説明

無線ネットワーク制御装置エリア内故障時の呼継続方法および無線基地局装置

【課題】無線ネットワーク制御装置の故障時に故障無線ネットワーク制御装置の配下の広域エリアが一時的に不通になっていた状態を回避できる呼継続方法を提供する。
【解決手段】
無線基地局装置に設けられた二重の通信プロトコルを用いて第1無線ネットワーク制御装置および第2無線ネットワーク制御装置とのセル設定を行ない、第1無線ネットワーク制御装置と前記第2無線ネットワーク制御装置間でセル設定情報を通知し、呼接続情報を互いに別の無線ネットワーク制御装置に通知し、いずれかの無線ネットワーク制御装置が故障した場合に、故障の通知を受信した無線基地局装置は他方の無線ネットワーク制御装置に通知されていた接続中の呼接続情報から故障した無線ネットワーク制御装置の呼を継続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線ネットワーク制御装置エリア内故障時の呼継続方法および無線基地局装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
IMT(International Mobile Telecommunication)2000システムは、国際電気通信連合が定める第3世代(第3.5世代を含む)通信システムであり、現在、日本における携帯電話の主力となっている。(非特許文献1参照)
図12は、従来の無線ネットワーク制御装置(RNC:Radio Network Controller)と無線基地局装置(BTS:Base Transceiver Station)の接続形態及びエリア関係を示す説明図である。図12では、IMT2000システムのIP化対応無線ネットワーク制御装置IP−RNC1、IP−RNC1と無線基地局装置BTS2・・・・BTS210の接続携帯及びエリア関係を例にして図示している。
【0003】
IP化対応無線ネットワーク制御装置IP−RNC1は、複数の無線基地局装置BTS2・・・・BTS2を制御し、発着信接続制御、終話制御、およびハンドオーバー制御を行う。また、IP化対応無線ネットワーク制御装置IP−RNC1は、複数の無線基地局装置BTS2・・・・BTS210を制御し、発着信接続制御、終話制御、およびハンドオーバー制御を行う。
【0004】
無線基地局装置BTS#1(2)〜BTS#10(210)は、それぞれに移動端末との間で無線通信可能な無線エリアをカバーしている。
【0005】
この様に、IP化対応無線ネットワーク制御装置IP−RNC1、IP−RNC1と無線基地局装置BTS#1(2)〜BTS#10(210)の接続形態は、一つのIP化対応無線ネットワーク制御装置IP−RNC1またはIP−RNC1が、複数の無線基地局装置BTS#1(2)〜BTS#5(2)またはBTS#6(2)〜BTS#10(210)に接続されてサービスを提供している。
【0006】
一方、交換機と基地局間が二重帰属の構成での交換機障害時の呼を継続する制御に関し、以下の特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−27725号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】NTT DoCoMo テクニカル・ジャーナルVol.15 No.1<URL:http://www.nttdocomo.co.jp/binary/pdf/corporate/technology/rd/tech/main/ip_based_ran/vol15_1_08jp.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した背景技術には以下の問題がある。
【0010】
上位の無線ネットワーク制御装置RNCが故障すると、その配下にある複数の無線基地局装置BTSでサービスしている広域エリアのサービスが該当の無線ネットワーク制御装置RNCの復旧まで全断となる事象が発生する。
【0011】
現状としては、無線基地局装置BTSの上位装置には一つの無線ネットワーク制御装置RNCしか接続されていないため、無線ネットワーク制御装置RNCが故障した場合に複数無線基地局装置BTSが一斉に不通となり、その無線ネットワーク制御装置RNCの配下にあたる広域エリア一体が不通となってしまうという問題があった。
【0012】
しかしながら、現状では無線基地局装置BTSを複数の無線ネットワーク制御装置RNCに接続する手法は確立していない。
【0013】
