無線ローカル・エリア・ネットワークにおいてアクセス・ポイントにかかる負荷を平衡化するための方法及びデバイス
【課題】 本発明は、WLAN内で負荷の不平衡を最小限に抑えるのに使用されることが可能である、より効果的なセル・ブリージング方法及び関連するデバイスを提供することを目的とする。
【解決手段】 無線ローカル・エリア・ネットワークWLANにおけるアクセス・ポイントAPにかかる負荷が、いくつかの方法、及び関連するデバイスを使用して、最小限に抑えられる。1つの方法は、ほとんどの輻輳したAPの負荷を最小限に抑えるのに対して、第2の方法は、最適ミニマックス(優先度)負荷平衡化解を使用して、輻輳したAPと輻輳していないAPの両方にかかる負荷を平衡化する。最適解は、とりわけ、複雑な変更を要求することなしに得られる。両方の方法は、輻輳を低減するが、APデータ・トラフィック・チャネルの伝送電力レベルの調整を要求しない、APビーコン・メッセージの伝送電力レベルの調整を含む。
【解決手段】 無線ローカル・エリア・ネットワークWLANにおけるアクセス・ポイントAPにかかる負荷が、いくつかの方法、及び関連するデバイスを使用して、最小限に抑えられる。1つの方法は、ほとんどの輻輳したAPの負荷を最小限に抑えるのに対して、第2の方法は、最適ミニマックス(優先度)負荷平衡化解を使用して、輻輳したAPと輻輳していないAPの両方にかかる負荷を平衡化する。最適解は、とりわけ、複雑な変更を要求することなしに得られる。両方の方法は、輻輳を低減するが、APデータ・トラフィック・チャネルの伝送電力レベルの調整を要求しない、APビーコン・メッセージの伝送電力レベルの調整を含む。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
無線ローカル・エリア・ネットワークWLANにおいて、無線デバイスは、すべての利用可能なチャネルをスキャンして、近くのアクセス・ポイントAPを検出し、次に、最も強い受信信号強度指標RSSIを有するAPに、そのようなAP又は近くの他のAPにかかる負荷を考慮に入れることなしに、無線デバイスを関連付ける。
【0002】
実用可能なIEEE802.11 WLANに関する最近の研究は、トラフィック負荷が、しばしば、WLAN内のAPの間で不均一に配分されていることを示している。通常、任意の所与の時点で、一部のAPには、重い負荷がかかる傾向があるのに対して(いわゆる「輻輳した」AP)、他のAPは、そうではない。この状況は、WLAN内で負荷の不平衡を生じさせる。負荷の不平衡は、ネットワークが、ネットワークの容量を完全に利用することを阻み、ネットワークがサービスを公平で均等な仕方で提供することを妨げるため、望ましくない。
【0003】
現在、IEEE802.11 WLAN規格は、負荷の不平衡を解決する決まった方法を提供しない。この欠点を克服するのに、様々な負荷平衡化スキームが、学界と業界の両方によって提案されている。これらの方法のほとんどは、ユーザによって操作されるデバイス(例えば、コンピュータ)において独自のクライアント・ソフトウェア、又は特別に設計されたWLANカードを展開することによって、ユーザ−AP関連付けを直接にコントロールするというアプローチをとる。これらのアプローチでは、APは、変更されたビーコン・メッセージを介して、APの負荷レベルをユーザ・デバイス(時として、単に「ユーザ」と呼ばれる)にブロードキャストし、各ユーザは、かかっている負荷が最も小さいAPを選択する。
【0004】
そのようなユーザ選択アプローチは、負荷平衡化を実現することができるものの、すべての(又はほとんどの)ユーザ・デバイスへの独自のクライアント・ソフトウェア/ハードウェアの展開は、実現するのが困難である。例えば、今日、ユーザは、ホテル、空港、ショッピングセンタ、及び大学キャンパスなどの様々なWLANにアクセスする。これらの異なるネットワークは、異なる負荷平衡化機構をおそらく採用している異なる組織によって管理される。ユーザが、異なる各ネットワークに関して1つずつ、複数の異なるクライアント・モジュールを有すると見込むのは、非現実的である。
【0005】
したがって、独自のクライアント・モジュールなどの使用を要求しない新たな負荷平衡化スキームを提供することが望ましい。
【0006】
また、他のタイプのネットワークも、負荷平衡化の課題に直面する。例えば、CDMAセルラーネットワークにおいて、セル内でアクティブなユーザの数が増えることにより、そのセルの基地局において感知される合計の干渉の増加が生じる。これにより、そのセルが輻輳することになる。セルが輻輳すると、そのセル内でユーザによって操作されるデバイスは、デバイスが基地局に送信する信号が、許容できる信号対雑音比で受信されることを確実にするために、より高い電力レベルで送信して、干渉の影響を克服する必要がある。セル内の電力レベルが高まるにつれ、生成された信号は、近隣のセルに対してより強い干渉を生じさせる。その結果、そのようなセルを含むネットワークの全体的な容量が、低下し始める。干渉のこれらの不要な増加を克服するのに、いわゆる「セル・ブリージング」技術が開発された。しかし、一般的に言えば、CDMAネットワークのために開発された既存のセル・ブリージング技術は、WLANにおいてうまく機能しない。
【0007】
WLANは、CDMAネットワークの場合と同様の負荷平衡化の課題に直面するため、本発明者らは、既存のセル・ブリージング技術の欠点をまず認識することによって、これらの課題をどのように解決すべきかを研究することを開始した。例えば、図1(a)を参照すると、同一の最大電力レベルで伝送しているものと想定される3つのAP、すなわち、a、b、及びcを有するWLAN1が、示されている。簡明のため、数名のユーザを各APに割り当てる。図1(a)では、1名のユーザがAPaに、8名のユーザがAPbに、1名のユーザがAPcに最初に割り当てられる。この例において、APの負荷は、割り当てられた、又は関連付けられたユーザの数であるものと定義する。このシナリオを所与として、APbは、APa及びAPcよりもはるかに高い負荷を有する。既存のセル・ブリージング技術によれば、APbにかかる負荷を減らすのに、APbの伝送電力が、低減されなければならない。このことは、bの伝送範囲/セル・サイズの縮小につながる。図1(a)では、範囲は、例えば、境界101から境界102に縮小する。図1(a)に示されるとおり、APbから最も遠く離れて位置している4つのユーザ/デバイス1〜4が、セル・サイズのこの縮小の影響を受ける。セルの元のサイズにおいて、ユーザ1〜4は、セルの範囲内にあり、したがって、APb伝送の範囲内にある。セルが、サイズ101からサイズ102に縮小するにつれ、ユーザ1〜4は、APbの範囲の丁度端ぎりぎりに(もちろん、時として、この範囲の外に)自らが位置していることに気付く。APbから、より遠く離れていることは、通常、ユーザ1〜4によって使用されるデバイスにおける信号品質の低下をもたらす。より低い信号品質の検出に応答して、ユーザ1〜4によって使用されるデバイスは、より高い信号品質に関連するAPを選択するスキャン動作を開始する。例えば、図1(a)におけるユーザ1〜2の2名が、APaから、より高い信号品質を検出することが可能である一方で、ユーザ3〜4は、APcから、より高い信号品質を検出する。より高い信号品質が検出されると、既存のセル・ブリージング技術によれば、これらのユーザは、APa及びAPcにそれぞれ移される。図1(b)に示されるとおり、正味の効果は、WLAN1内で負荷/ユーザを、より均等に配分することである(すなわち、現時点で、3名のユーザがAPaに割り当てられ、4名のユーザがAPbに割り当てられ、3名のユーザがAPcに割り当てられているため)。
【0008】
しかし、APbの伝送電力の低減は、APbと、ユーザ1〜4だけではなく、APbのセル内のユーザのすべてとの間のチャネル/リンクの信号品質に影響を及ぼす。このため、別のAPに移されない(すなわち、APbに関連付けられたままである)ユーザ/デバイス5〜8もまた、より低い信号品質を検出する。これに応答して、ユーザ5〜8によって使用されるデバイスは、より低いビットレートで通信しなければならない可能性がある。より低いビットレートにおいて、情報(時として、「トラフィック」と呼ばれる)が、ユーザ5〜8からAPbに伝送されるのに、より長い時間がかかる可能性がある。このことは、各ユーザ5〜8が寄与する、APbにかかる負荷を事実上、増大させる(AP負荷が、ユーザの数だけでなく、実効的なユーザ・スループットも考慮することによって算出される場合)。このため、APにかかる負荷を減らすどころか、既存のセル・ブリージング技術は、負荷を実際には増大させる可能性がある。
【0009】
したがって、無線ネットワーク内で負荷の不平衡を回避する、又は最小限に抑える方法及びデバイスを提供することが望ましい。特に、WLAN内で負荷の不平衡を最小限に抑えるのに使用されることが可能である、より効果的なセル・ブリージング方法(及び関連するデバイス)を提供することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許仮出願第60/793305号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、WLANなどの無線ネットワーク内で負荷の不平衡を最小限に抑えるが、前述した不平衡を回避する方法及びデバイスを見出した。本発明によれば、データ/トラフィックを伝送するのに使用される伝送電力レベルが、ビーコン・メッセージを伝送するのに使用される伝送電力レベルと分離され、ビーコン・メッセージを伝送するのに使用される伝送電力レベルだけが、低減される。
【0012】
データを伝送するのにAPによって使用される電力レベルを維持することによって、そのAPの範囲内のデバイスの伝送ビットレートが、維持される。しかし、AP範囲内の各ユーザ/デバイス、又はAPに接近しているAPは、それらのユーザ/デバイスが、現在、割り当てられている(又は割り当てられることを求めている)APからの別個のビーコン・メッセージの信号品質を検出して、評価することによって、既存のAPに割り当てられたままにする(又は割り当てられる)、又は別のAPに切り替えるか否かを決定するため、ビーコン・メッセージを伝送するのに使用される電力レベルを低減することによって、本発明は、事実上、APのセルを縮小する。その結果、このことは、新たなユーザが、APに割り当てられないようにさせる。APが既に輻輳している事例において、このことは、APが、さらに輻輳することを防止する。
【0013】
APにかかるトラフィック負荷を低減することは、負荷の不平衡を回避する問題解決法の一部である。その他の部分は、1つのAPから、過負荷になっていない近隣のAPにトラフィックを向ける、又は向け直す(一まとめにして、「向ける」)ことである。
【0014】
1つのAPにかかるトラフィック負荷を減らすことを、他方で適切な近隣のAPにかかる負荷を増やすことと組み合わせることにより、WLAN内のトラフィック負荷が平衡化される。
【0015】
局所最適化ヒューリスティックに主に依拠する、WLAN内でトラフィック負荷を平衡化する従前の試みとは異なり、本発明は、最適なセル・サイズ設定方法(及び関連するデバイス)を使用して、決定論的なミニマックス負荷平衡化解を見出す。
【0016】
また、本発明によって提供される方法及びデバイスは、WLAN負荷平衡化のためのほとんどの既存の提案とは異なり、ユーザ支援、又は既存の802.11標準の変更を要求しないため、特に魅力的でもある。
【0017】
代わりに、本発明によって提供される方法は、既存のデバイスを制御するソフトウェアを変更することによって実施されることが可能である。より詳細には、例えば、ネットワーク・オペレーションズ・センタNOCに配置されたネットワーク・コントローラ又はネットワーク管理ユニットによって使用されるソフトウェアを変更することによって実施されることが可能である。
【0018】
本発明の一実施形態では、そのようなコントローラは、APのデータ・トラフィック・チャネルの伝送電力を変更することなしに、APのビーコン・メッセージの伝送電力を変更することによって、APのセル・サイズを小さくするように動作可能である。その後、コントローラは、このセルの境界近くのユーザ/デバイスを、それほど輻輳していないAPに向ける。今日、利用可能なAPは、複数の伝送電力レベルを既にサポートしており、したがって、本発明者らは、本発明が、例えば、ソフトウェア更新を既存のAPに配信すること/ダウンロードすることによって容易に実施されることが可能であるものと考える。
【0019】
さらに、本発明によって提供される新規のセル・ブリージング方法は、特定の負荷定義に結び付けられておらず、広い範囲の負荷定義をサポートする。負荷寄与は、APに関連付けられたユーザの数といった単純なものであることが可能であり、あるいはより複雑であって、有効伝送ビットレート、平均トラフィック要求、又は乗法ユーザ負荷寄与のような要因を考慮に入れることが可能である。
【0020】
本発明のさらなる実施形態において、ネットワーク・オペレーション・センタNOCなどにおいて動作する、本発明によって提供される方法及びコントローラは、APから(例えば、Simple Network Management Protocol、「SNMP」メッセージを介して)負荷情報及び関連付け情報を収集する。利用可能な情報の範囲に応じて、次に、2つのモデル又は方法(この2つの語は、本明細書で互いに区別なく使用されることが可能である)の1つが、負荷平衡化を実行するのに使用されることが可能である。第1のモデルは、可能なユーザ−AP関連付け、及び対応するAP負荷が、可能なすべてのビーコン電力割り当てに関してアプリオリに知られているCK(完全知識)モデルである。そのような情報は、容易に入手可能でない可能性があるので、本発明は、現在のビーコン電力割り当てだけに関するユーザ−AP関連付け及びAP負荷が入手可能である、LK(限定された知識)モデルも提供する。CKモデルは、より実際的なLKモデルのための構成要素の役割をする。
【0021】
本発明によって提供されるモデルのそれぞれは、一般に、2つのステップを含む。第1のステップは、負荷が、輻輳負荷と呼ばれる、最も輻輳したAPにかかる負荷を最小限に抑えることである。本発明は、各モデルに関して1つずつ、最適解を見出す2つの多項式時間アルゴリズム/方法(以降、「(1つ又は複数の)方法」と呼ばれる)を提供する。このことは、負荷平衡化問題が、強NP困難である(すなわち、限定された時間内に解くことが非常に困難である)ことが知られているため、重要な成果である。さらに、本発明者らが、LKモデルにおいて使用されることが可能な多項式時間最適方法を見出したことは、特に重要である。本発明によれば、負荷平衡化問題を解くのに提供される解は、現在のAP電力レベル設定が、最適な電力レベル設定より「優勢である」(すなわち、各APが、最適解における電力レベル以上の電力レベルを有する)限り、最適解は、それでも、一連の電力低減動作を実行することによって得られることが可能であるという、本発明者らによって見出された洞察に基づく。本発明によって提供される1つの例示的な方法において、最大電力レベルから始めて、選択されたAPセットの電力レベルが、繰り返し低減される。CKモデルでは、ボトルネック・セットの概念を使用して、最適解への収束が確実にされる。ボトルネック・セットの中のすべてのAPの電力レベルを低減した後、各APの負荷が、電力レベル低減より前の初期の輻輳負荷と同一のままである、又は厳密により低いことが保証される。LKモデルの場合、電力がそれ以上、低減されることが可能でなくなるまで、輻輳したAPの電力レベルが、徐々に低減され、その間中、電力の各回の低減の後に見出される最良の解が記録される、最適状態記録と呼ばれる異なるアプローチが、使用される。
