説明

無線中継管理システム、無線中継装置及び、無線中継管理方法

【課題】無線中継装置をIP化に対応させ、その無線中継装置をIP網を介して管理するようにする。
【解決手段】無線中継管理システムにおいて、無線中継装置10は、装置番号設定部11と、インターフェース部12とを備え、IP網30に接続する。無線中継装置10は、インターフェース部12を介して識別番号をIP網30に出力する。管理装置40は、無線中継装置10の識別番号を記憶し、この識別番号に基づいて無線中継装置10をIP網30を介して管理する。監視制御装置20は、無線中継装置10からの異常信号を受信すると、無線中継装置10における放送信号の無線伝送を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波帯の無線周波数を利用して地上デジタル放送の放送信号を無線伝送する無線中継装置に係り、特にIP(Internet Protocol)化に対応した無線中継装置と、その無線中継装置を管理する無線中継管理システム及び、無線中継管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、TTL(Transmitter to Transmitter Link)装置やSTL(Studio to Transmitter Link)装置等の無線中継装置の管理は、無線中継装置と監視制御装置とを接点インターフェースで接続し、監視制御装置から演奏所等へ、電話回線あるいは戻し回線で情報を返すことにより行っていた。昨今、IP網が様々な分野で導入され、無線中継装置の管理のIP化対応の要望も出てくることが考えられる。
【0003】
しかしながら、従来の無線中継装置は、IP化に対応していないため、無線中継装置の構造をIP化に対応したものに整備する必要がある。
【0004】
なお、中継送信所に被監視制御装置を配置してインターネット通信網に接続することにより、インターネット通信網を介して監視制御を行う例もある(例えば、特許文献1参照。)。しかし、本特許文献では、無線中継装置に直接インターネット通信網が接続されておらず、無線中継装置そのものがIP化に対応しているわけではない。
【特許文献1】特開2003−333026号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のように、従来の無線中継装置は、IP化に対応していなかった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、IP化に対応した無線中継装置と、その無線中継装置を管理する無線中継管理システム及び無線中継管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る無線中継管理システムは、マイクロ波帯の無線周波数を利用して放送信号を無線伝送する無線中継装置と、前記無線中継装置を管理する管理装置とを具備し、前記無線中継装置は、予め割り当てられる装置固有の識別番号を設定する装置番号設定部と、IP(Internet Protocol)伝送プロトコルに沿った伝送フォーマットを利用することでIP網と接続するインターフェース部とを備え、前記インターフェース部を介して前記識別番号を前記IP網へ出力し、前記管理装置は、前記無線中継装置固有の識別番号を記憶する記憶部を備え、前記IP網を介して伝送される前記無線中継装置固有の識別番号を当該記憶部に記憶し、この記憶した識別番号に基づいて前記無線中継装置を管理する。
【0008】
また、本発明に係る無線中継管理方法は、マイクロ波帯の無線周波数を利用して放送信号を無線伝送する無線中継装置と、前記無線中継装置を管理する管理装置とを具備する無線中継管理システムに用いられ、予め割り当てられる前記無線中継装置固有の識別番号を設定し、IP(Internet Protocol)伝送プロトコルに沿った伝送フォーマットを利用することで前記識別番号をIP網へ出力し、前記IP網を介して得られた前記識別番号を記憶し、前記識別番号に基づいて前記無線中継装置を管理する。
【0009】
上記構成による無線中継管理装置及び無線中継管理方法では、無線中継装置に装置番号設定部と、インターフェース部とを具備させ、インターフェース部を介して識別番号をIP網に出力するようにしている。そして、管理装置は、無線中継装置からの識別番号を記憶し、この識別番号に基づいて無線中継装置を管理する。これにより、無線中継装置は、IP化に対応することが可能となる。また、無線中継管理システムは、IP化に対応した無線中継装置を管理することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
以上のように本発明によれば、IP化に対応した無線中継装置と、その無線中継装置を管理する無線中継管理システム及び無線中継管理方法を提供することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る無線中継管理システムの構成を示すブロック図である。図1に示す無線中継装置10は、マイクロ波帯の無線周波数を利用して地上デジタル放送の放送信号を無線伝送する。無線中継管理システムにおいて、無線中継装置10は、監視制御装置20とIP網30とに接続される。また、監視制御装置20も同様にIP網30に接続されている。管理装置40は、IP網30に接続し、無線中継装置10を管理している。
【0013】
無線中継装置10は、予め割り当てられる装置固有の識別番号を設定する装置番号設定部11と、この識別番号をIP伝送プロトコルに沿った伝送フォーマットのペイロードに乗せて出力するインターフェース部12とを備えている。そして、無線中継装置10は、装置番号設定部11で設定される識別番号をIP網30へ出力する。このとき、インターフェース部には、IP網30と接続できるようシリアルポートやDサブコネクタ等の物理的インターフェースが装着される。
