無線送信器、無線通信システム
【課題】各センサの送信時間間隔が同一である場合であって、2つ以上のセンサが同時にセンサ情報の送信を開始した場合であっても、予め定められた回数送信される電文のうち少なくとも1つは受信装置に伝送されるようにする。
【解決手段】センサ2bの繰り返し送信時間を時間T1、センサ2aの繰り返し送信時間を時間T2、電文長(センサ2a,2bが1つの電文を送信開始してから送信完了までに要する時間)をtとするとき、センサ2aは、前記時間T2をT2≧T1+2×tを満たすように設定する。また、この式に基づいて設定した時間T2と、センサ2aの繰り返し送信動作における電文の送信回数kとから、センサ2aによる電文の送信時間間隔ΔtをΔt=T2/(k−1)を用いて算出する。
【解決手段】センサ2bの繰り返し送信時間を時間T1、センサ2aの繰り返し送信時間を時間T2、電文長(センサ2a,2bが1つの電文を送信開始してから送信完了までに要する時間)をtとするとき、センサ2aは、前記時間T2をT2≧T1+2×tを満たすように設定する。また、この式に基づいて設定した時間T2と、センサ2aの繰り返し送信動作における電文の送信回数kとから、センサ2aによる電文の送信時間間隔ΔtをΔt=T2/(k−1)を用いて算出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予め定められた環境に係る情報を検出し、その検出情報を無線送信するセンサと、該センサから送信される検出情報を受信し、該検出情報に基づき所定の動作を行う無線受信装置とを備えて成る無線通信システムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、回路技術の高度化によってセンサや無線回路が省電力化されたことにより、各種センサと無線回路とを組み合わせたワイヤレスセンサ(以下、単にセンサという)が実現され、このセンサを多数配置して、該センサによる検知情報を無線で収集する無線通信システムが広く知られている。図11に、従来の典型的なネットワークシステムの構成を示す。
【0003】
図11に示すように、無線通信システム100は、検出部102a〜105a、無線送信部102b〜105b及び電池102c〜105cを備えたセンサ102〜105と、無線受信部101a、制御部101b及びI/F101cを備えた受信器101とを有してなる。センサ102〜105の検出部102a〜105a及び無線送信部102b〜105bは、電池102c〜105cから電力の供給を受け、検出部102a〜105aの検出信号レベルが所定の閾値を超えると、無線送信部102b〜105bから検出値を含むセンサ情報を電波に変調して送信する。センサ102〜105からの電波を受信した受信器101は、無線受信部101aで電波を増幅復調してセンサ情報を抽出し、制御部101bで該センサ情報の蓄積や解析等を行い、I/F101cで外部システムにセンサ情報を送出する。
【0004】
このような無線通信システム100において、図12に示すように更に中継器106,107を備え、センサ(ここではセンサ102とする)から送信されるセンサ情報が各中継器106,107を順番に介して受信器101に受信されるものがあり、このような無線通信システム100におけるセンサ情報の伝送方式として図13に示すような方式が知られている。
【0005】
図13に示す伝送方式は、センサ102からセンサ情報が送信されると、該センサ情報が中継器106、中継器107の順番に中継された後、受信器101に受信される。また、センサ102が同一のセンサ情報を所定の送信間隔で所定回数繰り返し送信する。このように同一のセンサ情報を所定回数繰り返し送信するのは、外来ノイズがセンサ情報の送受信が妨害されることがあっても、いずれかのセンサ情報が受信器101まで伝送されることを期待したものである。すなわち、図13の矢印X1で示すように、センサ102から送信されたセンサ情報が中継器106に受信されなかったり、図13の矢印X2で示すように、中継器106から送信されたセンサ情報が中継器107に受信されなかったりした場合でも、図13の矢印X3や矢印X4で示すように、受信器101に伝送されたセンサ情報が他のタイミングで存在することを期待して、同一のセンサ情報を所定回数繰り返し送信している。
【0006】
受信器101は、センサ102から同一のセンサ情報が所定回数送信されたことを確認すると、これらのセンサ情報が、センサ102が検出対象を検出したことを示したものであると判断して、センサ情報を外部システムに送出する。
【0007】
なお、下記特許文献1には、送信したい一連の情報を所定ビット数の情報ブロックに分割し、同一情報ブロックを乗せたフレームを、複数回連続して送信する片方向通信システムにおいて、前記フレームに、同一情報ブロックのフレーム送信を何回繰り返し送信するかを示す連送回数を含める技術が開示されている。
【特許文献1】特開平5−160815公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図13に示す伝送方式にあっては、各センサの送信間隔が同一である場合、2つ以上のセンサが略同時にセンサ情報の送信を開始すると、各センサによる電文の送信タイミングが略一致することとなり、これによって、中継器や受信器において各センサから送信された電文が衝突し、センサ情報が受信器101に受信されなかったものとなる。
【0009】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、各センサの送信間隔が同一である場合であって、2つ以上のセンサが同時にセンサ情報の送信を開始した場合であっても、予め定められた回数送信される電文のうち少なくとも1つは受信装置に伝送されるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、情報を作成し、該情報を電文として所定間隔で所定回数だけ繰り返す送信動作を行う無線送信器であって、当該無線送信器が1つの電文の送信に要する時間を電文長t、他の無線送信器が前記送信動作を行うのに要する時間を時間T1と表したとき、当該無線送信器が前記送信動作を行うのに要する時間T2をT2≧T1+2×tを満たすように設定し、この時間T2と前記予め定められた回数とに基づき、前記電文の送信間隔を設定するものである。
【0011】
この発明によれば、時間T2をT2≧T1+2×tを満たすように設定することで、複数の無線送信器が同時に電文の送信を開始した場合であっても、少なくとも1つの電文は、その送信期間が他の無線送信器による電文の送信期間と重畳するのを回避することができる。
【0012】
すなわち、当該無線送信器による電文の送信開始タイミングと、他の無線送信器による電文の送信開始タイミングとが同時のときには、他の無線送信器による最後の電文の送信開始タイミングより2×tだけ遅延して、当該無線送信器が最後の電文の送信を開始する。この場合、少なくとも最後の電文については、その送信期間が他の無線送信器による電文の送信期間と重畳することはない。
【0013】
また、他の無線送信器による電文の送信開始タイミングより、当該無線送信器による電文の送信開始タイミングが電文長t分だけ遅れた場合には、他の無線送信器による最後の電文の送信開始タイミングより3×tだけ遅れて、当該無線送信器が最後の電文の送信を開始する。この場合も、少なくとも最後の電文については、その送信期間が他の無線送信器による電文の送信期間と重畳することはない。
【0014】
さらに、他の無線送信器による電文の送信開始タイミングより、当該無線送信器による電文の送信開始タイミングが電文長t分だけ早い場合でも、他の無線送信器による最後の電文の送信開始タイミングより1×tだけ遅延して、当該無線送信器が最後の電文の送信を開始する。したがって、この場合も、少なくとも最後の電文については、その送信期間が他の無線送信器による電文の送信期間と重畳することはない。
【0015】
このように、当該無線送信器による電文の送信開始タイミングを、他の無線送信器による電文の送信開始タイミングに対してどのように早めたり遅延させたりしても、必ず送信期間が他の無線送信器による電文の送信期間と重畳しない電文が少なくとも1つ生成される。したがって、少なくとも1つの電文を、他の無線送信器から送信される電文と衝突することなく無線受信装置に伝送することができる。
