説明

無線対応型インターホンシステム

【課題】来客映像の表示遅延時間を短縮し、来客映像がドアホン子器で撮影されてから、インターホン無線増設親機に表示されるまでの遅延時間によるユーザの故障に関する不安感を除去する。
【解決手段】無線アダプタ3はカメラ付きドアホン子器1が呼出操作に応じて撮影した映像信号をインターホン親機2から受信して、無線信号に変換する第1伝送処理部31と、無線信号をインターホン無線増設親機2に無線送出する第2伝送処理部32と、固定画が予め記憶された固定画記憶手段33とを備えており、呼出信号を受信したときには第1伝送処理部31による映像信号変換処理と、第2伝送処理部32による通話呼出処理とを並行して行い、無線アダプタ3は呼出操作に応じて撮影された映像信号の少なくとも第1フレームを映像信号変換処理して無線送出するまでの間は、固定画記憶手段33から固定画を読み出して、無線信号として送出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ付ドアホン子器とインターホン親機とを信号線で接続し、更に該インターホン親機に無線アダプタを接続して、インターホン無線増設親機を付加して構成された、無線対応型インターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1は、この種の無線対応型インターホンシステムを開示しており、カメラ付ドアホン子器を2線式信号線で接続したインターホン親機と、このインターホン親機と有線接続された無線アダプタと、この無線アダプタとの間で無線信号の送受をすることにより、インターホン親機との間で信号送受を行うインターホン副親機とで構成されている。
【0003】
図7は、この種の無線対応型インターホンシステムの動作を示すタイムチャートである。なお、図では、転送、圧縮、フォーマット変換の対象は画像データのみであるが、実際には、カメラ付ドアホン子器により集音された音声信号も含まれる。
【0004】
このシステムでは、カメラ付ドアホン子器の呼出釦が操作されたときには、インターホン親機から駆動電源の給電を受けてカメラを駆動させ来客映像を撮影して、画像データを映像信号の形でインターホン親機に転送する。
【0005】
転送を受けたインターホン親機では、画像データを圧縮し、無線アダプタに転送する。転送を受けた無線アダプタでは、画像データを無線信号にフォーマット変換をし、画像データを蓄積する信号受信変換蓄積処理を行う。
【0006】
蓄積が完了すると、無線アダプタは、インターホン無線増設親機(ここでは特許文献1のインターホン副親機の代わりにインターホン無線増設親機を用いている)との間で通話呼出処理を行う。すなわち、呼信号を送出し応答を待つ。応答があれば、インターホン無線増設親機との通信条件が確立されるので、通話呼出信号を送出し応答を待つ通話呼出処理を行う。
【0007】
応答があれば、蓄積しておいた画像データをインターホン無線増設親機に送出し、これを受けたインターホン無線増設親機は、送出された画像データを伸長し、モニタに表示する。
図8,9は、この種の無線対応型インターホンシステムにおける無線アダプタ、インターホン無線増設親機のそれぞれの動作を示すフローチャートである。
【0008】
図8のフローチャートは、無線アダプタの動作を示している。
【0009】
無線アダプタは、電源が入力されているときに(300)、インターホン親機から呼出信号を受信すると(301)、インターホン親機から映像信号を受信し無線信号にフォーマット変換をし蓄積をする信号受信変換処理を行う(302)。
【0010】
蓄積が完了すると(303)、インターホン無線増設親機との通話呼出処理を行う(305〜307)。なお、通話呼出処理の詳細については先述しているので説明を省略する。ここで、それぞれの応答待ちの間に、所定時間経過しても(308,310)、応答が来ない場合には、インターホン親機に不在を返信する(309,311)。
【0011】
そして、通話呼出処理に対する応答があったときには、蓄積しておいた画像データをインターホン無線増設親機に送出する(312)。
【0012】
