあるか否かを判断する(ステップS503)。具体的には、たとえば、図6に示したステップS606において記憶されたタグ識別情報の中に、場所タグTaを示すタグ識別情報があるか否かを判断する。より具体的には、たとえば、タグ識別情報と収納場所や物品が関連付けられた管理データを参照して、ステップS606において記憶されたタグ識別情報が収納場所と関連付けられたものか否かを判断したり、ステップS606において記憶されたタグ識別情報の属性IDが収納場所を示すものか否かを判断したりする。
【0122】
ステップS503において、場所タグTaが読み取られていない場合(ステップS503:No)は、ステップS502に戻って処理を繰り返す。
【0123】
ステップS503において、場所タグTaが読み取られた場合(ステップS503:Yes)は、制御部211は、場所タグTaの既読フラグFlを反転させるSelectコマンドを送信する(ステップS504)。すなわち、ステップS504では、一連のコマンド群処理によって、既読フラグが「B」に遷移して読み取りが不可能状態となった場所タグTaの既読フラグを「A」に戻す再活性化信号を送信する。
【0124】
ここで、図8を用いて、本発明の実施形態1にかかる再活性化信号としてのSelectコマンドの概要について説明する。図8は、本発明の実施形態1にかかるSelectコマンドの構成の一例を示す説明図である。
【0125】
図8において、Selectコマンド800は、ポインタ801と、レングス802と、マスクビット803と、指示内容804と、を含み構成されている。ポインタ801、レングス802およびマスクビット803は、Select信号の送信先となる場所タグTaを指定する構成である。
【0126】
具体的には、ポインタ801は、無線タグTにおけるタグ識別情報のうち、Selectコマンド800で指定するビット列が開始される位置を示す。レングス802は、無線タグTにおけるタグ識別情報のうち、Select信号800で指定するビット列の長さ(1ビット以上)を示す。これらポインタ801と、レングス802とによって、Select信号800で指定するビット列の開始位置およびビット列の長さが指定される。
【0127】
マスクビット803は、無線タグTにおけるタグ識別情報のうち、Selectコマンド800で指定する部分の値を示す。具体的には、マスクビット803は、目標とする無線タグTにおけるタグ識別情報のうち、ポインタ801と、レングス802とによって指定された開始位置および長さの部分の値である。
【0128】
具体的には、たとえば、図3に示したタグ識別情報のうち属性IDを指定する場合は、ポインタ801によって「0」を指定し、レングス802によって「4」を指定し、マスクビット803によって「XXXX」を指定することとなる。すなわち、ポインタ801、レングス802およびマスクビット803によって、タグ識別情報のうち、Selectコマンドの送信対象となる無線タグTを特定するのに十分な範囲およびその値を指定する。
【0129】
指示内容804は、ポインタ801、レングス802およびマスクビット803によって指定された無線タグTに対して送信する指示の内容である。具体的には、本実施形態1では、既読フラグFlを「A」に反転させる指示を含む内容である。すなわち、Selectコマンド800は、ポインタ801、レングス802およびマスクビット803によって送信先となる無線タグT(本実施形態1では場所タグTa)を指定し、指定した無線タグTに対して指示内容804によって既読フラグFlを「A」とする指示をおこなう。
【0130】
図5に戻って、制御部211は、読取終了命令があったか否かを判断する(ステップS505)。読取終了命令は、たとえば、利用者が操作部213を操作して入力することとしてもよいし、棚卸や探索などの処理が終了した場合に表示部214などによってその旨を報知して読取終了命令を促すこととしてもよい。
【0131】
ステップS505において、読取終了命令がない場合(ステップS505:No)は、制御部211は、ステップS502に戻って処理を繰り返す。ステップS505において、読取終了命令があった場合(ステップS505:Yes)は、制御部211は、NAKコマンドを発行して(ステップS506)、一連の処理を終了する。NAKコマンドは、すべての無線タグTをQueryコマンドを受信する前の状態に戻すコマンドである。なお、本実施形態1では、このNAKコマンドの発行がなくても通信エリア111の外に位置する無線タグTは初期状態となる構成である。
【0132】
なお、図5のフローチャートでは詳細な説明を省略したが、ステップS504では、ステップS503においてタグ識別情報が読み取られた場所タグTaの既読フラグFlが「A」となるようにSelectコマンド800を送信する。このSelectコマンド800は、たとえば、ステップS503において読み取られた特定の場所タグTaに対するコマンドであってもよいし、ステップS503において場所タグTaが読み取られた場合に場所タグTaを区別せず(すべての場所タグTa)に対するコマンドであってもよい。