【0016】
その際、請求項2に記載の発明のように、当該無線送信器に割り当てられた、無線送信器を個別に識別するための識別情報を、整数で除算して得られる剰余に2を乗算した数を係数nとしたとき、前記時間T2をT2=T1+n×tにより算出し、前記予め定められた回数をkとすると、前記電文の送信間隔ΔtをΔt=T2/(k−1)により算出すると、電文の送信間隔を決定するために新たな情報を記憶したり用いたりすることなく、既に使用されている情報(識別情報)を用いて電文の送信間隔を決定することができる。
【0017】
なお、前記無線受信装置とは、電文を最終的に伝送する対象の受信器だけでなく、無線送信器と該受信器との間で電文を中継する中継器も含む。
【0018】
請求項3に記載の発明は、情報を作成し、該情報を電文として所定間隔で所定回数だけ繰り返す送信動作を行う無線送信器と、前記無線送信器からの送信情報を受信する無線受信装置とを備えた無線通信システムであって、前記無線送信器は、請求項1ないし3のいずれかに記載の無線送信器である無線通信システムである。
【0019】
この発明によれば、無線通信システムにおいて、請求項1または2に記載の発明による作用が得られる。
【0020】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の無線通信システムにおいて、前記無線送信器は、環境情報を検出するセンサ部を備え、前記電文は、無線送信器の種類を識別するための識別情報と前記環境情報に係る検出値を示す検出情報とを含み、第1の無線送信器の検出値を示す検出情報と、前記第1の無線送信器と異なる種類の第2の無線送信器の検出値を示す検出情報とが同一の信号で構成されており、前記無線受信装置は、前記識別情報及び検出情報の組み合わせと前記無線送信器の検出内容との対応関係を予め記憶し、前記電文を受信すると、この電文に含まれる識別情報及び検出情報に基づき、前記無線送信器の検出内容を解釈するものである。
【0021】
この発明によれば、第1の無線送信器の検出値を示す検出情報と、前記第1の無線送信器と異なる種類の第2の無線送信器の検出値を示す検出情報とを同一の信号で構成し、前記識別情報及び検出情報の組み合わせと前記無線送信器の検出内容との対応関係を予め記憶し、無線受信装置は、前記電文を受信すると、この電文に含まれる識別情報及び検出情報に基づき、前記無線送信器の検出内容を解釈するようにしたので、電文中に、無線送信器の種類を示す情報や、検出値の表現形式を示す情報を記述する必要がなく、電文に含める情報量をできるだけ少なくすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、各無線送信器の送信間隔が同一である場合であって、2つ以上の無線送信器が同時に電文の送信を開始した場合であっても、予め定められた回数送信される電文のうち少なくとも1つは無線受信装置に伝送されるようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明に係る無線通信システムの実施形態について説明する。図1は、本発明に係る無線通信システムの一例を示す図である。
【0024】
(第1の実施形態)
本発明に係る無線通信システム1は、例えば住宅や事務所等の建物に防犯、防災、設備の利便性向上等を目的として適用されるものであり、図1に示すように、センサ2(2a〜2h)、中継器3(3a,3b)及び受信器4を備えて構成されている。なお、図1は、無線通信システム1の設置対象の一例として、2階建ての建物とそれに隣接するガレージとを想定したものを示している。
【0025】
センサ2は、例えば赤外線を検出媒体として人体を検出する人体センサ2a〜2c,2f,防犯を目的として設置される防犯センサ2d,2e、防災を目的として設置される煙センサ2g,2h等が含まれる。
【0026】
人体センサ2a〜2cは、例えば人体の熱を検出し、該人体の有無に応じて例えば照明機器5や図略の空調機器の動作を制御するために設けられている。例えば、人体センサ2a〜2cにより人体が検出すると、受信器4は、照明機器5を点灯させたり空調機器を動作させたりし、人体が検出されなくなると、受信器4は、照明機器5を消灯させたり空調機器の動作をオフしたりする。なお、図1では、人体センサ2a〜2cが各階の屋内とガレージとに設置されている態様を示している。
【0027】
防犯センサ2d,2eは、磁気を利用した検出動作を行うマグネットセンサ、ジャイロを用いて構成される加速度センサ、静電容量型、渦電流或いは圧電素子を用いた振動センサ等であり、例えば屋内と屋外とを連通可能な窓6に設置され、不在時における窓の開閉動作や振動を検出する。なお、図1では、防犯センサ2d,2eが各階に設けられている窓6にそれぞれ設置されている態様を示している。受信器4は、防犯センサ2d,2eにより窓6の開閉動作や振動が検出された旨の通知を受けて、スピーカ7等から警報を出力させる。
【0028】
煙センサ2g,2hは、例えば天井に設置され、煙の存在を検出して防災(火災の発生により警報を発する)のために設けられたものである。図1では、煙センサが各階の天井にそれぞれ設置されている態様を示している。受信器4は、煙センサ2g,2hにより所定の濃度を超える煙の存在が検出された旨の通知を受けて、スピーカ7等から警報を出力させる。
【0029】
図2は、前記センサ2の電気的な構成を示すブロック図である。センサ2は、当該センサ2の種類に応じた検出媒体を用いて得られた環境の検出信号を制御部9に出力する検出部8と、前記検出部8から出力される前記検出信号の信号レベルが所定の閾値を超えると、その旨を示すセンサ情報を電文として無線送信部10に所定の送信周期で出力する制御部9と、制御部9から出力された電文を電波に変調し、該電波を送信アンテナ11から中継器3又は受信器4に無線送信する無線送信部10とを備えて構成されている。以下、電文を中継器又は受信器4に所定の送信周期で無線送信する動作を、繰り返し送信動作という。なお、検出部8、制御部9及び無線送信部10は、前記電池12から供給される電力により動作する。
【0030】
制御部9は、例えば制御プログラムを記憶するROMや一時的にデータを記憶するRAM等が内蔵されたマイクロコンピュータからなる。また、制御部9は、検出部8により取得された検出信号の信号レベルが所定の閾値を超えると、例えば次に説明するような構成を有する電文を生成する電文生成部としての機能を有する。図3は、電文の構成例を示す図である。
【0031】
図3に示すように、電文13は、プリアンブル(PR)、ユニークワード(UW)、識別情報(ID)、データ(DATA)及び誤り訂正符号(CRC)の各領域を備えて構成されている。プリアンブル(PR)の領域は、ディジタル信号「1」,「0」の繰り返しで構成されるビット同期用パターンが書き込まれる領域である。中継器3及び受信器4は、受信中の電文13におけるプリアンブル(PR)の領域に書き込まれたビット同期用パターンに基づき、電文のビットレートに対して同期をとる。
【0032】
ユニークワード(UW)の領域には、予めセンサ2と中継器3又は受信器4との間で共通に定められた例えば8ビットや16ビット等の固定のビット列がユニークワードパターンとして格納される領域である。中継器3又は受信器4は、前記ユニークワードパターンを検出することで、電文の開始位置を特定することができる。
【0033】
識別情報(ID)の領域は、センサ2個別に固有の番号として付与されたIDが格納される領域である。中継器3は、識別情報(ID)の領域に書き込まれているIDによって、電文13の受信の是非を判断したりセンサ2を特定したりすることができる。データ(DATA)の領域は、検出した内容(検出値)を示す検出情報が書き込まれる領域である。誤り訂正符号(CRC)の領域は、識別情報(ID)の領域及びデータ(DATA)の領域におけるビットの誤りを検出するために用いられる領域である。
【0034】
