説明

無線通信グループを形成する方法

【課題】無線通信システムにおいて適用され、無線通信グループを形成するための方法を提供する。
【解決手段】一の基地局の周囲に位置するn個の無線通信装置の中からg個のコーディネータを選択するステップ(302)と、前記n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置を、g個のコーディネータに対して割り当てて、g個の無線通信グループを形成するステップ(304)と、無線通信グループの各々の中から一のコーディネータを再度選択し直して、g個の更新されたコーディネータを生成するステップ(306)と、n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置を、g個の更新されたコーディネータに対して割り当てて、g個の更新された無線通信グループを形成、選択結果が収束するなら終了し、収束しないならコーディネータの再選択に戻って繰り返すステップ(308)と、を含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本願の請求項1の特徴的構成部分が規定する態様に従って、無線通信グループを形成するための方法に関係する。本願は、2011年4月15日付けで出願された「米国仮特許出願61/523,415」に基づく出願日の利益を主張し、この米国仮特許出願は、参照により、本明細書中に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
GSM(登録商標)(Global System for Mobile communications)、3G(第3世代通信システム)およびWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)等の無線通信技術は、利便性の高い無線通信サービスを提供するために、今日、広く利用されている。従来技術における通信方法では、各無線通信装置は、一つの基地局との間に個別に接続を確立し、その基地局からデータを受信し、その基地局へデータを送信する。しかしながら、非常に多数の無線通信装置が、その基地局に対して同時に接続を確立しようとする場合、基地局からデータを受信し、基地局へデータを送信するために、上記のような方法を使用することは、その基地局において過負荷状態を生じさせる。その結果、上りリンク通信または下りリンク通信の期間中に、突然の予期せぬ電力損失が生じ、無線通信装置の継続稼働時間が短くなってしまうことになる。
【発明の概要】
【0003】
本発明は上記問題点に鑑み、伝送における電力損失と無線通信装置の継続稼働時間とを改善するために、無線通信システムに適用するための無線通信グループの形成方法を提供することを目的とする。本発明の上記目的は、本願請求項1に係る方法によって達成される。本願の従属請求項は、本発明における更なる追加の発展と改善とに関係する。
【0004】
以下に記載される発明の詳細な説明からより明確に理解されるとおり、本発明に係る方法は、一の基地局の近隣に位置するn個の無線通信装置の中からg個のコーディネータ(調整者)を選択し、n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置を、g個のコーディネータに対して割り当てて、g個の無線通信グループを形成し、g個の無線通信グループの各々の中から一のコーディネータを再度選択し直して、g個の更新されたコーディネータを生成し、n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置を、g個の更新されたコーディネータに対して割り当てて、g個の更新された無線通信グループを形成するとの構成を採る。
【0005】
本発明により実現される幾つかの実施形態においては、無線通信システム内においてコーディネータを選択するステップと、上記の選択されたコーディネータに従って、複数の無線通信装置を無線通信グループとしてグループ化するステップとは、互い違いに実行される。上記2つのステップを実行した後、本実施形態では以下の動作が実行される。まず最初に、無線通信グループ内の複数の無線通信装置は、コーディネータに信号を送信する。続いて、コーディネータは受信した信号を対象となる基地局に送信する。他方、本実施形態では、まず最初に、コーディネータが、対象となる基地局から信号を受信する。続いて、コーディネータは、受信した信号を無線通信グループ内の他の複数の無線通信装置に送信する。いずれにしても、複数の無線通信装置を無線通信グループとしてグループ化する動作を介して、基地局との間で接続を確立する無線通信装置の個数が制限され得る。その結果、複数の無線通信装置へのアクセスを管理する効率が改善される。さらには、複数の無線通信装置の中からコーディネータを選択する動作を介して、複数の無線通信装置の上りリンク通信のための電力消耗を低減することが可能であり、無線通信装置の継続稼動時間を長くすることが可能である。
【0006】
以下の記載において、本明細書に添付した図面を参酌することにより、本発明は、具体例を用いた方法により、更に詳細に例示される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態に従って、無線通信環境内において無線通信グループを形成する動作を示す図
【図2】本発明の一実施形態に従って、無線通信グループの中からコーディネータを再度選択し直す動作を示す図
【図3】本発明の第1の実施形態に従って、無線通信グループを形成し、無線通信環境内におけるコーディネータを選択し直す動作を示すフローチャート
【図4】本発明の第2の実施形態に従って、無線通信グループを形成し、無線通信環境内におけるコーディネータを選択し直す動作を示すフローチャート
【図5】本発明の第3の実施形態に従って、無線通信グループを形成し、無線通信環境内におけるコーディネータを選択し直す動作を示すフローチャート
【図6】本発明の第4の実施形態に従って、無線通信グループを形成し、無線通信環境内におけるコーディネータを選択し直す動作を示すフローチャート
【図7】本発明の第5の実施形態に従って、無線通信グループを形成し、無線通信環境内におけるコーディネータを選択し直す動作を示すフローチャート
【図8】本発明の第6の実施形態に従って、無線通信グループを形成し、無線通信環境内におけるコーディネータを選択し直す動作を示すフローチャート
【図9】本発明の第7の実施形態に従って、無線通信グループを形成し、無線通信環境内におけるコーディネータを選択し直す動作を示すフローチャート
【図10】本発明の第8の実施形態に従って、無線通信グループを形成し、無線通信環境内におけるコーディネータを選択し直す動作を示すフローチャート
【図11】本発明の第9の実施形態に従って、無線通信グループを形成し、無線通信環境内におけるコーディネータを選択し直す動作を示すフローチャート
【図12】本発明の第10の実施形態に従って、無線通信グループを形成し、無線通信環境内におけるコーディネータを選択し直す動作を示すフローチャート
【図13】本発明の第11の実施形態に従って、無線通信グループを形成し、無線通信環境内におけるコーディネータを選択し直す動作を示すフローチャート
【図14】本発明の第12の実施形態に従って、無線通信グループを形成し、無線通信環境内におけるコーディネータを選択し直す動作を示すフローチャート
【図15】本発明の第13の実施形態に従って、無線通信グループを形成し、無線通信環境内におけるコーディネータを選択し直す動作を示すフローチャート