【0022】
第2のステップは、いわゆるミニマックス負荷平衡化解を見出すという問題を解くことを含む。本明細書において明瞭/簡単にするために証明は、省略されているものの、本発明者らは、この問題も、解決されるべき強NP困難問題であること、及び解を近似する許容できる方法は、全く存在しないことを発見/証明した。より具体的には、本発明者らは、座標に関する近似比を保証する方法は、全く存在しないことを証明しており、任意のプレフィックス合計近似アルゴリズムの近似比は、少なくともP(log n)であり、ただし、nは、ネットワークにおけるAPの数である。思いとどまることなく、本発明者らは、最適解が、両方のモデルに関して多項式時間内に計算されることが可能な、優先度負荷平衡化と呼ばれるミニマックス問題の変種を発見した。優先度負荷平衡化において、AP負荷は、APの関連付けられたユーザの集計された負荷寄与と、固有AP優先度との順序付けられたペアとして定義される。最適状態記録を使用して、ミニマックス優先度負荷平衡化解の各座標を繰り返し計算する方法が、構築された。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1a】本発明の特徴を示すのに使用されるWLANの例を示す図である。
【図1b】本発明の特徴を示すのに使用されるWLANの例を示す図である。
【図2a】本発明の特徴を示すのに使用されるWLANのさらなる例を示す図である。
【図2b】本発明の特徴を示すのに使用されるWLANのさらなる例を示す図である。
【図3】本発明による「ボトルネック・セット」を計算するのに使用されることが可能なソフトウェア・プログラムの例を示す図である。
【図4】本発明の完全知識方法を実行するのに使用されることが可能なソフトウェア・プログラムの例を示す図である。
【図5a】本発明の完全知識方法の実行の結果としてのWLANの変更の例を示す図である。
【図5b】本発明の完全知識方法の実行の結果としてのWLANの変更の例を示す図である。
【図5c】本発明の完全知識方法の実行の結果としてのWLANの変更の例を示す図である。
【図5d】本発明の完全知識方法の実行の結果としてのWLANの変更の例を示す図である。
【図6】本発明の限定された知識方法を実行するのに使用されることが可能なソフトウェア・プログラムの例を示す図である。
【図7a】本発明の限定された知識方法の実行の結果としてのWLANの変更の例を示す図である。
【図7b】本発明の限定された知識方法の実行の結果としてのWLANの変更の例を示す図である。
【図7c】本発明の限定された知識方法の実行の結果としてのWLANの変更の例を示す図である。
【図7d】本発明の限定された知識方法の実行の結果としてのWLANの変更の例を示す図である。
【図8】本発明のミニマックス優先度負荷平衡化方法を実行するのに使用されることが可能なソフトウェア・プログラムの例を示す図である。
【図9a】本発明のミニマックス優先度負荷平衡化方法の実行の結果としてのWLANの変更の例を示す図である。
【図9b】本発明のミニマックス優先度負荷平衡化方法の実行の結果としてのWLANの変更の例を示す図である。
【図10】本発明によって提供される方法と、既存の負荷平衡化方法との違いを示すグラフである。
【図11】本発明によって提供される方法と、既存の負荷平衡化方法との違いを示すグラフである。
【図12】本発明によって提供される方法と、既存の負荷平衡化方法との違いを示すグラフである。
【図13】本発明によって提供される方法と、既存の負荷平衡化方法との違いを示すグラフである。
【図14】この説明全体で使用される記号のいくつか、及びそれらの記号の例示的な意味のリストである。
【図15】本発明によって提供される限定された知識方法を実行するコントローラなどに関する例示的なランタイム統計を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1(a)を再び参照すると、a〜cで表されるAPのセットを有するWLAN1000が示されている。示されていないものの、APa〜APcのすべてが、有線インフラストラクチャ、例えば、インターネットに直接に接続されることが可能であるものと理解されたい。各APa〜APcは、或る伝送範囲を有し、そのAPの範囲内のユーザ1〜8だけにサービスを提供することが可能である。さらに、各APa〜APcは、複数の伝送電力レベルの1つを使用するように構成されることが可能である。簡単にするため、APa〜APcは、すべてのAPが、最小電力レベルで伝送している場合でさえ、すべてのユーザ1〜8が、少なくとも1つのAPによって範囲に入れられるように、APa〜APcの範囲間で高い度合いの重なり合いを確実にするように配備されるものと想定されることが可能である。
【0025】
さらに、ユーザ1〜8は、準静的移動パターンを有するものと想定されることが可能である。つまり、ユーザは、自由に動くことができるが、同一の相対的位置に長時間にわたって留まる傾向にある。任意の所与の時点で、各ユーザ1〜8は、単一のAPa〜APcに関連付けられる。各APa〜APcは、ビーコン・メッセージを周期的に伝送して、そのAPa〜APcのプレゼンスを「公示する」。ユーザが、WLAN1000に入ると、ユーザの関連付けられたデバイスは、ビーコン・メッセージを検出するために、WLAN1000内のすべてのチャネルを走査する。ビーコン・メッセージを検出した後、ユーザのデバイスは、検出された各メッセージのRSSIを測定するようにさらに動作可能である。通常、デバイスは、次に、デバイスと、測定された最も強いRSSIに関連するAPとの間でリンクを作成するプロセスを開始する。その後、ユーザが確立したリンクの信号品質が、或る閾値を下回って低下し始めると必ず、ユーザに関連するデバイスは、ビーコン・メッセージのすべてを走査するプロセスを再び開始して、より強い信号が存在するかどうかを判定する。存在する場合、ユーザ/デバイスは、そのより強い信号に関連するAPと新たなリンクを確立しようと試みる。
【0026】
前述した方法は、新たなユーザが、輻輳したAPに関連付けられないようにすることによって、WLAN内のAPにかかる負荷を平衡化する。しかし、このことは、輻輳したAPに即時の軽減をもたらさない可能性がある。即時の軽減(すなわち、負荷低減)のため、輻輳したAPに既に関連付けられているユーザ/デバイスが、その輻輳したAPを離れるように再割り当てされる必要がある。そのようにするのに、必要とされているのは、そのようなユーザ/デバイスが、別のAPからのビーコン・メッセージを検出するために走査動作を呼び出すよう、いわば、促す仕方である。これが行われることが可能な、いくつかの仕方が存在する。1つの仕方は、APのセル範囲が変更された後に、関連付け移転をトリガすることである。以降、説明を、ビーコン・メッセージの電力レベルだけに限定する。つまり、以降、「伝送電力」又は「電力レベル」又は「状態」という用語が使用される場合、これらの用語は、特に明記しない限り、又は文脈がそうでないことを示さない限り、ビーコン・メッセージを伝送するのに使用される電力だけと関係する。
【0027】
前述したとおり、負荷の不平衡を最小限に抑える際の第1のステップは、WLAN内のAPにかかる負荷を最小限に抑えることである。本発明の一実施形態では、CKモデルを使用して、負荷が最小限に抑えられる。代替の実施形態では、LKモデルが使用される。
【0028】
ネットワークは、ネットワーク(例えば、NOC内のコントローラ)が、WLAN内のすべてのユーザ−APペアに関連する可能な信号減衰及び負荷寄与を検出する、又は収集することができる場合、「完全知識」を有するという言い方がされることが可能である。完全知識状態は、ユーザのすべてが、近くのすべてのAPからRSSI情報を収集し、この情報を、NOCに配置されたコントローラに送信する場合、実現可能である。残念ながら、この能力は、既存のほとんどのWLANにおいて、現在、利用可能ではない。それでも、CKモデルは、現在の負荷割り当て及びユーザ割り当てを使用するLKモデルのための構成要素として有用である。
【0029】
ネットワークは、ネットワーク(例えば、NOCに配置されたコントローラ)が、各APに、現在、割り当てられているユーザのセット、及びそのようなセットが割り当てられたAPにかかるそのような各ユーザの負荷寄与に関する情報だけしか検出する、又は収集することができない場合、限定された知識を有するという言い方がされることが可能である。
【0030】
本発明の実施形態によれば、CKモデルにおいて、コントローラが、WLANの状態を実際に変更することなしに、可能なすべての状態におけるユーザ−AP割り当て/関連付けをアプリオリに決定することができることが可能である。このことは、NOCが、所望される状態に関するオフライン計算を実行することを可能にする。そのようなオフライン計算は、LKモデルにおいて実行可能ではない。
【0031】
最適平衡化状態への、いずれのモデルの収束と関係する問題(すなわち、輻輳したAPにかかる負荷は、低下するが、別のAPにかかる負荷は、増加する)を克服するのにも、本発明は、以下の2つのさらなるアプローチの使用を提供する。CKモデルに関して、本発明は、いわゆるボトルネック・セット電力低減をまず計算する。このアプローチは、最適状態に単調に収束する一連のセット電力低減を実行することを含む。このことにより、輻輳負荷が増加しないことが確実にされる。LKモデルに関して、本発明は、最適状態記録をまず使用する。このアプローチでは、それまでに見つかった最良状態のレコードが、保持される。
【0032】
本発明によれば、ボトルネック・セットは、すべての輻輳したAP(負荷Yを有する)、ならびに、セット電力低減を実行したことの結果、負荷がY以上に上昇する可能性があるすべてのAPを含むAPの最小セットと定義されることが可能である。本発明者らは、ボトルネック・セットに関する形式的表現を作成した。しかし、この表現は、本発明の理解に必要とされず、本明細書では省略されている。代わりに、ボトルネック・セットの一例を次に提示する。
【0033】
図2(a)に示されるWLAN2000を考慮されたい。APa、APbが、同一の電力レベルを有する場合、APaの電力レベルの低減は、APaの負荷を3から1まで低減する一方で、APbにかかる負荷を2までしか増加させない。このため、この時点におけるボトルネック・セットは、APaだけを含むと言うことができる。しかし、図2(b)に示されるとおり、aが、bより低い電力レベルを有する場合、bの電力レベルを低減することは、bの負荷を2から0まで低減し、aの負荷を3まで増加させる。この事例では、ボトルネック・セットは、APaとAPbをともに含む。完全のため、ボトルネック・セットを計算するのに使用されることが可能な、本発明によって提供されるソフトウェア・プログラム/ルーチンの例が、図3に示される。
【0034】
コントローラが、WLANの完全知識を有する事例において、WLANのボトルネック・セットは、容易に計算されることが可能である。最初に、各APaと各ユーザの間のRSSIが、計算される。この情報は、コントローラが、初期のユーザ−AP割り当て/関連付け、各APaにかかる負荷、及び最大負荷Yを決定することを可能にする。これらから、コントローラは、本発明者らによって作成された式を使用してボトルネック・セットを計算することができる。この場合も、そのような式の詳細は、本発明の理解に必要ではないが、前述したとおり、ボトルネック・セットを計算するルーチンの一例が、図3に示される。本発明者らによって導き出される証明のすべての正味の結果は、以下の発見であるとだけ言っておこう。すなわち、所与のWLANに関するボトルネック・セットは、他のいずれのAPにかかる負荷も、最大負荷Y以上に増加させない電力低減を使用して得られた輻輳したAPのセットを含むAPの最小セットである。APのボトルネック・セットを計算すると、本発明によって提供されるコントローラは、コントローラが、WLANの完全知識を有する場合、次に、このセットを使用して、WLAN内のAP上の輻輳を最小限に抑える。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、CK方法は、すべてのAPが、最大電力状態にあり、APの最大伝送電力で伝送するものと初期に想定することによって、輻輳を最小限に抑える。その後、本発明によるコントローラによって実行されるCK方法は、ボトルネック・セットを繰り返し計算する。計算されたセットを使用して、次に、方法は、別の電力低減動作が、適用される必要があるか、又は最適状態が見つかったかを判定する。この目的で、CK方法は、2つの終了条件(すなわち、電力低減の終了をトリガする条件)を利用する。第1の条件は、ボトルネック・セットが、APの完全なセットと等しいかどうかを判定する。この条件は、WLAN内のすべてのAPにかかる負荷が平衡化されており、したがって、さらなる電力低減が、APのいくつかにおける輻輳を、より軽くではなく、よりひどくする場合に、満たされることが可能である。第2の条件は、ボトルネック・セットが、最小電力レベルを使用して伝送しているAPを含むかどうかを判定する。含む場合、ボトルネック・セットの中のAPのすべてのAPの電力レベルは、等しく低減されることが可能でなく、方法は、終了される。そのような事例は、CK方法が、WLAN内のAPにかかる負荷が、平衡化されていないと判定し、輻輳したAPの電力レベルを繰り返し低減することによって最大負荷を減らすよう試みることを続ける場合に、通常、生じる。本発明によるCK方法を実行するためのソフトウェア・プログラム又はルーチンの例が、図4に示される。
【0036】
図5(a)は、WLAN3000内のAPa上、APb上、及びAPc上の輻輳が、本発明の例示的なCK方法を使用して最小限に抑えられているWLAN3000の例を示す。図示されるとおり、APa、APb、及びAPcに加えて、WLAN3000は、例示的なユーザu1、u2、u3、u4、及びコントローラ3001を含む。本発明の実施形態によれば、APa、APb、及びAPcは、APa、APb、及びAPcの関連するユーザ、負荷、及びさらなる関係のある情報をコントローラ3001に提供するように動作可能である。この情報を受け取り、解析すると、コントローラ3001は、現在、説明されているCK方法を含め、本発明によって提供される方法を実行するように動作可能である。
【0037】
