無線検知器およびプログラム
【課題】様々な周波数でやりとりされている無線信号に基づいて行われている盗撮,盗聴を効率的に発見すること。
【解決手段】無線検知器1では、RFモジュール10により受信される無線信号の周波数が、マイコン30からの指令により順次切り替えられるため(S110)、その周波数の信号が受信されたか否かをマイコン30側で効率的にチェックすることができる(S120〜S140)。そして、実際に受信された際には、その旨を報知することができる(S180)。
【解決手段】無線検知器1では、RFモジュール10により受信される無線信号の周波数が、マイコン30からの指令により順次切り替えられるため(S110)、その周波数の信号が受信されたか否かをマイコン30側で効率的にチェックすることができる(S120〜S140)。そして、実際に受信された際には、その旨を報知することができる(S180)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線信号を検知する無線検知器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、周辺の画像や音声を無線信号により送信する機器による盗撮,盗聴が社会問題になっている。
このような盗撮,盗聴を防ぐための技術として、例えば、1以上の受信器それぞれから電界強度データを受信し、その電界強度データで示される電界強度を盗聴電波が存在しない状態での電界強度と比較することにより、盗聴電波の有無を監視する、といった技術が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−263692号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述したような盗撮,盗聴に用いられる機器は、様々な周波数で無線信号をやりとりしているため、上述した技術であっても、特定の周波数により無線信号をやりとりしている機器を効率的に発見することは困難であるという問題がある。
【0004】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、盗撮,盗聴を効率的に発見するための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため請求項1に記載の無線検知器は、複数種類の周波数それぞれの無線信号を受信可能な受信部に対し、該受信部が受信可能な無線信号の周波数を複数種類の周波数それぞれに順次切り替える周波数切替手段と、該周波数切替手段により切り替えられた周波数につき、該周波数の無線信号が前記受信部により受信された場合に、その旨の報知を行う報知手段と、を備えている。
【0006】
このように構成された無線検知器によれば、受信部により受信される無線信号の周波数が、周波数切替手段により順次切り替えられるため、その周波数の信号が受信されたか否かを効率的にチェックすることができる。そして、実際に受信された際には、その旨を報知手段により報知することができる。この報知により、ユーザによる盗撮や盗聴の効率的な発見を補助できる。
【0007】
なお、この構成における報知手段は、所定の無線信号が受信された旨を報知することができれば、その具体的な構成については特に限定されない。例えば、無線検知器本体に取り付けたランプやLEDを点灯させることにより報知を行う構成とすることが考えられる。また、無線検知器とデータ通信可能な他の装置宛に、所定の情報を送信することにより報知を行う構成とすることも考えられる。
【0008】
また、上記構成においては、周波数切替手段により切り替えられた周波数の無線信号が受信されたことをもって、直ちに報知手段による報知を行う構成とすればよい。ただし、その周波数の無線信号が単なる搬送波であるような場合には、ここに盗撮,盗聴の根拠になりうる信号が変調されているときにのみ、報知を行うように構成することが望ましい。
【0009】
そのためには、例えば、請求項2に記載のように、前記周波数切替手段により切り替えられた周波数につき、該周波数の無線信号が前記受信部により受信された場合に、該受信された無線信号を検波する検波手段を備えており、前記報知手段は、前記検波手段により検波することにより得られる信号が、あらかじめ定められた報知対象を示す信号である場合に、その旨の報知を行う、ように構成されているとよい。
【0010】
このように構成すれば、無線信号が受信された際、そこに報知対象となる周波数の信号が変調されていた場合にのみ報知を行うことができる。そのため、報知対象を示す信号として、盗撮,盗聴の根拠となりうる映像信号や音声信号を示す特定周波数の信号を設定しておくことにより、無線信号に盗撮,盗聴の根拠になりうる信号が変調されているといえるときにのみ報知を行うことができる。
【0011】
また、上述した報知手段は、無線信号が受信されたことをもって、その信号レベルに拘わらず報知を行うような構成とすればよい。ただ、その信号レベルが低ければ、無線信号にてやりとりされる画像や音声などが正確に得られない可能性が高いため、そのような場合に報知をしないようにすることも考えられる。
【0012】
そのためには、例えば、請求項3に記載のように、前記無線信号が前記受信部により受信された際に、該受信された無線信号の信号レベルを検出するレベル検出手段を備えており、前記報知手段は、前記レベル検出手段により検出された信号レベルが所定のしきい値以上である場合に報知を行う、ように構成することが考えられる。
【0013】
このように構成すれば、受信部により受信された無線信号の信号レベルが所定のしきい値以上である場合のみ、報知手段による報知を行うことができる。そのため、そのしきい値として、無線信号にてやりとりされる画像や音声などが正確に得られるレベルを設定しておくことで、画像や音声などが正確に得られない可能性の高い(つまり、盗撮,盗聴の可能性が低い)無線信号に基づいて無用な報知を行ってしまうことを防止することができる。
【0014】
また、上述した報知手段は、無線信号が受信されたことをもって、直ちに報知を行うような構成とすればよい。ただ、そのような無線信号が何らかのトラブルにより突発的に発生した信号には、画像や音声をやりとりするための信号でない可能性が高いため、そのような場合に報知をしないようにすることも考えられる。
【0015】
そのためには、例えば、請求項4に記載のように、報知手段が、前記切り替えられた周波数の無線信号が前記受信部に所定期間にわたって継続的に受信されている場合に、その旨の報知を行う、ように構成することが考えられる。
【0016】
このように構成すれば、受信部により無線信号が受信されたら、その受信が所定期間にわたり継続した場合にのみ、報知を行うことができる。そのため、その所定期間として、突発的に発生する信号を充分に排除できる程度の期間を設定しておくことで、画像や音声をやりとりするための信号である可能性の低い無線信号に基づいて無用な報知を行ってしまうことを防止することができる。
【0017】
また、上記課題を解決するため請求項5に記載の無線検知器は、複数種類の周波数それぞれの無線信号を受信可能な受信部に対し、該受信部が受信可能な無線信号の周波数を順次切り替える周波数切替手段と、該周波数切替手段により周波数が切り替えられる毎に、前記受信部に受信される無線信号の信号レベルを特定するレベル特定手段と、該レベル特定手段により特定された信号レベルが所定の第1しきい値以上である場合に、その旨を報知する報知手段と、を備えている。
【0018】
このように構成された無線検知器によれば、受信部により受信される無線信号の周波数を周波数切替手段により順次切り替えることができるため、それら周波数の信号が受信されたか否かを効率的にチェックすることができる。そして、切り替えられる周波数それぞれにつき、受信部で受信される無線信号の信号レベルが所定の第1しきい値以上である場合には、その旨を報知手段により報知することができる。この報知により、ユーザによる盗撮や盗聴の効率的な発見を補助することができる。
【0019】
なお、この構成における報知手段は、所定の無線信号が受信された旨を報知することができれば、その具体的な構成については特に限定されない。例えば、無線検知器本体に取り付けたランプやLEDを点灯させることにより報知を行う構成とすることが考えられる。また、無線検知器とデータ通信可能な他の装置宛に、所定の情報を送信することにより報知を行う構成とすることも考えられる。
【0020】
また、この報知手段が報知を行う基準となる「第1しきい値」とは、無線信号にてやりとりされる画像や音声などを特定できる程度の信号レベルに設定しておけばよい。
また、上述した周波数切替手段は、受信部が受信可能な無線信号の周波数であれば、どのような順番で切り替えるように構成してもよい。
【0021】
例えば、請求項6に記載のように、前記受信部が受信可能な無線信号の周波数を、所定の周波数帯域を複数に分割した場合における各周波数それぞれに昇順または降順で切り替えるように構成することが考えられる。
【0022】
このように構成すれば、複数種類の周波数の無線信号それぞれが、第1のしきい値以上の信号レベルにて受信されているか否かを、昇順または降順でチェックすることができる。
【0023】
なお、このように、昇順または降順でチェックを行う構成においては、レベル特定手段により特定される信号レベルが第1しきい値を以上となる毎に、報知手段による報知が行われるように構成してもよいし、レベル特定手段により特定される信号レベルが第1しきい値以上となった回数に応じて報知手段による報知が行われるように構成してもよい。
【0024】
特に、この後者の場合には、所定の周波数帯域全体において、レベル特定手段により特定される信号レベルが第1しきい値以上となった回数が所定回数に到達していれば、その第1しきい値以上となった周波数が連続する周波数であるか否かに拘わらず、報知が行われるように構成すればよい。
【0025】
このためには、前記周波数切替手段が周波数を順次切り替える過程において、該切り替えられる周波数それぞれの無線信号について前記レベル特定手段により特定される信号レベルが前記第1しきい値以上となった回数をカウントする回数カウント手段を備え、前記カウント手段によりカウントされた回数が所定の回数に到達している場合に、前記報知手段が、信号レベルが第1しきい値以上である旨を報知する、ように構成すればよい。
【0026】
このように構成すれば、レベル特定手段により特定される信号レベルが第1しきい値以上となった回数が所定回数に到達した場合に、無線信号の信号レベルが第1しきい値以上である旨を報知することができる。
【0027】
また、報知手段による報知は、第1しきい値以上となった周波数が連続する周波数である場合にのみ行われるように構成してもよく、このためには、上記構成を、例えば、請求項7に記載のように構成するとよい。
【0028】
請求項7に記載の無線検知器は、前記周波数切替手段が周波数を順次切り替える過程において、該切り替えられる周波数それぞれの無線信号について前記レベル特定手段により特定される信号レベルが連続して前記第1しきい値以上となった回数をカウントする回数カウント手段を備えて、前記カウント手段によりカウントされた回数が所定の回数に到達している場合に、前記報知手段が、信号レベルが第1しきい値以上である旨を報知する。
【0029】
このように構成すれば、レベル特定手段により特定される信号レベルが第1しきい値以上となった回数が連続して所定回数となった場合に、無線信号の信号レベルが第1しきい値以上である旨を報知することができる。
【0030】
また、この構成においては、カウント手段が、レベル特定手段により特定される信号レベルが連続して第1しきい値以上となった回数をカウントしているため、その特定される信号レベルが何らかの外乱で第1しきい値よりも僅かに小さな信号レベルになった場合であっても、カウント手段によるカウントがやり直されてしまう。その結果、所定の周波数帯域の無線信号においてその信号レベルが本来第1しきい値以上であるにも拘わらず、その旨を報知することができなくなってしまう恐れがある。
【0031】
このようなことを防止するためには、上記構成を、例えば、請求項8に記載の無線検知器のように構成するとよい。
この無線検知器において、前記回数カウント手段は、前記周波数切替手段が周波数を順次切り替える過程において、前記レベル特定手段により特定される信号レベルが前記第1しきい値以上である場合に回数をカウントし、信号レベルが前記第1しきい値未満であって該第1しきい値よりも小さい第2しきい値以上である場合に回数のカウントを行わず、また、信号レベルが前記第2しきい値未満である場合に回数のカウント値を初期値に戻す、ように構成されている。
【0032】
このように構成すれば、レベル特定手段により特定される信号レベルが第1しきい値よりも小さな信号レベルであっても、その信号レベルが第1しきい値よりも小さい第2しきい値以上であれば、カウント手段によるカウントがやり直されてしまうことはない。
【0033】
そのため、第2しきい値として何らかの外乱で第1しきい値よりも小さくなりうる信号レベルを設定しておくことにより、そのような外乱の影響を抑えて、所定の周波数帯域の無線信号においてその信号レベルが第1しきい値以上である旨を報知できなくなってしまうことを防止できる。
【0034】
また、上述のように、所定の周波数帯域にわたって受信部の切り替えを行う構成においては、単一の周波数帯域のみについてその切り替えを実施するように構成すればよいが、複数の周波数帯域それぞれについて、その切り替えを実施するように構成してもよい。
【0035】
このためには、請求項6から8のいずれかに記載の構成を、例えば、請求項9に記載の無線検知器のように構成するとよい。
この無線検知器においては、前記受信部が受信可能な複数の周波数帯域それぞれについて、前記周波数切替手段による周波数帯域にわたる周波数の切り替え、前記レベル特定手段による信号レベルの特定、報知手段による報知を、繰り返させる繰り返し手段を備えている。
【0036】
このように構成すれば、複数の周波数帯域それぞれについて、その周波数帯域を複数に分割した場合における各周波数それぞれへの切り替えだけでなく、信号レベルの特定および報知手段による報知を繰り返し実施することができる。
【0037】
なお、この構成における「複数の周波数帯域」は、それぞれ一部の周波数が重なっている周波数帯域であってもよいし、それぞれ全く周波数が重ならない周波数大域であってもよい。
【0038】
また、請求項10に記載のプログラムは、請求項1から9のいずれかに記載の全ての手段として機能させるための各種処理手順をコンピュータシステムに実行させるためのプログラムである。
【0039】
このプログラムにより制御されるコンピュータシステムは、請求項1から9のいずれかに記載の無線検知器の一部を構成することができる。
なお、このようなプログラムは、各種記録媒体や通信回線を介して無線検知器やこれを利用するユーザに提供されるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(1)第1実施形態
