説明

無線端末

【課題】一次電池等の主電力供給部の消耗をより抑えることができる。
【解決手段】センサ部11はデータを生成する。無線通信部18はデータを無線送信する。電池15は、センサ部11及び無線通信部18に電力を供給する。判定部13はデータの無線送信の送信緊急性の高低を判定する。データを無線通信部18に無線送信させる制御を実施する制御部14は、判定部13により送信緊急性が低いと判定されたデータを無線通信部18に無線送信させる際、無線通信部18には電池15から供給される電力の使用を禁止させる制御を実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線端末に関する。
【背景技術】
【0002】
医療・ヘルスケア分野では、各種センサを備えた端末を用いて人体表面または体内から生体データを収集し、端末が収集した生体データを蓄積装置に転送して蓄積することで、蓄積装置が蓄積した生体データを健康管理や、病気の診断や、治療などに役立てようとする取り組みが盛んに進められている。このような用途では、生体データを転送するために端末と蓄積装置との間を有線ケーブルでつなぐと行動の自由が制限されてしまうため、無線通信で生体データを転送するようにし、端末を自由に持ち歩くことができるようにすることが望ましい。このようなニーズは、医療分野、特に植込み型医療機器ではより大きい。
【0003】
植込み型医療機器は、一般に電力を電池から得て動作する。従って、電池が消耗し電圧が低下した場合には電池交換が必要となる。植込み型医療機器の電池交換には手術が必要であり、患者への負担が大きく感染症等の副作用も発生するため、電池の消耗は極力避けたいとの要望がある。このような要望に対して、振動や、温度差や、光や、電磁波などから電力を生成する技術の検討が進んでいる。例えば、無線通信技術と、電磁波から電力を生成する技術とを組み合わせた製品の例として、非接触ICカードが挙げられる。また、一次電池と、電磁波のエネルギーを整流して蓄電される蓄電用コンデンサとを内蔵し、受信する電磁波が強い場合には蓄電用コンデンサの電力を使用し、受信する電磁波が弱い場合には一次電池を使用して動作することで、一次電池の寿命を延ばすことが可能な非接触ICカードが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−69513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されている非接触ICカードは、電磁波の強度が弱い相手との通信が続くと電池の利用が続いてしまい、一次電池の消耗が大きくなってしまう問題があった。
【0006】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、一次電池等の主電力供給部の消耗をより抑えることができる無線端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、データを生成するセンサ部と、前記データを無線送信する無線通信部と、前記センサ部、及び、前記無線通信部に電力を供給する主電力供給部と、前記データの無線送信の送信緊急性の高低を判定する判定部と、前記データを前記無線通信部に前記無線送信させる制御を実施する制御部であって、前記判定部により前記送信緊急性が低いと判定された前記データを前記無線通信部に前記無線送信させる際、前記無線通信部には前記主電力供給部から供給される電力の使用を禁止させる制御を実施する制御部と、を有することを特徴とする無線端末である。
【0008】
また、本発明は、前記無線通信部に電力を供給する補助電力供給部を更に有し、前記判定部は、前記補助電力供給部から供給される前記電力が、前記無線通信部が前記データを無線送信するために十分な電力であるか否かを判定し、前記制御部は、前記判定部により前記補助電力から供給される前記電力が十分であると判定された場合、前記データを前記無線通信部に前記無線送信させる際、前記補助電力供給部から供給される電力を前記無線通信部に使用させる制御を実施することを特徴とする無線端末である。
【0009】
また、本発明は、前記データを保持する保持部を更に有し、前記制御部は、前記判定部により前記送信緊急性が低いと判定された前記データを前記保持部に保持させる制御を実施することを特徴とする無線端末である。
【0010】
また、本発明の無線端末において、前記判定部は、前記保持部に保持される前記データに対して送信期限を設定するとともに、前記送信期限に到達した前記データの前記送信緊急性は高いと判定することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の無線端末において、前記判定部は、外部から前記補助電力供給部に電力が供給されている間は、前記補助電力供給部から供給される前記電力は十分であると判定することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の無線端末において、前記補助電力供給部は、外部からの充電が可能な充電池を有し、前記判定部は、前記充電池の充電残量が所定以上である場合、前記補助電力供給部から供給される前記電力は十分であると判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、判定部は、データの無線送信の送信緊急性の高低を判定する。