続けると、APa、APb、及びAPcのそれぞれは、異なる3つの電力レベル0、1、及び2で動作することが可能である。図5(a)において、ユーザ−AP割り当て/関連付けが、実線又は破線として示され、ただし、実線は、APのそれぞれが、いつ同一の電力レベルで伝送するかを示し(デフォルトの関連付け)、破線は、可能な他の関連付けを示す。各線上の数字は、関連するAPにかかる負荷へのユーザによる寄与を示す。例えば、u1は、aだけに関連付けられることが可能であり、4という負荷をもたらす。u3は、APのそれぞれに関連付けられることが可能であり、2という負荷をもたらす。u3は、好ましくは、最高の電力レベルを有するAPを選択するが、互角の場合には、cを選好する。cが、a及びbより低い電力レベルで伝送している場合、u3は、bを選好する。アスタリスクは、2つの電力レベルの格差が、ユーザを移すのに要求されることを示し、例えば、u2は、APaの電力レベルが、0であり、APbの電力レベルが2である場合にだけ、関連付けをaからbに変更することができる。
【0038】
図5(b)に示される初期状態において、APのすべては、2という同一の電力レベル/インデックスを有し、各APa、APb、及びAPcにかかる負荷は、それぞれ、7、0、及び12である。本発明によって提供されるCK方法の第1回目において、ボトルネック・セット(「B」)が、計算され、APcが、このセットの中に含まれているものとして識別される。加えて、cの電力レベルが、1に低減される。その結果、u3は、u3の関連付けをAPbに変更する。この新たなユーザ−AP関連付け及び負荷が、図5(c)に示される。bは、依然として、輻輳したAPであることに留意されたい。しかし、ビーコン・メッセージを伝送するのにAPcによって使用される電力レベルのさらなる低減は、ユーザu4が、u4の関連付けをAPbに変更するようにさせて、APbにかかる負荷が、17になるようにする。このため、図5(d)に示される第2回目において、ボトルネック・セットは、cとbをともに含む。pc=0であるので、これが、最終回である。図5(d)に示される最終状態は、輻輳を最小限に抑えるが、輻輳していないAPにかかる負荷を平衡化しない。そうすることは、後段で説明される本発明の第2のステップに任せられる。
【0039】
さらなる発見において、本発明者らは、本発明によって提供されるCK方法が、WLANの輻輳負荷を最小限に抑える最適状態を常に見出すことを発見した。本発明者らは、この発見を支える証明を作成した。しかし、これらの証明は、本発明の理解に必要ではなく、簡明のために省略されている。例えば、これらの証明は、CK方法が輻輳を最小限に抑えるのに、どのように使用されることが可能であるかについての理解に必要ではない。
【0040】
次に、WLANの完全知識を獲得することが実現可能ではない場合に、輻輳を最小限に抑えるのに使用されることが可能な本発明の代替の実施形態に注目する。この第2の実施形態は、LK方法である。CK方法とは異なり、APのボトルネック・セットは、あらかじめ計算されることが可能でない。
【0041】
しかし、この障害は、ネットワーク(例えば、WLAN)の状態が、最適未満であり(例えば、WLANにおけるAPにかかる負荷が、不平衡であり)、この状態が、最適解より優勢である限り、輻輳したAPのセットに関連するビーコン信号の電力レベルの、一連の同時の低減により、最適状態への(すなわち、WLAN内の負荷を平衡化する最適電力レベルへの)収束がもたらされることを、本発明者らが発見した際、本発明者らによって克服された。この発見は、それ自体のジレンマ、すなわち、そのような最適解に関連する終了条件(すなわち、低減をいつ停止するか)を識別するという課題を生じさせた。終了条件なしには、一連の低減は、最適未満の解を生じることになる可能性がある。そのような条件を決定するのに、本発明によって提供されるLK方法は、最低の輻輳負荷に対応するすべてのAPの伝送電力レベルを記録する/格納する最適状態記録アプローチを使用する。より詳細には、最適状態記録アプローチは、2つの変数を定義する。第1の変数は、記録された状態(例えば、レベル)を保持し、第2の変数は、この記録された状態に関連する、記録された輻輳負荷と呼ばれる輻輳負荷値を保持する。
【0042】
本発明の一実施形態によれば、LK方法は、以下のステップを含む。最初、方法は、すべてのAPが、記録された状態(例えば、電力レベル)、及び記録された輻輳負荷が、何らかの値に初期設定された最大電力状態(例えば、最大電力レベル)で動作しているところから始まる。次に、輻輳したAPのセットDが、繰り返し計算され、このセットDが、最小電力レベルにおけるAP含まない限り、方法は、セットDの中のAPの電力レベルを繰り返し低減する。各回の低減の後、新たな状態の現在の輻輳負荷が、測定され、現在の測定された負荷が、前の格納/記録された輻輳負荷より低い場合、その現在の(低減された)電力レベル、及び現在の輻輳負荷が、前に計算されたレベル及び負荷の代わりに格納される。最終回において、APの電力レベルは、最期に格納/記録された(低減された)電力レベル/状態を使用して設定される。本発明のLK方法を実行するためのソフトウェア・プログラムの例が、図6に示される。この方法が、コントローラなどによって、どのように実行されることが可能であるかの例は、以下のとおりである。
【0043】
図5(a)に示されるWLAN3000を使用して、初期状態において、APa、APa、及びAPcのすべてが、2という同一の電力レベル/インデックスを有することを見て取ることができる。次に、図7(a)を参照すると、例示的な初期ユーザ−AP関連付け及びAP負荷が、示されている。この例において、cは、輻輳したAPである。本発明によれば、LK方法は、図7(b)及び図7(c)に示されるとおり、連続する2回でAPcの電力インデックスを2回、低減する。第1回目の後、cにかかる負荷は、12から10まで低減され、この状態が、記録/格納される。第2回目の後、APbが、17という輻輳負荷を有する輻輳したAPになる。第3回目において、LK方法が、APbの電力レベル/インデックスを低減し、これに相応して、ユーザu3が、u3の関連付けを変更する。その結果、APcは、再び、輻輳したAPになる。APcは、現時点で、最小電力レベルを使用して伝送しているため、方法は、終了される。最後に、方法(例えば、コントローラ)は、図7(b)に示されるとおり、記録された状態を使用して、APa、APb、及びAPcを構成する(例えば、電力レベルをAPに割り当てる)。
【0044】
前述したとおり、本発明者らは、LK方法が、ネットワーク輻輳負荷を最小限に抑える最適状態を常に見出すことを発見した。この場合も、本発明者らは、この発見の詳細な証明を作成したものの、これらの証明は、この説明を可能な限り簡単にしておくように省略されている。
【0045】
前述した完全知識方法及び限定された知識方法は、ネットワーク輻輳負荷を最小限に抑えるが、輻輳していないAPにかかる負荷を必ずしも平衡化しない。このことを認識して、本発明は、ネットワーク輻輳負荷を最小限に抑えることと、輻輳していないAPにかかる負荷を平衡化することをともに行う方法(及び、関連するデバイス、例えば、コントローラ)を提供する。
【0046】
残念ながら、このことを実現することは、通常、「NP困難」である(すなわち、解に到達するのにかかる時間を算出することが可能でない)問題を解くことを要求し、近似解を見出すことさえ困難である。そうであるにもかかわらず、本発明者らは、ミニマックス優先度負荷平衡化問題と呼ばれるミニマックス問題の変種を発見し、多項式時間(すなわち、算出/近似されることが可能な時間)内に見出されることが可能である、この変種に対する最適解をさらに発見した。
【0047】
本発明者らによって発見された解を提示する前に、いくらかのさらなる背景情報をまず提示する。
【0048】
負荷平衡化方法の品質を評価する一般的に使用されるアプローチは、その方法が、ミニマム−マックス(「min−max」)負荷平衡化解を生成するか否かを判定することである。非公式には、ネットワーク状態は、同一以上の負荷を有する別のAPの負荷を増加させることなしに、いずれのAPの負荷も低減する方法が全く存在しない場合、ミニマックス負荷平衡化していると考えられる。本発明者らは、状態Sの負荷ベクトルYを、大きい順に並べられた各APの負荷から成るセットと定義する。さらに、実現可能なネットワーク状態Sは、対応する負荷ベクトルYが、他のいずれかの実現可能な状態S′の他のいずれかの負荷ベクトルY′と比べて、同一以下のレキシコグラフ値を有する場合、ミニマックス負荷平衡化しているという言い方がされる。
【0049】
前述したとおり、ミニマックス負荷平衡化状態を見出す問題は、解くのがNP困難である問題である。本発明者らは、このことを実証する詳細な証明を作成したが、前述の場合と同様に、これらの証明は、本発明の説明を簡略化するために省略されていることを理解されたい。さらに、本発明者らは、「より単純な」問題、すなわち、知られている最小輻輳負荷に関する輻輳したAPの最小セットを識別するという問題でさえ、単独で、NP困難であることを実証する証明も作成した。これらの証明もまた、省略されている。
【0050】
これらの問題の解が、NP困難であることを認識して、次に、本発明者らは、ミニマックス負荷平衡化問題の変種を発見し、その後、多項式時間内に計算されることが可能な、この変種の最適解を発見した。本発明者らによって発見された変種において、APのセット内の各APaは、重みwとも呼ばれる固有優先度を有するものと想定される。この重みは、そのAPの重要度を示す。本発明者らは、優先度負荷と呼ばれる新たなAP負荷定義も作成した。
【0051】
例えば、優先度waを有するAPaを考慮し、laを、APaの関連付けられたユーザのすべてのユーザの集計された負荷であるものとする。yaによって表されるAPaの優先度負荷は、順序付けられたペアya=(la,wa)と定義される。簡明のため、APの優先度負荷を「AP負荷」と呼ぶ。APaは、ya=(la,wa)が、yb=(lb,wb)より高いレキシコグラフ値を有する(すなわち、以下の条件の1つが満たされる、すなわち、(1)la>lbである、又は(2)la=lbであり、かつwa>wbである)場合、APbより高い負荷を有すると言うことが可能である。
【0052】
同一の優先度を有する2つのAPは存在しないため、同一の(優先)負荷を有する2つのAPは存在しないということになる。この認識は、以下の特性を発見するように本発明者らを導いた。すなわち、任意のネットワーク状態において、輻輳したAPのセットは、単一のAPを常に含む(「特性1」)。
【0053】
ミニマックス負荷平衡化問題の変種を発見した後、次に、本発明者らは、この問題の解を見出す作業に取り掛かった。本発明者らが発見した解は、後段で説明される。
【0054】
以降の説明を簡単にするのに、本発明によって発見された新たなミニマックス負荷平衡化方法が、前述したLKモデルと組み合わせて提示される。とは言え、ミニマックス方法は、CKモデルと組み合わせて使用されることも可能であることを理解されたい。
【0055】
本発明の或る実施形態において、本発明によって提供されるミニマックス負荷平衡化方法は、最適負荷ベクトルY*をもたらすミニマックス優先度負荷平衡化状態を繰り返し識別する。さらに、任意の回、mにおいて、方法は、前述したLK方法/モデル又はCK方法/モデルなどのルーチンを組み込んで、負荷ベクトルの第m番の座標の優先度−負荷を最小限に抑えるネットワーク状態を計算する。本発明によって提供されるミニマックス方法は、次の2つの要件を満たす。すなわち、
(1)各回mの初期状態は、最適状態より優勢であるべきで、かつ
(2)第m番の回における計算されたネットワーク状態は、前の回によって既に決定されているAPの負荷に影響を与える(増加させる)べきではない。
【0056】
第1の要件を満たすのに、本発明によって提供される1つのミニマックス方法は、第1回目において最大電力状態で始まり、各回が、最適解の優勢状態で終わることを確実にする。さらに、第2の要件を満たすのに、前の回によって負荷が既に決定されている固定されたAPのセットFが、定義される。初め、セットFは空である。Fが、APのすべてを含むまで、各回において、新たなAPが、セットFに追加される。輻輳負荷Yを、任意の固定されていないAPにかかる最大負荷と定義する。特性1から、任意の所与の時点で、輻輳負荷に関連する、輻輳したAPと呼ばれる固定されていないAP、dが、1つだけが存在することになる。
【0057】
各回mにおいて、ミニマックス方法は、LK方法(又はCK方法)を呼び出して、負荷ベクトルの第m番の座標を最小限に抑えることが可能である。第1の要件が、繰り返しの始めに満たされているものと想定すると、以下の3つの変数が生成され、格納される。すなわち、(1)それまでに見出された最適状態の輻輳負荷値を示す記録された輻輳負荷Y、(2)輻輳負荷Yを有する第1の発見された状態を示す記録された状態変数S、及び(3)輻輳負荷に関連するAPを識別する記録された輻輳AP、dである。
【0058】
本発明のさらなる実施形態によれば、ミニマックス方法は、変数S、Y、及びdをまず初期設定する。次に、方法は、輻輳したAPを繰り返し識別し、輻輳したAPが、最小電力レベルで既に伝送している場合、停止する。最小電力レベルで伝送していない場合、方法は、輻輳したAPの電力レベルを低減し、輻輳負荷、ならびに固定されたAP(すなわち、伝送電力レベルが、前の回に既に計算されているAPは、現在、「固定されている」又は設定されている)の負荷を評価する。方法は、固定されたAPのいずれかが、高い負荷を被る場合、停止する。このことにより、固定されたAPの負荷を保つために、第2の要件が満たされることが確実にされる。さもなければ、より低い輻輳負荷を有する状態が発見された場合、方法は、変数を更新することによって、この状態のレコードを保持する。最後に、方法は、最後に格納された状態(電力レベル)に従ってAPの電力レベルを設定することを含み、記録された状態S、及び対応する輻輳したAPdを戻す。言い換えると、電力レベル低減の後、1つのAPの電力レベルが固定になる。このAPが、次に、固定されたAPのセットに追加される。電力レベルが固定されていない1つ又は複数のAPが存在する場合、方法は、別の固定されていないAPの電力レベルを計算することによって続く。
【0059】
方法は、この場合も、第(m+1)番の座標の負荷を最小限に抑えるためにLK方法/モデル又はCK方法/モデルを含むことが可能である。本発明によって提供されるミニマックス方法を表すソフトウェア・プログラム又はルーチンの例が、図8に示される。以下は、本発明によって提供されるミニマックス方法を実行するコントローラが、どのように実施されることが可能であるかの一例である。
【0060】
この場合も、図5(a)に示されるWLAN3000を考慮されたい。LK方法の第1回の呼び出しの後、図9(a)に示されるネットワーク状態が、生成される。前段で実証されたとおり、この状態は、負荷ベクトルの第1の座標を最小限に抑える他のいずれの状態よりも優勢である。LK方法の第2回の呼び出しが、このネットワークの唯一のミニマックス負荷平衡化状態である(AP優先度にかかわらず)、図9(b)に示される状態を生成する。