(1−1)全体構成
無線検知器1は、図1に示すように、RFモジュール10,フィルタ20,マイクロコンピュータ(マイコン)30,警報LED42,電源LED44,出力回路50,通信部60,設定スイッチ(SW)70,電源回路80などを備えている。
【0041】
RFモジュール10は、アンテナを介して所定周波数帯域(本実施形態においては、960MHz〜2450MHz)の無線信号を受信する受信部110,受信部110により受信された無線信号のうちマイコン30から指令された周波数成分を選択的に出力(選局)する選局部120,選局部120から出力される信号の信号レベル(電界強度)を検出するRSSI(Recieving Signal Strength Indicator )出力回路130,選局部120から出力される信号を検波する検波部140などからなる。
【0042】
フィルタ20は、検波部140により検波された信号のうち、特定の映像信号に相当する周波数帯域(本実施形態においては、15.75kHz)を通過させるフィルタである。
【0043】
マイコン30は、内蔵されたメモリに記憶されたプログラムに従って無線検知器1全体の動作を制御する。
警報LED42は、マイコン30からの指令を受けて点灯または消灯するLEDであり、電源LED44は、無線検知器1が起動している状態において点灯するLEDである。
【0044】
出力回路50は、マイコン30からの指令を受けて、無線検知器1外部(外部警告装置200)への報知用信号の出力を制御する。
通信部60は、無線検知器1とデータ通信可能な他の装置との間におけるデータ通信を制御する。
【0045】
設定スイッチ70は、通信部60を介してマイコン30のファームウェアを更新する際に操作するスイッチである。
電源回路80は、外部電源(ACアダプタ)に基づいて電源を生成し、その電源を無線検知器1の構成要素それぞれに供給する。
【0046】
なお、本無線検知器1は、図2に示す筐体に実装される。また、本無線検知器1の一般仕様を図3,図4に示し、動作仕様を図5に示す。
(1−2)マイコンによる処理
以下に、無線検知器1が起動した以降、マイコン30により実行される処理の手順を、図6に基づいて説明する。
【0047】
まず、周波数テーブルに登録された周波数のうち、以降の処理で処理対象となっていない周波数が選択される(S110)。本実施形態において、マイコン30の内蔵メモリには、960MHz〜2450MHzを所定周波数間隔で分割した場合における複数の周波数それぞれが登録された周波数テーブルが記憶されている。そのため、このS110では、周波数テーブルを参照して周波数の選択が行われる。なお、このS110にて全ての周波数が処理対象となった後は、このS110が次に行われるときに、全ての周波数が処理対象となっていないものとしてクリアされた後、再度、処理対象となっていない周波数の選択が行われることとなる。
【0048】
次に、S110で選択された周波数がスキャンされる(S120)。ここでは、S110で選択された周波数を選局すべき旨が選局部120に対してなされる。この指令を受けた選局部120は、その指令に従ってS110で選択された周波数の選局を行い、その周波数の信号をRSSI出力回路130および検波部140それぞれに出力するようになる。
【0049】
次に、RSSI出力回路130から信号の出力がなされたか否かがチェックされ(S130)、出力がなされていないと判定された場合(S130:NO)、S110へ戻る。一方、出力がなされていると判定された場合(S130:YES)、RSSI出力回路130により出力された信号の信号レベル(電界強度)がチェックされる(S140)。ここでは、画像や音声を正確に得る(解析して画像や音声を特定する)ことのできる信号レベルを「しきい値」として信号レベルのチェックが行われる。
【0050】
このS140で、RSSI出力回路130により検出された信号の信号レベルが所定のしきい値以上の信号レベルでないと判定された場合(S140:NO)、プロセスがS110へ戻る。
【0051】
一方、S140で、RSSI出力回路130により出力された信号の信号レベルが所定のしきい値以上の信号レベルであると判定された場合(S140:YES)、報知条件を充足しているか否かがチェックされる(S150)。ここでは、直前に行われたS120以降、S130,S140共に「YES」と判定されてS150に到達した回数がカウントされると共に、そのカウント値が所定回数(例えば、5回)に到達していることをもって、報知条件を充足していると判定される。なお、上記カウント値が所定回数に到達する間での期間は、何らかの要因により突発的に発生する無関係な信号を充分に排除できる程度の期間として定められたものである。
【0052】
このS150で、報知条件を充足していないと判定された場合(S150:NO)、プロセスがS120へ戻る。
一方、S150で、報知条件を充足していると判定された場合(S150:YES)、上記カウント値がリセットされたうえで、オプション設定がONになっているか否かがチェックされる(S160)。本実施形態においては、マイコン30の内蔵メモリに、フィルタ20からの信号による判定を行うべき旨を示す情報が記憶されている場合に、オプション設定がONになっていると判定される。
【0053】
このS160で、オプション設定がONになっていると判定された場合(S160:YES)、フィルタ20から信号が入力されているか否かがチェックされる(S170)。
このS170で、フィルタ20からの信号が入力されていないと判定された場合(S170:NO)、プロセスがS110へ戻る。
【0054】
一方、S170で、フィルタ20からの信号が入力されていると判定された場合(S170:YES)、報知が開始される(S180)。ここでは、警報LED42が点灯させられると共に、出力回路50を介しての無線検知器1外部への報知用信号の出力が行われることによって、報知が行われる。なお、この報知用信号は、無線検知器1と接続された外部警告装置200へと出力され、この報知用信号を受けた外部警告装置200が、その仕様に応じた警告を行う。
【0055】
次に、S180による報知が開始された以降、所定の報知時間(例えば、10秒)を経過したか否かがチェックされる(S190)。
このS190で、所定の報知時間が経過していないと判定された場合(S190:NO)、プロセスがS180へ戻り、報知が継続される。
【0056】
一方、S190で、所定の報知時間が経過していると判定された場合(S190:YES)、あらかじめ定められた待機時間(例えば、10秒)の待機がなされた後(S200)、プロセスがS110へ戻る。
【0057】
また、上述したS160で、オプション設定がONになっていないと判定された場合(S160:NO)、S170が行われることなく、プロセスがS180へ移行して以降の処理が行われる。
(1−3)作用,効果
このように構成された無線検知器1によれば、RFモジュール10により受信される無線信号の周波数が、マイコン30からの指令により順次切り替えられるため、その周波数の信号が受信されたか否かをマイコン30側で効率的にチェックすることができる。そして、実際に受信された際には、その旨を図6のS180にて報知することができる。この報知により、ユーザによる盗撮や盗聴の効率的な発見を補助できる。
【0058】
また、無線検知器1に対してオプション設定がなされていれば(図6のS160で「YES」)、受信部110により受信される無線信号が搬送波であるような場合には、そこに報知対象となる周波数成分が変調されている信号の有無を、フィルタ20からの信号出力でチェックすることができる(同図S170)。本実施形態において、フィルタ20は、無線信号を検波してなる信号のうち、映像信号に相当する周波数成分を通過させるものであるため、その信号出力があった場合には、これを盗撮の根拠として報知を行うことができる。
【0059】
また、マイコン30は、受信部110にて受信された無線信号の信号レベルがしきい値以上である場合にのみ(図6のS140で「YES」)、その後の処理を経て報知を実現することができる。本実施形態においては、そのしきい値として、無線信号にてやりとりされる画像や音声などが正確に得られると想定されるレベルが設定されているため、画像や音声などが正確に得られない可能性の高い(つまり、盗撮,盗聴の可能性が低い)無線信号に基づいて無用な報知を行ってしまうことを防止することができる。
【0060】
また、マイコン30は、受信部110により無線信号が受信されたとしても、その受信が報知条件を充足するまでの間継続した場合にのみ(図6のS150で「YES」)、その後の処理を経て報知を実現することができる。本実施形態では、報知条件が充足されるまでの期間として、何らかの要因により突発的に発生する信号を充分に排除できる程度の期間が設定されているため、画像や音声をやりとりするための信号である可能性の低い無線信号に基づいて無用な報知を行ってしまうことを防止することができる。
(1−4)変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
【0061】
例えば、上記実施形態においては、フィルタ20が映像信号に相当する周波数帯域を通過させる構成となっている場合を例示した。しかし、このフィルタ20については、盗聴の根拠となりうる音声信号の周波数成分を通過させる構成としてもよい。
(1−5)本発明との対応関係
以上説明した実施形態において、検波部140は本発明における検波手段である。
【0062】
また、図6のS110,S120は本発明における周波数切替手段であり、同図S180は本発明における報知手段であり、同図S130,S140は本発明におけるレベル検出手段である。
(2)第2実施形態
(2−1)全体構成
本実施形態における無線検知器2は、第1実施形態における無線検知器1とその一部構成要素が異なるだけであるため、同じ構成要素については同じ符号を付して詳細な説明を省略すると共に、その相違点についてのみ詳述する。
【0063】
この無線検知器2は、図7に示すように、RFモジュール10,マイコン30,警報LED42,電源LED44,異常LED46,出力回路50,通信部60,電源回路80,メディアドライブ90などを備えている。
【0064】
RFモジュール10は、受信部110,選局部120,RSSI出力回路130の他、マイコン30からの指令により選局部120を制御すると共にRSSI出力回路130からの出力結果をマイコン30に通知するRFコントロール回路150などからなる。
【0065】
警報LED42,電源LED44,異常LED46は、それぞれLEDからなるランプと、このランプを駆動する駆動回路とで構成され、マイコン30からの指令を受けた駆動回路によりランプの点灯および消灯が制御される。
【0066】
出力回路50は、マイコン30からの指令を受けている状況において閉鎖される接点(Nomal Open)からなるA接点出力回路52と、指令を受けている状況において開放される接点(Nomal Contact)からなるB接点出力回路54と、で構成される。
【0067】
電源回路80には、後述する電源スイッチ82が設けられており、この電源スイッチ82が操作されることにより、各構成要素への電源供給の開始による無線検知器2の起動と、各構成要素への電源供給の停止による無線検知器2の動作終了と、が実現される。
【0068】
メディアドライブ90は、メモリカードなどのように無線検知器2本体に対して着脱可能な外部記憶装置(メモリ92)との間で通信可能であって、そのメモリ92に対するデータの記憶および読み出しをマイコン30からの指令を受けて制御する。本実施形態において、このメモリ92は、後述する無線検知処理をマイコン30に実行させるためのプログラム,および,この無線検知処理において参照される設定データがあらかじめ記憶された状態でメディアドライブ90にセットされるものである。
【0069】
ここで、上述した「設定ファイル」とは、図8に示すように、グループ管理セッション(Search_Group)と、サーチバンク設定セッション(Search_Bank)と、からなるデータである。
【0070】
まず、グループ管理セッション(Search_Group)は、信号として検出すべき最低の信号レベル(1から255V/m)を示す変数「Level_sql」、後述する処理で警告を行う条件を示す変数「alarm_on_count」などからなる。これらのうち、変数「alarm_on_count」には、あらかじめ所定の数字(本実施形態では、1から10のうちのいずれか)がセットされており、この数字は、後述のように警告を行うための条件となるものである。
【0071】
また、サーチバンク設定セッション(Search_Bank)は、所定の周波数帯域それぞれに関するサーチ情報(サーチバンク)を、各周波数帯域それぞれに対応するデータレコードとして登録したデータテーブルとして構成されている。
【0072】
このサーチ情報には、各サーチ情報の通し番号およびこのサーチ情報に基づいて後述の処理を行うか否かを示す「使用バンク」、周波数帯域を示す「下限周波数」と「上限周波数」、RFモジュール10により受信または復調すべき信号の変調方式を示す「モード」、後述する処理で信号の検出を行う周波数の間隔を示す「ステップ周波数」、注意を促すべき信号レベルのしきい値を示す「ワーニングしきい値」、警告すべき信号レベルのしきい値を示す「アラームしきい値」、後述の処理において無線検知器2の電源をオフにすべきか否かを示す「電源OFF」などがある。
【0073】
なお、上述した「アラームしきい値」とは、その信号レベルにより特定周波数の無線信号を受信した場合に、その無線信号で示される情報の内容(画像や音声)を特定できる程度の信号レベルを示す値のことである。また、上述した「ワーニングしきい値」とは、アラームしきい値の信号が何らかの外乱で小さい信号レベルとなってしまう場合におけるその信号レベルとして想定される値のことである。
【0074】
以上説明した無線検知器2は、図9に示すように、筐体300内に収納された状態で使用される。この筐体300において、正面パネル310には、メディアドライブ90へのメモリ92の着脱を実現するための孔311,電源スイッチ82を筐体300外部へ露出させるための孔313,電源LED44による光を筐体300外部に導くための孔315,異常LED46による光を筐体300外部に導くための孔317,警報LED42による光を筐体300外部に導くための孔319がそれぞれ形成されている。
【0075】
また、背面パネル320には、受信部110に接続されたアンテナを筐体300外部に導くための孔322、コネクタ62を筐体300外部に露出させるための孔324、出力回路50の有するコネクタ56を筐体300の外部に露出させるための孔326、電源回路80の有するコネクタ84を筐体300外部に露出させるための孔328がそれぞれ形成されている。
【0076】
なお、本無線検知器2の一般仕様を図10に示す。この一般仕様におけるパラメータは、本発明の技術的範囲に属する一例にすぎないため、各パラメータを技術的範囲に属する限りにおいて変更できることはいうまでもない。
