説明

無線基地局、無線通信端末、及び無線通信方法

【課題】データシンボルの伝送効率の低下を抑制しつつ、無線信号の受信状態にかかわらず所望のアンテナ合成利得が得られるアダプティブアレイ制御を実行することができる無線通信装置及び無線通信方法を提供する。
【解決手段】無線基地局100は、周波数軸方向及び時間軸方向のサイズによって定められるプリアンブルシンボル列のシンボル列構成を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直交周波数分割多重方式を用い、周波数軸方向及び時間軸方向に所定のサイズを有するシンボル列を含む無線信号を送受信する無線基地局、無線通信端末、及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、WiMAX(worldwide interoperability for microwave access)のような無線通信システムでは、無線リソースのより効率的な利用を図るため、直交周波数分割多重(OFDM)方式が用いられている。また、このような無線通信システムでは、アレイアンテナによるアダプティブアレイ制御も導入されている。
【0003】
アダプティブアレイ制御では、通信先(例えば、移動局)から受信した無線信号に含まれる「既知の情報」に基づいて、当該通信先に送信する無線信号のビーム形成に用いられるアレイウェイトが演算される。
【0004】
また、OFDM方式では、複数のシンボルが時間軸方向及び周波数軸方向(サブキャリア方向)に配列されたシンボル列が用いられる。シンボル列は、一般的に、シンボル同期やアレイウェイトの演算に用いられるプリアンブルシンボルと、ユーザデータの伝送に用いられるデータシンボルとによって構成される。
【0005】
このように、OFDM方式が適用される無線通信システムにアダプティブアレイ制御を導入する場合において、より正確なアレイウェイトを演算するため、プリアンブルシンボル部分と、データシンボル部分とにおいて、アレイウェイトの演算に用いる既知の情報を変更する方法が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−185375号公報(第6−7頁、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述したような無線通信システムでは、複数のユーザが同時に通信を実行できるようにするため、所定数のサブキャリアを各ユーザに割り当てる、いわゆる直交周波数分割多元接続(OFDMA)も実現されている。
【0008】
しかしながら、各ユーザに割り当てられるサブキャリア数が少ない場合、つまり、各ユーザに割り当てられる周波数帯域が狭い場合、最小2乗誤差法(MMSE)などのアルゴリズムを用いて得られたアレイウェイトによって実現できるアンテナ合成利得は、理論値に遠く及ばないといった問題がある。
【0009】
具体的には、各ユーザに割り当てられる周波数帯域が狭い場合、周波数軸方向に配列可能なプリアンブルシンボル数が少なくなるため、理論値に近いアンテナ合成利得を得るために必要なプリアンブルシンボル数を確保することができない。
【0010】
そこで、理論値に近いアンテナ合成利得を得るため、時間軸方向により多くのプリアンブルシンボルを配列することが考えられる。しかしながら、時間軸方向により多くのプリアンブルシンボルを配列すると、シンボル列に含まれるプリアンブルシンボルの比率が、データシンボルの比率と比較して相対的に高くなってしまい、データシンボルの伝送効率が低下するといった別の問題を惹起する。
【0011】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、データシンボルの伝送効率の低下を抑制しつつ、無線信号の受信状態にかかわらず所望のアンテナ合成利得が得られるアダプティブアレイ制御を実行することができる無線基地局、無線通信端末、及び無線通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した問題を解決するため、本発明は、次のような特徴を有している。
【0013】
本発明に係る無線基地局は、少なくとも直交周波数分割多重方式を用いる無線通信システムにおいて、既知信号を含む上り無線信号を無線通信端末から受信する無線基地局であって、周波数軸方向における前記既知信号の帯域幅と時間軸方向における前記既知信号の期間とを含む信号構成指定情報を前記無線通信端末に通知する通知手段を備える。
【0014】