また、制御部は、判定部により送信緊急性が低いと判定されたデータを無線通信部に無線送信させる際、無線通信部には主電力供給部から供給される電力の使用を禁止させる。従って、主電力供給部の消耗をより抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態における生体データ監視システムの構成を示した概略図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における無線センシング端末の構成を示したブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態におけるデータ収集端末の構成を示したブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施形態における電力生成部の構成を示したブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施形態における充電池を備えた電力生成部の構成を示したブロック図である。
【図6】本発明の第1の実施形態における判定部の処理手順を示したフローチャートである。
【図7】本発明の第1の実施形態において、判定部から入力される指示に対応する制御部の動作を表形式で示した図である。
【図8】本発明の第2の実施形態における判定部の処理手順を示したフローチャートである。
【図9】本発明の第3の実施形態における無線センシング端末の構成を示したブロック図である。
【図10】本発明の第3の実施形態における判定部とタイマ部との処理手順を示したフローチャートである。
【図11】本発明の第4の実施形態における判定部とタイマ部との処理手順を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図を参照しながら説明する。図1は、本実施形態における生体データ監視システムの構成を示した概略図である。生体データ監視システム1は、無線センシング端末10と、データ収集端末20とを備える。無線センシング端末10は、各種センサを使って人体表面または体内から血圧、脈拍、心電、心拍、血中酸素濃度、体温、尿糖、血糖等の生体データを取得する。また、無線センシング端末10は、各種センサを使って無線センシング端末10が備える各部の状態を示す機器状態データを取得する。また、無線センシング端末10は、取得した生体データ及び機器状態データをデータ収集端末20に無線伝送する。データ収集端末20は、無線センシング端末10から無線伝送される生体データ及び機器状態データを収集して保存する。なお、本実施形態では、無線センシング端末10とデータ収集端末20とが1対1で無線通信を行うものとして説明を行うが、1対N、M対1、M対Nのいずれの関係においても、本発明は適用可能である(NおよびMは自然数)。
【0016】
次に、無線センシング端末10の構成について説明する。図2は、本実施形態における無線センシング端末10の構成を示したブロック図である。図示する例では、無線センシング端末10は、センサ部11と、保持部12と、判定部13と、制御部14と、電池15(主電力供給部)と、電力生成部16(補助電力供給部)と、電源切替部17と、無線通信部18と、アンテナ19とを備える。
【0017】
センサ部11は、人体表面または体内に設置され、血圧、脈拍、心電、心拍、血中酸素濃度、体温、尿糖、血糖等をセンシングして生体データを取得する。また、センサ部11は、電力生成部16が生成する電力の電圧や、電池15の電圧など、無線センシング端末10が備える各部の状態をセンシングして機器状態データを取得する。以下、センサ部11が取得する生体データや機器状態データなどを収集データと記載する。また、センサ部11は、収集データを保持部12と判定部13とに出力する。なお、センサ部11は、収集データに対して、当該データを一意に特定することができる識別子(以下、共通識別子と記載する)を付与する。
【0018】
保持部12は、センサ部11が出力した収集データを取得して保持し、保持した収集データを制御部14の制御に従って無線通信部10に対して出力する。判定部13は、センサ部11が出力した収集データを取得し、取得した収集データは送信緊急性が高いデータか低いデータかを判定する。なお、送信緊急性が高いデータは、データ収集端末20に対して早急に送信する必要があるデータであり、送信緊急性が低いデータは、データ収集端末20に対して早急に送信する必要がないデータである。また、判定部13は、電力生成部16が生成した電力は無線通信部18がデータを送信するために必要な電力以上であるか否かを判定する。なお、判定部13の詳細な動作については後述する。制御部14は、無線センシング端末10が備える各部の制御を行う。制御部14の詳細な動作については後述する。
【0019】
