説明

無線リレー局のアンテナ制御方法、無線リレー局

【課題】無線リレー局のアンテナについて、干渉の少ない状態で最適な基地局方向へのビーム形成を短時間で実行する。
【解決手段】実施形態に従った無線リレー局のアンテナ制御方法は、無線リレー局の位置情報を取得し、取得された位置情報および無線リレー局の記憶部に記憶されている複数の基地局の位置情報に基づいて、無線リレー局の接続候補の基地局を選択し、選択された接続候補の基地局と無線リレー局との間の伝送路の電波伝搬環境データに基づいて、接続候補の基地局の中から無線リレー局の接続基地局を選択し、無線リレー局が有する電気的に指向性を変更可能なアンテナの指向性を、選択された接続基地局の方向に制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線リレー局のアンテナ制御方法、および無線リレー局に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大容量で高速の無線通信を実現するための無線通信システムの標準規格の策定が進んでいる。
例えば、The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.(IEEE)802.16ワーキンググループでは、無線基地局(Base Band Station、BS)に複数の移動局(Mobile Station、MS)が接続可能な1対多接続(Point-to-Multipoint、P−MP)型の通信方式が規定されている。具体的には、主に固定通信用途向けの規格であるIEEE802.16d(IEEE802.16-2004)と、移動通信用途向けの規格であるIEEE802.16e(IEEE802.16e-2005)とが規定されている。なお、IEEE802.16dおよびIEEE802.16eの物理層には、複数の仕様が規格されており、Orthogonal Frequency Division Multiplexing(OFDM)およびOrthogonal Frequency Division Multiple Access(OFDMA)などの技術が主に使用される。
【0003】
1対多接続形態の無線通信システムでは、無線基地局は、自局の通信エリア内に位置する複数の移動局と接続する。
しかしながら、移動局と無線基地局との間の無線伝送路の特性は、地形や街並みの影響を受けて劣化し得る。このため、例えば、移動局と無線基地局との間の無線伝送路上にビル等の障害物が存在する場合には、移動局と無線基地局との間の通信を可能にするために、障害物を迂回した無線伝送路を構築する必要がある。
【0004】
また、例えば、スポーツやゲーム等のイベントが無線基地局の通信エリア外で開催された場合のように、無線基地局の通信エリア外に位置する移動局に対して通信サービスを提供する必要性が生じ得る。
【0005】
更には、自然災害等の発生によって通信ネットワーク環境にダメージが発生した場合には、移動局が他の無線基地局と接続できるようにするための通信ネットワークを配備する必要がある。
【0006】
そこで、上述のような必要性に応じるために、移動局と無線基地局との間の無線通信を中継する無線リレー局(Relay Station、RS)を設置することが考えられる。
移動局と無線基地局との間の無線通信は、無線リレー局を介して行なわれる。すなわち、無線リレー局は、無線基地局から受信したデータを再構築し、再構築したデータを移動局へ送信する。また、無線リレー局は、移動局から受信したデータを再構築し、再構築したデータを無線基地局へ送信する。
【0007】
このように、移動局と無線基地局との間の無線通信に無線リレー局を介在させることによって、移動局に対する通信エリアおよび通信ネットワークを拡大することが可能になる。
【0008】
なお、Global Positioning System(GPS)衛星からのGPS信号により計算した移動局の位置と移動局内に記憶されている基地局の所在位置情報とに基づいて、移動局から最短距離の基地局を移動局が交信する基地局として選択する技術が知られている。
【0009】
車両に搭載された第1の緊急通報装置が、緊急通報情報を緊急通報センタへ送信できない場合には、第1の緊急通報装置と通信できる位置にある他の車両に搭載された第2の緊急通報装置へ送信する技術が知られている。
【0010】
アンテナのビーム方向を離散的に変化させて全受信範囲を走査し、ビーム幅を徐々に狭くしながら受信強度が高い範囲を繰り返し走査することにより、無線基地局が通信する基地局を選択する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平9−261716号公報
【特許文献2】特開2001−357480号公報
【特許文献3】WO2008/111142号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】IEEE Std 802.16TM-2004,“Interference-Aware IEEE 802.16 WiMax Mesh Networks”,December 5, 2005
【非特許文献2】IEEE Std 802.16eTM-2005,“Fast Handover Algorithm for IEEE 802.16e Broadband Wireless Access System”,April 10, 2006
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前述したような必要性に応じて無線リレー局を設置する際には、無線リレー局のアンテナについて、干渉の少ない状態で最適な基地局方向へ短時間でビーム形成することが要求される。
【0014】
この点、指向性を電気的に変更不可能な指向性アンテナが無線リレー局のアンテナに用いられた場合、無線リレー局の設置に当たる作業員は、無線リレー局のアンテナを所望の無線基地局方向へ物理的に回転させて向ける必要がある。このため、アンテナの設置作業に時間がかかる。