【0061】
本発明者らは、本発明によって提供されるミニマックス負荷平衡化方法が、最適負荷ベクトル及びミニマックス負荷平衡化解を常に見出すことを発見した。証明は、前述の場合と同様に、本発明の説明をさらに簡明にするように省略されている。
【0062】
本発明の他の特徴の説明に移る前に、1つのさらなるポイントが注目に値する。本発明者らによって発見されたミニマックス方法の複雑度は、O(K−/A/4−/U/)であることが(本発明者らによって作成された証明を介して)示されることが可能である(K、A、及びUの定義に関しては、表1、行6、行1、及び行13をそれぞれ参照)。
【0063】
前述したとおり、本発明によって提供される方法のそれぞれは、コントローラなどによって実行されることが可能である。さらに、NOCが、前述した方法のいずれか1つを実行すると、NOCは、NOCが一部分を成すWLAN内の各APと、それらのAPが、本発明によって提供される方法をコントローラが実行した際に生成される電力レベル低減及びユーザ割り当て/関連付け動作を実施することを確実にするために、メッセージ、命令などを交換するようにさらに動作できることが可能である。
【0064】
とは言え、ユーザが、WLANに到着する、又はWLANから離れるたびに、コントローラなどが、前述した最適化方法を実行するよう要求することは、頻繁な関連付け変更、及び進行中のユーザ・セッションの潜在的な妨げにつながる可能性がある。これを回避するのに、本発明者らは、関連付け変更の回数と、最適な負荷平衡化したWLANを維持したいという望みとの間の釣り合いをとるオンライン戦略を作成した。そのようなオンライン戦略の基礎をなす概念は、「大域最適化」と「局所最適化」を組み合わせる。
【0065】
局所最適化は、WLANの負荷が、ユーザが到着する、ならびに/又は出発するたびに絶えず平衡化される戦略であるのに対して、大域最適化は、本発明によって提供される方法が、定期的にだけ呼び出される、又は局所最適化戦略が、負荷平衡化状態を維持するのに失敗した場合には必ず呼び出される戦略を含む。本発明の或る実施形態によれば、オンライン戦略は、以下の3つの構成パラメータ、すなわち、最小負荷閾値、セル適応閾値、及び時間閾値を使用する。最初の2つのパラメータは、局所最適化が、取るに足らない利得しかもたらさない場合に、そのような最適化の使用を防止するため、及びアクティブなユーザに対するサービス割り込みを防止するために、局所最適化をいつ呼び出すかを決定する。最後のパラメータは、大域最適化が、どれだけ頻繁に呼び出されることが可能であるかを制御する。
【0066】
局所最適化方法は、後段で簡単に説明されるとおり、APの電力レベルを低減する、又は増加させることが可能であるため、大域最適化方法とは異なる。
【0067】
本発明によって提供される局所最適化方法において、各APaに関して、そのAPaの近隣のAPのすべてのAPのセットNaを定義し、yaを、Naの中のAPにかかる平均負荷とする。APaにかかる負荷が、いずれの理由であれ(例えば、ユーザ移動又は局所最適化動作)、低下すると、本発明によって提供されるオンライン方法は、その新たな負荷yaが、セル拡大条件を満たすか否かを検査し、この検査は、近隣APのセットの中のAPbが、最小負荷閾値より大きい負荷を有し、かつ、その新たな負荷yaが、Naの中のAPの平均負荷に値(1−セル適応閾値)を掛けることによって計算された値より小さい値を有するか否かを判定することである。この条件が満たされ、かつ、APaの電力インデックスpaが、最大ではない場合、本発明のオンライン方法は、APaの電力レベルを1だけ増加させる。
【0068】
逆に、APaにかかる負荷が増加した場合、本発明のオンライン方法は、セル縮小条件を検査し、この検査は、yaが、最小負荷閾値より大きく、かつ、Naの中のAPの平均負荷に値(1+セル適応閾値)を掛けることによって計算された値より大きいか否かを判定することである。この条件が満たされ、かつ、APaの電力インデックスpaが最小ではない場合、オンライン方法は、APaの電力レベルを1だけ低減する。
【0069】
最後に、これら2つの条件のいずれかが満たされるが、局所最適化動作が、電力レベルを調整することができない場合、大域最適化が、呼び出される。
【0070】
本発明者らは、2つの既存の方法、すなわち、SSF(Strongest−Signal−First)方法及び関連付け制御方法に対して、本発明者らの新規の負荷平衡化方法の性能を比較するシミュレーションを行った。SSFは、IEEE802.11規格において使用されるデフォルトのユーザ−AP関連付け方法である。関連付け制御方法は、信号強度に単に基づいて関連付けを決定するのではなく、ミニマックス公平帯域幅割り当てを実現するユーザ−AP関連付けを決定する。ミニマックス公平問題は、NP困難であるため、関連付け制御方法は、ユーザが、複数のAPに同時に関連付けられることが可能であるという想定の下で分数最適解FRACをまず計算し、次に、単一の関連付け制約を満たすように丸めを介して整数解INTを獲得する。本発明者らは、本発明者らの解の特性が知られているため、これらの方法をベンチマークとして選択した。
【0071】
FRAC解は、厳密な性能上限(すなわち、可能な最低の輻輳負荷)をもたらすのに対して、INTは、2近似タイプの解を保証する。さらに、ユーザの数が増えるにつれ、INTは、FRACと収束する。本発明者らは、本発明者らの方法が、相当に、より高い自由度を有する最適関連付け制御方法より性能が優れているとは予期していなかった。INT解を本発明者らの方法と比較する際の本発明者らの目的は、本発明者らの方法が、INT方法において必要とされる、各移動体上の特別なクライアント・ソフトウェアの必要なしに、関連付け制御方法と同等の性能を実現することを示すことであった。しかし、意外なことに、本発明者らのシミュレーションの結果は、本発明によって提供される方法が、様々な負荷条件においてINT解より性能が優れていることを示す。
【0072】
これらのシミュレーションがどのように行われたかの詳細は、説明を簡明にするために省略されている。代わりに、本発明者らは、本発明者らのシミュレーション結果のサンプルのグラフを含めた。例えば、図10は、100名のランダムに分布したユーザを含む、負荷平衡化技術の比較を含むシミュレーション結果を示す。このユーザ数は、アクティブなユーザに対するAPの比が、5である、ほどほどに負荷のかかったネットワークをシミュレートするように選択された。Y軸は、ya(AP負荷)を表すのに対して、X軸は、AP電力レベル/インデックスを表す。APは、ya値が大きい順に並べられることに留意されたい。各ya値は、300回のシミュレーション実行を平均することによって獲得される。整数xインデックスに対応するポイントだけが、意味がある(連続した線は、単に提示の目的で引かれている)。太い実線は、本発明者らのミニマックス方法を表し、細い実線は、本発明者らの最小輻輳方法を表す。両方の方法が、同一の最大ya値を生成するが、ミニマックス方法は、最小輻輳方法と比べて、より低いレキシコグラフ次数を有する負荷ベクトルを生成することを見て取ることができる。太い破線は、INT解を表し、水平の細い破線は、FRAC解を表す。ミニマックス解とINT解はともに、SSF解よりも明らかに良好である。ミニマックス解とINT解はともに、FRACより約35%高い、非常に似通った最大ya値をもたらす。
【0073】
また、本発明者らは、50名のユーザを使用する同様のシミュレーションも実行し、このシミュレーションの結果が、図11に示される。図示されるとおり、本発明者らのミニマックス方法は、INT方法より大幅に性能が優れている。興味深いことに、FRAC及びSSFと比べると、本発明者らのミニマックス方法の相対的性能は、ユーザの数によってひどく影響を受けているように見えない。同一の傾向は、本発明者らによって行われた他のシミュレーションにおいても観察された。例えば、200名のユーザ(図示せず)が使用された場合、FRACと本発明者らの方法との格差は、35%で変わらなかった。ネットワーク負荷条件(すなわち、ユーザの数)にかかわらず、FRAC解と比べた際の、本発明のミニマックス方法の安定した相対的性能は、本発明によって提供される方法の多くの長所の1つである。
【0074】
また、本発明者らは、不平衡のユーザ分布の事例も考慮した。例えば、ユーザの20%だけが、ランダムに分布しており、残りのユーザは、互いに重なり合わない2つのホットスポットに集中している。各ホットスポットは、75メートル半径を有する円形の区域であることが可能である。1つのホットスポットは、他方のホットスポットより2倍多いユーザを含むことが可能である。この状況は、これらのホットスポットにおいて重い負荷条件を生じさせる。図12は、ユーザの総数が100名である場合の例示的な結果を示す。図12は、本発明によって提供されるミニマックス方法が、ホットスポット(すなわち、重い負荷条件)が存在する場合に、さらに良好な性能を示し、INTより優れていることを示す。
【0075】
電力レベルの数(これまで、前述した例は、10の電力レベルを使用した)の影響を調べるのに、本発明者らは、異なる4つの電力レベル範囲をシミュレートした。結果が、図13に示される。図示されるとおり、電力レベルの数の影響は、本発明者らによって行われたシミュレーションにおいて5から10までの間である或る電力レベル数を超えると、取るに足らなくなる。
【0076】
本発明のLK方法を実行する際に、コントローラが、いくつの動作を実行しなければならない可能性があるかの理解を得るのに、本発明者らは、そのような方法のシミュレーションを実行し、電力レベル調整及びユーザ関連付け変更の回数を数えた。収集された統計が、図15に示す表IIに要約されている。各テーブルエントリに関して、2つの数が与えられる。つまり、第1の数は、LK方法を呼び出したミニマックス方法に関するのに対して、第2の数は、LK(最小輻輳)方法/モデルだけに関する。一般に、LK方法は、かなり迅速に収束するのに対して、ミニマックス方法は、もう少し長くかかる。例えば、電力調整間隔が、1秒である場合、100名のランダムなユーザのネットワークにおける負荷平衡化は、LK(最小輻輳)方法/モデルを使用して、約33秒かかり、LK方法を呼び出すミニマックス方法を使用して、2分未満かかる。ユーザの数の増加は、収束時間を必ずしも増大させるように思われず、ホットスポットの存在も、収束時間を増大させるように思われない。実際、LK(最小輻輳)方法/モデルを使用して、収束時間は、短くなる。
【0077】
前述した説明は、本発明のいくつかの例を示した。しかし、本発明の真の範囲は、添付の特許請求の範囲によって確定される。
【背景技術】
【0001】
無線ローカル・エリア・ネットワークWLANにおいて、無線デバイスは、すべての利用可能なチャネルをスキャンして、近くのアクセス・ポイントAPを検出し、次に、最も強い受信信号強度指標RSSIを有するAPに、そのようなAP又は近くの他のAPにかかる負荷を考慮に入れることなしに、無線デバイスを関連付ける。
【0002】
実用可能なIEEE802.11 WLANに関する最近の研究は、トラフィック負荷が、しばしば、WLAN内のAPの間で不均一に配分されていることを示している。通常、任意の所与の時点で、一部のAPには、重い負荷がかかる傾向があるのに対して(いわゆる「輻輳した」AP)、他のAPは、そうではない。この状況は、WLAN内で負荷の不平衡を生じさせる。負荷の不平衡は、ネットワークが、ネットワークの容量を完全に利用することを阻み、ネットワークがサービスを公平で均等な仕方で提供することを妨げるため、望ましくない。
【0003】
現在、IEEE802.11 WLAN規格は、負荷の不平衡を解決する決まった方法を提供しない。この欠点を克服するのに、様々な負荷平衡化スキームが、学界と業界の両方によって提案されている。これらの方法のほとんどは、ユーザによって操作されるデバイス(例えば、コンピュータ)において独自のクライアント・ソフトウェア、又は特別に設計されたWLANカードを展開することによって、ユーザ−AP関連付けを直接にコントロールするというアプローチをとる。これらのアプローチでは、APは、変更されたビーコン・メッセージを介して、APの負荷レベルをユーザ・デバイス(時として、単に「ユーザ」と呼ばれる)にブロードキャストし、各ユーザは、かかっている負荷が最も小さいAPを選択する。
【0004】
そのようなユーザ選択アプローチは、負荷平衡化を実現することができるものの、すべての(又はほとんどの)ユーザ・デバイスへの独自のクライアント・ソフトウェア/ハードウェアの展開は、実現するのが困難である。例えば、今日、ユーザは、ホテル、空港、ショッピングセンタ、及び大学キャンパスなどの様々なWLANにアクセスする。これらの異なるネットワークは、異なる負荷平衡化機構をおそらく採用している異なる組織によって管理される。ユーザが、異なる各ネットワークに関して1つずつ、複数の異なるクライアント・モジュールを有すると見込むのは、非現実的である。
【0005】
したがって、独自のクライアント・モジュールなどの使用を要求しない新たな負荷平衡化スキームを提供することが望ましい。
【0006】
また、他のタイプのネットワークも、負荷平衡化の課題に直面する。例えば、CDMAセルラーネットワークにおいて、セル内でアクティブなユーザの数が増えることにより、そのセルの基地局において感知される合計の干渉の増加が生じる。これにより、そのセルが輻輳することになる。セルが輻輳すると、そのセル内でユーザによって操作されるデバイスは、デバイスが基地局に送信する信号が、許容できる信号対雑音比で受信されることを確実にするために、より高い電力レベルで送信して、干渉の影響を克服する必要がある。セル内の電力レベルが高まるにつれ、生成された信号は、近隣のセルに対してより強い干渉を生じさせる。その結果、そのようなセルを含むネットワークの全体的な容量が、低下し始める。干渉のこれらの不要な増加を克服するのに、いわゆる「セル・ブリージング」技術が開発された。しかし、一般的に言えば、CDMAネットワークのために開発された既存のセル・ブリージング技術は、WLANにおいてうまく機能しない。
【0007】