【図16】本発明の第14の実施形態に従って、無線通信グループを形成し、無線通信環境内におけるコーディネータを選択し直す動作を示すフローチャート
【図17】無線通信環境内における、基地局と無線通信装置の地理的な分布を示す図
【図18】図17に示す無線通信環境において、本願の第3の実施形態が適用された場合の電力消耗の低減を示すシミュレーション結果グラフ
【図19】図17に示す無線通信環境において、本願の第4の実施形態が適用された場合の電力消耗の低減を示すシミュレーション結果グラフ
【図20】図17に示す無線通信環境において、本願の第13の実施形態が適用された場合の電力消耗の低減を示すシミュレーション結果グラフ
【図21】図17に示す無線通信環境において、本願の第14の実施形態が適用された場合の電力消耗の低減を示すシミュレーション結果グラフ
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本発明の一実施形態に従って、無線通信環境内において無線通信グループを形成する動作を示す。図1に示すとおり、無線通信グループを形成するのに先立って、基地局80の近隣に位置するn個の無線通信装置30の中の3つの無線通信装置が、3つのコーディネータ52、62および72として選択される。無線通信装置はランダムに選択されることが可能である。3つのコーディネータ52、62および72を選択した後に、n個の無線通信装置30の中の残りの(n−3)個の無線通信装置は3つのコーディネータ52、62および72に割り当てられ、3つの無線通信グループ56、66および76をそれぞれ形成する。3つのコーディネータ52、62および72を選択し、3つの無線通信グループ56、66および76をグループ形成した後に、本実施形態では以下の動作が実行される。まず最初に、無線通信グループ56、66および76内の複数の無線通信装置はそれぞれ、対応するコーディネータ52、62および72に対して信号を送信する。続いて、コーディネータ52、62および72は、受信した信号を基地局80に対してそれぞれ送信する。次にまず、コーディネータ52、62および72が、基地局80から信号をそれぞれ受信する。続いて、コーディネータ52、62および72は、受信した信号を、無線通信グループ56、66および76内の他の複数の無線通信装置に対して送信する。
【0009】
無線通信グループ56、66および76を形成した後に、無線通信グループ56、66および76の各々の中から一のコーディネータが再度選択し直され、更新された3つのコーディネータ54、64および74が生成される。その後、n個の無線通信装置30の中の残りの(n−3)個の無線通信装置が、上記更新されたコーディネータ54、64および74に対して割り当てられ、更新された3つの無線通信グループが形成される。本願の第1の実施形態においては、3つの無線通信装置だけがコーディネータとして選択されているけれども、本発明は、3つのコーディネータのみを選択することに限定されるものではない。むしろ、選択されるコーディネータの個数は、複数の異なる状況に応じて、調整されることが可能である。しかしながら、選択されるコーディネータの個数は、無線通信環境100に関する無線通信規約において定義される上限値を超えるものであってはならない。
【0010】
図2は、本発明の一実施形態に従って、無線通信グループ79の中からコーディネータを再度選択し直す動作を示す。図2に示すとおり、無線通信グループ79は、無線通信装置31〜39を含む。コーディネータを選択する際、異なる基準や異なるアルゴリズムに従って、異なるコーディネータが選択されることが可能である。例えば、無線通信グループ79内の他の複数の無線通信装置との間のチャネル利得の総和が最大値となるようなコーディネータを無線通信グループ79内から選択する場合を考える。このようにするのは、無線通信グループ79内の残りの無線通信装置と選択されたコーディネータとの間の信号伝送によって生じる電力消耗を調整するためである。この場合、無線通信装置34が選ばれる可能性が最も高いであろう。無線通信グループ79内の他の複数の無線通信装置との間のチャネル利得の積が最大値となるようなコーディネータを無線通信グループ79内から再度選択し直す場合を考える。これもまた、無線通信グループ79内の残りの無線通信装置と選択されたコーディネータとの間の信号伝送によって生じる電力消耗を調整するためである。この場合、無線通信装置31または32が選ばれる可能性が最も高いであろう。
【0011】
選択されたコーディネータと基地局80との間の伝送効率を高めるために、基地局80との間のチャネル利得が最大値となるコーディネータを無線通信グループ79内から再度選択し直す場合、無線通信装置35が選ばれる可能性が最も高いであろう。
【0012】
選択されたコーディネータと基地局80との間の伝送効率を高めるために、基地局80との間のチャネル利得が利得分布中の中間値となるコーディネータを無線通信グループ79内から再度選択し直す場合、無線通信装置32が選ばれる可能性が最も高いであろう。
【0013】
無線通信グループ79内の他の複数の無線通信装置および基地局80との間の通信の電力消耗が最小値となるようなコーディネータを無線通信グループ79内から再度選択し直す場合を考える。このようにするのは、無線通信グループ79内の残りの無線通信装置と選択されたコーディネータとの間の信号伝送、および選択されたコーディネータと基地局80との間の信号伝送によって生じる電力消耗を最小化するためである。この場合、無線通信装置33、34または35が選ばれる可能性が最も高いであろう。
【0014】
図3は、本発明の第1の実施形態に従って、無線通信環境100内において、無線通信グループを形成し、コーディネータを再度選択し直す動作を示すフローチャートである。このフローチャートは下記のように記載される。
ステップ302:基地局80の近隣に位置するn個の無線通信装置の中からg個のコーディネータ(調整者)を選択する。
ステップ304:n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置とg個のコーディネータとの間のチャネル利得に従って、n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置をg個のコーディネータに対して割り当て、g個の無線通信グループを形成する。
ステップ306:無線通信グループ内の他の複数の無線通信装置との間のチャネル利得の総和が最大値となるような一のコーディネータを、g個の無線通信グループの各々の中から再度選択し直して、g個の更新されたコーディネータを生成する。
ステップ308:n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置をg個の更新されたコーディネータに対して割り当てて、g個の更新された無線通信グループを形成する。g個のコーディネータを再度選択し直す動作の繰り返しにより得られる選択結果が収束するならば、ステップ310に進み、そうでなければステップ306に進む。
ステップ310:フローを終了する。
【0015】