電池15は、一次電池であり、センサ部11に電力を供給し、さらに電源切替部17の動作に基づいて無線通信部18に電力を供給する。なお、電池15が供給可能な電力量は有限である。電力生成部16は、振動や、温度差や、光や、電磁波などを用いて電力を生成する装置であり、判定部13に電力を供給し、さらに、電源切替部17の動作に基づいて無線通信部18に電力を供給する。なお、電力生成部16は、外部から電力の供給を受け、外部から供給を受けた電力を判定部13に供給し、さらに、電源切替部17の動作に基づいて無線通信部18に供給する構成であってもよい。電源切替部17は、制御部14の制御に従い、電池15または電力生成部16のいずれかが出力する電力を無線通信部18に対して供給する動作を行う。
【0020】
無線通信部18は、保持部12が出力した収集データを取得し、取得した収集データを、電池15または電力生成部16から供給される電力を用いて、アンテナ19を介してデータ収集端末20に対して送信する。
【0021】
次に、データ収集端末20の構成について説明する。図3は、本実施形態におけるデータ収集端末20の構成を示したブロック図である。図示する例では、データ収集端末20は、無線通信部21と、データ処理部22と、記憶部23と、表示部24と、アンテナ25とを備える。
【0022】
無線通信部21は、無線センシング端末10から送信された収集データを、アンテナ25を介して受信し、受信した収集データをデータ処理部22に対して出力する。データ処理部22は、無線通信部21が出力した収集データを取得する。そして、データ処理部22は、取得した収集データのデータ形式を記憶用のデータ形式に変換して記憶用データを生成し、生成した記憶用データを記憶部23に対して出力するとともに、取得した収集データを文字や画像などの表示データに変換し、変換した表示データを表示部24に対して出力する。記憶部23は、データ処理部22が出力した記憶用データを記憶する。表示部24は、データ処理部22が出力した表示データを表示する。この構成により、データ収集端末20は、無線センシング端末10から送信された収集データを表示部24に表示させることができ、記憶部23に記憶させることができる。
【0023】
次に、無線センシング端末10が備える電力生成部16の構成について説明する。なお、電力生成部16は、振動や、温度差や、光や、電磁波などを用いて電力を生成する装置であればどのような装置でもよいが、ここでは電磁波を用いて電力を生成する場合の構成を例に用いて説明する。図4は、本実施形態における電力生成部16の構成を示したブロック図である。図示する例では、電力生成部16は、整流部161とアンテナ162とを備える。電磁波を用いて電力を生成する電源生成部16は、アンテナ162で受信した電磁波(交流信号)を整流回路161で整流して直流化することで、電力(直流電力)を生成する。
【0024】
なお、電力生成部16は、充電池(二次電池)を備え、生成した電力を一旦充電池に蓄積して充電池から外部に電力を供給するようにしてもよい。図5は、本実施形態における、充電池を備えた電力生成部16の構成を示したブロック図である。図示する例では、電力生成部16は、整流部161とアンテナ162と、充電池163とを備える。充電池163を備える電源生成部16は、生成した電力を充電池163に蓄積する。このように、電力生成部16が充電池163を備え、充電池163から電力を出力する構成とすると、無線通信部18が無線通信を行う際に、整流回路が無出力もしくは無線通信を行うために不十分な電力しか供給できない場合でも、従前に充電池163に蓄積した電力を無線通信部10に供給することができるため、使い勝手をより向上させることができる。
【0025】
次に、判定部13の詳細な処理手順について説明する。図6は、本実施形態における判定部13の処理手順を示したフローチャートである。
(ステップS101)判定部13は、センサ部11が出力した収集データを取得した場合、送信要否判定ステップを実行する。送信要否判定ステップでは、判定部13は、取得した収集データはデータ収集端末20に対して送信する必要が無いデータであるか否かを判定する。取得した収集データはデータ収集端末20に対して送信する必要が無いデータであると判定部13が判定した場合にはステップS104の処理に進み、送信する必要があるデータであると判定部13が判定した場合にはステップS102の処理に進む。例えば、判定部13は、センサ部11が出力した収集データが、無線センシング端末10が正常に動いていることを示すデータである場合、データ収集端末20に対して送信する必要が無いデータと判定し、それ以外のデータの場合、データ収集端末20に対して送信する必要があるデータと判定する。データ収集端末20に対して送信する必要が無いデータであるか否かの基準については、予め定めていてもよく、任意に設定することができるようにしてもよい。
【0026】
(ステップS102)判定部13は送信緊急性判定ステップを実行する。送信緊急性判定ステップでは、判定部13は、ステップS101の処理で送信が必要であると判断された収集データは、送信緊急性が高いデータであるか否かを判定する。ステップS101の処理で送信が必要であると判断された収集データは、送信緊急性が高いデータであると判定部13が判定した場合にはステップS105の処理に進み、送信緊急性が低いデータであると判定部13が判定した場合にはステップS103の処理に進む。例えば、判定部13は、ステップS101の処理で送信が必要であると判断された収集データが脈拍データであり、脈拍値が所定の値未満の場合(正常値よりも低い場合)には、送信緊急性が高いデータであると判定し、脈拍値が所定の値以上の場合には、送信緊急性が低いデータであると判定する。送信緊急性の高低の基準については、予め定めていてもよく、任意に設定することができるようにしてもよい。なお、ステップS103の処理に進む際には、制御部14は、保持部12が保持している収集データを、そのまま保持部12に保持させる。
