説明

無線基地局

【課題】光部品の使用数が抑えられた無線基地局を提供する。
【解決手段】本発明に係る無線基地局100は、集中基地局101と、光ファイバ伝送路105を介して集中基地局101と接続されている複数の遠隔基地局103a〜103cとを備える無線基地局100であって、遠隔基地局103a〜103cは、移動局110から受信した無線信号を中間周波数信号にダウンコンバートする無線部であって、遠隔基地局103a〜103c毎に異なる周波数帯域の中間周波数信号が生成されるように構成されている無線部と、中間周波数信号を光信号に変換する電気光変換部とを備え、集中基地局101は、複数の遠隔基地局からの複数の光信号を、結合器107a〜107cを介して受信し、電気信号に変換する1つの光電気変換部と、電気信号を遠隔基地局103a〜103cに対応させて周波数分離するベースバンド部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線基地局に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、集中基地局(CS:Central Station又はBDE:Base station Digital Equipment)と複数の遠隔基地局(BS:Base Station又はRRE:Remote Radio Equipment)とを備え、集中基地局と遠隔基地局とが光ファイバ伝送路を介して接続されている光張り出し無線基地局が注目されている。集中基地局は、デジタル信号処理機能、保守監視機能などを備え、遠隔基地局のセル間の無線リソース制御を一括して行う。遠隔基地局は、アンテナを介した電波の送受信機能などを備えている。つまり、遠隔基地局は、独立基地局の無線部(RE:Radio Equipment)に相当するものであり、無線部のみの設置により通信エリアの拡張が図れる。
【0003】
従来、光張り出し無線基地局に関する種々の技術が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。特許文献1には、光波長多重方式を用いたROF(Radio Over Fiber:光ファイバ無線)システムが記載されている。複数の遠隔基地局が集中基地局に対してバス接続(一本の光ファイバで接続)され、複数の遠隔基地局ごとに異なる光波長を割り当てることにより、光波長多重を実現している。
【0004】
また、特許文献2には、SCM(Subcarrier Multiplexing:サブキャリア多重)伝送方式を用いたROFシステムが記載されている。遠隔基地局(子局装置)は複数のアンテナを有し、MIMO(Multiple Input Multiple Output)が採用されている。遠隔基地局は、複数のアンテナに対応する無線信号を多重化して、一本の光ファイバで集中基地局(親基地局)に伝送する。遠隔基地局は複数存在し、それぞれ集中基地局にスター状に光ファイバで接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−245987号公報
【特許文献2】特開2010−87921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の技術では、集中基地局は、異なる波長の光を一本の光ファイバで伝送するために、また1本の光ファイバに束ねられた複数の光を分離して処理するためにAWG(Arrayed Waveguide Grating:アレイ導波路)やWDM(Wavelength Division Multiplexing:波長分割多重方式)カプラ、サーキュレータ等の結合器を必要とする。また、集中基地局が複数の光を発生させるためには、波長の数だけレーザダイオードが必要になり、集中基地局が複数の光を電気信号に変換するためには、波長の数だけフォトダイオードが必要になる。複数の波長の光を使用するためには、光の数に応じて高価な光部品の数が増えるので、費用がかかってしまう。
【0007】
特許文献2においては、複数の遠隔基地局が集中基地局にスター状に接続されているため、集中基地局は、遠隔基地局毎に光電気変換及び光電気変換を行う。つまり、集中基地局は、遠隔基地局の数だけレーザダイオード及びフォトダイオードを必要とする。よって、遠隔基地局の数に応じて高価な光部品の数が増えるので、特許文献1と同様に、費用がかかってしまう。
【0008】
従って、上記のような問題点に鑑みてなされた本発明の目的は、光部品の使用数が抑えられた無線基地局を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した諸課題を解決すべく、第1の観点による無線基地局は、
集中基地局と、光ファイバ伝送路を介して前記集中基地局と接続されている複数の遠隔基地局とを備える無線基地局であって、
前記遠隔基地局は、
移動局から受信した無線信号を中間周波数信号にダウンコンバートする無線部であって、前記複数の遠隔基地局毎に異なる周波数帯域の中間周波数信号が生成されるように構成されている無線部と、
前記中間周波数信号を光信号に変換する電気光変換部と
を備え、
前記集中基地局は、
前記複数の遠隔基地局からの複数の光信号を、結合器を介して受信し、電気信号に変換する1つの光電気変換部と、
前記電気信号を前記複数の遠隔基地局に対応させて周波数分離するベースバンド部と
を備える無線基地局である。
【0010】
また、前記遠隔基地局は、複数のアンテナを有し、前記無線部は、前記アンテナ毎に異なる周波数帯域の中間周波数信号を生成し、前記遠隔基地局は、遠隔基地局毎の中間周波数信号を多重化する加算部を備え、前記電気光変換部は、前記加算された中間周波数信号を光信号に変換することが望ましい。
【0011】
また、前記ベースバンド部は、前記電気信号を高速フーリエ変換することにより、前記複数の遠隔基地局に対応させて周波数分離することが望ましい。
【0012】
また、上述した諸課題を解決すべく、第2の観点による無線基地局は、
集中基地局と、光ファイバ伝送路を介して前記集中基地局と接続されている複数の遠隔基地局とを備える無線基地局であって、
前記集中基地局は、
前記複数の遠隔基地局への伝送信号を、当該信号の周波数帯域が重なり合わないように生成し、且つ周波数領域で多重化するベースバンド部と、