【0015】
また、アダプティブアレーアンテナ等の指向性を電気的に変更可能な指向性アンテナが用いられた場合、従来技術では、最適な無線基地局を選択するために、無線リレー局のアンテナのビーム方向を離散的であれ変化させて全受信範囲を走査する必要がある。このため、最適な無線基地局を選択する処理に時間がかかる。
【0016】
本発明は、干渉の少ない状態で最適な基地局方向へ短時間でビーム形成する無線リレー局のアンテナ制御方法、および該アンテナ制御方法を備えた無線リレー局を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
実施形態に従った無線リレー局のアンテナ制御方法は、無線リレー局の位置情報を取得し、取得された位置情報および無線リレー局の記憶部に記憶されている複数の基地局の位置情報に基づいて、無線リレー局の接続候補の基地局を選択し、選択された接続候補の基地局と無線リレー局との間の伝送路の電波伝搬環境データに基づいて、接続候補の基地局の中から無線リレー局の接続基地局を選択し、無線リレー局が有する電気的に指向性を変更可能なアンテナの指向性を、選択された接続基地局の方向に制御する。
【0018】
実施形態に従った無線リレー局は、指向性を電気的に変更可能なアンテナと、無線リレー局の位置情報を取得する取得部と、複数の基地局の位置情報を記憶する記憶部と、無線リレー局と無線リレー局の接続候補の基地局との間の伝送路の電波伝搬環境データをアンテナを介して受信する受信部と、取得部により取得された無線リレー局の位置情報および記憶部により記憶された複数の基地局の位置情報に基づいて、接続候補の基地局を選択し、受信部により取得された電波伝搬環境データに基づいて、接続候補の基地局の中から無線リレー局の接続基地局を選択し、アンテナの指向性を接続基地局の方向に制御する処理部とを含む。
【発明の効果】
【0019】
実施形態に従えば、無線リレー局のアンテナについて、干渉の少ない状態で最適な基地局方向へ短時間でビーム形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施形態に従った無線リレー局のハードウェア構成図である。
【図2】実施形態に従った電波伝搬環境データテーブルの一例である。
【図3】実施形態に従ったアダプティブアレーアンテナの構成図である。
【図4】実施形態に従った無線リレー局の主ビーム幅決定フロー図である。
【図5】実施形態に従った最適な基地局選択フロー図である。
【図6A】実施形態に従ったビーム方向調整フロー図である。
【図6B】実施形態に従ったビーム方向調整フロー図である。
【図7】実施形態に従ったアンテナパターン更新フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、実施形態を詳細に説明する。
図1は、実施形態に従った無線リレー局のハードウェア構成図である。
図1に示すように、無線リレー局100には、基地局側送受信制御装置110、基地局側送受信処理装置120、アダプティブアレーアンテナ制御装置130、およびアダプティブアレーアンテナ140が含まれる。また、無線リレー局100には、移動局側送受信制御装置150、移動局側送受信処理装置160、アンテナ170、取得部の一例であるGPS信号受信装置180、およびGPS信号受信アンテナ190が含まれる。
【0022】
基地局側送受信制御装置110は、基地局側送受信処理装置120を制御する。基地局側送受信制御装置110には、処理部の一例であるプロセッサ111、および記憶部の一例であるメモリ112が含まれる。
【0023】
実施形態では、メモリ112には、1つ以上の無線基地局の位置情報が予め格納されている。予め格納される位置情報には、無線基地局の識別情報、送信周波数、緯度および経度が含まれる。
【0024】
また、メモリ112には、無線リレー局100が設置された緯度および経度等の位置情報が格納される。無線基地局100の位置情報は、例えば、無線リレー局の設置時に、GPS信号受信アンテナ190を介してGPS信号受信装置180が受信したGPS衛星の送信信号に基づいて取得される。
【0025】
更に、メモリ112には、無線リレー局100と各無線基地局との間の伝送路の電波伝搬特性データが格納される。電波伝搬特性は、次のような処理を経て測定され、測定されたデータがメモリ112に格納される。
【0026】
プロセッサ111は、メモリ112に格納された無線基地局の位置情報および無線リレー局100の位置情報に基づき、無線リレー局100を基点として無線基地局が位置する方向を算出する。アダプティブアレーアンテナ制御装置130は、プロセッサ111からの指示に基づいて、アダプティブアレーアンテナ140の主ビームを算出された無線基地局方向へ制御する。そして、アダプティブアレーアンテナ140を介して受信された無線基地局からの受信信号に基づいて、受信部122により電波伝搬環境が測定される。測定される電波伝搬環境は、例えば、受信レベルである。測定された電波伝搬環境データは、メモリ112に格納される。
【0027】
図2は、実施形態に従った電波伝搬環境データテーブルの一例である。図2に示すように、測定された周波数、測定されたビーム方向を示す水平面内の角度、および受信レベルがメモリ112に格納される。
【0028】
なお、図2に示した電波伝搬環境データに加えて、データの取得日時および測定時の主ビーム幅を、測定された周波数、測定された水平面内の角度、および受信レベルと対応付けてメモリ112に更に格納してもよい。
【0029】
基地局側送受信処理装置120には、無線基地局への送信信号を処理する送信部121、および無線基地局からの受信信号を処理する受信部122が含まれる。
移動局側送受信制御装置150は、移動局側送受信処理装置160を制御する。
【0030】
移動局側送受信処理装置160には、移動局への送信信号を処理する送信部161、および移動局からの受信信号を処理する受信部162が含まれる。