【0014】
また、無線中継装置10は、無線周波数の伝送等において異常が発生した場合、異常信号をインターフェース部12から監視制御装置20に送出する。
【0015】
監視制御装置20は、IP網と接続するインターフェース部21を備える。監視制御装置20は、無線中継装置10からの異常信号を監視し、検出した場合、無線中継装置10による無線伝送を異常の生じた系から正常な系に切り替え、かつ、異常を検出した旨の信号を管理装置40に出力する。
【0016】
管理装置40は、無線中継装置10の識別番号を記憶する記憶部41を備え、無線中継装置10からの識別番号をIP網30を介して受け取ると、記憶部41へその識別番号を記憶する。管理装置40は、この識別番号に基づいて、例えば無線中継装置のメンテナンス等の保守作業の際に、無線中継装置10における処理を行い、無線中継装置10を管理する。
【0017】
また、管理装置40は、監視制御装置20から異常を検出した旨の信号を受け取ると、異常が発生した無線中継装置をその無線中継装置の識別番号と関連付けて記憶部41に記憶する。
【0018】
なお、図1では、IP網30に1つの無線中継装置10が接続された無線中継管理システムが示されているが、図2のように、複数の無線中継装置10−1〜10−nがIP網30に接続している場合でも同様に実施可能である。
【0019】
以上のように、上記一実施形態では、無線中継装置10は、装置番号設定部11と、インターフェース部12とを備え、IP網30に接続している。そして、無線中継装置10は、識別番号をIP網30に出力する。管理装置40は、無線中継装置10の識別番号を記憶し、この識別番号に基づいて無線中継装置10をIP網30を介して管理する。
【0020】
したがって、本実施形態の構成によれば、無線中継装置10は、IP化に対応することが可能となる。また、無線中継管理システムは、IP網30を介して管理装置40により無線中継装置10を管理することが可能となる。
【0021】
なお、この発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る無線中継管理システムの一実施形態の構成を示すブロック図。
【図2】上記一実施形態のIP網に複数の無線中継装置が接続されている場合の無線中継管理システムの構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0023】
10,10−1〜10−n…無線中継装置、11…装置番号設定部、12,21…インターフェース部、20,20−1〜20−n…監視制御装置、30…IP網、40…管理装置、41…記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波帯の無線周波数を利用して放送信号を無線伝送する無線中継装置と、
前記無線中継装置を管理する管理装置と
を具備し、
前記無線中継装置は、予め割り当てられる装置固有の識別番号を設定する装置番号設定部と、IP(Internet Protocol)伝送プロトコルに沿った伝送フォーマットを利用することでIP網と接続するインターフェース部とを備え、前記インターフェース部を介して前記識別番号を前記IP網へ出力し、
前記管理装置は、前記無線中継装置固有の識別番号を記憶する記憶部を備え、前記IP網を介して伝送される前記無線中継装置固有の識別番号を当該記憶部に記憶し、この記憶した識別番号に基づいて前記無線中継装置を管理することを特徴とする無線中継管理システム。
【請求項2】
IP伝送プロトコルに沿った伝送フォーマットを利用することで前記IP網と接続するインターフェース部を備え、前記無線中継装置及び前記IP網と接続し、前記無線中継装置における異常を監視し、異常を検出した場合、前記無線中継装置による無線伝送を制御し、かつ、異常を検出した旨の信号を前記管理装置に出力する監視制御装置をさらに具備し、
前記管理装置は、前記異常を検出した旨の信号を受け取ると、異常が発生した無線中継装置を当該無線中継装置の識別番号と関連付けて前記記憶部に記憶することを特徴とする請求項1に記載の無線中継管理システム。
【請求項3】
マイクロ波帯の無線周波数を利用して放送信号を無線伝送する無線中継装置において、
装置固有の識別番号を設定する装置番号設定部と、
前記装置番号設定部が設定する前記装置固有の識別番号をIP伝送プロトコルに沿った伝送フォーマットに変換してIP網に伝送するインターフェース部と
を具備することを特徴とする無線中継装置。
【請求項4】
マイクロ波帯の無線周波数を利用して放送信号を無線伝送する無線中継装置と、前記無線中継装置を管理する管理装置とを具備する無線中継管理システムに用いられ、
予め割り当てられる前記無線中継装置固有の識別番号を設定し、
IP(Internet Protocol)伝送プロトコルに沿った伝送フォーマットを利用することで前記識別番号をIP網へ出力し、
前記IP網を介して得られた前記識別番号を記憶し、
前記識別番号に基づいて前記無線中継装置を管理することを特徴とする無線中継管理方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−21801(P2009−21801A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−182473(P2007−182473)
【出願日】平成19年7月11日(2007.7.11)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】