説明

無線周波識別(RFID)システムを使用する物品レベル在庫管理

物品レベル在庫管理のための無線周波識別(RFID)システム及びRFID物品レベル在庫管理を実行する方法を提供することができる。方法は、RF信号を使用して、複数のローカルアンテナに接続された複数のマルチプレクサのそれぞれを選択的に制御することと、RF信号を使用し、複数のマルチプレクサを使用して複数のローカルアンテナを選択的にイネーブルして、複数のRFIDタグに対してRFID呼び掛けを実行することとを含みうる。方法は、RFID呼び掛けに基づいて在庫情報を取得することをさらに含みうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概括的には無線周波識別(RFID)システムに関し、特に、複数の各物品から情報を取得するRFIDシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線周波識別(RFID)システムは、例えば、小売り環境においてRFID識別子がタグ付けされた物品に関する情報を得ることを含む多くの異なる用途で使用されている。例えば、RFIDタグを製品又は製品パッケージに取り付けるか、又は一体化することができる。固定式、可搬式、又は手持ち式の装置であり得るRFIDインテロゲータを使用して、インテロゲータの呼び掛けゾーン内のRFIDタグを起動させ、RFIDタグに関連する物品に関する情報(例えば、在庫情報、製品記述子、シリアルナンバー、位置等)を提供させることができる。これらRFIDタグは、無線周波(RF)信号を受信してそれに応答し、情報を提供する。このような情報は、棚にある物品又は倉庫内の物品に関連する在庫情報を含むことができる。一般に、RFIDタグの変調器が送信器を使用してRFIDリーダに信号を返送するか、又は信号をRFIDリーダに反射して戻すことができる。さらに、RFIDエンコーダを使用して情報(例えば、符号化情報)をRFIDタグに通信することもできる。したがって、RFIDシステムを使用して、小売り環境において製品の在庫を監視するとともに、RFIDタグ又はトランスポンダを使用したデータの記憶及び遠隔検索を利用して製品識別情報(product identification)を提供することができる。
【0003】
RFIDシステムは、多数のRFIDタグから情報を同時に検出し受信することができるRFIDリーダを含む。さらに、RFIDリーダは同じ周波数で同時に送受信することができる。例えば、RFIDシステムを使用して在庫を追跡する小売り環境では、RFマルチプレクサ及び各リードポイントに接続するための多数のケーブルの使用をそれぞれ含む多くのリードポイントを提供することが分かっている。さらに、このような既知のシステムでは、通常、RFマルチプレクサの管理及び制御のために別個の通信・制御システムが必要とされる。それ故、こういったRFIDシステムのコスト及び複雑性は通常、高い。さらに、構成要素を設置するための時間及び複雑性は、例えば、嵩張るケーブルハーネス等を設置する必要がある場合に高くなり得る。多くの場合、例えば完全なパレットの完全な在庫を得ることは、内容物の包装に使用される材料により、不可能でないにしろ困難でもある。例えば、金属箔又は金属化されたプラスチックフィルム及び/又はRF吸収材料が、薬剤製品及び食料製品の包装に使用され得、これら製品の包装に一般に使用されている。この包装は、包装内の製品に取り付けられたパッシブ型RFIDタグを遮蔽する恐れがある。それ故、既知のRFIDシステムおよび情報取得方法を使用して読み取ることができるのは、RFIDタグの外層のみであることが多い。したがって、内容物を調べ、在庫を確認するために、パレット又はケースを破るか、又は開く必要があることが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなシステムに複数のRFIDインテロゲータを使用して、異なる位置にあるRFIDタグを監視することも既知である。複数のRFIDインテロゲータの使用も、コスト及び複雑性をシステムに追加する。さらに、全域に呼び掛けるために、RFIDインテロゲータを移動させる必要があり得る。例えば、個々のRFIDインテロゲータを常に移動させて、棚全体又は棚ユニット全体に呼び掛ける必要があり得る。これは、例えば、RFID在庫管理を実行する際に時間及びコストを追加する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
無線周波識別(RFID)在庫管理を実行するための方法を提供することができる。方法は、RF信号を使用して、複数のローカルアンテナに接続された複数のマルチプレクサのそれぞれを選択的に制御することと、RF信号を使用し、複数のマルチプレクサを使用して複数のローカルアンテナを選択的にイネーブルして、複数のRFIDタグに対してRFID呼び掛けを実行することとを含むことができる。方法は、RFID呼び掛けに基づいて在庫情報を取得することをさらに含むことができる。