本発明に係る無線通信端末は、少なくとも直交周波数分割多重方式を用いる無線通信システムにおいて、既知信号を含む上り無線信号を無線基地局に送信する無線通信端末であって、周波数軸方向における前記既知信号の帯域幅と時間軸方向における前記既知信号の期間とを含む信号構成指定情報を前記無線基地局から受信する受信手段を備える。
【0015】
本発明に係る無線通信方法は、少なくとも直交周波数分割多重方式を用いる無線通信システムにおいて、既知信号を含む上り無線信号を無線通信端末から受信する無線基地局における無線通信方法であって、周波数軸方向における前記既知信号の帯域幅と時間軸方向における前記既知信号の期間とを含む信号構成指定情報を前記無線通信端末に通知するステップを備える。
【0016】
本発明に係る無線通信方法は、少なくとも直交周波数分割多重方式を用いる無線通信システムにおいて、既知信号を含む上り無線信号を無線基地局に送信する無線通信端末における無線通信方法であって、周波数軸方向における前記既知信号の帯域幅と時間軸方向における前記既知信号の期間とを含む信号構成指定情報を前記無線基地局から受信するステップを備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明の特徴によれば、データシンボルの伝送効率の低下を抑制しつつ、無線信号の受信状態にかかわらず所望のアンテナ合成利得が得られるアダプティブアレイ制御を実行することができる無線基地局、無線通信端末、及び無線通信方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る無線通信システムの全体概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る無線通信装置(無線基地局)の機能ブロック構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係る無線通信装置(無線通信端末)の機能ブロック構成図である。
【図4】本発明の実施形態に係る無線通信装置(無線基地局)の動作フロー図である。
【図5】本発明の実施形態に係る無線通信装置(無線通信端末)の動作フロー図である。
【図6】本発明の実施形態に係るシンボル列の一例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係るシンボル列の一例を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係るシンボル列の一例を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係るシンボル列の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0020】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0021】
(無線通信システムの全体概略構成)
図1は、本実施形態に係る無線通信システムの全体概略構成図である。図1に示すように、本実施形態に係る無線通信システムは、無線基地局100と、無線通信端末200とによって構成される。なお、無線基地局及び無線通信端末の数は、図1に示した数に限定されるものではない。
【0022】
無線基地局100及び無線通信端末200では、直交周波数分割多重(OFDM)方式が用いられる。具体的には、無線基地局100及び無線通信端末200は、WiMAX(worldwide interoperability for microwave access)に準拠した無線通信装置であり、所定数のサブキャリアを各ユーザに割り当てる、いわゆる直交周波数分割多元接続(OFDMA)が用いられる。
【0023】
また、無線基地局100は、無線通信端末200から受信した上り無線信号RSUPに含まれるシンボル列に基づいて、無線通信端末200(通信先)に送信する下り無線信号RSDOWNのアダプティブアレイ制御を実行する。
【0024】
無線通信端末200は、本実施形態では、カード型の無線通信端末であり、ノート型のパーソナルコンピュータやPDA(不図示)などに装着される。
【0025】
(機能ブロック構成)
次に、無線基地局100及び無線通信端末200の構成について説明する。なお、以下、本発明との関連がある部分について主に説明する。したがって、無線基地局100及び無線通信端末200は、当該装置としての機能を実現する上で必須な、図示しない或いは説明を省略した論理ブロック(電源部など)を備える場合があることに留意されたい。