【0133】
具体的には、ステップS503において読み取られた場所タグTaのタグ識別情報に基づいて、該場所タグTaを指定するためのポインタ801、レングス802およびマスクビット803を決定する。そしてタグ識別情報が読み取られた特定の場所タグTaに対して、既読フラグFlを「A」に反転するSelectコマンド800を送信する。このようにすれば、既読フラグFlが「B」になった場所タグTaの既読フラグFlを的確に「A」に戻すことができる。
【0134】
また、ステップS503において場所タグTaが読み取られた場合、タグ識別情報のうち収納場所を示す属性IDの部分を指定して、通信エリア111内に位置する場所タグTaにSelectコマンド800を送信すれば、通信エリア111内に位置するすべての場所タグTaの既読フラグFlは「A」に保つことができる。このようにすれば、通信エリア111内に複数の場所タグTaがあっても、1回のSelectコマンド800を送信すればよいため、効率的なSelectコマンド800の送信をおこなうことができる。
【0135】
具体的には、場所タグTaのタグ識別情報が場所タグTaであることを示す特定の1以上のビット列(属性ID)を含む場合、ステップS503における場所タグTaの判断も特定のビット列を比較するだけでよいため、場所タグを読み取ったか否かの判断を効率的におこなうことができる。さらに、Selectコマンド800のポインタ801、レングス802およびマスクビット803部分も一定であるため、場所タグTaを読み取った場合にはリーダ110内部に予め準備しておいたSelectコマンド800を送信する構成として、効率的に場所タグTaの既読フラグFlを「A」としておくことができる。
【0136】
つぎに、図9を用いて、本発明の実施形態1にかかる無線タグTの処理の内容について説明する。図9は、本発明の実施形態1にかかる無線タグの処理の内容を示すフローチャートである。図9のフローチャートにおいて、まず、制御部307は、タグアンテナ301を介して、リーダ110からSelectコマンドを受信したか否かを判断する(ステップS901)。Selectコマンドは、たとえば、図5に示したステップS504においてリーダ110から送信され、既読フラグFlが「B」である場所タグTaという指定条件に対して、指定条件を満たす無線タグTの既読フラグFlを「A」に反転させる再活性化信号である。
【0137】
ステップS901において、Selectコマンドを受信した場合(ステップS901:Yes)は、制御部307は、自身の状態が、受信したSelectコマンドにおける指定条件を満たすか否かを判断する(ステップS902)。具体的には、たとえば、制御部307は、自身のタグ識別情報が、図8に示したポインタ801、レングス802およびマスクビット803によって指定され、既読フラグが「B」である場合に指定条件を満たすと判断する。
【0138】
ステップS902において、指定条件を満たさない場合(ステップS902:No)は、ステップS901に戻って処理を繰り返す。また、ステップS902において、指定条件を満たす場合(ステップS902:Yes)は、制御部307は、既読フラグFlを「A」に設定し(ステップS903)、ステップS901へ移行する。
【0139】
ステップS901において、Selectコマンドを受信しなかった場合(ステップS901:No)は、制御部307は、タグアンテナ301を介して、リーダ110からQueryコマンドを受信したか否かを判断する(ステップS904)。Queryコマンドは、たとえば、図6に示したステップS604においてリーダ110から送信される。
【0140】
ステップS904において、Queryコマンドを受信しなかった場合(ステップS904:No)は、ステップS912へ移行する。また、ステップS904において、Queryコマンドを受信した場合(ステップS904:Yes)は、制御部307は、自身の既読フラグFlが「A」であるか否かを判断する(ステップS905)。
【0141】
ステップS905において、既読フラグFlが「A」でなかった場合(ステップS905:No)は、ステップS912へ移行する。また、ステップS905において、既読フラグFlが「A」だった場合(ステップS905:Yes)は、制御部307は、ステップS904において受信されたQueryコマンドで指定されるQに基づいて、スロットカウント値を設定する(ステップS906)。また、ステップS906では、後述するステップS908におけるQueryRepコマンドを受信した場合(ステップS908:Yes)は、既に設定されているスロットカウント値SC1つ減算する。
【0142】