【0006】
RFID物品レベル在庫管理中に情報の取得を制御する方法を提供することができる。方法は、識別情報(ID:identification)取得状態中に、ID要求コマンドを複数のマルチプレクサのそれぞれに送信することを含むことができる。ID要求コマンドは、送信範囲内のマルチプレクサを起動させることができる。方法は、複数のマルチプレクサを使用して、RFIDタグ情報の取得に利用可能なアンテナ配列を識別することをさらに含むことができる。方法は、在庫取得プロセスを開始することであって、アンテナ配列のうちの複数のローカルアンテナのそれぞれが選択的に起動してRFIDタグ情報を取得する、開始することを含むこともできる。
【0007】
無線周波識別(RFID)在庫情報は、無線周波識別(RFID)在庫管理を実行する方法によって得ることもできる。
【0008】
本発明の各種実施形態のよりよい理解のために、同様の番号が同様の部分を表す以下の図と併せて読まれるべきである以下の詳細な説明を参照すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の各種実施形態を関連して実施することができるRFIDシステムのブロック図である。
【図2】本発明の各種実施形態を関連して実施することができる別のRFIDシステムのブロック図である。
【図3】RFIDシステム内で使用するRFIDタグの一実施形態のブロック図である。
【図4】RFIDシステム内で使用するRFIDタグの別の実施形態のブロック図である。
【図5】本発明の各種実施形態によって制御することができるRFID通信システムのブロック図である。
【図6】本発明の各種実施形態による、RFID物品レベル在庫管理を実行するための方法のフローチャートである。
【図7】本発明の各種実施形態によって制御することができる在庫システムの斜視図である。
【図8】RFID物品レベル在庫管理中に情報の取得を制御する本発明の各種実施形態による方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
説明を簡潔且つ容易にするために、本発明を本明細書において本発明の各種実施形態に関連して説明する。しかし、各種実施形態の特徴及び利点が様々な構成で実施可能なことを当業者は認識するであろう。したがって、本明細書において説明される実施形態が制限ではなく例示として提示されることを理解されたい。
【0011】
一般に、本発明の各種実施形態は、物品レベル在庫管理を実行する方法及びシステムを提供する。物品レベル在庫管理は概して、無線周波(RF)により制御されるマルチプレクサを使用して実行される。したがって、各種実施形態は、RFID識別子がタグ付けされた物品のリアルタイムの在庫情報(inventory)を得る方法を提供することができる。
【0012】
特に、図1及び図2を参照すると、本発明の各種実施形態は、例えば、RFIDシステム50を含む異なる種類のRFIDシステムに関連して実施することができ、または異なる種類のRFIDシステムからの情報の取得を制御することができる。RFIDシステム50は、RFIDリーダ又はインテロゲータ52(任意選択的にRFIDエンコーダを含んでもよい)等のRFID通信装置及び複数の識別装置(図示せず)、例えば異なる物体54(例えば、DVD又はCD)に接続又は一体化された複数のRFIDタグを含むことができる。物体54を、支持構造、例えば複数の棚55(例えば、ペグボード上の可動棚)によって支持することができる。RFIDインテロゲータ52及びRFIDタグは無線周波(RF)を介して通信することができ、一般に既知のRFID通信方法に従って動作する。例えば、図1に示すように、物体54を複数の棚55上に支持することができ、各物体54には、既知のように1つ又は複数のRFIDタグが取り付けられているか、又は一体化されている。例えば、物体54は、小売り製品等の製品であることができ、複数の棚55は物体54を陳列するためのディスプレイを形成することができる。物体54が異なるサイズ及び形状のものであり得ることに留意されたい。さらに、物体54は異なる材料で構築され得、RFIDタグは既知のように、製品又は製品パッケージの外側又は内部に配置される。
【0013】
別の例として、図2に示すように、複数の物体54は支持構造56内に配置してもよい。例えば、複数の物体54は箱又はケースであってよく、支持構造56はクレート/パレット又は構造を搬送するための同様の構造(例えば、1つ又は複数のパレット内の複数の製薬容器)であってよい。RFIDインテロゲータ52は、支持構造56が静止又は移動している間に物体54に接続されたRFIDタグと通信するために使用することができる。
【0014】