WLANは、CDMAネットワークの場合と同様の負荷平衡化の課題に直面するため、本発明者らは、既存のセル・ブリージング技術の欠点をまず認識することによって、これらの課題をどのように解決すべきかを研究することを開始した。例えば、図1(a)を参照すると、同一の最大電力レベルで伝送しているものと想定される3つのAP、すなわち、a、b、及びcを有するWLAN1が、示されている。簡明のため、数名のユーザを各APに割り当てる。図1(a)では、1名のユーザがAPaに、8名のユーザがAPbに、1名のユーザがAPcに最初に割り当てられる。この例において、APの負荷は、割り当てられた、又は関連付けられたユーザの数であるものと定義する。このシナリオを所与として、APbは、APa及びAPcよりもはるかに高い負荷を有する。既存のセル・ブリージング技術によれば、APbにかかる負荷を減らすのに、APbの伝送電力が、低減されなければならない。このことは、bの伝送範囲/セル・サイズの縮小につながる。図1(a)では、範囲は、例えば、境界101から境界102に縮小する。図1(a)に示されるとおり、APbから最も遠く離れて位置している4つのユーザ/デバイス1〜4が、セル・サイズのこの縮小の影響を受ける。セルの元のサイズにおいて、ユーザ1〜4は、セルの範囲内にあり、したがって、APb伝送の範囲内にある。セルが、サイズ101からサイズ102に縮小するにつれ、ユーザ1〜4は、APbの範囲の丁度端ぎりぎりに(もちろん、時として、この範囲の外に)自らが位置していることに気付く。APbから、より遠く離れていることは、通常、ユーザ1〜4によって使用されるデバイスにおける信号品質の低下をもたらす。より低い信号品質の検出に応答して、ユーザ1〜4によって使用されるデバイスは、より高い信号品質に関連するAPを選択するスキャン動作を開始する。例えば、図1(a)におけるユーザ1〜2の2名が、APaから、より高い信号品質を検出することが可能である一方で、ユーザ3〜4は、APcから、より高い信号品質を検出する。より高い信号品質が検出されると、既存のセル・ブリージング技術によれば、これらのユーザは、APa及びAPcにそれぞれ移される。図1(b)に示されるとおり、正味の効果は、WLAN1内で負荷/ユーザを、より均等に配分することである(すなわち、現時点で、3名のユーザがAPaに割り当てられ、4名のユーザがAPbに割り当てられ、3名のユーザがAPcに割り当てられているため)。
【0008】
しかし、APbの伝送電力の低減は、APbと、ユーザ1〜4だけではなく、APbのセル内のユーザのすべてとの間のチャネル/リンクの信号品質に影響を及ぼす。このため、別のAPに移されない(すなわち、APbに関連付けられたままである)ユーザ/デバイス5〜8もまた、より低い信号品質を検出する。これに応答して、ユーザ5〜8によって使用されるデバイスは、より低いビットレートで通信しなければならない可能性がある。より低いビットレートにおいて、情報(時として、「トラフィック」と呼ばれる)が、ユーザ5〜8からAPbに伝送されるのに、より長い時間がかかる可能性がある。このことは、各ユーザ5〜8が寄与する、APbにかかる負荷を事実上、増大させる(AP負荷が、ユーザの数だけでなく、実効的なユーザ・スループットも考慮することによって算出される場合)。このため、APにかかる負荷を減らすどころか、既存のセル・ブリージング技術は、負荷を実際には増大させる可能性がある。
【0009】
したがって、無線ネットワーク内で負荷の不平衡を回避する、又は最小限に抑える方法及びデバイスを提供することが望ましい。特に、WLAN内で負荷の不平衡を最小限に抑えるのに使用されることが可能である、より効果的なセル・ブリージング方法(及び関連するデバイス)を提供することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許仮出願第60/793305号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、WLANなどの無線ネットワーク内で負荷の不平衡を最小限に抑えるが、前述した不平衡を回避する方法及びデバイスを見出した。本発明によれば、データ/トラフィックを伝送するのに使用される伝送電力レベルが、ビーコン・メッセージを伝送するのに使用される伝送電力レベルと分離され、ビーコン・メッセージを伝送するのに使用される伝送電力レベルだけが、低減される。
【0012】
データを伝送するのにAPによって使用される電力レベルを維持することによって、そのAPの範囲内のデバイスの伝送ビットレートが、維持される。しかし、AP範囲内の各ユーザ/デバイス、又はAPに接近しているAPは、それらのユーザ/デバイスが、現在、割り当てられている(又は割り当てられることを求めている)APからの別個のビーコン・メッセージの信号品質を検出して、評価することによって、既存のAPに割り当てられたままにする(又は割り当てられる)、又は別のAPに切り替えるか否かを決定するため、ビーコン・メッセージを伝送するのに使用される電力レベルを低減することによって、本発明は、事実上、APのセルを縮小する。その結果、このことは、新たなユーザが、APに割り当てられないようにさせる。APが既に輻輳している事例において、このことは、APが、さらに輻輳することを防止する。
【0013】
APにかかるトラフィック負荷を低減することは、負荷の不平衡を回避する問題解決法の一部である。その他の部分は、1つのAPから、過負荷になっていない近隣のAPにトラフィックを向ける、又は向け直す(一まとめにして、「向ける」)ことである。
【0014】
1つのAPにかかるトラフィック負荷を減らすことを、他方で適切な近隣のAPにかかる負荷を増やすことと組み合わせることにより、WLAN内のトラフィック負荷が平衡化される。
【0015】
局所最適化ヒューリスティックに主に依拠する、WLAN内でトラフィック負荷を平衡化する従前の試みとは異なり、本発明は、最適なセル・サイズ設定方法(及び関連するデバイス)を使用して、決定論的なミニマックス負荷平衡化解を見出す。
【0016】
また、本発明によって提供される方法及びデバイスは、WLAN負荷平衡化のためのほとんどの既存の提案とは異なり、ユーザ支援、又は既存の802.11標準の変更を要求しないため、特に魅力的でもある。
【0017】
代わりに、本発明によって提供される方法は、既存のデバイスを制御するソフトウェアを変更することによって実施されることが可能である。より詳細には、例えば、ネットワーク・オペレーションズ・センタNOCに配置されたネットワーク・コントローラ又はネットワーク管理ユニットによって使用されるソフトウェアを変更することによって実施されることが可能である。
【0018】
本発明の一実施形態では、そのようなコントローラは、APのデータ・トラフィック・チャネルの伝送電力を変更することなしに、APのビーコン・メッセージの伝送電力を変更することによって、APのセル・サイズを小さくするように動作可能である。その後、コントローラは、このセルの境界近くのユーザ/デバイスを、それほど輻輳していないAPに向ける。今日、利用可能なAPは、複数の伝送電力レベルを既にサポートしており、したがって、本発明者らは、本発明が、例えば、ソフトウェア更新を既存のAPに配信すること/ダウンロードすることによって容易に実施されることが可能であるものと考える。
【0019】
さらに、本発明によって提供される新規のセル・ブリージング方法は、特定の負荷定義に結び付けられておらず、広い範囲の負荷定義をサポートする。負荷寄与は、APに関連付けられたユーザの数といった単純なものであることが可能であり、あるいはより複雑であって、有効伝送ビットレート、平均トラフィック要求、又は乗法ユーザ負荷寄与のような要因を考慮に入れることが可能である。
【0020】
本発明のさらなる実施形態において、ネットワーク・オペレーション・センタNOCなどにおいて動作する、本発明によって提供される方法及びコントローラは、APから(例えば、Simple Network Management Protocol、「SNMP」メッセージを介して)負荷情報及び関連付け情報を収集する。利用可能な情報の範囲に応じて、次に、2つのモデル又は方法(この2つの語は、本明細書で互いに区別なく使用されることが可能である)の1つが、負荷平衡化を実行するのに使用されることが可能である。第1のモデルは、可能なユーザ−AP関連付け、及び対応するAP負荷が、可能なすべてのビーコン電力割り当てに関してアプリオリに知られているCK(完全知識)モデルである。そのような情報は、容易に入手可能でない可能性があるので、本発明は、現在のビーコン電力割り当てだけに関するユーザ−AP関連付け及びAP負荷が入手可能である、LK(限定された知識)モデルも提供する。CKモデルは、より実際的なLKモデルのための構成要素の役割をする。
【0021】
本発明によって提供されるモデルのそれぞれは、一般に、2つのステップを含む。第1のステップは、負荷が、輻輳負荷と呼ばれる、最も輻輳したAPにかかる負荷を最小限に抑えることである。本発明は、各モデルに関して1つずつ、最適解を見出す2つの多項式時間アルゴリズム/方法(以降、「(1つ又は複数の)方法」と呼ばれる)を提供する。このことは、負荷平衡化問題が、強NP困難である(すなわち、限定された時間内に解くことが非常に困難である)ことが知られているため、重要な成果である。さらに、本発明者らが、LKモデルにおいて使用されることが可能な多項式時間最適方法を見出したことは、特に重要である。本発明によれば、負荷平衡化問題を解くのに提供される解は、現在のAP電力レベル設定が、最適な電力レベル設定より「優勢である」(すなわち、各APが、最適解における電力レベル以上の電力レベルを有する)限り、最適解は、それでも、一連の電力低減動作を実行することによって得られることが可能であるという、本発明者らによって見出された洞察に基づく。本発明によって提供される1つの例示的な方法において、最大電力レベルから始めて、選択されたAPセットの電力レベルが、繰り返し低減される。CKモデルでは、ボトルネック・セットの概念を使用して、最適解への収束が確実にされる。ボトルネック・セットの中のすべてのAPの電力レベルを低減した後、各APの負荷が、電力レベル低減より前の初期の輻輳負荷と同一のままである、又は厳密により低いことが保証される。LKモデルの場合、電力がそれ以上、低減されることが可能でなくなるまで、輻輳したAPの電力レベルが、徐々に低減され、その間中、電力の各回の低減の後に見出される最良の解が記録される、最適状態記録と呼ばれる異なるアプローチが、使用される。
【0022】
第2のステップは、いわゆるミニマックス負荷平衡化解を見出すという問題を解くことを含む。本明細書において明瞭/簡単にするために証明は、省略されているものの、本発明者らは、この問題も、解決されるべき強NP困難問題であること、及び解を近似する許容できる方法は、全く存在しないことを発見/証明した。より具体的には、本発明者らは、座標に関する近似比を保証する方法は、全く存在しないことを証明しており、任意のプレフィックス合計近似アルゴリズムの近似比は、少なくともP(log n)であり、ただし、nは、ネットワークにおけるAPの数である。思いとどまることなく、本発明者らは、最適解が、両方のモデルに関して多項式時間内に計算されることが可能な、優先度負荷平衡化と呼ばれるミニマックス問題の変種を発見した。優先度負荷平衡化において、AP負荷は、APの関連付けられたユーザの集計された負荷寄与と、固有AP優先度との順序付けられたペアとして定義される。最適状態記録を使用して、ミニマックス優先度負荷平衡化解の各座標を繰り返し計算する方法が、構築された。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1a】本発明の特徴を示すのに使用されるWLANの例を示す図である。
【図1b】本発明の特徴を示すのに使用されるWLANの例を示す図である。
【図2a】本発明の特徴を示すのに使用されるWLANのさらなる例を示す図である。
【図2b】本発明の特徴を示すのに使用されるWLANのさらなる例を示す図である。
【図3】本発明による「ボトルネック・セット」を計算するのに使用されることが可能なソフトウェア・プログラムの例を示す図である。
【図4】本発明の完全知識方法を実行するのに使用されることが可能なソフトウェア・プログラムの例を示す図である。
【図5a】本発明の完全知識方法の実行の結果としてのWLANの変更の例を示す図である。
【図5b】本発明の完全知識方法の実行の結果としてのWLANの変更の例を示す図である。
【図5c】本発明の完全知識方法の実行の結果としてのWLANの変更の例を示す図である。
【図5d】本発明の完全知識方法の実行の結果としてのWLANの変更の例を示す図である。
【図6】本発明の限定された知識方法を実行するのに使用されることが可能なソフトウェア・プログラムの例を示す図である。
【図7a】本発明の限定された知識方法の実行の結果としてのWLANの変更の例を示す図である。
【図7b】本発明の限定された知識方法の実行の結果としてのWLANの変更の例を示す図である。
【図7c】本発明の限定された知識方法の実行の結果としてのWLANの変更の例を示す図である。
【図7d】本発明の限定された知識方法の実行の結果としてのWLANの変更の例を示す図である。
【図8】本発明のミニマックス優先度負荷平衡化方法を実行するのに使用されることが可能なソフトウェア・プログラムの例を示す図である。
【図9a】本発明のミニマックス優先度負荷平衡化方法の実行の結果としてのWLANの変更の例を示す図である。
【図9b】本発明のミニマックス優先度負荷平衡化方法の実行の結果としてのWLANの変更の例を示す図である。
【図10】本発明によって提供される方法と、既存の負荷平衡化方法との違いを示すグラフである。
【図11】本発明によって提供される方法と、既存の負荷平衡化方法との違いを示すグラフである。
【図12】本発明によって提供される方法と、既存の負荷平衡化方法との違いを示すグラフである。
【図13】本発明によって提供される方法と、既存の負荷平衡化方法との違いを示すグラフである。
【図14】この説明全体で使用される記号のいくつか、及びそれらの記号の例示的な意味のリストである。
【図15】本発明によって提供される限定された知識方法を実行するコントローラなどに関する例示的なランタイム統計を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1(a)を再び参照すると、a〜cで表されるAPのセットを有するWLAN1000が示されている。示されていないものの、APa〜APcのすべてが、有線インフラストラクチャ、例えば、インターネットに直接に接続されることが可能であるものと理解されたい。各APa〜APcは、或る伝送範囲を有し、そのAPの範囲内のユーザ1〜8だけにサービスを提供することが可能である。さらに、各APa〜APcは、複数の伝送電力レベルの1つを使用するように構成されることが可能である。簡単にするため、APa〜APcは、すべてのAPが、最小電力レベルで伝送している場合でさえ、すべてのユーザ1〜8が、少なくとも1つのAPによって範囲に入れられるように、APa〜APcの範囲間で高い度合いの重なり合いを確実にするように配備されるものと想定されることが可能である。
【0025】