【0027】
(ステップS103)判定部13は電力判定ステップを実行する。電力判定ステップでは、判定部13は、電力生成部16が生成した電力は無線通信部18がデータを送信するために必要な電力以上であるか否か(電力生成部16が生成した電力は基準値以上であるか否か)を判定する。具体的には、判定部13は、電力生成部16が生成した電力の電圧を検出し、予め設定した閾値と比較する。そして、電力生成部16が生成した電力の電圧が閾値以上である場合には、判定部13は、電力生成部16が生成した電力は無線通信部18がデータを送信するために必要な電力以上であると判定してステップS106の処理に進む。また、判定部13は、電力生成部16が生成した電力の電圧が閾値未満である場合には、電力生成部16が生成した電力は無線通信部18がデータを送信するために必要な電力未満であると判定して、ステップS103の処理を再度実行する。
【0028】
なお、電力生成部16が充電池163を備えている場合、電力判定ステップにおいて、充電池163の充電残量が所定量以上であれば電力生成部16が生成した電力は無線通信部18がデータを送信するために必要な電力以上であると判定するようにしてもよい。また、電力生成部16が外部から電力の供給を受けることができる構成の場合、電力判定ステップにおいて、電力生成部16が外部から電力の供給を受けている間においては電力生成部16が生成した電力は無線通信部18がデータを送信するために必要な電力以上であると判定するようにしてもよい。
【0029】
(ステップS104)判定部13は、収集データの送信を行わないことを指示する送信キャンセル指示と、ステップS101の処理で取得した収集データに付されている共通識別子とを制御部14に対して出力する。その後、処理を終了する。
(ステップS105)判定部13は、電池15が供給する電力を用いて収集データの送信を行うことを指示する緊急送信指示と、ステップS101の処理で取得した収集データに付されている共通識別子とを制御部14に対して出力する。その後、処理を終了する。
(ステップS106)判定部13は、電力生成部16が生成した電力を用いて収集データの送信を行うことを指示する省電力送信指示と、ステップS101の処理で取得した収集データに付されている共通識別子とを制御部14に対して出力する。その後、処理を終了する。
【0030】
次に、判定部13から「緊急送信指示」と、「省電力送信指示」と、「送信キャンセル指示」とがそれぞれ入力された場合における、制御部14の動作について説明する。図7は、本実施形態において、判定部13から入力される指示に対応する制御部14の動作を表形式で示した図である。図示する例では、判定部13から入力された指示と、制御部14が判断部13から入力された指示に基づいて行う保持部12に対する制御内容と電源切替部17に対する制御内容とが関連付けて示されている。
【0031】
具体的には、判断部13から「緊急送信指示」と「共通識別子」とが入力された場合、制御部14は、保持部12に、共通識別子で特定される収集データを無線通信部18に対して出力させるとともに、電力切替部17を制御して、電池15が出力する電力を無線通信部18に供給させる。この制御により、無線通信部18は、共通識別子で特定される収集データを、電池15から供給される電力を用いてデータ収集端末20に送信する。
【0032】
また、判断部13から「省電力送信指示」と「共通識別子」とが入力された場合、制御部14は、保持部12に、共通識別子で特定される収集データを無線通信部18に対して出力させるとともに、電力切替部17を制御して、無線通信部18が電池15の供給電力を使用することを禁止し、電力生成部16が生成した電力を無線通信部18に供給させる。この制御により、無線通信部18は、共通識別子で特定される収集データを、電力生成部16が生成した電力を用いてデータ収集端末20に送信する。
【0033】
また、判断部13から「送信キャンセル指示」と「共通識別子」とが入力された場合、制御部14は、保持部12に、共通識別子で特定される収集データを削除させる。この制御により、共通識別子で特定される収集データをデータ収集端末20に送信させずに削除する。
【0034】
上述した構成および処理により、無線センシング端末10は、送信緊急性が低いデータをデータ収集端末20に送信する際には、電池15が供給する電力を使用することを禁止し、電力生成部16が生成した電力を用いるように動作することができる。従って、無線センシング端末10は、供給可能な電力量が有限である電池15の消耗を抑えることができる。