前記多重化された信号を1つの波長の光信号に変換する電気光変換部と
を備え、
前記遠隔基地局は、
前記光信号を電気信号に変換する光電気変換部と、
前記電気信号を前記複数の遠隔基地局毎に対応させて周波数分離し、自局に関する周波数帯域の信号のみを抽出する信号処理部と
を備える無線基地局である。
【0013】
また、上述した諸課題を解決すべく、第3の観点による無線基地局は、
集中基地局と、結合器が設けられた光ファイバ伝送路を介して前記集中基地局と接続されている複数の遠隔基地局とを備える無線基地局であって、
前記遠隔基地局は、
移動局から受信した無線信号を中間周波数信号にダウンコンバートする無線部であって、前記複数の遠隔基地局毎に異なる周波数帯域の中間周波数信号が生成されるように構成されている無線部と、
前記中間周波数信号を光信号に変換する第1電気光変換部と
を備え、
前記集中基地局は、
前記複数の遠隔基地局からの複数の光信号を、前記結合器を介して受信し、電気信号に変換する1つの第1光電気変換部と、
前記電気信号を前記複数の遠隔基地局毎に対応させて周波数分離し、前記複数の遠隔基地局への伝送信号を、当該信号の周波数帯域が重なり合わないように生成し、且つ周波数領域で多重化するベースバンド部と
前記多重化された信号を1つの波長の光信号に変換する第2電気光変換部と
を備え、
前記遠隔基地局は更に、
前記光信号を電気信号に変換する第2光電気変換部と、
前記電気信号を前記複数の遠隔基地局毎に対応させて周波数分離し、自局に関する周波数帯域の信号のみを抽出する信号処理部と
を備える無線基地局である。
【0014】
また、前記電気光変換部又は前記第1電気光変換部は、前記複数の遠隔基地局毎に異なる波長の光信号が生成されるように構成されていることが望ましい。
【0015】
また、前記無線信号は、OFDM(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing)信号であることが望ましい。
【0016】
また、前記光ファイバ伝送路は、前記複数の遠隔基地局が一本の光ファイバを共有するバス構成であることが望ましい。
【0017】
また、前記集中基地局は更に、前記光ファイバ伝送路、前記第1光電気変換部及び前記第2電気光変換部に接続される3端子サーキュレータを備え、
前記結合器は、
第1端子が前記光ファイバ伝送路に接続され、第2端子が前記第1電気光変換部に接続され、第3端子が前記光ファイバ伝送路に接続され、第4端子が前記第2光電気変換部に接続される4端子サーキュレータと、
前記第2端子に接続され、前記第1端子からの信号を前記第1電気光変換部へ通さずに、前記第3端子に伝送する第1フィルタと、
前記第4端子に接続され、前記第3端子からの信号の一部を前記第2光電気変換部へ通し、前記第3端子からの信号の残りを前記第1端子に伝送する第2フィルタと
で構成されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0018】
上記のように構成された本発明に係る無線基地局によれば、遠隔基地局により複数の遠隔基地局毎に異なる周波数帯域の中間周波数信号が生成され、光信号に変換されるので、集中基地局は、1つの光電気変換部により当該光信号を電気信号に変換しても、当該電気信号を前記複数の遠隔基地局に対応させて周波数分離することができる。よって、無線基地局を、1つの電気光変換部を遠隔基地局に設け、1つの光電気変換部を集中基地局に設けることで、AWG等を設けることなく、高価な光部品の使用数を抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る光張り出し無線基地局を含む通信システムの概略的な構成図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施形態に係る遠隔基地局の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図3】図3は、本発明の第1実施形態に係るRF信号及びIF信号を示す図である。
【図4】図4は、本発明の第1実施形態に係るIF信号を示す図である。
【図5】図5は、本発明の第1実施形態に係る集中基地局の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図6】図6は、本発明の第2実施形態に係る集中基地局の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図7】図7は、本発明の第2実施形態に係る遠隔基地局の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図8】図8は、本発明の第3実施形態に係る集中基地局の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図9】図9は、本発明の第3実施形態に係る遠隔基地局の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図10】図10は、本発明の第3実施形態に係る結合器の一例を示す説明図である。
【図11】図11は、本発明の第3実施形態に係る光張り出し無線基地局の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照して説明する。
【0021】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る光張り出し無線基地局を含む通信システムの概略的な構成図である。通信システム10は、光張り出し無線基地局(無線基地局)100と移動局110とを有するものである。通信システム10は、例えば、OFDM(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing:直交周波数分割多重方式)通信方式が採用されたシステムである。光張り出し無線基地局100は、集中基地局101と、光ファイバ伝送路105を介して集中基地局101と接続されている複数の遠隔基地局103(103a、103b及び103c)とを備える。移動局110は、光張り出し無線基地局100と無線通信を行うもので、携帯電話機などの無線通信端末である。なお、本実施形態では、移動局110から光張り出し無線基地局100への方向(遠隔基地局103から集中基地局101への方向)、つまり上り方向での信号伝送について説明する。