(2−2)マイコンによる無線検知処理
以下に、無線検知器2が起動した以降、マイコン30により実行される無線検知処理の手順を図11に基づいて説明する。この無線検知処理は、あらかじめメモリ92に記憶されたプログラムを読み出したうえで実行されるものである。つまり、マイコン30は、その起動直後に、メモリ92のうち、上記プログラムに対応する記憶領域を最初に読み出すように設定されている。
【0077】
この無線検知処理が起動すると、まず、初期化処理が行われる(s310)。ここでは、各種変数やパラメータの初期化、各LED部の動作確認(所定パターンでの点灯,点滅)、電源LED44におけるランプの点灯、警報LED42および異常LED46におけるランプの消灯などの後、メモリ92における設定ファイルへのアクセスが行われる。なお、警報LED42および異常LED46におけるランプの消灯は、マイコン30から各LEDに対してランプを消灯すべき旨の指令がなされることで実現される。
【0078】
次に、s310にてアクセスされた設定ファイルが適切な形式にて記述されているか否かがチェックされる(s320)。ここでは、メモリ92に設定ファイルが記憶されているか否かのチェックを経て、その設定ファイルが適切な形式にて記述されているか否かがチェックされる。
【0079】
このs320で、設定ファイルが記憶されていない,または,記憶されている設定ファイルが適切な形式にて記述されていないと判定された場合(s320:NO)、異常LED46のランプが点滅を開始した後(s330)、本無線検知処理が終了する。このs330では、マイコン30から異常LED46に対してランプを点滅させるべき旨の指令がなされ、この指令を受けた異常LED46が駆動回路によりランプを点滅させる。
【0080】
こうして異常LED46のランプが点滅を開始した後、ユーザは、メモリ92に適切な設定ファイルを記憶させたり、メモリ92に記憶された設定ファイルを適切な形式で記述されたものに更新する作業を行った後、電源スイッチ82を操作して本無線検知器2を再起動(リスタート)させることにより、本無線検知処理を再度実行させることとなる。
【0081】
また、上述したs320で、設定ファイルが適切な形式にて記述されていると判定された場合(s320:YES)、その設定ファイルがメモリ92から読み出される(s350)。
【0082】
次に、s350にて読み出された設定ファイルの「サーチバンク設定セッション」におけるサーチ情報の中に、未処理のサーチ情報(以降の処理で参照されていないサーチ情報)が存在しているか否かがチェックされる(s360)。
【0083】
このs360で未処理のサーチ情報が存在していると判定された場合(s360:YES)、それら未処理のサーチ情報の中から、以降の処理で参照すべきサーチ情報が抽出される(s370)。ここでは、以降の処理で参照されていないサーチ情報のうち、「使用バンク」で示される通し番号の最も小さいサーチ情報が抽出される。
【0084】
次に、初期値「0」の変数Fに、s370にて抽出されたサーチ情報の「下限周波数」がセットされる(s380)。
次に、s370にて抽出されたサーチ情報に基づく全ての周波数への切り替えが終了しているか否かがチェックされる(s390)。ここでは、変数Fにセットされている値が、s370にて抽出されたサーチ情報の「上限周波数」異常の値となっている場合に、全ての周波数への切り替えが終了していると判定される。
【0085】
このs390で、サーチ情報に基づく全ての周波数への切り替えが終了していないと判定された場合(s390:NO)、RFモジュール10に対して、受信すべき信号の周波数を、この時点で変数Fにセットされている周波数へと切り替えるべき旨が指令される(s400)。この指令を受けたRFモジュール10は、その指令に係る周波数成分を選局部120により選択的に出力させ、その出力信号の信号レベルをRSSI出力回路130により検出した後、その検出結果をRFコントロール回路150により通知してくる。
【0086】
また、このs400では、メモリ92に記憶されたログテーブルに、その切り替えを指令した周波数を登録する処理も併せて行われる。このログテーブルとは、サーチ情報毎に用意された(該当するサーチ情報に対応するものが用意されていない場合には、このs400にて生成される)ものであって、サーチ情報それぞれについて切り替えを指令した周波数毎の検出結果,その検出結果で示される信号レベルとしきい値との関係(以降、「しきい値関係」という),および,後述する報知の開始・終了タイミング(以降、「報知タイミング」という)と、検出結果で示される信号レベルの累積値と、を登録するためのデータテーブルである。そして、このs400では、該当するログテーブルに対し、切り替えを指令した周波数が登録されることとなる。
【0087】
こうして、s400により周波数の切り替えが指令された後、RFコントロール回路150から通知される検出結果が取得される(s410)。この検出結果は、s400による指令に係る周波数成分の信号についての信号レベルを示すものである。
【0088】
また、このs410では、該当するログテーブルに登録されている周波数のうち、直前に行われたs400にて切り替えが指令された周波数に対応する検出結果として、その取得された検出結果(で示される信号レベル)を登録する処理が併せて行われる。
【0089】
次に、このs410にて取得された検出結果で示される信号レベルが、該当するログテーブルにおける累積値に加算される(s420)。
次に、s410にて取得された検出結果で示される信号レベルがチェックされ(s430,s440)、その信号レベルが、「アラームしきい値」以上であると判定された場合(s430:YES,s440:YES)、初期値「0」の変数Nがインクリメント(N+1→N)される(s450)。この変数Nは、信号レベルが「アラームしきい値」以上となった回数をセットするためのものである。また、このs450では、該当するログテーブルに登録されている「しきい値関係」のうち、直前に行われたs400にて切り替えが指令された周波数に対応する「しきい値関係」として、「アラームしきい値以上」である旨を登録する処理が併せて行われる。
【0090】
また、検出結果で示される信号レベルが、「ワーニングしきい値以上」でないと判定された場合(s430:NO)、上記変数Nが初期化される(s460)。ここでは、変数Nに「0」をセットすることにより初期化が行われる。また、このs460では、該当するログテーブルに登録されている「しきい値関係」のうち、直前に行われたs400にて切り替えが指令された周波数に対応する「しきい値関係」として、「ワーニングしきい値未満」である旨を登録する処理が併せて行われる。
【0091】
そして、検出結果で示される信号レベルが、「ワーニングしきい値」以上であるが、「アラームしきい値」以上ではないと判定された場合(s430:YES,s440:NO)、各LEDおよび出力回路50の動作状態が初期状態に戻される(s470)。
【0092】
このs470では、まず、マイコン30から、異常LED46,警告LED42に対して消灯すべき旨の指令がなされ、この指令を受けた各LED部が駆動回路によりランプを消灯させることで、各LED部の動作状態が初期状態へと戻る。そして、マイコン30からA接点出力回路52,B接点出力回路54それぞれに対して指令がなされている場合であれば、その指令が行われなくなることにより、各出力回路の動作状態が初期状態へと戻る。
【0093】
また、このs470では、該当するログテーブルに登録されている「しきい値関係」のうち、直前に行われたs400にて切り替えが指令された周波数に対応する「しきい値関係」として、「ワーニングしきい値以上ワーニングしきい値未満」である旨を登録する処理と、同ログテーブルに登録されている「警告タイミング」のうち、直前に行われたs400にて切り替えが指令された周波数に対応する「警告タイミング」として、「警告を終了」した旨を登録する処理と、が併せて行われる。
【0094】
こうして、s450〜s470のいずれかが行われた後、上記変数Nにセットされている値がチェックされ(s480)、その値が、s350にて読み出された設定ファイルの「グループ管理セッション」における変数「alarm_on_count」の値以上であると判定された場合(s480:YES)、各LEDおよび出力回路50の動作状態が報知状態へと変更され(s490)、所定時間(例えば、500ms)の待機がなされた後で(s500)、次の処理(s510)へとプロセスが移行する。
【0095】
このs490では、まず、マイコン30から、警報LED42に対して点灯すべき旨の指令がなされ、この指令を受けた警報LED42が駆動回路によりランプを点灯させることで、この警報LED42の動作状態が報知状態へと変更される。そして、マイコン30からA接点出力回路52,B接点出力回路54それぞれに対して所定パターンで接点を開放または閉鎖させるべく指令がなされ、この指令を受けたA接点出力回路52,B接点出力回路54それぞれが所定パターンで接点を開放または閉鎖させることで、この出力回路50の動作状態が報知状態へと変更される。こうして、ユーザに対して、無線信号の信号レベルがアラームしきい値以上となっている旨を報知している。
【0096】
また、このs490では、該当するログテーブルに登録されている「報知タイミング」のうち、直前に行われたs400にて切り替えが指令された周波数に対応する「報知タイミング」として、「報知を開始」した旨を登録する処理と、が併せて行われる。
【0097】
また、上述したs480で、変数Nの値が、「alarm_on_count」の値以上ではないと判定された場合(s480:NO)、s500,s510が行われることなく、次の処理(s510)へとプロセスが移行する。
【0098】
次に、s370にて抽出されたサーチ情報の「サーチバンク設定セッション」における「電源OFF」が、電源をオフにすべき旨の内容(OFF)であるか否かがチェックされる(s510)。
【0099】
このs510で、「電源OFF」が電源をオフにすべき旨の内容(OFF)であると判定された場合(s510:YES)、電源LED44のランプが点滅を開始する(s520)。ここでは、マイコン30から電源LED44に対してランプを点滅させるべき旨の指令がなされ、この指令を受けた電源LED44が駆動回路によりランプを点滅させる。
【0100】
こうして電源LED44のランプが点滅を開始した後、所定時間(例えば、4s)だけ待機状態となり(s530)、ユーザは、この間に、本無線検知処理を終了すべきと考えている場合であれば、電源スイッチ82を操作して本無線検知器2の動作を終了させるといった作業を行うこととなる。こうして、s520にてランプが点滅を開始した以降、所定時間が経過するまでの間に、電源スイッチ82が操作されると、本無線検知器2の動作終了に伴って本無線検知処理が終了する。
【0101】
その一方、上述したs530で、電源スイッチ82が操作されることなく所定期間が経過したら、s520にて点滅を開始した電源LED44のランプが消灯する(s540)。このs540では、マイコン30から電源LED44に対してランプを消灯すべき旨の指令がなされ、この指令を受けた電源LED44が駆動回路によりランプを消灯させる。
【0102】
そして、上記変数Fにs370にて抽出されたサーチ情報の「ステップ周波数」が加算されたうえで(s550)、プロセスがs390へ戻る。
こうして、プロセスがs390へ戻った以降は、変数Fの値が上限周波数に到達するまで、この時点における変数Fにセットされた周波数に基づいてs390〜s540が行われた後、s550にて変数Fにステップ周波数が加算されたうえでプロセスがs390へ戻る、といった処理が繰り返される。つまり、周波数の切り替えが、サーチ情報の「下限周波数」から「上限周波数」までの周波数帯域について、「ステップ周波数」毎に昇順で行われることになる。
【0103】
このs390〜s540が繰り返される過程においては、信号レベルが「alarm_on_count」の値だけ、連続してアラームしきい値以上となった場合に報知が行われ(図12における「Alarm ON」参照)、信号レベルがアラームしきい値未満となった際にその報知が終了することとなる(同図「Alarm OFF」参照)。
【0104】
そして、変数Fの値が上限周波数に到達するまでs390〜s550が繰り返されると、s390でサーチ情報に基づく全ての周波数への切り替えが終了していると判定され(s390:YES)、プロセスがs360へ戻る。
【0105】
こうして、プロセスがs360へ戻った以降は、未処理のサーチ情報それぞれについて、s370〜s550が行われ、全てのサーチ情報についての処理が行われると、s360で未処理のサーチ情報が存在していないと判定され(s360:NO)、本無線検知処理が終了する。
(2−3)作用,効果
このように構成された無線検知器2によれば、第1実施形態と同様の構成により得られる作用,効果の他、次に示すような作用,効果を得ることができる。
【0106】
例えば、上記無線検知器2では、RFモジュール10により受信される無線信号の周波数をマイコン30からの指令により順次切り替えることができるため、それら周波数の信号が受信されたか否かを効率的にチェックすることができる。そして、切り替えられる周波数それぞれにつき、受信部で受信される無線信号の信号レベルがワーニングしきい値以上である場合には、その旨を図11のs490にて報知することができる。この報知により、ユーザによる盗撮や盗聴の効率的な発見を補助することができる。
【0107】
また、上記実施形態においては、周波数の切り替えが、サーチ情報の「下限周波数」から「上限周波数」までの周波数帯域について昇順で行われるように構成されている。そのため、複数種類の周波数の無線信号それぞれが、アラームしきい値以上の信号レベルにて受信されているか否かを、特定の周波数帯域について昇順でチェックすることができる。
【0108】
また、上記実施形態では、図11のs390〜s540が繰り返される過程において、信号レベルが「alarm_on_count」の値だけ、連続してアラームしきい値以上となった場合に警告を行うことができる。
【0109】
また、図11のs430〜s460では、同図s400にて周波数の切り替えが順次行われる過程において、s410にて取得した検出結果で示される信号レベルがアラームしきい値以上である場合に変数Nをインクリメントし、その信号レベルがアラームしきい値未満であってワーニングしきい値以上である場合に変数Nのカウントを行わず、また、その信号レベルがワーニングしきい値未満である場合に変数Nを初期化している。
【0110】
そのため、同図s410にて取得した検出結果で示される信号レベルがアラームしきい値よりも小さな信号レベルであっても、その信号レベルがワーニングしきい値以上であれば、変数Nのインクリメントがやり直されてしまうことがない。
【0111】