【0035】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について図を参照しながら説明する。本実施形態における無線センシング端末10とデータ収集端末20との構成は、第1の実施形態の各装置の構成と同様である。本実施形態と第1の実施形態とで異なる点は、本実施形態では、送信緊急性の高い収集データを送信する際において、電力生成部16が生成する電力が十分である場合、電池15が供給する電力を用いて送信するのではなく、電力生成部16が生成した電力を用いて送信する点である。なお、制御部14は、第1の実施形態における制御部14と同様の動作を行う。
【0036】
次に、判定部13の詳細な処理手順について説明する。図8は、本実施形態における判定部13の処理手順を示したフローチャートである。
(ステップS201)判定部13は、センサ部11が出力した収集データを取得した場合、送信要否判定ステップを実行する。送信要否判定ステップでの処理は、第1の実施形態における送信要否判定ステップでの処理と同様である。取得した収集データはデータ収集端末20に対して送信する必要が無いデータであると判定部13が判定した場合にはステップS205の処理に進み、送信する必要があるデータであると判定部13が判定した場合にはステップS202の処理に進む。
【0037】
(ステップS202)判定部13は送信緊急性判定ステップを実行する。送信緊急性判定ステップでの処理は、第1の実施形態における送信緊急性判定ステップでの処理と同様である。ステップS201の処理で送信が必要であると判断された収集データは、送信緊急性が高いデータであると判定部13が判定した場合にはステップS204の処理に進み、送信緊急性が低いデータであると判定部13が判定した場合にはステップS203の処理に進む。
【0038】
(ステップS203)判定部13は電力判定ステップを実行する。電力判定ステップでの処理は、第1の実施形態における電力判定ステップでの処理と同様である。判定部13は、電力生成部16が生成した電圧を検出し、予め設定した閾値と比較する。そして、電力生成部16が生成した電力の電圧が閾値以上である場合には、判定部13は、電力生成部16が生成した電力は無線通信部18がデータを送信するために必要な電力以上であると判定してステップS207の処理に進み、電力生成部16が生成した電力の電圧が閾値未満である場合には、判定部13は、電力生成部16が生成した電力は無線通信部18がデータを送信するために必要な電力未満であると判定してステップS203の処理を再度実行する。
【0039】
(ステップS204)判定部13はステップS203の処理と同様に電力判定ステップを実行する。判定部13は、電力生成部16が生成した電圧を検出し、予め設定した閾値と比較する。そして、電力生成部16が生成した電力の電圧が閾値以上である場合には、判定部13は、電力生成部16が生成した電力は無線通信部18がデータを送信するために必要な電力以上であると判定してステップS207の処理に進み、電力生成部16が生成した電力の電圧が閾値未満である場合には、判定部13は、電力生成部16が生成した電力は無線通信部18がデータを送信するために必要な電力未満であると判定してステップS206の処理に進む。
【0040】
(ステップS205)判定部13は、収集データの送信を行わないことを指示する送信キャンセル指示と、ステップS201の処理で取得した収集データに付されている共通識別子とを制御部14に対して出力する。その後、処理を終了する。
(ステップS206)判定部13は、電池15が供給する電力を用いて収集データの送信を行うことを指示する緊急送信指示と、ステップS201の処理で取得した収集データに付されている共通識別子とを制御部14に対して出力する。その後、処理を終了する。
(ステップS207)判定部13は、電力生成部16が生成した電力を用いて収集データの送信を行うことを指示する省電力送信指示と、ステップS201の処理で取得した収集データに付されている共通識別子とを制御部14に対して出力する。その後、処理を終了する。
【0041】
上述した構成および処理により、無線センシング端末10は、送信緊急性が低いデータをデータ収集端末20に送信する際には、電池15が供給する電力を使用することを禁止し、電力生成部16が生成した電力を用いるように動作することができる。従って、無線センシング端末10は、供給可能な電力量が有限である電池15の消耗を抑えることができる。さらに、本実施形態では、ステップS204の処理を実行することで、送信緊急性が高いデータを送信する際において、電力生成部16が生成する電力が十分である場合、電池15が供給する電力を用いるのではなく、電力生成部16が生成した電力を用いることができる。従って、無線センシング端末10は、供給可能な電力量が有限である電池15の消耗をさらに抑えることができる。
【0042】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について図を参照しながら説明する。本実施形態におけるデータ収集端末20の構成は、第1の実施形態のデータ収集端末20の構成と同様である。本実施形態と第1の実施形態とで異なる点は、本実施形態では、無線センシング端末は、タイマ部を備えており、送信期限が過ぎた収集データを、電池15が供給する電力を用いて送信する点である。なお、制御部14は、第1の実施形態における制御部14と同様の動作を行う。