アダプティブアレーアンテナ制御装置130は、アダプティブアレーアンテナ140のビーム幅、ビーム方向、およびヌル点等の指向性を制御する。
【0031】
アダプティブアレーアンテナ140は、無線基地局へ信号を送信し、無線基地局からの信号を受信するためのアンテナである。アンテナ170は、移動局へ信号を送信し、移動局からの信号を受信するためのアンテナである。
【0032】
アダプティブアレーアンテナ140は、複数のアンテナ素子140−1〜140−nがアレー状に並べられたアンテナであり、指向性を電気的に変化させることが可能である。すなわち、アダプティブアレーアンテナ140は、信号を送受信したい方向にビームを形成し、妨害波方向および干渉波方向にヌル点を形成することができる。
【0033】
図3は、実施形態に従ったアダプティブアレーアンテナの構成図である。
図3に示すように、アダプティブアレーアンテナ140を構成するアンテナ素子141−1〜141−nは、対応する振幅調整器142−1〜142−nおよび可変位相器143−1〜143−nとそれぞれ接続される。振幅調整器142−1〜142−nおよび可変位相器143−1〜143−nを経たアンテナ素子141−1〜141−nからの各受信信号は、加算器144により加算されて出力される。
【0034】
アダプティブアレーアンテナ140の指向性の制御は、互いに離れて配置されたアンテナ素子141−1〜141−nからの各信号の位相と振幅を、振幅調整器142−1〜142−nおよび可変位相器143−1〜143−nを用いて制御することにより行われる。振幅調整器142−1〜142−nおよび可変位相器143−1〜143−nを用いた制御により,無線基地局方向から到来する受信電波を強めること、および妨害波および干渉波の到来方向の受信電波を弱めることが可能である。
【0035】
実施形態では、無線リレー局を設置する際に、基地局側送受信制御装置110、受信部122、およびアダプティブアレーアンテナ制御装置130を用いて、アダプティブアレーアンテナ140のビームを最適な無線基地局方向へ向ける。
【0036】
すなわち、メモリ112に格納された無線基地局の位置情報および無線リレー局100の位置情報、および受信部122により測定された電波伝搬環境データに基づいて、プロセッサ111により無線リレー局100と接続される無線基地局が選択される。そして、アダプティブアレーアンテナ制御装置130により、選択された無線基地局方向にアダプティブアレーアンテナの主ビームが向けられる。
【0037】
また、アダプティブアレーアンテナ140のアンテナパターンが、プロセッサ111からの指示に基づきアダプティブアレーアンテナ制御装置130により形成される。
すなわち、無線リレー局100と接続する無線基地局として選択されなかった他の無線基地局方向に、アダプティブアレーアンテナ140のヌル点が形成される。また、アダプティブアレーアンテナ140をスキャンさせて干渉波および妨害波が検知された場合には、干渉波方向および妨害波方向にもヌル点が形成される。
【0038】
アダプティブアレーアンテナ140のビームが最適な基地局へ向けられ、所望のアンテナパターンが形成されると、無線リレー局100の運用が開始される。
すなわち、無線基地局からの受信信号は、アダプティブアレーアンテナ140、アダプティブアレーアンテナ制御装置130、受信部122、送信部161、およびアンテナ170を経て、移動局へ送信される。無線基地局からの受信信号、受信周波数、および受信タイミングは、基地局側送受信制御装置110により制御される。移動局への送信信号、送信周波数、および送信タイミングは、移動局側送受制御装置150により制御される。
【0039】
移動局からの受信信号は、アンテナ170、受信部162、送信部121、アダプティブアレーアンテナ制御装置130、およびアダプティブアレーアンテナ140を経て、無線基地局へ送信される。また、移動局からの受信信号、受信周波数、および受信タイミングは、移動側送受信制御装置150により制御される。無線基地局への送信信号、送信周波数、および送信タイミングは、無線基地局側送受制御装置150により制御される。
【0040】
実施形態によっては、無線リレー局100の設置後に、アダプティブアレーアンテナ140は定期的にスキャンされ、電波伝搬特性が測定される。そして、測定結果に基づいて、干渉波および妨害波による干渉が回避されるようにアダプティブアンテナ140の指向性が変更される。
【0041】
このように、実施形態に従ったアダプティブアレーアンテナ140の制御は、無線リレー局100および無線基地局の位置情報、および無線リレー局100と無線基地局との間の伝送路の電波伝搬環境データに基づいて実行される。
【0042】
すなわち、実施形態ではまず、無線リレー局100と接続する無線基地局を選択する際に、無線リレー局100を基点とした無線基地局が位置する方向および無線基地局との距離に基づいて、無線リレー局100の接続候補となる無線基地局が選択される。
【0043】
前述したように、無線基地局の位置情報は、メモリ112に予め格納される。また、無線リレー局100の位置情報は、無線リレー局100の設置時に、GPS衛星からの受信信号等に基づき取得され、メモリ112に格納される。そこで、メモリ112に格納された無線基地局および無線リレー局100の位置情報から、無線リレー局100を基点とした無線基地局方向および無線基地局との距離を算出することができる。
【0044】
算出された無線基地局方向および無線基地局との距離を用いることにより、アダプティブアレーアンテナの指向性を離散的であれ全受信範囲に渡って変化させる方法と比較して、干渉の少ない状態で最適な基地局方向へのビーム形成を短時間で実行することができる。
【0045】
実施形態では更に、無線リレー局100と接続候補の無線基地局との間の伝送路の電波伝搬環境データを用いて、無線リレー局100と接続する最適な無線基地局が接続候補の無線基地局の中から選択される。そして、最適な基地局方向へアダプティブアレーアンテナ140の指向性が制御される。