さらに、ユーザ1〜8は、準静的移動パターンを有するものと想定されることが可能である。つまり、ユーザは、自由に動くことができるが、同一の相対的位置に長時間にわたって留まる傾向にある。任意の所与の時点で、各ユーザ1〜8は、単一のAPa〜APcに関連付けられる。各APa〜APcは、ビーコン・メッセージを周期的に伝送して、そのAPa〜APcのプレゼンスを「公示する」。ユーザが、WLAN1000に入ると、ユーザの関連付けられたデバイスは、ビーコン・メッセージを検出するために、WLAN1000内のすべてのチャネルを走査する。ビーコン・メッセージを検出した後、ユーザのデバイスは、検出された各メッセージのRSSIを測定するようにさらに動作可能である。通常、デバイスは、次に、デバイスと、測定された最も強いRSSIに関連するAPとの間でリンクを作成するプロセスを開始する。その後、ユーザが確立したリンクの信号品質が、或る閾値を下回って低下し始めると必ず、ユーザに関連するデバイスは、ビーコン・メッセージのすべてを走査するプロセスを再び開始して、より強い信号が存在するかどうかを判定する。存在する場合、ユーザ/デバイスは、そのより強い信号に関連するAPと新たなリンクを確立しようと試みる。
【0026】
前述した方法は、新たなユーザが、輻輳したAPに関連付けられないようにすることによって、WLAN内のAPにかかる負荷を平衡化する。しかし、このことは、輻輳したAPに即時の軽減をもたらさない可能性がある。即時の軽減(すなわち、負荷低減)のため、輻輳したAPに既に関連付けられているユーザ/デバイスが、その輻輳したAPを離れるように再割り当てされる必要がある。そのようにするのに、必要とされているのは、そのようなユーザ/デバイスが、別のAPからのビーコン・メッセージを検出するために走査動作を呼び出すよう、いわば、促す仕方である。これが行われることが可能な、いくつかの仕方が存在する。1つの仕方は、APのセル範囲が変更された後に、関連付け移転をトリガすることである。以降、説明を、ビーコン・メッセージの電力レベルだけに限定する。つまり、以降、「伝送電力」又は「電力レベル」又は「状態」という用語が使用される場合、これらの用語は、特に明記しない限り、又は文脈がそうでないことを示さない限り、ビーコン・メッセージを伝送するのに使用される電力だけと関係する。
【0027】
前述したとおり、負荷の不平衡を最小限に抑える際の第1のステップは、WLAN内のAPにかかる負荷を最小限に抑えることである。本発明の一実施形態では、CKモデルを使用して、負荷が最小限に抑えられる。代替の実施形態では、LKモデルが使用される。
【0028】
ネットワークは、ネットワーク(例えば、NOC内のコントローラ)が、WLAN内のすべてのユーザ−APペアに関連する可能な信号減衰及び負荷寄与を検出する、又は収集することができる場合、「完全知識」を有するという言い方がされることが可能である。完全知識状態は、ユーザのすべてが、近くのすべてのAPからRSSI情報を収集し、この情報を、NOCに配置されたコントローラに送信する場合、実現可能である。残念ながら、この能力は、既存のほとんどのWLANにおいて、現在、利用可能ではない。それでも、CKモデルは、現在の負荷割り当て及びユーザ割り当てを使用するLKモデルのための構成要素として有用である。
【0029】
ネットワークは、ネットワーク(例えば、NOCに配置されたコントローラ)が、各APに、現在、割り当てられているユーザのセット、及びそのようなセットが割り当てられたAPにかかるそのような各ユーザの負荷寄与に関する情報だけしか検出する、又は収集することができない場合、限定された知識を有するという言い方がされることが可能である。
【0030】
本発明の実施形態によれば、CKモデルにおいて、コントローラが、WLANの状態を実際に変更することなしに、可能なすべての状態におけるユーザ−AP割り当て/関連付けをアプリオリに決定することができることが可能である。このことは、NOCが、所望される状態に関するオフライン計算を実行することを可能にする。そのようなオフライン計算は、LKモデルにおいて実行可能ではない。
【0031】
最適平衡化状態への、いずれのモデルの収束と関係する問題(すなわち、輻輳したAPにかかる負荷は、低下するが、別のAPにかかる負荷は、増加する)を克服するのにも、本発明は、以下の2つのさらなるアプローチの使用を提供する。CKモデルに関して、本発明は、いわゆるボトルネック・セット電力低減をまず計算する。このアプローチは、最適状態に単調に収束する一連のセット電力低減を実行することを含む。このことにより、輻輳負荷が増加しないことが確実にされる。LKモデルに関して、本発明は、最適状態記録をまず使用する。このアプローチでは、それまでに見つかった最良状態のレコードが、保持される。
【0032】
本発明によれば、ボトルネック・セットは、すべての輻輳したAP(負荷Yを有する)、ならびに、セット電力低減を実行したことの結果、負荷がY以上に上昇する可能性があるすべてのAPを含むAPの最小セットと定義されることが可能である。本発明者らは、ボトルネック・セットに関する形式的表現を作成した。しかし、この表現は、本発明の理解に必要とされず、本明細書では省略されている。代わりに、ボトルネック・セットの一例を次に提示する。
【0033】
図2(a)に示されるWLAN2000を考慮されたい。APa、APbが、同一の電力レベルを有する場合、APaの電力レベルの低減は、APaの負荷を3から1まで低減する一方で、APbにかかる負荷を2までしか増加させない。このため、この時点におけるボトルネック・セットは、APaだけを含むと言うことができる。しかし、図2(b)に示されるとおり、aが、bより低い電力レベルを有する場合、bの電力レベルを低減することは、bの負荷を2から0まで低減し、aの負荷を3まで増加させる。この事例では、ボトルネック・セットは、APaとAPbをともに含む。完全のため、ボトルネック・セットを計算するのに使用されることが可能な、本発明によって提供されるソフトウェア・プログラム/ルーチンの例が、図3に示される。
【0034】
コントローラが、WLANの完全知識を有する事例において、WLANのボトルネック・セットは、容易に計算されることが可能である。最初に、各APaと各ユーザの間のRSSIが、計算される。この情報は、コントローラが、初期のユーザ−AP割り当て/関連付け、各APaにかかる負荷、及び最大負荷Yを決定することを可能にする。これらから、コントローラは、本発明者らによって作成された式を使用してボトルネック・セットを計算することができる。この場合も、そのような式の詳細は、本発明の理解に必要ではないが、前述したとおり、ボトルネック・セットを計算するルーチンの一例が、図3に示される。本発明者らによって導き出される証明のすべての正味の結果は、以下の発見であるとだけ言っておこう。すなわち、所与のWLANに関するボトルネック・セットは、他のいずれのAPにかかる負荷も、最大負荷Y以上に増加させない電力低減を使用して得られた輻輳したAPのセットを含むAPの最小セットである。APのボトルネック・セットを計算すると、本発明によって提供されるコントローラは、コントローラが、WLANの完全知識を有する場合、次に、このセットを使用して、WLAN内のAP上の輻輳を最小限に抑える。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、CK方法は、すべてのAPが、最大電力状態にあり、APの最大伝送電力で伝送するものと初期に想定することによって、輻輳を最小限に抑える。その後、本発明によるコントローラによって実行されるCK方法は、ボトルネック・セットを繰り返し計算する。計算されたセットを使用して、次に、方法は、別の電力低減動作が、適用される必要があるか、又は最適状態が見つかったかを判定する。この目的で、CK方法は、2つの終了条件(すなわち、電力低減の終了をトリガする条件)を利用する。第1の条件は、ボトルネック・セットが、APの完全なセットと等しいかどうかを判定する。この条件は、WLAN内のすべてのAPにかかる負荷が平衡化されており、したがって、さらなる電力低減が、APのいくつかにおける輻輳を、より軽くではなく、よりひどくする場合に、満たされることが可能である。第2の条件は、ボトルネック・セットが、最小電力レベルを使用して伝送しているAPを含むかどうかを判定する。含む場合、ボトルネック・セットの中のAPのすべてのAPの電力レベルは、等しく低減されることが可能でなく、方法は、終了される。そのような事例は、CK方法が、WLAN内のAPにかかる負荷が、平衡化されていないと判定し、輻輳したAPの電力レベルを繰り返し低減することによって最大負荷を減らすよう試みることを続ける場合に、通常、生じる。本発明によるCK方法を実行するためのソフトウェア・プログラム又はルーチンの例が、図4に示される。
【0036】
図5(a)は、WLAN3000内のAPa上、APb上、及びAPc上の輻輳が、本発明の例示的なCK方法を使用して最小限に抑えられているWLAN3000の例を示す。図示されるとおり、APa、APb、及びAPcに加えて、WLAN3000は、例示的なユーザu1、u2、u3、u4、及びコントローラ3001を含む。本発明の実施形態によれば、APa、APb、及びAPcは、APa、APb、及びAPcの関連するユーザ、負荷、及びさらなる関係のある情報をコントローラ3001に提供するように動作可能である。この情報を受け取り、解析すると、コントローラ3001は、現在、説明されているCK方法を含め、本発明によって提供される方法を実行するように動作可能である。
【0037】
続けると、APa、APb、及びAPcのそれぞれは、異なる3つの電力レベル0、1、及び2で動作することが可能である。図5(a)において、ユーザ−AP割り当て/関連付けが、実線又は破線として示され、ただし、実線は、APのそれぞれが、いつ同一の電力レベルで伝送するかを示し(デフォルトの関連付け)、破線は、可能な他の関連付けを示す。各線上の数字は、関連するAPにかかる負荷へのユーザによる寄与を示す。例えば、u1は、aだけに関連付けられることが可能であり、4という負荷をもたらす。u3は、APのそれぞれに関連付けられることが可能であり、2という負荷をもたらす。u3は、好ましくは、最高の電力レベルを有するAPを選択するが、互角の場合には、cを選好する。cが、a及びbより低い電力レベルで伝送している場合、u3は、bを選好する。アスタリスクは、2つの電力レベルの格差が、ユーザを移すのに要求されることを示し、例えば、u2は、APaの電力レベルが、0であり、APbの電力レベルが2である場合にだけ、関連付けをaからbに変更することができる。
【0038】
図5(b)に示される初期状態において、APのすべては、2という同一の電力レベル/インデックスを有し、各APa、APb、及びAPcにかかる負荷は、それぞれ、7、0、及び12である。本発明によって提供されるCK方法の第1回目において、ボトルネック・セット(「B」)が、計算され、APcが、このセットの中に含まれているものとして識別される。加えて、cの電力レベルが、1に低減される。その結果、u3は、u3の関連付けをAPbに変更する。この新たなユーザ−AP関連付け及び負荷が、図5(c)に示される。bは、依然として、輻輳したAPであることに留意されたい。しかし、ビーコン・メッセージを伝送するのにAPcによって使用される電力レベルのさらなる低減は、ユーザu4が、u4の関連付けをAPbに変更するようにさせて、APbにかかる負荷が、17になるようにする。このため、図5(d)に示される第2回目において、ボトルネック・セットは、cとbをともに含む。pc=0であるので、これが、最終回である。図5(d)に示される最終状態は、輻輳を最小限に抑えるが、輻輳していないAPにかかる負荷を平衡化しない。そうすることは、後段で説明される本発明の第2のステップに任せられる。
【0039】
さらなる発見において、本発明者らは、本発明によって提供されるCK方法が、WLANの輻輳負荷を最小限に抑える最適状態を常に見出すことを発見した。本発明者らは、この発見を支える証明を作成した。しかし、これらの証明は、本発明の理解に必要ではなく、簡明のために省略されている。例えば、これらの証明は、CK方法が輻輳を最小限に抑えるのに、どのように使用されることが可能であるかについての理解に必要ではない。
【0040】
次に、WLANの完全知識を獲得することが実現可能ではない場合に、輻輳を最小限に抑えるのに使用されることが可能な本発明の代替の実施形態に注目する。この第2の実施形態は、LK方法である。CK方法とは異なり、APのボトルネック・セットは、あらかじめ計算されることが可能でない。
【0041】
しかし、この障害は、ネットワーク(例えば、WLAN)の状態が、最適未満であり(例えば、WLANにおけるAPにかかる負荷が、不平衡であり)、この状態が、最適解より優勢である限り、輻輳したAPのセットに関連するビーコン信号の電力レベルの、一連の同時の低減により、最適状態への(すなわち、WLAN内の負荷を平衡化する最適電力レベルへの)収束がもたらされることを、本発明者らが発見した際、本発明者らによって克服された。この発見は、それ自体のジレンマ、すなわち、そのような最適解に関連する終了条件(すなわち、低減をいつ停止するか)を識別するという課題を生じさせた。終了条件なしには、一連の低減は、最適未満の解を生じることになる可能性がある。そのような条件を決定するのに、本発明によって提供されるLK方法は、最低の輻輳負荷に対応するすべてのAPの伝送電力レベルを記録する/格納する最適状態記録アプローチを使用する。より詳細には、最適状態記録アプローチは、2つの変数を定義する。第1の変数は、記録された状態(例えば、レベル)を保持し、第2の変数は、この記録された状態に関連する、記録された輻輳負荷と呼ばれる輻輳負荷値を保持する。
【0042】
本発明の一実施形態によれば、LK方法は、以下のステップを含む。最初、方法は、すべてのAPが、記録された状態(例えば、電力レベル)、及び記録された輻輳負荷が、何らかの値に初期設定された最大電力状態(例えば、最大電力レベル)で動作しているところから始まる。次に、輻輳したAPのセットDが、繰り返し計算され、このセットDが、最小電力レベルにおけるAP含まない限り、方法は、セットDの中のAPの電力レベルを繰り返し低減する。各回の低減の後、新たな状態の現在の輻輳負荷が、測定され、現在の測定された負荷が、前の格納/記録された輻輳負荷より低い場合、その現在の(低減された)電力レベル、及び現在の輻輳負荷が、前に計算されたレベル及び負荷の代わりに格納される。最終回において、APの電力レベルは、最期に格納/記録された(低減された)電力レベル/状態を使用して設定される。本発明のLK方法を実行するためのソフトウェア・プログラムの例が、図6に示される。この方法が、コントローラなどによって、どのように実行されることが可能であるかの例は、以下のとおりである。
【0043】
図5(a)に示されるWLAN3000を使用して、初期状態において、APa、APa、及びAPcのすべてが、2という同一の電力レベル/インデックスを有することを見て取ることができる。次に、図7(a)を参照すると、例示的な初期ユーザ−AP関連付け及びAP負荷が、示されている。この例において、cは、輻輳したAPである。本発明によれば、LK方法は、図7(b)及び図7(c)に示されるとおり、連続する2回でAPcの電力インデックスを2回、低減する。第1回目の後、cにかかる負荷は、12から10まで低減され、この状態が、記録/格納される。第2回目の後、APbが、17という輻輳負荷を有する輻輳したAPになる。第3回目において、LK方法が、APbの電力レベル/インデックスを低減し、これに相応して、ユーザu3が、u3の関連付けを変更する。その結果、APcは、再び、輻輳したAPになる。APcは、現時点で、最小電力レベルを使用して伝送しているため、方法は、終了される。最後に、方法(例えば、コントローラ)は、図7(b)に示されるとおり、記録された状態を使用して、APa、APb、及びAPcを構成する(例えば、電力レベルをAPに割り当てる)。