各種実施形態では、RFIDタグ60は、図3に示すようなパッシブ型無線反射識別タグ又はパッシブ型RFIDタグであってよい。パッシブ型RFIDタグ60は電池又は他の電源を含まず、RFIDインテロゲータ52からの電波62がRFIDタグ60のアンテナ64によって検出されると、エネルギーがアンテナ64によって電気に変換され、この電気を、例えば、RFIDタグ60内のマイクロチップ66等のプロセッサに供給することができる。次に、RFIDタグ60は、RFIDリーダ52と通信することが可能であり、特に、マイクロチップ66に記憶された情報をRFIDリーダ52に送信することが可能である。例えば、送信される情報は、例えば、シリアルナンバー、送信日時、情報を送信しているRFIDタグ60の位置等を含み、本明細書では一般にRFIDタグ情報と呼ばれる、RFIDタグ60が接続された物体の種類を含むことができる。
【0015】
他の各種実施形態では、RFIDタグ70は、図4に示すようなアクティブ型無線反射識別タグ又はアクティブ型RFIDタグであってよい。アクティブ型RFIDタグ70は、RFIDリーダ52と通信し、特にRFIDタグ情報を有する信号74をRFIDリーダ52に(反射して戻すのではなく)送信する送信器72も含む。アクティブ型RFIDタグ70は、電池(図示せず)又は他の電源(例えば、光を動力源とする)を使用して、信号74をRFIDリーダ52に送信する。
【0016】
図1及び図2に示す物体54又は他の物体が、アクティブ型RFIDタグのみ、パッシブ型RFIDタグのみ、又はアクティブ型RFIDタグとパッシブ型RFIDタグとの組み合わせを含み得ることに留意されたい。どの種類のRFIDタグを使用すべきかの判断は、特定の用途、例えばRFIDタグを検出しなければならない距離(距離が長いかそれとも短いか)に基づくことができる。これは、例えば、RFIDシステムと併せて実施される製品の種類及び製品の位置に基づいて判断することができる。
【0017】
RFIDインテロゲータ52が独立型ユニット、例えばポータブルユニット又は手持ち式ユニットであってもよく、又は別の通信装置、例えば携帯電話又はセルラ電話、個人情報端末(PDA)、ブラックベリー(Blackberry)装置等に統合されてもよいことに留意されたい。あるいは、RFIDインテロゲータ52は、詳細に後述するようにバックプレーンの一部として形成してもよい。さらに、例えばセルラ電話内のトランシーバ、プロセッサ、及び/又はソフトウェア等の構成要素は、RFIDインテロゲータ52と同じ機能及び動作を提供するように変更することができる。さらに他の代替として、RFIDインテロゲータ52を内部に含むPDA用のプラグインモジュール等のプラグイン又はアドオンユニットが挙げられる。
【0018】
各種実施形態において、RFIDインテロゲータ52は、図5に示すような、1つ又は複数のアンテナ要素又はコイルを含むことができるインテロゲータアンテナ80を含むことができる。インテロゲータアンテナ80は、RFID在庫通信システム90の主アンテナ82と通信するように構成される。インテロゲータアンテナ80と主アンテナ90との通信は、任意の種類のプロトコルを使用する任意の種類のRF信号を使用して任意の種類の無線RFID通信リンクを通して提供することができる。主アンテナは、1つ又は複数のローカルアンテナ86に接続された1つ又は複数のマルチプレクサ84に接続される。1つ又は複数のローカルアンテナ86はそれぞれ、任意の既知のRFID通信方法を使用して1つ又は複数のRFIDタグ88と通信する。ローカルアンテナ86が1つ又は複数のアンテナ配列を形成してもよく、主RFスイッチ(図示せず)が各アンテナ配列に提供されて、起動する、又は受信信号が通るアンテナ配列の選択を可能にすることに留意されたい。さらに、マルチプレクサ84はスイッチを含むか、又はスイッチとして動作するように構成することができ、起動させて異なるローカルアンテナ86又はアンテナ配列を選択することができる制御線を有することができる。
【0019】
動作に際して、1つ又は複数のマルチプレクサ84を参照すると、これら装置はローカルアンテナ86同士の切り替えを制御するスイッチとして構成されてもよい。1つ又は複数のマルチプレクサ84は、マルチプレクサ84がRFIDインテロゲータ52からパッシブ型RFIDタグとして見えるように動作しうる。RFIDインテロゲータ52は、インテロゲータアンテナ80を介してデータ及び電力のうちの少なくとも一方を主アンテナ82に送信する。例えば、高周波信号は、ローカルアンテナ86を介してRFIDタグ88の切り替え及び呼び掛けを制御するRFID制御コマンドを送信することができ、低周波信号は電力を1つ又は複数のマルチプレクサ84に送信することができる。特に、1つ又は複数のマルチプレクサ84は電池又は他の電源を含まなくてもよく、RFIDインテロゲータ52又は他のRFID送信器(既知のように)からの電波が主アンテナ82によって検出されると、エネルギーは電気に変換され、その電気を1つ又は複数のマルチプレクサ84に供給することができる。例えば、整流器・調整器構成を使用して、RFIDインテロゲータ52のRF場からDC電力を導出することができる。次に、1つ又は複数のマルチプレクサは、例えば、ローカルアンテナ86とRFIDタグ88との切り替え及び通信を制御することができる。1つ又は複数のマルチプレクサ84は異なる様式で構成されてもよい。1つ又は複数のマルチプレクサ84の一構成が、本願の譲受人に譲渡された同時係属中の米国特許出願第11/520,123号明細書に記載されており、この開示全体を参照により本明細書に援用する。RFIDインテロゲータ52からの電力信号が、任意のパッシブ型RFIDタグ88に給電することもできることにも留意されたい。