【0046】
無線リレー局100と無線基地局との間の伝送路の電波伝搬特性は、地形や街並みの影響を受けて劣化し得る。例えば、無線基地局と無線リレー局100との間にビル等の障害物が存在する場合、無線基地局と無線リレー局100との間の通信品質は、障害物の影響により劣化する。したがって、無線リレー局100から最短距離に位置する無線基地局との間の通品品質が、他の無線基地局との間の通信品質よりも必ず高いとは言えない。
【0047】
この点、場所を移動しながら運用されることが予定される移動局の場合、移動した位置や移動スピードに従って、無線基地局と移動局との間の伝送路の電波伝搬特性は変化する。このため、移動局と無線基地局との間の通信品質は、移動局の現在地に障害物が存在することにより一時的に劣化したとしても、移動局が再び移動することにより改善される可能性がある。
【0048】
これに対して、一定の場所で運用されることが予定される無線リレー局の場合、無線リレー局と無線基地局との間の伝送路の電波伝搬特性は、設置時から短時間で変化することはない。このため、無線リレー局と無線基地局との間の通信品質は、伝送路上にビル等の障害物が存在することにより劣化した場合には、短時間で改善されることはない。
【0049】
そこで、実施形態では、無線基地局と無線リレー局100との間の距離と共に、無線基地局と無線リレー局100との間の伝送路の電波伝搬環境に基づいて、無線リレー局100と接続する最適な無線基地局を決定する。
【0050】
実施形態に従った無線リレー局100のアンテナ140の制御方法を図4〜図7を用いて説明する。
図4は、実施形態に従った無線リレー局の主ビーム幅決定フロー図である。
【0051】
ステップS101において、アダプティブアレーアンテナ140の主ビーム幅の初期値、最小値、および減算角度が設定される。
主ビーム幅は、アンテナの主ビームのピーク方向の電力から3デシベル(dB)低下する点の間の角度である。アダプティブアレーアンテナでは、主ビーム幅を変更することが可能である。そこで、実施形態では、主ビーム幅を調整する際に、アダプティブアレーアンテナ140の主ビーム幅の初期値(例えば10度)を設定する。また、主ビーム幅を減算するステップ角度を設定する。そして、主ビーム幅を初期値から減算して調整する際に許容される主ビーム幅の最小値を設定する。
【0052】
ステップS102において、ステップ101で設定された初期値を有するアダプティブアレーアンテナ140の主ビームは、アダプティブアレーアンテナ制御装置130によって、無線リレー局100から最短距離に位置する無線基地局方向に設定される。アダプティブアレーアンテナ140の主ビーム方向の設定は、メモリ112に予め記憶された無線基地局の位置情報、およびGPS衛星からの受信信号等に基づき算出された無線リレー局100の位置情報に基づいて、プロセッサ111からの指示により実行される。
【0053】
ステップS103では、受信部122は、プロセッサ111からの指示に基づいて、最短距離に位置する無線基地局の送信周波数に受信周波数を設定する。最短距離に位置する無線基地局の送信周波数は、該無線基地局の位置情報としてメモリ112に予め格納されている。
【0054】
ステップS104において、受信部122は、ステップS102で設定された方向に主ビームを有するアダプティブアレーアンテナ140を介して受信した最短距離に位置する無線基地局からの受信信号の受信レベルを測定する。そして、ステップS105において、測定された受信レベルは、主ビームの方向、受信周波数、およびデータ取得日時と共にメモリ112に記録される。
【0055】
ステップS106において、アダプティブアレーアンテナ140の主ビームの方向は、アダプティブアレーアンテナ制御装置130によって、ステップ102で設定された方向よりもプラス方向に主ビームの幅分変更される。例えば、主ビーム幅が10度と設定されている場合、主ビームの方向は、ステップ102で設定された主ビームの方向よりもプラス10度、変更される。
【0056】
ステップS107において、受信部122は、ステップS106で変更された方向に主ビームを有するアダプティブアレーアンテナ140を介して受信した最短距離の無線基地局からの受信信号の受信レベルを測定する。そして、ステップS108において、測定された受信レベルは、主ビームの方向および周波数と共にメモリ112に記録される。
【0057】
ステップS109において、アダプティブアレーアンテナ140の主ビームの方向は、アダプティブアレーアンテナ制御装置130によって、ステップ102で設定された方向よりもマイナス方向に主ビームの幅分変更される。例えば、主ビーム幅が10度と設定されている場合、主ビームの方向は、ステップ102で設定された主のビーム方向よりもマイナス10度、変更される。
【0058】
ステップS110において、受信部122は、ステップS109で変更された方向に主ビームを有するアダプティブアレーアンテナ140を介して受信した最短距離の無線基地局からの受信信号の受信レベルを測定する。そして、ステップS111において、測定された受信レベルは、主ビームの方向および周波数と共にメモリ112に記録される。
【0059】
ステップS112では、プロセッサ111は、ステップS107およびステップS110でそれぞれ測定された受信レベルと、ステップS104で測定された受信レベルとをメモリ112を参照して比較する。そして、プロセッサ111は、ステップS107およびステップS110でそれぞれ測定された受信レベルがステップS104で測定された受信レベルよりも小さいか否かを判定する。
【0060】
ステップS112での判定の結果、ステップS107およびステップS110でそれぞれ測定された受信レベルがステップS104で測定された受信レベルよりも小さい場合(ステップS112で”YES”)、アダプティブアレーアンテナ140の主ビームの幅は、現在設定されている主ビーム幅に決定される(ステップS115)。