【0043】
次に、無線センシング端末の構成について説明する。図9は、本実施形態における無線センシング端末30の構成を示したブロック図である。図示する例では、無線センシング端末30は、センサ部11と、保持部12と、判定部13と、制御部14と、電池15と、電力生成部16と、電源切替部17と、無線通信部18と、アンテナ19と、タイマ部31とを備える。
【0044】
センサ部11と、保持部12と、判定部13と、制御部14と、電池15と、電力生成部16と、電源切替部17と、無線通信部18と、アンテナ19とは第1の実施形態における各部と同様である。タイマ部31は、判定部13からの指示に基づいて、未送信である収集データに対して送信期限を設定し、送信期限に到達した場合に送信期限到達通知を判定部に出力する。
【0045】
次に、判定部13とタイマ部31との詳細な処理手順について説明する。図10は、本実施形態における判定部13とタイマ部31との処理手順を示したフローチャートである。
(ステップS301)判定部13は、センサ部11が出力した収集データを取得した場合、送信要否判定ステップを実行する。送信要否判定ステップでの処理は、第1の実施形態における送信要否判定ステップでの処理と同様である。取得した収集データはデータ収集端末20に対して送信する必要が無いデータであると判定部13が判定した場合にはステップS306の処理に進み、送信する必要があるデータであると判定部13が判定した場合にはステップS302の処理に進む。
【0046】
(ステップS302)判定部13は送信緊急性判定ステップを実行する。送信緊急性判定ステップでの処理は、第1の実施形態における送信緊急性判定ステップでの処理と同様である。ステップS301の処理で送信が必要であると判定された収集データは、送信緊急性が高いデータであると判定部13が判定した場合にはステップS307の処理に進み、送信緊急性が低いデータであると判定部13が判定した場合にはステップS303の処理に進む。
【0047】
(ステップS303)タイマ部31は、ステップS302の処理で送信緊急性が低いデータであると判定された収集データに対して送信期限を設定する。その後、ステップS304の処理に進む。例えば、状態監視のために、収集データを1時間に1回定期的にデータ収集端末20に送信する必要がある場合、送信期限を「1時間」と決定する。
【0048】
(ステップS304)判定部13は電力判定ステップを実行する。電力判定ステップでの処理は、第1の実施形態における電力判定ステップでの処理と同様である。判定部13は、電力生成部16が生成した電力の電圧を検出し、予め設定した閾値と比較する。そして、電力生成部16が生成した電力の電圧が閾値以上である場合には、判定部13は、電力生成部16が生成した電力は無線通信部18がデータを送信するために必要な電力以上であると判定してステップS308の処理に進み、電力生成部16が生成した電力の電圧が閾値未満である場合には、判定部13は、電力生成部16が生成した電力は無線通信部18がデータを送信するために必要な電力未満であると判定してステップS305の処理に進む。
【0049】
(ステップS305)判定部13は送信期限満了判定ステップを実行する。送信期限満了判定ステップでは、判定部13はステップS303で送信期限を設定した収集データの送信期限が満了したか否かを、タイマ部31が出力する送信期限到達通知に基づいて判定する。タイマ部31は、送信期限に到達した場合に送信期限到達通知を判定部13に対して出力するため、判定部13は、タイマ部31が出力する送信期限到達通知を取得した場合には送信期限が満了したと判定し、それ以外の場合には送信期限が満了していないと判定する。判定部13は、ステップS303で送信期限を設定した収集データの送信期限が満了したと判定した場合には、送信期限が満了した収集データは送信緊急性が高いデータであると判定してステップS307の処理に進み、それ以外の場合にはステップS304の処理に戻る。
【0050】
(ステップS306)判定部13は、収集データの送信を行わないことを指示する送信キャンセル指示と、ステップS301の処理で取得した収集データに付されている共通識別子とを制御部14に対して出力する。その後、処理を終了する。
(ステップS307)判定部13は、電池15が供給する電力を用いて収集データの送信を行うことを指示する緊急送信指示と、ステップS301の処理で取得した収集データに付されている共通識別子とを制御部14に対して出力する。その後、処理を終了する。
(ステップS308)判定部13は、電力生成部16が生成した電力を用いて収集データの送信を行うことを指示する省電力送信指示と、ステップS301の処理で取得した収集データに付されている共通識別子とを制御部14に対して出力する。その後、処理を終了する。
【0051】