本発明は、二台の無線ネットワーク制御装置RNCに一台の無線基地局装置BTSを接続してサービスする場合の無線基地局装置BTS主導で接続する手順と切断する手順を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するための方法の一観点は、無線基地局装置に設けられた二重の通信プロトコルを用いて前記無線基地局装置と第1無線ネットワーク制御装置とのセル設定、および前記無線基地局装置と第2無線ネットワーク制御装置とのセル設定を行なうステップと、第1無線ネットワーク制御装置と前記第2無線ネットワーク制御装置間でセル設定情報を互いに通知するステップと、前記無線基地局装置は前記無線基地局装置と前記第1無線ネットワーク制御装置または前記第2無線ネットワーク制御装置との呼接続情報を互いに別の前記第2無線ネットワーク制御装置または前記第1無線ネットワーク制御装置に通知するステップと、前記第1無線ネットワーク制御装置または前記第2無線ネットワーク制御装置のいずれかが故障した場合に、故障の通知を受信した前記無線基地局装置は他方の無線ネットワーク制御装置に通知されていた接続中の呼接続情報から故障した無線ネットワーク制御装置の呼を継続するステップとを含んでいる。
【発明の効果】
【0015】
以上、開示の技術によれば、二台の無線ネットワーク制御装置RNCに一台の無線基地局装置BTSを接続してサービスする場合の無線基地局装置BTS主導で接続と切断をするようにしたため、無線ネットワーク制御装置RNCエリア内故障時の呼継続が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による無線ネットワーク制御装置と無線基地局装置の接続形態およびエリア関係を示す説明図である。
【図2】本発明による無線ネットワーク制御装置と無線基地局装置の呼の接続ルート(正常時)を示す説明図である。
【図3】本発明による無線ネットワーク制御装置と無線基地局装置の呼の接続ルート(RNC故障時)を示す説明図である。
【図4】本発明による無線ネットワーク制御装置と無線基地局装置の呼の接続ルート(呼接続復旧時)を示す説明図である。
【図5】本発明によるIubプロトコルスタックを示す説明図である。
【図6】本発明によるIubプロトコルスタック(呼毎の接続情報送信時)を示す説明図である。
【図7】本発明による無線ネットワーク制御装置の障害発生時の呼継続シーケンス図である。
【図8】本発明による無線基地局装置から無線ネットワーク制御装置へ送信する呼情報(UDP使用時)を示すテーブル図である。
【図9】本発明による無線基地局装置から無線ネットワーク制御装置へ送信する呼情報(定期送信時)を示すテーブル図である。
【図10】本発明による無線基地局装置と無線ネットワーク制御装置のF2呼量遷移を示す説明図である。
【図11】本発明による無線基地局装置の機能ブロック図である。
【図12】従来の無線ネットワーク制御装置と無線基地局装置の接続形態およびエリア関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明による無線ネットワーク制御装置と無線基地局装置の接続形態およびエリア関係を示す説明図である。
【0018】
前述した図12の従来の無線ネットワーク制御装置と無線基地局装置の接続形態およびエリア関係を示す説明図と相違する点は、新たに点線で結んだルートが接続されており、例えば、無線ネットワーク制御装置IP−RNC#1(1)に障害が発生しても、その配下の無線基地局装置BTS#1(2)〜BTS#5(2)は、隣接する無線ネットワーク制御装置IP−RNC#2(1)または他の無線ネットワーク制御装置IP−RNC#n(1)との接続ルートを使ってサービスを継続させる。そのために、各無線基地局装置BTS#1(2)〜BTS#5(2)は、周波数を2つの無線ネットワーク制御装置IP−RNC#1(1)、IP−RNC#2(1)または他に分けてサービスをすることは、どちらかの無線ネットワーク制御装置がダウンしても無線基地局装置BTS#1(2)〜BTS#5(2)の配下全てのサービスが停止しないので、広域エリア一帯が不通にはならないため望ましい。
【0019】
図2は、本発明による無線ネットワーク制御装置と無線基地局装置の呼の接続ルート(正常時)を示す説明図である。
【0020】
無線基地局装置BTS#1(2)は、自身の無線エリア内に移動端末6、6を有している。一方、上位装置に対しては、周波数#1と周波数#3を用いてIP専用網5
ボーダゲートウェイBGW4→無線ネットワーク制御装置IP−RNC#1(1)→コアIP網3へのルートと、周波数#2と周波数#4を用いてIP専用網5→ボーダゲートウェイBGW4→無線ネットワーク制御装置IP−RNC#2(1)→コアIP網3へのルートとが設けられ。ボーダゲートウェイBGW4〜4は、IP専用線網5〜5を束ねて配信する中継機器である。