図9のフローチャートは、インターホン無線増設親機の動作を示している。
【0013】
インターホン無線増設親機は、無線アダプタとの間で先述の通話呼出処理を行い(400〜403)、無線アダプタから送出された通話呼出信号に基づいて呼出音を出力する(404)。
【0014】
ついで、所定時間の間に無線アダプタからの映像信号を送出されてきたときには、これを受信する(406、407)。
【特許文献1】特開2000−224316号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところで、この種のシステムでは、インターホン親機から無線アダプタ間への画像データは、双方を接続した有線を通じて伝送されており、無線信号で伝送する場合と比較すると、伝送速度が一般的に遅くなっている。
【0016】
このことは、有線の回線容量が小さく、画像データの容量が大きいときに顕著となっている。
【0017】
このように、インターホン親機から無線アダプタ間での画像データ伝送速度が遅いために、カメラ付ドアホン子器で撮影された画像データがインターホン無線増設親機に到達するの時間がかかっている。
【0018】
更に、この種のシステムでは、無線アダプタは、インターホン親機からの画像データを無線フォーマット信号に変換して蓄積する映像信号変換処理が、画像データの少なくとも1フレーム分完了した後に、インターホン無線増設親機と通話呼出処理を行って応答があれば画像データを送出するようにしているため、結果として、カメラ付ドアホン子器で撮影が開始されてからその来客映像がインターホン無線増設親機に表示され始めるまでの遅延時間が長かった。
【0019】
そのために、システムのユーザは、カメラ付ドアホン子器で呼出操作があってから、カメラ付ドアホン子器で撮影された来客映像がなかなかインターホン無線増設親機で表示されず、システムが故障したのか不安に感じてしまう。
【0020】
本発明は、このような問題を解決するために提案され、第1の目的は、カメラ付ドアホン子器で撮影が開始されてからその来客映像がインターホン無線増設親機に表示され始めるまでの遅延時間を短縮することにある。
また、第2の目的は、来客映像がインターホン無線増設親機に表示され始めるまでの遅延時間があることによるユーザの故障に関する不安感を除去することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するため、請求項1では、インターホン親機にカメラ付きドアホン子器を信号線で接続し、更に該インターホン親機に無線アダプタを別の信号線で接続して、上記無線アダプタと無線通信を行うインターホン無線増設親機を付加して構成された、無線対応型インターホンシステムであって、上記無線アダプタは、少なくとも、上記カメラ付きドアホン子器が呼出操作に応じて撮影した映像信号を、上記インターホン親機から受信して、無線フォーマット信号に変換する映像信号変換処理を行う第1伝送処理部と、上記第1伝送処理部に蓄積された無線フォーマット信号を、上記インターホン無線増設親機に無線送出する第2伝送処理部と、固定画が予め記憶された固定画記憶手段とを備えており、上記カメラ付きドアホン子器の呼出操作に基づく呼出信号を上記インターホン親機から受信したときには、上記第1伝送処理部による映像信号変換処理と、上記第2伝送処理部による上記無線アダプタとの間の通話呼出処理とを並行して行う伝送並列処理をし、更に、無線アダプタは、呼出操作に応じて撮影された映像信号の少なくとも第1フレームを該映像信号変換処理して無線送出するまでの間は、上記固定画記憶手段から上記固定画を読み出して、上記無線フォーマット信号として無線送出することを特徴とする。
【0022】