【0061】
一方、ステップS107およびステップS110でそれぞれ測定された受信レベルがステップS104で測定された受信レベルと同じである場合(ステップS112で”NO”)、プロセッサ111は、現在設定されている主ビーム幅がステップS101で設定された主ビーム幅の最小値と等しいか否かを判定する(ステップS113)。
【0062】
ステップS113での判定の結果、現在設定されている主ビーム幅がステップS101で設定された主ビーム幅の最小値と等しい場合(ステップS113で”YES”)、アダプティブアレーアンテナ140の主ビームの幅は、現在設定されている主ビーム幅に決定される(ステップS115)。
【0063】
一方、現在設定されている主ビーム幅がステップS101で設定された主ビーム幅の最小値よりも大きい場合(ステップS113で”NO”)、現在設定されている主ビーム幅をステップS101で設定された減算角度分小さく変更する(ステップS114)。そして、ステップ114で設定されたビーム幅を有するアダプティブアレーアンテナ140の主ビームについて、ステップS103以降の処理が繰り返される。
【0064】
図5は、実施形態に従った最適な基地局選択フロー図である。
ステップS201では、プロセッサ111は、メモリ112に予め記憶された1つ以上の無線基地局の位置情報および無線リレー局100の位置情報に基づいて、無線リレー局100の接続候補の無線基地局として1つ以上の無線基地局を選択する。例えば、プロセッサ111は、無線リレー局100との間の距離が短い順に、3つ無線基地局を接続候補の無線基地局として選択する。
【0065】
ステップS202では、図4のステップ115で決定された主ビーム幅を有するアダプティブアレーアンテナ140の主ビームが、アダプティブアレーアンテナ制御装置130により接続候補の1つの無線基地局方向へ設定される。主ビーム方向の設定は、メモリ112に予め記憶された接続候補の無線基地局の位置情報および無線リレー局100の位置情報に基づいて、プロセッサ111からの指示により実行される。
【0066】
ステップS203では、受信部122は、プロセッサ111からの指示に基づいて、接続候補の1つの無線基地局の送信周波数に受信周波数を設定する。接続候補の無線基地局の送信周波数は、それらの無線基地局の位置情報としてメモリ112に予め格納されている。
【0067】
ステップS204では、ステップS202で設定された無線基地局方向からのステップS204で設定された周波数の電波がアダプティブアレーアンテナ140を介して受信される。そして、受信部122は、ステップ202で設定された接続候補の無線基地局と無線リレー局100との間の伝送路の電波伝搬環境として、受信された電波の受信レベルを測定する。
【0068】
ステップS205では、ステップS204で測定された受信レベルが、測定された受信周波数、および測定された主ビームの方向と共にメモリ112に記録される。なお、受信周波数、主ビームの方向、および受信レベルと対応付けて、データの取得日時、および測定時の主ビーム幅をメモリ112に更に記録してもよい。
【0069】
ステップS206では、プロセッサ111は、ステップS201で選択された接続候補の無線基地局の全ての送信周波数に関して、ステップ202で設定された接続候補の無線基地局と無線リレー局100との間の伝送路の電波伝搬環境データを取得したか否かを判定する。
【0070】
ステップS206での判定の結果、接続候補の無線基地局の全ての送信周波数に関して電波伝搬環境データを取得していない場合(ステップS206で“NO”)、ステップS203に戻る。ステップS203では、プロセッサ111からの指示に基づいて受信部122によって、電波伝搬環境データを取得していない送信周波数に受信周波数が設定される。そして、ステップS204以降の処理が続行される。
【0071】
一方、接続候補の無線基地局の全ての送信周波数に関して電波伝搬環境データを取得した場合(ステップS206で“YES”)、プロセッサ111は、接続候補の無線基地局が位置する全ての方向に関して電波伝搬環境データを取得したか否かを判定する(ステップS207)。
【0072】
ステップS207での判定の結果、接続候補の無線基地局が位置する全ての方向に関する電波伝搬環境データを取得していない場合には、ステップS202に戻る。ステップS202では、アダプティブアレーアンテナ制御装置130は、プロセッサ111からの指示に基づいて、電波伝搬環境データが取得されていない接続候補の無線基地局が位置する方向へアダプティブアレーアンテナ140の主ビームを設定する。そして、ステップS203以降の処理が続行される。
【0073】
一方、接続候補の無線基地局が位置する全ての方向に関する電波伝搬環境データが取得された場合(ステップS207で“YES”)、ステップS208の処理に進む。
ステップS208では、プロセッサ111は、メモリ112に記録された電波伝搬環境データを参照して、最も高い受信レベルの方向に位置する無線基地局を無線リレー局100と接続する最適な無線基地局として選択する。
【0074】
図6Aおよび図6Bは、実施形態に従ったビーム方向調整フロー図である。
ステップS301では、微調整角度および微調整角度範囲を設定する。微調整角度範囲とは、図5のステップS208で選択された最適無線基地局が位置する方向を中心としてプラス方向またはマイナス方向の微調整を行なう角度を指す。また、微調整角度とは、主ビームの方向を変更するステップ角度を指す。
【0075】
ステップS302において、プロセッサ111は、アダプティブアレーアンテナ制御装置130に対して、図5のステップS208で選択された最適無線基地局が位置する方向にアダプティブアレーアンテナ140の主ビームを形成するように指示する。そして、アダプティブアレーアンテナ制御装置130によって、最適無線基地局が位置する方向にアダプティブアレーアンテナ140の主ビームが形成される。