【0044】
前述したとおり、本発明者らは、LK方法が、ネットワーク輻輳負荷を最小限に抑える最適状態を常に見出すことを発見した。この場合も、本発明者らは、この発見の詳細な証明を作成したものの、これらの証明は、この説明を可能な限り簡単にしておくように省略されている。
【0045】
前述した完全知識方法及び限定された知識方法は、ネットワーク輻輳負荷を最小限に抑えるが、輻輳していないAPにかかる負荷を必ずしも平衡化しない。このことを認識して、本発明は、ネットワーク輻輳負荷を最小限に抑えることと、輻輳していないAPにかかる負荷を平衡化することをともに行う方法(及び、関連するデバイス、例えば、コントローラ)を提供する。
【0046】
残念ながら、このことを実現することは、通常、「NP困難」である(すなわち、解に到達するのにかかる時間を算出することが可能でない)問題を解くことを要求し、近似解を見出すことさえ困難である。そうであるにもかかわらず、本発明者らは、ミニマックス優先度負荷平衡化問題と呼ばれるミニマックス問題の変種を発見し、多項式時間(すなわち、算出/近似されることが可能な時間)内に見出されることが可能である、この変種に対する最適解をさらに発見した。
【0047】
本発明者らによって発見された解を提示する前に、いくらかのさらなる背景情報をまず提示する。
【0048】
負荷平衡化方法の品質を評価する一般的に使用されるアプローチは、その方法が、ミニマム−マックス(「min−max」)負荷平衡化解を生成するか否かを判定することである。非公式には、ネットワーク状態は、同一以上の負荷を有する別のAPの負荷を増加させることなしに、いずれのAPの負荷も低減する方法が全く存在しない場合、ミニマックス負荷平衡化していると考えられる。本発明者らは、状態Sの負荷ベクトルYを、大きい順に並べられた各APの負荷から成るセットと定義する。さらに、実現可能なネットワーク状態Sは、対応する負荷ベクトルYが、他のいずれかの実現可能な状態S′の他のいずれかの負荷ベクトルY′と比べて、同一以下のレキシコグラフ値を有する場合、ミニマックス負荷平衡化しているという言い方がされる。
【0049】
前述したとおり、ミニマックス負荷平衡化状態を見出す問題は、解くのがNP困難である問題である。本発明者らは、このことを実証する詳細な証明を作成したが、前述の場合と同様に、これらの証明は、本発明の説明を簡略化するために省略されていることを理解されたい。さらに、本発明者らは、「より単純な」問題、すなわち、知られている最小輻輳負荷に関する輻輳したAPの最小セットを識別するという問題でさえ、単独で、NP困難であることを実証する証明も作成した。これらの証明もまた、省略されている。
【0050】
これらの問題の解が、NP困難であることを認識して、次に、本発明者らは、ミニマックス負荷平衡化問題の変種を発見し、その後、多項式時間内に計算されることが可能な、この変種の最適解を発見した。本発明者らによって発見された変種において、APのセット内の各APaは、重みwとも呼ばれる固有優先度を有するものと想定される。この重みは、そのAPの重要度を示す。本発明者らは、優先度負荷と呼ばれる新たなAP負荷定義も作成した。
【0051】
例えば、優先度waを有するAPaを考慮し、laを、APaの関連付けられたユーザのすべてのユーザの集計された負荷であるものとする。yaによって表されるAPaの優先度負荷は、順序付けられたペアya=(la,wa)と定義される。簡明のため、APの優先度負荷を「AP負荷」と呼ぶ。APaは、ya=(la,wa)が、yb=(lb,wb)より高いレキシコグラフ値を有する(すなわち、以下の条件の1つが満たされる、すなわち、(1)la>lbである、又は(2)la=lbであり、かつwa>wbである)場合、APbより高い負荷を有すると言うことが可能である。
【0052】
同一の優先度を有する2つのAPは存在しないため、同一の(優先)負荷を有する2つのAPは存在しないということになる。この認識は、以下の特性を発見するように本発明者らを導いた。すなわち、任意のネットワーク状態において、輻輳したAPのセットは、単一のAPを常に含む(「特性1」)。
【0053】
ミニマックス負荷平衡化問題の変種を発見した後、次に、本発明者らは、この問題の解を見出す作業に取り掛かった。本発明者らが発見した解は、後段で説明される。
【0054】
以降の説明を簡単にするのに、本発明によって発見された新たなミニマックス負荷平衡化方法が、前述したLKモデルと組み合わせて提示される。とは言え、ミニマックス方法は、CKモデルと組み合わせて使用されることも可能であることを理解されたい。
【0055】
本発明の或る実施形態において、本発明によって提供されるミニマックス負荷平衡化方法は、最適負荷ベクトルY*をもたらすミニマックス優先度負荷平衡化状態を繰り返し識別する。さらに、任意の回、mにおいて、方法は、前述したLK方法/モデル又はCK方法/モデルなどのルーチンを組み込んで、負荷ベクトルの第m番の座標の優先度−負荷を最小限に抑えるネットワーク状態を計算する。本発明によって提供されるミニマックス方法は、次の2つの要件を満たす。すなわち、
(1)各回mの初期状態は、最適状態より優勢であるべきで、かつ
(2)第m番の回における計算されたネットワーク状態は、前の回によって既に決定されているAPの負荷に影響を与える(増加させる)べきではない。
【0056】
第1の要件を満たすのに、本発明によって提供される1つのミニマックス方法は、第1回目において最大電力状態で始まり、各回が、最適解の優勢状態で終わることを確実にする。さらに、第2の要件を満たすのに、前の回によって負荷が既に決定されている固定されたAPのセットFが、定義される。初め、セットFは空である。Fが、APのすべてを含むまで、各回において、新たなAPが、セットFに追加される。輻輳負荷Yを、任意の固定されていないAPにかかる最大負荷と定義する。特性1から、任意の所与の時点で、輻輳負荷に関連する、輻輳したAPと呼ばれる固定されていないAP、dが、1つだけが存在することになる。
【0057】
各回mにおいて、ミニマックス方法は、LK方法(又はCK方法)を呼び出して、負荷ベクトルの第m番の座標を最小限に抑えることが可能である。第1の要件が、繰り返しの始めに満たされているものと想定すると、以下の3つの変数が生成され、格納される。すなわち、(1)それまでに見出された最適状態の輻輳負荷値を示す記録された輻輳負荷Y、(2)輻輳負荷Yを有する第1の発見された状態を示す記録された状態変数S、及び(3)輻輳負荷に関連するAPを識別する記録された輻輳AP、dである。
【0058】
本発明のさらなる実施形態によれば、ミニマックス方法は、変数S、Y、及びdをまず初期設定する。次に、方法は、輻輳したAPを繰り返し識別し、輻輳したAPが、最小電力レベルで既に伝送している場合、停止する。最小電力レベルで伝送していない場合、方法は、輻輳したAPの電力レベルを低減し、輻輳負荷、ならびに固定されたAP(すなわち、伝送電力レベルが、前の回に既に計算されているAPは、現在、「固定されている」又は設定されている)の負荷を評価する。方法は、固定されたAPのいずれかが、高い負荷を被る場合、停止する。このことにより、固定されたAPの負荷を保つために、第2の要件が満たされることが確実にされる。さもなければ、より低い輻輳負荷を有する状態が発見された場合、方法は、変数を更新することによって、この状態のレコードを保持する。最後に、方法は、最後に格納された状態(電力レベル)に従ってAPの電力レベルを設定することを含み、記録された状態S、及び対応する輻輳したAPdを戻す。言い換えると、電力レベル低減の後、1つのAPの電力レベルが固定になる。このAPが、次に、固定されたAPのセットに追加される。電力レベルが固定されていない1つ又は複数のAPが存在する場合、方法は、別の固定されていないAPの電力レベルを計算することによって続く。
【0059】
方法は、この場合も、第(m+1)番の座標の負荷を最小限に抑えるためにLK方法/モデル又はCK方法/モデルを含むことが可能である。本発明によって提供されるミニマックス方法を表すソフトウェア・プログラム又はルーチンの例が、図8に示される。以下は、本発明によって提供されるミニマックス方法を実行するコントローラが、どのように実施されることが可能であるかの一例である。
【0060】
この場合も、図5(a)に示されるWLAN3000を考慮されたい。LK方法の第1回の呼び出しの後、図9(a)に示されるネットワーク状態が、生成される。前段で実証されたとおり、この状態は、負荷ベクトルの第1の座標を最小限に抑える他のいずれの状態よりも優勢である。LK方法の第2回の呼び出しが、このネットワークの唯一のミニマックス負荷平衡化状態である(AP優先度にかかわらず)、図9(b)に示される状態を生成する。
【0061】
本発明者らは、本発明によって提供されるミニマックス負荷平衡化方法が、最適負荷ベクトル及びミニマックス負荷平衡化解を常に見出すことを発見した。証明は、前述の場合と同様に、本発明の説明をさらに簡明にするように省略されている。
【0062】
本発明の他の特徴の説明に移る前に、1つのさらなるポイントが注目に値する。本発明者らによって発見されたミニマックス方法の複雑度は、O(K−/A/4−/U/)であることが(本発明者らによって作成された証明を介して)示されることが可能である(K、A、及びUの定義に関しては、表1、行6、行1、及び行13をそれぞれ参照)。
【0063】
前述したとおり、本発明によって提供される方法のそれぞれは、コントローラなどによって実行されることが可能である。さらに、NOCが、前述した方法のいずれか1つを実行すると、NOCは、NOCが一部分を成すWLAN内の各APと、それらのAPが、本発明によって提供される方法をコントローラが実行した際に生成される電力レベル低減及びユーザ割り当て/関連付け動作を実施することを確実にするために、メッセージ、命令などを交換するようにさらに動作できることが可能である。
【0064】
とは言え、ユーザが、WLANに到着する、又はWLANから離れるたびに、コントローラなどが、前述した最適化方法を実行するよう要求することは、頻繁な関連付け変更、及び進行中のユーザ・セッションの潜在的な妨げにつながる可能性がある。これを回避するのに、本発明者らは、関連付け変更の回数と、最適な負荷平衡化したWLANを維持したいという望みとの間の釣り合いをとるオンライン戦略を作成した。そのようなオンライン戦略の基礎をなす概念は、「大域最適化」と「局所最適化」を組み合わせる。
【0065】
局所最適化は、WLANの負荷が、ユーザが到着する、ならびに/又は出発するたびに絶えず平衡化される戦略であるのに対して、大域最適化は、本発明によって提供される方法が、定期的にだけ呼び出される、又は局所最適化戦略が、負荷平衡化状態を維持するのに失敗した場合には必ず呼び出される戦略を含む。本発明の或る実施形態によれば、オンライン戦略は、以下の3つの構成パラメータ、すなわち、最小負荷閾値、セル適応閾値、及び時間閾値を使用する。最初の2つのパラメータは、局所最適化が、取るに足らない利得しかもたらさない場合に、そのような最適化の使用を防止するため、及びアクティブなユーザに対するサービス割り込みを防止するために、局所最適化をいつ呼び出すかを決定する。最後のパラメータは、大域最適化が、どれだけ頻繁に呼び出されることが可能であるかを制御する。
【0066】
局所最適化方法は、後段で簡単に説明されるとおり、APの電力レベルを低減する、又は増加させることが可能であるため、大域最適化方法とは異なる。
【0067】
本発明によって提供される局所最適化方法において、各APaに関して、そのAPaの近隣のAPのすべてのAPのセットNaを定義し、yaを、Naの中のAPにかかる平均負荷とする。APaにかかる負荷が、いずれの理由であれ(例えば、ユーザ移動又は局所最適化動作)、低下すると、本発明によって提供されるオンライン方法は、その新たな負荷yaが、セル拡大条件を満たすか否かを検査し、この検査は、近隣APのセットの中のAPbが、最小負荷閾値より大きい負荷を有し、かつ、その新たな負荷yaが、Naの中のAPの平均負荷に値(1−セル適応閾値)を掛けることによって計算された値より小さい値を有するか否かを判定することである。この条件が満たされ、かつ、APaの電力インデックスpaが、最大ではない場合、本発明のオンライン方法は、APaの電力レベルを1だけ増加させる。
【0068】
逆に、APaにかかる負荷が増加した場合、本発明のオンライン方法は、セル縮小条件を検査し、この検査は、yaが、最小負荷閾値より大きく、かつ、Naの中のAPの平均負荷に値(1+セル適応閾値)を掛けることによって計算された値より大きいか否かを判定することである。この条件が満たされ、かつ、APaの電力インデックスpaが最小ではない場合、オンライン方法は、APaの電力レベルを1だけ低減する。
【0069】
最後に、これら2つの条件のいずれかが満たされるが、局所最適化動作が、電力レベルを調整することができない場合、大域最適化が、呼び出される。
【0070】
本発明者らは、2つの既存の方法、すなわち、SSF(Strongest−Signal−First)方法及び関連付け制御方法に対して、本発明者らの新規の負荷平衡化方法の性能を比較するシミュレーションを行った。SSFは、IEEE802.11規格において使用されるデフォルトのユーザ−AP関連付け方法である。関連付け制御方法は、信号強度に単に基づいて関連付けを決定するのではなく、ミニマックス公平帯域幅割り当てを実現するユーザ−AP関連付けを決定する。ミニマックス公平問題は、NP困難であるため、関連付け制御方法は、ユーザが、複数のAPに同時に関連付けられることが可能であるという想定の下で分数最適解FRACをまず計算し、次に、単一の関連付け制約を満たすように丸めを介して整数解INTを獲得する。本発明者らは、本発明者らの解の特性が知られているため、これらの方法をベンチマークとして選択した。
【0071】
FRAC解は、厳密な性能上限(すなわち、可能な最低の輻輳負荷)をもたらすのに対して、INTは、2近似タイプの解を保証する。さらに、ユーザの数が増えるにつれ、INTは、FRACと収束する。本発明者らは、本発明者らの方法が、相当に、より高い自由度を有する最適関連付け制御方法より性能が優れているとは予期していなかった。INT解を本発明者らの方法と比較する際の本発明者らの目的は、本発明者らの方法が、INT方法において必要とされる、各移動体上の特別なクライアント・ソフトウェアの必要なしに、関連付け制御方法と同等の性能を実現することを示すことであった。しかし、意外なことに、本発明者らのシミュレーションの結果は、本発明によって提供される方法が、様々な負荷条件においてINT解より性能が優れていることを示す。
【0072】