請求項2では、インターホン親機にカメラ付きドアホン子器を信号線で接続し、更に該インターホン親機に無線アダプタを別の信号線で接続して、上記無線アダプタと無線通信を行うインターホン無線増設親機を付加して構成された、無線対応型インターホンシステムであって、上記無線アダプタは、少なくとも、上記カメラ付きドアホン子器が呼出操作に応じて撮影した映像信号を、上記インターホン親機から受信して、無線フォーマット信号に変換する映像信号変換処理を行う第1伝送処理部と、上記第1伝送処理部に蓄積された無線フォーマット信号を、上記インターホン無線増設親機に無線送出する第2伝送処理部とを備えており、上記カメラ付きドアホン子器の呼出操作に基づく呼出信号を上記インターホン親機から受信したときには、上記第1伝送処理部による映像信号変換処理と、上記第2伝送処理部による上記無線アダプタとの間の通話呼出処理とを並行して行う伝送並列処理を実行し、上記インターホン無線増設親機は、固定画が予め記憶された固定画記憶手段と、上記無線アダプタから通話呼出されたあと、上記カメラ付きドアホン子器が呼出操作に応じて撮影した映像信号の少なくとも第1フレームを無線受信するまでは、上記固定画記憶手段から上記固定画を読み出して、映像として表示させる映像表示制御手段を備えている。
【0023】
請求項3では、上記インターホン親機は、少なくとも、カメラ付きドアホン子器の呼出操作に基づく映像信号を圧縮映像信号に変換する映像圧縮手段と、この映像圧縮手段による圧縮率を制御する圧縮率制御手段とを備えて、上記映像圧縮手段で圧縮した映像信号を上記無線アダプタに送出する構成としており、上記圧縮率制御手段は、上記映像圧縮の圧縮率を、少なくとも映像信号の第1フレーム分の映像を、予め定められた圧縮率により圧縮させ、以降のフレームについては、その圧縮率より低い圧縮率で映像信号を圧縮させることを特徴とする。
【0024】
請求項4では、上記インターホン親機は、少なくとも、カメラ付ドアホン子器の呼出操作に基づく映像信号を圧縮映像信号に変換する映像圧縮手段と、この映像圧縮手段による圧縮率を制御する圧縮率制御手段とを備えて、上記映像圧縮手段で圧縮した映像信号を上記無線アダプタに送出する構成としており、上記圧縮率制御手段は、上記映像圧縮手段によるの圧縮率を、映像信号の第1フレームから第2フレームになるほど段階的に小さくして、所定の圧縮率になるように制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
【0026】
請求項1、2によれば、第1伝送処理部による映像信号変換処理と、第2伝送処理部による無線アダプタとの間の通話呼出処理とを並行して行わせ、しかも、ドアホン子器から呼出操作があったときには、ドアホン子器で撮影された映像に先駆けて、システム内の固定画記憶手段に予め記憶させている固定画を無線増設親機に送出するので、来客の呼出操作後、来客映像がインターホン無線増設親機に表示され始めるまでの遅延時間を短縮できる。
【0027】
特に、請求項1によれば、無線アダプタ側に固定画記憶手段を設けて、インターホン親機から受信する映像信号の蓄積が少なくとも1フレーム分完了するまでは、予め記憶させておいた固定画を送出するので、インターホン無線増設親機では、インターホン親機から来客映像が受信されるまでは、予め記憶させておいた画像が表示されるので、遅延時間があることによるユーザの故障に関する不安感を除去できる。
【0028】
また、請求項2においても、インターホン無線増設親機側に固定が記憶手段を設けているので、インターホン親機から来客映像を受信するまでの間、固定画を表示するため、請求項1と同様の効果が奏される。
【0029】
一方、請求項3,4によれば、第1フレームのデータ量が小さいため、インターホン親機から無線アダプタ間での画像データ伝送速度が遅い場合でも、第1フレームを高速に伝送できる。
すなわち、請求項3によれば、インターホン親機では、無線アダプタに送出する画像データの少なくとも最初の1フレーム分の圧縮率を、2フレーム分以降の画像データの圧縮率よりも大きくするので、最初の1フレーム分の画像データをより迅速にインターホン無線増設親機に表示させることができる。
【0030】
また、請求項4によれば、インターホン親機では、無線アダプタに送出する画像データの圧縮率をフレーム毎に段階的に小さくしていくため、最初の1フレーム分の画像データについてはインターホン無線増設親機における表示遅延時間の短縮ができ、通話が開始されると、第2フレーム以降については後のフレームになるほど、徐々に画像データが鮮明に表示されてゆくという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。なお、ここでは、インターホンとしてテレビインターホンを用いているが、モニタのないインターホンで本発明を構成することもできる。