図1に戻り、中継器3は、センサ2から送信される電文13を受信し、受信した電文13を受信器4に送信する中継機能を有する機器である。図1では、1階の屋内から2階の天井裏に設置された受信器4へは天井が、また、屋外から前記受信器4へは外壁がそれぞれ障害物となり、1階の屋内や屋外に設置されたセンサ2から出力される電波が受信器4に到達し難い又は到達しないため、1階の天井裏と屋外の適所にそれぞれ設置されている態様を示している。
【0035】
図4は、中継器3の電気的な構成を示すブロック図である。図4に示すように、中継器は、センサ2及び受信器4との間で電文の通信を行う無線通信部14と、前記無線通信部14で受信した電文13に含まれる各種情報を記憶する記憶部15と、例えば制御プログラムを記憶するROMや一時的にデータを記憶するRAM等が内蔵されたマイクロコンピュータからなる制御部16とを備える。
【0036】
また、制御部16は、機能的に、センサの識別情報(ID)を記憶する記憶部17と、他の無線通信システム1との混信を防止するべく、無線通信部14で受信した電文13に含まれるIDと、前記記憶部15に記憶されているIDとを照合し、それらが一致するか否かを判断する照合部18と、照合部18により前記両IDが一致すると判断した場合にのみ受信した電文13を受け付けて、受信器4に送信する指示を前記無線通信部14に出力する送信制御部19とを有する。
【0037】
図1に戻り、受信器4は、センサ2又は中継器3から電波を受信し、該電波を増幅及び復調して情報を得て、該情報の蓄積や解析を行い、各種の処理を実行する機器である。図5は、受信器4の電気的な構成を示すブロック図である。図5に示すように、受信器4は、センサ2及び中継器3との間で電文13の通信を行う無線通信部20と、前記無線通信部20で受信した電文13に含まれる各種情報を記憶する記憶部21と、例えば制御プログラムを記憶するROMや一時的にデータを記憶するRAM等が内蔵されたマイクロコンピュータからなる制御部22とを備える。
【0038】
また、制御部22は、機能的に、無線通信部20で受信した電波を増幅及び復調し、前その後の情報を解析して電文13の送信元や検出内容(検出値)を取得する情報解析部23と、前記情報解析部23による解析の結果に基づいて、各機器(前記照明機器5や空調機器或いはスピーカ7)の動作を指示する指示部24とを備える。指示部24は、例えば、人体センサ2a〜2cから人体を検出した旨の検出信号を受信したときには、通信線により当該受信器4に接続された照明機器5に点灯する指示を出力し、煙センサ2g,2hから煙を検出した旨の検出信号や、警戒状態下で防犯センサ2d,2eから異常を検出した旨の検出信号を受信すると、通信線により当該受信器4に接続されたスピーカ7に警報音を出力する指示を出力する。
【0039】
以上のような構成を有する無線通信システム1において、注目すべきは、各センサから同時に電文13の送信開始が行われた場合であっても、各センサについて、少なくとも1つの電文の送信期間は、他のセンサから送信される電文の送信期間と時間的に重畳しないように設定している点である。以下、この内容について詳細に説明する。
【0040】
図6は、センサ2による電文の送信動作及び中継器3aの受信動作における従来の問題点を示すタイムチャート、図7は、本実施形態の特徴部分である、センサ2による電文の送信動作と中継器及び受信器4の送受信動作とを示すタイムチャートである。なお、ここでは、電文の送信動作を行うセンサの一例として人体センサ2a,2bを挙げ、中継器の一例として中継器3aを挙げて説明を行う。
【0041】
図6に示すように、センサ2a,2bの送信時間間隔が同一である場合、センサ2a,2bが略同時に電文の送信を開始すると、センサ2a,2bによる電文の送信期間が全ての電文で重畳する。これにより、中継器3aにおいてセンサ2a,2bから送信された電文が衝突することとなり、電文が中継器3aに受信されなかったものとなる。図6に示す「×」印は、センサ2aから送信された電文と、センサ2bから送信された電文とが衝突し、電文が中継器3aに受信されなかった状態を示している。正方形内の数字「1」〜「5」は、一連の電文の繰り返し送信動作のうち第何回目の送信動作(又は第何番目に送信した通常電文)であるかを示す。
【0042】
そこで、本実施形態では、センサ2a,2bは、一連の繰り返し送信動作に要する時間(検出値が閾値を超えたことをトリガとしてセンサ2a,2bが電文の送信を開始してから最後に生成した電文の送信が完了するまでの時間:以下、繰り返し送信時間Tという)が可変に構成されている。すなわち、一連の繰り返し送信動作における送信回数については一定のままとするので、センサ2a,2bは、送信時間間隔が可変に構成されている。なお、ここでは、センサ2bの送信時間間隔は一定とし、センサ2aにより送信される電文が、センサ2bにより送信される電文と衝突しないように、センサ2aの送信時間間隔を変えるものとする。
【0043】
このとき、センサ2bの繰り返し送信時間を時間T1、センサ2aの繰り返し送信時間を時間T2、電文長(センサ2a,2bが1つの電文を送信開始してから送信完了までに要する時間)をtとするとき、センサ2aは、前記時間T2を次式(1)を満たすように設定する。
【0044】
T2≧T1+2×t・・・(1)
この式(1)に基づいて設定した時間T2と、センサ2aの繰り返し送信動作における電文の送信回数kとから、センサ2aによる電文の送信時間間隔Δtを次式(2)を用いて算出する。
【0045】
Δt=T2/(k−1) ・・(2)
センサ2aの送信時間間隔Δtを、次式(1),(2)を用いて算出すると、センサ2aから送信される電文のうち少なくとも一つは、センサ2bから送信される電文と、送信期間が重畳するのを回避することができる。以下、この理由について説明する。図8は、この理由を説明するための図である。
【0046】
前記式(1)は、センサ2aの繰り返し送信時間T2と、センサ2bの繰り返し送信時間T1とが、電文長2つ分以上の時間差を有することを意味する。ここで、説明の簡単化のため、前記時間T2は、T2=T1+2×tであるとすると、図8(a)に示すように、センサ2aによる電文の繰り返し送信動作の開始タイミングと、センサ2bによる電文の繰り返し送信動作の開始タイミングとが一致するとき、センサ2aによる一連の繰り返し送信動作における最後の電文の送信開始タイミングH1と、センサ2bによる一連の繰り返し送信動作における最後の電文の送信完了タイミングH2との時間差は、電文長1つ分となり、センサ2aの最後の電文の送信期間とセンサ2bの最後の電文の送信期間とは重畳しない。
【0047】
また、図8(b)に示すように、センサ2aによる電文の繰り返し送信動作の開始タイミングが、センサ2bによる電文の繰り返し送信動作の開始タイミングより電文長1つ分だけ早いとき、すなわち、センサ2aによる一連の繰り返し送信動作における最初の電文の送信完了タイミングと、センサ2bによる一連の繰り返し送信動作における最初の電文の送信開始タイミングとが略同時(タイミングH3)のときでも、センサ2aの最後の電文の送信開始タイミングは、センサ2bの最後の電文の送信完了タイミングと略同じタイミングとなり、センサ2aの最後の電文の送信期間とセンサ2bの最後の電文の送信期間とは重畳しない。
【0048】
また、言うまでもなく、センサ2aによる電文の繰り返し送信動作の開始タイミングが、センサ2bによる電文の繰り返し送信動作の開始タイミングより電文長1つ分だけ遅いとき、すなわち、センサ2aの最初の電文の送信開始タイミングと、センサ2bの最初の電文の送信完了タイミングとが略同時であるときには、センサ2aの最後の電文の送信開始タイミングは、センサ2bの最後の電文の送信完了タイミングより2×tだけ遅くなり、センサ2aの最後の電文の送信期間動作と、センサ2bによる一連の繰り返し送信動作における最後の電文の送信期間とは重畳しない。
【0049】
このように、センサ2aの繰り返し送信時間T2を、センサ2bの繰り返し送信時間T1に対して電文長2つ分以上の時間差を有するように設定すれば、センサ2aによる電文の送信開始タイミングを、センサ2bによる電文の送信開始タイミングに対してどのように早めたり遅延させたりしても、センサ2aにより送信される電文の中に、必ず送信期間がセンサ2bによる電文の送信期間と重畳しない電文が少なくとも1つ生成されることが判る。したがって、センサ2aは、少なくとも1つの電文を、センサ2bから送信される電文と衝突させることなく中継器3aに伝送することができる。