【0026】
(1)無線基地局100
図2は、無線基地局100の機能ブロック構成図である。図2に示すように、無線基地局100は、無線通信部101、アレイ制御部103、無線信号処理部105、受信状態判定部107、シンボル列構成変更部109、シンボル列構成通知部111及びベースバンド処理部113を備える。
【0027】
無線通信部101は、OFDM方式にしたがった無線信号を送受信する。ここで、図6は、無線通信部101が無線通信端末200から受信する上り無線信号RSUPに含まれるシンボル列の一例を示している。
【0028】
図6に示すように、シンボル列Sは、周波数軸方向D及び時間軸方向Dに所定のサイズを有している。シンボル列Sは、プリアンブルシンボルP及びデータシンボルDによって構成されている。また、データシンボルDには、所定数のパイロットシンボルPLが含まれている。
【0029】
周波数軸方向Dは、サブキャリアの数、つまり、帯域幅によって規定される。本実施形態では、9キャリア(図中では、1行が1キャリアとして表示されている)が、1単位(1bin)として規定される。また、時間軸方向Dは、OFDMAシンボルの数によって規定される。
【0030】
本実施形態では、データシンボルDは、周波数軸方向Dに18キャリア、つまり、2bin、及び時間軸方向Dに3シンボルを基本サイズとして構成される。当該基本サイズのデータシンボルDは、周波数軸方向Dに沿って複数配置することができる。
【0031】
また、シンボル列Sでは、プリアンブルシンボルPは、周波数軸方向Dに18キャリア、つまり、2bin、及び時間軸方向Dに2シンボル(2×2構成)を基本サイズとして構成される。本実施形態では、プリアンブルシンボルPの構成に基づいてシンボル列構成が識別される。すなわち、シンボル列Sは、2×2構成と表現される。プリアンブルシンボルPは、アレイウェイトの演算に用いられる。
【0032】
アレイ制御部103は、無線通信端末200から受信した上り無線信号RSUPに含まれるシンボル列Sに基づいて、無線通信端末200に送信する下り無線信号RSDOWNのアダプティブアレイ制御を実行する。
【0033】
具体的には、アレイ制御部103は、プリアンブルシンボルP(図6参照)に基づいて、下り無線信号RSDOWNに適用されるアレイウェイトを演算する。さらに、アレイ制御部103は、演算したアレイウェイトに基づいて、無線通信部101によって送信される下り無線信号RSDOWNのビームパターンを制御する。
【0034】
無線信号処理部105は、無線通信部101によって送信される下り無線信号RSDOWN、及び無線通信部101が受信した上り無線信号RSUPに関する処理を実行する。特に、本実施形態では、無線信号処理部105は、下り無線信号RSDOWNに含まれるシンボル列Sのシンボル列構成を変更することができる。
【0035】
受信状態判定部107は、無線通信部101が受信した上り無線信号RSUPの受信状態を判定する。具体的には、受信状態判定部107は、上り無線信号RSUPの信号対雑音比(受信SNR)を推定する。具体的には、受信状態判定部107は、上り無線信号RSUPに含まれるプリアンブルシンボルPに基づいて、プリアンブルシンボルPとデータシンボルDとの相関を算出し、上り無線信号RSUP(サブキャリア)の受信SNRを推定する。また、本実施形態に係る無線通信システムでは、受信SNRが最大となるように上り無線信号RSUPの送信電力、位相及び時間(送信周期)などが調整される。つまり、本実施形態に係る無線通信システムでは、使用される変調方式に応じて必要となる受信SNRを制御評価値としたターゲットSNRが設定されており、ターゲットSNRを維持するように上り無線信号RSUPの制御が実行される。
【0036】
シンボル列構成変更部109は、受信状態判定部107によって判定された受信状態に基づいて、シンボル列Sのシンボル列構成を変更する。本実施形態では、図6に示した2×2構成に加え、図7に示す4×2構成、図8に示す2×4構成、及び図9に示す8×1構成が用いることができる。
【0037】
本実施形態では、図7に示す4×2構成を基準シンボル列構成という。また、図6に示す2×2構成、及び図8に示す2×4構成を、基準シンボル列構成よりも周波数軸方向Dのサイズが小さい狭帯域シンボル列構成という。また、図9に示す8×1構成を、基準シンボル列構成よりも周波数軸方向Dのサイズが大きい広帯域シンボル列構成という。
【0038】
すなわち、本実施形態では、シンボル列構成変更部109は、プリアンブルシンボルPのシンボル列構成(例えば、4×2構成)に基づいて、シンボル列S全体のシンボル列構成を変更する。