【0076】
ステップS303において、受信部122は、プロセッサ111からの指示に基づいて、最適無線基地局の送信周波数に受信周波数を設定する。そして、ステップS304において、受信部122は、ステップS302で形成された主ビームを有するアダプティブアレーアンテナ140を介して受信した最適無線基地局からの受信信号の受信レベルを測定する。ステップS305において、測定された受信レベルは、主ビームの方向と共に設定値としてメモリ112に記録される。
【0077】
ステップS306では、アダプティブアレーアンテナ制御装置130によって、最適無線基地局方向から微調整角度分マイナス方向にアダプティブアレーアンテナ140の主ビームが形成される。
【0078】
ステップS307において、受信部122は、ステップS306で形成された主ビームを有するアダプティブアレーアンテナ140を介して受信した最適無線基地局からの受信信号の受信レベルを測定する。そして、ステップS308において、測定された受信レベルは、主ビームの方向と共にメモリ112に記録される。
【0079】
ステップS309では、プロセッサ111は、ステップS308で記録された受信レベルが設定値として記録された受信レベルよりも大きいか否かを判定する。
ステップS309での判定の結果、ステップS308で記録された受信レベルが設定値として記録された受信レベル以下である場合(ステップS309で“NO”)、ステップS313の処理に進む。
【0080】
一方、ステップS309で記録された受信レベルが設定値として記録された受信レベルよりも大きい場合(ステップS309で“YES”)、ステップS308で記録された受信レベルおよび主ビームの方向を、新たな設定として記録する(ステップS310)。そして、ステップS311の処理に進む。
【0081】
ステップS311では、プロセッサ111は、最適無線基地局方向からマイナス方向の微調整角度範囲を測定したか否かを判定する。
ステップS311での判定の結果、最適無線基地局方向からマイナス方向の微調整角度範囲を測定していない場合(ステップS311で“NO”)、ステップS312の処理に進む。ステップS312では、プロセッサ111からの指示に基づいて、アダプティブアレーアンテナ制御装置130によって、現在設定されている主ビーム方向から更に微調整角度分マイナス方向に主ビームが形成される。そして、ステップS307の処理に戻り、処理が続行される。
【0082】
一方、選択された無線基地局方向からマイナス方向の微調整角度範囲を測定した場合(ステップS311で“YES”)、ステップS313の処理に進む。
ステップS313では、アダプティブアレーアンテナ制御装置130によって、最適無線基地局方向から微調整角度分プラス方向にアダプティブアレーアンテナ140の主ビームが形成される。
【0083】
ステップS314において、受信部122は、ステップS313で形成された主ビームを有するアダプティブアレーアンテナ140を介して受信した無線基地局からの受信信号の受信レベルを測定する。ステップS315において、測定された受信レベルは、主ビームの方向と共にメモリ112に記録される。
【0084】
ステップS316では、プロセッサ111は、ステップS315で記録された受信レベルが設定値として記録された受信レベルよりも大きいか否かを判定する。
ステップS316での判定の結果、ステップS315で記録された受信レベルが設定値として記録された受信レベル以下である場合(ステップS316で“NO”)、ステップS320の処理に進む。
【0085】
一方、ステップS315で記録された受信レベルが設定値として記録された受信レベルよりも大きい場合(ステップS316で“YES”)、ステップS315で記録された受信レベルおよび主ビームの方向を新たな設定として記録する(ステップS317)。そして、ステップS318の処理に進む。
【0086】
ステップS318では、プロセッサ111は、最適無線基地局方向からプラス方向の微調整角度範囲を測定したか否かを判定する。
ステップS318での判定の結果、最適無線基地局方向からプラス方向の微調整角度範囲を測定していない場合(ステップS318で“NO”)、ステップS319の処理に進む。ステップS319では、アダプティブアレーアンテナ制御装置130によって、現在設定されている主ビーム方向から更に微調整角度分プラス方向に主ビームが形成される。そして、ステップS314の処理に戻り、処理が続行される。
【0087】
一方、最適無線基地局方向からプラス方向の微調整角度範囲を測定した場合(ステップS318で“YES”)、ステップS320の処理に進む。
ステップS320では、プロセッサ111からの指示に基づいて、アダプティブアレーアンテナ制御装置130によって、アダプティブアレーアンテナ130の主ビームが、メモリ112に設定値として記録された主ビームの方向に形成される。
【0088】
ステップS320において主ビームが形成された後、プロセッサ111からの指示に基づいて、アダプティブアレーアンテナ制御装置130によって、選択さなかった無線基地局が位置する方向にアダプティブアレーアンテナ140のヌル点が形成される。
【0089】
また、プロセッサ111は、図5のステップS205でメモリ112に記録された電波伝搬環境データを参照して、最適無線基地局方向以外の無線基地局方向に、最適無線基地局の送信周波数での受信レベルが存在するか否かを検索する。検索の結果、受信レベルが存在する場合、プロセッサ111は、受信レベルが存在する方向にアダプティブアレーアンテナ140のヌル点を形成するように、アダプティブアレーアンテナ制御装置130に指示する。アダプティブアレーアンテナ制御装置130は、受信レベルが存在する方向にアダプティブアレーアンテナ140のヌル点を形成する。
【0090】
このように、アダプティブアレーアンテナの指向性の制御が完了すると、無線リレー局100の運用が開始される。