【0050】
さらに、2つのセンサの着目した場合に、各センサの繰り返し送信時間の時間差を電文長2つ分に設定すればよいことから、1つの中継器に電文を送信するセンサが3つ以上有する場合については、任意に選択した2つのセンサの組み合わせを考えた場合に、どの組み合わせにおいても、センサの繰り返し送信時間の時間差が電文長2つ分以上の時間差を有するように設定するとよい。すなわち、或るセンサの繰り返し送信時間をTとすると、別のセンサの繰り返し送信時間を例えばT+2×t,T+4×t,T+6×t・・・とするとよい。
【0051】
ところで、ここまでの説明においては、説明の簡単化のために前記時間T2をT2=T1+2×tとしたが、前記時間T2はこの値に限られず、前記式(1)を満たすものであればよい。ここで、時間T2を決定する方法として、例えばT2=T1+4×tとかT2=T1+7×tなどの前記式(1)を満たす演算式を予め複数記憶し、センサ2aが他のセンサの電文と衝突しないような演算式を前記複数の演算式の中から選択するようにしてもよいが、この場合、前記式(1)を満たす演算式を予め複数記憶させて、センサ2aが他のセンサの電文と衝突しないような演算式をセンサ2aに前記複数の演算式の中から選択させるプログラムを別途作成する必要があり、手間やコストアップ等を招来する可能性がある。
【0052】
そこで、本実施形態では、第2の注目すべき点として、次のような方法により前記時間T2を決定する点を有している。すなわち、本実施形態では、当該センサ2aに割り当てられた識別情報(ID)を用いて前記時間T2を決定するようにしている。具体的には、センサ2aに割り当てられた識別情報(ID)を、予め定められた整数で除算して得られる剰余に2を乗算した数を係数nとし、前記時間T2を
T2=T1+n×t ・・・(2)
に基づいて算出する。
【0053】
この式(2)に基づいて前記時間T2を算出すると、前記識別情報は各センサに固有のものであるから、前記係数nを算出する際に用いる前記予め定められた整数を比較的大きな値に設定することで、各センサに固有の係数nを得ることが可能となる。したがって、繰り返し送信時間が他のセンサと同一となるのを可及的に回避して、繰り返し送信時間とセンサとを1対1の関係で対応させつつ、前述のようなプログラムを別途作成することなく電文の送信時間間隔Δtを決定することができる。
【0054】
本件は、前記各実施形態に代えて、或いは前記各実施形態に加えて次の変形形態も採用可能である。
【0055】
(1)電文は、プリアンブル(PR)、ユニークワード(UW)、識別情報(ID)、データ(DATA)及び誤り訂正符号(CRC)の各領域を備えて構成されている旨前述したが、図9に示すように、一般的に、本無線通信システム1のようなオブジェクト指向のセンサネットで用いられる電文形式は、前記DATA領域が、Type領域と、Property領域と、Data領域とを備える。
【0056】
Type領域は、オブジェクト指向のセンサネットにおける電文のDATA領域に書き込む情報の表現形式と、従来から用いられている無線機器における情報の表現形式とを区別するための情報が書き込まれる領域である。Property領域は、センサの種別を示す情報が書き込まれる領域である。Data領域は、センサ2の検出値を示す情報が書き込まれる領域である。このような電文形式では、センサ2の種類が増えると、Property領域のビット数が多く必要となる。
【0057】
そこで、識別情報(ID)の一部又は全部の値に応じてDATA領域に書き込まれている情報の解釈を変えるようにするとよい。
【0058】
すなわち、例えば人体センサ2fの識別情報は先頭の1バイトが01hであり、煙センサ2gの識別情報は先頭の1バイトが02hであり、防犯センサ2dの識別情報は先頭の1バイトが03hであるとした場合、受信器4は、受信した電文に含まれる識別情報の先頭の1バイトが01hであれば、Data領域に書き込まれている情報は人体センサ2fの人体検出の有無を示す情報であると解釈し、先頭の1バイトが02hであれば、Data領域に書き込まれている情報は煙センサ2gの煙濃度を示す情報であると解釈し、先頭の1バイトが03hであれば、Data領域に書き込まれている情報は、防犯センサ2dの開閉の有無を示す情報であると解釈する。
【0059】
このように、識別情報に応じてData領域に書き込まれている情報を変えるため、検出値を示す検出値情報(Data領域に書き込まれる情報)として、異なる種類のセンサ間で同一のものを使用することができる。例えば、人体センサ2fが人体を検出したことを示す検出値情報と、防犯センサ2dが窓の開放を検出したことを示す検出値情報とを同一にすることができる。
【0060】
その結果、電文中のType領域やProperty領域が必要なくなり、図10に示すように、DATA領域をData領域のみで構成することができ、電文長を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明に係る無線通信システムの一例を示す図である。
【図2】各センサの電気的な構成を示すブロック図である。
【図3】電文の構成例を示す図である。
【図4】中継器の電気的な構成を示すブロック図である。
【図5】受信器の電気的な構成を示すブロック図である。
【図6】センサによる電文の送信動作と中継器及び受信器の送受信動作とを示すタイムチャートである。
【図7】中継器3aはセンサから特殊電文を受信できたが、中継器3bは外来ノイズの妨害を受けて中継器3aからその特殊電文を受信できず、その結果、受信器も特殊電文を受信できなかった場合を示した図である。
【図8】受信器に中継器3aからの電文と中継器3bからの電文とが同時に到達した状態を示す図である。
【図9】オブジェクト指向のセンサネットで用いられる電文形式を示す図である。
【図10】本発明の無線通信システムにおける電文の変形形態を示す図である。
【図11】従来の無線通信システムの典型的な構成を示す図である。
【図12】中継器を含む場合の通信態様を示す図である。
【図13】中継器を含む場合のセンサ、中継器及び受信器の動作を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0062】
1 無線通信システム
2 センサ
3,3a,3b 中継器
4 受信器
5 照明機器
7 スピーカ
8 検出部
9,16,22 制御部
10 無線送信部
11 送信アンテナ
12 電池
13 電文
14,20 無線通信部
15,17,21 記憶部
18 照合部
19 送信制御部
23 情報解析部
24 指示部
【技術分野】
【0001】
本発明は、予め定められた環境に係る情報を検出し、その検出情報を無線送信するセンサと、該センサから送信される検出情報を受信し、該検出情報に基づき所定の動作を行う無線受信装置とを備えて成る無線通信システムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、回路技術の高度化によってセンサや無線回路が省電力化されたことにより、各種センサと無線回路とを組み合わせたワイヤレスセンサ(以下、単にセンサという)が実現され、このセンサを多数配置して、該センサによる検知情報を無線で収集する無線通信システムが広く知られている。図11に、従来の典型的なネットワークシステムの構成を示す。
【0003】
図11に示すように、無線通信システム100は、検出部102a〜105a、無線送信部102b〜105b及び電池102c〜105cを備えたセンサ102〜105と、無線受信部101a、制御部101b及びI/F101cを備えた受信器101とを有してなる。センサ102〜105の検出部102a〜105a及び無線送信部102b〜105bは、電池102c〜105cから電力の供給を受け、検出部102a〜105aの検出信号レベルが所定の閾値を超えると、無線送信部102b〜105bから検出値を含むセンサ情報を電波に変調して送信する。センサ102〜105からの電波を受信した受信器101は、無線受信部101aで電波を増幅復調してセンサ情報を抽出し、制御部101bで該センサ情報の蓄積や解析等を行い、I/F101cで外部システムにセンサ情報を送出する。