【0022】
集中基地局101は、デジタル信号処理機能、保守監視機能などを備え、遠隔基地局103のセル間の無線リソース制御を一括して行う。遠隔基地局103は、移動局110とRF(Radio Frequency)信号(無線信号)を送受信する機能や信号の変復調機能などが備えられている。通信システム10にOFDM通信方式が採用されている場合、当該RF信号はOFDM通信方式における信号である。なお、本発明では、遠隔基地局103の数は、3つに限定されるものではなく、2つ又は4つ以上とすることができる。
【0023】
光ファイバ伝送路105は、複数の遠隔基地局103が一本の光ファイバを共有するバス構成である。光ファイバ伝送路105には、複数の光ファイバの経路を結合する結合器107(107a、107b及び107c)が設けられている。結合器107は、例えばサーキュレータとFBG(Fiber Bragg Grating:ファイバブラッググレーティング)とを組み合わせたものや光合分波器であるWDMカプラである。また、光ファイバのネットワーク構成は、各遠隔基地局からの光ファイバが一本の光ファイバに集約され、集中基地局101に接続される形であれば、図1の態様に限定されるものではない。
【0024】
図2は、本発明の第1実施形態に係る遠隔基地局の概略構成を示す機能ブロック図である。遠隔基地局103は、無線部111(111−1及び111−2)と、加算部113と、電気光変換部115とを備えている。なお、図2に示された遠隔基地局103に関する機能ブロックは、遠隔基地局103a〜103cにおいて共通であり、遠隔基地局103aに関する機能ブロックの参照符号にはaを、遠隔基地局103bに関する機能ブロックの参照符号にはbを、遠隔基地局103cに関する機能ブロックの参照符号にはcを付して説明する。
【0025】
無線部111−1及び111−2は、アンテナ112−1及び112−2をそれぞれ介して受信したRF信号を増幅し、IF(Intermediate Frequency:中間周波数)信号にダウンコンバートする。なお、信号の増幅は、例えば、無線部111−1及び111−2のLNA(Low Noise Amplifier)により実現される。また、RF信号のダウンコンバートは、例えば、無線部111−1及び111−2の局部発振器と混合器(ミキサ)とにより実現される。以下、アンテナ112は2本存在するものとして本実施形態を説明するが、本発明はこの態様に限定されるものではない。例えばアンテナ112の数を1本又は3本以上とすることができる。アンテナ112が複数存在する場合、光張り出し無線基地局100は、複数アンテナを有する移動局110とMIMO通信することができる。
【0026】
ここで、本実施形態におけるRF信号のダウンコンバートについて、より詳細に説明する。無線部111−1及び111−2は、遠隔基地局103のアンテナ112−1及び112−2毎に異なる周波数帯域のIF信号を生成する。異なる周波数帯域のIF信号の生成は、無線部111−1及び111−2の局部発振器の信号の周波数を異ならせることにより実現される。図3に示されるように、移動局110から送られてくる信号が、例えば、中心周波数が2GHzであり、帯域幅が10MHzのRF信号121であるとする。このとき、無線部111−1は、RF信号121を、中心周波数が60MHzであり、帯域幅が10MHzのIF信号123−1にダウンコンバートすることができる。また、無線部111−2は、RF信号121を、中心周波数が75MHzであり、帯域幅が10MHzのIF信号123−2にダウンコンバートすることができる。アンテナ毎に異なる周波数帯域のIF信号とは、図3のように、各信号の周波数帯域が互いに重なり合わない複数のIF信号を意味する。
【0027】
更に、無線部111は、RF信号から、複数の遠隔基地局103a〜103c毎に異なる周波数帯域のIF信号を生成する。例えば、図4に示されるように、遠隔基地局103aの無線部111a−1は、中心周波数が60MHzであり、帯域幅が10MHzのIF信号131a−1を、無線部111a−2は、中心周波数が75MHzであり、帯域幅が10MHzのIF信号131a−2を生成することができる。また、遠隔基地局103bの無線部111b−1は、中心周波数が90MHzであり、帯域幅が10MHzのIF信号131b−1を、無線部111b−2は、中心周波数が105MHzであり、帯域幅が10MHzのIF信号131b−2を生成することができる。また、遠隔基地局103cの無線部111c−1は、中心周波数が120MHzであり、帯域幅が10MHzのIF信号131c−1を、無線部111c−2は、中心周波数が135MHzであり、帯域幅が10MHzのIF信号131c−2を生成することができる。これら6つのIF信号は、周波数帯域が互いに重なり合わない。
【0028】
加算部113は、無線部111−1及び111−2により生成されたIF信号を周波数領域で多重化する。無線部111−1及び111−2から出力されるIF信号は、周波数領域において互いに重なり合わないため、FFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)により、複数のIF信号を分離することが可能となる。
【0029】
電気光変換部115は、加算部113により多重化されたIF信号を光信号に変換するもので、例えばレーザダイオードである。複数のIF信号を多重化した後に一つの波長の光信号に変換するため、必要な電気光変換部115は1つのみである。電気光変換部115の出力は、光ファイバ伝送路105を介して、結合器107に接続されている。
【0030】
電気光変換部115は、複数の遠隔基地局103a〜103c毎に異なる波長の光信号を生成することができる。例えば、電気光変換部115aは、多重化されたIF信号を波長λ1の光信号に変換することができる。また、電気光変換部115bは、多重化されたIF信号を波長λ2(λ2≠λ1)の光信号に変換することができる。そして、電気光変換部115cは、多重化されたIF信号を波長λ3(λ3≠λ2、λ3≠λ1)の光信号に変換することができる。