【0039】
シンボル列構成変更部109は、上り無線信号RSUPの受信状態が所定の条件を満足したと判定された場合、具体的には、受信状態判定部107によって測定された受信SNRが所定の閾値を下回った場合、基準シンボル列構成(4×2構成)に代えて、狭帯域シンボル列構成(2×2構成)に変更する。
【0040】
また、シンボル列構成変更部109は、受信状態判定部107によって測定された受信SNRが所定の閾値を下回った場合、2×2構成(第1の狭帯域シンボル列構成)ではなく、2×4構成(第2の狭帯域シンボル列構成)に変更することもできる。つまり、シンボル列構成変更部109は、基準シンボル列構成と、狭帯域シンボル列構成とにおいて、同数のプリアンブルシンボルを含むシンボル列構成に変更することができる。
【0041】
また、シンボル列構成変更部109は、受信状態判定部107によって測定された受信SNRが所定の閾値を上回った場合、基準シンボル列構成(4×2構成)に代えて広帯域シンボル列構成(8×1構成)に変更する。つまり、シンボル列構成変更部109は、基準シンボル列構成と、広帯域シンボル列構成とにおいて、同数のプリアンブルシンボルを含むシンボル列構成に変更することができる。
【0042】
シンボル列構成通知部111は、シンボル列構成変更部109によって変更されたシンボル列構成を無線通信端末200に通知する。具体的には、シンボル列構成通知部111は、シンボル列構成変更部109によって変更されたシンボル列構成を示すシンボル列構成通知を無線通信端末200に送信する。なお、シンボル列構成通知は、下り無線信号RSDOWNに含めて無線通信端末200に送信される。
【0043】
ベースバンド処理部113は、無線信号処理部105と接続されている。ベースバンド処理部113は、ユーザデータや制御データなどのベースバンド信号を無線信号処理部105に送信したり、無線信号処理部105から受信した無線信号をベースバンド信号に復調したりする。
【0044】
(2)無線通信端末200
図3は、無線通信端末200の機能ブロック構成図である。図2に示すように、無線通信端末200は、無線通信部201、無線信号処理部203、シンボル列構成受信部205、シンボル列構成変更部207及びベースバンド処理部209を備える。なお、以下、上述した無線基地局100と同様の処理を実行する機能ブロックについては、その説明を適宜省略する。
【0045】
無線通信部201は、無線通信部101と概ね同様の処理を実行する。また、無線信号処理部203は、無線信号処理部105と概ね同様の処理を実行する。
【0046】
シンボル列構成受信部205は、無線基地局100によって送信されたシンボル列構成通知を受信する。シンボル列構成受信部205は、受信したシンボル列構成通知に基づいて、上り無線信号RSUPに含まれるシンボル列Sのシンボル列構成をシンボル列構成変更部207に通知する。
【0047】
シンボル列構成変更部207は、シンボル列構成受信部205によって通知されたシンボル列構成に基づいて、上り無線信号RSUPに含まれるシンボル列Sのシンボル列構成、具体的には、4×2構成、2×2構成、2×4構成または8×1構成の何れかに変更する。
【0048】
ベースバンド処理部209は、ベースバンド処理部113と概ね同様の処理を実行する。
【0049】
(無線通信システムの動作)
次に、上述した無線通信システムの動作について説明する。具体的には、(1)無線基地局100が、上り無線信号RSUPの受信状態に基づいてシンボル列Sのシンボル列構成を変更する動作、及び(2)無線通信端末200が、無線基地局100によって送信されたシンボル列構成通知に基づいて上り無線信号RSUPに含まれるシンボル列Sのシンボル列構成を設定する動作について説明する。
【0050】
(1)無線基地局100
図4は、無線基地局100の動作フロー図である。図4に示すように、ステップS10において、無線基地局100は、無線通信端末200から受信した上り無線信号RSUPの受信SNRを推定する。具体的には、無線基地局100は、上り無線信号RSUPに含まれるプリアンブルシンボルPに基づいて、プリアンブルシンボルPとデータシンボルDとの相関を算出し、上り無線信号RSUP(サブキャリア)の受信SNRを推定する。
【0051】
ステップS20において、無線基地局100は、推定した受信SNRが所定の条件を満足するか否かを判定する。具体的には、無線基地局100は、推定した受信SNRが閾値βよりも小さいか、閾値α以上か、または閾値βより大きく閾値αよりも小さいかの何れであるかを判定する。