【実施例1】
【0032】
図3は、第1の本発明システムのより具体的なブロック図である。このシステムでは、カメラ付ドアホン子器1に信号線L2を介してテレビインターホン親機2を接続し、テレビインターホン親機2には無線アダプタ3を信号線L1で接続し、無線アダプタ3と無線通信を行うテレビインターホン無線増設親機4を設置して構成している。
【0033】
カメラ付ドアホン子器1は、信号処理部10、スピーカSPに出力される音声信号のレベルを増幅するスピーカアンプA1、マイクMICより入力された音声信号のレベルを増幅するマイクアンプA2、カメラ11、呼出釦12を備えている。
【0034】
インターホン親機2は、信号処理部20、スピーカSPに出力される音声信号のレベルを増幅するスピーカアンプA1、マイクMICを通じて入力された音声信号のレベルを増幅するマイクアンプA2、モニタ21、操作釦22を備える。
【0035】
無線アダプタ3は、この無線アダプタ3を制御するアダプタ制御手段30Aを有する信号処理部30、第1伝送処理部31、アンテナ32を有する第2伝送処理部32、予め固定された固定画を記憶した固定画記憶手段33を備えている。
【0036】
インターホン無線増設親機4は、信号処理部40、アンテナANTを有し、無線アダプタ3との間で、先述した通話呼出処理を行う無線通信部41、スピーカSPに出力される音声信号のレベルを増幅するスピーカアンプA1、マイクMICより入力された音声信号のレベルを増幅するマイクアンプA2、モニタ42、操作釦43を備えている
無線アダプタ3の第1伝送処理部31は、映像信号変換処理を行い、インターホン親機2から受信した、カメラ付ドアホン子器1により撮影された映像信号を無線信号の形にフォーマット変換して蓄積する。
【0037】
また、第2伝送処理部32は、インターホン親機2から受信した呼出信号に基づいて、インターホン無線増設親機4との間で通話呼出処理を行い、応答があれば、第1伝送処理部31に蓄積した映像信号をアンテナANTを通じてインターホン無線増設親機4に送出する。
【0038】
そして、無線アダプタ3では、第1伝送処理部31による映像信号変換処理と、第2伝送処理部32による通話呼出処理とを並行して行うように制御し、いわゆる伝送並列処理を行う。また、通話呼出処理に対する応答がインターホン無線増設親機4から来たときには、第1伝送処理部31に少なくとも1フレーム分の画像データが蓄積されているか判定し、蓄積されていないときには、第2伝送処理部32に対して、固定画記憶手段33の画像を送出するように制御する。
【0039】
なお、固定画記憶手段33には、固定音声データを併せて記憶させておき、固定画とともに送出される構成であってもよい。また、固定画は、呼出があったことを文字で表示するシステムの立上がり画面、現在時刻やカレンダー画面、任意の静止画や、ユーザがデジタルカメラなどで撮影したお気に入り画像などを表示させる構成にできる。
【0040】
このような構成によれば、以下の基本動作をなす。
すなわち、カメラ付ドアホン子器1での呼出があれば、信号線L2の電圧値が変動するので、この変動をインターホン親機2が検知し、呼出を受けたことを認識する。
【0041】
すると、インターホン親機2は呼出動作をするとともに、カメラ付ドアホン子器1の駆動電源を供給してカメラを駆動させ、呼出信号を無線アダプタ3、有線増設親機5に送出する。
【0042】
無線アダプタ3は、第1伝送処理部31により映像信号変換処理を行う。これとともに、インターホン親機2から受信した呼出信号に基づいて、第2伝送処理部32により、インターホン無線増設親機4との間で通話呼出処理を行い、応答があれば、第1伝送処理部31に蓄積した映像信号をインターホン無線増設親機4に送出する。
【0043】