そして、このワーニングしきい値は、アラームしきい値の信号が何らかの外乱で小さい信号レベルとなってしまう場合におけるその信号レベルとして想定される値であるため、そのような外乱の影響を抑えて、所定の周波数帯域の無線信号においてその信号レベルがアラームしきい値以上である旨を報知できなくなってしまうことを防止できる。
【0112】
また、上記実施形態においては、設定データに複数のサーチ情報が含まれており、各サーチ情報に基づいて同図s400による周波数の切り替え,同図s420による検出結果の取得,同図s490による報知を、繰り返し実行するように構成されている(同図s360〜s550)。
【0113】
そのため、各サーチ情報で規定された複数種類の周波数帯域それぞれについて、その周波数帯域を複数に分割した場合における各周波数それぞれへの切り替えだけでなく、検出結果に基づく信号レベルの特定,および,信号レベルがアラームしきい値以上である旨の報知を繰り返し実施することができる。
(2−4)変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
【0114】
例えば、上記実施形態において、図11のs490において変更される各LED部および出力回路50の動作状態については、任意の状態を設定できるように構成してもよい。
このためには、例えば、メモリ92に上記動作状態を示す状態データを記憶しておき、この状態データを読み出すと共に、この状態データで示される動作状態を同図s490にて変更すべき動作状態として設定する、といった処理を、同図s310にて初期化処理の一環として実行するように構成すればよい。
【0115】
ここでいう「動作状態」とは、警報LED42におけるランプの点灯を行うか否か、警報LED42におけるランプをどのようなパターンで点灯させるか、出力回路50それぞれを作動させるか否か、出力回路50それぞれをどのようなパターンで作動させるか、ランプをどのような条件の下に消灯させるか、出力回路50の動作をどのような条件の下に終了させるか、といったことである。
【0116】
これらのうち、点灯または作動のパターンとは、ランプであれば、点灯または点滅(明滅それぞれの時間を含む)のことであり、出力回路50であれば、継続的に動作させるのか断続的に動作させるのか(動作時間を含む)といったことである。
【0117】
また、消灯または動作を終了させる条件とは、上記実施形態と同様に信号レベルがアラームしきい値未満となったことの他、s490にて点灯または作動させてから所定の時間が経過したことや、信号レベルがアラームしきい値未満となってから所定の時間が経過したことなどが考えられる。
【0118】
このような経過時間を条件とする場合には、s500による所定時間を消灯または終了させるまでの経過時間とし、このs500の後で消灯または終了させるための処理を行ってからs510へ移行する、または、s450で「NO」と判定されてから上記経過時間だけ待機したあとでs470へ移行する、ように構成すればよい。
【0119】
なお、s490で警報LEDのランプ42を常に点灯させることを前提に、出力回路50を作動させるパターン(alarm_on_type)、出力回路50の動作を終了させる条件としての経過時間(alarm_on_time)、出力回路50の動作を終了させるおよびランプを消灯させるパターン(alarm_off_type)、出力回路50の動作を終了させるおよびランプを消灯させる条件としての経過時間(alarm_off_time)を任意に設定できることとした場合の状態データを以下に示す。また、この場合における状態データの具体的なデータ構造を図13(a)に示し、各状態の設定パターン(1〜5)を図13(b)に示す。
・alarm_on_type:出力回路50を作動させるパターンを継続的(0)なものとするか、断続的な所定回数のパルス状(1)のものとするか
・alarm_on_time:出力回路50を作動させるパルスのON時間
・alarm_off_type:経過時間で消灯および終了させるのか(0)、s470にて消灯および終了させるのか(1)
・alarm_off_time:経過時間で消灯および終了させる場合の具体的な経過時間
また、上記実施形態においては、RFモジュール10に対する周波数の切り替えが、無線検知処理(図11)にてマイコン30により随時指令されるように構成されたものを例示した。しかし、このような周波数の切り替えについては、マイコン30からのサーチ情報の提供を受けたRFモジュール10が自主的に行い、その都度、検出結果をマイコン30に通知するように構成してもよい。
【0120】
この場合、s370でサーチ情報を抽出した後、図14に示すように、このサーチ情報をRFモジュール10に出力し(s372)、それ以降、そのサーチ情報に基づく全ての検出結果が取得されるまで(s374:NO)、RFモジュール10から随時通知されてくる検出結果を待ちつつ(s376)、そうして随時通知されてくる検出結果に基づくs410〜s500を繰り返し行い、そのサーチ情報に基づく全ての検出結果が取得されたら(s374:YES)、s360へ戻るように構成すればよい。
【0121】
また、設定ファイルから抽出したサーチ情報だけでなく、この設定ファイルにおける全てのサーチ情報を一括してRFモジュール10に出力して、サーチ情報の抽出についてもRFモジュール10側で行われるように構成してもよい。
【0122】
また、上記実施形態においては、s360で「NO」と判定された場合に、無線検知処理を終了するように構成されたものを例示したが、こうして「NO」と判定された場合には、プロセスがs310またはs320へと戻るように構成し、常時無線信号の検知を行うようにしてもよい。
【0123】
また、上記実施形態では、上述した無線検知処理(図11)が、メモリ92に記憶されたプログラムを読み出したうえで実行されるように構成されたものを例示した。しかし、この無線検知処理は、マイコン30の内蔵メモリに記憶されたプログラムに従って実行されるように構成してもよい。
【0124】
また、上記実施形態では、図11のs400〜s490において随時ログテーブルへのパラメータの登録が行われるように構成されたものを例示した。しかし、これら処理では、ログテーブルへの登録を行わず、または、ログテーブルへの登録と併せて、各パラメータを、通信部60を介して外部へと出力するように構成してもよい。
【0125】
なお、この場合には、ログテーブルへの登録およびパラメータの外部への出力をするか否かをあらかじめ設定できるように構成してもよい。具体的には、登録および出力を行うか否かを示すデータをメモリ92に実施データとして記憶しておき、この実施データを読み出すと共にその内容に基づいて、ログテーブルへの登録およびパラメータの外部への出力を行うか否かを設定する、といった処理を、図11のs310にて初期化処理の一環として実行するといった構成とすることが考えられる。この場合、s400〜s490では、その設定内容に応じてログテーブルへの登録およびパラメータの外部への出力のうち、いずれか一方または両方を実施するように構成すればよい。
【0126】
また、上記実施形態においては、周波数の切り替えが、サーチ情報の「下限周波数」から「上限周波数」までの周波数帯域について昇順で行われるように構成されたものを例示した。しかし、この周波数の切り替えについては、「上限周波数」から「下限周波数」までの周波数帯域について「ステップ周波数」毎に降順で行われるように構成してもよい。このためには、例えば、サーチ情報を記述する際の規則を、「上限周波数」から「下限周波数」までの周波数帯域について「ステップ周波数」毎に降順で行われるように規定すればよい。
【0127】
また、上記実施形態においては、図11のs390〜s540が繰り返される過程において、信号レベルが「alarm_on_count」の値だけ、連続してアラームしきい値以上となった場合に警告が行われるように構成されたものを例示した。しかし、このように連続しているか否かに拘わらず、信号レベルが「alarm_on_count」の値だけ、アラームしきい値以上となった場合に警告が行われるように構成してもよい。
【0128】
このためには、図11のs370の後で同図s440と同様に変数Nを初期化してから同図s380へ移行するようにし、また、同図s440で、ログテーブルに登録されている「しきい値関係」に「ワーニングしきい値未満」である旨を登録する処理のみが行われるように構成すればよい。
(2−5)本発明との対応関係
以上説明した実施形態において、アラームしきい値が本発明における第1しきい値であり、ワーニングしきい値が本発明における第2しきい値である。
【0129】
また、図11のs380,s400,s550は本発明における周波数切替手段であり、同図s410は本発明におけるレベル特定手段であり、同図s490は本発明における報知手段であり、同図s440,s460は本発明における回数カウント手段であり、同図s380,s390は本発明における繰り返し手段である。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】第1実施形態における無線検知器の全体構成を示すブロック図
【図2】第1実施形態における無線検知器が実装される筐体を示す四面図
【図3】第1実施形態における無線検知器の一般仕様を示す図(1/2)
【図4】第1実施形態における無線検知器の一般仕様を示す図(2/2)
【図5】第1実施形態における無線検知器の動作仕様を示す図
【図6】第1実施形態におけるマイコンにより実行される処理を示すフローチャート
【図7】第2実施形態における無線検知器の全体構成を示すブロック図
【図8】第2実施形態における設定ファイルのデータ構造を示す図
【図9】第2実施形態における無線検知器が実装される筐体を示す三面図
【図10】第2実施形態における無線検知器の一般仕様を示す図
【図11】第2実施形態における無線検知処理を示すフローチャート
【図12】第2実施形態における無線検知処理での信号レベルの遷移状態を示すグラフ
【図13】別の実施形態における状態データのデータ構造(a),および,状態データで示される各状態の設定パターンを示す表(b)を示す図
【図14】別の実施形態における無線検知処理を示すフローチャート
【符号の説明】
【0131】
1…無線検知器、2…無線検知器、10…RFモジュール、20…フィルタ、30…マイコン、42…警報LED、44…電源LED、46…異常LED50…出力回路、52…A接点出力回路、54…B接点出力回路、56…コネクタ、60…通信部、62…コネクタ、70…設定スイッチ、80…電源回路、82…電源スイッチ、84…コネクタ、90…メディアドライブ、92…メモリ、110…受信部、120…選局部、130…RSSI出力回路、140…検波部、150…RFコントロール回路、200…外部警告装置、300…筐体、310…正面パネル、311〜319…孔、320…背面パネル、322〜328…孔。
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線信号を検知する無線検知器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、周辺の画像や音声を無線信号により送信する機器による盗撮,盗聴が社会問題になっている。
このような盗撮,盗聴を防ぐための技術として、例えば、1以上の受信器それぞれから電界強度データを受信し、その電界強度データで示される電界強度を盗聴電波が存在しない状態での電界強度と比較することにより、盗聴電波の有無を監視する、といった技術が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−263692号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述したような盗撮,盗聴に用いられる機器は、様々な周波数で無線信号をやりとりしているため、上述した技術であっても、特定の周波数により無線信号をやりとりしている機器を効率的に発見することは困難であるという問題がある。
【0004】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、盗撮,盗聴を効率的に発見するための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため請求項1に記載の無線検知器は、複数種類の周波数それぞれの無線信号を受信可能な受信部に対し、該受信部が受信可能な無線信号の周波数を複数種類の周波数それぞれに順次切り替える周波数切替手段と、該周波数切替手段により切り替えられた周波数につき、該周波数の無線信号が前記受信部により受信された場合に、その旨の報知を行う報知手段と、を備えている。
【0006】
このように構成された無線検知器によれば、受信部により受信される無線信号の周波数が、周波数切替手段により順次切り替えられるため、その周波数の信号が受信されたか否かを効率的にチェックすることができる。そして、実際に受信された際には、その旨を報知手段により報知することができる。この報知により、ユーザによる盗撮や盗聴の効率的な発見を補助できる。
【0007】
なお、この構成における報知手段は、所定の無線信号が受信された旨を報知することができれば、その具体的な構成については特に限定されない。例えば、無線検知器本体に取り付けたランプやLEDを点灯させることにより報知を行う構成とすることが考えられる。また、無線検知器とデータ通信可能な他の装置宛に、所定の情報を送信することにより報知を行う構成とすることも考えられる。
【0008】
また、上記構成においては、周波数切替手段により切り替えられた周波数の無線信号が受信されたことをもって、直ちに報知手段による報知を行う構成とすればよい。ただし、その周波数の無線信号が単なる搬送波であるような場合には、ここに盗撮,盗聴の根拠になりうる信号が変調されているときにのみ、報知を行うように構成することが望ましい。
【0009】
そのためには、例えば、請求項2に記載のように、前記周波数切替手段により切り替えられた周波数につき、該周波数の無線信号が前記受信部により受信された場合に、該受信された無線信号を検波する検波手段を備えており、前記報知手段は、前記検波手段により検波することにより得られる信号が、あらかじめ定められた報知対象を示す信号である場合に、その旨の報知を行う、ように構成されているとよい。
【0010】
このように構成すれば、無線信号が受信された際、そこに報知対象となる周波数の信号が変調されていた場合にのみ報知を行うことができる。そのため、報知対象を示す信号として、盗撮,盗聴の根拠となりうる映像信号や音声信号を示す特定周波数の信号を設定しておくことにより、無線信号に盗撮,盗聴の根拠になりうる信号が変調されているといえるときにのみ報知を行うことができる。
【0011】
また、上述した報知手段は、無線信号が受信されたことをもって、その信号レベルに拘わらず報知を行うような構成とすればよい。ただ、その信号レベルが低ければ、無線信号にてやりとりされる画像や音声などが正確に得られない可能性が高いため、そのような場合に報知をしないようにすることも考えられる。