つづいて、制御部307は、ステップS906において設定されたスロットカウント値SCが0か否かを判断する(ステップS907)。ステップS907において、スロットカウント値SCが0でない場合(ステップS907:No)は、制御部307は、タグアンテナ301を介して、リーダ110からQueryRepコマンドを受信したか否かを判断する(ステップS908)。QueryRepコマンドは、たとえば、図6に示したステップS613においてリーダ110から送信される。
【0143】
ステップS908において、QueryRepコマンドを受信しなかった場合(ステップS908:No)は、ステップS912へ移行する。また、ステップS908において、QueryRepコマンドを受信した場合(ステップS908:Yes)は、ステップS906へ移行して処理を繰り返す。すなわち、制御部307は、ステップS908においてQueryRepコマンドを受信すると、スロットカウント値SCを1つ減算する構成である。
【0144】
ステップS907において、スロットカウント値が0の場合(ステップS907:Yes)は、制御部307は、タグアンテナ301を介して、リーダ110に対して応答をおこなう(ステップS909)。この応答によって、たとえば、図6に示したステップS605においてリーダ110によってタグ識別情報の読み取りがおこなわれる。具体的には、応答は、前述したように情報を送信する許可を得るため擬似乱数を用いたRN16レスポンスを応答信号としてリーダ110に送信し、リーダ110から同じRN16が含まれているAckコマンドを受信した場合にタグ識別情報の送信を許可されたものとみなしてタグ識別情報を送信する。
【0145】
つぎに、制御部307は、ステップS909において実行された応答について、リーダ110によって、正常にタグ識別情報が読み取られたか否かを判断する(ステップS910)。特に図示はしないが、ステップS910における判断は、たとえば、図6に示したステップS606でリーダ110によってタグ読み取りが正常におこなわれた場合に、その旨を示す情報をリーダ110から受信したり、ステップS607でリーダ110によってタグ読み取りが正常におこなわれなかった場合に、その旨を示す情報をリーダ110から受信したりする。
【0146】
ステップS910において、タグ識別情報が正常に読み取られなかった場合(ステップS910:No)は、ステップS908へ移行する。また、ステップS910において、タグ識別情報が正常に読み取られた場合(ステップS910:Yes)は、制御部307は、タグアンテナ301を介して、リーダ110からつぎのQueryコマンドやQueryRepコマンドを受信すると、既読フラグFlを「B」に設定する。
【0147】
制御部307は、タグアンテナ301を介して、リーダ110からNAKコマンドを受信したか否かを判断する(ステップS912)。NAKコマンドは、たとえば、図5に示したステップS506においてリーダ110から送信される。
【0148】
ステップS912において、NAKコマンドを受信した場合(ステップS912:Yes)は、制御部307は、自身の状態を初期状態に戻し(ステップS913)、ステップS901に戻って処理を繰り返す。初期状態は、たとえば、リーダ110と通信をおこなう前の状態であり、既読フラグFlを「A」に設定する。
【0149】
ステップS912において、NAKコマンドを受信しなかった場合(ステップS912:No)は、制御部307は、無線タグTがリーダ110の通信エリア111外に位置するか否かを判断する(ステップS914)。具体的には、制御部307は、リーダ110からの質問波(Selectコマンド、Queryコマンドなどの各種コマンド)の送信が所定時間なかった場合に、自身が通信エリア111の外に位置すると判断する。
【0150】
ステップS914において、通信エリア111外に位置する場合(ステップS914:Yes)は、制御部307は、自身の状態を初期状態に戻し(ステップS913)、ステップS901に戻って処理を繰り返す。また、ステップS914において、通信エリア111外に位置しない場合(ステップS914:No)は、ステップS901に戻って処理を繰り返す。
【0151】
なお、本発明の各構成要素における処理と、本発明の実施形態1の各処理または各機能とを関連付けて説明すると、ステップS501、ステップS502における制御部211、無線タグ通信制御部212およびアンテナATの処理によって、本発明にかかる読取手段の処理が実行される。ステップS503における制御部211の処理によって、本発明にかかる判定手段の処理が実行される。ステップS504における制御部211、無線タグ通信制御部212およびアンテナATの処理によって、本発明にかかる送信手段の処理が実行される。
【0152】