本発明に係る第1の実施形態においては、基地局80の近隣に位置するn個の無線通信装置の中からg個のコーディネータを選択した後、n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置とg個のコーディネータとの間のチャネル利得に従って、n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置がg個のコーディネータに対して割り当てられ、g個の無線通信グループが形成される。一般に、一のコーディネータと一の無線通信装置との間の距離がより短くなるということは、そのコーディネータとその無線通信装置との間のチャネル利得がより大きくなるということに対応する。g個の無線通信グループを形成した後、無線通信グループ内の他の複数の無線通信装置との間のチャネル利得の総和が最大値となるような一のコーディネータを、g個の無線通信グループの各々の中から再度選択し直す。ステップ308を実行した後、ステップ306およびステップ308を何度か繰り返し、その後、ステップ306とステップ308の実行の繰り返しを終了する。この時、複数の無線通信装置と基地局80との間の伝送を実行するために、最後に選択されたコーディネータと無線通信グループを利用する。その結果、無線通信グループ内のチャネル利得を最適化し、複数の無線通信装置と基地局80との間の伝送における電力消耗を低減する。例えば、複数の無線通信装置と基地局80との間の伝送における電力消耗が充分に低いか否かを判定するために、閾値が設定されうる。この場合、複数の無線通信装置と基地局80との間の伝送における電力消耗が設定された閾値よりも低いならば、ステップ306とステップ308の実行の繰り返しが終了させられる。いずれにしても、同一のg個のコーディネータが反復して選択されるならば、ステップ306とステップ308の実行の繰り返しは終了させられる。本発明の第1の実施形態においては、複数の無線通信装置と複数のコーディネータとの間の複数のチャネル利得の中には、値が大きくて望ましくない利得が少数ながら存在する。これは、g個のコーディネータを再度選択し直す際、チャネル利得を最大化することによって電力損失の総和を最小化するためである。それでもしかし、全体のチャネル利得は依然として最適化されている。さらに、ステップ306におけるチャネル利得の総和は、チャネル利得の算術平均に置き換えることが可能である。チャネル利得の算術平均はチャネル利得の総和を無線通信グループ内の無線通信装置の個数により除算した値であるという点において、上記した総和と算術平均とは相違する。
【0016】
図4は、本発明の第2の実施形態に従って、無線通信グループを形成し、無線通信環境100内におけるコーディネータを選択し直す動作を示すフローチャートである。このフローチャートは以下のように記述される。
ステップ402:基地局80の近隣に位置するn個の無線通信装置の中からg個のコーディネータ(調整者)を選択する。
ステップ404:n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置とg個のコーディネータとの間の伝送における電力消耗および基地局80とg個のコーディネータとの間の伝送における電力消耗に従って、n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置をg個のコーディネータに対して割り当て、g個の無線通信グループを形成する。
ステップ406:無線通信グループ内の他の複数の無線通信装置との間のチャネル利得の総和が最大値となるような一のコーディネータを、g個の無線通信グループの各々の中から再度選択し直して、g個の更新されたコーディネータを生成する。
ステップ408:n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置をg個の更新されたコーディネータに対して割り当てて、g個の更新された無線通信グループを形成する。g個のコーディネータを再度選択し直す動作の繰り返しにより得られる選択結果が収束するならば、ステップ410に進み、そうでなければステップ406に進む。
ステップ410:フローを終了する。
【0017】
本発明の第2の実施形態と本発明の第1の実施形態との間の相違点は以下のとおりである。第2の実施形態においては、n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置をg個のコーディネータに対して割り当てて、g個の無線通信グループを形成する動作は、n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置とg個のコーディネータとの間の伝送における電力消耗および基地局80とg個のコーディネータとの間の伝送における電力消耗に従って行われる。換言するならば、ステップ404を実行することを通して、残りの(n−g)個の無線通信装置の中の一つの無線通信装置は、一の無線通信グループに割り当てられる。そして、この無線通信グループにおいて、さらに別の無線通信装置がコーディネータとして選択されるならば、コーディネータとこの無線通信装置との間の伝送における電力消耗およびコーディネータと基地局80との間の伝送における電力消耗の合計は、さらに小さくなる。従って、第2の実施形態においては、無線通信グループの各々の中のコーディネータと基地局80との間の伝送における無線伝送電力消耗の総和を低減することが可能である。さらに、ステップ406におけるチャネル利得の総和は、チャネル利得の算術平均に置き換えることが可能である。チャネル利得の算術平均はチャネル利得の総和を無線通信グループ内の無線通信装置の個数により除算した値であるという点において、上記した総和と算術平均とは相違する。
【0018】
図5は、本発明の第3の実施形態に従って、無線通信グループを形成し、無線通信環境100内におけるコーディネータを選択し直す動作を示すフローチャートである。このフローチャートは以下のように記述される。
ステップ502:基地局80の近隣に位置するn個の無線通信装置の中からg個のコーディネータ(調整者)を選択する。
ステップ504:n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置とg個のコーディネータとの間のチャネル利得に従って、n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置をg個のコーディネータに対して割り当て、g個の無線通信グループを形成する。
ステップ506:無線通信グループ内の他の複数の無線通信装置との間のチャネル利得の算術平均、および基地局80との間の重み付けされたチャネル利得の合計値が最大となるような一のコーディネータを、g個の無線通信グループの各々の中から再度選択し直して、g個の更新されたコーディネータを生成する。
ステップ508:n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置をg個の更新されたコーディネータに対して割り当てて、g個の更新された無線通信グループを形成する。g個のコーディネータを再度選択し直す動作の繰り返しにより得られる選択結果が収束するならば、ステップ510に進み、そうでなければステップ506に進む。
ステップ510:フローを終了する。
【0019】
本発明の第3の実施形態と本発明の第1の実施形態との間の相違点は以下のとおりである。第3の実施形態においては、無線通信グループ内の伝送における電力消耗を低減することと同時に、コーディネータと基地局80との間の伝送における電力消耗を低減することが、さらに重点的に考慮されている。その結果、無線通信グループ内の他の複数の無線通信装置との間のチャネル利得の算術平均、および基地局80との間の重み付けされたチャネル利得の合計値が最大となるような一のコーディネータを、g個の無線通信グループの各々の中から再度選択し直して、g個の更新されたコーディネータとしている。さらに、ステップ506におけるチャネル利得の総和は、チャネル利得の算術平均に置き換えることが可能である。チャネル利得の算術平均はチャネル利得の総和を無線通信グループ内の無線通信装置の個数により除算した値であるという点において、上記した総和と算術平均とは相違する。