【0012】
そのためには、例えば、請求項3に記載のように、前記無線信号が前記受信部により受信された際に、該受信された無線信号の信号レベルを検出するレベル検出手段を備えており、前記報知手段は、前記レベル検出手段により検出された信号レベルが所定のしきい値以上である場合に報知を行う、ように構成することが考えられる。
【0013】
このように構成すれば、受信部により受信された無線信号の信号レベルが所定のしきい値以上である場合のみ、報知手段による報知を行うことができる。そのため、そのしきい値として、無線信号にてやりとりされる画像や音声などが正確に得られるレベルを設定しておくことで、画像や音声などが正確に得られない可能性の高い(つまり、盗撮,盗聴の可能性が低い)無線信号に基づいて無用な報知を行ってしまうことを防止することができる。
【0014】
また、上述した報知手段は、無線信号が受信されたことをもって、直ちに報知を行うような構成とすればよい。ただ、そのような無線信号が何らかのトラブルにより突発的に発生した信号には、画像や音声をやりとりするための信号でない可能性が高いため、そのような場合に報知をしないようにすることも考えられる。
【0015】
そのためには、例えば、請求項4に記載のように、報知手段が、前記切り替えられた周波数の無線信号が前記受信部に所定期間にわたって継続的に受信されている場合に、その旨の報知を行う、ように構成することが考えられる。
【0016】
このように構成すれば、受信部により無線信号が受信されたら、その受信が所定期間にわたり継続した場合にのみ、報知を行うことができる。そのため、その所定期間として、突発的に発生する信号を充分に排除できる程度の期間を設定しておくことで、画像や音声をやりとりするための信号である可能性の低い無線信号に基づいて無用な報知を行ってしまうことを防止することができる。
【0017】
また、上記課題を解決するため請求項5に記載の無線検知器は、複数種類の周波数それぞれの無線信号を受信可能な受信部に対し、該受信部が受信可能な無線信号の周波数を順次切り替える周波数切替手段と、該周波数切替手段により周波数が切り替えられる毎に、前記受信部に受信される無線信号の信号レベルを特定するレベル特定手段と、該レベル特定手段により特定された信号レベルが所定の第1しきい値以上である場合に、その旨を報知する報知手段と、を備えている。
【0018】
このように構成された無線検知器によれば、受信部により受信される無線信号の周波数を周波数切替手段により順次切り替えることができるため、それら周波数の信号が受信されたか否かを効率的にチェックすることができる。そして、切り替えられる周波数それぞれにつき、受信部で受信される無線信号の信号レベルが所定の第1しきい値以上である場合には、その旨を報知手段により報知することができる。この報知により、ユーザによる盗撮や盗聴の効率的な発見を補助することができる。
【0019】
なお、この構成における報知手段は、所定の無線信号が受信された旨を報知することができれば、その具体的な構成については特に限定されない。例えば、無線検知器本体に取り付けたランプやLEDを点灯させることにより報知を行う構成とすることが考えられる。また、無線検知器とデータ通信可能な他の装置宛に、所定の情報を送信することにより報知を行う構成とすることも考えられる。
【0020】
また、この報知手段が報知を行う基準となる「第1しきい値」とは、無線信号にてやりとりされる画像や音声などを特定できる程度の信号レベルに設定しておけばよい。
また、上述した周波数切替手段は、受信部が受信可能な無線信号の周波数であれば、どのような順番で切り替えるように構成してもよい。
【0021】
例えば、請求項6に記載のように、前記受信部が受信可能な無線信号の周波数を、所定の周波数帯域を複数に分割した場合における各周波数それぞれに昇順または降順で切り替えるように構成することが考えられる。
【0022】
このように構成すれば、複数種類の周波数の無線信号それぞれが、第1のしきい値以上の信号レベルにて受信されているか否かを、昇順または降順でチェックすることができる。
【0023】
なお、このように、昇順または降順でチェックを行う構成においては、レベル特定手段により特定される信号レベルが第1しきい値を以上となる毎に、報知手段による報知が行われるように構成してもよいし、レベル特定手段により特定される信号レベルが第1しきい値以上となった回数に応じて報知手段による報知が行われるように構成してもよい。
【0024】
特に、この後者の場合には、所定の周波数帯域全体において、レベル特定手段により特定される信号レベルが第1しきい値以上となった回数が所定回数に到達していれば、その第1しきい値以上となった周波数が連続する周波数であるか否かに拘わらず、報知が行われるように構成すればよい。
【0025】
このためには、前記周波数切替手段が周波数を順次切り替える過程において、該切り替えられる周波数それぞれの無線信号について前記レベル特定手段により特定される信号レベルが前記第1しきい値以上となった回数をカウントする回数カウント手段を備え、前記カウント手段によりカウントされた回数が所定の回数に到達している場合に、前記報知手段が、信号レベルが第1しきい値以上である旨を報知する、ように構成すればよい。
【0026】
このように構成すれば、レベル特定手段により特定される信号レベルが第1しきい値以上となった回数が所定回数に到達した場合に、無線信号の信号レベルが第1しきい値以上である旨を報知することができる。
【0027】
また、報知手段による報知は、第1しきい値以上となった周波数が連続する周波数である場合にのみ行われるように構成してもよく、このためには、上記構成を、例えば、請求項7に記載のように構成するとよい。
【0028】
請求項7に記載の無線検知器は、前記周波数切替手段が周波数を順次切り替える過程において、該切り替えられる周波数それぞれの無線信号について前記レベル特定手段により特定される信号レベルが連続して前記第1しきい値以上となった回数をカウントする回数カウント手段を備えて、前記カウント手段によりカウントされた回数が所定の回数に到達している場合に、前記報知手段が、信号レベルが第1しきい値以上である旨を報知する。
【0029】
このように構成すれば、レベル特定手段により特定される信号レベルが第1しきい値以上となった回数が連続して所定回数となった場合に、無線信号の信号レベルが第1しきい値以上である旨を報知することができる。
【0030】
また、この構成においては、カウント手段が、レベル特定手段により特定される信号レベルが連続して第1しきい値以上となった回数をカウントしているため、その特定される信号レベルが何らかの外乱で第1しきい値よりも僅かに小さな信号レベルになった場合であっても、カウント手段によるカウントがやり直されてしまう。その結果、所定の周波数帯域の無線信号においてその信号レベルが本来第1しきい値以上であるにも拘わらず、その旨を報知することができなくなってしまう恐れがある。
【0031】
このようなことを防止するためには、上記構成を、例えば、請求項8に記載の無線検知器のように構成するとよい。
この無線検知器において、前記回数カウント手段は、前記周波数切替手段が周波数を順次切り替える過程において、前記レベル特定手段により特定される信号レベルが前記第1しきい値以上である場合に回数をカウントし、信号レベルが前記第1しきい値未満であって該第1しきい値よりも小さい第2しきい値以上である場合に回数のカウントを行わず、また、信号レベルが前記第2しきい値未満である場合に回数のカウント値を初期値に戻す、ように構成されている。
【0032】
このように構成すれば、レベル特定手段により特定される信号レベルが第1しきい値よりも小さな信号レベルであっても、その信号レベルが第1しきい値よりも小さい第2しきい値以上であれば、カウント手段によるカウントがやり直されてしまうことはない。
【0033】
そのため、第2しきい値として何らかの外乱で第1しきい値よりも小さくなりうる信号レベルを設定しておくことにより、そのような外乱の影響を抑えて、所定の周波数帯域の無線信号においてその信号レベルが第1しきい値以上である旨を報知できなくなってしまうことを防止できる。
【0034】
また、上述のように、所定の周波数帯域にわたって受信部の切り替えを行う構成においては、単一の周波数帯域のみについてその切り替えを実施するように構成すればよいが、複数の周波数帯域それぞれについて、その切り替えを実施するように構成してもよい。
【0035】
このためには、請求項6から8のいずれかに記載の構成を、例えば、請求項9に記載の無線検知器のように構成するとよい。
この無線検知器においては、前記受信部が受信可能な複数の周波数帯域それぞれについて、前記周波数切替手段による周波数帯域にわたる周波数の切り替え、前記レベル特定手段による信号レベルの特定、報知手段による報知を、繰り返させる繰り返し手段を備えている。
【0036】
このように構成すれば、複数の周波数帯域それぞれについて、その周波数帯域を複数に分割した場合における各周波数それぞれへの切り替えだけでなく、信号レベルの特定および報知手段による報知を繰り返し実施することができる。
【0037】
なお、この構成における「複数の周波数帯域」は、それぞれ一部の周波数が重なっている周波数帯域であってもよいし、それぞれ全く周波数が重ならない周波数大域であってもよい。
【0038】
また、請求項10に記載のプログラムは、請求項1から9のいずれかに記載の全ての手段として機能させるための各種処理手順をコンピュータシステムに実行させるためのプログラムである。
【0039】
このプログラムにより制御されるコンピュータシステムは、請求項1から9のいずれかに記載の無線検知器の一部を構成することができる。
なお、このようなプログラムは、各種記録媒体や通信回線を介して無線検知器やこれを利用するユーザに提供されるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(1)第1実施形態
(1−1)全体構成
無線検知器1は、図1に示すように、RFモジュール10,フィルタ20,マイクロコンピュータ(マイコン)30,警報LED42,電源LED44,出力回路50,通信部60,設定スイッチ(SW)70,電源回路80などを備えている。
【0041】
RFモジュール10は、アンテナを介して所定周波数帯域(本実施形態においては、960MHz〜2450MHz)の無線信号を受信する受信部110,受信部110により受信された無線信号のうちマイコン30から指令された周波数成分を選択的に出力(選局)する選局部120,選局部120から出力される信号の信号レベル(電界強度)を検出するRSSI(Recieving Signal Strength Indicator )出力回路130,選局部120から出力される信号を検波する検波部140などからなる。
【0042】
フィルタ20は、検波部140により検波された信号のうち、特定の映像信号に相当する周波数帯域(本実施形態においては、15.75kHz)を通過させるフィルタである。
【0043】
マイコン30は、内蔵されたメモリに記憶されたプログラムに従って無線検知器1全体の動作を制御する。
警報LED42は、マイコン30からの指令を受けて点灯または消灯するLEDであり、電源LED44は、無線検知器1が起動している状態において点灯するLEDである。
【0044】
出力回路50は、マイコン30からの指令を受けて、無線検知器1外部(外部警告装置200)への報知用信号の出力を制御する。
通信部60は、無線検知器1とデータ通信可能な他の装置との間におけるデータ通信を制御する。
【0045】
設定スイッチ70は、通信部60を介してマイコン30のファームウェアを更新する際に操作するスイッチである。
電源回路80は、外部電源(ACアダプタ)に基づいて電源を生成し、その電源を無線検知器1の構成要素それぞれに供給する。
【0046】
なお、本無線検知器1は、図2に示す筐体に実装される。また、本無線検知器1の一般仕様を図3,図4に示し、動作仕様を図5に示す。
(1−2)マイコンによる処理
以下に、無線検知器1が起動した以降、マイコン30により実行される処理の手順を、図6に基づいて説明する。
【0047】
まず、周波数テーブルに登録された周波数のうち、以降の処理で処理対象となっていない周波数が選択される(S110)。本実施形態において、マイコン30の内蔵メモリには、960MHz〜2450MHzを所定周波数間隔で分割した場合における複数の周波数それぞれが登録された周波数テーブルが記憶されている。そのため、このS110では、周波数テーブルを参照して周波数の選択が行われる。なお、このS110にて全ての周波数が処理対象となった後は、このS110が次に行われるときに、全ての周波数が処理対象となっていないものとしてクリアされた後、再度、処理対象となっていない周波数の選択が行われることとなる。
【0048】
次に、S110で選択された周波数がスキャンされる(S120)。ここでは、S110で選択された周波数を選局すべき旨が選局部120に対してなされる。この指令を受けた選局部120は、その指令に従ってS110で選択された周波数の選局を行い、その周波数の信号をRSSI出力回路130および検波部140それぞれに出力するようになる。
【0049】
次に、RSSI出力回路130から信号の出力がなされたか否かがチェックされ(S130)、出力がなされていないと判定された場合(S130:NO)、S110へ戻る。一方、出力がなされていると判定された場合(S130:YES)、RSSI出力回路130により出力された信号の信号レベル(電界強度)がチェックされる(S140)。ここでは、画像や音声を正確に得る(解析して画像や音声を特定する)ことのできる信号レベルを「しきい値」として信号レベルのチェックが行われる。
【0050】
このS140で、RSSI出力回路130により検出された信号の信号レベルが所定のしきい値以上の信号レベルでないと判定された場合(S140:NO)、プロセスがS110へ戻る。
【0051】
一方、S140で、RSSI出力回路130により出力された信号の信号レベルが所定のしきい値以上の信号レベルであると判定された場合(S140:YES)、報知条件を充足しているか否かがチェックされる(S150)。ここでは、直前に行われたS120以降、S130,S140共に「YES」と判定されてS150に到達した回数がカウントされると共に、そのカウント値が所定回数(例えば、5回)に到達していることをもって、報知条件を充足していると判定される。なお、上記カウント値が所定回数に到達する間での期間は、何らかの要因により突発的に発生する無関係な信号を充分に排除できる程度の期間として定められたものである。
【0052】
このS150で、報知条件を充足していないと判定された場合(S150:NO)、プロセスがS120へ戻る。
一方、S150で、報知条件を充足していると判定された場合(S150:YES)、上記カウント値がリセットされたうえで、オプション設定がONになっているか否かがチェックされる(S160)。本実施形態においては、マイコン30の内蔵メモリに、フィルタ20からの信号による判定を行うべき旨を示す情報が記憶されている場合に、オプション設定がONになっていると判定される。