【0004】
このような無線通信システム100において、図12に示すように更に中継器106,107を備え、センサ(ここではセンサ102とする)から送信されるセンサ情報が各中継器106,107を順番に介して受信器101に受信されるものがあり、このような無線通信システム100におけるセンサ情報の伝送方式として図13に示すような方式が知られている。
【0005】
図13に示す伝送方式は、センサ102からセンサ情報が送信されると、該センサ情報が中継器106、中継器107の順番に中継された後、受信器101に受信される。また、センサ102が同一のセンサ情報を所定の送信間隔で所定回数繰り返し送信する。このように同一のセンサ情報を所定回数繰り返し送信するのは、外来ノイズがセンサ情報の送受信が妨害されることがあっても、いずれかのセンサ情報が受信器101まで伝送されることを期待したものである。すなわち、図13の矢印X1で示すように、センサ102から送信されたセンサ情報が中継器106に受信されなかったり、図13の矢印X2で示すように、中継器106から送信されたセンサ情報が中継器107に受信されなかったりした場合でも、図13の矢印X3や矢印X4で示すように、受信器101に伝送されたセンサ情報が他のタイミングで存在することを期待して、同一のセンサ情報を所定回数繰り返し送信している。
【0006】
受信器101は、センサ102から同一のセンサ情報が所定回数送信されたことを確認すると、これらのセンサ情報が、センサ102が検出対象を検出したことを示したものであると判断して、センサ情報を外部システムに送出する。
【0007】
なお、下記特許文献1には、送信したい一連の情報を所定ビット数の情報ブロックに分割し、同一情報ブロックを乗せたフレームを、複数回連続して送信する片方向通信システムにおいて、前記フレームに、同一情報ブロックのフレーム送信を何回繰り返し送信するかを示す連送回数を含める技術が開示されている。
【特許文献1】特開平5−160815公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図13に示す伝送方式にあっては、各センサの送信間隔が同一である場合、2つ以上のセンサが略同時にセンサ情報の送信を開始すると、各センサによる電文の送信タイミングが略一致することとなり、これによって、中継器や受信器において各センサから送信された電文が衝突し、センサ情報が受信器101に受信されなかったものとなる。
【0009】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、各センサの送信間隔が同一である場合であって、2つ以上のセンサが同時にセンサ情報の送信を開始した場合であっても、予め定められた回数送信される電文のうち少なくとも1つは受信装置に伝送されるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、情報を作成し、該情報を電文として所定間隔で所定回数だけ繰り返す送信動作を行う無線送信器であって、当該無線送信器が1つの電文の送信に要する時間を電文長t、他の無線送信器が前記送信動作を行うのに要する時間を時間T1と表したとき、当該無線送信器が前記送信動作を行うのに要する時間T2をT2≧T1+2×tを満たすように設定し、この時間T2と前記予め定められた回数とに基づき、前記電文の送信間隔を設定するものである。
【0011】
この発明によれば、時間T2をT2≧T1+2×tを満たすように設定することで、複数の無線送信器が同時に電文の送信を開始した場合であっても、少なくとも1つの電文は、その送信期間が他の無線送信器による電文の送信期間と重畳するのを回避することができる。
【0012】
すなわち、当該無線送信器による電文の送信開始タイミングと、他の無線送信器による電文の送信開始タイミングとが同時のときには、他の無線送信器による最後の電文の送信開始タイミングより2×tだけ遅延して、当該無線送信器が最後の電文の送信を開始する。この場合、少なくとも最後の電文については、その送信期間が他の無線送信器による電文の送信期間と重畳することはない。
【0013】
また、他の無線送信器による電文の送信開始タイミングより、当該無線送信器による電文の送信開始タイミングが電文長t分だけ遅れた場合には、他の無線送信器による最後の電文の送信開始タイミングより3×tだけ遅れて、当該無線送信器が最後の電文の送信を開始する。この場合も、少なくとも最後の電文については、その送信期間が他の無線送信器による電文の送信期間と重畳することはない。
【0014】
さらに、他の無線送信器による電文の送信開始タイミングより、当該無線送信器による電文の送信開始タイミングが電文長t分だけ早い場合でも、他の無線送信器による最後の電文の送信開始タイミングより1×tだけ遅延して、当該無線送信器が最後の電文の送信を開始する。したがって、この場合も、少なくとも最後の電文については、その送信期間が他の無線送信器による電文の送信期間と重畳することはない。
【0015】
このように、当該無線送信器による電文の送信開始タイミングを、他の無線送信器による電文の送信開始タイミングに対してどのように早めたり遅延させたりしても、必ず送信期間が他の無線送信器による電文の送信期間と重畳しない電文が少なくとも1つ生成される。したがって、少なくとも1つの電文を、他の無線送信器から送信される電文と衝突することなく無線受信装置に伝送することができる。
【0016】
その際、請求項2に記載の発明のように、当該無線送信器に割り当てられた、無線送信器を個別に識別するための識別情報を、整数で除算して得られる剰余に2を乗算した数を係数nとしたとき、前記時間T2をT2=T1+n×tにより算出し、前記予め定められた回数をkとすると、前記電文の送信間隔ΔtをΔt=T2/(k−1)により算出すると、電文の送信間隔を決定するために新たな情報を記憶したり用いたりすることなく、既に使用されている情報(識別情報)を用いて電文の送信間隔を決定することができる。
【0017】
なお、前記無線受信装置とは、電文を最終的に伝送する対象の受信器だけでなく、無線送信器と該受信器との間で電文を中継する中継器も含む。
【0018】
請求項3に記載の発明は、情報を作成し、該情報を電文として所定間隔で所定回数だけ繰り返す送信動作を行う無線送信器と、前記無線送信器からの送信情報を受信する無線受信装置とを備えた無線通信システムであって、前記無線送信器は、請求項1ないし3のいずれかに記載の無線送信器である無線通信システムである。
【0019】
この発明によれば、無線通信システムにおいて、請求項1または2に記載の発明による作用が得られる。
【0020】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の無線通信システムにおいて、前記無線送信器は、環境情報を検出するセンサ部を備え、前記電文は、無線送信器の種類を識別するための識別情報と前記環境情報に係る検出値を示す検出情報とを含み、第1の無線送信器の検出値を示す検出情報と、前記第1の無線送信器と異なる種類の第2の無線送信器の検出値を示す検出情報とが同一の信号で構成されており、前記無線受信装置は、前記識別情報及び検出情報の組み合わせと前記無線送信器の検出内容との対応関係を予め記憶し、前記電文を受信すると、この電文に含まれる識別情報及び検出情報に基づき、前記無線送信器の検出内容を解釈するものである。
【0021】
この発明によれば、第1の無線送信器の検出値を示す検出情報と、前記第1の無線送信器と異なる種類の第2の無線送信器の検出値を示す検出情報とを同一の信号で構成し、前記識別情報及び検出情報の組み合わせと前記無線送信器の検出内容との対応関係を予め記憶し、無線受信装置は、前記電文を受信すると、この電文に含まれる識別情報及び検出情報に基づき、前記無線送信器の検出内容を解釈するようにしたので、電文中に、無線送信器の種類を示す情報や、検出値の表現形式を示す情報を記述する必要がなく、電文に含める情報量をできるだけ少なくすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、各無線送信器の送信間隔が同一である場合であって、2つ以上の無線送信器が同時に電文の送信を開始した場合であっても、予め定められた回数送信される電文のうち少なくとも1つは無線受信装置に伝送されるようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明に係る無線通信システムの実施形態について説明する。図1は、本発明に係る無線通信システムの一例を示す図である。