【0031】
続いて、集中基地局101の機能ブロックについて説明する。図5は、本発明の第1実施形態に係る集中基地局の概略構成を示す機能ブロック図である。集中基地局101は、光電気変換部141と、ベースバンド部143とを備えている。
【0032】
光電気変換部141は、遠隔基地局103a〜103cからの複数の光信号を、結合器107を介して受信し、電気信号に変換するもので、例えばフォトダイオードである。光電気変換部141が受信する信号は、結合器107により合波された1つの光信号(波長λ1の信号と、波長λ2の信号と、波長λ3の信号とが合波された光信号)であり、当該1つの光信号を一括して電気信号に変換するため、光電気変換部141は1つである。
【0033】
ベースバンド部143は、まず、光電気変換部141の出力である電気信号をAD変換する。なお、電気信号のAD変換は、例えば、ベースバンド部143のADC(Analog Digital Converter:アナログデジタル変換器)により実現される。続いて、ベースバンド部143は、AD変換された信号に対して高速フーリエ変換を行い、遠隔基地局103a〜103cに対応させて周波数分離して、復調する。図4に示されるように、遠隔基地局103a〜103cのIF信号が、周波数帯域が互いに重なり合わないように生成されるため、ベースバンド部143は、高速フーリエ変換により遠隔基地局103a〜103c毎の信号に分離することができる。更に、ベースバンド部143は、遠隔基地局103a〜103cのアンテナ毎に関してもIF信号の周波数帯域は重なり合っていないため、遠隔基地局103a〜103cのアンテナ毎に対応させて周波数分離することもできる。よって、光張り出し無線基地局100は、移動局110とMIMO通信を行うことができる。なお、本発明は、IF信号の周波数分離を高速フーリエ変換により行うことに限定されるものではなく、例えば、バンドパスフィルタなどのアナログフィルタによりIF信号の周波数分離を行うこともできる。この場合、ベースバンド部143によるAD変換は不要となる。
【0034】
このように本実施形態では、複数の遠隔基地局103a〜103cの無線部111a〜111cは、遠隔基地局毎に異なる周波数帯域の中間周波数信号を生成し、電気光変換部115a〜115cは、中間周波数信号を光信号に変換し、光信号は結合器107a及びbにより合成される。集中基地局101の光電気変換部141は、合成された光信号を電気信号に変換し、ベースバンド部143は、電気信号を複数の遠隔基地局に対応させて周波数分離する。つまり、集中基地局101のベースバンド部143が複数の信号を周波数分離できるように、無線部111a〜111cは、遠隔基地局毎に異なる周波数帯域の中間周波数信号を生成する。そのため光電気変換部141の処理の前に、合成された光信号をAWG等の光分波器で分離する必要がない。また、光電気変換部141の処理の前に、合成された光信号は分離されないため、分離された光の数に合わせて光電気変換部を複数設ける必要もない。従って、集中基地局101は、高価な光部品の使用を抑えて、複数の遠隔基地局103a〜103cからの信号を取り扱うことができる。
【0035】
また、本実施形態では、遠隔基地局103は、複数のアンテナ112−1及び112−2を有し、無線部111−1及び111−2は、アンテナ毎に異なる周波数帯域のIF信号123−1及び123−2を生成し、遠隔基地局103は、IF信号123−1及び123−2を多重化する加算部113を備え、電気光変換部115は、加算されたIF信号を光信号に変換することができる。アンテナ毎に異なる周波数帯域のIF信号が生成されるため、集中基地局101は、これらの信号を分離することができる。よって、光張り出し無線基地局100は、複数アンテナを有する移動局110とMIMO通信することができる。また、電気光変換部115の処理の前に、加算部113が複数のIF信号を加算するため、光信号に変換される対象は1つの電気信号である。よって、必要な電気光変換部は、1つのみであり、複数のIF信号に合わせて電気光変換部を複数設ける必要はない。
【0036】
また、本実施形態では、集中基地局101のベースバンド部143は、光電気変換部141の出力である電気信号を高速フーリエ変換することにより、複数の遠隔基地局に対応させて周波数分離することができる。高速フーリエ変換による周波数分離は、アナログフィルタ等での周波数分離に比べ精度が良い。そのため、アナログフィルタ等での周波数分離に比べ、複数の遠隔基地局で生成される複数の中間周波数信号同士の周波数間隔を狭めることが可能である。よって、中間周波数信号における周波数リソースを有効利用できる。
【0037】
また、本実施形態では、電気光変換部115を、複数の遠隔基地局103a〜103c毎に異なる波長の光信号が生成されるように構成することができる。複数の遠隔基地局103a〜103cから出力される光信号の波長が異なるため、WDMカプラ等で実現された結合器107により、複数の遠隔基地局103a〜103cからの複数の光信号を波長多重することができる。よって、一本の光ファイバ伝送路105において、複数の光信号を伝送することが可能になる。
【0038】
また、本実施形態では、光ファイバ伝送路105を、複数の遠隔基地局103a〜103cが一本の光ファイバを共有するバス構成にすることができる。これにより、ある通信エリアを複数の遠隔基地局103a〜103cでカバーする場合、スター構成等に比べ、光ファイバ伝送路105の敷設距離を短くすることができる。
【0039】
(第2実施形態)
第1実施形態では、移動局110から光張り出し無線基地局100への上り方向での信号伝送について説明したが、第2実施形態では、光張り出し無線基地局から移動局への下り方向での信号伝送について説明する。なお、第2実施形態に係る通信ネットワーク20の構成要素は、第1実施形態に係る通信ネットワーク10の構成要素と同一であり、光張り出し無線基地局200と移動局210である。また、第2実施形態に係る光張り出し無線基地局200の構成要素は、第1実施形態に係る光張り出し無線基地局100の構成要素と同一であり、集中基地局201と、光ファイバ伝送路205を介して集中基地局201と接続されている複数の遠隔基地局203(203a、203b及び203c)とである。光ファイバ伝送路205には、結合器207(207a、207b及び207c)が設けられている。上記各構成要素の説明は、第1実施形態と同様であるため省略する。