【0021】
なお、無線基地局装置BTS#1(2)と第1無線ネットワーク制御装置(1)/第2無線ネットワーク制御装置(1)との設定を異なる周波数ごとに行なうのは、周波数は端末の種類(800MHz帯、1.5GHz帯、1.7GHz帯、2GHz帯など)によるキャリア側の基地局設計に関係しており、周波数単位での増設減設などが行なわれるためである。
【0022】
図3は、本発明による無線ネットワーク制御装置と無線基地局装置の呼の接続ルート(RNC故障時)を示す説明図であり、無線ネットワーク制御装置IP−RNC#2(1)が故障した状態を示す。
【0023】
無線基地局装置BTS#1(2)は、上位装置に対して、周波数#1と周波数#3を用いてIP専用網5→ボーダゲートウェイBGW4→無線ネットワーク制御装置IP−RNC#1(1)→コアIP網3へのルートのみとなる。
【0024】
図4は、本発明による無線ネットワーク制御装置と無線基地局装置の呼の接続ルート(呼接続復旧時)を示す説明図であり、故障した無線ネットワーク制御装置IP−RNC#2(1)に接続していた周波数#2と周波数#4を一時的に無線ネットワーク制御装置IP−RNC#1(1)側へ移してサービスを継続させる状態を示す。
【0025】
図5は、本発明によるIubプロトコルスタックを示す説明図である。無線基地局装置BTS#1は、Iubプロトコルを二重に持ち、無線ネットワーク制御装置IP−RNC#1との間はF1/F3周波数でNBAP(Node B Application Part)7a:無線リンク設定手順を行い、IP−RNC#2との間はF2/F4周波数でNBAP(Node B Application Part)7b:無線リンク設定手順を実施する。
【0026】
SCTP(Stream Control Transmission Protocol)、IP(Internet Protocol)およびL2/L1スイッチは、API(Application Program Interface)としてIubプロトコルスタック8a,8bを形成する。
【0027】
図6は、本発明によるIubプロトコルスタック(呼毎の接続情報送信時)を示す説明図である。図5に示すIubプロトコルスタックとの相違は、SCTP(Stream Control Transmission Protocol)の代わりにUDP(User Datagram Protocol)が用いられる。
【0028】
図7は、本発明による無線ネットワーク制御装置の障害発生時の呼継続シーケンス図である。以下に、障害発生時の呼継続手順について説明する。
【0029】
S1.シグナリング・プロトコルであるNBAP(NodeB Application Part)内には、RNC種別を設け、セル再設定時を周波数単位でリセットできるようにする。IP−RNC#1は、BTSリセット要求(F1/F3周波数)のNBAPプロトコルをBTS#1へ送信する。
【0030】
S2.BTS#1は、BTSリセット応答(F1/F3周波数)のNBAPプロトコルをIP−RNC#1へ送信する。
【0031】
S3.IP−RNC#1は、セル設定要求(F1/F3周波数)のNBAPプロトコルをBTS#1へ送信する。
【0032】
S4.BTS#1は、セル設定応答(F1/F3周波数)のNBAPプロトコルをIP−RNC#1へ送信する。
【0033】
S5.IP−RNC#1とIP−RNC#2間で、アドレス情報をシグナリング・プロトコルであるRNSAP(Radio Network Subsystem Application Part)に載せ替えて、セル設定情報(F1/F3周波数)を通知する。
【0034】
S6.IP−RNC#2は、BTSリセット要求(F2/F4周波数)のNBAPプロトコルをBTS#1へ送信する。
【0035】
S7.BTS#1は、BTSリセット応答(F2/F4周波数)のNBAPプロトコルをIP−RNC#2へ送信する。
【0036】
S8.IP−RNC#2は、セル設定要求(F2/F4周波数)のNBAPプロトコルをBTS#1へ送信する。
【0037】
S9.BTS#1は、セル設定応答(F2/F4周波数)のNBAPプロトコルをIP−RNC#2へ送信する。
【0038】
S10.IP−RNC#1とIP−RNC#2間で、アドレス情報をシグナリング・プロトコルであるRNSAPに載せ替えて、セル設定情報(F2/F4周波数)を通知する。
【0039】
以上のS1〜S10のステップは、セル再設定時を周波数単位でリセットできる仕組みである。また、IP−RNC#1とIP−RNC#2間でセル設定情報を通知する。これにより、1つのBTSを制御するRNCが2つ以上になるために発生する再開シーケンス競合を回避させている。