【0020】
1つ又は複数のマルチプレクサ84はそれぞれ、一意の識別番号を含むことができ、RFIDインテロゲータ52からのRFIDインテロゲータのコマンドによって制御することができる。例えば、RFIDインテロゲータ52からの書き込みコマンドをマルチプレクサ84のうちの1つ又は複数にアドレッシングして、その1つ又は複数のマルチプレクサ84に給電し、切り替えを制御することができる。
【0021】
各種実施形態を様々な用途で実施して、RFIDシステムを使用して通信するとともに、例えば、リアルタイムに提供できるか、又は自動的に更新することができる在庫情報を取得することができる(例えば、複数のRFIDタグの呼び掛けを定期的に行う)。例えば、本願の譲受人に譲渡され、「Radio Frequency Identification (RFID) System for Item Level Inventory」という名称の同時係属中の米国特許出願第11/520,123号明細書に記載のように、RFID棚在庫システムを提供することができ、この開示全体を参照により本明細書に援用する。各種実施形態は、例えば、棚在庫に制限されない。例えば、パレット、移動中の物体、箱等のRFID在庫管理を実行することができる。
【0022】
一般に、各種実施形態は、RFID物品レベル在庫管理を実行する、図6に示す方法100を提供する。方法100は、102において、信号を送信して、例えば、棚ユニットの異なるレベル又はパレット内の異なる行に関連する複数のマルチプレクサのそれぞれから一意のIDを取得することを含むことができる。これは、例えば、パレットの外部にあるアンテナ(例えば、パレット梱包の外側に露出することができる)を含むインタフェース装置を介して複数のマルチプレクサと通信することを含むことができる。本質的には、RFIDインテロゲータは一意のIDを各マルチプレクサから読み取る。一意のIDが分かると、個々のマルチプレクサを個々にかつ選択的に制御し、且つ/又はアドレッシングすることができる。より詳細には、その後、104において、制御コマンドをRFIDインテロゲータから識別された第1のマルチプレクサに送信することができる。RFIDインテロゲータは、第1のマルチプレクサ装置に接続されたローカルアンテナの動作を制御するコマンドを第1のマルチプレクサ装置に書き込むことができる。例えば、RFIDインテロゲータは、第1のマルチプレクサによって制御されるローカルアンテナ配列内の第1のローカルアンテナを選択するコマンドをマルチプレクサに発行することができる。ローカルアンテナ配列は、例えば、棚に沿って又はパレットの行間に間隔をもって位置決めすることができる。間隔は固定であってもよく、変化してもよく、又は在庫管理対象の物品の位置に基づいて選択されてもよい。
【0023】
ローカルアンテナは、第1のマルチプレクサによって選択的に起動させることができる。例えば、任意の既知のRFID送信方式を使用して第1のローカルアンテナを起動させて、RFID呼び掛け信号を送信し、棚又はパレットの行上の物品に関連するRFIDタグを起動させることができる。RFID呼び掛け信号がRFIDインテロゲータから発信されたことに留意されたい。RFIDタグは、既知のように物品又は製品情報で応答する。例えば、RFIDタグに記憶された各物品の電子製品コード(EPC)及び/又は統一商品コード(UPC)が読み取られる。その後、110において、他のローカルアンテナが第1のマルチプレクサに接続されているか否かが判断される。他のローカルアンテナが第1のマルチプレクサに接続されている場合、106において、ローカルアンテナは選択的に起動する。このプロセスは、第1のマルチプレクサに関連する各ローカルアンテナを使用して繰り返される。110において、第1のマルチプレクサに接続されたローカルアンテナがもうないと判断される場合、112において、他のマルチプレクサが存在するか否かが判断される。例えば、棚ユニット又はパレットの別の行内等の部分として提供される他のマルチプレクサが存在する場合、106において、そのマルチプレクサ、例えば第2のマルチプレクサ、第3のマルチプレクサ等に接続されたローカルアンテナは起動する。複数のマルチプレクサを主マルチプレクサによって制御できることに留意されたい。他のマルチプレクサが存在しない場合、114において、物品レベル在庫管理は完了する。次に、取得された物品情報を、例えば在庫管理プログラム、物品記録システム、統計システム等に通信することができる。