【0053】
このS160で、オプション設定がONになっていると判定された場合(S160:YES)、フィルタ20から信号が入力されているか否かがチェックされる(S170)。
このS170で、フィルタ20からの信号が入力されていないと判定された場合(S170:NO)、プロセスがS110へ戻る。
【0054】
一方、S170で、フィルタ20からの信号が入力されていると判定された場合(S170:YES)、報知が開始される(S180)。ここでは、警報LED42が点灯させられると共に、出力回路50を介しての無線検知器1外部への報知用信号の出力が行われることによって、報知が行われる。なお、この報知用信号は、無線検知器1と接続された外部警告装置200へと出力され、この報知用信号を受けた外部警告装置200が、その仕様に応じた警告を行う。
【0055】
次に、S180による報知が開始された以降、所定の報知時間(例えば、10秒)を経過したか否かがチェックされる(S190)。
このS190で、所定の報知時間が経過していないと判定された場合(S190:NO)、プロセスがS180へ戻り、報知が継続される。
【0056】
一方、S190で、所定の報知時間が経過していると判定された場合(S190:YES)、あらかじめ定められた待機時間(例えば、10秒)の待機がなされた後(S200)、プロセスがS110へ戻る。
【0057】
また、上述したS160で、オプション設定がONになっていないと判定された場合(S160:NO)、S170が行われることなく、プロセスがS180へ移行して以降の処理が行われる。
(1−3)作用,効果
このように構成された無線検知器1によれば、RFモジュール10により受信される無線信号の周波数が、マイコン30からの指令により順次切り替えられるため、その周波数の信号が受信されたか否かをマイコン30側で効率的にチェックすることができる。そして、実際に受信された際には、その旨を図6のS180にて報知することができる。この報知により、ユーザによる盗撮や盗聴の効率的な発見を補助できる。
【0058】
また、無線検知器1に対してオプション設定がなされていれば(図6のS160で「YES」)、受信部110により受信される無線信号が搬送波であるような場合には、そこに報知対象となる周波数成分が変調されている信号の有無を、フィルタ20からの信号出力でチェックすることができる(同図S170)。本実施形態において、フィルタ20は、無線信号を検波してなる信号のうち、映像信号に相当する周波数成分を通過させるものであるため、その信号出力があった場合には、これを盗撮の根拠として報知を行うことができる。
【0059】
また、マイコン30は、受信部110にて受信された無線信号の信号レベルがしきい値以上である場合にのみ(図6のS140で「YES」)、その後の処理を経て報知を実現することができる。本実施形態においては、そのしきい値として、無線信号にてやりとりされる画像や音声などが正確に得られると想定されるレベルが設定されているため、画像や音声などが正確に得られない可能性の高い(つまり、盗撮,盗聴の可能性が低い)無線信号に基づいて無用な報知を行ってしまうことを防止することができる。
【0060】
また、マイコン30は、受信部110により無線信号が受信されたとしても、その受信が報知条件を充足するまでの間継続した場合にのみ(図6のS150で「YES」)、その後の処理を経て報知を実現することができる。本実施形態では、報知条件が充足されるまでの期間として、何らかの要因により突発的に発生する信号を充分に排除できる程度の期間が設定されているため、画像や音声をやりとりするための信号である可能性の低い無線信号に基づいて無用な報知を行ってしまうことを防止することができる。
(1−4)変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
【0061】
例えば、上記実施形態においては、フィルタ20が映像信号に相当する周波数帯域を通過させる構成となっている場合を例示した。しかし、このフィルタ20については、盗聴の根拠となりうる音声信号の周波数成分を通過させる構成としてもよい。
(1−5)本発明との対応関係
以上説明した実施形態において、検波部140は本発明における検波手段である。
【0062】
また、図6のS110,S120は本発明における周波数切替手段であり、同図S180は本発明における報知手段であり、同図S130,S140は本発明におけるレベル検出手段である。
(2)第2実施形態
(2−1)全体構成
本実施形態における無線検知器2は、第1実施形態における無線検知器1とその一部構成要素が異なるだけであるため、同じ構成要素については同じ符号を付して詳細な説明を省略すると共に、その相違点についてのみ詳述する。
【0063】
この無線検知器2は、図7に示すように、RFモジュール10,マイコン30,警報LED42,電源LED44,異常LED46,出力回路50,通信部60,電源回路80,メディアドライブ90などを備えている。
【0064】
RFモジュール10は、受信部110,選局部120,RSSI出力回路130の他、マイコン30からの指令により選局部120を制御すると共にRSSI出力回路130からの出力結果をマイコン30に通知するRFコントロール回路150などからなる。
【0065】
警報LED42,電源LED44,異常LED46は、それぞれLEDからなるランプと、このランプを駆動する駆動回路とで構成され、マイコン30からの指令を受けた駆動回路によりランプの点灯および消灯が制御される。
【0066】
出力回路50は、マイコン30からの指令を受けている状況において閉鎖される接点(Nomal Open)からなるA接点出力回路52と、指令を受けている状況において開放される接点(Nomal Contact)からなるB接点出力回路54と、で構成される。
【0067】
電源回路80には、後述する電源スイッチ82が設けられており、この電源スイッチ82が操作されることにより、各構成要素への電源供給の開始による無線検知器2の起動と、各構成要素への電源供給の停止による無線検知器2の動作終了と、が実現される。
【0068】
メディアドライブ90は、メモリカードなどのように無線検知器2本体に対して着脱可能な外部記憶装置(メモリ92)との間で通信可能であって、そのメモリ92に対するデータの記憶および読み出しをマイコン30からの指令を受けて制御する。本実施形態において、このメモリ92は、後述する無線検知処理をマイコン30に実行させるためのプログラム,および,この無線検知処理において参照される設定データがあらかじめ記憶された状態でメディアドライブ90にセットされるものである。
【0069】
ここで、上述した「設定ファイル」とは、図8に示すように、グループ管理セッション(Search_Group)と、サーチバンク設定セッション(Search_Bank)と、からなるデータである。
【0070】
まず、グループ管理セッション(Search_Group)は、信号として検出すべき最低の信号レベル(1から255V/m)を示す変数「Level_sql」、後述する処理で警告を行う条件を示す変数「alarm_on_count」などからなる。これらのうち、変数「alarm_on_count」には、あらかじめ所定の数字(本実施形態では、1から10のうちのいずれか)がセットされており、この数字は、後述のように警告を行うための条件となるものである。
【0071】
また、サーチバンク設定セッション(Search_Bank)は、所定の周波数帯域それぞれに関するサーチ情報(サーチバンク)を、各周波数帯域それぞれに対応するデータレコードとして登録したデータテーブルとして構成されている。
【0072】
このサーチ情報には、各サーチ情報の通し番号およびこのサーチ情報に基づいて後述の処理を行うか否かを示す「使用バンク」、周波数帯域を示す「下限周波数」と「上限周波数」、RFモジュール10により受信または復調すべき信号の変調方式を示す「モード」、後述する処理で信号の検出を行う周波数の間隔を示す「ステップ周波数」、注意を促すべき信号レベルのしきい値を示す「ワーニングしきい値」、警告すべき信号レベルのしきい値を示す「アラームしきい値」、後述の処理において無線検知器2の電源をオフにすべきか否かを示す「電源OFF」などがある。
【0073】
なお、上述した「アラームしきい値」とは、その信号レベルにより特定周波数の無線信号を受信した場合に、その無線信号で示される情報の内容(画像や音声)を特定できる程度の信号レベルを示す値のことである。また、上述した「ワーニングしきい値」とは、アラームしきい値の信号が何らかの外乱で小さい信号レベルとなってしまう場合におけるその信号レベルとして想定される値のことである。
【0074】
以上説明した無線検知器2は、図9に示すように、筐体300内に収納された状態で使用される。この筐体300において、正面パネル310には、メディアドライブ90へのメモリ92の着脱を実現するための孔311,電源スイッチ82を筐体300外部へ露出させるための孔313,電源LED44による光を筐体300外部に導くための孔315,異常LED46による光を筐体300外部に導くための孔317,警報LED42による光を筐体300外部に導くための孔319がそれぞれ形成されている。
【0075】
また、背面パネル320には、受信部110に接続されたアンテナを筐体300外部に導くための孔322、コネクタ62を筐体300外部に露出させるための孔324、出力回路50の有するコネクタ56を筐体300の外部に露出させるための孔326、電源回路80の有するコネクタ84を筐体300外部に露出させるための孔328がそれぞれ形成されている。
【0076】
なお、本無線検知器2の一般仕様を図10に示す。この一般仕様におけるパラメータは、本発明の技術的範囲に属する一例にすぎないため、各パラメータを技術的範囲に属する限りにおいて変更できることはいうまでもない。
(2−2)マイコンによる無線検知処理
以下に、無線検知器2が起動した以降、マイコン30により実行される無線検知処理の手順を図11に基づいて説明する。この無線検知処理は、あらかじめメモリ92に記憶されたプログラムを読み出したうえで実行されるものである。つまり、マイコン30は、その起動直後に、メモリ92のうち、上記プログラムに対応する記憶領域を最初に読み出すように設定されている。
【0077】
この無線検知処理が起動すると、まず、初期化処理が行われる(s310)。ここでは、各種変数やパラメータの初期化、各LED部の動作確認(所定パターンでの点灯,点滅)、電源LED44におけるランプの点灯、警報LED42および異常LED46におけるランプの消灯などの後、メモリ92における設定ファイルへのアクセスが行われる。なお、警報LED42および異常LED46におけるランプの消灯は、マイコン30から各LEDに対してランプを消灯すべき旨の指令がなされることで実現される。
【0078】
次に、s310にてアクセスされた設定ファイルが適切な形式にて記述されているか否かがチェックされる(s320)。ここでは、メモリ92に設定ファイルが記憶されているか否かのチェックを経て、その設定ファイルが適切な形式にて記述されているか否かがチェックされる。
【0079】
このs320で、設定ファイルが記憶されていない,または,記憶されている設定ファイルが適切な形式にて記述されていないと判定された場合(s320:NO)、異常LED46のランプが点滅を開始した後(s330)、本無線検知処理が終了する。このs330では、マイコン30から異常LED46に対してランプを点滅させるべき旨の指令がなされ、この指令を受けた異常LED46が駆動回路によりランプを点滅させる。
【0080】
こうして異常LED46のランプが点滅を開始した後、ユーザは、メモリ92に適切な設定ファイルを記憶させたり、メモリ92に記憶された設定ファイルを適切な形式で記述されたものに更新する作業を行った後、電源スイッチ82を操作して本無線検知器2を再起動(リスタート)させることにより、本無線検知処理を再度実行させることとなる。
【0081】
また、上述したs320で、設定ファイルが適切な形式にて記述されていると判定された場合(s320:YES)、その設定ファイルがメモリ92から読み出される(s350)。
【0082】
次に、s350にて読み出された設定ファイルの「サーチバンク設定セッション」におけるサーチ情報の中に、未処理のサーチ情報(以降の処理で参照されていないサーチ情報)が存在しているか否かがチェックされる(s360)。
【0083】
このs360で未処理のサーチ情報が存在していると判定された場合(s360:YES)、それら未処理のサーチ情報の中から、以降の処理で参照すべきサーチ情報が抽出される(s370)。ここでは、以降の処理で参照されていないサーチ情報のうち、「使用バンク」で示される通し番号の最も小さいサーチ情報が抽出される。
【0084】
次に、初期値「0」の変数Fに、s370にて抽出されたサーチ情報の「下限周波数」がセットされる(s380)。
次に、s370にて抽出されたサーチ情報に基づく全ての周波数への切り替えが終了しているか否かがチェックされる(s390)。ここでは、変数Fにセットされている値が、s370にて抽出されたサーチ情報の「上限周波数」異常の値となっている場合に、全ての周波数への切り替えが終了していると判定される。
【0085】
このs390で、サーチ情報に基づく全ての周波数への切り替えが終了していないと判定された場合(s390:NO)、RFモジュール10に対して、受信すべき信号の周波数を、この時点で変数Fにセットされている周波数へと切り替えるべき旨が指令される(s400)。この指令を受けたRFモジュール10は、その指令に係る周波数成分を選局部120により選択的に出力させ、その出力信号の信号レベルをRSSI出力回路130により検出した後、その検出結果をRFコントロール回路150により通知してくる。
【0086】
また、このs400では、メモリ92に記憶されたログテーブルに、その切り替えを指令した周波数を登録する処理も併せて行われる。このログテーブルとは、サーチ情報毎に用意された(該当するサーチ情報に対応するものが用意されていない場合には、このs400にて生成される)ものであって、サーチ情報それぞれについて切り替えを指令した周波数毎の検出結果,その検出結果で示される信号レベルとしきい値との関係(以降、「しきい値関係」という),および,後述する報知の開始・終了タイミング(以降、「報知タイミング」という)と、検出結果で示される信号レベルの累積値と、を登録するためのデータテーブルである。そして、このs400では、該当するログテーブルに対し、切り替えを指令した周波数が登録されることとなる。
【0087】
こうして、s400により周波数の切り替えが指令された後、RFコントロール回路150から通知される検出結果が取得される(s410)。この検出結果は、s400による指令に係る周波数成分の信号についての信号レベルを示すものである。