【0040】
S11.BTS#1とIP−RNC#2間の呼設定(F2/F4周波数)がなされ、この間の呼接続状態になる。
【0041】
S12.BTS#1は、各IP−RNCとの呼毎の情報(F2/F4周波数)を別のIP−RNC(この場合はIP−RNC#1)へUDP(User Datagram Protocol)の投げきりで通知する。なお、この呼毎の情報については、図8で詳細に説明する。情報を受信したIP−RNC#1は、常に情報を更新し保存する、
S13.BTS#1は、投げきりのUDPプロトコルを補充するため、一定周期で最新情報を通知して、差分があった場合に補う仕組みを有する。なお、この最新情報については、図9で詳細に説明する。
【0042】
S14〜S16.BTS#1とIP−RNC#2間の呼設定が呼毎になされ、前述のS11〜S13と同様な手順による制御が行なわれる。
【0043】
以上のS11〜S16のステップは、IP−RNC#2が故障した際にもBTS#1とIP−RNC#2間での接続中の呼がBTS#1とIP−RNC#1間で継続できるように準備をしている。
【0044】
S17.IP−RNC#2にて障害が発生して故障した場合に、BTS#1とIP−RNC#2間の接続経路が切断状態になる。
【0045】
S18.BTS#1は、片方のIP−RNC(この場合はIP−RNC#2)が故障した場合に、別のIP−RNC(この場合はIP−RNC#1)に対して、接続中(IP−RNC#2が故障する直前まで接続していた)の呼の接続要求のNBAPプロトコルを送信する。
【0046】
S19.IP−RNC#1は、接続中の呼の接続応答のNBAPプロトコルをBTS#1へ送信する。
【0047】
S20.IP−RNC#1は、接続中の呼情報から故障したBTS#2のF2/F4周波数を引き取り、そのまま呼を継続する。ユーザからすると、同一周波数のまま新IP−RNC#1で再接続後に通話やデータ通信の継続が可能となる。
【0048】
以上のS17〜S20のステップは、実際にIP−RNC#2が故障してから復旧するまで、IP−RNC#1にて周波数F2/F4(IP−RNC#2が管理していた周波数)の接続も実施し、BTS#1の周波数を有効に利用することができる。
【0049】
S21.故障したIP−RNC#2が回復すると、IP−RNC#2は、Measurement Report(測定結果報告)のNBAPプロトコルをBTS#1へ送信する。
【0050】
S22.BTS#1は、Measurement Report受信応答のNBAPプロトコルをIP−RNC#2へ送信する。
【0051】
S23.BTS#1は、IP−RNC#2の障害回復を検出すると、F2/F4周波数による新規呼接続停止要求のNBAPプロトコルをIP−RNC#1へ送信する。
【0052】
S24.IP−RNC#1は、F2/F4周波数による新規呼接続停止応答のNBAPプロトコルをBTS#1へ送信する。
【0053】
S25.IP−RNC#1は、アドレス情報をシグナリング・プロトコルであるRNSAPに載せ替えて、F2/F4周波数による呼接続状態情報を通知する。
【0054】
S26.IP−RNC#1は、F2/F4周波数による新規呼接続停止状態とする。
【0055】
S27.BTS#1とIP−RNC#2間のF2/F4周波数による呼設定がなされ、この間の呼接続状態になる。
【0056】
S28.IP−RNC#1は、アドレス情報をシグナリング・プロトコルであるRNSAPに載せ替えて、F2/F4周波数による呼変化情報をIP−RNC#2へ通知する。
【0057】
以上のS21〜S28のステップは、故障したIP−RNC#2が復旧した際に速やかに元のエリア形態に戻すことが可能になる。
【0058】
以上によれば、無線基地局装置主導で呼の接続サービスを提供できるとともに、無線ネットワーク制御装置が故障し場合にも故障した無線ネットワーク制御装置配下のユーザの呼を継続させる為の手順を提供できる。
【0059】
図8は、本発明による無線基地局装置から無線ネットワーク制御装置へ送信する呼情報(UDP使用時)を示すテーブル図である。この呼情報は、前述の図7で説明したS12およびS15の呼毎の情報であって、無線ネットワーク制御装置が故障した際に、該当無線ネットワーク制御装置配下のユーザ情報を速やかに他の無線ネットワーク制御装置に伝えるために、各無線ネットワーク制御装置の呼情報9を別の無線ネットワーク制御装置に投げきり(UDPプロトコル)で通知する。この呼情報9は、呼識別ID、キャリア番号、セクタ番号、チャネリゼーションコード、スロットフォーマット、スクランブルコード、物理チャネル情報、および無線パラメータ情報から構成される。