【0024】
(第1の実施形態)
本発明に係る無線通信システム1は、例えば住宅や事務所等の建物に防犯、防災、設備の利便性向上等を目的として適用されるものであり、図1に示すように、センサ2(2a〜2h)、中継器3(3a,3b)及び受信器4を備えて構成されている。なお、図1は、無線通信システム1の設置対象の一例として、2階建ての建物とそれに隣接するガレージとを想定したものを示している。
【0025】
センサ2は、例えば赤外線を検出媒体として人体を検出する人体センサ2a〜2c,2f,防犯を目的として設置される防犯センサ2d,2e、防災を目的として設置される煙センサ2g,2h等が含まれる。
【0026】
人体センサ2a〜2cは、例えば人体の熱を検出し、該人体の有無に応じて例えば照明機器5や図略の空調機器の動作を制御するために設けられている。例えば、人体センサ2a〜2cにより人体が検出すると、受信器4は、照明機器5を点灯させたり空調機器を動作させたりし、人体が検出されなくなると、受信器4は、照明機器5を消灯させたり空調機器の動作をオフしたりする。なお、図1では、人体センサ2a〜2cが各階の屋内とガレージとに設置されている態様を示している。
【0027】
防犯センサ2d,2eは、磁気を利用した検出動作を行うマグネットセンサ、ジャイロを用いて構成される加速度センサ、静電容量型、渦電流或いは圧電素子を用いた振動センサ等であり、例えば屋内と屋外とを連通可能な窓6に設置され、不在時における窓の開閉動作や振動を検出する。なお、図1では、防犯センサ2d,2eが各階に設けられている窓6にそれぞれ設置されている態様を示している。受信器4は、防犯センサ2d,2eにより窓6の開閉動作や振動が検出された旨の通知を受けて、スピーカ7等から警報を出力させる。
【0028】
煙センサ2g,2hは、例えば天井に設置され、煙の存在を検出して防災(火災の発生により警報を発する)のために設けられたものである。図1では、煙センサが各階の天井にそれぞれ設置されている態様を示している。受信器4は、煙センサ2g,2hにより所定の濃度を超える煙の存在が検出された旨の通知を受けて、スピーカ7等から警報を出力させる。
【0029】
図2は、前記センサ2の電気的な構成を示すブロック図である。センサ2は、当該センサ2の種類に応じた検出媒体を用いて得られた環境の検出信号を制御部9に出力する検出部8と、前記検出部8から出力される前記検出信号の信号レベルが所定の閾値を超えると、その旨を示すセンサ情報を電文として無線送信部10に所定の送信周期で出力する制御部9と、制御部9から出力された電文を電波に変調し、該電波を送信アンテナ11から中継器3又は受信器4に無線送信する無線送信部10とを備えて構成されている。以下、電文を中継器又は受信器4に所定の送信周期で無線送信する動作を、繰り返し送信動作という。なお、検出部8、制御部9及び無線送信部10は、前記電池12から供給される電力により動作する。
【0030】
制御部9は、例えば制御プログラムを記憶するROMや一時的にデータを記憶するRAM等が内蔵されたマイクロコンピュータからなる。また、制御部9は、検出部8により取得された検出信号の信号レベルが所定の閾値を超えると、例えば次に説明するような構成を有する電文を生成する電文生成部としての機能を有する。図3は、電文の構成例を示す図である。
【0031】
図3に示すように、電文13は、プリアンブル(PR)、ユニークワード(UW)、識別情報(ID)、データ(DATA)及び誤り訂正符号(CRC)の各領域を備えて構成されている。プリアンブル(PR)の領域は、ディジタル信号「1」,「0」の繰り返しで構成されるビット同期用パターンが書き込まれる領域である。中継器3及び受信器4は、受信中の電文13におけるプリアンブル(PR)の領域に書き込まれたビット同期用パターンに基づき、電文のビットレートに対して同期をとる。
【0032】
ユニークワード(UW)の領域には、予めセンサ2と中継器3又は受信器4との間で共通に定められた例えば8ビットや16ビット等の固定のビット列がユニークワードパターンとして格納される領域である。中継器3又は受信器4は、前記ユニークワードパターンを検出することで、電文の開始位置を特定することができる。
【0033】
識別情報(ID)の領域は、センサ2個別に固有の番号として付与されたIDが格納される領域である。中継器3は、識別情報(ID)の領域に書き込まれているIDによって、電文13の受信の是非を判断したりセンサ2を特定したりすることができる。データ(DATA)の領域は、検出した内容(検出値)を示す検出情報が書き込まれる領域である。誤り訂正符号(CRC)の領域は、識別情報(ID)の領域及びデータ(DATA)の領域におけるビットの誤りを検出するために用いられる領域である。
【0034】
図1に戻り、中継器3は、センサ2から送信される電文13を受信し、受信した電文13を受信器4に送信する中継機能を有する機器である。図1では、1階の屋内から2階の天井裏に設置された受信器4へは天井が、また、屋外から前記受信器4へは外壁がそれぞれ障害物となり、1階の屋内や屋外に設置されたセンサ2から出力される電波が受信器4に到達し難い又は到達しないため、1階の天井裏と屋外の適所にそれぞれ設置されている態様を示している。
【0035】
図4は、中継器3の電気的な構成を示すブロック図である。図4に示すように、中継器は、センサ2及び受信器4との間で電文の通信を行う無線通信部14と、前記無線通信部14で受信した電文13に含まれる各種情報を記憶する記憶部15と、例えば制御プログラムを記憶するROMや一時的にデータを記憶するRAM等が内蔵されたマイクロコンピュータからなる制御部16とを備える。
【0036】
また、制御部16は、機能的に、センサの識別情報(ID)を記憶する記憶部17と、他の無線通信システム1との混信を防止するべく、無線通信部14で受信した電文13に含まれるIDと、前記記憶部15に記憶されているIDとを照合し、それらが一致するか否かを判断する照合部18と、照合部18により前記両IDが一致すると判断した場合にのみ受信した電文13を受け付けて、受信器4に送信する指示を前記無線通信部14に出力する送信制御部19とを有する。
【0037】
図1に戻り、受信器4は、センサ2又は中継器3から電波を受信し、該電波を増幅及び復調して情報を得て、該情報の蓄積や解析を行い、各種の処理を実行する機器である。図5は、受信器4の電気的な構成を示すブロック図である。図5に示すように、受信器4は、センサ2及び中継器3との間で電文13の通信を行う無線通信部20と、前記無線通信部20で受信した電文13に含まれる各種情報を記憶する記憶部21と、例えば制御プログラムを記憶するROMや一時的にデータを記憶するRAM等が内蔵されたマイクロコンピュータからなる制御部22とを備える。
【0038】
また、制御部22は、機能的に、無線通信部20で受信した電波を増幅及び復調し、前その後の情報を解析して電文13の送信元や検出内容(検出値)を取得する情報解析部23と、前記情報解析部23による解析の結果に基づいて、各機器(前記照明機器5や空調機器或いはスピーカ7)の動作を指示する指示部24とを備える。指示部24は、例えば、人体センサ2a〜2cから人体を検出した旨の検出信号を受信したときには、通信線により当該受信器4に接続された照明機器5に点灯する指示を出力し、煙センサ2g,2hから煙を検出した旨の検出信号や、警戒状態下で防犯センサ2d,2eから異常を検出した旨の検出信号を受信すると、通信線により当該受信器4に接続されたスピーカ7に警報音を出力する指示を出力する。
【0039】
以上のような構成を有する無線通信システム1において、注目すべきは、各センサから同時に電文13の送信開始が行われた場合であっても、各センサについて、少なくとも1つの電文の送信期間は、他のセンサから送信される電文の送信期間と時間的に重畳しないように設定している点である。以下、この内容について詳細に説明する。