【0052】
推定した受信SNRが閾値βよりも小さい場合(ステップS20の「受信SNR<β」の場合)、ステップS30Aにおいて、無線基地局100は、上り無線信号RSUPに含まれるシンボル列Sのシンボル列構成として、2×4構成に変更する。
【0053】
推定した受信SNRが閾値α以上である場合(ステップS20の「受信SNR≧α」の場合)、ステップS30Bにおいて、無線基地局100は、上り無線信号RSUPに含まれるシンボル列Sのシンボル列構成として、4×2構成に変更する。
【0054】
推定した受信SNRが閾値βより大きく閾値αよりも小さい場合(ステップS20の「β<受信SNR<α」の場合)、ステップS30Cにおいて、無線基地局100は、上り無線信号RSUPに含まれるシンボル列Sのシンボル列構成として、2×2構成に変更する。
【0055】
ステップS40において、無線基地局100は、ステップS30A〜S30Cの何れかのステップにおいて変更したシンボル列構成を記憶する。
【0056】
ステップS50において、無線基地局100は、変更したシンボル列構成を示すシンボル列構成通知を通信先、すなわち、無線通信端末200に送信する。
【0057】
上述したように、本実施形態では、シンボル列構成として、4×2構成(基準シンボル列構成)と、4×2構成よりも周波数軸方向Dのサイズが小さい2×2構成(第1の狭帯域シンボル列構成)と、2×2構成よりも時間軸方向Dのサイズが大きい2×4構成(第2の狭帯域シンボル列構成)とが備えられている。
【0058】
無線基地局100、具体的には、シンボル列構成変更部109は、受信状態判定部107によって上り無線信号RSUPの受信状態が所定の条件を満足しないと判定された場合、4×2構成に代えて、2×2構成に変更する。さらに、シンボル列構成変更部109は、2×2構成においても、上り無線信号RSUPの受信状態が所定の条件を満足しないと判定された場合には、2×2構成に代えて、2×4構成に変更することができる。
【0059】
なお、図4に示した動作フローでは、無線基地局100は、4×2構成、2×2構成または2×4構成の何れかに変更するが、さらに、8×1構成(図9参照)に変更するようにしてもよい。この場合、無線基地局100は、8×1構成に変更する条件として、4×2構成に変更するか否かに用いられる閾値αよりも良好な受信SNRを閾値として用いる。
【0060】
(2)無線通信端末200
図5は、無線通信端末200の動作フロー図である。図5に示すように、ステップS110において、無線通信端末200は、通信中の無線基地局100からシンボル列構成通知を受信したか否かを判定する。
【0061】
シンボル列構成通知を受信した場合(ステップS110のYES)、ステップS120において、無線通信端末200は、受信したシンボル列構成通知に基づいて、上り無線信号RSUPに含まれるシンボル列Sのシンボル列構成を設定する。
【0062】
ステップS130において、無線通信端末200は、設定したシンボル列構成を有するシンボル列Sを含む上り無線信号RSUPを無線基地局100に向けて送信する。
【0063】
(作用・効果)
上述したように、本実施形態では、データシンボルDは、周波数軸方向Dに18キャリア(2bin)、及び時間軸方向Dに3シンボルを基本サイズとしている。つまり、データシンボルDの周波数軸方向D及び時間軸方向Dの基本サイズは、固定である。
【0064】
本実施形態では、上り無線信号RSUPの受信SNRが良好な場合(例えば、受信SNR≧αの場合)には、シンボル列Sの周波数軸方向Dのサイズが大きいシンボル列構成(例えば、4×2構成)に変更することによって、アダプティブアレイ制御による理論値に近いアンテナ合成利得を得るために必要なプリアンブルシンボルPを周波数軸方向Dにより多く配置することができる。このため、時間軸方向Dに配置すべきプリアンブルシンボルPの数が低減され、データシンボルDの伝送効率が向上する。さらに、時間軸方向Dのサイズが小さくなることによって、マルチパスによるフェージングの影響が抑制され、無線通信端末200が高速に移動した場合でも一定の通信品質を確保することができる。
【0065】
また、上り無線信号RSUPの受信SNRが不良な場合(例えば、受信SNR<βの場合)には、時間軸方向Dのサイズが大きいシンボル列構成(例えば、2×4構成)に変更することによって、データシンボルDの伝送効率は低下するものの、周波数選択性フェージングの影響を回避しつつ、アダプティブアレイ制御による理論値に近いアンテナ合成利得を得るために必要なプリアンブルシンボルPを配置することができる。