【0060】
図9は、本発明による無線基地局装置から無線ネットワーク制御装置へ送信する呼情報(定期送信時)を示すテーブル図である。この呼情報9a,9bは、前述の図7で説明したS13およびS16のCELL情報(最新)であって、投げきりのプロトコルを補充するため一定周期で最新情報を通知して差分があった場合に補う仕組みを有する。この呼情報9a,9bは、キャリア番号F2とキャリア番号F4ごとにセクタ番号♯1〜#6の呼情報9a,9bであり、各呼情報9a,9bは、呼識別ID♯1〜#nの呼毎にチャネリゼーションコード、スロットフォーマット、スクランブルコード、物理チャネル情報、および無線パラメータ情報から構成される。
【0061】
図10は、本発明による無線基地局装置と無線ネットワーク制御装置のF2呼量遷移を示す説明図である。周波数F2の呼量の最大を100呼として記載する。
【0062】
状態1において、IP−RNC#2の周波数(以降F2)とBTSで呼接続中であり、接続中呼量は30呼を示す。
【0063】
状態2において、BTSとIP−RNC#2で接続呼が設定・解放を繰返し、接続呼量は60呼を示す。
【0064】
状態3において、IP−RNC#2で障害が発生し、IP−RNC#2が故障状態になる。
【0065】
状態4において、IP−RNC#1で60呼の設定を実施する。
【0066】
状態5において、BTSとIP−RNC#1で接続呼が設定・解放を繰り返し、接続呼量は50呼を示す。
【0067】
状態6において、IP−RNC#2の障害が回復し、IP−RNC#2が正常状態に戻る。
【0068】
状態7において、F2呼量の制限を実施する。具体的には、(IP−RNC#1)+(IP−RNC#2)で100呼を超えないようにIP−RNC#2で新規呼の呼量制限を実施する。
【0069】
状態8において、IP−RNC#1のF2の呼が解放されるまで継続される。
【0070】
状態9において、IP−RNC#1のF2の呼が全解放された後は、IP−RNC#2のみで呼制御が行われる。
【0071】
図11は、本発明による無線基地局装置の機能ブロック図である。図11において、太枠網かけ部のHWY機能部13、呼処理機能部14および再開切替機能部22が本発明の関連する部分である。
【0072】
HWY(Highway)機能部13は、プロトコル制御と管理、物理回線の接続と測定、対RNCとのデータ制御、及び帯域の管理と設定を行っている。本発明では、RNCフラグを元にRNC単位でプロトコル制御と対RNCとのデータ制御を分け、それぞれの管理単位で制御するように変更して二重のプロトコルスタック制御を実現する。プロトコル制御はRNC単位に分け、呼毎に終端する仕組みを具備することで、上位のRNCを意識することなく、呼制御が可能となる。
【0073】
呼処理機能部14は、共通チャネルの設定制御と解放制御、HSチャネルの設定制御と解放制御、及び個別チャネルの設定制御と解放制御に、上記のチャネル群に対する変更制御、保守制御、及び再開制御を行っている。本発明では、呼制御情報をUDPの投げきりで他のRNCに送信する機能を具備する。また、他RNCの呼情報を受信した場合に、リアルタイムに保存する機能を具備する。それらの機能により接続中のRNCが故障した通知を受信した場合に、速やかに呼を復活する設定が可能となる。また、故障RNCの周波数帯の呼接続に関して、故障していないRNCに呼制御するように変更することで該当周波数の新規呼接続も可能になる。
【0074】
再開切替機能部22は、再開機能、FPGAダウンロード機能(FPGAファームのダウンロード制御)、診断機能(カード起動時の1次、2次診断)、及びNE切替機能(マクロあるいは状態変化によるNE切替の制御)を有する。本発明では、周波数単位で管理して再開(テーブルの初期化など)を実施することで、RNC毎の再開時に他のRNCに影響を与えないように行なうことが可能である。
【0075】
その他は既存の機能部であり、無線基地局装置の各機能部への指示を発する受付部11、局データの制御や障害制御やRAS(Reliability Availability Serviceability)機能などを司る保守機能部12、ベースバンドの追い出し制御やリソース管理などを司るベースバンド機能部15、BTSにおけるトラヒック測定を行なうトラヒック機能部16、リセット制御やカード制御などを行う監視制御機能部17、ATMSW(Asynchronous Transfer Mode Switch)部への設定を行なうMUX(Multiplexer)機能部18、無線送受信インタフェースカードを制御するTRX(Transmitter & Receiver)機能部19、BTSにおける無線及びTRX系の測定を実施する無線測定機能部20、及び通信制御機能を統括する通信機能部21、障害ログやデバッグ時のコマンドなどを有するデバッグ機能部23、および共通的に処理を行うタイマ機能などを有する共通機能部24から構成される。