【0088】
また、このs410では、該当するログテーブルに登録されている周波数のうち、直前に行われたs400にて切り替えが指令された周波数に対応する検出結果として、その取得された検出結果(で示される信号レベル)を登録する処理が併せて行われる。
【0089】
次に、このs410にて取得された検出結果で示される信号レベルが、該当するログテーブルにおける累積値に加算される(s420)。
次に、s410にて取得された検出結果で示される信号レベルがチェックされ(s430,s440)、その信号レベルが、「アラームしきい値」以上であると判定された場合(s430:YES,s440:YES)、初期値「0」の変数Nがインクリメント(N+1→N)される(s450)。この変数Nは、信号レベルが「アラームしきい値」以上となった回数をセットするためのものである。また、このs450では、該当するログテーブルに登録されている「しきい値関係」のうち、直前に行われたs400にて切り替えが指令された周波数に対応する「しきい値関係」として、「アラームしきい値以上」である旨を登録する処理が併せて行われる。
【0090】
また、検出結果で示される信号レベルが、「ワーニングしきい値以上」でないと判定された場合(s430:NO)、上記変数Nが初期化される(s460)。ここでは、変数Nに「0」をセットすることにより初期化が行われる。また、このs460では、該当するログテーブルに登録されている「しきい値関係」のうち、直前に行われたs400にて切り替えが指令された周波数に対応する「しきい値関係」として、「ワーニングしきい値未満」である旨を登録する処理が併せて行われる。
【0091】
そして、検出結果で示される信号レベルが、「ワーニングしきい値」以上であるが、「アラームしきい値」以上ではないと判定された場合(s430:YES,s440:NO)、各LEDおよび出力回路50の動作状態が初期状態に戻される(s470)。
【0092】
このs470では、まず、マイコン30から、異常LED46,警告LED42に対して消灯すべき旨の指令がなされ、この指令を受けた各LED部が駆動回路によりランプを消灯させることで、各LED部の動作状態が初期状態へと戻る。そして、マイコン30からA接点出力回路52,B接点出力回路54それぞれに対して指令がなされている場合であれば、その指令が行われなくなることにより、各出力回路の動作状態が初期状態へと戻る。
【0093】
また、このs470では、該当するログテーブルに登録されている「しきい値関係」のうち、直前に行われたs400にて切り替えが指令された周波数に対応する「しきい値関係」として、「ワーニングしきい値以上ワーニングしきい値未満」である旨を登録する処理と、同ログテーブルに登録されている「警告タイミング」のうち、直前に行われたs400にて切り替えが指令された周波数に対応する「警告タイミング」として、「警告を終了」した旨を登録する処理と、が併せて行われる。
【0094】
こうして、s450〜s470のいずれかが行われた後、上記変数Nにセットされている値がチェックされ(s480)、その値が、s350にて読み出された設定ファイルの「グループ管理セッション」における変数「alarm_on_count」の値以上であると判定された場合(s480:YES)、各LEDおよび出力回路50の動作状態が報知状態へと変更され(s490)、所定時間(例えば、500ms)の待機がなされた後で(s500)、次の処理(s510)へとプロセスが移行する。
【0095】
このs490では、まず、マイコン30から、警報LED42に対して点灯すべき旨の指令がなされ、この指令を受けた警報LED42が駆動回路によりランプを点灯させることで、この警報LED42の動作状態が報知状態へと変更される。そして、マイコン30からA接点出力回路52,B接点出力回路54それぞれに対して所定パターンで接点を開放または閉鎖させるべく指令がなされ、この指令を受けたA接点出力回路52,B接点出力回路54それぞれが所定パターンで接点を開放または閉鎖させることで、この出力回路50の動作状態が報知状態へと変更される。こうして、ユーザに対して、無線信号の信号レベルがアラームしきい値以上となっている旨を報知している。
【0096】
また、このs490では、該当するログテーブルに登録されている「報知タイミング」のうち、直前に行われたs400にて切り替えが指令された周波数に対応する「報知タイミング」として、「報知を開始」した旨を登録する処理と、が併せて行われる。
【0097】
また、上述したs480で、変数Nの値が、「alarm_on_count」の値以上ではないと判定された場合(s480:NO)、s500,s510が行われることなく、次の処理(s510)へとプロセスが移行する。
【0098】
次に、s370にて抽出されたサーチ情報の「サーチバンク設定セッション」における「電源OFF」が、電源をオフにすべき旨の内容(OFF)であるか否かがチェックされる(s510)。
【0099】
このs510で、「電源OFF」が電源をオフにすべき旨の内容(OFF)であると判定された場合(s510:YES)、電源LED44のランプが点滅を開始する(s520)。ここでは、マイコン30から電源LED44に対してランプを点滅させるべき旨の指令がなされ、この指令を受けた電源LED44が駆動回路によりランプを点滅させる。
【0100】
こうして電源LED44のランプが点滅を開始した後、所定時間(例えば、4s)だけ待機状態となり(s530)、ユーザは、この間に、本無線検知処理を終了すべきと考えている場合であれば、電源スイッチ82を操作して本無線検知器2の動作を終了させるといった作業を行うこととなる。こうして、s520にてランプが点滅を開始した以降、所定時間が経過するまでの間に、電源スイッチ82が操作されると、本無線検知器2の動作終了に伴って本無線検知処理が終了する。
【0101】
その一方、上述したs530で、電源スイッチ82が操作されることなく所定期間が経過したら、s520にて点滅を開始した電源LED44のランプが消灯する(s540)。このs540では、マイコン30から電源LED44に対してランプを消灯すべき旨の指令がなされ、この指令を受けた電源LED44が駆動回路によりランプを消灯させる。
【0102】
そして、上記変数Fにs370にて抽出されたサーチ情報の「ステップ周波数」が加算されたうえで(s550)、プロセスがs390へ戻る。
こうして、プロセスがs390へ戻った以降は、変数Fの値が上限周波数に到達するまで、この時点における変数Fにセットされた周波数に基づいてs390〜s540が行われた後、s550にて変数Fにステップ周波数が加算されたうえでプロセスがs390へ戻る、といった処理が繰り返される。つまり、周波数の切り替えが、サーチ情報の「下限周波数」から「上限周波数」までの周波数帯域について、「ステップ周波数」毎に昇順で行われることになる。
【0103】
このs390〜s540が繰り返される過程においては、信号レベルが「alarm_on_count」の値だけ、連続してアラームしきい値以上となった場合に報知が行われ(図12における「Alarm ON」参照)、信号レベルがアラームしきい値未満となった際にその報知が終了することとなる(同図「Alarm OFF」参照)。
【0104】
そして、変数Fの値が上限周波数に到達するまでs390〜s550が繰り返されると、s390でサーチ情報に基づく全ての周波数への切り替えが終了していると判定され(s390:YES)、プロセスがs360へ戻る。
【0105】
こうして、プロセスがs360へ戻った以降は、未処理のサーチ情報それぞれについて、s370〜s550が行われ、全てのサーチ情報についての処理が行われると、s360で未処理のサーチ情報が存在していないと判定され(s360:NO)、本無線検知処理が終了する。
(2−3)作用,効果
このように構成された無線検知器2によれば、第1実施形態と同様の構成により得られる作用,効果の他、次に示すような作用,効果を得ることができる。
【0106】
例えば、上記無線検知器2では、RFモジュール10により受信される無線信号の周波数をマイコン30からの指令により順次切り替えることができるため、それら周波数の信号が受信されたか否かを効率的にチェックすることができる。そして、切り替えられる周波数それぞれにつき、受信部で受信される無線信号の信号レベルがワーニングしきい値以上である場合には、その旨を図11のs490にて報知することができる。この報知により、ユーザによる盗撮や盗聴の効率的な発見を補助することができる。
【0107】
また、上記実施形態においては、周波数の切り替えが、サーチ情報の「下限周波数」から「上限周波数」までの周波数帯域について昇順で行われるように構成されている。そのため、複数種類の周波数の無線信号それぞれが、アラームしきい値以上の信号レベルにて受信されているか否かを、特定の周波数帯域について昇順でチェックすることができる。
【0108】
また、上記実施形態では、図11のs390〜s540が繰り返される過程において、信号レベルが「alarm_on_count」の値だけ、連続してアラームしきい値以上となった場合に警告を行うことができる。
【0109】
また、図11のs430〜s460では、同図s400にて周波数の切り替えが順次行われる過程において、s410にて取得した検出結果で示される信号レベルがアラームしきい値以上である場合に変数Nをインクリメントし、その信号レベルがアラームしきい値未満であってワーニングしきい値以上である場合に変数Nのカウントを行わず、また、その信号レベルがワーニングしきい値未満である場合に変数Nを初期化している。
【0110】
そのため、同図s410にて取得した検出結果で示される信号レベルがアラームしきい値よりも小さな信号レベルであっても、その信号レベルがワーニングしきい値以上であれば、変数Nのインクリメントがやり直されてしまうことがない。
【0111】
そして、このワーニングしきい値は、アラームしきい値の信号が何らかの外乱で小さい信号レベルとなってしまう場合におけるその信号レベルとして想定される値であるため、そのような外乱の影響を抑えて、所定の周波数帯域の無線信号においてその信号レベルがアラームしきい値以上である旨を報知できなくなってしまうことを防止できる。
【0112】
また、上記実施形態においては、設定データに複数のサーチ情報が含まれており、各サーチ情報に基づいて同図s400による周波数の切り替え,同図s420による検出結果の取得,同図s490による報知を、繰り返し実行するように構成されている(同図s360〜s550)。
【0113】
そのため、各サーチ情報で規定された複数種類の周波数帯域それぞれについて、その周波数帯域を複数に分割した場合における各周波数それぞれへの切り替えだけでなく、検出結果に基づく信号レベルの特定,および,信号レベルがアラームしきい値以上である旨の報知を繰り返し実施することができる。
(2−4)変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
【0114】
例えば、上記実施形態において、図11のs490において変更される各LED部および出力回路50の動作状態については、任意の状態を設定できるように構成してもよい。
このためには、例えば、メモリ92に上記動作状態を示す状態データを記憶しておき、この状態データを読み出すと共に、この状態データで示される動作状態を同図s490にて変更すべき動作状態として設定する、といった処理を、同図s310にて初期化処理の一環として実行するように構成すればよい。
【0115】
ここでいう「動作状態」とは、警報LED42におけるランプの点灯を行うか否か、警報LED42におけるランプをどのようなパターンで点灯させるか、出力回路50それぞれを作動させるか否か、出力回路50それぞれをどのようなパターンで作動させるか、ランプをどのような条件の下に消灯させるか、出力回路50の動作をどのような条件の下に終了させるか、といったことである。
【0116】
これらのうち、点灯または作動のパターンとは、ランプであれば、点灯または点滅(明滅それぞれの時間を含む)のことであり、出力回路50であれば、継続的に動作させるのか断続的に動作させるのか(動作時間を含む)といったことである。
【0117】
また、消灯または動作を終了させる条件とは、上記実施形態と同様に信号レベルがアラームしきい値未満となったことの他、s490にて点灯または作動させてから所定の時間が経過したことや、信号レベルがアラームしきい値未満となってから所定の時間が経過したことなどが考えられる。
【0118】
このような経過時間を条件とする場合には、s500による所定時間を消灯または終了させるまでの経過時間とし、このs500の後で消灯または終了させるための処理を行ってからs510へ移行する、または、s450で「NO」と判定されてから上記経過時間だけ待機したあとでs470へ移行する、ように構成すればよい。
【0119】
なお、s490で警報LEDのランプ42を常に点灯させることを前提に、出力回路50を作動させるパターン(alarm_on_type)、出力回路50の動作を終了させる条件としての経過時間(alarm_on_time)、出力回路50の動作を終了させるおよびランプを消灯させるパターン(alarm_off_type)、出力回路50の動作を終了させるおよびランプを消灯させる条件としての経過時間(alarm_off_time)を任意に設定できることとした場合の状態データを以下に示す。また、この場合における状態データの具体的なデータ構造を図13(a)に示し、各状態の設定パターン(1〜5)を図13(b)に示す。
・alarm_on_type:出力回路50を作動させるパターンを継続的(0)なものとするか、断続的な所定回数のパルス状(1)のものとするか
・alarm_on_time:出力回路50を作動させるパルスのON時間
・alarm_off_type:経過時間で消灯および終了させるのか(0)、s470にて消灯および終了させるのか(1)
・alarm_off_time:経過時間で消灯および終了させる場合の具体的な経過時間
また、上記実施形態においては、RFモジュール10に対する周波数の切り替えが、無線検知処理(図11)にてマイコン30により随時指令されるように構成されたものを例示した。しかし、このような周波数の切り替えについては、マイコン30からのサーチ情報の提供を受けたRFモジュール10が自主的に行い、その都度、検出結果をマイコン30に通知するように構成してもよい。
【0120】
この場合、s370でサーチ情報を抽出した後、図14に示すように、このサーチ情報をRFモジュール10に出力し(s372)、それ以降、そのサーチ情報に基づく全ての検出結果が取得されるまで(s374:NO)、RFモジュール10から随時通知されてくる検出結果を待ちつつ(s376)、そうして随時通知されてくる検出結果に基づくs410〜s500を繰り返し行い、そのサーチ情報に基づく全ての検出結果が取得されたら(s374:YES)、s360へ戻るように構成すればよい。
【0121】