【0024】
したがって、動作に際して、RFインテロゲータ52(図1及び図2に示す)は、図7に示すパレット140上の在庫情報取得プロセスを以下のように実行することができる。
1.複数のインタフェース装置122のそれぞれに関連するマルチプレクサ84から一意のIDのそれぞれを読み取る。インタフェース装置は、パレット140上のケース行間に手動で又は自動的に挿入することができ、複数のマルチプレクサ84及びローカルアンテナ86を含むことができる。
2.例えば、下の2つのケース行間のインタフェース装置122に関連する第1のマルチプレクサ84に、配列(例えば、行)内の第1のローカルアンテナ86を選択し、ローカルアンテナ86と通信している(例えば、ローカルアンテナ86によって呼び掛けられている)1つ又は複数のRFIDタグ150からEPCコードを読み出すか、又は取得するコマンドを書き込む。1つ又は複数のRFIDタグ150をパレットの異なる位置にある特定部分内(例えば、箱内)に配置してもよいことに留意されたい。
3.例えばケース行に沿ってインタフェース装置122内の各ローカルアンテナ86に対して、(上記2)のプロセスを繰り返す。
4.各ケース行間の各インタフェース装置122に対して(上記2及び3)のプロセスを繰り返す。
このプロセスはパレットからの情報取得に制限されず、他の構造、物体等からの情報取得にも使用可能なことに留意されたい。
【0025】
したがって、各種実施形態を使用して、例えば、多重化アンテナ配列が、在庫管理対象のRFIDタグと同じRFチャネル及びエアプロトコルを使用して制御されるように、RFID在庫管理を実行することもできる。各種実施形態が、異なるRFIDプロトコルを使用して動作する異なる種類のRFIDシステムに関連して使用可能なことに留意されたい。例えば、各種実施形態はEPC第1世代クラス1エアプロトコル及びEPC第2世代クラス1エアプロトコルに制限されない。
【0026】
RFID物品レベル在庫管理での情報取得を制御する方法170を図8に示す。方法170を在庫情報(例えば、製品数量、製品位置等)の取得に関連して説明するが、方法170は他の種類の情報の取得に使用することも可能である。特に、172において、RFIDインテロゲータは、RFIDインテロゲータアンテナの範囲内、特にRFIDインテロゲータの近距離RF送信範囲内の各マルチプレクサコントローラを起動させ、RFIDインテロゲータが使用中のエアプロトコルに準拠するID要求コマンドを送信することができる。このプロセス中、RFIDインテロゲータは、各マルチプレクサコントローラの、一意のEPCコードであり得る一意のIDを突き止めようとする。マルチプレクサコントローラは、対応する一意のIDで応答する。ID取得状態において、各アンテナ配列の主RFスイッチが、アンテナ配列連鎖内のすべてのマルチプレクサ(例えば、すべてのローカルアンテナ)が一意のIDを提供可能なような「通過」モードに設定されることに留意されたい。マルチプレクサに給電する電力をRFIDインテロゲータによって生成され送信されるRF信号から提供可能なことにも留意されたい。
【0027】
次に、174において、ID要求コマンドに応答してマルチプレクサによって決定される利用可能なアンテナ配列のリストを識別し記憶した後、在庫情報取得プロセスを開始して、各ローカルアンテナに関連する物品の在庫を決定することができる。特に、各ローカルアンテナは、対応するマルチプレクサに発行される書き込みコマンドによって選択的に起動し、これについて本明細書においてより詳細に説明する。特に、各ローカルアンテナは別個に起動し、ローカルアンテナ範囲内の応答しているRFIDタグを有する物品の識別が行われる。本質的には、ローカルアンテナによってRFID呼び掛けに応答しているRFIDタグを有するすべての物品の在庫が突き止められる。ローカルアンテナに接続されたマルチプレクサを選択的に起動させる書き込みコマンドに関して、制御ワードが、例えば、主マルチプレクサ等のコントローラに書き込まれて、どのローカルアンテナをイネーブルすべきかを決定する。シーケンス例は以下である。
1.システムが「01」をコントローラID
0XFFFF000000000000000000001に書き込む。
2.コントローラ 0X0000000000000000000000001は、接続されたアンテナ配列にアクセスするように主RFスイッチを切り替え、第1のアンテナを起動(例えば、RFID呼び掛けを開始)するように対応するスイッチ及びマルチプレクサ制御線を設定することによって第1のアンテナ(例えば、アンテナ1)をイネーブルする。