以上説明したように、本発明の実施形態1にかかるリーダおよび物品棚卸システムによれば、タグ識別情報を読み取った場所タグに対して、繰り返してタグ識別情報を読み取れるようにSelectコマンドを発行できる。すなわち、繰り返しタグ識別情報が読み取れていることを確認したい場所タグに対してのみ効率的に既読フラグをタグ識別情報の読み取りを可能状態に保つことができる。換言すれば、繰り返し場所タグのタグ識別情報を読み取り可能にすることで、効率的に棚卸時にどの場所の棚卸を実行しているのかを確認することができる。
【0153】
また、本発明の実施形態1にかかるリーダおよび物品棚卸システムによれば、場所タグのタグ識別情報は、特定のビット列を含む構成であるため、リーダによって読み取られた無線タグが場所タグか否かを容易に判定することができ、効率的な再活性化信号の送信をおこなうことができる。
【0154】
(その他の一部の変形例)
なお、本発明の実施形態1では特に、図5に示したステップS503において、場所タグを読み取ったか否かに応じてSelectコマンドを送信することとして説明したが、さらに、物品タグを読み取ったか否かに応じてSelectコマンドを送信する構成としてもよい。具体的には、場所タグを読み取った場合であっても、物品タグを読みとらなかった場合は、Selectコマンドの送信をおこなわない構成としてもよい。このようにすれば、場所タグ近辺の物品タグが十分に読み取られた(棚卸が十分に実行された)場合に、無駄にSelectコマンドを送信することがなくなり、効率化を図ることができる。またこの際、表示部214によって、当該場所タグ近辺の棚卸を終了する(次の場所へ移動する)ことを促すこととすれば、適切かつ効率的な棚卸を遂行することができる。
【0155】
なお、本実施形態1では、主にリーダによって物品の棚卸をおこなう場合について説明をしてきたが、物品の探索に適用してもよい。すなわち、物品を探索する場合にも、探索した場所の場所タグを繰り返し読み取るようにすることで、適切な物品の探索がおこなえることとなる。
【0156】
(実施形態2)
つぎに、本発明の実施形態2ついて説明する。本発明の実施形態2は、実施形態1で説明したリーダおよび物品棚卸システにおいて、場所タグが読み取れた連続回数に応じて、リーダと場所タグとの無線通信の状態を報知する場合について説明する。なお、本実施形態2にかかる物品棚卸システムの概要、リーダの機能的構成および無線タグの機能的構成、無線タグの処理の内容について、実施形態1とほぼ同様である部分は説明を省略する。
【0157】
本実施形態2において、図2に示した制御部211は、リーダアンテナATを介して読み取られた無線タグTのタグ識別情報に基づいて、場所タグTaのタグ識別情報を読み取った連続回数が所定回数以下か否かを判断する。具体的には、制御部211は、同一の場所タグTaのタグ識別情報を連続して何回読み取ったかを計数し、RAMなどに一時記憶する。制御部211は、場所タグTaを読み取った連続回数と、所定回数とを比較する。
【0158】
表示部214は、制御部211の制御に従って、場所タグTaとリーダ110との無線通信に関する状態を報知する。具体的には、制御部211は、場所タグTaを読み取った連続回数が所定回数以下だった場合、表示部214を制御して、利用者に場所タグTa付近の無線タグTの読み取りが不十分である旨などを報知する。換言すれば、場所タグTaを連続して所定回数よりも多く読み取れなかったため、当該場所タグTaの近辺の棚卸が不十分である可能性があることを報知する構成である。
【0159】
このように、場所タグTaを読み取った連続回数が所定回数以下だった場合に、利用者にその旨を報知することによって、連続回数が所定回数以下となる移動(走査)での棚卸に対して注意喚起をおこなって適切な棚卸を促すことができる。
【0160】
なお、各構成要素と、各機能を対応付けて説明すると、図2に示した制御部211によって、本発明にかかる判断手段の機能を実現する。また、図2に示した制御部211が表示部214を制御することによって、本発明にかかる報知手段の機能を実現する。
【0161】
(物品棚卸システムの処理の内容)
図10を用いて、本発明の実施形態2にかかる物品棚卸システム100の処理の内容について説明する。なお、本実施形態2にかかる一連のコマンド群処理については、図6とほぼ同様であるため説明を省略する。
【0162】
図10は、本発明の実施形態2にかかるリーダの処理の内容を示すフローチャートである。図10のフローチャートにおいて、まず、利用者が操作部213を操作して、無線タグTの読み取りを開始する(ステップS1001)。
【0163】
制御部211は、図6に示した一連のコマンド群処理によって、無線タグTの読み取りをおこなう(ステップS1002)。制御部211は、ステップS1002において読み取られた無線タグTの中に場所タグTaがあるか否かを判断する(ステップS1003)。
【0164】
ステップS1003において、読み取られた無線タグTの中に場所タグTaがない場合(ステップS1003:No)は、ステップS1006へ移行する。