すなわち、無線リレー局100は、移動局から送信されたデータをアンテナ170を介して受信する。無線リレー局100は、受信部162、送信部121、およびアダプティブアレーアンテナ140を介して、自局100と接続された最適な無線基地局へ移動局からの受信データを送信する。
【0091】
また、無線リレー局100は、自局100と接続された最適な無線基地局から送信された移動局宛のデータをアダプティブアレーアンテナ140を介して受信する。無線リレー局100は、受信部122、送信部161、およびアンテナ170を介して、移動局宛の受信データを送信する。
【0092】
図7は、実施形態に従ったアンテナパターン更新フロー図である。
無線リレー局100と無線基地局との間の伝送路の電波伝搬環境は、障害物となる新たな建物が建設される等の要因よって、無線リレー局100の運用開始後においても変化し得る。
【0093】
そこで、実施形態では、無線リレー局100の運用開始後においても、無線リレー局100と無線基地局との間の伝送路の電波伝搬環境データを、例えば1ヵ月毎といったように定期的に通信中ではない時に取得する。そして、取得された電波伝搬環境データに基いてアダプティブアレーアンテナ140の指向性を変更する。この変更処理によって、無線リレー局100の運用開始後においても、妨害波および干渉波に対する耐性が維持され、良好な受信品質が維持される。
【0094】
図7のステップS401では、プロセッサ111からの指示に基づいて、アダプティブアレーアンテナ制御装置130によりアダプティブアレーアンテナ140の主ビームの方向が設定される。
【0095】
設定される主ビームの方向は、図4のステップS101で設定された主ビーム幅の初期値、最小値、および減算角度を用いて変更される、無線リレー局100から最短距離の無線基地局方向を中心とするプラスおよびマイナス方向である。また、図5のステップS201で選択された接続候補の無線基地局が位置する方向である。そして、図6のステップS301で設定された微調整角度および微調整角度範囲を用いて変更される、選択された最適無線基地局方向を中心とするプラスおよびマイナス方向である。
【0096】
ステップS402では、設定された方向の主ビームを有するアダプティブアレーアンテナ140を用いて、最適無線基地局の送信周波数の電波が受信される。受信部122は、受信された電波の受信レベルを測定する。
【0097】
ステップS403では、測定された受信レベルが、主ビームの方向と共にメモリ112に記録される。
ステップS404では、プロセッサ111は、ステップS401で設定される全方向の受信レベルが測定されたか否かを判定する。
【0098】
ステップS404の判定の結果、ステップS401で設定される全方向の受信レベルが依然として測定されていない場合(ステップS404で“NO”)、ステップS401の処理に戻る。ステップS401では、プロセッサ111からの指示に基づいて、アダプティブアレーアンテナ制御装置130により、測定されていない方向にアダプティブアレーアンテナ140の主ビームが設定され、ステップS402以降の処理が続行される。
【0099】
一方、ステップS401で設定される全方向の受信レベルが測定された場合(ステップS404で“YES”)、ステップS405の処理に進む。
ステップS405では、メモリ112に格納されている前回の定期測定時の受信レベルと、今回の定期測定時の受信レベルとが、プロセッサ111により比較される。定期測定が初めて実施される場合には、無線リレー局100の設置時に測定された受信レベルが前回の定期測定時の受信レベルの代わりに用いられる。
【0100】
ステップS405での比較の結果、両者の受信レベルに差分がある場合には、差分結果に基づいて、アダプティブアレーアンテナ140の主ビーム幅の変更、主ビーム方向の微調整、およびヌル点の形成が、アダプティブアレーアンテナ制御装置130により行なわれる。
【0101】
なお、図7を示して上述した処理に加えて、無線リレー局100の運用開始後に以下のような処理を実行するように構成してもよい。
無線リレー局100の運用開始後に、最適無線基地局から信号を受信ができない等の所定の閾値以上の受信品質劣化が受信部122により検出された場合には、定期時期を待たずにアダプティブアレーアンテナ140の制御を実行する。この場合、図4〜図6を示して前述したアダプティブアレーアンテナ140の制御方法により、無線リレー局100と接続する最適な無線基地局が再選択され、アダプティブアレーアンテナ140の指向性が再制御される。この場合、図4のステップS102では、無線リレー局100から最短距離の無線基地局方向に代わって、無線リレー局100から2番目に近い無線基地局方向にアダプティブアレーアンテナの主ビームが設定される。
【0102】
また、無線リレー局100の運用開始後に新たな無線基地局が設置された場合には、設置された新たな無線リレー局の位置情報がメモリ112に登録される。そして、図4〜図6を示して前述したアダプティブアレーアンテナ140の制御方法により、無線リレー局100と接続する最適な無線基地局が再選択され、アダプティブアレーアンテナ140の指向性制御が再実行される。
【0103】
以上のような実施形態に従えば、無線リレー局100の設置の際に、無線リレー局100のアンテナ140について、干渉の少ない状態で最適な基地局方向へのビーム形成を短時間で行うことができる。
また、実施形態に従えば、無線リレー局100の運用開始後においても、妨害波および干渉波に対する耐性を維持し、良好な受信品質を維持することができる。
【0104】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
無線リレー局のアンテナ制御方法であって、
無線リレー局の位置情報を取得し、
取得された前記位置情報および前記無線リレー局の記憶部に記憶されている複数の基地局の位置情報に基づいて、前記無線リレー局の接続候補の基地局を選択し、
選択された前記接続候補の基地局と前記無線リレー局との間の伝送路の電波伝搬環境データに基づいて、前記接続候補の基地局の中から前記無線リレー局の接続基地局を選択し、