上述した構成および処理により、無線センシング端末30は、送信緊急性が低いデータをデータ収集端末20に送信する際には、電池15が供給する電力を使用することを禁止し、電力生成部16が生成した電力を用いるように動作することができる。また、無線センシング端末30は、送信緊急性が低いデータであっても送信期限が経過した場合には、電池15が供給する電力を用いてデータを送信する。例えば、電力生成部16が生成する電力が低く、送信緊急性が低い収集データを電力生成部16が生成した電力を用いて送信することができない期間が一定期間続いたとしても、送信期限が経過した場合には電池15が供給する電力を用いて送信する。従って、無線センシング端末30は、供給可能な電力量が有限である電池15の消耗を抑えつつ、送信緊急性が低い収集データについても送信期限が経過した場合には必ず送信することができる。
【0052】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について図を参照しながら説明する。本実施形態における無線センシング端末30とデータ収集端末20との構成は、第3の実施形態の各装置の構成と同様である。本実施形態と第3の実施形態とで異なる点は、本実施形態では、送信緊急性が高いデータを送信する際において、電力生成部16が生成する電力が十分である場合、電池15が供給する電力を用いて送信するのではなく、電力生成部16が生成した電力を用いて送信する点である。なお、制御部14は、第1の実施形態における制御部14と同様の動作を行う。
【0053】
次に、判定部13とタイマ部31との詳細な処理手順について説明する。図11は、本実施形態における判定部13とタイマ部31との処理手順を示したフローチャートである。
(ステップS401)判定部13は、センサ部11が出力した収集データを取得した場合、送信要否判定ステップを実行する。送信要否判定ステップでの処理は、第1の実施形態における送信要否判定ステップでの処理と同様である。取得した収集データはデータ収集端末20に対して送信する必要が無いデータであると判定部13が判定した場合にはステップS407の処理に進み、送信する必要があるデータであると判定部13が判定した場合にはステップS402の処理に進む。
【0054】
(ステップS402)判定部13は送信緊急性判定ステップを実行する。送信緊急性判定ステップでの処理は、第1の実施形態における送信緊急性判定ステップでの処理と同様である。ステップS401の処理で送信が必要であると判断された収集データは、送信緊急性が高いデータであると判定部13が判定した場合にはステップS406の処理に進み、送信緊急性が低いデータであると判定部13が判定した場合にはステップS403の処理に進む。
【0055】
(ステップS403)タイマ部31は、ステップS402の処理で送信緊急性が低いデータであると判定された収集データに対して送信期限を設定する。その後、ステップS404の処理に進む。
【0056】
(ステップS404)判定部13は電力判定ステップを実行する。電力判定ステップでの処理は、第1の実施形態における電力判定ステップでの処理と同様である。判定部13は、電力生成部16が生成した電圧を検出し、予め設定した閾値と比較する。そして、電力生成部16が生成した電力の電圧が閾値以上である場合には、判定部13は、電力生成部16が生成した電力は無線通信部18がデータを送信するために必要な電力以上であると判定してステップS409の処理に進み、電力生成部16が生成した電力の電圧が閾値未満である場合には、判定部13は、電力生成部16が生成した電力は無線通信部18がデータを送信するために必要な電力未満であると判定してステップS405の処理に進む。
【0057】
(ステップS405)判定部13は送信期限満了判定ステップを実行する。送信期限満了判定ステップでの処理は、第3の実施形態における送信期限満了判定ステップでの処理と同様の処理を行う。判定部13は、ステップS403で送信期限を設定した収集データの送信期限が満了したと判定した場合には、送信期限が満了した収集データは送信緊急性が高いデータであると判定してステップS408の処理に進み、それ以外の場合にはステップS404の処理に戻る。
【0058】
(ステップS406)判定部13はステップS404の処理と同様に電力判定ステップを実行する。判定部13は、電力生成部16が生成した電圧を検出し、予め設定した閾値と比較する。そして、電力生成部16が生成した電力の電圧が閾値以上である場合には、判定部13は、電力生成部16が生成した電力は無線通信部18がデータを送信するために必要な電力以上であると判定してステップS409の処理に進み、電力生成部16が生成した電力の電圧が閾値未満である場合には、判定部13は、電力生成部16が生成した電力は無線通信部18がデータを送信するために必要な電力未満であると判定してステップS408の処理に進む。
【0059】
(ステップS407)判定部13は、収集データの送信を行わないことを指示する送信キャンセル指示と、ステップS401の処理で取得した収集データに付されている共通識別子とを制御部14に対して出力する。その後、処理を終了する。
(ステップS408)判定部13は、電池15が供給する電力を用いて収集データの送信を行うことを指示する緊急送信指示と、ステップS401の処理で取得した収集データに付されている共通識別子とを制御部14に対して出力する。その後、処理を終了する。