【0165】
ステップS1003において、読み取られた無線タグTの中に場所タグTaがある場合(ステップS1004:Yes)は、制御部211は、読み取られた場所タグTaの読取回数(連続回数)をインクリメントする(ステップS1004)。具体的には、制御部211は、RAMなどに場所タグTaのタグ識別情報と、連続回数とを一時記憶する。
【0166】
つづいて制御部211は、場所タグTaの既読フラグFlを反転させるSelectコマンドを送信する(ステップS1005)。すなわち、ステップS1005では、一連のコマンド処理によって、既読フラグが「B」に遷移して読み取りが不可能状態となった場所タグTaの既読フラグを「A」に戻す再活性化信号として、図8に示したSelectコマンド800を送信する。
【0167】
制御部211は、ステップS1002における一連のコマンド群処理で、前回読み取れて、今回読み取れていない場所タグTaがあるか否かを判断する(ステップS1006)。具体的には、制御部211は、前回読み取れた場所タグTaのうち、今回の読み取りによって連続回数が途切れた場所タグTaがあるか否かを判断する。
【0168】
ステップS1006において、前回読み取れて、今回読み取れていない場所タグTaがない場合(ステップS1006:No)は、ステップS1009へ移行する。すなわち、連続回数が途切れた場所タグTaがない場合は、ステップS1009へ移行することとなる。
【0169】
ステップS1006において、前回読み取れて、今回読み取れていない場所タグTaがある場合(ステップS1006:Yes)は、制御部211は、今回読み取れなかった場所タグTaの読取回数が所定回数N以下であれば、表示部214を制御して場所タグTaが示す場所(収納場所)を表示して警告をおこなう(ステップS1007)。具体的には、制御部211は、場所タグTaの連続回数が所定回数以下の場合に、場所タグTaの近辺の棚卸が不十分である可能性があることを報知し、場所タグTaの連続回数が所定回数よりも大きければそのままステップS1008へ移行する。
【0170】
制御部211は、ステップS1006において、前回読み取れた場所タグTaのうち、今回読み取れなかった場所タグTaの読取回数をリセットする(ステップS1008)。具体的には、制御部211は、ステップS1004において一時記憶されていた、場所タグTaの連続回数について、連続が途切れた場所タグTaについて連続回数を0にする、あるいは、削除する。
【0171】
制御部211は、読取終了命令があったか否かを判断する(ステップS1009)。読取終了命令は、たとえば、利用者が操作部213を操作して入力することとしてもよいし、棚卸や探索などの処理が終了した場合に表示部214などによってその旨を報知して読取終了命令を促すこととしてもよい。
【0172】
ステップS1009において、読取終了命令がない場合(ステップS1009:No)は、制御部211は、ステップS1002に戻って処理を繰り返す。ステップS1009において、読取終了命令があった場合(ステップS1009:Yes)は、制御部211は、NAKコマンドを発行して(ステップS1010)、一連の処理を終了する。
【0173】
なお、本発明の各構成要素における処理と、本発明の実施形態2の各処理または各機能とを関連付けて説明すると、ステップS1001、ステップS1002における制御部211、無線タグ通信制御部212およびアンテナATの処理によって、本発明にかかる読取手段の処理が実行される。ステップS1003における制御部211の処理によって、本発明にかかる判定手段の処理が実行される。ステップS1005における制御部211、無線タグ通信制御部212およびアンテナATの処理によって、本発明にかかる送信手段の処理が実行される。ステップS1007における制御部211および表示部214の処理によって、本発明にかかる判断手段および報知手段の処理が実行される。
【0174】
以上説明したように、本発明の実施形態2にかかるリーダおよび物品棚卸システムによれば、場所タグの読み取りの連続回数が所定回数以下の場合に、警告を報知することができる。したがって、場所タグ近辺の無線タグの棚卸に十分な読み取りをおこなったか(その場所近辺を十分に走査したか)否かを適切に判断することができ、確実な棚卸をおこなうことができる。また、本実施形態2によれば、場所タグに対してのみ効率的に再活性化信号を送信することができる。
【0175】
(その他の一部の変形例)
なお、本実施形態2では特に、図10に示したステップS1007において、表示部214によって警告を表示する構成としたがこれに限ることはない。具体的には、たとえば、表示部214および/または図示しないスピーカなどによって警告する構成でもよい。
【0176】