3.次に、176において、システムは在庫ラウンドを実行する。例えば、アクティブなコントローラ及び選択されたアンテナの範囲内のすべてのRFIDタグは、
a.0XFFFF000000000000000000001(コントローラ)、
b.0X0000000000000000000000001(物品1)、
c.0X0000000000000000000000002(物品2)、
d.0X0000000000000000000000003(物品3)、
e.0X0000000000000000000000004(物品4)、
f.0X0000000000000000000000005(物品5)、
g.0X0000000000000000000000006(物品6)
等の対応するIDで応答する。
4.その後、178において、在庫ラウンド中に発見された物品、例えば、コントローラ1、アンテナ1において発見された物品は、データベースに記憶される。これは、呼び掛けているコントローラ及びアンテナに基づいてUPC又はEPC、物品説明、物品の位置等の物品情報を記憶することを含むことができる。
5.180において、初期識別リストに基づいて、他のコントローラが存在し、利用可能であるか否かが判断される。他のコントローラ、例えば第2のコントローラ(コントローラ2)が利用可能な場合、システムは「02」をコントローラID 0XFFFF000000000000000000001に書き込む。
6.第2のコントローラ 0X0000000000000000000000001は、接続されたアンテナ配列にアクセスするように主RFスイッチを切り替え、第2のアンテナを起動(例えば、RFID呼び掛けを開始)するように対応するスイッチ及びマルチプレクサ制御線を設定することによって第2のアンテナ(例えば、アンテナ2)をイネーブルする。
7.次に、176において、システムは在庫ラウンドを実行する。例えば、アクティブなコントローラ及び選択されたアンテナの範囲内のすべてのRFIDタグは、
a.0XFFFF000000000000000000001(コントローラ)、
b.0X0000000000000000000000007(物品7)、
c.0X0000000000000000000000008(物品8)、
d.0X0000000000000000000000009(物品9)、
e.0X000000000000000000000000A(物品10)、
f.0X000000000000000000000000B(物品11)、
g.0X000000000000000000000000C(物品12)
等の対応するIDで応答する。
8.その後、178において、在庫ラウンド中に発見された物品、例えば、コントローラ2、アンテナ2において発見された物品は、データベースに記憶される。これはここでも、呼び掛けているコントローラ及びアンテナに基づいてUPC又はEPC、物品説明、物品の位置等の物品情報を記憶することを含むことができる。
9.180において、初期識別リストに基づいて、他のコントローラが存在し、利用可能であるか否かが再び判断される。他のコントローラ、例えば第3のコントローラ(コントローラ2)が利用可能な場合、システムは「03」をコントローラID 0XFFFF000000000000000000001に書き込み、在庫ラウンドが再び176において実行される。このプロセスは、0XFFFF000000000000000000001によって制御される配列内の各アンテナに対して繰り返される。
10.第1のアンテナ配列在庫が完了すると、システムは「00」をコントローラID 0XFFFF000000000000000000001に書き込み、第1のアンテナ配列の主RFスイッチを「通過」に設定して、アンテナ配列連鎖内の他のコントローラにアクセスできるようにする。176における在庫ラウンドは、他の配列内の各アンテナに対して再び繰り返される。
11.その後、すべての配列内のアンテナが在庫管理に使用されたように、在庫プロセスに使用する他のコントローラがない場合、182において、システムは次にスケジュールされた在庫を待ち、方法170を繰り返す。
メモリアドレス、ID、及び制御コマンドは単なる例であり、システムの種類等に基づいて変更可能なことに留意されたい。
【0028】
こうして、本発明の各種実施形態は在庫情報を取得することができ、在庫管理を実行するための通信が無線で提供される絶え間ないRFID棚在庫管理を可能にすることができる。RFIDタグに呼び掛けるためのマルチプレクサ等のコントローラの電力は、RFIDインテロゲータからのRF信号によって供給可能なことに留意されたい。RFIDインテロゲータも選択されたローカルアンテナを無線で起動して、RFID在庫動作を実行し、例えば、物品ID及び位置(例えば、ラック又は棚ユニット内の位置)を識別することができる。
【0029】