前記無線リレー局が有する電気的に指向性が変更可能なアンテナの指向性を、選択された前記接続基地局の方向に制御する
ことを特徴とするアンテナ制御方法。
(付記2)
選択されていない前記接続候補の基地局の方向に、前記アンテナのヌル点を形成することを特徴とする、付記1に記載のアンテナ制御方法。
(付記3)
通信を実施していない時に、前記アンテナをスキャンして電波伝搬環境データを取得し、取得された前記電波伝搬環境データから妨害波を検知した場合には、前記妨害波を検知した方向に前記アンテナのヌル点を形成することを特徴とする、付記2に記載のアンテナ制御方法。
(付記4)
前記アンテナを定期的にスキャンして電波伝播特性データを取得し,取得された前記電波伝搬環境データに基づいて前記アンテナの指向特性を変更することを特徴とする、付記1に記載のアンテナ制御方法。
(付記5)
前記無線リレー局の位置情報は、GPS信号を用いて取得することを特徴とする、付記1に記載のアンテナ制御方法。
(付記6)
指向性を電気的に変更可能なアンテナと、
無線リレー局の位置情報を取得する取得部と、
複数の基地局の位置情報を記憶する記憶部と、
前記無線リレー局と前記無線リレー局の接続候補の基地局との間の伝送路の電波伝搬環境データを前記アンテナを介して受信する受信部と、
前記取得部により取得された前記無線リレー局の位置情報および前記記憶部により記憶された前記複数の基地局の位置情報に基づいて、前記接続候補の基地局を選択し、前記受信部により取得された前記電波伝搬環境データに基づいて、前記接続候補の基地局の中から前記無線リレー局の接続基地局を選択し、前記アンテナの指向性を前記接続基地局の方向に制御する処理部と
を含むことを特徴とする無線リレー局。
(付記7)
前記処理部は、選択されていない基地局の方向に、前記アンテナのヌル点を形成することを特徴とする、付記6に記載の無線リレー局。
(付記8)
前記処理部は、通信を実施していない時に、前記アンテナをスキャンして取得された電波伝搬環境データから妨害波を検知した場合には、前記妨害波を検知した方向に前記アンテナのヌル点を形成することを特徴とする、付記7に記載の無線リレー局。
(付記9)
前記処理部は、前記アンテナを定期的にスキャンして取得された電波伝播特性データに基づいて前記アンテナの指向特性を変更することを特徴とする、付記6に記載の無線リレー局。
(付記10)
前記取得部は、無線リレー局の位置情報は、GPS信号を用いて取得することを特徴とする、付記6に記載の無線リレー局。
【符号の説明】
【0105】
100 無線リレー局
110 基地局側送受信制御装置
111 プロセッサ
112 メモリ
120 基地局側送受信処理装置
121 送信部
122 受信部
130 アダプティブアレーアンテナ制御装置
140 アダプティブアレーアンテナ
141−1〜141−n アンテナ素子
142−1〜142−n 振幅調整器
143−1〜143−n 可変位相器
144 加算器
150 移動局側送受信制御装置
160 移動局側送受信処理装置
161 送信部
162 受信部
170 アンテナ
180 GPS信号受信装置
190 GPS受信アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線リレー局のアンテナ制御方法であって、
無線リレー局の位置情報を取得し、
取得された前記位置情報および前記無線リレー局の記憶部に記憶されている複数の基地局の位置情報に基づいて、前記無線リレー局の接続候補の基地局を選択し、
選択された前記接続候補の基地局と前記無線リレー局との間の伝送路の電波伝搬環境データに基づいて、前記接続候補の基地局の中から前記無線リレー局の接続基地局を選択し、
前記無線リレー局が有する電気的に指向性を変更可能なアンテナの指向性を、選択された前記接続基地局の方向に制御する
ことを特徴とするアンテナ制御方法。
【請求項2】
選択されていない前記接続候補の基地局の方向に、前記アンテナのヌル点を形成することを特徴とする、請求項1に記載のアンテナ制御方法。
【請求項3】
通信を実施していない時に、前記アンテナをスキャンして電波伝搬環境データを取得し、取得された前記電波伝搬環境データから妨害波を検知した場合には、前記妨害波を検知した方向に前記アンテナのヌル点を形成することを特徴とする、請求項2に記載のアンテナ制御方法。
【請求項4】
前記アンテナを定期的にスキャンして電波伝播特性データを取得し,取得された前記電波伝搬環境データに基づいて前記アンテナの指向特性を変更することを特徴とする、請求項1に記載のアンテナ制御方法。
【請求項5】
前記無線リレー局の位置情報は、GPS信号を用いて取得することを特徴とする、請求項1に記載のアンテナ制御方法。
【請求項6】
指向性を電気的に変更可能なアンテナと、
無線リレー局の位置情報を取得する取得部と、
複数の基地局の位置情報を記憶する記憶部と、
前記無線リレー局と前記無線リレー局の接続候補の基地局との間の伝送路の電波伝搬環境データを前記アンテナを介して受信する受信部と、
前記取得部により取得された前記無線リレー局の位置情報および前記記憶部により記憶された前記複数の基地局の位置情報に基づいて、前記接続候補の基地局を選択し、前記受信部により取得された前記電波伝搬環境データに基づいて、前記接続候補の基地局の中から前記無線リレー局の接続基地局を選択し、前記アンテナの指向性を前記接続基地局の方向に制御する処理部と
を含むことを特徴とする無線リレー局。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−89983(P2013−89983A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225552(P2011−225552)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】