【0040】
まず、集中基地局201の機能ブロックについて説明する。図6は、本発明の第2実施形態に係る集中基地局の概略構成を示す機能ブロック図である。集中基地局201は、ベースバンド部243と電気光変換部245とを備えている。
【0041】
ベースバンド部243は、複数の遠隔基地局203a〜203cへの伝送信号を、周波数帯域が互いに重なり合わないように生成する。複数の遠隔基地局203a〜203cが、それぞれ2つのアンテナを有している場合、ベースバンド部243は、6つの伝送信号を生成することになる。また、通信ネットワーク20にOFDM通信方式が採用されている場合、ベースバンド部243は、遠隔基地局203a〜203c用の情報源としてのベースバンド信号をそれぞれ異なるサブキャリアで変調することにより、伝送信号を生成する。そして、ベースバンド部243は、生成された伝送信号を多重化し、DA変換する。なお、多重化された信号のDA変換は、例えば、ベースバンド部243のDAC(Digital Analog Converter:デジタルアナログ変換器)により実現される。
【0042】
電気光変換部245は、多重化された(DA変換された)信号を1つの波長の光信号に変換するもので、例えばレーザダイオードである。複数の遠隔基地局203a〜203cへの伝送信号をまとめて光信号に変換するため、必要な電気光変換部245は1つのみである。例えば、電気光変換部245は、多重化された信号を波長λdの光信号に変換することができる。電気光変換部245からの光信号は、光ファイバ伝送路205を介して結合器207に伝送される。
【0043】
結合器207は、例えば分岐カプラである。波長λdの光信号を遠隔基地局203a〜203cに均等に伝送するために、結合器207bへの光出力が遠隔基地局203aへの光出力の2倍となる分岐比1:2の結合器207aと、分岐比1:1の結合器207bとを設けることができる。
【0044】
続いて、遠隔基地局203の機能ブロックについて説明する。図7は、本発明の第2実施形態に係る遠隔基地局の概略構成を示す機能ブロック図である。遠隔基地局203は、無線部211(211−1及び211−2)と、光電気変換部217と、信号処理部219とを備えている。なお、図7に示された遠隔基地局203に関する機能ブロックは、遠隔基地局203a〜203cにおいて共通であり、遠隔基地局203aに関する機能ブロックの参照符号にはaを、遠隔基地局203bに関する機能ブロックの参照符号にはbを、遠隔基地局203cに関する機能ブロックの参照符号にはcを付して説明する。
【0045】
光電気変換部217は、集中基地局201からの光信号を、結合器207を介して受信し、電気信号に変換するもので、例えばフォトダイオードである。集中基地局201からの光信号は、ある波長を有する1つの光信号であるため、必要な光電気変換部217は1つである。
【0046】
信号処理部219は、光電気変換部217からの電気信号をAD変換する。電気信号のAD変換は、例えば、信号処理部219のADCにより実現される。続いて、信号処理部219は、AD変換された信号に対して高速フーリエ変換を行い、遠隔基地局203a〜203cに対応させて周波数分離する。各遠隔基地局203が移動局210との通信で使用する周波数帯域は、予め集中基地局201により定められているとする。集中基地局201から出力される信号は、周波数帯域が互いに重なり合わない複数の伝送信号の合成信号であるため、信号処理部219は、高速フーリエ変換により信号を分離して、自局に関する信号のみを抽出することができる。
【0047】
更に、遠隔基地局203a〜203cのアンテナ毎に関しても伝送信号の周波数帯域は重なり合っていないため、信号処理部219は、各遠隔基地局のアンテナ毎に対応させて合成信号を周波数分離することもできる。よって、光張り出し無線基地局200は、移動局210とMIMO通信を行うことができる。
【0048】
信号処理部219は、自局に関する周波数帯域の信号の抽出後、抽出した信号に対してIFFT(Inverse Fast Fourier Transform:逆高速フーリエ変換)を行い、DA変換する。そして、信号処理部219は、DA変換された信号を無線部211−1及び211−2へ送る。
【0049】
なお、本発明は、集中基地局201が生成する伝送信号の周波数分離を高速フーリエ変換により行うことに限定されるものではなく、例えば、バンドパスフィルタなどのアナログフィルタにより伝送信号の周波数分離を行うこともできる。この場合、信号処理部219によるAD変換、逆高速フーリエ変換及びDA変換は不要となる。
【0050】
無線部211−1及び211−2は、信号処理部219からの信号を、アップコンバートする。信号処理部219からの信号のアップコンバートは、例えば、無線部211−1及び211−2の局部発振器と混合器とにより実現される。そして、無線部211−1及び211−2は、アップコンバートされた信号を増幅し、アンテナ212−1及び212−2をそれぞれ介して移動局210に送信する。信号の増幅は、例えば、無線部211−1及び211−2のPA(Power Amplifier:パワーアンプ)により実現される。なお、第1実施形態と同様、本発明は、アンテナ212の数を2本に限定されるものではない。アンテナ212が複数存在する場合、遠隔基地局203は、複数アンテナを有する移動局210とMIMO通信することができる。
【0051】