RFID在庫管理を実行するための各種実施形態又は構成要素、例えばRFIDシステム及びその内部の構成要素、又はRFIDインテロゲータ及びその内部の構成要素は、1つ又は複数のコンピュータシステムの部分として実施することができる。コンピュータシステムは、コンピュータ、入力装置、表示ユニット、及び例えばインターネットにアクセスするためのインタフェースを含むことができる。コンピュータはマイクロプロセッサを含むことができる。マイクロプロセッサは通信バスに接続することができる。コンピュータはメモリを含むこともできる。メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び読み取り専用メモリ(ROM)を含むことができる。コンピュータシステムは記憶装置をさらに含むことができ、記憶装置は、ハードディスクドライブ又はフロッピーディスクドライブ、光ディスクドライブ等のリムーバブルストレージドライブであることができる。記憶装置は、コンピュータプログラム又は他の命令をコンピュータシステムにロードするための他の同様の手段であってもよい。
【0030】
本明細書において使用する用語「コンピュータ」は、マイクロコントローラ、縮小命令セット回路(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、論理回路、及び本明細書において説明した機能を実行可能な他の任意の回路又はプロセッサを含めた任意のプロセッサベース又はマイクロプロセッサベースのシステムを含むことができる。上記の各例は単なる例示であるため、用語「コンピュータ」の定義及び/又は意味の制限を決して意図されない。
【0031】
コンピュータシステムは、1つ又は複数の記憶要素に記憶される命令セットを実行して、入力データを処理する。記憶要素は、所望又は必要に応じてデータ又は他の情報を記憶することもできる。記憶要素は、処理マシン内の情報源又は物理的なメモリ素子の形態であってもよい。
【0032】
命令セットは、処理マシンとしてのコンピュータに本発明の各種実施形態の方法及びプロセス等の特定の動作を実行するように命令する各種コマンドを含むことができる。命令セットはソフトウェアプログラムの形態であることができる。ソフトウェアは、システムソフトウェア又はアプリケーションソフトウェア等の各種形態であってよい。さらに、ソフトウェアは、別個のプログラムの集まり、より大きなプログラム内のプログラムモジュール、又はプログラムモジュールの一部の形態であってもよい。ソフトウェアは、オブジェクト指向プログラミングの形態のモジュールプログラミングを含むこともできる。処理マシンによる入力データの処理は、ユーザコマンド、前の処理の結果、又は別の処理マシンによって行われた要求に応答することができる。
【0033】
本明細書において使用する用語「ソフトウェア」及び「ファームウェア」は同義であり、RAMメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、及び不揮発性RAM(NVRAM)メモリを含めた、コンピュータによって実行されるメモリに記憶された任意のコンピュータプログラムを含む。上述したメモリの種類は単なる例示であるため、コンピュータプログラムの記憶に使用可能なメモリの種類への制限ではない。
【0034】
本発明を特定の各種実施形態に関して説明したが、特許請求の範囲の主旨及び精神内で変更を加えて本発明の各種実施形態を実施することも可能なことを当業者は認識するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波識別(RFID)在庫管理を実行する方法であって、
RF信号を使用して、複数のローカルアンテナに接続された複数のマルチプレクサのそれぞれを選択的に制御することと、
RF信号を使用し、前記複数のマルチプレクサを使用して前記複数のローカルアンテナを選択的にイネーブルして、複数のRFIDタグに対してRFID呼び掛けを実行することと、
前記RFID呼び掛けに基づいて在庫情報を取得することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記複数のマルチプレクサのそれぞれについての識別情報を突き止めることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記識別情報に基づいて前記複数のマルチプレクサのうちの個々のマルチプレクサと通信することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記RF信号を使用して前記複数のマルチプレクサに選択的に給電することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記選択的に制御することは、前記複数のマルチプレクサに書き込みコマンドを送信することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