【0066】
(その他の実施形態)
上述したように、本発明の一実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態が明らかとなろう。
【0067】
例えば、上述した実施形態では、シンボル列構成として、プリアンブルシンボルP部分の周波数軸方向D及び時間軸方向Dのサイズを、上り無線信号RSUPの受信状態に応じて変更する形態としたが、プリアンブルシンボルP部分ではなく、シンボル列S全体の周波数軸方向D及び時間軸方向Dのサイズを変更する形態としても勿論構わない。
【0068】
また、上述した実施形態では、上り無線信号RSUPの受信状態として、受信SNRを用いる形態としたが、上り無線信号RSUPの受信電力値、タイミングジッタ、或いは周波数オフセット量などを用いてもよい。
【0069】
さらに、上述した実施形態では、無線通信端末200は、カード型の無線通信端末であったが、無線通信端末200は、カード型以外の形態、例えば、携帯電話端末であってもよい。
【0070】
また、上述した実施形態では、無線通信端末200は、無線基地局100から受信したシンボル列構成通知に基づいて、上り無線信号RSUPに含まれるシンボル列Sのシンボル列構成を設定する形態としたが、無線通信端末200は、下り無線信号RSDOWNの受信状態に基づいて、上り無線信号RSUPの状態を推定し、上り無線信号RSUPに含まれるシンボル列Sのシンボル列構成を設定する形態としてもよい。
【0071】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0072】
100…無線基地局、101…無線通信部、103…アレイ制御部、105…無線信号処理部、107…受信状態判定部、109…シンボル列構成変更部、111…シンボル列構成通知部、113…ベースバンド処理部、200…無線通信端末、201…無線通信部、203…無線信号処理部、205…シンボル列構成受信部、207…シンボル列構成変更部、209…ベースバンド処理部、D…データシンボル、D…周波数軸方向、D…時間軸方向、P…プリアンブルシンボル、PL…パイロットシンボル、RSUP…上り無線信号、RSDOWN…下り無線信号、S…シンボル列

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも直交周波数分割多重方式を用いる無線通信システムにおいて、既知信号を含む上り無線信号を無線通信端末から受信する無線基地局であって、
周波数軸方向における前記既知信号の帯域幅と時間軸方向における前記既知信号の期間とを含む信号構成指定情報を前記無線通信端末に通知する通知手段を備える無線基地局。
【請求項2】
少なくとも直交周波数分割多重方式を用いる無線通信システムにおいて、既知信号を含む上り無線信号を無線基地局に送信する無線通信端末であって、
周波数軸方向における前記既知信号の帯域幅と時間軸方向における前記既知信号の期間とを含む信号構成指定情報を前記無線基地局から受信する受信手段を備える無線通信端末。
【請求項3】
少なくとも直交周波数分割多重方式を用いる無線通信システムにおいて、既知信号を含む上り無線信号を無線通信端末から受信する無線基地局における無線通信方法であって、
周波数軸方向における前記既知信号の帯域幅と時間軸方向における前記既知信号の期間とを含む信号構成指定情報を前記無線通信端末に通知するステップを備える無線通信方法。
【請求項4】
少なくとも直交周波数分割多重方式を用いる無線通信システムにおいて、既知信号を含む上り無線信号を無線基地局に送信する無線通信端末における無線通信方法であって、
周波数軸方向における前記既知信号の帯域幅と時間軸方向における前記既知信号の期間とを含む信号構成指定情報を前記無線基地局から受信するステップを備える無線通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−253793(P2012−253793A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−168243(P2012−168243)
【出願日】平成24年7月30日(2012.7.30)
【分割の表示】特願2011−266221(P2011−266221)の分割
【原出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】