このように本実施形態では、集中基地局201のベースバンド部243は、複数の遠隔基地局203a〜203cへの伝送信号を、当該信号の周波数帯域が重なり合わないように生成し、且つ周波数領域で多重化する。そして、電気光変換部245は、多重化された信号を1つの波長の光信号に変換する。遠隔基地局203の光電気変換部217は、電気光変換部245の出力である光信号を電気信号に変換し、信号処理部219は、電気信号を前記複数の遠隔基地局毎に対応させて周波数分離し、自局に関する周波数帯域の信号のみを抽出する。つまり、信号処理部219が複数の信号を分離するので、集中基地局201は、遠隔基地局203a〜203cの数に合わせて光信号を複数生成する必要はない。よって、高価な光部品である電気光変換部245を複数設ける必要はない。また、ある一つの波長の光信号のみが光ファイバ伝送路205を通るため、結合器207は、分岐カプラ等により実現されるものであり、高価な光部品であるAWGを使用する必要はない。
【0052】
また、本実施形態では、第1実施形態と同様、光ファイバ伝送路205を、複数の遠隔基地局203a〜203cが一本の光ファイバを共有するバス構成にすることができる。これにより、光ファイバ伝送路205の敷設距離を短くすることができる。
【0053】
(第3実施形態)
第2実施形態では、光張り出し無線基地局200から移動局210への下り方向での信号伝送について説明したが、第3実施形態では、移動局から光張り出し無線基地局への上り方向及び光張り出し無線基地局から移動局への下り方向での信号伝送について説明する。なお、第3実施形態に係る通信ネットワーク30の構成要素は、第1実施形態に係る通信ネットワーク10の構成要素と同一であり、光張り出し無線基地局300と移動局310である。また、第3実施形態に係る光張り出し無線基地局300の構成要素は、第1実施形態に係る光張り出し無線基地局100の構成要素と同一であり、集中基地局301と、光ファイバ伝送路305を介して集中基地局301と接続されている複数の遠隔基地局303(303a、303b及び303c)とである。光ファイバ伝送路305には、結合器307(307a、307b及び307c)が設けられている。上記各構成要素の説明は、第1実施形態と同様であるため省略する。
【0054】
まず、集中基地局301の機能ブロックについて説明する。図8は、本発明の第3実施形態に係る集中基地局の概略構成を示す機能ブロック図である。集中基地局301は、光電気変換部341(請求項における第1光電気変換部)と、ベースバンド部343と、電気光変換部345(請求項における第2電気光変換部)と、集中基地局結合器347(以下、CS結合器と略す)とを備えている。
【0055】
光電気変換部341は、第1実施形態の光電気変換部141と同様の機能を有するものである。ベースバンド部343は、第1実施形態のベースバンド部143と、第2実施形態のベースバンド部243との双方の機能を有するものである。電気光変換部345は、第2実施形態の電気光変換部245と同様の機能を有するものである。上記各構成要素の説明は、第1実施形態又は第2実施形態と同様であるため省略する。
【0056】
CS結合器347は、光ファイバ伝送路305を介して結合器307(307a)からの信号を光電気変換部341へ伝送し、電気光変換部345からの信号を結合器307(307a)へ伝送する。CS結合器347は、例えば3端子サーキュレータである。3端子サーキュレータの第1端子への入力信号が第2端子から出力され、第3端子への入力信号が第1端子から出力される場合、第1端子は光ファイバ伝送路305に、第2端子は光電気変換部341に、第3端子は電気光変換部345にそれぞれ接続されることになる。例えば、第1実施形態のように遠隔基地局303aから波長λ1の光信号が、遠隔基地局303bから波長λ2の光信号が、遠隔基地局303cから波長λ3の光信号がそれぞれ出力される場合、波長λ1の光信号と、波長λ2の光信号と、波長λ3の光信号とが合成された信号が第1端子から第2端子に伝送される。また、第2実施形態のように、集中基地局301から波長λdの光信号が出力される場合、当該波長λdの光信号は第3端子から第1端子に伝送される。なお、CS結合器347が3端子サーキュレータの場合、λdの値を、λ1、λ2及びλ3のいずれか一つと同じ波長に設定することもできる。
【0057】
次に、遠隔基地局303の機能ブロックについて説明する。図9は、本発明の第3実施形態に係る遠隔基地局の概略構成を示す機能ブロック図である。遠隔基地局303は、アンテナ312(312−1及び312−2)を有する無線部311(311−1及び311−2)と、加算部313と、電気光変換部315(請求項における第1電気光変換部)と、光電気変換部317(請求項における第2光電気変換部)と、信号処理部319とを備えている。なお、図9に示された遠隔基地局303に関する機能ブロックは、遠隔基地局303a〜203cにおいて共通であり、遠隔基地局303aに関する機能ブロックの参照符号にはaを、遠隔基地局303bに関する機能ブロックの参照符号にはbを、遠隔基地局303cに関する機能ブロックの参照符号にはcを付して説明する。
【0058】
無線部311は、第1実施形態の無線部111と、第2実施形態の無線部211との双方の機能を有するものである。加算部313は、第1実施形態の加算部113と同様の機能を有するものである。電気光変換部315は、第1実施形態の電気光変換部115と同様の機能を有するものである。光電気変換部317は、第2実施形態の光電気変換部217と同様の機能を有するものである。信号処理部319は、第2実施形態の信号処理部219の機能を有するものである。上記各構成要素の説明は、第1実施形態又は第2実施形態での説明と同様であるため省略する。
【0059】
続いて、光ファイバ伝送路305に設けられている結合器307について説明する。図10は、本発明の第3実施形態に係る結合器の一例を示す説明図である。
【0060】
図10の結合器307は、4端子サーキュレータ351と2つのフィルタ353−1及び353−2(請求項における第1フィルタ及び第2フィルタ)とで構成されている。4端子サーキュレータ351の第1端子T1への入力信号は第2端子T2から出力され、第2端子T2への入力信号は第3端子T3から出力され、第3端子T3への入力信号は第4端子T4から出力され、第4端子T4への入力信号は第1端子T1に出力される。以下、図10に示される構成に付された参照符号において、結合器307aに関する参照符号にはaを、結合器307bに関する参照符号にはbを、結合器307cに関する参照符号にはcを付すとする。
【0061】