また、図10のフローチャートでは説明を省略したが、ステップS1007における所定回数Nは、リーダ110に予め設定された初期値でもよいし、利用者が操作部213を操作して入力する構成でもよい。また、図6に示したタグ想定枚数に応じて設定される構成でもよい。具体的には、たとえば、所定回数Nは、場所タグTa近辺の棚卸が十分であるか否かを判断する指標として用いる構成であるため、タグ想定枚数などに基づいて場所タグTa近辺の無線タグTが多い場合は、同一の場所タグTaの連続回数が多くなるように(ゆっくりした移動(走査)によって)棚卸をおこなうように設定する。同様に、場所タグTa近辺の無線タグTが少ない場合は、同一の場所タグTaの連続回数を少なく設定することで、効率的、かつ適切な棚卸をおこなうことができる。
【0177】
また、本実施形態2では特に、ステップS1003において、複数の場所タグが読み取れた場合、ステップS1004やステップS1007において、それら複数の場所タグについて連続回数を判断して、警告を表示することとして説明したがこれに限ることはない。具体的には、監視対象となる場所タグ(監視タグ)を設定して、監視タグに関して連続回数を判断し、警告を表示する構成でもよい。
【0178】
図11を用いて、監視タグを用いる変形例について説明する。図11は、本発明の実施形態2の変形例にかかるリーダの処理の内容を示すフローチャートである。図11のフローチャートにおいて、まず、利用者が操作部213を操作して、無線タグTの読み取りを開始する(ステップS1101)。
【0179】
制御部211は、図6に示した一連のコマンド群処理によって、無線タグTの読み取りをおこなう(ステップS1102)。制御部211は、ステップS1102において読み取られた無線タグTの中に監視中の場所タグがあるか否かを判断する(ステップS1103)。具体的には、監視タグは、後述するステップS1112において設定される場所タグTaである。
【0180】
ステップS1103において、監視タグがある場合(ステップS1103:Yes)は、制御部211は、監視タグの読取回数(連続回数)をインクリメントする(ステップS1104)。具体的には、制御部211は、RAMなどに監視タグのタグ識別情報と、連続回数とを一時記憶する。
【0181】
ステップS1103において、監視タグがなかった場合(ステップS1103:No)は、制御部211は、ステップS1102において読み取られた無線タグTの中に場所タグTaがあるか否かを判断する(ステップS1111)。
【0182】
ステップS1111において、場所タグTaが読み取られていない場合(ステップS1111:No)は、ステップS1106へ移行する。
【0183】
ステップS1111において、場所タグTaが読み取られた場合(ステップS1111:Yes)は、制御部211は、読み取られた場所タグTaの1つを監視タグに設定して、読取回数(連続回数)を1にする(ステップS1112)。具体的には、制御部211は、RAMなどに監視タグのタグ識別情報と、連続回数とを一時記憶する。監視タグの設定は、たとえば、読み取られた場所タグTaのうちランダムで設定したり、場所タグTaごとに予め定められた優先順位に基づいて設定したりしてもよい。
【0184】
制御部211は、場所タグTaの既読フラグFlを反転させるSelectコマンドを送信する(ステップS1105)。すなわち、ステップS1105では、一連のコマンド処理によって、既読フラグが「B」に遷移して読み取りが不可能状態となった場所タグTaの既読フラグを「A」に戻す再活性化信号として、図8に示したSelectコマンド800を送信する。また、ステップS1105では、場所タグTaに対するSelectコマンド800を送信する代わりに、監視タグを指定したSelectコマンド800としてもよい。
【0185】
制御部211は、ステップS1102における一連のコマンド群処理で、前回読み取れて、今回読み取れていない監視があるか否かを判断する(ステップS1106)。具体的には、制御部211は、前回読み取れた監視タグが今回の読み取りによって連続回数が途切れたか否かを判断する。
【0186】
ステップS1106において、前回読み取れて、今回読み取れていない監視タグがない場合(ステップS1106:No)は、ステップS1109へ移行する。すなわち、連続回数が途切れた監視タグがない場合は、ステップS1109へ移行することとなる。
【0187】
ステップS1106において、前回読み取れて、今回読み取れていない監視タグがある場合(ステップS1106:Yes)は、制御部211は、監視タグの読取回数が所定回数N以下であれば、表示部214を制御して監視タグが示す場所(収納場所)を表示して警告をおこなう(ステップS1107)。具体的には、制御部211は、監視タグの連続回数が所定回数以下の場合に、棚卸が不十分である可能性があることを報知し、監視タグの連続回数が所定回数よりも大きければそのままステップS1108へ移行する。
【0188】