【0020】
図6は、本発明の第4の実施形態に従って、無線通信グループを形成し、無線通信環境100内におけるコーディネータを選択し直す動作を示すフローチャートである。このフローチャートは以下のように記述される。
ステップ602:基地局80の近隣に位置するn個の無線通信装置の中からg個のコーディネータ(調整者)を選択する。
ステップ604:n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置とg個のコーディネータとの間のチャネル利得および基地局80とg個のコーディネータとの間のチャネル利得に従って、n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置をg個のコーディネータに対して割り当て、g個の無線通信グループを形成する。
ステップ606:無線通信グループ内の他の複数の無線通信装置との間のチャネル利得の算術平均、および基地局80との間の重み付けされたチャネル利得の合計値が最大となるような一のコーディネータを、g個の無線通信グループの各々の中から再度選択し直して、g個の更新されたコーディネータを生成する。
ステップ608:n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置をg個の更新されたコーディネータに対して割り当てて、g個の更新された無線通信グループを形成する。g個のコーディネータを再度選択し直す動作の繰り返しにより得られる選択結果が収束するならば、ステップ610に進み、そうでなければステップ606に進む。
ステップ610:フローを終了する。
【0021】
本発明の第4の実施形態と本発明の第2の実施形態との間の相違点は以下のとおりである。第4の実施形態においては、無線通信グループ内の伝送における電力消耗を低減することと同時に、コーディネータと基地局80との間の伝送における電力消耗を低減することが、さらに重点的に考慮されている。その結果、無線通信グループ内の他の複数の無線通信装置との間のチャネル利得の算術平均、および基地局80との間の重み付けされたチャネル利得の合計値が最大となるような一のコーディネータを、g個の無線通信グループの各々の中から再度選択し直して、g個の更新されたコーディネータとしている。さらに、ステップ606におけるチャネル利得の総和は、チャネル利得の算術平均に置き換えることが可能である。チャネル利得の算術平均はチャネル利得の総和を無線通信グループ内の無線通信装置の個数より一つ少ない数により除算した値であるという点において、上記した総和と算術平均とは相違する。
【0022】
図7は、本発明の第5の実施形態に従って、無線通信グループを形成し、無線通信環境100内におけるコーディネータを選択し直す動作を示すフローチャートである。このフローチャートは以下のように記述される。
ステップ702:基地局80の近隣に位置するn個の無線通信装置の中からg個のコーディネータ(調整者)を選択する。
ステップ704:n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置とg個のコーディネータとの間のチャネル利得に従って、n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置をg個のコーディネータに対して割り当て、g個の無線通信グループを形成する。
ステップ706:無線通信グループ内の他の複数の無線通信装置との間のチャネル利得の積が最大値となるような一のコーディネータを、g個の無線通信グループの各々の中から再度選択し直して、g個の更新されたコーディネータを生成する。
ステップ708:n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置をg個の更新されたコーディネータに対して割り当てて、g個の更新された無線通信グループを形成する。g個のコーディネータを再度選択し直す動作の繰り返しにより得られる選択結果が収束するならば、ステップ710に進み、そうでなければステップ706に進む。
ステップ710:フローを終了する。
【0023】
本発明の第5の実施形態と本発明の第1の実施形態との間の相違点は以下のとおりである。第5の実施形態においては、一つの無線通信グループ内の無線通信装置の各々のチャネル利得が考慮される。すなわち、無線通信グループ内においては、複数の無線通信装置の中で少数派を占める無線通信装置は、複数の無線通信装置の中で多数派を占め、高いチャネル利得に達する無線通信装置との相対関係において無視されることがない。従って、無線通信グループ内の他の複数の無線通信装置との間のチャネル利得の積が最大値となるような一のコーディネータを、g個の無線通信グループの各々の中から再度選択し直して、g個の更新されたコーディネータを生成することを通して、複数の無線通信装置の中で少数派を占める無線通信装置のチャネル利得が考慮されないという事態を回避することが可能である。さらに、ステップ706におけるチャネル利得の積は、チャネル利得の相乗平均に置き換えることが可能である。チャネル利得の積はチャネル利得の相乗平均を無線通信グループ内の無線通信装置の個数より一つ少ない次数だけ累乗した値であるという点において、上記した積と相乗平均とは相違する。
【0024】
図8は、本発明の第6の実施形態に従って、無線通信グループを形成し、無線通信環境100内におけるコーディネータを選択し直す動作を示すフローチャートである。このフローチャートは以下のように記述される。
ステップ802:基地局80の近隣に位置するn個の無線通信装置の中からg個のコーディネータ(調整者)を選択する。
ステップ804:n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置とg個のコーディネータとの間の伝送における電力消耗および基地局80とg個のコーディネータとの間の伝送における電力消耗に従って、n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置をg個のコーディネータに対して割り当て、g個の無線通信グループを形成する。
ステップ806:無線通信グループ内の他の複数の無線通信装置との間のチャネル利得の積が最大値となるような一のコーディネータを、g個の無線通信グループの各々の中から再度選択し直して、g個の更新されたコーディネータを生成する。
ステップ808:n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置をg個の更新されたコーディネータに対して割り当てて、g個の更新された無線通信グループを形成する。g個のコーディネータを再度選択し直す動作の繰り返しにより得られる選択結果が収束するならば、ステップ810に進み、そうでなければステップ806に進む。
ステップ810:フローを終了する。
【0025】