結合器307a、307b及び307cは同様の構成をしているため、結合器307aについて説明する。結合器307aの4端子サーキュレータ351aの第1端子T1aは、光ファイバ伝送路305を介して結合器307bの4端子サーキュレータ351bの第3端子T3bに接続されている。また、第2端子T2aは、フィルタ353a−1を介して電気光変換部315aに接続されている。また、第3端子T3aは、光ファイバ伝送路305を介して集中基地局301のCS結合器347に接続されている。また、第4端子T4aは、フィルタ353a−2を介して光電気変換部317aに接続されている。
【0062】
フィルタ353−1及び353−2は、所望の波長の光信号を所望の量だけ通すことができるフィルタであり、例えばFBGである。
【0063】
フィルタ353−1は、第1端子T1からの信号を全く通さずに、つまり全て反射して、第3端子T3に伝送する。また、フィルタ353−1は、遠隔基地局303の電気光変換部315の出力を通して、第3端子T3に伝送する。つまり、第1端子T1からの信号と電気光変換部315からの信号とが合成されて第3端子T3に伝送される。
【0064】
ここで一例として、第1実施形態のように遠隔基地局303aから波長λ1の光信号が、遠隔基地局303bから波長λ2の光信号が、遠隔基地局303cから波長λ3の光信号がそれぞれ出力される場合について説明する。結合器307aの第1端子T1aから第2端子T2aへは、波長λ2の光信号と、波長λ3の光信号とが合成された信号が伝送され、この合成された信号は、フィルタ353a−1により全て反射される。そして、フィルタ353a−1は、遠隔基地局303aからの波長λ1の光信号を全て通過させる。よって、第2端子T2aから第3端子T3aへは、波長λ1の光信号と、波長λ2の光信号と、波長λ3の光信号とが合成された信号が伝送される。
【0065】
フィルタ353−2は、第3端子T3からの信号の一部を光電気変換部317へ通し、第3端子T3からの信号の残りを第1端子T1に伝送する。ここで一例として、第2実施形態のように、集中基地局301から波長λdの光信号が出力される場合について説明する。集中基地局301からの波長λdの光信号を遠隔基地局303a〜303cに均等に伝送する場合、フィルタ353a−2は、波長λdの光信号の3分の1を通過し、遠隔基地局303aに伝送するように構成される。すると、波長λdの光信号の残りの3分の2は、第1端子T1a及び4端子サーキュレータ351bの第3端子T3bを経て、第4端子T4bへ伝送される。
【0066】
そして、フィルタ353b−2は、波長λdの光信号の2分の1を通過するように構成される。これにより、集中基地局301からの波長λdの光信号の3分の1が遠隔基地局303bに伝送されることになる。第3端子T3bからの光信号の残りの2分の1、つまり集中基地局301からの光信号の3分の1が、結合器307cに伝送される。そして、結合器307cのフィルタ353c−2が、波長λdの光信号を全て通過するように構成されることにより、集中基地局301からの光信号の3分の1は、遠隔基地局303cに伝送されることになる。
【0067】
このように本実施形態では、集中基地局301は、3端子サーキュレータで実現されるCS結合器347を備え、結合器307は、4端子サーキュレータ351及び2つのフィルタ353−1及び353−2により実現される。これにより、複数の遠隔基地局303a〜303cがバス構成で集中基地局301に接続されている光張り出し無線基地局300を、光電気変換部341及び電気光変換部345を1つずつのみ集中基地局301に設け、電気光変換部315及び光電気変換部317を1つずつのみ遠隔基地局303に設け、且つAWGを設けることなく実現することができる。
【0068】
また、本実施形態では、第1実施形態と同様、電気光変換部315を、複数の遠隔基地局303a〜303c毎に異なる波長の光信号が生成されるように構成することができる。複数の遠隔基地局303a〜303cからの複数の光信号を波長多重することができ、一本の光ファイバ伝送路305において、複数の光信号を伝送することが可能になる。
【0069】
また、本実施形態では、第1実施形態と同様、光ファイバ伝送路305を、複数の遠隔基地局303a〜303cが一本の光ファイバを共有するバス構成にすることができる。これにより、光ファイバ伝送路305の敷設距離を短くすることができる。
【0070】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。
【0071】
例えば、各部材、各手段、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段やステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0072】
上述の本発明の第3実施形態の説明においては、CS結合器347を3端子サーキュレータで実現し、集中基地局301と遠隔基地局303a〜303cとをバス構成で接続するとして説明したが、本発明はこの態様に限定されるものではない。例えば、図11のように、CS結合器を分岐カプラ447で実現し、遠隔基地局403a〜403fを、光ファイバ伝送路405−1及び405−2によってスター構成で集中基地局401に接続することもできる。光ファイバ伝送路405−1及び405−2には、結合器407a〜407fが設けられている。ここで、分岐カプラ447が3dBカプラの場合における光張り出し無線基地局内の信号伝送について説明する。上り方向では、遠隔基地局403a〜403fから出力された光信号は、分岐カプラ447で集約された後、集中基地局401の光電気変換部及び電気光変換部それぞれへ、出力強度が半分となり伝送される。下り方向では、集中基地局401の電気光変換部からの光信号は、分岐カプラ447により、出力強度が半分となり光ファイバ伝送路405−1及び405−2それぞれに伝送される。
【符号の説明】
【0073】
10 通信システム
100 光張り出し無線基地局
101、201、301、401 集中基地局
103、103a、103b、103c、203、303、403a〜403f 遠隔基地局
105、405−1、405−2 光ファイバ伝送路