【0076】
なお、無線基地局装置内の各機能ブロック間の信号の送受については説明を省略するが、前述した図7の本発明による障害発生時の呼継続シーケンスに基づいて、無線基地局装置内の受付部11が起動され各機能ブロックとの連携で無線ネットワーク制御装置へのメッセージを作りだす。
【符号の説明】
【0077】
1 無線ネットワーク制御装置(IP−RNC#1,#2,#3)
2 無線基地局装置(BTS♯1〜#10)
3 コアIP網
4 ボーダゲートウェイ(BGW)
5 IP専用線網
6 移動端末
7a NBAP無線リンク設定手順(F1/F3周波数)
7b NBAP無線リンク設定手順(F2/F4周波数)
8a APIとして形成されたIubプロトコルスタック(F1/F3周波数)
8b APIとして形成されたIubプロトコルスタック(F2/F4周波数)
9 呼情報(UDP使用時)
9a F2周波数による呼情報(定期送信時)
9b F4周波数による呼情報(定期送信時)
11 受付部
12 保守機能部
13 HWY(Highway)機能部
14 呼処理機能部
15 ベースバンド機能部
16 トラヒック機能部
17 監視制御機能部
18 MUX(Multiplexer)機能部
19 TRX(Transmitter & Receiver)機能部
20 無線測定機能部
21 通信機能部
22 再開切替機能部
23 デバッグ機能部
24 共通機能部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線基地局装置に設けられた二重の通信プロトコルを用いて前記無線基地局装置と第1無線ネットワーク制御装置とのセル設定、および前記無線基地局装置と第2無線ネットワーク制御装置とのセル設定を行なうステップと、
前記第1無線ネットワーク制御装置と前記第2無線ネットワーク制御装置間でセル設定情報を互いに通知するステップと、
前記無線基地局装置は前記無線基地局装置と前記第1無線ネットワーク制御装置または前記第2無線ネットワーク制御装置との呼接続情報を互いに別の前記第2無線ネットワーク制御装置または前記第1無線ネットワーク制御装置に通知するステップと、
前記第1無線ネットワーク制御装置または前記第2無線ネットワーク制御装置のいずれかが故障した場合に、故障の通知を受信した前記無線基地局装置は他方の無線ネットワーク制御装置に通知されていた接続中の呼接続情報から故障した無線ネットワーク制御装置の呼を継続するステップと、
を含むことを特徴とする無線ネットワーク制御装置エリア内故障時の呼継続方法。
【請求項2】
更に、前記故障した無線ネットワーク制御装置が復旧したときに、該無線ネットワーク制御装置から他方の無線ネットワーク制御装置に再開通知をして元の周波数で呼の接続を始めることを特徴とする請求項1記載の無線ネットワーク制御装置エリア内故障時の呼継続方法。
【請求項3】
更に、前記故障した無線ネットワーク制御装置が復旧したときに、他方の無線ネットワーク制御装置で接続していた呼はそのまま解放されるまで継続して管理し、呼毎の状態変化を前記故障した無線ネットワーク制御装置に通知することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の無線ネットワーク制御装置エリア内故障時の呼継続方法。
【請求項4】
複数の無線ネットワーク制御装置との間で、プロトコル制御とデータ制御を無線ネットワーク制御装置フラグにより無線ネットワーク制御装置単位に分けて、二重のプロトコルスタック制御を行うHWY(Highway)機能部と、
呼制御情報をプロトコルの投げきりで他の無線ネットワーク制御装置に送信するとともに他無線ネットワーク制御装置の呼情報を受信した場合にリアルタイムにそれを保存し、接続中の無線ネットワーク制御装置が故障した通知を受信した場合に故障無線ネトワーク制御装置の周波数帯の呼接続に関して故障していない無線ネットワーク制御装置に呼制御するように変更する呼処理機能部と、
前記無線ネットワーク制御装置毎の再開時に周波数単位で管理して再開を実施する再開切替機能部と、
を有することを特徴とする無線基地局装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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