【0040】
図6は、センサ2による電文の送信動作及び中継器3aの受信動作における従来の問題点を示すタイムチャート、図7は、本実施形態の特徴部分である、センサ2による電文の送信動作と中継器及び受信器4の送受信動作とを示すタイムチャートである。なお、ここでは、電文の送信動作を行うセンサの一例として人体センサ2a,2bを挙げ、中継器の一例として中継器3aを挙げて説明を行う。
【0041】
図6に示すように、センサ2a,2bの送信時間間隔が同一である場合、センサ2a,2bが略同時に電文の送信を開始すると、センサ2a,2bによる電文の送信期間が全ての電文で重畳する。これにより、中継器3aにおいてセンサ2a,2bから送信された電文が衝突することとなり、電文が中継器3aに受信されなかったものとなる。図6に示す「×」印は、センサ2aから送信された電文と、センサ2bから送信された電文とが衝突し、電文が中継器3aに受信されなかった状態を示している。正方形内の数字「1」〜「5」は、一連の電文の繰り返し送信動作のうち第何回目の送信動作(又は第何番目に送信した通常電文)であるかを示す。
【0042】
そこで、本実施形態では、センサ2a,2bは、一連の繰り返し送信動作に要する時間(検出値が閾値を超えたことをトリガとしてセンサ2a,2bが電文の送信を開始してから最後に生成した電文の送信が完了するまでの時間:以下、繰り返し送信時間Tという)が可変に構成されている。すなわち、一連の繰り返し送信動作における送信回数については一定のままとするので、センサ2a,2bは、送信時間間隔が可変に構成されている。なお、ここでは、センサ2bの送信時間間隔は一定とし、センサ2aにより送信される電文が、センサ2bにより送信される電文と衝突しないように、センサ2aの送信時間間隔を変えるものとする。
【0043】
このとき、センサ2bの繰り返し送信時間を時間T1、センサ2aの繰り返し送信時間を時間T2、電文長(センサ2a,2bが1つの電文を送信開始してから送信完了までに要する時間)をtとするとき、センサ2aは、前記時間T2を次式(1)を満たすように設定する。
【0044】
T2≧T1+2×t・・・(1)
この式(1)に基づいて設定した時間T2と、センサ2aの繰り返し送信動作における電文の送信回数kとから、センサ2aによる電文の送信時間間隔Δtを次式(2)を用いて算出する。
【0045】
Δt=T2/(k−1) ・・(2)
センサ2aの送信時間間隔Δtを、次式(1),(2)を用いて算出すると、センサ2aから送信される電文のうち少なくとも一つは、センサ2bから送信される電文と、送信期間が重畳するのを回避することができる。以下、この理由について説明する。図8は、この理由を説明するための図である。
【0046】
前記式(1)は、センサ2aの繰り返し送信時間T2と、センサ2bの繰り返し送信時間T1とが、電文長2つ分以上の時間差を有することを意味する。ここで、説明の簡単化のため、前記時間T2は、T2=T1+2×tであるとすると、図8(a)に示すように、センサ2aによる電文の繰り返し送信動作の開始タイミングと、センサ2bによる電文の繰り返し送信動作の開始タイミングとが一致するとき、センサ2aによる一連の繰り返し送信動作における最後の電文の送信開始タイミングH1と、センサ2bによる一連の繰り返し送信動作における最後の電文の送信完了タイミングH2との時間差は、電文長1つ分となり、センサ2aの最後の電文の送信期間とセンサ2bの最後の電文の送信期間とは重畳しない。
【0047】
また、図8(b)に示すように、センサ2aによる電文の繰り返し送信動作の開始タイミングが、センサ2bによる電文の繰り返し送信動作の開始タイミングより電文長1つ分だけ早いとき、すなわち、センサ2aによる一連の繰り返し送信動作における最初の電文の送信完了タイミングと、センサ2bによる一連の繰り返し送信動作における最初の電文の送信開始タイミングとが略同時(タイミングH3)のときでも、センサ2aの最後の電文の送信開始タイミングは、センサ2bの最後の電文の送信完了タイミングと略同じタイミングとなり、センサ2aの最後の電文の送信期間とセンサ2bの最後の電文の送信期間とは重畳しない。
【0048】
また、言うまでもなく、センサ2aによる電文の繰り返し送信動作の開始タイミングが、センサ2bによる電文の繰り返し送信動作の開始タイミングより電文長1つ分だけ遅いとき、すなわち、センサ2aの最初の電文の送信開始タイミングと、センサ2bの最初の電文の送信完了タイミングとが略同時であるときには、センサ2aの最後の電文の送信開始タイミングは、センサ2bの最後の電文の送信完了タイミングより2×tだけ遅くなり、センサ2aの最後の電文の送信期間動作と、センサ2bによる一連の繰り返し送信動作における最後の電文の送信期間とは重畳しない。
【0049】
このように、センサ2aの繰り返し送信時間T2を、センサ2bの繰り返し送信時間T1に対して電文長2つ分以上の時間差を有するように設定すれば、センサ2aによる電文の送信開始タイミングを、センサ2bによる電文の送信開始タイミングに対してどのように早めたり遅延させたりしても、センサ2aにより送信される電文の中に、必ず送信期間がセンサ2bによる電文の送信期間と重畳しない電文が少なくとも1つ生成されることが判る。したがって、センサ2aは、少なくとも1つの電文を、センサ2bから送信される電文と衝突させることなく中継器3aに伝送することができる。
【0050】
さらに、2つのセンサの着目した場合に、各センサの繰り返し送信時間の時間差を電文長2つ分に設定すればよいことから、1つの中継器に電文を送信するセンサが3つ以上有する場合については、任意に選択した2つのセンサの組み合わせを考えた場合に、どの組み合わせにおいても、センサの繰り返し送信時間の時間差が電文長2つ分以上の時間差を有するように設定するとよい。すなわち、或るセンサの繰り返し送信時間をTとすると、別のセンサの繰り返し送信時間を例えばT+2×t,T+4×t,T+6×t・・・とするとよい。
【0051】
ところで、ここまでの説明においては、説明の簡単化のために前記時間T2をT2=T1+2×tとしたが、前記時間T2はこの値に限られず、前記式(1)を満たすものであればよい。ここで、時間T2を決定する方法として、例えばT2=T1+4×tとかT2=T1+7×tなどの前記式(1)を満たす演算式を予め複数記憶し、センサ2aが他のセンサの電文と衝突しないような演算式を前記複数の演算式の中から選択するようにしてもよいが、この場合、前記式(1)を満たす演算式を予め複数記憶させて、センサ2aが他のセンサの電文と衝突しないような演算式をセンサ2aに前記複数の演算式の中から選択させるプログラムを別途作成する必要があり、手間やコストアップ等を招来する可能性がある。
【0052】
そこで、本実施形態では、第2の注目すべき点として、次のような方法により前記時間T2を決定する点を有している。すなわち、本実施形態では、当該センサ2aに割り当てられた識別情報(ID)を用いて前記時間T2を決定するようにしている。具体的には、センサ2aに割り当てられた識別情報(ID)を、予め定められた整数で除算して得られる剰余に2を乗算した数を係数nとし、前記時間T2を
T2=T1+n×t ・・・(2)
に基づいて算出する。
【0053】
この式(2)に基づいて前記時間T2を算出すると、前記識別情報は各センサに固有のものであるから、前記係数nを算出する際に用いる前記予め定められた整数を比較的大きな値に設定することで、各センサに固有の係数nを得ることが可能となる。したがって、繰り返し送信時間が他のセンサと同一となるのを可及的に回避して、繰り返し送信時間とセンサとを1対1の関係で対応させつつ、前述のようなプログラムを別途作成することなく電文の送信時間間隔Δtを決定することができる。
【0054】
本件は、前記各実施形態に代えて、或いは前記各実施形態に加えて次の変形形態も採用可能である。
【0055】