また、設定ファイルから抽出したサーチ情報だけでなく、この設定ファイルにおける全てのサーチ情報を一括してRFモジュール10に出力して、サーチ情報の抽出についてもRFモジュール10側で行われるように構成してもよい。
【0122】
また、上記実施形態においては、s360で「NO」と判定された場合に、無線検知処理を終了するように構成されたものを例示したが、こうして「NO」と判定された場合には、プロセスがs310またはs320へと戻るように構成し、常時無線信号の検知を行うようにしてもよい。
【0123】
また、上記実施形態では、上述した無線検知処理(図11)が、メモリ92に記憶されたプログラムを読み出したうえで実行されるように構成されたものを例示した。しかし、この無線検知処理は、マイコン30の内蔵メモリに記憶されたプログラムに従って実行されるように構成してもよい。
【0124】
また、上記実施形態では、図11のs400〜s490において随時ログテーブルへのパラメータの登録が行われるように構成されたものを例示した。しかし、これら処理では、ログテーブルへの登録を行わず、または、ログテーブルへの登録と併せて、各パラメータを、通信部60を介して外部へと出力するように構成してもよい。
【0125】
なお、この場合には、ログテーブルへの登録およびパラメータの外部への出力をするか否かをあらかじめ設定できるように構成してもよい。具体的には、登録および出力を行うか否かを示すデータをメモリ92に実施データとして記憶しておき、この実施データを読み出すと共にその内容に基づいて、ログテーブルへの登録およびパラメータの外部への出力を行うか否かを設定する、といった処理を、図11のs310にて初期化処理の一環として実行するといった構成とすることが考えられる。この場合、s400〜s490では、その設定内容に応じてログテーブルへの登録およびパラメータの外部への出力のうち、いずれか一方または両方を実施するように構成すればよい。
【0126】
また、上記実施形態においては、周波数の切り替えが、サーチ情報の「下限周波数」から「上限周波数」までの周波数帯域について昇順で行われるように構成されたものを例示した。しかし、この周波数の切り替えについては、「上限周波数」から「下限周波数」までの周波数帯域について「ステップ周波数」毎に降順で行われるように構成してもよい。このためには、例えば、サーチ情報を記述する際の規則を、「上限周波数」から「下限周波数」までの周波数帯域について「ステップ周波数」毎に降順で行われるように規定すればよい。
【0127】
また、上記実施形態においては、図11のs390〜s540が繰り返される過程において、信号レベルが「alarm_on_count」の値だけ、連続してアラームしきい値以上となった場合に警告が行われるように構成されたものを例示した。しかし、このように連続しているか否かに拘わらず、信号レベルが「alarm_on_count」の値だけ、アラームしきい値以上となった場合に警告が行われるように構成してもよい。
【0128】
このためには、図11のs370の後で同図s440と同様に変数Nを初期化してから同図s380へ移行するようにし、また、同図s440で、ログテーブルに登録されている「しきい値関係」に「ワーニングしきい値未満」である旨を登録する処理のみが行われるように構成すればよい。
(2−5)本発明との対応関係
以上説明した実施形態において、アラームしきい値が本発明における第1しきい値であり、ワーニングしきい値が本発明における第2しきい値である。
【0129】
また、図11のs380,s400,s550は本発明における周波数切替手段であり、同図s410は本発明におけるレベル特定手段であり、同図s490は本発明における報知手段であり、同図s440,s460は本発明における回数カウント手段であり、同図s380,s390は本発明における繰り返し手段である。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】第1実施形態における無線検知器の全体構成を示すブロック図
【図2】第1実施形態における無線検知器が実装される筐体を示す四面図
【図3】第1実施形態における無線検知器の一般仕様を示す図(1/2)
【図4】第1実施形態における無線検知器の一般仕様を示す図(2/2)
【図5】第1実施形態における無線検知器の動作仕様を示す図
【図6】第1実施形態におけるマイコンにより実行される処理を示すフローチャート
【図7】第2実施形態における無線検知器の全体構成を示すブロック図
【図8】第2実施形態における設定ファイルのデータ構造を示す図
【図9】第2実施形態における無線検知器が実装される筐体を示す三面図
【図10】第2実施形態における無線検知器の一般仕様を示す図
【図11】第2実施形態における無線検知処理を示すフローチャート
【図12】第2実施形態における無線検知処理での信号レベルの遷移状態を示すグラフ
【図13】別の実施形態における状態データのデータ構造(a),および,状態データで示される各状態の設定パターンを示す表(b)を示す図
【図14】別の実施形態における無線検知処理を示すフローチャート
【符号の説明】
【0131】
1…無線検知器、2…無線検知器、10…RFモジュール、20…フィルタ、30…マイコン、42…警報LED、44…電源LED、46…異常LED50…出力回路、52…A接点出力回路、54…B接点出力回路、56…コネクタ、60…通信部、62…コネクタ、70…設定スイッチ、80…電源回路、82…電源スイッチ、84…コネクタ、90…メディアドライブ、92…メモリ、110…受信部、120…選局部、130…RSSI出力回路、140…検波部、150…RFコントロール回路、200…外部警告装置、300…筐体、310…正面パネル、311〜319…孔、320…背面パネル、322〜328…孔。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の周波数それぞれの無線信号を受信可能な受信部に対し、該受信部が受信可能な無線信号の周波数を複数種類の周波数それぞれに順次切り替える周波数切替手段と、
該周波数切替手段により切り替えられた周波数につき、該周波数の無線信号が前記受信部により受信された場合に、その旨の報知を行う報知手段と、を備えている
ことを特徴とする無線検知器。
【請求項2】
前記周波数切替手段により切り替えられた周波数につき、該周波数の無線信号が前記受信部により受信された場合に、該受信された無線信号を検波する検波手段を備えており、
前記報知手段は、前記検波手段により検波することにより得られる信号が、あらかじめ定められた報知対象を示す信号である場合に、その旨の報知を行う、ように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の無線検知器。
【請求項3】
前記無線信号が前記受信部により受信された際に、該受信された無線信号の信号レベルを検出するレベル検出手段を備えており、
前記報知手段は、前記レベル検出手段により検出された信号レベルが所定のしきい値以上である場合に報知を行う、ように構成されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の無線検知器。
【請求項4】
前記報知手段は、前記切り替えられた周波数の無線信号が前記受信部に所定期間にわたって継続的に受信されている場合に、その旨の報知を行う
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の無線検知器。
【請求項5】
複数種類の周波数それぞれの無線信号を受信可能な受信部に対し、該受信部が受信可能な無線信号の周波数を順次切り替える周波数切替手段と、
該周波数切替手段により周波数が切り替えられる毎に、前記受信部に受信される無線信号の信号レベルを特定するレベル特定手段と、
該レベル特定手段により特定された信号レベルが所定の第1しきい値以上である場合に、その旨を報知する報知手段と、を備えている
ことを特徴とする無線検知器。
【請求項6】
前記周波数切替手段は、前記受信部が受信可能な無線信号の周波数を、所定の周波数帯域を複数に分割した場合における各周波数それぞれに昇順または降順で切り替える
ことを特徴とする請求項5に記載の無線検知器。
【請求項7】
前記周波数切替手段が周波数を順次切り替える過程において、該切り替えられる周波数それぞれの無線信号について前記レベル特定手段により特定される信号レベルが連続して前記第1しきい値以上となった回数をカウントする回数カウント手段を備えており、
前記報知手段は、前記カウント手段によりカウントされた回数が所定の回数に到達している場合に、信号レベルが第1しきい値以上である旨を報知する
ことを特徴とする請求項6に記載の無線検知器。
【請求項8】
前記回数カウント手段は、前記周波数切替手段が周波数を順次切り替える過程において、前記レベル特定手段により特定される信号レベルが前記第1しきい値以上である場合に回数をカウントし、信号レベルが前記第1しきい値未満であって該第1しきい値よりも小さい第2しきい値以上である場合に回数のカウントを行わず、また、信号レベルが前記第2しきい値未満である場合に回数のカウント値を初期値に戻す
ことを特徴とする請求項7に記載の無線検知器。
【請求項9】
前記受信部が受信可能な複数の周波数帯域それぞれについて、前記周波数切替手段による周波数帯域にわたる周波数の切り替え、前記レベル特定手段による信号レベルの特定、報知手段による報知を、繰り返させる繰り返し手段を備えている
ことを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載の無線検知器。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の全ての手段として機能させるための各種処理手順をコンピュータシステムに実行させるためのプログラム。
【請求項1】
複数種類の周波数それぞれの無線信号を受信可能な受信部に対し、該受信部が受信可能な無線信号の周波数を複数種類の周波数それぞれに順次切り替える周波数切替手段と、
該周波数切替手段により切り替えられた周波数につき、該周波数の無線信号が前記受信部により受信された場合に、その旨の報知を行う報知手段と、を備えている
ことを特徴とする無線検知器。
【請求項2】
前記周波数切替手段により切り替えられた周波数につき、該周波数の無線信号が前記受信部により受信された場合に、該受信された無線信号を検波する検波手段を備えており、
前記報知手段は、前記検波手段により検波することにより得られる信号が、あらかじめ定められた報知対象を示す信号である場合に、その旨の報知を行う、ように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の無線検知器。
【請求項3】
前記無線信号が前記受信部により受信された際に、該受信された無線信号の信号レベルを検出するレベル検出手段を備えており、
前記報知手段は、前記レベル検出手段により検出された信号レベルが所定のしきい値以上である場合に報知を行う、ように構成されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の無線検知器。
【請求項4】
前記報知手段は、前記切り替えられた周波数の無線信号が前記受信部に所定期間にわたって継続的に受信されている場合に、その旨の報知を行う
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の無線検知器。
【請求項5】
複数種類の周波数それぞれの無線信号を受信可能な受信部に対し、該受信部が受信可能な無線信号の周波数を順次切り替える周波数切替手段と、
該周波数切替手段により周波数が切り替えられる毎に、前記受信部に受信される無線信号の信号レベルを特定するレベル特定手段と、
該レベル特定手段により特定された信号レベルが所定の第1しきい値以上である場合に、その旨を報知する報知手段と、を備えている
ことを特徴とする無線検知器。
【請求項6】
前記周波数切替手段は、前記受信部が受信可能な無線信号の周波数を、所定の周波数帯域を複数に分割した場合における各周波数それぞれに昇順または降順で切り替える
ことを特徴とする請求項5に記載の無線検知器。
【請求項7】
前記周波数切替手段が周波数を順次切り替える過程において、該切り替えられる周波数それぞれの無線信号について前記レベル特定手段により特定される信号レベルが連続して前記第1しきい値以上となった回数をカウントする回数カウント手段を備えており、
前記報知手段は、前記カウント手段によりカウントされた回数が所定の回数に到達している場合に、信号レベルが第1しきい値以上である旨を報知する
ことを特徴とする請求項6に記載の無線検知器。
【請求項8】
前記回数カウント手段は、前記周波数切替手段が周波数を順次切り替える過程において、前記レベル特定手段により特定される信号レベルが前記第1しきい値以上である場合に回数をカウントし、信号レベルが前記第1しきい値未満であって該第1しきい値よりも小さい第2しきい値以上である場合に回数のカウントを行わず、また、信号レベルが前記第2しきい値未満である場合に回数のカウント値を初期値に戻す
ことを特徴とする請求項7に記載の無線検知器。
【請求項9】
前記受信部が受信可能な複数の周波数帯域それぞれについて、前記周波数切替手段による周波数帯域にわたる周波数の切り替え、前記レベル特定手段による信号レベルの特定、報知手段による報知を、繰り返させる繰り返し手段を備えている
ことを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載の無線検知器。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の全ての手段として機能させるための各種処理手順をコンピュータシステムに実行させるためのプログラム。
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図14】
【図2】
【図8】
【図12】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図14】
【図2】
【図8】
【図12】
【公開番号】特開2007−184898(P2007−184898A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−296494(P2006−296494)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(399031827)エイディシーテクノロジー株式会社 (163)
【出願人】(505453893)有限会社シンクパワー (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(399031827)エイディシーテクノロジー株式会社 (163)
【出願人】(505453893)有限会社シンクパワー (1)
【Fターム(参考)】
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