107a、107b、407a〜407f 結合器
110 移動局
111−1、111−2、211−1、211−2、311−1、311−2 無線部
112−1、111−2、212−1、212−2、312−1、312−2 アンテナ
113、313 加算部
115、245、315、345 電気光変換部
121 RF信号
123−1、123−2、131a−1、131a−2、131b−1、131b−2、131c−1、131c−2 IF信号
141、217、317、341 光電気変換部
143、243、343 ベースバンド部
219、319 信号処理部
347 集中基地局結合器
351 4端子サーキュレータ
353−1、353−2 フィルタ
447 分岐カプラ
T1 第1端子
T2 第2端子
T3 第3端子
T4 第4端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集中基地局と、光ファイバ伝送路を介して前記集中基地局と接続されている複数の遠隔基地局とを備える無線基地局であって、
前記遠隔基地局は、
移動局から受信した無線信号を中間周波数信号にダウンコンバートする無線部であって、前記複数の遠隔基地局毎に異なる周波数帯域の中間周波数信号が生成されるように構成されている無線部と、
前記中間周波数信号を光信号に変換する電気光変換部と
を備え、
前記集中基地局は、
前記複数の遠隔基地局からの複数の光信号を、結合器を介して受信し、電気信号に変換する1つの光電気変換部と、
前記電気信号を前記複数の遠隔基地局に対応させて周波数分離するベースバンド部と
を備える無線基地局。
【請求項2】
請求項1に記載の無線基地局において、
前記遠隔基地局は、複数のアンテナを有し、
前記無線部は、前記アンテナ毎に異なる周波数帯域の中間周波数信号を生成し、
前記遠隔基地局は、遠隔基地局毎の中間周波数信号を多重化する加算部を備え、
前記電気光変換部は、前記加算された中間周波数信号を光信号に変換する
ことを特徴とする無線基地局。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の無線基地局において、前記ベースバンド部は、前記電気信号を高速フーリエ変換することにより、前記複数の遠隔基地局に対応させて周波数分離することを特徴とする無線基地局。
【請求項4】
集中基地局と、光ファイバ伝送路を介して前記集中基地局と接続されている複数の遠隔基地局とを備える無線基地局であって、
前記集中基地局は、
前記複数の遠隔基地局への伝送信号を、当該信号の周波数帯域が重なり合わないように生成し、且つ周波数領域で多重化するベースバンド部と、
前記多重化された信号を1つの波長の光信号に変換する電気光変換部と
を備え、
前記遠隔基地局は、
前記光信号を電気信号に変換する光電気変換部と、
前記電気信号を前記複数の遠隔基地局毎に対応させて周波数分離し、自局に関する周波数帯域の信号のみを抽出する信号処理部と
を備える無線基地局。
【請求項5】
集中基地局と、結合器が設けられた光ファイバ伝送路を介して前記集中基地局と接続されている複数の遠隔基地局とを備える無線基地局であって、
前記遠隔基地局は、
移動局から受信した無線信号を中間周波数信号にダウンコンバートする無線部であって、前記複数の遠隔基地局毎に異なる周波数帯域の中間周波数信号が生成されるように構成されている無線部と、
前記中間周波数信号を光信号に変換する第1電気光変換部と
を備え、
前記集中基地局は、
前記複数の遠隔基地局からの複数の光信号を、前記結合器を介して受信し、電気信号に変換する1つの第1光電気変換部と、
前記電気信号を前記複数の遠隔基地局毎に対応させて周波数分離し、前記複数の遠隔基地局への伝送信号を、当該信号の周波数帯域が重なり合わないように生成し、且つ周波数領域で多重化するベースバンド部と
前記多重化された信号を1つの波長の光信号に変換する第2電気光変換部と
を備え、
前記遠隔基地局は更に、
前記光信号を電気信号に変換する第2光電気変換部と、
前記電気信号を前記複数の遠隔基地局毎に対応させて周波数分離し、自局に関する周波数帯域の信号のみを抽出する信号処理部と
を備える無線基地局。
【請求項6】
請求項1、2、3又は5に記載の無線基地局において、前記電気光変換部又は前記第1電気光変換部は、前記複数の遠隔基地局毎に異なる波長の光信号が生成されるように構成されていることを特徴とする無線基地局。
【請求項7】
請求項1、2、3、5又は6に記載の無線基地局において、
前記無線信号は、OFDM(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing)通信方式における信号であることを特徴とする無線基地局。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の無線基地局において、前記光ファイバ伝送路は、前記複数の遠隔基地局が一本の光ファイバを共有するバス構成であることを特徴とする無線基地局。
【請求項9】
請求項5に記載の無線基地局において、
前記集中基地局は更に、前記光ファイバ伝送路、前記第1光電気変換部及び前記第2電気光変換部に接続される3端子サーキュレータを備え、
前記結合器は、
第1端子が前記光ファイバ伝送路に接続され、第2端子が前記第1電気光変換部に接続され、第3端子が前記光ファイバ伝送路に接続され、第4端子が前記第2光電気変換部に接続される4端子サーキュレータと、
前記第2端子に接続され、前記第1端子からの信号を前記第1電気光変換部へ通さずに、前記第3端子に伝送する第1フィルタと、
前記第4端子に接続され、前記第3端子からの信号の一部を前記第2光電気変換部へ通し、前記第3端子からの信号の残りを前記第1端子に伝送する第2フィルタと
で構成されていることを特徴とする無線基地局。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−90220(P2013−90220A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230138(P2011−230138)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】