制御部211は、ステップS1106において、前回読み取れた監視タグ(今回読み取れなかった監視タグ)の読取回数をリセットする(ステップS1108)。具体的には、制御部211は、ステップS1104またはステップS1112において一時記憶されていた、監視タグの連続回数について、連続が途切れた監視タグについて連続回数を0にする、あるいは、削除する。
【0189】
制御部211は、読取終了命令があったか否かを判断する(ステップS1109)。読取終了命令は、たとえば、利用者が操作部213を操作して入力することとしてもよいし、棚卸や探索などの処理が終了した場合に表示部214などによってその旨を報知して読取終了命令を促すこととしてもよい。
【0190】
ステップS1109において、読取終了命令がない場合(ステップS1109:No)は、制御部211は、ステップS1102に戻って処理を繰り返す。ステップS1109において、読取終了命令があった場合(ステップS1109:Yes)は、制御部211は、NAKコマンドを発行して(ステップS1110)、一連の処理を終了する。
【0191】
このように、場所タグTaのうち適宜監視タグを設定する構成とすれば、複数の場所タグTaが読み取れた場合であっても、監視タグについてのみ、判断・インクリメントなどの処理をおこなえばよいため、リーダの処理の効率化を図ることができる。
【0192】
また、上述した説明では、実施形態1と、実施形態2とを別々の例としたが、これに限ることはない。すなわち、それぞれの機能を併せた構成として、上記実施形態1および実施形態2や変形例による手法を適宜組み合わせて利用してもよい。
【符号の説明】
【0193】
Ta 場所タグ(無線タグT)
Tb 物品タグ(無線タグT)
100 物品棚卸システム
101 物品
102 収納棚
110 リーダ
111 通信エリア
AT リーダアンテナ
210 バス
211 制御部
212 無線タグ通信制御部
213 操作部
214 表示部
215 通信I/F
301 タグアンテナ
302 整流部
303 電源部
304 クロック抽出部
305 メモリ部
306 変復調部
307 制御部
308 乱数発生器
350 IC回路部
800 Selectコマンド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線タグ通信装置によって情報の読み取りがおこなわれた後、引き続き前記無線タグ通信装置の通信エリア内に位置する場合には、情報の読み取りが不可能状態に遷移する無線タグと無線通信をおこなう無線タグ通信装置であって、
物品の収納場所に貼付された場所タグまたは前記収納場所に関連付けられる前記物品に貼付された物品タグからタグ識別情報を読み取る読取手段と、
前記読取手段によって読み取られたタグ識別情報に基づいて、前記場所タグのタグ識別情報が読み取られたか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記場所タグのタグ識別情報が読み取られたと判定され、情報の読み取りが不可能状態になった前記場所タグの情報の読み取りを可能状態に戻す再活性化情報を送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする無線タグ通信装置。
【請求項2】
前記送信手段によって送信された前記再活性化情報に応じて読み取られる前記場所タグのタグ識別情報の連続読取回数が所定回数以下であるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段によって判断された結果に基づいて、前記場所タグが貼付された前記収納場所に対する無線通信に関する状態を報知する報知手段と、をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の無線タグ通信装置。
【請求項3】
前記判定手段は、さらに前記場所タグのタグ識別情報が読み取られた前記通信エリア内で前記物品タグのタグ識別情報が読み取られたか否かを判定可能とし、
前記送信手段は、前記判定手段によって前記物品タグのタグ識別情報が読み取られなかったと判定された場合、前記再活性化情報を送信しないことを特徴とする請求項1または2に記載の無線タグ通信装置。
【請求項4】
前記場所タグのタグ識別情報は、特定のビット列を含み、
前記送信手段は、前記タグ識別情報に前記特定のビット列を含む前記無線タグの情報を読み取り可能状態にする前記再活性化情報を送信することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の無線タグ通信装置。
【請求項5】
無線通信によって無線タグから情報を読み取る無線タグ通信装置と、情報の読み取りがおこなわれた後、引き続き前記無線タグ通信装置の通信エリア内に位置する場合には、情報の読み取りが不可能状態に遷移する無線タグとを含む無線タグ通信システムであって、
前記無線タグ通信装置は、物品の収納場所に貼付された場所タグまたは前記収納場所に関連付けられる前記物品に貼付された物品タグからタグ識別情報を読み取る読取手段を有し、