本発明の第6の実施形態と本発明の第1の実施形態との間の相違点は以下のとおりである。第6の実施形態においては、一つの無線通信グループ内の無線通信装置の各々のチャネル利得が考慮される。すなわち、無線通信グループ内においては、複数の無線通信装置の中で少数派を占める無線通信装置は、複数の無線通信装置の中で多数派を占め、高いチャネル利得に達する無線通信装置との相対関係において無視されることがない。従って、無線通信グループ内の他の複数の無線通信装置との間のチャネル利得の積が最大値となるような一のコーディネータを、g個の無線通信グループの各々の中から再度選択し直して、g個の更新されたコーディネータを生成することを通して、複数の無線通信装置の中で少数派を占める無線通信装置のチャネル利得が考慮されないという事態を回避することが可能である。さらに、ステップ806におけるチャネル利得の積は、チャネル利得の相乗平均に置き換えることが可能である。チャネル利得の積はチャネル利得の相乗平均を無線通信グループ内の無線通信装置の個数より一つ少ない次数だけ累乗した値であるという点において、上記した積と相乗平均とは相違する。
【0026】
図9は、本発明の第7の実施形態に従って、無線通信グループを形成し、無線通信環境100内におけるコーディネータを選択し直す動作を示すフローチャートである。このフローチャートは以下のように記述される。
ステップ902:基地局80の近隣に位置するn個の無線通信装置の中からg個のコーディネータ(調整者)を選択する。
ステップ904:n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置とg個のコーディネータとの間のチャネル利得に従って、n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置をg個のコーディネータに対して割り当て、g個の無線通信グループを形成する。
ステップ906:無線通信グループ内の他の複数の無線通信装置との間のチャネル利得の相乗平均、および基地局80との間の重み付けされたチャネル利得の合計値が最大となるような一のコーディネータを、g個の無線通信グループの各々の中から再度選択し直して、g個の更新されたコーディネータとする。
ステップ908:n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置をg個の更新されたコーディネータに対して割り当てて、g個の更新された無線通信グループを形成する。g個のコーディネータを再度選択し直す動作の繰り返しにより得られる選択結果が収束するならば、ステップ910に進み、そうでなければステップ906に進む。
ステップ910:フローを終了する。
【0027】
本発明の第7の実施形態と本発明の第5の実施形態との間の相違点は以下のとおりである。第7の実施形態においては、一のコーディネータを、g個の無線通信グループの各々の中から再度選択し直して、g個の更新されたコーディネータを生成する際に、無線通信装置の各々とコーディネータとの間のチャネル利得を考慮することのほかに、基地局80とコーディネータとの間のチャネル利得がさらに考慮される。従って、無線通信グループ内の他の複数の無線通信装置との間のチャネル利得の相乗平均、および基地局80との間の重み付けされたチャネル利得の合計値が最大となるような一のコーディネータを、g個の無線通信グループの各々の中から再度選択し直して、g個の更新されたコーディネータとする。さらに、ステップ906におけるチャネル利得の積は、チャネル利得の相乗平均に置き換えることが可能である。チャネル利得の積はチャネル利得の相乗平均を無線通信グループ内の無線通信装置の個数より一つ少ない次数だけ累乗した値であるという点において、上記した積と相乗平均とは相違する。
【0028】
図10は、本発明の第8の実施形態に従って、無線通信グループを形成し、無線通信環境100内におけるコーディネータを選択し直す動作を示すフローチャートである。このフローチャートは以下のように記述される。
ステップ1002:基地局80の近隣に位置するn個の無線通信装置の中からg個のコーディネータ(調整者)を選択する。
ステップ1004:n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置とg個のコーディネータとの間の伝送における電力消耗および基地局80とg個のコーディネータとの間の伝送における電力消耗に従って、n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置をg個のコーディネータに対して割り当て、g個の無線通信グループを形成する。
ステップ1006:無線通信グループ内の他の複数の無線通信装置との間のチャネル利得の相乗平均、および基地局80との間の重み付けされたチャネル利得の合計値が最大となるような一のコーディネータを、g個の無線通信グループの各々の中から再度選択し直して、g個の更新されたコーディネータとする。
ステップ1008:n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置をg個の更新されたコーディネータに対して割り当てて、g個の更新された無線通信グループを形成する。g個のコーディネータを再度選択し直す動作の繰り返しにより得られる選択結果が収束するならば、ステップ1010に進み、そうでなければステップ1006に進む。
ステップ1010:フローを終了する。
【0029】
本発明の第8の実施形態と本発明の第6の実施形態との間の相違点は以下のとおりである。第8の実施形態においては、一のコーディネータを、g個の無線通信グループの各々の中から再度選択し直して、g個の更新されたコーディネータを生成する際に、無線通信装置の各々とコーディネータとの間のチャネル利得を考慮することのほかに、基地局80とコーディネータとの間のチャネル利得がさらに考慮される。従って、無線通信グループ内の他の複数の無線通信装置との間のチャネル利得の相乗平均、および基地局80との間の重み付けされたチャネル利得の合計値が最大となるような一のコーディネータを、g個の無線通信グループの各々の中から再度選択し直して、g個の更新されたコーディネータとする。さらに、ステップ1006におけるチャネル利得の積は、チャネル利得の相乗平均に置き換えることが可能である。チャネル利得の積はチャネル利得の相乗平均を無線通信グループ内の無線通信装置の個数より一つ少ない次数だけ累乗した値であるという点において、上記した積と相乗平均とは相違する。
【0030】
図11は、本発明の第9の実施形態に従って、無線通信グループを形成し、無線通信環境100内におけるコーディネータを選択し直す動作を示すフローチャートである。このフローチャートは以下のように記述される。
ステップ1102:基地局80の近隣に位置するn個の無線通信装置の中からg個のコーディネータ(調整者)を選択する。
ステップ1104:n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置と基地局80との間のチャネル利得に従って、n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置をg個のコーディネータに対して割り当て、g個の無線通信グループを形成する。
ステップ1106:基地局80との間のチャネル利得が最大となるような一のコーディネータを、g個の無線通信グループの各々の中から再度選択し直して、g個の更新されたコーディネータとする。
ステップ1108:n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置をg個の更新されたコーディネータに対して割り当てて、g個の更新された無線通信グループを形成する。g個のコーディネータを再度選択し直す動作の繰り返しにより得られる選択結果が収束するならば、ステップ1110に進み、そうでなければステップ1106に進む。
ステップ1110:フローを終了する。
【0031】