ここで、通話呼出処理に対する応答があったとき、第1伝送処理部31に少なくとも1フレーム分の映像信号の蓄積が完了していない場合には、無線アダプタ3に予め記憶させた固定画を映像信号でインターホン無線増設親機4に送出する。
【0044】
インターホン無線増設親機4は、無線アダプタ3との通話呼出処理で応答して呼出音を出力する。これとともに、無線アダプタ3から受信した映像信号に基づいて、来客映像をモニタに表示する。なお、応答してから映像信号を受信するまでの間に、無線アダプタ3に予め記憶された固定画を受信している場合には、この画像データをモニタに表示する。
【0045】
図1は、このような基本動作を示すタイムチャートである。なお、カメラ付ドアホン子器1、インターホン親機2の動作、転送、圧縮、フォーマット変換の対象に、カメラ付ドアホン子器1により集音された音声信号も含まれることについては、従来の技術の説明で示した図7と同様である。
【0046】
無線アダプタ3では、インターホン親機2から少なくとも画像データを映像信号として送出されてきたときには、第1伝送処理部によりこれを受信し映像信号変換処理を行う。
【0047】
このような信号受信変換処理に並行して、インターホン親機2から送出されてきた呼出信号に基づいてインターホン無線増設親機4との間で通話呼出処理をする。なお、通話呼出処理の詳細も、先述したので説明を省略する。
【0048】
つまり、無線アダプタ3では、カメラ付ドアホン子器1での呼出操作があると、カメラ付ドアホン子器1で撮影される画像データをインターホン親機2から受信して無線信号に変換して蓄積する映像信号変換処理をしながら、インターホン無線増設親機4と通話呼出処理をして呼び出す。
【0049】
伝送処理制御手段30Aは、インターホン無線増設親機4と通話呼出処理をし応答があったときには、第1伝送処理部31に、画像データの少なくとも1フレーム分の蓄積が完了しているか判断する。
【0050】
1フレーム分の画像データを蓄積していると判断した場合には、蓄積しておいた画像データをインターホン無線増設親機4に送出するが、1フレーム分の画像データを蓄積していないと判断した場合には、予め記憶しておいた固定画を送出し、1フレーム分の画像データの蓄積が完了すると、順次インターホン親機2からの画像データを送出する。
【0051】
インターホン無線増設親機4は、無線アダプタ3に対する応答後、無線アダプタ3に予め記憶しておいた固定画を受信したときにはこれをモニタ表示し、続いて、無線アダプタ3から送出されてくるインターホン親機2からの画像データをモニタ表示する。
【0052】
図2のフローチャートは、無線アダプタ3の基本動作の一例を示している(第1伝送処理31、第2伝送処理部32は1チップCPUで構成)。なお、インターホン無線増設親機4の基本動作は、図9のフローチャートと同様であるので説明を省略する。
【0053】
無線アダプタ3は、電源が入っている状態で(100)、インターホン親機2から、カメラ付ドアホン子器1の呼出操作に基づく呼出信号を受信したときには、第2伝送処理部32により通話呼出処理を開始して、インターホン無線増設親機4に呼信号を送出する(103)。これとともに、第1伝送処理部31により、インターホン親機2から送出される映像信号を受信し、無線信号に変換して蓄積する映像信号変換処理を行う(102)。
【0054】
第2伝送処理部32において、呼信号に対する応答、通話呼出信号に対する応答(104〜106)がそれぞれ所定時間内(107,109)にあれば、第1伝送処理部31において、少なくとも1フレーム分の映像信号の蓄積が完了しているか判断する(111)。完了していれば、第1伝送処理部31に蓄積しておいた映像信号をインターホン無線増設親機4に送出する(112)。
【0055】
一方、第1伝送処理部31において少なくとも1フレーム分の蓄積が完了していない場合には(111)、固定画記憶手段33の固定画を送出する(113,114)。
【0056】
なお、呼信号、通話呼出信号のそれぞれに対する応答が所定時間内に得られない場合には(107,109)、インターホン親機2に不在を返信する(108、110)。
【0057】