容器外に露出したアンテナで前記RF信号を受信することをさらに含み、前記アンテナは前記複数のマルチプレクサのうちの少なくとも1つに接続される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
RFIDインタフェース装置をパレット上のケースのスタック間に位置決めすることをさらに含み、前記RFIDインタフェース装置は前記複数のマルチプレクサ及びローカルアンテナを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記複数のマルチプレクサを使用して制御コマンドをルーティングすることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
RFIDインテロゲータを使用して前記RF信号を送信することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
RFIDインテロゲータからパッシブ型RFIDタグとして見えるように、前記複数のマルチプレクサを構成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記複数のマルチプレクサ間の導電パスを通して前記RF信号からRFエネルギーをチャネリングすることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記在庫情報を取得することは、複数の物品のそれぞれについての物品レベル在庫情報を取得することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
RFID物品レベル在庫管理中に情報の取得を制御する方法であって、
ID取得状態中に複数のマルチプレクサのそれぞれに識別情報(ID)要求コマンドを送信することであって、前記ID要求コマンドは送信範囲内のマルチプレクサを起動させる、送信することと、
前記複数のマルチプレクサを使用して、RFIDタグ情報の取得に利用可能なアンテナ配列を識別することと、
在庫情報取得プロセスを開始することであって、前記アンテナ配列のうちの複数のローカルアンテナのそれぞれが選択的に起動されて、前記RFIDタグ情報を取得する、開始することと
を含む、方法。
【請求項14】
前記ID取得状態中に、各アンテナ配列のRFスイッチを通過モードに設定することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記複数のローカルアンテナは、RFIDインテロゲータからの書き込みコマンドを使用して選択的に起動する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記書き込みコマンドは、前記複数のマルチプレクサのコントローラに書き込まれる制御ワードを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記アンテナ配列を選択的に起動させるように、スイッチ及びマルチプレクサ制御線を選択的に設定することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記RFIDタグ情報は、呼び掛けコントローラ及びアンテナに基づいて、統一商品コード(UPC)、電子商品コード(EPC)、物品説明、及び前記物品の位置、のうちの少なくとも1つを含む、1つ又は複数の物品に関する情報を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
複数の在庫管理ラウンドを実行することであって、それにより、前記アンテナ配列のそれぞれを使用して前記RFIDタグ情報を取得する、実行することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
請求項1に記載の方法によって得られる無線周波識別(RFID)在庫情報。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−518485(P2010−518485A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−548331(P2009−548331)
【出願日】平成20年2月2日(2008.2.2)
【国際出願番号】PCT/US2008/001453
【国際公開番号】WO2008/097509
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(592192642)センサーマティック・エレクトロニクス・コーポレーション (92)
【氏名又は名称原語表記】SENSORMATIC ELECTORONICS CORPORATION
【住所又は居所原語表記】6600 Congress Avenue,Boca Raton,Florida 33487,United State of America
【Fターム(参考)】