本発明の第9の実施形態と本発明の第1の実施形態との間の相違点は以下のとおりである。第9の実施形態においては、一のコーディネータを、g個の無線通信グループの各々の中から再度選択し直して、g個の更新されたコーディネータを生成する際に、コーディネータと基地局80との間の伝送における電力消耗を低減することを考慮して、基地局80との間のチャネル利得が最大となるコーディネータが複数の無線通信グループの各々の中から選択され、g個の更新されたコーディネータが生成される。
【0032】
図12は、本発明の第10の実施形態に従って、無線通信グループを形成し、無線通信環境100内におけるコーディネータを選択し直す動作を示すフローチャートである。このフローチャートは以下のように記述される。
ステップ1202:基地局80の近隣に位置するn個の無線通信装置の中からg個のコーディネータ(調整者)を選択する。
ステップ1204:n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置とg個のコーディネータとの間の伝送における電力消耗および基地局80とg個のコーディネータとの間の伝送における電力消耗に従って、n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置をg個のコーディネータに対して割り当て、g個の無線通信グループを形成する。
ステップ1206:無線通信グループ内の他の複数の無線通信装置との間のチャネル利得の和が最大値となるような一のコーディネータを、g個の無線通信グループの各々の中から再度選択し直して、g個の更新されたコーディネータとする。
ステップ1208:n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置をg個の更新されたコーディネータに対して割り当てて、g個の更新された無線通信グループを形成する。g個のコーディネータを再度選択し直す動作の繰り返しにより得られる選択結果が収束するならば、ステップ1210に進み、そうでなければステップ1206に進む。
ステップ1210:フローを終了する。
【0033】
本発明の第10の実施形態と本発明の第2の実施形態との間の相違点は以下のとおりである。第9の実施形態においては、一のコーディネータを、g個の無線通信グループの各々の中から再度選択し直して、g個の更新されたコーディネータを生成する際に、コーディネータと基地局80との間の伝送における電力消耗を低減することを考慮して、基地局80との間のチャネル利得が最大となるコーディネータが複数の無線通信グループの各々の中から選択され、g個の更新されたコーディネータが生成される。
【0034】
図13は、本発明の第11の実施形態に従って、無線通信グループを形成し、無線通信環境100内におけるコーディネータを選択し直す動作を示すフローチャートである。このフローチャートは以下のように記述される。
ステップ1302:基地局80の近隣に位置するn個の無線通信装置の中からg個のコーディネータ(調整者)を選択する。
ステップ1304:n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置とg個のコーディネータとの間のチャネル利得に従って、n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置をg個のコーディネータに対して割り当て、g個の無線通信グループを形成する。
ステップ1306:基地局80との間のチャネル利得がチャネル利得分布の中央値となるような一のコーディネータを、g個の無線通信グループの各々の中から再度選択し直して、g個の更新されたコーディネータとする。
ステップ1308:n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置をg個の更新されたコーディネータに対して割り当てて、g個の更新された無線通信グループを形成する。g個のコーディネータを再度選択し直す動作の繰り返しにより得られる選択結果が収束するならば、ステップ1310に進み、そうでなければステップ1306に進む。
ステップ1310:フローを終了する。
【0035】
本発明の第11の実施形態と本発明の第1の実施形態との間の相違点は以下のとおりである。第11の実施形態においては、一のコーディネータを、g個の無線通信グループの各々の中から再度選択し直して、g個の更新されたコーディネータを生成する際に、コーディネータと基地局80との間の伝送における電力消耗を低減すること、および無線通信グループ内の伝送における電力消耗を低減することを考慮して、基地局80との間のチャネル利得がチャネル利得分布の中央値となるような一のコーディネータが、g個の無線通信グループの各々の中から選択され、g個の更新されたコーディネータが生成される。
【0036】
図14は、本発明の第12の実施形態に従って、無線通信グループを形成し、無線通信環境100内におけるコーディネータを選択し直す動作を示すフローチャートである。このフローチャートは以下のように記述される。
ステップ1402:基地局80の近隣に位置するn個の無線通信装置の中からg個のコーディネータ(調整者)を選択する。
ステップ1404:n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置とg個のコーディネータとの間の伝送における電力消耗および基地局80とg個のコーディネータとの間の伝送における電力消耗に従って、n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置をg個のコーディネータに対して割り当て、g個の無線通信グループを形成する。
ステップ1406:基地局80との間のチャネル利得がチャネル利得分布の中央値となるような一のコーディネータを、g個の無線通信グループの各々の中から再度選択し直して、g個の更新されたコーディネータとする。
ステップ1408:n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置をg個の更新されたコーディネータに対して割り当てて、g個の更新された無線通信グループを形成する。g個のコーディネータを再度選択し直す動作の繰り返しにより得られる選択結果が収束するならば、ステップ1410に進み、そうでなければステップ1406に進む。
ステップ1410:フローを終了する。
【0037】
本発明の第12の実施形態と本発明の第2の実施形態との間の相違点は以下のとおりである。第11の実施形態においては、一のコーディネータを、g個の無線通信グループの各々の中から再度選択し直して、g個の更新されたコーディネータを生成する際に、コーディネータと基地局80との間の伝送における電力消耗を低減すること、および無線通信グループ内の伝送における電力消耗を低減することを考慮して、基地局80との間のチャネル利得がチャネル利得分布の中央値となるような一のコーディネータが、g個の無線通信グループの各々の中から選択され、g個の更新されたコーディネータが生成される。
【0038】
図15は、本発明の第13の実施形態に従って、無線通信グループを形成し、無線通信環境100内におけるコーディネータを選択し直す動作を示すフローチャートである。このフローチャートは以下のように記述される。
ステップ1502:基地局80の近隣に位置するn個の無線通信装置の中からg個のコーディネータ(調整者)を選択する。
ステップ1504:n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置とg個のコーディネータとの間のチャネル利得に従って、n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置をg個のコーディネータに対して割り当て、g個の無線通信グループを形成する。