(1)電文は、プリアンブル(PR)、ユニークワード(UW)、識別情報(ID)、データ(DATA)及び誤り訂正符号(CRC)の各領域を備えて構成されている旨前述したが、図9に示すように、一般的に、本無線通信システム1のようなオブジェクト指向のセンサネットで用いられる電文形式は、前記DATA領域が、Type領域と、Property領域と、Data領域とを備える。
【0056】
Type領域は、オブジェクト指向のセンサネットにおける電文のDATA領域に書き込む情報の表現形式と、従来から用いられている無線機器における情報の表現形式とを区別するための情報が書き込まれる領域である。Property領域は、センサの種別を示す情報が書き込まれる領域である。Data領域は、センサ2の検出値を示す情報が書き込まれる領域である。このような電文形式では、センサ2の種類が増えると、Property領域のビット数が多く必要となる。
【0057】
そこで、識別情報(ID)の一部又は全部の値に応じてDATA領域に書き込まれている情報の解釈を変えるようにするとよい。
【0058】
すなわち、例えば人体センサ2fの識別情報は先頭の1バイトが01hであり、煙センサ2gの識別情報は先頭の1バイトが02hであり、防犯センサ2dの識別情報は先頭の1バイトが03hであるとした場合、受信器4は、受信した電文に含まれる識別情報の先頭の1バイトが01hであれば、Data領域に書き込まれている情報は人体センサ2fの人体検出の有無を示す情報であると解釈し、先頭の1バイトが02hであれば、Data領域に書き込まれている情報は煙センサ2gの煙濃度を示す情報であると解釈し、先頭の1バイトが03hであれば、Data領域に書き込まれている情報は、防犯センサ2dの開閉の有無を示す情報であると解釈する。
【0059】
このように、識別情報に応じてData領域に書き込まれている情報を変えるため、検出値を示す検出値情報(Data領域に書き込まれる情報)として、異なる種類のセンサ間で同一のものを使用することができる。例えば、人体センサ2fが人体を検出したことを示す検出値情報と、防犯センサ2dが窓の開放を検出したことを示す検出値情報とを同一にすることができる。
【0060】
その結果、電文中のType領域やProperty領域が必要なくなり、図10に示すように、DATA領域をData領域のみで構成することができ、電文長を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明に係る無線通信システムの一例を示す図である。
【図2】各センサの電気的な構成を示すブロック図である。
【図3】電文の構成例を示す図である。
【図4】中継器の電気的な構成を示すブロック図である。
【図5】受信器の電気的な構成を示すブロック図である。
【図6】センサによる電文の送信動作と中継器及び受信器の送受信動作とを示すタイムチャートである。
【図7】中継器3aはセンサから特殊電文を受信できたが、中継器3bは外来ノイズの妨害を受けて中継器3aからその特殊電文を受信できず、その結果、受信器も特殊電文を受信できなかった場合を示した図である。
【図8】受信器に中継器3aからの電文と中継器3bからの電文とが同時に到達した状態を示す図である。
【図9】オブジェクト指向のセンサネットで用いられる電文形式を示す図である。
【図10】本発明の無線通信システムにおける電文の変形形態を示す図である。
【図11】従来の無線通信システムの典型的な構成を示す図である。
【図12】中継器を含む場合の通信態様を示す図である。
【図13】中継器を含む場合のセンサ、中継器及び受信器の動作を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0062】
1 無線通信システム
2 センサ
3,3a,3b 中継器
4 受信器
5 照明機器
7 スピーカ
8 検出部
9,16,22 制御部
10 無線送信部
11 送信アンテナ
12 電池
13 電文
14,20 無線通信部
15,17,21 記憶部
18 照合部
19 送信制御部
23 情報解析部
24 指示部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を作成し、該情報を電文として所定間隔で所定回数だけ繰り返す送信動作を行う無線送信器であって、
当該無線送信器が1つの電文の送信に要する時間を電文長t、他の無線送信器が前記送信動作を行うのに要する時間を時間T1と表したとき、当該無線送信器が前記送信動作を行うのに要する時間T2を
T2≧T1+2×t
を満たすように設定し、この時間T2と前記予め定められた回数とに基づき、前記電文の送信間隔を設定する無線送信器。
【請求項2】
当該無線送信器に割り当てられた、無線送信器を個別に識別するための識別情報を、整数で除算して得られる剰余に2を乗算した数を係数nとしたとき、前記時間T2を
T2=T1+n×t
により算出し、前記予め定められた回数をkとすると、前記電文の送信間隔Δtを
Δt=T2/(k−1)
により算出する請求項1に記載の無線送信器。
【請求項3】
情報を作成し、該情報を電文として所定間隔で所定回数だけ繰り返す送信動作を行う無線送信器と、前記無線送信器からの送信情報を受信する無線受信装置とを備えた無線通信システムであって、
前記無線送信器は、請求項1ないし3のいずれかに記載の無線送信器である無線通信システム。
【請求項4】
前記無線送信器は、環境情報を検出するセンサ部を備え、
前記電文は、無線送信器の種類を識別するための識別情報と前記環境情報に係る検出値を示す検出情報とを含み、
第1の無線送信器の検出値を示す検出情報と、前記第1の無線送信器と異なる種類の第2の無線送信器の検出値を示す検出情報とが同一の信号で構成されており、
前記無線受信装置は、前記識別情報及び検出情報の組み合わせと前記無線送信器の検出内容との対応関係を予め記憶し、前記電文を受信すると、この電文に含まれる識別情報及び検出情報に基づき、前記無線送信器の検出内容を解釈する請求項3に記載の無線通信システム。
【請求項1】
情報を作成し、該情報を電文として所定間隔で所定回数だけ繰り返す送信動作を行う無線送信器であって、
当該無線送信器が1つの電文の送信に要する時間を電文長t、他の無線送信器が前記送信動作を行うのに要する時間を時間T1と表したとき、当該無線送信器が前記送信動作を行うのに要する時間T2を
T2≧T1+2×t
を満たすように設定し、この時間T2と前記予め定められた回数とに基づき、前記電文の送信間隔を設定する無線送信器。
【請求項2】
当該無線送信器に割り当てられた、無線送信器を個別に識別するための識別情報を、整数で除算して得られる剰余に2を乗算した数を係数nとしたとき、前記時間T2を
T2=T1+n×t
により算出し、前記予め定められた回数をkとすると、前記電文の送信間隔Δtを
Δt=T2/(k−1)
により算出する請求項1に記載の無線送信器。
【請求項3】
情報を作成し、該情報を電文として所定間隔で所定回数だけ繰り返す送信動作を行う無線送信器と、前記無線送信器からの送信情報を受信する無線受信装置とを備えた無線通信システムであって、
前記無線送信器は、請求項1ないし3のいずれかに記載の無線送信器である無線通信システム。
【請求項4】
前記無線送信器は、環境情報を検出するセンサ部を備え、
前記電文は、無線送信器の種類を識別するための識別情報と前記環境情報に係る検出値を示す検出情報とを含み、
第1の無線送信器の検出値を示す検出情報と、前記第1の無線送信器と異なる種類の第2の無線送信器の検出値を示す検出情報とが同一の信号で構成されており、
前記無線受信装置は、前記識別情報及び検出情報の組み合わせと前記無線送信器の検出内容との対応関係を予め記憶し、前記電文を受信すると、この電文に含まれる識別情報及び検出情報に基づき、前記無線送信器の検出内容を解釈する請求項3に記載の無線通信システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−236602(P2008−236602A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−76221(P2007−76221)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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