図4は、第1の本発明システムの基本構成の他例を示すブロック図である。
【0058】
この構成によれば、第1の本発明では無線アダプタ3に設けていた固定画記憶手段を、インターホン無線増設親機4に設けるとともに、信号処理部40には、インターホン無線増設親機4における映像や音声出力を制御する映像表示制御手段40Aを設けている。
【0059】
このような構成において、インターホン無線増設親機4は、以下のように動作する。図6のフローチャートは、インターホン無線増設親機4の基本動作の一例を示している。
【0060】
インターホン無線増設親機4は、無線アダプタ3との間で先述の通話呼出処理を行い(200〜203)、無線アダプタから送出された通話呼出信号に基づいて呼出音を出力する(204)。
【0061】
ついで、無線アダプタ3から、映像信号が受信されるまでの間(205、206)、または所定時間経過するまでは(207)、映像表示制御手段40Aにより、固定画記憶手段45の画像を読み出しモニタ表示する(208)。
【0062】
このように、インターホン無線増設親機2側で、固定画の管理をしているため、無線アダプタ3では、図2のフローチャート中のステップ113,114の処理を行う必要がなく、無線アダプタ3でのソフト処理の軽減が図れる。
【0063】
なお、この例においても、固定画記憶手段45には固定画とともに固定音声データを記憶しておき、固定画表示の時に音声も出力するようにしてもよい。
【実施例2】
【0064】
図6は、第2の本発明システムの要部構成の一例を示すブロック図である。
【0065】
この第2の本発明システムでは、インターホン親機2では、信号処理部20は、映像圧縮手段20A、圧縮率制御手段20Bを備えている。その他の構成は、第1の本発明システムと同様であるので、同一符号を付して説明を省略する。
【0066】
この第2の本発明システムでは、圧縮率制御手段20Bにより映像信号のフレーム毎に圧縮率を変化させることを特徴とする。
【0067】
映像圧縮手段20Aは、圧縮率制御手段20Bによる制御を受け、カメラ付ドアホン子器1により撮影された来客映像を所定の圧縮率で圧縮する。
【0068】
圧縮された来客映像は、先述したように、信号線Lを通じて無線アダプタ3に送出される。
【0069】
圧縮率制御手段20Bは、図示しないカウンタを有しており、無線アダプタ3に送るべき映像信号をフレーム単位で管理して、最初の1フレームだけ所定の圧縮率で圧縮するよう映像圧縮手段20Aを制御するが、続く映像信号については、その圧縮率よりも小さな圧縮率で圧縮するよう制御する。
【0070】
なお、最初の1フレーム目から2フレーム目になるほどフレーム毎に段階的に圧縮率を小さくするように制御してもよい。
【0071】
また、図中では、図3のシステムに対応させて、映像圧縮手段20A、圧縮率制御手段20Bを設けているが、図4のシステムに対応させても、同様の作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】第1の本発明の基本動作の一例を示すタイムチャート
【図2】第1の本発明における無線アダプタの基本動作の一例を示すフローチャート
【図3】第1の本発明の基本構成の一例を示すブロック図
【図4】第1の本発明の基本構成の他例を示すブロック図
【図5】図4の構成におけるインターホン無線増設親機の基本動作の一例を示すフローチャート
【図6】第2の本発明の基本構成の一例を示すブロック図
【図7】従来の無線対応型インターホンシステムの基本動作を示すタイムチャート
【図8】従来システムにおける無線アダプタの基本動作を示すフローチャート
【図9】従来システムにおけるインターホン無線増設親機の基本動作を示すフローチャート
【符号の説明】
【0073】
1 カメラ付ドアホン子器
2 インターホン親機
3 無線アダプタ
4 インターホン無線増設親機
20A 映像圧縮手段
20B 圧縮率制御手段
31 第1伝送処理部
32 第2伝送処理部
33,45 固定画記憶手段
40A 映像表示制御手段