ステップ1506:コーディネータと無線通信グループ内の他の無線通信装置との間の通信電力消耗、およびコーディネータと基地局80との間の通信電力消耗の和が最小値となるような一のコーディネータを、g個の無線通信グループの各々の中から再度選択し直して、g個の更新されたコーディネータとする。
ステップ1508:n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置をg個の更新されたコーディネータに対して割り当てて、g個の更新された無線通信グループを形成する。g個のコーディネータを再度選択し直す動作の繰り返しにより得られる選択結果が収束するならば、ステップ1510に進み、そうでなければステップ1506に進む。
ステップ1510:フローを終了する。
【0039】
本発明の第13の実施形態と本発明の第1の実施形態との間の相違点は以下のとおりである。第13の実施形態においては、一のコーディネータを、g個の無線通信グループの各々の中から再度選択し直して、g個の更新されたコーディネータを生成する際に、コーディネータと基地局80との間の伝送における電力消耗を低減すること、および無線通信グループ内の伝送における電力消耗を低減することを考慮して、コーディネータと無線通信グループ内の他の無線通信装置との間の通信電力消耗、およびコーディネータと基地局80との間の通信電力消耗の和が最小値となるような一のコーディネータが、g個の無線通信グループの各々の中から選択され、g個の更新されたコーディネータが生成される。
【0040】
図16は、本発明の第14の実施形態に従って、無線通信グループを形成し、無線通信環境100内におけるコーディネータを選択し直す動作を示すフローチャートである。このフローチャートは以下のように記述される。
ステップ1602:基地局80の近隣に位置するn個の無線通信装置の中からg個のコーディネータ(調整者)を選択する。
ステップ1604:n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置とg個のコーディネータとの間の伝送における電力消耗および基地局80とg個のコーディネータとの間の伝送における電力消耗に従って、n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置をg個のコーディネータに対して割り当て、g個の無線通信グループを形成する。
ステップ1606:コーディネータと無線通信グループ内の他の無線通信装置との間の通信電力消耗、およびコーディネータと基地局80との間の通信電力消耗の和が最小値となるような一のコーディネータを、g個の無線通信グループの各々の中から再度選択し直して、g個の更新されたコーディネータとする。
ステップ1608:n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置をg個の更新されたコーディネータに対して割り当てて、g個の更新された無線通信グループを形成する。g個のコーディネータを再度選択し直す動作の繰り返しにより得られる選択結果が収束するならば、ステップ1610に進み、そうでなければステップ1606に進む。
ステップ1610:フローを終了する。
【0041】
本発明の第14の実施形態と本発明の第2の実施形態との間の相違点は以下のとおりである。第13の実施形態においては、一のコーディネータを、g個の無線通信グループの各々の中から再度選択し直して、g個の更新されたコーディネータを生成する際に、コーディネータと基地局80との間の伝送における電力消耗を低減すること、および無線通信グループ内の伝送における電力消耗を低減することを考慮して、コーディネータと無線通信グループ内の他の無線通信装置との間の通信電力消耗、およびコーディネータと基地局80との間の通信電力消耗の和が最小値となるような一のコーディネータが、g個の無線通信グループの各々の中から選択され、g個の更新されたコーディネータが生成される。
【0042】
図17は、無線通信環境200内における、基地局80と無線通信装置30の地理的な分布を示す図である。図17に示すとおり、基地局80を取り囲むおよそ半径1000メートルの領域内に40個の無線通信装置30が含まれている。さらに、図18〜図21を参照されたい。図18は、図17に示す無線通信環境200において、本願の第3の実施形態が適用された場合の電力消耗の低減を示すシミュレーション結果グラフである。図19は、図17に示す無線通信環境200において、本願の第4の実施形態が適用された場合の電力消耗の低減を示すシミュレーション結果グラフである。図20は、図17に示す無線通信環境200において、本願の第13の実施形態が適用された場合の電力消耗の低減を示すシミュレーション結果グラフである。図21は、図17に示す無線通信環境200において、本願の第14の実施形態が適用された場合の電力消耗の低減を示すシミュレーション結果グラフである。図18〜図21において、x軸に沿って伸びる水平方向の座標軸は、選択されたコーディネータの個数を表し、y軸に沿って伸びる垂直方向の座標軸は、電力消耗の度合いを表す。垂直方向の座標軸上の単位はジュールである。図18中における実線で示された線は、本発明の第3の実施形態に係る方法を適用することにより、無線通信装置30と基地局80との間の伝送における調節された電力消耗を表す曲線である。図19中における実線で示された線は、本発明の第4の実施形態に係る方法を適用することにより、無線通信装置30と基地局80との間の伝送における調節された電力消耗を表す曲線である。図20中における実線で示された線は、本発明の第13の実施形態に係る方法を適用することにより、無線通信装置30と基地局80との間の伝送における調節された電力消耗を表す曲線である。図21中における実線で示された線は、本発明の第14の実施形態に係る方法を適用することにより、無線通信装置30と基地局80との間の伝送における調節された電力消耗を表す曲線である。図18〜図21の各々において点線で図示される線は、従来技術に係る方法を適用することによって、無線通信装置30と基地局80との間の伝送において生じる電力消耗を示す曲線である。上記従来技術に係る方法においては、複数の無線通信装置30の各々は、基地局80に対してそれぞれ別個に伝送を実行する。図18〜図21を見てもわかるとおり、本発明の第3、第4、第13および第14の実施形態を利用することを通じて、複数の無線通信装置30と基地局80との間の伝送における電力消耗が効果的に低減され得る。図18〜図21において、10個のコーディネータを選択した場合に、複数の無線通信装置30と基地局80との間の伝送における電力消耗を低減する効果の大幅な改善が見られることに留意されたい。しかしながら、40個のコーディネータを選択するならば、40個の無線通信装置30が、基地局80に対してそれぞれ別個に伝送を実行する場合と実質同一となってしまうから、従来技術に係る方法と比較して電力消耗は低減されない。
【0043】