これらのシミュレーションがどのように行われたかの詳細は、説明を簡明にするために省略されている。代わりに、本発明者らは、本発明者らのシミュレーション結果のサンプルのグラフを含めた。例えば、図10は、100名のランダムに分布したユーザを含む、負荷平衡化技術の比較を含むシミュレーション結果を示す。このユーザ数は、アクティブなユーザに対するAPの比が、5である、ほどほどに負荷のかかったネットワークをシミュレートするように選択された。Y軸は、ya(AP負荷)を表すのに対して、X軸は、AP電力レベル/インデックスを表す。APは、ya値が大きい順に並べられることに留意されたい。各ya値は、300回のシミュレーション実行を平均することによって獲得される。整数xインデックスに対応するポイントだけが、意味がある(連続した線は、単に提示の目的で引かれている)。太い実線は、本発明者らのミニマックス方法を表し、細い実線は、本発明者らの最小輻輳方法を表す。両方の方法が、同一の最大ya値を生成するが、ミニマックス方法は、最小輻輳方法と比べて、より低いレキシコグラフ次数を有する負荷ベクトルを生成することを見て取ることができる。太い破線は、INT解を表し、水平の細い破線は、FRAC解を表す。ミニマックス解とINT解はともに、SSF解よりも明らかに良好である。ミニマックス解とINT解はともに、FRACより約35%高い、非常に似通った最大ya値をもたらす。
【0073】
また、本発明者らは、50名のユーザを使用する同様のシミュレーションも実行し、このシミュレーションの結果が、図11に示される。図示されるとおり、本発明者らのミニマックス方法は、INT方法より大幅に性能が優れている。興味深いことに、FRAC及びSSFと比べると、本発明者らのミニマックス方法の相対的性能は、ユーザの数によってひどく影響を受けているように見えない。同一の傾向は、本発明者らによって行われた他のシミュレーションにおいても観察された。例えば、200名のユーザ(図示せず)が使用された場合、FRACと本発明者らの方法との格差は、35%で変わらなかった。ネットワーク負荷条件(すなわち、ユーザの数)にかかわらず、FRAC解と比べた際の、本発明のミニマックス方法の安定した相対的性能は、本発明によって提供される方法の多くの長所の1つである。
【0074】
また、本発明者らは、不平衡のユーザ分布の事例も考慮した。例えば、ユーザの20%だけが、ランダムに分布しており、残りのユーザは、互いに重なり合わない2つのホットスポットに集中している。各ホットスポットは、75メートル半径を有する円形の区域であることが可能である。1つのホットスポットは、他方のホットスポットより2倍多いユーザを含むことが可能である。この状況は、これらのホットスポットにおいて重い負荷条件を生じさせる。図12は、ユーザの総数が100名である場合の例示的な結果を示す。図12は、本発明によって提供されるミニマックス方法が、ホットスポット(すなわち、重い負荷条件)が存在する場合に、さらに良好な性能を示し、INTより優れていることを示す。
【0075】
電力レベルの数(これまで、前述した例は、10の電力レベルを使用した)の影響を調べるのに、本発明者らは、異なる4つの電力レベル範囲をシミュレートした。結果が、図13に示される。図示されるとおり、電力レベルの数の影響は、本発明者らによって行われたシミュレーションにおいて5から10までの間である或る電力レベル数を超えると、取るに足らなくなる。
【0076】
本発明のLK方法を実行する際に、コントローラが、いくつの動作を実行しなければならない可能性があるかの理解を得るのに、本発明者らは、そのような方法のシミュレーションを実行し、電力レベル調整及びユーザ関連付け変更の回数を数えた。収集された統計が、図15に示す表IIに要約されている。各テーブルエントリに関して、2つの数が与えられる。つまり、第1の数は、LK方法を呼び出したミニマックス方法に関するのに対して、第2の数は、LK(最小輻輳)方法/モデルだけに関する。一般に、LK方法は、かなり迅速に収束するのに対して、ミニマックス方法は、もう少し長くかかる。例えば、電力調整間隔が、1秒である場合、100名のランダムなユーザのネットワークにおける負荷平衡化は、LK(最小輻輳)方法/モデルを使用して、約33秒かかり、LK方法を呼び出すミニマックス方法を使用して、2分未満かかる。ユーザの数の増加は、収束時間を必ずしも増大させるように思われず、ホットスポットの存在も、収束時間を増大させるように思われない。実際、LK(最小輻輳)方法/モデルを使用して、収束時間は、短くなる。
【0077】
前述した説明は、本発明のいくつかの例を示した。しかし、本発明の真の範囲は、添付の特許請求の範囲によって確定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線ネットワーク内の負荷を平衡化するための方法であって、
該ネットワークにおける1つ又は複数のアクセス・ポイントAPによって伝送される1つ又は複数のビーコン・メッセージの電力レベルを変更するステップと、
該APの1つ又は複数のデータ・トラフィック・チャネルの電力レベルを維持するステップと、
各APにかかる負荷、及び各APに割り当てられた1名又は複数名のユーザに関する情報を収集するステップとを含み、
各APにかかる負荷、及び各APに割り当てられた1名又は複数名のユーザに関する該情報は、各APに関する可能な負荷、及び可能なユーザ割り当てに関する情報を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
該ネットワーク内の輻輳したAPにかかる負荷を多項式時間内に最小限に抑えるとともに、該ネットワーク内の輻輳していないAPにかかる負荷を多項式時間内に平衡化するステップをさらに含む方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、
セットの中の各APが、輻輳負荷を有する輻輳したAPである、又は負荷が、電力レベルの低減のために輻輳負荷まで増加する可能性があるAPである、該ネットワークにおけるAPの最小セットを繰り返し決定するステップと、
該最小セットの中の各APに関して、該APに関する最適ビーコン・メッセージ電力レベル設定以上である最大ビーコン・メッセージ電力レベルを決定するステップと、
該最小セットの中の輻輳したAPのビーコン・メッセージ電力レベルを、該セットの中の該APのすべてに関する最適ビーコン・メッセージ電力レベルに達するまで、1回又は複数の回の繰り返しの低減を使用して、該決定された電力レベルから低減するステップと、
ビーコン・メッセージ電力レベルの該セットを該輻輳したAPに適用して、輻輳を最小限に抑えるステップとをさらに含む方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法において、
各APに関して、該APに関する最適ビーコン・メッセージ電力レベル設定以上であるビーコン・メッセージ最大電力レベルを決定するステップと、
該決定された電力レベルから始めて、該ネットワークにおける、識別されたAPの格納されたセットの一部分ではない輻輳したAPのビーコン・メッセージ電力レベルを繰り返し低減するステップと、
各回の後、最適電力レベルが決定された1つ又は複数の輻輳したAPに関するビーコン・メッセージ電力レベル及びIDを格納するとともに、最適電力レベルがまだ決定されていないAPから、次の輻輳したAPを決定するステップと、
該APの各APの最適電力レベルが決定されるまで、次の低減された電力レベルから該繰り返しの低減ステップを繰り返すステップと、
該格納されたビーコン・メッセージ電力レベルを該APに適用して、輻輳を最小限に抑えるステップとをさらに含む方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、
APにかかる負荷が低減されると、該APにかかる新たな負荷が、セル拡大条件を満たすか否かを判定し、該条件は、近隣APのセットの中の近隣APが、最小負荷閾値より大きい負荷を有し、かつ、該新たな負荷が、該近隣APのすべてのAPの平均負荷に値(1−セル適応閾値)を掛けることによって計算された値より小さい値を有するか否かを判定し、該条件が満たされ、かつ、該APの電力レベルが調整されることが可能である場合、該APの該ビーコン・メッセージ電力レベルを増加させるステップ、又は
該APにかかる該負荷が増加した場合、該新たな負荷が、セル縮小条件を満たすか否かを判定し、該条件は、近隣APの該セットの中の近隣APが、該最小負荷閾値より大きく、かつ、該近隣APのすべてのAPの該平均負荷に値(1+セル適応閾値)を掛けることによって計算された値より大きい負荷を有するか否かを判定し、該セル縮小閾値条件が満たされ、かつ、該APの電力レベルが調整されることが可能である場合、該APの該ビーコン・メッセージ電力レベルを低減するステップ、及び
いずれかの条件が満たされるが、該APの該ビーコン・メッセージ電力レベルが、調整されることが可能でない場合、該APのデータ・チャネル電力レベルに影響を与えることなしに、該WLAN内の該APの最適ビーコン・メッセージ電力レベルを決定する全体負荷平衡化最適化方法を呼び出すステップをさらに含む方法。
【請求項1】
無線ネットワーク内の負荷を平衡化するための方法であって、
該ネットワークにおける1つ又は複数のアクセス・ポイントAPによって伝送される1つ又は複数のビーコン・メッセージの電力レベルを変更するステップと、
該APの1つ又は複数のデータ・トラフィック・チャネルの電力レベルを維持するステップと、
各APにかかる負荷、及び各APに割り当てられた1名又は複数名のユーザに関する情報を収集するステップとを含み、
各APにかかる負荷、及び各APに割り当てられた1名又は複数名のユーザに関する該情報は、各APに関する可能な負荷、及び可能なユーザ割り当てに関する情報を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
該ネットワーク内の輻輳したAPにかかる負荷を多項式時間内に最小限に抑えるとともに、該ネットワーク内の輻輳していないAPにかかる負荷を多項式時間内に平衡化するステップをさらに含む方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、
セットの中の各APが、輻輳負荷を有する輻輳したAPである、又は負荷が、電力レベルの低減のために輻輳負荷まで増加する可能性があるAPである、該ネットワークにおけるAPの最小セットを繰り返し決定するステップと、
該最小セットの中の各APに関して、該APに関する最適ビーコン・メッセージ電力レベル設定以上である最大ビーコン・メッセージ電力レベルを決定するステップと、
該最小セットの中の輻輳したAPのビーコン・メッセージ電力レベルを、該セットの中の該APのすべてに関する最適ビーコン・メッセージ電力レベルに達するまで、1回又は複数の回の繰り返しの低減を使用して、該決定された電力レベルから低減するステップと、
ビーコン・メッセージ電力レベルの該セットを該輻輳したAPに適用して、輻輳を最小限に抑えるステップとをさらに含む方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法において、
各APに関して、該APに関する最適ビーコン・メッセージ電力レベル設定以上であるビーコン・メッセージ最大電力レベルを決定するステップと、
該決定された電力レベルから始めて、該ネットワークにおける、識別されたAPの格納されたセットの一部分ではない輻輳したAPのビーコン・メッセージ電力レベルを繰り返し低減するステップと、
各回の後、最適電力レベルが決定された1つ又は複数の輻輳したAPに関するビーコン・メッセージ電力レベル及びIDを格納するとともに、最適電力レベルがまだ決定されていないAPから、次の輻輳したAPを決定するステップと、
該APの各APの最適電力レベルが決定されるまで、次の低減された電力レベルから該繰り返しの低減ステップを繰り返すステップと、
該格納されたビーコン・メッセージ電力レベルを該APに適用して、輻輳を最小限に抑えるステップとをさらに含む方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、
APにかかる負荷が低減されると、該APにかかる新たな負荷が、セル拡大条件を満たすか否かを判定し、該条件は、近隣APのセットの中の近隣APが、最小負荷閾値より大きい負荷を有し、かつ、該新たな負荷が、該近隣APのすべてのAPの平均負荷に値(1−セル適応閾値)を掛けることによって計算された値より小さい値を有するか否かを判定し、該条件が満たされ、かつ、該APの電力レベルが調整されることが可能である場合、該APの該ビーコン・メッセージ電力レベルを増加させるステップ、又は
該APにかかる該負荷が増加した場合、該新たな負荷が、セル縮小条件を満たすか否かを判定し、該条件は、近隣APの該セットの中の近隣APが、該最小負荷閾値より大きく、かつ、該近隣APのすべてのAPの該平均負荷に値(1+セル適応閾値)を掛けることによって計算された値より大きい負荷を有するか否かを判定し、該セル縮小閾値条件が満たされ、かつ、該APの電力レベルが調整されることが可能である場合、該APの該ビーコン・メッセージ電力レベルを低減するステップ、及び
いずれかの条件が満たされるが、該APの該ビーコン・メッセージ電力レベルが、調整されることが可能でない場合、該APのデータ・チャネル電力レベルに影響を与えることなしに、該WLAN内の該APの最適ビーコン・メッセージ電力レベルを決定する全体負荷平衡化最適化方法を呼び出すステップをさらに含む方法。
【図1a】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図7d】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図7d】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−249336(P2012−249336A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−202975(P2012−202975)
【出願日】平成24年9月14日(2012.9.14)
【分割の表示】特願2009−506572(P2009−506572)の分割
【原出願日】平成19年4月18日(2007.4.18)
【出願人】(596092698)アルカテル−ルーセント ユーエスエー インコーポレーテッド (965)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年9月14日(2012.9.14)
【分割の表示】特願2009−506572(P2009−506572)の分割
【原出願日】平成19年4月18日(2007.4.18)
【出願人】(596092698)アルカテル−ルーセント ユーエスエー インコーポレーテッド (965)
【Fターム(参考)】
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