L1,L2 信号線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターホン親機にカメラ付きドアホン子器を信号線で接続し、更に該インターホン親機に無線アダプタを別の信号線で接続して、上記無線アダプタと無線通信を行うインターホン無線増設親機を付加して構成された、無線対応型インターホンシステムであって、
上記無線アダプタは、少なくとも、
上記カメラ付きドアホン子器が呼出操作に応じて撮影した映像信号を、上記インターホン親機から受信して、無線フォーマット信号に変換する映像信号変換処理を行う第1伝送処理部と、
上記第1伝送処理部に蓄積された無線フォーマット信号を、上記インターホン無線増設親機に無線送出する第2伝送処理部と、
固定画が予め記憶された固定画記憶手段とを備えており、
上記カメラ付きドアホン子器の呼出操作に基づく呼出信号を上記インターホン親機から受信したときには、上記第1伝送処理部による映像信号変換処理と、上記第2伝送処理部による上記無線アダプタとの間の通話呼出処理とを並行して実行する伝送並列処理を実行し、
更に、無線アダプタは、呼出操作に応じて撮影された映像信号の少なくとも第1フレームを該映像信号変換処理して無線送出するまでの間は、上記固定画記憶手段から上記固定画を読み出して、上記無線フォーマット信号として無線送出することを特徴とする無線対応型インターホンシステム。
【請求項2】
インターホン親機にカメラ付きドアホン子器を信号線で接続し、更に該インターホン親機に無線アダプタを別の信号線で接続して、上記無線アダプタと無線通信を行うインターホン無線増設親機を付加して構成された、無線対応型インターホンシステムであって、
上記無線アダプタは、少なくとも、
上記カメラ付きドアホン子器が呼出操作に応じて撮影した映像信号を、上記インターホン親機から受信して、無線フォーマット信号に変換する映像信号変換処理を行う第1伝送処理部と、
上記第1伝送処理部に蓄積された無線フォーマット信号を、上記インターホン無線増設親機に無線送出する第2伝送処理部とを備えており、
上記カメラ付きドアホン子器の呼出操作に基づく呼出信号を上記インターホン親機から受信したときには、上記第1伝送処理部による映像信号変換処理と、上記第2伝送処理部による上記無線アダプタとの間の通話呼出処理とを並行して行う伝送並列処理を実行し、
上記インターホン無線増設親機は、
固定画が予め記憶された固定画記憶手段と、
上記無線アダプタから通話呼出されたあと、上記カメラ付きドアホン子器が呼出操作に応じて撮影した映像信号の少なくとも第1フレームを無線受信するまでは、上記固定画記憶手段から上記固定画を読み出して、映像として表示させる映像表示制御手段を備えている無線対応型インターホンシステム。
【請求項3】
請求項1、2において、
上記インターホン親機は、少なくとも、カメラ付きドアホン子器の呼出操作に基づく映像信号を圧縮映像信号に変換する映像圧縮手段と、この映像圧縮手段による圧縮率を制御する圧縮率制御手段とを備えて、上記映像圧縮手段で圧縮した映像信号を上記無線アダプタに送出する構成としており、
上記圧縮率制御手段は、上記映像圧縮の圧縮率を、少なくとも映像信号の第1フレーム分の映像を、予め定められた圧縮率により圧縮させ、以降のフレームについては、その圧縮率より低い圧縮率で映像信号を圧縮させることを特徴とする無線対応型インターホンシステム。
【請求項4】
請求項3において、
上記インターホン親機は、少なくとも、
カメラ付ドアホン子器の呼出操作に基づく映像信号を圧縮映像信号に変換する映像圧縮手段と、この映像圧縮手段による圧縮率を制御する圧縮率制御手段とを備えて、上記映像圧縮手段で圧縮した映像信号を上記無線アダプタに送出する構成としており、
上記圧縮率制御手段は、上記映像圧縮手段による圧縮率を、映像信号の第1フレームから第2フレーム目以降になるほど段階的に小さくして、所定の圧縮率になるように制御することを特徴とする無線対応型インターホンシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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