本発明により提供される複数の実施形態においては、無線通信システム内においてコーディネータを選択する動作ステップと、上記選択されたコーディネータに従って、複数の無線通信装置を一の無線通信グループとしてグループ化する動作ステップは、交互に実行することができる。上記の2つの動作ステップを実行した後に、まず最初に、無線通信装置グループ内の複数の無線通信装置が、コーディネータに対して信号を送信する。続いて、そのコーディネータは、受信した信号を基地局80に対して送信する。次にまず、コーディネータが基地局80から信号を受信し、続いて、受信した信号を、無線通信装置グループ内の複数の無線通信装置に対して送信する。いずれにしても、複数の無線通信装置を無線通信グループとしてグループ化する動作を介して、基地局80との間で接続を確立する無線通信装置の個数が制限されうる。その結果、複数の無線通信装置へのアクセスを管理する効率が改善される。更には、複数の無線通信装置の中からコーディネータを選択する動作を介して、複数の無線通信装置の上りリンク通信のための電力消耗を低減することが可能であり、無線通信装置の継続稼動時間を長くすることが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信システムにおいて適用される、無線通信グループを形成するための方法であって:
一の基地局の近傍に位置するn個の無線通信装置の中からg個のコーディネータを選択するステップ;
前記n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置を、前記g個のコーディネータに対して割り当てて、g個の無線通信グループを形成するステップ;
無線通信グループの各々の中から一のコーディネータを再度選択し直して、g個の更新されたコーディネータを生成するステップ;および、
n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置を、前記g個の更新されたコーディネータに対して割り当てて、g個の更新された無線通信グループを形成するステップ、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
gは特定の上限値よりも小さいことをさらに特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記n個の無線通信装置の中の前記残りの(n−g)個の無線通信装置を、前記g個のコーディネータに対して割り当てて、前記g個の無線通信グループを形成する前記ステップは、
n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置とg個のコーディネータとの間のチャネル利得に従って、n個の無線通信装置の中の残りの(n−g)個の無線通信装置をg個のコーディネータに対して割り当てるステップを備える、
ことをさらに特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記n個の無線通信装置の中の前記残りの(n−g)個の無線通信装置を、前記g個のコーディネータに対して割り当てて、前記g個の無線通信グループを形成する前記ステップは、
前記n個の無線通信装置の中の前記残りの(n−g)個の無線通信装置と前記g個のコーディネータとの間の伝送における電力消耗に従って、前期n個の無線通信装置の中の前記残りの(n−g)個の無線通信装置を前記g個のコーディネータに対して割り当てるステップを備える、
ことをさらに特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記無線通信グループの各々の中から前記一のコーディネータを再度選択し直して、前記g個の更新されたコーディネータを生成する前記ステップは、
前記無線通信グループ内の他の複数の無線通信装置との間のチャネル利得の総和が最大値となるような前記一のコーディネータを、前記無線通信グループの中から再度選択し直すステップを備える、
ことをさらに特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記無線通信グループの各々の中から前記一のコーディネータを再度選択し直して、前記g個の更新されたコーディネータを生成する前記ステップは、
前記無線通信グループ内の他の複数の無線通信装置との間のチャネル利得の算術平均、および前記基地局との間の重み付けされたチャネル利得の合計値が最大となるような前記一のコーディネータを、前記無線通信グループの中から再度選択し直すステップを備える、
ことをさらに特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記無線通信グループの各々の中から前記一のコーディネータを再度選択し直して、前記g個の更新されたコーディネータを生成する前記ステップは、
前記無線通信グループ内の他の複数の無線通信装置との間のチャネル利得の積が最大値となるような前記一のコーディネータを、前記無線通信グループの中から再度選択し直すステップを備える、
ことをさらに特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記無線通信グループの各々の中から前記一のコーディネータを再度選択し直して、前記g個の更新されたコーディネータを生成する前記ステップは、
前記無線通信グループ内の他の複数の無線通信装置との間のチャネル利得の相乗平均、および前記基地局との間の重み付けされたチャネル利得の合計値が最大値となるような前記一のコーディネータを、前記無線通信グループの中から再度選択し直すステップを備える、
ことをさらに特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記無線通信グループの各々の中から前記一のコーディネータを再度選択し直して、前記g個の更新されたコーディネータを生成する前記ステップは、
前記基地局との間のチャネル利得が最大値となるような前記一のコーディネータを、前記無線通信グループの中から再度選択し直すステップを備える、
ことをさらに特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記無線通信グループの各々の中から前記一のコーディネータを再度選択し直して、前記g個の更新されたコーディネータを生成する前記ステップは、
前記基地局との間のチャネル利得がチャネル利得分布の中央値となるような前記一のコーディネータを、前記無線通信グループの中から再度選択し直すステップを備える、
ことをさらに特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記無線通信グループの各々の中から前記一のコーディネータを再度選択し直して、前記g個の更新されたコーディネータを生成する前記ステップは、
前記無線通信グループ内の他の無線通信装置と前記一のコーディネータとの間の通信電力消耗、および前記一のコーディネータと前記基地局との間の通信電力消耗の合計値が最小値となる前記一のコーディネータを前記無線通信グループの中から再度選択し直すステップを備える、
ことをさらに特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項12】
一の基地局の近傍に位置するn個の無線通信装置の中からg個のコーディネータを選択するステップは、
前記一の基地局の近傍に位置する前記n個の無線通信装置の中から前記g個のコーディネータをランダムに選択するステップを備える、
ことをさらに特徴とする、請求項1記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−42504(P2013−42504A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−179855(P2012−179855)
【出願日】平成24年8月14日(2012.8.14)
【出願人】(509352749)宏碁股▲分▼有限公司 (16)
【氏名又は名称原語表記】ACER INCORPORATED
【Fターム(参考)】