(ステップS409)判定部13は、電力生成部16が生成した電力を用いて収集データの送信を行うことを指示する省電力送信指示と、ステップS401の処理で取得した収集データに付されている共通識別子とを制御部14に対して出力する。その後、処理を終了する。
【0060】
上述した構成および処理により、無線センシング端末30は、送信緊急性が低いデータをデータ収集端末20に送信する際には、電池15が供給する電力を使用することを禁止し、電力生成部16が生成した電力を用いるように動作することができる。また、無線センシング端末30は、送信緊急性が低いデータであっても送信期限が経過した場合には、電池15が供給する電力を用いて送信する。従って、無線センシング端末30は、供給可能な電力量が有限である電池15の消耗を抑えつつ、送信緊急性が低い収集データについても送信期限が経過した場合には必ず送信することができる。
【0061】
さらに、本実施形態では、ステップS406の処理を実行することで、送信緊急性が高いデータを送信する際において、電力生成部16が生成する電力が十分である場合、電池15が供給する電力を用いて送信するのではなく、電力生成部16が生成した電力を用いて送信することができる。従って、無線センシング端末30は、供給可能な電力量が有限である電池15の消耗をさらに抑えることができる。
【0062】
以上、この発明の第1〜第4の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。例えば、第1〜第4の実施形態においては、無線センシング端末とデータ収集端末とが1対1で無線通信を行うものとして説明したが、1対N、M対1、M対Nのいずれの関係であっても本発明を適用することができる(NおよびMは自然数)。また、第1〜第4の実施形態においては、電池15がセンサ部11に電力を供給しているが、電力生成部16がセンサ部11に電力を供給するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1・・・生体データ監視システム、10・・・無線センシング端末、11・・・センサ部、12・・・保持部、13・・・判定部、14・・・制御部、15・・・電池、16・・・電力生成部、17・・・電源切替部、18・・・無線通信部、19,25,162・・・アンテナ、20・・・データ収集端末、21・・・無線通信部、22・・・データ処理部、23・・・記憶部、24・・・表示部、31・・・タイマ部、161・・・整流部、163・・・充電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを生成するセンサ部と、
前記データを無線送信する無線通信部と、
前記センサ部、及び、前記無線通信部に電力を供給する主電力供給部と、
前記データの無線送信の送信緊急性の高低を判定する判定部と、
前記データを前記無線通信部に前記無線送信させる制御を実施する制御部であって、前記判定部により前記送信緊急性が低いと判定された前記データを前記無線通信部に前記無線送信させる際、前記無線通信部には前記主電力供給部から供給される電力の使用を禁止させる制御を実施する制御部と、
を有することを特徴とする無線端末。
【請求項2】
前記無線通信部に電力を供給する補助電力供給部を更に有し、
前記判定部は、前記補助電力供給部から供給される前記電力が、前記無線通信部が前記データを無線送信するために十分な電力であるか否かを判定し、
前記制御部は、前記判定部により前記補助電力から供給される前記電力が十分であると判定された場合、前記データを前記無線通信部に前記無線送信させる際、前記補助電力供給部から供給される電力を前記無線通信部に使用させる制御を実施する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線端末。
【請求項3】
前記データを保持する保持部を更に有し、
前記制御部は、前記判定部により前記送信緊急性が低いと判定された前記データを前記保持部に保持させる制御を実施する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線端末。
【請求項4】
前記判定部は、前記保持部に保持される前記データに対して送信期限を設定するとともに、前記送信期限に到達した前記データの前記送信緊急性は高いと判定する
ことを特徴とする請求項3に記載の無線端末。
【請求項5】
前記判定部は、外部から前記補助電力供給部に電力が供給されている間は、前記補助電力供給部から供給される前記電力は十分であると判定する
ことを特徴とする請求項2に記載の無線端末。
【請求項6】
前記補助電力供給部は、外部からの充電が可能な充電池を有し、
前記判定部は、前記充電池の充電残量が所定以上である場合、前記補助電力供給部から供給される前記電力は十分であると判定する
ことを特徴とする請求項2に記載の無線端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−147838(P2012−147838A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−6952(P2011−6952)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】