前記無線タグは、情報の読み取りが可能状態で前記無線タグ通信装置の通信エリア内に位置する場合、情報の読み取りを不可能状態に遷移するとともに、前記無線タグ通信装置に自身のタグ識別情報を読み取らせる応答手段を有し、
前記無線タグ通信装置は、前記無線タグから読み取られたタグ識別情報に基づいて、前記無線タグが前記場所タグか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記場所タグのタグ識別情報が読み取られたと判定され、情報の読み取りが不可能状態に遷移した前記場所タグの情報の読み取りを可能状態に戻す再活性化情報を送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする無線タグ通信システム。
【請求項1】
無線タグ通信装置によって情報の読み取りがおこなわれた後、引き続き前記無線タグ通信装置の通信エリア内に位置する場合には、情報の読み取りが不可能状態に遷移する無線タグと無線通信をおこなう無線タグ通信装置であって、
物品の収納場所に貼付された場所タグまたは前記収納場所に関連付けられる前記物品に貼付された物品タグからタグ識別情報を読み取る読取手段と、
前記読取手段によって読み取られたタグ識別情報に基づいて、前記場所タグのタグ識別情報が読み取られたか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記場所タグのタグ識別情報が読み取られたと判定され、情報の読み取りが不可能状態になった前記場所タグの情報の読み取りを可能状態に戻す再活性化情報を送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする無線タグ通信装置。
【請求項2】
前記送信手段によって送信された前記再活性化情報に応じて読み取られる前記場所タグのタグ識別情報の連続読取回数が所定回数以下であるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段によって判断された結果に基づいて、前記場所タグが貼付された前記収納場所に対する無線通信に関する状態を報知する報知手段と、をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の無線タグ通信装置。
【請求項3】
前記判定手段は、さらに前記場所タグのタグ識別情報が読み取られた前記通信エリア内で前記物品タグのタグ識別情報が読み取られたか否かを判定可能とし、
前記送信手段は、前記判定手段によって前記物品タグのタグ識別情報が読み取られなかったと判定された場合、前記再活性化情報を送信しないことを特徴とする請求項1または2に記載の無線タグ通信装置。
【請求項4】
前記場所タグのタグ識別情報は、特定のビット列を含み、
前記送信手段は、前記タグ識別情報に前記特定のビット列を含む前記無線タグの情報を読み取り可能状態にする前記再活性化情報を送信することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の無線タグ通信装置。
【請求項5】
無線通信によって無線タグから情報を読み取る無線タグ通信装置と、情報の読み取りがおこなわれた後、引き続き前記無線タグ通信装置の通信エリア内に位置する場合には、情報の読み取りが不可能状態に遷移する無線タグとを含む無線タグ通信システムであって、
前記無線タグ通信装置は、物品の収納場所に貼付された場所タグまたは前記収納場所に関連付けられる前記物品に貼付された物品タグからタグ識別情報を読み取る読取手段を有し、
前記無線タグは、情報の読み取りが可能状態で前記無線タグ通信装置の通信エリア内に位置する場合、情報の読み取りを不可能状態に遷移するとともに、前記無線タグ通信装置に自身のタグ識別情報を読み取らせる応答手段を有し、
前記無線タグ通信装置は、前記無線タグから読み取られたタグ識別情報に基づいて、前記無線タグが前記場所タグか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記場所タグのタグ識別情報が読み取られたと判定され、情報の読み取りが不可能状態に遷移した前記場所タグの情報の読み取りを可能状態に戻す再活性化情報を送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする無線タグ通信システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−226436(P2010−226436A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−71551(P2009−71551)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]